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特許7536728光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/255 20060101AFI20240813BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20240813BHJP
   G01B 11/16 20060101ALN20240813BHJP
【FI】
G02B6/255
G02B6/44 396
G01B11/16 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021162612
(22)【出願日】2021-10-01
(65)【公開番号】P2023053528
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】十川 貴行
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 直樹
(72)【発明者】
【氏名】平 陽兵
(72)【発明者】
【氏名】大窪 一正
(72)【発明者】
【氏名】玉野 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 進太郎
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-98556(JP,U)
【文献】実開昭53-114250(JP,U)
【文献】実開昭51-87438(JP,U)
【文献】実開昭56-92108(JP,U)
【文献】特開2007-132824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0281511(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0045408(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/02
G02B 6/24- 6/255
G02B 6/36- 6/40
G02B 6/44- 6/54
G01B11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1棒状部材と、
前記第1棒状部材の第1表面に固定された第1光ファイバと、
第2棒状部材と、
前記第2棒状部材の第2表面に固定された第2光ファイバと、
前記第1光ファイバと前記第2光ファイバと間の接続部と、
管状の内部に前記接続部を収容し、内面が前記第1棒状部材の前記第1表面及び前記第2棒状部材の前記第2表面と一体化することにより、前記第1棒状部材と前記第2棒状部材とを連結する継手部材と、
を備え、
前記接続部は、前記継手部材に対して遊動可能である、光ファイバの接続構造。
【請求項2】
前記接続部を収容する保護管をさらに備え、
前記保護管は、前記継手部材の前記内部に収容され、
前記保護管の外面と前記継手部材の前記内面との間には充填材が充填され、
前記接続部は、前記保護管に対して遊動可能である、請求項1に記載の光ファイバの接続構造。
【請求項3】
前記第1棒状部材は、前記第1表面に第1ネジ溝部と、前記第1棒状部材の長手方向に延在する第1平面とを有し、
前記第2棒状部材は、前記第2表面に第2ネジ溝部と、前記第2棒状部材の長手方向に延在する第2平面とを有し、
前記継手部材は、前記内面に内面ネジ溝部を有し、前記内面ネジ溝部が前記第1ネジ溝部及び前記第2ネジ溝部と嵌合することにより、前記第1棒状部材と前記第2棒状部材とを連結し、
前記第1光ファイバは、前記第1平面に固定され、
前記第2光ファイバは、前記第2平面に固定されている、請求項1又は2に記載の光ファイバの接続構造。
【請求項4】
前記第1棒状部材は、前記第1平面に、前記第1棒状部材の長手方向に延在する第1溝部を含み、
前記第2棒状部材は、前記第2平面に、前記第2棒状部材の長手方向に延在する第2溝部を含み、
前記第1光ファイバは、前記第1溝部の中に固定され、
前記第2光ファイバは、前記第2溝部の中に固定されている、請求項3に記載の光ファイバの接続構造。
【請求項5】
第1棒状部材の第1表面に固定された第1光ファイバと、第2棒状部材の第2表面に固定された第2光ファイバとを接続部で接続する光ファイバ接続工程と、
前記接続工程で接続された前記接続部が継手部材に対して遊動可能なように、前記接続部を管状の前記継手部材の内部に収容し、前記継手部材の内面と、前記第1棒状部材の前記第1表面及び前記第2棒状部材の前記第2表面とを一体化することにより、前記第1棒状部材と前記第2棒状部材とを連結する連結工程と、
を備えた光ファイバの接続方法。
【請求項6】
前記連結工程の前に、前記接続工程で接続された前記接続部が保護管に対して遊動可能なように、前記接続部を保護管に収容する接続部収容工程をさらに備え、
前記連結工程では、前記接続部収容工程で前記接続部を収容した前記保護管を前記継手部材の前記内部に収容して、前記第1棒状部材と前記第2棒状部材とを連結し、
前記連結工程の後に、前記保護管の外面と前記継手部材の前記内面との間に充填材を充填する充填工程をさらに備えた、請求項5に記載の光ファイバの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体に生じた歪を検出するために構造体に光ファイバを設置する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、コンクリートの打設前に鉄筋の表面に光ファイバを固定し、コンクリートの打設後に光ファイバ中を伝播する光波の特性変化に基づいて、鉄筋の歪及びコンクリートのひび割れを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6660749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術では、光ファイバ同士が接続された接続部は、光ファイバの心線そのものに比べて強度が劣るため、光ファイバ同士が接続された接続部に外部から力が加わった場合には、光ファイバの断線の可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、光ファイバの断線の可能性を低減できる光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1棒状部材と、第1棒状部材の第1表面に固定された第1光ファイバと、第2棒状部材と、第2棒状部材の第2表面に固定された第2光ファイバと、第1光ファイバと第2光ファイバと間の接続部と、管状の内部に接続部を収容し、内面が第1棒状部材の第1表面及び第2棒状部材の第2表面と一体化することにより、第1棒状部材と第2棒状部材とを連結する継手部材とを備え、接続部は継手部材に対して遊動可能である光ファイバの接続構造である。
【0007】
この構成によれば、第1棒状部材と、第1棒状部材の第1表面に固定された第1光ファイバと、第2棒状部材と、第2棒状部材の第2表面に固定された第2光ファイバと、第1光ファイバと第2光ファイバと間の接続部とを備えた光ファイバの接続構造において、管状の内部に接続部を収容し、内面が第1棒状部材の第1表面及び第2棒状部材の第2表面と一体化することにより、第1棒状部材と第2棒状部材とを連結する継手部材とをさらに備え、接続部は継手部材に対して遊動可能であるため、外部から継手部材に力が加わった場合でも接続部には歪が発生し難くなり、光ファイバの断線の可能性を低減できる。
【0008】
この場合、接続部を収容する保護管をさらに備え、保護管は、継手部材の内部に収容され、保護管の外面と継手部材の内面との間には充填材が充填され、接続部は保護管に対して遊動可能でもよい。
【0009】
この構成によれば、接続部を収容する保護管をさらに備え、保護管は、継手部材の内部に収容され、保護管の外面と継手部材の内面との間には充填材が充填され、接続部は、保護管に対して遊動可能であるため、保護管により接続部は充填材と縁を切られ、外部から継手部材に力が加わった場合でも接続部には歪がさらに発生し難くなり、光ファイバの断線の可能性をさらに低減できる。
【0010】
また、第1棒状部材は、第1表面に第1ネジ溝部と、第1棒状部材の長手方向に延在する第1平面とを有し、第2棒状部材は、第2表面に第2ネジ溝部と、第2棒状部材の長手方向に延在する第2平面とを有し、継手部材は、内面に内面ネジ溝部を有し、内面ネジ溝部が第1ネジ溝部及び第2ネジ溝部と嵌合することにより、第1棒状部材と第2棒状部材とを連結し、第1光ファイバは第1平面に固定され、第2光ファイバは第2平面に固定されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、第1棒状部材は、第1表面に第1ネジ溝部と、第1棒状部材の長手方向に延在する第1平面とを有し、第2棒状部材は、第2表面に第2ネジ溝部と、第2棒状部材の長手方向に延在する第2平面とを有し、継手部材は、内面に内面ネジ溝部を有し、内面ネジ溝部が第1ネジ溝部及び第2ネジ溝部と嵌合することにより、第1棒状部材と第2棒状部材とを連結するため、継手部材によって容易に第1棒状部材と第2棒状部材とを連結できる。また、第1光ファイバは第1平面に固定され、第2光ファイバは第2平面に固定されているため、継手部材により第1棒状部材と第2棒状部材とを連結する際に光ファイバが邪魔になり難く、施工性が向上する。
【0012】
この場合、第1棒状部材は、第1平面に第1棒状部材の長手方向に延在する第1溝部を含み、第2棒状部材は、第2平面に第2棒状部材の長手方向に延在する第2溝部を含み、第1光ファイバは第1溝部の中に固定され、第2光ファイバは第2溝部の中に固定されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、第1棒状部材は第1平面に第1棒状部材の長手方向に延在する第1溝部を含み、第2棒状部材は第2平面に第2棒状部材の長手方向に延在する第2溝部を含み、第1光ファイバは第1溝部の中に固定され、第2光ファイバは第2溝部の中に固定されているため、光ファイバの断線の可能性をさらに低減でき、継手部材により第1棒状部材と第2棒状部材とを連結する際に光ファイバがさらに邪魔になり難く、施工性がさらに向上する。
【0014】
一方、本発明は、第1棒状部材の第1表面に固定された第1光ファイバと、第2棒状部材の第2表面に固定された第2光ファイバとを接続部で接続する光ファイバ接続工程と、接続工程で接続された接続部が継手部材に対して遊動可能なように、接続部を管状の継手部材の内部に収容し、継手部材の内面と、第1棒状部材の第1表面及び第2棒状部材の第2表面とを一体化することにより、第1棒状部材と第2棒状部材とを連結する連結工程とを備えた光ファイバの接続方法である。
【0015】
この場合、連結工程の前に、接続工程で接続された接続部が保護管に対して遊動可能なように、接続部を保護管に収容する接続部収容工程をさらに備え、連結工程では、接続部収容工程で接続部を収容した保護管を継手部材の内部に収容して、第1棒状部材と第2棒状部材とを連結し、連結工程の後に、保護管の外面と継手部材の内面との間に充填材を充填する充填工程をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法によれば、光ファイバの断線の可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)は第1実施形態に係る光ファイバの接続方法の光ファイバ接続工程を示す図であり、(B)は第1実施形態に係る光ファイバの接続方法の接続部収容工程を示す図であり、(C)は第1実施形態に係る光ファイバの接続方法の連結工程を示す図であり、(D)は第1実施形態に係る光ファイバの接続方法の充填工程及び光ファイバの接続構造を示す図である。
図2】第1実施形態に係る第1棒状部材及び第2棒状部材の横断面図である。
図3】(A)は第2実施形態に係る光ファイバの接続方法の光ファイバ接続工程を示す図であり、(B)は第2実施形態に係る光ファイバの接続方法の連結工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態の光ファイバの接続方法及び光ファイバの接続構造は、例えば、予め光ファイバを固定した複数の鉄筋同士を継ぎ合わせる場合に、鉄筋のそれぞれに固定された光ファイバを融着やコネクタを用いて互いに接続する際に適用される。
【0019】
図1(A)に示されるように、第1棒状部材21の第1表面21sに固定された第1光ファイバ11と、第2棒状部材22の第2表面22sに固定された第2光ファイバ12とを接続部30で接続する光ファイバ接続工程が行われる。図2に示されるように、第1棒状部材21は、第1表面21sに第1ネジ溝部21wと、第1棒状部材21の長手方向に延在する第1平面21pとを有する。第2棒状部材22は、第2表面22sに第2ネジ溝部22wと、第2棒状部材22の長手方向に延在する第2平面22pとを有する。第1光ファイバ11は、第1平面21pに固定されている。第2光ファイバ12は、第2平面22pに固定されている。
【0020】
第1棒状部材21は、第1平面21pに、第1棒状部材21の長手方向に延在する第1溝部21gを含む。第2棒状部材22は、第2平面22pに、第2棒状部材22の長手方向に延在する第2溝部22gを含む。第1溝部21gの中に充填された接着剤70により、第1光ファイバ11は、第1溝部21gの中に固定されている。第2溝部22gの中に充填された接着剤70により、第2光ファイバ12は、第2溝部22gの中に固定されている。具体的には、第1棒状部材21及び第2棒状部材22は、例えば、鉄筋である。第1棒状部材21は第1表面21sにネジ節としての第1ネジ溝部21wを有するネジ節鉄筋であり、第2棒状部材22は第2表面22sにネジ節としての第2ネジ溝部22wを有するネジ節鉄筋である。
【0021】
このため、第1平面21p及び第2平面22pに第1溝部21g及び第2溝部22gをそれぞれ設けなくても、第1平面21p及び第2平面22pに第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12をそれぞれ貼付し易いため、好適である。また、第1平面21p及び第2平面22pに第1溝部21g及び第2溝部22gをそれぞれ設ければ、第1溝部21g及び第2溝部22gの中に第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12をそれぞれ固定し易いため、好適である。
【0022】
図1(A)に示されるように、第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12を第1棒状部材21及び第2棒状部材22のそれぞれに固定する際には、第1棒状部材及び第2棒状部材22のそれぞれの端部で、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とを接続部30で接続するために必要な未接着部が設けられる。第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とは、第1棒状部材及び第2棒状部材22のそれぞれの端部の未接着部において、融着又は任意のコネクタにより接続部30で互いに接続される。
【0023】
第1棒状部材21及び第2棒状部材22のいずれかは、管状の継手部材40に挿通されている。継手部材40は、内面40iに内面ネジ溝部40wを有し、内面ネジ溝部40wが第1ネジ溝部21w及び第2ネジ溝部22wと嵌合することにより、第1棒状部材21と第2棒状部材22とが連結される。具体的には、継手部材40は、ネジ節鉄筋同士を連結するための機械式継手又はスリーブ継手である。
【0024】
図1(B)に示されるように、後述する連結工程の前に、接続工程で接続された接続部30が保護管に対して遊動可能なように、接続部30を保護管50に収容する接続部収容工程が行われる。保護管50の外径は、継手部材40の内径よりも小さい。
【0025】
図1(C)に示されるように、第1棒状部材21及び第2棒状部材22のいずれかが挿通された継手部材40が、互いに嵌合する第1ネジ溝部21w及び第2ネジ溝部22wと内面ネジ溝部40wとにより接続部30の位置まで回転させられつつ移動させられ、接続工程で接続された接続部30が継手部材40に対して遊動可能なように、接続部30を管状の継手部材40の内部に収容し、継手部材40の内面40iと、第1棒状部材21の第1表面21s及び第2棒状部材22の第2表面22sとを一体化することにより、第1棒状部材21と第2棒状部材22とを連結する連結工程が行われる。
【0026】
連結工程では、接続部収容工程で接続部30を収容した保護管50が継手部材40の内部に収容され、第1棒状部材21と第2棒状部材22とが連結される。つまり、機械式継手である継手部材40で、鉄筋である第1棒状部材21と第2棒状部材22とが繋がれ、機械式継手である継手部材40の内部に接続部30及び保護管50が収容される。
【0027】
第1平面21p及び第2平面22pに第1溝部21g及び第2溝部22gがそれぞれ設けられているため、第1棒状部材21及び第2棒状部材22に継手部材40を付けるときに、第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12が邪魔にならない。なお、第1棒状部材21及び第2棒状部材22の継手部材40により覆われる部分にのみ第1溝部21g及び第2溝部22gがそれぞれ設けられていてもよい。一方、第1棒状部材21及び第2棒状部材22の全長に亘って第1溝部21g及び第2溝部22gがそれぞれ設けられていることにより、第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12が露出していないため、第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12の損傷の可能性を低減できる。
【0028】
図1(D)に示されるように、連結工程の後に、保護管50の外面50sと継手部材40の内面40iとの間に充填材60を充填する充填工程が行われる。以上のようにして、本実施形態の光ファイバの接続構造1Aが形成される。本実施形態の光ファイバの接続構造1Aでは、第1棒状部材21と、第1棒状部材21の第1表面21sに固定された第1光ファイバ11と、第2棒状部材22と、第2棒状部材22の第2表面22sに固定された第2光ファイバ12と、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12と間の接続部30と、管状の内部に接続部30を収容し、内面40iが第1棒状部材21の第1表面21s及び第2棒状部材22の第2表面22sと一体化することにより、第1棒状部材21と第2棒状部材22とを連結する継手部材40とを備える。接続部30は、継手部材40に対して遊動可能である。
【0029】
また、本実施形態の光ファイバの接続構造1Aでは、接続部30を収容する保護管50をさらに備え、保護管50は、継手部材40の内部に収容され、保護管50の外面50sと継手部材40の内面40iとの間には充填材60が充填され、接続部30は、保護管50に対して遊動可能である。
【0030】
なお、本実施形態では、ネジ節鉄筋である第1棒状部材21は第1表面21sにネジ節としての第1ネジ溝部21wを有するが、第1平面21pを有していなくてもよい。また、ネジ節鉄筋である第2棒状部材22は第2表面22sにネジ節としての第2ネジ溝部22wを有するが、第2平面22pを有していなくてもよい。この場合、第1ネジ溝部21wに第1棒状部材21の長手方向に延在する溝部が設けられ、当該溝部の中に第1光ファイバ11が固定され、当該溝部が接着剤70により充填されてもよい。同様に、第2ネジ溝部22wに第2棒状部材22の長手方向に延在する溝部が設けられ、当該溝部の中に第2光ファイバ12が固定され、当該溝部が接着剤70により充填されてもよい。
【0031】
また、継手部材40は、L字形状及び十字形状でもよい。つまり、継手部材40は屈曲し、継手部材40により連結された第1棒状部材21及び第2棒状部材は互いに異なる方向に延在してもよい。この場合、保護管50は、継手部材40の屈曲に合わせて屈曲していてもよい。
【0032】
光ファイバによってコンクリート躯体内の歪を計測する場合は、(1)コンクリート躯体内部の鉄筋に光ファイバを結束し光ファイバを配線する手法と、(2)コンクリート躯体内部の鉄筋表面に光ファイバ心線を接着剤で固着させる手法とが考えられる。(1)のコンクリート躯体内部の鉄筋に光ファイバを結束し光ファイバを配線する手法は、コンクリート躯体内のひずみを計測する場合に施工が容易であることから最も採用される手法である。
【0033】
同手法では、樹脂被覆された光ファイバが用いられるが、光ファイバ設置後に周囲の鉄筋が移動した際に鉄筋間に光ファイバが挟まれ光ファイバが破断した事例、コンクリート打設中にバイブレーターが光ファイバに当たり光ファイバが破断した事例及び作業員が鉄筋上を移動中に足または持ち物を引っ掛けて光ファイバが破断した事例が報告されている。破断した光ファイバの修復には多くの労力を割かれることや、施工状況の関係で修復ができなかった例もあり、破断リスクを最小限にする光ファイバ配線方法の開発が必要不可欠である。
【0034】
一方、(2)のコンクリート躯体内部の鉄筋表面に光ファイバ心線を接着剤で固着させる手法では、鉄筋に光ファイバが接着されることで、(1)の手法で懸念されている破断リスクが小さくなる。さらに、コンクリート躯体内にひび割れが生じた場合、鉄筋を介してひずみを計測するため、(1)の手法に比べ、より大きなコンクリート躯体の変形挙動を計測できるといった利点があげられる。
【0035】
しかしながら、あらかじめ光ファイバを貼り付けた複数の鉄筋を組み立てる場合は、鉄筋を組み立てた後に光ファイバを融着やコネクタを用いて接続する必要がある。例えば、光ファイバを貼り付けた鉄筋を継ぐ場合には、鉄筋の継手部において光ファイバも接続する必要があり、同継手部に光ファイバそのものよりも強度が低い融着部を設けることになるが、融着部の保護方法が確立されていないという課題がある。
【0036】
一方、本実施形態では、第1棒状部材21と、第1棒状部材21の第1表面21sに固定された第1光ファイバ11と、第2棒状部材22と、第2棒状部材22の第2表面22sに固定された第2光ファイバ12と、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12と間の接続部30とを備えた光ファイバの接続構造1Aにおいて、管状の内部に接続部30を収容し、内面40iが第1棒状部材21の第1表面21s及び第2棒状部材22の第2表面22sと一体化することにより、第1棒状部材21と第2棒状部材22とを連結する継手部材40とをさらに備え、接続部30は継手部材40に対して遊動可能であるため、外部から継手部材40に力が加わった場合でも接続部30には歪が発生し難くなり、光ファイバの断線の可能性を低減できる。また、本実施形態では、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12と間の接続部30を継手部材40の内部に収容する簡易な手法で光ファイバの断線の可能性を低減でき、光ファイバの配線の施工性が向上する。さらに、本実施形態では、第1光ファイバ11が予め固定された鉄筋等の第1棒状部材21と、第2光ファイバ12が予め固定された鉄筋等の第2棒状部材22とを互いに継ぎ合わせる際に、第1棒状部材21と第2棒状部材22との継ぎ合わせと共に、断線の可能性を低減しつつ第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とを接続できる。
【0037】
また、本実施形態によれば、接続部30を収容する保護管50をさらに備え、保護管50は、継手部材40の内部に収容され、保護管50の外面50sと継手部材40の内面40iとの間には充填材60が充填され、接続部30は、保護管50に対して遊動可能であるため、保護管50により接続部30は充填材60と縁を切られ、外部から継手部材40に力が加わった場合でも接続部30には歪がさらに発生し難くなり、光ファイバの断線の可能性をさらに低減できる。
【0038】
また、本実施形態によれば、第1棒状部材21は、第1表面21sに第1ネジ溝部21wと、第1棒状部材21の長手方向に延在する第1平面21pとを有し、第2棒状部材22は、第2表面22sに第2ネジ溝部22wと、第2棒状部材22の長手方向に延在する第2平面22pとを有し、継手部材40は、内面40iに内面ネジ溝部40wを有し、内面ネジ溝部40wが第1ネジ溝部21w及び第2ネジ溝部22wと嵌合することにより、第1棒状部材21と第2棒状部材22とを連結するため、継手部材40によって容易に第1棒状部材21と第2棒状部材22とを連結できる。また、第1光ファイバ11は第1平面21pに固定され、第2光ファイバ12は第2平面22pに固定されているため、継手部材40により第1棒状部材21と第2棒状部材22とを連結する際に光ファイバが邪魔になり難く、施工性が向上する。
【0039】
また、本実施形態によれば、第1棒状部材21は第1平面21pに第1棒状部材21の長手方向に延在する第1溝部21gを含み、第2棒状部材22は第2平面22pに第2棒状部材22の長手方向に延在する第2溝部22gを含み、第1光ファイバ11は第1溝部21gの中に固定され、第2光ファイバ12は第2溝部22gの中に固定されているため、光ファイバの断線の可能性をさらに低減でき、継手部材40により第1棒状部材21と第2棒状部材22とを連結する際に光ファイバがさらに邪魔になり難く、施工性がさらに向上する。なお、第1溝部21g及び第2溝部22gは、鉄筋の全長にわたって設けられていてもよいし、継手部材40による連結部のみに設けられていてもよい。後者の場合は、第1溝部21g及び第2溝部22gを設けることによる第1棒状部材21及び第2棒状部材22の断面欠損に伴う構造体の性能に及ぼす影響を最小限に留めることができる。
【0040】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。図3(A)及び図3(B)に示されるように、本実施形態では、連結工程の前に、接続工程で接続された接続部30が保護管50に対して遊動可能なように接続部30を保護管50に収容する接続部収容工程が行われずに、連結工程が行われる。また、連結工程の後に、保護管50の外面50sと継手部材40の内面40iとの間に充填材60を充填する充填工程は行われない。本実施形態の光ファイバの接続構造1Bでは、保護管50を備えておらず、継手部材40の内部に充填材60が充填されていない。本実施形態では、接続部収容工程及び充填工程を省くことができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【符号の説明】
【0042】
1A,1B…接続構造、11…第1光ファイバ、12…第2光ファイバ、21…第1棒状部材、21s…第1表面、21w…第1ネジ溝部、21p…第1平面、21g…第1溝部、22…第2棒状部材、22s…第2表面、22w…第2ネジ溝部、22p…第2平面、22g…第2溝部、30…接続部、40…継手部材、40i…内面、40w…内面ネジ溝部、50…保護管、50s…外面、60…充填材、70…接着剤。
図1
図2
図3