(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20240813BHJP
H01R 12/79 20110101ALI20240813BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R12/79
(21)【出願番号】P 2021000377
(22)【出願日】2021-01-05
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵介
(72)【発明者】
【氏名】古本 哲也
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-258112(JP,A)
【文献】特開2005-294036(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0137307(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1771634(CN,A)
【文献】特開2003-17162(JP,A)
【文献】特開2007-134091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、相手側コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記コネクタは、上下方向において下方に位置する相手側コネクタと、前記上下方向に沿って嵌合可能であり、
前記相手側コネクタは、相手側保持部材と、相手側ロック部材とを備えており、
前記相手側保持部材は、前記相手側ロック部材を保持しており、
前記相手側ロック部材は、相手側ロック部を有しており、
前記相手側ロック部は、少なくとも下方を向いており、
前記コネクタは、ロック部材と、保持部材とを備えており、
前記保持部材は、保持部と、受止部とを有しており、
前記ロック部材は、被保持部と、ロック部と、連結部とを有しており、
前記被保持部は、前記保持部に保持されており、
前記ロック部は、前記相手側ロック部と共に、前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに嵌合した嵌合状態をロックし、
前記連結部は、前記被保持部と前記ロック部とを互いに連結しており、
前記ロック部は、前記嵌合状態において、前記相手側ロック部の下方に位置し、前記上下方向において前記相手側ロック部と対向し、
前記連結部は、突当部を有しており、
前記嵌合状態にある前記コネクタを前記相手側コネクタから抜去する際、前記ロック部が前記上下方向と直交する第1水平方向において前記被保持部に向かって移動すると、前記突当部が前記受止部に突き当たり、前記ロック部の移動が制限され
、
前記ロック部材は、ガイド突起を有しており、
前記ガイド突起は、前記上下方向及び前記第1水平方向の双方と直交する第2水平方向において突出しており、
前記突当部は、前記ガイド突起の一部であり、
前記保持部材には、ガイド溝が形成されており、
前記ガイド溝は、前記第2水平方向において凹んでおり、且つ、前記上下方向において延びており、
前記ガイド溝には、前記第1水平方向と交差する2つの内壁面が形成されており、
2つの前記内壁面は、前記第1水平方向において互いに離れており、
2つの前記内壁面のうちの一方は、前記受止部として機能し、
前記嵌合状態にある前記コネクタを前記相手側コネクタから抜去する際、前記ガイド突起が2つの前記内壁面のうちの一方に突き当たっているとき、前記ガイド突起は、前記内壁面のうちの他方から離れている
コネクタ組立体。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ組立体であって、
前記連結部は、第1曲げ部と、第2曲げ部とを有しており、
前記第1曲げ部は、U字形状を有しており、
前記第2曲げ部は、逆U字形状を有している
コネクタ組立体。
【請求項3】
請求項2記載のコネクタ組立体であって、
前記第1曲げ部は、前記第2曲げ部と前記被保持部との間に位置しており、
前記受止部は、前記第1水平方向において、前記突当部と前記ロック部との間に位置している
コネクタ組立体。
【請求項4】
請求項1から
請求項3までのいずれかに記載のコネクタ組立体であって、
前記コネクタは、複数のコンタクトを備えており、
前記相手側コネクタは、前記コンタクトに夫々対応する複数の相手側コンタクトを備えており、
前記コンタクトの夫々は、前記ロック部材として機能し、
前記相手側コンタクトの夫々は、相手側ロック部材として機能する
コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに嵌合可能なコネクトと相手側コネクタとを備えるコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、このタイプのコネクタ組立体が開示されている。
【0003】
図28を参照すると、特許文献1には、互いに嵌合可能なレセプタクル(コネクタ)92とプラグ(相手側コネクタ)96とを備えるコネクタ組立体90が開示されている。コネクタ92は、レセプタクルコンタクト(コンタクト)93を備えている。コンタクト93は、被保持部94と、接触部95とを有している。被保持部94は、コネクタ92のハウジングに保持されている。相手側コネクタ96は、プラグコンタクト(相手側コンタクト)97を備えている。相手側コンタクト97には、段差98が形成されている。
【0004】
コネクタ92と相手側コネクタ96とが互いに嵌合した嵌合状態において、コンタクト93と相手側コンタクト97とは、互いに接触する。詳しくは、コンタクト93の接触部95は、相手側コンタクト97の段差98の上に位置する部位と接触する。例えば、コネクタ組立体90が衝撃を受けたとき、相手側コネクタ96がコネクタ92から上方に移動すると、コンタクト93の接触部95は、段差98と突き当たる。このとき、接触部95を通過する接線CLは、垂直線VLに対して大きく傾斜している。この構造によれば、相手側コンタクト97は、コネクタ組立体90が衝撃を受けた場合でも、コンタクト93から外れ難い。即ち、コンタクト93及び相手側コンタクト97は、嵌合状態をロックするロック部材として機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図28を参照すると、特許文献1のコンタクト93及び相手側コンタクト97は、理論的には、上述のように機能する。しかしながら、コンタクト93は、湾曲形状を有しており、弾性変形し易い。相手側コネクタ96が衝撃等に起因する力を受けてコネクタ92から上方に移動すると、コンタクト93の接触部95は、段差98に押され、被保持部94に向かって移動する。このとき、コンタクト93は、接線CLの垂直線VLに対する傾斜が緩くなるように(即ち、図示した接触角θが小さくなるように)弾性変形し易い。この結果、相手側コンタクト97がコンタクト93から外れ易くなるおそれがある。特許文献1のようなコンタクトに限られず、弾性変形し易い構造を有するロック部材について、より確実なロック機構が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、より確実なロック機構を有する新たなコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタ組立体として、
コネクタと、相手側コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記コネクタは、上下方向において下方に位置する相手側コネクタと、前記上下方向に沿って嵌合可能であり、
前記相手側コネクタは、相手側保持部材と、相手側ロック部材とを備えており、
前記相手側保持部材は、前記相手側ロック部材を保持しており、
前記相手側ロック部材は、相手側ロック部を有しており、
前記相手側ロック部は、少なくとも下方を向いており、
前記コネクタは、ロック部材と、保持部材とを備えており、
前記保持部材は、保持部と、受止部とを有しており、
前記ロック部材は、被保持部と、ロック部と、連結部とを有しており、
前記被保持部は、前記保持部に保持されており、
前記ロック部は、前記相手側ロック部と共に、前記コネクタと前記相手側コネクタとが互いに嵌合した嵌合状態をロックし、
前記連結部は、前記被保持部と前記ロック部とを互いに連結しており、
前記ロック部は、前記嵌合状態において、前記相手側ロック部の下方に位置し、前記上下方向において前記相手側ロック部と対向し、
前記連結部は、突当部を有しており、
前記嵌合状態にある前記コネクタを前記相手側コネクタから抜去する際、前記ロック部が前記上下方向と直交する第1水平方向において前記被保持部に向かって移動すると、前記突当部が前記受止部に突き当たり、前記ロック部の移動が制限される
コネクタ組立体を提供する。
【0009】
本発明は、第2のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記連結部は、第1曲げ部と、第2曲げ部とを有しており、
前記第1曲げ部は、U字形状を有しており、
前記第2曲げ部は、逆U字形状を有している
コネクタ組立体を提供する。
【0010】
本発明は、第3のコネクタ組立体として、第2のコネクタ組立体であって、
前記第1曲げ部は、前記第2曲げ部と前記被保持部との間に位置しており、
前記受止部は、前記第1水平方向において、前記突当部と前記ロック部との間に位置している
コネクタ組立体を提供する。
【0011】
本発明は、第4のコネクタ組立体として、第1から第3までのいずれかのコネクタ組立体であって、
前記ロック部材は、ガイド突起を有しており、
前記ガイド突起は、前記上下方向及び前記第1水平方向の双方と直交する第2水平方向において突出しており、
前記突当部は、前記ガイド突起の一部であり、
前記保持部材には、ガイド溝が形成されており、
前記ガイド溝は、前記第2水平方向において凹んでおり、且つ、前記上下方向において延びており、
前記ガイド溝には、前記第1水平方向と交差する内壁面が形成されており、
前記内壁面は、前記受止部として機能する
コネクタ組立体を提供する。
【0012】
本発明は、第5のコネクタ組立体として、第4のコネクタ組立体であって、
前記ガイド溝には、2つの前記内壁面が形成されており、
2つの前記内壁面は、前記第1水平方向において互いに離れており、
2つの前記内壁面のうちの一方は、前記受止部として機能し、
前記嵌合状態にある前記コネクタを前記相手側コネクタから抜去する際、前記ガイド突起が2つの前記内壁面のうちの一方に突き当たっているとき、前記ガイド突起は、前記内壁面のうちの他方から離れている
コネクタ組立体を提供する。
【0013】
本発明は、第6のコネクタ組立体として、第1から第5までのいずれかのコネクタ組立体であって、
前記コネクタは、複数のコンタクトを備えており、
前記相手側コネクタは、前記コンタクトに夫々対応する複数の相手側コンタクトを備えており、
前記コンタクトの夫々は、前記ロック部材として機能し、
前記相手側コンタクトの夫々は、相手側ロック部材として機能する
コネクタ組立体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、嵌合状態にあるコネクタを相手側コネクタから抜去する際、ロック部が第1水平方向において被保持部に向かって移動すると、突当部が受止部に突き当たり、ロック部の移動が制限される。この結果、ロック部が相手側ロック部から外れ易くなるようなロック部材の弾性変形を防止できる。即ち、本発明によれば、より確実なロック機構を有する新たなコネクタ組立体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態によるコネクタ組立体を示す斜視図である。コネクタは、基板に取り付けられており、基板の後ろに隠れている。隠れたコネクタの位置を破線で示している。相手側コネクタは、基部材に取り付けられている。コネクタ組立体のコネクタと相手側コネクタとは、互いに離れた分離状態にある。
【
図2】
図1のコネクタ組立体を示す側面図である。コネクタと相手側コネクタとは、互いに嵌合した嵌合状態にある。
【
図3】
図1の相手側コネクタを示す斜視図である。相手側コネクタは、基部材に取り付けられている。
【
図5】
図4の相手側コネクタをV-V線に沿って示す断面図である。
【
図6】
図4の相手側コネクタをVI-VI線に沿って示す断面図である。相手側コネクタの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図7】
図3の相手側コネクタを示す分解斜視図である。12個の相手側コンタクトは1つのみ描画しており、拡大して更に描画している。相手側コネクタの下側保持部材の一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において、下側保持部材に取り付けた相手側コンタクトの輪郭を隠れた部分も含めて破線で描画している。
【
図8】
図7の相手側コネクタの上側保持部材を示す斜視図である。
【
図9】
図7の相手側コネクタの相手側コンタクトを示す側面図である。相手側コンタクトの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図10】
図1のコネクタを示す斜視図である。コネクタは、基板に取り付けられている。
【
図12】
図11のコネクタをXII-XII線に沿って示す断面図である。
【
図13】
図11のコネクタをXIII-XIII線に沿って示す断面図である。コネクタの一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において、コンタクトの隠れた圧入突起及びガイド突起の輪郭を破線で描画している。
【
図14】
図11のコネクタをXIV-XIV線に沿って示す断面図である。
【
図15】
図10のコネクタを示す分解斜視図である。12個のコンタクトは1つのみ描画しており、拡大して更に描画している。
【
図16】
図15のコネクタの保持部材を示す斜視図である。保持部材の一部(破線で囲んだ2つの部分)を拡大して描画している。
【
図17】
図16の保持部材を示す上面図である。保持部材の一部(
1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において、コンタクトを保持したときのコンタクトの輪郭を部分的に
破線で描画している。
【
図18】
図17の保持部材をXVIII-XVIII線に沿って示す断面図である。保持部材の一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において、コンタクトを保持したときのコンタクトの輪郭を部分的に
破線で描画している。
【
図19】
図17の保持部材をXIX-XIX線に沿って示す断面図である。保持部材の一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において、コンタクトを保持したときのコンタクトの輪郭を部分的に
破線で描画している。
【
図20】
図17の保持部材をXX-XX線に沿って示す断面図である。
【
図21】
図17の保持部材をXXI-XXI線に沿って示す断面図である。保持部材の一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図22】
図17の保持部材をXXII-XXII線に沿って示す断面図である。
【
図26】
図2のコネクタ組立体をXXVI-XXVI線に沿って示す断面図である。コネクタ組立体の一部(1点鎖線で囲んだ部分)を拡大して描画している。拡大図において、コンタクトの隠れた圧入突起及びガイド突起の輪郭を破線で描画している。
【
図27】
図26のコネクタ組立体を示す別の断面図である。コネクタは、相手側コネクタに対して上方に移動している。仮にコンタクトにガイド突起が設けられていない場合のコンタクトの位置を2点鎖線で部分的に描画している。
【
図28】特許文献1のコネクタ組立体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ組立体10は、コネクタ12と、相手側コネクタ16とを備えている。コネクタ12は、上下方向(Z方向)において下方(-Z側)に位置する相手側コネクタ16と、Z方向に沿って嵌合可能である。
【0017】
本実施の形態の相手側コネクタ16は、可撓性を有するシート部材82及び衣服等の基部材88に取り付けられている。本実施の形態のコネクタ12は、所謂基板コネクタである。コネクタ12は、電子機器として機能するモジュール(図示せず)の回路基板70に搭載されている。コネクタ12と相手側コネクタ16とが互いに嵌合した嵌合状態において、モジュールが動作する。但し、本発明は、これに限られず、様々なコネクタ組立体に適用可能である。例えば、相手側コネクタ16は、相手側回路基板(図示せず)に搭載される基板コネクタであってもよい。この場合、コネクタ12は、基板コネクタであってもよいし、シート部材82及び基部材88に取り付けられていてもよい。
【0018】
以下、本実施の形態の相手側コネクタ16について説明する。
【0019】
図7を
図3及び
図4と併せて参照すると、本実施の形態の相手側コネクタ16は、相手側保持部材18と、導電体からなる複数の相手側コンタクト60とを備えている。本実施の形態の相手側コンタクト60の夫々は、相手側コネクタ16をコネクタ12(
図2参照)と電気的に接続させるための部材である。加えて、相手側コンタクト60の夫々は、嵌合状態をロックする相手側ロック部材60として機能する。即ち、相手側コネクタ16は、相手側保持部材18と、複数の相手側ロック部材60とを備えている。本実施の形態の相手側ロック部材60は、互いに同じ形状を有している。本実施の形態の相手側保持部材18は、絶縁体からなる上側保持部材40と、絶縁体からなる下側保持部材50とを備えている。
【0020】
本実施の形態の相手側コネクタ16は、上述した部材を備えている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、相手側ロック部材60は、互いに異なる形状を有していてもよい。相手側ロック部材60の数は、1であってもよい。相手側ロック部材60は、電気的接続のための部材でなくてもよい。この場合、相手側コネクタ16は、相手側ロック部材60に加えて、別の相手側コンタクトを備えていてもよい。一方、相手側コネクタ16は、相手側コンタクト60に加えて、別の相手側ロック部材を備えていてもよい。上側保持部材40と下側保持部材50とは、互いに一体の部材であってもよい。換言すれば、上側保持部材40及び下側保持部材50の夫々は、単一の相手側保持部材18の一部であってもよい。また、相手側コネクタ16は、上述した部材に加えて、別の部材を更に備えていてもよい。
【0021】
図7を参照すると、本実施の形態の下側保持部材50は、下側板部52と、被収容部54とを有している。下側板部52は、Z方向と直交する水平面(XY平面)と平行な平板形状を有している。被収容部54は、
下側板部52のXY平面における中間部に位置している。被収容部54は、Z方向と直交する第2水平方向(X方向)に沿って延びている。被収容部54は、下側板部52の上面(+Z側の面)から上方(+Z方向)に突出している。
【0022】
本実施の形態の下側保持部材50は、下側板部52及び被収容部54に加えて、複数の下側保持部58を有している。下側保持部58は、互いに同じ形状を有している。下側保持部58の夫々は、被収容部54の上面から上方に突出している。下側保持部58は、相手側ロック部材60に夫々対応して設けられている。下側保持部58は、X方向及びZ方向の双方と直交する第1水平方向(Y方向)において2列に分けられている。2列の下側保持部58は、X方向及びZ方向によって規定される垂直面(XZ平面)について互いに鏡像になるように配置されている。各列の下側保持部58は、X方向に沿って並んでいる。
【0023】
本実施の形態の下側保持部材50は、上述した構造を有している。但し、本発明は、これに限られず、下側保持部材50の構造は、必要に応じて変形可能である。
【0024】
本実施の形態の上側保持部材40は、上側板部42と、被受容部44とを有している。上側板部42は、XY平面と平行な平板形状を有している。被受容部44は、上側板部42のXY平面における中間部に位置している。被受容部44は、X方向に沿って延びている。被受容部44は、上側板部42の上面から上方に突出している。
【0025】
図8を参照すると、上側保持部材40には、収容部46が形成されている。収容部46は、上側板部42に形成された凹みである。収容部46は、上側板部42のXY平面における中間部に位置している。収容部46は、上側板部42の下面(-Z側の面)から上方に凹んでいる。
図8を
図7と併せて参照すると、収容部46は、下側保持部材50の被収容部54に対応した形状を有しており、被収容部54を収容可能である。
【0026】
図8を参照すると、上側保持部材40には、収容部46に加えて、複数の上側保持部48が形成されている。上側保持部48の夫々は、被受容部44の内部に形成された空間である。上側保持部48は、互いに同じ形状を有している。上側保持部48の夫々は、収容部46の上端(+Z側の端)から更に上方に凹んでいる。
【0027】
図8を
図7と併せて参照すると、上側保持部48は、相手側ロック部材60に夫々対応して設けられている。即ち、上側保持部48は、下側保持部58に夫々対応している。即ち、上側保持部48は、Y方向において2列に分けられている。2列の上側保持部48は、XZ平面について互いに鏡像になるように配置されている。各列の上側保持部48は、X方向に沿って並んでいる。上側保持部48の夫々は、下側保持部58に対応した形状を有しており、下側保持部58を受容可能である。
【0028】
本実施の形態の上側保持部材40は、上述した構造を有している。但し、本発明は、これに限られず、上側保持部材40の構造は、必要に応じて変形可能である。
【0029】
図7を参照すると、相手側ロック部材60は、下側保持部58に夫々取り付けられている。
図1及び
図4を参照すると、相手側ロック部材60は、Y方向において2列に分けられている。各列の
相手側ロック部材60は、X方向に沿って並んでいる。2列の相手側ロック部材60は、XZ平面について互いに鏡像になるように配置されている。
図5及び
図6を参照すると、上側保持部材40と、相手側ロック部材60を取り付けた下側保持部材50とは、基部材88及びシート部材82をZ方向において挟み込むようにして互いに組み合わされている。
【0030】
図7を参照すると、基部材88は、XY平面に沿って延びている。基部材88には、取付孔882が形成されている。取付孔882は、基部材88をZ方向に貫通している。取付孔882は、XY平面において、下側保持部材50の被収容部54に対応した形状及びサイズを有している。
【0031】
シート部材82は、絶縁体からなる薄い絶縁シート84を備えている。絶縁シート84は、平面部844と、2つの接続片846とを有している。平面部844には、取付孔842が形成されている。取付孔842は、絶縁シート84をZ方向に貫通している。取付孔842は、XY平面において、下側保持部材50の被収容部54に対応した形状及びサイズを有している。2つの接続片846は、取付孔842のY方向における両側に夫々位置している。接続片846の夫々は、平面部844から全体として上方に延びている。
【0032】
絶縁シート84の上面には、複数の導電パターン86が形成されている。導電パターン86は、相手側ロック部材60に夫々対応して設けられている。即ち、導電パターン86は、Y方向において2列に分けられている。各列の導電パターン86は、X方向に沿って並んでいる。導電パターン86の夫々は、接続片846のうちの一方の上端から平面部844のY方向における端まで、絶縁シート84に沿って延びている。
【0033】
図3及び
図5を参照すると、基部材88は、シート部材82の上に重ねられている。
図5及び
図6を参照すると、シート部材82の取付孔842は、基部材88の取付孔882の真下に位置している。
図6を参照すると、シート部材82の接続片846は、取付孔882を通過して上方に延びている。
図5及び
図6を参照すると、下側保持部材50の被収容部54は、取付孔842及び取付孔882を通過して、上側保持部材40の収容部46に収容されている。
【0034】
図6を参照すると、下側保持部材50に取り付けられた相手側ロック部材60の夫々は、上側保持部材40の対応する上側保持部48の内壁と下側保持部材50の対応する下側保持部58との間に挟まれており、これにより相手側保持部材18に固定されている。即ち、相手側保持部材18は、相手側ロック部材60を保持している。本実施の形態の相手側ロック部材60は、上側保持部材40及び下側保持部材50によって挟まれて保持されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、相手側ロック部材60は、下側保持部材50に圧入されていてもよいし、インサート成型されていてもよい。
【0035】
図7及び
図9を参照すると、本実施の形態の相手側ロック部材60の夫々は、被支持部62と、水平部64と、相手側接続部66とを有している。相手側ロック部材60の夫々において、各部位は、以下に説明する構造を有している。
【0036】
被支持部62は、Y方向において並びZ方向に沿って延びる2つの部位と、2つの部位をY方向に連結する部位とを有している。相手側接続部66は、Z方向に沿って延びている。水平部64は、Y方向に沿って延びており、被支持部62の下端と相手側接続部66の上端とを互いに連結している。
図9を参照すると、被支持部62には、突出部63と、相手側接触部68とが形成されている。突出部63は、被支持部62の上端近傍に位置しており、Y方向外側に突出している。より具体的には、突出部63は、Y方向において相手側接続部66に近づくように突出している。相手側接触部68は、被支持部62のY方向外側の面である。より具体的には、相手側接触部68は、Y方向において相手側接続部66を向いている。相手側接触部68は、突出部63の下に位置している。
【0037】
本実施の形態の突出部63には、嵌合状態をロックするための相手側ロック部69が形成されている。即ち、相手側ロック部材60は、相手側ロック部69を有している。本実施の形態の相手側ロック部69は、突出部63の下面である。相手側ロック部69は、下方及びY方向外側を向いている。より具体的には、相手側ロック部69は、Y方向において相手側接続部66を向いている。
【0038】
相手側ロック部69の構造は、本実施の形態に限られない。例えば、相手側ロック部69は、相手側ロック部材60の突出部63以外の部位に形成されていてもよい。例えば、被支持部62には、Y方向において相手側接続部66から離れるように凹んだ(即ち、Y方向内側に凹んだ)凹みが形成されていてもよい。相手側ロック部69は、この凹みの上側(+Z側)の壁面であってもよい。また、被支持部62には、Y方向に沿って被支持部62を貫通する孔が形成されていてもよい。相手側ロック部69は、この孔の上側の壁面であってもよい。相手側ロック部69は、下方のみを向いていてもよい。即ち、相手側ロック部69は、少なくとも下方を向いていればよい。
【0039】
本実施の形態の相手側ロック部材60の夫々は、上述した構造を有している。但し、本発明は、これに限られず、相手側ロック部材60の夫々の構造は、必要に応じて変形可能である。
【0040】
図7を参照すると、相手側ロック部材60の夫々を対応する下側保持部58に取り付けたとき、被支持部62は、下側保持部58に支持されている。
図6を参照すると、相手側保持部材18をシート部材82及び基部材88に取り付けたとき、相手側ロック部材60の相手側接続部66は、導電パターン86に夫々接続される。このとき、相手側ロック部材60の相手側ロック部69の夫々は、相手側保持部材18の上方に位置して、Y方向外側に突出している。より具体的には、相手側ロック部69の夫々は、Y方向において下側保持部58から離れるように突出している。
【0041】
以下、本実施の形態のコネクタ12(
図10参照)について説明する。
【0042】
図10を参照すると、本実施の形態のコネクタ12は、保持部材20と、導電体からなる複数のコンタクト30とを備えている。本実施の形態のコンタクト30の夫々は、コネクタ12を相手側コネクタ16(
図2参照)と電気的に接続させるための部材である。加えて、コンタクト30の夫々は、嵌合状態をロックするロック部材30として機能する。即ち、コネクタ12は、保持部材20と、複数のロック部材30とを備えている。本実施の形態のロック部材30は、互いに同じ形状を有している。本実施の形態の保持部材20は、単一の部材である。
【0043】
図26を参照すると、コンタクト30は、相手側コネクタ16の相手側コンタクト60と夫々対応して設けられている。換言すれば、相手側コネクタ16は、コンタクト30に夫々対応する複数の相手側コンタクト60を備えている。
【0044】
図10を参照すると、本実施の形態のコネクタ12は、上述した部材を備えている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ロック部材30は、互いに異なる形状を有していてもよい。ロック部材30の数は、1であってもよい。ロック部材30は、電気的接続のための部材でなくてもよい。この場合、コネクタ12は、ロック部材30に加えて、別のコンタクトを備えていてもよい。一方、コネクタ12は、コンタクト30に加えて、別のロック部材を備えていてもよい。保持部材20は、複数の部材を組み合わせて形成されていてもよい。また、コネクタ12は、上述した部材に加えて、別の部材を更に備えていてもよい。
【0045】
図10から
図12までを参照すると、本実施の形態の保持部材20は、XY平面と平行な平板形状を有している。
図10、
図14、
図15及び
図22を参照すると、保持部材20には、受容部22が形成されている。受容部22は、保持部材20に形成された凹みである。受容部22は、保持部材20の下面から上方に凹んでいる。受容部22は、保持部材20のXY平面における中間部に位置している。受容部22は、X方向に沿って延びている。
【0046】
図13及び
図16を参照すると、本実施の形態の保持部材20には、受容部22に加えて、複数の収容穴24が形成されている。収容穴24の夫々は、保持部材20に形成された底のある凹みである。収容穴24の夫々は、保持部材20の上面から下方に凹んでいる。収容穴24は、互いに同じ形状を有している。収容穴24は、ロック部材30に夫々対応して設けられている。即ち、収容穴24は、Y方向において2列に分けられている。2列の収容穴24は、XZ平面について互いに鏡像になるように配置されている。各列の収容穴24は、X方向に沿って並んでいる。
図13、
図20及び
図21を参照すると、収容穴24の夫々の下部(-Z側の部位)は、受容部22と繋がっている。
【0047】
図16を参照すると、収容穴24の夫々には、2つの保持部26と、2つのガイド溝28とが形成されている。即ち、保持部材20には、保持部26と、ガイド溝28とが形成されている。保持部26及びガイド溝28の夫々は、収容穴24の内部に位置する溝である。保持部26及びガイド溝28の夫々は、X方向において凹んでおり、且つ、Z方向において延びている。詳しくは、保持部26及びガイド溝28の夫々は、X方向外側に凹んでいる。また、保持部26及びガイド溝28の夫々は、Z方向に沿って延びており、上方に開口している。
【0048】
収容穴24の夫々における2つの保持部26は、Y方向において互いに同じ位置にあり、X方向において対向している。即ち、収容穴24の夫々における2つの保持部26は、X方向において互いから離れるように凹んでいる。収容穴24の夫々における2つのガイド溝28は、Y方向において互いに同じ位置にあり、X方向において対向している。即ち、収容穴24の夫々における2つのガイド溝28は、X方向において互いから離れるように凹んでいる。収容穴24の夫々において、2つの保持部26は、2つのガイド溝28のY方向外側に夫々位置している。
【0049】
図16及び
図17を参照すると、ガイド溝28の夫々には、2つの内壁面282,284が形成されている。ガイド溝28の夫々における2つの内壁面282,284は、Y方向において互いに離れている。本実施の形態の内壁面282及び内壁面284の夫々は、Y方向と直交する平面である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、内壁面282及び内壁面284の夫々は、Y方向と斜交していてもよい。即ち、ガイド溝28の夫々には、Y方向と交差する内壁面282及び内壁面284が形成されていてもよい。
【0050】
後述するように、内壁面282の夫々は、ロック部材30を部分的に受け止める受止部282として機能し、内壁面284の夫々は、受止部282と対向する対向部284として機能する。即ち、2つの内壁面282,284のうちの一方は、受止部282として機能し、2つの内壁面282,284のうちの他方は、対向部284として機能する。
【0051】
本実施の形態の保持部材20は、上述した構造を有している。特に、保持部材20は、保持部26と、受止部282と、対向部284とを有している。但し、本発明は、これに限られない。保持部材20が保持部26と受止部282とを有している限り、保持部材20の構造は、必要に応じて変形可能である。
【0052】
図13を参照すると、ロック部材30は、保持部材20に取り付けられている。
図11を参照すると、ロック部材30は、Y方向において2列に分けられている。各列のロック部材30は、X方向に沿って並んでいる。2列のロック部材30は、XZ平面において互いに鏡像になるように配置されている。
図10を参照すると、ロック部材30を取り付けた保持部材20は、回路基板70の下面に搭載されている。
【0053】
図15を参照すると、回路基板70は、XY平面に沿って延びている。回路基板70の下面には、複数の導電パッド72が形成されている。
図11を参照すると、導電パッド72は、ロック部材30に夫々対応して設けられている。
図15を参照すると、導電パッド72は、Y方向において2列に分けられている。各列の導電パッド72は、X方向に沿って並んでいる。導電パターン86の夫々は、Y方向に沿って延びている。
【0054】
図15及び
図23から
図25までを参照すると、本実施の形態のロック部材30の夫々は、嵌合状態をロックするためのロック突起32と、連結部33と、被保持部36と、接続部37とを有している。ロック部材30の夫々において、各部位は、以下に説明する構造を有している。
【0055】
図15、
図24及び
図25を参照すると、ロック突起32及び接続部37は、ロック部材30のY方向両側に夫々位置している。被保持部36は、Y方向においてロック突起32と接続部37との間に位置しており、Z方向に沿って延びている。ロック突起32は、Y方向内側に突出している。より具体的には、ロック突起32は、Y方向において接続部37及び被保持部36から離れるように弧状に突出しつつ、全体としてZ方向に沿って延びている。連結部33は、ロック突起32の上端と被保持部36の下端とを互いに連結している。接続部37は、被保持部36の上端から、全体としてY方向に沿って、ロック突起32から離れるように延びている。
【0056】
図15及び
図25を参照すると、連結部33は、弾性変形可能である。特に、本実施の形態の連結部33は、Y方向及びZ方向によって規定される所定面(YZ平面)においてミアンダ形状を有しており、長いバネ長を有している。即ち、連結部33は、所謂柔らかいバネであり、弾性変形し易い。
【0057】
より具体的には、本実施の形態の連結部33は、第1曲げ部34と、第2曲げ部35とを有している。第1曲げ部34は、U字形状を有している。第2曲げ部35は、逆U字形状を有している。即ち、連結部33は、YZ平面においてS字形状を有している。この形状によれば、ロック部材30のZ方向におけるサイズを小さくしつつ長いバネ長が得られる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第1曲げ部34は、逆U字形状を有していてもよく、第2曲げ部35は、U字形状を有していてもよい。また、連結部33は、第1曲げ部34及び第2曲げ部35のうちの一方又は両方を有していなくてもよい。
【0058】
本実施の形態において、第1曲げ部34は、被保持部36に繋がっており、第2曲げ部35は、ロック突起32に繋がっている。即ち、第1曲げ部34は、ロック部材30が延びる方向に沿って、第2曲げ部35と被保持部36との間に位置している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ロック部材30は、
図25に示した形状を上下に反転した形状を有していてもよい。この場合、逆U字形状の第2曲げ部35は、被保持部36に繋がっていてもよく、U字形状の第1曲げ部34は、ロック突起32に繋がっていてもよい。即ち、第2曲げ部35は、ロック部材30が延びる方向に沿って、第1曲げ部34と被保持部36との間に位置していてもよい。
【0059】
図15、
図23及び
図25を参照すると、本実施の形態の被保持部36には、4つの圧入突起362が形成されている。即ち、本実施の形態のロック部材30は、4つの圧入突起362を有している。本実施の形態の圧入突起362の夫々は、XZ平面と平行な平板形状を有している。圧入突起362のうちの2つは、被保持部36のX方向における両側のうちの一方に位置しており、圧入突起362のうちの他の2つは、被保持部36のX方向における両側のうちの他方に位置している。圧入突起362の夫々は、X方向外側に突出している。即ち、2つの圧入突起362は、X方向において他の2つの圧入突起362から離れるように突出している。
【0060】
図15、
図24及び
図25を参照すると、本実施の形態の連結部33には、2つのガイド突起352が形成されている。即ち、本実施の形態のロック部材30は、2つのガイド突起352を有している。後述するように、ガイド突起352の夫々は、保持部材20(
図16参照)の受止部282(
図16参照)に受け止められる部位である。本実施の形態のガイド突起352の夫々は、XZ平面と平行な平板形状を有している。ガイド突起352は、連結部33のX方向における両側に夫々位置している。ガイド突起352の夫々は、X方向外側に突出している。即ち、2つのガイド突起352は、X方向において互いに離れるように突出している。
【0061】
連結部33は、2つの突当部38を有している。本実施の形態の突当部38は、2つのガイド突起352に夫々対応して設けられている。より具体的には、突当部38の夫々は、対応するガイド突起352の一部である。特に、本実施の形態の突当部38の夫々は、対応するガイド突起352のY方向における両面のうちロック突起32に近い面である。但し、本発明は、これに限られない。突当部38の夫々は、対応するガイド突起352のY方向における両面のうちロック突起32から遠い面であってもよい。
【0062】
本実施の形態のロック突起32には、嵌合状態をロックするためのロック部39が形成されている。即ち、ロック部材30は、ロック部39を有している。連結部33は、被保持部36とロック部39とを互いに連結している。本実施の形態のロック部39は、ロック突起32の上面である。ロック部39は、上方及びY方向内側を向いている。より具体的には、ロック部39は、Y方向において被保持部36の反対側を向いている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ロック部39は、ロック部材30のロック突起32以外の部位に形成されていてもよい。ロック部39は、上方のみを向いていてもよい。即ち、ロック部39は、少なくとも上方を向いていればよい。
【0063】
本実施の形態のロック部材30の夫々は、上述した構造を有している。但し、本発明は、これに限られず、ロック部材30の夫々の構造は、必要に応じて変形可能である。
【0064】
図13及び
図18を参照すると、ロック部材30の夫々において、被保持部36は、保持部材20の対応する収容穴24の保持部26に圧入され保持されている。詳しくは、被保持部36の夫々の2つの圧入突起362は、対応する2つの保持部26のX方向外側の壁面に夫々押し付けられており、被保持部36の夫々の他の2つの圧入突起362は、対応する2つの保持部26の底面に夫々押し付けられている。即ち、被保持部36の夫々は、保持部材20に対して移動しないように固定されている。
【0065】
図13、
図17及び
図19を参照すると、ロック部材30の夫々において、2つのガイド突起352は、対応する収容穴24の2つのガイド溝28に夫々受容されている。ガイド突起352の夫々は、対応するガイド溝28の底面及びX方向外側の壁面から離れている。加えて、ガイド突起352の夫々は、対応するガイド溝28の受止部282及び対向部284からY方向において離れており、Y方向において受止部282及び対向部284の間に位置している。従って、ガイド突起352の夫々は、保持部材20に対して相対的に移動可能である。即ち、
図13を参照すると、ロック部材30の夫々において、連結部33全体は、保持部材20によって弾性変形可能に支持されている。
【0066】
図11を参照すると、保持部材20を回路基板70に搭載したとき、ロック部材30の接続部37の夫々は、対応する導電パッド72に半田付け等によって固定され接続される。
図13を参照すると、このとき、ロック部材30のロック部39の夫々は、受容部22の内部に突出している。
【0067】
図26を参照すると、嵌合状態において、ロック部材30のロック突起32は、相手側ロック部材60の相手側接触部68と夫々接触する。この結果、コネクタ12は、相手側コネクタ16と電気的に接続され、コネクタ12を搭載したモジュール(図示せず)が動作する。このとき、相手側ロック部材60の相手側ロック部69は、ロック部材30のロック部39の上に位置しており、コネクタ12が相手側コネクタ16から意図せずに抜け出ることを防止している。即ち、ロック部39及び相手側ロック部69は、嵌合状態をロックしている。
【0068】
本実施の形態によれば、コネクタ12は、ロック部材30として機能する複数のコンタクト30を備えており、相手側コネクタ16は、相手側ロック部材60として機能する複数の相手側コンタクト60を備えている。即ち、本実施の形態のコンタクト30及び相手側コンタクト60の夫々は、電気的接続のための部材として機能するとともに、嵌合状態をロックするための部材として機能する。本実施の形態によれば、多数のロック部39及び多数の相手側ロック部69によって嵌合状態を確実にロックしつつ、コネクタ組立体10のサイズを小さくできる。
【0069】
本実施の形態によれば、コンタクト30(相手側コンタクト60)は、直線状に配置されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コンタクト30(相手側コンタクト60)は、環状に配置されていてもよい。また、コンタクト30(相手側コンタクト60)の数は、1であってもよい。
【0070】
以下、嵌合状態にあるコンタクト30のうちの1つと、対応する相手側コンタクト60について、説明する。以下の説明は、コンタクト30の夫々と、対応する相手側コンタクト60について成立する。
【0071】
図26を参照すると、ロック部材30のロック部39は、嵌合状態において、相手側ロック部材60の相手側ロック部69の下方に位置し、Z方向において相手側ロック部69と対向している。例えば、コネクタ12が衝撃を受けて相手側コネクタ16から上方に移動すると、ロック部39が相手側ロック部69と突き当たり、これにより、コネクタ12が相手側コネクタ16から抜けることが防止される。即ち、ロック部39は、相手側ロック部69と共に、嵌合状態をロックする。
【0072】
図26及び
図27を参照すると、嵌合状態にあるコネクタ12を相手側コネクタ16から抜去するとき、コネクタ12を上方に引く。このとき、ロック部39は、相手側ロック部69と突き当たる。コネクタ12を上方に引き続けると、ロック部材30の連結部33は、弾性変形する。特に、連結部33の第2曲げ部35は、相手側ロック部69に引きずられるように移動し、連結部33は、第2曲げ部35がY方向において相手側ロック部材60に向かって傾斜するようにして弾性変形する。このとき、ロック部39は、相手側ロック部69との接点を中心にして回転するように移動し、突当部38は、受止部282に突き当たる。
【0073】
図27において2点鎖線で描画した連結部33を参照すると、仮に、上述のように機能する突当部38が設けられていない場合、コネクタ12の上方への移動に伴って、連結部33は、第2曲げ部35が傾くように弾性変形し続ける。この弾性変形に伴って、Z方向と平行な垂直線VLに対するロック部39を通過する接線CL2の傾斜角度(接触角θ2)が小さくなる。即ち、接線CL2が垂直線VLに近づき、ロック部39が相手側ロック部69から外れ易くなる。一方、本実施の形態によれば、突当部38が受止部282に突き当たることで、連結部33の弾性変形が抑制され、ロック部39を通過する接線CL1の垂直線VLに対する傾斜角度(接触角θ1)は、大きいままである。この結果、ロック部39及び相手側ロック部69による嵌合状態のロックが維持される。
【0074】
以上の説明を纏めると、本実施の形態によれば、嵌合状態にあるコネクタ12を相手側コネクタ16から抜去する際、ロック部39がY方向において被保持部36に向かって移動すると、突当部38が受止部282に突き当たり、ロック部39の移動が制限される。この結果、ロック部39が相手側ロック部69から外れ易くなるようなロック部材30の弾性変形を防止できる。例えば、コネクタ12が衝撃を受けて相手側コネクタ16から上方に移動した場合にも、本実施の形態のロック部39は、相手側ロック部69から外れ難い。即ち、本実施の形態によれば、より確実なロック機構を有する新たなコネクタ組立体10を提供できる。
【0075】
本実施の形態の受止部282は、ガイド溝28の2つの内壁面282,284のうちのY方向内側に位置する内壁面282である。即ち、ガイド溝28の内壁面282は、受止部282として機能する。受止部282は、Y方向において、ロック部材30の突当部38とロック部39との間に位置している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第2曲げ部35がYZ平面においてU字形状を有している場合、ガイド溝28の2つの内壁面282,284のうちのY方向外側に位置する内壁面284が受止部として機能してもよい。即ち、ロック部材30の突当部38は、Y方向において、受止部とロック部39との間に位置していてもよい。
【0076】
本実施の形態によれば、ガイド溝28の2つの内壁面282,284のうちの一方は、受止部282として機能する。一方、嵌合状態にあるコネクタ12を相手側コネクタ16から抜去する際、ガイド突起352が2つの内壁面282,284のうちの一方(受止部282)に突き当たっているとき、ガイド突起352は、内壁面282,284のうちの他方(対向部284)から離れている。本実施の形態によれば、ガイド突起352は、受止部282に突き当たっているときにも、YZ平面において受止部282との接点を中心に回転するように移動できる。従って、連結部33全体のバネ性が維持される。
【0077】
本発明は、上述した本実施の形態に限られない。例えば、ガイド突起352は、受止部282に突き当たっているときに、対向部284に一時的に突き当たってもよい。但し、この変形例によれば、ガイド突起352が受止部282及び対向部284に突き当たったとき、連結部33のうちガイド突起352よりもY方向内側に位置する部位のみがバネ部として機能する。即ち、連結部33のバネ長が短くなり、連結部33のバネが硬くなる。この結果、ロック部材30が塑性変形するおそれがある。従って、連結部33のバネを柔らかく維持するという観点から、本実施の形態が好ましい。
【0078】
本実施の形態は、既に説明した様々な変形例に加えて、以下に説明するように、更に様々に変形可能である。
【0079】
図16を参照すると、本実施の形態によれば、ガイド溝28の夫々に、受止部282及び対向部284の2つの部位が設けられている。但し、本発明は、これに限られず、ガイド溝28の夫々に、受止部282のみが設けられていてもよい。例えば、ガイド溝28に代えて、X方向外側に凹んだ段差部が形成されていてもよい。この場合、段差部の壁面が受止部282として機能してもよい。また、ガイド溝28に代えて、X方向内側に部分的に突出した突出部が形成されていてもよい。この場合、突出部の壁面が受止部282として機能してもよい。
【0080】
図24を
図17と併せて参照すると、本実施の形態によれば、ロック部材30には、2つのガイド突起352が設けられており、ガイド溝28には、ガイド突起352に夫々対応する2つの受止部282が設けられている。この構造によれば、ガイド突起352の夫々を、対応するガイド溝28の内部に確実に維持できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、受止部282の数は、1であってもよい。また、ガイド溝28に代えてX方向内側に部分的に突出した突出部を形成する場合、ガイド突起352を設ける必要はない。
【符号の説明】
【0081】
10 コネクタ組立体
12 コネクタ
16 相手側コネクタ
18 相手側保持部材
20 保持部材
22 受容部
24 収容穴
26 保持部
28 ガイド溝
282 受止部(内壁面)
284 対向部(内壁面)
30 ロック部材(コンタクト)
32 ロック突起
33 連結部
34 第1曲げ部
35 第2曲げ部
352 ガイド突起
36 被保持部
362 圧入突起
37 接続部
38 突当部
39 ロック部
40 上側保持部材
42 上側板部
44 被受容部
46 収容部
48 上側保持部
50 下側保持部材
52 下側板部
54 被収容部
58 下側保持部
60 相手側ロック部材(相手側コンタクト)
62 被支持部
63 突出部
64 水平部
66 相手側接続部
68 相手側接触部
69 相手側ロック部
70 回路基板
72 導電パッド
82 シート部材
84 絶縁シート
842 取付孔
844 平面部
846 接続片
86 導電パターン
88 基部材
882 取付孔