(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ベントダクトの製造方法およびベントダクト
(51)【国際特許分類】
B60H 1/26 20060101AFI20240813BHJP
B29C 45/16 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B60H1/26 611A
B60H1/26 671B
B29C45/16
(21)【出願番号】P 2020211551
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】杉江 信二
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0389277(US,A1)
【文献】特開平05-116178(JP,A)
【文献】特開2015-064938(JP,A)
【文献】特開2009-083542(JP,A)
【文献】特開2009-046020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0122000(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112061111(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/26
B29C 45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気路が設けられたダクト本体と、該通気路を開閉可能な開閉弁とを備えたベントダクトの製造方法であって、
第1型と第2型とによって形成される第1キャビティに熱可塑性樹脂材料を供給して、前記ダクト本体を成形し、
前記ダクト本体を保持した前記第1型と、前記第2型と入れ替えた第3型とによって形成される第2キャビティに、反応硬化過程において前記ダクト本体とは接着しない反応硬化性樹脂材料を
供給して、前記開閉弁を成形する
ことを特徴とするベントダクトの製造方法。
【請求項2】
前記開閉弁は、前記ダクト本体の前記通気路を覆うとともに該通気路を画成する壁部に設けられた受け面に重ね合わせて成形する請求項1記載のベントダクトの製造方法。
【請求項3】
前記ダクト本体を成形する際に前記第1キャビティの一部をスライド型により封止することで、該ダクト本体に取付部を形成し、
前記開閉弁を成形する際に前記スライド型を移動することで、前記反応硬化性樹脂材料を前記取付部に通して、前記開閉弁を前記ダクト本体に取り付ける請求項1または2記載のベントダクトの製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂材料は、オレフィン系樹脂材料である請求項
1~3
の何れか一項に記載のベントダクトの製造方法。
【請求項5】
前記反応硬化性樹脂材料は、ウレタン系樹脂材料である請求項1~4の何れか一項に記載のベントダクトの製造方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂で構成されて、通気路が設けられたダクト本体と、
反応硬化性樹脂で構成されて、前記通気路を開閉可能な開閉弁と、を備え、
前記ダクト本体は、該ダクト本体を構成する壁部を貫通するように形成された取付部を有し、
前記開閉弁は、
該開閉弁における前記通気路を開閉する弁本体の上縁部に設けられ、前記取付部を埋める嵌合部と、
前記嵌合部に連ねて前記壁部における前記弁本体と反対側に設けられ、前記取付部よりも大きく形成された抜止部と、を有している
ことを特徴とするベントダク
ト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通気路を開閉する開閉弁を備えたベントダクトの製造方法およびベントダクトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、車室内の空気を換気するための排気口として、クォーターベントダクトと呼ばれるダクトが設けられている(例えば特許文献1参照)。クォーターベントダクトは、通気路を有する筒状のダクト本体と、ゴムなどの可撓性を有する材料で形成されて、通気路を開閉可能な開閉弁とを備えている。開閉弁は、ダクト本体において通気路の上側を画成する上壁部に接合されて通気路に垂れ下がっており、車両内外の気圧差により、通気路を塞ぐ閉じ姿勢から車両外向きへのみ開くようになっている。そして、クォーターベントダクトは、開閉弁が車両外向きへ開放することで車室内からの空気の排出を許容する一方で、自重で閉じ姿勢となる開閉弁により車両外側から埃や水などが車室側へ入り込むのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ダクト本体を成形する第1キャビティと、開閉弁を成形する第2キャビティが接していると、ダクト本体と開閉弁とが接合してしまうので、第1キャビティと第2キャビティとの間に遮蔽板を設置して、ダクト本体および開閉弁を型成形している。このため、遮蔽板を成形前に型に設置する作業と、成形後に遮蔽板をベントダクトから取り外す作業とが生じ、手間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、ベントダクトを簡単に得ることができるベントダクトの製造方法およびベントダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るベントダクトの製造方法は、
通気路が設けられたダクト本体と、該通気路を開閉可能な開閉弁とを備えたベントダクトの製造方法であって、
熱可塑性樹脂材料を用いて、前記ダクト本体を成形し、
反応硬化過程において前記ダクト本体とは接着しない反応硬化性樹脂材料を用いて、前記開閉弁を成形することを要旨とする。
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るベントダクトは、
熱可塑性樹脂で構成されて、通気路が設けられたダクト本体と、
反応硬化性樹脂で構成されて、前記通気路を開閉可能な開閉弁と、を備え、
前記ダクト本体は、該ダクト本体を構成する壁部を貫通するように形成された取付部を有し、
前記開閉弁は、
該開閉弁における前記通気路を開閉する弁本体の上縁部に設けられ、前記取付部を埋める嵌合部と、
前記嵌合部に連ねて前記壁部における前記弁本体と反対側に設けられ、前記取付部よりも大きく形成された抜止部と、を有していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るベントダクトの製造方法によれば、ベントダクトを簡単に得ることができる。
本発明に係るベントダクトによれば、簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例に係るベントダクトを示す概略斜視図である。
【
図2】実施例のベントダクトを示す縦断面図である。
【
図5】実施例のベントダクトの製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係るベントダクトの製造方法およびベントダクトにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、自動車等の車両に設置される車両用のベントダクトを例示する。
【実施例】
【0011】
図2に示すように、実施例に係るベントダクト10は、車体構成部材Sに形成された取付口Saに嵌め合わせて取り付けられている。ベントダクト10は、リアバンパーなどの車両外装部材(図示せず)によって外側が覆われて、車両外側から隠されている。ベントダクト10は、車両外側に通じる通気路Tを有し、この通気路Tが車体構成部材Sの内側に設けられた車室側空間に繋がっている。ベントダクト10は、上流が車室に繋がる車室側空間の空気を、通気路Tを通して車両外側へ排出可能になっている。
【0012】
図1および
図2に示すように、ベントダクト10は、通気路Tを介して空気が流通可能に構成されたダクト本体12を備えている。また、ベントダクト10は、ダクト本体12に取り付けられて、通気路Tを開閉可能な開閉弁14を備えている。なお、通気路Tにおいて、開閉弁14で閉じられる部位を通気口12aという。実施例のベントダクト10は、通気路Tにおける通気口12aを通る部位が水平方向横向きになるように車体構成部材Sに取り付けられている。
【0013】
なお、以下の説明では、通気路Tにおいて、通気口12aに対して車両外側に通じる側を通気外側といい、通気口12aに対して車室側に通じる側を通気内側という。また、車両上下方向と交差する水平方向が、ベントダクト10の横方向になる。また、通気路Tは、車室側を上流といい、車両外側を下流という場合がある。
【0014】
ダクト本体12は、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂で構成された硬質の樹脂成形品である。
図1に示すように、実施例のダクト本体12の主要部は、上下の壁部18,20および左右の横壁部22,22によって横長略矩形の開口形状の通気路Tを有する筒形に形成されている。また、ダクト本体12の主要部には、上壁部18と下壁部20との間に延在して通気路Tを左右に区切る板状の区画壁部24が、横方向に離間して複数設けられている。そして、ダクト本体12は、横壁部22,22、下壁部20および区画壁部24の通気外側に臨む面によって上から下に向かうにつれて通気外側へ傾く受け面12bが設けられ、この受け面12bによって閉じ姿勢の開閉弁14を受け止めるようになっている。実施例では、ダクト本体12の主要部が形成する通気路Tの中で、受け面12bによって受け止められた開閉弁14によって塞がれる箇所が通気口12aである。
【0015】
図2に示すように、ダクト本体12は、上壁部18から下方へ張り出すように形成された取付壁部(壁部)28を有している。実施例では、取付壁部28における通気外側に臨む面が、区画壁部24における通気外側に臨む面に揃っている。取付壁部28には、該取付壁部28を通気内外方向に貫通する貫通孔である取付部30が設けられている(
図2参照)。実施例の取付部30は、取付壁部28の左右方向へ細長に形成されたスリット形状である(
図3参照)。また、実施例の取付部30は、上壁部18が通気内外方向へ延びる方向(ダクト本体12の第1型42からの型抜き方向)に沿って貫通している。
【0016】
図1に示すように、ダクト本体12には、該ダクト本体12の外郭をなす各壁部18,20,22,22の前端から延出する板状のフランジ部32が全周に亘って形成されている。
図2に示すように、ベントダクト10は、車体構成部材Sに形成された取付口Saにダクト本体12の外郭をなす壁部18,20,22,22を挿入すると共に、フランジ部32を取付口Saの開口縁に重ねた状態で車体に取り付けられる。
【0017】
図2に示すように、ダクト本体12には、上壁部18および下壁部20の外面に、ベントダクト10を車体に取り付けた際に、車体構成部材Sの取付口Saの開口縁に当たるリブ状の当接部34が設けられている。また、上壁部18および下壁部20には、ベントダクト10を車体に取り付けるための係止部36が設けられている。係止部36は、壁部18,20の外面から突出した後に通気外側へ屈曲する鉤形状であり、ベントダクト10を車体に取り付けた際に車体構成部材Sに引っ掛かる。
【0018】
開閉弁14は、弾性変形可能な薄い板状体である。開閉弁14は、ダクト本体12を構成する熱可塑性樹脂とは反応硬化過程で接着しない反応硬化性樹脂で構成されている。このような反応硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂などが挙げられる。なお、ウレタン系樹脂の材料としては、1液性であっても、2液性であっても、何れであってもよい。また、例えば、無極性の熱可塑性樹脂でダクト本体12を構成すれば、極性を有する反応硬化性樹脂で開閉弁14を構成してもよい。開閉弁14は、ダクト本体12がセットされた成形型40で成形された樹脂成形品である。
【0019】
図2に示すように、開閉弁14は、該開閉弁14における通気路Tを開閉する弁本体14aを有している。また、開閉弁14は、弁本体14aの上縁部に設けられ、取付部30を埋める嵌合部14bと、嵌合部14bに連ねて取付壁部28における弁本体14aと反対側に設けられ、取付部30よりも大きく形成された抜止部14cとを有している(
図2および
図4参照)。開閉弁14は、弁本体14aが取付壁部28の通気外側に配置されて、取付部30に対して所謂アンダーカット形状の抜止部14cが取付壁部28の通気内側に配置されている。実施例において、弁本体14aと抜止部14cとを繋ぐ嵌合部14bは、取付部30に隙間なく嵌まっている。実施例の抜止部14cは、左右細長の取付部30に対応して左右へ細長く形成されている。また、抜止部14cは、取付部30の上下に張り出すように形成されると共に、上下方向中央部に左右方向へ延びる溝15が取付部30と同じ形状で形成されている。開閉弁14は、ダクト本体12がセットされた成形型40で型成形されるものの、弁本体14a、嵌合部14bおよび抜止部14cの何れもダクト本体12と接着していない。開閉弁14は、抜止部14cが取付壁部28に引っ掛かっているだけで、通気路Tに吊り下がる弁本体14aに、閉じ姿勢に向けて自重が作用するようになっている。
【0020】
ベントダクト10は、上縁部をダクト本体12に取り付けた開閉弁14の弁本体14aが通気路Tに吊り下がり、可撓性を有する弁本体14aの自重による通気内側への変位がダクト本体12での受け面12bで規制されて、通気路Tを塞ぐ閉じ姿勢になる(
図2実線参照)。ベントダクト10は、自重で閉じ姿勢となった弁本体14aによって、通気路Tを塞いで車両外側からの埃や水などの異物の侵入を防止する。また、ベントダクト10は、ドアを閉じたときなどの車室内外の気圧差により弁本体14aが通気外側へ弾性変形することで通気路Tを開放し、車室内から車両外側へ向けた空気の流通を許容する(
図2の二点鎖線参照)。
【0021】
次に、実施例のベントダクト10の製造方法について、
図5を主に参照して以下に説明する。まず、第1型42と第2型44とによって形成される第1キャビティ45に熱可塑性樹脂材料を供給して、ダクト本体12を成形する(
図5(a)および(b)参照)。ダクト本体12を成形する際に、第1キャビティ45における取付壁部28に対応する部分の一部を、スライド型43により封止することで、ダクト本体12に取付壁部28を貫通する取付部30を形成する。
【0022】
次に、ダクト本体12を保持した第1型42と、第2型44と入れ替えた第3型46とによって形成される第2キャビティ47に、反応硬化過程においてダクト本体12と接着しない反応硬化性樹脂材料を供給して、開閉弁14を成形する(
図5(c)および(d)参照)。開閉弁14を成形する際に、スライド型43を移動することで、反応硬化性樹脂材料を取付部30に通して、取付部30を埋めて嵌合部14bを形成すると共に、スライド型43と取付壁部28との間で抜止部14cを形成する。このとき、開閉弁14の弁本体14aは、ダクト本体12の通気路Tを覆うとともに該通気路Tを画成する横壁部22,22、下壁部20、取付壁部28および区画壁部24の受け面12bに重ね合わせて成形している。このように、開閉弁14を成形するだけで、抜止部14cが取付壁部28に引っ掛かって、開閉弁14がダクト本体12に取り付けられる。なお、反応硬化性樹脂材料は、第2キャビティ47におけるスライド型43によって区画される部位(抜止部14cに対応する部位)から遠い部位(弁本体14aの下縁)から充填することが好ましい。このようにすると、開閉弁14の成形時に、抜止部14c側にガスを抜くことができ、弁本体14aにガスの影響がでないようにすることができる。
【0023】
前述した製造方法によれば、熱可塑性樹脂材料を用いて、ダクト本体12を成形し、反応硬化過程においてダクト本体12とは接着しない反応硬化性樹脂材料を用いて、開閉弁14を成形している。このため、ダクト本体12がセットされた成形型40にて開閉弁14を形成しても、開閉弁14がダクト本体12に接着することはない。従って、前述した製造方法によれば、ダクト本体12と開閉弁14との間に遮蔽物を設置したり、ダクト本体12に開閉弁14が接着しないコーティングを施すなどの処理を行ったりするなどの手間を省くことができ、ベントダクト10を簡単で安価に得ることができる。また、開閉弁14を型成形することで、開閉弁14をシートから打ち抜き加工する場合のように端末がカールするような変形を防止することができ、開閉弁14の閉じ姿勢において通気路Tを適切に塞ぐことができる。
【0024】
前述したように、ダクト本体12がセットされた成形型40にて開閉弁14を形成しても、開閉弁14がダクト本体12に接着することはない。このため、開閉弁14を、ダクト本体12の通気路Tを覆うとともに該通気路Tを画成する横壁部22,22、下壁部20、取付壁部28および区画壁部24の受け面12bに重ね合わせて成形することができる。このように、通気路Tを閉じた姿勢で開閉弁14を成形することで、開閉弁14を開き姿勢で成形する場合と比べて、成形型40のサイズを小さくすることができる。従って、成形型40のコストを低減することができる。しかも、開閉弁14をダクト本体12の成形収縮などの変化に応じて、ダクト本体12に沿うように形成することができるので、開閉弁14の閉じ姿勢において通気路Tを適切に塞ぐことができる。
【0025】
前述したように、第1型42と第2型44とによって形成される第1キャビティ45に熱可塑性樹脂材料を供給して、ダクト本体12を成形する。そして、ダクト本体12を保持した第1型42と、第2型44と入れ替えた第3型46とによって形成される第2キャビティ47に、反応硬化性樹脂材料を供給して、開閉弁14を成形している。このように、第1型42をダクト本体12の成形と開閉弁14の成形とにおいて共通に用いることで、成形型40のコストを低減することができる。
【0026】
前述したように、ダクト本体12を成形する際に第1キャビティ45の一部をスライド型43により封止することで、ダクト本体12に取付部30を形成する。そして、開閉弁14を成形する際にスライド型43を移動することで、反応硬化性樹脂材料を取付部30に通して、開閉弁14をダクト本体12に取り付けている。このように、ダクト本体12と開閉弁14とは接着しないが、開閉弁14を取付部30に通してダクト本体12に取り付けることができ、この取り付けを開閉弁14の成形時に合わせて行うことができる。従って、ベントダクト10を簡単で安価に得ることができる。
【0027】
反応硬化性樹脂材料がウレタン系樹脂材料であることで、TPO(オレフィン系エラストマー)等の合成樹脂材料と比べて成形型40内での流動性がよいことから、開閉弁14を薄くすることができる。
【0028】
ベントダクト10は、ダクト本体12を熱可塑性樹脂で構成すると共に、開閉弁14をダクト本体12とは反応硬化過程で接着しない反応硬化性樹脂で構成することで、ダクト本体12がセットされた成形型40にて開閉弁14を形成し、ベントダクト10を簡単に得ることができる。しかも、ベントダクト10は、ダクト本体12と開閉弁14とが成形過程で接着しなくても、ダクト本体12の取付壁部28に貫通する取付部30を埋める嵌合部14bに連ねて設けられて、取付部30よりも大きな抜止部14cによって、開閉弁14を適切に取り付けることができる。また、取付部30の位置を下げることが可能であり、取付部30の位置が下がることで、弁本体14aを小さくすることができる。なお、抜止部14cは、上下方向中央部に左右方向へ延びる溝15が形成されていることで、抜止部14cが変形し易くなり、弁本体14aの開閉を円滑に行うことができる。
【0029】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例および以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)ベントダクトの形状は、実施例の形状に限らない。例えば、区画壁部を省略してもよい。また、ダクト本体は、左右の横壁部の間および/または区画壁部の間に、仕切壁部を設け、通気路を上下に区切るよう構成してもよい。この場合に、下側の通気路の上側を画成する仕切壁部の後縁に開閉弁の上縁部を取り付けるようにしてもよい。このように、上下に区画された通気路のそれぞれを、上下に配置した複数の開閉弁で塞ぐ構成にも採用し得る。また、ベントダクトは、左右に並べて配置した複数の開閉弁により通気路を塞ぐように構成してもよい。実施例では、ダクト本体が横長矩形形状の開口を有する筒形に形成されているが、縦長矩形形状や正方形などの開口を有する筒形であってもよい。
(2)開閉弁とダクト本体のフランジ部などに設けるシール部を同じ材料で形成してもよい。この場合、開閉弁の成形に併せてシール部を成形してもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 ベントダクト,12 ダクト本体,12b 受け面,14 開閉弁,
14a 弁本体,14b 嵌合部,14c 抜止部,28 取付壁部(壁部),
30 取付部,42 第1型,43 スライド型,44 第2型,45 第1キャビティ,
46 第3型,47 第2キャビティ,T 通気路