(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】鋸歯状のカッティングジョーを備えた生検鉗子
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20240813BHJP
A61B 10/04 20060101ALI20240813BHJP
A61B 10/06 20060101ALI20240813BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B10/04
A61B10/06
A61B1/018 515
(21)【出願番号】P 2020542143
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 IB2019052180
(87)【国際公開番号】W WO2019180587
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】プロヒト、ヒテンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ、アグリム
(72)【発明者】
【氏名】ローヒラー、ロヒット
(72)【発明者】
【氏名】バス、アビシェーク
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0071585(US,A1)
【文献】特表2006-527633(JP,A)
【文献】特表2008-536530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/29
A61B 10/04
A61B 10/06
A61B 1/018
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検鉗子装置であって、
該生検鉗子装置は、互いに連結されて開放姿勢から閉鎖姿勢に移動するように構成された第1のジョー及び第2のジョーを含む端部エフェクタを備え、
前記第1のジョー
は第1の刃先を含み、前記第2のジョーは
第2の刃先を含み、
前記第1の刃先の少なくとも一部は、前記端部エフェクタ
の閉鎖姿勢
において前記第2の刃先の少なくとも一部に接し、
前記第1のジョーは、
それぞれが基部
と先端とを有する
第1の複数の歯を含み、前記第2のジョーは、
それぞれが基部
と先端とを有する
第2の複数の歯を含み、
前記第1の
複数の歯のうちの2つの隣接する歯の
それぞれの基部は、互いに間隔を置いて配置され、前記第1のジョーの
前記第1の刃先に
沿って第1の間隙を形成し、前記第2の
複数の歯のうちの2つの隣接する歯の
それぞれの基部は、互いに間隔を置いて配置され、前記第2のジョーの
前記第2の刃先に
沿って第2の間隙を形成し、
前記端部エフェクタが閉鎖姿勢にあるとき、前記第2の
複数の歯の第1歯は、前記第1の間隙に
嵌まり込み、
前記端部エフェクタ
が前記閉鎖姿勢にあるとき、前記第1のジョーの
前記第1の刃先及び前記第2のジョーの
前記第2の刃先の間に第1のウインドウ及び第2のウインドウ
が画定
され、
前記第1のウインドウ及び前記第2のウインドウはそれぞれ、前記第1の間隙及び前記第2の間隙の
それぞれの少なくとも一部を含み、
前記第2の
複数の歯の前記第1歯は、前記第1のウインドウ及び前記第2のウインドウの間に配置され、前記端部エフェクタが前記閉鎖姿勢にある時、前記第2の
複数の歯の前記第1歯の第1の外面は、前記第1のウインドウの近位側の端を画定し、且つ前記第2の
複数の歯の前記第1歯の第2の外面は、前記第2のウインドウの遠位側の端を画定する、生検鉗子装置。
【請求項2】
前記端部エフェクタが前記閉鎖姿勢にある時、
前記第1のウインドウは平行四辺形であり、
前記第1の複数の歯の第1の最も近位側の歯と前記第1の複数の歯の近接する歯との間に谷部が形成され、
前記第2のジョーの第2の複数の歯は、第2の最も近位側の歯を含む、請求項1に記載の
生検鉗子装置。
【請求項3】
前記第1の
複数の歯のうちの少なくとも1つ
の歯は、三角形状を有し、前記第1の
複数の歯のうちの少なくとも1つ
の別の歯は、台形状を有し、前記第2の
複数の歯のうちの少なくとも1つ
の歯は、三角形状を有し、前記第2の
複数の歯のうちの少なくとも1つ
の別の歯は、台形状を有する、請求項1または2に記載の
生検鉗子装置。
【請求項4】
前記第1の
複数の歯は、前記端部エフェクタの長手方向軸線を中心としてほぼ対称に前記第1のジョーに配置され、前記第2の
複数の歯は、前記端部エフェクタの長手方向軸線を中心としてほぼ対称に前記第2のジョーに配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の
生検鉗子装置。
【請求項5】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーはそれぞれ、湾曲した内面及び凸状の外面を備え、前記第1のジョー及び前記第2のジョーの前記湾曲した内面は、前記端部エフェクタが閉鎖姿勢にある時、組織受承空間を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の
生検鉗子装置。
【請求項6】
前記第1のジョー及び第2のジョーのうちの少なくとも一方は、それぞれのジョーの前記湾曲した内面及び前記凸状の外面の間に延びる1つ以上の開口部を備え
、前記1つ以上の開口部は、ほぼだ円形状、卵形状、又は円形状を有する、請求項5に記載の
生検鉗子装置。
【請求項7】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーはそれぞれ、遠位端から近位端まで延び、(a)前記第1のジョーの遠位端に配置された
、前記第1の複数の歯のうちの1つ以上の歯は、前記第1のジョーの近位端に配置された
、前記第1の複数の歯のうちの1つ以上の
他の歯よりも
高く、(b)前記第2のジョーの遠位端に配置された
、前記第2の複数の歯のうちの1つ以上の歯は、前記第2のジョーの近位端に配置された
、前記第2の複数の歯のうちの1つ以上の歯よりも
高い、請求項1~
6のいずれか一項に記載の
生検鉗子装置。
【請求項8】
前記第1の
複数の歯は、
(1)前記第1のジョーの遠位端に配置された
、前記第1の複数の歯の1つ以上の歯
と(2)前記第1のジョーの近位端に配置された
、前記第1の複数の歯の1つ以上の歯
との頂部
の端に沿って延びる平面が、前記端部エフェクタの長手方向軸線に対して水平に延びる平面に対して、前記第1のジョーの遠位端から近位端に向か
う方向に第1のジョー側に約2~10度の角度で傾斜するように
、前記第1のジョーに
配置される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の
生検鉗子装置。
【請求項9】
前記第2の
複数の歯は、
(1)前記第2のジョーの遠位端に配置された
、前記第2の複数の歯の1つ以上の歯
と(2)前記第2のジョーの近位端に配置された
、前記第2の複数の歯の1つ以上の歯
と、の頂部
の端に沿って延びる平面が、水平に延びる平面に対して第2のジョー側に約1~5度の角度で傾斜するように
、前記第2のジョーに
配置される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の
生検鉗子装置。
【請求項10】
前記第1のウインドウは、前記第1の
複数の歯及び前記第2の
複数の歯のうちの2つの歯の間に形成され、前記第2のウインドウは、前記第1の
複数の歯及び前記第2の
複数の歯のうちの最も遠位側の歯の近位側に形成される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の
生検鉗子装置。
【請求項11】
前記端部エフェクタは、遠位端から近位端まで長手方向軸線に沿って延び、前記第1のウインドウ及び前記第2のウインドウは、前記長手方向軸線の第1の側に配置され、前記閉鎖姿勢において、前記
端部エフェクタは、前記第1の側に対向する前記長手方向軸線の第2の側に配置された第3のウインドウ及び第4のウインドウを含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の
生検鉗子装置。
【請求項12】
閉鎖姿勢において、前記端部エフェクタは、前記第1のジョーの
前記第1の刃先及び前記第2のジョーの
前記第2の刃先の間に第3のウインドウをさらに画定する、請求項1~
11のいずれか一項に記載の
生検鉗子装置。
【請求項13】
前記第3のウインドウは、前記第1のウインドウ及び前記第2のウインドウに対して近位側に配置される、請求項
12に記載の
生検鉗子装置。
【請求項14】
前記第3のウインドウは、高さよりも大きな幅を有する、請求項
12または
13に記載の
生検鉗子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関する。より詳細には、本発明は、例えば、生検中に組織を回収する為に使用される医療装置、及びその医療装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病理学的な異常の所在を明らかにする為に、組織サンプルがしばしば検査される。内視鏡用生検鉗子は、分析を目的として人体から組織サンプルを採取する為に内視鏡と組み合わせて使用される。サンプルは、標準的な鉗子ジョーを用いてアクセスが困難な部位(例えば、蛇行する胆道を介してのみアクセス可能な領域の組織)で生体内の深部から採取しなければならないことがある。いくつかの場合には、医師が標準的な鉗子を用いてアクセスすることが可能な組織の量や質は、正確な診断をするためには十分でない場合がある。さらに、鉗子ジョーは、鉗子が標的部位に挿入される方向に沿った軸線に対して接線方向に咬合させる必要がある場合に操作することが難しい場合がある。本明細書で説明するシステム及び方法は、この課題及び当該技術分野における1つ以上の別の課題を改善することができる。本発明の範囲は、特定の課題を解決するための能力によってではなく添付の請求項によって定義される。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、特に、生検用途の為の組織収集装置に関する。態様は、以下で説明する1つ以上の特徴を含み得る。
本発明の一態様では、生検鉗子装置を説明する。装置は、互いに連結されて開放姿勢と閉鎖姿勢との間で移動するように構成された対向する第1のジョーと第2のジョーとを含む端部エフェクタを含む。第1のジョー及び第2のジョーはそれぞれ、刃先を備える。第1のジョー及び第2のジョーの刃先の少なくとも一部は、端部エフェクタが閉鎖姿勢にある時、互いに接する。第1のジョーの刃先は、それぞれが基部を有する複数の第1の歯を備え、第2のジョーの刃先は、それぞれが基部を有する複数の第2の歯を備える。複数の第1の歯のうちの2つの隣接する歯の基部は、互いに間隔を置いて配置され、第1のジョーの刃先で第1の間隙を形成する。複数の第2の歯のうちの2つの隣接する歯の基部は、互いに間隔を置いて配置されて、第2のジョーの刃先に第2の間隙を形成する。閉鎖姿勢において、端部エフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーの刃先の間に1つ以上のウインドウを形成する。1つ以上のウインドウのうちの少なくとも1つは、第1の間隙及び第2の間隙の一方又は双方の少なくとも一部を含む。
【0004】
本発明の様々な態様は、追加的に又は代替的に、1つ以上の以下の態様であって、端部エフェクタが閉鎖形態にある時、2つの隣接する第1の歯のうちの一方の歯が第2の間隙に配置されることと、端部エフェクタが閉鎖姿勢にある時、2つの隣接する第2の歯のうちの一方の歯が第1の間隙に配置されることと、第1の歯のうちの少なくとも1つの歯は略三角形状を有し、第1の歯のうちの少なくとも1つの歯は略台形状を有し、第2の歯のうちの少なくとも1つの歯は略三角形状を有し、第2の歯のうちの少なくとも1つの歯は略台形状を有することと、第1の歯は、端部エフェクタの長手方向軸を中心としてほぼ対称に第1のジョーに配置され、第2の歯は、長手方向軸線を中心としてほぼ対称に第2のジョーに配置されることと、第1のジョー及び第2のジョーはそれぞれ、ほぼ湾曲した内面とほぼ凸状の外面とを備え、第1のジョー及び第2のジョーの凹状の内面は、端部エフェクタが閉鎖姿勢にある時、組織受承空間を形成することと、第1のジョー及び第2のジョーの少なくとも一方は、各ジョーのほぼ湾曲した内面及びほぼ凹状の外面の間に延びる1つ以上の開口部を備えることと、1つ以上の開口部のうちの少なくとも1つは略楕円形状、略卵形状、又は略円形状を有することのうちの1つ以上を含みうる。
【0005】
本発明の様々な態様は、追加的に又は代替的に、1つ以上の以下の態様であって、第1のジョー及び第2のジョーはそれぞれ、前端から後端まで延びて、(a)第1のジョーの前端に配置された複数の歯のうちの1つ以上の歯は、第1のジョーの後端に配置された1つ以上の歯よりも大きく、(b)第2のジョーの前端に配置された複数の歯のうちの1つ以上の歯は、第2のジョーの後端に配置された1つ以上の歯よりも大きいことと、複数の第1の歯は、第1のジョーの前端に配置された1つ以上の歯と第1のジョーの後端に配置された1つ以上の歯の頂部を通る平面が水平面に対して約2~10度の角度で傾斜するように第1のジョーに配置されることと、複数の第2の歯は、第2のジョーの前端に配置された1つ以上の歯と第2のジョーの後端に配置された1つ以上の歯の頂部を通る平面が水平面に対して約1~5度の角度で傾斜するように第2のジョーに配置されることと、複数の第1の歯と、複数の第2の歯とは、ほぼ同一の高さを有することと、1つ以上のウインドウは、複数の第1の歯と複数の第2の歯のうち1つの歯によって離間された少なくとも2つのウインドウを含むことと、1つ以上のウインドウは、(a)複数の第1の歯及び複数の第2の歯のうちの2つの歯の間に形成された第1のウインドウと、(b)複数の第1の歯及び複数の第2の歯のうちの最も近位の歯の近位に形成された第2のウインドウとを含むことと、エフェクタは、前端から後端に長手方向軸線に沿って延び、1つ以上のウインドウは、長手方向軸線の両側に配置されたウインドウを含むことのうちの1つ以上を含みうる。
【0006】
本発明の別の態様では、生検鉗子装置が開示される。装置は、連結されて開放姿勢から閉鎖姿勢に移動する対向する第1のジョーと第2のジョーとを含む端部エフェクタを備える。第1のジョー及び第2のジョーはそれぞれ、刃先を備える。第1のジョー及び第2のジョーの刃先の少なくとも一部は、端部エフェクタが閉鎖姿勢にある時、互いに接する。第1のジョーの刃先は、基部を有する複数の第1の歯を含む。第2のジョーの刃先は、基部を有する複数の第2の歯を含む。(a)複数の第1の歯のうちの少なくとも1つの歯と、複数の第2の歯のうちの1つの歯とは、略三角形状を有し、(b)複数の第1の歯のうちの少なくとも1つの歯と、複数の第2の歯のうちの少なくとも1つの歯とは、略台形状を有し、(c)複数の第1の歯のうちの隣接する少なくとも2つの歯は、互いに間隔を置いて配置されて、第1のジョーの刃先で第1の間隙を形成し、(d)複数の第2の歯のうちの隣接する少なくとも2つの歯は、互いに間隔を置いて配置されて、第2のジョーの刃先で第2の間隙を形成する。閉鎖姿勢の端部エフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーの刃先の間に1つ以上のウインドウを形成する。1つ以上のウインドウのうちの少なくとも1つは、第1の間隙及び第2の間隙の一方又は双方の少なくとも一部を含む。
【0007】
本発明の様々な態様は、追加的に又は代替的に、1つ以上の以下の態様であって、端部エフェクタが閉鎖姿勢にある時、少なくとも2つの隣接する第1の歯のうちの一方の歯は、第2の間隙に配置され、少なくとも2つの隣接する第2の歯のうちの一方の歯は、第1の間隙に配置され、第1の間隙に配置された第2の歯は、略台形状を有することと、端部エフェクタは、前端から後端まで長手方向軸線に沿って延び、1つ以上のウインドウは、長手方向軸線の一側に配置された2つのウインドウと、長手方向軸線の他側に配置された2つのウインドウを含むことのうちの1つ以上を含みうる。
【0008】
本発明の別の態様では、生検鉗子装置が開示される。装置は、長手方向軸を備える端部エフェクタと、前端から後端まで延びる対向する第1のジョー及び第2のジョーであって互いに連結されて開いた姿勢から閉じた姿勢に移動する第1、第2のジョーとを含む。第1のジョー及び第2のジョーはそれぞれ、刃先を備える。第1のジョー及び第2のジョーの刃先の少なくとも一部は、端部エフェクタが閉鎖姿勢にある時、互いに接する。第1のジョーの刃先は複数の第1の歯を含む、歯はそれぞれ基部を有し、長手方向軸線を中心としてほぼ対称に配置される。第2のジョーの刃先は複数の第2の歯を含み、歯はそれぞれ基部を有し、長手方向軸線を中心としてほぼ対称に配置される。第1の歯のうちの少なくとも2つの隣接する歯の基部は、互いに接する。第2の歯のうちの少なくとも2つの隣接する歯の基部も、互いに接する。第1の歯のうちの少なくとも2つの隣接する歯の基部は、互いに間隔を置いて配置されて第1のジョーの刃先に第1の間隙を形成する。第2の歯のうちの隣接する2つの歯の基部は、互いに間隔を置いて配置されて、第2のジョーの刃先に第2の間隙を形成する。閉鎖姿勢の端部エフェクタは、第1のジョー及び第2のジョーの刃先の間に複数のウインドウを形成し得る。複数のウインドウは、長手方向軸線の両側に対称に配置された少なくとも第1のウインドウと第2のウインドウとを含む。第1のウインドウ及び第2のウインドウはそれぞれ、第1の間隙及び第2の間隙の一方又は双方の少なくとも一部も含む。複数のウインドウは、長手方向軸線の両側に対称に配置された第3,第4のウインドウであって、複数の第1の歯及び複数の第2の歯の全ての歯の近位に配置された第3,第4のウインドウも含みうる。
【0009】
本発明の様々な態様は、追加的に又は代替的に1つ以上の以下の態様であって、第1、第2のウインドウの高さはそれぞれ、約3~8.5mils(約0.08~0.22ミリメートル)であることと、第1、第2のウインドウの幅はそれぞれ、約3.5~7.5mils(約0.09~0.19ミリメートル)であることと、第3,第4のウインドウの高さは、約4~8mils(約0.1~0.2ミリメートル)であることと、第3,第4のウインドウの幅は約25~30mils(約0.64~0.76ミリメートル)であることのうちの1つ以上を含みうる。
【0010】
上記概要及び以下の詳細な説明は、例示且つ説明であって、いずれも以下に請求される本発明を限定するものではないことが理解し得る。
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、例示の実施形態を示したものであり、本明細書とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】内視鏡の遠位端を通過して患者の体内に延びる本願の組織収集装置の例を示す図。
【
図3A】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの例を示す図。
【
図3B】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの例を示す図。
【
図3C】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの例を示す図。
【
図4】
図3A~3Cの端部エフェクタのクレビスの例を示す図。
【
図5】
図3A~3Cの端部エフェクタの制御ワイヤ取り付け部の例を示す図。
【
図6】
図3A~3Cの端部エフェクタのリンクの例を示す図。
【
図7】
図3A~3Cの端部エフェクタの第1のジョーの例を示す図。
【
図8】
図3A~3Cの端部エフェクタの第2のジョーの例を示す図。
【
図9A】開放姿勢の
図3A~3Cの端部エフェクタを示す側面図。
【
図9B】閉鎖姿勢の
図3A~3Cの端部エフェクタを示す側面図。
【
図9C】閉鎖姿勢の
図3A~3Cの端部エフェクタを示す正面図。
【
図12A】組織収集術の異なる工程における
図2の組織収集装置を示す図。
【
図12B】組織収集術の異なる工程における
図2の組織収集装置を示す図。
【
図12C】組織収集術の異なる工程における
図2の組織収集装置を示す図。
【
図12D】組織収集術の異なる工程における
図2の組織収集装置を示す図。
【
図13A】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの別例を示す図。
【
図13B】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの別例を示す図。
【
図14A】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの更なる別例を示す図。
【
図14B】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの更なる別例を示す図。
【
図15A】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの更なる別例を示す図。
【
図15B】
図2の組織収集装置の端部エフェクタの更なる別例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書は、内視鏡による生検処置で用いられる組織収集装置の例について説明する。しかし、特定の処置について説明するのは、単に簡便だからであり、本発明を限定することを意図していないことに留意されたい。当該技術分野における通常の知識を有するものであれば、説明する装置及び使用方法の根底にある概念は、任意の好適な処置、医療に利用できることが理解できる。本発明は、以下の説明と添付の図面を参照することにより理解でき、図面では、類似する要素には、同一の符号が付されている。
【0013】
本発明の例示の実施形態は、鉗子アセンブリ、又は装置であって、例えば、スパイスコープ(SpyScope(登録商標))(又は限定ではないが内視鏡、直腸鏡、十二指腸鏡、内視鏡超音波(EUS)スコープ、膀胱鏡、尿管鏡、気管支鏡、カテーテルなどの鉗子アセンブリとともに使用するように設計及び/又は寸法に形成された任意の内視鏡装置)の内視鏡のワーキングチャンネル内を貫通して組織管の中に進行される鉗子アセンブリ、又は装置について説明する。説明する装置の実施形態は、生体の蛇行する管腔内、並びに、内視鏡装置のワーキングチャンネル内の急な曲率を通る装置の操作性を向上させることができる。生検鉗子アセンブリの例示的な実施形態は、スリップすることなく標的組織表面に対するジョーの把持性を高めるとともに、装置を用いて得られる組織の体積を増加させ得る鋸歯状の刃先を備えたジョーを含む。
【0014】
説明を簡潔にするために、装置及び/又はその構成要素の部分/領域/端部は、近位端及び遠位端、又は近位部及び遠位部で呼ぶ。「近位」という用語は、装置の使用者により近い端部/領域を指し、「遠位」という用語は、使用者からより離間した端部/領域を指すことを意図していることに留意されたい。同様に、「遠位に」延びるということは、構成要素が遠位方向に延びることを指し、「近位に」延びることは、構成要素が近位方向に延びることを指す。更に、本明細書で用いるように、「約」、「概ね」、「ほぼ」という用語は、記載又は示唆する値の±10%以内の値の範囲を指す。加えて、構成要素/表面の幾何学的な形状は、おおまかな形状を指しているだけである。例えば、三角形状又は台形状を有すると記載されている歯は、一般に略三角形状、又は略台形状を有することを指す(例えば、三角形/台形の頂点/角は、鋭利であってもよいし丸みを帯びていてもよく、辺は真っ直ぐであってもよいし湾曲していてもよい)。
【0015】
図1は、患者の体(内)において生検用に収集が所望される組織領域(標的組織50)近傍に配置された組織収集装置(装置20)の例示的な実施形態を示す。
図1では、装置20は、内視鏡4の遠位端6を通過して体内に延びるように記載されている。内視鏡4は、体の外側に配置された近位端(図に示されていない)から体内の標的組織50の近傍に配置された遠位端6まで延びる長尺状の可撓性を有する管状部2を備える。装置20は、内視鏡4の近位端からルーメン(例えばワーキングチャンネル)内を通過して体内に挿入される。限定ではないが、内視鏡4は、内部を貫通して延びるルーメンを有する任意の装置である(例えばSpyScope(登録商標)など)。いくつかの実施形態では、内視鏡4の代わりに、中空シース、結腸鏡、膀胱鏡、尿管鏡、気管支鏡、カテーテルなどの装置が使用される。例えば、装置20は、中空シースのルーメン内を貫通して体内に導入される。いくつかの実施形態では、装置20は、内視鏡4又はシースを用いることなく使用される。例えば、装置20は、体内に直接的に挿入され(例えば、体の開口を通じて)、装置20の遠位端が標的組織50近傍に適切に配置されるまで押し入れられる。
【0016】
図2は、例示的な組織収集装置20を示す図である。装置20は、遠位端部エフェクタアセンブリ(端部エフェクタ100)と近位アクチュエータアセンブリ(アクチュエータ10)とを含む。長尺状部材30は、遠位端部エフェクタ100から近位アクチュエータ10を連結する。アクチュエータ10は、サムリング16と、スプール18とを備えたハンドル14を含む。スプール18は、ハンドル14に沿って移動することができ、使用者が把持できる寸法及び形状で形成される。長尺状部材30は、可撓性コイル28とコイル保持器22とを含む。コイル保持器22は、ハンドル14のルーメン24内に収容される。
図2に示すように、コイル保持器22は、ルーメン24に形成された複数の溝のうち対応する溝に係合してハンドル14内でコイル保持器22の長手方向の移動を防止する複数のフランジを含む。コイル28の近位端26は、コイル保持器22に連結される(例えば溶接される)。いくつかの実施形態では、コイル保持器22は、コイル28と一体形成される。例示の実施形態では、長尺状部材30は、可撓性の密に巻かれたステンレス鋼のらせん状コイルで形成され、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの薄いカバー又はコーティングを含む。コーティングは、長尺状部材30と内視鏡4のワーキングチャンネルの間の摩擦を低減して、装置20が内視鏡4内でより容易に摺動可能にする。
【0017】
制御ワイヤ40は、近位端34から遠位端32まで長尺状部材30内を貫通して延びる。制御ワイヤ40は、長尺状部材30内で摺動できるような寸法及び形状に形成される。制御ワイヤ40及び長尺状部材30は、内視鏡4のワーキングチャンネル内を通過して、蛇行した経路に沿う体管腔に沿って進行されるのに十分に柔軟である。いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40は、好ましくは、遠位端に回転力を伝達するのに十分なねじり剛性を示すステンレス鋼などの材料で形成される。しかし、別の好適な生体適合性材料(例えばニチノールなど)も、制御ワイヤ40に使用され得る。要件ではないが、いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40は、その長さにわたって一定の直径を有する。いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40は、制御ワイヤ40及び長尺状部材30の間の摩擦を低減するコーティング(例えば、PTFEの)を備える。制御部材40の近位端34は、ハイポチューブ38の中に挿入される。ハイポチューブ38は、スプール18に連結されてコイル保持器22内に摺動するように構成される。いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40は、ハイポチューブ38に対して制御ワイヤ40の移動を防止するためにハイポチューブ38内で摩擦フィットにより固定される。ハンドル14は、ハイポチューブ38を受承するスロット42を含む。スプール18の内面は、ハンドル14とスロット42の外側に沿ってスライドするように構成される。装置使用者は、ハンドル14上でスプール18をスライドさせて、制御ワイヤ40を操作することができる。
【0018】
制御ワイヤ40は、遠位端32において制御ワイヤ取り付け部112の近位端に連結される(
図3B参照)。制御ワイヤ40を制御ワイヤ取り付け部112に連結するために、任意の好適な取り付け方法(例えば、溶接、はんだ付け、接着剤など)が用いられる。いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40は、制御ワイヤ取り付け部112の近位端との連結(例えば、挿入)を容易にする為に、遠位端32にテーパを含む。
【0019】
一般的に、装置20は、任意の長さを有する。いくつかの実施形態では、幅広い操作を容易にし、体内の深くに存在する解剖学的部位に到達する為に、装置20は、約270~300センチメートル(約78.7~118.1インチ)、又は好ましくは約270~290センチメートル(約78.7~114.7インチ)の長さを有し得る。しかし、この長さは要件ではなく、一般に装置20は、任意の好適な長さを有してよい。上記のように、移動可能な制御ワイヤ40は、長尺状部材30内で、遠位端32から近位に延び(つまり、近位方向に延び)、端部エフェクタ100を移動可能なスプール18に連結する。スプール18のハンドル14に対する移動により、制御コイル40は可撓性コイル28内で移動され、端部エフェクタアセンブリ100を開いた組織受承姿勢と、閉じた組織把持姿勢との間で変換する。
【0020】
図3A,3Bは、装置20の端部エフェクタ100の実施形態の斜視図と上面図をそれぞれ示す。端部エフェクタ100は、枢動ピン138を用いてクレビス108に回転可能に連結された第1のジョー106及び第2のジョー107を含む。第1のジョー106及び第2のジョー107は、特定の向きで(つまり、第1のジョーは上部のジョーとして、第2のジョーは下部のジョーとして)示されているが、これは単なる例である。当業者であれば理解できるであろうが、医療処置の間には、第1のジョー106及び第2のジョー107は、任意の向きを取り得る。
図3Cは、クレビス108が取り除かれた端部エフェクタ100の斜視図を示す。
図3Cに示すように、一対のリンク110によって、第1のジョー及び第2のジョーはコアワイヤ取り付け部112に連結される。
【0021】
図4は、クレビス108の一実施例を示し、
図5は、コアワイヤ取り付け部112の一実施例を示し、
図6は、リンク110の一実施例を示し、
図7は、第1のジョーの一実施例を示し、
図8は、第2のジョーの一実施例を示す。以下の説明では、
図3A~
図8を参照する。
【0022】
図4に示すように、クレビス108は、遠位に延びる(遠位方向に延びる)一対のアーム152を備えた略円筒状の近位部154を備える。ジョーを受承する間隙158が一対のアーム152の間に形成される。中央のルーメン150は、クレビス108の近位部154内を貫通して延びる。ルーメン150は、内部に制御ワイヤ取り付け部112を受承するような寸法及び形状に形成される。クレビス108のアーム152はそれぞれ、ほぼ湾曲した外面とほぼ平坦な内面とを有し、内部に枢動ピン138を受承する枢動ピン穴156を備える(
図3A,3C参照)。
図3A,3Bに示すように、クレビス108のジョーを受承する間隙158(2つのアーム152の平坦な内面の間に形成される)は、第1のジョー106及び第2のジョー107の近位端に設けられたタング134,140を受承する寸法に形成される(
図7,8参照)。
【0023】
図7に示すように、第1のジョー106では、近位タング134は、内部を貫通して枢動ピン138を受承する寸法と形状に形成された枢動穴136Aを含む。
図8に示すように、第2のジョー107のタング140も、枢動ピン138を受承する為に、同様の寸法に形成された枢動穴136Bを画定する。枢動ピン138は、端部エフェクタ100の中央の長手方向軸L(
図3C参照)に直交する枢動穴136A,136B内を貫通して延びる。第1のジョー106及び第2のジョー107は、それぞれタング134,140の外面から延びる駆動ピン142,144を更に含む。駆動ピン142,144は、各リンク110の対応する遠位貫通穴160(
図3C,6参照)内に受承される寸法及び形状に形成される。駆動ピン142,144は、枢動穴136A,136Bの近位に設置され、ジョー106,107が組立てられた時、ピン142,144は互いに向き合うように配置される。
図3A,3Cに示すように、枢動ピン138は、(クレビス108の)2つのアーム152の枢動ピン穴156と第1のタング134及び第2のタング140の枢動穴136A,136B内を貫通して延びて、第1のジョー106及び第2のジョー107をクレビス108に対して枢動可能に(又は回転可能に)連結する。枢動ピン138を中心とした第1のジョー106及び第2のジョー107の回転により、端部エフェクタ100は、開いた組織受承姿勢と、閉じた組織把持姿勢との間で移動する。
【0024】
制御ワイヤ取り付け部112は、クレビスルーメン150内を貫通して延びて制御ワイヤ40の遠位端32に連結される(
図3B参照)。
図5を参照する。制御ワイヤ取り付け部112は、近位端から遠位端まで延びて、近位部164と遠位部166を含む。近位部164は、略円筒状であり、近位端に開く中央止まり穴168を画定する。遠位部166は、対向するほぼ平坦な側面を有し、側面はそれぞれ、側面から横方向に延びるリンクピン170を備える。
図3Bに示すように、制御ワイヤ40の遠位端は、コアワイヤ取り付け部112の止まり穴168の中に挿入されて、それに対して固着される(例えば溶接によって)。
【0025】
図3Cに示すように、一対のリンク110は、制御ワイヤ取り付け部112を第1のジョー106及び第2のジョー107に連結する。いくつかの実施形態では、一対のリンク110は、ほぼ同様の形状である。
図6を参照する。リンク110はそれぞれ、近位端に近位貫通穴172と遠位端に遠位貫通穴160を画定する。
図3Cに示すように、2つのリンク110は、制御ワイヤ取り付け部112の遠位部166(
図5参照)の2つの対向する側面に配置され、リンクピン170(制御ワイヤ取り付け部112の各側面から延びる)は、対応するリンク110の近位貫通穴172の中に挿入されて、制御ワイヤ取り付け部112に2つのリンク110を回転可能に連結する。各リンク110の遠位貫通穴160は、第1のジョー106及び第2のジョー107の対応する1つの駆動ピン142,144を受承して、第1のジョー106及び第2のジョー107をリンク110に回転可能に連結する。
図3Cを参照すると、制御ワイヤ40は、ハンドル14上でスプール18を遠位に移動させることにより遠位に移動されると、制御ワイヤ取り付け部112は、長手方向軸線Lに沿って遠位に移動される。制御ワイヤ取り付け部112が遠位方向に移動されると、各リンク110の近位端は、リンクピン170を中心として枢動し、リンク110の遠位端を長手方向軸線Lから離間する方向に回転させる。このようにして、制御ワイヤ取り付け部112を遠位方向に移動させた場合には、両リンク110の遠位端は、長手方向軸線Lから離間する両方向に回転し、第1のジョー106及び第2のジョー107を枢動ピン138を中心として回転させて開いた姿勢にさせる。逆に、制御ワイヤ取り付け部112を近位方向に移動させた場合には(ハンドル14上でスプール18を近位方向に移動させることにより)、リンク110は、近位方向に引かれる為、2つのリンク110及び第1のジョー106及び第2のジョー107は、各ピンを中心として枢動して、第1のジョー106及び第2のジョー107を互いに接近する方向に(つまり、端部エフェクタ100の閉鎖姿勢に)回転させる。
【0026】
特別な端部エフェクタ駆動機構(例えば、制御ワイヤ40が移動可能なスプール18を端部エフェクタ100に連結する)について説明したが、これは単なる例示であることに留意されたい。装置20の別の実施形態は、端部エフェクタ100を開放姿勢と閉鎖姿勢との間で移動させる(つまり、端部エフェクタ100を駆動する)別の種類の駆動機構を有してもよい。端部エフェクタ100を駆動することに使用される当該分野の公知の駆動機構は多数存在する。一般に、限定ではないが、端部エフェクタ100の駆動に適した任意の現在知られている又は後に開発される駆動機構も装置20と共に使用できる。
【0027】
端部エフェクタ100の第1のジョー106及び第2のジョー107は、任意の生体適合性材料で製造され得る。いくつかの実施形態では、第1のジョー106及び第2のジョー107は、ステンレス鋼、シートメタル、より剛性の高いアルミニウム合金(例えば、6000、7000シリーズのアルミニウム合金など)、LCP、又は同等のグレードのプラスチックで微細加工(又は別の方法で製造)される。ジョー106,107及び装置20の別の構成要素は、例えばニチノール、ポリマー、ナイロンなどの別の好適な材料で製造されることも考えられる。
図7,8を参照すると、第1のジョー106及び第2のジョー107は、近位端130Aから遠位端130Bまで延びるカップ状領域130を含む。第1のジョー106のタング134は、カップ状領域130の近位端130Aから近位方向に延び、第2のジョー107のタング140は、第2のジョー107のカップ状領域130の近位端130Aから近位方向に延びる。第1のジョー106及び第2のジョー107の双方のカップ状領域130は、ほぼ凸状の外面及びほぼ凹状の内面を有する。第1のジョー106及び第2のジョー107は、互いに連結された時(
図3A,3C参照)、ほぼ凹状の内面は、間に組織を受承する空間122を形成する。第1のジョー106及び第2のジョー107のカップ状領域130の外周縁は、ジョー106,107が閉鎖姿勢の時、互いに少なくとも部分的に嵌合するように構成された組織切断刃先124を含む。ジョー106,107が閉鎖姿勢にある時、(2つのジョー106,107の)刃先124の一部は、嵌合する関係にあるが、刃先124のその他の部分は、接触しない関係にあることは強調すべきことである。歯128(又は、鋸歯)は、第1のジョー106の組織切断刃先124に配置され、歯148は、第2のジョー107の組織切断刃先124に配置される。第1のジョー106の歯128及び第2のジョー107の歯148の形状及び構成について、以下で説明する。
【0028】
生検用の組織サンプルを取得する為に(例えば、
図1の標的組織50のサンプル)、装置20の端部エフェクタ100は、標的組織50(体腔の組織壁の)に隣接して配置され、スプール18(
図2参照)は、遠位方向に移動される。スプール18が遠位方向に移動されると、上記のように、2つのリンク110は、リンクピン170を中心に回転して、第1のジョー106及び第2のジョー107を枢動ピン138を中心として回転させて、端部エフェクタ100を開いた姿勢にさせる(
図3A参照)。
図9A,9Bは、それぞれ開放姿勢及び閉鎖姿勢の端部エフェクタ100を示す側面図である。
図9Cは、閉じた姿勢の端部エフェクタ100を示す正面図である。第1のジョー106及び第2のジョー107が開いた状態で、端部エフェクタ100を標的組織に向かって及び/又は標的組織に対して押して、スプール18を近位方向に移動させることにより、ジョー106,107を閉鎖する(言い換えれば、端部エフェクタ100を閉鎖姿勢に移動させる)。ジョー106,107が互いに向かって回転すると、標的組織50の一部は、ジョー106,107の間の組織受承空間122に捕捉される。2つのジョー106,107が互いに接近して移動されると、ジョー106,107の歯128,148は、標的組織50を突き刺して標的組織50内にアンカーし、組織受承空間122内に捕捉される標的組織50の体積を増加させる(組織「バイト」と呼ばれることもある)。第1のジョー106及び第2のジョー107は、スプール18を近位方向にさらに移動させることにより閉鎖される(
図9B,9C参照)。第1のジョー106及び第2のジョー107が閉鎖すると、第1のジョー106及び第2のジョー107の切断刃先124は、第1のジョー106及び第2のジョー107の間に捕捉された組織を切断する。装置20は、次に、内視鏡4から近位方向に撤退され(
図1参照)、切断された組織は、第1のジョー106及び第2のジョー107の間から除去される。例示の実施形態では、端部エフェクタ100は、端部エフェクタ100が体内の急な曲率を貫通して容易に通過できるようにするために、約1~4mm(好適には約1.5~3.5mm)のクレビス108の長さを備えた約2~6mm(又は好適には約3~5mm、又はより好適には約3.5mm)の長さを有する剛性部を有する。
【0029】
図10A,10B,10Cは、例示的な第1のジョー106を示す側面図、正面図、及び上面図であり、
図11A,11B,11Cは、例示的な第2のジョーを示す側面図、正面図、及び上面図である。
図10C,11Cに示すように、第1のジョー106及び第2のジョー107のカップ状領域130は、各ジョーの凸状の外面から凹状の内面に延びる貫通穴又は開口部132を備える(
図3C参照)。使用時には、開口部132は、組織受承空間122(ジョー106,107の間の)に捕捉された組織のバイトから流体(例えば胆汁流体)を逃がすことができる。流体を逃がすことができることにより、装置20で捕捉される組織の体積を増加し得る。開口部132を通って流体を逃がすことができることは、さらに、組織受承空間122の圧力の蓄積を防いで捕捉された組織に外傷(例えば、圧壊)を誘導することを防止し得る。いくつかの実施形態では、開口部132は、長手方向軸線Lを中心として対称(又はほぼ対称)に配置される。
図10C1,11Cを参照する。要件ではないが、いくつかの実施形態では、開口部132は、長手方向軸線Lに沿って又は平行して延びる長軸(又は長い方の軸)を備える卵型又はだ円形状を有する。一般に、開口部132は、任意の寸法を有してよい。いくつかの実施形態では、開口部132の寸法を大きくする(制限範囲内で)ことにより、端部エフェクタ100の組織捕捉性能を向上させることができ、例えば、組織サンプルの寸法を増加させたり組織サンプルの圧壊を防止したりすることができる。例えば、開口部132は、カップ状領域130の表面領域に亘って延びて、第1のジョー106及び第2のジョー107が閉鎖した時、排水を設けたり、組織受承空間122に受承される組織サンプルの圧壊(例えば、外傷)を最小限にしたり低減し得る。いくつかの実施形態では、開口部132の短軸は、約0.01インチ~約0.02インチ(例えば、約10~20mils)(約0.254ミリメートル~0.508ミリメートル)であり、長軸は、約0.02インチ~0.04インチ(例えば、約20~40mils)(約0.508ミリメートル~1.016ミリメートル)である。いくつかの実施形態では、開口部の寸法は、約15mils×30mils(約0.381ミリメートル×0.762ミリメートル)(短軸×長軸)である。いくつかの実施形態では、開口部132は、ジョー106,107のうちの一方にのみ設けられる。また、いくつかの実施形態では、異なる形状(例えば、後で説明する開口部232、332,432に類似する)や異なる数(例えば、2,3,4つ)の開口部132が、ジョー106,107の一方又は双方に設けられる。
【0030】
第1のジョー106の歯128及び第2のジョー107の歯148の例示的な構成(形状、外形、配置など)について説明する。
図10C,11C(及び
図10A,11Aの側面図)に示すように、第1のジョー106の歯128及び第2のジョー107の歯148は、各ジョーの長手方向軸線Lを中心として対称に(又はほぼ対称に)配置される。いくつかの実施形態では、
図9B,9Cに示すように、第1のジョー106の歯128及び第2のジョー107の歯148は、互いに偏倚されて、(第1のジョー106の)歯128の尖端又は頂部は、(第2のジョー107)の歯148の谷部内に適合し、逆も同様である。第1のジョー106の歯128及び第2のジョー107の歯148のこの偏倚により、端部エフェクタ100は、組織又は第1のジョー106及び第2のジョー107を損傷することなく、標的組織50のきれいな切断を得ることができる。
【0031】
第1のジョー106の歯128は、第1のジョー106の組織切断刃先124に沿って配置された複数の歯を含む。
図10A~10Cを特に参照すると、遠位端130B(カップ形状部130の)から近位端130Aに向かって配置され、歯128は、1つの第1の歯128Aと、それぞれ2つの第2の歯128B、第3の歯128C、第4の歯128D及び第5の歯128Eを含む。つまり、第1のジョー106では、第1の歯128Aが最も遠位にある歯であり(遠位端130Bに最も近くに配置される)、一対の第5の歯128Eは、最も近位にある歯(近位端130Aに最も近くに配置される)である。いくつかの実施形態では、第1のジョー106の歯128の高さは、遠位端130Bから近位端130Aに向かって徐々に小さくなる。つまり、一般に遠位端130Bのより近くに配置された歯の高さは、近位端130Aにより近くに配置された歯より高い。いくつかの実施形態では、
図10Aに示すように、第1のジョー106の歯128の高さ(第1の歯128A、第2の歯128B、第3の歯128C、第4の歯128D、第5の歯128E)は、最遠位の歯及び最近位の歯の頂部すなわち尖端を通過する一定の平面が水平面(例えば、長手方向軸線Fに平行な平面)に対して角度Θ
1で傾斜するように構成される。
図10Aに示すように、一般に最遠位の歯及び最近位の歯の間に配置される歯(第2の歯128B,第3の歯128C,第4の歯128D)の尖端は、最遠位の歯の尖端及び最近位の歯の尖端を通って延びる平面の上又は下に配置される。いくつかの実施形態では、第1のジョー106の全ての(又はほぼ全ての)歯の尖端は、最遠位の歯と最近位の歯の尖端を通って延びる平面にほぼ配置される。少なくともいくつかの実施形態では、角度Θ
1は、約2~10度、又は4~8度(又は好ましくは約5~7度、又はより好ましくは6度)である。いくつかの実施形態では、第1のジョー106の全ての歯は、同一の高さである(つまり、角度Θ
1は、0度である)。第1の歯128Aは、カップ形状にされた部分130の最遠位端に配置される。
図10Bに示すように、第1の歯128Aは、高さh
1と基部で幅w
1とを有する略三角形の外形を有する。一般に、歯128は、任意の高さを有する(遠位端130Bから近位端130Aまで多様である)。いくつかの実施形態では、高さh
1は、約8~12mils(約0.203~0.305ミリメートル)(又は好ましくは約9~11mils(約0.229~0.279ミリメートル))の間であり、幅w
1は、約10~14mils(約0.254~0.356ミリメートル)(又は好ましくは約11~13mils(約0.279~0.330ミリメートル))の間である。上記のように、略三角形状は、歯の大まかな形状のみをさす。例えば、第1の歯128Aは、鋭利又は丸みを帯びた角や直線又は曲線の辺を有する略三角形状を有し得る。したがって、尖端、すなわち頂部では、第1の歯128Aは、尖った(及び鋭利な)、丸みを帯びた、又は平坦な先端を有し得る。
【0032】
2つの第2の歯128Bは、類似する形状を有し、長手方向軸Lを中心としてほぼ対称に第1の歯128Aの両側に配置される。いくつかの実施形態では、2つの歯128Bはそれぞれ、第1の歯128Aに隣接して配置される(例えば、基部の間に間隙を欠く又は間隙が最小限である)。いくつかの実施形態では、第1の歯128Bの基部と第1の歯128Aの基部の間には間隙が存在する。いくつかの実施形態では、第2の歯128Bは、高さh
2、基部において幅w
2を有し、頂部において幅w
2´を有する略台形状を有する。しかし、いくつかの実施形態では、第2の歯128Bは、異なる形状を有する(例えば略三角形状)ことも考えられる。いくつかの実施形態では、高さh
2は、約7~11mils(約0.178~0.279ミリメートル)(又は好ましくは、約8~10mils(約0.203~0.254ミリメートル))であり、幅w
2は、約7~12mils(約0.178~0.305ミリメートル)(又は好ましくは約8~10mils(約0.203~0.254ミリメートル))であり、幅w
2´は、w
2よりも小さく、約2~8mils(約0.051~0.203ミリメートル)(又は好ましくは約4~7mils(約0.102~0.178ミリメートル))である。上記のように、略台形状の第2の歯128Bの角は、鋭利又は丸みを帯びており、辺は、直線又は曲線であってよい。2つの第3の歯128Cはそれぞれ、第2の歯128Bそれぞれの近位に配置される。
図10A,10Cを参照する。2つの第3の歯128Cは、長手方向軸線Lを中心としてほぼ対称に配置されて、ほぼ類似する形状を有する。いくつかの実施形態では、第3の歯128Cはそれぞれ、高さh
3、幅w
3を有する略台形状を有する。しかし、いくつかの実施形態では、第3の歯128Cは、異なる形状を有してもよい(例えば、略台形又は丸みを帯びた形状)。いくつかの実施形態では、高さh
3は、約4~8mils(約0.102~0.203ミリメートル)(又は好ましくは約5~7mils(約0.127~0.178ミリメートル))であり、幅w
3は、約5~9mils(約0.127~0.229ミリメートル)(又は好ましくは約6~8mils(約0.152~0.203ミリメートル))である。いくつかの実施形態では、
図10Aに示すように、第2の歯128B及び第3の歯128Cは、基部で2つの歯が当接するように配置される。
【0033】
2つの第4の歯128Dと2つの第5の歯128Eとは、第3の歯128Cの近位に配置される。2つの第4の歯128Dは、形状が類似し、且つ長手方向軸線Lを中心としてほぼ対称に配置される。
図10A,10Cを参照する。同様に、2つの第5の歯128Eは、形状が類似し、且つ長手方向軸線Lを中心としてほぼ対称に配置される。
図10Aに示すように、第3の歯128C及び第4の歯128Dは、基部において、距離a
2を置いて配置される。いくつかの実施形態では、距離a
2は、約13~17mils(約0.330~0.432ミリメートル)(又は好ましくは約14~16mls(約0.356~0.406ミリメートル))である。第5の歯128Eは、第4の歯128Dの近位に配置され、基部で当接するように配置される。
図10Aを参照する。第4の歯128D及び第5の歯128Eはそれぞれ、一般に略三角形状を有する。しかし、いくつかの実施形態では、第4の歯128Dはそれぞれ異なる形状を有してもよい(例えば略台形又は別の形状)。第4の歯128Dは、高さh
4と幅w
4とを有し、第5の歯128Eは、高さh
5と幅w
5とを有する。いくつかの実施形態では、高さh
4は、約2~6mils(約0.051~0.152ミリメートル)(又は好ましくは、約3~5mils(約0.076~0.127ミリメートル))であり、幅w
4は、約4~8mils(約0.102~0.203ミリメートル)(又は好ましくは、5~7mils(約0.127~0.178ミリメートル))である。いくつかの実施形態では、h
5はh
4よりも小さく、w
5はw
4よりも小さい。いくつかの実施形態では、h
5は約2~5mils(約0.051~0.127ミリメートル)(又は好ましくは、約2.5~4mils(約0.064~0.102ミリメートル))であり、幅w
5は、約3~7mils(約0.076~0.178ミリメートル)(又は好ましくは、4~5.5mils(約0.102~0.140ミリメートル))である。
【0034】
図11A~11Cを参照する。第2のジョー107の歯148は、遠位端130Bから近位端130Aに向かって配置されたそれぞれ2つの第1の歯148A,第2の歯148B,第3の歯148C、及び第4の歯148Dを含む。第1のジョー106の歯128と同様に、第1の歯148A,第2の歯148B,第3の歯148C,第4の歯148Dは、遠位端130Bから近位端130Aまで高さが徐々に小さくなる。つまり、一般に遠位端130Bに近い方に配置された歯148の高さは、近位端130Aに近い方に配置された歯148の高さよりも大きい。いくつかの実施形態では、
図11Aに示すように、第2のジョー107の歯148の高さは、最遠位の歯(例えば、第1の歯148A)と最近位の歯(例えば、第4の歯148D)の頂部、即ち尖端を通過する平面が水平面(例えば、長手方向軸線Lに平行な面)に対して角度Θ
2で傾斜するように構成される。
図11Aにさらに示すように、一般に、最遠位の歯と最近位の歯の間に配置された歯(第2の歯148Bと第3の歯148C)の尖端は、最遠位の歯と最近位の歯の尖端を通過する平面の上又は下に配置され得る。いくつかの実施形態では、第2のジョー107の全ての(又はほぼ全ての)歯の尖端は、最遠位の歯と最近位の歯の尖端を通過する平面にほぼ配置されると考えられる。いくつかの実施形態では、角度Θ
2は、約1~5度(又は好ましくは、約2~4度、又はより好ましくは約3度)である。
図11B,11Cに示すように、2つの第1の歯148Aは、長手方向軸線Lに対してほぼ対称に配置される。一般に、2つの第1の歯148Aはそれぞれ、端部エフェクタ100が閉鎖姿勢にある時、第2のジョー107の第1の歯148Aそれぞれが第1のジョー106の第1の歯128Aと第2の歯128Bの間の間隙内に適合するような寸法に形成される(
図9Cを参照)。いくつかの実施形態では、第1の歯148Aはそれぞれ、歯の外面が閉鎖された、即ちほぼ間隙のない(例えば、≦約1mil(約0.025ミリメートル)、≦0.45mils(約0.01ミリメートル)など)ほぼ連続した表面を形成するように、(第1ジョー106の)第1の歯128A及び第2の歯128Bの間の間隙に適合する。つまり、第2のジョー107の第1の歯148Aそれぞれの形状は、第1のジョー106の第1の歯128A及び第2の歯128Bの間の間隙の形状にほぼ対応する。第1のジョー106の第1の歯128Aの形状は、第2のジョー107の2つの第1の歯148Aの間の間隙の形状に対応する。いくつかの実施形態では、第1の歯148Aはそれぞれ、高さh
6と幅w
6とを有する。いくつかの実施形態では、高さh
6は、約7~11mils(約0.178~0.279ミリメートル)(又は好ましくは、約8~10mils(約0.203~0.254ミリメートル))であり、幅w
6は、約10~14mils(約0.254~0.356ミリメートル)(又は好ましくは、約11~13mils(約0.279~0.330ミリメートル))である。いくつかの実施形態では、一方の歯148Bと他方の歯128Bと128Cの尖端と基部の間に形成される側面(又は側面の一部)は、閉鎖姿勢にある時、接して、
図9Bに示すように、歯148Bの尖端と、歯128Bと128Cの基部(又根元)との間に小さな間隙150(例えば、クリアランス)を残す。
【0035】
第2のジョー107の2つの第2の歯148Bは、類似する形状を有し且つ長手方向軸線Lを中心としてほぼ対称に配置される。
図11Aに示すように、第2の歯148Bは、高さh
7、幅w
7の略三角形状を有する。いくつかの実施形態では、高さh
7は、約4~9mils(約0.102~0.229ミリメートル)(又は好ましくは、約5.5~7.5mils(約0.140~0.191ミリメートル))であり、幅w
7は約8~12mils(約0.203~0.305ミリメートル)(又は好ましくは、9~11mils(約0.229~0.279ミリメートル))である。端部エフェクタ100が閉鎖姿勢にある時、第2の歯148Bはそれぞれ、第1のジョー106の第2の歯128Bと第3の歯128Cの間の間隙に適合する(
図9B参照)。いくつかの実施形態では、
図9Bに示すように、歯128B,148B,128Cの外面は、各歯の間にほぼ隙間のない閉じた表面(又はほぼ連続した表面)を形成する。つまり、第2のジョー107の第2の歯148Bそれぞれの形状は、第1のジョー106の第2の歯128Bと第3の歯128Cの間の間隙の形状にほぼ対応する。第1のジョー106の第2の歯128Bそれぞれの形状は、第2のジョー107の第1の歯148Aと、第2の歯148Bの間の間隙の形状に対応する。
図9Bを参照する。いくつかの実施形態では、一方の歯148Bと他方の歯128B、128Cの尖端と基部との間の側面(又は側面の一部)は、閉鎖姿勢にある時、接して、
図9Bに示すように、歯148Bの尖端と歯128B,128Cの基部(又は根元)の間に小さな隙間150を残す。
【0036】
2つの第3の歯148Cは、第2の歯148Bの近位に配置されて長手方向軸線Lを中心としてほぼ対称に配置される。
図11Aに示すように、基部では、第3の歯148Cはそれぞれ、隣接する第2の歯148Bから距離a
3を置いて配置される。いくつかの実施形態では、距離a
3は、約5~9mils(約0.127~0.229ミリメートル)(又は約6~8mils(約0.152~0.203ミリメートル))の間である。2つの第3の歯148Cは、高さ位h
8、基部において幅w
8、尖端において幅w
8´を有するほぼ類似する略台形状を有する。しかし、いくつかの実施形態では、第3の歯148Cはそれぞれ、異なる形状を有してもよい(例えば略三角形状又は別の形状)。いくつかの実施形態では、高さh
8は、約4~8mils(約0.102~0.203ミリメートル)(例えば好ましくは、約5~7mils(約0.127~0.178ミリメートル))であり、幅w
8は、約6~10mils(約0.152~0.254ミリメートル)(又は好ましくは、7.5~9.5mils(約0.191~0.241ミリメートル))であり、幅w
8´は、幅w8より小さく約2~8mils(約0.051~0.203ミリメートル)(又は好ましくは、約3~7mils(約0.076~0.178ミリメートル))である。端部エフェクタ100が閉鎖姿勢にある時、第3の歯148Cはそれぞれ、第1のジョーの第3の歯128Cと第4の歯128Dの間の間隙内に適合する(
図9B参照)。
図9Bに示すように、歯128C、歯148C,及び歯128Dの寸法(例えば、高さと幅)と間隙(例えば、距離、a
2,a
3,a
4)は、端部エフェクタ100が閉鎖姿勢にある時、幅w
A,w
B、高さh
A,h
Bを有するサイドウインドウ149A,149B(又は間隙)が歯の間に形成されるように構成される。一般に、サイドウインドウ149A及び149Bは、同一又は異なる幅及び/又は高さを有する。いくつかの実施形態では、幅w
A,w
Bは、約3.5~7.5mils(約0.089~0.191ミリメートル)(又は好ましくは、約4.5~6.5mils(約0.114~0.165ミリメートル))(同一又は異なる値)である。いくつかの実施形態では、サイドウインドウ149A及び149Bは、約3~8.5mils(約0.076~0.216ミリメートル)(同一又は異なる高さ)の高さ(h
A,h
B)を有する。いくつかの実施形態では、高さh
Aは、約4.5~8.5mils(約0.114~0.216ミリメートル)(又は好ましくは、約5.5~7.5mils(約0.140~0.191ミリメートル))であり、高さh
Bは、約3~7mils(約0.076~0.178ミリメートル)(又は好ましくは、約4~6mils(約0.102~0.152ミリメートル))である。本明細書の歯(128,148)の高さは、鉛直方向の高さである(つまり、歯の傾斜面に沿った高さではない)。ウインドウ149A,149Bはそれぞれ、略平行四辺形であり得る。評価により、サイドウインドウ149A,149Bは、接線組織(tangential tissue)の取得中により多くの組織を取得するのを助け、取得した組織の質を向上させることが分かった。
【0037】
第4の歯148Dは、第3の歯148Cの近位に配置される。
図11A示すように、基部では、第4の歯148Dは、第3の歯148Cから距離a
4を置いて配置される。いくつかの実施形態では、距離a
4は、約6~10mils(約0.152~0.254ミリメートル)(又は好ましくは約7~9mils(約0.178~0.229ミリメートル))である。2つの第4の歯148Dは、形状が類似し且つ、長手方向軸線Lに沿ってほぼ対称に配置される。第4の歯148Dはそれぞれ、高さh
9、幅w
9の略三角形状を有する。しかし、いくつかの実施形態では、第4の歯148Dはそれぞれ、異なる形状を有してもよい(例えば、略台形又は別の形状)。いくつかの実施形態では、高さh
9は、約3~6mils(約0.076~0.152ミリメートル)(又は好ましくは、約4~5.5mils(約0.102~0.140ミリメートル))であり、幅w
9は、約4~7mils(約0.102~0.179ミリメートル)(又は好ましくは、約5~6mils(約0.127~0.152ミリメートル))である。
図9Bに示すように、端部エフェクタ100が閉鎖姿勢にある時、第4の歯148Dは、これらの歯(歯128D,148D,128E)の外面が各歯の間にほぼ隙間のない(例えば、≦約1mil(約0.0254ミリメートル)、≦約0.45mils(約0.011ミリメートル))閉じた表面(又はほぼ連続した表面)を形成するように第1のジョー106の第4の歯128D及び第5の歯128Eの間の間隙に適合する。つまり、第2のジョー107の第4の歯148Dの形状は、第1のジョー106の第4の歯128Dと第5の歯128Eの間の間隙の形状にほぼ対応する。いくつかの実施形態では、一方の歯148Dと他方の歯128D、128Eの尖端と基部の間の側面(又は側面の一部)は、閉鎖姿勢にある時、接して、
図9Bに示すように、歯148Dの尖端と歯128D,128Eの基部(又は根元)の間に小さな間隙151を残す。歯128及び歯148は、端部エフェクタ100が閉鎖姿勢にある時、幅w
C及び高さh
Cを有するウインドウ149Cがジョーの最後の対の歯(
図9Bの歯128E)の近位に、ジョー106及びジョー107の間に形成されるように第1のジョー106及び第2のジョー107に配置される。いくつかの実施形態では、幅w
Cは、約25~30mils(約0.635~0.762ミリメートル)(又は好ましくは、約26.5~28.5mils(約0.673~0.724ミリメートル))であり、高さhcは、約4~8mils(約0.102~0.203ミリメートル)(又は約5~7mils(約0.127~0.178ミリメートル))である。
【0038】
上記の異なる歯の具体的な形状及び大きさは単なる例示である。歯128及び歯148の寸法及び形状のバリエーションは、本開示の範囲内である。しかし、一般に、大きな歯は、近位端130A(つまり後方)よりもジョー106,107の遠位端130Bの近くに(つまり前方)に設けられる。例えば、第1のジョー106では、遠位端130Bの近位に配置された第1の歯128A及び第2の歯128Bは、近位端130Aの近位に配置された第4の歯128D及び第5の歯128Eよりも大きい。同様に、第2のジョー107では、遠位端130Bの第1の歯138Aは、近位端130Aの近くに配置された第4の歯148Dよりも大きい。いくつかの実施形態では、第1のジョー106,第2のジョー107の一方又は双方の歯の構成は、歯の寸法(幅及び/又は高さ)が遠位端130Bから近位端130Aに向かって小さくなるように構成される。つまり、
図10A~10Cを参照すると、第1のジョー106の歯128の幅及び/又は高さは、(h
1及び/又はw
1)>(h
2及び/又はw
2)>(h
3及び/又はw
3)>(h
4及び/又はw
4)>(h
5及び/又はw
5)のようになる。同様に、
図11A~11Cを参照すると、第2のジョー107の歯148の幅及び/又は高さは、(h
6及び/又はw
6)>(h
7及び/又はw
7)>(h
8及び/又はw
8)>(h
9及び/又はw
9)のように構成される。いくつかの実施形態では、前歯を大きくすると、組織を採取する間において、標的組織50に対してジョーをアンカーし易くなる(
図1参照)。ジョーの組織への固定性が高まることにより、採取される組織の深度が増して、採取される組織の量が増加し、組織分析(例えば、組織病理学分析)の精度が向上され得る。
【0039】
装置20の使用方法の例について説明する。
図1を参照する。内視鏡4(又はルーメンを有する別の装置)が患者の体内に導入されて(例えば、体の開口部から)、その遠位端6が適切に体内に配置される(例えば胆道に)ように配置される。装置20は、次に、閉鎖姿勢の端部エフェクタ100を備える内視鏡4(例えば、SpyScopeDS(登録商標))のワーキングチャンネル内を通過して体内に挿入され、端部エフェクタ100が標的組織50の近位に適切に配置されるように配置される。上記のように、いくつかの実施形態では、装置20は、体内に直接的に又は別の好適な装置のルーメンを介して挿入される。装置20が体内に挿入されると、可撓性コイル28(
図2参照)は、体腔内(例えば、急角度で曲がる部分を有する胆道など)の蛇行する湾曲を通り抜けて進むように曲がり得る。装置20が体腔内を進行すると、(従来の生検鉗子と比較して)端部エフェクタ100のより小さな剛体長(例えばいくつかの場合には約3.5mmの剛体長)により、エンドエフェクタ100は、体腔の鋭角の角度の曲率を容易に通過することができる。
【0040】
端部エフェクタ100が所望に従って標的組織50に隣接して配置されると(
図1参照)、ハンドル14のスプール18(
図2を参照)が遠位方向に進められて、制御ワイヤ40及び制御ワイヤ取り付け部112は遠位方向に移動される。
図3Cを参照すると、制御ワイヤ取り付け部112の遠位方向の移動により、リンクピン170及び駆動ピン142,144を中心として2つのリンク110が枢動され、第1のジョー106及び第2のジョー107は、枢動ピン138を中心に回転されて、端部エフェクタ100は、開いた組織受承姿勢に移行される。端部エフェクタ10が開放姿勢にある時、開いた第1のジョー106及び第2のジョー107は、標的組織50に対して押される。
図12Aを参照する。当業者であれば理解できるように、端部エフェクタ100は、内視鏡4の観察システム又は別の適切な方法によって標的組織50に対して操作され得る。
図12Aは、装置20を用いて標的組織50から組織の鉛直咬合を得る様子を示すことに留意されたい。
図12Aに示すように、鉛直方向に咬合を得る際には、エンドエフェクタ100の長手方向軸Lは、標的組織50に対してほぼ直交して向けられる。装置20は、標的組織50の接線方向に咬合を得ることにも使用される。
図12Bを参照する。接線方向の咬合を得る際に、開いた第1のジョー106及び第2のジョー107は、標的組織50の一部がジョー106,107の間に配置された状況で組織の壁に接して配置される。
【0041】
装置20のスプール18は、第1のジョー106及び第2のジョー107を接近させるために、ハンドル14の近位方向に移動される。第1のジョー106及び第2のジョー107は、互いに向かって回転される為、第1のジョー106の歯128及び第2のジョー107の歯148は、標的組織50を穿刺し標的組織50内にアンカーして、標的組織50の一部を切除する。
図12C,12Dを参照する。ジョーのテーパの付いた鋸歯を含む歯128,148は、より多くの量の標的組織50を捕捉すること、及び組織をきれいに切除することを支援する。ジョー106,107の遠位端130Bの近位に配置されたより大きな歯128,148(
図10A,11A参照)は、端部エフェクタ100で標的組織50のサンプルが得られる深さを増加させることに役立つ。組織の接線方向の咬合を取得すると(
図12B参照)、標的の壁に接した側の第1のジョー106及び第2のジョー107の歯、並びに、第1のジョー及び第2のジョー106,107の前歯は、アンカーして標的組織50を穿刺する。サイドウインドウ149A,149B,及び/又は149C(
図9B)は、さらなる間隙を形成して、ジョーの間に捕捉される組織の量を増やしたり組織の圧壊を低減したりし得る。組織が第1のジョー106及び第2のジョー107の間に収集されると、装置20は、内視鏡4から近位方向に後退され、組織は診断の為に回収される。診断のためにさらに多くの組織が必要な場合には、装置20は、更に組織を得るために同一の方法で内視鏡4内を通って再度挿入される。
【0042】
上記の端部エフェクタ100の具体的な構成(歯の配列や寸法)は、単なる例示であることに留意されたい。いくつかの実施形態では、装置20は、異なる構成の歯を有する端部エフェクタを含む。
図13Aは、装置20で使用され得る端部エフェクタ200の異なる実施形態を示す。端部エフェクタ200は、上記端部エフェクタ100について説明したのと同じ方法で回転可能に連結された第1のジョー206及び第2のジョー207を含む。第1のジョー206及び第2のジョー207はそれぞれ、ジョー206,207の外周縁の組織切断刃先224に沿って歯228を含む。端部エフェクタ100と異なり、端部エフェクタ200では、第1のジョー206及び第2のジョー207は同一である。つまり、2つの同一のジョーが第1のジョー206及び第2のジョー207として使用される。第1のジョー206及び第2のジョー207に同一の構成要素を用いることにより、装置20のコストや組み立ての複雑さを低減する。
図13Bは、端部エフェクタ200の第1のジョー及び第2のジョーとして用いられるジョーを示す。ジョー207は、略凹状の内面から略凸状の外面に延びる貫通穴又は開口部232(開口部132に類似する)を含む。要件ではないが、いくつかの実施形態では、開口部232の短軸は、約10~20mils(約0.254~0.508ミリメートル)の間であり、長軸は20~40mils(約0.508~1.102ミリメートル)の間である。いくつかの実施形態では、開口部232の寸法は、約15mils×30mils(約0.381ミリメートル×0.762ミリメートル)(短軸×長軸)である。
【0043】
図13Bに示すように、ジョー207では、歯228は、長手方向軸線Lを中心として対称に配置されない。第1のジョー206及び第2のジョー207に同一の構成要素が使用されるため、下部のジョー207の左側の歯228の配列は、上部のジョー206の右側の歯の配列と同一である。
図13Aを参照する。遠位端230Bから近位端230Aまで組織切断刃先224の左側に沿って移動すると、ジョー207の歯228は、第1の歯228A,第2の歯228B,第3の歯228C,第4の歯228D,第5の歯228Eを含む。遠位端230Bから近位端230Aまで組織切断刃先224の右側に沿って移動すると、ジョー207は、第6の歯228F,第7の歯228G,第8の歯228H,第9の歯228Iを備える。
図13Bに示すように、第2の歯228B及び第8の歯228Hは、略台形状を有し、残りの歯は、略三角形状を有する。しかし、いくつかの実施形態では、これらの歯は、尖った、丸みを帯びた、又は平坦な尖端を有する異なる形状を有してもよい。歯228C及び歯228Dは、距離b
1を置いて配置され、歯228G及び歯228Hは、距離b
2を置いて配置され、歯228H及び歯228Iは、距離b
3を置いて配置される。距離b
1は、約17~21mils(約0.432~0.533ミリメートル)(好ましくは約18~20mils(約0.457~0.508ミリメートル))、距離b
2、b
3は、ともに約5~9mls(約0.127~0.229ミリメートル)(好ましくは約6~8mils(約0.152~0.203ミリメートル))である。一般に、ジョー207の歯228は、任意の好適な寸法を有して良い。いくつかの実施形態では、端部エフェクタ100の第1のジョー106に類似して、ジョー207の歯228の高さは、歯228の頂部を通過する平面が水平面に対して角度Θ
1を形成するように構成される(
図10A参照)。以下の表1は、ジョー207の歯228それぞれのおよその高さ(基部-頂部)と基部における幅とをまとめたものである。
【0044】
【表1】
表1:歯228(
図13B)のおよその高さ及び基部における幅を単位mils(1mils=0.001インチ)で示す。
【0045】
図14Aは、装置20で用いられる端部エフェクタ300の別の実施形態を示す。端部エフェクタ300は、上記端部エフェクタ100について説明したのと同一の方法で回転可能に連結された第1のジョー306及び第2のジョー307を含む。第1のジョー306及び第2のジョー307はそれぞれ、ジョーの外周縁の組織切断刃先324に沿って歯328を備える。端部エフェクタ200と同様に、端部エフェクタ300では、第1のジョー306及び第2のジョー307は、組み立ての複雑さと装置のコストを低減させるために同一である。
図14Bは、端部エフェクタ300の第1のジョー306及び第2のジョー307の両方に用いられるジョーを示す(以下の説明ではジョー307と呼ぶ)。ジョー307は、略凹状の内面から略凸状の外面に延びる2つの貫通穴、すなわち開口部332を有する。これらの開口部332はそれぞれ、端部エフェクタ100,200の開口部132,232よりも小さくてもよい。要件ではないが、いくつかの実施形態では、開口部332の直径は、約10~15mils(約0.254~0.381ミリメートル)(好ましくは12~14mils(約0.305~0.356ミリメートル))である。いくつかの実施形態では、端部エフェクタ100,200のジョー(106,107,206,207)は、(端部エフェクタ300の開口部332と同様に)2つの貫通孔、即ち開口部を有してもよいことに留意されたい。
【0046】
上記実施形態と異なり、端部エフェクタ300の第1のジョー306及び第2のジョー307の歯328は、ほぼ同一の高さを有する。したがって、歯328の尖端を通過して延びる面は、水平面(例えば、軸線Lに平行な面)に対してほぼ平行である。
図14Bに示すように、ジョー207では、歯328は、長手方向軸線Lを中心として対称に配置されない。第1のジョー306及び第2のジョー307として、同一の構成要素が使用される為、下部のジョー307の左側の歯328の配列は、上部のジョー306の右側の歯の配列と同一である。
図14Aを参照する。遠位端330Bから近位端330Aに組織切断刃先324の左側に沿って移動した場合、ジョー307の歯328は、第1の歯328A,第2の歯328B,第3の歯328C,第4の歯328D,及び第5の歯328Eを含む。遠位端330Bから近位端330Aまで組織切断刃先324の右側に沿って移動した場合、ジョー307は、第6の歯328F、第7の歯328G,第8の歯328Hを含む。
図14Bに示すように、これらの歯は全て、略台形状を有する。歯328C及び歯328Dは、距離c
1を置いて配置され、歯328D及び歯328Eは、距離c
2を置いて配置され、歯328G及び歯328Hは、距離c
3を置いて配置される。距離c
1,c
2は、約7~12mils(約0.178~0.305ミリメートル)(好ましくは約8.5~11mils(約0.216~0.279ミリメートル))であり、距離C
3は、約14~18mils(約0.356~0.457ミリメートル)(好ましくは約15~17mils(約0.381~0.432ミリメートル))である。上記のように、ジョー307の全ての歯328の高さは、ほぼ同一である。いくつかの実施形態では、歯328の高さは、約3.5~7.5mils(約0.089~0.191ミリメートル)(好ましくは約4.5~6.5mils(約0.114~0.165ミリメートル))である。一般に、これらの歯328は、任意の幅を有して良い。以下の表2は、ジョー307の歯328のおよその幅をまとめたものである。
【0047】
【表2】
表2:mils(1mil:0.001インチ)単位で歯328(
図14B)のおよその幅を示す。
【0048】
図15Aは、装置20で用いられる端部エフェクタ400の別の実施形態を示す。端部エフェクタ400は、上記端部エフェクタ100について説明したのと同一の方法で回転可能に連結された第1のジョー406及び第2のジョー407を含む。第1のジョー406及び第2のジョー407はそれぞれ、ジョーの外周縁の組織切断刃先424に沿って歯428を含む。端部エフェクタ200,300と同様に、端部エフェクタ400では、第1のジョー406及び第2のジョー407は、組み立ての複雑さと装置のコストを低減するために同一である。
図15Bは、端部エフェクタ400の第1のジョー406及び第2のジョー407の双方に用いられるジョーを示す(以下の説明ではジョー407と呼ぶ)。ジョー407は、略凹状の内面から略凸状の外面まで延びる単一のより大きな貫通孔、即ち開口部432(開口部332に対比して)を備える。要件ではないが、いくつかの実施形態では、開口部432の直径は、約10~30mils(約0.254~0.762ミリメートル)(好ましくは15~25mils(約0.381~0.635ミリメートル))である。
【0049】
端部エフェクタ300と同様に、端部エフェクタ400の第1のジョー406及び第2のジョー407の歯428は、ほぼ同一の高さを有する。いくつかの実施形態では、歯428の高さは、約5~9mils(約0.127~0.229ミリメートル)(好ましくは約6~8mils(約0.152~0.203ミリメートル))である。
図15Bに示すように、ジョー407では、歯428は、長手方向軸線Lを中心として対称に配置されない。第1のジョー406及び第2のジョー407の双方では同一の構成要素が用いられている為、下部のジョー407の左側の歯428の配列は、上部のジョー406の右側の歯の配列と同一である。
図15Aを参照する。遠位端430Bから近位端430Aまで組織切断刃先424の左側に沿って移動した場合には、ジョー407の歯428は、第1の歯428A,第2の歯428B,第3の歯428C,及び第4の歯428Dを含む。遠位端430Bから近位端430Aまで組織切断刃先424の右側に沿って移動した場合には、ジョー407は、第5の歯428E,第6の歯428F,第7の歯428G,及び第8の歯428Hを含む。
図15Bに示すように、これらの歯は全て、略台形状を有する。歯428B及び歯428Cは、距離d
1を置いて配置され、歯428C及び歯428Dは、距離d
2を置いて配置され、歯428G及び歯428Hは、距離d
3を置いて配置される。距離d
1,d
2は、約6~10.5mils(約0.152~0.267ミリメートル)(好ましくは約7.5~9.5mils(約0.191~0.241ミリメートル))であり、距離d
3は、約10.5~14.5mils(約0.267~0.368ミリメートル)(好ましくは約11.5~13.5mils(約0.292~0.343ミリメートル))である。距離d
1、d
2、d
3(及び本明細書で説明した別の類似する歯の離間距離(a
1-a
3,b
1-b
3,c
1-c
3など))は、切断刃先424で歯の基部で計測される。上記のように、ジョー407の全ての歯428の高さは、ほぼ同一である。一般にこれらの歯428は、任意の幅を有し得る。以下の表3は、ジョー407の歯428のおよその幅をまとめたものである。
【0050】
【表3】
表3:mils(1mil:0.001インチ)単位で歯428(
図15Bの)のおよその幅を示す。
【0051】
異なる実施形態について上述した歯の形状、寸法、及び歯間距離は、およその値であることに留意されたい。例えば、歯は、略台形又は略三角形状であると説明されているが、いくつかの実施形態では、同一の歯が異なる形状を有してもよい。上記任意の歯は、幅の方向に沿って丸みを帯びた、尖った、鋭利な、湾曲した、又は平坦な尖端形状を有し得る(例えば、
図13Bの歯228Cに関して、軸線Lの方向に)。また、任意の上記歯の尖端は、厚み方向に沿って、丸みを帯びた、尖った、鋭利な、湾曲した、又は平坦な尖端形状を有し得る(
図13Bの歯228Cに関して、軸線Lに直交する方向に)。
【0052】
開口部(例えば、開口部132,232,332,432)の具体的な構成は、装置(装置100,200,300,400)の各実施形態に関して説明されているが、一般に任意の構成及び数の開口部が装置の各実施形態の一方又は両方のジョーに設けられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、装置100の第1のジョー106(又は第2のジョー107)のみが開口部132を含み、この開口部は、装置300の開口部332(又は装置400の開口部432)の構成を有する。また、装置100のいくつかの実施形態では、(任意の構成の)複数の開口部が一方又は双方のジョーに設けられる。いくつかの実施形態では、異なる数及び/又は構成の開口部が各ジョーに設けられる(例えば、ジョー106には1つの大きな開口部が設けられ、ジョー107には2つのより小さな開口部が設けられる)。
【0053】
いくつかの実施形態では、例示の装置における上記歯の形状、寸法、及び距離は、組織の寸法及び咬合の質の点でよりよい組織の回収結果につながり得る。例えば、より大きな歯及びより小さな歯の組み合わせを含む、上記端部エフェクタのジョーは、歯のレイアウトにより組織へのよりよいアンカー性を有する。
【0054】
当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく上記実施形態に対して変更が可能であると考えられる。また、実施形態の1つに関連する構造上の特長や方法は、別の実施形態に組み込むことができることも理解できる。よって、本発明は説明した特定の実施形態に限定されず、むしろ、添付の請求項の記載によって定義される本発明の範囲内で変更形態もカバーされることが理解できる。