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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】冷風供給装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 29/00 20060101AFI20240813BHJP
   F24F 1/48 20110101ALI20240813BHJP
【FI】
F25B29/00 351
F24F1/48
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021043423
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143087
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】坂井 正頌
(72)【発明者】
【氏名】崔 林日
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 誠司
(72)【発明者】
【氏名】堤 友哉
(72)【発明者】
【氏名】竹中 悠
(72)【発明者】
【氏名】星野 徹
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096797(JP,A)
【文献】特開2016-105028(JP,A)
【文献】国際公開第2017/042942(WO,A1)
【文献】実公昭47-021341(JP,Y1)
【文献】実開昭55-174573(JP,U)
【文献】特開2018-204823(JP,A)
【文献】特開2007-218502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/38
F24F 1/48
F25B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気と冷媒とを熱交換させることで前記冷媒を蒸発させる熱交換器と、前記熱交換器へ前記外気を供給する熱交換器送風機と、を有するヒートポンプに設けられる冷風供給装置であって、
大気に開口する開口部と、前記熱交換器で熱交換した前記外気を導入する導入部と、を有するチャンバと、
前記チャンバの前記開口部と前記導入部との間に接続され、前記開口部が大気に開口している状態において、前記チャンバ内の前記外気を利用先へ導く外気流通部と、を備える冷風供給装置。
【請求項2】
前記外気流通部には供給送風機が設けられている請求項1に記載の冷風供給装置。
【請求項3】
前記熱交換器送風機が前記外気を送風する方向は、前記供給送風機が前記外気を送風する方向と異なっている請求項2に記載の冷風供給装置。
【請求項4】
前記チャンバは、上下方向に延在していて、
前記開口部は、前記チャンバの上端部に形成されていて、
前記導入部は、前記チャンバの下端部に形成されていて、
前記外気流通部は、前記チャンバの前記上下方向の中央よりも下方に接続している請求項1から請求項3のいずれかに記載の冷風供給装置。
【請求項5】
前記熱交換器送風機は、ファンを有し、
前記開口部の直径は、前記ファンの直径以上とされている請求項1から請求項4のいずれかに記載の冷風供給装置。
【請求項6】
前記外気流通部は、前記チャンバ内に挿入されている請求項1から請求項5のいずれかに記載の冷風供給装置。
【請求項7】
外気と冷媒とを熱交換させることで前記冷媒を蒸発させる熱交換器と、前記熱交換器へ前記外気を供給する熱交換器送風機と、を有するヒートポンプに設けられる冷風供給装置であって、
大気に開口する開口部と、前記熱交換器で熱交換した前記外気を導入する導入部と、を有するチャンバと、
前記チャンバの前記開口部と前記導入部との間に接続され、前記チャンバ内の前記外気を利用先へ導く外気流通部と、を備え、
前記チャンバは、上下方向に延在していて、
前記開口部は、前記チャンバの上端部に形成されていて、
前記導入部は、前記チャンバの下端部に形成されていて、
前記外気流通部は、前記チャンバの前記上下方向の中央よりも下方に接続している冷風供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷風供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾燥や給湯などの用途で利用される温風や温水を生産設備に供給するヒートポンプが知られている。ヒートポンプは、温風や温水を生成する際に、冷風を排出する。排出される冷風は、大気中に放熱される場合や、冷風として他の設備で利用される場合がある。例えば、特許文献1には、空気熱交換器から排出される冷風を屋内に導いて冷房に活用するヒートポンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-218502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば生産設備や業務施設では、季節によって使用量の増減はあるものの、一年中温風や温水が使用される。このため、生産設備や業務施設へ温風や温水を供給するヒートポンプは、一年中運転されることが多い。ヒートポンプから温風や温水が供給される設備付近では、設備内の温度が高温化するが、特に、夏季には高温化が顕著となる。このため、このような設備では、作業環境の改善を目的として、当該設備に冷風を供給する冷房を設けている場合がある。
【0005】
当該設備に供給する冷風として、熱交換器で熱交換を終え冷却された外気(以下、「冷風」と称する。)を用いる場合がある。一般的に、熱交換器へ外気を導く送風機は静圧が少ない。このため、送風機が使用される環境が不安定である場合には、送風機の運転の不安定となってしまう可能性があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、チャンバ内に外気を送風する供給送風機の運転の安定性を向上させることができる冷風供給装置を提供することを目的とする。
また、チャンバ内の外気を利用先へ導き易くすることができる冷風供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の冷風供給装置は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る冷風供給装置は、外気と冷媒とを熱交換させることで前記冷媒を蒸発させる熱交換器と、前記熱交換器へ前記外気を供給する供給送風機と、を有するヒートポンプに設けられる冷風供給装置であって、大気に開口する開口部と、前記熱交換器で熱交換した前記外気を導入する導入部と、を有するチャンバと、前記チャンバの前記開口部と前記導入部との間に接続され、前記チャンバ内の前記外気を利用先へ導く外気流通部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、チャンバ内に外気を送風する供給送風機の運転の安定性を向上させることができる。
また、チャンバ内の外気を利用先へ導き易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係るヒートポンプを示す概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係る室外機及び冷風供給装置を示す模式的な斜視図である。
図3】本開示の実施形態に係る冷風供給装置の要部を示す模式的な図である。
図4】本開示の実施形態に係る冷風供給装置の要部を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る冷風供給装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るヒートポンプ100は、例えば、乾燥や給湯などの用途で利用される温水を生産設部や業務施設等へ供給する。なお、本実施形態に係るヒートポンプ100が適用される施設等はこれに限定されない。また、ヒートポンプ100は、各施設へ温風を供給してもよい。
【0011】
図1に示すように、ヒートポンプ100は、膨張弁10、蒸発器(熱交換器)11、圧縮機12、凝縮器13、及びこれらを接続する冷媒配管14を有する冷凍サイクル90を備えている。冷凍サイクル90では、冷媒が冷媒配管14を介して膨張弁10、蒸発器11、圧縮機12及び凝縮器13を順次循環する。蒸発器11には、後述する冷風供給装置30が設けられている。
【0012】
膨張弁10は、冷媒を膨張させることにより冷媒の温度を下げる。蒸発器11は、膨張弁10を経た冷媒と外部から供給された空気との間で熱交換を行う。蒸発器11に供給された冷媒の温度は、空気の温度よりも低い。このため、冷媒は、空気(外気)と熱交換することにより、空気が有する熱を受け取る。したがって、蒸発器11を通過した冷媒の温度は上昇する。一方で、当該冷媒と熱交換された空気の温度は、冷媒と熱交換することにより低下する。本実施形態では、後述するように、蒸発器11で冷媒との熱交換により冷却された外気(以下、「冷風」と称する。)を冷風の利用先へ導いている。
【0013】
圧縮機12は、蒸発器11から排出された冷媒を圧縮することで、蒸発器11で上昇した冷媒の温度をさらに上昇させる。凝縮器13は、圧縮機12を経た冷媒と外部から供給された水との間で熱交換を行う。凝縮器13に供給された冷媒の温度は、水の温度よりも高くなっている。そのため、冷媒から水に熱が移動し、水の温度は上昇する。温度が上昇した水は外部に排出される。凝縮器13で冷媒との熱交換により昇温された水(温水)を利用先の施設へ導いている。
【0014】
次に、図2から図4を用いて、本実施形態に係る蒸発器11が収容される室外機20及び室外機20に設けられる冷風供給装置30について詳細に説明する。
【0015】
室外機20は、図2に示すように、外殻を為す筐体21と、筐体21の天井部に設けられる2つの室外機ファン(熱交換器送風機)22と、を備えている。なお、室外機ファン22の数は2つに限定されない。室外機ファン22の数は、例えば、1つであってもよく、また、3つ以上の複数であってもよい。
【0016】
筐体21は、箱状の部材であって、内部に蒸発器11を収容している。筐体21の天井部には、後述の導入ダクト31と接続する筐体開口23が2つ形成されている。筐体開口23は、筐体21の内部空間と外部空間とを接続している。
室外機ファン22は、筐体21の前面及び/又は背面から筐体21の内部に外気を導入する。詳細には、室外機ファン22は、筐体21の内部に収容された蒸発器11へ外気を供給する。室外機ファン22は、蒸発器11で熱交換を終えた外気(冷風)を後述する冷風供給装置30の導入ダクト31へ導く。
【0017】
冷風供給装置30は、室外機20に接続される導入ダクト(チャンバ)31と、導入ダクト31に接続される冷風ダクト(外気流通部)32と、を備えている。
【0018】
導入ダクト31は、室外機20の天井部に接続されている。導入ダクト31は、上下方向に延びる直線状のダクトである。導入ダクト31は、流路断面が円形状をしている。導入ダクト31の流路断面の直径は、例えば、約700mm程度としてもよい。なお、導入ダクト31の流路断面の直径は、一例であり、この数値に限定されない。
導入ダクト31は、下端に下端開口(導入部)34形成されている。下端開口34は、筐体21に形成された筐体開口23に接続している。導入ダクト31は、上端に上端開口(開口部)33が形成されている。上端開口33は、大気に開口している。すなわち、導入ダクト31は、筐体21の内部空間と大気とを接続している。
上端開口33の直径は、室外機ファン22の直径以上とされている。
【0019】
冷風ダクト32は、図2及び図3に示すように、上流端部が導入ダクト31の側面に接続されている。冷風ダクト32に上流端に形成された入口開口37は、下端開口34と対向しないように設けられている。冷風ダクト32は、導入ダクト31の途中位置に接続されている。詳細には、冷風ダクト32は、図3に示すように、導入ダクト31の上下方向の中央よりも下方に接続されている。また、冷風ダクト32は、図4に示すように、冷風ダクト32の側面を貫通している。すなわち、冷風ダクト32は、導入ダクト31の内部に挿入されている。冷風ダクト32の上流端に形成された入口開口37は、冷風ダクト32の内部に位置している。
【0020】
冷風ダクト32は、水平方向に延びる直線状のダクトである。冷風ダクト32は、流路断面が円形状をしている。冷風ダクト32の流路断面の直径は、例えば、約400mm程度としてもよい。すなわち、冷風ダクト32の流路断面の面積は、冷風ダクト32の流路断面の面積よりも小さい。なお、導入ダクト31の流路断面の直径は、一例であり、この数値に限定されない。
【0021】
冷風ダクト32の途中位置には、供給ファン(供給送風機)35が設けられている。供給ファン35は、誘引ファンとされている。供給ファン35が駆動すると、冷風ダクト32内を冷風が流通する。また、供給ファン35が停止すると、冷風ダクト32内の冷風の流通が停止する。供給ファン35は、制御装置によって発停を制御されている。供給ファン35は、水平方向に冷風を送風している。すなわち、供給ファン35は、室外機ファン22が冷風を送風する方向(上下方向)とは、異なる方向へ冷風を送風している。
【0022】
冷風ダクト32の下流端は、冷風の利用先に接続されている。すなわち、冷風ダクト32は、室外機20内の蒸発器11で熱交換を終えた冷風を利用先へ導いている。利用先の例としては、例えば、ヒートポンプで生成した温水の供給先近傍であって、作業員が作業する作業空間等が挙げられる。温水の供給先近傍は、比較的高温となるが、冷風を作業空間へ導くことで、作業環境を快適化することができる。
【0023】
次に、冷風供給装置30を利用して利用先へ冷風を供給する方法について説明する。
まず、制御装置は、ヒートポンプ100の起動指令を発信する。これにより、ヒートポンプ100が起動する。ヒートポンプ100が起動すると、凝縮器13で温水が生成されるとともに、蒸発器11で冷風が生成される。なお、この状態では、供給ファン35は停止した状態とされている。
【0024】
制御装置は、冷風の利用先(例えば、作業空間)の温度が所定の温度以上となったことを検出すると、供給ファン35を起動する。これにより、供給ファン35が駆動する。供給ファン35が駆動すると、導入ダクト31を介して、冷風が冷風ダクト32内に引き込まれ、冷風ダクト32内を流通する。冷風ダクト32内を流通した冷風は、利用先(作業空間)へ導かれ、利用先を冷却する。制御装置は、冷風の利用先(例えば、作業空間)の温度が所定の温度よりも低くとなったことを検出すると、供給ファン35を停止する。これにより、利用先へ冷風が供給されない状態となる。また、ヒートポンプ100が停止された場合には、冷風が生成されないので、制御装置は供給ファン35も停止する。
【0025】
なお、制御装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
また、制御装置が行う制御は一例であって、上記説明の制御に限定されないことはもちろんである。また、ヒートポンプ100の発停や、供給ファン35の発停は手動で行ってもよい。
【0026】
本開示によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、冷風ダクト32を備えている。これにより、蒸発器11で冷媒と熱交換することで冷却された外気(以下、「冷風」と称する。)を利用先へ導ことができるので、利用先で冷風を利用することができる。このように、ヒートポンプ100で生成される冷風を利用先で利用することができるので、別途利用先に冷風を供給する装置を設ける場合と比較して、エネルギ効率を向上させることができる。また、二酸化炭素の発生量を低減することができる。
【0027】
また、本実施形態では、大気に開口する上端開口33が導入ダクト31に形成されている。これにより、導入ダクト31内の圧力を大気圧に近くすることができる。したがって、導入ダクト31内に外気を送風する室外機ファン22が使用される環境を安定させることができる。よって、室外機ファン22の運転の安定性を向上させることができる。
【0028】
また、冷風ダクト32が導入ダクト31の上端開口33と下端開口34との間に接続されている。室外機ファン22が送り出した冷風が、導入ダクト31の下端開口34より上端開口33に向かって運ばれるが、そのうち冷たい空気は密度差から下端開口34付近に集中することになる。これにより、冷風ダクト32に密度の大きな冷たい空気を導入し易くすることができる。したがって、冷たい空気を利用先へ導き易くすることができる。
【0029】
また、本実施形態では、大気と連通する構造が単純な開口である上端開口33とされている。これにより、例えばダンパ等を設けて大気と連通させる場合と比較して、構造を簡素化することができる。したがって、故障し難い構造とすることができるので、信頼性を向上させることができる。また、メンテナンス作業を容易化することができる。
【0030】
また、室外機ファン22の温度や風量は、ヒートポンプ100の運転条件(吸気温度や負荷状況等)に左右されることで増減する。具体的には、室外機ファン22の風量は、例えば、1000m/h~8100m/hの範囲で増減する。このため、室外機ファン22だけでは、好適に冷風を利用先まで導くことができない。一方、本実施形態では、冷風ダクト32に供給ファン35が設けられている。これにより、供給ファン35の駆動力によって、利用先へ冷風を好適に導くことができる。
【0031】
また、本実施形態では、室外機ファン22と供給ファン35との間に設けられた導入ダクト31に、大気に開口する上端開口33が形成されている。これにより、導入ダクト31内の圧力を大気圧に近くすることができる。換言すれば、室外機ファン22と供給ファン35とが直結されていない構成とすることができる。よって、室外機ファン22と供給ファン35とにおいて、互いに与える影響を抑制することができる。したがって、室外機ファン22及び供給ファン35において、各々、所望の量の外気を送風することができる。
【0032】
また、上述のように、室外機ファン22の風量は増減する。このため、室外機ファン22と供給ファン35とが直結している場合には、室外機ファン22の風量と供給ファン35の風量とがアンバランスとなった際に、室外機ファン22が異常停止してしまう可能性がある。室外機ファン22が停止するとヒートポンプ100も停止する可能性がある。一方、本実施形態では、室外機ファン22と供給ファン35とが直結されていない構成とすることができるので、室外機ファン22の風量と供給ファン35の風量とのアンバランスに起因する室外機ファン22及びヒートポンプ100の停止を抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、室外機ファン22が外気を送風する方向が、供給ファン35が外気を送風する方向と異なっている。これにより、室外機ファン22と供給ファン35とにおいて、互いに与える影響をより抑制することができる。したがって、より好適に、室外機ファン22及び供給ファン35において、各々、所望の外気を送風することができる。
【0034】
本実施形態では、冷風ダクト32が、導入ダクト31の上下方向の中央よりも下方に接続している。これにより、比較的比重の大きい冷風を、冷風ダクト32に導入し易くすることができる。したがって、冷風ダクト32を介して利用先へ好適に冷風を導くことができる。
【0035】
また、本実施形態では、上端開口33の直径が、室外機ファン22の直径以上とされている。これにより、導入ダクト31内の圧力の増大を抑制し、導入ダクト31内の圧力を大気圧に近くすることができる。したがって、室外機ファン22と供給ファン35とにおいて、互いに与える影響をより抑制することができる。よって、室外機ファン22及び供給ファン35において、各々、所望の量の外気を送風することができる。
【0036】
導入ダクト31の内部の冷風のうち、外周面に近い領域(例えば、図4の破線よりも半径方向外側の空間S)の冷風は、導入ダクト31が高温の管環境下に配置されている場合には、温度が昇温してしまう可能性がある。一方、本実施形態では、冷風ダクト32が、導入ダクト31内に挿入されている。これにより、導入ダクト31の中心に近い外気を冷風ダクト32に導入することができる。したがって、冷風ダクト32に導入される外気を、導入ダクト31の外の環境の影響を抑制した外気とすることができる。よって、例えば、導入ダクト31の外が冷風よりも高温の環境であった場合であっても、比較的冷たい冷風を冷風ダクト32に導入し、利用先へ導くことができる。
【0037】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、各室外機ファン22に対応するように、導入ダクト31を1本ずつ設ける例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、2つの室外機ファン22に対して、1つの導入ダクト31を設けてもよい。この場合には、いずれの室外機ファン22によって送風された冷風も、共通の導入ダクト31に導かれることとなる。
【0038】
以上説明した実施形態に記載の冷風供給装置は、例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る冷風供給装置は、外気と冷媒とを熱交換させることで前記冷媒を蒸発させる熱交換器(11)と、前記熱交換器へ前記外気を供給する熱交換器送風機(22)と、を有するヒートポンプ(100)に設けられる冷風供給装置(30)であって、大気に開口する開口部(33)と、前記熱交換器で熱交換した前記外気を導入する導入部(34)と、を有するチャンバ(31)と、前記チャンバの前記開口部と前記導入部との間に接続され、前記チャンバ内の前記外気を利用先へ導く外気流通部(32)と、を備える。
【0039】
上記構成では、外気流通部を備えている。これにより、熱交換器で冷媒と熱交換することで冷却された外気(以下、「冷風」と称する。)を利用先へ導ことができるので、利用先で冷風を利用することができる。このように、ヒートポンプで生成される冷風を利用先で利用することができるので、別途利用先に冷風を供給する装置を設ける場合と比較して、エネルギ効率を向上させることができる。また、二酸化炭素の発生量を低減することができる。
利用先の例としては、例えば、ヒートポンプで生成した温風や温水の供給先近傍であって、作業員が作業する作業空間等が挙げられる。冷風を作業空間へ導くことで、作業環境を快適化することができる。
また、上記構成では、大気に開口する開口部がチャンバに形成されている。これにより、チャンバ内の圧力を大気圧に近くすることができる。したがって、チャンバ内に外気を送風する熱交換器送風機が使用される環境を安定させることができる。よって、供給送風機の運転の安定性を向上させることができる。
また、外気流通部がチャンバの開口部と導入部との間に接続されている。これにより、外気流通部に外気を導入し易くすることができる。したがって、チャンバ内の外気を利用先へ導き易くすることができる。
【0040】
また、本開示の一態様に係る冷風供給装置は、前記外気流通部には供給送風機が設けられている。
【0041】
上記構成では、外気流通部に供給送風機が設けられている。これにより、供給送風機の駆動力によって、利用先へ冷風を好適に導くことができる。
また、上記構成では、熱交換器送風機と供給送風機との間のチャンバに、大気に開口する開口部が形成されている。これにより、チャンバ内の圧力を大気圧に近くすることができる。換言すれば、熱交換器送風機と供給送風機とが直結されていない構成とすることができる。よって、熱交換器送風機と供給送風機とにおいて、互いに与える影響を抑制することができる。したがって、供給送風機及び供給送風機において、各々、所望の量の外気を送風することができる。
【0042】
また、本開示の一態様に係る冷風供給装置は、前記熱交換器送風機が前記外気を送風する方向は、前記供給送風機が前記外気を送風する方向と異なっている。
【0043】
上記構成では、熱交換器送風機が外気を送風する方向が、供給送風機が外気を送風する方向と異なっている。これにより、熱交換器送風機と供給送風機とにおいて、互いに与える影響をより抑制することができる。したがって、より好適に、熱交換器送風機及び供給送風機において、各々、所望の外気を送風することができる。
【0044】
また、本開示の一態様に係る冷風供給装置は、前記チャンバは、上下方向に延在していて、前記開口部は、前記チャンバの上端部に形成されていて、前記導入部は、前記チャンバの下端部に形成されていて、前記外気流通部は、前記チャンバの前記上下方向の中央よりも下方に接続している。
【0045】
上記構成では、外気流通部が、チャンバの上下方向の中央よりも下方に接続している。これにより、比較的比重の大きい冷風を、外気流通部に導入し易くすることができる。したがって、外気流通部を介して利用先へ好適に冷風を導くことができる。
【0046】
また、本開示の一態様に係る冷風供給装置は、前記熱交換器送風機は、ファン(22)を有し、前記開口部の直径は、前記ファンの直径以上とされている。
【0047】
上記構成では、開口部の直径が、ファンの直径以上とされている。これにより、チャンバ内の圧力の増大を抑制し、チャンバ内の圧力を大気圧に近くすることができる。したがって、熱交換器送風機と供給送風機とにおいて、互いに与える影響をより抑制することができる。よって、熱交換器送風機及び供給送風機において、各々、所望の量の外気を送風することができる。
【0048】
また、本開示の一態様に係る冷風供給装置は、前記外気流通部は、前記チャンバ内に挿入されている。
【0049】
上記構成では、外気流通部が、チャンバ内に挿入されている。これにより、チャンバの中心に近い外気を外気流通部に導入することができる。したがって、外気流通部に導入される外気を、チャンバの外の環境の影響を抑制した外気とすることができる。よって、例えば、チャンバの外が冷風よりも高温の環境であった場合であっても、比較的冷たい冷風を外気流通部に導入し、利用先へ導くことができる。
【符号の説明】
【0050】
10 :膨張弁
11 :蒸発器(熱交換器)
12 :圧縮機
13 :凝縮器
14 :冷媒配管
20 :室外機
21 :筐体
22 :室外機ファン(熱交換器送風機)
23 :筐体開口
30 :冷風供給装置
31 :導入ダクト(チャンバ)
32 :冷風ダクト(外気流通部)
33 :上端開口(開口部)
34 :下端開口(導入部)
35 :供給ファン(供給送風機)
37 :入口開口
90 :冷凍サイクル
100 :ヒートポンプ
図1
図2
図3
図4