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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】建築用取付け金具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20240813BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20240813BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20240813BHJP
   E04H 9/16 20060101ALI20240813BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240813BHJP
【FI】
E04D13/00 K
E04D13/18 ETD
E04F13/12 101F
E04H9/16 A
H02S20/23 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021179335
(22)【出願日】2021-11-02
(65)【公開番号】P2023068333
(43)【公開日】2023-05-17
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000200323
【氏名又は名称】JFE鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和泉 直樹
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-181356(JP,A)
【文献】特開2005-009302(JP,A)
【文献】特開平09-025693(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03243974(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
E04F 13/12
E04H 9/16
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の一端に上継手が形成され、他端に下継手が形成され、前記上継手は幅方向先端に嵌合部を有し、前記下継手には幅方向先端に前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を有する建材パネルが複数併設されるとともに、隣り合う建材パネルの一の建材パネルの前記嵌合部と他の建材パネルの前記被嵌合部とが嵌合されて、V溝接続部を備える面部材に装着される建築用取付け金具であって、
前記面部材上面側に配置される台座と、
前記上継手の形状に沿って形成され、先端を前記V溝接続部に挿入可能に形成された上継手補強材と、
下継手に沿って形成され、前記V溝接続部に挿入可能に形成されるとともに先端に係止部を持つ係止部材と、
前記建材パネルの幅方向で、前記係止部材の、係止部が形成された端とは異なる端に設置した回動軸に回動可能に軸支され、前記係止部材と前記上継手補強材とにまたがって固定される連結部材と、を有し、
前記連結部材を挟んで前記係止部材と前記台座とが一の螺子部材を介して、前記上継手補強材および上継手の嵌合部を挟持固定されてなる、建築用取付け金具。
【請求項2】
前記一の螺子部材の締め込みにより、前記係止部材が前記回動軸を中心に連結部材に引き付けられ、前記係止部が前記上継手に連係される、請求項1に記載の建築用取付け金具。
【請求項3】
前記一の螺子部材が前記下継手の上面に沿う前記係止部材の上面に立設されたものである、請求項1または2に記載の建築用取付け金具。
【請求項4】
前記連結部材を挟んで前記上継手補強材と台座とが二の螺子部材を介して固定されてなる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の建築用取付け金具。
【請求項5】
前記二の螺子部材が前記上継手の上面に沿う前記上継手補強材の上面に立設されたものである、請求項4に記載の建築用取付け金具。
【請求項6】
前記上継手補強材の上面に側壁部が立設され、上記連結部材および台座の案内溝を構成している、請求項1~5のいずれか1項に記載の建築用取付け金具。
【請求項7】
前記台座を介して、前記面部材に太陽光発電ユニットが装着されてなる、請求項1~6に記載の建築用取付け金具。
【請求項8】
前記台座が雪止め機能を有する、または、前記台座を介して前記面部材に雪止め部材が装着されてなる、請求項1~6に記載の建築用取付け金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略平坦な建材パネルからなり、その隣接する建材パネルどうしの連結部付近にV溝接続部が形成された屋根材、壁材などの面部材において、太陽電池パネルなどの重量物や雪止めなどの構造物を設置して積雪などの正圧荷重に耐えられる建築用取付け金具に関する。
【背景技術】
【0002】
折板建材パネルによって、屋根や壁などの金属製面部材が施工されている。そして、施工された面部材には、隣接する建材パネルどうしの連結部付近にV溝状の接続部が等間隔に形成されるものが存在する。前記V溝接続部は、その幅方向が狭いものとしている。この種の面部材では、屋根や壁としたものでは略平坦状の面である。
【0003】
特許文献1では、いわゆる大和葺きの溝状接続部に装着される建築用取付具であって、パネルの一端に形成された嵌合突起部に対して挟持固定されてなるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-181356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
特許文献1の技術では、太陽電池パネル、雪止め部材、緑化屋根用装置等種々の機器を強固に、簡単に設置できるとしている。しかしながら、その建築用取付具にかかる荷重を建材パネルの外皮材の嵌合部で支えるのみであり、積雪等の正圧荷重に耐えられないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、略平坦な建材パネルからなり、その隣接する建材パネルどうしの連結部付近にV溝接続部が形成された屋根材、壁材などの面部材において、雪止めなどの構造物を装着して積雪などの正圧荷重に耐えられる建築用取付け金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を有利に解決する本発明にかかる建築用取付け金具は、幅方向の一端に上継手が形成され、他端に下継手が形成され、前記上継手は幅方向先端に嵌合部を有し、前記下継手には幅方向先端に前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を有する建材パネルが複数併設されるとともに、隣り合う建材パネルの一の建材パネルの前記嵌合部と他の建材パネルの前記被嵌合部とが嵌合されて、V溝接続部を備える面部材に装着される建築用取付け金具であって、前記面部材上面側に配置される台座と、前記上継手の形状に沿って形成され、先端を前記V溝接続部に挿入可能に形成された上継手補強材と、下継手に沿って形成され、前記V溝接続部に挿入可能に形成されるとともに先端に係止部を持つ係止部材と、前記建材パネルの幅方向で、前記係止部材の、係止部が形成された端とは異なる端に設置した回動軸に回動可能に軸支され、前記係止部材と前記上継手補強材とにまたがって固定される連結部材と、を有し、前記連結部材を挟んで前記係止部材と前記台座とが一の螺子部材を介して、前記上継手補強材および上継手の嵌合部を挟持固定されてなるものである。
【0008】
なお、本発明にかかる建築用取付け金具は、
(ア)前記一の螺子部材の締め込みにより、前記係止部材が前記回動軸を中心に連結部材に引き付けられ、前記係止部が前記上継手に連係されること、
(イ)前記一の螺子部材が前記下継手の上面に沿う前記係止部材の上面に立設されたものであること、
(ウ)前記連結部材を挟んで前記上継手補強材と台座とが二の螺子部材を介して固定されてなること、
(エ)前記二の螺子部材が前記上継手の上面に沿う前記上継手補強材の上面に立設されたものであること、
(オ)前記上継手補強材の上面に側壁部が立設され、上記連結部材および台座の案内溝を構成していること、
(カ)前記台座を介して、前記面部材に太陽光発電ユニットが装着されてなること、
(キ)前記台座が雪止め機能を有する、または、前記台座を介して前記面部材に雪止め部材が装着されてなること、
などが好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、V溝接続部が形成された略平坦状の面部材において、上継手の形状に沿った上継手補強材と上継手の嵌合部を下継手の形状に沿った係止部材と台座とで挟持固定するので、台座にかかる積雪などの正圧荷重が上継手補強材および係止部材を介して建材パネル上面に分散され、嵌合部が座屈することなく、支えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる建築用取付け金具を面部材に装着した状態を示す概略図であって、(a)は上面図であり、(b)は模式正面図である。
図2】上記実施形態にかかる台座を示す部品図であって、(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
図3】上記実施形態にかかる上継手補強材を示す部品図であって、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は左側面図である。
図4】上記実施形態にかかる係止部材および連結部材を示す部品図であって、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は左側面図である。
図5】上記実施形態にかかる建築用取付け金具を面部材に装着する手順を示す概略正面図であって、(a)は連結部材を軸支した係止部材をV溝接続部に挿入する段階を示す模式図であり、(b)はその後上継手補強材を上継手に沿って、V溝接続部に挿入する段階を示す模式図であり、(c)は連結部材を回動させて、上継手補強材に立設したボルトに丸孔を合せる段階を示す模式図であり、(d)はその後台座の穴をボルトの位置に合わせて設置し固定する段階を示す模式図である。
図6】(a)は上記実施形態にかかる建築用取付け金具を面部材に複数装着した状態を示す縦断正面図であり、(b)は太陽電池パネルを装着した模式図であり、(c)は雪止め部材を装着した模式図である。
図7】本発明にかかる建築用取付け金具を装着して好適な建材パネルを、左側に隣接配置される他の建材パネルおよび右側に隣接配置される別の建材パネルにつなぎ合わせた状態を模式的に示した図である。
図8】本発明にかかる建築用取付け金具を装着して好適な面部材の一例を示す斜視図である。
図9】本発明にかかる建築用取付け金具を装着して好適な面部材の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための技術を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
以下、本発明の建築用取付け金具を図面に基づいて、説明する。まず、本発明の建築用取付け金具が適用される面部材Aから説明する。ここで、本発明において面部材Aとは、屋根(図8)又は壁(図9)を含むものである。面部材Aは、複数の建材パネル60、68、69、・・・、構造材からなる下地部材9にて構成される(図7~9等参照)。該建材パネル60は長手方向に長尺として形成されたものであり、この長手方向に対して直交する方向を幅方向とする。
【0013】
建材パネル60の構成は、図7~9に示すように、外皮材61の幅方向の一端に一体的につながる上継手62と、外皮材61の幅方向の他端に一体的につながる下継手63と、外皮材61の長手方向の一端に一体的に設けられた上継手74と、外皮材61の長手方向の他端に一体的に設けられた下継手75とが形成されており、外皮材61の裏側壁部に接着剤等を介して固定保持された断熱部材66や外皮材61の裏側壁面と協働して外皮材61の長手方向に沿う内部通路を形成する区画凹所(空気層)67を有していてもよい。区画凹所67により形成される内部通路は、断熱部材66を通り抜けた湿気を屋根の棟側あるいは壁の軒天側から建築構造物の外側へと排出する機能を有している。
【0014】
上継手62は、外皮材61の平面形状を基準とした場合に、その幅方向の一端である外皮材61の左側に設けられ、下継手63は、その幅方向の他端である外皮材61の右側に設けられたものを例として示した。上継手62は、外皮材61の幅方向の右側に、また、下継手63は、外皮材61の幅方向の左側に設けることも可能である。この点については限定されない。本実施形態では、上継手62が、外皮材61の幅方向の左側に設けられ、下継手63が、外皮材61の幅方向の右側に設けられている場合を例にして説明する。
【0015】
上継手62は、外皮材61に面一状態でつながり、図7に示すように、左側に隣接配置される他の建材パネル68の下継手63に覆い被さる継手本体62aと、該継手本体62aの先端部につながり該継手本体62aの裏側へと周り込む鉤状片62bと、該鉤状片62bの先端につながり継手本体62aおよび鉤状片62bの少なくとも一方のスプリングバックにより左側に隣接配置される他の建材パネル68の下継手63に嵌合可能なカーリング部62cとを備えたもので構成されている。
【0016】
上継手62にカーリング部62cを備えたものにあっては、建材パネルどうしを、ワンタッチでつなぎ合わせることが可能であり、施工が簡単で屋根や壁を効率的に構築することができる。
【0017】
また、下継手63は、右側に隣接配置される別の建材パネル69の上継手62のカーリング部62cの入り込みを可能とする溝部63aと、該溝部63a内に迫り出して右側に隣接配置される別の建材パネル69のカーリング部62cに嵌合させるオーバーハング部63bと、該オーバーハング部63bにつながり右側に隣接配置される建材パネル69の上継手62の裏側面に沿う頂面を有する陸部63cと、該陸部63cに隣接して設けられ、底壁にドリルねじを打ち込んで建材パネルを垂木9A、母屋、野地板9B、胴縁等の下地部材9に固定する凹部63dから構成されている。また、上継手62の鉤状片62bと下継手63の溝部63aとによって面部材Aの上面にV溝接続部が形成される。図7の例では、野地板9Bと建材パネル60、68、69との間に防水シートからなる下葺き9Cを挟んでいる。また、建材パネルどうしの間には止水目的の目地パッキン8を挟んでいる。
【0018】
凹部63dとしては、陸部63cにつながる側壁63d1と、該側壁63d1の下端につながる底壁63d2と、該底壁63d2に起立姿勢でつながり下継手63の端面を形成する垂直壁部63d3からなるものを適用することができ、また、下継手63の溝部63aとしては、外皮材61の幅方向の端部につながる傾斜側壁と、一端が傾斜側壁の下端につながり他端がオーバーハング部63bの下端に傾斜側壁とは逆勾配でつながる傾斜側壁からなるものを適用することができる。
【0019】
凹部63dは、右側に隣接配置される別の建材パネル69とのつなぎ合わせ状態においてドリルねじが建材パネルの外表面に現れるのを防ぐ役目を果し、構築された壁や屋根の美観を保つことができる。また、該凹部63dは、内樋としても機能し、右側に隣接配置される別の建材パネル69の上継手69aと下継手63との合わせ面から浸透圧現象により雨水等が侵入したとしても侵入した雨水等を、凹所63dを通して効率よく排出することできる。
【0020】
次に、本実施形態の建築用取付け金具は、図1に示すように、台座1と上継手補強材2と係止部材3と連結部材4とからなるものである。本実施形態では、係止部材3に立設された一の螺子部材5Aおよび上継手補強材2に立設された二の螺子部材5Bが連結部材4を貫通して、その上面に配置された台座1を固定している。
【0021】
図2に台座1の部品図を示す、台座1は正面視(図2(b))で断面が略ハット形をしており、天板部11の両端に山折りして接続された段差13を介してフランジ部12が谷折りにより延在している。なお、段差13は、固定時に天板部11が面部材Aの上面と平行になるように高さ調整することが好ましい。フランジ部12には、上面図(図2(a))に示すように、一の螺子部材5Aおよび二の螺子部材5Bがそれぞれ貫通する丸孔14がある。また、段差13は、台座1の固定時に一の螺子部材5Aおよび二の螺子部材5Bの頂部が天板上面より上に突き出ない高さとすることが好ましい。台座1の天板部11は、太陽電池パネルや雪止め部材固定用のための孔が形成されてもよいし、固定用螺子部材を立設してもよく、また、雪止め機能を有する形状としてもよい。
【0022】
図3に上継手補強材2の部品図を示す。図3(a)は上面図、図3(b)は正面図、図3(c)は左側面図を示す。上継手補強材2の上面の正面側および背面側には、一対の側壁部21が立設し、台座1および連結部材4を固定するときの案内溝となるとともに、部材の剛性を向上させて、台座1にかかる荷重を面部材A上面部に分散させる役目をなす。上継手補強材2の上面には、二の螺子部材5Bが立設されている。上継手補強材2の建材パネル幅方向の一端、図3の例では左側には、上継手62の鉤状片62bに沿うように2カ所の山折り22が鉤状片62bと同じ角度に形成されている。その先端部23は、V溝接続部の隙間に挿入可能となっている。
【0023】
図4に係止部材3および連結部材4の部品図を示す。図4(a)は上面図、図4(b)は分解正面図、図4(c)は左分解側面図を表す。係止部材3および連結部材4はそれぞれの管33、41に、回動軸としてのピン32を挿入して、いわゆる、蝶番を構成する。係止部材3の先端にはV溝接続部の隙間に挿入し、上継手62の鉤状片62bの曲げ部に引っかかるように曲げられた係止部31を持つ。係止部材3は下継手63の溝部63bに沿うように山折り34が形成されている。山折り34の曲げ角度は、建材パネル60の外皮材61と下継手63の溝部63aとのなす角度に等しい。係止部材3の上面には、一の螺子部材5Aが立設されている。
【0024】
連結部材4は、V溝接続部に挿入されて固定された係止部材3に対し、ピン32によって回動可能に軸支される。連結部材4は一の螺子部材が貫通する丸長孔42と二の螺子部材が貫通する丸孔43を持つ。連結部材4は段差44によって、高さを調節して、台座1と上継手補強材2に挟持される部分が収まるように構成することが好ましい。
【0025】
つぎに、建築用取付け金具の面部材への装着方法について説明する。図5に模式正面図で示す。まず、図5(a)に示すように、係止部材3の先端に形成されたフック状の係止部31を面部材AのV溝接続部に差し込む。係止部31を回転させながら、梃子の力を利用して、V溝接続部を押し広げながら係止部材3を上継手62と下継手63の隙間に挿入していく。係止部材3の山折り34の角度は、建材パネル60の外皮材61と下継手63の溝部63aとのなす角度に等しいので、係止部材3は建材パネル60の外皮材61上面および下継手63の溝部63aに隙間なく密着して設置される。
【0026】
そして、図5(b)に示すように、上継手補強材2の鉤状に折り曲げた先端を面部材AのV溝接続部に挿入した係止部材3と上継手62の間に差し込む。上継手補強材2の鉤状に折り曲げた山折り22、22の角度は、建材パネル60の上継手62の鉤状片62bの折り曲げ角度に等しいので、上継手補強材2は建材パネル60の上継手62の継手本体62aおよび鉤状片62bに隙間なく密着して設置される。
【0027】
そして、図5(c)に示すように、係止部材3に軸支された連結部材4を倒して、一の螺子部材5Aを丸長孔42に、二の螺子部材5Bを丸孔43に貫通させ、係止部材3と上継手補強材2とを連結する。
【0028】
最後に、図5(d)に示すように、台座1の丸孔14に螺子部材5A、5Bを貫通させ、ナットで固定する。このとき、台座1の天板11は面部材Aの平坦な上面と略平行となる。一の螺子部材5Aへのナットの締め込みにより係止部材3は回動軸たるピン32を中心に回動して連結部材4に引き付けられ、その先端に設けられた係止部31は上継手62に連係して抜け止めされる。
【0029】
図6(a)に面部材Aに複数の建築用取付け金具100を設置した例を縦断正面図で模式的に示す。図6(b)は本実施形態の建築用取付け金具100の台座1に太陽電池パネル71取付用金具を固定し、面部材Aに太陽電池パネル71を装着した状態を模式的に示す縦断正面図である。図6(c)は本実施形態の建築用取付け金具100の台座1に雪止め部材72を固定し、面部材Aに雪止め部材72を装着した状態を模式的に示す縦断正面図である。
【0030】
外皮材61は、上継手62、下継手63、上継手74、下継手75を含め、厚さ0.2~1.0mm程度、より好ましくは、0.5mm程度の亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板またはそれらの塗装、被覆鋼板等が用いられ、単一の板材にロール成形等の成形加工を施すことにより形成される。
【0031】
また、断熱部材66は、高断熱、高気密を確保したうえで湿気の容易な通過を可能とするため、厚さ75~150mm程度、より好ましくは、100mm程度の発泡プラスチック系断熱材あるいは鉱物繊維系のボード状断熱材を用いることができる。発泡プラスチック系断熱材としては、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、イソシアヌレートフォーム、あるいは、フェノールフォーム等が適用される。
【0032】
区画凹所67は、矩形状断面をなすものの他、三角形状断面を有するもの、あるいは図示はしないが半円径断面なすもの等、他の断面形状を適用することが可能であり、その断面は、湿気を効率的に建築構造物の屋外へ排出することができる。区画凹所67の数は、外皮材61とボード状断熱材との固定強度が低下しない範囲で定められる。
【0033】
本実施形態の建築用取付け金具100は、高耐食性のめっき鋼板やステンレス鋼鈑とすることが好ましい。台座1は厚さ2.3~4.5mmの鋼板、たとえば、3.2mmの鋼板を用いることで取り付けられる各種装置や部材の荷重、風、雪など荷重の変化に耐えられる。また、上継手補強材2、係止部材3および連結部材4は厚さ1.2~2.3mmの鋼板、たとえば、1.6mmの鋼板とし、建材パネル60の外皮材61より高剛性とすることが好ましい。台座にかかる荷重や荷重の変化を分散して、建材パネルに伝達し、局所的な変形を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の建築用取付け金具は、雪止めや太陽電池パネルを面部材に装着して面部材の機能を向上させるうえ、荷重の変化を分散して面部材に伝達するように構成したので、耐久性が高く、産業上有用である。
【符号の説明】
【0035】
100 建築用取付け金具
1 台座
11 天板部
12 フランジ部
13 段差
14 丸孔
2 上継手補強材
21 側壁部
22 山折り
23 先端
3 係止部材
31 係止部
32 ピン
33 管
34 山折り
4 連結部材
41 管
42 丸長孔
43 丸孔
44 段差
5A 一の螺子部材
5B 二の螺子部材
60 建材パネル
61 外皮材
62 上継手
62a 継手本体
62b 鉤状片
62c カーリング部
63 下継手
63a 溝部
63b オーバーハング部
63c 陸部
63d 凹部
63d1 側壁
63d2 底壁
63d3 垂直壁部
64 嵌合部
65 被嵌合部
66 断熱部材
67 区画凹所(空気層)
68 他の建材パネル
69 別の建材パネル
71 太陽電池パネル
72 雪止め部材
74 上継手
75 下継手
8 目地パッキン
9 下地部材
9A 垂木
9B 野地板
9C 下葺き(防水シート)
A 面部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9