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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B60H1/34 611A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021053392
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150682
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】米山 陽二郎
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213955(JP,A)
【文献】特開2013-086518(JP,A)
【文献】実開平03-089344(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0158029(US,A1)
【文献】特開2016-210219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を流通させる内部流路を有する筒状のケース体と、
前記内部流路の断面内の第1方向とは略垂直となる第2方向に対して互いに略垂直で、かつ、表裏となる2つの主平面を有し、前記内部流路に固定配置される板状の中間フィンと、
前記内部流路で前記中間フィンよりも出口側に配置される板状のフロントフィンと、
前記内部流路で前記中間フィンよりも入口側に配置される板状のリアフィンと、
を備え、
前記フロントフィンと前記リアフィンとは、前記気体の流通経路を前記中間フィンの一方の前記主平面の側とする第1制限位置と、前記気体の前記流通経路を前記中間フィンの他方の前記主平面の側とする第2制限位置との間で、前記第1方向と平行な各々の回転軸の周りに互いに反対方向に回転変位する、風向調整装置。
【請求項2】
前記中間フィンは、前記第2方向での略中央位置に配置される、請求項1に記載の風向調整装置。
【請求項3】
前記フロントフィン及び前記リアフィンが前記第1制限位置又は前記第2制限位置にあるとき、
前記フロントフィンの上流側エッジ部は、前記中間フィンの下流側エッジ部に近接し、
前記リアフィンの下流側エッジ部は、前記中間フィンの上流側エッジ部に近接する、請求項1又は2に記載の風向調整装置。
【請求項4】
前記フロントフィン及び前記リアフィンが前記第1制限位置又は前記第2制限位置にあるとき、
前記フロントフィンの下流側エッジ部は、外部に気体を吹き出す気体吹出口の前記第2方向で対向する2つの開口端のいずれかに近接し、
前記リアフィンの上流側エッジ部は、前記ケース体の前記第2方向で対向する2つの壁部のいずれかに近接する、請求項3に記載の風向調整装置。
【請求項5】
前記フロントフィンは、互いに平行な姿勢を維持する第1フロントフィンと第2フロントフィンとを含み、
前記第1フロントフィンと前記第2フロントフィンとにおける各々の前記回転軸は、各々の下流側エッジ部の側に設けられ、かつ、前記中間フィンの設置形状に合わせて規定される仮想平面を基準として互いに略対称に配置される、請求項3又は4に記載の風向調整装置。
【請求項6】
前記フロントフィンの前記回転軸は、前記中間フィンの前記下流側エッジ部に近接する前記上流側エッジ部の側に設けられ、
前記ケース体は、前記中間フィンよりも下流側の範囲に、前記内部流路の前記断面を上流側から下流側に向かって徐々に狭くする斜壁部を有する、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に設置され、車両の空調装置から車室内に供給させる風の向きを調整する風向調整装置がある。特許文献1は、リテーナ(ケース体)の内部に、空気の流通経路を変更するために上下移動又は回転変位するインナープレートを備えたレジスター(風向調整装置)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-196942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のレジスターでは、インナープレートは、上下方向に大きな厚みを有しつつ、上流側と下流側との双方の先端部が先細りとなる直方体である。したがって、例えば、風向が直進状となるようにインナープレートを中立位置に維持させたとしても、インナープレートの形状に起因した圧力損失により送風効率が低下し、結果として送風の直進性が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、簡素な構造で送風効率の低下を抑える風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る風向調整装置は、気体を流通させる内部流路を有する筒状のケース体と、内部流路の断面内の第1方向とは略垂直となる第2方向に対して互いに略垂直で、かつ、表裏となる2つの主平面を有し、内部流路に固定配置される板状の中間フィンと、内部流路で中間フィンよりも出口側に配置される板状のフロントフィンと、内部流路で中間フィンよりも入口側に配置される板状のリアフィンと、を備え、フロントフィンとリアフィンとは、気体の流通経路を中間フィンの一方の主平面の側とする第1制限位置と、流通経路を中間フィンの他方の主平面の側とする第2制限位置との間で、第1方向と平行な各々の回転軸の周りに互いに反対方向に回転変位する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡素な構造で送風効率の低下を抑える風向調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る風向調整装置の外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る風向調整装置の分解図である。
図3】ケース体の形状を示す斜視図である。
図4A】第1フロントフィン部の形状を示す斜視図である。
図4B】第2フロントフィン部の形状を示す斜視図である。
図5A】第1リアフィン部の形状を示す斜視図である。
図5B】第2リアフィン部の形状を示す斜視図である。
図6】中間可動フィンの形状を示す斜視図である。
図7A】第1ダイヤルノブの形状を示す斜視図である。
図7B】第2ダイヤルノブの形状を示す斜視図である。
図8A】第1リンクの形状を示す斜視図である。
図8B】第2リンクの形状を示す斜視図である。
図9A】中立位置時の第1リンク機構の状態を示す側面図である。
図9B】中立位置時の風向調整装置の断面図である。
図10A】第1制限位置時の第1リンク機構の状態を示す側面図である。
図10B】第1制限位置時の風向調整装置の断面図である。
図11A】第2制限位置時の第1リンク機構の状態を示す側面図である。
図11B】第2制限位置時の風向調整装置の断面図である。
図12A】第2実施形態での中立位置時の風向調整装置の断面図である。
図12B】第2実施形態での第1制限位置時の風向調整装置の断面図である。
図12C】第2実施形態での第2制限位置時の風向調整装置の断面図である。
図13】第3実施形態での各位置時の風向調整装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については、図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る風向調整装置1の外観を示す斜視図である。図2は、風向調整装置1の分解図である。風向調整装置1は、自動車等の車両に設置され、車両の空調装置から車室内に供給させる風の向きを調整する。例えば、風向調整装置1は、自動車の車室内にあるインストルメントパネルやセンターコンソール等に設けられた開口部に取り付けられる。なお、同類の風向調整装置を含む空調装置は、ベンチレーターやレジスターなどと呼ばれることもある。
【0011】
風向調整装置1は、ケース体10と、第1フロントフィン部11と、第2フロントフィン部12と、中間フィン13と、第1リアフィン部14と、第2リアフィン部15と、中間可動フィン16とを備える。
【0012】
図3は、ケース体10の形状を示す斜視図である。ケース体10は、第1フロントフィン11a、第2フロントフィン12a、中間フィン13、第1リアフィン14a、第2リアフィン15a及び中間可動フィン16を内部に収容する。ケース体10は、気体を流通させる内部流路10kを有する筒状である。ここで、以下の各図では、説明の便宜上、ケース体10の形状を基準としてX,Y,Zの各方向を次のように規定する。X方向は、ケース体10の筒形状を規定する軸方向に沿って、かつ、内部流路10kの上流側から下流側に向かう。Y方向とZ方向とは、それぞれX方向に対して垂直で、かつ、互いに垂直である。この規定に従い、以下、内部流路10kの断面とは、内部流路10k内のYZ断面をいう。また、以下の説明において用いられる、垂直、平行、中央又は対称という表現には、当該表現を用いて説明される構成、作用又は効果の少なくとも1つの点で同一とみなせる範囲において、略垂直、略平行、略中央又は略対称も含まれ得る。同様に、同一形状又は同一姿勢という表現には、略同一形状又は略同一姿勢も含まれ得る。
【0013】
また、ケース体10は、それぞれ板状の第1壁部10a、第2壁部10b、第3壁部10c及び第4壁部10dとの4つの壁部を組み合わせて形成される。第1壁部10aと第2壁部10bとは、Z方向で互いに対向する。第3壁部10cと第4壁部10dとは、Y方向で互いに対向する。また、第1壁部10aの一辺は、第3壁部10cを介して第2壁部10bの一辺と連結する。第1壁部10aの他辺は、第4壁部10dを介して第2壁部10bの他辺と連結する。つまり、内部流路10kは、第1壁部10a、第2壁部10b、第3壁部10c及び第4壁部10dに囲まれた空間領域である。そして、ケース体10は、内部流路10kの断面形状が矩形となる角筒状である。
【0014】
第3壁部10c及び第4壁部10dは、互いにY方向で対向する位置に、2つの第1軸穴10e及び2つの第2軸穴10fを有する。第1軸穴10eは、第1フロントフィン部11又は第2フロントフィン部12のいずれかを支持する。第2軸穴10fは、第1リアフィン部14又は第2リアフィン部15のいずれかを支持する。一方、第1壁部10a及び第2壁部10bは、互いにZ方向で対向する位置に、中間可動フィン16を支持する複数の第3軸穴10iを有する。
【0015】
また、第4壁部10dは、第1ダイヤルノブ20を支持する第4軸穴10gを有する。第2壁部10bは、外側に突出し、第2ダイヤルノブ21を支持する回転軸10j(図9B参照)を有する。更に、第4壁部10dは、外側に突出し、第1ダイヤルノブ20の回転範囲を規定するストッパー10hを有してもよい(図10A等参照)。
【0016】
このようなケース体10の形状によれば、内部流路10kの第1開口端10mがフィニッシャ25を設置する側の開口となり、内部流路10kの第2開口端10nが気体導入口となる。第2開口端10nは、車両内に設置されている不図示の空調装置に接続され、当該空調装置から供給された気体を導入する。本実施形態のように、適用対象である車両が一般的な自動車である場合には、気体は空気である。
【0017】
図4Aは、第1フロントフィン部11の形状を示す斜視図である。図4Bは、第2フロントフィン部12の形状を示す斜視図である。第1フロントフィン部11と第2フロントフィン部12とは、Z方向で対をなし、それぞれ、内部流路10kに設置される各種のフィンのうち、中間フィン13よりも出口側すなわち第1開口端10m側に配置されるフロントフィンを含む。なお、第1フロントフィン部11及び第2フロントフィン部12の具体的な配置については後述する。
【0018】
第1フロントフィン部11は、第1フロントフィン11aと、一対の第1回転軸11bと、第1フロントリンクアーム11cと、第1フロント係合軸11dとを含む。
【0019】
第1フロントフィン11aは、内部流路10kの断面に沿った第1方向としてのY方向を長手方向とする板状のフィンである。一対の第1回転軸11bは、それぞれY方向を軸方向とし、第1フロントフィン11aのY方向の両端における、ケース体10の第1開口端10mの側に突出する下流側エッジ部11fの近傍に、1つずつ設置される。一方の第1回転軸11bは、ケース体10の第3壁部10cに設けられている2つの第1軸穴10eのうちの1つに係合する。他方の第1回転軸11bは、ケース体10の第4壁部10dに設けられている2つの第1軸穴10eのうち、第3壁部10cで第1回転軸11bが係合する第1軸穴10eとY方向で対向する位置にあるものに係合する。このような形状により、第1フロントフィン11aは、第1回転軸11bを基準として回転変位する。
【0020】
第1フロントリンクアーム11cは、一方の第1回転軸11bに接続され、第1ダイヤルノブ20の操作により稼働する第1リンク機構24a(図9A等参照)を構成する一要素である。第1フロントリンクアーム11cの延伸方向は、第1フロントフィン11aの下流側エッジ部11fから上流側エッジ部11eに向かう方向に沿っている。第1フロントリンクアーム11cは、第1回転軸11bに対して取り付け及び取り外し自在である。特に、風向調整装置1の組み立ての際、作業者は、ケース体10の内側に第1フロントフィン11aを組み付けた後、ケース体10の外側から一方の第1回転軸11bに対して第1フロントリンクアーム11cを取り付けてもよい。
【0021】
また、第1フロント係合軸11dは、第1回転軸11bと平行で、第1フロントリンクアーム11cに設けられる。第1回転軸11bが第1フロントリンクアーム11cの一方の端部に接続される場合、第1フロント係合軸11dは、第1フロントリンクアーム11cの他方の端部の反対側から突出する。第1フロント係合軸11dは、第1リンク22に設けられている2つの第2係合穴22e(図8A参照)の一方に係合する。
【0022】
一方、第2フロントフィン部12は、第1フロントフィン部11と同一構成かつ同一形状であり、第2フロントフィン12aと、一対の第2回転軸12bと、第2フロントリンクアーム12cと、第2フロント係合軸12dとを含む。第2フロントフィン12aは、第1フロントフィン部11における第1フロントフィン11aに対応する。第2回転軸12bは、第1フロントフィン部11における第1回転軸11bに対応する。第2フロントリンクアーム12cは、第1フロントフィン部11における第1フロントリンクアーム11cに対応する。そして、第2フロント係合軸12dは、第1フロントフィン部11における第1フロント係合軸11dに対応する。第2フロント係合軸12dは、第1リンク22に設けられている2つの第2係合穴22eの他方に係合する。
【0023】
中間フィン13は、内部流路10kの断面内の第1方向とは垂直となる第2方向に対して互いに垂直で、かつ、表裏となる2つの主平面を有する板状のフィンである。本実施形態では、第1方向がY方向であるのに対して、第2方向はZ方向である。中間フィン13の長手方向はY方向であり、板厚方向はZ方向である。また、中間フィン13の2つの主平面のうち、一方が第1主平面13dであり、他方が第2主平面13eである(図9B参照)。このような中間フィン13は、内部流路10kに固定配置される。また、中間フィン13は、図2に示すように、複数の中間可動フィン16を各々支持するための複数の支持溝13aを有する。支持溝13aは、中間フィン13の上流側エッジ部13c(図10B等参照)からX方向に沿って切り欠かれ、中間可動フィン16に設けられている第1回転軸16c(図6参照)を係合させる。
【0024】
図5Aは、第1リアフィン部14の形状を示す斜視図である。図5Bは、第2リアフィン部15の形状を示す斜視図である。第1リアフィン部14と第2リアフィン部15とは、Z方向で対をなし、それぞれ、内部流路10kに設置される各種フィンのうち、中間フィン13よりも入口側すなわち第2開口端10n側に配置されるリアフィンを含む。なお、第1リアフィン部14及び第2リアフィン部15の具体的な配置については後述する。
【0025】
第1リアフィン部14は、第1リアフィン14aと、一対の第3回転軸14bと、第1リアリンクアーム14cと、第1スペーサー軸14dとを含む。
【0026】
第1リアフィン14aは、第1フロントフィン11aや中間フィン13と同様に、第1方向としてのY方向を長手方向とする板状のフィンである。一対の第3回転軸14bは、それぞれY方向を軸方向とし、第1リアフィン14aのY方向の両端における、ケース体10の第2開口端10nの側に突出する上流側エッジ部14gの近傍に、1つずつ設置される。一方の第3回転軸14bは、ケース体10の第3壁部10cに設けられている2つの第2軸穴10fのうちの1つに係合する。他方の第3回転軸14bは、ケース体10の第4壁部10dに設けられている2つの第2軸穴10fのうち、第3壁部10cで第3回転軸14bが係合する第2軸穴10fとY方向で対向する位置にあるものに係合する。このような形状により、第1リアフィン14aは、第3回転軸14bを基準として回転変位する。
【0027】
第1リアリンクアーム14cは、一方の第3回転軸14bに接続され、第1リンク機構24aを構成する一要素である。また、第1リアリンクアーム14cは、第1リア係合穴14eを有する。第1リア係合穴14eは、第1リアリンクアーム14cの一方の端部に設けられ、第1リアリンクアーム14cの延伸方向に長い長穴である。第1リア係合穴14eが第1リアリンクアーム14cの一方の端部に設けられる場合、以下の第1スペーサー軸14dは、第1リアリンクアーム14cの他方の端部に設けられる。第1リア係合穴14eは、第1ダイヤルノブ20に設けられている2つの第1係合軸20f(図7A参照)の一方を係合させる。
【0028】
また、第1スペーサー軸14dは、第1リアリンクアーム14cの一端に設けられ、第1リンク機構24aにおいて他の要素との干渉を避けるための空間を確保する一要素である。第1スペーサー軸14dは、第3回転軸14bに対して取り付け及び取り外し自在である。特に、風向調整装置1の組み立ての際、作業者は、ケース体10の内側に第1リアフィン14aを組み付けた後、ケース体10の外側から一方の第3回転軸14bに対して第1スペーサー軸14dを取り付けてもよい。
【0029】
一方、第2リアフィン部15は、第1リアフィン部14と同一構成であり、第2リアフィン15aと、一対の第4回転軸15bと、第2リアリンクアーム15cと、第2スペーサー軸15dとを含む。第2リアフィン15aは、第1リアフィン部14における第1リアフィン14aに対応する。第4回転軸15bは、第1リアフィン部14における第3回転軸14bに対応する。第2リアリンクアーム15cは、第1リアフィン部14における第1リアリンクアーム14cに対応する。第2リアリンクアーム15cに設けられている第2リア係合穴15eは、第1リアリンクアーム14cに設けられている第1リア係合穴14eに対応する。第2リア係合穴15eは、第1ダイヤルノブ20に設けられている2つの第1係合軸20fの他方を係合させる。そして、第2スペーサー軸15dは、第1リアフィン部14における第1スペーサー軸14dに対応する。
【0030】
ここで、第1リアフィン部14と第2リアフィン部15とでは、各々の回転軸周りのリアフィンに対する第1リアリンクアーム14cと第2リアリンクアーム15cとの取付角度が互いに異なる。この取付角度の相違については、図9A等を用いた第1リンク機構24aの説明と併せて後述する。
【0031】
図6は、中間可動フィン16の形状を示す斜視図である。中間可動フィン16は、第2方向で中間フィン13と交差し、第2方向と平行な回転軸の周りに回転変位するフィンである。中間可動フィン16は、図2に示すように、第1方向に沿って、一定間隔で、かつ、互いに同一姿勢で複数存在する。なお、本実施形態では、中間可動フィン16は、一例として11個存在する。複数の中間可動フィン16は、互いに同一形状である。
【0032】
中間可動フィン16は、第1フィン16aと第2フィン16bとを有する。第1フィン16aと第2フィン16bとは、互いに板状で、かつ、第2方向に沿って並ぶ。また、中間可動フィン16は、第2方向と平行な回転軸として、第1回転軸16c、第2回転軸16d及び第3回転軸16eを有する。第1回転軸16c、第2回転軸16d及び第3回転軸16eは、互いに、第2方向に平行な一直線上にある。第1回転軸16cは、第1フィン16aと第2フィン16bとを連結する。第1回転軸16cは、上記のとおり、中間フィン13に設けられている支持溝13aに係合する。つまり、第1回転軸16cの一方の側に接続されている第1フィン16aは、中間フィン13の第1主平面13dが面する領域内で回転変位することになる。一方、第1回転軸16cの他方の側に接続されている第2フィン16bは、中間フィン13の第2主平面13eが面する領域内で回転変位することになる。第2回転軸16dは、ケース体10の第1壁部10aに設けられている複数の第3軸穴10iのいずれかに係合する。第3回転軸16eは、ケース体10の第2壁部10bに設けられている複数の第3軸穴10iのうち、第1壁部10aで第2回転軸16dが係合する第3軸穴10iとZ方向で対向する位置にあるものに係合する。ここで、第3回転軸16eは、一端と他端とで先端軸の位置を互いにずらすリンクを含む。この第3回転軸16eの形状については、図9B等を用いた第2リンク機構24bの説明と併せて後述する。
【0033】
また、第1フィン16aと第2フィン16bとは、第1回転軸16cを基準として、対称形状を有する。特に、第1フィン16a及び第2フィン16bは、それぞれ、一部の端部が曲面状に切り欠かれた曲面端16fを有してもよい(図9B参照)。第1フィン16aに設けられている曲面端16fは、第1リアフィン14aが回転変位するときに、第1リアフィン14aの下流側エッジ部14fが第1フィン16aと干渉しないように、第1リアフィン14aの回転軌道を基準に設定される。同様に、第2フィン16bに設けられている曲面端16fは、第2リアフィン15aが回転変位するときに、第2リアフィン15aの下流側エッジ部15fが第2フィン16bと干渉しないように、第2リアフィン15aの回転軌道を基準に設定される。
【0034】
そして、ケース体10、第1フロントフィン11a、第2フロントフィン12a、中間フィン13、第1リアフィン14a、第2リアフィン15a及び中間可動フィン16を構成する各要素の材質は、例えば、ABS樹脂やPP樹脂等の合成樹脂であってもよい。
【0035】
また、風向調整装置1は、第1ダイヤルノブ20と、第2ダイヤルノブ21と、第1リンク22と、第2リンク23と、フィニッシャ25とを備える。
【0036】
図7Aは、第1ダイヤルノブ20の形状を示す斜視図である。第1ダイヤルノブ20は、第1フロントフィン11a、第2フロントフィン12a、第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aの姿勢を乗員が車室側から変更するために用いられる。第1ダイヤルノブ20は、作用ごとに各部位が形付けられた円板状部材である。第1ダイヤルノブ20は、各部位として、第1操作ダイヤル20aと、基板20bと、回転軸20cと、一対のアーム20dと有する。
【0037】
第1操作ダイヤル20aは、乗員が直接的に触れる半環状の部位である。なお、第1操作ダイヤル20aの外周面には、乗員による操作性を向上させるために、滑り止め加工が施されていてもよい。基板20bは、第1ダイヤルノブ20を形成する各々の部位を支持する部位である。基板20bのおおよそ半分の形状は、第1操作ダイヤル20aを支持する円板状である。基板20bの残りの半分の形状は、第1操作ダイヤル20aを支持する部分よりも径の小さい円板状である。回転軸20cは、第1ダイヤルノブ20の回転中心となる軸であり、基板20bから一方向に垂直に突出する。本実施形態では、回転軸20cの軸方向は、第1方向すなわちY方向に沿っている。回転軸20cは、ケース体10の第4壁部10dに設けられている第4軸穴10gに係合する。一対のアーム20dは、基板20bを基準として、第1操作ダイヤル20aとは反対側に、かつ、互いに一定の間隔で離間しつつ放射状に突出する。
【0038】
なお、基板20bにおける第1操作ダイヤル20aを支持する部分の一部に、ケース体10の第4壁部10dに設けられているストッパー10hを係合させる貫通穴20eが設けられていてもよい。ストッパー10hと貫通穴20eとの組は、上記のとおり、第1ダイヤルノブ20の回転範囲を規定するものである。
【0039】
また、第1ダイヤルノブ20は、一対のアーム20dのそれぞれの先端側で、かつ、基板20bから回転軸20cが突出する方向とは反対方向に突出する第1係合軸20fを有する。上記のとおり、2つの第1係合軸20fの一方は、第1リアフィン部14の第1リア係合穴14eに係合する。同様に、2つの第1係合軸20fの他方は、第2リアフィン部15の第2リア係合穴15eに係合する。更に、第1ダイヤルノブ20は、基板20b上で回転軸20cよりもアーム20d側寄りに、基板20bから回転軸20cが突出する方向と同方向に突出する第2係合軸20gを有する。第2係合軸20gは、第1リンク22に設けられている第1係合穴22d(図8A参照)に係合する。
【0040】
図7Bは、第2ダイヤルノブ21の形状を示す斜視図である。第2ダイヤルノブ21は、中間可動フィン16の姿勢を乗員が車室側から変更するために用いられる。第2ダイヤルノブ21は、第1ダイヤルノブ20と同様に、作用ごとに各部位が形付けられた円板状部材である。第2ダイヤルノブ21は、各部位として、第2操作ダイヤル21aと、基板21bと、アーム21dと有する。
【0041】
第2操作ダイヤル21aは、乗員が直接的に触れる半環状の部位である。なお、第2操作ダイヤル21aの外周面には、乗員による操作性を向上させるために、滑り止め加工が施されていてもよい。基板21bは、第2ダイヤルノブ21を形成する各々の部位を支持する部位である。基板21bのおおよそ半分の形状は、第2操作ダイヤル21aを支持する円板状である。基板21bの残りの半分の形状は、第2操作ダイヤル21aを支持する部分よりも径の小さい円板状である。基板21bには、第2ダイヤルノブ21の回転中心となる第1係合穴21cが設けられている。第1係合穴21cは、上記のとおり、第2壁部10bに設けられている回転軸10jを係合させる。アーム21dは、基板21bを基準として、第2操作ダイヤル21aとは反対側に突出する。アーム21dには、第1係合穴21cと同方向に開口し、かつ、アーム21dの延伸方向に沿って長い長穴である第2係合穴21eが設けられている。第2係合穴21eは、中間可動フィン16の第3回転軸16eを係合させる。ただし、第3回転軸16eでは、第2係合穴21eに係合する部分の軸方向と、ケース体10の第3軸穴10iに係合する部分の軸方向とは、リンクを介して互いにずれている(図9B等参照)。
【0042】
図8Aは、第1リンク22の形状を示す斜視図である。第1リンク22は、第1ダイヤルノブ20の操作により稼働する第1リンク機構24aを構成する一要素である。第1リンク22は、第1棒状部22aと、第2棒状部22bと、第3棒状部22cとを有する。第2棒状部22bと第3棒状部22cとは、互いに平行である。第1棒状部22aの一端は、第2棒状部22bの一端と連続し、第1棒状部22aの他端は、第2棒状部22bとの連続方向と同方向で、第3棒状部22cの一端と連続する。
【0043】
また、第1棒状部22aは、延伸方向の中央領域に、第2棒状部22b及び第3棒状部22cと連続する方向とは垂直な方向に開口する第1係合穴22dを有する。第1係合穴22dは、上記のとおり、第1ダイヤルノブ20の第2係合軸20gを係合させる。第2棒状部22b及び第3棒状部22cは、それぞれ、第1棒状部22aと連続する端部とは反対側の先端部に、第1係合穴22dと同方向に開口する第2係合穴22eを有する。第2棒状部22bにある第2係合穴22eは、第1フロントフィン部11の第1フロント係合軸11dを係合させる。第3棒状部22cにある第2係合穴22eは、第2フロントフィン部12の第2フロント係合軸12dを係合させる。
【0044】
図8Bは、第2リンク23の形状を示す斜視図である。第2リンク23は、第2ダイヤルノブ21の操作により稼働する第2リンク機構24bを構成する一要素である。第2リンク23は、複数の係合穴23aを有する棒状部材である。複数の係合穴23aは、複数の中間可動フィン16の配列に合わせて、各々の中間可動フィン16の第3回転軸16eを係合させる。
【0045】
フィニッシャ25は、ケース体10の第1開口端10mに設置され、風向調整装置1の取付位置の意匠面の一部をなすパネルである。フィニッシャ25は、気体吹出口25aと、第1ダイヤル用開口25bと、第2ダイヤル用開口25cとを有する。気体吹出口25aは、内部流路10kを流通してきた気体を車室側に吹き出す。以下の各図では、必要に応じて、気体吹出口25aから吹き出される風の向き、すなわち風向Dを示す。第1ダイヤル用開口25bは、第1ダイヤルノブ20の第1操作ダイヤル20aの一部を車室側に露出させる。同様に、第2ダイヤル用開口25cは、第2ダイヤルノブ21の第2操作ダイヤル21aの一部を車室側に露出させる。
【0046】
そして、第1ダイヤルノブ20、第2ダイヤルノブ21、第1リンク22、第2リンク23及びフィニッシャ25を構成する各要素の材質は、例えば、ABS樹脂やPP樹脂等の合成樹脂であってもよい。
【0047】
次に、風向調整装置1の作用について説明する。
【0048】
まず、第1の風向調整として、風向Dを第2方向に沿って変更させる風向調整について説明する。本実施形態では、第2方向はZ方向であるので、Z方向が鉛直方向に沿っているならば、第1の風向調整は、風向Dを上下方向に沿って変更させる調整である。
【0049】
第1の風向調整は、車室内の乗員が第1操作ダイヤル20aを操作することで実施される。以下、第1操作ダイヤル20aによる操作で回転変位する第1フロントフィン11a、第2フロントフィン12a、第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aを含む群を「第1可変フィン群」という。
【0050】
図9Aは、第1可変フィン群が中立位置にあるときの第1リンク機構24aの状態を示す側面図である。なお、図9Aでは、第1操作ダイヤル20aの動きを明らかにするために、フィニッシャ25の一部が断面で描画されている。第1リンク機構24aは、風向調整装置1のY方向の一方の側、すなわち、本実施形態ではケース体10の第4壁部10dの側に設けられている。
【0051】
図9Bは、第1可変フィン群が中立位置にあるときの風向調整装置1の断面図である。図9Bに示される断面は、図1中のIXB-IXB断面に対応し、ケース体10のY方向の中央に設置されている第2ダイヤルノブ21の中心を通過するように切断されたXZ断面である。
【0052】
ここで、第1可変フィン群の位置変化を説明するための前提として、図9Bを参照して第1フロントフィン11a、第2フロントフィン12a、中間フィン13、第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aの各々の配置関係について説明する。
【0053】
第1可変フィン群の位置変化により内部流路10k内に形成される気体の流通経路は、内部流路10k内での中間フィン13の固定位置が基準となる。中間フィン13は、第2方向、すなわち、本実施形態ではZ方向の中央位置に配置される。ここで、図9Bに示すように、中間フィン13の設置形状に合わせて規定される仮想平面Vを規定する。仮想平面Vは、具体的には、中間フィン13の厚み方向であるZ方向の中心を通過し、中間フィン13の第1主平面13d及び第2主平面13eのいずれにも沿うXY平面である。
【0054】
第1フロントフィン11a及び第2フロントフィン12aは、内部流路10kの延伸方向すなわちX方向に関しては、上記のとおり、中間フィン13よりも出口側すなわち第1開口端10m側に配置される。一方、内部流路10kの第2方向すなわちZ方向に関しては、第1フロントフィン11aの第1回転軸11bと、第2フロントフィン12aの第2回転軸12bとは、仮想平面Vを基準として互いに対称に配置される。第1回転軸11bと第2回転軸12bとの間隔は、気体吹出口25aの第2方向の開口幅を基準として設定される。本実施形態では、第1回転軸11bは、気体吹出口25aの第2方向の一方の開口端に近接し、第2回転軸12bは、気体吹出口25aの第2方向の他方の開口端に近接する。また、第1フロントフィン11aにおける上流側エッジ部11eと下流側エッジ部11fとの間の幅は、第1開口端10mから中間フィン13の下流側エッジ部13bまでの距離に基づいて設定される。具体的には、当該幅は、第1回転軸11b周りに第1フロントフィン11aが回転変位したときに、ある回転位置において、第1フロントフィン11aの上流側エッジ部11eが中間フィン13の下流側エッジ部13bと近接するように設定される。第2フロントフィン12aにおける上流側エッジ部12eと下流側エッジ部12fとの幅についても同様である。
【0055】
第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aは、内部流路10kの延伸方向すなわちX方向に関しては、上記のとおり、中間フィン13よりも入口側すなわち第2開口端10n側に配置される。一方、内部流路10kの第2方向すなわちZ方向に関しては、第1リアフィン14aの第3回転軸14bと、第2リアフィン15aの第4回転軸15bとは、仮想平面Vを基準として互いに対称に配置される。本実施形態では、第3回転軸14bは、ケース体10の第2方向の一方の側の壁部である第1壁部10aに近接し、第4回転軸15bは、ケース体10の第2方向の他方の側の壁部である第2壁部10bに近接する。また、第1リアフィン14aにおける上流側エッジ部14gと下流側エッジ部14fとの間の幅は、第1フロントフィン11aとは異なり、設定に際して大きな制約はないので、第1フロントフィン11aにおけるエッジ間の幅よりも長くてもよい。ただし、当該幅は、第3回転軸14b周りに第1リアフィン14aが回転変位したときに、ある回転位置において、第1リアフィン14aの下流側エッジ部14fが中間フィン13の上流側エッジ部13cと近接するように設定されるのは、上記と同様である。第2リアフィン15aにおける上流側エッジ部15gと下流側エッジ部15fとの幅についても同様である。
【0056】
引き続き、第1リンク機構24aの状態変化を説明するための前提として、図9Aを参照して第1リンク機構24aを構成する各要素の配置関係について説明する。なお、いずれかの要素同士の係合関係については、上記の各要素の構成の説明のとおりであるので、ここでの詳説は省略する。
【0057】
第1リンク機構24aでは、第1操作ダイヤル20aが設けられている第1ダイヤルノブ20と、第1フロントフィン11a及び第2フロントフィン12aとは、第1リンク22を介して変位自在に接続されている。ここで、第1リンク22は、上記のとおり、互いに平行な第2棒状部22bと第3棒状部22cとを有する。第2棒状部22bにある第2係合穴22eと、第3棒状部22cにある第2係合穴22eとの間隔は、第1回転軸11bと第2回転軸12bとの間隔と同一である。したがって、第1操作ダイヤル20aの回転により第1リンク22が変位すると、第1フロントフィン11a又は第2フロントフィン12aの一方が中間フィン13に近接する方向に、他方が中間フィン13から離間する方向に、それぞれ回転変位する。このとき、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとは、常時、互いに平行を維持したまま回転変位する。
【0058】
本実施形態では、第1フロントフィン11aが中立位置にあるとき、第2棒状部22bにある第2係合穴22eと第1回転軸11bとは、X方向に沿って並ぶ。同様に、第2フロントフィン12aが中立位置にあるとき、第3棒状部22cにある第2係合穴22eと第2回転軸12bとは、X方向に沿って並ぶ。
【0059】
一方、第1リンク機構24aでは、第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aは、第1ダイヤルノブ20に設けられている一対のアーム20dのいずれかに、それぞれ変位自在に接続されている。ここで、第1リアフィン14aが中立位置にあるとき、一方のアーム20dに設けられている第1係合軸20fは、第1ダイヤルノブ20の回転軸20cと、第1リアフィン14aの第3回転軸14bとの延長線上にある。同様に、第2リアフィン15aが中立位置にあるとき、他方のアーム20dに設けられている第1係合軸20fは、回転軸20cと、第2リアフィン15aの第4回転軸15bとの延長線上にある。したがって、第1操作ダイヤル20aの回転により一対のアーム20dが変位すると、第1リアフィン14a又は第2リアフィン15aの一方が中間フィン13に近接する方向に、他方が中間フィン13から離間する方向に、それぞれ回転変位する。
【0060】
本実施形態では、第1リアリンクアーム14cの延伸方向は、第1リアフィン14aの上流側エッジ部14gから下流側エッジ部14fに向かう方向に、おおよそ沿っている。同様に、第2リアリンクアーム15cの延伸方向は、第2リアフィン15aの上流側エッジ部15gから下流側エッジ部15fに向かう方向に、おおよそ沿っている。ただし、第1リアフィン14aに対する第1リアリンクアーム14cの取付角度と、第2リアフィン15aに対する第2リアリンクアーム15cの取付角度とは、図9Aに示すように互いに異なる。これは、第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aの回転変位時に、中間フィン13に対して近接する位置と離間する位置との位置関係によるものである。したがって、上記の取付角度については、中間フィン13の形状や固定位置を参照し、適宜変更されてもよい。
【0061】
つまり、第1リンク機構24aの構造によれば、第1操作ダイヤル20aの一度の操作により、第1可変フィン群に含まれるすべてのフィンが同時に回転変位する。
【0062】
次に、第1の風向調整に関する具体的な作用として、図9Bを参照し、第1可変フィン群が中立位置にあるときに生じる風向Dについて説明する。
【0063】
本実施形態において、第1可変フィン群の中立位置とは、風向Dが気体吹出口25aの開口方向に沿って一直線状に吹き出す方向となる状態、いわゆるニュートラル状態となるときの位置をいう。なお、風向調整装置1の全体としては、以下で詳説する複数の中間可動フィン16を含む第2可変フィン群の姿勢によっても風向Dが変化する。したがって、実際に風向Dが気体吹出口25aの開口方向に沿って一直線状に吹き出すのは、第1可変フィン群と第2可変フィン群との双方が中立位置にある場合である。つまり、本実施形態のように気体吹出口25aの開口方向がX方向に沿っている場合、第1可変フィン群が中立位置にあるとき、風向Dは、X方向に沿って一直線状となる。
【0064】
まず、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとは、互いに、内部流路10kの延伸方向であるX方向に沿った状態で平行、かつ、仮想平面Vを基準として対称な姿勢となる。このとき、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとの間には、気体吹出口25aの開口幅とおおよそ合う気体の流通空間が生じる。
【0065】
一方、第1リアフィン14aと第2リアフィン15aとは、互いに、中間フィン13に向かって傾斜し、かつ、仮想平面Vを基準として対称な姿勢となる。このとき、第1リアフィン14aの下流側エッジ部14fと、第2リアフィン15aの下流側エッジ部15fとの間隔は、気体吹出口25aの第2方向の開口幅とおおよそ合う。
【0066】
したがって、第1可変フィン群が中立位置にあるとき、第2開口端10nから導入された気体は、まず、第1リアフィン14aと第2リアフィン15aとの間の流通空間を通過しながら、徐々に中間フィン13が配置されている流通空間まで集められる。中間フィン13の第1主平面13d上又は第2主平面13e上のいずれかの流通空間に均等に割り振られた気体は、そのまま第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとの間の流通空間に導かれる。そして、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとの間を通過した気体は、最終的に、X方向に沿って一直線状となる風向Dで、気体吹出口25aから放出される。
【0067】
ここで、中間フィン13は、内部流路10kの延伸方向に沿った姿勢で固定配置されている。また、中間フィン13は、第1可変フィン群が中立位置にあるときの、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとの対称配置、及び、第1リアフィン14aと第2リアフィン15aとの対称配置の各々の基準である。したがって、中間フィン13と第1可変フィン群とで形成される流通経路によれば、気体は、中間フィン13によって整流されながら気体吹出口25aに向かうことになる。
【0068】
次に、第1の風向調整に関する具体的な作用として、図10A及び図10Bを参照し、第1可変フィン群が第1制限位置にあるときに生じる風向Dについて説明する。
【0069】
図10Aは、第1可変フィン群が第1制限位置にあるときの第1リンク機構24aの状態を示す側面図である。図10Bは、第1可変フィン群が第1制限位置にあるときの風向調整装置1の断面図である。なお、図10A及び図10Bにおける描画は、図9A又は図9Bにおける描画に対応している。
【0070】
本実施形態において、第1可変フィン群の第1制限位置とは、内部流路10k内での気体の流通経路を、中間フィン13の一方の主平面である第2主平面13eの側とする位置をいう。第1可変フィン群が第1制限位置にあるとき、風向Dは、気体吹出口25aの開口方向であるX方向から、第2方向であるZ方向のマイナス側からプラス側に向かう向き(以下、一例として「上向き」と表記する)に傾斜した方向となる。
【0071】
図10Aに示すように、乗員が第1操作ダイヤル20aを上向きに操作すると、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとは、第1リンク22の作用により、互いに平行を維持しながら一方向に傾斜する。ここで、一方向とは、上記の上向きとの表記に対して下向きに相当する。一方、第1リアフィン14aと第2リアフィン15aとは、一対のアーム20dの作用により、第1リア係合穴14e又は第2リア係合穴15e内で各々の第1係合軸20fを摺動させながら、互いに一方向に傾斜する。また、第1制限位置は、このように第1可変フィン群を回転変位させたときに、それ以上、当該回転方向に回転変位させることができない位置とも定義される。
【0072】
図10Bに示すように、第1フロントフィン11aが回転変位したことにより、第1フロントフィン11aの上流側エッジ部11eが中間フィン13の下流側エッジ部13bに近接する。一方、第2フロントフィン12aが回転変位したことにより、第2フロントフィン12aの上流側エッジ部12eがケース体10の第2壁部10bに近接する。ここで、本実施形態において各種エッジ部が近接するとは、近接対象物との間で、気体が漏れない程度に、又は、気体の流れに影響のない程度の隙間が生じているように、接触又は接近している状態をいう。
【0073】
一方、第1リアフィン14aが回転変位したことにより、第1リアフィン14aの下流側エッジ部14fが中間フィン13の上流側エッジ部13cに近接する。一方、第2リアフィン15aが回転変位したことにより、第2リアフィン15aの下流側エッジ部15fがケース体10の第2壁部10bに近接する。すなわち、第2リアフィン15aは、このとき、第2壁部10bの壁面に対して貼り付く姿勢となる。
【0074】
つまり、第1可変フィン群が中立位置から第1制限位置に変化するとき、第1フロントフィン11a及び第2フロントフィン12aと、第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aとは、互いに反対方向に回転変位する。
【0075】
したがって、第1可変フィン群が第1制限位置にあるとき、内部流路10k内には、第1リアフィン14a、中間フィン13及び第1フロントフィン11aが連続する壁部が形成されることになる。これにより、第2開口端10nから導入された気体は、まず、第1リアフィン14aの傾斜面に沿って、徐々に中間フィン13の第2主平面13eと第2壁部10bとの間の流通空間まで集められる。第2主平面13e上の流通空間に割り振られた気体は、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとの間の流通空間に導かれる。ここで、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとは、第2壁部10bの側から気体吹出口25aに向かうように上向きに傾斜している。そのため、第2主平面13e上を通過した気体は、第1フロントフィン11a及び第2フロントフィン12aの傾斜面に沿って流通し、最終的に、X方向から上向きに傾斜した風向Dで、気体吹出口25aから放出される。
【0076】
次に、第1の風向調整に関する具体的な作用として、図11A及び図11Bを参照し、第1可変フィン群が第2制限位置にあるときに生じる風向Dについて説明する。
【0077】
図11Aは、第1可変フィン群が第2制限位置にあるときの第1リンク機構24aの状態を示す側面図である。図11Bは、第1可変フィン群が第2制限位置にあるときの風向調整装置1の断面図である。なお、図11A及び図11Bにおける描画は、図9A又は図9Bにおける描画に対応している。
【0078】
本実施形態において、第1可変フィン群の第2制限位置とは、内部流路10k内での気体の流通経路を、中間フィン13の他方の主平面である第1主平面13dの側とする位置をいう。第1可変フィン群が第2制限位置にあるとき、風向Dは、気体吹出口25aの開口方向であるX方向から、第2方向であるZ方向のプラス側からマイナス側に向かう向き(以下、一例として「下向き」とする)に傾斜した方向となる。
【0079】
図11Aに示すように、乗員が第1操作ダイヤル20aを下向きに操作すると、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとは、第1リンク22の作用により、互いに平行を維持しながら一方向(上向き)に傾斜する。一方、第1リアフィン14aと第2リアフィン15aとは、一対のアーム20dの作用により、第1リア係合穴14e又は第2リア係合穴15e内で各々の第1係合軸20fを摺動させながら、互いに一方向に傾斜する。また、第2制限位置は、第1制限位置と同様に、第1可変フィン群を回転変位させたときに、それ以上、当該回転方向に回転変位させることができない位置とも定義される。
【0080】
図11Bに示すように、第1フロントフィン11aが回転変位したことにより、第1フロントフィン11aの上流側エッジ部11eがケース体10の第1壁部10aに近接する。一方、第2フロントフィン12aが回転変位したことにより、第2フロントフィン12aの上流側エッジ部12eが中間フィン13の下流側エッジ部13bに近接する。
【0081】
一方、第1リアフィン14aが回転変位したことにより、第1リアフィン14aの下流側エッジ部14fがケース体10の第1壁部10aに近接する。すなわち、第1リアフィン14aは、このとき、第1壁部10aの壁面に対して貼り付く姿勢となる。一方、第2リアフィン15aが回転変位したことにより、第2リアフィン15aの下流側エッジ部15fが中間フィン13の上流側エッジ部13cに近接する。
【0082】
つまり、第1可変フィン群が中立位置から第2制限位置に変化するときも、第1フロントフィン11a及び第2フロントフィン12aと、第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aとは、互いに反対方向に回転変位する。
【0083】
したがって、第1可変フィン群が第2制限位置にあるとき、内部流路10k内には、第2リアフィン15a、中間フィン13及び第2フロントフィン12aが連続する壁部が形成されることになる。これにより、第2開口端10nから導入された気体は、まず、第2リアフィン15aの傾斜面に沿って、徐々に中間フィン13の第1主平面13dと第1壁部10aとの間の流通空間まで集められる。第1主平面13d上の流通空間に割り振られた気体は、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとの間の流通空間に導かれる。ここで、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとは、第1壁部10aの側から気体吹出口25aに向かうように下向きに傾斜している。そのため、第1主平面13d上を通過した気体は、第1フロントフィン11a及び第2フロントフィン12aの傾斜面に沿って流通し、最終的に、X方向から下向きに傾斜した風向Dで、気体吹出口25aから放出される。
【0084】
ここまで、第1可変フィン群が、中立位置、第1制限位置及び第2制限位置にある場合の風向Dについて例示した。これに対して、乗員は、第1制限位置と第2制限位置との間で第1操作ダイヤル20aの回転方向及び回転量を適宜調整することで、風向Dを直進方向から上向き又は下向きの範囲でより細かな角度方向に調整することができる。
【0085】
次に、第2の風向調整として、風向Dを第1方向に沿って変更させる風向調整について説明する。本実施形態では、第1方向はY方向であるので、Z方向が鉛直方向に沿っているならば、第2の風向調整は、風向Dを左右方向に沿って変更させる調整である。以下、一例として、第2の風向調整で調整される風向Dを左向き又は右向きと表記する。
【0086】
第2の風向調整は、車室内の乗員が第2操作ダイヤル21aを操作することで実施される。以下、第2操作ダイヤル21aによる操作で回転変位する複数の中間可動フィン16を含む群を「第2可変フィン群」という。
【0087】
まず、図9Bを参照して第2リンク機構24bを構成する各要素の配置関係について説明する。なお、いずれかの要素同士の係合関係については、上記の各要素の構成の説明のとおりであるので、ここでの詳説は省略する。
【0088】
第2リンク機構24bでは、第2操作ダイヤル21aが設けられている第2ダイヤルノブ21と、複数の中間可動フィン16のうちの1つとは、第2ダイヤルノブ21に設けられているアーム21dを介して変位自在に接続されている。中間可動フィン16の第3回転軸16eでは、上記のとおり、アーム21dに設けられている第2係合穴21eに係合する部分の軸方向と、ケース体10の第3軸穴10iに係合する部分の軸方向とは、リンクを介して互いにずれている。また、第2係合穴21eは、長穴である。したがって、第2操作ダイヤル21aの回転によりアーム21dが変位すると、第2ダイヤルノブ21に接続されている中間可動フィン16が回転変位する。一方、すべての中間可動フィン16は、第1方向に沿って延伸する第2リンク23を介して、互いに変位自在に連結されている。そのため、第2操作ダイヤル21aの回転により、結果としてすべての中間可動フィン16は、常時、互いに平行を維持したまま回転変位する。つまり、第2リンク機構24bの構造によれば、第2操作ダイヤル21aの一度の操作により、第2可変フィン群に含まれるすべての中間可動フィン16が同時に回転変位する。
【0089】
なお、図9Bに示す中間可動フィン16は、第2可動フィン群における中立位置にある。このとき、中間可動フィン16に含まれる第1フィン16a及び第2フィン16bの各々の主平面は、XZ平面と平行な姿勢に維持される。
【0090】
そして、第2の風向調整に関する具体的な作用として、乗員は、予め設定された回転範囲内で第2操作ダイヤル21aの回転方向及び回転量を適宜調整することで、風向Dを直進方向から左向き又は右向きの範囲でより細かな角度方向に調整することができる。
【0091】
次に、風向調整装置1の効果について説明する。
【0092】
本実施形態に係る風向調整装置1は、気体を流通させる内部流路10kを有する筒状のケース体10を備える。風向調整装置1は、内部流路10kの断面内の第1方向とは略垂直となる第2方向に対して互いに略垂直で、かつ、表裏となる2つの主平面を有し、内部流路10kに固定配置される板状の中間フィン13を備える。また、風向調整装置1は、内部流路10kで中間フィン13よりも出口側に配置される板状のフロントフィンと、内部流路10kで中間フィン13よりも入口側に配置される板状のリアフィンとを備える。フロントフィンとリアフィンとは、第1制限位置と第2制限位置との間で、第1方向と平行な各々の回転軸の周りに互いに反対方向に回転変位する。ここで、第1制限位置は、気体の流通経路を中間フィン13の一方の第1主平面13dの側とする位置である。第2制限位置は、流通経路を中間フィン13の他方の第2主平面13eの側とする位置である。
【0093】
ここで、本実施形態に関する上記例示では、第1方向はY方向に相当し、第2方向はZ方向に相当する。本実施形態におけるフロントフィンは、第1フロントフィン11a及び第2フロントフィン12aである。本実施形態におけるリアフィンは、第1リアフィン14a及び第2リアフィン15aである。
【0094】
まず、風向調整装置1は、第1方向と平行な各々の回転軸の周りに回転変位するフロントフィン及びリアフィンを備える。したがって、これらの可動フィンの姿勢を変化させることで、外部に吹き出される気体の風向Dを、第1方向を基準とした向きに調整することができる。
【0095】
また、本実施形態では、内部流路10k内に中間フィン13が固定配置されている。また、フロントフィンとリアフィンとは、互いに、中間フィン13の設置位置を基準とし、かつ、第1方向と平行な各々の回転軸の周りに反対方向に回転変位することで、気体の流通経路を変更する。更に、中間フィン13の形状は、板状である。そのため、第1方向を基準として風向Dを変化させるとき、いかなる流通経路に調整されたとしても、流通経路を規定するためのフィンで、かつ、流通経路内すなわち気体の流れの中に存在するフィンは、第2方向が板厚方向となる中間フィン13のみである。したがって、例えば、風向Dが直進状となるように流通経路が調整されたとしても、中間フィン13は気体の流れを妨げづらいため、結果として、中間フィン13の形状に起因した圧力損失により送風効率を低下させるという事象が発生しづらい。
【0096】
更に、本実施形態では、中間フィン13の形状のみならず、気体の流通経路を規定するための可変フィンであるフロントフィン及びリアフィンの形状も板状である。したがって、風向調整装置1は、全体として簡素な構造となる。
【0097】
このように、本実施形態によれば、簡素な構造で送風効率の低下を抑える風向調整装置1を提供することができる。
【0098】
また、風向調整装置1は、中間フィン13は、第2方向での略中央位置に配置されてもよい。
【0099】
この風向調整装置1によれば、上記例示のように、風向Dが直進状となるように流通経路が調整されたとき、中間フィン13の位置は、気体の流れをより妨げづらい位置となるため、送風効率の低下をより抑えることができる。また、中間フィン13は、整流作用によって送風の直進性をより向上させる点で有利である。更に、フロントフィン及びリアフィンは、それぞれ、中間フィン13の設置位置を基準として回転変位する。そのため、中間フィン13が第2方向での中央位置に配置されていることで、第1方向を基準として風向Dを変化させるとき、どの角度方向にもバランスよく調整することができる。
【0100】
また、風向調整装置1では、フロントフィン及びリアフィンが第1制限位置又は第2制限位置にあるとき、フロントフィンの上流側エッジ部は、中間フィン13の下流側エッジ部13bに近接してもよい。同様に、フロントフィン及びリアフィンが第1制限位置又は第2制限位置にあるとき、リアフィンの下流側エッジ部は、中間フィン13の上流側エッジ部13cに近接してもよい。
【0101】
ここで、図10Bを用いて説明した第1制限位置についての例示では、第1フロントフィン11aの上流側エッジ部11eは、中間フィン13の下流側エッジ部13bに近接している。一方、第1リアフィン14aの下流側エッジ部14fは、中間フィン13の上流側エッジ部13cに近接している。同様に、図10Cを用いて説明した第2制限位置についての例示では、第2フロントフィン12aの上流側エッジ部12eは、中間フィン13の下流側エッジ部13bに近接している。一方、第2リアフィン15aの下流側エッジ部15fは、中間フィン13の上流側エッジ部13cに近接している。
【0102】
この風向調整装置1によれば、フロントフィン及びリアフィンが第1制限位置又は第2制限位置にあるとき、リアフィン、中間フィン13及びフロントフィンが一連の壁部を形成しているとみなすことができる。したがって、特にフロントフィン及びリアフィンが第1制限位置又は第2制限位置にあるときには、内部流路10k内の気体を気体吹出口25aにより導きやすくすることができる。
【0103】
また、風向調整装置1では、フロントフィン及びリアフィンが第1制限位置又は第2制限位置にあるとき、フロントフィンの下流側エッジ部は、外部に気体を吹き出す気体吹出口25aの第2方向で対向する2つの開口端のいずれかに近接してもよい。同時に、リアフィンの上流側エッジ部は、ケース体10の第2方向で対向する2つの壁部のいずれかに近接してもよい。
【0104】
ここで、本実施形態に関する上記例示では、第1制限位置又は第2制限位置を問わず、第1フロントフィン11aの下流側エッジ部11fは、気体吹出口25aの第2方向で対向する2つの開口端の一方に近接している。同様に、第2フロントフィン12aの下流側エッジ部12fは、気体吹出口25aの第2方向で対向する2つの開口端の他方に近接している。一方、第1リアフィン14aの上流側エッジ部14gは、ケース体10の第2方向で対向する2つの壁部のうちの第1壁部10aに近接している。同様に、第2リアフィン15aの上流側エッジ部15gは、ケース体10の第2方向で対向する2つの壁部のうちの第2壁部10bに近接している。
【0105】
この風向調整装置1によれば、第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとの間を流通する気体を気体吹出口25aに導きやすくすることができる。また、この風向調整装置1によれば、第2開口端10nから内部流路10k内に導入された気体を、中間フィン13の2つの主平面上の少なくともいずれかの側に形成される流通空間に導きやすくすることができる。結果として、風向Dを問わず、送風効率の低下を抑えることに寄与し得る。
【0106】
更に、風向調整装置1では、フロントフィンは、互いに平行な姿勢を維持する第1フロントフィン11aと第2フロントフィン12aとを含んでもよい。第1フロントフィン11aの第1回転軸11b及び第2フロントフィン12aの第2回転軸12bは、各々の下流側エッジ部11f,12fの側に設けられてもよい。かつ、第1回転軸11b及び第2回転軸12bは、中間フィン13の設置形状に合わせて規定される仮想平面Vを基準として互いに略対称に配置されてもよい。
【0107】
この風向調整装置1によれば、本実施形態に関する上記例示のように、フロントフィンが2つ備わる形態として本開示を実施することができる。
【0108】
(第2実施形態)
図12A図12Cは、第2実施形態に係る風向調整装置の断面図である。これらの図は、第1実施形態の説明で用いた図9B図10B及び図11Bの各図に対応し、本実施形態に合わせて改変されたものである。具体的には、図12Aは、第1可変フィン群が中立位置にあるとき、図12Bは、第1可変フィン群が第1制限位置にあるとき、また、図12Cは、第1可変フィン群が第2制限位置にあるときの風向調整装置の状態をそれぞれ示している。なお、これらの図では、図9B等に示される構成要素と同一のものには同一の符号を付し、以下、説明を省略する。
【0109】
第1実施形態では、第1可変フィン群として、2つのフロントフィン(第1フロントフィン11a及び第2フロントフィン12a)と、2つのリアフィン(第1リアフィン14a及び第2リアフィン15a)を含むものとした。これに対して、本実施形態における第1可変フィン群には、リアフィンとして、第1リアフィン14a等と同様の板状の1つのリアフィン30のみが含まれる。なお、第1可変フィン群を回転変位させる本実施形態における第1リンク機構の構成については、リアフィン30の構成及び作用に合わせたものに変更される。
【0110】
本実施形態では、リアフィン30の下流側エッジ部30aは、常時、中間フィン13の上流側エッジ部13cに近接する。つまり、リアフィン30は、下流側エッジ部30aの近傍に第1方向に沿って設けられている不図示の回転軸周りに回転変位する。
【0111】
この場合、第1可変フィン群が中立位置にあるとき、リアフィン30は、図12Aに示すように、中間フィン13とX方向に沿って一直線上に並ぶ。また、第1可変フィン群が第1制限位置にあるとき、図12Bに示すように、リアフィン30の上流側エッジ部30bが、ケース体10の第1壁部10aに近接する。更に、第1可変フィン群が第2制限位置にあるとき、図12Cに示すように、リアフィン30の上流側エッジ部30bが、ケース体10の第2壁部10bに近接する。
【0112】
このような第2実施形態に係る風向調整装置によっても、第1実施形態と同様に気体の流通経路を調整することができるので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0113】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係る風向調整装置の断面図である。図13(a)は、第1可変フィン群が中立位置にあるとき、図13(b)は、第1可変フィン群が第1制限位置にあるとき、また、図13(c)は、第1可変フィン群が第2制限位置にあるときの風向調整装置の状態をそれぞれ示している。なお、図13の各図では、第1可変フィン群及びケース体50の形状や配置関係を概略的に示している。
【0114】
まず、本実施形態におけるケース体50は、全体的には、ケース体10と同様に、気体を流通させる内部流路を有する筒状である。ただし、ケース体50は、本体部50aと連続し、本実施形態における中間フィン41よりも下流側の範囲に、内部流路の断面を上流側から下流側に向かって徐々に狭くする斜壁部50bを有する。なお、中間フィン41は、第1実施形態における中間フィン13と同様の形状及び固定配置である。
【0115】
一方、本実施形態における第1可変フィン群には、フロントフィンとして、第1フロントフィン11a等と同様の板状の1つのフロントフィン40のみが含まれる。同様に、本実施形態における第1可変フィン群には、リアフィンとして、第1リアフィン14a等と同様の板状の1つのリアフィン42のみが含まれる。なお、第1可変フィン群を回転変位させる本実施形態における第1リンク機構の構成についても、フロントフィン40及びリアフィン42の構成及び作用に合わせたものに変更される。
【0116】
本実施形態では、フロントフィン40の上流側エッジ部40bは、常時、中間フィン41の下流側エッジ部41aに近接する。つまり、フロントフィン40は、上流側エッジ部40bの近傍に第1方向に沿って設けられている不図示の回転軸周りに回転変位する。一方、リアフィン42の下流側エッジ部42aは、常時、中間フィン41の上流側エッジ部41bに近接する。つまり、リアフィン42は、下流側エッジ部42aの近傍に第1方向に沿って設けられている不図示の回転軸周りに回転変位する。
【0117】
この場合、第1可変フィン群が中立位置にあるとき、フロントフィン40とリアフィン42は、図13(a)に示すように、中間フィン41とX方向に沿って一直線上に並ぶ。また、第1可変フィン群が第1制限位置にあるとき、図13(b)に示すように、フロントフィン40の下流側エッジ部40aが、気体吹出口50cの第2方向の開口端の一方、すなわち、Z方向プラス側の開口端に近接する。一方、リアフィン42の上流側エッジ部42bが、ケース体10の本体部50aの壁部の一方、すなわち、Z方向プラス側の壁部に近接する。更に、第1可変フィン群が第2制限位置にあるとき、図13(c)に示すように、フロントフィン40の下流側エッジ部40aが、気体吹出口50cの第2方向の開口端の他方、すなわち、Z方向マイナス側の開口端に近接する。一方、リアフィン42の上流側エッジ部42bが、ケース体10の本体部50aの壁部の他方、すなわち、Z方向マイナス側の壁部に近接する。
【0118】
ここで、ケース体50に設けられる斜壁部50bの傾斜面の位置及び形状は、図13(b)又は図13(c)に示すように、第1可変フィン群が第1制限位置又は第2制限位置にあるときのフロントフィン40とおおよそ平行となるように設定される。このような斜壁部50bが設けられることで、第1可変フィン群においてフロントフィン40が1つしか設けられていなくても、風向Dを第1実施形態のように調整するように、フロントフィン40と斜壁部50bとの間の流通空間を変化させることができる。
【0119】
このような第3実施形態に係る風向調整装置によっても、第1実施形態と同様に気体の流通経路を調整することができるので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0120】
なお、上記の各実施形態では、第1可変フィン群に含まれるフロントフィン及びリアフィンの数を様々改変したが、本開示は、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の各実施形態で説明した構成を適宜組み合わせることで、第1可変フィン群が1つのフロントフィンと2つのリアフィンとを含むという構成もあり得る。
【0121】
また、第3実施形態では、フロントフィン40との間で風向Dを所望の方向に調整するための部位として、ケース体50の壁部の一部である斜壁部50bを例示したが、本開示は、これに限定されるものではない。例えば、ケース体50の気体吹出口の近傍に、傾斜面を有する凸部を設置することで、斜壁部50bの代用としてもよい。
【0122】
また、上記説明では、X方向、Y方向及びZ方向の各方向を規定した。ここで、上記の各図では、Z方向が鉛直方向に沿った方向とみなすことができる。これに対して、本開示の風向調整装置1等は、図中のZ方向が鉛直方向に沿った方向として設置される形態に限定されるものではない。例えば、風向調整装置1は、図中のY方向が鉛直方向に沿った方向として設置されてもよく、又は、それ以外の角度姿勢で設置されてもよい。
【0123】
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正又は変形をすることが可能である。また、上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 風向調整装置
10 ケース体
10a 第1壁部
10b 第2壁部
10k 内部流路
11a 第1フロントフィン
11b 第1回転軸
11e 上流側エッジ部
11f 下流側エッジ部
12a 第2フロントフィン
12b 第2回転軸
12e 上流側エッジ部
12f 下流側エッジ部
13 中間フィン
13b 下流側エッジ部
13c 上流側エッジ部
13d 第1主平面
13e 第2主平面
14a 第1リアフィン
14f 下流側エッジ部
14g 上流側エッジ部
15a 第2リアフィン
15f 下流側エッジ部
15g 上流側エッジ部
25a 気体吹出口
30 リアフィン
30a 下流側エッジ部
30b 上流側エッジ部
40 フロントフィン
40a 下流側エッジ部
40b 上流側エッジ部
41 中間フィン
41a 下流側エッジ部
41b 上流側エッジ部
42 リアフィン
42a 下流側エッジ部
42b 上流側エッジ部
50 ケース体
50a 本体部
50b 斜壁部
50c 気体吹出口
風向
仮想平面
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13