(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】二次電池システム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20240813BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240813BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240813BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240813BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240813BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240813BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/00 130
H02J7/04 H
H02J7/34 B
H02J13/00 311R
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2021130229
(22)【出願日】2021-08-06
【審査請求日】2022-12-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕也
(72)【発明者】
【氏名】赤嶺 尚志
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-184405(JP,A)
【文献】国際公開第2019/186659(WO,A1)
【文献】特開2008-154302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0366021(US,A1)
【文献】特開2017-046440(JP,A)
【文献】特開2022-132933(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074502(WO,A1)
【文献】特開2019-216536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0269683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J13/00
H01M10/42-10/48
H01M50/20-50/298
G01R31/36-31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の二次電池と、
前記第1の二次電池よりも単位時間当たりの充放電性能が高い第2の二次電池と、
制御情報に基づき、前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の入力電力を制御する電力制御装置とを含み、
前記制御情報には、電力供給先において予測される天候を示す予測天候情報、前記電力供給先の日時毎の電力需要を示す電力需要情報、売電価格を示す売電情報、
及び前記第1の二次電池内の塩濃度を示す塩濃度情報が含ま
れ、
前記制御情報に基づく前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の制御が競合する場合、前記電力制御装置は、前記制御情報の既定の優先順位に従って、前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の入力電力を制御する
二次電池システム。
【請求項2】
前記電力制御装置は、前記予測天候情報が降雨を示す場合、前記第1の二次電池の入力電力を制限すると共に、前記第2の二次電池の入力電力を増やす、請求項1に記載の二次電池システム。
【請求項3】
前記第1の二次電池は、前記第2の二次電池よりも蓄電容量が大きく、
前記電力制御装置は、前記電力需要情報に基づき、前記電力供給先における消費電力が少ない時に、前記第1の二次電池への前記入力電力を増やす、請求項1又は2に記載の二次電池システム。
【請求項4】
前記電力制御装置は、前記売電情報が既定の売電価格以上である場合、前記第1の二次電池の入力電力を制限すると共に、前記第2の二次電池への前記入力電力を増やす、請求項1~3のいずれか1項に記載の二次電池システム。
【請求項5】
前記電力制御装置は、前記塩濃度情報に基づき、前記第1の二次電池内の塩濃度の斑が発生する予兆があると判定した場合、前記第1の二次電池の入力電力を制限すると共に、前記第2の二次電池への前記入力電力を増やす、請求項1~
4のいずれか1項に記載の二次電池システム。
【請求項6】
入力電力を分割して前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池に供給する電力分割装置をさらに含み、
前記電力分割装置は、前記入力電力の低周波成分を前記第1の二次電池に入力し、前記入力電力の高周波成分を前記第2の二次電池に入力し、
前記電力制御装置は、前記電力分割装置が出力する電力量を調整することにより、前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池に供給される電力量を調整する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の二次電池システム。
【請求項7】
二次電池システムの電力を制御する制御方法であって、
前記二次電池システムは、第1の二次電池と、前記第1の二次電池よりも単位時間当たりの充放電性能が高い第2の二次電池とを含み、
コンピュータが、制御情報に基づき、前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の入力電力を制御し、
前記制御情報には、電力供給先において予測される天候を示す予測天候情報、前記電力供給先の日時毎の電力需要を示す電力需要情報、売電価格を示す売電情報、
及び前記第1の二次電池内の塩濃度を示す塩濃度情報が含ま
れ、
前記コンピュータは、前記制御情報に基づく前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の制御が競合する場合、前記制御情報の既定の優先順位に従って、前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の入力電力を制御する
制御方法。
【請求項8】
二次電池システムの電力を制御する制御プログラムであって、
前記二次電池システムは、第1の二次電池と、前記第1の二次電池よりも単位時間当たりの充放電性能が高い第2の二次電池とを含み、
コンピュータに対し、制御情報に基づき、前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の入力電力を制御させ、
前記制御情報には、電力供給先において予測される天候を示す予測天候情報、前記電力供給先の日時毎の電力需要を示す電力需要情報、売電価格を示す売電情報、
及び前記第1の二次電池内の塩濃度を示す塩濃度情報が含ま
れ、
前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の入力電力の制御は、前記制御情報に基づく前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の制御が競合する場合、前記コンピュータが、前記制御情報の既定の優先順位に従って、前記第1の二次電池及び前記第2の二次電池の入力電力を制御することを含む、
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム内の電力を制御する二次電池システム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力型の二次電池及び容量型の二次電池が利用されている。出力型の二次電池は、容量型の二次電池よりも蓄電容量が小さいが、単位時間当たりの充放電性能が高いという特徴がある。一方、容量型の二次電池は、出力型の二次電池よりも単位時間当たりの充放電性能が低いが、蓄電容量が大きいという特徴がある。このような出力型の二次電池及び容量型の二次電池の双方を含む二次電池システムにおいて電力を制御する種々の技術が提案されている。
【0003】
特許文献1が開示する二次電池システムは、出力型電池の温度に基づいて容量型電池の入出力電流を制御する。
【0004】
また、特許文献2が開示する二次電池システムは、容量型蓄電装置及び出力型蓄電装置の劣化状態及び二次電池システムの需要電力量に基づいて、容量型蓄電装置及び出力型蓄電装置への電力量の配分を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/074502号
【文献】国際公開第2019/186659号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示する二次電池システムは、出力型電池の温度以外の要因によって出力型電池及び容量型電池の入力電力を制御できないという問題があった。同様に、特許文献2が開示する二次電池システムは、容量型蓄電装置及び出力型蓄電装置の劣化状態及び二次電池システムの需要電力量以外の要因によって出力型電池及び容量型電池の入力電力を制御できないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するものであり、様々な要因に基づいて、出力型電池及び容量型電池の入力電力を制御可能な二次電池システム、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る二次電池システムは、
第1の二次電池と、
第1の二次電池よりも単位時間当たりの充放電性能が高い第2の二次電池と、
制御情報に基づき、第1の二次電池及び第2の二次電池の入力電力を制御する電力制御装置とを含み、
制御情報には、電力供給先において予測される天候を示す予測天候情報、電力供給先の日時毎の電力需要を示す電力需要情報、売電価格を示す売電情報、第1の二次電池の温度及び第2の二次電池の温度を示す温度情報、第1の二次電池の蓄電量を示す第1の蓄電量情報及び二次電池システムに入力される電力を示す入力電力情報、第1の二次電池内の塩濃度を示す塩濃度情報、並びに第2の二次電池の蓄電量を示す第2の蓄電量情報のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0009】
また、電力制御装置は、予測天候情報が降雨を示す場合、第1の二次電池の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池の入力電力を増やすことができる。
【0010】
さらに、第1の二次電池は、第2の二次電池よりも蓄電容量が大きく、
電力制御装置は、電力需要情報に基づき、電力供給先における消費電力が少ない時に、第1の二次電池の入力電力を増やすことができる。
【0011】
さらに、電力制御装置は、売電情報が既定の売電価格以上である場合、第1の二次電池の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池の入力電力を増やすことができる。
【0012】
さらに、電力制御装置は、温度情報に基づき、温度の高い二次電池の入力電力を減らし、温度の低い二次電池の入力電力を増やすことができる。
【0013】
さらに、第1の二次電池がインターカレータを含む二次電池である場合、
電力制御装置は、第1の蓄電量情報が示す第1の二次電池の蓄電量が既定の第1の蓄電量を超え、かつ、入力電力情報が示す電力が既定の電力を超えるとき、第1の二次電池の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池の入力電力を増やすことができる。
【0014】
さらに、電力制御装置は、塩濃度情報に基づき、第1の二次電池内の塩濃度の斑が発生する予兆があると判定した場合、第1の二次電池の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池の入力電力を増やすことができる。
【0015】
さらに、電力制御装置は、第2の二次電池への電力供給を優先的に行い、
第2の蓄電量情報が示す第2の二次電池の蓄電量が既定の第2の蓄電量を超える場合、電力制御装置は、第2の二次電池の入力電力を制限すると共に、第1の二次電池の入力電力を増やすことができる。
【0016】
さらに、電力制御装置は、第2の蓄電量情報が示す第2の二次電池の蓄電量が既定の第3の蓄電量以下となった場合、電力制御装置は、第1の二次電池の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池の入力電力を増やすことができる。
【0017】
さらに、入力電力を分割して第1の二次電池及び第2の二次電池に供給する電力分割装置を含み、
電力分割装置は、入力電力の低周波成分を第1の二次電池に入力し、入力電力の高周波成分を第2の二次電池に入力し、
電力制御装置は、電力分割装置が出力する電力量を調整することにより、第1の二次電池及び第2の二次電池に供給される電力量を調整することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る第1の二次電池と第1の二次電池よりも単位時間当たりの充放電性能が高い第2の二次電池とを含む二次電池システムの電力を制御する制御方法は、
コンピュータが、制御情報に基づき、第1の二次電池及び第2の二次電池の入力電力を制御し、
制御情報には、電力供給先において予測される天候を示す予測天候情報、電力供給先の日時毎の電力需要を示す電力需要情報、売電価格を示す売電情報、第1の二次電池の温度及び第2の二次電池の温度を示す温度情報、第1の二次電池の蓄電量を示す第1の蓄電量情報及び二次電池システムに入力される電力を示す入力電力情報、第1の二次電池内の塩濃度を示す塩濃度情報、並びに第2の二次電池の蓄電量を示す第2の蓄電量情報のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0019】
さらに、本発明の一態様に係る第1の二次電池と第1の二次電池よりも単位時間当たりの充放電性能が高い第2の二次電池とを含む二次電池システムの電力を制御する制御プログラムは、
コンピュータに対し、制御情報に基づき、第1の二次電池及び第2の二次電池の入力電力を制御させ、
制御情報には、電力供給先において予測される天候を示す予測天候情報、電力供給先の日時毎の電力需要を示す電力需要情報、売電価格を示す売電情報、第1の二次電池の温度及び第2の二次電池の温度を示す温度情報、第1の二次電池の蓄電量を示す第1の蓄電量情報及び二次電池システムに入力される電力を示す入力電力情報、第1の二次電池内の塩濃度を示す塩濃度情報、並びに第2の二次電池の蓄電量を示す第2の蓄電量情報のうちの少なくとも1つが含まれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、様々な要因に基づいて、出力型電池及び容量型電池の入力電力を制御可能な二次電池システム、制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る二次電池システムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電力制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】二次電池システムが必要とされる電力(DP)と、容量型電池の入力電力(CP)と、出力型電池の入力電力(OP)との関係を示す図である。
【
図4】容量型電池及び出力型電池の容量と出力の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池システム1を示す図である。二次電池システム1は、外部から供給された電力を蓄積して供給するシステムである。例えば、二次電池システム1は、電力会社等が管理する電力システムとして実装することができる。二次電池システム1は、容量型電池10と、出力型電池20と、電力制御装置30と、電力分割装置40とを含む。
【0023】
容量型電池10は、出力型電池20よりも蓄電容量が大きい二次電池である。容量型電池10は、第1の二次電池に相当する。出力型電池20は、容量型電池10よりも単位時間当たりの充放電性能が高い二次電池である。出力型電池20は、第2の二次電池に相当する。
図1に示すように、容量型電池10及び出力型電池20は、並列に接続される。なお、
図1には、単一の容量型電池10及び出力型電池20が示されているが、二次電池システム1は、複数の容量型電池10及び出力型電池20を含むことができる。この場合、複数の容量型電池10及び複数の出力型電池20は、それぞれ並列に接続される。
【0024】
電力分割装置40は、電力制御装置30の制御に従い、入力電力を分割して容量型電池10及び出力型電池20に供給する装置である。電力分割装置40の具体例としては、ローパスフィルタ等が挙げられる。電力分割装置40は、入力電力の低周波成分を容量型電池10に供給すると共に、入力電力の高周波成分を出力型電池20に供給することができる。
【0025】
電力制御装置30は、種々の制御情報に基づき、容量型電池10及び出力型電池20の入力電力を制御する装置である。電力制御装置30は、電力分割装置40が出力する電力量を調整することにより、容量型電池10及び出力型電池20に供給される電力量を調整することができる。
【0026】
例えば、容量型電池10の入力電力を制限する場合、電力制御部301は、電力分割装置40に対し、より低周波数の電力を出力させることにより、容量型電池10の入力電力を制限できる。具体的には、電力制御部301は、電力分割装置40が容量型電池10に供給可能な電力の周波数帯域を絞ることにより、電力分割装置40から容量型電池10に供給される電力量を減少させ、容量型電池10の入力電力を減らすことができる。この場合、電力分割装置40から出力型電池20に供給される電力量が増加し、出力型電池20の入力電力が増える。
【0027】
容量型電池10の入力電力を増加させる場合、電力制御部301は、電力分割装置40に対し、より高周波の電力を出力させることにより、容量型電池10の入力電力を増加させることができる。具体的には、電力制御部301は、電力分割装置40が容量型電池10に供給可能な電力の周波数帯域を拡げることにより、電力分割装置40から容量型電池10に供給される電力量を増加させ、容量型電池10の入力電力を増やすことができる。この場合、電力分割装置40から出力型電池20に供給される電力量が減少し、出力型電池20の入力電力が減る。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る電力制御装置30の構成を示すブロック図である。電力制御装置30は、通信インタフェース(I/F)31と、記憶装置32と、演算装置33とを備える。通信I/F31は、電力制御装置30と他の装置との間で信号の送受信を行うインタフェースである。
【0029】
記憶装置32は、演算装置33が実行する制御プログラム、演算装置33が処理する種々の情報が保存される記憶装置である。
【0030】
演算装置33は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の演算装置である。演算装置33は、記憶装置32に保存された制御プログラムを実行することにより、制御プログラムによって規定される制御方法を実行する。制御プログラムには、制御情報取得部300及び電力制御部301が含まれる。なお、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路が、制御プログラムを実行してもよい。
【0031】
制御情報取得部300は、電力制御部301が使用する制御情報を取得するプログラムである。制御情報には、(1)二次電池システム1の電力供給先において予測される天候を示す予測天候情報、(2)二次電池システム1の電力供給先の日時毎の電力需要を示す電力需要情報、(3)売電価格を示す売電情報、(4)容量型電池10の温度及び出力型電池20の温度を示す温度情報、(5)容量型電池10の蓄電量を示す第1の蓄電量情報及び二次電池システム1に入力される電力を示す入力電力情報、(6)容量型電池10内の塩濃度を示す塩濃度情報、並びに(7)出力型電池20の蓄電量を示す第2の蓄電量情報のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0032】
電力制御部301は、種々の制御情報に基づき、容量型電池10及び出力型電池20の入力電力を制御するプログラムである。具体的には、電力制御部301は、予測天候情報が降雨を示す場合、容量型電池10の入力電力を制限すると共に、出力型電池20の入力電力を増やすことができる。
【0033】
また、電力制御部301は、電力需要情報に基づき、二次電池システム1の電力供給先における消費電力が少ない時に、容量型電池10の入力電力を増やすことができる。
【0034】
さらに、電力制御部301は、売電情報が既定の売電価格以上である場合、容量型電池10の入力電力を制限すると共に、出力型電池20の入力電力を増やすことができる。既定の売電価格は、出力型電池20の入力電力を増加させた結果、出力型電池20の寿命が縮まることによる長期的な交換費用の増大と見合う価格以上とすることができる。
【0035】
さらに、電力制御部301は、温度情報に基づき、温度の高い二次電池の入力電力を減らし、温度の低い二次電池の入力電力を増やすことができる。具体的には、容量型電池10の温度が出力型電池20の温度よりも高い場合、電力制御部301は、容量型電池10の入力電力を減らし、出力型電池20の入力電力を増やす。一方、出力型電池20の温度が容量型電池10の温度よりも高い場合、電力制御部301は、出力型電池20の入力電力を減らし、容量型電池10の入力電力を増やす。
【0036】
さらに、電力制御部301は、第1の蓄電量情報が示す容量型電池10の蓄電量が既定の第1の蓄電量を超える場合において、入力電力情報が示す電力が既定の電力を超えるとき、容量型電池10の入力電力を制限すると共に、出力型電池20の入力電力を増やすことができる。既定の第1の蓄電量及び既定の電力は、容量型電池10がインターカレータ(リチウムイオン等)を含む二次電池である場合において、容量型電池10内のインターカレータの析出が生じ得る蓄電量及び電力値とすることができる。したがって、容量型電池10の蓄電量が容量型電池10内のインターカレータの析出が生じ得る蓄電量を超え、かつ、二次電池システム1に入力される電力が析出の生じ得る電力値を超えた場合、電力制御部301は、容量型電池10の入力電力を制限すると共に、出力型電池20の入力電力を増やす。
【0037】
さらに、電力制御部301は、塩濃度情報に基づき、容量型電池10内の塩濃度斑の発生の予兆があると判定した場合、容量型電池10の入力電力を制限すると共に、出力型電池20の入力電力を増やすことができる。
【0038】
例えば、電力制御部301は、容量型電池10の連続充放電時の負極の膨張収縮による電解液の押出量の増加を検出することにより、塩濃度斑の発生の予兆を捉えることができる。また、電力制御部301は、容量型電池10の面方向のLi塩の偏りを検出することにより、塩濃度斑の発生の予兆を捉えることができる。面方向とは、容量型電池10の正極集電部及び負極集電部を結ぶ方向である。さらに、電力制御部301は、容量型電池10の容量の維持率の低下を検出することにより、塩濃度斑の発生の予兆を捉えることができる。さらに、容量型電池10の抵抗値の上昇傾向を検出することにより、塩濃度斑の発生の予兆を捉えることができる。さらに、容量型電池10の温度の上昇による電解液の膨張を検出することにより、塩濃度の斑が発生する予兆を捉えることができる。
【0039】
さらに、電力制御部301は、出力型電池20の蓄電量を示す第2の蓄電量情報に基づいて、容量型電池10及び出力型電池20の入力電力を制御することができる。具体的には、電力制御部301は、出力型電池20への電力供給を優先的に行い、第2の蓄電量情報が示す出力型電池20の蓄電量が既定の第2の蓄電量を超える場合、出力型電池20の入力電力を制限すると共に、容量型電池10の入力電力を増やすことができる。第2の蓄電量は、出力型電池20の最大容量以下とすることができる。また、第2の蓄電量情報が示す出力型電池20の蓄電量が既定の第3の蓄電量以下となった場合、出力型電池20の入力電力を増やすと共に、容量型電池10の入力電力を制限することができる。第3の蓄電量は、第2の蓄電量未満とすることができる。
【0040】
図3は、二次電池システム1が必要とされる電力(DP)と、容量型電池10の入力電力(CP)と、出力型電池20の入力電力(OP)との関係を示す図である。二次電池システム1には、必要電力(DP)以上の電力が供給され、容量型電池10及び出力型電池20に蓄電される。
【0041】
まず、出力型電池20への電力供給が優先的に行われ、出力型電池20の入力電力(OP)が増加し、出力型電池20の蓄電量が増加する。出力型電池20の蓄電量が第2の蓄電量を超えると、電力制御部301が、出力型電池20の入力電力(OP)を制限すると共に、容量型電池10の入力電力(CP)を増やす。その結果、出力型電池20の蓄電量が減少すると共に、容量型電池10の蓄電量が増加する。
【0042】
出力型電池20の蓄電量が第3の蓄電量以下になると、電力制御部301は、容量型電池10の入力電力(CP)を制限すると共に、出力型電池20の入力電力(OP)を増やす。その結果、容量型電池10の蓄電量が減少すると共に、出力型電池20の蓄電量が増加する。このように、電力制御部301は、出力型電池20の蓄電量に基づいて、容量型電池10及び出力型電池20の入力電力を制御することができる。
【0043】
上述した実施形態では、二次電池システム1は、第1の二次電池10と、第1の二次電池よりも単位時間当たりの充放電性能が高い第2の二次電池20と、電力制御装置30とを含む。電力制御装置30は、制御情報に基づき、第1の二次電池10及び第2の二次電池20の入力電力を制御する。制御情報には、電力供給先において予測される天候を示す予測天候情報、電力供給先の日時毎の電力需要を示す電力需要情報、売電価格を示す売電情報、第1の二次電池10の温度及び第2の二次電池20の温度を示す温度情報、二次電池システム1に入力される電力を示す入力電力情報、第1の二次電池10内の塩濃度を示す塩濃度情報、並びに第2の二次電池20の蓄電量を示す第2の蓄電量情報のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0044】
電力制御装置30は、予測天候情報が降雨を示す場合、第1の二次電池10の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池20の入力電力を増やす。降雨の場合、電力供給先における電力消費量が増加する可能性がある。そのため、充放電性能が高い第2の二次電池20の蓄電量を事前に増やすことにより、電力供給先における電力消費量の増加に速やかに対応することができる。
【0045】
また、電力制御装置30は、電力需要情報に基づき、電力供給先における消費電力が少ない時に、第2の二次電池20よりも蓄電容量が大きい第1の二次電池10の入力電力を増やす。例えば、電力供給先における消費電力が少ない夜間等に第1の二次電池10の入力電力を増やす。これにより、二次電池システム1において、多くの電力を効率的に蓄電することができる。
【0046】
さらに、電力制御装置30は、売電情報が既定の売電価格以上である場合、第1の二次電池10の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池20の入力電力を増やす。これにより、充放電性能が高い第2の二次電池20から出力される電力量を増やすことができ、売電収入を高めることができる。例えば、売電価格が、出力電力量の増加に伴う第2の二次電池20の寿命の短縮による長期的な交換費用の増大と見合う価格以上となった場合、第2の二次電池20の出力電力量を増やして売電収入を高めることにより、収益性を高めることができる。
【0047】
さらに、電力制御装置30は、温度情報に基づき、温度の高い二次電池の入力電力を減らし、温度の低い二次電池の入力電力を増やす。これにより、温度の高い二次電池の温度を低下させることができ、当該二次電池の劣化を抑制することができる。
【0048】
さらに、電力制御装置30は、第1の蓄電量情報が示す第1の二次電池10の蓄電量が既定の第1の蓄電量を超え、かつ、入力電力情報が示す電力が既定の電力を超えた場合、第1の二次電池10の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池20の入力電力を増やす。既定の第1の蓄電量及び既定の電力は、容量型電池10がインターカレータを含む二次電池である場合において、容量型電池10内のインターカレータの析出が生じ得る蓄電量及び電力値とすることができる。これにより、インターカレータを含む第1の二次電池10の蓄電量が、インターカレータの析出が生じ得る蓄電量を超え、かつ、二次電池システム1に入力される電力が、インターカレータの析出の生じ得る電力値を超えた場合、電力制御部301は、第1の二次電池10の入力電力を制限する。その結果、第1の二次電池10内でインターカレータが析出するのを抑制できる。
【0049】
さらに、電力制御装置30は、塩濃度情報に基づき、第1の二次電池10内の塩濃度の斑が発生する予兆があると判定した場合、第1の二次電池10の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池20の入力電力を増やす。これにより、第1の二次電池10内の塩濃度の斑が発生する前に、第1の二次電池10内の塩濃度の斑を解消することができる。
【0050】
さらに、電力制御装置30は、第2の二次電池20への電力供給を優先的に行うことができる。電力制御部301は、第2の蓄電量情報が示す第2の二次電池20の蓄電量が既定の第2の蓄電量を超える場合、第2の二次電池20の入力電力を制限すると共に、第1の二次電池10の入力電力を増やすことができる。第2の蓄電量は、第2の二次電池20の最大容量以下の値、例えば、最大容量の80%とすることができる。これにより、充放電性能が高い第2の二次電池20を効率的に活用することができる。また、第2の蓄電量を最大容量の80%とすることにより、第2の二次電池20の寿命を長くすることができる。
【0051】
さらに、電力制御装置30は、第2の蓄電量情報が示す第2の二次電池20の蓄電量が既定の第3の蓄電量以下となった場合、第1の二次電池10の入力電力を制限すると共に、第2の二次電池20の入力電力を増やすことができる。第3の蓄電量は、第2の蓄電量未満の値、例えば、最大容量の50%とすることができる。これにより、第2の二次電池20の蓄電量が、最大容量の50%になると、再び、充放電性能が高い第2の二次電池20の入力電力が増加するため、第2の二次電池20を効率的に活用することができる。
【0052】
複数の容量型電池10及び出力型電池20を含む二次電池システム1において、電力制御装置30が上述の制御を行い、容量型電池10及び出力型電池20の使用状況を分析することにより、容量型電池10及び出力型電池20の最適数を把握することができる。そのため、二次電池システム1において最適な数の容量型電池10及び出力型電池20を設置することにより、二次電池システム1の費用を低減することができる。
【0053】
図4は、容量型電池10及び出力型電池20の容量及び出力を示す図である。仮に、二次電池システム1を容量型電池10のみで構成する場合、容量型電池10の単位時間当たりの出力性能は出力型電池20よりも低いため、二次電池システム1が必要とされる出力を実現するためには、より多くの容量型電池10を用意する必要がある。一方、二次電池システム1を出力型電池20のみで構成する場合、出力型電池20の容量は容量型電池10よりも小さいため、二次電池システム1が必要とされる容量を実現するためには、より多くの出力型電池20を用意する必要がある。
【0054】
本発明の一実施形態に係る二次電池システム1は、単位時間当たりの出力性能が容量型電池10よりも高い出力型電池20を含むため、二次電池システム1が必要とされる出力を実現するために必要な容量型電池10の数を減らすことができる。また、二次電池システム1は、出力型電池20よりも容量が大きい容量型電池10を含むため、二次電池システム1が必要とされる容量を実現するために必要な出力型電池20の数を減らすことができる。
【0055】
電力制御装置30は、上述した制御情報の全てを使用して、容量型電池10及び出力型電池20の入力電力を制御することができる。複数の制御情報に基づく容量型電池10及び出力型電池20の制御が競合する場合、電力制御装置30は、制御情報の既定の優先順位に従って、容量型電池10及び出力型電池20の入力電力を制御できる。制御情報の優先順位は任意に設定することができる。
【0056】
例えば、電力制御装置30は、電力需要情報に基づき、二次電池システム1の電力供給先における消費電力が少ない時に容量型電池10の入力電力を増やすことができる一方、塩濃度情報に基づき、容量型電池10内の塩濃度斑の発生の予兆があると判定した場合、容量型電池10の入力電力を制限すると共に出力型電池20の入力電力を増やすことができる。この場合、例えば、塩濃度情報の優先順位を電力需要情報よりも高く設定することができる。これにより、電力制御装置30は、二次電池システム1の電力供給先における消費電力が少ない時であっても、容量型電池10内の塩濃度斑の発生の予兆があると判定した場合には、容量型電池10の入力電力を制限すると共に出力型電池20の入力電力を増やすことができる。そのため、容量型電池10内の塩濃度斑の発生を事前に防止することができる。
【0057】
さらに、電力分割装置40は、入力電力の低周波成分を第1の二次電池10に入力し、入力電力の高周波成分を第2の二次電池20に入力する。電力制御装置30は、二次電池システム1に入力される電力の周波数を調整することにより、第1の二次電池10及び第2の二次電池20に供給される電力量を調整することができる。これにより、二次電池システム1の入力電力の周波数を調整することにより、第1の二次電池10及び第2の二次電池20の蓄電量を調整することができる。また、充放電性能が高い第2の二次電池20に、劣化の少ない高周波電力を供給することができる。
【0058】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。コンピュータには、PC(Personal Computer)、サーバ、CPU、MPU、FPGA、ASIC等の種々の装置が含まれる。
【0059】
本発明は上述した実施形態に限られたものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 二次電池システム
10 容量型電池、第1の二次電池
20 出力型電池、第2の二次電池
30 電力制御装置
32 記憶装置
33 演算装置
300 制御情報取得部
301 電力制御部
40 電力分割装置
DP 二次電池システムの必要電力
CP 容量型電池の入力電力
OP 出力型電池の入力電力