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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】窒化物半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240813BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20240813BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H01L29/80 M
H01L29/80 H
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020196157
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084345
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 浩隆
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼堂 真也
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116607(JP,A)
【文献】特開2014-110393(JP,A)
【文献】特開2016-213389(JP,A)
【文献】特開2019-145703(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092751(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体によって構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に形成され、前記電子供給層よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層と、
前記電子供給層上または前記ステップ層上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層と、
前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、
前記電子供給層と接しているソース電極およびドレイン電極と
を備え、
前記ステップ層は、平面視において前記ゲート層の外側に延出する延出部を含み、
前記延出部は、アンドープ層によって構成されており、
前記ゲート層は、前記ステップ層上に形成されており、
前記ステップ層は、前記延出部と隣接するベース部をさらに含み、
前記ベース部は、前記ゲート層の直下の領域に位置し、前記ゲート層と同じ幅を有している、窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記延出部は、平面視において前記ゲート層の全外周縁よりも外側に延出している、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記アクセプタ型不純物は、Mg、Zn、およびCのうちの少なくとも1つである、請求項1または2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記延出部上に形成された第1パッシベーション層と、
前記電子供給層、前記第1パッシベーション層、および前記ゲート電極を覆う第2パッシベーション層と
を備える、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
窒化物半導体によって構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に形成され、前記電子供給層よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層と、
前記電子供給層上または前記ステップ層上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層と、
前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、
前記電子供給層と接しているソース電極およびドレイン電極と
を備える窒化物半導体装置であって、
前記ステップ層は、平面視において前記ゲート層の外側に延出する延出部を含み、
前記延出部は、アンドープ層によって構成されており、
前記窒化物半導体装置は、
前記延出部上に形成された第1パッシベーション層と、
前記電子供給層、前記第1パッシベーション層、および前記ゲート電極を覆う第2パッシベーション層と
をさらに備える、窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記第1パッシベーション層は、前記延出部上に形成されているが、前記ゲート層の上面には形成されていない、請求項4または5に記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート層は、前記ステップ層上に形成されている、請求項5または6に記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記ステップ層は、前記延出部と隣接しているベース部をさらに含み、
前記ベース部は、前記延出部よりも小さい厚さを有し、
前記ゲート層は、前記ベース部上に形成されている、請求項1~のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
窒化物半導体によって構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に形成され、前記電子供給層よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層と、
前記電子供給層上または前記ステップ層上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層と、
前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、
前記電子供給層と接しているソース電極およびドレイン電極と
を備え、
前記ステップ層は、平面視において前記ゲート層の外側に延出する延出部を含み、
前記延出部は、アンドープ層によって構成されており、
前記ステップ層は、前記延出部と隣接しているベース部をさらに含み、
前記ベース部は、前記延出部よりも小さい厚さを有し、
前記ゲート層は、前記ベース部上に形成されている、窒化物半導体装置。
【請求項10】
前記ステップ層は、開口部を含み、
前記ゲート層は、前記開口部内において、前記電子供給層上に形成されている、請求項5または6に記載の窒化物半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート層は、
前記ゲート電極が形成される上面と、
前記上面とは反対側の底面と、
前記上面および前記底面の間に延在する側面と
を含み、前記底面の端部には、前記側面から凹んだ段差が形成されており、
前記窒化物半導体装置は、
前記段差に形成され、前記電子供給層および前記ステップ層とは異なる組成を有する窒化物半導体によって構成されたマスク部
をさらに備える、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項12】
窒化物半導体によって構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に形成され、前記電子供給層よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層と、
前記電子供給層上または前記ステップ層上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層と、
前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、
前記電子供給層と接しているソース電極およびドレイン電極と
を備える窒化物半導体装置であって、
前記ステップ層は、平面視において前記ゲート層の外側に延出する延出部を含み、
前記延出部は、アンドープ層によって構成されており、
前記ゲート層は、
前記ゲート電極が形成される上面と、
前記上面とは反対側の底面と、
前記上面および前記底面の間に延在する側面と
を含み、前記底面の端部には、前記側面から凹んだ段差が形成されており、
前記窒化物半導体装置は、
前記段差に形成され、前記電子供給層および前記ステップ層とは異なる組成を有する窒化物半導体によって構成されたマスク部
をさらに備える、窒化物半導体装置。
【請求項13】
前記マスク部は、SiNから形成される、請求項11または12に記載の窒化物半導体装置。
【請求項14】
前記電子走行層は、GaNから形成され、
前記電子供給層は、AlGa1-xNから形成され、
前記ステップ層は、GaNから形成され、
前記ゲート層は、前記アクセプタ型不純物を含むGaNから形成され、
0.1<x<0.3である、請求項1~13のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項15】
前記電子走行層は、GaNから形成され、
前記電子供給層は、AlGa1-xNから形成され、
前記ステップ層は、GaNから形成され、
前記ゲート層は、前記アクセプタ型不純物を含むGaNから形成され、
0.1<x<0.3であり、
前記マスク部は、AlGa1-yNから形成され、x≦y≦1である、請求項11または12に記載の窒化物半導体装置。
【請求項16】
前記ステップ層は、25nm以下の厚さを有する、請求項1~15のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項17】
前記ステップ層は、15nm以下の厚さを有する、請求項1~16のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項18】
前記延出部は、
平面視において前記ゲート層の外側に、前記ソース電極と前記電子供給層とのコンタクトに向かって延出する第1延出部と、
平面視において前記ゲート層の外側に、前記ドレイン電極と前記電子供給層とのコンタクトに向かって延出する第2延出部と
を含み、前記第1延出部は、前記第2延出部よりも小さい幅を有する、請求項1~17のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項19】
前記第1延出部は、0.1μm以上0.3μm以下の幅を有する、請求項18に記載の窒化物半導体装置。
【請求項20】
前記第2延出部は、0.1μm以上0.8μm以下の幅を有する、請求項18または請求項19に記載の窒化物半導体装置。
【請求項21】
前記ステップ層は、1×1018cm-3以下の濃度のアクセプタ型不純物を含む、請求項1~20のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項22】
前記ゲート層は、1×1019cm-3以上3×1019cm-3以下の濃度のアクセプタ型不純物を含む、請求項1~21のうちのいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項23】
窒化物半導体によって構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、
前記電子供給層上の一部に形成され、前記電子供給層よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層と、
前記電子供給層上または前記ステップ層上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層と、
前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、
前記電子供給層と接しているソース電極およびドレイン電極と
を備え、
前記ステップ層は、平面視において前記ゲート層の外側に延出する延出部を含み、
前記延出部は、アンドープ層によって構成されており、
前記電子走行層は、凹部を含み、前記ゲート層は、平面視において、前記凹部と同じ領域に形成されている、窒化物半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、窒化物半導体をアクティブ領域の主材料に用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)が提案されており、パワーデバイスへの応用が展開しつつある。窒化物半導体は、III-V族半導体においてV族元素に窒素を用いた半導体である。典型的なシリコンカーバイド(SiC)パワーデバイスと比較すると、窒化物半導体を用いたパワーデバイスは、SiCパワーデバイスと同様に低オン抵抗の特徴を有することに加えて、SiCパワーデバイスよりも高速・高周波動作可能なデバイスとして認知されている。
【0003】
HEMT等のパワートランジスタでは、フェールセーフの観点から、ゲート電圧が印加されていないゼロバイアス時にソース-ドレイン間の電流経路(チャネル)を遮断するノーマリーオフ動作が求められる。特許文献1は、ノーマリーオフ型のパワートランジスタを実現する窒化物半導体装置を記載している。
【0004】
特許文献1に記載された窒化物半導体装置では、電子走行層とも呼ばれる窒化ガリウム(GaN)層と、電子走行層の上に積層され、電子供給層とも呼ばれる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層とがヘテロ接合されている。この電子走行層と電子供給層との間のヘテロ接合界面付近の位置においてGaN層に2次元電子ガス(2DEG)がチャネルとして形成されており、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)が、ゲート電極の直下において電子供給層の上に設けられている。このp型GaN層に含まれるアクセプタ型不純物の存在により、ゲート電極の直下の領域における電子走行層のチャネルが消失することで、ノーマリーオフ動作が実現される。そして、ゲート電極に適切なオン電圧を印加することで、ゲート電極の直下の領域における電子走行層にチャネルが誘起されて、ソース-ドレイン間が導通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-73506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような特許文献1の構造では、ゲート電極とp型GaN層とがショットキー接合されて両者の界面にエネルギー障壁が形成されており、このエネルギー障壁と、電子供給層のエネルギー障壁とによりゲート耐圧が保たれている。しかしながら、このような構造におけるゲート電極への大きな正のバイアスの印加は、ゲートリーク電流の増加を引き起こし得る。例えば寄生インダクタンスの影響などの何らかの外的要因によりゲート電極に過剰な正バイアスが印加されると、ゲート電極からp型GaN層内にホールが注入されてp型GaN層と電子供給層との界面に蓄積される。このホール蓄積に起因して、電子供給層のバンドベンディングが生じて電子走行層からp型GaN層への電子供給層を介した電子の移動(電子リーク)が生じる。このような電子リークは、ゲートリーク電流を増大させ、ゲート耐圧を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による窒化物半導体装置は、窒化物半導体によって構成された電子走行層と、前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、前記電子供給層上の一部に形成され、前記電子供給層よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層と、前記電子供給層上または前記ステップ層上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層と、前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、前記電子供給層と接しているソース電極およびドレイン電極とを備えている。前記ステップ層は、平面視において前記ゲート層の外側に延出する延出部を含み、前記延出部は、アンドープ層によって構成されている。
【0008】
この構成によれば、アンドープ層によって構成された延出部が、平面視においてゲート層の外側に延出している。このため、延出部直下の領域における2次元電子ガスの空乏化を抑制しつつ、ステップ層と電子供給層との間の界面におけるホール密度が低減される。したがって、窒化物半導体装置において、オン抵抗の上昇を抑制しつつ、ゲートリーク電流を低減してゲート耐圧を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の窒化物半導体装置によれば、ゲートリーク電流を低減してゲート耐圧を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図2図1の窒化物半導体装置の部分拡大断面図である。
図3図1の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図4図3に続く製造工程を示す概略断面図である。
図5図4に続く製造工程を示す概略断面図である。
図6図5に続く製造工程を示す概略断面図である。
図7図6に続く製造工程を示す概略断面図である。
図8図7に続く製造工程を示す概略断面図である。
図9図8に続く製造工程を示す概略断面図である。
図10図9に続く製造工程を示す概略断面図である。
図11】第2実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図12図11の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図13】第3実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図14】第4実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図15図14の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図16】第5実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図17】第6実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図18図17の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図19図18に続く製造工程を示す概略断面図である。
図20図19に続く製造工程を示す概略断面図である。
図21図20に続く製造工程を示す概略断面図である。
図22図21に続く製造工程を示す概略断面図である。
図23図22に続く製造工程を示す概略断面図である。
図24図23に続く製造工程を示す概略断面図である。
図25】第7実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図26図25の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図27図26に続く製造工程を示す概略断面図である。
図28図27に続く製造工程を示す概略断面図である。
図29図28に続く製造工程を示す概略断面図である。
図30図29に続く製造工程を示す概略断面図である。
図31図30に続く製造工程を示す概略断面図である。
図32図31に続く製造工程を示す概略断面図である。
図33図32に続く製造工程を示す概略断面図である。
図34図33に続く製造工程を示す概略断面図である。
図35図34に続く製造工程を示す概略断面図である。
図36】第8実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置の概略断面図である。
図37図1の窒化物半導体装置の例示的な形成パターンを示す概略平面図である。
図38図37のF38-F38線に沿ったアクティブ領域の概略断面図である。
図39図37のF39-F39線に沿った非アクティブ領域の概略断面図である。
図40図1の窒化物半導体装置の別の例示的な形成パターンを示す概略平面図である。
図41図40のF41-F41線に沿った非アクティブ領域の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示における窒化物半導体装置の実施形態を説明する。
なお、図面における構成要素は、分かり易さおよび明瞭化のために部分的に拡大されている場合があり、必ずしも実際の縮尺どおりに描かれているわけではない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置10の概略断面図である。なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、図1に示される互いに直交するXYZ軸のZ軸方向に窒化物半導体装置10を視ることをいう。また、図1に示される窒化物半導体装置10において、+Z方向を上、-Z方向を下、+X方向を右、-X方向を左と定義する。特に断りが無い場合、「平面視」とは、窒化物半導体装置10をZ軸に沿って上方から視ることを指す。
【0013】
この窒化物半導体装置10は、窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)であり、基板12と、基板12上に形成されたバッファ層14と、バッファ層14上に形成された電子走行層16と、電子走行層16上に形成された電子供給層18とを含む。
【0014】
基板12には、例えばシリコン基板を用いることができる。例えば、0.001Ωmm以上0.5Ωmm以下(または0.01Ωmm以上0.1Ωmm以下)の電気抵抗率を有するp型シリコン基板を基板12に用いることができる。あるいは、シリコン基板に代えて、サファイア基板、シリコンカーバイド(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板等を用いることもできる。基板12の厚さは、例えば200μm以上700μm以下とすることができる。
【0015】
バッファ層14は、1つまたは複数の窒化物半導体膜で構成されている。例えば、バッファ層14は、窒化アルミニウム(AlN)膜、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)膜、および異なるアルミニウム(Al)組成を有するAlGaN複合膜(以下、グレーデッドAlGaN層という)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、バッファ層14は、AlNの単膜、AlGaNの単膜、AlGaN/GaN超格子構造を有する膜、AlN/AlGaN超格子構造を有する膜、またはAlN/GaN超格子構造を有する膜によって構成されてもよい。
【0016】
第1実施形態では、バッファ層14は、基板12上に形成されたAlN層を第1バッファ層とし、AlN層上に形成されたグレーデッドAlGaN層を第2バッファ層とした多層バッファ層である。この場合、第1バッファ層の厚さは、例えば80nm以上500nm以下とすることができる。第2バッファ層は、例えば、第1バッファ層に近い側から順にAl組成が75%、50%、25%の3つのAlGaN層からなるグレーデッドAlGaN層とすることができる。第2バッファ層の厚さ(3つのAlGaN層の合計厚さ)は、例えば、300nm以上1μm以下とすることができる。なお、グレーデッドAlGaN層は、任意の適切な層数のAlGaN層を含むことができる。また、グレーデッドAlGaN層における各AlGaN層の厚さは同じでもよいし異なっていてもよい。なお、バッファ層14におけるリーク電流を抑制するために、バッファ層14の一部に不純物を導入してバッファ層14の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。その場合、不純物は、例えば炭素(C)または鉄(Fe)であり、不純物の濃度は、例えば4×1016cm-3以上とすることができる。
【0017】
電子走行層16は、窒化物半導体によって構成されており、第1実施形態ではGaN層である。電子走行層16の厚さは、例えば、0.5μm以上2μm以下とすることができる。なお、電子走行層16におけるリーク電流を抑制するために、電子走行層16の一部に不純物を導入して電子走行層16の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。その場合、不純物は、例えばCであり、不純物の濃度は、例えば4×1016cm-3以上とすることができる。
【0018】
電子供給層18は、電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されており、第1実施形態ではAlGaN層である。窒化物半導体では、Al組成が高いほどバンドギャップが大きくなる。このため、AlGaN層である電子供給層18は、GaN層である電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有している。例えば、第1実施形態では、電子供給層18は、AlGa1-xNによって構成され、xは0<x<0.4であることが好ましく、より好ましくは、0.1<x<0.3である。電子供給層18の厚さは、例えば5nm以上20nm以下とすることができる。
【0019】
電子走行層16と電子供給層18とはバルク領域では格子定数が異なっており、互いの関係は格子不整合系のヘテロ接合である。電子走行層16および電子供給層18の自発分極と、電子供給層18のヘテロ接合部が受ける圧縮応力に起因するピエゾ分極とによって、電子走行層16と電子供給層18との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、電子走行層16と電子供給層18とのヘテロ接合界面に近い位置(例えば、界面から数nm程度の距離)において電子走行層16内には2次元電子ガス(2DEG)20が広がっている。
【0020】
窒化物半導体装置10はさらに、電子供給層18上の一部に形成され、電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層22と、ステップ層22上に形成された第1パッシベーション層24とを含む。また、窒化物半導体装置10は、電子供給層18上またはステップ層22上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層26と、ゲート層26上に形成されたゲート電極28とを含む。第1実施形態では、ゲート層26は、ステップ層22上の一部に形成されている。また、窒化物半導体装置10は、第2パッシベーション層30と、第2パッシベーション層30を貫通して電子供給層18と接しているソース電極32およびドレイン電極34を含む。
【0021】
第2パッシベーション層30は、電子供給層18の上面の一部をソースコンタクト18Aおよびドレインコンタクト18Bとしてそれぞれ露出させるソースコンタクトホール30Aおよびドレインコンタクトホール30Bを含み、ソース電極32およびドレイン電極34はそれぞれ、ソースコンタクトホール30Aおよびドレインコンタクトホール30Bを介して2DEG20にオーミック接触するように電子供給層18に接合されている。窒化物半導体装置10をZX面の断面で見た場合、ソースコンタクト18A、ステップ層22、およびドレインコンタクト18Bは、X方向に並んでいる。したがって、ソースコンタクト18Aは、ステップ層22に対して-X方向に位置しており、ドレインコンタクト18Bは、ステップ層22に対して+X方向に位置している。図示は省略するが、ソース電極32は、基板12に電気的に接続されている。
【0022】
ステップ層22は、電子供給層18上の一部に形成され、電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されている。ステップ層22は、第1実施形態ではGaN層である。したがって、GaN層であるステップ層22は、AlGaN層である電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有している。ステップ層22は、アンドープ層である。本開示において使用される「アンドープ層」という用語は、不純物が意図的に導入されていない層として定義される。しかしながら、窒化物半導体装置10の形成過程において、ステップ層22に意図せず不純物が混入する場合もある。例えば、ステップ層22は、1×1018cm-3以下の濃度のアクセプタ型不純物を含み得る。ステップ層22は、ソースコンタクト18Aと、ドレインコンタクト18Bとの間に、その両方から離間して配置されている。ステップ層22は、ドレインコンタクトホール30Bよりもソースコンタクトホール30A寄りに偏って配置されている。平面視においてステップ層22とドレインコンタクト18Bとの間の距離は、ゲート-ドレイン間耐圧を維持する観点により定めることができる。一例においては、ステップ層22は、平面視においてソースコンタクト18Aから例えば0.5μm以上離間し、平面視においてドレインコンタクト18Bから例えば3.0μm以上離間している。
【0023】
ステップ層22は、ソース側延出部22Aと、ドレイン側延出部22Bと、ベース部22Cとを含む。第1実施形態では、ソース側延出部22Aが「第1延出部」に対応し、ドレイン側延出部22Bが「第2延出部」に対応する。
【0024】
ベース部22Cは、図1のX軸に沿った方向において、ソース側延出部22Aとドレイン側延出部22Bとの間に位置している。ただし、ベース部22Cと各延出部22A,22Bとの間に物理的な境界はない。ベース部22Cは、ゲート層26の直下の領域に位置するステップ層22の部分として定義されるものであり、したがって、ゲート層26と同じ幅を有している。なお、特に断りがない場合、本開示において使用される「幅」とは、図1のX軸に沿った長さと定義される。
【0025】
ソース側延出部22Aは、ベース部22Cに隣接しており、ベース部22Cとの境界から-X方向においてソースコンタクト18Aに向かって延びるステップ層22の一部である。ドレイン側延出部22Bは、ベース部22Cに隣接しており、ベース部22Cとの境界から+X方向においてドレインコンタクト18Bに向かって延びるステップ層22の一部である。したがって、ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bは、平面視においてゲート層26の外側に延出している。ドレイン側延出部22Bの幅W2は、ソース側延出部22Aの幅W1と同じか、またはそれよりも大きい(W1,W2については図2を参照)。
【0026】
例えば、ソース側延出部22Aの幅W1およびドレイン側延出部22Bの幅W2を広くすると、ゲート耐圧向上が期待できる。しかしながら、それによるトレードオフとして、(1)ソース側延出部22Aがソースコンタクト18Aの近傍まで延在している場合、ゲート-ソース間リークが増大する可能性があること、(2)ドレイン側延出部22Bが後述するソースフィールドプレート長よりも長く延在している場合、ソースフィールドプレート長から空乏層を伸長させる効果が薄れることが考えられる。各延出部22A,22Bの幅は、これらのトレードオフを考慮して定めることができる。例えば、ソース側延出部22Aの幅W1は、0.1μm以上0.3μm以下であり、ドレイン側延出部22Bの幅W2は、0.1μm以上0.8μm以下である。第1実施形態では、ソース側延出部22Aの幅W1は約0.2μmであり、ドレイン側延出部22Bの幅W2は約0.6μmである。好ましくは、ソース側延出部22Aは、ゲート層26よりも小さい幅を有し、ドレイン側延出部22Bは、ゲート層26よりも大きい幅を有することができる。一例において、ソース側延出部22Aの幅W1は、ゲート層26の幅の約0.4倍であり、ドレイン側延出部22Bの幅W2は、ゲート層26の幅の約1.2倍である。
【0027】
ソース側延出部22Aの上面は、その幅W1全体にわたり第1パッシベーション層24によって覆われている。このため、ソース側延出部22Aは、第1パッシベーション層24によってプロセスダメージから保護されて、均一の厚さに維持される。同様に、ドレイン側延出部22Bの上面は、その幅W2全体にわたり第1パッシベーション層24によって覆われている。このため、ドレイン側延出部22Bは、第1パッシベーション層24によってプロセスダメージから保護されて、均一の厚さに維持される。
【0028】
ソース側延出部22Aの厚さおよびドレイン側延出部22Bの厚さは、ベース部22Cの厚さと同じである。すなわち、ステップ層22の厚さは、ソース側延出部22A、ドレイン側延出部22B、およびベース部22Cのすべてにおいて一定である。ステップ層22は、例えば、10nm以上30nm以下の厚さを有することができる。第1実施形態では、ステップ層22の厚さは、25nm以下、好ましくは15nm以下である。
【0029】
第1パッシベーション層24は、例えば、二酸化シリコン(SiO)層または窒化シリコン(SiN)層から形成することができる。第1パッシベーション層24は、第1実施形態ではSiO層である。第1パッシベーション層24は、平面視においてゲート層26と同じ領域に、第1パッシベーション層24を貫通する開口部24Aを有している。したがって、第1パッシベーション層24は、ステップ層22のソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22B上には形成されているが、ゲート層26の直下に位置するベース部22C上には形成されていない。第1パッシベーション層24は、第1実施形態では、ステップ層22の各延出部22A,22B上に形成されているが、ゲート層26の上面には形成されていない。
【0030】
第1パッシベーション層24は、例えば30nm以上200nm以下の厚さを有することができる。第1実施形態では、第1パッシベーション層24の厚さはステップ層22の厚さよりも大きく、例えば約50nmである。ただし、これに限られず、両者の厚さは同じでもよいし、ステップ層22の厚さが第1パッシベーション層24の厚さよりも大きくてもよい。
【0031】
ゲート層26は、窒化物半導体によって構成されており、第1実施形態では、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)である。p型GaN層であるゲート層26は、AlGaN層であるステップ層22よりも小さなバンドギャップを有している。ゲート層26は、ステップ層22上の一部に形成されている。ゲート層26は、平面視において、第1パッシベーション層24の開口部24Aと同じ領域に形成されている。ゲート層26は、台形状、矩形状またはリッジ状の断面を有する。ゲート層26は、例えば、0.4μm以上1μm以下の幅を有することができる。第1実施形態では、ゲート層26の幅(例えば、底部幅)は、約0.5μmである。前述のように、ゲート層26は、ステップ層22のベース部22Cと同じ幅を有する。
【0032】
ゲート層26は、例えば、100nm以上140nm以下の厚さを有することができる。ゲート層26の厚さは、例えば約110nmである。ゲート層26の厚さは、ステップ層22の厚さよりも大きい。好ましくは、ゲート層26の厚さは、ステップ層22の厚さの4倍以上とすることができる。
【0033】
ゲート層26にドーピングされるアクセプタ型不純物の濃度は、1×1019cm-3以上3×1019cm-3以下とすることができる。例えば、第1実施形態では、アクセプタ型不純物は、平均濃度が約2×1019cm-3のマグネシウム(Mg)である。ただし、アクセプタ型不純物は、Mgに代えて、あるいはMgに加えて、亜鉛(Zn)および炭素(C)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。ゲート層26は、ゲート層26の直下の領域において、電子走行層16に形成された2DEG20を空乏化するために設けられている。
【0034】
図2は、図1の窒化物半導体装置10の部分拡大断面図である。前述のように、ステップ層22はアンドープ層として形成されているが、ステップ層22のベース部22Cは、図2のドットハッチングで示されるように、ゲート層26から拡散したアクセプタ型不純物をわずかに含んでいる可能性がある。例えば、第1実施形態では、ベース部22Cは、ゲート層26から拡散したMgを含み得る。ステップ層22に含まれ得るアクセプタ型不純物の濃度は、多くとも1018cm-3のオーダーであり、ゲート層26にドーピングされるアクセプタ型不純物の濃度よりも低い。ステップ層22をアンドープ層として形成して、ステップ層22に含まれるアクセプタ型不純物の濃度を十分に低くすることにより、ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bの直下における2DEG20の空乏化を抑制することができる。その結果、窒化物半導体装置10のオン抵抗の上昇を防ぐことができる。
【0035】
再び図1を参照すると、ゲート電極28が、ゲート層26上に形成されている。図1においては、ゲート電極28はゲート層26上の一部に形成されているが、これに限定されず、ゲート電極28は、ゲート層26の上面全体に形成されていてもよい。ゲート電極28およびゲート層26は、ショットキー接合を形成している。ゲート電極28は、1つまたは複数の金属層によって構成されており、例えば、第1実施形態では窒化チタン(TiN)層である。あるいは、ゲート電極28は、Tiからなる第1金属層と、第1金属層上に設けられTiNからなる第2金属層とによって構成されてもよい。ゲート電極28の厚さは、例えば、50nm以上300nm以下とすることができる。
【0036】
第2パッシベーション層30は、電子供給層18、ステップ層22、ゲート層26、およびゲート電極28を覆っている。第2パッシベーション層30は、例えば、SiN膜、SiO膜、酸窒化シリコン(SiON)膜、アルミナ(Al)膜、AlN膜、および酸窒化アルミニウム(AlON)膜のうちのいずれか1つの単膜か、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせからなる複合膜によって構成することができる。例えば、第1実施形態では、第2パッシベーション層30はSiN層である。第1実施形態では、第2パッシベーション層30は、電子供給層18の一部の上面と、ステップ層22の側面と、第1パッシベーション層24の側面および上面と、ゲート層26の側面および上面と、ゲート電極28の側面および上面とを直接的に覆っている。
【0037】
ソース電極32およびドレイン電極34は、1つまたは複数の金属層によって構成されている。ソース電極32は、ソース電極部32Aと、ソース電極部32Aに連続するソースフィールドプレート部32Bとを含む。
【0038】
ソース電極部32Aは、ソースコンタクトホール30Aに充填された充填領域と、充填領域と一体に形成され、平面視においてソースコンタクトホール30Aの周辺領域およびゲート電極28の上方の領域に位置する上部領域とを含む。ソースフィールドプレート部32Bは、ソース電極部32Aの上部領域と一体に形成され、平面視において、ステップ層22を覆うように第2パッシベーション層30上に設けられている。ソースフィールドプレート部32Bは、ドレイン電極34の近傍に端部32Cを有しており、この端部32Cは、平面視においてドレイン電極34とステップ層22との間に位置している。図1のX軸に沿った方向においてゲート層26の端部からソースフィールドプレート部32Bの端部32Cまでの距離(ソースフィールドプレート部32Bの長さ)は、ソースフィールドプレート長と定義される。ソースフィールドプレート部32Bは、ゲート電極28にゲート電圧が印加されていないゼロバイアス時に、ソースフィールドプレート部32Bの直下の領域に空乏層を伸ばし、ゲート電極28の端部近傍の電界集中を緩和する役割を果たす。なお、ソースフィールドプレート部32Bによる効果を高めるために、ステップ層22のドレイン側延出部22Bの幅W2は、ソースフィールドプレート長以下の値に設定されている。
【0039】
(製造方法)
次に、図1の窒化物半導体装置10の製造方法を説明する。
図3図10は、窒化物半導体装置10の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、図3図10では、理解を容易にするために、窒化物半導体装置10の最終的な構成要素を含む部材もしくはそれに対応する部材に対して、図1の参照符号を括弧書きで一部示している。
【0040】
図3に示すように、例えばSi基板である基板12上に、バッファ層14、第1窒化物半導体層52、第2窒化物半導体層54、および第3窒化物半導体層56が順に形成される。バッファ層14、第1窒化物半導体層52、第2窒化物半導体層54、および第3窒化物半導体層56は、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いてエピタキシャル成長させることができる。
【0041】
詳細な図示は省略するが、例えば、第1実施形態では、バッファ層14は多層バッファ層であり、基板12上にAlN層(第1バッファ層)が形成された後、AlN層上にグレーテッドAlGaN層(第2バッファ層)が形成される。グレーテッドAlGaN層は、例えば、AlN層に近い側から順にAl組成を75%、50%、25%とした3つのAlGaN層を積層することによって形成される。
【0042】
窒化物半導体装置10の製造方法は、第1窒化物半導体層52を形成すること、および第2窒化物半導体層54を形成することを含む。第1実施形態では、バッファ層14上に第1窒化物半導体層52としてGaN層が形成され、第1窒化物半導体層52上に第2窒化物半導体層54としてAlGaN層が形成される。第2窒化物半導体層54は、第1窒化物半導体層52よりも大きなバンドギャップを有する。第1窒化物半導体層52は図1の電子走行層16に対応し、第2窒化物半導体層54は図1の電子供給層18に対応する。
【0043】
窒化物半導体装置10の製造方法は、第2窒化物半導体層54上に、第2窒化物半導体層54よりも小さなバンドギャップを有する第3窒化物半導体層56を形成することを含む。これにより、第2窒化物半導体層54上に第3窒化物半導体層56としてGaN層が形成される。
【0044】
図4は、図3に続く製造工程を示す概略断面図である。図4に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、第3窒化物半導体層56上に第1誘電体層58を形成すること、および第1誘電体層58に開口部58Aを形成することを含む。第1実施形態では、開口部58Aが「第1開口部」に対応する。これにより、第3窒化物半導体層56上に、開口部58Aを有する第1誘電体層58が形成される。
【0045】
例えば、第1実施形態では、第1誘電体層58は、プラズマCVD法により形成されたSiO層である。第1誘電体層58が第3窒化物半導体層56上に形成された後、リソグラフィおよびエッチングにより第1誘電体層58が選択的に除去されて、第1誘電体層58を貫通する開口部58Aが形成される。第1誘電体層58は、開口部58Aが形成される領域以外の第1誘電体層58の表面にマスクを形成し、例えばフッ酸(HF)を含むエッチング液を用いてウェットエッチングを行うことによりパターニングすることができる。
【0046】
図5は、図4に続く製造工程を示す概略断面図である。図5に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、平面視において開口部58Aと同じ領域内であって、第2窒化物半導体層54上または第3窒化物半導体層56上に、アクセプタ型不純物を含む第4窒化物半導体層60を形成することを含む。第1実施形態では、第4窒化物半導体層60が、開口部58Aによって露出された第3窒化物半導体層56の上に形成される。第4窒化物半導体層60は、図1のゲート層26に対応する。
【0047】
例えば、第1実施形態では、p型GaN層である第4窒化物半導体層60が、MOCVD法によりエピタキシャル成長される。エピタキシャル成長は、下地の材料と成長する膜の材料との間の格子定数の差が比較的小さい場合に可能である。したがって、第4窒化物半導体層60(例えば、p型GaN層)は、実質的に同じ格子定数を有する第3窒化物半導体層56(例えば、GaN層)上にはエピタキシャル成長するが、相対的に異なる格子定数を有する第1誘電体層58(例えば、SiO層)上にはエピタキシャル成長しない。したがって、第4窒化物半導体層60を、開口部58A内に露出された第3窒化物半導体層56上に選択的に成長させることができる。
【0048】
図6は、図5に続く製造工程を示す概略断面図である。窒化物半導体装置10の製造方法は、第4窒化物半導体層60上にゲート電極28を形成することを含む。
詳細には、図6に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、第1誘電体層58および第4窒化物半導体層60の露出した表面全体を覆うように金属層62を形成することを含む。第1実施形態では、例えば、金属層62としてTiN層がスパッタ法によって形成される。
【0049】
図7は、図6に続く製造工程を示す概略断面図である。図7に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、金属層62を選択的に除去することを含む。金属層62が、リソグラフィおよびエッチングにより選択的に除去されることにより、図1のゲート電極28が形成される。ゲート電極28は、ゲート層26上に形成される。このとき、第3窒化物半導体層56は、第1誘電体層58により覆われているため、例えばプラズマ曝露などによるプロセスダメージから保護されている。
【0050】
図8は、図7に続く製造工程を示す概略断面図である。図8に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、第1誘電体層58と第3窒化物半導体層56とを選択的に除去することを含む。これにより、図1の第1パッシベーション層24およびステップ層22が形成される。
【0051】
例えば、第1パッシベーション層24およびステップ層22に対応する領域にマスクが形成され、このマスクを用いたエッチング(例えば、Cl、SiCl、CF、およびOのうちの少なくとも1つを用いたドライエッチング)により、第1誘電体層58および第3窒化物半導体層56が順にパターニングされる。その後、マスクが剥離される。
【0052】
第1誘電体層58および第3窒化物半導体層56のエッチング工程は、複数のエッチング工程を含んでもよい。例えば、第1エッチング工程で第1誘電体層58のエッチングが行われ、第2エッチング工程で第3窒化物半導体層56のエッチングが行われる。この場合、第1エッチング工程のエッチング条件は、第1誘電体層58および第3窒化物半導体層56の全体のエッチング時間を短縮する観点から選択される一方、第2エッチング工程のエッチング条件は、第3窒化物半導体層56が第2窒化物半導体層54よりも高いエッチングレートでエッチングされるように決定される。例えば、第2エッチング工程では、第3窒化物半導体層56と第2窒化物半導体層54との間のエッチング選択比が少なくとも10以上、好ましくは20以上となるようにエッチング条件が決定される。これにより、第3窒化物半導体層56のエッチング工程における、第2窒化物半導体層54(電子供給層18)の望ましくないエッチングが抑制される。
【0053】
ここで、第1誘電体層58および第3窒化物半導体層56のエッチング工程は、平面視において第4窒化物半導体層60の外側に延出するソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bが形成されるように第3窒化物半導体層56を選択的にエッチングする工程である。これにより、ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bを含むステップ層22が形成される。
【0054】
図9は、図8に続く製造工程を示す概略断面図である。図9に示すように、窒化物半導体装置10の製造方法は、第2誘電体層64を形成することを含む。これにより、第2誘電体層64が、ステップ層22、第1パッシベーション層24、ゲート層26、ゲート電極28、および第2窒化物半導体層54の露出した表面全体を覆うように形成される。
【0055】
例えば、第1実施形態では、第2誘電体層64としてSiN層が減圧CVD(Low-Pressure Chemical Vapor Deposition:LPCVD)法により形成され、ステップ層22、第1パッシベーション層24、ゲート層26、ゲート電極28、および第2窒化物半導体層54の表面を覆う。プラズマCVD法ではなくLPCVD法を用いることにより、第2誘電体層64の成膜時にエッチング表面がプラズマに曝露されるのを抑制し、その結果、プロセスダメージを低減することができる。第2誘電体層64は、図1の第2パッシベーション層30に対応する。
【0056】
図10は、図9に続く製造工程を示す概略断面図である。窒化物半導体装置10の製造方法は、第2窒化物半導体層54と接するソース電極32およびドレイン電極34を形成することを含む。この電極形成工程は、図10に示すように、第2誘電体層64を貫通するコンタクトホール64A,64Bを形成することを含む。第1実施形態では、例えば、電子供給層18の上面の一部をソースコンタクト18Aおよびドレインコンタクト18Bとしてそれぞれ露出させるソースコンタクトホール30Aおよびドレインコンタクトホール30Bが第2誘電体層64に形成される。第2誘電体層64、コンタクトホール64A、およびコンタクトホール64Bは、図1の第2パッシベーション層30、ソースコンタクトホール30A、およびドレインコンタクトホール30Bにそれぞれ対応する。電極形成工程は、さらに、コンタクトホール64A,64Bを充填し、かつ第2誘電体層64の露出した表面全体を覆う金属層を形成すること、この金属層をリソグラフィおよびエッチングによってパターニングすることを含む。これにより、図1のソース電極32およびドレイン電極34が形成される。以上の工程によって、図1の窒化物半導体装置10が得られる。
【0057】
以下、第1実施形態の窒化物半導体装置10の作用について説明する。
第1実施形態の窒化物半導体装置10においては、ゲート電極28の下にはp型GaN層からなるゲート層26が位置している。この構成によれば、ゲート層26に含まれるアクセプタ型不純物によって、電子走行層16および電子供給層18のエネルギーレベルが引き上げられる。このため、ゲート層26の直下の領域においては、電子走行層16と電子供給層18との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位とほぼ同じか、またはそれよりも大きくなる。したがって、ゲート電極28に電圧を印加していないゼロバイアス時において、ゲート層26の直下の領域における電子走行層16には、2DEG20は形成されない。一方、ゲート層26の直下の領域以外の領域における電子走行層16には、2DEG20が形成されている。これにより、ノーマリーオフ動作が実現される。そして、ゲート電極28に適切なオン電圧が印加されると、ゲート電極28の直下の領域における電子走行層16にチャネルが形成されて、ソース-ドレイン間が導通する。
【0058】
ゲート電極28に正のバイアスが印加された場合、ゲート電極28からゲート層26にホールが注入される。窒化物半導体装置10には、ステップ層22が設けられているため、注入されたホールを、ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bを含むステップ層22に分散させることができる。これにより、ステップ層22と電子供給層18との間の界面におけるホール密度が、各延出部22A,22Bを設けない場合と比較して低減される。この結果、ホールの蓄積による電子供給層18のバンドベンディングが抑制され、電子走行層16からゲート層26への電子の移動、すなわちゲートリーク電流が抑制される。
【0059】
ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bは、アンドープ層として形成されている。したがって、延出部22A,22Bに含まれるアクセプタ型不純物の濃度は十分に低く、その結果、延出部22A,22Bによる2DEG20の空乏化を抑制することができる。これは、延出部22A,22Bの直下の領域での2DEGの不必要な空乏化が抑制されることを意味する。
【0060】
トランジスタのオフ状態において、ドレイン-ソース間に高電圧が印加されると、トランジスタ内部の結晶欠陥や層界面、例えば、電子走行層内、または電子供給層表面に電子がトラップされ、それらの電子が2次元電子ガスの発生を阻害する。この場合、次にトランジスタをオン状態にスイッチさせたときにオン抵抗が増大することが知られており、この現象は電流コラプスと呼ばれる。
【0061】
窒化物半導体装置10においては、ゲート層26の下に、ゲート層26よりも広い幅を有するステップ層22が設けられていることにより、ゲート層26近傍の電子供給層18の表面がエッチングガスに曝されることがない。また、ステップ層22の延出部22A,22B上の第1パッシベーション層24の存在により、エッチング表面(エッチングガスに曝された第1パッシベーション層24の表面)と2DEG20との間の物理的距離を、第1パッシベーション層24が存在しない場合に比べて大きくすることもできる。エッチング表面は電子トラップが比較的生じ易い。したがって、ゲート層26近傍のエッチング表面にトラップされた電子による2DEG20への影響を低減することができ、ひいては電流コラプスの発生が抑制される。
【0062】
加えて、窒化物半導体装置10においては、ゲート層26が、第3窒化物半導体層56上に選択的に成長される。したがって、ゲート層26をドライエッチングによりパターニングする必要がなく、その結果、窒化物半導体装置10におけるエッチングダメージの発生が低減される。
【0063】
さらに、ゲート電極28の形成の際に、第3窒化物半導体層56が、第1誘電体層58により覆われている。したがって、第3窒化物半導体層56の一部から形成されるステップ層22におけるプロセスダメージの発生を低減し、かつステップ層22の厚さの制御を精密に行うことができる。
【0064】
第1実施形態は、以下の効果を有する。
(1-1)窒化物半導体装置10は、電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層22を備えている。ステップ層22は、平面視においてゲート層26の外側に延出するソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bを含む。延出部22A,22Bの各々は、アンドープ層によって構成されている。この構成によれば、ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22B直下の領域における2DEG20の空乏化を抑制しつつ、ステップ層22と電子供給層18との間の界面でのホール密度が低減される。これにより、ホールの蓄積による電子供給層18のバンドベンディングが抑制され、電子走行層16からゲート層26への電子の移動が妨げられる。したがって、窒化物半導体装置において、オン抵抗の上昇を抑制しつつ、ゲートリーク電流を低減して、ゲート耐圧を向上させることができる。
【0065】
(1-2)窒化物半導体装置10は、ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22B上に形成された第1パッシベーション層24を備えている。この構成によれば、ゲート電極28の形成の際に、ステップ層22に対応する第3窒化物半導体層56が、第1パッシベーション層24に対応する第1誘電体層58により覆われている。これにより、プロセスダメージによる電流コラプスの発生を防ぐことにより、ドレイン-ソース間電圧ストレスに対する信頼性を向上させることができる。
【0066】
(1-3)窒化物半導体装置10は、ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22B上に形成された第1パッシベーション層24を備えている。この構成によれば、ゲート電極28の形成の際に、ステップ層22に対応する第3窒化物半導体層56が、第1パッシベーション層24に対応する第1誘電体層58により覆われている。これにより、ステップ層22の厚さの制御を精密に行うことができ、窒化物半導体装置10の製造における歩留まりを改善することができる。
【0067】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置100の概略断面図である。図11において、第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同じ符号が付されており、その説明は省略する。
【0068】
第2実施形態の窒化物半導体装置100は、電子供給層18上の一部に形成されたステップ層102と、電子供給層18上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層104とを含む。ステップ層102は、開口部102Cを含む。第1実施形態では、ゲート層26はステップ層22上に形成されていたが、第2実施形態は、ゲート層104が、開口部102C内において電子供給層18の上に形成されているという点で第1実施形態と相違する。
【0069】
第2実施形態のステップ層102は、第1実施形態のステップ層22のソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bに対応するソース側延出部102Aおよびドレイン側延出部102Bと、ステップ層102を貫通する開口部102Cとを含む。開口部102Cは、平面視においてゲート層104と同じ領域に配置されている。開口部102Cは、図11のX軸に沿った方向において、ソース側延出部102Aとドレイン側延出部102Bとの間に位置している。開口部102Cは、第1パッシベーション層24の開口部24Aと連通しており、図11のX軸に沿った方向において、ゲート層104と同じ幅を有している。開口部102Cは、例えば、0.4μm以上1μm以下の幅を有することができる。第2実施形態では、開口部102Cの幅は、約0.5μmである。開口部102Cを含むことを除き、第2実施形態のステップ層102は、第1実施形態のステップ層22と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0070】
ゲート層104は、電子供給層18上の一部に形成されている。ゲート層104は、平面視において、第1パッシベーション層24の開口部24Aおよびステップ層102の開口部102Cと同じ領域に形成されている。第2実施形態のゲート層104は、電子供給層18上に形成されていることを除き、第1実施形態のゲート層26と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0071】
(製造方法)
次に、図11の窒化物半導体装置100の製造方法を説明する。
図12は、窒化物半導体装置100の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、図12では、理解を容易にするために、窒化物半導体装置100の最終的な構成要素を含む部材もしくはそれに対応する部材に対して、図11の参照符号を括弧書きで一部示している。
【0072】
図12は、第1実施形態の図4に示される製造工程の変更例を示すものであり、図3に続く製造工程を示す概略断面図である。図12に示すように、窒化物半導体装置100の製造方法は、第3窒化物半導体層56に、開口部58Aと連通する開口部56Aを形成して、第2窒化物半導体層54の一部を露出させること、開口部56Aによって露出された第2窒化物半導体層54の上に第4窒化物半導体層60を形成することを含む。第1実施形態では、開口部58Aが「第1開口部」に対応し、開口部56Aが「第2開口部」に対応する。詳細には、第3窒化物半導体層56上に第1誘電体層58が形成され、次いで、第1誘電体層58および第3窒化物半導体層56がリソグラフィおよびエッチングにより選択的に除去される。この結果、第1誘電体層58を貫通する開口部58A、および第3窒化物半導体層56を貫通し、かつ開口部58Aと連通する開口部56Aが形成され、開口部58Aおよび開口部56Aを介して第2窒化物半導体層54の一部が露出される。第3窒化物半導体層56は、図11のステップ層102に対応する。
【0073】
その後の製造工程については、第1実施形態と同様の工程を適用することができる。第1実施形態では、第4窒化物半導体層60が、開口部58Aを介して露出された第3窒化物半導体層56の上に選択的に形成されたが(図5参照)、第2実施形態では、第4窒化物半導体層60は、開口部58Aおよび開口部56Aを介して露出された第2窒化物半導体層54上に選択的に形成される。第4窒化物半導体層60は、図11のゲート層104に対応する。
【0074】
なお、第2実施形態では、第4窒化物半導体層60(例えば、p型GaN層)は、相対的に近い格子定数を有する第2窒化物半導体層54(例えば、AlGaN層)上にはエピタキシャル成長するが、相対的に異なる格子定数を有する第1誘電体層58(例えば、SiO層)上にはエピタキシャル成長しない。したがって、第4窒化物半導体層60を、開口部58Aおよび開口部56A内に露出された第2窒化物半導体層54上に選択的に成長させることができる。その後の工程は、図6図10と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
以下、第2実施形態の窒化物半導体装置100の、第1実施形態の窒化物半導体装置10とは異なる作用について説明する。
第2実施形態の窒化物半導体装置100においては、第1実施形態とは異なり、ゲート層104が、電子供給層18の上に直接形成されている。これは、ゲート層104と2DEG20との間の距離が、第1実施形態の場合よりも短いことを意味する。この結果、ゲート層104の直下の領域において、電子走行層16に形成された2DEG20を空乏化するゲート層104の働きが強化される。
【0076】
第2実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(2-1)ゲート層104は、電子供給層18の上に形成されている。この構成によれば、ゲート層104と2DEG20との間の距離が短くなり、窒化物半導体装置100の閾値電圧を高めることができる。
【0077】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置200の概略断面図である。図13において、第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同じ符号が付されており、その説明は省略する。
【0078】
第3実施形態の窒化物半導体装置200は、電子供給層18上の一部に形成されたステップ層202と、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層204とを含む。ステップ層202は、ソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202B、ならびにソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202Bと隣接しているベース部202Cを含む。ゲート層204は、ソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202Bよりも小さい厚さを有するベース部202C上に形成されている。第1実施形態では、ゲート層26は、ソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bと同じ厚さを有するベース部22C上に形成されていたが、第3実施形態は、ゲート層204が、ソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202Bよりも小さい厚さを有するベース部202C上に形成されているという点で第1実施形態と相違する。
【0079】
第3実施形態のステップ層202のソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202Bは、第1実施形態のステップ層22のソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bに対応する。第1実施形態のベース部22Cとは異なり、第3実施形態のベース部202Cは、ソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202Bよりも小さい厚さを有している。これにより、凹部202Dが形成されている。
【0080】
凹部202Dは、第1パッシベーション層24の開口部24Aと連通しており、したがって、図13のX軸に沿った方向において、ゲート層204と同じ幅を有している。第3実施形態のステップ層202は、凹部202Dを有していることを除き、第1実施形態のステップ層22と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0081】
ゲート層204は、ステップ層202のベース部202C上、すなわち、凹部202D上に形成されている。ゲート層204は、平面視において、第1パッシベーション層24の開口部24Aおよびステップ層202のベース部202Cと同じ領域に形成されている。第3実施形態のゲート層204は、ステップ層202の凹部202D上に形成されていることを除き、第1実施形態のゲート層26と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0082】
(製造方法)
次に、図13の窒化物半導体装置200の製造方法を説明する。
窒化物半導体装置200の製造方法は、第3窒化物半導体層56に、開口部58Aと連通する凹部(図13の凹部202Dに対応)を形成すること、当該凹部上に第4窒化物半導体層60を形成することを含む。第3実施形態の窒化物半導体装置200の製造方法は、図12に示される製造工程において、第3窒化物半導体層56を貫通する開口部56Aを形成する代わりに、第3窒化物半導体層56を貫通しない凹部を形成するという点で第2実施形態の窒化物半導体装置100の製造方法と相違している。
【0083】
第3実施形態では、第1実施形態と同様、第4窒化物半導体層60(例えば、p型GaN層)が、実質的に同じ格子定数を有する第3窒化物半導体層56(例えば、GaN層)上にエピタキシャル成長される。その後の製造工程については、図6図10と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
以下、第3実施形態の窒化物半導体装置200の、第1実施形態の窒化物半導体装置10とは異なる作用について説明する。
第3実施形態の窒化物半導体装置200においては、第1実施形態とは異なり、ゲート層204が、ソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202Bよりも小さい厚さを有するベース部202C上に形成されている。これは、ゲート層204と2DEG20との間の距離が、第1実施形態の場合よりも短いことを意味する。この結果、ゲート層204の直下の領域において、電子走行層16に形成された2DEG20を空乏化するゲート層204の働きが強化される。
【0085】
第3実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(3-1)ステップ層202は、ソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202Bよりも小さい厚さを有し、かつソース側延出部202Aおよびドレイン側延出部202Bと隣接しているベース部202Cを含んでおり、ゲート層204は、ベース部202C上に形成されている。この構成によれば、ゲート層204と2DEG20との間の距離が短くなり、窒化物半導体装置200の閾値電圧を高めることができる。
【0086】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置300の概略断面図である。図14において、第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同じ符号が付されており、その説明は省略する。
【0087】
第4実施形態の窒化物半導体装置300は、第1パッシベーション層24を含まないという点において、第1実施形態の窒化物半導体装置10と相違している。したがって、第4実施形態においては、ステップ層22のソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bの上面は、第2パッシベーション層30によって直接覆われている。
【0088】
(製造方法)
次に、図14の窒化物半導体装置300の製造方法を説明する。
図15は、窒化物半導体装置300の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、図15では、理解を容易にするために、窒化物半導体装置300の最終的な構成要素を含む部材もしくはそれに対応する部材に対して、図14の参照符号を括弧書きで一部示している。
【0089】
図15に示すように、窒化物半導体装置300の製造方法は、第1誘電体層58を除去することを含む。第1誘電体層58は、第1パッシベーション層24に対応する。第1実施形態の図8に示される製造工程の後に、ステップ層22上に形成されていた第1パッシベーション層24が除去され、これにより、ステップ層22のソース側延出部22Aおよびドレイン側延出部22Bの上面が露出される。
【0090】
第1実施形態では、ステップ層22は、第1パッシベーション層24を介して第2誘電体層64に覆われていたが(図9参照)、第4実施形態では、ステップ層22は、第2誘電体層64に直接覆われる。その後の製造工程については、図10と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
以下、第4実施形態の窒化物半導体装置300の、第1実施形態の窒化物半導体装置10とは異なる作用について説明する。
第4実施形態の窒化物半導体装置300は、第1実施形態とは異なり、第1パッシベーション層24を含んでいない。これは、ソースフィールドプレート部32Bと、電子走行層16との間の距離が、第1実施形態の場合よりも短いことを意味する。この結果、ソースフィールドプレート部32Bは、第1実施形態と比べて、その直下の電子走行層16の領域により効果的に空乏層を伸ばすことができる。
【0092】
第4実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(4-1)窒化物半導体装置300は、ステップ層22の上の第1パッシベーション層24を含んでいないため、ソースフィールドプレート部32Bから電子走行層16まで空乏層を効果的に伸ばすことができ、第1パッシベーション層24の存在による窒化物半導体装置300のドレイン-ソース間耐圧の低下を抑制することができる。
【0093】
(第5実施形態)
図16は、第5実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置400の概略断面図である。図16において、第2実施形態と同様の構成要素には、第2実施形態と同じ符号が付されており、その説明は省略する。
【0094】
第5実施形態の窒化物半導体装置400は、電子走行層402と、電子走行層402上に形成された電子供給層404と、電子供給層404上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層406とを含む。電子走行層402は、電子供給層404の厚さよりも小さい深さを有する凹部402Aを含み、ゲート層406は、平面視において、凹部402Aと同じ領域に形成されている。第5実施形態は、電子走行層402が、その上面に形成された凹部402Aを有し、凹部402A上に、電子供給層404と、ゲート層406とが順に形成されているという点で、第2実施形態と相違する。
【0095】
第5実施形態の電子走行層402は、その上面に凹部402Aが形成されている。凹部402Aは、平面視において、第1パッシベーション層24の開口部24Aおよびステップ層102の開口部102Cと同じ領域に形成されている。凹部402Aは、2nm以上12nm以下の深さを有することができる。凹部402Aの深さは、電子供給層404の厚さよりも小さい。第5実施形態の電子走行層402は、凹部402Aを有していることを除き、第2実施形態の電子走行層16と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0096】
電子供給層404は、電子走行層402の凹部402A上の第1の部分404Aと、電子走行層402の凹部402Aが形成されていない表面上の第2の部分404Bとを含む。電子供給層404の第1の部分404Aおよび第2の部分404Bは、例えば5nm以上15nm以下の厚さを有することができる。第1の部分404Aは、第2の部分404Bと同じ厚さを有していてもよく、または異なる厚さ有していてもよい。ただし、第1の部分404Aの厚さは、第1の部分404Aが第2の部分404Bと結合されて連続的な層を形成することができるように、電子走行層402の凹部402Aの深さよりも大きい値を有している。さらに、第1の部分404Aの厚さは、電子供給層404が、第1の部分404A上に凹部404Cを有することができるように、電子走行層402の凹部402Aの深さと、第2の部分404Bの厚さとの合計よりも小さな値を有している。第1パッシベーション層24の開口部24Aは、ステップ層102の開口部102Cに連通し、ステップ層102の開口部102Cは、電子供給層404の凹部404Cに連通している。第5実施形態の電子供給層404は、電子走行層402の凹部402A上の第1の部分404Aを含んでいることを除き、第2実施形態の電子供給層18と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。図16のソースコンタクト404Dおよびドレインコンタクト404Eは、図1のソースコンタクト18Aおよびドレインコンタクト18Bにそれぞれ対応する。
【0097】
ゲート層406は、電子供給層404の第1の部分404A上に形成されている。言い換えると、電子供給層404は、平面視において、ゲート層406と同じ領域に形成された第1の部分404Aと、平面視においてゲート層406とは異なる領域に形成された第2の部分404Bとを含む。ゲート層406は、平面視において、第1パッシベーション層24の開口部24A、ステップ層102の開口部102C、および電子供給層404の凹部404Cと同じ領域に形成されている。したがって、ゲート層406は、第1パッシベーション層24およびステップ層102を貫通し、電子供給層404の凹部404Cにまで延在している。第5実施形態のゲート層406は、電子供給層404の凹部404Cにまで延在していることを除き、第2実施形態のゲート層104と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0098】
(製造方法)
次に、図16の窒化物半導体装置400の製造方法を説明する。
窒化物半導体装置400の製造方法は、第3窒化物半導体層56および第2窒化物半導体層54を貫通するように選択的にエッチングして、第1窒化物半導体層52の一部を露出させること、露出された第1窒化物半導体層52をエッチングして凹部(図16の電子走行層402の凹部402Aに対応)を形成すること、凹部上に第2窒化物半導体層54を再成長させること、再成長させた第2窒化物半導体層54上に第4窒化物半導体層60を形成することを含む。
【0099】
詳細には、窒化物半導体装置400の製造方法は、図12に示される製造工程において第3窒化物半導体層56を貫通する開口部56Aを形成することに加えて、第2窒化物半導体層54(図16の電子供給層404に対応)を貫通する開口部(図示略)と、第1窒化物半導体層52上の凹部(図16の電子走行層402の凹部402Aに対応)を形成することを含んでいる。
【0100】
次いで、電子供給層404およびゲート層406が、電子走行層402の凹部402A上に順に形成される。この工程において形成される電子供給層404が、図16の第1の部分404Aに相当する。例えば、第5実施形態では、AlGaN層である電子供給層404の第1の部分404Aと、p型GaN層であるゲート層406とが、MOCVD法によりエピタキシャル成長される。
【0101】
上記の工程において、第2窒化物半導体層54は、選択的にエッチングされた後、再び凹部402A上に形成されている。したがって、第2窒化物半導体層54は、凹部402A上に再成長されているということができる。再成長させた第2窒化物半導体層54は、電子供給層404の第1の部分404Aに対応する。その後の工程は、図6図10と同様であるため、説明を省略する。
【0102】
以下、第5実施形態の窒化物半導体装置400の、第2実施形態の窒化物半導体装置100とは異なる作用について説明する。
第5実施形態の窒化物半導体装置400は、第1実施形態とは異なり、電子走行層402に凹部402Aが形成され、凹部402A上に、電子供給層404の第1の部分404Aが再成長されている。また、第1の部分404A上にゲート層406が形成されている。このように、ゲート層406直下の電子供給層404(第1の部分404A)は再成長された層であるため、第1の部分404Aの成長条件は、電子供給層404の第2の部分404Bの成長条件とは異なるものとすることができる。例えば、第2の部分404Bの成長においては、窒化物半導体装置400のオン抵抗の低減を実現するような成長条件を選択し、第1の部分404Aの再成長においては、窒化物半導体装置400のノーマリーオフ動作を実現するような成長条件を選択することができる。異なる成長条件を用いることにより、例えば、電子供給層404の第1の部分404Aは、第2の部分404Bとは異なる組成のAlGaNから形成されることができ、あるいは異なる厚さを有することができる。一例では、電子供給層404の第1の部分404Aは、第2の部分404Bとは異なる厚さおよび異なる組成のAlGaNから形成されてもよい。
【0103】
第5実施形態は、第2実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(5-1)電子走行層402は、凹部402Aを含み、凹部402A上に、電子供給層404の第1の部分404Aが再成長され、第1の部分404A上にゲート層406が形成されている。この構成によれば、ゲート層406直下の電子供給層404の第1の部分404Aは再成長された層であるため、第1の部分404Aの成長条件は、電子供給層404の第2の部分404Bの結晶成長条件とは異なるものとすることができる。したがって、ゲート層406直下以外の領域(第2の部分404B)ではオン抵抗を低減させる目的で電子供給層404の成長条件を選択しつつ、ゲート層406直下の領域(第1の部分404A)では十分に高い閾値電圧を実現させるための電子供給層404の成長条件を別個に選択することができる。
【0104】
(第6実施形態)
図17は、第6実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置500の概略断面図である。図17において、第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同じ符号が付されており、その説明は省略する。
【0105】
第6実施形態の窒化物半導体装置500は、第1パッシベーション層24の上面、ならびにゲート層26の上面の一部および両側面を覆うように形成された第3パッシベーション層502を含む。第6実施形態は、第3パッシベーション層502を含むという点で第1実施形態と相違する。
【0106】
第3パッシベーション層502は、例えば、SiO層またはSiN層から形成することができる。第3パッシベーション層502は、第6実施形態ではSiN層である。第3パッシベーション層502は、ゲート層26の上面の一部を露出する開口部502Aを有する。ゲート層26上に形成されたゲート電極28は、開口部502Aを貫通してゲート層26の上面に接触している。ゲート電極28は、ゲート層26の上面を覆う第3パッシベーション層502上の一部にも形成されている。第1パッシベーション層24の上面を覆う第3パッシベーション層502は、例えば、20nm以上120nm以下の厚さを有することができる。第6実施形態では、第1パッシベーション層24の上面を覆う第3パッシベーション層502の厚さは、約50nmである。
【0107】
(製造方法)
次に、図17の窒化物半導体装置500の製造方法を説明する。
図18図24は、窒化物半導体装置500の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、図18図24では、理解を容易にするために、窒化物半導体装置500の最終的な構成要素を含む部材もしくはそれに対応する部材に対して、図17の参照符号を括弧書きで一部示している。
【0108】
第6実施形態の窒化物半導体装置500の製造方法は、第1実施形態と共通する図3図5に示される製造工程と、その後に続く、図18図24に示される製造工程とを含んでいる。
【0109】
図18は、図5に続く製造工程を示す概略断面図である。図18に示すように、窒化物半導体装置500の製造方法は、第3誘電体層504を、ゲート層26および第1誘電体層58の露出した表面全体を覆うように形成することを含む。第6実施形態では、例えば、第3誘電体層504としてSiN層が形成され、ゲート層26および第1誘電体層58の露出した表面を覆う。
【0110】
図19は、図18に続く製造工程を示す概略断面図である。図19に示すように、窒化物半導体装置500の製造方法は、第3誘電体層504を選択的に除去し、第3誘電体層504を貫通する開口部504Aを、ゲート層26上に形成することを含む。開口部504Aは、ゲート層26よりも小さい幅を有している。したがって、第3誘電体層504は、ゲート層26の側壁の一部と、上面の一部とを覆っている。
【0111】
図20は、図19に続く製造工程を示す概略断面図である。図20に示すように、窒化物半導体装置500の製造方法は、金属層506を、ゲート層26および第3誘電体層504の露出した表面全体を覆うように形成することを含む。第6実施形態では、例えば、金属層506としてTiN層がスパッタ法によって形成され、ゲート層26および第3誘電体層504の露出した表面を覆う。
【0112】
図21は、図20に続く製造工程を示す概略断面図である。図21に示すように、窒化物半導体装置500の製造方法は、金属層506を選択的に除去し、ゲート電極28をゲート層26上に形成することを含む。このとき、ゲート層26の側壁は、第3誘電体層504により覆われているため、プロセスダメージから保護されている。
【0113】
図22は、図21に続く製造工程を示す概略断面図である。図22に示すように、窒化物半導体装置500の製造方法は、第3誘電体層504、第1誘電体層58、および第3窒化物半導体層56を選択的に除去することを含む。これにより、図17の第3パッシベーション層502、第1パッシベーション層24、およびステップ層22が形成される。
【0114】
例えば、ステップ層22に対応する領域にマスクが形成され、このマスクを用いたエッチング(例えば、Cl、SiCl、CF、およびOのうちの少なくとも1つを用いたドライエッチング)により、第3誘電体層504、第1誘電体層58、および第3窒化物半導体層56が順にパターニングされる。その後、マスクが剥離される。第3誘電体層504、第1誘電体層58、および第3窒化物半導体層56のエッチング工程は、第1実施形態と同様に、複数のエッチング工程を含んでもよい。
【0115】
図23は、図22に続く製造工程を示す概略断面図である。図23に示すように、窒化物半導体装置500の製造方法は、第2誘電体層64を形成することを含む。これにより、第2誘電体層64が、ステップ層22、第1パッシベーション層24、第3パッシベーション層502、ゲート電極28、および第2窒化物半導体層54の露出した表面全体を覆うように形成される。第6実施形態の第2誘電体層64は、第1実施形態と同様、例えば、LPCVD法により形成される。第2誘電体層64は、図17の第2パッシベーション層30に対応する。
【0116】
図24は、図23に続く製造工程を示す概略断面図である。窒化物半導体装置500の製造方法は、第2窒化物半導体層54と接するソース電極32およびドレイン電極34を形成することを含む。この電極形成工程は、図24に示すように、第2誘電体層64を貫通するコンタクトホール64A,64Bを形成することを含む。第2誘電体層64、コンタクトホール64A、およびコンタクトホール64Bは、図17の第2パッシベーション層30、ソースコンタクトホール30A、およびドレインコンタクトホール30Bにそれぞれ対応する。電極形成工程は、さらに、コンタクトホール64A,64Bを充填し、かつ第2誘電体層64の露出した表面全体を覆う金属層を形成すること、この金属層をリソグラフィおよびエッチングによってパターニングすることを含む。これにより、図17のソース電極32およびドレイン電極34が形成される。以上の工程によって、図17の窒化物半導体装置500が得られる。
【0117】
以下、第6実施形態の窒化物半導体装置500の、第1実施形態の窒化物半導体装置10とは異なる作用について説明する。
ゲート層26の側壁が保護されない場合、ゲート層26の側壁にエッチングダメージが発生する可能性があり、ゲート-ソース間のリーク電流が増大するおそれがある。
【0118】
この点、第6実施形態の窒化物半導体装置500は、第1実施形態とは異なり、ゲート層26の側壁を覆う第3パッシベーション層502が形成されている。これにより、ゲート層26に対するプロセスダメージを低減することができる。
【0119】
第6実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(6-1)窒化物半導体装置500の製造方法では、ゲート層26の側壁を覆う第3パッシベーション層502が形成されている。この構成によれば、ゲート電極28の製造過程においてゲート層26の側面を保護することができるため、窒化物半導体装置500のゲート-ソース間のリーク電流の増大を抑制することができる。
【0120】
(第7実施形態)
図25は、第7実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置600の概略断面図である。図25において、第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同じ符号が付されており、その説明は省略する。
【0121】
第7実施形態の窒化物半導体装置600は、ゲート層602と、マスク部604とを含む。ゲート層602は、ゲート電極28が形成される上面602Aと、上面602Aとは反対側の底面602Bと、上面602Aおよび底面602Bの間に延在する側面とを含む。底面602Bの端部には、側面から凹んだ段差602Cが形成されている。マスク部604は、段差602Cに形成されている。詳細には、マスク部604は、段差602Cが凹むことによって生じた空間を埋めるように配置されている。マスク部604は、電子供給層18およびステップ層22とは異なる組成を有する窒化物半導体によって構成されている。第7実施形態は、第1パッシベーション層24を含まず、ステップ層22とゲート層602との間の一部に形成されたマスク部604を含むという点において、第1実施形態の窒化物半導体装置10と相違している。
【0122】
ゲート層602の底面602Bは、ステップ層22と接している。第7実施形態のゲート層602は、段差602Cを含むことを除き、第1実施形態のゲート層26と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0123】
マスク部604は、電子供給層18およびステップ層22とは異なる組成を有する窒化物半導体によって構成される。マスク部604は、電子供給層18およびステップ層22と比べて、相対的に高い割合のAlを含有している。例えば、電子供給層18が、AlGa1-xNから形成される場合、マスク部604は、AlGa1-yNから形成され、x≦y≦1である。マスク部604は、第7実施形態ではAlN層である。マスク部604は、ゲート層602の段差602Cに形成され、段差602Cの高さと同じ厚さを有している。マスク部604は、例えば0.5nm以上10nm以下の厚さを有することができる。マスク部604の厚さは、膜の応力によるクラック防止の観点から定めることができ、第7実施形態では、約1nmである。マスク部604の幅は、例えば、約100nmである。
【0124】
(製造方法)
次に、図25の窒化物半導体装置600の製造方法を説明する。
図26図35は、窒化物半導体装置600の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、図26図35では、理解を容易にするために、窒化物半導体装置600の最終的な構成要素を含む部材もしくはそれに対応する部材に対して、図25の参照符号を括弧書きで一部示している。
【0125】
図26に示すように、例えばSi基板である基板12上に、バッファ層14、第1窒化物半導体層52、第2窒化物半導体層54、第3窒化物半導体層56、および第5窒化物半導体層606が順に形成される。バッファ層14、第1窒化物半導体層52、第2窒化物半導体層54、第3窒化物半導体層56、および第5窒化物半導体層606は、MOCVD法を用いてエピタキシャル成長させることができる。第7実施形態のバッファ層14は、第1実施形態と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0126】
窒化物半導体装置600の製造方法は、第1窒化物半導体層52を形成すること、第1窒化物半導体層52上に第2窒化物半導体層54を形成すること、第2窒化物半導体層54上に第3窒化物半導体層56を形成すること、第3窒化物半導体層56上に第5窒化物半導体層606を形成することを含む。第7実施形態の第1窒化物半導体層52、第2窒化物半導体層54、および第3窒化物半導体層56は、第1実施形態と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。第7実施形態では、第3窒化物半導体層56として形成されたGaN層の上に、第5窒化物半導体層606としてAlN層が形成される。第1窒化物半導体層52は図25の電子走行層16に対応し、第2窒化物半導体層54は図25の電子供給層18に対応する。
【0127】
図27は、図26に続く製造工程を示す概略断面図である。図27に示すように、窒化物半導体装置600の製造方法は、第5窒化物半導体層606に開口部606Aを形成することを含む。例えば、第5窒化物半導体層606が、リソグラフィおよびエッチングにより選択的に除去されて、第5窒化物半導体層606を貫通する開口部606Aが形成される。この結果、開口部606Aを介して、第3窒化物半導体層56の一部が露出する。開口部606Aの幅は、窒化物半導体装置600のゲート幅Lgに相当する。第7実施形態において、開口部606Aの幅は、0.4μm以上1μm以下とすることができる。
【0128】
図28は、図27に続く製造工程を示す概略断面図である。図28に示すように、窒化物半導体装置600の製造方法は、第4窒化物半導体層608を形成することを含む。これにより、第4窒化物半導体層608が、第3窒化物半導体層56および第5窒化物半導体層606の露出した表面全体を覆うように形成される。
【0129】
例えば、第7実施形態では、p型GaN層である第4窒化物半導体層608が、MOCVD法によりエピタキシャル成長される。AlN層である第5窒化物半導体層606は、p型GaN層である第4窒化物半導体層608と比較的近い格子定数を有する。したがって、第4窒化物半導体層608は、第3窒化物半導体層56上だけでなく、第5窒化物半導体層606上にもエピタキシャル成長する。
【0130】
図29は、図28に続く製造工程を示す概略断面図である。図29に示すように、窒化物半導体装置600の製造方法は、金属層610を第4窒化物半導体層608の上に形成することを含む。第7実施形態では、例えば、金属層610としてTiN層がスパッタ法によって形成される。
【0131】
図30は、図29に続く製造工程を示す概略断面図である。図30に示すように、窒化物半導体装置600の製造方法は、金属層610を選択的に除去して、ゲート電極28を形成することを含む。ゲート電極28は、平面視において、第5窒化物半導体層606の開口部606Aと略同じ領域に形成される。
【0132】
図31は、図30に続く製造工程を示す概略断面図である。図31に示すように、窒化物半導体装置600の製造方法は、マスク612を用いて第4窒化物半導体層608を選択的に除去することを含む。
【0133】
例えば、ゲート電極28およびその周辺の第4窒化物半導体層608の上にマスク612が形成され、マスク612を用いて第4窒化物半導体層608をエッチングすることにより、ゲート層602が形成される。このとき、第5窒化物半導体層606は、エッチングストップ層として機能する。ここで、マスク612を形成する際のリソグラフィのずれ等によって、エッチングストップ層である第5窒化物半導体層606がない領域がエッチングされることを防ぐために、マスク612は、第5窒化物半導体層606の開口部606Aよりも大きい幅を有するように形成されている。一例では、このリソグラフィずれのマージンは、約100nmである。
【0134】
図32は、図31に続く製造工程を示す概略断面図である。図32に示すように、窒化物半導体装置600の製造方法は、マスク612を用いて第5窒化物半導体層606を選択的に除去することを含む。AlN層である第5窒化物半導体層606は、例えば、水酸化カリウム(KOH)を用いたウェットエッチングにより除去することができる。ただし、第5窒化物半導体層606の除去方法は、ウェットエッチングに限定されず、第5窒化物半導体層606の構成に応じてドライエッチングなどの他の方法を用いることもできる。この結果、平面視においてマスク612で覆われていない領域で、第3窒化物半導体層56の表面が露出される。一方、平面視においてマスク612で覆われている領域では、第5窒化物半導体層606の一部が残存し、この残存した部分が、図25のマスク部604に対応する。
【0135】
図33は、図32に続く製造工程を示す概略断面図である。図33に示すように、窒化物半導体装置600の製造方法は、第3窒化物半導体層56を選択的に除去してステップ層22を形成することを含む。
【0136】
マスク612が剥離された後、ステップ層22に対応する領域にマスク(図示略)が形成され、このマスクを用いたエッチング(例えば、Cl、SiCl、CF、およびOのうちの少なくとも1つを用いたドライエッチング)により、第3窒化物半導体層56がパターニングされる。その後、マスクが、剥離液等を用いて剥離される。
【0137】
図34は、図33に続く製造工程を示す概略断面図である。図34に示すように、窒化物半導体装置600の製造方法は、第2誘電体層614を形成することを含む。第2誘電体層614は、ステップ層22、マスク部604、ゲート層602、ゲート電極28、および第2窒化物半導体層54の露出した表面全体を覆うように形成される。第7実施形態の第2誘電体層614は、第1実施形態の第2誘電体層64と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。第2誘電体層614は、図25の第2パッシベーション層30に対応する。
【0138】
図35は、図34に続く製造工程を示す概略断面図である。窒化物半導体装置600の製造方法は、第2窒化物半導体層54と接するソース電極32およびドレイン電極34を形成することを含む。この電極形成工程は、図35に示すように、第2誘電体層614を貫通するコンタクトホール614A,614Bを形成することを含む。第2誘電体層614、コンタクトホール614A、およびコンタクトホール614Bは、図25の第2パッシベーション層30、ソースコンタクトホール30A、およびドレインコンタクトホール30Bにそれぞれ対応する。電極形成工程は、さらに、コンタクトホール64A,64Bを充填し、かつ第2誘電体層64の露出した表面全体を覆う金属層を形成すること、この金属層がリソグラフィおよびエッチングによってパターニングすることを含む。これにより、図25のソース電極32およびドレイン電極34が形成される。以上の工程によって、図25の窒化物半導体装置600が得られる。
【0139】
以下、第7実施形態の窒化物半導体装置600の、第1実施形態の窒化物半導体装置10とは異なる作用について説明する。
第7実施形態の窒化物半導体装置600においては、第1実施形態とは異なり、第3窒化物半導体層56の上に第5窒化物半導体層606がMOCVD法で連続的にエピタキシャル成長される。これにより、第3窒化物半導体層56の上への成膜を第1実施形態のようにプラズマCVD法により行う場合に比べ、第3窒化物半導体層56へのプロセスダメージを抑制することができ、結果的にダメージの少ないステップ層22を得ることができる。
【0140】
また、AlN層である第5窒化物半導体層606は、KOHを用いたウェットエッチングで除去することが可能であるため、ドライエッチングを用いる場合と比べてゲート層602へのダメージを抑制することができる。
【0141】
第7実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(7-1)窒化物半導体装置600の製造方法では、ステップ層22に対応する第3窒化物半導体層56上に第5窒化物半導体層606が形成されるため、ステップ層22へのプロセスダメージを減らすことができ、その結果、安定したノーマリーオフ型HEMTを得ることができる。
【0142】
(第8実施形態)
図36は、第8実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置700の概略断面図である。図36において、第5実施形態と同様の構成要素には、第5実施形態と同じ符号が付されており、その説明は省略する。
【0143】
第8実施形態の窒化物半導体装置700は、電子供給層702と、ゲート層704と、マスク部706とを含む。第8実施形態は、第1パッシベーション層24を含まず、ステップ層22上の一部に形成されたマスク部706を含み、電子供給層702が電子走行層402の凹部402Aからマスク部706の上面まで延在しているという点において、第5実施形態の窒化物半導体装置400と相違している。
【0144】
電子供給層702は、電子走行層402の凹部402Aからマスク部706の上面まで延在する第1の部分702Aと、電子走行層402の凹部402Aが形成されていない表面上の第2の部分702Bとを含む。第8実施形態の電子供給層702は、電子走行層402の凹部402Aからマスク部706の上面まで延在する第1の部分702Aを含んでいることを除き、第1実施形態の電子供給層18と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。図36のソースコンタクト702Cおよびドレインコンタクト702Dは、図1のソースコンタクト18Aおよびドレインコンタクト18Bにそれぞれ対応する。
【0145】
ゲート層704は、ゲート電極28が形成される上面704Aと、上面704Aとは反対側の底面704Bと、上面704Aおよび底面704Bの間に延在する側面とを含む。底面704Bの端部には、側面から凹んだ段差704Cが形成されている。ゲート層704の底面704Bは、電子供給層702の第1の部分702Aと接している。段差704Cが凹むことによって生じた空間を埋めるように、電子供給層702の第1の部分702Aの一部と、マスク部706と、ステップ層102の一部と、電子供給層702の第2の部分702Bの一部とが配置されている。より詳細には、マスク部706の上面と、段差704Cとの間に形成された空間を埋めるように、第1の部分702Aの一部が配置されている。第8実施形態のゲート層704は、段差704Cを含むことを除き、第1実施形態のゲート層26と同様な構成および特徴を有するものとすることができる。
【0146】
マスク部706は、電子供給層702およびステップ層102とは異なる組成を有する窒化物半導体から形成される。マスク部706は、電子供給層702およびステップ層102と比べて、相対的に高い割合のAlを含有している。例えば、電子供給層702が、AlGa1-xNから形成される場合、マスク部706は、AlGa1-yNから形成され、x≦y≦1である。マスク部706は、第8実施形態ではAlN層である。マスク部706は、ステップ層102と、ゲート層704の段差704Cに形成された電子供給層702との間に形成されている。したがって、マスク部706は、その上面および一側面を電子供給層702に覆われている。マスク部706は、例えば0.5nm以上10nm以下の厚さを有することができる。マスク部706の厚さは、膜の応力によるクラック防止の観点から定めることができ、第8実施形態では、約1nmである。
【0147】
(製造方法)
次に、図36の窒化物半導体装置700の製造方法を説明する。
第8実施形態の窒化物半導体装置700の製造方法は、図27に示される製造工程において第5窒化物半導体層606を貫通する開口部606Aを形成することに加えて、第3窒化物半導体層56(図36のステップ層102に対応)を貫通する開口部(図36の開口部102Cに対応)と、第2窒化物半導体層54(図36の電子供給層702に対応)を貫通する開口部(図示略)と、第1窒化物半導体層52(図36の電子走行層402に対応)上の凹部(図36の凹部402Aに対応)を形成することを含む。これらの開口部および凹部は、相互に連通して溝(図示略)を構成する。
【0148】
次いで、第2窒化物半導体層54(電子供給層702に対応)および第4窒化物半導体層608(ゲート層704に対応)が、溝上に順に形成される。この工程において形成される第2窒化物半導体層54が、図36の電子供給層702の第1の部分702Aに相当する。例えば、第8実施形態では、AlGaN層である電子供給層702の第1の部分702Aと、p型GaN層であるゲート層704とが、MOCVD法によりエピタキシャル成長される。その後の工程は、図30図35と同様であるため、説明を省略する。なお、第5窒化物半導体層606を選択的に除去した後に残存した部分が、図36のマスク部706に対応する。
【0149】
以下、第8実施形態の窒化物半導体装置700の、第5実施形態の窒化物半導体装置400とは異なる作用について説明する。
第8実施形態の窒化物半導体装置700においては、第5実施形態とは異なり、第3窒化物半導体層56の上に第5窒化物半導体層606がMOCVD法で連続的にエピタキシャル成長される。これにより、第3窒化物半導体層56の上への成膜を第5実施形態のようにプラズマCVD法により行う場合に比べ、第3窒化物半導体層56へのプロセスダメージを抑制することができ、結果的にダメージの少ないステップ層102を得ることができる。
【0150】
また、AlN層である第5窒化物半導体層606は、KOHを用いたウェットエッチングで除去することが可能であるため、ドライエッチングを用いる場合と比べてゲート層704へのダメージを抑制することができる。
【0151】
第8実施形態は、第5実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(8-1)窒化物半導体装置700の製造方法では、ステップ層102に対応する第3窒化物半導体層56上に第5窒化物半導体層606を形成するので、ステップ層102へのプロセスダメージを減らすことができ、その結果、安定したノーマリーオフ型HEMTを得ることができる。
【0152】
(窒化物半導体装置の形成パターンの例)
図37は、図1の窒化物半導体装置10の例示的な形成パターン800を示す概略平面図である。図38は、図37のF38-F38線に沿ったアクティブ領域810の概略断面図であり、図39は、図37のF39-F39線に沿った非アクティブ領域812の概略断面図である。なお、理解を容易にするために、図37図39では、図1の構成要素と同様な構成要素には同一の符号を付している。また、図示の複雑化を避けるべく、図37において、ソース電極32およびドレイン電極34は破線で示されている。
【0153】
図37に示すように、形成パターン800は、トランジスタ動作に寄与するアクティブ領域810と、トランジスタ動作に寄与しない非アクティブ領域812とを含む。アクティブ領域810とは、ゲート電極28に電圧が印加されているときに、ソース-ドレイン間に電流が流れる領域のことをいう。
【0154】
図38に示すように、アクティブ領域810においては、複数(図38の例では4つ)の窒化物半導体装置(HEMT)10A~10DがX軸方向に連続して形成されている。なお、窒化物半導体装置10A~10Dの各々は、図1の窒化物半導体装置10と同様に構成されている。
【0155】
図38の例では、窒化物半導体装置10A,10Bは、窒化物半導体装置10Aのステップ層22のソース側延出部22Aが、窒化物半導体装置10Bのステップ層22のソース側延出部22Aとソース電極部32Aを介して対向するようにレイアウトされている。また、同様な配置関係により、窒化物半導体装置10C,10Dがレイアウトされている。窒化物半導体装置10B,10Cは、窒化物半導体装置10Bのステップ層22のドレイン側延出部22Bが、窒化物半導体装置10Cのステップ層22のドレイン側延出部22Bとドレイン電極34を介して対向するようにレイアウトされている。一方、図39に示すように、非アクティブ領域812にドレイン電極34は形成されず、X軸方向に第2パッシベーション層30およびソース電極32が連続して形成されている。図37に示すように、第1パッシベーション層24、ゲート層26、ゲート電極28、およびソース電極32は、アクティブ領域810と非アクティブ領域812とでY軸方向に連続して形成されている。なお、図示されていないが、ステップ層22も、アクティブ領域810と非アクティブ領域812とで連続して形成される。
【0156】
図37図39に示すように、ステップ層22および第1パッシベーション層24(図37では、ステップ層22は図示されない)は、平面視においてゲート層26の外側に延出している。例えば、アクティブ領域810および非アクティブ領域812の各々において、ステップ層22は、平面視においてゲート層26の全外周縁よりも外側に延出している。言い換えれば、ステップ層22は、XY平面における+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向を含む全方向においてゲート層26の外側に延出している。このように、ステップ層22が平面視においてゲート層26よりも大きな面積で形成されていることにより、ステップ層22において、X軸方向だけでなくY軸方向にもホールを分散させることができる。なお、図37に示す形成パターン800は、図11,13,14,16,17,25,および36の各窒化物半導体装置100,200,300,400,500,600,700に適用されてもよい。
【0157】
(窒化物半導体装置の形成パターンの別の例)
図40は、図1の窒化物半導体装置10の別の例示的な形成パターン900を示す概略平面図であり、図41は、図40のF41-F41線に沿った非アクティブ領域912の概略断面図である。なお、理解を容易にするために、図40および図41では、図1の構成要素と同様な構成要素には同一の符号を付している。また、図示の複雑化を避けるべく、図40において、ソース電極32およびドレイン電極34は破線で示されている。
【0158】
図37の形成パターン800と同様に、形成パターン900は、アクティブ領域910と非アクティブ領域912とを含む。アクティブ領域910における窒化物半導体装置10のレイアウトは、図38に示すものと同様である。
【0159】
図40および図41に示すように、非アクティブ領域912において、ステップ層22(図40ではステップ層22は図示されない)、第1パッシベーション層24(図41では第1パッシベーション層24は図示されない)、ゲート層26、ゲート電極28、第2パッシベーション層30、およびソース電極32はX軸方向に連続して形成されている。したがって、非アクティブ領域912において、ステップ層22であるGaN層は、電子供給層18を構成するAlGaN層をX軸方向に連続的に被覆している。また、非アクティブ領域912において、第1パッシベーション層24であるSiO層は、ステップ層22(GaN層)をX軸方向に連続的に被覆し(図41では第1パッシベーション層24は図示されない)、ゲート層26はステップ層22を連続的に被覆し、ゲート電極28はゲート層26を連続的に被覆している。
【0160】
このように、形成パターン900では、図37の形成パターン800と比べて、非アクティブ領域912に形成されるステップ層22の面積が大きい(図39および図41参照)。このため、図37の形成パターン800を使用する場合に比べて、ステップ層22と電子供給層との間の界面におけるホール密度をより低減することができる。この結果、形成パターン900を用いることにより、ゲートリーク電流をさらに低減してゲート耐圧を向上させることができる。また、形成パターン900では、図37の形成パターン800と比べて、非アクティブ領域912に形成されるゲート電極28の面積が大きい。このため、ゲート配線抵抗を低減することができる。なお、図40に示す形成パターン900は、図11,13,14,16,17,25,および36の各窒化物半導体装置100,200,300,400,500,600,700に適用されてもよい。
【0161】
なお、図37と同様、図40の例でも、アクティブ領域910および非アクティブ領域912の各々において、ステップ層22は、平面視においてゲート層26の全外周縁よりも外側に延出している。このように、ステップ層22が平面視においてゲート層26よりも大きな面積で形成されていることにより、ステップ層22において、X軸方向だけでなくY軸方向にもホールを分散させることができる。
【0162】
(第6実施形態の変更例)
・第3パッシベーション層502は、第1パッシベーション層24の上面を覆っていなくてもよい。この場合、第3パッシベーション層502は、ゲート層26の上面の一部および両側面を覆うように形成される。
【0163】
この構成によれば、ゲート電極28の製造過程においてゲート層26の側面を保護することができるため、窒化物半導体装置500のゲート-ソース間のリーク電流の増大を抑制することができる。
【0164】
(第7実施形態の変更例)
・マスク部604として、SiN層を用いてもよい。SiN層は、例えば、LPCVD法を用いて形成することができる。SiN層は、30nm以上200nm以下の厚さを有することができる。この変更例において、SiN層の厚さは、好ましくは50nmである。
【0165】
この変更例の窒化物半導体装置の製造方法を説明する。
例えばSi基板である基板12上に、バッファ層14、第1窒化物半導体層52、第2窒化物半導体層54、第3窒化物半導体層56を、MOCVD法を用いてエピタキシャル成長させる。第7実施形態とは異なり、この段階で第5窒化物半導体層606は形成されない。次いで、第5窒化物半導体層606としてSiN層が、第3窒化物半導体層56の上にLPCVD法を用いて形成される。その後の工程は、図27図35と同様であるため、説明を省略する。
【0166】
この構成によれば、マスク部604直下における窒化物半導体装置600のノーマリーオン化を防ぐことができる。
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、「第1層が第2層上に形成される」という表現は、或る実施形態では第1層が第2層に接触して第2層上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1層が第2層に接触することなく第2層の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1層と第2層との間に他の層が形成される構造を排除しない。例えば、電子供給層18が電子走行層16上に形成される上記各実施形態は、2DEG20を安定して形成するために電子供給層18と電子走行層16との間に中間層が位置する構造も含む。
【0167】
本開示で使用されるZ軸方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造(例えば、図1に示される構造)は、本明細書で説明されるZ軸方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X軸方向が鉛直方向であってもよく、またはY軸方向が鉛直方向であってもよい。
【0168】
[付記]
上記各実施形態および各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載した構成について実施形態中の対応する符号を括弧書きで示す。
【0169】
(付記A1)
窒化物半導体によって構成された電子走行層(16)と、
前記電子走行層(16)上に形成され、前記電子走行層(16)よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層(18)と、
前記電子供給層(18)上の一部に形成され、前記電子供給層(18)よりも小さなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されたステップ層(22)と、
前記電子供給層(18)上または前記ステップ層(22)上の一部に形成され、アクセプタ型不純物を含むゲート層(26)と、
前記ゲート層(26)上に形成されたゲート電極(28)と、
前記電子供給層(18)と接しているソース電極(32)およびドレイン電極(34)と
を備え、
前記ステップ層(22)は、平面視において前記ゲート層(26)の外側に延出する延出部(22A,22B)を含み、
前記延出部(22A,22B)は、アンドープ層によって構成されている、窒化物半導体装置(10)。
【0170】
(付記A2)
前記延出部(22A,22B)は、平面視において前記ゲート層(26)の全外周縁よりも外側に延出している、付記A1に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0171】
(付記A3)
前記アクセプタ型不純物は、Mg、Zn、およびCのうちの少なくとも1つである、付記A1またはA2に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0172】
(付記A4)
前記延出部(22A,22B)上に形成された第1パッシベーション層(24)と、
前記電子供給層(18)、前記第1パッシベーション層(24)、および前記ゲート電極(28)を覆う第2パッシベーション層(30)と
を備える、付記A1~A3のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0173】
(付記A5)
前記延出部(22A,22B)上に形成された第1パッシベーション層(24)と、
前記第1パッシベーション層(24)の上面、ならびに前記ゲート層(26)の両側面および上面の一部を覆うように形成された第3パッシベーション層(502)と、
前記電子供給層(18)、前記第3パッシベーション層(502)、および前記ゲート電極(28)を覆う第2パッシベーション層(30)と
をさらに備える、付記A1~A3のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(500)。
【0174】
(付記A6)
前記第1パッシベーション層(24)は、前記延出部(22A,22B)上に形成されているが、前記ゲート層(26)の上面には形成されていない、付記A4またはA5に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0175】
(付記A7)
前記ゲート層(26)は、前記ステップ層(22)上に形成されている、付記A1~A6のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0176】
(付記A8)
前記ステップ層(202)は、前記延出部(202A,202B)と隣接しているベース部(202C)をさらに含み、
前記ベース部(202C)は、前記延出部(202A,202B)よりも小さい厚さを有し、
前記ゲート層(204)は、前記ベース部(202C)上に形成されている、付記A1~A7のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(200)。
【0177】
(付記A9)
前記ステップ層(102)は、開口部(102C)を含み、
前記ゲート層(104)は、前記開口部(102C)内において、前記電子供給層(18)上に形成されている、付記A1~A6のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(100)。
【0178】
(付記A10)
前記ゲート層(602)は、
前記ゲート電極(28)が形成される上面(602A)と、
前記上面(602A)とは反対側の底面(602B)と、
前記上面(602A)および前記底面(602B)の間に延在する側面と
を含み、前記底面(602B)の端部には、前記側面から凹んだ段差(602C)が形成されており、
前記窒化物半導体装置(600)は、
前記段差(602C)に形成され、前記電子供給層(18)および前記ステップ層(22)とは異なる組成を有する窒化物半導体によって構成されたマスク部(604)
をさらに備える、付記A1~A9のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(600)。
【0179】
(付記A11)
前記マスク部(604)は、SiNから形成される、付記A10に記載の窒化物半導体装置(600)。
【0180】
(付記A12)
前記電子走行層(16)は、GaNから形成され、
前記電子供給層(18)は、AlGa1-xNから形成され、
前記ステップ層(22)は、GaNから形成され、
前記ゲート層(26)は、前記アクセプタ型不純物を含むGaNから形成され、
0.1<x<0.3である、付記A1~A11のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0181】
(付記A13)
前記電子走行層(16)は、GaNから形成され、
前記電子供給層(18)は、AlGa1-xNから形成され、
前記ステップ層(22)は、GaNから形成され、
前記ゲート層(602)は、前記アクセプタ型不純物を含むGaNから形成され、
0.1<x<0.3であり、
前記マスク部(604)は、AlGa1-yNから形成され、x≦y≦1である、付記A10に記載の窒化物半導体装置(600)。
【0182】
(付記A14)
前記ステップ層(22)は、25nm以下の厚さを有する、付記A1~A13のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0183】
(付記A15)
前記ステップ層(22)は、15nm以下の厚さを有する、付記A1~A14のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0184】
(付記A16)
前記延出部(22A,22B)は、
平面視において前記ゲート層(26)の外側に、前記ソース電極(32)と前記電子供給層(18)とのコンタクト(18A)に向かって延出する第1延出部(22A)と、
平面視において前記ゲート層(26)の外側に、前記ドレイン電極(34)と前記電子供給層(18)とのコンタクト(18B)に向かって延出する第2延出部(22B)と
を含み、前記第1延出部(22A)は、前記第2延出部(22B)よりも小さい幅を有する、付記A1~A15のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0185】
(付記A17)
前記第1延出部(22A)は、0.1μm以上0.3μm以下の幅を有する、付記A16に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0186】
(付記A18)
前記第2延出部(22B)は、0.1μm以上0.8μm以下の幅を有する、付記A16または付記A17に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0187】
(付記A19)
前記ステップ層(22)は、1×1018cm-3以下の濃度のアクセプタ型不純物を含む、付記A1~A18のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0188】
(付記A20)
前記ゲート層(26)は、1×1019cm-3以上3×1019cm-3以下の濃度のアクセプタ型不純物を含む、付記A1~A19のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0189】
(付記A21)
前記電子走行層(402)は、凹部(402A)を含み、前記ゲート層(406)は、平面視において、前記凹部(402A)と同じ領域に形成されている、付記A1~A20のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(400)。
【0190】
(付記A22)
前記電子供給層(404)は、
平面視において前記ゲート層(406)と同じ領域に形成された第1の部分(404A)と、
平面視において前記ゲート層(406)とは異なる領域に形成された第2の部分(404B)とを含み、
前記第1の部分(404A)は、前記第2の部分(404B)とは異なる組成のAlGaNから形成されている、付記A1~A21のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(400)。
【0191】
(付記A23)
前記電子供給層(404)は、
平面視において前記ゲート層(406)と同じ領域に形成された第1の部分(404A)と、
平面視において前記ゲート層(406)とは異なる領域に形成された第2の部分(404B)とを含み、
前記第1の部分(404A)は、前記第2の部分(404B)とは異なる厚さを有している、付記A1~A22のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(400)。
【0192】
(付記B1)
窒化物半導体装置(10)の製造方法であって、
第1窒化物半導体層(52)を形成すること、
前記第1窒化物半導体層(52)上に、前記第1窒化物半導体層(52)よりも大きなバンドギャップを有する第2窒化物半導体層(54)を形成すること、
前記第2窒化物半導体層(54)上に、前記第2窒化物半導体層(54)よりも小さなバンドギャップを有する第3窒化物半導体層(56)を形成すること、
前記第3窒化物半導体層(56)上に第1誘電体層(58)を形成すること、
前記第1誘電体層(58)に第1開口部(58A)を形成すること、
平面視において前記第1開口部(58A)と同じ領域内であって、前記第2窒化物半導体層(54)の上方に、アクセプタ型不純物を含む第4窒化物半導体層(60)を形成すること、
前記第4窒化物半導体層(60)上にゲート電極(28)を形成すること、
前記第3窒化物半導体層(56)が、平面視において前記第4窒化物半導体層(60)の外側に延出する延出部(22A,22B)を含むように、前記第3窒化物半導体層(56)を選択的にエッチングすること、
前記第2窒化物半導体層(54)と接するソース電極(32)およびドレイン電極(34)を形成すること
を含む、窒化物半導体装置(10)の製造方法。
【0193】
(付記B2)
前記第4窒化物半導体層(60)を形成することは、前記第1開口部(58A)によって露出された前記第3窒化物半導体層(56)上に前記第4窒化物半導体層(60)を形成することを含む、付記B1に記載の窒化物半導体装置(10)の製造方法。
【0194】
(付記B3)
前記第4窒化物半導体層(60)を形成することは、
前記第3窒化物半導体層(56)に、前記第1開口部(58A)と連通する第2開口部(56A)を形成して、前記第2窒化物半導体層(54)の一部を露出させること、
前記第2開口部(56A)によって露出された前記第2窒化物半導体層(54)の上に前記第4窒化物半導体層(60)を形成すること
を含む、付記B1に記載の窒化物半導体装置(100)の製造方法。
【0195】
(付記B4)
前記第1誘電体層(58)を除去することを含む、付記B1~B3のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(300)の製造方法。
【0196】
(付記B5)
前記第3窒化物半導体層(56)は、アンドープ層である、付記B1~B4のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)の製造方法。
【0197】
(付記B6)
前記第3窒化物半導体層(56)は、前記第4窒化物半導体層(60)よりも低い濃度のアクセプタ型不純物を含む、付記B1~B5のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)の製造方法。
【0198】
(付記B7)
前記第4窒化物半導体層(60)を形成することは、
前記第3窒化物半導体層(56)に、前記第1開口部(58A)と連通する凹部(202A)を形成すること、
前記凹部(202A)上に前記第4窒化物半導体層(60)を形成すること
を含む、付記B1に記載の窒化物半導体装置(200)の製造方法。
【0199】
(付記B8)
前記第4窒化物半導体層(60)を形成することは、
前記第3窒化物半導体層(56)および前記第2窒化物半導体層(54)を貫通するように選択的にエッチングして、前記第1窒化物半導体層(52)の一部を露出させること、
露出された前記第1窒化物半導体層(52)をエッチングして凹部(402A)を形成すること、
前記凹部(402A)上に前記第2窒化物半導体層(54)を再成長させること、
再成長させた前記第2窒化物半導体層(54)上に前記第4窒化物半導体層(60)を形成すること
を含む、付記B1に記載の窒化物半導体装置(400)の製造方法。
【0200】
(付記B9)
前記第2窒化物半導体層(54)を再成長させることは、
前記第2窒化物半導体層(54)の形成において用いられる成長条件とは異なる成長条件を用いて前記第2窒化物半導体層(54)を再成長させること
を含む、付記B8に記載の窒化物半導体装置(400)の製造方法。
【0201】
(付記B10)
前記凹部(402A)は、前記第2窒化物半導体層(54)の厚さよりも小さい深さを有している、付記B8またはB9に記載の窒化物半導体装置(400)の製造方法。
【0202】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0203】
10,100,200,300,400,500,600,700…窒化物半導体装置
12…基板
14…バッファ層
16,402…電子走行層
18,404,702…電子供給層
18A…ソースコンタクト
18B…ドレインコンタクト
22,102,202…ステップ層
22A,102A,202A…ソース側延出部(第1延出部)
22B,102B,202B…ドレイン側延出部(第2延出部)
22C,202C…ベース部
24…第1パッシベーション層
24A,56A,58A,102C,502A,504A,606A…開口部
26,104,204,406,602,704…ゲート層
28…ゲート電極
30…第2パッシベーション層
32…ソース電極
34…ドレイン電極
602A,704A…上面
602B,704B…底面
602C,704C…段差
604,706…マスク部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41