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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240813BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 B
H01L23/12 Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021030734
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131672
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大園 拓己
(72)【発明者】
【氏名】山平 真聖
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-133526(JP,A)
【文献】特開2004-063530(JP,A)
【文献】特開2001-203292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスルーホール導体を有するコア用絶縁層と、
該コア用絶縁層上に位置し、上面に実装領域を有する積層体と、
を備え、
該積層体は、導体層および複数のビアホール導体を有するビルドアップ用絶縁層が交互に位置しており、
前記導体層は、前記実装領域に位置する接続パッドと、平面透視で前記実装領域内に位置し、前記ビアホール導体を介して前記接続パッドに繋がるビアランドと、二つの端部を有しており、一端が前記ビアランドに繋がり、他端が前記実装領域よりも外側に位置する前記ビアホール導体に繋がる引き出し配線と、前記ビルドアップ用絶縁層を介して前記引き出し配線の上下に位置するプレーン導体と、前記コア用絶縁層に接する最下層のビルドアップ用絶縁層上に、平面透視で前記実装領域内に位置する電源用導体層と、を有し、
前記接続パッドは、平面透視で、前記電源用導体層に重ならない領域に位置する第1信号用接続パッド、および前記電源用導体層に重なる領域に位置する第2信号用接続パッドを有し、
前記ビアランドは、平面透視で、前記第1信号用接続パッドと同軸上で繋がる第1ビアランドと、前記第2信号用接続パッドと同軸上で繋がる第2ビアランドと、前記電源用導体層に重ならない領域に位置する中継ぎビアランドと、を有しており、
前記積層体は、前記第2ビアランドと前記中継ぎビアランドとを中継ぎ配線で繋いでいる中継ぎ配線保有層を有している、配線基板。
【請求項2】
前記接続パッドは、前記実装領域に格子配列で位置しており、
前記第1信号用接続パッドは、前記格子配列の最外周から少なくとも2列に位置し、
前記第1信号用接続パッドより内側の少なくとも1列には電源用接続パッドおよびグランド用接続パッドが位置し、
前記第2信号用接続パッドは、平面透視における前記電源用導体層に重なる領域から内側の少なくとも2列に位置しており、
前記中継ぎ配線保有層が、前記最下層のビルドアップ用絶縁層に接する上層の前記ビルドアップ用絶縁層上に位置する、
請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記中継ぎ配線保有層において、最も内側の列に位置する前記第2信号用接続パッドと同軸上で繋がる前記第2ビアランドが、前記中継ぎビアランドと前記中継ぎ配線で繋がっている、請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記接続パッドは、前記実装領域に格子配列で位置しており、
前記第1信号用接続パッドは、前記格子配列の最外周から少なくとも2列に位置し、
前記第1信号用接続パッドより内側の少なくとも1列には電源用接続パッドおよびグランド用接続パッドが位置し、
前記第2信号用接続パッドは、平面透視における前記電源用導体層に重なる領域から内側の少なくとも2列に位置しており、
前記積層体は、前記実装領域を有する第1ビルドアップ用絶縁層、第2ビルドアップ用絶縁層および第3ビルドアップ用絶縁層を上から順に有しており、
前記第2ビルドアップ用絶縁層上には、前記第1信号用接続パッドと同じ配列の前記第1ビアランドおよび前記第2信号用接続パッドと同じ配列の前記第2ビアランドが位置しており、
前記第2ビルドアップ用絶縁層上の前記導体層は、前記中継ぎ配線保有層であり、
前記第2ビルドアップ用絶縁層上における前記第1ビアランドは、前記引き出し配線と繋がっており、
前記第2ビルドアップ用絶縁層上における前記第2ビアランドの一部は、前記中継ぎ配線によって前記中継ぎビアランドに繋がっており、
前記第3ビルドアップ用絶縁層上には、前記中継ぎビアランドと前記ビアホール導体によって繋がる第1補助ビアランドと、該第1補助ビアランドよりも前記第3ビルドアップ用絶縁層の外周の近くに位置し、前記第3ビルドアップ用絶縁層の下層の前記導体層と前記ビアホール導体で繋ぐ第2補助ビアランドと、前記第1補助ビアランドおよび前記第2補助ビアランドを繋ぐ第1補助配線とを有している、請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記中継ぎ配線保有層において、最も外側の列に位置する前記第2信号用接続パッドと同軸上で繋がる前記第2ビアランドが、前記中継ぎビアランドと前記中継ぎ配線で繋がっている、請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記接続パッドは、前記実装領域に格子配列で位置しており、
前記第1信号用接続パッドは、前記格子配列の最外周から少なくとも2列に位置し、
前記第2信号用接続パッドは、前記第1信号用接続パッドより内側に隣接する少なくとも2列に位置し、
前記第2信号用接続パッドより内側の少なくとも1列には電源用接続パッドおよびグランド用接続パッドが位置しており、
前記積層体は、前記実装領域を有する第1ビルドアップ用絶縁層、第2ビルドアップ用絶縁層および第3ビルドアップ用絶縁層を上から順に有しており、
前記第2ビルドアップ用絶縁層上には、前記第1信号用接続パッドと同じ配列の前記第1ビアランドおよび前記第2信号用接続パッドと同じ配列の前記第2ビアランドが位置しており、
前記第2ビルドアップ用絶縁層上の前記第1ビアランドは、前記引き出し配線と繋がっており、
前記第2ビルドアップ用絶縁層上の前記第2ビアランドの一部は、前記第1ビアランドの配列と前記第2ビアランドの配列との間に位置する第3補助ビアランドと、第2補助配線によって繋がっており、
前記第3ビルドアップ用絶縁層上の前記導体層は、前記中継ぎ配線保有層であり、
前記第3ビルドアップ用絶縁層上の前記第2ビアランドは、前記中継ぎ配線によって前記中継ぎビアランドに繋がっており、
前記第3補助ビアランドと前記ビアホール導体によって繋がっている第4補助ビアランドと、平面透視における前記電源用導体層に重なる領域外に位置する第5補助ビアランドとが第3補助配線によって繋がっている、請求項1に記載の配線基板。
【請求項7】
前記中継ぎ配線保有層は、最も外側の列に位置する前記第2信号用接続パッドと同軸上で繋がる前記第2ビアランドと前記中継ぎビアランドとを前記中継ぎ配線で繋いでいる、請求項6に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のような従来の配線基板において、電子部品と配線基板との間で電気信号を伝送する信号用配線(信号用導体)は、電子部品と配線基板とを電気的に接続するパッドのうち信号用パッドと、信号用パッドの直下に位置する信号用ビアホール導体を介して接続されている。
【0003】
配線基板に実装される半導体素子の大型化や多機能化に伴い、実装領域において、信号用接続パッドが、格子状に配置された接続パッド群の周縁部(外側)から中央部に近い領域にかけて位置している配線基板が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-335532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような配線基板では、実装領域の中央部に近い領域に位置する信号用接続パッドの一部と、配線基板の内層における実装領域の下方に位置する電源用導体層とが、平面透視で重なるものがある。この場合、信号用接続パッドと同軸上のビアホール導体を介して繋がるビアランド、および一端がビアランドに繋がり他端が実装領域外のビアランドに繋がる引き出し配線が、電源用導体層を横切ってしまう場合がある。このため、電荷の供給経路を阻害してしまい半導体素子の性能が低下するおそれがある。
【0006】
本開示の課題は、実装される半導体素子の性能を低下させない配線基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る配線基板は、複数のスルーホール導体を有するコア用絶縁層と、コア用絶縁層上に位置し、上面に実装領域を有する積層体とを備える。積層体は、導体層および複数のビアホール導体を有するビルドアップ用絶縁層が交互に位置している。導体層は、実装領域に位置する接続パッドと、ビアホール導体を介して接続パッドに繋がるビアランドと、二つの端部を有しており、一端が実装領域内の前記ビアランドに繋がり他端が実装領域外のビアランドに繋がる引き出し配線と、ビルドアップ用絶縁層を介して引き出し配線の上下に位置するプレーン導体と、コア用絶縁層に接する最下層のビルドアップ用絶縁層上に、平面透視で実装領域内に位置する電源用導体層とを有する。接続パッドは、平面透視で、電源用導体層に重ならない領域に位置する第1信号用接続パッド、および電源用導体層に重なる領域に位置する第2信号用接続パッドを有する。ビアランドは、平面透視で、第1信号用接続パッドと同軸上で繋がる第1ビアランドと、第2信号用接続パッドと同軸上で繋がる第2ビアランドとを有する。積層体は、第2ビアランドと、平面透視における電源用導体層に重なる領域外に位置する中継ぎビアランドとを、中継ぎ配線で繋いでいる中継ぎ配線保有層を有している。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る配線基板は、実装される半導体素子の性能を低下させない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1の実施形態に係る配線基板の一部を示す断面図である。
図2図1に示す配線基板の一部において、最上層に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図3図1に示す配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から1層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図4図1に示す配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から2層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図5図1に示す配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から3層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図6図1に示す配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から4層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図7図1に示す配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から5層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図8図1に示す配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から6層内側に位置する導体層(コア用絶縁層の上面に位置する導体層)を平面視した場合を示す説明図である。
図9】本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から1層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図10】本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から2層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図11】本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から3層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図12】本開示の第2の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から4層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図13】本開示の第3の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図14】本開示の第3の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から1層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図15】本開示の第3の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から2層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
図16】本開示の第3の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層から3層内側に位置する導体層を平面視した場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の実施形態に係る配線基板を、図1~8に基づいて説明する。図1は、本開示の第1の実施形態に係る配線基板1の断面の右半分を示す説明図である。第1の実施形態に係る配線基板1は、コア用絶縁層2、積層体3およびソルダーレジスト6を含む。
【0011】
コア用絶縁層2は、絶縁性を有する素材であれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。コア用絶縁層2の厚みは特に限定されず、例えば200μm以上800μm以下である。
【0012】
コア用絶縁層2には、補強材が含まれていてもよい。補強材としては、例えば、ガラス繊維、ガラス不織布、アラミド不織布、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの絶縁性布材が挙げられる。補強材は2種以上を併用してもよい。さらに、コア用絶縁層2には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機絶縁性フィラーが分散されていてもよい。
【0013】
コア用絶縁層2は、コア用絶縁層2の上下面を電気的に接続するために、スルーホール導体21を有している。スルーホール導体21は、コア用絶縁層2の上下面を貫通するスルーホール内に位置している。スルーホール導体21は、例えば、銅めっきなどの金属めっきからなる導体で形成されている。スルーホール導体21は、コア用絶縁層2の上下面に位置する導体層4に接続されている。スルーホール導体21は、図1に示すようにスルーホールの内壁面のみに位置していてもよく、スルーホール内に充填されていてもよい。
【0014】
スルーホール導体21は、接続される導体層4に応じて、グランド用スルーホール導体21a、電源用スルーホール導体21bおよび信号用スルーホール導体21cを含んでいる。すなわち、グランド用スルーホール導体21aは、後述するグランド用導体層4aに接続され、電源用スルーホール導体21bは、後述する電源用導体層4bに接続され、信号用スルーホール導体21cは、後述する信号用導体層4cに接続されている。スルーホール導体21は、厚みの大きいコア用絶縁層2に位置しているため、後述するビアホール導体41に比べて電気抵抗が大きい場合が多い。このため、特に電荷の供給経路として機能する電源用スルーホール導体21bは、数量を多くしてもよい。
【0015】
コア用絶縁層2の上面および下面には、積層体3が位置している。積層体3は、導体層4とビルドアップ用絶縁層5とが交互に積層された構造を有している。積層体3は、上面に電子部品を実装するための実装領域Xを含んでいる。実装領域Xが位置している積層体3の上面とは、コア用絶縁層2から遠い側の面を指す。積層体3に含まれる導体層4は、例えば銅箔や銅めっきから成る導体で形成されている。導体層4の厚みは特に限定されず、例えば5μm以上25μm以下である。導体層4には、グランド用導体層4a、電源用導体層4bおよび信号用導体層4cが含まれている。
【0016】
グランド用導体層4aは、信号用導体層4cのインピーダンスの整合、および信号用導体層4cへのノイズ混入の低減のために機能する。
【0017】
電源用導体層4bは、電荷の供給経路として機能する。このため、電源用導体層4bは、電子部品に近い実装領域Xの直下およびその周囲に配置しておくと電気抵抗が小さくなるため有利である。したがって、電源用導体層4bにつながる電源用スルーホール導体21bも、実装領域Xの直下およびその周囲に配置しておくと電荷供給の観点から有利である。
【0018】
信号用導体層4cは、信号を伝送する機能を有している。信号用導体層4cは、配線基板1全体にわたりできるだけインピーダンスの値を整合するように調整されている。これにより、信号が信号用導体層4cを伝送するときの損失を低減することができる。
【0019】
積層体3に含まれるビルドアップ用絶縁層5は、コア用絶縁層2と同様、絶縁性を有する素材であれば特に限定されない。絶縁性を有する素材としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。積層体3にビルドアップ用絶縁層5が2層以上存在する場合、それぞれのビルドアップ用絶縁層5は、同じ樹脂で形成されていてもよく、異なる樹脂で形成されていてもよい。積層体3に含まれるビルドアップ用絶縁層5とコア用絶縁層2とは、同じ樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。
【0020】
さらに、積層体3に含まれるビルドアップ用絶縁層5には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機絶縁性フィラーが、分散されていてもよい。積層体3に含まれるビルドアップ用絶縁層5の厚みは特に限定されず、例えば20μm以上40μm以下である。積層体3にビルドアップ用絶縁層5が2層以上存在する場合、それぞれのビルドアップ用絶縁層5は同じ厚みを有していてもよく、異なる厚みを有していてもよい。
【0021】
積層体3に含まれるビルドアップ用絶縁層5は、層間を電気的に接続するためのビアホール導体41を有している。ビアホール導体41は、積層体3に含まれるビルドアップ用絶縁層5の上下面を貫通するビアホール内に位置している。ビアホール導体41は、例えば、銅めっきなどの金属めっきからなる導体で形成されている。ビアホール導体41は、積層体3に含まれるビルドアップ用絶縁層5の上下面に位置する導体層4に接続されている。ビアホール導体41は、図1に示すようにビアホール内に充填されていてもよく、ビアホールの内壁面のみに位置していてもよい。
【0022】
ビアホール導体41は、接続される導体層4に応じて、グランド用ビアホール導体41a、電源用ビアホール導体41bおよび信号用ビアホール導体41cを含んでいる。すなわち、グランド用ビアホール導体41aはグランド用導体層4aに接続され、電源用ビアホール導体41bは電源用導体層4bに接続され、信号用ビアホール導体41cは信号用導体層4cに接続されている。
【0023】
第1の実施形態に係る配線基板1の両表面の一部には、ソルダーレジスト6が位置している。ソルダーレジスト6は、例えば、アクリル変性エポキシ樹脂で形成されている。ソルダーレジスト6は、例えば実装領域Xに電子部品を実装するときの熱から導体層4を保護する機能を有している。
【0024】
第1の実施形態に係る配線基板1において、電子部品(図示せず)と配線基板1との間で電気信号を伝送する信号用導体層4cは、その上面および下面にビルドアップ用絶縁層5を介してグランド用導体層4aまたは電源用導体層4bが対向するように位置している第1引き出し配線44および第2引き出し配線45を含んでいる。すなわち、第1引き出し配線44および第2引き出し配線45とグランド用導体層4aまたは電源用導体層4bとは、ストリップ線路構造を有している。
【0025】
ストリップ線路構造は、信号用導体層4cの上面および下面の両面に、ビルドアップ用絶縁層5を介してグランド用導体層4aまたは電源用導体層4bが対向するように位置している構造である。信号用導体層4cのインピーダンスを整合するために、この構造が採用される。ノイズの混入を防止するためにも、ストリップ線路構造を採用するのがよい。
【0026】
第1の実施形態に係る配線基板1において、電子部品が実装される実装領域Xには、積層体3の最表層に位置する導体層4の一部である接続パッド42が位置している。接続パッド42は、配線基板1に電子部品を電気的に接続するために使用される。接続パッド42は、接続される導体層4に応じて、グランド用接続パッド42a、電源用接続パッド42bおよび信号用接続パッド(第1信号用接続パッド42c1および第2信号用接続パッド42c2)を含んでいる。すなわち、グランド用接続パッド42aはグランド用導体層4aに接続され、電源用接続パッド42bは電源用導体層4bに接続され、第1信号用接続パッド42c1および第2信号用接続パッド42c2は信号用導体層4cに接続されている。
【0027】
本明細書において、第1信号用接続パッド42c1は、平面透視で、電源用導体層4bに重ならない領域に位置する信号用接続パッド42cを意味する。第2信号用接続パッド42c2は、平面透視で、電源用導体層4bに重なる領域に位置する信号用接続パッド42cを意味する。
【0028】
以下、導体層4を、図2~8を参照して具体的に説明する。図2は、第1の実施形態に係る配線基板1の一部において、最上層に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。図2は、実装領域Xを十字に4分割した内の1つとその近傍とを示す平面図である。後述の図3~8についても同様である。
【0029】
図2に示すように、実装領域Xには、グランド用接続パッド42a、電源用接続パッド42b、第1信号用接続パッド42c1および第2信号用接続パッド42c2の各接続パッド42が、格子状に位置している。この接続パッド42を囲むように、プレーン導体層4pの一部であるグランド用導体層4aが位置している。格子状とは、複数の接続パッド42が、それぞれ間隔をあけて縦横の並びに配置されている状態を示す。
【0030】
格子状に位置している接続パッド42のうち、最外周側から少なくとも2列には、第1信号用接続パッド42c1が位置している。第1信号用接続パッド42c1の内周側において、第1信号用接続パッド42c1側から少なくとも1列には、電源用接続パッド42bおよびグランド用接続パッド42aが位置している。電源用接続パッド42bおよびグランド用接続パッド42aの内周側において、電源用接続パッド42bおよびグランド用接続パッド42a側から少なくとも2列には、第2信号用接続パッド42c2が位置している。
【0031】
図3は、第1の実施形態に係る配線基板1の一部において、最上層に位置する導体層4から1層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。最上層に位置する導体層4から1層内側に位置する導体層4の一部は、ビアランド43を含んでいる。このビアランド43は、ビアホール導体41を介して接続パッド42に接続されている。これらのビアランド43のうち、第1ビアランド431は、信号用ビアホール導体41cを介して第1信号用接続パッド42c1に接続されている。第2ビアランド432は、信号用ビアホール導体41cを介して第2信号用接続パッド42c2に接続されている。
【0032】
最上層に位置する導体層4から1層内側に位置する導体層4は、導体層4の一部であり二つの端部を有する複数の引き出し配線を含む引き出し導体層である。この複数の引き出し配線は、第1引き出し配線44であり、信号用導体層4cとして機能している。
【0033】
図3に示すように、複数の第1引き出し配線44の各々の一端は、第1ビアランド431に接続されている。第1引き出し配線44の各々の他端は、実装領域Xよりも外側に位置するビアホール導体41(信号用ビアホール導体41c)と接続されている。
【0034】
第1引き出し配線44においてストリップ線路構造を採れない部分の長さは限定されず、例えば、信号用導体層4cが伝送する信号の波長の4分の1以下であるのがよい。第1引き出し配線44において、ストリップ線路構造を採れない部分をこのような長さにすることによって、信号用導体層におけるインピーダンス整合への影響を小さくすることができる。すなわち、第1引き出し配線44は、この部分ではグランド用導体層4aによってインピーダンス調整が行われていないものの、上記の長さ以下にすることで第1信号用接続パッド42c1、第1引き出し配線44、第1ビアランド431および下層の信号用導体層4cとの間で、インピーダンスの不整合を無視することができる。その結果、信号は第1引き出し配線44による影響を受けることなく伝送することができる。
【0035】
信号用導体層4cを伝送する一般的な信号の波長を考慮すると、第1引き出し配線44においてストリップ線路構造を採れない部分の長さは、例えば1000μm程度となることが多い。接続パッド42の配置間隔を考慮すると、第1引き出し配線44においてストリップ線路構造を採れない部分の長さは、例えば250μm以上の長さとなることが多い。第1引き出し配線44においてストリップ線路構造を採れない部分の長さは、例えば、金属顕微鏡観察などにより測定が可能である。
【0036】
上述のように、第1引き出し配線44の各々の一端は、第1ビアランド431に接続されるように形成されている。そのため、図4に示すように、最上層に位置する導体層4から2層内側に位置する導体層4には、第2ビアランド432と、グランド用接続パッド42aまたは電源用接続パッド42bに接続されるビアランド43(図4では、電源用接続パッド42bに接続されるビアランド43)とが残る。
【0037】
図5は、第1の実施形態に係る配線基板1の一部において、最上層に位置する導体層4から3層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。最上層に位置する導体層4から3層内側に位置する導体層4は、導体層4の一部であり二つの端部を有する複数の引き出し配線を含む引き出し導体層である。この引き出し配線は、第2引き出し配線45であり、信号用導体層4cとして機能している。
【0038】
図5に示すように、第2引き出し配線45の各々の一端は第2ビアランド432に接続されている。第2引き出し配線45に接続されるビアランド43は、第2ビアランド432に含まれるビアランド43のうち、図5に示すように最外側に位置するビアランド43であってもよく、最外側以外に位置するビアランド43であってもよく、最外側および最外側以外の両方のビアランド43が混ざっていてもよい。第2引き出し配線45が、間隔の狭いビアランド43間を通る箇所を少なくして絶縁性を確保する点で、図5に示すように、第2ビアランド432に含まれるビアランド43のうち、最外側に位置するビアランド43が第2引き出し配線45に接続されるのがよい。第2引き出し配線45の各々の他端は、実装領域Xよりも外側に位置するビアホール導体41(信号用ビアホール導体41c)と接続されている。
【0039】
図6は、第1の実施形態に係る配線基板1の一部において、最上層に位置する導体層4から4層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。最上層に位置する導体層4から4層内側に位置する導体層4には、中継ぎビアランド47が位置している。中継ぎビアランド47は、平面透視で、プレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bと重なる領域外に位置している。この中継ぎビアランド47は、第2ビアランド432に含まれるビアランド43のうち、第2引き出し配線45と接続されていないビアランド43と、中継ぎ配線46を介して接続されている。この中継ぎ配線46を含んでいる層が、中継ぎ配線保有層に相当する。中継ぎ配線保有層は、例えば、図6に示すように、第2信号用接続パッド42c2のうち最も内側の列に位置する接続パッド42と同軸上(下方)で繋がる第2ビアランド432と、中継ぎビアランド47とを、中継ぎ配線46で繋いでいるのがよい。このように繋ぐことによって、絶縁信頼性が向上する。
【0040】
このように、中継ぎビアランド47と中継ぎ配線46とを含むことによって、平面透視で、第2信号用接続パッド42c2と重なる領域に位置するプレーン導体層4pの一部である電源用導体層4b内に、信号用導体層4c(引き出し配線)を存在させないようにすることができる。具体的には、図7に示すように、最上層に位置する導体層4から5層内側に位置する導体層4(最下層のビルドアップ用絶縁層5の上面に位置する導体層4)において、プレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bと重なる領域外に位置している中継ぎビアランド47が、実装領域Xよりも外側に位置するビアホール導体41(信号用ビアホール導体41c)と、信号用導体層4cを介して接続されている。図6に示す中継ぎビアランド47と図7に示す中継ぎビアランド47とは、ビアホール導体を介して電気的に接続されている。
【0041】
その結果、プレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bが、信号用導体層4c(引き出し配線)によって挟まれる狭小領域を含まず、電荷の供給経路が確保できる。これにより、半導体素子の性能を低下させることなく作動させることができる。図8は、最上層に位置する導体層4から6層内側に位置する導体層4(コア用絶縁層2の上面に位置する導体層4)を平面視した場合を示す説明図である。
【0042】
次に、図9~12を参照して、第2の実施形態に係る配線基板について、具体的に説明する。第2の実施形態に係る配線基板において、第1の実施形態に係る配線基板1と同じ部材については同じ符号を付しており、詳細な説明については省略する。
【0043】
第2の実施形態に係る配線基板は、第1の実施形態に係る配線基板1と同様、中継ぎ配線46および中継ぎビアランド47を含むものの、中継ぎ配線46および中継ぎビアランド47が位置している層(中継ぎ配線保有層)が異なる。
【0044】
まず、最上層に位置する導体層4については、図2に示すように、第1の実施形態に係る配線基板1と同じである。この最上層に位置する導体層4が位置しているビルドアップ用絶縁層5を、便宜上、第1ビルドアップ用絶縁層とする。図9は、第2の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層4から1層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。
【0045】
図9に示すように、複数の第1引き出し配線44の各々の一端は、第1ビアランド431に含まれるビアランド43に接続されている。第1引き出し配線44の各々の他端は、実装領域Xよりも外側に位置するビアホール導体41(信号用ビアホール導体41c)と接続されている。最上層に位置する導体層4から1層内側に位置する導体層4には、第1信号用接続パッド42c1と同じ配列の第1ビアランド431および第2信号用接続パッド42c2と同じ配列の第2ビアランド432が位置している。この図9に示す導体層4は、第1引き出し配線44を含む引き出し導体層である。
【0046】
さらに、この層において、中継ぎビアランド47が位置している。中継ぎビアランド47は、平面透視で、プレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bと重なる領域外に位置している。この中継ぎビアランド47は、第2ビアランド432に含まれる一部のビアランド43と、中継ぎ配線46を介して接続されている。この中継ぎ配線46を含んでいる層が、中継ぎ配線保有層に相当する。この中継ぎ配線保有層が位置しているビルドアップ用絶縁層5を、便宜上、第2ビルドアップ用絶縁層とする。
【0047】
中継ぎ配線46に接続されるビアランド43は、第2ビアランド432に含まれるビアランド43のうち、図9に示すように最外側に位置するビアランド43であってもよく、最外側以外に位置するビアランド43であってもよく、最外側および最外側以外の両方のビアランド43が混ざっていてもよい。ストリップ構造をとれない中継ぎ配線46の長さを短くしてインピーダンスの不整合を防ぐという点、および中継ぎ配線46が、間隔の狭いビアランド43間を通る箇所を少なくして絶縁性を確保する点で、図9に示すように、第2ビアランド432に含まれるビアランド43のうち、最外側に位置するビアランド43が中継ぎ配線46に接続されるのがよい。
【0048】
中継ぎ配線保有層は、例えば、図9に示すように、第2信号用接続パッド42c2のうち最も外側の列に位置する接続パッド42と同軸上(下方)で繋がる第2ビアランド432と、中継ぎビアランド47とを、中継ぎ配線46で繋いでいるのがよい。このように繋ぐことによって、信号を伝送する際の損失がより低減される。
【0049】
上述のように、第1引き出し配線44の各々の一端は、第1ビアランド431に接続されるように形成されている。そのため、図10に示すように、最上層に位置する導体層4から2層内側に位置する導体層4には、第2ビアランド432に含まれるビアランド43のうち中継ぎ配線46に接続されていないビアランド43と、電源用ビアホール導体41bに接続されるビアランド43とが残る。
【0050】
平面透視で、プレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bと重なる領域外に位置している中継ぎビアランド47は、図10に示す第1補助ビアランド471と、ビアホール導体を介して電気的に接続されている。この第1補助ビアランド471は、第1補助ビアランド471よりもさらに外側に位置する第2補助ビアランド472と、第1補助配線461を介して接続されている。この第1補助ビアランド471、第2補助ビアランド472および第1補助配線461が位置しているビルドアップ用絶縁層5を、便宜上、第3ビルドアップ用絶縁層とする。
【0051】
図11は、第2の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層4から3層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。図11に示すように、最上層に位置する導体層4から3層内側に位置する導体層4は、第2引き出し配線45を含み信号用導体層4cとして機能している。
【0052】
第2引き出し配線45の各々の一端は、第2ビアランド432のうち、中継ぎ配線46に接続されていないビアランド43に接続されている。第2引き出し配線45の各々の他端は、実装領域Xよりも外側に位置するビアホール導体41(信号用ビアホール導体41c)と接続されている。
【0053】
信号用導体層4cの各々の一端は、第2補助ビアランド472に接続されている。信号用導体層4cの各々の他端は、実装領域Xよりも外側に位置するビアホール導体41(信号用ビアホール導体41c)と接続されている。図10に示す第2補助ビアランド472と図11に示す第2補助ビアランド472とは、ビアホール導体41を介して電気的に接続されている。
【0054】
その結果、図12に示す導体層4には、いずれの引き出し配線も存在していない。そのため、プレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bが、信号用導体層4c(引き出し配線)によって挟まれる狭小領域を含まず、電荷の供給経路が確保できる。これにより、半導体素子の性能を低下させることなく作動させることができる。図12は、第2の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層4から4層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。この導体層4は、積層体3において最下層に位置するビルドアップ用絶縁層5の表面に位置している。図12に示す導体層4の1層内層に位置する導体層4は、図8に示すコア用絶縁層2の上面に位置する導体層4と同様であり、詳細な説明は省略する。第2の実施形態では、第1の実施形態よりもビルドアップ用絶縁層5を1層少なくできる点で有利である。
【0055】
次に、図13~16を参照して、第3の実施形態に係る配線基板について、具体的に説明する。第3の実施形態に係る配線基板において、第1の実施形態に係る配線基板1と同じ部材については同じ符号を付しており、詳細な説明については省略する。
【0056】
第3の実施形態に係る配線基板は、第1の実施形態に係る配線基板1と同様、中継ぎ配線46および中継ぎビアランド47を含むものの、中継ぎ配線46および中継ぎビアランド47が位置している層(中継ぎ配線保有層)が異なる。
【0057】
図13に示すように、実装領域Xには、グランド用接続パッド42a、電源用接続パッド42b、第1信号用接続パッド42c1および第2信号用接続パッド42c2の各接続パッド42が、格子状に位置している。この接続パッド42を囲むように、プレーン導体層4pの一部であるグランド用導体層4aが位置している。格子状とは、複数の接続パッド42が、それぞれ間隔をあけて縦横の並びに配置されている状態を示す。
【0058】
格子状に位置している接続パッド42のうち、最外周側から複数列で信号用接続パッド42cが位置している。信号用接続パッド42cのうち、最外周側から少なくとも2列には、第1信号用接続パッド42c1が位置している。残りの信号用接続パッド42cが、第2信号用接続パッド42c2である。上記のように、平面透視で、第1信号用接続パッド42c1は、電源用導体層4bに重ならない領域に位置する。一方、第2信号用接続パッド42c2は、平面透視で、電源用導体層4bに重なる領域に位置している。信号用接続パッド42cの内周側には、グランド用接続パッド42aおよび電源用接続パッド42bが位置している。この最上層に位置する導体層4が位置しているビルドアップ用絶縁層5を、便宜上、第1ビルドアップ用絶縁層とする。
【0059】
図14は、第3の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層4から1層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。図14に示すように、複数の第1引き出し配線44の各々の一端は、第1ビアランド431に接続されている。第1引き出し配線44の各々の他端は、実装領域Xよりも外側に位置するビアホール導体41(信号用ビアホール導体41c)と接続されている。最上層に位置する導体層4から1層内側に位置する導体層4には、第1信号用接続パッド42c1と同じ配列の第1ビアランド431および第2信号用接続パッド42c2と同じ配列の第2ビアランド432が位置している。この図14に示す導体層4は、第1引き出し配線44を含む引き出し導体層である。
【0060】
図14に示すように、第2ビアランド432の一部は、第1ビアランド431の配列と第2ビアランド432の配列との間に位置する第3補助ビアランド473と、第2補助配線462を介して接続されている。この第3補助ビアランド473および第2補助配線462が位置しているビルドアップ用絶縁層5を、便宜上、第2ビルドアップ用絶縁層とする。
【0061】
図15は、第3の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層4から2層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。図15に示すように、一層上の導体層4において、第3補助ビアランド473と接続されていない第2ビアランド432が、中継ぎビアランド47と、中継ぎ配線46を介して接続されている。中継ぎビアランド47は、平面透視で、プレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bと重なる領域外に位置している。この中継ぎ配線46を含んでいる層が、中継ぎ配線保有層に相当する。この中継ぎ配線保有層が位置しているビルドアップ用絶縁層5を、便宜上、第3ビルドアップ用絶縁層とする。
【0062】
さらに、この中継ぎ配線保有層において、第4補助ビアランド474が第5補助ビアランド475と、第3補助配線463を介して接続されている。図15に示す第4補助ビアランド474と図14に示す第3補助ビアランド473とは、ビアホール導体41を介して電気的に接続されている。第5補助ビアランド475は、中継ぎビアランド47よりも外側に位置している。
【0063】
中継ぎ配線保有層は、例えば、図15に示すように、第2信号用接続パッド42c2のうち最も外側の列に位置する接続パッド42と同軸上(下方)で繋がる第2ビアランド432と、中継ぎビアランド47とを、中継ぎ配線46で繋いでいるのがよい。このように繋ぐことによって、信号を伝送する際の損失がより低減される。
【0064】
次いで、図16は、第3の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層4から3層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。図16に示すように、最上層に位置する導体層4から3層内側に位置する導体層4は、信号用導体層4cとして機能している。
【0065】
信号用導体層4cの各々の一端は、中継ぎビアランド47に接続されている。信号用導体層4cの各々の他端は、実装領域Xよりも外側に位置するビアホール導体41(信号用ビアホール導体41c)と接続されている。図16に示す中継ぎビアランド47は、図15に示す1層上の中継ぎビアランド47または第5補助ビアランド475のいずれかと、ビアホール導体41を介して電気的に接続されている。
【0066】
その結果、図16に示すように、平面透視で、第2信号用接続パッド42c2と重なる領域に位置するプレーン導体層4pの一部である電源用導体層4b内に、信号用導体層4c(引き出し配線)を存在させないようにすることができる。そのため、プレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bが、信号用導体層4c(引き出し配線)によって挟まれる狭小領域を含まず、電荷の供給経路が確保できる。これにより、半導体素子の性能を低下させることなく作動させることができる。図16は、第3の実施形態に係る配線基板の一部において、最上層に位置する導体層4から3層内側に位置する導体層4を平面視した場合を示す説明図である。この導体層4は、積層体3において最下層に位置するビルドアップ用絶縁層5の表面に位置している。図16に示す導体層4の1層内層に位置する導体層4は、図8に示すコア用絶縁層2の上面に位置する導体層4と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0067】
さらに、第3の実施形態に係る配線基板によれば、第2の実施形態よりもビルドアップ用絶縁層5を1層少なくできる点で有利である。つまり、第1信号用接続パッド42c1の数(列数)および第2信号用接続パッド42c2の数(列数)が同じ場合、引き出し配線層の層数を少なくして薄型化された配線基板を提供することができる。
【0068】
特許文献1に示すような従来の配線基板には、図7図12および図16に相当する導体層において、プレーン導体層の一部である電源用導体内に、電流経路を阻害する信号用導体(引き出し配線)が存在していた。そのため、電源用導体は、引き出し配線によって挟まれる狭小領域によって電荷の供給が阻害され、実装される半導体素子の性能を低下させていた。
【0069】
第1の実施形態に係る配線基板1においては、図7に示すように、最下層のビルドアップ用絶縁層5の上面に位置する導体層4には、第1信号用接続パッド42c1よりも内側の領域に、電源用接続パッド42bとビアホール導体41(電源用ビアホール導体41b)を介して接続されるプレーン導体層4pの一部である電源用導体層4bが位置している。図12および図16に示すように、第2の実施形態に係る配線基板および第3の実施形態に係る配線基板についても同様である。
【0070】
しかし、本開示の配線基板においては、プレーン導体層4pであれば、電源用導体に限定されない。広い面積を有するプレーン導体層4pを実装領域の直下に確保することによって、半導体素子への電源/グランド供給経路のインダクタンスを低くすることができる。特に、図7図12および図16に示すように、プレーン導体層4pが、電源用導体層4bであれば、実装領域Xに搭載される半導体素子に、短距離かつ低インダクタンスで電荷を供給することができる。そのため、半導体素子をより安定に作動させることができる。
【0071】
第1の実施形態に係る配線基板1においては、図7に示すように、最下層のビルドアップ用絶縁層5の上面に位置する導体層4には、第1信号用接続パッド42c1よりも内側の領域に、プレーン導体層4pとして電源用導体層4bが単独で位置している。図12および16に示すように、第2の実施形態に係る配線基板および第3の実施形態に係る配線基板についても同様である。
【0072】
しかし、本開示の配線基板においては、プレーン導体層4pとして、互いに電気的に独立した複数のプレーン導体層4pが含まれていてもよい。複数のプレーン導体層4pが含まれていると、複数チャンネルの電源/グランドを設けることができる。さらに、アナログ信号およびデジタル信号の両信号用の半導体素子に対応することもできる。
【0073】
本開示の配線基板は、上述の第1の実施形態に係る配線基板1、第2の実施形態に係る配線基板および第3の実施形態に係る配線基板に限定されない。例えば、第1の実施形態に係る配線基板1、第2の実施形態に係る配線基板および第3の実施形態に係る配線基板の実装領域Xにおいて、第1信号用接続パッド42c1および第2信号用接続パッド42c2は、それぞれ2列位置している。しかし、本開示の配線基板において、第1信号用接続パッド42c1は3列以上位置していてもよい。同様に、第2信号用接続パッド42c2は3列以上位置していてもよい。
【0074】
第1の実施形態に係る配線基板1および第2の実施形態に係る配線基板の実装領域Xにおいて、1列の電源用接続パッド42bおよび1列のグランド用接続パッド42aが位置している。しかし、本開示の配線基板において、電源用接続パッド42bおよびグランド用接続パッド42aが、それぞれ複数列存在していてもよく、電源用接続パッド42bおよびグランド用接続パッド42aが合わせて1列に位置していてもよい。
【0075】
第1の実施形態に係る配線基板1において、ビルドアップ層を形成している積層体3は、6層のビルドアップ用絶縁層5と6層の導体層4とが、交互に積層された構造を有している。第2の実施形態に係る配線基板において、ビルドアップ層を形成している積層体3は、5層のビルドアップ用絶縁層5と5層の導体層4とが、交互に積層された構造を有している。第3の実施形態に係る配線基板において、ビルドアップ層を形成している積層体3は、4層のビルドアップ用絶縁層5と4層の導体層4とが、交互に積層された構造を有している。しかし、本開示の配線基板において、ビルドアップ用絶縁層および導体層の層数は、ビルドアップ構造を有していれば限定されない。層数は、例えば、第1信号用接続パッド42c1の列数および第2信号用接続パッド42c2の列数などに応じて、適宜設定すればよい。
【0076】
第1の実施形態に係る配線基板1、第2の実施形態に係る配線基板および第3の実施形態に係る配線基板において、各引き出し配線(信号用導体層4c)は、シングルラインである。しかし、各引き出し配線は、差動線路(ペアライン)であっても構わない。差動線路は、高周波伝送における電気的ロスの少ない形態であり、高周波信号を伝送する伝送路として有用である。
【0077】
さらに、本開示の配線基板において、実装領域Xに実装される半導体素子は、一般的に配線基板に搭載される半導体素子であれば限定されない。このような半導体素子としては、例えば、半導体集積回路素子、オプトエレクトロニクス素子などが挙げられる。
【符号の説明】
【0078】
1 配線基板
2 コア用絶縁層
21 スルーホール導体
21a グランド用スルーホール導体
21b 電源用スルーホール導体
21c 信号用スルーホール導体
3 積層体
4 導体層
4a グランド用導体層
4b 電源用導体層
4c 信号用導体層
4p プレーン導体層
41 ビアホール導体
41a グランド用ビアホール導体
41b 電源用ビアホール導体
41c 信号用ビアホール導体
42 接続パッド
42a グランド用接続パッド
42b 電源用接続パッド
42c1 第1信号用接続パッド
42c2 第2信号用接続パッド
43 ビアランド
431 第1ビアランド
432 第2ビアランド
44 第1引き出し配線
45 第2引き出し配線
46 中継ぎ配線
46’ 第2中継ぎ配線
461 第1補助配線
462 第2補助配線
463 第3補助配線
47 中継ぎビアランド
471 第1補助ビアランド
472 第2補助ビアランド
473 第3補助ビアランド
474 第4補助ビアランド
475 第5補助ビアランド
5 ビルドアップ用絶縁層
6 ソルダーレジスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16