(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】保護カバー接続体
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20240813BHJP
F16L 59/14 20060101ALI20240813BHJP
F16L 59/18 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16L57/00 C
F16L59/14
F16L59/18
(21)【出願番号】P 2021003374
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】堀 信夫
(72)【発明者】
【氏名】川端 誠規
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-219905(JP,A)
【文献】特開2003-301993(JP,A)
【文献】特開2000-337589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
F16L 59/14
F16L 59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み付けられて内部に、流路を形成する流体管又は当該流体管に接続される管継手の収容空間を形成する基台と蓋体とから成り、前記管継手と接続される流体管の配設経路を形成する直状保護カバーが、自身の接続開口に接続される保護カバー接続体であって、
前記蓋体は、壁面に固定される前記基台と対向配置される天壁と、当該天壁側を基端とし、前記壁面側が先端となって対向配置される一対の側壁とを備え、
前記蓋体における前記収容空間に臨む内面には、一部が除去可能な除去予定部を有する断熱材が設けられ、
当該断熱材は、前記除去予定部を除く箇所で前記蓋体の内面に貼着されており、前記内面に貼着されたままで、前記除去予定部を除去可能としたことを特徴とする保護カバー接続体。
【請求項2】
前記断熱材の除去予定部と、当該断熱材における蓋体の内面に貼着されたままの残部である断熱材本体との境界には、スリット又はミシン目、若しくは両者が混在する閉ループ状の破断線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー接続体。
【請求項3】
前記断熱材は、前記天壁及び前記各側壁の内面に沿って設けられ、前記除去予定部は、前記天壁の内面に沿う部位のみに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護カバー接続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の直状保護カバーを接続する保護カバー接続体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給水管、給湯管等の流体管は、損傷防止、外観確保等のために、露出配管を止めて、直状の保護カバー内に収容された状態で使用されることが殆どであり、建物壁における壁内外の壁貫通配管部、屈曲配管部には、前記直状保護カバーどうしを接続するための付属保護カバーが使用される。そして、寒冷地においては、流体管を流れる水の凍結防止、或いは湯の温度低下防止のために、前記直状保護カバーを構成する蓋体の内面に断熱材が設けられており、前記付属保護カバーの蓋体の内面にも断熱材が設けられることがある。
【0003】
建物壁の壁貫通孔を通して、当該壁貫通孔の内外で複数本の流体管を接続するには、特許文献1,2に示されるように、付属保護カバー内に収容される管継手が使用され、管継手を使用しない場合には、流体管における壁外への突出部を屈曲させ、当該屈曲部を付属保護カバーに収容させて配管する。管継手を使用する場合には、当該管継手の複数の管接続部の特定の一つが、建物壁に貫通形成された壁貫通孔に入り込んで使用されるので、管継手自体の形状、或いは直状保護カバーに収容保護された流体管の配置高さとの関係により、建物壁面の垂直方向に対する管継手の配置位置が異なることがある。一方、付属保護カバーは、建物壁に固定される基台と、当該基台に覆蓋される蓋体とから成り、両者で形成される内部の収容空間に前記管継手が配置されるので、建物壁面の垂直方向に対する管継手の配置位置によって、当該管継手が蓋体の天壁に近接して配置されることがある。また、流体管における壁外への突出部を屈曲させて、その屈曲部を付属保護カバー内に収容させる場合においても、当該屈曲部が付属保護カバーを構成する蓋体の天壁に近接又は接触して配管される場合がある。
【0004】
このため、付属保護カバーを構成する蓋体の内面に断熱材が設けられている場合、その収容空間に収容された管継手又は流体管の屈曲部が、蓋体の天壁に近付いても、断熱材の圧縮により対応できる場合には、問題はないか、或いは少ない。しかし、付属保護カバーの基台と蓋体とは、嵌合により組み付けられているため、管継手と蓋体の内面の断熱材とが干渉する場合には、基台と蓋体との前記嵌合の弛緩又は解除により、基台に対して蓋体が外れることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、内面に断熱材が設けられた蓋体を有する保護カバー接続体の収容空間に収容される管継手又は流体管と前記断熱材との干渉を回避して、当該保護カバー接続体を構成する基台と蓋体との組付け状態を良好に維持することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、互いに組み付けられて内部に、流路を形成する流体管又は当該流体管に接続される管継手の収容空間を形成する基台と蓋体とから成り、前記管継手と接続される流体管の配設経路を形成する直状保護カバーが、自身の接続開口に接続される保護カバー接続体であって、
前記蓋体は、壁面に固定される前記基台と対向配置される天壁と、当該天壁側を基端とし、前記壁面側が先端となって対向配置される一対の側壁とを備え、
前記蓋体における前記収容空間に臨む内面には、一部が除去可能な除去予定部を有する断熱材が設けられ、
当該断熱材は、前記除去予定部を除く箇所で前記蓋体の内面に貼着されており、前記内面に貼着されたままで、前記除去予定部を除去可能としたことを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、保護カバー接続体の基台は、壁面に固定されるので、当該基台に蓋体を組み付けて形成される管継手の収容空間の当該壁面に対する配置位置は不変であるが、管継手自体の形状、或いは直状保護カバーに収容保護された流体管の配置高さによって、当該管継手と、前記蓋体の内面に設けられた断熱材とが干渉して、当該干渉が、前記基台と蓋体との組付け状態(嵌合状態)の弛緩又は解除等の悪影響を及ぼす場合がある。当該組付け状態に悪影響を及ぼす場合には、蓋体の内面に設けられた断熱材における管継手との干渉箇所を除去予定部として、当該除去予定部を除去欠落させて、断熱材の当該除去欠落部に管継手の干渉箇所を配置することで、前記干渉を回避して、基台と蓋体との良好な組付け状態を維持できる。また、流体管における壁外への屈曲部が蓋体の天壁の内面に設けられた断熱材と干渉する場合においても、当該断熱材の除去予定部を除去欠落させた除去欠落部に、流体管の前記屈曲部を入り込ませて配管する。
【0009】
また、断熱材における管継手又は流体管の屈曲部との干渉箇所の除去は、蓋体の内面に断熱材が設けられた状態で行え、一部が除去欠落された断熱材が内面に設けられた蓋体を、壁面に固定された基台に組み付けるのみで、断熱材の除去欠落部と管継手又は流体管の屈曲部との干渉箇所とが合致して、当該断熱材の除去欠落部と管継手又は流体管の屈曲部との干渉箇所との位置合わせを行う必要がなく、配管施工を迅速に行える。この点、蓋体と断熱材とが分離されている場合には、管継手又は流体管の屈曲部との干渉箇所と断熱材の除去欠落部との位置合わせを行って、当該管継手に断熱材を覆い被せた状態で、壁面に固定された基台と蓋体とを組み付ける必要があって、配管作業が面倒になる。なお、蓋体の内面に設けられた断熱材と、基台上に配置された管継手又は流体管の屈曲部とが干渉しない場合には、断熱材の除去欠落部はそのまま残存させて、当該基台に対して蓋体をそのまま組み付ければよい。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記断熱材の除去予定部と、当該断熱材における蓋体の内面に貼着されたままの残部である断熱材本体との境界には、スリット又はミシン目、若しくは両者か混在する閉ループ状の破断線が設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、破断線を利用して除去予定部を容易に除去できる。特にミシン目が含まれている場合には、断熱材から除去予定部を除いた断熱材本体と、当該除去予定部とが当該ミシン目を介して連結されているため、除去予定部は、容易には分離・紛失しない。このため、除去予定部の除去の必要がある場合において、破断線を構成するミシン目が含まれる場合には、当該ミシン目のみを破断することで、除去予定部を容易に除去できる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記断熱材は、前記天壁及び前記各側壁の内面に沿って設けられ、前記除去予定部は、前記天壁の内面に沿う部位のみに設けられていることを特徴としている。
【0013】
保護カバー接続体の収容空間に収容された管継手と、当該保護カバー接続体を構成する蓋体との干渉箇所は、側壁の場合もあり得るが、当該干渉により、基台と蓋体との組み付けの弛緩や解除が生ずる原因は、当該蓋体の天壁に対して管継手が干渉する場合が殆どである。従って、請求項3の発明のように、蓋体の内面に設けられた断熱材の除去予定部を蓋体の天壁に沿う部分のみにすることで、基台と蓋体との組み付けの弛緩や解除を防止できる。また、断熱材における蓋体の天壁に沿う部分のみを除去することで、断熱材の除去面積を最少にできて、断熱材としての断熱効果の低減を最少に抑えることができる。
【0014】
【0015】
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管継手を使用する場合には、管継手自体の形状、或いは直状保護カバーに収容保護された流体管の配置高さによって、管継手を使用せずに流体管を屈曲させる場合には、当該流体管の屈曲形状によって、保護カバー接続体の収容空間に収容配置される管継手又は流体管の屈曲部と、当該保護カバー接続体の蓋体の内面に設けられた断熱材とが干渉して、当該干渉が、前記基台と蓋体との組付け状態(嵌合状態)に対して弛緩・解除等の悪影響を及ぼす場合があるが、当該組付け状態に悪影響を及ぼす場合には、蓋体の内面に設けられた断熱材における管継手又は流体管の屈曲部との干渉箇所を除去予定部として、当該除去予定部を除去欠落させることで、前記干渉を回避して、基台と蓋体との良好な組付け状態を維持できる。また、断熱材における管継手との干渉箇所の除去は、蓋体の内面に断熱材が設けられた状態で行えるので、除去予定部が欠落除去された状態の断熱材が内面に設けられた蓋体を、壁面に固定された基台に組み付けるのみで、断熱材の除去欠落部と管継手の干渉箇所とが合致して、当該断熱材の除去欠落部と管継手又は流体管の屈曲部の干渉箇所との位置合わせを行う必要がなく、配管施工を迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】管継手A
1 の計3つの壁外及び壁内の各管接続部22a,22bのうち特定の1つの壁内管接続部22bが壁貫通孔Hに挿入されることで、建物壁Wの内外において計3本の流体管Pが接続されて、壁表において前記管継手A
1 を収容した保護カバー接続体C
1 により各直状保護カバーC
0 の端部が接続された状態の一部を破断した斜視図である。
【
図2】
図1の状態で、保護カバー接続体C
1 を構成する基台V
1 に対して蓋体L
1 を分離させた状態の斜視図である。
【
図3】保護カバー接続体C
1 を構成する基台V
1 及び蓋体L
1 並びに当該保護カバー接続体C
1 の収容空間10に収容される管継手A
1 の関係を示す分解斜視図である。
【
図6】(a),(b)は、保護カバー接続体C
1 の蓋体L
1 の半断面側面図、及び底面図である。
【
図7】(a)は、
図6(a)のY-Y線拡大断面図であり、(b)は、(a)のSで示される部分の拡大図である。
【
図8】(a),(b)は、それぞれ断熱材B
1 の斜視図及び正面図である。
【
図9】保護カバー接続体C
1 の蓋体L
1 の内面に断熱材B
1 を配置させる工程を示す斜視図である。
【
図10】(a)~(c)は、それぞれ保護カバー接続体C
1 の蓋体L
1 の内面に断熱材B
1 が配置された状態の斜視図、底面図及び正面図である。
【
図11】(a),(b)は、それぞれ保護カバー接続体C
1 の蓋体L
1 の内面に貼着された断熱材B
1 の除去予定部31の除去欠落の前後を示す斜視図である。
【
図12】管継手A
2 を用いた場合における
図2に相当する図である。
【
図13】管継手A
2 を用いた場合における
図4に相当する図である。
【
図15】(a),(b)は、それぞれ断熱材B
1 の除去欠落部31bに、当該断熱材B
1 よりも薄い断熱材小片B
12, B
13を配置した状態の部分横断面図である。
【
図16】壁外に屈曲して引き出された流体管Pの屈曲部Paを収容保護する保護カバー接続体C
2 の基台V
2 と蓋体L
2 の分解斜視図である。
【
図17】流体管Pの屈曲部Paが保護カバー接続体C
2 の収容空間40に収容された状態の縦断面図である。
【
図18】(a),(b)は、それぞれ断熱材B
1 (B
2 )の除去予定部31の別の分断部の構造を示す断面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。最初に、
図1~
図5を参照して、本発明の実施の対象である保護カバー接続体C
1 について説明する。保護カバー接続体C
1 は、建物壁Wの内外において複数本の直状保護カバーC
0 を接続するという機能面から付された名称であって、当該直状保護カバーC
0 の端末部に接続されるという面からは、「付属保護カバー」とも称される。前記直状保護カバーC
0 の内部に収容保護される計3本の流体管Pを接続する管継手A
1 は、チーズ継手、T継手或いは三方継手とも称され、壁外及び壁内に配置される計3つの各管接続部22a,22bを備え、建物壁Wに形成された壁貫通孔Hに、計3つの各管接続部22a,22bのうち壁内管接続部22bが差し込まれて、壁内の1本の流体管Pと、壁外の同一直線上に配置される2本の流体管Pとの計3本の流体管Pを接続する際に、前記保護カバー接続体C
1 の内部の収容空間10に収容されて使用される。
【0019】
前記保護カバー接続体C1 は、樹脂の射出成形により形成されて、平板状の基台V1 と、当該基台V1 に一体に組み付けられることで内部に前記管継手A1 の収容空間10を形成する蓋体L1 とから成る。基台V1 は、長方形平板状の基部1の長手方向の各両端部における幅方向の各両端部に立壁部2がそれぞれ長手方向に突設されて、各立壁部2の外側に凹状の被係合部3が形成され、当該基部1の長手方向の中央部に前記管継手A1 の壁内管接続部22bを貫通させる貫通孔4が形成され、前記基部1における当該貫通孔4の両側部には、前記壁貫通孔Hの外周部を覆うフランジ部5がそれぞれ形成されている。基台V1 の基部1における各フランジ部5の両端部は、当該基台V1 に対して蓋体L1 を係合により組み付けた状態で、当該蓋体L1 の側壁12の長手方向の中間部に所定長に亘って形成された浅い嵌着溝部15を嵌着可能にするための幅段差部6が幅方向に沿って段差状となってそれぞれ形成されている。なお、図中7,8は、それぞれビス挿通孔及び位置決め突片を示す。
【0020】
蓋体L1 は、全長に亘って同一の断面U字状を成していて、天壁11と、当該天壁11の両端部から、基台V1 との組付け状態で、その基部1に向けて垂下された各側壁12とから成り、長手方向の両端に、前記直状保護カバーC0 の端部と接続される接続開口13がそれぞれ形成されている。各側壁12の内面における前記基台V1 の各被係合部3に対応する部分には、それぞれ係合部14が内方に突出して形成され、各側壁12の長手方向の中央部には、基台V1 の基部1における長手方向に所定間隔をおいて設けられた各幅段差部6の間の部分を嵌め込むための浅い嵌着溝部15が形成されている。
【0021】
なお、基台V1 と蓋体L1 との組み付けによる保護カバー接続体C1 の収容空間10には、建物壁Wの内外に配管される計3本の流体管Pを接続する管継手A1 が収容されるので、当該管継手A1 は、流体管の一部を形成していて、前記収容空間10は、流体管の配管経路の一部を構成している。また、流体管は、内部を流れる湯水の流路を形成している。
【0022】
また、
図6及び
図7に示されるように、蓋体L
1 を構成する天壁11及び各側壁12の内面には、後述の長方形状の断熱材B
1 が配置され、当該内面の長手方向及び周方向に対する当該断熱材B
1 の配置位置の各位置決めを行うための位置決め突条が設けられている。当該位置決め突条は、蓋体L
1 の周方向に対する断熱材B
1 の配置位置を定めるために、当該蓋体L
1 の長手方向に設けられた1本の直線状の周方向位置決め突条16と、蓋体L
1 の長手方向に対する長方形状の断熱材B
1 の配置位置を定めるために、前記周方向位置決め突条16の両端部に周方向に沿ってそれぞれ設けられた長手方向位置決め突条17とから成る。周方向位置決め突条16は、蓋体L
1 の天壁11の幅方向の中央部に、当該蓋体L
1 の長手方向に沿って直線状に設けられ、一対の長手方向位置決め突条17は、当該周方向位置決め突条16の両端部でT字を形成するように、当該周方向位置決め突条16の両端に直交して設けられている。各位置決め突条16,17の突出高さは、0.2~0.5mm程度である。
【0023】
一方、管継手A
1 は、樹脂又は金属で形成され、
図1~
図5に示されるように、継手本体21に、一対の壁外管接続部22aと1つの壁内管接続部22bとがT字状となって一体に設けたもので、同一直線上に配置される一対の壁外管接続部22aには、それぞれ壁表において同一直線上に配管された2本の流体管Pの端部が内嵌状態で接続され、前記一対の壁外管接続部22aの中間部に、各壁外管接続部22aに対して直交配置された壁内管接続部22bには、建物の内部に配管されて、その端部が前記壁貫通孔Hに挿入された流体管Pの当該端部が内嵌状態で接続される。継手本体21と壁外及び壁内の各管接続部22a,22bとの各接続部は、当該継手本体21の側が低くなるような直交段差状に形成されることで、保護カバー接続体C
1 の収容空間10に管継手A
1 が収容された状態で、蓋体L
1 の天壁11の内面には、一対の壁外管接続部22aが継手本体21よりも近接して配置されることになる。従って、管継手A
1 の一対の壁外管接続部22aにおける配置状態で建物壁Wの反対側の部分が、保護カバー接続体C
1 の蓋体L
1 の天壁11と干渉する部分となる。
【0024】
管継手A1 を構成する各壁外管接続部22aと壁内管接続部22bとは、直交して接続され、その接続部は、横断面が半径R1 の環状接続わん曲面23で接続されている。管継手A1 の環状接続わん曲面23の横断面の半径R1 は、後述の管継手A2 の環状接続わん曲面24の横断面の半径R2 よりも遥かに小さくて、前記環状接続わん曲面23と、基台V1 の貫通孔4の上面側内周縁4aとが干渉しないので、保護カバー接続体C1 の収容空間10に管継手A1 を収容した状態で、壁表面Waの側の各壁外管接続部22aは、当該保護カバー接続体C1 の基部1に近接又は接触して配置され、その結果、管継手A1 は、蓋体L1 の内面に設けられた断熱材B1 と干渉しないで収容可能となる。
【0025】
保護カバー接続体C1 の蓋体L1 の内面に貼着して配置される断熱材B1 は、厚板状の発泡樹脂で形成され、当該蓋体L1 の内面形状に対応して長方形状に形成されている。当該断熱材B1 の長手方向及び短手方向が、それぞれ蓋体L1 の長手方向及び周方向に沿って配置され、長方形状の断熱材B1 の長辺及び短辺の各寸法M1 ,M2 は、前記蓋体L1 の全長及び内面の周長よりも、いずれも僅かに短く形成されている。断熱材B1 の短手方向の中央部には、長手方向に沿って所定間隔をおいて2個の長方形状の除去予定部31が設けられ、各除去予定部31の長手方向は、断熱材B1 の長手方向に沿っている。各除去予定部31の長手方向の長さNは、当該除去予定部31を除去欠落することで形成される除去欠落部31bに、管継手A1 (A2 )の各壁外管接続部22aの軸方向の全長が収容可能なように、前記除去予定部31の長さNは、当該壁外管接続部22aの軸方向の長さKよりも僅かに長く形成されている。内面に断熱材B1 が貼着された保護カバー接続体C1 の蓋体L1 と基台V1 とを組み付けた状態で、当該断熱材B1 の2個の除去予定部31は、保護カバー接続体C1 の収容空間10に収容された管継手A1 (A2 )の2個の壁外管接続部22aにおける建物壁Wと反対側の周面に対応する位置に設けられる。
【0026】
方形状の当該除去予定部31は、自身の長手方向が断熱材B1 の長手方向と合致するように配置されて、当該除去予定部31と、その残部となって、蓋体L1 の内面に貼着されたままとなる断熱材本体34との境界線である方形状の分断線32は、対向する各長辺部にスリット32aが形成され、対向する各短辺部にミシン目32bが形成されることで、当該分断線32は、前記スリット32aと前記ミシン目32bとが交互に設けられた閉ループ状となっている。このため、断熱材B1 の除去予定部31は、当該断熱材B1 における除去予定部31が除去欠落された残りの大部分の断熱材本体34に対して対向する各短辺部に設けられた各ミシン目32bを介して連結されているため、取扱い中において除去予定部31が不意に分離されることがないと共に、当該除去予定部31は、仮連結状態のミシン目32bの部分を簡単に破断して分離除去させられ、除去予定部31の連結保持、及び分離除去という相反する2つの事項を支障なく実現できる。また、断熱材B1 の各短辺部の中央には、前記蓋体L1 の内面に設けられた周方向位置決め突条16の両端部と合致させて、当該蓋体L1 の内面の周方向に沿った断熱材B1 の配置位置を定めるためのVカット溝33が設けられている。
【0027】
また、上記実施例の分断線32は、直線状のスリット32aと同形状のミシン目32bとが、方形状の各片を交互に構成することで閉ループ状に形状されているが、当該分断線は、スリット又はミシン目の少なくとも一方を含んでおればいかなる構造であってもよい。例えば、分断線32をミシン目のみ、又はスリットのみで構成することも可能である。分断線がスリットのみで構成されている場合においても、外周面と摩擦によって、断熱材本体から除去予定部が分離されることはないので、除去予定部を除去しない場合の使用に耐えられる。
【0028】
保護カバー接続体C
1 の蓋体L
1 の内面に断熱材B
1 を配置するには、
図9及び
図10に示されるように、例えば、当該断熱材B
1 における短手方向の中央部であって、長手方向に沿って各除去予定部31の外側及び各除去予定部31の間の計3箇所の貼着部35に接着剤を塗布しておく。この状態で、各貼着部35と蓋体L
1 の内面とが対向するように、断熱材B
1 を短手方向においてわん曲させた状態で、当該断熱材B
1 の長手方向の両端を、蓋体L
1 の内面に形成された各長手方向位置決め突条17の両端に合致させると共に、当該断熱材B
1 の各短辺部に形成された各Vカット溝33を、蓋体L
1 の内面に周方向に形成された直線状の周方向位置決め突条16の両端に合致させることで、
図10に示されるように、蓋体L
1 の内面に対して長手方向及び周方向の双方の位置決めを行った状態で、当該蓋体L
1 の内面に密着配置させる。これにより、断熱材B
1 の各貼着部35は、蓋体L
1 の天壁11の内面の幅方向の中央部に貼着されると共に、短手方向においてわん曲された断熱材B
1 は、原形状である平面状に戻ろうとする弾性復元力により、各側壁12の内面に弾接状態で密着されることで、蓋体L
1 の内面に断熱材B
1 が配置される。
【0029】
ここで、
図4及び
図13に示されるように、管継手A
1 の有する計3つの壁外及び壁内の管接続部22a,22bのうち、壁内管接続部22bを建物壁Wの壁貫通孔Hに挿入した状態で、壁表において、保護カバー接続体C
1 の基台V
1 と蓋体L
1 とで形成される収容空間10に当該管継手A
1 が配置される。ここで、主として管継手A
1(A
2)の形状によって、
図4に示されるように、当該管継手A
1 の各壁外管接続部22aにおける建物壁Wと反対側の部分が、保護カバー接続体C
1 の蓋体L
1 の内面に配置されている断熱材B
1 と干渉しない場合と、
図13に示されるように、干渉する場合とがある。
【0030】
そして、管継手A
1 と断熱材B
1 との干渉がない場合には、当該断熱材B
1 に設けられている除去予定部31は、そのまま残存させて当該断熱材B
1 を使用し、両者が干渉する場合には、
図11に示されるように、断熱材本体34と除去予定部31との境界である分断線32のうちスリット32aの部分にマイナスドライバーT
1 の先端を挿入して、除去予定部31を強引に引き起こして破断したり、或いはカッターT
2 の刃部によりミシン目32bを切断することで、ミシン目32bを破断させて、除去予定部31を断熱材本体34から分離させる。これにより、断熱材B
1 の除去予定部31が除去片31aとなって、断熱材本体34から分離されて、当該断熱材B
1 に長方形状の除去欠落部31bが形成されて、蓋体L
1 の天壁11が露出される。
【0031】
建物壁Wの外側に直線状に配管される2本の流体管Pと、建物内に配管されて、その端部が当該建物壁Wの壁貫通孔Hに入り込んでいる1本の流体管Pとの計3本の流体管Pは、建物壁Wの内外において保護カバー接続体C1 の収容空間10に収容される管継手A1 を介して接続される。管継手A1 を用いて上記した3本の流体管Pを接続する場合には、当該管継手A1 の環状接続わん曲面23の横断面の半径R1 は、別の管継手A2 の同様の半径R2 に比較して相対的に小さいために、保護カバー接続体C1 の収容空間10に収容された管継手A1 の各壁外管接続部22aと、蓋体L1 の内面に設けられた断熱材B1 における天壁11に配置される部分とは干渉しないので、当該断熱材B1 の各除去予定部31は、除去欠落させることなく、そのまま残存させておく。
【0032】
保護カバー接続体C
1 の収容空間10に収容される管継手A
1 を介して上記した計3本の流体管Pを接続する方法を、
図1~
図5を参照して説明する。まず、
図2~
図5に示されるように、建物壁Wに設けられた壁貫通孔Hと、基台V
1 の貫通孔4とを合致させて、建物壁Wの壁表面Waに複数本のビスJを用いて当該基台V
1 を固定し、その後に、壁表において当該基台V
1 の配管方向の両端部に、直状保護カバーC
0 の基台V
0 を接続させて、各基台V
0 を壁表面Waに固定する。この状態で、保護カバー接続体C
1 の基台V
1 の貫通孔4に、管継手A
1 の壁内管接続部22bを挿入すると共に、当該基台V
1 の基部1上に、管継手A
1 の各壁外管接続部22aを配置させることで、当該基台V
1 に対して管継手A
1 を設置する。
【0033】
次に、建物壁Wの外部においては、直線状に配置された2つの直状保護カバーC
0 の各基台V
0 の一対の保持片61に各流体管Pを保持させて、その一端部を管継手A
1 の壁外管接続部22aに内嵌させると共に、建物壁Wの内部においては、建物内に配管された流体管Pの端部を壁貫通孔Hに挿入して、当該壁貫通孔Hに入り込んでいる管継手A
1 の壁内管接続部22bに内嵌させると、各端部がT字状に配置された計3本の流体管Pが管継手A
1 を介して建物壁Wの内外において接続される。この状態で、直状保護カバーC
0 の基台V
0 に対して蓋体L
0 を覆蓋させて、当該基台V
0 と蓋体L
0 とを一体に組み付けた後に、保護カバー接続体C
1 の基台V
1 に対して蓋体L
1 を覆蓋させると、
図1、
図4及び
図5に示されるように、当該基台V
1 の各被係合部3と蓋体L
1 の係合部14とが係合することで、当該基台V
1 と蓋体L
1 とが一体に組み付けられて、その内部の収容空間10に管継手A
1 が、当該蓋体L
1 の内面に設けられた断熱材B
1 のうち天壁11に配置される各除去予定部31と干渉することなく、即ち、非接触の状態で収容される。なお、直状保護カバーC
0 の蓋体L
0 には、保護カバー接続体C
1 の蓋体L
1 と同様に、その内面に断熱材B
0 が全長に亘って設けられ、建物壁Wの外部において管継手A
1 を介して接続されている2本の流体管Pは、その接続部である管継手A
1 の部分を含めて、全体が断熱材B
0 ,B
1 により保温されている。
【0034】
次に、
図12~
図14を参照して、別の管継手A
2 を用いて、建物壁Wの内外において計3本の流体管Pの接続部をT字状にして接続する場合について、前記管継手A
1 と異なる部分についてのみ説明する。管継手A
2 の各壁外管接続部22aと壁内管接続部22bとを接続する環状接続わん曲面24の横断面の半径R
2 は、前記管継手A
1 の環状接続わん曲面23の横断面の半径R
1 よりも相対的に遥かに大きい。この結果、
図13に示されるように、保護カバー接続体C
1 の内部の収容空間10に管継手A
2 を収容した状態において、管継手A
2 の環状接続わん曲面24と、基台V
1 の貫通孔4の上面側内周縁4aとが干渉(接触)することで、当該管継手A
2 は、蓋体L
1 の天壁11の側にずれて配置される。この結果、管継手A
2 の各壁外管接続部22aの建物壁Wと反対側の部分が、蓋体L
1 の内面に設けられた断熱材B
1 と干渉して、当該蓋体L
1 の天壁11に対して当該天壁11を基台V
1 に対して離間させようとする力が作用すると共に、前記管継手A
1 を用いる場合に比較して、基台V
1 の基部1と流体管Pとの間に形成される流体管下方隙間20が大きくなる。このため、基台V
1 の被係合部3と蓋体L
1 の係合部14との係合に支障を来して、基台V
1 に対して蓋体L
1 を覆蓋させる際に、スムーズに係合しなかったり、仮に一時的に係合したとしても、経時により当該係合が解除されてしまう不具合が発生する。
【0035】
このため、保護カバー接続体C
1 の基台V
1 に対して蓋体L
1 を覆蓋させる前に、当該蓋体L
1 の内面に貼着された断熱材B
1 の除去予定部31を除去欠落させることで、天壁11が露出した除去欠落部31bを形成しておき、この状態で、建物壁Wの壁表面Waに固定されて、その基部1の上面に管継手A
2 が配置された状態で、当該基台V
1 に対して蓋体L
2 を覆蓋させると、
図13及び
図14に示されるように、蓋体L
1 の内面に貼着された断熱材B
1 の各除去欠落部31bの部分に、管継手A
2 の各壁外管接続部22aの建物壁Wと反対側の部分が部分的に収容される。これにより、蓋体L
1 の内面の断熱材B
1 との干渉を回避して、保護カバー接続体C
1 の内部の収容空間10に管継手A
2 が収容されるので、保護カバー接続体C
1 を構成する基台V
1 の被係合部3と蓋体L
1 の係合部14とが支障なく係合される。なお、断熱材本体34における2つの除去欠落部31bの部分は、管継手A
2 の継手本体21の外面に近接又は接触することで、当該断熱材B
1 により保温されている。
【0036】
上記のように、断熱材B
1 の各除去予定部31を除去して形成された各除去欠落部31bに、管継手A
2 の各壁外管接続部22aの一部を入り込ませることで、当該断熱材B
1 と管継手A
2 との干渉を回避して、保護カバー接続体C
1 の基台V
1 の被係合部3と蓋体L
1 の係合部14との係合が確実に行われるが、断熱材B
1 の各除去欠落部31bの部分の断熱性は多少低下される。そこで、
図15(a),(b)に示されるように、断熱材B
1 の各除去欠落部31bに、当該断熱材B
1 よりも薄い別の方形状の各断熱材小片B
12, B
13を挿入配置させることで、各除去欠落部31bの部分の断熱性の低下を防止できる。断熱材小片B
12は、圧縮性の高い断熱材であり、使用状態において流体管Pにより圧縮されており、断熱材小片B
13は、圧縮性が低くて、断熱性能の高いものであり、使用状態では、流体管Pにより圧縮されていない。
【0037】
また、
図16及び
図17は、壁外に屈曲して引き出された流体管Pの屈曲部Paを収容保護する保護カバー接続体C
2 を構成する基台V
2 と蓋体L
2 の分解斜視図、及び使用状態の縦断面図であって、当該保護カバー接続体C
2 においても、その蓋体L
2 の内面に設けられた断熱材B
2 における流体管Pの屈曲部Paと干渉する部分を除去欠落させることで、当該流体管Pの屈曲部Paの保温と、前記基台V
2 と蓋体L
2 との係合状態の維持とを実現できる。
【0038】
保護カバー接続体C2 の基台V2 は、板状の基部41の狭幅の部分の幅方向の両端部に一対の立壁部42が設けられていると共に、当該基部41の長手方向における前記一対の立壁部42と反対側の端部の幅方向の中央部に別の立壁部43が設けられ、各立壁部42,43の外側に被係合部44,45が段差状となって形成されている。基台V2 の基部41には、壁外に引き出された流体管Pを挿通させる貫通孔46が設けられている。
【0039】
前記基台V2 に覆蓋される蓋体L2 は、天壁47に、接続開口48を形成する一対の第1側壁49aと、当該接続開口48と対向する側を閉塞する第2側壁49bとの計3つの側壁49a,49bが連設されている。一対の第1側壁49aの内面における前記接続開口48に近い部分、及び第2側壁49bの内面には、それぞれ前記基台V2 の計3つの被係合部44,45にそれぞれ係合される係合部52,53が設けられている。
【0040】
蓋体L
2 の内面、即ち、天壁47、一対の第1側壁49a及び第2側壁49bの各内面には、一枚の断熱材B
2 の各内面が合成された立体形状に折り曲げられて貼着されていて、当該断熱材B
2 の天壁47の内面に配置される部分は、方形状の除去予定部51が除去されることで、流体管Pの屈曲部Paにおける断熱材B
2 との干渉部Pa
1を入り込ませるための除去欠落部51bが形成されている。蓋体L
2 の第1及び第2の各側壁49a,49bの内面には、基台V
2 の各被係合部44,45と係合する各係合部52,53がそれぞれ設けられている。なお、
図16において、51aは、除去予定部51の除去片を示す。
【0041】
このため、
図17に示されるように、壁外に引き出された流体管Pの屈曲部Paのうち保護カバー接続体C
2 の接続開口48に近い部分に配置される断熱材B
2 との干渉部Pa
1が、当該断熱材B
2 の除去欠落部51bに入り込んで配管されることで、基台V
2 の各被係合部44,45と、蓋体L
2 の各係合部52,53との係合が長期に亘って維持される。
【0042】
また、断熱材B
1 (B
2 )に対する方形状の除去予定部31の形成には、スリット32aとミシン目32bによる前記分断線32の他に、
図18(a),(b)に示されるように、断熱材本体34と除去予定部31との境界に、断面が鋭いV字状の溝部36を全周に亘って形成して、断熱材本体34と除去予定部31とが、方形状の連結部37で連結された構成にすることも可能である。当該溝部36にナイフの先端を挿入して、連結部37を切断することで、前記除去予定部31を簡単に除去できると共に、当該除去予定部31は、連結部37を介して断熱材本体34に連結されているため、残存させることも可能である。
【0043】
更に、断熱材B1 (B2 )の表面における断熱材本体34と除去予定部31との境界に目印を付けておき、必要な場合には、当該目印に沿って、除去予定部を切断することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
A1 ,A2 :管継手
B1 ,B2 :断熱材
C0 :直状保護カバー
C1 ,C2 :保護カバー接続体
L1 ,L2 :保護カバー接続体の蓋体
P:流体管
Pa:流体管の屈曲部
Pa1:流体管の干渉部
R1 , R2 :管継手環状接続わん曲面の横断面の半径
V1 ,V2 :保護カバー接続体の基台
W:建物壁
3,44,45:被係合部
10,40:収容空間
11,47:天壁
12,49a,49b:側壁
13,48:接続開口
14,52,53:係合部
21:継手本体
22a:壁外管接続部
22b:壁内管接続部
23,24:環状接続わん曲面
31,51:除去予定部
31b ,51b :除去欠落部
32:分断線
32a:スリット
32b:ミシン目
35:貼着部