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特許7536737HPV及びHPV関連疾患に対する新規のワクチン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】HPV及びHPV関連疾患に対する新規のワクチン
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/025 20060101AFI20240813BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240813BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20240813BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240813BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240813BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240813BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240813BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240813BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240813BHJP
   C12N 15/37 20060101ALI20240813BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240813BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240813BHJP
   A61K 47/68 20170101ALN20240813BHJP
【FI】
C07K14/025 ZNA
C07K16/28
C07K19/00
A61K39/39
A61K39/395 L
A61K39/12
A61P31/20
A61P35/00
A61P37/04
C12P21/08
C12P21/02 C
C12N15/13
C12N15/37
C12N15/62 Z
C12N5/10
A61K47/68
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021197509
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2016546462の分割
【原出願日】2015-01-13
(65)【公開番号】P2022081468
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】61/926,821
(32)【優先日】2014-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/002,718
(32)【優先日】2014-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509004712
【氏名又は名称】ベイラー リサーチ インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】オー サンコン
(72)【発明者】
【氏名】ジェラフスキ サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラフスキ ジェラルド
【審査官】六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-520073(JP,A)
【文献】特表2012-501323(JP,A)
【文献】特表2012-525410(JP,A)
【文献】国際公開第2013/092875(WO,A1)
【文献】特表2012-520074(JP,A)
【文献】特許第7037884(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトパピローマウイルス(HPV)関連疾患の処置における使用のための、
a.抗CD40抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号14に示す通りの配列を有するCDR1、配列番号15に示す通りの配列を有するCDR2、及び配列番号16に示す通りの配列を有するCDR3を含む抗CD40抗体重鎖可変領域、並びに配列番号11に示す通りの配列を有するCDR1、配列番号12に示す通りの配列を有するCDR2、及び配列番号13に示す通りの配列を有するCDR3を含む抗CD40抗体軽鎖可変領域を含む、前記抗CD40抗体又はその抗原結合断片;
b.少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原であって、配列番号1若しくは2と少なくとも95%同一である配列を有し、かつ配列番号1若しくは2と同じ、HPV16 E6/E7特異的CD8T細胞応答を誘発する能力を有するHPV16型抗原、又は配列番号3若しくは4と少なくとも95%同一である配列を有し、かつ配列番号3若しくは4と同じ、HPV18 E6/E7特異的CD8T細胞応答を誘発する能力を有するHPV18型抗原である、前記少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原; 及び
c.前記抗体を前記HPV抗原に連結するための、配列番号5からなる少なくとも1つのフレキシブルペプチドリンカー;
を含む、融合タンパク質であって、
i.配列番号19と少なくとも95%同一である配列を含み、かつ配列番号19のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と同じCD40に対する特異的な結合能力、及び同じHPV E6/E7特異的CD8 T細胞応答を誘発する能力を有する;又は
ii.配列番号21と少なくとも95%同一である配列を含み、かつ配列番号21のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と同じCD40に対する特異的な結合能力、及び同じHPV E6/E7特異的CD8 T細胞応答を誘発する能力を有する、
前記融合タンパク質
【請求項2】
(i)融合タンパク質が、配列番号7と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む;及び/又は
ii)抗CD40抗体又はその抗原結合断片がヒト化されている;及び/又は
iii)少なくとも1つのHPV E6抗原がHPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原がHPV16型抗原である;及び/又は
iv)少なくとも1つのHPV E6抗原がHPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原がHPV18型抗原である;及び/又
)少なくとも1つのHPV E6又はE7抗原が、配列番号1若しくは2に示す通りの配列を有するHPV16型抗原、又は配列番号3若しくは4に示す通りの配列を有するHPV18型抗原である;及び/又は
vi)HPV関連疾患が、異形成、良性新生物、前悪性新生物、又はがんであり、任意選択で
(a)前記HPV関連疾患ががんであり、任意選択で前記がんが、頭部、頸部、子宮頸部、外陰部、膣、陰茎、肛門、中咽頭、喉頭又は肺のがんである;又は
(b)処置が、がん関連腫瘍のサイズ又は容積の低減をもたらす;及び/又は
vii)患者に、抗がん治療を含む別個の医薬組成物を投与することをさらに含む、
請求項1に記載の使用のための融合タンパク質。
【請求項3】
a.抗CD40抗体又はその抗原結合断片であって、
i.配列番号14に示す通りの配列を有するCDR1、配列番号15に示す通りの配列を有するCDR2、及び配列番号16に示す通りの配列を有するCDR3を含む、抗CD40抗体重鎖可変領域;及び
ii.配列番号11に示す通りの配列を有するCDR1、配列番号12に示す通りの配列を有するCDR2、及び配列番号13に示す通りの配列を有するCDR3を含む、抗CD40抗体軽鎖可変領域;
を含む、前記抗CD40抗体又はその抗原結合断片;
b.少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原であって、配列番号1若しくは2に示す通りの配列を有するHPV16型抗原、又は配列番号3若しくは4に示す通りの配列を有するHPV18型抗原である、前記E6又はE7抗原;及び
c.前記抗体を前記HPV抗原に連結するための、配列番号5からなる少なくとも1つのフレキシブルペプチドリンカー;
を含む、融合タンパク質であって、
i.配列番号19と少なくとも95%同一である配列を含み、かつ配列番号19のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と同じCD40に対する特異的な結合能力、及び同じHPV E6/E7特異的CD8 T細胞応答を誘発する能力を有する;又は
ii.配列番号21と少なくとも95%同一である配列を含み、かつ配列番号21のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と同じCD40に対する特異的な結合能力、及び同じHPV E6/E7特異的CD8 T細胞応答を誘発する能力を有する、
前記融合タンパク質
【請求項4】
(i)E6又はE7抗原がHPV16型又はHPV18型抗原であり、及び抗CD40抗体又はその抗原結合断片がヒト化されている;又
(ii)融合タンパク質が配列番号7と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、
請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の融合タンパク質のいずれかを含む、薬学的に許容される組成物。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の融合タンパク質を作製する方法であって、前記融合タンパク質を発現する組換え宿主細胞から、前記融合タンパク質を単離するステップを含む、前記方法。
【請求項7】
請求項3又は4に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクター。
【請求項8】
患者に組成物を投与することを含むヒトパピローマウイルス(HPV)感染又はヒトパピローマウイルス(HPV)関連疾患を処置するための方法における使用のための前記組成物であって、前記組成物が、
a.抗CD40抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号14に示す通りの配列を有するCDR1、配列番号15に示す通りの配列を有するCDR2、及び配列番号16に示す通りの配列を有するCDR3を含む抗CD40抗体重鎖可変領域、並びに配列番号11に示す通りの配列を有するCDR1、配列番号12に示す通りの配列を有するCDR2、及び配列番号13に示す通りの配列を有するCDR3を含む抗CD40軽鎖可変領域を含む、前記抗CD40抗体又はその抗原結合断片;及び
b.少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原であって、配列番号1若しくは2と少なくとも95%同一である配列を有し、かつ配列番号1若しくは2と同じHPV16 E6/E7特異的CD8T細胞応答を誘発する能力を有するHPV16型抗原、又は配列番号3若しくは4と少なくとも95%同一である配列を有し、かつ配列番号3若しくは4と同じHPV18 E6/E7特異的CD8T細胞応答を誘発する能力を有するHPV18型抗原である、前記少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原;及び
c.前記抗体を前記HPV抗原に連結するための、配列番号5からなる少なくとも1つのフレキシブルペプチドリンカー;
を含む融合タンパク質を含前記融合タンパク質が、
i.配列番号19と少なくとも95%同一である配列を含み、かつ配列番号19のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と同じCD40に対する特異的な結合能力、及び同じHPV E6/E7特異的CD8 T細胞応答を誘発する能力を有する;又は
ii.配列番号21と少なくとも95%同一である配列を含み、かつ配列番号21のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と同じCD40に対する特異的な結合能力、及び同じHPV E6/E7特異的CD8 T細胞応答を誘発する能力を有する、
前記組成物。
【請求項9】
(i)抗CD40抗体又はその抗原結合断片がヒト化されている;及び/又は
(ii)少なくとも1つのHPV E6抗原がHPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原がHPV16型抗原である;及び/又は
(iii)少なくとも1つのHPV E6抗原がHPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原がHPV18型抗原である;及び/又は
(iv)融合タンパク質が、配列番号7と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む;及び/又
)少なくとも1つのHPV E6又はE7抗原が、配列番号1若しくは2に示す通りのHPV16型抗原又は配列番号3若しくは4に示す通りのHPV18型抗原である;及び/又は
vi)組成物がアジュバントをさらに含む;及び/又は
vii)方法が、患者に抗がん治療を施すことをさらに含む;及び/又は
viii)HPV関連疾患が、異形成、良性新生物、前悪性新生物、又はがんであり、任意選択で前記HPV関連疾患ががんであり、任意選択で前記がんが、子宮頸部、外陰部、膣、陰茎、肛門、中咽頭、喉頭又は肺のがんである;及び/又は
ix)方法が、患者に別個の処置を施すことをさらに含む;及び/又は
)HPV関連疾患が、異形成、良性新生物、前悪性新生物、又はがんであり、かつ方法が患者にがん処置を施すことをさらに含み、任意選択で前記施すことががん関連腫瘍のサイズ又は容積の低減をもたらす;
請求項8に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
患者におけるHPV感染細胞を阻害する方法における使用のための、融合タンパク質又は前記融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む、有効量の組成物であって、前記融合タンパク質が、
a.抗CD40抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号14に示す通りの配列を有するCDR1、配列番号15に示す通りの配列を有するCDR2、及び配列番号16に示す通りの配列を有するCDR3を含む抗CD40抗体重鎖可変領域、並びに配列番号11に示す通りの配列を有するCDR1、配列番号12に示す通りの配列を有するCDR2、及び配列番号13に示す通りの配列を有するCDR3を含む抗CD40抗体軽鎖可変領域を含む、前記抗CD40抗体又はその抗原結合断片;
b.少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原であって、配列番号1若しくは2と少なくとも95%同一である配列を有し、かつ配列番号1若しくは2と同じ、HPV16 E6/E7特異的CD8T細胞応答を誘発する能力を有するHPV16型抗原又は配列番号3若しくは4と少なくとも95%同一である配列を有し、かつ配列番号3若しくは4と同じ、HPV18 E6/E7特異的CD8T細胞応答を誘発する能力を有するHPV18型抗原である、前記少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原;及び
c.前記抗体を前記HPV抗原に連結するための、配列番号5からなる少なくとも1つのフレキシブルペプチドリンカー;
を含み、前記融合タンパク質が、
i.配列番号19と少なくとも95%同一である配列を含み、かつ配列番号19のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と同じCD40に対する特異的な結合能力、及び同じHPV E6/E7特異的CD8 T細胞応答を誘発する能力を有する;又は
ii.配列番号21と少なくとも95%同一である配列を含み、かつ配列番号21のアミノ酸配列を含む融合タンパク質と同じCD40に対する特異的な結合能力、及び同じHPV E6/E7特異的CD8 T細胞応答を誘発する能力を有し、
任意選択で前記HPV感染細胞が腫瘍内にあり、任意選択で前記施すことががん関連腫瘍のサイズ又は容積の低減をもたらす、前記有効量の組成物。
【請求項11】
(i)E6又はE7抗原がHPV16型又はHPV18型抗原であ、及び抗CD40抗体又はその抗原結合断片がヒト化されている;又
ii)融合タンパク質が、配列番号7と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、
請求項10に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年1月13日に出願された米国仮特許出願第61/926,821号明細書、及び2014年5月23日に出願された米国仮特許出願第62/002,718号明細書に対する優先権の利益を主張するものであり、それらはどちらも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、米国国立衛生研究所及び米国国立アレルギー感染症研究所により授与される助成金第U19 AI057234号の下における政府援助によりなされた。政府は本発明において、一定の権利を有する。
【0003】
本発明は一般に、医療の分野に関する。より詳細には、本発明は、ヒトパピローマウイルス(HPV,humanpapilloma Virus)及び複数種類のがんを含むHPV関連疾患に対
する新たな新規のワクチンに関わる。
【背景技術】
【0004】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、最も一般的な性感染性病原体のうちの1つである。現行のHPV予防ワクチンは、HPV感染の予防において、著明な臨床的有効性を示しているが、感染した患者及びHPV関連がんの処置においては有効性を呈示しない。HPV感染は、事実上全ての子宮頸がん、並びに多くの肛門がん、膣がん、外陰がん、陰茎がん、及び中咽頭(喉頭)がんを引き起こす。したがって、HPVに感染し、HPV関連がんを有する患者に安全で有効なワクチンの開発に対する需要は大きい。HPV感染はまた、HIV関連悪性腫瘍及びHIV関連がんも引き起こす。
【0005】
現行のHPVワクチンは、HPV6、HPV11、HPV16、及びHPV18のカプシド(L1)タンパク質から作製される組換えウイルス様粒子である。これらのワクチンは、強い抗体応答を誘発することが可能であり、したがって、HPV感染を予防することが可能である。ウイルスの複製を抑制し、HPV関連がんを根絶するには、ワクチンは、強いT細胞応答、特に、ウイルス感染細胞を死滅させ得る細胞傷害性CD8リンパ球(CTL,cytotoxic lymphocyte)に続いて、HPVの複製の阻害のほか、HPV関連腫瘍細胞の阻害も惹起することが必要である。
【0006】
複数種類のワクチンモデル(ペプチド、タンパク質、及びDNAベースのワクチン、並びに弱毒化生ベクターにより保有されるワクチンを含む)が調べられているが、これらのワクチンは、特に、免疫不全患者に対する有効性又は安全性において欠点を有する。このギャップのために、HPV関連がんに対する、安全で強力な免疫療法用ワクチンの開発が必要となる。
【0007】
多くの証拠から、子宮頸がんの事実上全ての症例は、HPV型のサブセット、とりわけ、HPV16型(HPV16,HPVtype 16)及びHPV18型(HPV18,HPV type 18)による持続性の感染に帰せられるという結論が導かれている。これらのHPV型はまた、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がん、及び中咽頭がんを含む、他の粘膜がんの一部の原因ともなる。HPV16は、子宮頸部の扁平上皮癌における主な種類であり、HPV18は、これに次いで一般的な種類であり、発症率は、中南米における12.6%~南アジアにおける25.7%の範囲にある。加えて、HPV18は、発症が急速であり、潜在的により侵襲性の子宮頚癌にも関与している。しかし、亜臨床感染は、HPV感染の最も一般的な症状である。異なる研究が、性的に活動的な成人において、15%~36%の間の亜臨床感染を報告している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも3つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む融合タンパク質であって、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である融合タンパク質が開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体に由来する可変領域を少なくとも含む。可変領域は、軽鎖に由来する場合もあり、重鎖に由来する場合もある。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖に由来する可変領域を少なくとも含み、抗CD40抗体の重鎖に由来する可変領域を少なくとも含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体に由来する6つのCDRを含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、1又は2以上のペプチドリンカーは、フレキシブルリンカーである。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、1又は2以上のグリコシル化部位を含む。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、Flexv1(配列番号5)及び/又はf1(配列番号6)である。一部の実施形態では、HPV抗原は、E6及びE7である。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号19の配列を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号21の配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。
【0009】
また、少なくとも配列番号11~13又は配列番号14~16のアミノ酸配列と、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む融合タンパク質も開示される。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号11~13及び配列番号14~16を含む。一部の実施形態では、E6又はE7抗原は、HPV16型又はHPV18型抗原である。一部の実施形態では、融合タンパク質は、ペプチドリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、フレキシブルリンカーである。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、1又は2以上のグリコシル化部位を含む。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、Flexv1(配列番号5)及び/又はf1(配列番号6)である。
【0010】
また、上記の融合タンパク質のうちのいずれかを含む医薬組成物も開示される。
【0011】
また、上記の融合タンパク質のうちのいずれかを作製する方法であって、融合タンパク質を発現する組換え宿主細胞から融合タンパク質を単離するステップを含む方法も開示される。
【0012】
また、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも3つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む樹状細胞ターゲティング複合体を含む組成物であって、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である組成物も開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体に由来する可変領域を少なくとも含む。可変領域は、軽鎖に由来する場合もあり、重鎖に由来する場合もある。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗
体の軽鎖に由来する可変領域を少なくとも含み、抗CD40抗体の重鎖に由来する可変領域を少なくとも含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体に由来する6つのCDRを含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、フレキシブルリンカーである。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、1又は2以上のグリコシル化部位を含む。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、Flexv1(配列番号5)及びf1(配列番号6)から選択される。一部の実施形態では、HPV抗原は、E6及びE7である。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号19の配列を含む。一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号21の配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。
【0013】
一部の実施形態では、HPV E6抗原及びHPV E7抗原は、配列番号1~4から選択される。他の実施形態では、HPV E6抗原及びHPV E7抗原は、配列番号1~4の任意の組合せと、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%若しくは100%、又はこれらの中で導出される任意の範囲にわたり同一である。他の実施形態では、HPV E6抗原及びHPV E7抗原は、配列番号1~4と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%若しくは100%、又はこれらの中で導出される任意の範囲にわたり同一である。さらに他の実施形態では、HPV E6抗原は、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115若しくは120、又はこれらの中で導出される任意の範囲の、配列番号1及び/又は3の連続アミノ酸のサブセットであり、HPV E7抗原は、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115若しくは120、又はこれらの中で導出される任意の範囲の、配列番号2及び/又は4の連続アミノ酸のサブセットである。
【0014】
また、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも3つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターであって、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原であるベクターも開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、少なくとも1つのHPV16型E6抗原、少なくとも1つのHPV16型E7抗原、又は少なくとも1つのHPV18型E6抗原、及び少なくとも1つのHPV18型E7抗原をコードする。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号19を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号21を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、少なくとも1つのHPV16型E6抗原、少なくとも1つのHPV16型E7抗原、少なくとも1つのHPV18型E6抗原、及び少なくとも1つのHPV18型E7抗原をコードする。
【0015】
また、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防するための方法であって、患者に、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも6つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウ
イルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む樹状細胞ターゲティング複合体を含む組成物を投与するステップを含み、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である方法も開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖可変領域及び抗CD40抗体の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号19を含む。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号21を含む。一部の実施形態では、組成物は、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に、別個のHPVワクチンを投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、別個のHPVワクチンは、Gardasil(商標)又はCervarix(商標)である。
【0016】
また、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を処置するための方法であって、患者に、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも6つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む樹状細胞ターゲティング複合体を含む組成物を投与するステップを含み、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である方法も開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖可変領域及び抗CD40抗体の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号19を含む。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号21を含む。一部の実施形態では、方法は、患者に、別個のHPV処置を施すステップをさらに含む。
【0017】
また、少なくとも1つのHPVエピトープに対する免疫応答を誘導するための方法であって、患者に、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも6つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む樹状細胞ターゲティング複合体を含む組成物を投与するステップを含み、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である方法も開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖可変領域及び抗CD40抗体の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、
少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号19を含む。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号21を含む。一部の実施形態では、組成物は、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に、別個のHPVワクチンを投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、別個のHPVワクチンは、Gardasil(商標)又はCervarix(商標)である。
【0018】
また、少なくとも1つのHPVエピトープに対する免疫応答を強化するための方法であって、患者に、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも6つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む樹状細胞ターゲティング複合体を含む組成物を投与するステップを含み、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である方法も開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖可変領域及び抗CD40抗体の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号19を含む。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号21を含む。一部の実施形態では、免疫応答の強化を、メモリーT細胞の強化又は増大又は増強へと方向づける。一部の実施形態では、方法は、患者に、別個のHPV処置を施すステップをさらに含む。
【0019】
また、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連疾患を予防するための方法であって、患者に、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも6つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む樹状細胞ターゲティング複合体を含む組成物を投与するステップを含み、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である方法も開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖可変領域及び抗CD40抗体の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号19を含む。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号21を含む。一部の実施形態では、組成物は、アジュバントをさらに含む。一部の実施形態では、HPV関連疾患は、異形成、良性新生物、前悪性新生物、又はがんである。一部の実施形態では、HPV関連疾患は、がんである。一部の実施形態では、がんは、子宮頸部、外陰部、膣、陰茎、肛門、中咽頭、喉頭又は肺のがんである。一部の実施形態では、方法は、患者に、別個のHPVワクチンを投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、別個のHPVワクチンは、Gardasil(商標)又はCervarix(商標)である。
【0020】
また、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連疾患を処置するための方法であって、患者に、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも6つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む樹状細胞ターゲティング複合体を含む組成物を投与するステップを含み、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である方法も開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖可変領域及び抗CD40抗体の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号19を含む。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号21を含む。一部の実施形態では、HPV関連疾患は、異形成、良性新生物、前悪性新生物、又はがんである。一部の実施形態では、HPV関連疾患は、がんである。一部の実施形態では、がんは、子宮頸部、外陰部、膣、陰茎、肛門、中咽頭、喉頭又は肺のがんである。なおさらなる実施形態では、がんは、頭頸部がんである。一部の実施形態では、方法は、患者に、別個の処置を施すステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に、がん処置を施すステップをさらに含む。
【0021】
また、患者におけるHPV感染細胞を阻害する方法であって、患者に、上記の融合タンパク質又はベクターのうちのいずれかを含む、有効量の組成物を投与するステップを含む方法も開示される。一部の実施形態では、HPV感染細胞は、腫瘍内にある。
【0022】
また、HPV感染又はHPV感染細胞を含む腫瘍を患う患者における腫瘍のサイズ又は重量を低減する方法であって、患者に、上記の融合タンパク質又はベクターのうちのいずれかを含む、有効量の組成物を投与するステップを含む方法も開示される。処置中又は処置後における、腫瘍のサイズ又は重量の低減パーセント又は腫瘍の退縮パーセントは、少なくとも10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは100%、又はこれらの中で導出される任意の範囲であり得る。腫瘍のサイズ又は重量の低減パーセント又は腫瘍の退縮パーセントは、不快感を和らげ、患者の生活の質を改善するか、又は臨床的に好適な転帰をもたらすか若しくはこれと関連するようなものであり得る。
【0023】
HPV関連疾患を患う患者又は対象の生存を延長する方法であって、患者に、抗CD40抗体又は抗CD40抗体に由来する少なくとも6つの相補性決定領域を含むその断片と、少なくとも1つのペプチドリンカーと、少なくとも1つのヒトパピローマウイルス(HPV)E6又はE7抗原とを含む樹状細胞ターゲティング複合体を含む組成物を投与するステップを含み、E6又はE7抗原が、HPV16型又はHPV18型抗原である方法が開示される。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、抗CD40抗体の軽鎖可変領域及び抗CD40抗体の重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD40抗体又はその断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV
E6抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、少なくとも1つのHPV E6抗原は、HPV16型抗原であり、少
なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV16型抗原であり、少なくとも1つのHPV
E6抗原は、HPV18型抗原であり、少なくとも1つのHPV E7抗原は、HPV18型抗原である。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号19を含む。一部の実施形態では、樹状細胞ターゲティング複合体は、配列番号21を含む。一部の実施形態では、HPV関連疾患は、異形成、良性新生物、前悪性新生物、又はがんである。一部の実施形態では、HPV関連疾患は、がんである。一部の実施形態では、がんは、子宮頸部、外陰部、膣、陰茎、肛門、中咽頭、喉頭又は肺のがんである。なおさらなる実施形態では、がんは、頭頸部がんである。一部の実施形態では、方法は、患者に、別個の処置を施すステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に、がん処置を施すステップをさらに含む。一部の態様では、生存を、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10日間、又はこれらの中で導出される任意の範囲だけ延長する。一部の態様では、生存を、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10週間、又はこれらの中で導出される任意の範囲だけ延長する。一部の態様では、生存を、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10カ月間、又はこれらの中で導出される任意の範囲だけ延長する。一部の態様では、生存を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25若しくは30年間、又はこれらの中で導出される任意の範囲だけ延長する。
【0024】
上記で開示した方法のうちのいずれかは、上記で開示した融合タンパク質、組成物、及び/又はベクターのうちのいずれかを使用して実施することができる。
【0025】
本明細書で使用される「ある(a)」又は「ある(an)」は、1又は2以上(one or more)を意味する場合がある。「~を含むこと」という語と共に使用される場合に特許請求の範囲で使用される「ある(a)」又は「ある(an)」という語は、1又は2以上(one or more than one)を意味する場合がある。
【0026】
代替物だけを指すことが明示的に指し示されるか、又は代替物が、互いに排除的でない限りにおいて、特許請求の範囲における「又は」という用語は、「及び/又は」を意味するのに使用されるが、本開示は、代替物だけを指す定義も、「及び/又は」を指す定義も支持する。本明細書で使用される「別の」は、「少なくとも第2の又はそれ以外の」を意味する場合がある。
【0027】
本出願を通して、「約」という用語は、値が、値を決定するのに援用されるデバイス、方法についての誤差の固有のばらつき、又は研究対象間に存在するばらつきを含むことを指し示すのに使用される。
【0028】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な記載から明らかとなろう。しかし、当業者には、本発明の精神及び範囲内の多様な変化及び変更は、この詳細な記載から明らかとなるので、詳細な記載及び具体例は、本発明の好ましい実施形態を指し示すが、例示だけを目的として示されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の態様をさらに明示するように組み入れられる。これらの図面のうちの1又は2以上を、本明細書で提示される具体的な実施形態についての詳細な記載と組み合わせて参照することにより、本発明をよりよく理解することができる。
図1】組換え抗DC受容体抗体-E6/E7ワクチンを開発するためのスキームを示す図である。
図2】HPV16 E6抗原及びHPV16 E7抗原に融合した、プロテインAによりアフィニティー精製された抗DC受容体抗体についてのSDS-PAGE解析を示す図である。
図3】抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、ヒト血中DCに効率的に結合し得ることを示す図である。
図4-1】~
図4-2】抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、HPV16.E6/7特異的CD4T細胞応答及びHPV16.E6/7特異的CD8T細胞応答を誘発し得ることを示す図である。
図5】抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、HPV16.E6/7特異的CD4T細胞応答及びHPV16.E6/7特異的CD8T細胞応答を効率的に誘導し得ることを示す図である。
図6】抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、ヒトCD40TgマウスにおけるTC-1腫瘍の進行を抑制し得ることを示す図である。
図7】アジュバントの、抗CD40抗体-HPV16.E6/7との共投与の効果を示す図である。
図8】ポリICを加えたCD40HVacは、hCD40トランスジェニック動物において、E6/7特異的CD8T細胞を誘導することを示す図である。
図9】ポリICを加えたCD40HVacは、hCD40Tgマウスにおいて、治療的免疫を誘導することを示す図である。(a)生存曲線を示す図である。1群当たりのマウスを10匹とする。(b)TC-1腫瘍の進行を示す図である。1群当たりのマウスを10匹とする。
図10】腫瘍内のE7特異的四量体CD8T細胞のパーセントは、腫瘍容積と逆相関するが、血中のE7特異的四量体CD8T細胞のパーセントは、腫瘍容積と逆相関しないことを示す図である。
図11A】~
図11B】抗CD40抗体(クローン12E12)により作製されたCD40HVacは、E6/7特異的CD8T細胞応答の誘導において、抗CD40抗体(クローン12B6)により作製されたCD40HVacより効率的であることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施例で記載される通り、HPV E6抗原及びHPV E7抗原を融合させた抗CD40抗体(本明細書の以下では、「抗CD40抗体-HPV16.E6/7」と呼ぶ)は、前記抗原に対する強い免疫応答(強いT細胞応答を含む)を誘導することが示されている。これにより、HPV抗原に対する免疫応答の誘発及び強化の効率的で有効な方法がもたらされる。さらに、抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、ポリICアジュバントと組み合わせたプライム-ブースト戦略において使用されて、ヒトCD40トランスジェニックマウスにおけるTC-1腫瘍の進行を抑制している。したがって、前記抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、E6/E7特異的CD8細胞傷害性Tリンパ球を誘発することが可能であり、ポリICアジュバントと共に投与されると、効率的ワクチンとして用いられることが裏付けられている。
【0031】
I.核酸
ある特定の実施形態では、本明細書で記載されるタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドをコードする組換え核酸がある。方法及び組成物における使用のために想定されるポリヌクレオチドは、DC受容体若しくはその結合性部分に対する抗体、HPV抗原、リンカー領域、又はアジュバントをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0032】
本出願で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、組換え核酸分子又は全ゲノム核酸を含有しない単離核酸分子を指す。「ポリヌクレオチド」という用語には、オリゴヌクレオチド(100残基又はこれより短い長さの核酸)、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む組換えベクターが含まれる。ある特定の態様では、ポリヌクレオチドは、それらの自然発生の遺伝子又はタンパク質コード配列から実質的に単離された調節的配列を含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コード又はアンチセンス)の場
合もあり、二本鎖の場合もあり、RNA、DNA(ゲノム、cDNA、又は合成)、これらのアナログ、又はこれらの組合せであり得る。さらなるコード配列又は非コード配列が、ポリヌクレオチド内に存在してもよいが、存在しなくてもよい。
【0033】
この点で、「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」又は「核酸」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドをコードする核酸(適正な転写、翻訳後修飾、又は局在化に要請される任意の配列を含む)を指すのに使用される。当業者により理解される通り、この用語は、ゲノム配列、発現カセット、cDNA配列、及びタンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質、及びミュータントを発現するか又はこれらを発現するように適合され得る、小型の人工核酸セグメントを包摂する。ポリペプチドの全部又は一部をコードする核酸は、このようなポリペプチドの全部又は一部をコードする連続核酸配列を含有し得る。また、特定のポリペプチドは、わずかに異なる核酸配列を有するばらつきを含有するが、これにも関わらず、同じタンパク質又は実質的に類似のタンパク質をコードする核酸によりコードされ得ることも想定される(上記を参照されたい)。
【0034】
特定の実施形態では、単離核酸セグメント、及びDC受容体に結合するポリペプチド(例えば、抗体又はその断片)、HPV抗原であるポリペプチド、リンカー領域であるポリペプチド、或いは1若しくは2以上のDC受容体抗体又はそれらの断片と、HPV抗原(任意のHPV型に由来するE6又はE7など)と、リンカー領域との任意の組合せを含む融合タンパク質であるポリペプチドをコードする核酸配列を組み込む組換えベクターがある。「組換え」という用語は、ポリペプチド又は具体的なポリペプチドの名称と共に使用することができ、これが一般に、インビトロにおいて操作されているか、又はこのような分子の複製産物である核酸分子から産生されるポリペプチドを指す。
【0035】
核酸セグメントは、コード配列自体の長さに関わらず、それらの全体の長さが大幅に変化し得るように、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、複数のクローニング部位、他のコードセグメントなど、他の核酸配列と組み合わせることができる。したがって、ほぼ任意の長さの核酸断片を援用し得ることが想定されるが、全長は、意図される組換え核酸プロトコールにおける調製及び使用の容易さにより制限することが好ましい。場合によって、核酸配列は、例えば、ポリペプチドの精製、輸送、分泌、翻訳後修飾、又はターゲティングなどの治療的利益、若しくは有効性を可能とする、さらなる異種コード配列を伴うポリペプチド配列をコードし得る。上記で論じた通り、タグ又は他の異種ポリペプチドを、修飾ポリペプチドコード配列へと付加し得るが、ここで、「異種」とは、修飾ポリペプチドとは同じでないポリペプチドを指す。
【0036】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される配列に対して実質的な同一性を有するポリヌクレオチドバリアント;本明細書で記載される方法(例えば、標準的なパラメータを使用するBLAST解析)を使用して、本明細書で提示されるポリヌクレオチド配列と比較した、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はこれを超える配列同一性であって、全ての値及びそれらの間の範囲を含む配列同一性を含むポリヌクレオチドバリアントがある。ある特定の態様では、単離ポリヌクレオチドは、本明細書で記載されるアミノ酸配列に対して、配列の全長にわたり、少なくとも90%、好ましくは95%及びこれを上回る同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;又は前記単離ポリヌクレオチドに対して相補的なヌクレオチド配列を含むであろう。
【0037】
ベクター
ポリペプチドは、核酸分子によってコードされ得る。核酸分子は、核酸ベクターの形態であり得る。「ベクター」という用語は、それを複製し、発現する細胞への導入のために、異種核酸配列を挿入し得る、担体核酸分子を指すのに使用される。核酸配列は、「異種
」の場合があり、これは、ベクターが導入される細胞、又は組み込まれる核酸に対して外来性の文脈にあることを意味し、細胞内又は核酸内の配列と相同であるが、宿主細胞内又は核酸内の、通常見出されない位置にある配列を含む。ベクターは、DNA、RNA、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、及び植物ウイルス)、及び人工染色体(例えば、YAC)を含む。当業者であれば、標準的な組換え法によりベクターを構築することが十分にできるであろう(例えば、いずれも、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al., 2001;Ausubel et al., 1996)。ベクターは、
樹状細胞受容体に結合する抗体若しくはその断片、1若しくは2以上のHPV抗原(例えば、1又は複数のHPV型に由来するE6及び/又はE7)、1若しくは複数のリンカー領域、1若しくは複数のアジュバント、前出のタンパク質の任意の組合せ、又は前出のタンパク質の任意の組合せを含む、1若しくは2以上の融合タンパク質を産生する宿主細胞内で使用することができる。
【0038】
「発現ベクター」という用語は、転写が可能な遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含有するベクターを指す。場合によっては、RNA分子はその後、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドへと翻訳される。発現ベクターは、特定の宿主生物における、作動可能に連結されたコード配列の転写に必要であり、おそらく、その翻訳にも必要な核酸配列を指す、様々な「制御配列」を含有し得る。転写及び翻訳を統御する制御配列に加えて、ベクター及び発現ベクターは、他の機能を果たす核酸配列も含有する場合があり、本明細書でも記載される。
【0039】
宿主細胞
本明細書で使用される「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養物」という用語は、互換的に使用することができる。これらの用語の全てはまた、任意の後続の世代であり、全ての後続の世代である、それらの後代細胞も含む。全ての後代細胞は、意図的な変異又は不測の変異のために、同一ではない場合もあることが理解される。異種核酸配列の発現の文脈では、「宿主細胞」とは、原核細胞又は真核細胞を指し、ベクターを複製するか、又はベクターによりコードされる異種遺伝子を発現することが可能な、任意の形質転換生物を含む。宿主細胞は、ベクター又はウイルスのレシピエントとして使用することができ、レシピエントとして使用されている。宿主細胞は、「トランスフェクト」又は「形質転換」することができ、これは、組換えタンパク質コード配列などの外因性核酸を、宿主細胞へと移入又は導入する工程を指す。形質転換された細胞は、初代対象細胞及びその後代細胞を含む。
【0040】
一部のベクターでは、原核細胞及び真核細胞の両方における複製及び/又は発現を可能とする制御配列を援用することができる。当業者であれば、上記で記載した宿主細胞の全てをインキュベートし、それらを維持し、ベクターの複製を可能とするための条件をさらに理解するであろう。また、大スケールのベクターの産生のほか、ベクターによりコードされる核酸、及びそれらの同族のポリペプチド、タンパク質、又はペプチドの産生を可能とする技法及び条件も理解されており、公知である。
【0041】
発現系
上記で論じた組成物の少なくとも一部又は全部を含む、多数の発現系が存在する。原核細胞ベースの系及び/又は真核細胞ベースの系を、核酸配列、又はそれらのコグネイトのポリペプチド、タンパク質、及びペプチドを産生する実施形態を伴う使用のために援用することができる。多くのこのような系は、広く市販されている。
【0042】
いずれもが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,871,986号明細書、同第4,879,236号明細書において記載されているものなどであり、例えば、INVITROGEN(登録商標)社製のMAXBAC(登録商標)2.0及びCLONTECH(登録商標)社製のB
ACPACK(商標)BACULOVIRUS EXPRESSION SYSTEMの商標名で購入し得る、昆虫細胞/バキ
ュロウイルス系により、異種核酸セグメントの高レベルのタンパク質発現をもたらすことができる。
【0043】
開示される発現系に加えて、発現系の他の例は、合成エクジソン誘導性受容体を伴う、STRATAGENE(登録商標)社製のCOMPLETE CONTROL Inducible Mammalian Expression System、又は大腸菌(E. coli)発現系である、同社製のpET Expression Systemを含む。誘導的発現系の別の例は、全長CMVプロモーターを使用する誘導的哺乳動物発現系である、T-REX(商標)(テトラサイクリン調節型発現)Systemを擁する、INVITROGEN(登録商標
)社から入手可能である。INVITROGEN(登録商標)社はまた、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)発現系と呼ばれる酵母発現系であって、メチロトローフ酵母であるピキア・メタノリカにおける、組換えタンパク質の高レベルな産生のためにデザインされた酵母発現系も提供している。当業者には、発現コンストラクトなどのベクターをどのように発現させて、核酸配列、又はそのコグネイトのポリペプチド、タンパク質、若しくはペプチドを産生するのかが公知であろう。
【0044】
II.タンパク質性組成物
置換バリアントは典型的に、タンパク質内の1又は2以上の部位における、1つのアミノ酸の、別のアミノ酸への交換を含有し、他の機能又は特性の喪失を伴うか又は伴わずに、ポリペプチドの1又は2以上の特性をモジュレートするようにデザインすることができる。置換は、保存的であること、すなわち、1つのアミノ酸を、形状及び電荷が類似するアミノ酸で置きかえることが可能である。当技術分野では、保存的置換が周知であり、例えば、アラニンからセリンへの変化;アルギニンからリシンへの変化;アスパラギンからグルタミン又はヒスチジンへの変化;アスパラギン酸からグルタミン酸への変化;システインからセリンへの変化;グルタミンからアスパラギンへの変化;グルタミン酸からアスパラギン酸への変化;グリシンからプロリンへの変化;ヒスチジンからアスパラギン又はグルタミンへの変化;イソロイシンからロイシン又はバリンへの変化;ロイシンからバリン又はイソロイシンへの変化;リシンからアルギニンへの変化;メチオニンからロイシン又はイソロイシンへの変化;フェニルアラニンからチロシン、ロイシン又はメチオニンへの変化;セリンからトレオニンへの変化;トレオニンからセリンへの変化;トリプトファンからチロシンへの変化;チロシンからトリプトファン又はフェニルアラニンへの変化;及びバリンからイソロイシン又はロイシンへの変化を含む。代替的に、置換は、ポリペプチドの機能又は活性が、影響を受けるように、非保存的な場合もある。非保存的変化は、極性アミノ酸又は帯電アミノ酸の、非極性アミノ酸又は非帯電アミノ酸への置換、及びこの逆など、残基の、化学的に類縁でない残基への置換を伴うことが典型的である。
【0045】
タンパク質は、組換えの場合もあり、インビトロで合成する場合もある。代替的に、非組換えタンパク質又は組換えタンパク質は、細菌から単離することができる。また、このようなバリアントを含有する細菌は、組成物及び方法中に組み込まれることも想定される。結果として、タンパク質を単離する必要がなくなる。
【0046】
本明細書では、「機能的に同等なコドン」という用語を、アルギニン又はセリンの6つのコドンなど、同じアミノ酸をコードするコドンを指し、また、生物学的に同等なアミノ酸をコードするコドンも指すのに使用する(下記の表を参照されたい)。
【0047】
【表1】
【0048】
また、アミノ酸及び核酸配列はそれぞれ、さらなるN末端アミノ酸若しくはC末端アミノ酸、又は5’側配列若しくは3’側配列などの、さらなる残基を含み、それでもなお、タンパク質発現に関する場合、配列が、タンパク質の生体活性の維持を含む、上記で示した基準を満たす限りにおいて、本質的に、本明細書で開示される配列のうちの1つにおいて示される通りであり得ることも理解されるであろう。末端配列の付加は、特に、例えば、コード領域の5’部分又は3’部分に隣接する多様な非コード配列を含む、核酸配列に適用される。
【0049】
以下は、同等であるか、又はなお改善された、第2世代の分子を創出する、タンパク質のアミノ酸変化に基づく議論である。例えば、抗体の抗原結合性領域若しくは基質分子上の結合性部位などの構造との相互作用的結合能の著明な喪失、又は抗原性ペプチド内若しくは抗原性タンパク質内の抗原性の喪失を伴わずに、例えば、タンパク質構造内の、ある特定のアミノ酸を、他のアミノ酸で置換することができる。そのタンパク質の生物学的に機能的な活性を規定するのは、タンパク質の相互作用能及び相互作用的性質であるので、ある特定のアミノ酸置換を、タンパク質配列内、及びその根底的なDNAコード配列内に施し、それにも関わらず、同様の特性を伴うタンパク質を産生することができる。こうして、本発明者らは、それらの生物学的有用性又は生体活性の著明な喪失を伴わずに、多様な変化を、遺伝子のDNA配列内に施し得ることを想定する。
【0050】
このような変化を施す場合、アミノ酸の疎水性指数を考慮することができる。当技術分野では、相互作用的生体機能のタンパク質への付与における、アミノ酸の疎水性指数の重要性が一般に理解されている(Kyte andDoolittle, 1982)。アミノ酸の相対的な疎水的性格は、結果として得られるタンパク質の二次構造に寄与し、これにより、タンパク質と
他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用が規定されることが受容されている。
【0051】
当技術分野ではまた、類似のアミノ酸の置換は、親水性に基づき、効果的に施し得ることも理解される。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,554,101号明細書は、その隣接アミノ酸の親水性により統御される、タンパク質の局所的な最大平均親水性が、タンパク質の生物学的特性と相関することについて言明している。アミノ酸を、同様の親水性値を有し、生物学的に同等であり、免疫学的に同等なタンパク質をなおももたらす、別のアミノ酸で置換し得ることが理解される。
【0052】
上記で概括した通り、アミノ酸置換は一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づく。前出の多様な特徴を考慮に入れる例示的な置換が周知であり、アルギニン及びリシン;グルタミン酸及びアスパラギン酸;セリン及びトレオニン;グルタミン及びアスパラギン;及びバリン、ロイシン及びイソロイシンを含む。
【0053】
組成物中には、1ml当たり約0.001mg~約10mgの間の全ポリペプチド、ペプチド、及び/又はタンパク質が存在することが想定される。したがって、組成物中のタンパク質(融合タンパク質を含む)の濃度は、約、少なくとも約、又は多くとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/ml以上(又はこれらの中で導出される任意の範囲)であり得る。このうち、約、少なくとも約、又は多くとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%は、DC受容体に結合する抗体又はDC受容体に結合する抗体を含む融合タンパク質であることが可能であり、本明細書で記載される、他のHPV抗原、リンカー領域又はアジュバントと組み合わせて使用することができる。
【0054】
ポリペプチド及びポリペプチドの産生
実施形態は、本明細書で記載される多様な態様における使用のための、ポリペプチド、ペプチド、及びタンパク質、並びにこれらの免疫原性断片を伴う。例えば、特異的抗体を、DC受容体への結合及びHPV抗原の提示についてアッセイするか、又はDC受容体への結合及びHPV抗原の提示に使用する。具体的な実施形態では、本明細書で記載されるタンパク質の全部又は一部はまた、従来の技法に従い、溶液中又は固体支持体上で合成することもできる。多様な自動式合成器が市販されており、公知のプロトコールに従い使用することができる。例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、Stewart and Young, 1984;Tam et al., 1983;Merrifield, 1986;及びBarany and Merrifield,1979を参照されたい。代替的に、ペプチド又はポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、発現ベクターへと挿入し、適切な宿主細胞へと形質転換又はトランスフェクトし、発現に適する条件下で培養する、組換えDNA技術を援用することもできる。
【0055】
一実施形態は、タンパク質の産生及び/又は提示のための微生物を含む細胞への遺伝子移入の使用を含む。所望のタンパク質の遺伝子を、適切な宿主細胞内に移入した後で、適
切な条件下で細胞を培養することができる。事実上任意のポリペプチドをコードする核酸を援用することができる。本明細書では、組換え発現ベクター、及びその中に含まれるエレメントの作製について論じる。代替的に、産生されるタンパク質は、タンパク質産生のために使用される細胞により通常合成される、内因性タンパク質であり得る。
【0056】
ある特定の態様では、DC受容体又はDC受容体断片は、断片配列の長さにわたり選択される配列に対して、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、又は少なくとも97~99%の同一性であって、全ての値及びそれらの間の範囲を含む同一性を有するタンパク質の細胞外ドメインの実質的に全てを含む。
【0057】
免疫原性組成物中にはまた、HPV抗原、又はHPV抗原の免疫原性断片(例えば、E6又はE7)から構成される融合タンパク質も含まれる。HPV抗原は、任意の種類(例えば、16型又は18型)に由来し得る。例えば、HPV抗原は、単一のHPV型又はHPV型の組合せから選択することができる。HPV抗原又はHPV抗原の組合せは、HPV1型、HPV2型、HPV3型、HPV4型、HPV5型、HPV6型、HPV7型、HPV8型、HPV9型、HPV10型、HPV11型、HPV12型、HPV13型、HPV14型、HPV15型、HPV16型、HPV17型、HPV18型、HPV19型、HPV20型、HPV21型、HPV22型、HPV23型、HPV24型、HPV25型、HPV26型、HPV27型、HPV28型、HPV29型、HPV30型、HPV31型、HPV32型、HPV33型、HPV34型、HPV35型、HPV36型、HPV37型、HPV38型、HPV39型、HPV40型、HPV41型、HPV42型、HPV43型、HPV44型、HPV45型、HPV46型、HPV47型、HPV48型、HPV49型、HPV50型、HPV51型、HPV52型、HPV53型、HPV54型、HPV55型、HPV56型、HPV57型、HPV58型、HPV59型、HPV60型、HPV61型、HPV62型、HPV63型、HPV64型、HPV65型、HPV66型、HPV67型、HPV68型、HPV69型、HPV70型、HPV71型、HPV72型、HPV73型、HPV74型、HPV75型、HPV76型、HPV77型、HPV78型、HPV79型、HPV80型、HPV81型、HPV82型、HPV83型、HPV84型、HPV85型、HPV86型、HPV87型、HPV88型、HPV89型、HPV90型、HPV91型、HPV92型、HPV93型、HPV94型、HPV95型、HPV96型、HPV97型、HPV98型、HPV99型、HPV100型、HPV101型、HPV102型、HPV103型、HPV104型、HPV105型、HPV106型、HPV107型、HPV108型、HPV109型、HPV110型、HPV111型、HPV112型、HPV113型、HPV114型、HPV115型、HPV116型、HPV117型、HPV118型、HPV119型、又はHPV120型に由来し得る。代替的に、実施形態はまた、T細胞エピトープ又は精製タグ、例えば、β-ガラクトシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP,green fluorescent protein)、FLAG、mycタグ、
ポリヒスチジンなどのエピトープタグ、又はインフルエンザウイルスヘマグルチニンなどのウイルス表面タンパク質、又は破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197などの細菌タンパク質の提示配列などの異種配列を伴う融合タンパク質としての、HPVタンパク質若しくはそれらの免疫原性断片又は抗DC受容体抗体若しくはそれらの断片の個々の融合タンパク質も含む。
【0058】
抗体及び抗体様分子
ある特定の態様では、1又は2以上の抗体又は抗体様分子(例えば、抗体のCDRドメインを含むポリペプチド)であって、DC受容体に対する特異性を有する抗体又は抗体様分子を、得るか又は産生することができる。これらの抗体は、本明細書で記載される多様な診断的適用又は治療的適用において使用することができる。
【0059】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEのほか、抗体のCDRドメインを含むポリペプチドであって、抗原結合活性を保持するポリペプチドなど、任意の免疫性結合剤を広く指すことを意図する。したがって、「抗体」という用語は、抗原結合性領域を有し、Fab’、Fab、F(ab’)、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(一本鎖Fv)、及び抗体CDRを伴うポリペプチド、CDRを提示する足場ドメイン(例えば、アンチカリン)又はナノボディなどの抗体断片を含む、任意の抗体様分子を指すのに使用される。例えば、ナノボディは、ラクダ科動物IgG2若しくはIgG3、又はこのようなラクダ科動物Igに由来するCDR提示フレームに由来する抗原特異的VHH(例えば、組換えVHH)であり得る。当技術分野では、多様な抗体ベースのコンストラクト及び断片を調製及び使用するための技法が周知である。当技術分野ではまた、抗体を調製し、特徴づけるための手段も周知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照されたい)。
【0060】
また、「ミニ抗体」又は「ミニボディ」も、実施形態を伴う使用のために想定される。ミニボディとは、ヒンジ領域によりsFvから隔てられたそれらのC末端においてオリゴマー化ドメインを含む、sFvポリペプチド鎖である(Pack, et al., 1992)。オリゴマー化ドメインは、さらなるジスルフィド結合によりさらに安定化され得る、自己会合型αへリックス、例えば、ロイシンジッパーを含む。オリゴマー化ドメインは、インビボにおけるポリペプチドの、機能的な結合性タンパク質へのフォールディングを容易とすると考えられる過程である、膜を隔てた有向フォールディングに適合的となるようにデザインする。一般に、ミニボディは、当技術分野で周知の組換え法を使用して産生する。例えば、Pack, et al., 1992;Cumber et al., 1992を参照されたい。
【0061】
実施形態ではまた、抗体様結合性ペプチド模倣剤も想定される。Liu et al., 2003は、軽装抗体(pared-down antibodies)として作用し、血清中半減期の延長のほか、それほ
ど煩瑣ではない合成法といった、ある特定の利点を有するペプチドである、「抗体様結合性ペプチド模倣剤」(ABiP,antibodylike binding peptidomimetics)について記
載している。
【0062】
また、CDRなど、抗原結合性ペプチドのための代替的な足場も利用可能であり、実施形態に従いDC受容体結合性分子を作製するのに使用することができる。一般に、当業者には、元の抗体に由来するCDRのうちの少なくとも1つをグラフトするためのタンパク質足場の種類をどのように決定するのかが公知である。より詳細には、選択されるには、このような足場は、以下の多数の基準:系統的保存が良好であること;三次元構造が公知であること(例えば、結晶構造解析、NMR分光法若しくは当業者に公知の他の任意の技法により);サイズが小さいこと;転写後修飾が少数であるか若しくは存在しないこと;並びに/又は産生、発現及び精製が容易であることを満たさなければならないことが公知である(Skerra, 2000)。
【0063】
このようなタンパク質足場の由来は、フィブロネクチン、並びに、優先的に、III型フ
ィブロネクチンドメイン10、リポカリン、アンチカリン(Skerra, 2001)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のプロテインAのドメインBに由来するプロテインZ、
チオレドキシンA又は「アンキリンリピート」(Kohl et al., 2003)、「アルマジロリ
ピート」、「ロイシンリッチリピート」及び「テトラトリコペプチドリピート」などの反復モチーフを伴うタンパク質の中から選択される構造であり得るがこれらに限定されない。例えば、アンチカリン誘導体又はリポカリン誘導体は、多様な標的分子に対するアフィニティー及び特異性を有する結合性タンパク質の種類であり、DC受容体結合性分子として使用することができる。このようなタンパク質は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20100285564号明細書、同第20060058510号
明細書、同第20060088908号明細書、同第20050106660号明細書、及び国際公開第2006/056464号パンフレットにおいて記載されている。
【0064】
ある特定の態様ではまた、例えば、サソリ、昆虫、植物、軟体動物などに由来する毒素などの毒素、及び神経型NO合成酵素タンパク質阻害剤(PIN,protein inhibitors of neuronal NO synthase)に由来する足場も使用することができる。
【0065】
モノクローナル抗体(mAb,monoclonal antibody)は、ある特定の利点、例えば、
再現性を有し、産生スケールが大きいことが認知されている。実施形態は、ヒト、マウス、サル、ラット、ハムスター、ウサギ及びニワトリに由来するモノクローナル抗体を含む。
【0066】
マウス、ラット、又は他の種に由来するキメラ抗体であって、ヒト定常領域ドメイン及び/又はヒト可変領域ドメインを保有するキメラ抗体、二重特異性抗体、組換え抗体及び改変抗体並びにこれらの断片と同様に、また、「ヒト化」抗体も想定される。本明細書で使用される「ヒト化」免疫グロブリンという用語は、ヒトフレームワーク領域と、非ヒト(通例、マウス又はラット)免疫グロブリンに由来する1又は2以上のCDRとを含む免疫グロブリンを指す。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。「ヒト化抗体」とは、ヒト化軽鎖免疫グロブリン及びヒト化重鎖免疫グロブリンを含む抗体である。一部の実施形態の抗体について記載するために、アフィニティーとして公知の、抗体分子がエピトープに結合する強度を測定することができる。抗体のアフィニティーは、結合定数(Ka,association constant)又は解離定数(Kd,dissociation constant)
を測定することにより決定することができる。ある特定の実施形態では、有用であるとみなされる抗体の結合定数は、約、少なくとも約、又は多くとも約10、10、10、10若しくは1010M又はこれらの中で導出される任意の範囲であり得る。同様に、一部の実施形態では、抗体の解離定数は、約、少なくとも約、又は多くとも約10-6、10-7、10-8、10-9若しくは10-10M又はこれらの中で導出される任意の範囲であり得る。本明細書で論じられる抗体については、これらの値が報告されており、同じアッセイを使用して、このような抗体の結合特性を評価することができる。
【0067】
ある特定の実施形態では、DC受容体に特異的に結合するポリペプチドは、細胞表面上のDC受容体に結合し、強い免疫応答の発生を可能とするHPV抗原を提示することが可能である。さらに、一部の実施形態では、使用されるポリペプチドは、強い免疫応答を発生させることにより、HPVに対する防御的免疫をもたらし得るか、又はHPVのための治療手段をもたらす。
【0068】
1.抗体を作製するための方法
当技術分野では、抗体(例えば、モノクローナル抗体及び/又はモノクローナル抗体)を作製するための方法が公知である。略述すると、ポリクローナル抗体は、実施形態に従い、動物を、DC受容体ポリペプチド又はその部分で免疫感作し、抗血清を、その免疫感作された動物から回収することにより調製する。
【0069】
広範にわたる動物種を、抗血清の産生のために使用することができる。抗血清の産生のために使用される動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット又はヤギであることが典型的である。動物の選択は、当業者に公知の、操作の容易さ、費用又は血清の所望量により決めることができる。抗体はまた、所望の免疫グロブリン重鎖配列及び免疫グロブリン軽鎖配列についてトランスジェニックである哺乳動物又は植物の作製、及びそれらから回収可能な形態における抗体の産生を介して、トランスジェニック法により産生することもできることが認識されるであろう。哺乳動物におけるトランスジェニック法
による産生との関連で述べると、抗体は、ヤギ、ウシ、又は他の哺乳動物のミルク中で産生し、これらから回収することができる。例えば、米国特許第5,827,690号明細書、同第5,756,687号明細書、同第5,750,172号明細書、及び同第5,741,957号明細書を参照されたい。
【0070】
また当技術分野で周知の通り、特定の免疫原組成物の免疫原性は、アジュバントとして公知の、免疫応答の非特異的刺激剤を使用することにより増強することができる。適切なアジュバントは、サイトカイン、ケモカイン、共因子、毒素、マラリア原虫、合成組成物又はこのようなアジュバントをコードするベクターなど、任意の許容可能な免疫刺激性化合物を含む。
【0071】
実施形態に従い使用し得るアジュバントは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、-インターフェロン、GMCSP、BCG、水酸化アルミニウム、thur-MDP及びnor-MDPなどのMDP化合物、CGP(MTP-PE)、リピドA、ポリIC、モンタナイド、GMCSF、並びにモノホスホリルリピドA(MPL,monophosphoryl lipid A)を含むがこれらに限定されない。また、2%のスクアレン/Tween 80エマルジョン中に、細菌から抽出された3つの成分である、MPL、トレハロースジミコール酸(TDM,trehalose dimycolate)及び細胞壁骨格(CWS,cell wall skeleton)を含有するRIBIも想定される。MHC抗原もなお、使用することができる。例示的なアジュバントは、完全フロイントアジュバント(死滅させた結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含有する、免疫応答の非特異的刺激剤)、不完全フロイントアジュバント及び/又は水酸化アルミニウムアジュバントを含み得る。
【0072】
アジュバントに加えて、T細胞免疫を上方調節するか、又はサプレッサー細胞活性を下方調節することが示されている、生物学的応答修飾剤(BRM,biologic response modifier)を共投与することも所望され得る。このようなBRMは、シメチジン(CIM,cimetidine;1200mg/d)(Smith/Kline社、PA);低用量のシクロホスファミド
(CYP,cyclophosphamide;300mg/m)(Johnson/Mead社、NJ)、-インターフェロン、IL-2、若しくはIL-12などのサイトカイン、又はB-7など、免疫ヘルパー機能に関与するタンパク質をコードしている遺伝子を含むがこれらに限定されない。
【0073】
抗体の産生において使用される免疫原組成物の量は、免疫原の性質のほか、免疫感作のために使用される動物によっても変化する。皮下、筋内、皮内、皮内、静脈内、腫瘍内及び腹腔内を含むがこれらに限定されない、様々な経路を使用して、免疫原を投与することができる。抗体の産生は、免疫感作後の多様な時点において、免疫感作された動物の血液をサンプリングすることにより、モニタリングすることができる。
【0074】
mAbは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,196,265号明細書において例示されている技法など、周知の技法の使用を介して、たやすく調製することができる。この技法は、適切な動物を、選択された免疫原組成物、例えば、野生型組成物であれ、ミュータント組成物であれ、精製されるか又は部分的に精製されたタンパク質、ポリペプチド、ペプチド又はドメインで免疫感作するステップを伴うことが典型的である。免疫感作組成物は、抗体産生細胞を刺激するのに有効な方式で投与する。
【0075】
モノクローナル抗体(mAb)を作製するための方法は一般に、ポリクローナル抗体を調製するための方法と同じ線に沿って始まる。一部の実施形態では、マウス及びラットなどの齧歯動物を、モノクローナル抗体の作製において使用する。一部の実施形態では、ウサギ細胞、ヒツジ細胞、又はカエル細胞を、モノクローナル抗体の作製において使用する。ラットの使用は、周知であり、ある特定の利点をもたらし得る(Goding, 1986, pp.60
61)。マウス(例えば、BALB/cマウス)は、日常的に使用され、一般に、高パー
セントの安定的な融合体をもたらす。
【0076】
所望される場合、濾過、遠心分離及びHPLC又はアフィニティークロマトグラフィーなど、多様なクロマトグラフィー法を使用して、いずれの手段により産生されたmAbも、さらに精製することができる。モノクローナル抗体の断片は、このようにして産生されたモノクローナル抗体から、ペプシン若しくはパパインなどの酵素による消化を含む方法、及び/又は化学的還元を介するジスルフィド結合の切断により得ることができる。代替的に、モノクローナル抗体断片は、自動式ペプチド合成器を使用して合成することもできる。
【0077】
また、分子クローニング法を使用して、モノクローナル抗体を作製し得ることも想定される。一実施形態では、コンビナトリアル免疫グロブリンファージミドライブラリーを、免疫感作された動物の脾臓から単離されたRNAから調製し、抗原を発現する細胞と対照細胞とを使用するパニングにより、適切な抗体を発現するファージミドを選択する。従来のハイブリドーマ法に対するこの手法の利点は、約10倍の抗体を、単一のラウンドで産生し、スクリーニングし得ることであり、H鎖とL鎖との組合せにより新たな特異性を作り出し、これにより、適切な抗体を見出す可能性をさらに増大させることである。
【0078】
別の実施形態は、例えば、Cre媒介型部位特異的組換えを使用して、修飾免疫グロブリン遺伝子座を含む細胞のゲノム配列から抗体を発現する細胞を産生する方法について記載する、米国特許第6,091,001号明細書において見出される、抗体の産生に関わる。方法はまず、抗体産生細胞に、lox部位と、修飾領域へと転換される、ゲノム配列の免疫グロブリン遺伝子座の領域に隣接する、第1のDNA配列と相同なターゲティング配列とを含む、相同性ターゲティングベクターをトランスフェクトするステップを伴い、部位特異的相同組換えを介して、第1のlox部位を、ゲノム配列へと挿入する。次いで、細胞に、Cre媒介型組換えに適する第2のlox部位であって、組み込まれたlox部位と、免疫グロブリン遺伝子座の領域を修飾領域へと転換する修飾配列とを伴う第2のlox部位を含む、loxターゲティングベクターをトランスフェクトする。この転換は、修飾配列が、lox部位の、Cre媒介型部位特異的組換えを介して、ゲノム配列へと挿入されるように、インビボにおいて、lox部位を、Creと相互作用させることにより実施する。
【0079】
代替的に、モノクローナル抗体断片は、自動式ペプチド合成器を使用して合成することもでき、全長遺伝子又は遺伝子断片の、大腸菌内の発現により合成することもできる。
【0080】
モノクローナル抗体は、特異性、アビディティー、半減期、免疫原性、結合による会合、結合の解離、又は意図される処置効果又は防御効果と比べた全体の機能的特性に関連する特性について、さらにスクリーニング又は最適化し得ることがさらに想定される。したがって、モノクローナル抗体は、本明細書で提示されるモノクローナル抗体又はヒト化抗体の、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのCDRのアミノ酸配列内に、1、2、3、4、5、6、又は7カ所以上の変化を有し得ることが想定される。抗体の軽鎖可変領域又は重鎖可変領域のVJ領域又はVDJ領域のCDR1、CDR2、CDR3、CDR4、CDR5、又はCDR6のうちの、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10位におけるアミノ酸は、保存的アミノ酸又は非保存的アミノ酸による挿入、欠失、又は置換を有し得ることが想定される。上記では、置換される場合もあり、置換を構成する場合もある、このようなアミノ酸について開示している。
【0081】
一部の実施形態では、全抗体の断片は、抗原に結合する機能を果たし得る。結合性断片の例は、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン及びCH1ドメインで構成さ
れた、Fab断片;(ii)VHドメイン及びCH1ドメインからなる、Fd断片;(iii
)単一の抗体のVLドメイン及びVHドメインで構成された、Fv断片;(iv)VHドメイン又はVLドメインで構成された、dAb断片(Ward, 1989;McCafferty et al., 1990;Holt et al., 2003);(v)単離CDR領域;(vi)連結された2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)断片(vii)2つのドメインが会合して抗原結合性
部位を形成することを可能とするペプチドリンカーにより、VHドメインとVLドメインが連結された、一本鎖Fv分子(scFv)(Bird et al., 1988);Huston et al., 1988);(viii)二重特異性の一本鎖Fv二量体(PCT特許出願第PCT/US92/09965号明細書);並びに(ix)遺伝子融合により構築された多価断片又は多特異性断片である、「ダイアボディ」(国際公開第94/13804号パンフレット;Holliger et al.,1993)である。Fv分子、scFv分子又はダイアボディ分子は、VHドメイン
とVLドメインとを連結するジスルフィド架橋の組込みにより安定化させることができる(Reiter et al.,1996)。また、CH3ドメインへと接合されたscFvを含むミニボ
ディも作製することができる(Hu et al. 1996)。本段落内の引用は全て、参照により組み込まれる。
【0082】
抗体はまた、二重特異性抗体も含む。二重特異性抗体又は二重機能性抗体は、2つの異なる可変領域を、同じ分子内に組み合わせた、第2世代のモノクローナル抗体を形成する(Holliger & Winter, 1999)。それらの使用については、診断分野及び治療分野のいず
れにおいても、それらが、新たなエフェクター機能を動員する能力、又は腫瘍細胞表面上の複数の分子をターゲティングする能力からの裏付けがなされている。二重特異性抗体を使用する場合、これらは、様々な方式(Holliger et al, 1993)で製造され得る、従来の二重特異性抗体であって、例えば、化学的に調製されるか、又はハイブリッド体であるハイブリドーマから調製される二重特異性抗体の場合もあり、上述した二重特異性抗体断片のうちのいずれかの場合もある。これらの抗体は、化学的方法により得ることもでき(Glennie et al., 1987;Repp et al., 1995)、体細胞方法により得ることもできる(Staerz & Bevan, 1986)が、同様に、ヘテロ二量体化するように仕向け、これにより、求めら
れる抗体の精製工程を容易とする遺伝子操作法により得ることもできる(Merchand et al., 1998)。二重特異性抗体の例は、異なる特異性を伴う2つの抗体の結合ドメインを使
用し、短いフレキシブルなペプチドを介して直接連結し得るBiTE(商標)技術による二重特異性抗体を含む。BiTE(商標)技術では、2つの抗体を、短い単一のポリペプチド鎖上で組み合わせる。ダイアボディ及びscFvは、Fc領域を伴わずに、可変ドメインだけを使用して構築することができ、抗イディオタイプ抗体反応の影響を低減する可能性がある。本段落内の引用は全て、参照により組み込まれる。
【0083】
二重特異性抗体は、全IgGとして構築することもでき、二重特異性Fab’2として構築することもでき、Fab’PEGとして構築することもでき、ダイアボディとして構築することもでき、また、二重特異性scFvとして構築することもできる。さらに、当技術分野で公知の日常的な方法を使用して、四価抗体を形成するように、2つの二重特異性抗体を連結することもできる。
【0084】
また、二重特異性全抗体と対比される二重特異性ダイアボディも、大腸菌内でたやすく構築し、発現させ得るため、特に、有用であり得る。適切な結合特異性を有するダイアボディ(及び抗体断片など、他の多くのポリペプチド)は、ライブラリーによるファージディスプレイ(国際公開第94/13804号パンフレット)を使用してたやすく選択することができる。ダイアボディの一方のアームを、一定に、例えば、特異性をDC受容体に対して方向づけるように保つなら、他のアームを変化させ、適切な特異性を有する抗体を選択するライブラリーを作製することができる。二重特異性全抗体は、参照により本明細書に組み込まれる、Ridgeway et al., 1996で記載されている代替的な操作法により作製
することができる。
【0085】
抗体及びポリペプチドコンジュゲート
実施形態は、DC受容体、ポリペプチド及びペプチドに対する抗体及び抗体様分子であって、少なくとも1つの薬剤へと連結されて、抗体コンジュゲート又はペイロードを形成する抗体及び抗体様分子を提供する。診断剤又は治療剤としての抗体分子の有効性を増大させるためには、少なくとも1つの所望される分子又は部分を連結するか、又は共有結合的に結合させるか、又は複合体化させることが常套的である。このような分子又は部分は、少なくとも1つのエフェクター分子又はレポーター分子であり得るがこれらに限定されない。エフェクター分子は、所望される活性、例えば、細胞傷害活性又は免疫刺激活性を有する分子を含む。抗体へと接合させたエフェクター分子の非限定的な例は、アジュバント、毒素、治療的酵素、抗生剤、放射性標識されたヌクレオチドなどを含む。これに対し、レポーター分子は、アッセイを使用して検出され得る任意の部分と定義される。抗体へとコンジュゲートさせたレポーター分子の非限定的な例は、酵素、放射性標識、ハプテン、蛍光標識、リン光発光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光アフィニティー分子、有色粒子又はビオチンなどのリガンドを含む。以下の米国特許出願:米国特許出願第12/024,036号明細書;同第12/024,897号明細書;同第12/025,010号明細書;同第12/026,095号明細書;同第12/036,138号明細書;同第12/036,158号明細書;同第12/504,463号明細書;同第12/717,778号明細書;同第12/717,789号明細書;同第12/717,804号明細書;同第12/718,365号明細書;同第12/882,052号明細書;同第12/882,052号明細書;同第13/100,684号明細書;同第13/208,993号明細書;同第13/269,951号明細書;同第13/282,112号明細書;同第13/415,564号明細書;同第13/424,582号明細書;同第13/430,206号明細書;同第13/594,397号明細書;同第13/596,526号明細書;国際公開第2010/104749号パンフレット、同第13/465,371号明細書、同第13/397,932号明細書;PCT特許出願第PCT/US13/72217号明細書;及びPCT特許出願第PCT/US2013/05839号明細書は、それらが、抗体、抗体の部分、抗原、リンカー、このような抗体、抗原及びリンカーの特異的配列、アジュバント、融合タンパク質又は治療用組成物の他の成分、宿主細胞又は組成物、樹状細胞の供給源並びに樹状細胞及び樹状細胞の派生物及び樹状細胞に由来する派生物の培養/活性化、並びにこのような融合タンパク質を伴う使用法について開示する程度に応じて、参照により組み込まれる。
【0086】
抗体コンジュゲートのある特定の例は、抗体を検出用標識へと連結したコンジュゲートである。「検出用標識」とは、それらの特異的な機能特性及び/又は化学的特徴のために、検出することができ、それらの使用により、それらを接合させた抗体の検出及び/又は、所望される場合の、さらなる定量化が可能となる、化合物及び/又はエレメントである。
【0087】
抗体コンジュゲートは、主にインビトロにおける使用のためであることが意図される抗体コンジュゲートであって、抗体を、発色性基質と接触させると、有色生成物をもたらす二次結合性リガンド及び/又は酵素(酵素タグ)へと連結した抗体コンジュゲートを含む。適切な酵素の例は、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼ又はグルコースオキシダーゼを含むがこれらに限定されない。好ましい二次結合性リガンドは、ビオチン及び/又はアビジン並びにストレプトアビジン化合物である。このような標識の使用は、当業者に周知であり、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,817,837号明細書;同第3,850,752号明細書;同第3,939,350号明細書;同第3,996,345号明細書;同第4,277,437号明細書;同第4,275,149号明細書;及び同第4,366,241号明細書において記載されている。
【0088】
また、アジド基を含有する分子も、低強度の紫外光により発生する、反応性のニトレン中間体を介して、タンパク質への共有結合を形成するのに使用することができる(Potter
& Haley, 1983)。特に、プリンヌクレオチドの2-アジドアナログ及び8-アジドアナログは、粗細胞抽出物中のヌクレオチド結合性タンパク質を同定する部位指向光プローブとして使用されている(Owens & Haley, 1987;Atherton et al.,1985)。2-アジドヌクレオチド及び8-アジドヌクレオチドはまた、精製タンパク質のヌクレオチド結合性ドメインをマッピングするのにも使用されており(Khatoon et al., 1989;King et al., 1989;及びDholakia et al., 1989)、抗体結合剤として使用することもできる。
【0089】
当技術分野では、抗体の、そのコンジュゲート部分への接合又はコンジュゲーションのための複数の方法が公知である。一部の接合法は、例えば、抗体へと接合させた、ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA,diethylenetriaminepentaacetic acid anhydride);エチレントリアミン四酢酸;N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド;及び/又はテトラクロロ-3-6-ジフェニルグリコウリル-3などの有機キレート剤を援用する金属キレート錯体の使用を伴う(各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,472,509号明細書及び同第4,938,948号明細書)。モノクローナル抗体はまた、グルタルアルデヒド又は過ヨウ素酸などのカップリング剤の存在下で、酵素と反応させることもできる。フルオレセインマーカーを伴うコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下で、又はイソチオシアン酸との反応を介して調製する。米国特許第4,938,948号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)では、モノクローナル抗体を使用して、乳腺腫瘍のイメージングを達成するが、検出用イメージング部分は、メチル-p-ヒドロキシベンズイミデート又はN-スクシンイミジル-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのリンカーを使用して、抗体へと結合させる。
【0090】
一部の実施形態では、抗体結合性部位を変化させない反応条件を使用して、スルフヒドリル基を、免疫グロブリンのFc領域内に選択的に導入することによる、免疫グロブリンの誘導体化が想定される。この方法に従い産生される抗体コンジュゲートは、寿命、特異性及び感受性の改善を呈示することが開示されている(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,196,066号明細書)。文献ではまた、エフェクター分子又はレポーター分子の部位特異的接合であって、レポーター分子又はエフェクター分子を、Fc領域内の炭水化物残基へとコンジュゲートさせる部位特異的接合も開示されている(参照により本明細書に組み込まれる、O'Shannessy etal., 1987)。この手法は、目下のところ臨床評価にかけられている、診断的及び治療的に有望な抗体をもたらすことが報告されている。
【0091】
2.樹状細胞特異的抗体
ある特定の態様では、HPV抗原を樹状細胞へとターゲティングするのに使用される抗体は、樹状細胞特異的抗体であり、樹状細胞の受容体又は樹状細胞が発現する受容体に結合する。当技術分野では、この目的で使用し得る抗体の一部が公知である。
【0092】
一部の実施形態では、抗DCIR抗体を使用して、HPV抗原を樹状細胞へとターゲティングする。1つの例は、抗樹状細胞免疫受容体モノクローナル抗体コンジュゲートを含み、コンジュゲートは、抗体へとロードされるか、又は抗体へと化学的にカップリングさせた抗原性ペプチドを含む。このような抗体は、米国特許出願第61/332,465号明細書において記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
他の実施形態では、抗CD40抗体を使用して、HPV抗原を樹状細胞へとターゲティングする。抗CD40抗体の、1つの抗原性ペプチドを連結したワクチン及び抗原送達ベクターとしての発現、分泌及び使用のための、組成物及び方法については、開示されてい
る全ての方法が、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/104761号パンフレットにおいて記載されている。一部の実施形態では、抗CD40抗体は、モノクローナル抗体である、12E12、11B6又は12B4に由来する、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。他の実施形態では、抗CD40抗体は、モノクローナル抗体である、12E12、11B6又は12B4に由来する重鎖CDR及び軽鎖CDRを含む。
【0094】
ある特定の態様では、抗LOX-1抗体を使用して、HPV抗原を樹状細胞へとターゲティングする。このような抗体の1つの例を使用して、免疫細胞上のLOX-1受容体をターゲティングし、LOX-1を発現する抗原提示細胞による抗原提示の有効性を増大させることができる。このようなLOX-1抗体の例については、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/103953号パンフレットにおいて記載されている。
【0095】
他の態様では、抗CLEC-6抗体を使用して、HPV抗原を樹状細胞へとターゲティングする。このような抗体の1つの例は、CLEC-6を発現する抗原提示細胞による抗原提示の有効性を増大させるのに使用される抗CLEC-6抗体を含む。このような抗体については、国際公開第2008/103947号パンフレットにおいて記載されており、その方法及び内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
さらに他の実施形態では、抗Dectin-1抗体を使用して、HPV抗原を樹状細胞へとターゲティングする。Dectin-1を発現する抗原提示細胞による抗原提示の有効性を増大させる抗Dectin-1抗体については、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/118587号パンフレットにおいて記載されている。
【0097】
ある特定の態様では、ペプチドリンカーを使用して、樹状細胞特異的抗体と、提示されるHPV抗原とを連結する。ペプチドリンカーにより、グリコシル化部位を組み込むこともでき、二次構造を導入することもできる。加えて、これらのリンカーにより、融合タンパク質の発現の効率又は安定性が増大し、結果として、樹状細胞に対する抗原提示の効率も増大する。このようなリンカーは、SSVSPTTSVHPTPTSVPPTPTKSSP(配列番号6);PTSTPADSSTITPTATPTATPTIKG(配列番号29);TVTPTATATPSAIVTTITPTATTKP(配列番号30)
;QTPTNTISVTPTNNSTPTNNSNPKPNP(配列番号5);又はTNGSITVAATAPTVTPTVNATPSAA(配列番号31)を含み得る。これらの例及び他の例については、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/104747号パンフレットにおいて論じられている。
【0098】
他の実施形態では、ワクチンの有効性を増強するために、免疫アジュバントを、樹状細胞特異的抗体へと直接融合させる。ある特定の態様では、免疫アジュバントは、toll様受容体(TLR,toll-like receptor)アゴニストであり得る。TLRアゴニストは、サルモネラ菌(Salmonella enterica)又はコレラ菌(Vibrio cholerae)に由来するフラジェリンを含む。TLRアゴニストは、ある特定のTLRクラスに特異的(すなわち、TLR2アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR7アゴニスト又はTLR9アゴニスト)であることが可能であり、任意の組合せで提示される場合もあり、任意の修飾体として提示される場合もある。このような免疫アジュバントの例は、それらの全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/208,993号明細書、同第13/415,564号明細書、及び国際公開第2012/021834号パンフレットにおいて記載されている。米国特許出願公開第2012/0039,916号明細書及び同第2012/023,102号明細書は、それらが異なるTLRアゴニストを開示する程度に応じて、参照により組み込まれる。
【0099】
一部の実施形態では、樹状細胞抗体及びHPV抗原を含む組成物及び融合タンパク質を使用して、HPV関連疾患又はHPV関連病態を処置する。一部の実施形態では、HPV関連疾患は、異形成、良性新生物、前悪性新生物、又はがん(悪性新生物)である。一部の実施形態では、異形成、良性新生物、前悪性新生物、又はがんの影響を受ける組織又は臓器は、子宮頸部、外陰部、膣、陰茎、肛門、中咽頭、頭頸部、喉頭又は肺である。一部の具体的な実施形態では、HPV関連疾患又はHPV関連病態は、子宮頸部上内皮新生物(CIN,cervical intraepithelial neoplasia)、外陰部上内皮新生物(VIN,vulvar intraepithelial neoplasia)、陰茎上内皮新生物(PIN,penile intraepithelial neoplasia)、及び/又は肛門上内皮新生物(AIN,anal intraepithelial neoplasia)である。さらに他の実施形態では、樹状細胞抗体及びHPV抗原を含む組成物及び融合タンパク質を使用して、HPV関連尋常性疣贅、足底疣贅、扁平疣贅、肛門性器疣贅、肛門病変、性器がん、疣贅状表皮発育異常症、巣状上皮性過形成(口腔)、口腔パピローマ、口腔咽頭がん、疣贅性嚢胞又は喉頭乳頭腫症を処置する。
【0100】
III.処置法
上記で論じた通り、組成物及びこれらの組成物を使用する方法により、HPVと関連する感染又は関連疾患を有するか、これらを有することが疑われる、又はこれらを発症する危険性がある対象を、処置する(例えば、HPV感染又はHPV関連疾患を予防するか、又はHPV又はHPV関連疾患に対する強い免疫応答を惹起若しくは強化する)ことができる。
【0101】
本明細書で使用される「免疫応答」という語句、又はその同義語である「免疫性応答」とは、レシピエント患者における、本発明のタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドを指向する、体液性(抗体介在性応答)、細胞性(抗原特異的T細胞又はそれらの分泌産物により媒介される)応答又は体液性応答及び細胞性応答の両方を指す。処置又は治療は、免疫原の投与により誘導される能動免疫応答の場合もあり、抗体/抗原融合タンパク質を含む免疫原性組成物又はタンパク質組成物である、融合タンパク質組成物、抗体/抗原融合タンパク質を含有する物質、又はプライミングされたT細胞の投与により施される受動療法の場合もある。
【0102】
本明細書及び付属の特許請求の範囲の目的では、「エピトープ」及び「抗原性決定基」という用語を、B細胞及び/又はT細胞が応答するか又は認識する抗原上の部位を指すのに互換的に使用する。B細胞エピトープは、連続アミノ酸又はタンパク質の三次フォールディングにより並置される非連続アミノ酸のいずれからも形成され得る。連続アミノ酸から形成されるエピトープは、変性溶媒へと曝露しても保持されることが典型的であるのに対し、三次フォールディングにより形成されるエピトープは、変性溶媒で処理されると失われることが典型的である。エピトープは、固有の空間的コンフォメーション内に、少なくとも3アミノ酸であり、より一般には、少なくとも5アミノ酸又は8~10のアミノ酸を含むことが典型的である。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法は、Epitope Mapping Protocols (1996)において記載されている方法を含む。T細胞は、CD8細胞で、約9アミノ酸の連続エピトープを認識するか、又はCD4細胞で、約13~15アミノ酸の連続エピトープを認識する。エピトープを認識するT細胞は、エピトープに応答する、プライミングされたT細胞による3H-チミジン取込み(Burke et al., 1994)、抗原依存性殺滅(細胞傷害性Tリンパ球アッセイ;参照により組み込まれる、Tigges
et al., 1996)又はサイトカイン分泌を介して決定される、抗原依存性増殖を測定する
インビトロアッセイにより同定することができる。
【0103】
細胞介在性免疫性応答の存在は、増殖アッセイ(CD4(+)T細胞)又はCTL(細胞傷害性Tリンパ球)アッセイにより決定することができる。体液性応答及び細胞性応答の、免疫原による防御効果又は治療効果への相対的寄与は、免疫感作された同系動物から
IgG及びT細胞を個別に単離し、第2の対象における防御効果又は治療効果を測定することにより識別することができる。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「抗体」又は「免疫グロブリン」という用語は、互換的に使用される。
【0104】
任意選択で、抗体又は好ましくは抗体の免疫性部分は、他のタンパク質へと化学的にコンジュゲートすることもでき、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させることもできる。本明細書及び付属の特許請求の範囲の目的では、全てのこのような融合タンパク質が、抗体又は抗体の免疫性部分の定義内に含まれる。
【0105】
一実施形態では、方法は、HPV病原体により引き起こされるか、又はこれにより引き起こされることが疑われる疾患又は状態のための処置を含む。ある特定の態様では、実施形態は、HPV陽性の個体からもたらされる感染など、HPV感染の処置法を含む。一部の実施形態では、処置は、HPV抗原の存在下で投与する。さらに、一部の例では、処置は、ウイルス感染に対して一般に使用される他の薬剤の投与を含む。
【0106】
治療用組成物は、剤形に適合的な方式で、治療的に有効な量で投与する。投与される量は、処置される対象に依存する。投与に要請される有効成分の正確な量は、医療従事者の判断に依存する。また、初回投与及びブーストに適するレジメも可変的であるが、初回投与の後における後続の投与が典型的である。
【0107】
適用の方式は、広範にわたり変化し得る。ポリペプチド治療剤の投与のための従来の方法のうちのいずれもが適用可能である。これらは、生理学的に許容される固体ベース上、又は生理学的に許容される分散液中の経口適用、注射などによる非経口適用を含むと考えられる。組成物の投与量は、投与経路に依存し、対象の体格及び健康に従い変化するであろう。
【0108】
ある特定の場合には、組成物を複数回にわたり投与する、例えば、2、3、4、5、6又は7回以上にわたり投与することが所望されるであろう。投与は、これらの中の全ての範囲を含む、1、2、3、4、5、6、7、8、~5、6、7、8、9、10、11、12週間隔であり得る。
【0109】
組合せ治療
組成物及び関連の方法、特に、DC受容体に結合し、1若しくは2以上のHPV抗原又は1若しくは2以上のペプチドを患者/対象へと送達する抗体の投与はまた、従来の抗ウイルス治療又は抗がん治療若しくは抗がん薬の投与と組み合わせて使用することもできる。これらは、侵入阻害剤、CCR5受容体アンタゴニスト、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤及び成熟阻害剤を含むがこれらに限定されない。抗がん治療は、化学療法、放射線療法又は照射療法を含むがこれらに限定されない。
【0110】
組成物及び関連の方法、特に、DC受容体に結合し、1若しくは2以上のHPV抗原又は1若しくは2以上のペプチドを患者/対象へと送達する抗体の投与はまた、アビラテロン酢酸エステル、Abitrexate(メトトレキサート)、Abraxane(アルブミンで安定化されたパクリタキセルのナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、AC-T、Adcetris(ブレ
ンツキシマブ・ベドチン)、ADE、Ado-トラスツズマブ・エムタンシン、Adriamycin
(ドキソルビシン塩酸塩)、Adrucil(フルオロウラシル)、アファチニブ二マレイン酸
塩、Afinitor(エベロリムス)、Aldara(イミキモド)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、Alimta(ペメトレキセド二ナトリウム)、Aloxi(パロノセトロン塩酸塩)、Ambochlorin(クロランブシル)、Amboclorin(クロランブシル)、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、Aredia(パミドロネート二ナトリウム)、Arimidex(アナ
ストロゾール)、Aromasin(エキセメスタン)、Arranon(ネララビン)、三酸化ヒ素、Arzerra(オファツムマブ)、黒脚病菌(Erwinia chrysanthemi)アスパラギナーゼ、Avastin(ベバシズマブ)、アキシチニブ、アザシチジン、BEACOPP、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベバシズマブ、ベキサロテン、Bexxar(トシツモマブ及びI131ヨウ素トシツモ
マブ)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、Bosulif(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブレン
ツキシマブ・ベドチン、カバジタキセル、カボゼンチニブ-S-リンゴ酸、CAF、Campath(アレムツズマブ)、Camptosar(イリノテカン塩酸塩)、カペシタビン、CAPOX、カルボプラチン、カルボプラチン-TAXOL、カルフィルゾミブ、CeeNU(ロムスチン)、Cerubidine(ダウノルビシン塩酸塩)、Cervarix(HPV16型及びHPV18型の組換えL1タンパク質を含む、組換えHPV二価ワクチン)、セツキシマブ、クロランブシル、クロランブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、Clafen(シクロホスファミド)、クロファラビン、Clofarex(クロファラビン)、Clolar(クロファラビン)、CMF、Cometriq(
カボゼンチニブ-S-リンゴ酸)、COPP、COPP-ABV、Cosmegen(ダクチノマイシン)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、Cyfos(イホスファミド)、シタラビン、シタラビン、リポソーム剤、Cytosar-U(シタラビン)、Cytoxan(シクロホスファミド)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、Dacogen(デシタビン)、ダクチノマイシン、ダサチニブ、
ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンディフチトクス、デノスマブ、DepoCyt(シタラビンのリポソーム剤)、DepoFoam(シタラビンのリポソーム剤
)、デキスラゾキサン塩酸塩、ドセタキセル、Doxil(ドキソルビシン塩酸塩のリポソー
ム剤)、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩のリポソーム剤、Dox-SL(ドキソルビシン塩酸塩のリポソーム剤)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、Efudex(フルオロウラ
シル)、Elitek(ラスブリカーゼ)、Ellence(エピルビシン塩酸塩)、Eloxatin(オキ
サリプラチン)、エルトロンボパグオラミン、Emend(アプレピタント)、エンザルタミ
ド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、Erbitux(セツキシマブ)、エリブリンメシル酸塩、Erivedge(ビスモデギブ)、エルロチニブ塩酸塩、Erwinaze(黒脚病菌アスパラギナーゼ)、Etopophos(エトポシドリン酸塩)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、Evacet(ドキ
ソルビシン塩酸塩のリポソーム剤)、エベロリムス、Evista(ラロキシフェン塩酸塩)、エキセメスタン、Fareston(トレミフェン)、Faslodex(フルベストラント)、FEC、Femara(レトロゾール)、フィルグラスチム、Fludara(フルダラビンリン酸塩)、フルダラビンリン酸塩、Fluoroplex(フルオロウラシル)、フルオロウラシル、Folex(メトトレ
キサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、FOLFIRI、FOLFIRI-ベバシズマブ、FOLFIRI-セツキシマブ、FOLFIRINOX、FOLFOX、Folotyn(プララトレキサート)、FU-LV、フルベストラント、Gardasil(HPV6型、HPV11型、HPV16型、及びHPV18型の組換えL1タンパク質を含む、組換えHPV四価ワクチン)、Gazyva(オビヌツズマブ)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブオゾガマイシン、Gemzar(ゲムシタビン塩酸塩)、Gilotrif(アファチニブ二マレイン酸塩)、Gleevec(イマチニブメシル酸塩)、グルカルピ
ダーゼ、ゴセレリン酢酸塩、Halaven(エリブリンメシル酸塩)、Herceptin(トラスツズマブ)、組換えHPV二価ワクチン、組換えHPV四価ワクチン、Hycamtin(トポテカン塩酸塩)、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、ICE、Iclusig(ポナチニブ塩酸塩)、Ifex(イホスファミド)、イホスファミド、Ifosfamidum(イホスファミド)、イ
マチニブメシル酸塩、Imbruvica(イブルチニブ)、イミキモド、Inlyta(アキシチニブ
)、Intron A(組換えインターフェロンアルファ-2b)、ヨウ素131トシツモマブ及びトシツモマブ、イピリムマブ、Iressa(ゲフィチニブ)、イリノテカン塩酸塩、Istodax(ロミデプシン)、イキサベピロン、Ixempra(イキサベピロン)、Jakafi(ルキソリチニブリン酸塩)、Jevtana(カバジタキセル)、Kadcyla(Ado-トラスツズマブ・エムタンシン)、Keoxifene(ラロキシフェン塩酸塩)、Kepivance(パリフェルミン)、Kyprolis(カルフィルゾミブ)、ラパチニブ二トシル酸塩、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、Leukeran(クロランブシル)、酢酸ロイプロリド、Levulan(ア
ミノレブリン酸)、Linfolizin(クロランブシル)、LipoDox(ドキソルビシン塩酸塩の
リポソーム剤)、シタラビンのリポソーム剤、ロムスチン、Lupron(酢酸ロイプロリド)、Lupron Depot(酢酸ロイプロリド)、Lupron Depot-Ped(酢酸ロイプロリド)、Lupron
Depot-3 Month(酢酸ロイプロリド)、Lupron Depot-4 Month(酢酸ロイプロリド)、Marqibo(ビンクリスチン硫酸塩のリポソーム剤)、Matulane(プロカルバジン塩酸塩)、
メクロレタミン塩酸塩、Megace(酢酸メゲストロール)、酢酸メゲストロール、Mekinist(トラメチニブ)、メルカプトプリン、メスナ、Mesnex(メスナ)、Methazolastone(テモゾロミド)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、Mexate
(メトトレキサート)、Mexate-AQ(メトトレキサート)、マイトマイシンC、Mitozytrex(マイトマイシンC)、MOPP、Mozobil(プレリキサフォル)、Mustargen(メクロレタ
ミン塩酸塩)、Mutamycin(マイトマイシンC)、Mylosar(アザシチジン)、Mylotarg(ゲムツズマブオゾガマイシン)、パクリタキセルのナノ粒子剤(アルブミンで安定化されたパクリタキセルのナノ粒子製剤)、ナベルビン(ビノレルビン酒石酸塩)、ネララビン、Neosar(シクロホスファミド)、Neupogen(フィルグラスチム)、Nexavar(ソラフェ
ニブトシル酸塩)、ニロチニブ、Nolvadex(タモキシフェンクエン酸塩)、Nplate(ロミプロスチム)、オビヌツズマブ、オファツムマブ、オマセタキシンメペスクシネート、Oncaspar(ペガスパルガーゼ)、Ontak(デニロイキンディフチトクス)、OEPA、OPPA、オ
キサリプラチン、パクリタキセル、アルブミンで安定化されたパクリタキセルのナノ粒子製剤、パリフェルミン、パロノセトロン塩酸塩、パミドロネート二ナトリウム、パニツムマブ、Paraplat(カルボプラチン)、Paraplatin(カルボプラチン)、パゾパニブ塩酸塩、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、PEG-Intron(ペグインターフェロンアルファ-2b)、ペメトレキセド二ナトリウム、Perjeta(ペルツズマブ)、
ペルツズマブ、Platinol(シスプラチン)、Platinol-AQ(シスプラチン)、プレリキサ
フォル、ポマリドミド、Pomalyst(ポマリドミド)、ポナチニブ塩酸塩、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、Proleukin(アルデスロイキン)、Prolia
(デノスマブ)、Promacta(エルトロンボパグオラミン)、Provenge(シプリューセル-T)、Purinethol(メルカプトプリン)、ラジウム223二塩化物、ラロキシフェン塩酸塩、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、組換えHPV二価ワクチン、組換えHPV四価ワ
クチン、組換えインターフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、Revlimid(レナリドミド)、Rheumatrex(メトトレキサート)、Rituxan(リツキシマブ)、リツキシマブ、
ロミデプシン、ロミプロスチム、Rubidomycin(ダウノルビシン塩酸塩)、ルキソリチニ
ブリン酸塩、Sclerosol Intrapleural Aerosol(滑石)、シプリューセル-T、ソラフェニブトシル酸塩、Sprycel(ダサチニブ)、STANFORDV、Sterile Talc Powder(滑石)、Steritalc(滑石)、Stivarga(レゴラフェニブ)、スニチニブリンゴ酸塩、Sutent(ス
ニチニブリンゴ酸塩)、Sylatron(ペグインターフェロンアルファ-2b)、Synovir(
サリドマイド)、Synribo(オマセタキシンメペスクシネート)、TAC、Tafinlar(ダブラフェニブ)、滑石、タモキシフェンクエン酸塩、Tarabine PFS(シタラビン)、Tarceva
(エルロチニブ塩酸塩)、Targretin(ベキサロテン)、Tasigna(ニロチニブ)、Taxol
(パクリタキセル)、Taxotere(ドセタキセル)、Temodar(テモゾロミド)、テモゾロ
ミド、テムシロリムス、サリドマイド、Thalomid(サリドマイド)、Toposar(エトポシ
ド)、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、Torisel(テムシロリムス)、トシツモマブ及
びI131ヨウ素トシツモマブ、Totect(デキスラゾキサン塩酸塩)、トラメチニブ、トラスツズマブ、Treanda(ベンダムスチン塩酸塩)、Trisenox(三酸化ヒ素)、Tykerb(
ラパチニブ二トシル酸塩)、バンデタニブ、VAMP、Vectibix(パニツムマブ)、VeIP、Velban(ビンブラスチン硫酸塩)、Velcade(ボルテゾミブ)、Velsar(ビンブラスチン硫
酸塩)、ベムラフェニブ、VePesid(エトポシド)、Viadur(酢酸ロイプロリド)、Vidaza(アザシチジン)、ビンブラスチン硫酸塩、Vincasar PFS(ビンクリスチン硫酸塩)、
ビンクリスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩のリポソーム剤、ビノレルビン酒石酸塩、ビスモデギブ、Voraxaze(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、Votrient(パゾパニブ塩酸塩)、Wellcovorin(ロイコボリンカルシウム)、Xalkori(クリゾチニブ)、ゼローダ(カペシタビン)、XELOX、Xgeva(デノスマブ)、Xofigo(ラジウム223二塩化物)
、Xtandi(エンザルタミド)、Yervoy(イピリムマブ)、Zaltrap(Ziv-アフリベル
セプト)、Zelboraf(ベムラフェニブ)、Zevalin(イブリツモマブチウキセタン)、Zinecard(デキスラゾキサン塩酸塩)、Ziv-アフリベルセプト、Zoladex(ゴセレリン酢酸塩)、ゾレドロン酸、Zolinza(ボリノスタット)、Zometa(ゾレドロン酸)及びZytiga(アビラテロン酢酸エステル)を含むがこれらに限定されない、1又は2以上の抗がん
薬の投与と組み合わせて使用することもできる。
【0111】
組成物及び関連の方法、特に、DC受容体に結合し、1若しくは2以上のHPV抗原又は1若しくは2以上のペプチドを患者/対象へと送達する抗体の投与はまた、X線、ガンマ線、及び帯電粒子を含むがこれらに限定されない、照射療法の投与と組み合わせて使用することもできる。照射は、体外機器により送達することもでき(外照射療法)、体内のがん細胞近傍に配置された放射性物質から施すこともできる(内照射療法又は小線源療法)。内照射療法は、全身療法(例えば、放射性ヨウ素療法)であり得る。外照射療法は、三次元原体照射療法(3D-CRT,3-dimensional conformal radiation therapy)、
強度変調照射療法(IMRT,intensity-modulated radiation therapy)、画像誘導照
射療法(IGRT,image-guided radiation therapy)、トモセラピー、定位放射線手術(SRS,stereotactic radiosurgery)、体幹部定位照射療法(SBRT,stereotacticbody radiation therapy)、陽子線療法又は他の帯電粒子ビーム(例えば、電子ビーム)を含み得るがこれらに限定されない。内照射療法又は小線源療法は、腫瘍組織内に配置された照射線源を使用し、外照射より高線量を送達しながら、正常組織に対して引き起こす損傷は小さくするのに使用し得る、間質小線源療法を含み得る。小線源療法は、低線量率の処置として施すこともでき、高線量率の処置として施すこともできる。さらなる実施形態では、小線源療法は、恒常的な場合もあり、一時的な場合もある。照射療法は、全身照射療法を含み得る。全身照射療法は、嚥下又は注射された放射性物質であって、放射性ヨウ素(131I)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、131ト
シツモマブ(Bexxar(登録商標))、サマリウム-153-レキシドロナム(Quadramet
(登録商標))及びストロンチウム-89塩化物(Metastron(登録商標))又は放射性
物質へと結合させた任意のモノクローナル抗体の任意の単回投与、複数回投与又は組合せ投与を含むがこれらに限定されない放射性物質を含み得る。異なる実施形態に従う照射線量は、処置される具体的な疾患、状態又はがんに合わせて調整することができる。一部の実施形態では、単回の線量又は総線量は、1~10グレイ(Gy,gray)、10~20Gy、20~40Gy、40~60Gy、又は60~80Gy、又は任意の値若しくはその中で導出される範囲であり得る。一部の実施形態では、照射療法又は照射線量は、分割することができる。一実施形態では、総線量は、1日当たりの線量又は1週間当たりの線量へと分割することができる。ある特定の実施形態では1日当たりの分割線量は、1.8~2Gyであり得る。総線量は、0.1Gy~10Gyの範囲で、1日当たりの線量又は1週間当たりの線量へと分割し得ることが想定される。
【0112】
一態様では、治療は、抗ウイルス治療又は抗がん治療と共に使用されることが想定される。代替的に、治療は、数分間~数週間の範囲の間隔で、他の薬剤処置に先行又は後続する場合もある。他の薬剤及び/又はタンパク質又はポリヌクレオチドが個別に投与される実施形態では一般に、治療用組成物が、組合せ効果の利点を対象へと及ぼすことがなおも可能であるように、各送達時点の間でそれほどの期間が経過しないことが確認されるであろう。このような場合、両方のモダリティーの投与が、互いから約12~24時間以内になされ、より好ましくは、互いから約6~12時間以内になされることが想定される。しかし、状況によっては、投与期間を著明に延長することも所望され、この場合は、それぞれの投与の間で、数日間(2、3、4、5、6又は7日間)~数週間(1、2、3、4、5、6、7又は8週間)が経過する。
【0113】
さらに別の態様では、ワクチンは、プライム/ブースト戦略の一部として投与すること
ができる。プライミングワクチン用量は、本明細書で記載される実施形態のうちのいずれかにおける、HPV抗原に融合したDC特異的抗体を使用して投与することができる。ワクチンブーストは、同じ種類又は異なる種類のワクチンである第2のワクチンの使用を介して投与することができる。別個のHPVワクチンの例は、Gardasil(商標)(HPV6型、HPV11型、HPV16型、及びHPV18型の組換えL1タンパク質を含む、組換えHPV四価ワクチン)又はCervarix(商標)(HPV16型及びHPV18型の組換えL1タンパク質を含む、組換えHPV二価ワクチン)を含む。このような異なるワクチンのさらなる例は、ネイキッドのDNAワクチン又は組換えウイルスを含む。第2のワクチンは、第1のワクチン中で使用し得るE6又はE7抗原とは別に、さらなるHPV抗原を含み得る。また、第2のワクチンは、直接連結されるか、又は独立に投与される、アジュバントを加えたE6タンパク質又はE7タンパク質など、HPVタンパク質を含み得ることも想定される。
【0114】
治療の多様な組合せ、例えば、抗ウイルス治療又は抗がん治療は、「A」であり、DC受容体に結合し、HPV抗原又はそのペプチド若しくはコンセンサスペプチドを送達する抗体を含む抗体ワクチンは、「B」である:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
を援用することができる。
【0115】
抗体組成物の、患者/対象への投与は、存在する場合は、組成物の毒性を考慮に入れて、このような化合物の投与のための一般的なプロトコールに従う。処置サイクルは、必要に応じて繰り返されることが予測される。また、補液など、多様な標準的治療を、記載される治療と組み合わせて適用し得ることも想定される。
【0116】
一般的な医薬組成物
一部の実施形態では、医薬組成物を、対象へと投与する。異なる態様は、有効量の組成物を対象へと投与するステップを伴い得る。一部の実施形態では、DC受容体に結合し、HPV抗原又はそのペプチド若しくはコンセンサスペプチドを送達する抗体を、患者へと投与して、1又は2以上のHPV型による感染に対して防御するか又はこの感染を処置することもでき、がんなど、1又は2以上のHPV関連疾患に対して防御するか又は処置することもできる。代替的に、1又は2以上のこのような抗体又はポリペプチド若しくはペプチドをコードする発現ベクターを、患者へと、予防的処置として施すこともできる。加えて、このような組成物は、抗生剤、抗ウイルス剤又は抗がん剤と組み合わせて投与することもできる。このような組成物は一般に、薬学的に許容される担体中又は水性媒体中に溶存又は分散させる。
【0117】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容可能な」という語句は、動物又はヒトへと投与される場合に有害な反応、アレルギー反応、又は他の望ましくない反応をもたらさない分子実体及び組成物を指す。本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」は、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。当技術分野では、このような媒体及び薬剤の、医薬活性物質のための使用が周知である。従来の媒体又は薬剤が、有効成分と適合的でない場合を除き、免疫原性組成物中及び治療用組成物中のその使用が想定される。また、他の抗感染剤及びワクチンなど、補助的な有効成分も、組成物へと組み込むことができる。
【0118】
活性化合物は、非経口投与用に製剤化することができ、例えば、経粘膜経路、静脈内経路、筋内経路、皮下経路、腫瘍内経路なお又は腹腔内経路を介する注射用に製剤化するこ
とができる。このような組成物は、溶液又は懸濁液として調製することもでき、また、注射前の液体添加時に溶液又は懸濁液を調製する使用に適する固体形態も調製することができ、また、調製物を乳化させることもできることが典型的である。
【0119】
注射用の使用に適する医薬形態は、滅菌水溶液又は滅菌水性分散液;ゴマ油、ラッカセイ油、又は水性のプロピレングリコールを含む製剤;及び滅菌注射用溶液又は滅菌注射用分散液の即席調製のための滅菌粉末を含む。全ての場合において、形態は、滅菌でなければならず、それが容易に注射され得る程度に流体でなければならない。また、形態は、製造条件下及び保管条件下で安定でもあるものとし、細菌及び真菌などの微生物による汚染作用に対して保全されなければならない。
【0120】
タンパク質性組成物は、中性形態又は塩形態で製剤化することができる。薬学的に許容される塩は、酸添加塩(タンパク質の遊離アミノ基により形成される)を含み、これらは、例えば、塩酸若しくはリン酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデリン酸などの有機酸により形成される。遊離カルボキシル基により形成される塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄などの無機塩基から導出することもでき、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から導出することもできる。
【0121】
医薬組成物は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒を含み得る。適正な流体性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合は、要請される粒子サイズを維持することにより維持することができ、界面活性剤を使用することにより維持することもできる。微生物の作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど、多様な抗菌剤及び抗真菌剤によりもたらすことができる。多くの場合、医薬組成物は、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の持続吸収は、組成物中で、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを使用することによりもたらすことができる。
【0122】
滅菌注射用溶液は、活性化合物を、要請される量で、適切な溶媒中に、要請に応じて、上記で列挙した他の多様な成分と共に組み込んだ後で、濾過滅菌又は同等な手順を施すことにより調製する。一般に、分散液は、多様な滅菌有効成分を、基本分散媒と、例えば、上記で列挙した成分に由来する、要請される他の成分とを含有する滅菌媒体へと組み込むことにより調製する。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、そのあらかじめ滅菌濾過された溶液に由来する、任意のさらなる所望の成分を加えた有効成分の粉末をもたらす、真空乾燥法及び凍結乾燥法を含む。
【0123】
組成物の投与は、任意の一般的な経路を介することが典型的である。これは、経口投与、経鼻投与、又は口腔内投与を含むがこれらに限定されない。代替的に、投与は、同所注射、皮内注射、皮下注射、筋内注射、腹腔内注射、腫瘍内注射、鼻腔内注射、又は静脈内注射であり得る。ある特定の実施形態では、ワクチン組成物は、吸入することができる(例えば、参照により具体的に組み込まれる、米国特許第6,651,655号明細書)。このような組成物は通常、生理学的に許容される担体、緩衝剤又は他の賦形剤を含む、薬学的に許容される組成物として投与されるであろう。
【0124】
治療用組成物又は予防用組成物の有効量は、意図される目的に基づき決定する。「単位用量」又は「投与量」という用語は、対象における適切な使用のための、物理的に個別の単位を指し、各単位は、その投与、すなわち、適切な経路及びレジメンと関連して、上記で論じた所望の応答をもたらすように計算された、所定量の組成物を含有する。処置の回
数及び単位用量の両方に従う投与量は、所望される防御に依存する。
【0125】
組成物の正確な量はまた、医療従事者の判断にも依存し、各個体にも特有である。用量に影響を及ぼす因子は、対象の全身状態及び臨床状態、投与経路、意図される処置目的(治癒と対比される症状の緩和)、並びに特定の組成物の効力、安定性、及び毒性を含む。
【0126】
製剤化したら、溶液を、剤形と適合的な方式及び治療的又は予防的に有効となるような量で投与する。製剤は、上記で記載した注射用溶液の種類など、様々な剤形で容易に投与される。
[実施例]
【0127】
IV.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を明示する目的で組み入れられる。当業者は、以下の実施例で開示される技法が、本発明者により、本発明を実施するのに良好に機能することが発見され、これにより、その実施に好ましい方式を構成すると考え得る技法を表すことを認識されたい。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示される具体的な実施形態において、多くの変化を施すことができ、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、なおも同様又は類似の結果を得ることができることを認識されたい。
【実施例1】
【0128】
抗DC受容体(DCR,DC receptor)とHPV E6との組換え融合タンパク質及びE
6融合タンパク質
HPV16及びHPV18に由来するE6配列及びE7配列に融合した抗DC受容体抗体を産生するための発現コンストラクトの開発のための、本発明者らによるスキームを図1に示す。スキームにより、HPV16及びHPV18に由来するE6及びE7をコードする抗原カセットであって、効率的に分泌され、H鎖のC末端に融合するとインタクトとなる抗原カセットの順序が同定される。これら4つの配列だけについても、64の可能な組合せが存在し、フレキシブルリンカー配列を散在させる場合は極めてより多くの組合せが存在する。本発明者らの戦略は、フレキシブルリンカーを前置させる各抗原単独、及びこれを前置させない各抗原単独[8つの初期コンストラクト]から出発し、次いで、さらなるカセットへの付加のために、発現が最も効率的なベクターを選択する段階的な手法である。構築及び試験の各サイクルには、1週間を要する。インビトロのヒト及びインビボの動物における前臨床研究に照らした、ワクチンの産生に適するレベルまでのスケールアップを含む最終産生CHO-S細胞株の確立には、さらに8週間を要する。
【0129】
抗体重鎖をコードする一過性発現ベクターは、インフレームのNhe I部位をC末端に有
し、SpeI-Not Iカセットをコードする抗原又はフレキシブルリンカーが、ベクターのNhe
I部位とNot I部位との間に挿入される。ベクターのNhe I部位は、このライゲーションで失われるが、各カセットは、新たなC末端のインフレームNhe I部位をコードする。した
がって、さらなる抗原又はリンカーのカセットを、繰り返し付加することができる。新たなコンストラクトの各々は、マッチする軽鎖ベクターと共に、293F細胞へと一過性にトランスフェクトし、72時間後、分泌されたワクチンを、プロテインAアフィニティー法により単離し、SDS.PAGEにより解析した。発現の良好なコンストラクトは、新たなカセットを付加するのに好ましいベクターである(図1)。
【0130】
本発明者らは、HPV16 E6配列及びHPV16 E7配列並びにHPV18 E6配列及びHPV18 E7配列を抗体重鎖のC末端に融合させた発現コンストラクトを設計した。HPV16 E6配列若しくはHPV18 E6配列又はHPV16 E7配列若しくはHPV18 E7配列を抗樹状細胞受容体抗体重鎖のC末端コドンへと直接融合させたコンストラクトを、マッチする軽鎖発現ベクターと共に、293F細胞へと共ト
ランスフェクトしたところ、検出用ワクチンを分泌できなかった(図示しない)。しかし、フレキシブルリンカー配列(Flex v1)を組み込む同様のベクターは、ワクチンを分泌した(図2、レーン1及び3)。さらにまた、HPV E6をFlex v1 HPV E7ベクターへと付加するコンストラクト、及びこれと逆のコンストラクトも、ワクチンを分泌した(図2、レーン2及び4)。このようなワクチンの発現の成功は、可変領域の配列に依存しない。こうして、Flex v1-HPV E6/E7配列を、抗CD40抗体-Flex v1-HPV16 E6-HPV16 E7又は抗CD40抗体-Flex v1-HPV18 E6-HPV16 E7、抗ランゲリン抗体-Flex
v1-HPV16 E6-HPV16 E7又は抗ランゲリン抗体-Flex v1-HPV18 E6-HPV16 E7及び対照hIgG4-Flex v1-HPV16
E6-HPV16 E7又は対照hIgG4-Flex v1-HPV18 E6-HPV16 E7の、CHO-S細胞内の安定的な発現のために確立されたベクターへと移入した。
【0131】
抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、健常ドナーの末梢血中のDCに効率的に結合し得る。末梢血単核細胞(PBMC,peripheral blood mononuclear cell)は、健常
個体の血液から得た。PBMCを、異なる量の抗CD40抗体-HPV16.E6/7又は対照IgG4-HPV16.E6/7タンパク質の存在下、氷上で15分間にわたりインキュベートした。細胞を十分に洗浄し、次いで、抗E6/7抗体で染色して、細胞表面結合タンパク質を検出した。図3において示される通り、抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、ヒト血中DC(CD3CD19CD14HLADRCD11c)に効率的に結合し得る。これに対し、IgG4-HPV16.E6/7は、同じDCに結合しなかった。また、抗CD40抗体-HPV18.E6/7も、健常ドナーの末梢血中のDCに結合した(データは図示しない)。
【0132】
抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、HPV関連がん患者に由来するE6/7特異的メモリーCD4T細胞及びE6/7特異的CD8T細胞を効率的に活性化させ得る。次に、HPV陽性頭頸部がん患者に由来するPBMCを使用して、抗CD40抗体-HPV16.E6/7のインビトロにおける免疫原性について評価した。患者のPBMCに、組換えHPV16.E6/7タンパク質、抗CD40抗体-HPV16.E6/7、又はHPV16.E6/7タンパク質のペプチドプールをロードした。この実験では、各タンパク質中に同じモル濃度のE6/7を適用して、E6/7特異的IFNgを発現するCD4T細胞応答及びCD8T細胞応答のレベルを比較した。インビトロにおける培養の7日後、PBMCを、ブレフェルジンAの存在下にあるE6/7のペプチドプールで、5時間にわたり再刺激し、次いで、細胞を、IFNg発現について染色した。図4は、抗CD40抗体-HPV16.E6/7が、IFNgCD4T細胞応答及びIFNgCD8T細胞応答の誘発において、HPV16.E6/7より効率的であったことを示す。抗CD40抗体-HPV16.E6/7により誘発されるHPV16.E6/7特異的IFNgCD4T細胞応答のレベルは、陽性対照として使用されたペプチドプールにより誘発されるレベルと同様であった。したがって、抗DCRとE6/7を含むHPV抗原とから構成される、本発明者らの新たなワクチンモデルは、HPV関連がんを有する患者における、抗原特異的細胞性免疫応答を活性化させるのに非常に有効である。さらに、このようなHPV抗原(E6及びE7)特異的CD8CTLは、腫瘍の進行を効率的に抑制することが期待され、その結果として、患者における腫瘍の除去をもたらし得るであろう。
【0133】
抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、インビボにおいて、E6/7特異的なCD4T細胞応答及びCD8T細胞応答をプライミングし得る。抗CD40抗体-HPV16.E6/7ワクチンのインビボにおける免疫原性について調べるため、ヒトCD40トランスジェニックマウスを使用した。0日目に、5匹の動物を、ポリICを加えた30
ugの抗CD40抗体-HPV16.E6/7で、s.c.免疫感作し、次いで、同じワクチンを2回にわたりブーストした。2回目のブースト後7日目に、CD4T細胞及びCD8T細胞を、脾臓から精製し、次いで、HPV16.E6/7ペプチドクラスター1~5、免疫原なし、前立腺特異的抗原(PSA,prostate specific antigen)のペプ
チドプール、又はHPV16.E6/7のペプチドプールのうちの1つで再刺激した。図5は、抗CD40抗体-HPV16.E6/7が、ヒトCD40トランスジェニックマウスにおいて、HPV16 E6/7ペプチドクラスター2及び3に特異的なCD4T細胞応答並びにクラスター5特異的CD8T細胞応答を誘導することを示す。重要なことは、E6/7特異的CD8T細胞応答のレベルが、E6/7特異的CD4T細胞応答のレベルより高いことである。これは、抗CD40抗体-HPV16.E6/7ワクチンが、特に、HPV感染細胞及びHPV感染腫瘍細胞を死滅させ得るCD8CTLを誘発するのに効率的であることを指し示す。図5の各ドットは、単一のマウスについて作成されたデータを表す。
【0134】
抗CD40抗体-HPV16.E6/7は、ヒトCD40トランスジェニックマウスにおけるTC-1腫瘍の進行を抑制し得る。ポリICを加えた抗CD40抗体-HPV16.E6/7ワクチンの有効性を、TC-1を負荷された(challenged)ヒトCD40トランスジェニックマウスにおいて調べた。0日目に、2群の動物(1群当たりのマウスを5匹とする、ヒトCD40マウス及びヒトCD40マウス)に、TC-1腫瘍細胞株を皮下に負荷した。6及び12日目に、動物を、ポリICを加えた抗CD40抗体-HPV.E6/7で免疫感作した。腫瘍の進行について評価し、図6に提示した。TC-1負荷後14日目までに、ヒトCD40マウス及びヒトCD40マウスのいずれも、類似サイズの腫瘍を発症した。ヒトCD40動物では、TC-1腫瘍は、急速に進行し、負荷後25日目に、1000mmに達した。しかし、ヒトCD40マウスにおけるTC-1腫瘍の進行は、著明に遅延した。本発明者らのデータは、抗CD40抗体-HPV16.E6/7ワクチンが、ヒトCD40をターゲティングし、これにより、図5において示される通り、動物におけるTC-1腫瘍の進行を抑制する、E6/7特異的CD8CTLを誘発することを裏付ける。
【0135】
ポリIC、モンタナイドを加えたポリIC、モンタナイドを加えたGM-CSF、及びモンタナイド単独の、抗CD40抗体-HPV.E6/7ワクチンの免疫原性に対する効果を、ヒトCD40トランスジェニックマウスにおいて調べた。各群内4匹ずつの動物を、30ugの抗CD40抗体-HPV.E6/7単独又は表示のアジュバントを伴う抗CD40抗体-HPV16.E6/7でs.c.免疫感作した(図7)。7日後、個々の動物に由来する血液を採取し、四量体で染色した。下記の図に示される通り、ポリICは、抗CD40抗体-HPV16.E6/7特異的CD8T細胞応答を有効に促進することが可能であった。モンタナイド単独又はモンタナイドを加えたGM-CSFは、E6/7特異的CD8T細胞応答をそれほど促進しなかった。
【0136】
下記の配列は、ヒト化12E12抗ヒトCD40VK2 VH2抗体に基づく(タンパク質配列は、成熟分泌タンパク質配列であることが予測され、DNA配列は、イニシエーターATG配列及びリーダーペプチド領域を含む)。代替的に、HPV18配列を、VK2鎖のC末端へとグラフトし、これを、VH2 H鎖上のHPV16配列と組み合わせることにより、広範なスペクトルにわたるワクチンを産生することができる。
【0137】
【表2】

【0138】
HPV16 E6
MHQKRTAMFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVGDFAFRDLCIVYRDGNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSVYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLCPE
(配列番号1)

HPV 16E7
MHGDTPTLHEYMLDLQPETTDLYGYGQLNDSSEEEDEIDGPAGQAEPDRAHYNIVTFCCK
(配列番号2)

HPV18 E6
MARFEDPTRRPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVGEFAFKDLFVVYRDSIPHAACHKCIDFYSRIRELRHYSDSVYGDTLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKPLNP
(配列番号3)

HPV18 E7
MHGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDLLGHGQLSDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCK
(配列番号4)

Flexv1
QTPTNTISVTPTNNSTPTNNSNPKPNP
(配列番号5)

f1
SSVSPTTSVHPTPTSVPPTPTKSSP
(配列番号6)

h抗CD40VK2-LV-hIgGK-C
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQGISNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQFNKLPPTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
(配列番号7)

h抗CD40VH2-LV-hIgG4H-C
EVKLVESGGGLVQPGGSLKLSCATSGFTFSDYYMYWVRQAPGKGLEWVAYINSGGGSTYYPDTVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRGLPFHAMDYWGQGTLVTVSSAKTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
(配列番号8)

抗CD40 12E12軽鎖可変領域
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCSASQGISNYLNWYQQKPDGTVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTIGNLEPEDIATYYCQQFNKLPPTFGGGTKLEIK
(配列番号9)

抗CD40 12E12重鎖可変領域
CEVKLVESGGGLVQPGGSLKLSCATSGFTFSDYYMYWVRQTPEKRLEWVAYINSGGGSTYYPDTVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSRLKSEDTAMYYCARRGLPFHAMDYWGQGTSVTVS
(配列番号10)

h抗CD40VK2-LV-hIgGK-C
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQGISNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQFNKLPPTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
(配列番号17)

h抗CD40VK2-LV-hIgGK-CのDNA配列(リーダーペプチド領域を含む)
ATGAGGGTCCCCGCTCAGCTCCTGGGGCTCCTGCTGCTCTGGCTCCCAGGCGCGCGATGTGATATCCAGATGACACAGAGCCCTTCCTCCCTGTCTGCCTCTGTGGGAGACAGAGTCACCATCACCTGCAGTGCAAGTCAGGGCATTAGCAATTATTTAAACTGGTATCAGCAGAAACCAGGCAAGGCCGTTAAACTCCTGATCTATTACACATCAATTTTACACTCAGGAGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGATTATACCCTCACCATCAGCTCCCTGCAGCCTGAAGATTTCGCCACTTACTATTGTCAGCAGTTTAATAAGCTTCCTCCGACGTTCGGTGGAGGCACCAAACTCGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTATGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG
(配列番号18)

h抗CD40VH2-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-HPV16-E6-HPV16-E7-f1
(太字でイタリック体の、一重下線を付された配列は、HPV16 E6であり;太字でイタリック体の、二重下線を付された配列は、HPV16 E7であり;太字でもイタリック体でもない、一重下線を付された配列(Flexv1)と、太字でもイタリック体でもない、二重下線を付された配列(f1)とは、フレキシブルなグリコシル化リンカー配列である)

(配列番号19)

h抗CD40VH2-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-HPV16-E6-HPV16-E7-f1のDNA配列(リーダーペプチド領域を含む)
ATGGGTTGGAGCCTCATCTTGCTCTTCCTTGTCGCTGTTGCTACGCGTGTCCACTCCGAAGTGAAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGCAGCCCGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAACCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATTACATGTATTGGGTTCGCCAGGCCCCAGGCAAGGGCCTGGAGTGGGTCGCATACATTAATTCTGGTGGTGGTAGCACCTATTATCCAGACACTGTAAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACACCCTGTACCTGCAAATGAACAGCCTGAGGGCCGAGGACACAGCCGTGTATTACTGTGCAAGACGGGGGTTACCGTTCCATGCTATGGACTATTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTCGAAGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAAGCTAGTCAGACCCCCACCAACACCATCAGCGTGACCCCCACCAACAACAGCACCCCCACCAACAACAGCAACCCCAAGCCCAACCCCGCTAGTATGCACCAAAAAAGGACCGCAATGTTTCAGGACCCCCAAGAGAGGCCCCGCAAACTGCCACAACTTTGCACGGAGCTGCAGACAACAATACATGACATCATTCTCGAATGTGTTTACTGTAAGCAGCAGTTGTTGCGAAGAGAAGTGGGAGACTTCGCTTTCAGAGACCTGTGTATCGTATATCGCGATGGC
AATCCTTATGCCGTCTGCGATAAATGCCTCAAGTTTTACTCCAAGATCAGCGAGTACCGGCACTACTGTTACTCTGTGTATGGGACTACCCTCGAACAGCAGTATAACAAGCCGCTGTGCGATCTCCTTATCCGGTGCATTAACTGCCAGAAGCCACTGTGTCCTGAGGCTAGTATGCACGGGGATACCCCCACACTCCACGAATACATGCTTGATTTGCAACCTGAAACGACCGACCTGTACGGCTATGGTCAGCTGAATGACTCCAGCGAGGAAGAGGATGAGATTGACGGACCGGCAGGCCAGGCCGAGCCAGACCGGGCTCATTATAACATCGTGACTTTCTGCTGTAAGGCTAGTAGCAGCGTGAGCCCCACCACCAGCGTGCACCCCACCCCCACCAGCGTGCCCCCCACCCCCACCAAGAGCAGCCCCGCTAGCTGA
(配列番号20)

h抗CD40VH2-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-HPV18E6-HPV18E7-f1
(太字でイタリック体の、一重下線を付された配列は、HPV18 E6であり;太字でイタリック体の、二重下線を付された配列は、HPV18 E7であり;太字でもイタリック体でもない、一重下線を付された配列(Flexv1)と、太字でもイタリック体でもない、二重下線を付された配列(f1)とは、フレキシブルなグリコシル化リンカー配列である)

(配列番号21)

h抗CD40VH2-LV-hIgG4H-C-Flex-v1-HPV18E6-HPV18E7-f1のDNA配列(リーダーペプチド領域を含む)
ATGGGTTGGAGCCTCATCTTGCTCTTCCTTGTCGCTGTTGCTACGCGTGTCCACTCCGAAGTGAAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGCAGCCCGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAACCTCTGGATTCACTTTCAGTGACTATTACATGTATTGGGTTCGCCAGGCCCCAGGCAAGGGCCTGGAGTGGGTCGCATACATTAATTCTGGTGGTGGTAGCACCTATTATCCAGACACTGTAAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACACCCTGTACCTGCAAATGAACAGCCTGAGGGCCGAGGACACAGCCGTGTATTACTGTGCAAGACGGGGGTTACCGTTCCATGCTATGGACTATTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCAAAACGAAGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTCGAAGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAG
AGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAAGCTAGTCAGACCCCCACCAACACCATCAGCGTGACCCCCACCAACAACAGCACCCCCACCAACAACAGCAACCCCAAGCCCAACCCCGCTAGTATGGCCAGATTCGAGGATCCAACACGCCGACCTTACAAATTGCCGGACCTTTGCACGGAGCTGAACACTTCCCTGCAGGACATAGAAATTACCTGCGTCTACTGCAAGACCGTTCTCGAACTGACAGAAGTAGGCGAGTTTGCGTTTAAAGATCTGTTCGTGGTGTATCGGGATAGCATTCCCCACGCAGCTTGTCATAAGTGTATCGACTTCTATTCTAGGATCCGGGAGCTCAGACACTATAGCGATTCCGTGTACGGCGACACACTTGAGAAGCTCACTAACACCGGGCTGTACAACCTCCTGATCCGGTGCTTGAGGTGTCAGAAACCCCTGAATCCTGCTAGTATGCACGGGCCTAAGGCCACACTGCAAGATATTGTCCTCCATCTCGAACCCCAGAATGAGATACCAGTGGACCTTCTGGGCCACGGACAGTTGTCCGATAGCGAGGAGGAAAACGACGAAATCGACGGTGTTAACCACCAGCACTTGCCGGCTCGGAGGGCAGAGCCCCAGAGACATACCATGCTGTGCATGTGTTGCAAAGCTAGTAGCAGCGTGAGCCCCACCACCAGCGTGCACCCCACCCCCACCAGCGTGCCCCCCACCCCCACCAAGAGCAGCCCCGCTAGCTGA
(配列番号22)
【実施例2】
【0139】
抗DC受容体(DCR)抗体、TLRリガンド、及びHPV配列による組換え融合タンパク質
以下は、TLR2リガンド(大腸菌内で発現させた、トリアシル化コヒーシン)についての例であり、ここで、抗CD40抗体が、例えば、ドックリンドメインを、HPVE6/7配列に対して遠位の、L鎖のC末端又はH鎖のC末端に融合させている場合は、D1リーダードメイン内のC残基に脂質付加し、これを、抗CD40抗体-HPVワクチンへと非共有結合的に接合させることができる。
D1-6His-コヒーシン-Nhe-Spe-Not(さらなるがん抗原配列を、コヒーシンドメインに対して遠位に付加し得ることに注目されたい)
MKKLLIAAMMAAALAACSQEAKQEVKEAVQAVESDVKDTAMGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMASMDLDAVRIKVDTVNAKPGDTVNIPVRFSGIPSKGIANCDFVYSYDPNVLEIIEIKPGELIVDPNPTKSFDTAVYPDRKMIVFLFAEDSGTGAYAITKDGVFATIVAKVKEGAPNGLSVIKFVEVGGFANNDLVEQKTQFFDGGVNVGDTTEPATPTTPVTTPTTTDDLDAASLIKTSEF
(配列番号23)

D1-6His-コヒーシン-Nhe-Spe-NotのDNA配列
ATGAAAAAACTGCTGATTGCCGCCATGATGGCTGCAGCTCTGGCCGCATGCAGCCAGGAAGCCAAACAGGAAGTGAAAGAAGCCGTGCAGGCCGTGGAAAGCGATGTGAAAGATACCGCCATGGGCAGCAGCCATCATCATCATCATCACAGCAGCGGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGGCTAGTATGGATCTGGATGCAGTAAGGATTAAAGTGGACACAGTAAATGCAAAACCGGGAGACACAGTAAATATACCTGTAAGATTCAGTGGTATACCATCCAAGGGAATAGCAAACTGTGACTTTGTATACAGCTATGACCCGAATGTACTTGAGATAATAGAGATAAAACCGGGAGAATTGATAGTTGACCCGAATCCTACCAAGAGCTTTGATACTGCAGTATATCCTGACAGAAAGATGATAGTATTCCTGTTTGCGGAAGACAGCGGAACAGGAGCGTATGCAATAACTAAAGACGGAGTATTTGCTACGATAGTAGCGAAAGTAAAAGAAGGAGCACCTAACGGGCTCAGTGTAATCAAATTTGTAGAAGTAGGCGGATTTGCGAACAATGACCTTGTAGAACAGAAGACACAGTTCTTTGACGGTGGAGTAAATGTTGGAGATACAACAGAACCTGCAACACCTACAACACCTGTAACAACACCGACAACAACAGATGATCTAGATGCAGCTAGCTTAATTAAAACTAGTGAATTCTGA
(配列番号24)
【0140】
以下は、好ましいTLR5Lフラジェリンドメイン(下線を付して示す)を保有する、抗CD40抗体L鎖についての例である。これを、マッチするH鎖であって、C末端にHPVE6/7抗原を保有するH鎖と共に共トランスフェクトする。
h抗CD40VK2-LV-hIgGK-C-Flgn1-Flgn2(下線を付した配列は、フラジェリンドメインである)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQGISNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSILHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQFNKLPPTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECASIERLSSGLRINSAKDDAAGQAIANRFTANIKGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVKVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLKQINSQTLGLDSLNVQASQPELAEAAAKTTENPLQKIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQAS
(配列番号25)

h抗CD40VK2-LV-hIgGK-C-Flgn1-Flgn2のDNA配列
ATGAGGGTCCCCGCTCAGCTCCTGGGGCTCCTGCTGCTCTGGCTCCCAGGCGCGCGATGTGATATCCAGATGACACAGAGCCCTTCCTCCCTGTCTGCCTCTGTGGGAGACAGAGTCACCATCACCTGCAGTGCAAGTCAGGGCATTAGCAATTATTTAAACTGGTATCAGCAGAAACCAGGCAAGGCCGTTAAACTCCTGATCTATTACACATCAATTTTACACTCAGGAGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGATTATACCCTCACCATCAGCTCCCTGCAGCCTGAAGATTTCGCCACTTACTATTGTCAGCAGTTTAATAAGCTTCCTCCGACGTTCGGTGGAGGCACCAAACTCGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTATGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTGCTAGTATCGAGCGTCTGTCTTCTGGTCTGCGTATCAACAGCGCGAAAGACGATGCGGCAGGTCAGGCGATTGCTAACCGTTTTACCGCGAACATCAAAGGTCTGACTCAGGCTTCCCGTAACGCTAACGACGGTATCTCCATCGCGCAGACCACTGAAGGCGCGCTGAACGAAATCAACAACAACCTGCAGCGTGTGCGTGAACTGGCGGTTCAGTCTGCTAACAGCACTAACTCCCAGTCTGACCTCGACTCCATCCAGGCTGAAATCACCCAGCGCCTGAACGAAATCGACCGTGTATCCGGTCAGACTCAGTTCAACGGCGTGAAAGTCCTGGCGCAGGACAACACCCTGACCATCCAGGTTGGTGCCAACGACGGTGAAACTATCGATATCGATCTGAAGCAGATCAACTCTCAGACCCTGGGCCTGGATTCACTGAACGTGCAGGCTAGTCAACCAGAGCTGGCGGAAGCAGCCGCTAAAACCACCGAAAACCCGCTGCAGAAAATTGATGCCGCGCTGGCGCAGGTGGATGCGCTGCGCTCTGATCTGGGTGCGGTACAAAACCGTTTCAACTCCGCTATCACCAACTTGGGCAATACCGTAAACAACCTGTCTGAAGCGCGTAGCCGTATCGAAGATTCCGACTACGCGACCGAAGTTTCCAACATGTCTCGCGCGCAGATTCTGCAGGCTAGCTGA
(配列番号26)
【0141】
以下は、DCターゲティング抗体のH鎖(この場合は、抗ランゲリン抗体)に融合した、類似のHPV18E6/7配列についての例である。これを、HPV16配列に代えて、好ましい抗CD40抗体のH鎖に融合させることもでき、HPV16配列の下流に融
合させることもでき、抗CD40抗体L鎖に融合させることもできる(各例では、HPV16配列及びHPV18配列の両方を保有するワクチンを作製する)。
抗ランゲリン抗体15B10H-LV-hIgG4H-C-HPV18E7-HPV18E6-f1
(太字でイタリック体の、一重下線を付された配列は、HPV18 E6であり;太字でイタリック体の、二重下線を付された配列は、HPV18 E7であり;太字でもイタリック体でもない、二重下線を付された配列(f1)は、フレキシブルなグリコシル化リンカー配列である。)

(配列番号27)

抗ランゲリン抗体15B10H-LV-hIgG4H-C-HPV18E7-HPV18E6-f1のDNA配列
ATGGAATGGAGGATCTTTCTCTTCATCCTGTCAGGAACTGCAGGTGTCCACTCCCAGGTTCAGCTGCGGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATGTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACATTTACTGACTATGTTATAAGTTGGGTGAAGCAGAGAACTGGACAGGGCCTTGAGTGGATTGGAGATATTTATCCTGGAAGTGGTTATTCTTTCTACAATGAGAACTTCAAGGGCAAGGCCACACTGACTGCAGACAAATCCTCCACCACAGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTTCTGTGCAACCTACTATAACTACCCTTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAGCCAAAACAACGGGCCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTCGAAGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAAGCTAGTATGCACGGGCCTAAGGCCACACTGCAAGATATTGTCCTCCATCTCGAACCCCAGAATGAGATACCAGTGGACCTTCTGGGCCACGGACAGTTGTCCGATAGCGAGGAGGAAAACGACGAAATCGACGGTGTTAACCACCAGCACTTGCCGGCTCGGAGGGCAGAGCCCCAGAGACATACCATGCTGTGCATGTGTTGCAAAGCTAGTATGGCCAGATTCGAGGATCCAACACGCCGACCTTACAAATTGCCGGACCTTTGCACGGAGCTGAACACTTCCCTGCAGGACATAGAAATTACCTGCGTCTACTGCAAGACCGTTCTCGAACTGACAGAAGTAGGCGAGTTTGCGTTTAAAGATCTGTTCGT
GGTGTATCGGGATAGCATTCCCCACGCAGCTTGTCATAAGTGTATCGACTTCTATTCTAGGATCCGGGAGCTCAGACACTATAGCGATTCCGTGTACGGCGACACACTTGAGAAGCTCACTAACACCGGGCTGTACAACCTCCTGATCCGGTGCTTGAGGTGTCAGAAACCCCTGAATCCTGCTAGTAGCAGCGTGAGCCCCACCACCAGCGTGCACCCCACCCCCACCAGCGTGCCCCCCACCCCCACCAAGAGCAGCCCCGCTAGCTGA
(配列番号28)
【実施例3】
【0142】
CD40ターゲティングHPVワクチン(CD40HVac)
ポリICを加えたCD40HVacは、ヒトCD40トランスジェニック(hCD40Tg,human CD40 transgenic)B6マウスにおいて、E6/7特異的CD8CTLを
誘導する。hCD40Tg動物及びWT動物(1群当たりのマウス5匹)を、PBS(100μl)中に50μgのポリICを加えた30μgのCD40HVacで皮下(SC)免疫感作し、2週間隔てて、2回にわたりブーストした。CD40HVac及びポリICの量は、別個の実験であらかじめ定めた。2回目のブーストの7日後、脾臓から精製されたCD8T細胞を使用して、IFNγ ELISPOTを実施した(図8a)。WTマウスと比較して、hCD40Tgマウスが誘発するCD8IFNγT細胞の数は多かった。本発明者らはまた、四量体染色により測定される通り、hCD40Tgマウスは、血中のE7特異的CD8T細胞を増大させることも観察した(図8b)。加えて、ポリICを加えたCD40HVacは、hCD40Tgマウスにおいて、WT動物におけるよりも高レベルのE6/7特異的CD4T細胞応答も誘導した(図示しない)。まとめると、本発明者らは、CD40HVacが、インビボにおいて、ヒトCD40をターゲティングし、これにより、E6/7特異的細胞性応答を誘発することを結論付けた。本発明者らはまた、CD40HVac内で使用されるヒト化抗CD40抗体は、アゴニスト特性を有するが、ポリIC(アジュバント)を加えたCD40HVacは、hCD40TgマウスにおけるE6/7特異的T細胞応答の誘発において、CD40HVac単独より強力であることも見出した(データは図示しない)。
【0143】
ポリICを加えたCD40HVacは、hCD40Tg動物において、治療的免疫を惹起し得る。hCD40Tgマウス(1群当たりのマウス10匹)に、HPV E6/7を発現するTC-1腫瘍細胞(5×10個)をSC負荷した。本発明者らは、TC-1負荷後6日目に、動物が、蝕知可能な腫瘍を保有することを確認した。次いで、動物を、6、12、及び24日目において、50μgのポリICを加えた30μgのCD40HVacで、SC免疫感作、筋内(IM,intramuscularly)免疫感作、又は腹腔内(IP,intraperitoneally)免疫感作した。対照群は、免疫感作を施さないままとした。図9aは、ポリICを加えたCD40HVacを施される全ての動物が生存したのに対し、全ての対
照動物は死亡したことを示す。ポリIC単独の注射は、生存を促進しなかった(データは図示しない)。別個の実験では、本発明者らは、腫瘍容積を評価することにより、TC-1腫瘍の進行について測定した(図9b)。全ての対照動物(10匹のマウス)は、腫瘍を発症し、TC-1負荷後40日以内に死亡した。これに対し、ポリICを加えたCD40HVac処置は、腫瘍の進行を抑制した。また、処置された動物の一部は、大型の腫瘍(200~600mm)を発症したが、これらの腫瘍は、ワクチン接種期間中、時間と共に退縮したことも注目に値する。まとめると、本発明者らは、CD40HVacが、hCD40Tgマウスにおいて、治療的免疫を誘発することを結論付けた。さらに、データは、免疫感作の経路が、CD40HVacレジメンの全体的な治療有効性に影響を及ぼし得る重要な因子であることも指し示した。
【0144】
CD8CTLの腫瘍への浸潤は、腫瘍の退縮に極めて重要である。ヒトCD40トランスジェニック(hCD40Tg)マウスに、多数のTC-1腫瘍細胞(細胞2×10個)をSC負荷した。次いで、6及び12日目に、動物を、50μgのポリICを加えた30μgのCD40HVacで免疫感作した。ワクチン接種されない場合、全ての動物は、腫瘍負荷後25日以内に死亡した。60日目に、腫瘍内及び血中のH2-Db(RAHYNIVTF)四量体CD8T細胞のパーセントを評価した(図10)。腫瘍内の四量体
D8T細胞のパーセント(左)は、腫瘍容積と逆相関する。このような相関は、血中の四量体CD8T細胞のパーセント(右)又は脾臓内の四量体CD8T細胞のパーセント(図示しない)と、腫瘍容積との間では見られなかった。したがって、抗原特異的CD8CTLの、腫瘍への浸潤は、腫瘍の退縮に極めて重要である。こうして、エフェクター細胞の、粘膜性腫瘍への浸潤及び粘膜性腫瘍内の保持を促進することにより、CD40HVacの有効性の改善が期待される。
【0145】
抗CD40抗体(12E12クローン)により作製されたCD40HVacは、HPV16.E6/7特異的CD8T細胞応答の誘発において、抗CD40抗体(12B4クローン)により作製されたCD40HVacより効率的である。本発明者らは、抗CD40抗体mAbの3つの異なるクローン(12E12及び12B4)により作製された組換え融合タンパク質を、HPV16.E6/7特異的CD8T細胞応答をプライミングするそれらの能力について比較した。本発明者らは、ポリICをアジュバントとして使用した。hCD40Tg動物には、ポリIC(投与1回当たり50μg)を加えた組換え融合タンパク質(投与1回当たり30μg)の投与を、s.cを介して、3回にわたり施した。3回目の免疫感作の7日後、血中のE7特異的CD8T細胞のパーセントを、四量体染色により決定した。図11aの左パネルにおいて示される通り、12E12クローンにより作製された組換え融合タンパク質は、E6/7特異的CD8T細胞応答の誘導において、12B4クローンにより作製された組換え融合タンパク質より効率的であった。本発明者らはまた、脾臓細胞を使用するELISPOTアッセイにより、抗CD40抗体(12E12)-HPV16.E6/7が、IFNγCD8T細胞応答の誘発において、抗CD40抗体(12B6)-HPV16.E6/7より効率的であることも見出した(図11bの左パネル)。抗CD40抗体mAbの2つのクローンと融合させたHPV16.E6/7は、同様なレベルのE6/7特異的IFNγCD4T細胞応答を結果としてもたらした(図11bの右パネル)。
【0146】
本明細書で開示及び特許請求される方法の全ては、本開示に照らして、不要な実験を伴わずに実施及び実行することができる。本発明の組成物及び方法を、好ましい実施形態に関して記載してきたが、当業者には、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱せずに、本明細書で記載される方法及び方法のステップ又はステップの順序に対して変更を加え得ることが明らかであろう。より具体的には、同じ結果又は同様な結果が達成される限りにおいて、化学的にも生理学的にも類縁の、ある特定の薬剤は、本明細書で記載される薬剤で代用し得ることが明らかであろう。付属の特許請求の範囲により規定される通り、当業者に
明らかな、このような類似の代替及び変更の全ては、本発明の精神、範囲及び概念の中にあるとみなされる。
【0147】
(参考文献)
以下の参考文献は、それらが、例示的な手順上の詳細、又は本明細書で示される詳細を補完する他の詳細を提示する程度に応じて、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
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図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
【配列表】
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