(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】防振装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/08 20060101AFI20240813BHJP
F16F 1/38 20060101ALI20240813BHJP
F16F 1/387 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F16F15/08 C
F16F15/08 K
F16F15/08 W
F16F1/38 S
F16F1/387 A
F16F1/387 F
(21)【出願番号】P 2021080333
(22)【出願日】2021-05-11
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】安 之旭
(72)【発明者】
【氏名】岡島 欣哉
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-248947(JP,A)
【文献】特開平6-94062(JP,A)
【文献】特開2020-180690(JP,A)
【文献】特開平7-158696(JP,A)
【文献】特開2014-66334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/08
F16F 1/38
F16F 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる第1取付部材、および他方に取付けられる第2取付部材と、
前記第1取付部材に取付けられた外筒、および前記第2取付部材に取付けられ、かつ前記外筒の内側に挿入された内筒と、
前記外筒の内周面および前記内筒の外周面を互いに連結した弾性体と、を備え、
前記第2取付部材は、前記第1取付部材を、第1方向の両側から覆う一対の第1壁部と、一対の前記第1壁部同士を連結し、かつ前記第1取付部材を前記第1方向に交差する第2方向に覆う第2壁部と、を備え、
前記第1取付部材と前記第2取付部材との間に、弾性ストッパが設けられ、
前記弾性ストッパは、
一対の前記第1壁部と前記第1取付部材との間に各別に設けられた一対のストッパ壁を有する第1ストッパ部と、
前記第2壁部と前記第1取付部材との間に設けられた第2ストッパ部と、を備え、
一対の前記ストッパ壁は、前記第2ストッパ部と、前記第1方向に延びる連結部と、により、前記第1方向に連結され、
前記連結部は、前記第2ストッパ部から前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に離れて設けられ、
前記第1ストッパ部、前記第2ストッパ部、および前記連結部は、一体に形成され、
前記第1取付部材には、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、前記連結部と、を係止し、前記第1ストッパ部および前記連結部が、前記第3方向に互いに接近することを規制する一対の規制部が設けられ、
前記第1ストッパ部における前記連結部との接続部分が、前記第3方向に引張されている、防振装置。
【請求項2】
一対の前記規制部は、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、前記連結部と、に、前記第2方向に各別に当接、若しくは近接し、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、前記連結部と、の、前記第1取付部材から前記第2方向に離れる向きの移動を規制する、請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記第2ストッパ部は、一対の前記ストッパ壁における前記第2方向の端部同士を連結している、請求項1または2に記載の防振装置。
【請求項4】
一対の前記規制部のうちのいずれか一方の前記規制部は、前記第3方向に突出し、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方を、前記第3方向に貫くスナップフィット突起を備え、
前記スナップフィット突起において、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方から、前記第3方向に突出した先端部は、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方に対して、前記第3方向に係止されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる第1取付部材、および他方に取付けられる第2取付部材と、第1取付部材に取付けられた外筒、および第2取付部材に取付けられた内側部材と、外筒および内側部材を互いに連結した弾性体と、を備え、第2取付部材は、第1取付部材を、第1方向の両側から覆う一対の第1壁部を備え、第1取付部材と第2取付部材との間に、第1取付部材に取付けられた弾性ストッパが設けられ、弾性ストッパが、一対の第1壁部と、第1取付部材と、の間に各別に設けられた一対のストッパ壁を備えた防振装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の防振装置では、ストッパ壁を第1取付部材に接着しなければ、例えば車両等への組付け時に、弾性ストッパが第1取付部材に対して位置ずれするおそれがある。
また、部品点数を増大させずに、一対の第1壁部が互いに対向する第1方向とは異なる他の方向に対応したストッパ部を追加して設けることが困難であるという問題がある。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、部品点数の増大を抑えつつ、複数の振動の入力方向に対応させることが可能で、かつ接着しなくても、弾性ストッパが第1取付部材に対して位置ずれするのを抑えることができる防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる第1取付部材、および他方に取付けられる第2取付部材と、前記第1取付部材に取付けられた外筒、および前記第2取付部材に取付けられ、かつ前記外筒の内側に挿入された内筒と、前記外筒の内周面および前記内筒の外周面を互いに連結した弾性体と、を備え、前記第2取付部材は、前記第1取付部材を、第1方向の両側から覆う一対の第1壁部と、一対の前記第1壁部同士を連結し、かつ前記第1取付部材を前記第1方向に交差する第2方向に覆う第2壁部と、を備え、前記第1取付部材と前記第2取付部材との間に、弾性ストッパが設けられ、前記弾性ストッパは、一対の前記第1壁部と前記第1取付部材との間に各別に設けられた一対のストッパ壁を有する第1ストッパ部と、前記第2壁部と前記第1取付部材との間に設けられた第2ストッパ部と、を備え、一対の前記ストッパ壁は、前記第2ストッパ部と、前記第1方向に延びる連結部と、により、前記第1方向に連結され、前記連結部は、前記第2ストッパ部から前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に離れて設けられ、前記第1ストッパ部、前記第2ストッパ部、および前記連結部は、一体に形成され、前記第1取付部材には、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、前記連結部と、を係止し、前記第1ストッパ部および前記連結部が、前記第3方向に互いに接近することを規制する一対の規制部が設けられ、前記第1ストッパ部における前記連結部との接続部分が、前記第3方向に引張されている。
【0007】
この発明によれば、弾性ストッパが、第1ストッパ部だけでなく第2ストッパ部も備えているので、第1方向および第2方向それぞれの振動の入力時に、弾性ストッパを第2取付部材に衝突させることが可能になり、1つの弾性ストッパによって、複数の振動の入力方向に対応させることができる。
第1取付部材に、第1ストッパ部および第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、連結部と、を係止し、第1ストッパ部および連結部が、第3方向に互いに接近することを規制する一対の規制部が設けられ、第1ストッパ部における連結部との接続部分が、第3方向に引張されている。したがって、弾性ストッパを、第1取付部材に第3方向に締め付けることが可能になり、弾性ストッパを第1取付部材に接着しなくても、例えば車両等への組付け時に、弾性ストッパが第1取付部材に対して位置ずれするのを抑えることができる。
第1ストッパ部、第2ストッパ部、および連結部が、一体に形成されているので、部品点数の増大を防ぐことができる。
【0008】
一対の前記規制部は、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、前記連結部と、に、前記第2方向に各別に当接、若しくは近接し、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、前記連結部と、の、前記第1取付部材から前記第2方向に離れる向きの移動を規制してもよい。
【0009】
この場合、一対の規制部が、第1ストッパ部および第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、連結部と、に、第2方向に各別に当接、若しくは近接し、第1ストッパ部および第2ストッパ部のうちの少なくとも一方と、連結部と、の、第1取付部材から第2方向に離れる向きの移動を規制するので、弾性ストッパが、第1取付部材から第2方向に外れるのを抑制することができる。
【0010】
前記第2ストッパ部は、一対の前記ストッパ壁における前記第2方向の端部同士を連結してもよい。
【0011】
この場合、第2ストッパ部が、一対のストッパ壁における第2方向の端部同士を連結しているので、弾性ストッパのコンパクト化を図ることができる。
【0012】
一対の前記規制部のうちのいずれか一方の前記規制部は、前記第3方向に突出し、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方を、前記第3方向に貫くスナップフィット突起を備え、前記スナップフィット突起において、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方から、前記第3方向に突出した先端部は、前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部のうちの少なくとも一方に対して、前記第3方向に係止されてもよい。
【0013】
この場合、一対の規制部のうちのいずれか一方の規制部が、第1ストッパ部および第2ストッパ部のうちの少なくとも一方を、第3方向に貫いて、第1ストッパ部および第2ストッパ部のうちの少なくとも一方に対して、第3方向に係止されたスナップフィット突起を備えている。したがって、第1ストッパ部および第2ストッパ部のうちの少なくとも一方が、第1取付部材に対して第2方向に位置ずれするのを確実に抑制することができるとともに、一対の規制部によって、第1ストッパ部の前記接続部分を第3方向に強く引張しても、スナップフィット突起が、第1ストッパ部および第2ストッパ部のうちの少なくとも一方から第3方向に抜けるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、部品点数の増大を抑えつつ、複数の振動の入力方向に対応させることが可能で、かつ接着しなくても、弾性ストッパが第1取付部材に対して位置ずれするのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の防振装置の、第1方向から見た側面図である。
【
図2】
図1の防振装置の、第2方向から見た側面図である。
【
図4】第2実施形態の防振装置の、第1方向から見た側面図である。
【
図5】
図4の防振装置の、第2方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、防振装置の第1実施形態を、
図1から
図3を参照しながら説明する。
防振装置1は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に取付けられる第1取付部材11、および他方に取付けられる第2取付部材12と、第1取付部材11に取付けられた外筒13、および第2取付部材12に取付けられ、かつ外筒13の内側に挿入された内筒14と、外筒13の内周面および内筒14の外周面を互いに連結した弾性体15と、を備えている。
【0017】
防振装置1は、例えば自動車等に装着され、エンジンの振動が車体に伝達するのを抑える。防振装置1では、第2取付部材12が振動発生部としての図示されないエンジンに取付けられ、第1取付部材11が振動受部としての車体に取付けられる。なお、第1取付部材11が振動発生部に、第2取付部材12が振動受部にそれぞれ取付けられてもよい。
【0018】
第1取付部材11は、装着筒21および台座部22を備えている。
【0019】
台座部22は、座板部23、および2つの支持板部24を備えている。
座板部23は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に固定される。支持板部24は、座板部23から突出している。2つの支持板部24は、表裏面が互いに対向する向きに並べられている。
以下、支持板部24が座板部23から突出している向きを上方といい、これとは逆向きを下方という。2つの支持板部24が互いに対向している方向を第1方向Xという。
【0020】
支持板部24には、上方に向けて開口し、第1方向Xに貫く装着孔24aが形成されており、この装着孔24aに装着筒21が嵌合されて固定されている。装着筒21は、支持板部24に接合されている。装着筒21は、2つの支持板部24を第1方向Xに連結している。装着筒21の上端部は、支持板部24の上端縁から上方に突出している。装着筒21の内側に、外筒13が嵌合されて固定されている。
【0021】
外筒13および内筒14は、共通軸Oと同軸に配設されている。共通軸Oは、第1方向Xに延びている。なお、共通軸Oは、第1方向Xと交差する方向に延びてもよい。内筒14の第1方向Xの両端部は、外筒13から第1方向Xに各別に突出している。
【0022】
第2取付部材12は、第1取付部材11を、第1方向Xの両側から覆う一対の第1壁部26と、一対の第1壁部26同士を連結し、かつ第1取付部材11を第1方向Xに交差する第2方向Yに覆う第2壁部27と、を備えている。
【0023】
一対の第1壁部26は、内筒14の第1方向Xの両端部に各別に連結されている。
第2壁部27は、支持板部24から第2方向Yに離れている。第2壁部27は、一対の第1壁部26における第2方向Yの端部同士を連結している。第2方向Yは、第1方向Xおよび上下方向に直交している。
以下、上下方向を第3方向Zという。
【0024】
第1取付部材11と第2取付部材12との間に、弾性ストッパ30が設けられている。弾性ストッパ30は、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32を備えている。
【0025】
第1ストッパ部31は、一対の第1壁部26と、第1取付部材11と、の間に各別に設けられた一対のストッパ壁31aを有している。ストッパ壁31aの表裏面は、第1方向Xを向いている。第1ストッパ部31は、ストッパ壁31aから上方に向けて突出する柱部31bを備えている。一対のストッパ壁31aは、第2ストッパ部32と、第1方向Xに延びる連結部33と、により、第1方向Xに連結されている。
【0026】
第2ストッパ部32は、第2壁部27と、第1取付部材11と、の間に設けられている。第2ストッパ部32は、板状に形成され、第2ストッパ部32の表裏面は、第2方向Yを向いている。
連結部33は、第2ストッパ部32から第1方向Xおよび第2方向Yに交差する第3方向Zに離れて設けられている。連結部33は、第1ストッパ部31の柱部31bにおける上端部同士を第1方向Xに連結している。柱部31bが、第1ストッパ部31における連結部33との接続部分となっている。
【0027】
ここで、第1ストッパ部31は、
図3に示されるように、一対のストッパ壁31aを第1方向Xに連結する架橋壁34を備えている。架橋壁34は、一対のストッパ壁31aにおける下端部同士を第1方向Xに連結している。架橋壁34は、第2ストッパ部32の下端部にも接続されている。架橋壁34は、第1取付部材11の支持板部24に第2方向Yに当接、若しくは近接している。架橋壁34は、表裏面が第3方向Zを向く板状に形成されている。
第1ストッパ部31、第2ストッパ部32、および連結部33は、例えばゴム材料等で一体に形成されている。
【0028】
そして、本実施形態では、第1取付部材11には、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方と、連結部33と、を係止し、第1ストッパ部31および連結部33が、第3方向Zに互いに接近することを規制する一対の規制部が設けられている。第1ストッパ部31の柱部31bは、一対の規制部により第3方向Zに引張されている。
【0029】
一対の規制部のうち、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方を係止する第1規制部35は、2つの支持板部24を第1方向Xに連結している。
第1規制部35は、共通軸Oより下方に位置している。第1規制部35は、2つの支持板部24から各別に、第2方向Yに沿う装着孔24aの反対側に突出する一対の第3壁部36と、一対の第3壁部36同士を第1方向Xに連結する第4壁部37と、を備えている。
【0030】
以下、第1方向Xから見て、第2方向Yに沿って、共通軸Oから離れる側を第2方向Yの外側といい、第1方向Xから見て、第2方向Yに沿って、共通軸Oに近付く側を第2方向Yの内側という。
【0031】
第3壁部36の表裏面は、第1方向Xを向いている。一対の第3壁部36それぞれの表裏面のうち、互いに対向する面と反対側の反対面は、全域にわたってストッパ壁31aにより第1方向Xに覆われている。第3壁部36の前記反対面は、ストッパ壁31aに当接、若しくは近接している。ストッパ壁31aにおける第2方向Yの内側の端部に、柱部31bが設けられている。
【0032】
第4壁部37の表裏面は、第2方向Yを向いている。第4壁部37は、第3壁部36における第2方向Yの外側の端部同士を連結している。第4壁部37は、支持板部24から第2方向Yの外側に離れている。第4壁部37の表裏面のうち、第2方向Yの外側を向く面は、全域にわたって第2ストッパ部32により第2方向Yに覆われている。第4壁部37の表裏面のうち、第2方向Yの外側を向く面は、第2ストッパ部32に当接、若しくは近接している。第2ストッパ部32は、一対のストッパ壁31aにおける第2方向Yの外側の端部同士を連結している。
【0033】
第3壁部36および第4壁部37それぞれの下端縁は、架橋壁34の上面に当接、若しくは近接している。これにより、第1規制部35は、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32の双方を係止し、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32の上方に向けた移動を規制する。
【0034】
一対の規制部のうち、連結部33を係止する第2規制部39は、支持板部24の上端縁の一部となっている。第2規制部39は、共通軸Oより上方に位置している。連結部33の下面が、支持板部24の上端縁に引っ掛けられている。これにより、第2規制部39は、連結部33を係止し、連結部33の下方に向けた移動を規制する。
【0035】
第2規制部39は、支持板部24の上端縁から上方に突出した係止突起39aを備えている。なお、第2規制部39は、係止突起39aを有しなくてもよい。係止突起39aは、支持板部24に形成された装着孔24aから第2方向Yの外側に離れている。係止突起39aと装着筒21の外周面との間に、第2方向Yの隙間が設けられている。この隙間に連結部33が挿入され、連結部33が、係止突起39a、および装着筒21の外周面に当接、若しくは近接している。これにより、第2規制部39は、連結部33の、第1取付部材11から第2方向Yに離れる向き(第2方向Yの外側)の移動を規制する。
【0036】
ここで、第1規制部35は、第3方向Zに突出し、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方を、第3方向Zに貫くスナップフィット突起38を備えている。スナップフィット突起38において、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方から、第3方向Zに突出した先端部は、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方に対して、第3方向Zに係止されている。
【0037】
図示の例では、スナップフィット突起38は、第4壁部37の下端縁から下方に向けて突出し、第1ストッパ部31の架橋壁34を第3方向Zに貫いている。なお、スナップフィット突起38は、第2ストッパ部32を第3方向Zに貫いてもよい。
スナップフィット突起38のうち、架橋壁34から下方に突出した先端部に、第1方向Xに張り出した張出突起38aが形成されている。張出突起38aは、架橋壁34の下面に当接、若しくは近接している。なお、張出突起38aは、スナップフィット突起38の先端部に、第2方向Y等に張り出して形成されてもよい。
【0038】
以上より、スナップフィット突起38が、架橋壁34を第3方向Zに貫いているので、スナップフィット突起38が、架橋壁34に形成された貫通孔の内面に、第2方向Yに当接、若しくは近接することとなる。
したがって、第1規制部35は、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方に、第2方向Yに当接、若しくは近接し、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方の、第1取付部材11から第2方向Yに離れる向き(第2方向Yの外側)の移動を規制する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態による防振装置1によれば、弾性ストッパ30が、第1ストッパ部31だけでなく第2ストッパ部32も備えているので、第1方向Xおよび第2方向Yそれぞれの振動の入力時に、弾性ストッパ30を第2取付部材12に衝突させることが可能になり、1つの弾性ストッパ30によって、複数の振動の入力方向に対応させることができる。
【0040】
第1取付部材11に、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方と、連結部33と、を係止し、第1ストッパ部31および連結部33が、第3方向Zに互いに接近することを規制する第1規制部35および第2規制部39が設けられ、第1ストッパ部31の柱部31bが第3方向Zに引張されている。
したがって、弾性ストッパ30を、第1取付部材11に第3方向Zに締め付けることが可能になり、弾性ストッパ30を第1取付部材11に接着しなくても、例えば車両等への組付け時に、弾性ストッパ30が第1取付部材11に対して位置ずれするのを抑えることができる。
第1ストッパ部31、第2ストッパ部32、および連結部33が、一体に形成されているので、部品点数の増大を防ぐことができる。
【0041】
第1規制部35および第2規制部39が、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方と、連結部33と、に、第2方向Yに各別に当接、若しくは近接し、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方と、連結部33と、の、第1取付部材11から第2方向Yに離れる向きの移動を規制するので、弾性ストッパ30が、第1取付部材11から第2方向Yに外れるのを抑制することができる。
【0042】
第2ストッパ部32が、一対のストッパ壁31aにおける第2方向Yの端部同士を連結しているので、弾性ストッパ30のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
第1規制部35が、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方を、第3方向Zに貫いて、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方に対して、第3方向Zに係止されたスナップフィット突起38を備えている。
したがって、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方が、第1取付部材11に対して第2方向Yに位置ずれするのを確実に抑制することができるとともに、第1規制部35および第2規制部39によって、第1ストッパ部31の柱部31bを第3方向Zに強く引張しても、スナップフィット突起38が、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方から第3方向Zに抜けるのを抑制することができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態に係る防振装置2を、
図4から
図6を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0045】
本実施形態では、第1規制部35が、スナップフィット突起38を備えておらず、架橋壁34が、第2ストッパ部32から第2方向Yの内側に離れている。第1規制部35における第3壁部36および第4壁部37それぞれの下端部が、ストッパ壁31aおよび第2ストッパ部32から下方に突出している。
第1規制部35の第3壁部36に、第1方向Xに貫いて、第2方向Yの内側および下方に開口した係止凹部39bが形成されている。係止凹部39bは、第3壁部36の下端部に形成されている。係止凹部39bに、架橋壁34が挿入されている。
【0046】
架橋壁34は、係止凹部39bの内面と、支持板部24と、により、第2方向Yに挟まれ、係止凹部39bの内面、および支持板部24に当接、若しくは近接している。これにより、第1規制部35は、第1ストッパ部31の、第1取付部材11から第2方向Yに離れる向きの移動を規制する。
係止凹部39bの内面のうち、上端に位置して下方を向く上端面に、架橋壁34の上面が当接、若しくは近接している。これにより、第1規制部35は、第1ストッパ部31を係止し、第1ストッパ部31の上方に向けた移動を規制する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態による防振装置2によれば、前記実施形態と同様に、部品点数の増大を抑えつつ、複数の振動の入力方向に対応させることが可能で、かつ接着しなくても、弾性ストッパ30が第1取付部材11に対して位置ずれするのを抑えること等ができる。
さらに、第1規制部35の第3壁部36に、係止凹部39bが形成され、係止凹部39bに、架橋壁34が挿入され、係止凹部39bの上端面に、架橋壁34の上面が当接、若しくは近接しているので、第1ストッパ部31の柱部31bを、第1規制部35および第2規制部39によって第3方向Zに強く引張した状態を確実に維持することができる。
【0048】
なお、本発明の技術範囲は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、第1ストッパ部31は架橋壁34を有しなくてもよい。
第1規制部35と、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方と、に、互いに係合する凹凸部等を設けることにより、第1規制部35が、第1ストッパ部31および第2ストッパ部32のうちの少なくとも一方を係止する構成を採用してもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、2 防振装置
11 第1取付部材
12 第2取付部材
13 外筒
14 内筒
15 弾性体
26 第1壁部
27 第2壁部
30 弾性ストッパ
31 第1ストッパ部
31a ストッパ壁
32 第2ストッパ部
33 連結部
35 第1規制部(規制部)
38 スナップフィット突起
39 第2規制部(規制部)
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向