(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】放射線治療計画作成のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A61N5/10 P
(21)【出願番号】P 2020573287
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2019066844
(87)【国際公開番号】W WO2020002334
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-20
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522454806
【氏名又は名称】レイサーチ ラボラトリーズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,シェール
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0275704(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265851(US,A1)
【文献】特開2014-042815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療計画作成装置の作動方法であって、前記装置は、時間の経過に伴う標的位置の変化を含む時間の経過に伴う患者の幾何学的形状の変化に応じてビームを誘導するための標的の動的追跡に関係しており、
前記作動方法は、
a.前記装置が、3D画像のセットを含む患者の4D画像を得るステップであって、
各3D画像は、標的体積を有する相に対応し、前記相は、相のセットを構成して前記4D画像を形成する、ステップと、
b.前記装置が、治療マシンについてのマシン制限を含む治療マシンのモデルを得るステップと、
c.前記装置が、各相での相線量に基づいて、1つ以上の合計線量で定義される少なくとも1つの線量ベースの最適化関数を含む最適化問題を得るステップであって、
前記合計線量は、治療計画全体にわたり患者に送達される合計線量、又は治療の1つ以上のフラクションにわたり患者に送達される合計線量である、ステップと、
d.前記装置が、最適化中に、ビームの移動の制限に関連するマシン制限を考慮した直接マシンパラメータ最適化を適用することにより、線量ベースの最適化関数を用いて各相での線量投与のためのビーム設定を最適化するステップであって、
前記各相での相線量は、該相を表す3D画像と、該相を表すビーム設定に基づいており、
前記ビーム設定を最適化するステップが、
異なる相において、異なるビーム形状及び/又は強度を有することを可能にするような態様で相ごとに1つのビーム設定を最適化すること、又は
全ての相において、同一のビーム形状及び/又は強度を有することを可能にするような態様でビーム設定を最適化すること、
を含む、ステップと、
e.前記装置が、計算された相線量から1つ以上の合計線量を得るステップと、
を含
み、
少なくとも1つの線量ベースの最適化関数が、少なくとも2つの相への相線量から計算される累積線量として合計線量を最適化するように構成され、
前記装置が、各相での変形マップを得るべく、各3D画像と選択された参照画像とのレジストレーションを行うステップと、
前記装置が、最適化中に、それぞれの相での変形マップによって各相での線量分布を参照画像と一致するように変形するステップであって、
前記変形マップは、各相における患者の幾何学的形状の変化を示すマップである、ステップと、
前記装置が、少なくとも2つの相への変形線量分布の加重和として合計線量を計算するステップであって、前記加重和は、
各相に等しいウェイトを与える加重和、
各相が発生する確率に基づく加重和、又は
患者の動きのモデルに基づき各相で費やされる時間に基づく加重和のいずれかである、ステップと、
をさらに含む、放射線治療計画作成装置の作動方法。
【請求項2】
前記参照画像が、患者の3D画像又は計画画像のうちの1つである、請求項
1に記載の作動方法。
【請求項3】
放射線治療計画作成装置の作動方法であって、前記装置は、時間の経過に伴う標的位置の変化を含む時間の経過に伴う患者の幾何学的形状の変化に応じてビームを誘導するための標的の動的追跡に関係しており、
前記作動方法は、
a.前記装置が、3D画像のセットを含む患者の4D画像を得るステップであって、
各3D画像は、標的体積を有する相に対応し、前記相は、相のセットを構成して前記4D画像を形成する、ステップと、
b.前記装置が、治療マシンについてのマシン制限を含む治療マシンのモデルを得るステップと、
c.前記装置が、各相での相線量に基づいて、1つ以上の合計線量で定義される少なくとも1つの線量ベースの最適化関数を含む最適化問題を得るステップであって、
前記合計線量は、治療計画全体にわたり患者に送達される合計線量、又は治療の1つ以上のフラクションにわたり患者に送達される合計線量である、ステップと、
d.前記装置が、最適化中に、ビームの移動の制限に関連するマシン制限を考慮した直接マシンパラメータ最適化を適用することにより、線量ベースの最適化関数を用いて各相での線量投与のためのビーム設定を最適化するステップであって、
前記各相での相線量は、該相を表す3D画像と、該相を表すビーム設定に基づいており、
前記ビーム設定を最適化するステップが、
異なる相において、異なるビーム形状及び/又は強度を有することを可能にするような態様で相ごとに1つのビーム設定を最適化すること、又は
全ての相において、同一のビーム形状及び/又は強度を有することを可能にするような態様でビーム設定を最適化すること、
を含む、ステップと、
e.前記装置が、計算された相線量から1つ以上の合計線量を得るステップと、
を含
み、
少なくとも1つの合計線量が、それぞれ相のうちの1つに関係する、1つ以上の合計相線量からなり、各合計相線量は、該相が治療中に発生する唯一の相であるかのように該相の相線量から計算され、
前記最適化関数が、いくつかの構成最適化関数を含み、各構成最適化関数は、1つの相に割り当てられ、前記該相の合計線量を最適化するように構成される、
放射線治療計画作成装置の作動方法。
【請求項4】
前記最適化関数が、構成最適化関数の加重和であり、各構成最適化関数は、1つの相に割り当てられ、その割り当てられた前記該相の合計線量を最適化するように構成され、前記加重和は、
各相に等しいウェイトを与える加重和、
各相が発生する確率に基づく加重和、又は
患者の動きのモデルに基づき各相で費やされる時間に基づく加重和のいずれかである、
請求項3に記載の作動方法。
【請求項5】
前記最適化関数が、ミニマックス関数、又はフラクション線量の期待値、ボクセルごとのワーストケース、又は目的ごとのワーストケースの最適化関数として定義され、それぞれの関数が、好ましくない関数値を有する1つ以上の相に割り当てられた前記構成最適化関数のうちの1つ以上の改善を優先するように構成される、請求項
3に記載の作動方法。
【請求項6】
放射線治療計画作成装置の作動方法であって、前記装置は、時間の経過に伴う標的位置の変化を含む時間の経過に伴う患者の幾何学的形状の変化に応じてビームを誘導するための標的の動的追跡に関係しており、
前記作動方法は、
a.前記装置が、3D画像のセットを含む患者の4D画像を得るステップであって、
各3D画像は、標的体積を有する相に対応し、前記相は、相のセットを構成して前記4D画像を形成する、ステップと、
b.前記装置が、治療マシンについてのマシン制限を含む治療マシンのモデルを得るステップと、
c.前記装置が、各相での相線量に基づいて、1つ以上の合計線量で定義される少なくとも1つの線量ベースの最適化関数を含む最適化問題を得るステップであって、
前記合計線量は、治療計画全体にわたり患者に送達される合計線量、又は治療の1つ以上のフラクションにわたり患者に送達される合計線量である、ステップと、
d.前記装置が、最適化中に、ビームの移動の制限に関連するマシン制限を考慮した直接マシンパラメータ最適化を適用することにより、線量ベースの最適化関数を用いて各相での線量投与のためのビーム設定を最適化するステップであって、
前記各相での相線量は、該相を表す3D画像と、該相を表すビーム設定に基づいており、
前記ビーム設定を最適化するステップが、
異なる相において、異なるビーム形状及び/又は強度を有することを可能にするような態様で相ごとに1つのビーム設定を最適化すること、又は
全ての相において、同一のビーム形状及び/又は強度を有することを可能にするような態様でビーム設定を最適化すること、
を含む、ステップと、
e.前記装置が、計算された相線量から1つ以上の合計線量を得るステップと、
を含
み、
時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルを得ることをさらに含み、前記モデルは、相に対応しており、且つ、
・相にわたる線量の累積
・構成関数の優先順位づけ
・最適化中にマシン制限を考慮すること
のうちの少なくとも1つのためのモデルを考慮している、
放射線治療計画作成装置の作動方法。
【請求項7】
前記ビーム設定を最適化するステップが、異なる相において、異なるビーム形状及び/又は強度を有することを可能にするような態様で相ごとに1つのビーム設定を最適化することを含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項8】
前記ビーム設定を最適化するステップにおいて、前記最適化関数の最適化問題が、少なくとも2つの前記異なる相の間における、異なるビーム形状及び/又は強度の差異を制約条件として定義することを特徴とする、請求項
7に記載の作動方法。
【請求項9】
前記ビーム設定を最適化するステップが、参照相のビーム設定を最適化し、前記参照相のビーム設定、他の相と参照相との間の患者の幾何学的形状の差異、治療マシンのモデル、及び随意的に時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルに基づいて、少なくとも1つの他の相のビーム設定を計算することを含む、請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項10】
前記最適化関数の最適化問題は、前記最適化が、
・時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルの不確実性、
・治療マシンの線量追跡精度の不確実性、
・患者セットアップ、密度、又は臓器の動きの不確実性、
のうちの1つ以上に関して堅牢な最適化であるように定義される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の作動方法。
【請求項11】
一時的でないストレージ手段を含むキャリア上に格納される、前記放射線治療計画作成装置を制御するためのコンピュータプログラム製品であって、前記放射線治療計画作成装置のプロセッサで動作するときに前記放射線治療計画作成装置に請求項1~
10のいずれか一項に記載の作動方法を行わせるコンピュータ可読コード手段を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
一時的でないストレージ手段を含むキャリア上に格納される、前記放射線治療計画の送達を制御するためのコンピュータプログラム製品であって、放射線療法送達装置のプロセッサで動作するときに、前記放射線療法送達装置に、経時的に患者内の少なくとも1つの領域の追跡に関する情報を受信させ、受信した情報に応じて請求項1~
10のいずれか一項に記載の作動方法によって得られる前記放射線治療計画の送達を制御させるコンピュータ可読コード手段を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記プロセッサ(43)と、前記放射線治療計画作成装置を制御するべく前記プロセッサで動作するように構成された請求項
11又は請求項
12に記載のコンピュータプログラム製品を保持するプログラムメモリ(45)とを備える、放射線治療計画作成装置(41)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療計画作成のための、特に、動的標的追跡を用いる治療計画作成のための方法、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療では、患者を治療するのに光子又は荷電粒子が用いられる。放射線は、腫瘍細胞を治療するのに用いられるが、腫瘍の周りの組織にも害を及ぼす。したがって、周囲組織への、特に脊髄又は心臓などのリスク臓器への損傷を最小にしながら、標的に可能な最高の効果をもたらすべく、放射線治療計画及び送達を改善することが常に望まれている。治療は、普通はフラクションで、例えば1日1フラクションで送達される。
【0003】
放射線治療の問題の1つは、患者の位置及び他のセットアップパラメータが、計画作成と送達との間で、またフラクション間で、僅かに変化することがあるということである。また、患者の幾何学的形状が、1つのフラクション中に変化する場合がある。特に、胴体を治療するとき、患者の呼吸サイクルにより標的及び体の他の部分が周期的に動くことがよくある。
【0004】
標的の位置の不確実性を考慮に入れるために、計画の標的として取り扱われる計画標的体積(Plannning Target Volume,PTV)を定義するべく標的の周りにマージンが定義されることがよくある。これは、標的全体への最小線量を保証するが、周囲組織への望ましくない放射線にもつながる。同様に、リスク臓器の位置が正確に分からない場合であっても、リスク臓器が高すぎる線量を受けないようにするために、リスク臓器の周りにマージンが追加される場合がある。これは、標的への必要な線量を保証することに影響を及ぼす場合がある。
【0005】
標的及び/又はリスク臓器の位置の不確実性を考慮に入れるために、堅牢な計画作成も用いられる。堅牢な計画作成では、いくつかの可能なシナリオが考えられ、各シナリオは、考えられる不確実性、例えば、患者セットアップのシフト、或いは送達中の臓器の動きを考慮に入れるために、1つ以上の標的及び臓器の位置のシフトに関する修正を定義する。可能な最悪のシナリオであっても或る最小品質を保持する計画を作成すること又は期待値を考慮した計画を作成することを含む、いくつかの堅牢な計画作成方法が適用される場合がある。計画治療体積の場合と同様に、腫瘍カバレッジの不確実性を減らすためのトレードオフは、健康な組織への線量の増加である。不確実性を減らすことができれば、標的への線量を維持しながら、健康な組織への線量を減らすことができる。
【0006】
動的標的追跡は、標的が動く際にビームが意図した標的体積に常に当たるようにビームの方向を変更することを可能にし、これは、治療フラクションの送達中に標的位置の変化が考慮に入れられることを意味し、したがって、標的が動いても放射線が周囲組織を避けて標的に当たる可能性が高まる。現在利用可能な動的追跡システムでは、送達システムの制御システムが、実際の追跡を処理し、意図した体積が治療中に照射されることを確認する。したがって、動的標的追跡により、標的の周りの治療マージン、又は堅牢な計画作成のシナリオ間で適用される幾何学的シフトを減らし、健康な組織を温存しながら標的への十分な線量を依然として保証することができる。送達中の標的の動きを追跡するために、MR又は超音波、或いは標的に検出可能なマーカをつけることを含む、様々な方法が用いられる。放射線源と患者の相対位置が、いくつかの異なる方法で変更される。例えば、放射線源が、ロボットアームによって移動される、又は患者を保持するカウチが、ソースに対して移動される。横方向の移動は、コリメータの開口部全体を移動させることによって達成される場合もある。代替的に、標的の動きに追従するようにビームの方向を変更するためにジンバルが用いられる。陽子線治療では、磁石によって同様にビームの方向が変更される。当該技術分野では公知のように、いくつかの治療技術が組み合わされる場合があり、これは不確実性を処理する様々な方法を必要とする。例えば、光子放射線と陽子放射線との両方が用いられる場合、1つのタイプの放射線にのみ追跡が用いられる、又は2つの異なる追跡技術が用いられる場合がある。
【0007】
Medical Physics, 43(5):2387-2398,May 2016: Electromagnetic guided couch and multileaf collimator tracking on a TrueBeam acceleratorは、選択可能なカウチ又はMLC補償を備えるプロトタイプの追跡システムを含む、Varian TrueBeam(登録商標)2.0アクセラレータを説明している。
【0008】
Radiotherapy and Oncology, 119(3):461-466, Jun 2016: Lung stereotactic body radiotherapy with an MR-linac Quantifying the impact of the magnetic field and real-time tumor trackingは、制御信号としてMRを用いる動的標的追跡のためのElektaのMRライナックの使用を説明している。
【0009】
公知の標的追跡方法では、当該技術分野では一般的なように、治療計画は、計画画像に基づいて得られる。送達中に、標的の動きが適切な様態で追跡され、制御システムは、その追跡された動きに基づいてビームが標的に追従することを保証する。標的の動きを追跡する様々な方法には、MR、超音波、又は標的に検出可能なマーカを挿入することが含まれる。
【0010】
標的追跡に伴う問題の1つは、例えば呼吸のために患者内で標的が動く際に、他の臓器も同様に動き、それらの相対位置が変化する場合があることである。これは、呼吸サイクルの1つの相ではリスク臓器を避けて標的に当たるビームが、別の相では標的の位置に適応するべくビームが移動するときにリスク臓器に当たる場合があることを意味する。
【0011】
動的標的追跡方法のための計画作成の重要な特徴は、呼吸サイクルが不規則な場合であっても合計線量が適切であることを保証するために、サイクル全体にわたる線量の良好な分割を決定することである。
【0012】
Physics in Medicine and Biology, 62 (4):1480-1500, feb 2017. Planning 4D intensity-modulated arc therapy for tumor tracking with a multileaf collimatorは、動的マルチリーフビーム平行化による腫瘍追跡を計画するために4D CTを用いるIMAT(すなわちVMAT)の4次元(4D)計画作成スキームを開示している。IMAT送達プロセスの各制御点は、指定された呼吸相での4D CTの画像セットと関連付けられる。最初に、通常の(3D)IMAT計画が相のうちの1つで最適化される。次いで、最適化された3D計画のセグメントを、様々な呼吸相でのビーム方向像の標的投影に基づく3D変形方法を用いて変換することによって4D計画が作成される。
【0013】
この方法は、線量の計画作成とモニタリングを可能にするが、いくつかの厳しい制限を有する。結果として得られる計画は、固定された呼吸パターンに関係しており、実際の呼吸パターンに応じた送達の制御は存在しない。したがって、計画が意図した通りに機能するためには、送達中の患者の呼吸パターンは計画中の呼吸パターンから周期的にも振幅的にも逸脱してはならない。計画作成方法はまた、標的とリスク臓器の相互の起こりうる移動を考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、放射線治療での動的標的追跡を用いて治療計画作成計画を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、動的標的追跡を可能にする放射線治療計画作成方法に関し、より詳細には、時間の経過に伴う標的位置の変化を含む時間の経過に伴う患者の幾何学的形状の変化に応じてビームを誘導するための標的の動的追跡に関係する放射線治療計画作成方法であって、
a.3D画像のセットを含む患者の4D画像を得るステップと、
各3D画像は、標的が指定位置を有する相に対応し、相は相のセットを構成し、
b.治療マシンについてのマシン制限を含む治療マシンのモデルを得るステップと、
c.各相での相線量に基づいて、1つ以上の合計線量で定義される少なくとも1つの線量ベースの最適化関数を含む最適化問題を得るステップと、
d.最適化中にマシン制限を考慮した直接マシンパラメータ最適化を適用することにより、線量ベースの最適化関数を用いて各相での線量投与のためのビーム設定を最適化するステップと、
各相での相線量は、該相を表す3D画像と該相を表すビーム設定に基づいて計算され、
e.各相への計算された線量から1つ以上の合計線量を得ステップと、
を含む方法に関する。
【0016】
合計線量は、好ましくは、各相の計算された線量の加重和として計算される、累積線量である。普通は、治療計画は、いくつかのフラクションで、例えば、数日間にわたって1日1計画フラクションで患者に送達される。合計線量は、患者の治療計画全体にわたる合計線量、又は治療の1フラクションの合計線量、又はフラクションのサブセットの合計線量を指す場合がある。最も単純なケースでは、1つ以上の合計線量を得るステップは、最適化関数値を計算するときに線量エンジンから相線量を取得することを含む。
【0017】
本発明によれば、標的自体の移動だけでなく、患者の変形した幾何学的形状も考慮される。幾何学的形状の変化は、通常、呼吸サイクルなどのように周期的であるが、この方法はまた、線形移動又は不規則な移動などの他のタイプの移動にも適用可能である。最適化中に各相の線量が考慮されるので、標的への線量とリスク臓器への線量が各相の幾何学的形状に合わせて最適化されることになる。これにより、例えば、計画が単一の3D画像上で作成される場合に起こり得る、相のうちのいくつかにおいて標的がリスク臓器の前をビーム方向に移動する場合にリスク臓器への線量が増加するリスクが低減する。マシン制限は、適切には、移動のモデルに基づくことができる。
【0018】
さらに、治療過程全体で送達される線量を用いることが、最適化関数として生物学的指標を用いるための前提条件である。生物学的指標は治療の目標に直接関係しており、計画作成から得られる線量がこれらの目標を達成する可能性を高めるため、これは有利である。したがって、少なくとも1つの最適化関数は、好ましくは、線量ドメインで及び/又は生物学的指標として定義される。
【0019】
治療ビームの送達は、1つ以上のサブビームに分割される。これらのサブビームは、例えば、光子ビームの制御点又はセグメント、或いは荷電粒子ビームのエネルギー層又はスポットとすることもできる。ステップbで得られるマシンモデルはまた、サブビームの時間的分布のモデルを意味する時間の関数としての治療送達のモデルを含むことが好ましい。時間の関数としての治療送達のモデルは、治療技術及びマシンによって異なる。
【0020】
1つの好ましい主な実施形態において、少なくとも1つの線量ベースの最適化関数は、少なくとも2つの相のそれぞれへの相線量から計算される累積線量として合計線量を最適化するように構成され、
・各相での変形マップを得るべく、各3D画像と選択された参照画像とのレジストレーションを行うステップと、
・最適化中に、それぞれの相での変形マップによって各相での線量分布を参照画像と一致するように変形するステップと、
・すべての相への変形線量分布の加重和として合計線量を計算するステップと、
をさらに含む。
【0021】
参照画像は、以前に得られた患者の計画画像、又は4D画像内の3D画像のうちの1つ、又は患者の別の適切な画像であり得る。代替的に、これは関連する領域のアトラス画像であり得る。前述のように、治療は、普通はいくつかのフラクションで送達される。これを可能にするために、少なくとも1つの最適化関数は、すべての相及びすべてのフラクションにわたる累積線量に基づくことができる。
【0022】
第2の好ましい主な実施形態において、少なくとも1つの合計線量は、それぞれ相のうちの1つに関係する、1つ以上の合計相線量を含み、各合計相線量は、該相が治療中に発生する唯一の相であるかのように、すなわち、動きがなかったかのように該相の相線量から計算される。この場合の治療という用語は、1つの治療フラクション、フラクションのサブセット、又はすべてのフラクションを含む治療全体を指すことがある。この場合、最適化関数は、構成最適化関数で構成されてよく、各構成最適化関数は、1つの相に割り当てられ、該相の合計線量を最適化するように構成される。この場合、最適化関数は、適切には、構成最適化関数の加重和であり、各構成関数は、1つの相に割り当てられ、その割り当てられた相の合計線量を最適化するように構成される。最適化問題は、ワーストケースの最適化問題として定義することができ、例えば、最適化関数は、好ましくない関数値を有する1つ以上の構成最適化関数の改善を優先するように定義される。
【0023】
本発明に係る方法は、1つ以上の合計線量を決定することに基づいており、各合計線量は、1つの動作で1つ以上の相線量から計算される。したがって、動的標的追跡なしの計画作成と同じ形態の最適化問題が用いられる。ユーザは、普通はこのような最適化問題に精通しているため、これは有利である。相間でどのように線量を分布させるかについての制約はなく、これは、最適な合計線量分布が見つかる可能性を高める。当該技術分野で一般的であるように、最適化問題は、目的関数又は制約であり得るいくつかの最適化関数を含む。目的関数は、(例えば、リスク臓器への線量を最小にすること)に向けて努力する目標として定式化され、一方、制約は、指定された制限(例えば、リスク臓器への最大線量の値を設定する)である。
【0024】
いくつかの実施形態において、線量ベースの最適化関数はさらに、合計線量に関係した少なくとも1つの関数パラメータに基づいている。少なくとも1つの関数パラメータは、治療機能のための指定線量レベルであり得る。
【0025】
線量投与中に、治療マシンは、最適化に用いられる治療マシンのモデルとは異なる様態で動作し得る。同様に、患者の幾何学的形状の変化のモデルが用いられる場合、送達中の実際の患者の動きは、最適化に用いられるモデルとは異なることがある。したがって、この方法は、好ましくは、堅牢な最適化と組み合わされる。最適化は、
・時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルの不確実性、
・治療マシンの線量追跡精度の不確実性、
・患者セットアップ、密度、又は臓器の動きの不確実性、
のうちの1つ以上に関して堅牢であるべきである。
【0026】
堅牢な最適化のために、少なくとも1つの線量ベースの最適化関数は、合計線量に関係した少なくとも1つの最適化関数と、シナリオ線量に関係した少なくとも1つの最適化関数を含み得る。例えば、ワーストケースの最適化又は期待値の最適化に基づいて堅牢な最適化をどのように実装するかは当業者に公知である。
【0027】
最も単純な実施形態では、ビーム形状は、すべての相を通して一定に保たれる。ビーム形状はまた、一定であるが、ビームを送達するのに用いられる送達システムのモデルに基づいてシフトされ得る。他の実施形態では、最適化問題は、ビームが異なる相で異なるビーム形状を有することができるように定義され、適用可能な場合、ビーム形状は、ビームを送達するのに用いられる送達システムのモデルに基づいて最適化中に制約される。この場合、この方法はまた、例えば、ビーム形状が特定の相で最も適切な形状に適合され得るので、線量投与中のコリメータリーフのリーフ移動距離を減少させることができる。
【0028】
ビーム設定は、ビームに影響を及ぼすすべてのパラメータとして定義され、例えば、マルチリーフコリメータ(MLC)を備えた光子マシンの場合には、ビーム角、強度(すなわち、モニタ単位MU又はセグメントウェイト)、及びコリメータリーフ位置を含み、又は、ペンシルビームスキャニングを備えた陽子マシンの場合には、ビーム角及び強度(すなわち、スポットウェイト)を含む。ビーム設定は、普通は相間で変化することになる。したがって、ビーム設定を最適化するステップは、参照相の1つのビーム設定を最適化し、参照相のビーム設定、他の相と参照相との間の患者の幾何学的形状の差異、及びマシンのモデルに基づいて、少なくとも1つの他の相のビーム設定を計算することを含み得る。ビーム設定は、ビーム形状及び強度が相間で同一であるように計算される。代替的に、ビーム形状及び/又は強度は、相間で変化させることができる。別の実施形態において、各相での最適なビーム形状及び/又は強度を得るべく、異なる相のビーム形状及び/又は強度が同時に最適化される。
【0029】
患者の幾何学的形状の差異は、通常、1つ以上の標的及び/又はリスク臓器の位置の変化に関係することになる。ビーム設定の最適化は、動的標的追跡が用いられるときに標的の移動に応じてビーム設定をどのように変化させるかを記述するマシンモデルに基づく必要がある。最適化問題は、この場合、好ましくは、相のうちの少なくとも2つの間のビーム形状及び/又は強度の差異を制約するように定義される。標的は、主として目標とされるべき線量に対する標的、或いは患者のいくつかの他の臓器又は組織部分であり得る。参照相は、好ましくは、必ずしもそうである必要はないが、選択された参照画像と関連付けられる。
【0030】
各相の全体的な幾何学的形状が考慮されるため、標的だけでなく、各相での各臓器の実際の位置がより正確にわかり、これは、リスク臓器への線量をより適切に回避できることを意味する。これは、健康な組織、特に、リスク臓器を不必要な放射線に曝すリスクを低減するであろう。
【0031】
他の計画作成方法に関しては、それらの位置の不確実性を処理するために、標的及び/又はリスク臓器の周りにマージンが適用される場合がある。本発明に係る方法は、標的(又は複数の標的)及び任意のリスク臓器を含むすべての重要な臓器の位置をより正確に処理することによって、このようなマージンを減らすことを可能にする。
【0032】
本発明に係る方法は、セグメントマルチリーフコリメータ(SMLC)、動的マルチリーフコリメータ(DMLC)、三次元原体照射法(3DCRT)、強度変調回転照射法(Volumetric Modulated Arc Therapy,VMAT)、及びペンシルビームスキャニング(PBS)を含むがこれらに限定されない、いくつかの異なる送達技術での治療計画作成に適している。
【0033】
最適化問題はまた、追跡の不確実性を増加させる少なくとも1つの因子に対するペナルティを含み得る。例えば、コリメータ角度は、リーフの移動と標的の移動との偏差を最小にするように選択される。これにより、追跡性能が向上する。
【0034】
考慮すべきマシン制限は、治療計画の送達に影響し得るという意味で、治療計画作成に関連するものである。マシン制限を考慮に入れることにより、治療システムのマシン特性を考慮して計画を送達できること、好ましくはマシン特性が送達に遅延を生じないことが保証される。したがって、いくつかの実施形態において、時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルが得られ、計画が送達マシンの特性と適合することを保証するために最適化中に用いられる。時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルとマシンモデルは、追跡中にマシン制限に違反しないことを確認するために、最適化前の前処理ステップ又は最適化後の後処理ステップで用いられ得る。
【0035】
好ましくは、以下のうちの少なくとも1つを考慮するときに、時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルが適用される:
・相にわたる線量の累積
・構成関数の優先順位づけ
・最適化中にマシン制限を考慮すること
【0036】
マシン制限の考慮を容易にするために、送達システムのモデルに基づいて、最適化中にマシン制限を考慮した直接マシンパラメータ最適化を用いて、ビーム設定が最適化されてよい。代替として、追跡の不確実性を低減するために、本発明の方法を行う前に、コリメータ角度などのビーム設定の少なくとも一部が事前に計算されてよい。2つの隣接する相間でビーム方向を変更できるかどうかを事前に判断するために、マシンのモデルと患者の幾何学的形状の変化のモデルに基づいて計算を行うことも可能である。
【0037】
時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルは、患者が各相にある時間量に基づいている。患者の幾何学的形状の変化のモデルは、動きの離散関数であってよく、その場合、各相は、離散モデルの特定のタイムスロットに関連付けられる。患者の幾何学的形状の変化のモデルは、代替的に、動きの連続関数であってよく、その場合、各相は、連続モデルのタイムスロットと関連付けられる。上記のように、各相は、4D画像を構成する3D画像のうちの1つと関連付けられる。
【0038】
最も単純な動きモデルは、各相で等しい時間を定義することである。もう少し高度なモデルは、異なる相で異なる時間を割り当てることである。例えば、動きの測定値又は動きの母集団の統計値に基づいて、より高度な離散モデルと連続時間モデルとの両方を適用することもできる。累積線量に基づく最適化関数の最適化は、線量を個々の相に制限しないという利点を有する。代わりに、最終エンドポイントであるフラクション全体(又はいくつかのフラクション)の累積線量のみが最適化中に考慮され、オプティマイザに相間で線量を最適な様態で再分布させる自由を与え、これは計画の品質を改善する可能性を高める。
【0039】
線量分布の加重和では又は構成関数の加重和では、ウェイトが様々な様態で決定され得る。最も単純なケースでは、各相に等しいウェイトを与える加重和が計算される。代替的に、加重和のウェイトは、各相が発生する確率に基づくことができる。この場合、各相が発生する確率のモデルは、ウェイトを設定するための入力として必要とされる。第3の選択肢は、加重和のウェイトを、時間の関数としての患者の動きのモデルに基づいて各相で費やされる時間に基づくようにすることである。
【0040】
本発明に係る方法はまた、少なくとも1つの最適化関数として堅牢な最適化関数を用いることによって、堅牢な最適化計画と組み合わされ得る。これは、標的への最小線量と他の組織への最大線量に関して最低品質の計画でも依然として十分に良好であること、又は線量分布の期待値が十分に良好であることを保証するために、いくつかの異なるシナリオに対して計画が計算される堅牢な計画作成技術を含むがこれに限定されない。堅牢な最適化と動的標的追跡とを組み合わせることは、シナリオ間のシフトを減らすことができ、時間モデル、いわゆる相互作用効果、送達の追跡に関する不確実性の処理が可能となることを意味する。堅牢な計画作成によって処理され得る不確実性は、
・時間の関数としての患者の幾何学的形状の変化のモデルの不確実性、
・線量投与システムの制御システム、特に、線量追跡精度の不確実性、
・患者セットアップ、密度、又は臓器の移動の不確実性、
を含む。
【0041】
少なくとも1つの不確実性の堅牢な最適化は、
・ワーストケースの最適化
・期待値の最適化
・マージンの適用
を含む、当該技術分野では公知の任意の様態で処理され得る。
堅牢な最適化関数はまた、患者が各相にある確率及び/又は時間の関数としての患者の動きのモデルに基づくことができる。
【0042】
本発明はまた、好ましくは一時的でないストレージ手段などのキャリア上に格納される、放射線治療計画作成装置を制御するためのコンピュータプログラム製品であって、放射線治療計画作成装置のプロセッサで動作するときに上記に記載の方法を装置に行わせるコンピュータ可読コード手段を備えるコンピュータプログラム製品に関係する。
【0043】
本発明はまた、好ましくは一時的でないストレージ手段などのキャリア上に格納される、放射線治療計画の送達を制御するためのコンピュータプログラム製品であって、放射線療法送達装置のプロセッサで動作するときに、放射線療法送達装置に、経時的に患者内の少なくとも1つの領域の追跡に関する情報を受信させ、受信した情報に応じて前記請求項のいずれか一項によって得られる計画の送達を制御させるコンピュータ可読コード手段を備えるコンピュータプログラム製品に関係する。
【0044】
本発明はまた、プロセッサと、放射線治療計画作成装置を制御するべくプロセッサで動作するように構成された上記に記載のコンピュータプログラム製品を保持するプログラムメモリとを備える放射線治療計画作成装置に関する。
詳細な説明
【0045】
本発明を、例として添付図を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1a、
図1b、及び
図1cは、動的標的追跡の3つの方法を例示する図である。
【
図2】臓器の周りの安全マージンの適用を例示する図である。
【
図3】本発明の方法の一実施形態に係る方法の流れ図である。
【
図4】治療計画作成のために用いられ得るコンピュータシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
放射線治療計画作成の目標は、一般に、合併症のない腫瘍制御確率を最大にすることである。これは、原則として、TCP及びNTCPベースの最適化関数などの生物学的最適化関数を用いて達成することができる。最適化関数は、最適化問題の一部であり、目的関数として又は制約として表現される。臨床目標は、普通は、線量ドメインで示され、したがって、最小及び最大線量、最大平均線量、最小及び最大DVHポイントなどの物理的最適化関数がより一般的に用いられる。当該技術分野ではよく知られているように、最適化関数は、目的関数及び/又は制約によって臨床目標を達成する計画を作成するように設計される。
【0048】
動的標的追跡なしに、すなわち公称相のみで計画を作成するとき、最適化関数は、公称線量分布にのみ関連する。例えば、1つの臨床目標が、標的全体への70Gyの均一線量である場合、オプティマイザは、最適化中に70Gyの均一線量最適化関数が適用される場合に、公称相の幾何学的形状の標的への70Gyの均一線量を達成しようとする。最適化関数の例は、標的体積への指定された均一線量を得ようとする線量ベースの最適化関数である。このような関数は、f(DL,D)で表すことができ、ここで、DLは、指定線量レベルであり、Dは、4D CTの相のうちの1つであり得る、計画作成CTに対して計算される線量である。
【0049】
前述のように、動的標的追跡技術は、動いている標的にビームが追従できるようにすることによって治療計画作成を大幅に改善した。
図1a、
図1b、及び
図1cは、動的標的追跡のための当該技術分野では公知の3つの主な方法を例示している。
図1a、
図1b、及び
図1cは、それぞれ、実線で示される第1の相に対応する第1の位置でのビームソース11、標的13、及びリスク臓器15を概略的に示す。治療計画作成は、この例では実線で示された状況に基づく。破線を用いて、第2の相に対応する第2の時点での標的13’とリスク臓器15’も示される。図でわかるように、標的とリスク臓器の相対位置は、第1の時点と第2の時点との間で変化する。これは、第1の時点でリスク臓器を避けて標的に当たるように設計されるビームが、第2の時点でリスク臓器を避けることができない場合があることを意味する。動的標的追跡では、一般に、移動がモデル化され、各相で費やされる時間が概算される。
【0050】
図1aは、ビームソース11は同じ位置に保たれるが、動いている標的13に追従するべくビーム角が変化する、ジンバル追跡を例示している。第1のビーム角は実線で示され、第2のビーム角は破線で示されている。図でわかるように、第1のビームは、第1の相で標的13に影響を与えるが、リスク臓器15を避ける。第2の相では、ビームに対する標的13’とリスク臓器15’の相対位置が変化し、したがって、ビーム11’は、標的13’に影響を与えるが、リスク臓器15’にも影響を与える。ジンバル追跡では、ビーム角が変化するので、標的とリスク臓器の相対位置が横方向の移動において同じままであっても、リスク臓器に影響を与えるリスクがある。
【0051】
スポット追跡が用いられるときに、陽子線治療でも同様の状況が発生する。これは、磁石によってビーム角を変化させることを含み、これは、本発明との関連において、ジンバル追跡でビーム角を変化させることに類似している。
【0052】
図1bは、標的13の移動に合わせてビームソース11を新しい位置11’へ横方向に移動させるのにロボットアームが用いられる、ロボット追跡を例示している。同じく、第1の時点でのビームは実線で示され、第2の時点でのビームは破線で示されている。
図1aのように、第1のビームは、標的13に影響を与えるが、リスク臓器15を避ける。第2の相では、ビームに対する標的13’とリスク臓器15’の相対位置が変化し、したがって、ビームは、標的13’に影響を与えるが、リスク臓器15’にも影響を与える。ロボットアームがビームソース11を移動させる代わりに、カウチがそれに乗っている患者と一緒に動くことでビームソース11と患者の相対位置が変化する、カウチ追跡から、類似した状況が生じる。
【0053】
図1cは、MLC追跡を例示している。これは、ロボット追跡と類似しているが、ビームソースを移動させる代わりに、コリメータの開口部が、標的の移動にビームが追従するように、リーフ位置を維持しながら第2の相での新しい位置へ横方向に移動される。
【0054】
図2は、堅牢な計画作成で用いられ得る様々な標的体積の定義を例示している。通常は腫瘍である第1の標的22及び第2の標的23を含む、患者21を通る簡略化された断面が示されている。悪性増殖として識別される各標的の体積は、肉眼的腫瘍体積GTVと呼ばれる。第1のGTV22の周りの破線で境界を定められた臨床標的体積CTV24は、GTV及び/又はその周りのマージンを包含する体積として定義され、通常、不顕性の微視的悪性疾患を含む。点線25で境界を定められた計画標的体積PTVは、患者の起こりうる幾何学的変化及び/又は移動を許容するためにCTVの周りに定義され得る。第2のGTV23について、同様のCTV及びPTVが図示されていないが定義され得る。体内標的体積ITV26は、2つの腫瘍体積と、それらの間の任意の組織を含む。従来の方法で得られる第1の標的と第2の標的との両方に照射するための治療計画は、ITV内で、標的間の健康な組織への不要線量のリスクが高い。CTV、PTV、及びITVは、例えば、治療セットアップの不確実性に関して定義され得る。1つ又は複数のリスク臓器も存在する場合があり、これらは不確実性を考慮に入れるために独自のマージンを有する場合があり、CTV、PTV、及びITVに適用されるマージンにも影響を与える場合がある。CTV、PTV、又はITVによって追加される体積は、各標的への満足のいく線量を保証するのに十分な体積であるべきであるが、周囲組織への不必要な放射線を回避するために最小限に抑えるべきである。
【0055】
一般に、本発明に係る方法は、治療フラクション内の様々な相への線量を考慮しながら、全治療フラクション線量又はいくつかのフラクションにわたる合計線量、好ましくは、全治療コースで定義される、少なくとも1つの最適化関数を含む最適化問題に基づいている。このような最適化関数は、
f(D1,D2,...,Dm)又はf(a1,a2,...,an,D1,D2,...,Dm) (1)
で表すことができ、ここで、Diは、4D画像のi番目の相の3D画像で計算された線量であり、関数パラメータajのうちの少なくとも1つは、全治療フラクション(又はいくつかの治療フラクション)に関係する。パラメータaiは、例えば、物理的最適化関数の線量レベル、又は生物学的最適化関数でのフラクションの数とすることができる。
【0056】
最適化関数は、例えば、複合目的関数の構成関数として又は制約関数として最適化問題に含めることができる。最適化関数の例は、標的体積への指定された均一線量を得ようとする線量ベースの最適化関数である。このような関数は、
f(DL,D1,D2,...,Dm) (2)
で表すことができ、ここで、DLは、全治療フラクション(又はいくつかの治療フラクション)の指定線量レベル(関数パラメータ)であり、Diは、4D画像のi番目の相の3D画像で計算された線量である。
【0057】
上記の方法の一実施形態は、異なる相での患者のいくつかの3D画像を定義し、相間の画像レジストレーションを用いて、各相の線量を1つの参照画像に変形することに基づいている。参照画像は、例えば、計画画像、公称画像、又は相のうちの1つであり得る。次いで、各相での線量を参照画像の幾何学的形状に一致するように変形するために、レジストレーションによって得られた変形マップを用いて、参照画像上に合計線量が累積される。その場合、式2の最適化関数は、
f(DL,D1,D2,...,Dm)=f(DL,Dacc(D1,D2,...,Dm)) (3)
となり、ここで、Daccは、画像レジストレーションと時間の関数としての動きに基づいて各相の線量から計算される累積線量である。
【0058】
上記の方法の別の実施形態は、各相の線量で定義される構成最適化関数を用いることに基づいており、これらの関数は最適化関数に組み合わされる。最適化関数の例は、標的体積への指定された均一線量を得ようとする線量ベースの最適化関数である。この場合、式2の関数は、
f(DL,D1,D2,...,Dm)=f(g1(DL,D1),g2(DL,D2,)...,gm(DL,Dm)) (4)
となる。この例では、すべてのgiは、i番目の相の均一線量DLを達成しようとする同一の構成最適化関数である。最適化fは、構成関数giの関数値を組み合わせる。fの例は、構成関数値の和、例えば、相が発生する確率又は各相で費やされる時間に基づく加重和、或いは最悪の関数値をもつ相の構成関数を改善しようとする又は好ましくない関数値をもつ構成関数を改善するべくより高い優先順位を与えようとするミニマックス関数である。
【0059】
より一般的な関数の例は、上記の定義により、以下のように表すことができる:
f(a1,a2,...,an,D1,D2,...,Dm)=f(a1,a2,...,an,D1,D2,...,Dm,
g1(a1,a2,...,an,D1),g2(a1,a2,...,an,D2,)...,
gm-1(a1,a2,...,an,Dm),gm(a1,a2,...,an,D1,D2,...,Dm))
(5)
この定義により、累積線量と単一の相の線量に依存する構成関数との組み合わせを用いる、例えば上記の2つの例の組み合わせが可能となる。例えば、フラクション線量の期待値、ボクセルごとのワーストケース、及び目的ごとのワーストケースの最適化関数を含めるべく、f(a1,a2,...,an,D1,D2,...,Dm)の他の定義が可能である。
【0060】
この戦略を用いると、一般的なケースと同じ均一線量最適化関数を、累積合計線量に適用される本発明に係る方法で用いることができる。実際には、これらのモデルは線量分布に依存するため、生物学的最適化関数を含む、非DTT計画作成に従来から用いられているすべての最適化関数を適用することができる。したがって、関数値が確率であり、所望の線量レベルが指定されない場合であっても、生物学的最適化関数は、この状況では線量ベースの最適化関数と考えられる。
【0061】
図3は、方法の第1の実施形態の流れ図である。この例では、ビーム形状はすべての相において同じままであり、マシンはMLCを有すると想定される。この場合、すべての相の線量は、コリメータリーフ位置の1つのセットに基づいて計算することができる。ステップS31で、患者の4D画像が得られる。4D画像は、患者の移動サイクル、例えば呼吸サイクルを反映する、経時的な3D画像のセットである。4D画像は、コンピュータ断層撮影(CT)、コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)、陽子線CT(pCT)、デュアルエネルギーCT(DECT)、及び磁気共鳴(MR)を含む、線量計算を可能にする任意のモダリティであり得る。画像は、例えば相ごとのタイムスタンプ又は呼吸サイクルの測定値によって、様々な相での、すなわち、時間の関数としての、患者の幾何学的形状を記述する。代替的に、標的の動きを測定し、非剛体画像レジストレーションを適用することによって、合成4D画像が作成され得る。動きを測定する代わりに、母集団ベースの統計を用いることもできる。4D画像セットを用いると、例えば、構造の補間と非剛体レジストレーションを用いて中間相を追加することもできる。用いられる相は、4D画像における利用可能な相のサブセットとすることもできる。患者の画像を用いて最良の結果が達成されるが、合成4D画像を用いることもでき、満足のいく結果が得られるであろう。
【0062】
ステップS32で、サイクルが、それぞれ患者の幾何学的形状に対応する相のセットに分割され、相が時間の関数としてモデル化される。最も単純なケースでは、これは、各相でどれだけ時間が費やされるかが決定されることを意味する。次に続くステップに従って最適化に用いられるべき相のセット全体又はサブセットが選択され得る。非剛体レジストレーションによって、4D画像に含まれていない中間相が追加され得る。
【0063】
速度制約を使用できるようにするためには、及び、線量を累積できるようにするためには、相を時間の関数としてモデル化する必要がある。最も簡単な方法は、各相にタイムスタンプを追加すること、すなわち、各相でどれくらいの時間が費やされるかをモデル化することであるが、各相での時間を推定する任意の関数が用いられ得る。標的への線量は、異なる相で必ずしも同じではないので、時間モデルの不確実性により、最適化された線量分布と実際の送達線量分布に差異が生じることがある。したがって、これらの不確実性を処理することが重要である。時間モデルの不確実性を考慮する別の理由は、最適化中に速度制約が考慮に入れられる場合に速度制約の違反が生じることがあるということである。これは、目的関数のペナルティを導入すること又は速度に関係した制約を導入することによって達成され得る。不確実性は、堅牢な最適化において又はモデルによって規定された制約よりもさらに厳しい制約を設定することによって処理することができる。制約をどれだけさらに厳しくするかは、不確実性の大きさに依存するはずである。
【0064】
ステップS33で、参照画像が選択され、相のセット又はサブセットに対応する画像と参照画像との非剛体レジストレーションが行われる。参照画像は、患者の4D画像又は計画画像又は任意の他の画像における画像のうちの1つであり得る。これはまた、関連する領域の適切なアトラス画像とすることもできる。レジストレーションは、治療サイクル中の臓器の移動とは関係なく各臓器への合計線量を決定するために、すべての相で送達される線量の累積を参照画像上に投影することを可能にする。
【0065】
ステップS34で、線量ベースの最適化関数が、サイクル全体にわたる累積線量について得られる。移動が各3D画像と参照画像とのレジストレーションによって処理されるので、線量ベースの最適化関数は、動的標的追跡なしの方法の場合と同じであり得る。
【0066】
ステップS35で、ビーム設定が相ごとに変更される。ビーム設定は、すべての可変のマシンパラメータを設定することを含む。マシンパラメータは、送達技術によって異なり、ガントリ角度、MU、MLCリーフ位置、コリメータ角度、カウチ角度、又はジンバル角度を含む場合があり、又はペンシルビームスキャニングの場合にはスポットウェイトを含む場合がある。当業者は、どのマシンパラメータが各システムに適用されるかを決定することができる。すべての相で同じビーム形状が用いられる場合、1つの共通の公称ビーム形状が存在する。MUは、ステップS32で定義された相モデル、特に、各相で費やされる時間に基づいて、相にわたって分散される。以下で説明するように、ビーム形状又はMUを異なる相間で変化させることも可能である。
【0067】
DTT送達システムの技術を用いて、方向変更が行われる。例えば、送達システムが、ロボット追跡又はカウチ追跡を用いる場合、方向変更は、それぞれロボットヘッドの移動又はカウチのシフトに関係する。送達システムがジンバル追跡を用いる場合、方向変更は、ジンバル角度移動に関係する。MLC追跡の場合、方向変更は、リーフバンク全体又はキャリッジ(MLCのビーム形状を維持する)のシフトに関係する。リーフバンクのシフトは、同時にX方向とY方向に行うことができる。ペンシルビームスキャニングの場合、スキャンパターン及び/又はエネルギー層がシフトされ得る。方向変更が、最適化の開始の前に及び/又は最適化中に行われるとき、動きに対する適用可能なマシン制限が考慮される。
【0068】
ステップS36で、ステップS34で定義された最適化関数を用いてビーム設定が最適化される。直接マシンパラメータ最適化を用いて、すべてのビーム設定が同時に最適化される。このようにして、合計線量を最も適切な様態で相にわたって分散させることができる。
【0069】
ビーム形状が一定であると仮定される実施形態では、最適化は、好ましくは、相のうちの1つのマシンパラメータに関して行われる。次いで、他の相のそれぞれの線量が、すべての相での標的の移動に基づいてマシンパラメータを適応させることによって最適化中に計算される。送達マシンの特性によって課される制限は、適用可能な場合、時間の関数としての移動のモデルに基づいて、目的関数又は制約のいずれかとして最適化関数に含められる。
【0070】
前述のように、他の実施形態では、ビーム形状は、各相で個々に適応され得る。最適化は、1つの最適化動作で相ごとに1セットのマシンパラメータの最適化を含むことになる。この場合、達成不可能な又は実行不可能なビーム形状を回避するために、動的標的追跡制御システムのモデルによってビーム形状を制約しなければならない。ビーム形状を制約するためにDTT送達システムの制御システムのモデルが用いられ、相ごとの個々のビーム形状が最適化される。これは、前述の方法のより一般的なケースとみなすことができる。ビーム形状が一定のとき、最適化変数は相間で共有され、一方、一般的なケースでは、相ごとに1セットの最適化変数が存在し得る。MUは、時間の関数としての相のモデル、例えば、各相で費やされる時間に基づいて、相にわたって分散される。
【0071】
ビーム形状を相間で変化させることができる実施形態では、最適化された相のビーム設定の同時の直接マシンパラメータ最適化は、異なる相での個々のビーム形状及び/又はMUを可能にする。標的が動いている間に計画を送達可できること、すなわち、マシンが、送達中に変化するビーム形状に十分に速く適応できることを保証するために、最適化中に適用可能なマシン制約が考慮に入れられる。ロボット追跡の場合、これは、ロボットヘッドの速度を含み、ジンバル追跡の場合、パン及びチルト角速度を含み、MLC追跡の場合、リーフ速度と場合によってはジョー速度を含む。治療カウチの場合、これは、カウチ速度の追跡を含み、PBSスポットの場合、エネルギー層の切り替え時間の追跡を含む。各相を時間の関数としてモデル化することができるので、最適化関数の実際の速度制約を、最適化中にペナルティ関数として又はハード制約として用いることができる。別のオプションは、時間依存性が不明である又は適正にモデル化するには不確実すぎる場合に、2つの隣接する相間の位置又は角度の最大許容変位を用いることである。様々な追跡技術を組み合わせて、最適化中に考慮することができる。例えばコリメータ及びカウチが回転する際に、マシンのすべての自由度を最適化中に考慮に入れることができる。
【0072】
さらに別の実施形態は、マシンモデルによって各相のビーム設定を制御することができる場合に、すなわち、各相で用いられるビーム設定に関する情報をDTT送達システムに転送することができる場合に適用可能である。この場合、ビーム設定は、相ごとに個々に最適化され得るが、オペレータが設定するのではなくマシンモデルに基づいて予測することができる。時間の関数としての相のモデル、例えば、各相で費やされる時間が、各相の動きを制約するのに用いられる。これは、2つの異なる様態で達成することができる。
図3の流れ図に係る方法では、マシンモデルは、それぞれの相のマシンパラメータの変化を計算するのに用いることもできる。前述の修正された実施形態で実施されるとき。マシンモデルは、異なる相間の移動に対する制約を定義するのに用いることができる。
【0073】
ステップS31の前の準備ステップとして、ビーム設定の1つ又は複数の部分が計算され得る。これらの部分は、追跡の不確実性を低減するように選択され、例えば、リーフの移動方向と標的の移動との偏差を最小にするコリメータ角度を事前に計算する。リーフの移動は、マシンモデルに基づいて決定され、標的の移動は、4D画像に基づいて決定される。
【0074】
線量ベースの最適化関数は、様々な様態で定義され得る。線量ベースの最適化関数のうちの少なくとも1つは、限定はされないが、腫瘍制御確率(TCP)又は正常組織障害発生確率(NTCP)を含む、生物学的指標として定義され得る。代替的に又は加えて、線量ベースの最適化関数のうちの少なくとも1つは、線量ドメインにおいて、例えば、均一線量、最小又は最大線量、最小又は最大DVH、平均線量、又はgEUDに関して定義され得る。
【0075】
最適化関数はまた、リーフの移動と標的の移動との偏差を最小にするコリメータ角度などの、追跡の不確実性を増加させる少なくとも1つの因子に対するペナルティを含み得る。代替的に、このようなパラメータは、本発明の計画作成方法を行う前の準備として決定されてよい。
【0076】
図4は、本発明に係る方法が行われ得るコンピュータシステムの概略図である。コンピュータ41は、プロセッサ43、データメモリ44、及びプログラムメモリ45を備える。好ましくは、キーボード、マウス、ジョイスティック、音声認識手段、又は任意の他の利用可能なユーザ入力手段の形態の1つ以上のユーザ入力手段47、48も存在する。ユーザ入力手段はまた、外部のメモリユニットからデータを受信するように構成され得る。
【0077】
データメモリ44は、事前に計算された計画及び臨床目標などの、手順で用いられるデータを備える。プログラムメモリ45は、
図3に関連して説明した方法ステップをコンピュータに行わせるように構成されたコンピュータプログラムを保持する。
【0078】
理解されるように、データメモリ44とプログラムメモリ45は、概略的に図示及び説明されている。それぞれ1つ以上の異なるタイプのデータを保持するいくつかのデータメモリユニット、又はすべてのデータを適切に構造化された様態で保持する1つのデータメモリが存在してよく、同じことがプログラムメモリにも当てはまる。例えば、事前に計算された計画、臨床目標、及び組み合わされた計画のためにそれぞれ別個のメモリ又はメモリセグメントが存在してよい。1つ以上のメモリは、他のコンピュータ上にも格納されてよい。
【0079】
本発明の方法は、例えば、以下に関する堅牢な最適化法と適切に組み合わされる:
・時間の関数としての移動のモデルの不確実性
・送達システムの制御システムの不確実性、すなわち、追跡に関係した不確実性
・例えば、患者セットアップ、臓器の移動、密度などに関する他の不確実性。
追跡の不確実性を他の方法で最小にすることも可能である。例えば、コリメータの移動の場合、リーフの移動がビームソースの移動方向と一致するようにMLCを位置合わせすると、追跡性能が向上する。
【0080】
計画を送達するときに、送達装置は、追跡システムから受信した腫瘍の動きに関連する追跡情報に基づいて、本発明に従って得られた計画を送達するように構成されたコンピュータプログラム製品によって制御される。