(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】埃除去装置
(51)【国際特許分類】
A47L 13/40 20060101AFI20240813BHJP
A47L 13/50 20060101ALI20240813BHJP
B08B 5/04 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A47L13/40
A47L13/50
B08B5/04 A
(21)【出願番号】P 2020200218
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000133445
【氏名又は名称】株式会社ダスキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】西村 和竹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼津 拓未
(72)【発明者】
【氏名】足立 知志
(72)【発明者】
【氏名】長崎 里佳
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-087669(JP,A)
【文献】特開2012-055612(JP,A)
【文献】特開2018-000334(JP,A)
【文献】登録実用新案第3227668(JP,U)
【文献】特開2014-233505(JP,A)
【文献】実開昭52-161874(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/00 - 13/62
B08B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モップの払拭部に付着している埃を自動で除去する埃除去装置であって、
外筒と、
前記外筒内で軸回りに回転可能な内筒と、
前記内筒を回転させる回転機構と、
前記内筒の周壁に形成された貫通スリットと、前記内筒と前記外筒との間の密閉空間と、を介して、前記内筒内を吸引する、吸引機構と、
を備えており、
前記内筒内に前記払拭部を収容した状態で、前記回転機構及び前記吸引機構を作動させて、前記払拭部に付着している前記埃を前記貫通スリット及び前記密閉空間を介して吸引除去するようになって
おり、
前記埃除去装置は、前記内筒を上方から塞ぐ上蓋を備えており、
前記上蓋は、閉じた際に前記モップの柄を支持するように、設けられており、
前記上蓋には、前記内筒に前記払拭部を収容した状態で、前記柄を把持する柄保持部が設けられている、
ことを特徴とする、埃除去装置。
【請求項2】
前記内筒の底部に、前記払拭部が前記内筒の回転に連れ立って回転するのを阻止する連れ回り阻止部材が、設けられている、
請求項1記載の埃除去装置。
【請求項3】
前記貫通スリットは、前記内筒の軸方向に沿って形成されている、
請求項1又は2に記載の埃除去装置。
【請求項4】
前記貫通スリットは、前記内筒内に収容された前記払拭部に接触するように、設けられている、
請求項1~3のいずれか一つに記載の埃除去装置。
【請求項5】
前記貫通スリットは、前記内筒の前記周壁の内面に内向きの突出部を有するように、形成されている、
請求項4記載の埃除去装置。
【請求項6】
前記内筒の前記周壁の内面に、前記内筒内に収容された前記払拭部から前記埃を掻き取るための掻き取り用突起が、設けられている、
請求項1~5のいずれか一つに記載の埃除去装置。
【請求項7】
前記回転機構は、前記内筒を、正回転と逆回転とを切り替えながら回転させるようになっている、
請求項1~
6のいずれか一つに記載の埃除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モップの払拭部に付着した埃を自動で除去するための埃除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モップの払拭部に付着した埃を自動で除去するための装置は、従来から種々知られている(特許文献1~5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-142897号公報
【文献】特許第5724901号公報
【文献】特許第4592440号公報
【文献】特開2015-9030号公報
【文献】実開昭61-64869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、埃除去性能を更に向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は、優れた埃除去性能を発揮できる埃除去装置を、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、モップの払拭部に付着している埃を自動で除去する埃除去装置であって、
外筒と、
前記外筒内で軸回りに回転可能な内筒と、
前記内筒を回転させる回転機構と、
前記内筒の周壁に形成された貫通スリットと、前記内筒と前記外筒との間の密閉空間と、を介して、前記内筒内を吸引する、吸引機構と、
を備えており、
前記内筒内に前記払拭部を収容した状態で、前記回転機構及び前記吸引機構を作動させて、前記払拭部に付着している前記埃を前記貫通スリット及び前記密閉空間を介して吸引除去するようになっている、
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、回転機構を作動させることにより、内筒を回転させて、モップの払拭部の表面を内筒の内面で擦るので、払拭部に付着している埃を自動で浮き上がらせることができる。そして、吸引機構を作動させることにより、払拭部の表面から浮き上がった埃を、自動で吸引して収集できる。したがって、本発明によれば、モップの払拭部に付着している埃を自動で除去でき、更には、優れた埃除去性能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態の埃除去装置の外観を示す上方斜視図である。
【
図2】
図1の装置内部の構造物のみを示す上方斜視図である。
【
図7】
図1の装置が適用されるモップの外観図である。
【
図9】
図1の装置の上蓋を開けた状態を示す図である。
【
図11】
図1の装置がモップを保持した状態を示す図である。
【
図12】本発明の第2実施形態の埃除去装置の要部を示す図であって、連れ回り阻止部材が設けられた構成を示す図である。
【
図16】連れ回り阻止部材の固定構造を示す断面図である。
【
図17】本発明の第3実施形態の埃除去装置の要部を示す図であって、掻き取り用突起が設けられた構成を示す図である。
【
図19】本発明の別の実施形態の貫通スリットの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態の埃除去装置の外観を示す上方斜視図である。埃除去装置10は、幅狭の直方体の形態を有している。
図2は、装置内部の構造物のみを示す上方斜視図である。
図3は、
図1の装置10の透視側面図である。
図4は、
図1の装置10の正面図である。
図5は、
図1の装置10の背面図である。
図6は、
図1の装置10の平面図である。
【0010】
装置10は、外筒1と内筒2と回転機構3と吸引機構4とを備えている。外筒1は、直立した円筒状の形態を有している。内筒2は、外筒1内に収容されており、外筒1内で軸回りに回転可能であり、直立した円筒状の形態を有している。内筒2は、例えば
図7に示されるようなモップ9の外観略円柱状の払拭部91を、内筒2の内面21に接触した状態で完全に収容できる、大きさを、有している。
【0011】
回転機構3は、回転駆動モータ31と駆動軸32と駆動ベルト33と回転軸34とを備えており、モータ31が作動すると、駆動軸32、駆動ベルト33、及び回転軸34を介して、内筒2を垂直軸回りに回転させるようになっている。なお、回転機構3は、モータ31の正逆回転を切り替えることによって、内筒2を、正回転と逆回転とを切り替えながら回転させることができるようになっている。回転軸34は、外筒1の底面11を貫通して延びて、内筒2を下方から支持している。
【0012】
吸引機構4は、吸引モータ41と埃収容ボックス42と吸引管43とを備えている。吸引管43の吸引口431は、外筒1の底部近傍の側壁に開口している。吸引管43の排出口432は、埃収容ボックス42内に収容されている紙パック421に対して上方から開口している。したがって、吸引管43は、外筒1と内筒2との間の密閉空間101と、ボックス42の紙パック421とを、連通させている。なお、紙パック421は、埃を収集するようになっており、ボックス42に対して着脱自在に設けられている。
【0013】
なお、吸引モータ41の下方には、コードリール110が配置されている。
【0014】
内筒2は、
図3に示されるように、周壁20に、貫通スリット5を有している。貫通スリット5は、内筒2の軸方向Zに沿って、内筒2の略全長に渡って、設けられている。ここでは、貫通スリット5は、1本だけ設けられている。
図8は、
図3の貫通スリット5の横断面図である。貫通スリット5は、内筒2の周壁20を貫通して形成されており、内筒2内に収容されたモップ9の払拭部91に接触するように、設けられている。
【0015】
更に、装置10は、
図1に示されるように、内筒2を上方から塞ぐ上蓋7を、備えている。
図9は、上蓋7を開けた状態を示している。上蓋7には、
図1に示されるように、幅方向Xの中央に、長手方向Yに沿って、幅Wの切欠き71が形成されている。切欠き71は、上蓋7の中央まで形成されている。幅Wは、モップ9の柄92(
図7)が切欠き71を通るように、柄92の幅寸法と略同じに、設定されている。そして、上蓋7の裏面には、
図10に示されるように、柄保持具72が設けられている。柄保持具72は、柄保持具72を上蓋7の裏面に固定するための取付部721と、取付部721から延びた二股把持部722と、からなっている。二股把持部722は、漸次幅狭となった先端部7221と、柄92を把持する本体部7222と、を有しており、切欠き71の終端部710(
図1)から切欠き71に沿って開いている。本体部7222は、上蓋7の平面視中央に位置している。
【0016】
(作動について)
(1)上蓋7を開けた状態で、モップ9の払拭部91を内筒2内に挿入して、上蓋7を閉じていくと、モップ9の柄92は、切欠き71を通って行き、二股把持部722の先端部7221を乗り越えて、本体部7222で把持される。これにより、
図11に示されるように、柄92は、略直立した状態となり、払拭部91も内筒2内で略直立した状態となる。すなわち、モップ9は、略直立した状態で維持される。したがって、払拭部91は、内筒2の内面21の略全面に接触する。
【0017】
(2)次に、上蓋7を閉じた状態で、回転駆動モータ31及び吸引モータ41を共に作動させる。回転駆動モータ31が作動すると、駆動軸32、駆動ベルト33、及び回転軸34を介して、内筒2、具体的には周壁20が、回転する。周壁20は、内面21が払拭部91の表面を擦りながら、回転する。なお、内筒2は、正回転と逆回転とが切り替わりながら回転する。これにより、払拭部91に付着している埃が払拭部91から浮き上がり、貫通スリット5から吸引されて、密閉空間101へ至る。一方、吸引モータ41が作動すると、ボックス42及び吸引管43を介して、密閉空間101が吸引される。これにより、密閉空間101に至った埃が、吸引管43を介して吸引されて、ボックス42へ至り、紙パック421によって収集される。そして、作業者は、埃を収集した紙パック421を、ボックス42から取り外して、処分できる。これにより、払拭部91に付着していた埃が除去される。
【0018】
(作用効果について)
(a)回転機構3を作動させることにより、内筒2を回転させて払拭部91の表面を内面21で擦るので、払拭部91に付着している埃を自動で浮き上がらせることができる。そして、吸引機構4を作動させることにより、払拭部91の表面から浮き上がった埃を、自動でボックス42の紙パック421に収集できる。したがって、本発明によれば、モップの払拭部91に付着している埃を自動で除去でき、更には、優れた埃除去性能を発揮できる。
【0019】
(b)特に、内筒2が、正回転と逆回転とが切り替わりながら回転するので、払拭部91に付着している埃を、より良好に浮き上がらせることができる。よって、この点からも、埃除去性能を向上できる。
【0020】
(c)上蓋7によってモップ9を略直立状態に維持できるので、内筒2の内面21の略全面を払拭部91に接触させることができる。よって、内面21が払拭部91の表面を擦りながら回転する、という作動を、良好に実行できる。したがって、この点からも、埃除去性能を向上できる。
【0021】
[第2実施形態]
本実施形態では、
図12に示されるように、内筒2の底部に連れ回り阻止部材6が設けられている。本実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同じである。
図13は、
図12のXIII-XIII断面図である。
【0022】
連れ回り阻止部材6は、内筒2内に収容されたモップ9の払拭部91が内筒2の回転に連れ立って回転するのを阻止するように、設けられている。
図14は、部材6の斜視図である。
図15は、部材6の平面図である。部材6は、不動円板60と、不動円板60の周縁に固定された複数個の上向き突起61と、からなっており、内筒2が回転しても不動であるように内筒2の底面22の上方に設けられている。不動円板60は、具体的には、
図16に示されるように、垂直固定軸601に固定されている。垂直固定軸601は、回転軸34及び内筒2の底面22を貫通しており、回転軸34が回転しても回転しない。ここでは、8個の突起61が不動円板60の周縁に沿って均等に配置されている。突起61の上端611は、8個の突起61で囲まれたスペースに払拭部91の先端部が滑り込むように、内側が低くなるように傾斜した形態を、有している。
【0023】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を発揮できるとともに、更に次の作用効果を発揮できる。すなわち、内筒2が回転する際、払拭部91は、連れ回り阻止部材6によって連れ回りが阻止されるので、払拭部91の表面が内面21によって確実に擦られる。したがって、払拭部91に付着している埃を、払拭部91から、より確実に浮き上がらせることができる。よって、埃除去性能を向上できる。
【0024】
また、本実施形態の連れ回り阻止部材6によれば、隣接する突起61の間に、払拭部91のパイル911(
図7)の先端が嵌り込むので、払拭部91の連れ回りをより良好に阻止できる。
【0025】
[第3実施形態]
本実施形態では、
図17に示されるように、内筒2の内面21に、払拭部91から埃を掻き取るための掻き取り用突起8が、設けられている。本実施形態のその他の構成は、第1実施形態又は第2実施形態と同じである。
図18は、
図17のXVIII-XVIII断面図である。
【0026】
掻き取り用突起8は、内面21から内向きに突出しており、内筒2の軸方向Zに沿って延びている。突起8は、略三角形の横断面形状を、有している。突起8は、例えば3本設けられており、内筒2の円周方向において等間隔に位置している。
【0027】
本実施形態によれば、第1実施形態又は第2実施形態と同様の作用効果を発揮できるとともに、更に次の作用効果を発揮できる。すなわち、内筒2が回転する際、突起8によって払拭部91の表面を強く擦ることができる。したがって、払拭部91の奥に付着している埃であっても、払拭部91から、より確実に浮き上がらせることができる。よって、埃除去性能を向上できる。
【0028】
[別の実施形態]
(1)貫通スリット5は、2本以上形成されてもよい。
【0029】
(2)貫通スリット5は、軸方向Zに沿っていなくてもよい。例えば、貫通スリット5は、周壁20において螺旋状に延びて形成されてもよい。
【0030】
(3)
図19に示されるように、貫通スリット5は、内筒2の内面21に、内向きの突出部51を有するように形成されてもよい。これによれば、払拭部91の表面を、突出部51によって、強く擦ることができる。したがって、払拭部91に付着している埃を、払拭部91から確実に浮き上がらせることができる。よって、この点からも、埃除去性能を向上できる。
【0031】
(4)回転駆動モータ31は、正回転のみ作動するものでもよく、又は、逆回転のみ作動するものでもよい。
【0032】
(5)突起61の形態及び個数は、払拭部91の連れ回りを阻止できる限りは、任意である。
【0033】
(6)突起8の形態及び個数は、払拭部91に付着している埃を浮き上がらせる効果を発揮できる限りは、任意である。
【0034】
(7)本発明の装置10によって自動で埃を除去できるモップは、
図7のモップ9に限らない。払拭部が、円筒状、又は、略円筒状、又は、一部が円弧状の、外観形態を有するモップであれば、本発明の装置10によって自動で埃を除去できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の埃除去装置は、モップの払拭部に付着している埃を自動で除去でき、更には、優れた埃除去性能を発揮できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0036】
1 外筒
2 内筒
20 周壁
21 内面
3 回転機構
4 吸引機構
5 貫通スリット
51 突出部
6 連れ回り阻止部材
7 上蓋
8 掻き取り用突起
9 モップ
91 払拭部
92 柄
10 埃除去装置
101 密閉空間