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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】仮囲い、及び、仮囲いの使用方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 1/00 20060101AFI20240813BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20240813BHJP
   E04H 17/14 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
E01F1/00
E04G21/32 C
E04H17/14 102C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021019832
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122536
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】坪内 浩治
(72)【発明者】
【氏名】福島 賢二
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 厚介
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-148117(JP,A)
【文献】登録実用新案第3103638(JP,U)
【文献】特開2020-165091(JP,A)
【文献】実開平05-086100(JP,U)
【文献】登録実用新案第3187571(JP,U)
【文献】米国特許第06151852(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00
E04G 21/32
E04H 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事領域とその周囲領域とを仕切る仮囲いであって、
前記工事領域は、第1のエリアと、第2のエリアと、前記第1のエリアと前記第2のエリアとの間に位置する第3のエリアと、を含み、
前記仮囲いは、
前記第1のエリアと前記周囲領域とを仕切る第1の壁部と、
前記第2のエリアと前記周囲領域とを仕切る第2の壁部と、
前記第1の壁部における前記第3のエリア側の端部に回動自在に取り付けられる第1の扉と、
前記第2の壁部における前記第3のエリア側の端部に回動自在に取り付けられる第2の扉と、
を備え、
前記第1の扉は、前記第3のエリアと前記周囲領域とを仕切る第1の位置と、前記第1のエリアと前記第3のエリアとを仕切る第2の位置と、の間で回動自在であり、
前記第2の扉は、前記第3のエリアと前記周囲領域とを仕切る第3の位置と、前記第2のエリアと前記第3のエリアとを仕切る第4の位置と、の間で回動自在である、
仮囲い。
【請求項2】
前記第1の扉と前記第2の扉とは、各々が、一方の扉と他方の扉とを有する両開き式である、請求項1に記載の仮囲い。
【請求項3】
前記一方の扉の幅、及び/又は、前記他方の扉の幅が変更可能に構成されている、請求項2に記載の仮囲い。
【請求項4】
前記第1の扉と前記第2の扉とは、各々が片開き式である、請求項1に記載の仮囲い。
【請求項5】
前記第1の扉の幅、及び/又は、前記第2の扉の幅が変更可能に構成されている、請求項4に記載の仮囲い。
【請求項6】
前記仮囲いが鉄道のプラットホーム上に設けられる、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の仮囲い。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の仮囲いの使用方法であって、
工事の施工時に、前記第1の扉を前記第1の位置とすると共に、前記第2の扉を前記第3の位置とすること、及び、
工事の非施工時に、前記第1の扉を前記第2の位置とすると共に、前記第2の扉を前記第4の位置とすること、
を含む、仮囲いの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道のプラットホーム上に設けられる工事用の仮囲い、及び、その使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道のプラットホーム上に設けられる工事用の仮囲いとして、特許文献1,2に開示のものが知られている。この仮囲いは、工事現場や資材置場などを含む工事領域の外周を囲むための設備であり、乗降客などの安全の確保や資材の盗難防止などを目的としてプラットホーム上に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-165091号公報
【文献】特開2016-050422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の工事領域がプラットホームの延在方向に沿って長く広がっていると、それを囲む仮囲いにより、プラットホーム上における乗降客の通行スペース及び乗車待ちスペースが狭められてしまう。このため、特に乗降客が多くなるピーク時(ラッシュ時)に乗降客の乗降や通行がスムーズに行えないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑み、種々の状況に応じて柔軟に対応可能な仮囲いを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明の第1態様では、仮囲いは、工事領域とその周囲領域とを仕切る。ここで、工事領域は、第1のエリアと、第2のエリアと、第1のエリアと第2のエリアとの間に位置する第3のエリアと、を含む。仮囲いは、第1のエリアと周囲領域とを仕切る第1の壁部と、第2のエリアと周囲領域とを仕切る第2の壁部と、第1の壁部における第3のエリア側の端部に回動自在に取り付けられる第1の扉と、第2の壁部における第3のエリア側の端部に回動自在に取り付けられる第2の扉と、を備える。第1の扉は、第3のエリアと周囲領域とを仕切る第1の位置と、第1のエリアと第3のエリアとを仕切る第2の位置と、の間で回動自在である。第2の扉は、第3のエリアと周囲領域とを仕切る第3の位置と、第2のエリアと第3のエリアとを仕切る第4の位置と、の間で回動自在である。
【0007】
本発明の第2態様は、前述の仮囲いの使用方法である。この使用方法は、工事の施工時に、第1の扉を前記第1の位置とすると共に、第2の扉を前記第3の位置とすること、及び、工事の非施工時に、第1の扉を前記第2の位置とすると共に、第2の扉を前記第4の位置とすること、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、種々の状況に応じて第1の扉及び第2の扉の回動位置を変更することで、仮囲いを当該状況に柔軟に対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態における仮囲いの一体状態と分離状態とを示す図
図2】仮囲いの一体状態における扉の位置と仮囲いの分離状態における扉の位置とを示す図
図3】仮囲いの一体状態における扉を示す図
図4】仮囲いの分離状態における扉を示す図
図5図4のA-A断面図
図6】従来の仮囲いと前記第1実施形態の仮囲いとを示す図
図7】従来の仮囲いと前記第1実施形態の仮囲いとを示す図
図8】本発明の第2実施形態における仮囲いの一体状態と分離状態とを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(ア)及び(イ)は、各々が、本発明の第1実施形態における仮囲いの平面図であり、詳しくは、図1(ア)は仮囲いの一体状態を示し、図1(イ)は仮囲いの分離状態を示す。ここにおいて、図1(ア)には、一体状態の仮囲い10が示されており、図1(イ)には、仮囲い10が2つの仮囲い10’,10”に分離された状態を示している。
【0011】
鉄道のプラットホームであるホーム1は、例えば島式ホームであり、ホーム端2,3を有している。ここで、図1には、一例として、ホーム端2に隣接して停車した列車の扉位置T1~T6が示されている。
【0012】
図1(ア)に示すように、ホーム1上には、その延在方向Xに延びる工事領域S0の外周を囲むための設備として、工事用の仮囲い10が設けられている。仮囲い10は、工事領域S0と、その周囲領域Ssとを仕切る。ここで、工事領域S0は、工事現場及び/又は資材置場を含む。工事領域S0で施工される工事としては、例えば、エスカレータやエレベータなどの新設工事、あるいは、杭打設工事などを挙げることができる。しかしながら、工事領域S0で施工される工事はこれらに限らない。
【0013】
工事領域S0については、前述の延在方向Xに沿って3つ以上(本実施形態では3つ)に分割されている。本実施形態では、工事領域S0は、その一側に位置する第1のエリアS1と、他側に位置する第2のエリアS2と、第1のエリアS1と第2のエリアS2との間に位置する第3のエリアS3と、を含む。尚、本実施形態では、工事領域S0と、それを構成する第1のエリアS1、第2のエリアS2、及び第3のエリアS3とが、それぞれ平面視で矩形状をなしているが、これらの形状は矩形状に限らない。
【0014】
本実施形態では、第1のエリアS1の長さL1と第2のエリアS2の長さL2とが、それぞれ、例えば7m~12mの範囲内である。また、第3のエリアS3の長さL3は、例えば2m~5mの範囲内である。しかしながら、これら長さL1~L3は前述の長さに限らない。
【0015】
仮囲い10は、第1の壁部11と、第2の壁部12と、第1の扉21と、第2の扉22とを有する。尚、仮囲い10の高さは、例えば1.5m~3mの範囲内である。
【0016】
第1の壁部11は、第1のエリアS1と周囲領域Ssとを仕切るものであり、平面視で例えばコ字状をなす。第1の壁部11は、第1のエリアS1を挟んで相対する一対の壁部111,112と、これら壁部111,112における、第3のエリアS3と反対の側の端部同士を連結する壁部113とにより構成されている。
【0017】
第2の壁部12は、第2のエリアS2と周囲領域Ssとを仕切るものであり、平面視で例えばコ字状をなす。第2の壁部12は、第2のエリアS2を挟んで相対する一対の壁部121,122と、これら壁部121,122における、第3のエリアS3と反対の側の端部同士を連結する壁部123とにより構成されている。
【0018】
本実施形態では、第1の扉21は、一方の扉211と他方の扉212とを有する両開き式(観音開き式)である。第1の壁部11における第3のエリアS3側の端部(壁部111,112における第3のエリアS3側の端部)11a,11bには、それぞれ、扉211,212が回動自在に取り付けられている。
【0019】
第1の扉21(扉211,212)は、第3のエリアS3と周囲領域Ssとを仕切る第1の位置(図1(ア)参照)と、第1のエリアS1と第3のエリアS3とを仕切る第2の位置(図1(イ)参照)と、の間で回動自在である。
【0020】
本実施形態では、第2の扉22は、一方の扉221と他方の扉222とを有する両開き式(観音開き式)である。第2の壁部12における第3のエリアS3側の端部(壁部121,122における第3のエリアS3側の端部)12a,12bには、それぞれ、扉221,222が回動自在に取り付けられている。
【0021】
第2の扉22(扉221,222)は、第3のエリアS3と周囲領域Ssとを仕切る第3の位置(図1(ア)参照)と、第2のエリアS2と第3のエリアS3とを仕切る第4の位置(図1(イ)参照)と、の間で回動自在である。
【0022】
図1(ア)に示すように、一体状態の仮囲い10では、第1の扉21の一方の扉211と第2の扉22の一方の扉221とが連結され、かつ、第1の扉21の他方の扉212と第2の扉22の他方の扉222とが連結されて、第1の扉21と第2の扉22とにより、第3のエリアS3と周囲領域Ssとが仕切られる。
【0023】
一方、図1(イ)に示すように、2つの仮囲い10’,10”に分離されている状態では、第1の扉21の一方の扉211と他方の扉212とが連結され、かつ、第2の扉22の一方の扉221と他方の扉222とが連結されて、第3のエリアS3と周囲領域Ssとが連通する。このときには、第1の扉21と第2の扉22とが第3のエリアS3を挟んで相対する。
【0024】
ここにおいて、仮囲い10’は第1の壁部11と第1の扉21とを有する。仮囲い10”は第2の壁部12と第2の扉22とを有する。仮囲い10’によって、第1のエリアS1の外周が囲まれる。仮囲い10”によって、第2のエリアS2の外周が囲まれる。尚、仮囲い10’,10”の高さは、例えば1.5m~3mの範囲内である。
【0025】
本実施形態では、例えば、工事領域S0内での工事の施工時に、第1の扉21(扉211,212)を、第3のエリアS3と周囲領域Ssとを仕切る第1の位置(図1(ア)参照)とすると共に、第2の扉22(扉221,222)を、第3のエリアS3と周囲領域Ssとを仕切る第3の位置(図1(ア)参照)とする。このような、一体状態の仮囲い10は、ホーム1上の乗降客が比較的少ないオフピーク時間帯に形成されることが好ましい。
【0026】
一方、例えば、工事領域S0内での工事の非施工時に、第1の扉21(扉211,212)を、第1のエリアS1と第3のエリアS3とを仕切る第2の位置(図1(イ)参照)とすると共に、第2の扉22(扉221,222)を、第2のエリアS2と第3のエリアS3とを仕切る第4の位置(図1(イ)参照)とする。このような仮囲い10’,10”への分離は、ホーム1上の乗降客が比較的多いピーク時間帯(ラッシュ時間帯)に実施されることが好ましい。この効果については、図6及び図7を用いて後述する。
【0027】
次に、本実施形態における第1の扉21及び第2の扉22の概略構成について、図2図5を用いて説明する。
【0028】
図2(ア)は、一体状態の仮囲い10における第1の扉21及び第2の扉22の位置を示す。図2(イ)は、分離された仮囲い10’10”の第1の扉21及び第2の扉22の位置を示す。図3は、一体状態の仮囲い10における第1の扉21及び第2の扉22を示し、詳しくは、図2(ア)に示す状態において扉211,221を第3のエリアS3から見た図である。図4は、分離された仮囲い10’における第1の扉21を示し、詳しくは、図2(イ)に示す状態において扉211,212を第3のエリアS3から見た図である。図5は、図4のA-A断面図である。ここにおいて、図2(ア)及び図3は、前述の図1(ア)に対応し、図2(イ)、図4、及び図5は、前述の図1(イ)に対応する。
【0029】
図2図5に示す本実施形態では、工事領域S0の幅(第1~第3のエリアS1~S3の各々の幅)Lwと、第3のエリアS3の長さL3とが異なる。特に図2図5に示す本実施形態では、幅Lwが長さL3よりも大きい。これに対応するために、図2図5に示す本実施形態では、第1の扉21と第2の扉22との少なくとも一方(本実施形態では双方)の幅が変更可能に構成されている。
【0030】
図2図5に示すように、第1の扉21を構成する一方の扉211は、矩形の板状部材である後パネル2111と、矩形の板状部材である前パネル2112と、スライド機構400とを備える。
【0031】
後パネル2111の一側(吊元側)は、蝶番15aを介して、支柱311に回動自在に取り付けられている。この支柱311は、第1の壁部11の端部11aを構成するものである。後パネル2111の一側の下端と他側の下端とには、それぞれ、ホーム1上を転動可能な車輪511(例えば水平旋回可能なキャスター)が設けられている。ブレース611は、その一端が、蝶番612を介して、支柱311の上端部に取り付けられており、他端が、後パネル2111の他側の上端に取り付けられている。
【0032】
前パネル2112は、スライド機構400を介して、後パネル2111の前面に沿って水平方向にスライド可能に構成されている。スライド機構400は、後パネル2111の前面の上部及び下部にそれぞれ設けられたレール部材401と、レール部材401上を転動可能なローラ402とを有する。ローラ402は、前パネル2112の一側に回転自在に取り付けられている。レール部材402は例えばリップ溝形鋼からなり、水平に延びている。前パネル2112の他側の下端には、ホーム1上を転動可能な車輪512(例えば水平旋回可能なキャスター)が設けられている。
【0033】
前パネル2112を、スライド機構400を介して、後パネル2111に対して水平方向にスライドさせることで、扉211の幅を変更することができる。
【0034】
図2及び図4に示すように、第1の扉21を構成する他方の扉212は、矩形の板状部材である後パネル2121と、矩形の板状部材である前パネル2122と、スライド機構410とを備える。
【0035】
後パネル2121の一側(吊元側)は、蝶番15bを介して、支柱312に回動自在に取り付けられている。この支柱312は、第1の壁部11の端部11bを構成するものである。後パネル2121の一側の下端と他側の下端とには、それぞれ、ホーム1上を転動可能な車輪513(例えば水平旋回可能なキャスター)が設けられている。ブレース613は、その一端が、蝶番614を介して、支柱312の上端部に取り付けられており、他端が、後パネル2121の他側の上端に取り付けられている。
【0036】
前パネル2122は、スライド機構410を介して、後パネル2121の前面に沿って水平方向にスライド可能に構成されている。スライド機構410は、後パネル2121の前面の上部及び下部にそれぞれ設けられたレール部材411と、レール部材411上を転動可能なローラ412とを有する。ローラ412は、前パネル2122の一側に回転自在に取り付けられている。レール部材411は例えばリップ溝形鋼からなり、水平に延びている。前パネル2122の他側の下端には、ホーム1上を転動可能な車輪514(例えば水平旋回可能なキャスター)が設けられている。
【0037】
前パネル2122を、スライド機構410を介して、後パネル2121に対して水平方向にスライドさせることで、扉212の幅を変更することができる。
【0038】
図2及び図3に示すように、第2の扉22を構成する一方の扉221は、矩形の板状部材である後パネル2211と、矩形の板状部材である前パネル2212と、図示しないスライド機構とを備える。
【0039】
後パネル2211の一側(吊元側)は、蝶番16aを介して、支柱321に回動自在に取り付けられている。この支柱321は、第2の壁部12の端部12aを構成するものである。後パネル2211の一側の下端と他側の下端とには、それぞれ、ホーム1上を転動可能な車輪515(例えば水平旋回可能なキャスター)が設けられている。ブレース615は、その一端が、蝶番616を介して、支柱321の上端部に取り付けられており、他端が、後パネル2211の他側の上端に取り付けられている。
【0040】
前パネル2212は、スライド機構(図示せず)を介して、後パネル2211の前面に沿って水平方向にスライド可能に構成されている。このスライド機構の構成は、前述のスライド機構400,410と同様の構成であるので、その説明を省略する。前パネル2212の他側の下端には、ホーム1上を転動可能な車輪516(例えば水平旋回可能なキャスター)が設けられている。
【0041】
前パネル2212を、図示しないスライド機構を介して、後パネル2211に対して水平方向にスライドさせることで、扉221の幅を変更することができる。
【0042】
図2に示すように、第2の扉22を構成する他方の扉222は、矩形の板状部材である後パネル2221と、矩形の板状部材である前パネル2222と、図示しないスライド機構とを備える。
【0043】
後パネル2221の一側(吊元側)は、蝶番16bを介して、支柱322に回動自在に取り付けられている。この支柱322は、第2の壁部12の端部12bを構成するものである。後パネル2221の一側の下端と他側の下端とには、それぞれ、ホーム1上を転動可能な車輪(例えば水平旋回可能なキャスター)が設けられている。図示しないブレースは、その一端が、図示しない蝶番を介して、支柱322の上端部に取り付けられており、他端が、後パネル2221の他側の上端に取り付けられている。
【0044】
前パネル2222は、スライド機構(図示せず)を介して、後パネル2221の前面に沿って水平方向にスライド可能に構成されている。このスライド機構の構成は、前述のスライド機構400,410と同様の構成であるので、その説明を省略する。前パネル2222の他側の下端には、ホーム1上を転動可能な車輪(例えば水平旋回可能なキャスター)が設けられている。
【0045】
前パネル2222を、図示しないスライド機構を介して、後パネル2221に対して水平方向にスライドさせることで、扉222の幅を変更することができる。
【0046】
図2(ア)に示す一体状態の仮囲い10から、図2(イ)に示す分離状態の仮囲い10’,10”に移行する際には、図2(ア)に示す回動方向M1に扉211,212,221,222を回動させると共に、扉211,212,221,222の各々の幅を広げる。
【0047】
逆に、図2(イ)に示す分離状態の仮囲い10’,10”から、図2(ア)に示す一体状態の仮囲い10に移行する際には、図2(イ)に示す回動方向M2に扉211,212,221,222を回動させると共に、扉211,212,221,222の各々の幅を狭める。
【0048】
次に、本実施形態の効果について、図6及び図7を用いて説明する。
図6及び図7は、従来の仮囲い90と本実施形態の仮囲い10’,10”とを示す。ここにおいて、図6は、ホーム1上の乗降客が比較的多いピーク時間帯における列車からの降車状況を示し、図6(ア)は従来の仮囲い90を示し、図6(イ)は仮囲い10’,10”を示す。図7は、当該ピーク時間帯における列車への乗車状況を示し、図7(ア)は従来の仮囲い90を示し、図7(イ)は仮囲い10’,10”を示す。
【0049】
図6(ア)及び図7(ア)に示すように、工事領域S0の外周を囲む従来の仮囲い90では、ホーム1上において、乗車待ちの客Pが仮囲い90の延在方向両端に集中するので(例えば、ホーム端2に隣接して停車した列車の扉位置T1,T6の近くに集中するので)、客の列車への乗り降りがスムーズに行えない。ここにおいて、図6(ア)に示す一点鎖線F1は、列車からホーム1に降りる客の流れを示している。また、図7(ア)に示す一点鎖線F3は、ホーム1上から列車に乗り込む客の流れを示している。
【0050】
これに対し、本実施形態では、図6(イ)及び図7(イ)に示すように、2つの仮囲い10’,10”に分離することにより、工事領域S0の一部である第3のエリアS3を客の乗車待ちスペースとして利用することができるので、客の列車への乗り降りをスムーズに行うことができる。ここにおいて、図6(イ)に示す一点鎖線F2は、列車からホーム1に降りる客の流れを示している。また、図7(イ)に示す一点鎖線F4は、ホーム1上から列車に乗り込む客の流れを示している。
【0051】
本実施形態によれば、仮囲い10は、工事領域S0とその周囲領域Ssとを仕切るものである。工事領域S0は、第1のエリアS1と、第2のエリアS2と、第1のエリアS1と第2のエリアS2との間に位置する第3のエリアS3と、を含む。仮囲い10は、第1のエリアS1と周囲領域Ssとを仕切る第1の壁部11と、第2のエリアS2と周囲領域Ssとを仕切る第2の壁部S2と、第1の壁部11における第3のエリアS3側の端部11a,11bに回動自在に取り付けられる第1の扉21と、第2の壁部12における第3のエリアS3側の端部12a,12bに回動自在に取り付けられる第2の扉22と、を備える。第1の扉21は、第3のエリアS3と周囲領域Ssとを仕切る第1の位置(図1(ア)及び図2(ア)参照)と、第1のエリアS1と第3のエリアS3とを仕切る第2の位置(図1(イ)及び図2(イ)参照)と、の間で回動自在である。第2の扉22は、第3のエリアS3と周囲領域Ssとを仕切る第3の位置(図1(ア)及び図2(ア)参照)と、第2のエリアS2と第3のエリアS3とを仕切る第4の位置(図1(イ)及び図2(イ)参照)と、の間で回動自在である。これにより、種々の状況に応じて第1の扉21及び第2の扉22の回動位置を変更することで、仮囲い10を当該状況に柔軟に対応させることができる。
【0052】
また本実施形態によれば、第1の扉21と第2の扉22とは、各々が、一方の扉211,221と他方の扉212,222とを有する両開き式である。これにより、片開き式に比べて広い幅の開口(間口)に対応することができる。
【0053】
また本実施形態によれば、一方の扉211,221の幅、及び/又は、他方の扉212,222の幅が変更可能に構成されている。これにより、工事領域S0の幅(第1~第3のエリアS1~S3の各々の幅)Lwと、第3のエリアS3の長さL3とが異なっていてもそれに柔軟に対応することができる。
【0054】
また本実施形態によれば、仮囲い10が鉄道のプラットホーム(ホーム1)上に設けられる。ゆえに、特にピーク時間帯(ラッシュ時間帯)に、仮囲い10’,10”に分割することで、第3のエリアS3を客の乗車待ちスペースとして利用することができる。
【0055】
また本実施形態によれば、仮囲い10の使用方法は、工事の施工時に、第1の扉21を前記第1の位置(図1(ア)及び図2(ア)参照)とすると共に、第2の扉22を前記第3の位置(図1(ア)及び図2(ア)参照)とすること、及び、工事の非施工時に、第1の扉21を前記第2の位置(図1(イ)及び図2(イ)参照)とすると共に、第2の扉22を前記第4の位置(図1(イ)及び図2(イ)参照)とすること、を含む。ゆえに、工事の非施工時に、仮囲い10’,10”に分割することができ、ひいては、第3のエリアS3を客の乗車待ちスペースとして利用することができる。
【0056】
図8(ア)及び(イ)は、各々が、本発明の第2実施形態における仮囲いの平面図であり、詳しくは、図8(ア)は仮囲いの一体状態を示し、図8(イ)は仮囲いの分離状態を示す。ここにおいて、図8(ア)には、一体状態の仮囲い10が示されており、図8(イ)には、仮囲い10が2つの仮囲い10’,10”に分離された状態を示している。
前述の第1実施形態と異なる点について説明する。
【0057】
本実施形態では、第1の扉21と、第2の扉22とは、各々が片開き式である。第1の壁部11における第3のエリアS3側の端部(壁部111における第3のエリアS3側の端部)11aには、第1の扉21が回動自在に取り付けられており、また、第2の壁部12における第3のエリアS3側の端部(壁部122における第3のエリアS3側の端部)12bには、第2の扉22が回動自在に取り付けられている。尚、これに代えて、第1の壁部11における第3のエリアS3側の端部(壁部112における第3のエリアS3側の端部)11bに、第1の扉21を回動自在に取り付け、また、第2の壁部12における第3のエリアS3側の端部(壁部121における第3のエリアS3側の端部)12aに、第2の扉22を回動自在に取り付けてもよいことは言うまでもない。
【0058】
第1の扉21は、第3のエリアS3と周囲領域Ssとを仕切る第1の位置(図8(ア)参照)と、第1のエリアS1と第3のエリアS3とを仕切る第2の位置(図8(イ)参照)と、の間で回動自在である。
【0059】
第2の扉22は、第3のエリアS3と周囲領域Ssとを仕切る第3の位置(図8(ア)参照)と、第2のエリアS2と第3のエリアS3とを仕切る第4の位置(図8(イ)参照)と、の間で回動自在である。
【0060】
図8(ア)に示すように、一体状態の仮囲い10では、第1の扉21と第2の扉22とにより、第3のエリアS3と周囲領域Ssとが仕切られる。
【0061】
一方、図8(イ)に示すように、2つの仮囲い10’,10”に分離されている状態では、第3のエリアS3と周囲領域Ssとが連通する。このときには、第1の扉21と第2の扉22とが第3のエリアS3を挟んで相対する。
【0062】
ここにおいて、仮囲い10’は第1の壁部11と第1の扉21とを有する。仮囲い10”は第2の壁部12と第2の扉22とを有する。仮囲い10’によって、第1のエリアS1の外周が囲まれる。仮囲い10”によって、第2のエリアS2の外周が囲まれる。
【0063】
特に本実施形態によれば、第1の扉21と第2の扉22とは、各々が片開き式である。これにより、第1の扉21及び第2の扉22を簡素な構成とすることができる。
【0064】
また本実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様のスライド機構を第1の扉21及び/又は第2の扉22に適用して、第1の扉21の幅、及び/又は、第2の扉22の幅が変更可能に構成されていることが好ましい。これにより、工事領域S0の幅(第1~第3のエリアS1~S3の各々の幅)Lwと、第3のエリアS3の長さL3とが異なっていてもそれに柔軟に対応することができる。
【0065】
前述の第1実施形態では、幅Lwが長さL3よりも大きいを示したが、この他、幅Lwが長さL3よりも小さくてもよく、又は、幅Lwと長さL3とが同等であってもよい。この点は、前述の第2実施形態でも同様である。
【0066】
また、第1~第3のエリアS1~S3の各々の幅は、同等でもよく、又は、互いに異なっていてもよい。第1~第3のエリアS1~S3の各々の幅に応じて、適宜、第1の扉21の幅、及び/又は、第2の扉22の幅を変更すればよい。
【0067】
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1…ホーム、2,3…ホーム端、10,10’,10”…仮囲い、11…第1の壁部、11a,11b…端部、12…第2の壁部、12a,12b…端部、15a,15b,16a,16b…蝶番、21…第1の扉、22…第2の扉、90…仮囲い、111~113,121~123…壁部、211,221…一方の扉、212,222…他方の扉、311,312,321,322…支柱、400,410…スライド機構、401,411…レール部材、402,412…ローラ、511~516…車輪、611,613,615…ブレース、612,614,616…蝶番、2111,2121,2211,2221…後パネル、2112,2122,2212,2222…前パネル、F1~F4…乗降客の流れ、L1~L3…長さ、Lw…幅、M1,M2…回動方向、S0…工事領域、S1…第1のエリア、S2…第2のエリア、S3…第3のエリア、Ss…周囲領域、T1~T6…列車の扉位置、X…延在方向
図1
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図8