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特許7536638カテーテルのための多目的検知及び高周波(RF)アブレーション渦巻き型電極
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  • 特許-カテーテルのための多目的検知及び高周波(RF)アブレーション渦巻き型電極 図1
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  • 特許-カテーテルのための多目的検知及び高周波(RF)アブレーション渦巻き型電極 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】カテーテルのための多目的検知及び高周波(RF)アブレーション渦巻き型電極
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020218528
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2021109102
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】16/730,128
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-126564(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0303012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置であって、
患者の身体に挿入するために、プローブの遠位端部に配設された渦巻き型電極と、
インターフェース回路であって、
前記身体内の組織をアブレーションするために、高周波(RF)アブレーション信号を前記電極に伝送し、
前記身体内の前記遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して前記電極にわたって発生する電圧を出力し、
前記電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、前記電極を通して電流を伝送するように構成されている、インターフェース回路と、を備える、電気装置。
【請求項2】
前記渦巻き型電極が、単軸コイル位置センサとして構成されている、請求項1に記載の電気装置。
【請求項3】
前記渦巻き型電極が、プリント回路基板(PCB)の第1の面上に配設され、前記渦巻き型電極の第1の端部が前記第1の面上に配設され、前記渦巻き型電極の第2の端部が、ビアホールを通して前記PCBの第2の面に接続されている、請求項1に記載の電気装置。
【請求項4】
前記インターフェース回路が、前記RFアブレーション信号のソースと前記電極との間の前記導体上にハイパスフィルターを含む、請求項1に記載の電気装置。
【請求項5】
前記渦巻き型電極によって印加される前記RFアブレーション信号のための電気回路を閉路するように構成された表面電極を備える、請求項1に記載の電気装置。
【請求項6】
前記インターフェース回路が、前記渦巻き型電極と前記RFアブレーション信号のソースとの間の導電体上に絶縁コンデンサを含む、請求項1に記載の電気装置。
【請求項7】
製造方法であって、
患者の身体に挿入するために、渦巻き型電極をプローブの遠位端部に配設することと、
前記渦巻き型電極にインターフェース回路を接続することであって、前記インターフェース回路が、
前記身体内の組織をアブレーションするために、高周波(RF)アブレーション信号を前記電極に伝送し、
前記身体内の前記遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して前記電極にわたって発生する電圧を出力し、
前記電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、前記電極を通して電流を伝送するように構成されている、接続することと、を含む、製造方法。
【請求項8】
前記渦巻き型電極を配設することが、前記渦巻き型電極を、前記電極の第1の端部を含めて、プリント回路基板(PCB)の第1の面上に配設することと、前記渦巻き型電極の第2の端部を、ビアホールを通して前記PCBの第2の面に接続することと、を含む、請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療用プローブ、具体的には、心臓検知及びアブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
組織アブレーション用の心臓カテーテルは、それらの遠位端部に複数のセンサ及びアブレーション電極を含んでもよく、異なる装置は、典型的には、他方の1つに電気的に絶縁されている。例えば、温度センサは、アブレーション電極によって被覆される領域内に埋め込まれて、その電極のアブレーション温度を測定するこが、別個の導電体を有してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態は、渦巻き型電極及びインターフェース回路を含む電気装置を提供する。渦巻き型電極は、患者の身体に挿入するために、プローブの遠位端部に配設される。インターフェース回路は、(a)身体内の組織をアブレーションするために、高周波(radiofrequency、RF)アブレーション信号を電極に伝送し、(b)身体内の遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して電極にわたって発生する電圧を出力し、(c)電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、電極を通して電流を伝送するように構成されている。
【0004】
いくつかの実施形態では、渦巻き型電極は、単軸コイル位置センサとして構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、渦巻き型電極は、プリント回路基板(Printed Circuit Board、PCB)の第1の面上に配設され、渦巻き型電極の第1の端部は、第1の面上に配設され、渦巻き型電極の第2の端部は、ビアホールを通してPCBの第2の面に接続される。
【0006】
一実施形態では、インターフェース回路は、RFアブレーション信号のソースと電極との間の導体上にハイパスフィルターを含む。
【0007】
別の実施形態では、電気装置は、渦巻き型電極によって印加されるRFアブレーション信号のための電気回路を閉路するように構成された表面電極を更に含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、インターフェース回路は、渦巻き型電極とRFアブレーション信号のソースとの間の導電体上に絶縁コンデンサを含む。
【0009】
本発明の別の実施形態に従い、プローブの遠位端部に配設された渦巻き型電極を患者の身体に挿入することを含む方法が、加えて提供される。高周波(RF)アブレーション信号は、身体内の組織をアブレーションするために、電極に伝送される。外部磁場に応答して電極にわたって発生する電圧は、身体内の遠位端部の位置を測定するために出力される。電流は、電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、電極を通して伝送される。
【0010】
本発明の別の実施形態に従い、渦巻き型電極を、患者の身体に挿入するためにプローブの遠位端部に配設することを含む製造方法が、更に提供される。インターフェース回路は、渦巻き型電極に接続され、このインターフェース回路は、(a)身体内の組織をアブレーションするために、高周波(RF)アブレーション信号を電極に伝送し、(b)身体内の遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して電極にわたって発生する電圧を出力し、(c)電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、電極を通して電流を伝送するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、渦巻き型電極を配設することは、渦巻き型電極を、電極の第1の端部を含めて、プリント回路基板(PCB)の第1の面上に配設することと、渦巻き型電極の第2の端部を、ビアホールを通してPCBの第2の面に接続することと、を含む。
【0012】
本発明は、以下の発明を実施するための形態から、図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に従う、カテーテルベースの位置追跡及び高周波(RF)アブレーションシステムの概略描写図である。
図2】本発明の実施形態に従う、渦巻き型多目的電極及びその導体を備える、図1のカテーテルのカテーテル先端部の概略描写図である。
図3】本発明の実施形態に従う、位置検知、高周波(RF)アブレーション、及び温度検知のために、図2のカテーテル先端部の渦巻き型電極を使用するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概論
高周波(RF)アブレーションに使用されるカテーテルは、アブレーション電力を送達することができる電極を必要とする。加えて、カテーテル位置を追跡し、アブレーション中に電極温度を測定してもよい。これら3つの条件は、電極、単軸又は三軸磁気センサなどの追跡デバイス、及び熱電対などの温度センサという、3つの別個のシステムによって果たされてもよい。3つの別個のシステムは、3つの別個のセットの接続を必要とし、そのうちのいくつかは、それ自体が問題となり得る。(例えば、銅コンスタンタン熱電対のコンスタンタンは脆性であり、容易に破壊される。)問題の存在にかかわらず、3つの別個のシステムをカテーテル先端部の先端部に統合することは、元来複雑なことである。
【0015】
以下に説明する本発明の実施形態では、3つの機能を提供することができる1つの電極を使用する。いくつかの実施形態では、渦巻き型電極は、患者の身体に挿入するために、プローブの遠位端部に配設される。電気装置のインターフェース回路は、(a)身体内の組織をアブレーションするために、高周波(RF)アブレーション信号を電極に伝送し、(b)身体内の遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して電極にわたって発生する電圧を出力し、(c)電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、電極を通して電流を伝送するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、電極は、フレキシブルプリント回路基板(PCB)の片面に平坦な高密度の渦巻として形成され、この渦巻の一端がPCBの一方の面上に接続される。PCBの他方の面は、PCB内のめっきした保持具(「ビア」)を介して渦巻の他方の端部に接続するために使用される。渦巻は、典型的には、金などの金属から形成される。一実施形態では、渦巻は、およそ4mm×4mmの正方形の形態であり、渦巻の線は、幅およそ25μmであり、およそ25μmで離隔している。直線状、湾曲(curve)、又は曲線状(curvilinear)の渦巻のいずれの一般的な渦巻き形状も可能であり、特に、楕円形又は円形の形状が利用され得る。
【0017】
本明細書で使用する場合、任意の数値又は数値の範囲についての「約」又は「およそ」という用語は、構成要素又は構成要素の集合が、本明細書に記載されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法許容差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指してもよい。
【0018】
渦巻は、大きな面積を有することで、RFアブレーション電力を伝送し、アブレーション電極として作動することができる。更に、アブレーションRF電力は、以下に示すように、渦巻の両端部に接続されているため、RF電力は、渦巻の線に沿って伝送されない。その代わりに、すべての電力は、渦巻き型表面から、患者を通り、患者の皮膚に取り付けられたリターン電極へと伝送する。アブレーションRF電力は、典型的には、350~500kHzの周波数範囲を有し、これは、一実施形態では、以下に示すように、絶縁コンデンサ(又は他の好適なハイパスフィルター)を通して渦巻き型電極に提供される。
【0019】
電極は、渦巻き型の形態であるため、渦巻き型電極を横断する交番磁場に応答する単軸磁気センサとして作動することができ、これらの磁場は、渦巻の2つの端部にわたって電位Vを発生させる。(交番磁場は、典型的にはおよそ20kHzに等しい周波数を有するため、例えば絶縁コンデンサを使用して、アブレーション電力から容易に絶縁することができる)。電極が位置センサとして作動するように、電位Vを使用して、センサの位置及び向きを見出すことができる。
【0020】
金属(例えば、金)製渦巻の比抵抗は、非常によく知られている関係で、温度とともにそのとともに変化する(金の温度係数は0.003715℃-1である)。このようにして、渦巻の抵抗Rを測定することにより、温度の測定値が得られる。例えば、20℃で30Ωの抵抗(上記の4mm×4mmの渦巻の近似抵抗)を有する金製渦巻は、21℃で30.1Ωの抵抗を有する。渦巻の抵抗Rは、例えば、渦巻をホイートストンブリッジの1つのアームとして接続することによって、インピーダンス読取り回路を使用して測定してもよい。このようにして、電極は、抵抗温度計として作動することができる。一実施形態では、上述の電気絶縁コンデンサにより、測定された抵抗が渦巻の抵抗であることが確実となる。
【0021】
本発明の渦巻を使用し得るカテーテルの種類に制限はなく、すなわち、渦巻は、フォーカル、バスケット、バルーン、ラッソー、又は他の種類のカテーテルに組み込まれてもよい。
【0022】
渦巻の3つの機能すべてを実行するための要件も存在しない。このため、いくつかの実施形態では、1つの機能のみが使用され、他の実施形態では、3つの機能のうちの2つのみが使用され、他の実施形態では、3つの機能すべてが使用される。
【0023】
上記のようなカテーテルの多目的電極を提供することにより、カテーテルの複雑さ及び価格を低下させることができ、それにより、カテーテルベースのRFアブレーション処置の利用可能性を増加させることができる。
【0024】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態に従う、カテーテルベースの位置追跡及び高周波(RF)アブレーションシステム20の概略描写図である。システム20は、カテーテル21のシャフト22の遠位端部22aに装着されたカテーテル先端部40(挿入図25に見られる)を備える。RFアブレーション先端部40は、磁気センサとして及び温度センサとして更に作動する渦巻き型電極50(図2に詳述)を備える。本明細書に記載の実施形態では、渦巻き型電極50は、心臓26内のPVの開口部51の組織をアブレーションするために使用される。
【0025】
カテーテル21の近位端部は、RFアブレーション電源45を含む制御コンソール24に接続される。アブレーションパラメータを含むアブレーションプロトコルが、コンソール24のメモリ48に記憶される。
【0026】
医師30は、シース23を介してシャフト22の遠位端部22aを、台29に横たわる患者28の心臓26に挿入する。医師30は、カテーテルの近位端部付近にあるマニピュレータ32、及び/又はシース23からの偏向を使用してシャフト22を操作することによって、心臓26内の標的位置へとシャフト22の遠位端部を前進させる。遠位端部22aを挿入する間、カテーテル先端部40はシース23の内部に維持されて、標的位置への経路に沿った血管外傷を最小限に抑える。
【0027】
一実施形態では、医師30は、カテーテル先端部40の方向を追跡することによって、シャフト22の遠位端部を標的位置にナビゲートする。心臓26における遠位端部22aをナビゲートする間、コンソール24は、外部磁場発生器36からの磁場に応答して磁気センサとして作動するカテーテル先端部40において、渦巻き型電極50から信号を受信する。磁場発生器36は、例えば、患者の台29の下など、患者28の外部の既知の位置に配置される。コンソール24はまた、磁場発生器36を駆動するよう構成されているドライバ回路34を備える。
【0028】
例えば、信号を使用して、システムのプロセッサ41は、心臓内のカテーテル先端部40の方向を推定し、任意選択で、例えば開口部51の近似的対称性の軸の向きに対して、追跡された方向をディスプレイ27に提示する。一実施形態では、コンソール24は、心臓26内のカテーテル先端部40の追跡された位置を示すディスプレイ27を駆動する。
【0029】
外部磁場を使用するこの方向検知方法は、例えば、Biosense-Websterにより製造されているCARTO(商標)システムなどの様々な医療的用途に実装されており、また、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されており、これらの先行する出願は、付録に添付されているコピーとともに、完全に記載されているのと同様に、その全体が参照によりここで本出願に組み込まれる。一実施形態では、渦巻き型電極50からの信号は、上述のCARTO(商標)システムを使用した位置検知に更に使用される。
【0030】
シャフト22の遠位端部22aが心臓26に到達すると、医師30は、シース23を後退させ、シャフト22を更に操作してカテーテル先端部40を肺静脈の開口部51へとナビゲートする。次にカテーテル先端部40が組織に接触している間、医師は、先端部40上の渦巻き型電極50と、対象の外部に、例えば、対象の背中に連結された不関(すなわち、中性)電極パッチとの間にRF電流を通す。パッチは、単一の電極であっても、ケーブル37内に配線されるワイヤによって接続された状態で示される電極38などのいくつかの電極で作製されてもよい。プロセッサ41は、電流を発生させるRF発生器45に適切な命令を出力することによって、アブレーション電流のパラメータを調節する。
【0031】
その機能を更に実行するために、プロセッサ41は、温度検知モジュール47を含む。例示のシステムでは、温度検知モジュール47は、渦巻き型電極50の2つの端部の間で測定され、シャフト22を通って配線されたワイヤによってプロセッサ41に伝導される、電気インピーダンス信号を受信する。
【0032】
プロセッサ41は、典型的には、フロントエンドと、(a)電極38からのECG信号を受信するためのECGインターフェース回路44と、(b)カテーテル21からの信号を受信するとともに、心臓26の左心房内でカテーテル21を介してRFエネルギー処置を施し、更にシステム20の他の構成要素を制御するための電気インターフェース回路55と、を備えた汎用コンピュータである。プロセッサ41は、典型的には、本明細書に記載される機能を実行するようにプログラムされた、システム20のメモリ48内のソフトウェアを含む。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替として若しくは更には、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上で提供及び/若しくは記憶されてもよい。具体的には、プロセッサ41は、以下で更に説明するように、プロセッサ41が本開示の工程を行うことを可能にする、本明細書に開示され、図3に含まれる専用のアルゴリズムを実行する。
【0033】
図1は先端カテーテルを説明しているが、本技術の原理は、Pentarayカテーテル及びOctarayカテーテル(Biosense-Webster製)などの、複数の電極が装着された遠位端部を有するいずれのカテーテルにも適用される。
【0034】
カテーテル用の多目的検知及びRFアブレーション渦巻き型電極
図2は、本発明の実施形態に従う、渦巻き型多目的電極50及びその電気インターフェース回路55を備える、図1のカテーテルのカテーテル先端部40の概略描写図である。電気インターフェース回路55は、導体(52、54、46、49)及びコンデンサ(57、59)又は他の好適なハイパスフィルターを備え、(a)身体内の組織をアブレーションするために、高周波(RF)アブレーション信号を電極50に伝送し、(b)身体内の遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して電極50にわたって発生する電圧を出力し、(c)電極50付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、電極50を通して電流を伝送するために使用される。
【0035】
見て取れるように、電極50は、2Dの平坦な高密度金属製渦巻として形成される。渦巻き型電極の示されている外形は正方形であるが、任意の一般的な直線状、湾曲、又は曲線状の渦巻き形状が可能であり、特に、楕円形又は円形の形状である。一実施形態では、金属製渦巻は、断面で見て、フレキシブルPCB60上に配設される。しかしながら、先端部の形状に適合するように製造することができる他の種類の基板を使用してもよい。更に見て取れるように、渦巻の中心は、PCB60のビア62を使用して、PCBの裏面にある導体52に電気的に接続される。渦巻の外周は導体54に接続される。
【0036】
渦巻き型電極50は、RFアブレーション電力を伝送し、アブレーション電極として作動することができる。更に、アブレーションRF電力は、渦巻の両端部に、すなわち、導体52及び54を単一の導体49に短絡させることにより(絶縁コンデンサ57及び59の近位に)接続されているため、RF電力は、渦巻の線に沿って伝送されず、すべての電力が、導体49によって、渦巻の表面から出て、患者を通り、患者の皮膚に取り付けられた戻り電極38へと、更にケーブル37を介して伝送され、発生器45の出力リード線において電気回路を閉路する。
【0037】
導体46が更に示される。渦巻き型電極50は、渦巻き型電極を横断する交番磁場に応答する単軸磁気センサとして作動することができ、これらの磁場は、導体46の2つの端部にわたってVを発生させる。(交番磁場は、典型的にはおよそ20kHzに等しい周波数を有するため、コンデンサ57及び59を使用して、アブレーション電力から容易に絶縁することができる)。電極が位置センサとして作動するように、低周波電位Vを使用して、センサの位置及び向きを見出すことができる。
【0038】
渦巻の金属は、その比抵抗を、電極材料の組成に依存する極めてよく知られている関係で、温度により変化させる。このようにして、導体46間の渦巻の抵抗Rを測定することにより、モジュール47を使用して、温度測定値が得られる。このようにして、渦巻き型電極は、抵抗温度計として作動することができる。一実施形態では、上述の電気絶縁コンデンサ57及び59により、測定された抵抗が渦巻自体の抵抗であり、例えば、発生器45の出力抵抗によって重み付けされた抵抗ではないことが確実となる。
【0039】
図2の挿入図130により示されるように、開示の渦巻き型電極150は、代替的に、カテーテルの三次元ドーム形遠位先端部140上に配設されてもよく、それにより、渦巻き型トレースを有するフレキシブルPCBがドームの上に適合するようになる。更に見て取れるように、渦巻き型電極150は、この三次元形状で配設され、渦巻の中心は、導体152に電気的に接続され、渦巻の外周は、導体154に接続される。
【0040】
図2に示される側面描写図は、他の実施形態が可能である例として選択されている。例えば、別の実施形態では、電極50内の灌注孔(図示せず)を介して冷却流体が流動し、アブレーションされた組織を冷却する。
【0041】
図3は、本発明の実施形態に従う、位置検知、高周波(RF)アブレーション、及び温度検知のために、図2のカテーテル先端部40の渦巻き型電極50を使用するための方法を概略的に示すフローチャートである。このアルゴリズムは、提示された実施形態に従い、カテーテル先端部ナビゲーション工程80において、医師30が、渦巻き型電極50を磁気センサとして使用して、開口部51などの患者の心臓26内の標的組織位置にカテーテル先端部40をナビゲートする時に開始するプロセスを実行する。
【0042】
次に、カテーテル先端部位置付け工程82において、医師30は、カテーテル先端部を開口部51に位置付ける。このプロセスにおいて、医師30は、カテーテル先端部40を標的組織に接触させる。
【0043】
次に、プロセッサ41は、電極温度測定工程84において、インピーダンス検知モジュール47を使用して、渦巻き型電極50の抵抗を測定し、電極温度を決定する。
【0044】
次に、医師30は、RFアブレーション工程86において、渦巻き型電極50をRF電源45に接続し、渦巻き型電極50を介してアブレーションエネルギーを印加するように、インターフェース回路44を制御する。
【0045】
アブレーションエネルギーを印加する間、プロセッサ41は、温度点検工程88において、電極50の温度を測定し、測定された温度を予め設定された最高温度と比較する。
【0046】
温度が予め設定された最高温度を下回る場合、プロセッサ41は、RF電力印加継続工程90において、電極50を介してRF電力を印加し続けるように、インターフェース回路44を制御する。
【0047】
一方、温度が予め設定された最高温度を上回る場合、プロセッサ41は、RF電力遮断工程92において、RF電源を電極50から切り離すように、インターフェース回路44を制御する。
【0048】
図3に示す例示的なフローチャートは、単に概念を明確化する目的で選択されている。代替的な実施形態では、追加の工程、例えば、電極50の温度を予め設定された最低温度と比較すること、及び電極50の温度がアブレーションRFエネルギーの印加開始後の所与の期間内に予め設定された最低温度を超えていない場合には、電極50をRF電源から切り離すことなどを行ってもよい。
【0049】
本明細書に記載される実施形態は、主に肺静脈隔離に対処するが、本明細書に記載される方法及びシステムはまた、例えば、腎除神経、脳血管用途、及び耳鼻咽喉など、身体組織のRFアブレーションを必要とする他の用途にも使用することができる。
【0050】
したがって、上で説明される実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上で具体的に図示及び説明されるものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれる文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) 電気装置であって、
患者の身体に挿入するために、プローブの遠位端部に配設された渦巻き型電極と、
インターフェース回路であって、
前記身体内の組織をアブレーションするために、高周波(RF)アブレーション信号を前記電極に伝送し、
前記身体内の前記遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して前記電極にわたって発生する電圧を出力し、
前記電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、前記電極を通して電流を伝送するように構成されている、インターフェース回路と、を備える、電気装置。
(2) 前記渦巻き型電極が、単軸コイル位置センサとして構成されている、実施態様1に記載の電気装置。
(3) 前記渦巻き型電極が、プリント回路基板(PCB)の第1の面上に配設され、前記渦巻き型電極の第1の端部が前記第1の面上に配設され、前記渦巻き型電極の第2の端部が、ビアホールを通して前記PCBの第2の面に接続されている、実施態様1に記載の電気装置。
(4) 前記インターフェース回路が、前記RFアブレーション信号のソースと前記電極との間の前記導体上にハイパスフィルターを含む、実施態様1に記載の電気装置。
(5) 前記渦巻き型電極によって印加される前記RFアブレーション信号のための電気回路を閉路するように構成された表面電極を備える、実施態様1に記載の電気装置。
【0052】
(6) 前記インターフェース回路が、前記渦巻き型電極と前記RFアブレーション信号のソースとの間の導電体上に絶縁コンデンサを含む、実施態様1に記載の電気装置。
(7) 方法であって、
プローブの遠位端部に配設された渦巻き型電極を患者の身体に挿入することと、
前記身体内の組織をアブレーションするために、高周波(RF)アブレーション信号を前記電極に伝送することと、
前記身体内の前記遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して前記電極にわたって発生する電圧を出力することと、
前記電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、前記電極を通して電流を伝送することと、を含む、方法。
(8) 製造方法であって、
患者の身体に挿入するために、渦巻き型電極をプローブの遠位端部に配設することと、
前記渦巻き型電極にインターフェース回路を接続することであって、前記インターフェース回路が、
前記身体内の組織をアブレーションするために、高周波(RF)アブレーション信号を前記電極に伝送し、
前記身体内の前記遠位端部の位置を測定するために、外部磁場に応答して前記電極にわたって発生する電圧を出力し、
前記電極付近の組織温度を示す抵抗率を測定するために、前記電極を通して電流を伝送するように構成されている、接続することと、を含む、製造方法。
(9) 前記渦巻き型電極を配設することが、前記渦巻き型電極を、前記電極の第1の端部を含めて、プリント回路基板(PCB)の第1の面上に配設することと、前記渦巻き型電極の第2の端部を、ビアホールを通して前記PCBの第2の面に接続することと、を含む、実施態様8に記載の製造方法。
図1
図2
図3