(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/40 20060101AFI20240813BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20240813BHJP
B29C 45/03 20060101ALI20240813BHJP
B29C 45/38 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B29C45/40
B29C45/76
B29C45/03
B29C45/38 G
(21)【出願番号】P 2021013868
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 智裕
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 正悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓介
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-044729(JP,A)
【文献】特開平07-205213(JP,A)
【文献】特開2008-114532(JP,A)
【文献】特開平05-077247(JP,A)
【文献】特開平04-201416(JP,A)
【文献】特開2020-082700(JP,A)
【文献】特開平05-162177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型と第2金型との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、前記第2金型から突き出す第1エジェクタ装置と、
前記第1金型と前記第2金型との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、前記第2金型から突き出す第2エジェクタ装置と、
前記第1エジェクタ装置を制御すると共に、前記第2エジェクタ装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1エジェクタ装置を制御する第1突出条件を設定する第1設定部と、
前記第2エジェクタ装置を制御する第2突出条件
として前記第1設定部により設定された前記第1突出条件と異なる条件を設定
可能な第2設定部と、
前記第1エジェクタ装置と前記第2エジェクタ装置とを同期させて突き出す第1モードが設定された場合に、
単一の成形品を、前記第1突出条件で前記第1エジェクタ装置を制御するとともに、前記第1突出条件と同じ条件で前記第2エジェクタ装置を制御する制御部と、を備える、
射出成形機。
【請求項2】
前記第1モードが設定された場合に、前記第2設定部は、前記第2突出条件の設定の受付を抑止する、
請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記制御装置は
前記第1モードが設定された場合に、前記第1突出条件の設定変更が可能な状態で表示し、前記第2突出条件の設定変更が抑止された状態で表示する表示処理部を、さらに備える、
請求項
2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記第1突出条件及び前記第2突出条件の各々は、突き出しする速度、突き出し位置、及び突き出し圧力のうち少なくとも一つ以上を含んでいる、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の射出成形機。
【請求項5】
第1金型と第2金型との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、前記第2金型から突き出す第1エジェクタ装置と、
前記第1金型と前記第2金型との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、前記第2金型から突き出す第2エジェクタ装置と、
前記第1エジェクタ装置を制御すると共に、前記第2エジェクタ装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1エジェクタ装置を制御する第1突出条件を設定する第1設定部と、
前記第2エジェクタ装置を制御する第2突出条件として前記第1設定部により設定された前記第1突出条件と異なる条件を設定可能な第2設定部と、
前記第1エジェクタ装置と前記第2エジェクタ装置とを同期させて突き出す第1モードが設定された場合に、前記第1設定部により設定された前記第1突出条件を、前記第2突出条件に複写する条件処理部をさらに備え、
前記第1モードが設定された場合に、
単一の成形品を、前記第1突出条件が複写された前記第2突出条件で前記第2エジェクタ装置の突き出しを制御する、
射出成形機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1突出条件に対する設定変更を受け付ける受付部を、さらに備え、
前記条件処理部は、
前記第1モードが設定された場合に、前記受付部が前記第1突出条件に対する設定変更を受け付けた場合に、設定変更された前記第1突出条件を、前記第2突出条件に複写する、
請求項
5に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、射出成形機において、金型装置から成形品を突き出すための技術が提案されている。例えば、特許文献1の射出成形機では、2つの金型装置のそれぞれに対応するように、2つのエジェクタ装置が、それぞれ独立して駆動制御可能に設けられている。そして、金型装置毎に対応するエジェクタ装置が、エジェクタロッドの突き出し制御を行うことで、成形品の取り出しを行っている。具体的な取り出し手法としては、型開きが完了すると、製品取り出し用のロボットがアームを移動させて、2つの成形品チャック部を、2つの金型装置の各々に被着されている2つの成形品に、対向配置させる。その後、2つのエジェクタ装置で同時に成形品の突き出し動作を行う。これにより、金型装置の各々から突き出された成形品が成形品チャック部にそれぞれチャックされる。このように2つの成形品を同時に取り出すことができるので、成形品の取り出し時間を短縮できる。
【0003】
また、一つのアームに複数の成形品チャック部を設けた場合には、2つの金型装置の各々に被着された2つの成形品の間の距離よりも、2つの成形品チャック部の間の距離の方が短い場合がある。このような場合には、一方の成形品をエジェクタ装置が突き出し動作を行って、一方の成形品チャック部がチャックした後、成形品チャック部を有するアームを移動させた後に、他方の成形品をエジェクタ装置が突き出し動作を行い、他方の成形品チャック部がチャックするように制御する。
【0004】
このような特許文献1の射出成形機においては、2つのエジェクタ装置を同時に動作させるモードと、2つのエジェクタ装置を時間差において動作させるモードとを選択可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、複数の金型装置の各々に被着されている複数の成形品の突き出し制御を行う技術であって、同一の成形品に対して、一つのエジェクタプレートを複数のエジェクタ装置で突き出し制御を行うことは考慮されていない。同一の成形品に対して複数のエジェクタ装置で同時に突き出し動作をしたとしても、複数のエジェクタ装置の各々に設定された条件が異なる場合、複数のエジェクタ装置の突き出し動作が一致しないことになる。複数のエジェクタ装置の突き出し動作が一致しない場合に、成形品または金型装置にかかる負荷が大きくなるという問題がある。例えば、長尺の成形品を取り出すために、一つのエジェクタプレートを複数のエジェクタ装置で突き出し動作を行う際に、複数のエジェクタ装置の突き出し動作に差が生じている場合には、成形品が破損する可能性や、金型装置を貫通しているエジェクタピンから金型装置にかかる負荷によって金型装置が破損する可能性も存在する。
【0007】
本発明の一態様は、同一の成形品に対して金型装置を介して複数のエジェクタ装置で突き出し動作を行う際に、当該成形品または金型装置にかかる負荷を軽減する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る射出成形機は、第1金型と第2金型との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、前記第2金型から突き出す第1エジェクタ装置と、前記第1金型と前記第2金型との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、前記第2金型から突き出す第2エジェクタ装置と、前記第1エジェクタ装置を制御すると共に、前記第2エジェクタ装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1エジェクタ装置を制御する第1突出条件を設定する第1設定部と、前記第2エジェクタ装置を制御する第2突出条件として前記第1設定部により設定された前記第1突出条件と異なる条件を設定可能な第2設定部と、前記第1エジェクタ装置と前記第2エジェクタ装置とを同期させて突き出す第1モードが設定された場合に、単一の成形品を、前記第1突出条件で前記第1エジェクタ装置を制御するとともに、前記第1突出条件と同じ条件で前記第2エジェクタ装置を制御する制御部と、を備える。
本発明の一態様に係る射出成形機は、第1金型と第2金型との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、前記第2金型から突き出す第1エジェクタ装置と、前記第1金型と前記第2金型との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、前記第2金型から突き出す第2エジェクタ装置と、前記第1エジェクタ装置を制御すると共に、前記第2エジェクタ装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1エジェクタ装置を制御する第1突出条件を設定する第1設定部と、前記第2エジェクタ装置を制御する第2突出条件として前記第1設定部により設定された前記第1突出条件と異なる条件を設定可能な第2設定部と、前記第1モードが設定された場合に、前記第1設定部により設定された前記第1突出条件を、前記第2突出条件に複写する条件処理部をさらに備え、前記第1モードが設定された場合に、単一の成形品を、前記第1突出条件が複写された前記第2突出条件で前記第2エジェクタ装置の突き出しを制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、同一の成形品に対して行われる、第1エジェクタ装置と第2エジェクタ装置との間の突き出し動作の差を抑止できるので、成形品及び金型装置にかかる負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る可動プラテン、回転テーブルおよび可動金型を前方から見た図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図であって、型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に続く型開時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に続く型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図であって、
図6に示す型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、型開時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1エジェクタロッドが第1エジェクタプレートに当接する前に第2エジェクタロッドが第2エジェクタプレートに当接する時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1エジェクタロッドが第1エジェクタプレートに当接すると同時に第2エジェクタロッドが第2エジェクタプレートに当接する時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第1エジェクタロッドおよび第2エジェクタロッドが突き出し位置にある時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係る制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。
【
図13】
図13は、一実施形態に係る制御装置の表示処理部が表示装置に表示する表示画面例を示した図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係る制御装置の表示処理部が、同時突き出しモードが選択処理された場合に、表示装置に表示する表示画面例を示した図である。
【
図15】
図15は、一実施形態に係る制御装置における、同時突き出しモードが選択された場合の設定処理を示したフローチャートである。
【
図16】
図16は、一実施形態に係る制御装置による金型装置の制御に関する各工程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0012】
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。
図1~
図2において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側が操作側であり、Y軸方向正側が反操作側である。
【0013】
図1~
図2に示すように、射出成形機10は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された第2成形品22を突き出す第1エジェクタ装置201と、金型装置800で成形された第2成形品22を突き出す第2エジェクタ装置202(
図7参照)と、金型装置800に成形材料を射出する第1射出装置301と、金型装置800に成形材料を射出する第2射出装置302(
図7参照)と、金型装置800に対し第1射出装置301を進退させる第1移動装置401と、金型装置800に対し第2射出装置302を進退させる第2移動装置(不図示)と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、第1射出装置301及び第2射出装置302を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
【0014】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0015】
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
【0016】
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、回転テーブル190(
図3等参照)、回転機構194(
図3等参照)、および移動機構102を有する。
【0017】
図3は、一実施形態に係る可動プラテン、回転テーブルおよび可動金型820を前方から見た図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図であって、型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図5は、
図4に続く型開時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図6は、
図5に続く型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図であって、
図6に示す型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図3~
図7におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、
図1~
図2におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向と同じ方向である。
【0018】
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。固定金型810は、可動金型820との対向面に、第1固定成形面811と、第2固定成形面812とを有する。
【0019】
第1固定成形面811は、第1成形品21が成形される第1キャビティ空間801の壁面の一部を形成する。一方、第2固定成形面812は、第2成形品22が成形される第2キャビティ空間802の壁面の一部を形成する。
【0020】
第1固定成形面811と、第2固定成形面812とは、異なる形状に形成され、それぞれ、例えば凹状に形成される。第1固定成形面811と、第2固定成形面812とは、同一の型板に形成されるが、異なる型板に形成されてもよい。
【0021】
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面には、回転テーブル190を介して可動金型820が取付けられる。
図7に破線で示すように、可動プラテン120は、ベアリング199を介して、回転テーブル190の回転軸191を回転自在に支持する。
【0022】
可動金型820は、固定金型810との対向面に、第1可動成形面821と、第2可動成形面822とを有する。第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、第1キャビティ空間801の壁面の一部と、第2キャビティ空間802の壁面の一部とを順番に形成する(
図4および
図6参照)。
【0023】
第1可動成形面821と、第2可動成形面822とは、同一の形状に形成され、それぞれ、例えば凸状に形成される。第1可動成形面821と、第2可動成形面822とは、同一の型板に形成されるが、異なる型板に形成されてもよい。
【0024】
なお、本実施形態では、第1固定成形面811と第2固定成形面812とが凹状に形成され、第1可動成形面821と第2可動成形面822とが凸状に形成されるが、本発明はこれに限定されない。つまり、第1固定成形面811と第2固定成形面812とが凸状に形成され、第1可動成形面821と第2可動成形面822とが凹状に形成されてもよい。
【0025】
回転機構194は、回転テーブル190を回転させる。回転機構194は、回転テーブル190の外周部から後方に延びる円筒状の回転筒195と、回転筒195の外周面の周方向全体に形成される受動歯車196と、受動歯車196と噛み合う駆動歯車197と、駆動歯車197を回転させる回転モータ198とを有する。回転モータ198の回転駆動力は、駆動歯車197、受動歯車196および回転筒195を介して、回転テーブル190に伝達される。
【0026】
なお、回転モータ198は、可動プラテン120の上方(Z軸方向正側)に配置されるが、可動プラテン120の下方(Z軸方向負側)に配置されてもよいし、可動プラテン120の側方(Y軸方向正側またはY軸方向負側)に配置されてもよい。また、回転モータ198の回転駆動力を回転テーブル190に伝達する手段として、タイミングベルトが用いられてもよい。
【0027】
回転機構194は、型開時に回転テーブル190を180°回転することで、第1可動成形面821を第1キャビティ空間801の壁面の一部を形成する位置(
図4参照)と第2キャビティ空間802の壁面の一部を形成する位置(
図6参照)との間で旋回する。同様に、回転機構194は、型開時に回転テーブル190を180°回転することで、第2可動成形面822を第1キャビティ空間801の壁面の一部を形成する位置(
図6参照)と第2キャビティ空間802の壁面の一部を形成する位置(
図4参照)との間で旋回する。
【0028】
図4に示す型締時に、第1可動成形面821と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第2可動成形面822と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。また、
図6に示す型締時に、第2可動成形面822と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第1可動成形面821と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。
【0029】
回転機構194は、回転テーブル190を180°回転する度に、回転テーブル190の回転方向を逆転してよい。例えば、回転機構194は、回転テーブル190を時計回りに180°回転した後、回転テーブル190を反時計回りに180°回転する。回転テーブル190に固定される配線および配管の配置が元の配置に戻るので、配線および配管の取り回しが容易である。
【0030】
移動機構102(
図1および
図2参照)は、固定プラテン110と可動プラテン120とを相対的に接離させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。型開時に、回転機構194が回転テーブル190を180°回転させる。移動機構102は、固定プラテン110と間隔をおいて配置されるトグルサポート130と、固定プラテン110とトグルサポート130を連結するタイバー140と、トグルサポート130に対して可動プラテン120を型開閉方向に移動させるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、固定プラテン110とトグルサポート130の間隔Lを調整する型厚調整機構180と、を有する。
【0031】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。なお、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
【0033】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0034】
なお、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0035】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、型開閉方向に移動するクロスヘッド151と、クロスヘッド151の移動によって屈伸する一対のリンク群と、を有する。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0036】
なお、トグル機構150の構成は、
図1および
図2に示す構成に限定されない。例えば
図1および
図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0037】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0038】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0039】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、型開工程、および型回転工程などを行う。型回転工程は、型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に行われる。型回転工程は、本実施形態では突き出し工程の完了後に行われるが、突き出し工程の完了前に行われてもよい。例えば、2次成形品が成形される位置と、2次成形品が突き出される位置とが異なる場合、型開工程の完了後に、型回転工程が行われ、その後、突出し工程が行われる。具体的には、例えば、2次成形品が成形される位置が操作側であって、2次成形品が突き出される位置が反操作側である場合、型開工程の完了後に、型回転工程が行われ、その後、突出し工程が行われる。
【0040】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0041】
なお、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0042】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
【0043】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間に、
図2に示すように第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが形成される。
【0044】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0045】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。
【0046】
型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に、突き出し工程が行われる。突き出し工程では、詳しくは後述するが、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが可動金型820から第2成形品22を突き出す。突き出し工程の完了後、次の型閉工程の開始前に、型回転工程が行われる。
【0047】
型回転工程では、回転テーブル190を回転し、可動金型820と共に第1成形品21を回転する。その後、型閉工程および昇圧工程が行われることで、第1成形品21が第2キャビティ空間802の一部に配置される。
【0048】
型閉工程および昇圧工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0049】
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0050】
なお、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0051】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0052】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0053】
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0054】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。なお、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0055】
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。なお、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0056】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。なお、複数の型厚調整機構が組み合わせて用いられてもよい。
【0057】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。なお、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0058】
型締装置100は、金型装置800の温度を調節する金型温調器を有してもよい。金型装置800は、その内部に、温調媒体の流路を有する。金型温調器は、金型装置800の流路に供給する温調媒体の温度を調節することで、金型装置800の温度を調節する。
【0059】
なお、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0060】
なお、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0061】
(第1エジェクタ装置および第2エジェクタ装置)
第1エジェクタ装置201および第2エジェクタ装置202(
図8等参照)の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0062】
第1エジェクタ装置201および第2エジェクタ装置202は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。第1エジェクタ装置201および第2エジェクタ装置202は、型開時に可動金型820から第2成形品22を突き出す。
【0063】
第1エジェクタ装置201は、固定金型810(第1金型の一例)と可動金型820(第2金型の一例)との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、可動金型820から突き出す。本実施形態に係る第1エジェクタ装置201は、可動金型820の固定部830に対し進退する第1エジェクタロッド211を有する。第1エジェクタロッド211は、可動金型820の第1可動部840を前方に押すことにより、可動金型820の固定部830から第2成形品22を離型させる。
【0064】
第1エジェクタロッド211は、可動金型820の第1可動部840と連結されてもよいが、本実施形態では可動金型820の回転を目的として、可動金型820の第1可動部840とは連結されていない。
【0065】
第1エジェクタロッド211は、可動金型820の固定部830に対し前進することにより可動金型820の第1可動部840に接近して当接し、第1可動部840を前方に押すことにより固定部830から第2成形品22を離型させる。
【0066】
同様に、第2エジェクタ装置202は、固定金型810と可動金型820との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、可動金型820から突き出す。本実施形態に係る第2エジェクタ装置202は、可動金型820の固定部830に対し進退する第2エジェクタロッド212を有する。第2エジェクタロッド212は、可動金型820の第2可動部850を前方に押すことにより、可動金型820の固定部830から第2成形品22を離型させる。
【0067】
第2エジェクタロッド212は、可動金型820の第2可動部850と連結されてもよいが、本実施形態では可動金型820の回転を目的として、可動金型820の第2可動部850とは連結されていない。
【0068】
第2エジェクタロッド212は、可動金型820の固定部830に対し前進することにより可動金型820の第2可動部850に接近して当接し、第2可動部850を前方に押すことにより固定部830から第2成形品22を離型させる。
【0069】
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。一方、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Y軸方向に直交するZ軸方向に間隔をおいて配置される(
図6参照)。
【0070】
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが並ぶ方向と、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが並ぶ方向とは、直交する。第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが並ぶ方向は、例えばY軸方向である。第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが並ぶ方向は、例えばZ軸方向である。
【0071】
なお、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが並ぶ方向と、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが並ぶ方向とは、逆でもよい。例えば、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが並ぶ方向は、Z軸方向でもよい。第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが並ぶ方向は、Y軸方向でもよい。
【0072】
第2キャビティ空間802は、例えば、第2成形品22を型締装置100の上方に取り出すべく、第1キャビティ空間801の上方に配置される。この場合、第1エジェクタロッド211および第2エジェクタロッド212は、回転テーブル190の回転中心線190Xよりも上方に配置される(
図3参照)。
【0073】
なお、第2キャビティ空間802は、例えば、第2成形品22を型締装置100の下方に落下させるべく、第1キャビティ空間801の下方に配置されてもよい。この場合、第1エジェクタロッド211および第2エジェクタロッド212は、回転テーブル190の回転中心線190Xよりも下方に配置される。
【0074】
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とは、Y軸方向に間隔をおいて配置され、Y軸方向に細長い第2成形品22を可動金型820から突き出す。第2成形品22を、第2成形品22の長手方向複数箇所で押すことができるので、第2成形品22の変形を防止でき、第2成形品22の損傷を防止できる。
【0075】
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とは、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、第1エジェクタロッド211と第2エジェクタロッド212とを設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動金型820から第2成形品22を突き出す。その後、突き出し工程では、第1エジェクタロッド211と第2エジェクタロッド212とを設定移動速度で突き出し位置から待機位置まで後退させる。
【0076】
(第1射出装置および第2射出装置)
第1射出装置301および第2射出装置302(
図7等参照)の説明では、型締装置100等の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0077】
第1射出装置301は第1スライドベース303に設置され、第1スライドベース303は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。第1射出装置301は、金型装置800に対し進退自在に配置される。第1射出装置301は、金型装置800(より詳細には固定金型810)にタッチし、金型装置800内の第1キャビティ空間801に成形材料を充填する。
【0078】
第2射出装置302は第2スライドベースに設置され、第2スライドベースは射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。第2射出装置302は、金型装置800に対し進退自在に配置される。第2射出装置302は、金型装置800(より詳細には固定金型810)にタッチし、金型装置800内の第2キャビティ空間802に成形材料を充填する。
【0079】
第1射出装置301と第2射出装置302とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。一方、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Y軸方向に直交するZ軸方向に間隔をおいて配置される。第1射出装置301が第1キャビティ空間801に充填する成形材料と、第2射出装置302が第2キャビティ空間802に充填する成形材料とは、異なる材料でもよいし、同じ材料でもよい。
【0080】
第1射出装置301と第2射出装置302とは、同様に構成される。そこで、以下、第1射出装置301の構成について説明し、第2射出装置302の構成について説明を省略する。第1射出装置301は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する荷重検出器360と、を有する(
図1および
図2参照)。
【0081】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0082】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0083】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0084】
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
【0085】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0086】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(
図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0087】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(
図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0088】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0089】
なお、第1射出装置301は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0090】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0091】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0092】
荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する。検出した力は、制御装置700で圧力に換算される。荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、荷重検出器360に作用する力を検出する。
【0093】
荷重検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。荷重検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0094】
なお、成形材料の圧力を検出する圧力検出器は、荷重検出器360に限定されず、一般的なものを使用できる。例えば、ノズル圧センサ、又は型内圧センサが用いられてもよい。ノズル圧センサは、ノズル320に設置される。型内圧センサは、金型装置800の内部に設置される。
【0095】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0096】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。荷重検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0097】
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
【0098】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内の第1キャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0099】
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0100】
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、荷重検出器360によって検出される。スクリュ330の圧力が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、スクリュ330の圧力が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、スクリュ330の圧力が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
【0101】
なお、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0102】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。荷重検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
【0103】
保圧工程では金型装置800内の第1キャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時には第1キャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、第1キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、第1キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0104】
なお、本実施形態の第1射出装置301は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置800内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
【0105】
また、本実施形態の第1射出装置301は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の第1射出装置301と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の第1射出装置301と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0106】
(第1移動装置および第2移動装置)
第1移動装置401および第2移動装置(不図示)の説明では、第1射出装置301および第2射出装置302の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0107】
第1移動装置401は、金型装置800に対し第1射出装置301を進退させる。また、第1移動装置401は、金型装置800に対し第1射出装置301のノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
【0108】
第2移動装置は、金型装置800に対し第2射出装置302を進退させる。また、第2移動装置は、金型装置800に対し第2射出装置302のノズルを押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
【0109】
第1移動装置401と第2移動装置とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。第1移動装置401と第2移動装置とは、第1射出装置301と第2射出装置302とを独立に進退させる。
【0110】
第1移動装置401と第2移動装置とは、同様に構成される。そこで、以下、第1移動装置401の構成について説明し、第2移動装置の構成について説明を省略する。第1移動装置401は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む(
図1および
図2参照)。
【0111】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。なお、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0112】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0113】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、第1射出装置301に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0114】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路413を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路413を介して前室435に供給されることで、第1射出装置301が前方に押される。第1射出装置301が前進され、第1射出装置301のノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0115】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路414を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路414を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、第1射出装置301が後方に押される。第1射出装置301が後退され、第1射出装置301のノズル320が固定金型810から離間される。
【0116】
なお、本実施形態では第1移動装置401は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を第1射出装置301の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0117】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、
図1~
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0118】
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0119】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
【0120】
なお、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないからである。
【0121】
なお、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程以外の工程を有してもよい。
【0122】
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
【0123】
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
【0124】
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネル770で構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネル770は、制御装置700による制御下で、画面を表示する。タッチパネル770の画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネル770の画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネル770は、ユーザによる画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、画面に表示される情報を確認しながら、画面に設けられた操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが画面に設けられた操作部を操作することにより、操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作は、例えば、型締装置100、第1エジェクタ装置201、第2エジェクタ装置202、第1射出装置301、第2射出装置302、第1移動装置401および第2移動装置等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機10の動作は、表示装置760としてのタッチパネル770に表示される画面の切り替え等であってもよい。
【0125】
なお、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネル770として一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
【0126】
(成形品の離型制御)
可動プラテン120は、
図5等に示すように、前面板121と、中間ブロック124と、後方ブロック126と、トグルリンク取付部128とを有する。前面板121と、中間ブロック124と、後方ブロック126と、トグルリンク取付部128とは、別々に形成され連結されてもよいし、鋳造などで一体に形成されてもよい。
【0127】
前面板121は、回転テーブル190を回転自在に支持する。前面板121には、第1エジェクタロッド211が進退自在に配置される第1貫通穴122が形成される。同様に、前面板121には、第2エジェクタロッド212が進退自在に配置される第2貫通穴123が形成される。
【0128】
中間ブロック124は、回転テーブル190の外周部から後方に延びる円筒状の回転筒195の径方向内側に配置される。中間ブロック124の内部には、第1エジェクタ装置201が配置される空間と、第2エジェクタ装置202が配置される空間とが形成される(
図7参照)。中間ブロック124の前端面に前面板121が取付けられる。前面板121および中間ブロック124には、
図7に破線で示すように、回転テーブル190の回転軸191がベアリング199を介して挿入される挿入穴125が形成される。
【0129】
後方ブロック126は、受動歯車196を回転自在に支持する。後方ブロック126は、X軸方向視で長方形状に形成される(
図3参照)。後方ブロック126の4つの隅部のそれぞれには、タイバー140が挿し通される挿通穴127が形成される。なお、挿通穴127の代わりに、切欠きが形成されてもよい。後方ブロック126の内部には、第1エジェクタ装置201が配置される空間と、第2エジェクタ装置202が配置される空間とが形成される(
図7参照)。
【0130】
トグルリンク取付部128は、後方ブロック126の後端面のY軸方向中央部に、Z軸方向に間隔をおいて一対設けられる。一対のトグルリンク取付部128は、それぞれ、Y軸方向に対し垂直なトグルリンク取付板をY方向に間隔をおいて複数有する。複数のトグルリンク取付板は、それぞれ、後方ブロック126の後端面から後方に突出し、その先端部にピン穴129を有する。ピン穴129にはピンが挿し通され、ピンを介して第1リンク152(
図1および
図2参照)がトグルリンク取付部128に揺動自在に取り付けられる。
【0131】
図4に示すように型締時に、第1可動成形面821と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第2可動成形面822と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。第1キャビティ空間801には第1射出装置301から成形材料が供給され、第1成形品21が成形される。
【0132】
第1成形品21は、
図4に示すように型締時に第1キャビティ空間801で成形され、
図5に示すように型開時に可動金型820から突き出されることなく可動金型820と共に180°回転される。その後、
図6に示すように型締時に、第1成形品21は、第2キャビティ空間802の一部に配置され、第2成形品22の一部になる。
【0133】
図6に示すように型締時に、第2可動成形面822と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第1可動成形面821と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。第2キャビティ空間802には第2射出装置302から成形材料が供給され、第2成形品22が成形される。第2成形品22の成形と並行して、第1キャビティ空間801には第1射出装置301から成形材料が供給され、第1成形品21が成形される。その後、
図8に示す型開が行われる。
【0134】
図8は、型開時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図9は、第1エジェクタロッドが第1エジェクタプレートに当接する前に第2エジェクタロッドが第2エジェクタプレートに当接する時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図10は、第1エジェクタロッドが第1エジェクタプレートに当接すると同時に第2エジェクタロッドが第2エジェクタプレートに当接する時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図11は、第1エジェクタロッドおよび第2エジェクタロッドが突き出し位置にある時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図8~
図11におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、
図1~
図2におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向と同じ方向である。
【0135】
可動金型820は、
図8に示すように、可動プラテン120に対し進退不能な固定部830と、可動プラテン120に対し進退可能な第1可動部840と、可動プラテン120に対し進退可能な第2可動部850とを有する。
【0136】
可動金型820の固定部830は、回転テーブル190に取り付けられる可動取付板831と、可動取付板831の前方に空間834を形成するスペーサブロック835と、スペーサブロック835を介して可動取付板831に固定される可動型板836とを含む。
【0137】
可動取付板831には、第1エジェクタロッド211が挿抜される第1貫通穴832が形成される。第1貫通穴832は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに複数形成される(
図3参照)。複数の第1貫通穴832は、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される。
【0138】
同様に、可動取付板831には、第2エジェクタロッド212が挿抜される第2貫通穴833が形成される。第2貫通穴833は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに複数形成される(
図3参照)。複数の第2貫通穴833は、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される。
【0139】
スペーサブロック835は、可動取付板831と可動型板836との間に空間834を形成する。この空間834には、後述の第1エジェクタプレート841と、後述の第2エジェクタプレート851とが進退自在に配置される。
【0140】
可動型板836は、固定金型810との対向面に、第1可動成形面821と、第2可動成形面822とを有する。第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、第1キャビティ空間801の壁面の一部と、第2キャビティ空間802の壁面の一部とを順番に形成する(
図4および
図6参照)。
【0141】
可動金型820の第1可動部840は、
図9に示すように、X軸方向に対し垂直に配置される第1エジェクタプレート841と、第1エジェクタプレート841から前方に延びる棒状の第1エジェクタピン842とを含む。
【0142】
第1エジェクタプレート841は、第1ガイドピン843に沿って進退する。第1ガイドピン843の前端部は、可動型板836に取り付けられる。一方、第1ガイドピン843の後端部には、第1エジェクタプレート841の後退を止める第1ストッパ844が取り付けられる。
【0143】
第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845によって、可動型板836から第1ストッパ844に向けて付勢される。なお、可動取付板831が第1ストッパ844の役割を兼ねてもよい。この場合、第1ガイドピン843の後端部は、可動取付板831に取り付けられる。
【0144】
第1エジェクタピン842は、可動型板836を貫通する第1貫通穴837に進退自在に配置される。第1貫通穴837は、第1可動成形面821および第2可動成形面822のそれぞれに形成される(
図3参照)。
【0145】
第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845の付勢力によって第1ストッパ844に押し付けられる。このとき、第1エジェクタピン842の前端面は、第1可動成形面821または第2可動成形面822と面一である。
【0146】
第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845の付勢力に抗して前進される。そうすると、第1エジェクタピン842の前端面は、第1可動成形面821または第2可動成形面822から前方に突出する。
【0147】
第1可動成形面821からの第2成形品22の離型と、第2可動成形面822からの第2成形品22の離型とを別々に実施すべく、第1可動部840は複数配置される。複数の第1可動部840は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される。
【0148】
可動金型820の第2可動部850は、
図9に示すように、X軸方向に対し垂直に配置される第2エジェクタプレート851と、第2エジェクタプレート851から前方に延びる棒状の第2エジェクタピン852とを含む。
【0149】
第2エジェクタプレート851は、第2ガイドピン853に沿って進退する。第2ガイドピン853の前端部は、可動型板836に取り付けられる。一方、第2ガイドピン853の後端部には、第2エジェクタプレート851の後退を止める第2ストッパ854が取り付けられる。
【0150】
第2エジェクタプレート851は、第2リターンバネ855によって、可動型板836から第2ストッパ854に向けて付勢される。なお、可動取付板831が第2ストッパ854の役割を兼ねてもよい。この場合、第2ガイドピン853の後端部は、可動取付板831に取り付けられる。
【0151】
第2エジェクタピン852は、可動型板836を貫通する第2貫通穴838に進退自在に配置される。第2貫通穴838は、第1可動成形面821および第2可動成形面822のそれぞれに形成される(
図3参照)。
【0152】
第2エジェクタプレート851は、第2リターンバネ855の付勢力によって第2ストッパ854に押し付けられる。このとき、第2エジェクタピン852の前端面は、第1可動成形面821または第2可動成形面822と面一である。
【0153】
第2エジェクタプレート851は、第2リターンバネ855の付勢力に抗して前進される。そうすると、第2エジェクタピン852の前端面は、第1可動成形面821または第2可動成形面822から前方に突出する。
【0154】
第1可動成形面821からの第2成形品22の離型と、第2可動成形面822からの第2成形品22の離型とを別々に実施すべく、第2可動部850は複数配置される。複数の第2可動部850は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される。
【0155】
なお、第1可動部840の第1エジェクタプレート841と、第2可動部850の第2エジェクタプレート851とが、本実施形態では別々に設けられるが、一体に形成されてもよい。第1可動成形面821からの第2成形品22の離型と、第2可動成形面822からの第2成形品22の離型とを別々に実施できればよい。
【0156】
第1エジェクタ装置201は、
図10に示すように、可動プラテン120に対し第1エジェクタロッド211を進退させる第1駆動機構220を有する。第1駆動機構220は、例えば、第1エジェクタモータ221と、第1エジェクタモータ221の回転運動を第1クロスヘッド223の直線運動に変換する第1運動変換機構225とを有する。
【0157】
第1運動変換機構225は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。第1クロスヘッド223には第1エジェクタロッド211の後端部が取り付けられ、第1エジェクタロッド211は第1クロスヘッド223と共に進退する。
【0158】
第1駆動機構220は、第1クロスヘッド223を案内するガイドバー224を有する。ガイドバー224の前端部は、可動プラテン120の前面板121に取り付けられる。可動プラテン120の前面板121の第1貫通穴122には、第1エジェクタロッド211が進退自在に配置される。
【0159】
第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211を待機位置(
図8参照)から前進させ、第1エジェクタロッド211を回転テーブル190の第1貫通穴192に挿し込む。なお、第1貫通穴192は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに複数形成される。複数の第1貫通穴192は、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される(
図3参照)。
【0160】
続いて、第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211をさらに前進させ、第1エジェクタロッド211を可動金型820の可動取付板831の第1貫通穴832に挿し込み、可動金型820の第1エジェクタプレート841に当接させる(
図10参照)。
【0161】
続いて、第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211をさらに突き出し位置(
図11参照)まで前進させ、第1エジェクタプレート841および第1エジェクタピン842を前進させる。第1エジェクタピン842の前端面が可動金型820の第1可動成形面821または第2可動成形面822から前方に突出し、第1可動成形面821または第2可動成形面822から第2成形品22が離型される。
【0162】
その後、第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211を突き出し位置(
図11参照)から後退させ、第1エジェクタロッド211を可動金型820の可動取付板831の第1貫通穴832から引き抜く。これに伴い、第1リターンバネ845が、第1エジェクタプレート841を、第1ストッパ844まで後退させる。
【0163】
続いて、第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211を待機位置(
図8参照)まで後退させ、第1エジェクタロッド211を回転テーブル190の第1貫通穴192から引き抜く。この状態で、回転テーブル190が180°回転される。
【0164】
制御装置700は、第1エジェクタロッド211を待機位置から突き出し位置まで前進させるときに、第1エジェクタロッド211の位置を制御する。制御装置700は、第1エジェクタロッド211の位置の設定値X1sと第1エジェクタロッド211の位置の検出値X1dとの偏差ΔX1(ΔX1=X1s-X1d)に基づき、第1エジェクタモータ221に電流を供給する。
【0165】
第1エジェクタロッド211の位置は、例えば第1エジェクタモータエンコーダ222を用いて検出する。第1エジェクタモータエンコーダ222は、第1エジェクタモータ221の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、第1エジェクタロッド211の位置を検出する第1エジェクタロッド位置検出器は、第1エジェクタモータエンコーダ222に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0166】
第2エジェクタ装置202は、
図10に示すように、可動プラテン120に対し第2エジェクタロッド212を進退させる第2駆動機構230を有する。第2駆動機構230は、例えば、第2エジェクタモータ231と、第2エジェクタモータ231の回転運動を第2クロスヘッド233の直線運動に変換する第2運動変換機構235とを有する。
【0167】
第2運動変換機構235は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。第2クロスヘッド233には第2エジェクタロッド212の後端部が取り付けられ、第2エジェクタロッド212は第2クロスヘッド233と共に進退する。
【0168】
第2駆動機構230は、第2クロスヘッド233を案内するガイドバー234を有する。ガイドバー234の前端部は、可動プラテン120の前面板121に取り付けられる。可動プラテン120の前面板121の第2貫通穴123には、第2エジェクタロッド212が進退自在に配置される。
【0169】
第2駆動機構230と第1駆動機構220とは独立して設けられ、第2クロスヘッド233と第1クロスヘッド223とは独立して進退する。第2クロスヘッド233と第1クロスヘッド223とが一体に形成される場合、つまり、1つのエジェクタ装置が用いられる場合に比べて、クロスヘッドの小型化が可能であり、クロスヘッドの駆動力の低減が可能である。また、エジェクタモータとして汎用の物を使用できる。
【0170】
第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212を待機位置(
図8参照)から前進させ、第2エジェクタロッド212を回転テーブル190の第2貫通穴193に挿し込む。なお、第2貫通穴193は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに複数形成される。複数の第2貫通穴193は、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される(
図3参照)。
【0171】
続いて、第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212をさらに前進させ、第2エジェクタロッド212を可動金型820の可動取付板831の第2貫通穴833に挿し込み、可動金型820の第2エジェクタプレート851に当接させる(
図9および
図10参照)。
【0172】
続いて、第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212をさらに突き出し位置(
図11参照)まで前進させ、第2エジェクタプレート851および第2エジェクタピン852を前進させる。第2エジェクタピン852の前端面が可動金型820の第1可動成形面821または第2可動成形面822から前方に突出し、第1可動成形面821または第2可動成形面822から第2成形品22が離型される。離型された第2成形品22は、射出成形機10の外部に取り出される。
【0173】
その後、第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212を突き出し位置(
図11参照)から後退させ、第2エジェクタロッド212を可動金型820の可動取付板831の第2貫通穴833から引き抜く。これに伴い、第2リターンバネ855が、第2エジェクタプレート851を、第2ストッパ854まで後退させる。
【0174】
続いて、第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212を待機位置(
図8参照)まで後退させ、第2エジェクタロッド212を回転テーブル190の第2貫通穴193から引き抜く。この状態で、回転テーブル190が180°回転される。
【0175】
制御装置700は、第2エジェクタロッド212を待機位置から突き出し位置まで前進させるときに、第2エジェクタロッド212の位置を制御する。制御装置700は、第2エジェクタロッド212の位置の設定値X2sと第2エジェクタロッド212の位置の検出値X2dとの偏差ΔX2(ΔX2=X2s-X2d)に基づき、第2エジェクタモータ231に電流を供給する。
【0176】
第2エジェクタロッド212の位置は、例えば第2エジェクタモータエンコーダ232を用いて検出する。第2エジェクタモータエンコーダ232は、第2エジェクタモータ231の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、第2エジェクタロッド212の位置を検出する第2エジェクタロッド位置検出器は、第2エジェクタモータエンコーダ232に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0177】
図12は、一実施形態に係る制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。
図12に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
図12に示すように、制御装置700は、入力受付部711と、表示処理部712と、第1設定部713と、第2設定部714と、選択部715と、条件処理部716と、制御部717と、を備え、第1エジェクタ装置201を制御すると共に、第2エジェクタ装置202を制御する。入力受付部711は、入力インターフェース703を介して、操作装置750からのユーザによる入力操作を受け付ける。表示処理部712は、操作装置750における入力操作に応じた表示画面を、表示装置760に表示制御を行う。第1設定部713は、第1エジェクタ装置201を制御する第1突出条件情報721(第1突出条件の一例)を設定する。第2設定部714は、第2エジェクタ装置202を制御する第2突出条件情報722(第2突出条件の一例)を設定する。選択部715は、第1エジェクタ装置201と、第2エジェクタ装置202、とを同期させて突き出す同時突き出しモード(第1モードの一例)を選択処理する。条件処理部716は、同時突き出しモードを選択処理した場合(所定の条件を満たした場合の一例)に、第1設定部713により設定された第1突出条件情報721を、第2突出条件情報722に複写する。制御部717は、第1エジェクタ装置201及び第2エジェクタ装置202を制御し、同時突き出しモードを選択処理した場合に、同一の成形品を、第1突出条件情報721で第1エジェクタ装置201を制御するとともに、第1突出条件情報721が複写された第2突出条件情報722(第1突出条件と同じ条件の一例)で第2エジェクタ装置202を制御する。なお、各構成の具体的な説明について後述する。
【0178】
また、制御装置700の記憶媒体702には、第1突出条件情報721と、第2突出条件情報722と、を備えている。
【0179】
第1突出条件情報721は、固定金型810(第1金型の一例)と、可動金型820(第2金型の一例)との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、可動金型820から第1エジェクタロッド211を突き出す第1エジェクタ装置201を制御するための設定が示された情報とする。
【0180】
第2突出条件情報722は、固定金型810(第1金型の一例)と、可動金型820(第2金型の一例)との間に形成されるキャビティ空間で成形される成形品を、可動金型820から第2エジェクタロッド212を突き出す第2エジェクタ装置202を制御するための設定が示された情報とする。
【0181】
第1突出条件情報721、及び第2突出条件情報722に含まれる個々の物理量は、成形品に応じて適宜設定する必要がある。例えば、長尺部品を成形する場合には、第1エジェクタ装置201及び第2エジェクタ装置202を同時に突き出し制御する必要がある。第1突出条件情報721、及び第2突出条件情報722には、突き出しするタイミング、突き出しする速度、突き出される位置、突き出す際の圧力など様々な物理量が含まれている。そして、同時突き出しを行うためには、これら複数の物理量について、第1突出条件情報721と第2突出条件情報722との間で一致させる必要がある。そこで、ユーザが、表示装置760に表示された表示画面を参照しながら、同時突き出し制御を行うために、操作装置750を操作して適切な物理量を設定することが必要である。以下、設定変更する物理量のことを、パラメータとも呼ぶ。
【0182】
図13は、一実施形態に係る制御装置700の表示処理部712が表示装置760に表示する表示画面例を示した図である。
図13に示される表示画面は、入力受付部711が下部に表されている複数のボタンのうち、エジェクタ詳細ボタン1301の押下を受け付けた場合に表示される。
【0183】
表示画面のうち、第1表示領域1302Aには、第1突出条件情報721に含まれるパラメータが表され、第2表示領域1302Bには、第2突出条件情報722に含まれるパラメータが表されている。
【0184】
図13の第1表示領域1302Aには、第1エジェクタ装置201を制御するための、モード欄1311Aと、突出欄1312Aと、戻り欄1313Aと、突出回数欄1314Aと、突出開始工程欄1321Aと、突出開始位置欄1322Aと、突出開始の遅延時間欄1323Aと、時間制御欄1324Aと、突出保持欄1325Aと、戻保持欄1326Aと、再突出保持欄1327Aとを含んでいる。
【0185】
モード欄1311Aは、第1エジェクタ装置201の動作モードが選択される。動作モードは、"入"、"切"、"同時突き出し"のうちいずれか一つを選択可能とする。"入"は、第1エジェクタ装置201を動作させることを示し、"切"は、第1エジェクタ装置201を動作させないことを示し、"同時突き出し"は、第1エジェクタ装置201及び第2エジェクタ装置202の同時突き出し制御を行うことを示している。なお、同時突き出し制御については後述する。
【0186】
突出回数欄1314Aは、第1エジェクタ装置201が突き出し制御を行う回数が設定される。
【0187】
突出開始工程欄1321A、突出開始位置欄1322A、及び遅延時間欄1323Aは、第1エジェクタ装置201が突き出し制御を開始するタイミングに関する情報が設定される。突出開始工程欄1321Aは、第1エジェクタ装置201が突き出し制御を開始する工程が設定される。例えば、"型開"が設定されている場合、型開工程をトリガーとして突き出し制御を開始することを示している。突出開始位置欄1322Aは、第1エジェクタ装置201が突き出し制御を開始するトリガーとなる位置が設定される。例えば、突出開始工程欄1321Aに"型開"が設定されている場合、突出開始位置欄1322Aに設定された位置まで、型開工程でクロスヘッド151が移動した場合に、第1エジェクタ装置201が突き出し制御を開始することを示している。遅延時間欄1323Aは、上記の突出開始工程欄1321A、及び突出開始位置欄1322Aで設定された条件を満たした後、実際に突き出し制御を行うまで待機する時間が設定される。
【0188】
時間制御欄1324A、突出保持欄1325A、戻保持欄1326A、再突出保持欄1327Aは、第1エジェクタ装置201の突き出す際に時間制御を行うための情報が設定される。時間制御欄1324Aは、"入"、または"切"が選択可能とする。"入"の場合は、突出保持欄1325A、戻保持欄1326A、再突出保持欄1327Aに設定された時間制御を行うことを示し、"切"の場合は、突出保持欄1325A、戻保持欄1326A、再突出保持欄1327Aに設定された時間制御を行わないことを示している。
【0189】
突出保持欄1325Aには、第1エジェクタ装置201の初回の突き出し制御の後に、突き出し状態を保持する時間が設定される。戻保持欄1326Aには、第1エジェクタ装置201の戻り制御の後に、当該戻り状態を保持する時間が設定される。再突出保持欄1327Aには、2回目以降の突き出し制御の後に、突き出し状態を保持する時間が設定される。
【0190】
突出欄1312Aには、初回の第1位置欄1341Aと、初回の第1速度欄1342Aと、初回の第2位置欄1343Aと、初回の第2速度欄1344Aと、圧力欄1345Aと、2回目以降の位置欄1346Aと、2回目以降の速度欄1347Aと、を含んでいる。初回の第1位置欄1341A、初回の第2位置欄1343Aと、2回目以降の位置欄1346Aと、には、第1エジェクタ装置201で突き出し制御される第1エジェクタロッド211の位置が設定される。初回の第1速度欄1342Aと、初回の第2速度欄1344Aと、2回目以降の速度欄1347Aと、には、第1エジェクタ装置201で突き出し制御される第1エジェクタロッド211の速度が設定される。圧力欄1345Aは、第1エジェクタ装置201で突き出し制御される際の上限圧力が設定される。本実施形態では、圧力を、第1エジェクタ装置201の定格圧力に対する比率(パーセント)で示しているが、具体的な数値であってもよい。
【0191】
位置欄と速度欄とは対応付けられている。例えば、第1エジェクタ装置201の初回の突き出し制御の際には、第1位置欄1341Aで設定された位置まで、第1速度欄1342Aで設定された速度で突き出し制御をした後、第2位置欄1343Aで設定された位置まで、第2速度欄1344Aで設定された速度で、突き出し制御を行うことを示している。2回目以降については、位置欄1346Aで設定された位置まで、速度欄1347Aで設定された速度で突き出し制御を行うことを示している。但し、第1エジェクタ装置201の初回又は2回目以降の突き出し制御の際に、第1エジェクタロッド211の圧力が圧力欄1345Aで設定された上限圧力を超える場合には、上限圧力を超えないように、速度欄1347Aで設定された速度よりも遅い速度で突き出し制御を行う。
【0192】
戻り欄1313Aには、第1エジェクタロッド211の戻りの位置欄1331Aと、速度欄1332Aと、圧力欄1333Aと、を含んでいる。位置欄1331Aには、第1エジェクタ装置201で戻し制御される第1エジェクタロッド211の位置が設定される。速度欄1332Aには、第1エジェクタ装置201で戻し制御される第1エジェクタロッド211の速度が設定される。圧力欄1333Aは、第1エジェクタ装置201で戻し制御される際の上限圧力が設定される。例えば、第1エジェクタ装置201の戻し制御の際には、位置欄1331Aで設定された位置まで、速度欄1332Aで設定された速度で戻し制御を行うことを示している。但し、第1エジェクタ装置201の戻し制御の際に、第1エジェクタロッド211の圧力が圧力欄1333Aで設定された上限圧力を超える場合には、上限圧力を超えないように、速度欄1332Aで設定された速度よりも遅い速度で戻し制御を行う。
【0193】
図12の第1設定部713は、入力受付部711により第1表示領域1302Aの各欄に示されたパラメータの設定変更を受け付けた場合に、第1エジェクタ装置201を制御する第1突出条件を設定する。具体的には、例えば、第1設定部713は、第1表示領域1302Aの各欄の設定変更されたパラメータで、第1突出条件情報721を更新することで、第1突出条件を設定する。
【0194】
図13の第2表示領域1302Bには、第2エジェクタ装置202を制御するための、モード欄1311Bと、突出欄1312Bと、戻り欄1313Bと、突出回数欄131BAと、突出開始工程欄1321Bと、突出開始位置欄1322Bと、突出開始の遅延時間欄1323Bと、時間制御欄1324Bと、突出保持欄1325Bと、戻保持欄1326Bと、再突出保持欄1327Bとを含んでいる。
【0195】
モード欄1311B、突出回数欄1314B、突出開始工程欄1321B、突出開始位置欄1322B、及び遅延時間欄1323B、時間制御欄1324B、突出保持欄1325B、戻保持欄1326B、再突出保持欄1327Bは、第2エジェクタ装置202の制御を行うための欄である以外、第1エジェクタ装置201の制御を行うための欄である、モード欄1311A、突出回数欄1314A、突出開始工程欄1321A、突出開始位置欄1322A、及び遅延時間欄1323A、時間制御欄1324A、突出保持欄1325A、戻保持欄1326A、再突出保持欄1327Aと同様として説明を省略する。
【0196】
なお、モード欄1311Bは、モード欄1311Aと同様に、"入"、"切"、"同時突き出し"のうちいずれか一つを選択可能とする。いずれか一方が"入"で他方が"切"の場合には、一方のエジェクタ装置のみで突き出し動作を行うことになる。また、モード欄1311A、及びモード欄1311Bが、両方とも"入"であるにもかかわらず、同時突き出しを行わない場合もある。例えば、一方のエジェクタ装置で突き出し制御を行い、他方のエジェクタ装置でゲートカット制御を行う場合が考えられる。このように、射出成形機10においては、装着される金型装置800に応じた設定が必要となる。
【0197】
突出欄1312Bには、初回の第1位置欄1341Bと、初回の第1速度欄1342Bと、初回の第2位置欄1343Bと、初回の第2速度欄1344Bと、圧力欄1345Bと、2回目以降の位置欄1346Bと、2回目以降の速度欄1347Bと、を含んでいる。初回の第1位置欄1341B、初回の第1速度欄1342B、初回の第2位置欄1343B、初回の第2速度欄1344B、圧力欄1345B、2回目以降の位置欄1346B、及び2回目以降の速度欄1347Bは、第2エジェクタ装置202の制御を行うための欄である以外、第1エジェクタ装置201の制御を行うための欄である、初回の第1位置欄1341A、初回の第1速度欄1342A、初回の第2位置欄1343A、初回の第2速度欄1344A、圧力欄1345A、2回目以降の位置欄1346A、及び2回目以降の速度欄1347Aと同様として説明を省略する。
【0198】
戻り欄1313Bには、第2エジェクタロッド212の戻りの位置欄1331Bと、速度欄1332Bと、圧力欄1333Bと、を含んでいる。位置欄1331B、速度欄1332B、及び圧力欄1333Bは、第2エジェクタ装置202の制御を行うための欄である以外、第1エジェクタ装置201の制御を行うための欄である、位置欄1331Aと、速度欄1332Aと、圧力欄1333Aと同様として説明を省略する。
【0199】
図12の第2設定部714は、入力受付部711により第2表示領域1302Bの各欄に示されたパラメータの設定変更を受け付けた場合に、第2エジェクタ装置202を制御する第2突出条件を設定する。具体的には、例えば、第2設定部714は、第2表示領域1302Bの各欄の設定変更されたパラメータで、第2突出条件情報722を更新することで、第2突出条件を設定する。
【0200】
次に、モード欄1311Aにおいて、動作モードとして"同時突き出し"が選択された場合について説明する。動作モードとして"同時突き出し"が選択された場合、第1設定部713は、第1表示領域1302Aのモード欄1311Aに設定変更された"同時突き出し"で、第1突出条件情報721を更新する。
【0201】
選択部715は、第1表示領域1302Aのモード欄1311Aで"同時突き出し"に設定変更された場合に、第1エジェクタ装置201と、第2エジェクタ装置202、とを同期させて突き出す同時突き出しモード(第1モードの一例)を選択処理する。
【0202】
なお、本実施形態は、第1表示領域1302Aのモード欄1311Aで設定変更された場合に、同時突き出しモードを選択処理する場合について説明するが、同時突き出しモードの選択処理を行う条件を、ユーザが"同時突き出し"を選択した場合に限定するものではない。例えば、選択部715は、射出成形機10に金型装置800が装着されたことをトリガーとして、動作モードの選択処理を行ってもよい。例えば、金型装置800に付与されている2次元コードには、動作モードを示す情報が含まれているものとする。そして、金型装置800が装着された際、射出成形機10に設けられた撮像部が、当該金型装置800に付与されている2次元コードを読み取り、選択部715が2次元コードに含まれている情報に基づいて、動作モードを選択処理してもよい。
【0203】
条件処理部716は、同時突き出しモードが選択処理された場合に、第1設定部により設定された第1突出条件が示された第1突出条件情報721を、第2突出条件情報722にコピー(複写)する。
【0204】
本実施形態の条件処理部716は、第1突出条件情報721に含まれるすべてのパラメータを、第2突出条件情報722にコピー(複写)する。具体的には、条件処理部716は、モード欄1311Aで示された動作モード、突出欄1312Aで示された突き出し制御のためのパラメータと、戻り欄1313Aで示された戻し制御のためのパラメータと、突出回数欄1314Aで示されたと突出回数と、突出開始工程欄1321A、突出開始位置欄1322A、及び突出開始の遅延時間欄1323Aで示された突き出し制御を開始するタイミングに関するパラメータと、時間制御欄1324A、突出保持欄1325A、戻保持欄1326A、及び再突出保持欄1327Aで示された突き出す際に時間制御を行うためのパラメータと、を第2突出条件情報722にコピーする。
【0205】
さらに、第2突出条件情報722にコピーするパラメータには、突出欄1312Aで示された突き出し制御に用いる位置、速度、及び圧力と、戻り欄1313Aで示された戻し制御に用いる位置、速度、及び圧力と、が含まれている。
【0206】
つまり、射出成形機10で成形品の突き出し制御を適切に行うためには、突き出し対象となる成形品に応じて、
図13に示された各種のパラメータを詳細に設定する必要がある。例えば、長尺の成形品のため、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202の同時突き出しを行うためには、第1エジェクタ装置201の設定(第1表示領域1302Aのパラメータ)と、第2エジェクタ装置202の設定(第2表示領域1302Bのパラメータ)と、を一致させる必要がある。しかしながら、上述したようにパラメータの数が多いため、同時突き出しを行うための設定間違いや、設定忘れが生じる可能性がある。
【0207】
そこで、本実施形態においては、同時突き出しモードが選択処理された場合に、条件処理部716が、第1突出条件情報721を、第2突出条件情報722にコピーすることとした。これにより、第1突出条件情報721と第2突出条件情報722との間における、設定間違いや、設定忘れを抑止できる。
【0208】
なお、本実施形態は、第1突出条件情報721から第2突出条件情報722にコピーするパラメータの一例を示したものであって、コピーするパラメータを上記に制限するものではない。コピーするパラメータとしては、上記以外のパラメータを含んでもよい。さらに、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202の同時突き出しが可能であれば、上記のパラメータのうちいずれか一つ以上のみをコピーしてもよい。
【0209】
図14は、一実施形態に係る制御装置700の表示処理部712が、同時突き出しモードが選択処理された場合に、表示装置760に表示する表示画面例を示した図である。
【0210】
表示処理部712は、同時突き出しモードが選択処理された場合に、第1突出条件を表した第1表示領域1302Aを設定可能な状態で表示し、第2突出条件を表した第2表示領域1402Bを設定変更が抑止された状態で表示する。本実施形態においては、第2表示領域1402Bが、設定変更が抑止された状態であることを視認できるように、第2表示領域1402Bの表示態様を変更して表示する。第2表示領域1402Bの表示態様の変更手法としては、どのような手法を用いてもよく、第2表示領域1402Bの背景色を変更してもよいし、第2表示領域1402Bに設定されている各種パラメータの文字色を変更してもよい。文字色の変更としては、例えば、白から黄色に変更することが考えられる。
【0211】
第2表示領域1402Bに示された、モード欄1411Bと、突出回数欄1414Bと、突出開始工程欄1421Bと、突出開始位置欄1422Bと、突出開始の遅延時間欄1423Bと、時間制御欄1424Bと、突出保持欄1425Bと、戻保持欄1326Bと、再突出保持欄1427Bと、には、第1表示領域1302Aに表されていた各種パラメータが反映されている。
【0212】
また、突出欄1412Bに示された、初回の第1位置欄1441Bと、第1速度欄1442Bと、第2位置欄1443Bと、第2速度欄1444Bと、圧力欄1445Bと、2回目以降の位置欄1446Bと、速度欄1447Bと、には、第1表示領域1302Aの突出欄1312Aに表されていた各種パラメータが反映されている。
【0213】
戻り欄1413Bに示された、第1エジェクタロッド211の戻りの位置欄1431Bと、速度欄1432Bと、圧力欄1433Bと、には、第1表示領域1302Aの戻り欄1313Aに表されていた各種パラメータが反映されている。
【0214】
入力受付部711は、同時突き出しモードが選択処理された場合に、第1表示領域1302Aに表された、各種欄に示されたパラメータの設定変更を受け付け、第2表示領域1402Bに表された、各種欄に示されたパラメータの設定変更の受付を抑止する。
【0215】
なお、本実施形態では、第1表示領域1302Aの各欄に表されたパラメータの設定変更を受け付け、第2表示領域1402Bの各欄に表されたパラメータの設定変更の受け付けを抑止する例とするが、このような例に制限するものではない。例えば、第2表示領域1402Bの各欄に表されたパラメータの設定変更を受け付け、第1表示領域1302Aの各欄に表されたパラメータの設定変更の受け付けを抑止してもよい。
【0216】
さらには、同時突き出しモードが選択処理された場合に、設定変更の受け付けが抑止された表示領域(第1表示領域1302Aまたは第2表示領域1402B)の表示態様を変更することに制限するものではない。例えば、表示処理部712は、設定変更の受け付けが抑止された表示領域(第1表示領域1302Aまたは第2表示領域1402B)を非表示としてもよい。
【0217】
同時突き出しモードが選択処理された後、入力受付部711が、第1表示領域1302Aの各欄に表されたパラメータの設定変更を受け付けた場合に、第1設定部713が、設定変更されたパラメータに基づいて、第1突出条件情報721を更新する。そして、条件処理部716が、更新された第1突出条件情報721を、第2突出条件情報722にコピーする。これにより、同時突き出しモードが選択処理された後、設定変更が行われた場合に、第1エジェクタ装置201及び第2エジェクタ装置202に設定変更を反映させることができる。
【0218】
制御部717は、第1突出条件情報721に従って、第1エジェクタ装置201の第1エジェクタロッド211の突き出し制御を行うとともに、第2突出条件情報722に従って、第2エジェクタ装置202の第2エジェクタロッド212の突き出し制御を行う。
【0219】
本実施形態にかかる制御部717は、同時突き出しモードの選択処理がなされている場合には、同一成形品を、第1突出条件情報721で、第1エジェクタ装置201の第1エジェクタロッド211の突き出し制御を行うとともに、第1突出条件情報721が複写された第2突出条件情報722(第1突出条件情報721に示された条件と同じ条件)に従って、第2エジェクタ装置202の第2エジェクタロッド212の突き出し制御を行う。これにより、本実施形態では、第1エジェクタ装置201の第1エジェクタロッド211、及び第2エジェクタ装置202の第2エジェクタロッド212は、同一の突出条件に基づいて突き出し制御が行われる。
【0220】
本実施形態では、同時突き出しモードの選択処理がなされた場合に、第1突出条件に従って、同時突き出し制御を行う例について説明した。しかしながら、本実施形態は、同時突き出し制御が行われる条件は、同時突き出しモードの選択処理がなされた場合に制限するものではなく、周知の条件を問わず、所定の条件を満たした場合であればよい。
【0221】
図15は、一実施形態に係る制御装置700における、同時突き出しモードが選択された場合の設定処理を示したフローチャートである。
【0222】
まず、入力受付部711が、操作装置750を介して、エジェクタ詳細ボタン1301の押下を受け付ける(S1501)。
【0223】
次に、表示処理部712が、エジェクタ詳細ボタン1301の押下に基づいて、エジェクト詳細設定に関する表示画面を表示する(S1502)。
【0224】
選択部715が、入力受付部711によるモード欄1311Aへの"同時突き出し"の選択操作に従って、同時突き出しモードを選択処理する(S1503)。
【0225】
条件処理部716は、第1突出条件情報721を、第2突出条件情報722にコピーする(S1504)。
【0226】
表示処理部712は、第2突出条件を表した第2表示領域1402Bの表示態様を変更(例えば、背景色や文字色の変更)し、入力受付部711が、第2表示領域1402Bの各欄に表されたパラメータの設定変更の受付を抑止する(S1505)。
【0227】
そして、制御部717は、設定が完了した否かを判定する(S1506)。設定が完了していないと判定された場合(S1506:No)、入力受付部711が、第1表示領域1302Aの各欄に表されたパラメータの設定変更を受け付ける(S1507)。
【0228】
第1設定部713は、設定変更されたパラメータで、第1突出条件情報721を更新する(S1508)。
【0229】
条件処理部716は、更新された第1突出条件情報721を、第2突出条件情報722にコピーする(S1509)。その後、再び、制御部717が、設定が完了した否かを判定する(S1506)。設定が完了したと判定された場合(S1506:Yes)、処理を終了する。
【0230】
次に、本実施形態にかかる制御装置700が行う成形品を形成する際に型締装置100、第1エジェクタ装置201及び第2エジェクタ装置202に対して行う制御について説明する。
図16は、一実施形態に係る制御装置700による型締装置100などの制御に関する各工程を示したフローチャートである。
【0231】
まず、制御部717は、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させる制御を行うことにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせて、型閉工程を行う(S1601)。
【0232】
制御部717は、型締モータ160をさらに駆動制御して、クロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させて、昇圧工程を行う(S1602)。
【0233】
制御部717は、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151の位置を型締位置に維持して、型締工程を行う(S1603)。
【0234】
制御部717は、型締モータ160を駆動制御してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させて、脱圧工程を行う(S1604)。
【0235】
次に、制御部717は、型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させ、型開工程を行う(S1605)。
【0236】
制御部717は、回転テーブル190の回転制御を行い、可動金型820と共に第1成形品21を回転させて、型回転工程を行う(S1606)。
【0237】
次に、制御部717は、再び、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させる制御を行うことにより、型閉工程を行う(S1607)。
【0238】
制御部717は、型締モータ160をさらに駆動制御して、クロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させて、昇圧工程を行う(S1608)。
【0239】
制御部717は、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151の位置を型締位置に維持して、型締工程を行う(S1609)。
【0240】
制御部717は、型締モータ160を駆動制御してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、脱圧工程を行う(S1610)。
【0241】
制御部717は、型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、型開工程を行う(S1611)。
【0242】
制御部717は、型開開始位置から型開完了位置まで後退したことをトリガーとして、第1突出条件情報721に従って第1エジェクタ装置201の第1エジェクタロッド211の突き出し制御とともに、第2突出条件情報722に従って第2エジェクタ装置202の第2エジェクタロッド212の突き出し制御を行うことで、突き出し工程を行う(S1612)。また、第1突出条件情報721が、第2突出条件情報722にコピーされている場合には、第1エジェクタ装置201及び第2エジェクタ装置202による同時突き出しで、例えば、長尺の第2成形品(同一の成形品の一例)22の突き出しが行われる。
【0243】
制御部717は、回転テーブル190の回転制御を行い、可動金型820を回転させて、型回転工程を行う(S1613)。
【0244】
本実施形態においては、第1キャビティ空間801に第1成形品21の第1の成形材料を充填した後に、脱圧工程、型開工程、及び型回転工程を行うことで、第1の成形材料で形成された第1成形品21が第2キャビティ空間802に移動する。その後に、型閉工程から型開工程を行うことで、第2キャビティ空間802で第1成形品21に第2の成形材料が充填されて第2成形品22が形成されるとともに、第1キャビティ空間801で新たに第1成形品21が形成される。そして、制御部717は、第2成形品22のみ突き出し制御を行うこととしている。なお、本実施形態はこのような手法に制限するものではなく、他の手法を用いてもよい。
【0245】
(変形例等)
上記実施形態では第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とはY軸方向に間隔をおいて配置され、Y軸方向に長い第2成形品22を可動金型820から突き出すが、本発明はこれに限定されない。第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とはZ軸方向に間隔をおいて配置され、Z軸方向に長い第2成形品22を可動金型820から突き出してもよい。
【0246】
上記実施形態では第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Z軸方向に間隔をおいて配置されるが、本発明はこれに限定されない。第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Y軸方向に間隔をおいて配置されてもよい。
【0247】
上記実施形態では固定金型810が特許請求の範囲に記載の第1金型に相当し、可動金型820が特許請求の範囲に記載の第2金型に相当するが、本発明はこれに限定されない。固定金型810が特許請求の範囲に記載の第2金型に相当し、可動金型820が特許請求の範囲に記載の第1金型に相当してもよい。
【0248】
上記実施形態では、同時突き出しモードになった場合に、第1表示領域の各欄のパラメータの設定変更が可能であり、第2表示領域の各欄のパラメータの設定変更を抑止する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2エジェクタ装置202の突き出し制御を行うための第2表示領域の各欄のパラメータの設定変更が可能であり、第1エジェクタ装置201の突き出し制御を行うための第1表示領域の各欄のパラメータの設定変更を抑止してもよい。
【0249】
上記実施形態では回転テーブル190が用いられるが、回転テーブル190が用いられなくてもよい。この場合、第2金型は、回転テーブルを介さずに第2プラテンに取り付けられる。第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが同一の成形品を第2金型から突き出せば、成形品の変形を抑制でき、成形品の損傷を抑制できる。
【0250】
上記実施形態では第1射出装置301と第2射出装置302とが用いられるが、射出装置の数は1つでもよい。第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが同一の成形品を第2金型から突き出せば、成形品の変形を抑制でき、成形品の損傷を抑制できる。なお、射出装置の数は3つ以上でもよい。
【0251】
上記実施形態の射出成形機10によれば、成形品を取り出す際に適切な突き出し制御を行うために様々なパラメータを有している。長尺の成形品を取り出す際には、同時突き出しが必要になるため、第1エジェクタ装置201の突き出し制御を行うための第1突出条件に含まれるパラメータと、第2エジェクタ装置202の突き出し制御を行うための第2突出条件に含まれるパラメータと、を一致させる必要がある。本実施形態においては、同時突き出しモード(第1モードの一例)の選択処理がなされた場合には、第1突出条件情報721を、第2突出条件情報722にコピーすることとした。これにより、第1エジェクタ装置201、及び第2エジェクタ装置202を、同一の突出条件で突き出し制御を行うことができる。このように、第1エジェクタ装置201、及び第2エジェクタ装置202を各々別個に設定したことによる設定間違いや、設定忘れを抑止できる。
【0252】
さらには、上記実施形態の射出成形機10によれば、同一の成形品に対して行われる、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202を同一の突き出し条件で突き出し制御を行える。これにより、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202との間の突き出し動作の差を抑止できるので、成形品及び金型装置にかかる負荷を軽減できる。複数のエジェクタ装置の突き出し動作の差を抑止できるので、成形品が破損する可能性や、金型装置を貫通しているエジェクタピンから金型装置にかかる負荷によって金型装置が破損する可能性を低減できる。
【0253】
以上、本発明に係る射出成形機の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0254】
10 射出成形機
700 制御装置
702 記憶媒体
711 入力受付部
712 表示処理部
713 第1設定部
714 第2設定部
715 選択部
716 条件処理部
717 制御部
721 第1突出条件情報
722 第2突出条件情報