(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240813BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20240813BHJP
B05D 1/40 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
B05D7/00 P
B05D1/40 A
(21)【出願番号】P 2021013340
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福住 高則
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147965(JP,A)
【文献】特開2008-130789(JP,A)
【文献】特開平09-010657(JP,A)
【文献】特開2012-227461(JP,A)
【文献】特開2011-035186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B05D 7/00
B05D 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の外縁部に環状の膜を形成する基板処理装置であって、
前記基板を支持して回転させることが可能な回転支持台と、
前記回転支持台に支持された前記基板の前記外縁部の上方に配置され、前記外縁部に薬液を塗布する薬液ノズルと、
前記回転支持台に支持された前記基板の前記外縁部の上方および下方の少なくともいずれかであって、前記薬液ノズルの配置位置より前記基板の回転方向の下流側に配置され、前記外縁部に塗布された前記薬液を固化して前記環状の膜の一部となる固化膜を形成する固化膜形成部と、を備
え、
前記薬液ノズルは、前記薬液が吐出される複数の吐出孔を有する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の吐出孔のそれぞれは、
円形の領域に格子状または同心円状に配置される、
請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記回転支持台に支持された前記基板の前記外縁部の上方および下方の少なくともいずれかであって、前記固化膜形成部の配置位置より前記基板の回転方向の更に下流側に配置され、前記外縁部を冷却する冷却部、を更に備える、
請求項1
または請求項2に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、基板の外縁部に薬液を塗布して環状の膜を形成する場合がある。この膜の厚さは、膜形成の目的に応じて様々に制御できることが望ましい。しかしながら、様々な厚さの膜を形成するためには、薬液を塗布する基板処理装置に様々な粘度の薬液を搭載したり、基板処理装置による薬液塗布と、同装置内の別ユニットでのベーク処理または同装置外でのベーク処理とを所望の膜厚に達するまで繰り返したりする処理が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-147965号公報
【文献】特許第5779168号公報
【文献】特許第5682521号公報
【文献】特開2007-299960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、様々な厚さの膜を効率的に形成することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の基板処理装置は、基板の外縁部に環状の膜を形成する基板処理装置であって、前記基板を支持して回転させることが可能な回転支持台と、前記回転支持台に支持された前記基板の前記外縁部の上方に配置され、前記外縁部に薬液を塗布する薬液ノズルと、前記回転支持台に支持された前記基板の前記外縁部の上方および下方の少なくともいずれかであって、前記薬液ノズルの配置位置より前記基板の回転方向の下流側に配置され、前記外縁部に塗布された前記薬液を固化して前記環状の膜の一部となる固化膜を形成する固化膜形成部と、を備え、前記薬液ノズルは、前記薬液が吐出される複数の吐出孔を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる基板処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1にかかる基板処理装置が備える薬液ノズルの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1にかかる基板処理装置が備える薬液ノズル及びガスノズルの配置を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1にかかる基板処理装置によって形成される膜の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1にかかる基板処理装置が有するレシピテーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態1にかかる基板処理装置によってウェハに単層膜を形成する様子を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1にかかる基板処理装置によってウェハに積層膜を形成する様子を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法に含まれる他の工程を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1にかかる基板処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図10】
図10は、実施形態1及び比較例の薬液ノズルを用いて膜が形成される様子を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態1の変形例1にかかる基板処理装置が備える薬液ノズルの構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態1の変形例2にかかる基板処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の変形例3にかかる基板処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態2にかかる基板処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態2にかかる基板処理装置が備える薬液ノズル、ガスノズル、及び冷却ノズルの配置を示す平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態2の変形例1にかかる基板処理装置が備える薬液ノズル、ガスノズル、及び冷却ノズルの配置を示す平面図である。
【
図17】
図17は、実施形態2の変形例2にかかる基板処理装置が備える薬液ノズル、ガスノズル、及び冷却ノズルの配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0009】
(基板処理装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる基板処理装置1の構成の一例を示す図である。実施形態1の基板処理装置1は、例えばウェハWの外縁部に環状の膜を形成する薬液塗布装置として構成されている。
【0010】
図1に示すように、基板処理装置1は、回転テーブル11、カップ12、薬液ノズル20、ガスノズル30、供給管41,51、バルブ42,52、薬液タンク43、ガスタンク53、ガス貯蔵部54、加熱部55、及び制御部60を備える。
【0011】
回転支持台としての回転テーブル11は、基板としてのウェハWを支持して回転させる。すなわち、回転テーブル11は、ウェハWを保持することが可能なステージ11sを備える。また、回転テーブル11は、図示しない回転モータ等を備える。回転モータは、ウェハWを保持したステージ11sを回転させる。
【0012】
薬液ノズル20は、回転テーブル11に支持されたウェハWの外縁部の上方に配置され、ウェハWの外縁部に薬液を塗布する。薬液ノズル20は、基板処理装置1に薬液を供給する供給管41の下流側の一端に接続されている。供給管41にはバルブ42が設けられ、供給管41の上流側の一端は薬液タンク43に接続されている。
【0013】
薬液タンク43は、ウェハWに形成する膜の原材料となる薬液を貯留可能である。より具体的には、薬液は、原材料が所定の溶媒に混合された液体状の薬剤である。原材料は例えばレジスト材であり、この場合、ウェハWに形成される膜はレジスト膜となる。薬液中の溶媒等の成分は、後述する固化膜を溶解しない成分であることが好ましい。
【0014】
薬液タンク43、バルブ42、及び供給管41によって、薬液ノズル20から薬液が吐出され、ウェハWの外縁部に薬液が塗布される。このとき、回転テーブル11によってウェハWを回転させておくことで、ウェハWの外縁部に吐出された余剰の薬液が、遠心力でウェハW上から振り切られる。
【0015】
固化膜形成部としてのガスノズル30は、回転テーブル11に支持されたウェハWの外縁部の上方に配置され、ウェハWの外縁部に塗布された薬液を固化して環状の膜の一部となる固化膜を形成する。ガスノズル30は、薬液ノズル20の配置位置よりウェハWの回転方向RDの下流側に配置される。
【0016】
薬液ノズル20とガスノズル30とがこのような配置を取ることにより、薬液ノズル20が回転するウェハWの外縁部に薬液を塗布した後、下流側のガスノズル30がその薬液を固化することができる。
【0017】
ガスノズル30は、基板処理装置1に所定のガスを供給する供給管51の下流側の一端に接続されている。供給管51にはバルブ52が設けられ、バルブ52の上流側にはガス貯蔵部54が設けられる。供給管51の上流側の一端はガスタンク53に接続されている。
【0018】
ガスタンク53は、上記の所定ガスの供給源である。所定ガスとしては、例えば窒素ガス、希ガス、またはこれらのうち幾つかの混合ガス等の不活性ガスを用いることができる。ガス貯蔵部54は、上記の所定ガスを一時的に貯蔵可能である。ガス貯蔵部54の周囲には、ヒータ等の加熱部55が設けられている。加熱部55は、ガス貯蔵部54内に一時的に貯蔵されるガスを所定の温度に加熱する。
【0019】
ガスタンク53、ガス貯蔵部54、加熱部55、バルブ52によって、ガスノズル30からウェハWの外縁部に加熱したガスが吐出される。加熱したガスは、ウェハWの外縁部に吐出されることで、外縁部に塗布された薬液に含まれる溶媒を気化させる。これにより、薬液中の溶媒の少なくとも一部が除去されて、薬液中の原材料が固化することにより固化膜が形成される。ただし、加熱したガスが溶媒分子のキャリアガスとして機能することで、薬液中の溶媒が除去されてもよい。
【0020】
カップ12は、回転テーブル11を取り囲むように配置される。カップ12の上端部は、回転テーブル11に支持されたウェハWの外縁部を覆うように、ウェハWの外縁部上方に差し伸べられている。これにより、遠心力でウェハWから振り切られた薬液がカップ12によって受け止められるので、周囲に飛散するのを抑制することができる。また、カップ12に受け止められた薬液を回収して再利用することができる。
【0021】
制御部60は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成され、基板処理装置1の各部を制御する。
【0022】
すなわち、制御部60は、図示しない回転モータを制御して回転テーブル11を回転させる。また、制御部60は、加熱部55を制御してガス貯蔵部54内のガスを所定温度に加熱させる。また、制御部60は、バルブ42,52の開閉を制御して薬液およびガスのウェハWへの供給を制御する。
【0023】
また、制御部60は、図示しない記憶装置を備えていてもよい。記憶装置には、例えばウェハWを処理する各種の条件が設定された1つ以上のレシピが格納されている。
【0024】
図2は、実施形態1にかかる基板処理装置1が備える薬液ノズル20の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、薬液ノズル20は胴体21および吐出部22を備える。
【0025】
胴体21は、上述の供給管41が接続可能に構成され、例えば円柱形状を有する。円柱状の胴体21の内部は空洞になっており、供給管41から供給された薬液が吐出部22に到達可能である。
【0026】
吐出部22は、例えば円柱形状を有しており、円形の吐出面22uを有する。吐出部22の吐出面22uは複数の吐出孔23を有する。複数の吐出孔23のそれぞれは、吐出面22uの円形の領域に格子状に配置される。複数の吐出孔23のそれぞれからは薬液が吐出される。
【0027】
図3は、実施形態1にかかる基板処理装置1が備える薬液ノズル20及びガスノズル30の配置を示す平面図である。
図3に示すように、ガスノズル30は、薬液ノズル20から所定距離離間して、ウェハWの回転方向RDの下流側に配置される。
【0028】
より具体的には、ガスノズル30は、例えば薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って30°以上330°以下の範囲内、好ましくは30°以上180°以下の範囲内に配置される。なお、
図3の例では、ガスノズル30は、薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って90°の位置に配置されている。
【0029】
図4は、実施形態1にかかる基板処理装置1によって形成される膜FLの一例を示す図である。
図4(a)は膜FLが外縁部に形成されたウェハWの平面図である。
図4(b)は、単層膜FLsが形成されたウェハWの外縁部付近の断面図である。
図4(c)は、積層膜FLmが形成されたウェハWの外縁部付近の断面図である。
【0030】
図4(a)に示すように、基板処理装置1は、ウェハWの外縁部に環状の膜FLを形成することが可能である。膜FLは、例えばレジスト材を原材料として含む薬液を塗布して形成されるレジスト膜等である。
【0031】
基板としてのウェハWは、主にシリコン、ガリウムヒ素等から構成される半導体ウェハ、主にセラミック等から構成される不導体ウェハ、主にアルミナ、ダイアモンド等から構成される導体ウェハ等であってよい。また、ウェハWは、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の絶縁膜、Cu膜、W膜等の金属膜等の種々の被加工膜(不図示)を、半導体装置が配置されることとなる上面に有していてもよい。
【0032】
図4(b)に示すように、基板処理装置1により形成可能な膜FLとして単層膜FLsがある。単層膜FLsは、基板処理装置1内でウェハWを回転させながら、薬液ノズル20からウェハWに薬液を吐出することで形成される。
【0033】
ウェハWの外縁部は、少なくともベベルWbを含む。ベベルWbは、ウェハWの上面と端面Wxとを繋ぐ曲面状の領域である。ウェハWの端面Wxは、ウェハWの上面に略直交する面である。単層膜FLsは、ウェハWの外縁部であるベベルWbを少なくとも覆い、ウェハWの上面の一部をも覆う。単層膜FLsで覆われたウェハWの上面は、半導体装置が配置される領域の外側領域に相当する。
【0034】
また、単層膜FLsは、吐出する薬液の粘度およびウェハWの回転速度に応じた所定の膜厚を有する。単層膜FLsの膜厚は、例えば吐出した薬液の粘度が高いほど増加し、ウェハWの回転速度が高いほど低下する傾向にある。
【0035】
図4(c)に示すように、基板処理装置1により形成可能な他の膜FLとして積層膜FLmがある。積層膜FLmは、ガスノズル30により薬液を固化させて形成される固化膜FLcを複数層、積層することで形成される。
【0036】
積層膜FLmは、ウェハWの外縁部であるベベルWbを少なくとも覆い、ウェハWの上面の一部をも覆う。積層膜FLmで覆われたウェハWの上面は、半導体装置が配置される領域の外側領域に相当する。
【0037】
また、個々の固化膜FLcは、吐出した薬液の粘度、ウェハWの回転速度、及び吐出されるガス温度に応じた所定の膜厚を有する。
【0038】
固化膜FLcの膜厚は、例えば吐出する薬液の粘度が高いほど増加し、ウェハWの回転速度が高いほど低下する傾向にある。ガス温度による膜厚の増減傾向については一概にはいえない。ガス温度が高いほど固化膜FLcが収縮して膜厚が低下するが、一方で、薬液がウェハWから振り切られる前に速やかに固化するため、ウェハW上に定着する薬液の総量が増して固化膜FLcの膜厚が増加する場合もあると考えられる。
【0039】
積層膜FLmは、固化膜FLcの積層数に応じた所定の膜厚を有する。つまり、固化膜FLcをより多く積層するほど、積層膜FLmを厚く形成することができる。
【0040】
なお、
図4(c)の例は、積層膜FLm中の固化膜FLcが個々に判別可能であることを意味しない。個々の固化膜FLcは互いに隣接する他の固化膜FLcとの間に観測可能な境界部分を有していてもよく、有していなくともよい。
【0041】
図5は、実施形態1にかかる基板処理装置1が有するレシピテーブル61の一例を示す図である。上述のように、制御部60には例えば1つ以上のレシピが保持される。レシピは、例えばレシピテーブル61の形態で制御部60に保持される。
【0042】
図5に示すように、レシピテーブル61には例えば複数のレシピが含まれる。処理条件としてのレシピには、個々のレシピを判別するためのレシピ名のほか、例えば回転テーブル11、薬液ノズル20、及びガスノズル30等に関する複数のパラメータが設定されている。
【0043】
レシピ名は個々のレシピを判別するための名称が設定された項目である。個々のレシピを判別可能であれば、レシピ名に替えて、あるいは加えてレシピID等の項目が、レシピテーブル61に設定されていてもよい。
【0044】
回転テーブル11に関するパラメータとしては、例えば回転開始タイミング(図中の「開始」)、回転終了タイミング(図中の「終了」)、及び回転数等がある。
【0045】
回転開始タイミングは、回転テーブル11の回転を開始するタイミングであり、例えば回転テーブル11にウェハWが載置されたとき以降とすることができる。回転終了タイミングは、回転テーブル11の回転を終了するタイミングであり、例えばウェハWに対する膜FLの形成処理が終了したとき以降とすることができる。回転数(rpm:rotations per minute)は回転テーブル11の回転速度である。
【0046】
薬液ノズル20に関するパラメータとしては、例えば吐出開始タイミング(図中の「開始」)、及び吐出終了タイミング(図中の「終了」)等がある。
【0047】
吐出開始タイミングは、薬液ノズル20からの薬液の吐出を開始するタイミングであり、例えば回転テーブル11の回転が開始され、回転数が安定したとき以降とすることができる。吐出終了タイミングは、薬液ノズル20からの薬液の吐出を終了するタイミングであり、例えば形成される膜FLの所望膜厚に応じて任意に設定される。
【0048】
なお、薬液ノズル20に関するパラメータとして、薬液の吐出量等の他のパラメータが設定されていてもよい。
【0049】
ガスノズル30に関するパラメータとしては、例えば吐出開始タイミング(図中の「開始」)、吐出終了タイミング(図中の「終了」)、及び加熱温度(図中の「温度」)等がある。
【0050】
吐出開始タイミングは、ガスノズル30からのガスの吐出を開始するタイミングであり、例えば薬液の吐出が開始された前後のタイミングとすることができる。吐出開始タイミングは、好ましくは薬液の吐出が開始されたタイミングと略同時とすることができる。吐出終了タイミングは、ガスノズル30からのガスの吐出を終了するタイミングであり、例えば薬液の吐出が終了したタイミングと略同時とすることができる。吐出終了タイミングは、好ましくは薬液の吐出が終了した後、吐出された全ての薬液が固化されたとき以降とすることができる。
【0051】
このように、薬液ノズル20からの薬液の吐出と、ガスノズル30からのガスの吐出とは並行して行われる。すなわち、薬液ノズル20からの薬液の吐出期間と、ガスノズル30からのガスの吐出期間とが重なり合う期間が存在する。このとき、薬液ノズル20からの薬液の吐出期間と、ガスノズル30からのガスの吐出期間とは略一致していてもよい。
【0052】
また、ガスノズル30からのガスの吐出期間が、薬液ノズル20からの薬液の吐出期間よりも長く、かつ、薬液ノズル20からの薬液の吐出期間が、ガスノズル30からのガスの吐出期間に含まれていることが好ましい。これにより、薬液が塗布されるとともに速やかに薬液の固化を開始して、積層膜FLmの積層効率を向上させることができる。また、未固化の薬液が残ってしまうのが抑制される。
【0053】
加熱温度は加熱部55の設定温度であり、ガスノズル30から吐出されるガスの温度が例えば薬液中の溶媒の沸点よりも高い温度となるよう設定される。これにより、ガスが吐出された薬液中から溶媒を除去して、原材料が固化した固化膜FLcを形成することができる。より具体的には、加熱温度は、ガスノズル30から吐出されるガスの温度が、例えば100℃以上200℃以下、好ましくは100℃以上160℃以下、より好ましくは100℃以上150℃以下となるよう設定される。
【0054】
なお、ガスノズル30に関するパラメータとして、ガスの吐出量等の他のパラメータが設定されていてもよい。また、基板処理装置1において複数種類のガスが供給可能である場合には、ガスノズル30に関するパラメータとしてガス種が設定されていてもよい。
【0055】
また、上述のように単層膜FLsを形成する場合にはガスノズル30は不使用となる。このため、図中に斜線で示されるように、レシピテーブル61に、ガスノズル30に関するパラメータが未設定のレシピが含まれていてもよい。ただし、単層膜FLsを形成する際であっても、薬液ノズル20からの薬液の吐出が終了した後に、基板処理装置1内で薬液を固化させるために、ガスノズル30からガスを吐出してもよい。
【0056】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図6~
図8を用いて、実施形態1の半導体装置の製造方法について説明する。実施形態1の半導体装置の製造方法は、基板処理装置1における膜FLの形成処理を含む。
【0057】
図6は、実施形態1にかかる基板処理装置1によってウェハWに単層膜FLsを形成する様子を示す図である。なお、
図6(Aa)、
図6(Ba)、及び
図6(Ca)はウェハWの平面図であり、
図6(Ab)、
図6(Bb)、及び
図6(Cb)はウェハWの外縁部付近の断面図である。
【0058】
図6(Aa)(Ab)に示すように、回転中のウェハWの外縁部へ、薬液ノズル20から薬液の塗布が開始される。薬液は、上述の単層膜FLsが覆う領域と同様、ウェハW上のベベルWbを含む所定幅の領域に塗布されて、液状の塗布膜CSが形成される。塗布膜CSは、ウェハWの回転に合わせて、薬液ノズル20の下方を通過するウェハWの外縁部に形成されていく。このとき、ウェハWの回転に伴う遠心力により、外縁部に塗布された薬液のうち余剰分がウェハWから振り切られる。
【0059】
なお、上述のように、ガスノズル30は、薬液ノズル20から所定距離離間して配置される。薬液ノズル20の配置位置に対して、ガスノズル30が適度な距離に配置されることで、薬液ノズル20から薬液が飛散すること等によるガスノズル30の汚染が抑制される。
【0060】
図6(Ba)(Bb)に示すように、ウェハWの回転に合わせて、塗布膜CSが形成された部分のウェハWの外縁部が、ガスノズル30の下方を通過していく。単層膜FLsを形成する際、薬液ノズル20から薬液の塗布中には、ガスノズル30からガスは吐出されない。したがって、ガスノズル30の下方を通過した塗布膜CSは液状の形態を維持したままである。
【0061】
図6(Ca)(Cb)に示すように、薬液の塗布が開始された後、ウェハWが1回転すると、塗布膜CSが既に形成された部分のウェハWの外縁部が、薬液ノズル20の下方を通過する。これにより、ウェハWの外縁部の塗布膜CSに向けて、薬液ノズル20から更に薬液が塗布される。ただし、ウェハWの回転に伴う遠心力によって余剰な薬液はウェハWから振り切られるので、ウェハWの外縁部の塗布膜CSの膜厚は微増するか、または殆ど変化しない。
【0062】
これ以降、薬液の吐出終了タイミングとなるまで、ウェハW上に薬液が重ね塗りされていく。また、薬液の吐出終了後、ガスノズル30からガスの吐出を開始して、ウェハWの外縁部の塗布膜CSを固化させてもよい。また、ガスの吐出による薬液の固化に替えて、あるいは加えて、基板処理装置1から排出したウェハWに対してポストベークを施して、更に塗布膜CSを固化させてもよい。
【0063】
以上により、ウェハWの外縁部に環状の単層膜FLsが形成される。
【0064】
図7は、実施形態1にかかる基板処理装置1によってウェハWに積層膜FLmを形成する様子を示す図である。なお、
図7(Aa)、
図7(Ba)、及び
図7(Ca)はウェハWの平面図であり、
図7(Ab)、
図7(Bb)、及び
図7(Cb)はウェハWの外縁部付近の断面図である。
【0065】
図7(Aa)(Ab)に示す処理は、上述の
図6(Aa)(Ab)に示す処理と同様である。液状の塗布膜CSは、上述の積層膜FLmが覆う領域と同様、ウェハW上のベベルWbを含む所定幅の領域に形成される。
【0066】
図7(Ba)(Bb)に示すように、ウェハWの回転に合わせて、塗布膜CSが形成された部分のウェハWの外縁部が、ガスノズル30の下方を通過していく。このとき、ウェハWの外縁部の塗布膜CSに向けて、ガスノズル30から加熱したガスが吐出される。
【0067】
これにより、ウェハWの外縁部の塗布膜CSが固化して固化膜FLcが形成される。固化膜FLcは、ウェハWの回転に合わせて、ガスノズル30の下方を通過するウェハWの外縁部に形成されていく。
【0068】
図7(Ca)(Cb)に示すように、薬液の塗布が開始された後、ウェハWが1回転すると、固化膜FLcが既に形成された部分のウェハWの外縁部が、薬液ノズル20の下方を通過する。これにより、ウェハWの外縁部の固化膜FLcに向けて、薬液ノズル20から更に薬液が塗布される。余剰な薬液は遠心力でウェハWから振り切られるが、固化膜FLcと薬液の塗布による塗布膜CSとの合計の厚さは、固化膜FLcの厚さ分だけ嵩上げされる。
【0069】
このとき、上述のように、固化膜FLcを溶解させる成分を含まない薬液を使用することで、固化膜FLcの膜減りが抑制され、効率的な膜厚の増加が可能となる。
【0070】
また、上述のように、ガスノズル30は、薬液ノズル20から所定距離離間して配置される。薬液ノズル20の配置位置に対して、ガスノズル30が適度な距離に配置されることで、薬液の飛散によるガスノズル30の汚染が抑制されるとともに、塗布膜CSが加熱された後、形成された固化膜FLcに向けて次の薬液が塗布されるまでの時間が長くなり、加熱後の固化膜FLcからの溶媒の除去が継続されて、固化膜FLcが効率的に積層される。
【0071】
これ以降、薬液の吐出終了タイミングとなるまで、ウェハW上に固化膜FLcが積層されていく。また、薬液の吐出終了後も、ガスノズル30からガスの吐出を継続して、固化膜FLcからより確実に溶媒を除去してもよい。また、基板処理装置1から排出したウェハWに対してポストベークを施して、更に固化膜FLcの固化を促進してもよい。
【0072】
以上により、ウェハWの外縁部に環状の積層膜FLmが形成される。
【0073】
図8は、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法に含まれる他の工程を示す断面図である。なお、
図8の例では、積層膜FLmが形成されたウェハWに対する処理例を示している。しかし、単層膜FLsが形成されたウェハWに対する処理も、以下に説明する処理と同様に行われる。
【0074】
図8(a)に示すように、実施形態1の半導体装置が配置されることとなるウェハWの中央部には、マスクパターンとしてのレジストパターンRSpが形成されている。また、ウェハWの外縁部には上述のように積層膜FLmが形成されている。レジストパターンRSpと積層膜FLmとの形成順は任意である。
【0075】
図8(b)に示すように、積層膜FLmでウェハWの外縁部を保護しつつ、レジストパターンRSpをマスクとしてウェハWの中央部をエッチング処理する。これにより、ウェハWの中央部にレジストパターンRSpが転写されたウェハパターンWpが形成される。このとき、積層膜FLmで保護されたウェハWの外縁部にはウェハパターンWpは形成されない。
【0076】
なお、上述のように、ウェハWは被加工膜を有していてもよく、ウェハWの中央部の被加工膜にレジストパターンRSpが転写されてもよい。
【0077】
図8(c)に示すように、例えば酸素プラズマ等によってレジストパターンRSp及び積層膜FLmを除去する。
【0078】
以上のように、ウェハWへのパターン形成、被加工膜の形成、被加工膜へのパターン形成等の工程を適宜繰り返していくことで、実施形態1の半導体装置が製造される。
【0079】
(基板処理装置による処理の例)
次に、
図9を用いて、実施形態1の基板処理の例について説明する。
図9は、実施形態1にかかる基板処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0080】
図9に示すように、基板処理装置1の制御部60は、レシピテーブル61の中の所望のレシピをロードする(ステップS101)。所望のレシピは、例えばレシピテーブル61の中からユーザにより選択されたレシピである。
【0081】
制御部60は、例えば図示しない搬送機構等により、基板処理装置1内にウェハWを搬入する(ステップS102)。搬入されたウェハWは回転テーブル11に載置される。
【0082】
制御部60は、ロードされたレシピにしたがって、回転テーブル11により、所定のタイミングで、所定の回転数でのウェハWの回転を開始する(ステップS103)。これ以降、ウェハWへの膜FLの形成処理が終了するまでウェハWの回転が維持される。
【0083】
制御部60は、ロードされたレシピを参照して、これから形成される膜FLが積層膜FLmであるか否かを判定する(ステップS104)。つまり、ロードされたレシピ上で、ガスノズル30に関するパラメータが設定されていれば、形成対象膜は積層膜FLmであり、ガスノズル30に関するパラメータが設定されていなければ、形成対象膜は単層膜FLsである。
【0084】
形成対象膜が積層膜FLmであれば(ステップS104:Yes)、制御部60は、固化膜FLcを複数層積層して積層膜FLmを形成する(ステップS111~S113)。
【0085】
より具体的には、制御部60は、ウェハWを回転させながら、ウェハWの外縁部に薬液を塗布する。また、制御部60は、薬液の塗布と並行して、薬液の塗布位置よりウェハWの回転方向RDの下流側の位置で、ウェハWの外縁部に塗布された薬液を固化して固化膜FLcを形成する。
【0086】
すなわち、制御部60は、薬液ノズル20からの薬液の塗布を開始し、ガスノズル30からの加熱したガスの吐出を開始する(ステップS111)。
【0087】
また、制御部60は、所定数の固化膜FLcが形成されるまで(ステップS112:No)薬液の塗布および加熱ガスの吐出を継続する。つまり、制御部60は、ロードされたレシピを参照して、それぞれの終了タイミングとなるまで薬液の塗布および加熱ガスの吐出を継続する。
【0088】
また、制御部60は、所定数の固化膜FLcが形成されると(ステップS112:Yes)、薬液ノズル20からの薬液の塗布を終了し、ガスノズル30からの加熱したガスの吐出を終了する(ステップS113)。
【0089】
形成対象膜が単層膜FLsであれば(ステップS104:No)、制御部60は、ウェハWを回転させながら、ウェハWの外縁部に薬液を塗布して単層膜FLsを形成する(ステップS121~S124)。
【0090】
すなわち、制御部60は、薬液ノズル20からの薬液の塗布を開始する(ステップS121)。
【0091】
また、制御部60は、薬液が所定厚さに到達するまで(ステップS122:No)薬液の塗布を継続する。つまり、制御部60は、ロードされたレシピを参照して、終了タイミングとなるまで薬液の塗布を継続する。
【0092】
また、制御部60は、薬液が所定厚さに到達すると(ステップS122:Yes)、薬液ノズル20からの薬液の塗布を終了する(ステップS123)。
【0093】
薬液の塗布を終了した後、制御部60は、ガスノズル30から加熱したガスを吐出して、ウェハWの外縁部に塗布された薬液を固化して単層膜FLsを形成する(ステップS124)。ただし、基板処理装置1外でウェハWに対してポストベークを行うことにより、薬液を固化して単層膜FLsを形成してもよい。この場合、ステップS124の処理は行われなくともよい。
【0094】
ウェハWへの膜FLの形成が終了すると、制御部60は、回転テーブル11によるウェハWの回転を終了する(ステップS131)。制御部60は、図示しない搬送機構等により、基板処理装置1外へとウェハWを搬出する(ステップS132)。
【0095】
以上により、実施形態1の基板処理装置1による基板処理が終了する。
【0096】
なお、この後、ウェハWにポストベークを施して、単層膜FLsまたは積層膜FLmからより確実に溶媒を除去してもよい。
【0097】
(概括)
半導体装置の製造工程で、ウェハの外縁部に環状の膜を形成する処理が行われることがある。環状の膜は、例えばウェハの中央部に微細なパターン等を形成する際、外縁部を保護する保護膜として用いられ、外縁部にまで微細パターンが形成されてしまうことを抑制する。ウェハをハンドリングする際などに微細パターンが外縁部にあると、それが破壊されてパーティクルとなることが有り望ましくないからである。
【0098】
環状の膜を形成する際には、保護膜のエッチング選択性等のエッチング条件に応じて、適正な膜厚で環状の膜を形成することが望まれている。膜厚が薄すぎれば保護膜として機能せず、膜厚が厚すぎれば膜の除去に長時間を要してしまうからである。
【0099】
しかしながら、環状の膜を形成する基板処理装置において適宜、膜厚を変えて処理を行うには、所望の膜厚に応じて薬液を入れ替えたり、所望の膜厚ごとに粘度の異なる複数種類の薬液を基板処理装置に搭載したり、所望の膜厚が得られるまで基板処理装置で塗布した薬液を装置外でベークする処理を繰り返したりしなければならない。薬液の入れ替えを行えば基板処理装置のダウンタイムが長期化してしまい、複数種類の薬液を搭載すれば基板処理装置の大型化および高コスト化に繋がる。薬液塗布とベーク処理とを異なる装置間で繰り返せば半導体装置の製造効率が低下してしまう。
【0100】
実施形態1の基板処理装置1によれば、薬液ノズル20の配置位置よりウェハの回転方向RDの下流側に配置され、ウェハWの外縁部に加熱したガスを吐出するガスノズル30を備える。これにより、様々な厚さの膜FLを効率的に形成することができる。つまり、固化膜FLcを複数層積層して任意の膜厚の積層膜FLmを形成することができる。よって、基板処理装置1のダウンタイムの長期化、大型化、及び高コスト化を抑制し、また、半導体装置の製造効率を向上させることができる。
【0101】
実施形態1の基板処理装置1によれば、ガスノズル30は、薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って30°以上330°以下の範囲内に配置される。これにより、薬液ノズル20からの薬液の飛散によるガスノズル30の汚染を抑制し、また、固化膜FLcを効率的に形成することができる。
【0102】
実施形態1の基板処理装置1によれば、薬液ノズル20は薬液が吐出される複数の吐出孔23を有する。これにより、ウェハWに形成される環状の膜FLを平坦化することができる。この点について、
図10を用いて詳細に説明する。
【0103】
図10は、実施形態1及び比較例の薬液ノズルを用いて膜が形成される様子を示す断面図である。
図10(Aa)(Ba)は実施形態1の薬液ノズル20を用いる場合であり、
図10(Ab)(Bb)は比較例の薬液ノズル20’を用いる場合である。
【0104】
図10(Ab)に示すように、比較例の薬液ノズル20’では口径の大きい1つの吐出孔23’から薬液が吐出される。比較例のウェハW’に比較例の塗布膜CS’が形成済みであった場合、塗布膜CS’は薬液によって、放射状に広がる大きな吐出圧Fp’を受ける。これにより、塗布膜CS’の幅方向の中央付近が大きく沈み込み、端部付近が大きく盛り上がる。
【0105】
一方で、塗布膜CS’には、ウェハW’の回転によるウェハW’外側への遠心力Fcが働いている。したがって、塗布膜CS’の幅方向におけるウェハW’中心部側の端部付近では、互いに逆向きの吐出圧Fp’と遠心力Fcとが生じる。これにより、ウェハW’中心部側の端部付近の塗布膜CS’が、もう一方の端部付近よりもいっそう大きく盛り上がる。
【0106】
図10(Bb)に示すように、薬液による吐出圧Fp’が大きいため、比較例の膜FL’における膜厚差が大きくなる。また、比較例の膜FL’のウェハW’中心部側の端部付近に突起HM’が生じてしまう場合がある。
【0107】
図10(Aa)に示すように、実施形態1の薬液ノズル20からは、薬液が細流となって吐出される。ウェハWに塗布膜CSが形成済みであった場合、塗布膜CSは薬液によって、放射状に広がる吐出圧Fpを受ける。これにより、塗布膜CSの幅方向の中央付近が若干沈み込み、端部付近が若干盛り上がる。しかし、薬液は細流となって吐出されるので、その吐出圧Fpは比較的小さく、塗布膜CSの幅方向の膜厚差も比較的小さい。
【0108】
一方で、塗布膜CSには、ウェハWの回転によるウェハW外側への遠心力Fcが働いている。このため、塗布膜CSの幅方向におけるウェハW中心部側の端部付近では、互いに逆向きの吐出圧Fpと遠心力Fcとが生じる。しかし、上述のように薬液による吐出圧Fpが小さいので、逆向きの吐出圧Fpと遠心力Fcとが塗布膜CSに与える影響も小さい。
【0109】
図10(Ba)に示すように、薬液による吐出圧Fpが小さく抑えられているため、実施形態1の膜FLにおける膜厚差が比較例の膜FL’よりも抑えられ、比較的平坦な膜FLを形成することができる。
【0110】
実施形態1の半導体装置の製造方法によれば、薬液の塗布と並行して、ウェハWの外縁部に塗布された薬液を固化して固化膜FLcを形成する。このように、薬液の塗布と並行して固化膜FLcを形成するので、固化膜FLcを複数層積層して任意の膜厚の積層膜FLmを形成することができる。つまり、様々な厚さの膜FLを効率的に形成することができる。よって、基板処理装置1のダウンタイムの長期化、大型化、及び高コスト化を抑制し、また、半導体装置の製造効率を向上させることができる。
【0111】
実施形態1の半導体装置の製造方法によれば、環状の膜FLでウェハW外縁部を保護しつつ、ウェハWの中央部をエッチング処理する。これにより、ウェハWの外縁部にパターンが形成されてしまうことが抑制されて、パーティクル等の発生を抑制することができる。
【0112】
(変形例1)
次に、
図11を用いて、実施形態1の変形例1の薬液ノズル20aについて説明する。変形例1の薬液ノズル20aは、上述の実施形態1の薬液ノズル20とは異なる配置の吐出孔23aを備える。
【0113】
図11は、実施形態1の変形例1にかかる基板処理装置が備える薬液ノズル20aの構成の一例を示す図である。なお、
図11において、上述の実施形態1の
図2と同様の構成には同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0114】
図11に示すように、薬液ノズル20aは吐出部22aを備える。吐出部22aは、例えば円柱形状を有しており、円形の吐出面22uaを有する。吐出部22aの吐出面22uaは複数の吐出孔23aを有する。複数の吐出孔23aのそれぞれは、吐出面22uaの円形の領域に同心円状に配置される。複数の吐出孔23aのそれぞれからは薬液が吐出される。
【0115】
変形例1の基板処理装置によれば、薬液ノズル20aの複数の吐出孔23aのそれぞれは、円形の領域に同心円状に配置される。このような構成によっても、薬液ノズル20aから吐出される薬液が細流化されて吐出圧を弱めることができる。よって、平坦な環状の膜を形成することができる。
【0116】
(変形例2,3)
次に、
図12及び
図13を用いて、実施形態1の変形例2,3の構成について説明する。変形例2,3では、固化膜を形成する方法が実施形態1とは異なる。
【0117】
図12は、実施形態1の変形例2にかかる基板処理装置1bの構成の一例を示す図である。なお、
図12において、上述の実施形態1の
図1と同様の構成には同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0118】
図12に示すように、変形例2の基板処理装置1bは、上述の実施形態1のガスノズル30、供給管51、バルブ52、ガスタンク53、ガス貯蔵部54、加熱部55、及び制御部60に替えて、照射ノズル30b、ケーブル56b、レーザ発振器57b、及び制御部60bを備える。
【0119】
固化膜形成部としての照射ノズル30bは、回転テーブル11に支持されたウェハWの外縁部の上方に配置され、ウェハWの外縁部に塗布された薬液を固化して環状の膜の一部となる固化膜を形成する。照射ノズル30bは、薬液ノズル20の配置位置よりウェハWの回転方向RDの下流側に配置される。
【0120】
より具体的には、照射ノズル30bは、例えば薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って30°以上330°以下の範囲内、好ましくは30°以上180°以下の範囲内に配置される。
【0121】
照射ノズル30bは、ケーブル56bによってレーザ発振器57bに接続される。レーザ発振器57bは、所定波長のレーザを生成する。レーザ発振器57bは、所定間隔で所定波長のパルスレーザを生成してもよい。
【0122】
照射ノズル30b、ケーブル56b、及びレーザ発振器57bによって、照射ノズル30bからウェハWの外縁部にレーザが照射される。ウェハWの外縁部に照射されたレーザは、外縁部に塗布された薬液の温度を上昇させて、薬液に含まれる溶媒を気化させる。これにより、薬液中の溶媒の少なくとも一部が除去されて、薬液中の原材料が固化することにより固化膜が形成される。
【0123】
制御部60bは、上述の実施形態1の制御部60と同様、例えばCPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成され、基板処理装置1bの各部を制御する。制御部60bは、加熱部55及びバルブ52等の制御に替えて、レーザ発振器57bを制御して、ウェハWへのレーザ照射を制御する。
【0124】
変形例2の基板処理装置1b及び半導体装置の製造方法によれば、照射ノズル30bからウェハWの外縁部にレーザを照射する。これにより、上述の実施形態1の基板処理装置1及び半導体装置の製造方法と同様の効果を奏する。
【0125】
図13は、実施形態1の変形例3にかかる基板処理装置1cの構成の一例を示す図である。なお、
図13において、上述の実施形態1の
図1と同様の構成には同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0126】
図13に示すように、変形例3の基板処理装置1cは、上述の実施形態1のガスノズル30、供給管51、バルブ52、ガスタンク53、ガス貯蔵部54、加熱部55、及び制御部60に替えて、ヒータ30c、電線56c、電源57c、及び制御部60cを備える。
【0127】
固化膜形成部としてのヒータ30cは、回転テーブル11に支持されたウェハWの外縁部の上方に配置され、ウェハWの外縁部に塗布された薬液を固化して環状の膜の一部となる固化膜を形成する。
【0128】
ただし、ヒータ30cは、回転テーブル11に支持されたウェハWの外縁部の下方に配置されていてもよい。または、ヒータ30cが、回転テーブル11に支持されたウェハWの外縁部の上方および下方のいずれにも配置されていてもよい。
【0129】
ヒータ30cは、薬液ノズル20の配置位置よりウェハWの回転方向RDの下流側に配置される。より具体的には、ヒータ30cは、例えば薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って30°以上330°以下の範囲内、好ましくは30°以上180°以下の範囲内に配置される。
【0130】
ヒータ30cは、電線56cによって電源57cに接続される。ヒータ30c、電線56c、電源57cによって、ヒータ30cがウェハWの外縁部を加熱する。よって、外縁部に塗布された薬液に含まれる溶媒が気化される。これにより、薬液中の溶媒の少なくとも一部が除去されて、薬液中の原材料が固化することにより固化膜が形成される。
【0131】
制御部60cは、上述の実施形態1の制御部60と同様、例えばCPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成され、基板処理装置1cの各部を制御する。制御部60cは、加熱部55及びバルブ52等の制御に替えて、電源57cを制御して、ウェハWの外縁部の加熱を制御する。
【0132】
変形例3の基板処理装置1c及び半導体装置の製造方法によれば、ヒータ30cがウェハWの外縁部を加熱する。これにより、上述の実施形態1の基板処理装置1及び半導体装置の製造方法と同様の効果を奏する。
【0133】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2では、ウェハの外縁部を冷却する点が上述の実施形態1とは異なる。
【0134】
(基板処理装置の構成例)
図14は、実施形態2にかかる基板処理装置2の構成の一例を示す図である。実施形態2の基板処理装置2は、例えばウェハWの外縁部に環状の膜を形成する薬液塗布装置として構成されている。なお、
図14において、上述の実施形態1の
図1と同様の構成には同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0135】
図14に示すように、基板処理装置2は、上述の実施形態1の基板処理装置1の構成に加えて、冷却ノズル230、供給管251、バルブ252、ガスタンク253、ガス貯蔵部254、冷媒循環部255、及びチラー258を備える。また、基板処理装置2は、上述の実施形態1の基板処理装置1の制御部60に替えて、制御部260を備える。
【0136】
冷却部としての冷却ノズル230は、回転テーブル11に支持されたウェハWの外縁部の上方に配置され、ウェハWの外縁部を冷却する。冷却ノズル230は、ガスノズル30の配置位置よりウェハWの回転方向RDの更に下流側に配置される。
【0137】
ガスノズル30と冷却ノズル230とがこのような配置を取ることにより、ガスノズル30が回転するウェハWの外縁部に固化膜を形成した後、その固化膜上に次の塗布膜が形成される前に、ガスノズル30の下流側の冷却ノズル230がウェハWの外縁部を冷却することができる。つまり、加熱後の固化膜上に次の塗布膜が形成される前に、ウェハWの外縁部を例えば初期温度まで冷却しておくことができる。
【0138】
ウェハWの外縁部の温度は、外縁部における塗布膜の形成に影響を与える。例えば、ウェハWの外縁部の温度が高いと、塗布される薬液の粘度が低下して塗布膜の膜厚が薄くなる。冷却ノズル230によってウェハWの外縁部が初期温度に維持されることで、塗布膜の形成条件が略一定に維持されて、塗布膜の膜厚のばらつきが抑制される。
【0139】
冷却ノズル230は、基板処理装置2に所定のガスを供給する供給管251の下流側の一端に接続されている。供給管251にはバルブ252が設けられ、バルブ252の上流側にはガス貯蔵部254が設けられる。供給管251の上流側の一端はガスタンク253に接続されている。
【0140】
ガスタンク253は、上記の所定ガスの供給源である。所定ガスとしては、例えば窒素ガス、希ガス、またはこれらのうち幾つかの混合ガス等の不活性ガスを用いることができる。ガス貯蔵部254は、上記の所定ガスを一時的に貯蔵可能である。ガス貯蔵部254の周囲には、冷媒循環部255が設けられている。冷媒循環部255はチラー258に接続されており、ガス貯蔵部254内に一時的に貯蔵されるガスを所定の温度に冷却する。
【0141】
冷媒循環部255は、例えば循環路255rを内部に備える。冷媒循環部255内の循環路255rの一端は、チラーホース258inを介してチラー258に接続される。循環路255rの他端は、チラーホース258otを介してチラー258に接続される。
【0142】
チラー258は、冷媒を所定温度に冷却する機能を有する。チラー258によって冷却された冷媒は、チラー258からチラーホース258inを介して冷媒循環部255に流入し、冷媒循環部255からチラーホース258otを介してチラー258に流出する。チラー258によって所定温度に冷却されつつ、冷媒が冷媒循環部255内を循環することで、ガス貯蔵部254内に一時的に貯蔵されるガスが所定の温度に冷却される。
【0143】
冷却ノズル230、供給管251、バルブ252、ガスタンク253、ガス貯蔵部254、冷媒循環部255、及びチラー258によって、冷却ノズル230からウェハWの外縁部に冷却したガスが吐出される。
【0144】
制御部260は、上述の実施形態1の制御部60と同様、例えばCPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成され、実施形態2の基板処理装置2の各部を制御する。例えば、制御部260は、バルブ252及びチラー258を制御して、ウェハWへの冷却ガスの吐出を制御する。
【0145】
また、制御部260は、図示しない記憶装置を備えていてもよく、例えばウェハWを処理する各種の条件が設定された1つ以上のレシピを保持する。処理条件としてのレシピは、上述の
図5のようなレシピテーブルで管理されていてよい。上述の
図5のレシピテーブル61の設定項目に加え、実施形態2のレシピには、冷却ノズル230に関するパラメータとして、例えば吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、冷却温度、冷却ガスの吐出量、及びガス種等のパラメータが設定されていてもよい。
【0146】
上記レシピテーブルで管理されるレシピの設定により、ガスノズル30からの加熱ガスの吐出と、冷却ノズル230からの冷却ガスの吐出とは、例えば並行して行われる。すなわち、ガスノズル30からの加熱ガスの吐出期間と、冷却ノズル230からの冷却ガスの吐出期間とが重なり合う期間が存在する。このとき、ガスノズル30からの加熱ガスの吐出期間と、冷却ノズル230からの冷却ガスの吐出期間とは略一致していてもよい。
【0147】
また、ガスノズル30からの加熱ガスの吐出期間の長さと、冷却ノズル230からの冷却ガスの吐出期間の長さとが略等しく、かつ、加熱ガスの吐出開始後に冷却ガスの吐出が開始され、加熱ガスの吐出終了後に冷却ガスの吐出が終了してもよい。
【0148】
加熱ガスの吐出と冷却ガスの吐出とが並行して行われることにより、ウェハWの回転に伴って、ウェハWの外縁部が何度もガスノズル30の下方を通過した場合でも、ウェハWの外縁部の温度が累積的に上昇してしまうのが抑制される。
【0149】
上記レシピテーブルで管理されるレシピの設定により、冷却ノズル230から吐出される冷却ガスは、例えばウェハWの外縁部の温度を初期温度に冷却可能な温度に調整される。より具体的には、冷却ガスは、常温付近であって例えば23℃程度の温度に調整されてよい。
【0150】
なお、上述の実施形態1と同様、単層膜を形成する場合には例えばガスノズル30は不使用となる。このとき、冷却ノズル230も不使用とすることができ、実施形態2のレシピテーブルに、冷却ノズル230に関するパラメータが未設定のレシピが含まれていてもよい。
【0151】
図15は、実施形態2にかかる基板処理装置2が備える薬液ノズル20、ガスノズル30、及び冷却ノズル230の配置を示す平面図である。
図15に示すように、薬液ノズル20、ガスノズル30、及び冷却ノズル230は、互いに所定距離離間して、ウェハWの周方向に沿って配置される。
【0152】
より具体的な冷却ノズル230の配置としては、例えば薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って90°以上270°以下の範囲内である。また、冷却ノズル230は、例えばガスノズル30の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って60°以上90°以下の範囲内に配置されてよい。
【0153】
なお、
図15の例では、薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って、ガスノズル30は90°の位置に、冷却ノズル230は180°の位置に、それぞれ配置されている。また、冷却ノズル230は、ガスノズル30の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って90°の位置に配置されている。
【0154】
ガスノズル30と冷却ノズル230とが所定距離離間して配置されることで、加熱された固化膜が直ちに冷却されてしまうことが抑制され、薬液中の溶媒を充分に除去して効率的に固化膜を形成することができる。したがって、ガスノズル30と冷却ノズル230との上記配置により、効率的な固化膜の形成を図りつつ、新たに形成される塗布膜の膜厚ばらつきを抑制可能である。
【0155】
(概括)
実施形態2の基板処理装置2によれば、上述の実施形態1の基板処理装置1と同様の効果を奏する。
【0156】
実施形態2の基板処理装置2によれば、ガスノズル30の配置位置よりウェハWの回転方向RDの更に下流側に配置され、ウェハWの外縁部に冷却したガスを吐出してウェハWの外縁部を冷却する冷却ノズル230を備える。これにより、ガスノズル30の使用時に、ウェハWの外縁部の温度が累積的に上昇してしまうことが抑制され、所望の膜厚を有する環状の膜を精度よく形成することができる。
【0157】
実施形態2の基板処理装置2によれば、冷却ノズル230は、薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って90°以上270°以下の範囲内に配置される。このように冷却ノズル230が配置されることで、効率的な固化膜の形成を図りつつ、新たに形成される塗布膜の膜厚ばらつきを抑制することができる。
【0158】
実施形態2の半導体製造方法によれば、上述の実施形態1の半導体製造方法と同様の効果を奏する。
【0159】
実施形態2の半導体製造方法によれば、固化膜の形成と並行して、固化膜の形成位置よりウェハWの回転方向RDの更に下流側の位置で、ウェハWの外縁部を冷却する。このように、固化膜の形成と並行してウェハWの外縁部が冷却されるので、ウェハWの外縁部の温度が累積的に上昇してしまうことが抑制され、所望の膜厚を有する環状の膜を精度よく形成することができる。
【0160】
実施形態2の半導体製造方法によれば、ウェハWの外縁部の冷却は、薬液の塗布位置から、ウェハWの周方向に沿って90°以上270°以下の範囲内の位置で行われる。これにより、効率的な固化膜の形成を図りつつ、新たに形成される塗布膜の膜厚ばらつきを抑制することができる。
【0161】
(変形例1,2)
次に、実施形態2の変形例1,2の構成について説明する。変形例1,2では、ガスノズル、または冷却ノズルの個数が実施形態2とは異なる。
【0162】
変形例1,2の基板処理装置においても、薬液ノズル、ガスノズル、及び冷却ノズルは、互いに所定距離離間して、ウェハWの周方向に沿って配置される。また、ガスノズル及び冷却ノズルの少なくともいずれかは、ウェハWの周方向に沿って複数配置される。
【0163】
より具体的には、複数または単数のガスノズルは、例えば薬液ノズルの配置位置から、ウェハWの周方向に沿って30°以上330°以下の範囲内、好ましくは30°以上180°以下の範囲内に配置される。
【0164】
また、複数または単数の冷却ノズルは、例えば薬液ノズルの配置位置から、ウェハWの周方向に沿って90°以上270°以下の範囲内に配置される。また、ウェハWの回転方向RDの最上流側に位置する冷却ノズルは、例えばその冷却ノズルに上流側で隣接するガスノズルの配置位置から、ウェハWの周方向に沿って60°以上90°以下の範囲内に配置される。
【0165】
ここで、
図16に複数のガスノズル30x,30yの配置例を示し、
図17に複数の冷却ノズル230x~230zの配置例を示す。ただし、薬液ノズル、ガスノズル、及び冷却ノズルの配置例は
図16及び
図17の例に限られない。
【0166】
図16は、実施形態2の変形例1にかかる基板処理装置が備える薬液ノズル20、ガスノズル30x,30y、及び冷却ノズル230の配置を示す平面図である。
【0167】
図16の例では、2つのガスノズル30x,30yが配置されている。また、薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って、ガスノズル30xは90°の位置に、ガスノズル30yは180°の位置に、冷却ノズル230は270°の位置に、それぞれ配置されている。また、冷却ノズル230は、ガスノズル30yの配置位置から、ウェハWの周方向に沿って90°の位置に配置されている。
【0168】
変形例1の基板処理装置によれば、上述の実施形態2の基板処理装置2と同様の効果を奏する。
【0169】
変形例1の基板処理装置によれば、ウェハWの周方向に沿って複数のガスノズル30x,30yが配置される。これにより、より確実に固化膜から溶媒を除去することができる。
【0170】
変形例1の半導体装置の製造方法によれば、上述の実施形態2の半導体装置の製造方法と同様の効果を奏する。
【0171】
変形例1の半導体装置の製造方法によれば、加熱ガスの吐出による固化膜の形成は、薬液の塗布位置から、ウェハWの周方向に沿って30°以上330°以下の範囲内の複数位置で行われる。これにより、より確実に固化膜から溶媒を除去することができる。
【0172】
図17は、実施形態2の変形例2にかかる基板処理装置が備える薬液ノズル20、ガスノズル30、及び冷却ノズル230x~230zの配置を示す平面図である。
【0173】
図17の例では、3つの冷却ノズル230x,230y,230zが配置されている。また、薬液ノズル20の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って、ガスノズル30は30°の位置に、冷却ノズル230xは90°の位置に、冷却ノズル230yは180°の位置に、冷却ノズル230zは270°の位置に、それぞれ配置されている。また、冷却ノズル230xは、ガスノズル30の配置位置から、ウェハWの周方向に沿って60°の位置に配置されている。
【0174】
変形例2の基板処理装置によれば、上述の実施形態2の基板処理装置2と同様の効果を奏する。
【0175】
変形例2の基板処理装置によれば、ウェハWの周方向に沿って複数の冷却ノズル230x,230y,230zが配置される。これにより、より確実にウェハWの外縁部を冷却することができる。
【0176】
変形例2の半導体装置の製造方法によれば、上述の実施形態2の半導体装置の製造方法と同様の効果を奏する。
【0177】
変形例2の半導体装置の製造方法によれば、冷却ガスの吐出によるウェハWの外縁部の冷却は、薬液の塗布位置から、ウェハWの周方向に沿って90°以上270°以下の範囲内の複数位置で行われる。これにより、効率的な固化膜の形成を図りつつ、より確実にウェハWの外縁部を冷却することができる。
【0178】
(変形例3)
次に、実施形態2の変形例3の基板処理装置について説明する。変形例3の基板処理装置では、ウェハの外縁部を冷却する方法が実施形態2の基板処理装置2とは異なる。
【0179】
変形例3の基板処理装置は、上述の実施形態2の冷却ノズル230、供給管251、バルブ252、ガスタンク253、ガス貯蔵部254、冷媒循環部255、及びチラー258に替えて、冷媒循環部、チラー、チラーホースを備える。
【0180】
変形例3のチラーは、上述の実施形態2のチラー258と同様、冷媒を所定温度に冷却する機能を有する。変形例3のチラーホースは、変形例3のチラーから変形例3の冷媒循環部へと冷媒を循環させる。
【0181】
冷却部としての変形例3の冷媒循環部は、回転テーブルに支持されたウェハの外縁部の上方および下方の少なくともいずれかに近接して配置されている。変形例3の冷媒循環部は、ガスノズルの配置位置よりウェハの回転方向の更に下流側に配置される。
【0182】
このように、変形例3のチラーにより所定温度に冷却された冷媒が、変形例3の冷媒循環部内を循環することによって、加熱された固化膜を有するウェハの外縁部が冷却される。
【0183】
変形例3の基板処理装置によれば、回転テーブルに支持されたウェハの外縁部の上方および下方の少なくともいずれかであって、加熱ガスを吐出するガスノズルの配置位置よりウェハの回転方向の更に下流側に配置され、ウェハの外縁部を冷却する冷媒循環部を備える。これにより、上述の実施形態2の基板処理装置2と同様の効果を奏する。
【0184】
変形例3の半導体装置の製造方法によれば、固化膜の形成と並行して、固化膜の形成位置よりウェハの回転方向の更に下流側の位置でウェハの外縁部を冷却する。これにより、上述の実施形態2の半導体装置の製造方法と同様の効果を奏する。
【0185】
[その他の実施形態]
上述の実施形態1,2及び変形例1~3では、レジスト材を含む薬液を用い、環状の膜FLとしてレジスト膜を形成することとした。しかし、環状の膜FLの材質は、例えばウェハWのエッチング処理時に用いられるマスクパターンの材質等に応じて種々に選択可能である。
【0186】
基板処理装置は、例えばSOC(Spin On Carbon)材を含む薬液を用い、環状の膜としてSOC膜を形成可能であってもよい。SOC膜は、レジスト膜等と同様の有機系膜であり、エッチング選択性等のエッチング特性がレジスト膜と近い。酸素プラズマ等によるアッシング除去も可能である。したがって、例えばレジストパターン等の有機系マスクパターンを用いてウェハWの中央部に微細パターンを形成する場合に、ウェハWの外縁部を保護する膜としてSOC膜を使用することができる。
【0187】
また、基板処理装置は、例えばSOG(Spin On Glass)材を含む薬液を用い、環状の膜としてSOG膜を形成可能であってもよい。SOG膜は、シリコン酸化膜等と同様の無機系膜であり、エッチング選択性等のエッチング特性がシリコン酸化膜等と近い。したがって、例えば酸化シリコンパターン等のハードマスクパターンを用いてウェハWの中央部に微細パターンを形成する場合に、ウェハWの外縁部を保護する膜としてSOG膜を使用することができる。
【0188】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0189】
1,1b,1c,2…基板処理装置、11…回転テーブル、20,20a…薬液ノズル、23,23a…吐出孔、30,30x,30y…ガスノズル、60,60b,60c,260…制御部、230,230x,230y,230z…冷却ノズル、W…ウェハ。