(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】炉内に供給された装入材料を測定および制御するための装置
(51)【国際特許分類】
C21C 5/52 20060101AFI20240813BHJP
F27D 19/00 20060101ALI20240813BHJP
G01G 3/14 20060101ALI20240813BHJP
G01L 1/22 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C21C5/52
F27D19/00 Z
G01G3/14
G01L1/22 F
(21)【出願番号】P 2021503905
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2019067136
(87)【国際公開番号】W WO2020025227
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】102018000007649
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517278059
【氏名又は名称】テノヴァ エッセ. ピ. ア.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロカテッリ ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】レアーリ シルビオ マリア
(72)【発明者】
【氏名】アルジェンタ パウロ
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-536083(JP,A)
【文献】特開平11-132874(JP,A)
【文献】特開平05-148521(JP,A)
【文献】特開2016-150858(JP,A)
【文献】特開平04-335989(JP,A)
【文献】特表2005-517951(JP,A)
【文献】特開平05-312629(JP,A)
【文献】特開2002-055000(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0220424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 5/00-5/56
F27D 19/00
G01L 1/00-1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾動式プラットフォーム上に載る電気アーク炉(EAF)内に供給された装入材料の重量を測定および制御する装置であって、該装置は、
槽に供給されるエネルギーに応じて前記装入材料を供給する自動制御装置と、
前記自動制御装置に作動可能に連結された、前記装入材料の測定装置であって、前記EAFの殻、その内容物、および前記殻に支持される他の構成部品の重量を計量する測定装置と、
を備え、
前記測定装置は、前記EAFと前記傾動式プラットフォームとの間に位置するように構成され、
前記EAFの下面に対して摺動するように構成された上面を有する上部プレートと、
前記傾動式プラットフォームと係合するように構成された下面を有する下部プレートと、
前記下部プレートの上面に連結されたリング構造であって、
前記上部および下部プレートに垂直な長手方向軸を有する周縁のリング壁と、
前記リング壁の内側に連結されて、隔壁の形態で前記リング構造全域に渡って内在するリングプレートと、
前記リングプレートに連結されて、前記リング構造の前記長手方向軸に沿って延在する接触部材であって、上方では前記上部プレートの下面に接触し、下方では前記下部プレートの上面に接触することなく接近する接触部材と、
を備えるリング構造と、
前記リングプレートに連結されて、前記上部プレートの前記上面に荷重が加えられると前記リングプレートの変形を測定する1つまたは複数のセンサと、
を備え、
前記上部および下部プレートの対向する反対側において、前記上部プレートを前記下部プレートに接続する複数のバーをさらに備える、装置。
【請求項2】
前記上部プレートの前記上面は、耐摩耗鋼製である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記上部プレートの前記上面に接触している前記EAFの前記下面は、耐摩耗鋼製である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記リング壁は、円形の外周を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記リングプレートは、前記上部および下部プレートに平行であり、前記リング壁の下端よりも前記リング壁の上端に近い、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記接触部材は、凸状の上端を有し、それにより前記接触部材と前記上部プレートとの間の接触面積を最小限にする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記接触部材は、過荷重の場合に移動距離の限度として機能する平坦な下端を有し、それにより前記測定装置の破断を抑制する、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記接触部材を挟んだ反対側に複数のセンサが配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記1つまたは複数のセンサは、前記上部プレートの前記上面に前記荷重が加えられると前記リングプレートのひずみを測定する
ように構成される1つまたは複数のひずみゲージである、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のバーは、反対方向に斜めに配置された2つのバーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数のバーは、前記上部および下部プレートの前記対向する反対側のそれぞれにおいて、階段状に連結された3つのバーを含み、該3つのバーは、前記上部プレートの第1の外側端から下方に延出する第1のバーと、前記下部プレートの反対側の外側端から上方に延出する第2のバーと、前記上部および下部プレートに平行であり、前記第1のバーの下端と前記第2のバーの上端とを接続する第3のバーと、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記1つのまたは複数のセンサによって提供される1つのまたは複数の測定値の読取値のデータ取得システムをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記自動制御装置は、前記装入材料を前記EAF内に連続的に供給するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
鋼を精錬するためのシステムであって、該システムは、
電気アーク炉(EAF)であって、該EAF内の装入材料を製錬および精錬することによって鋼を製造するEAFと、
前記EAFに接続されて、前記装入材料を前記EAF内に導入する運搬装置と、
前記運搬装置と協働して前記運搬装置内の前記装入材料を予熱する予備燃焼ステーションと、
除滓および出湯作業のために前記EAFを傾斜させるための傾動式プラットフォームであって、該傾動式プラットフォームは、前記EAFの傾斜が前記EAF内の溶融液体材料のヒールを維持するように配置され、該ヒールは、出湯前の重量の10%と50%との間の重量を有する、傾動式プラットフォームと、
請求項1に記載の装置であって、前記EAFへの前記装入材料の供給を測定および制御するように構成され、前記EAFと前記傾動式プラットフォームとの間に配置される、装置と、
を備える、システム。
【請求項15】
前記接触部材は、凸状の上端を有し、それにより前記接触部材と前記上部プレートとの間の接触面積を最小限にし、また、平坦な下端を有し、それにより前記リングプレートの下方への変形時に前記接触部材と前記下部プレートとの間の接触面積を最大限にする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記上部および下部プレートの対向する反対側において、前記上部プレートを前記下部プレートに接続する複数のバーをさらに備える、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数のバーは、反対方向に斜めに配置された2つのバーを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のバーは、前記上部および下部プレートの前記対向する反対側のそれぞれにおいて、階段状に連結された3つのバーを含み、該3つのバーは、前記上部プレートの第1の外側端から下方に延出する第1のバーと、前記下部プレートの反対側の外側端から上方に延出する第2のバーと、前記上部および下部プレートに平行であり、前記第1のバーの下端と前記第2のバーの上端とを接続する第3のバーと、を含む、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、炉内への装入材料およびスクラップの供給を測定および制御するための、特に連続供給を測定および制御するための、装置ならびに関連する方法に関する。[発明の背景]
特に鋼製造用の電気アーク炉(EAF)において、スクラップ金属を炉内に装入するための連続システム、例えばコンスチール(Consteel(登録商標))などのシステムを使用すること、および/または、予め還元された材料を槽に加えることは、炉に入る際の装入材料フローの直接制御を維持する必要性を伴う。
【0002】
実際、固体状態の装入材料を連続的に加えることが連続的および適正に制御されない場合、製造サイクルの全体的な効率を低下させる問題が生じ得る。このような問題のうち最も重要なのは、炉内でのスクラップを降ろす領域における密集した固体材料の形成である。なぜなら、それによりこの密度が長時間維持され、ゆえに炉内での製錬時間が長くなり、その結果、製造サイクル全体が長くなるからである。
【0003】
この制御は、電極への電力供給が可能な限り均一であること、および、固形材料と電極との間の直接接触、すなわち電極の破断を引き起こす可能性のある接触を回避することを確実にするためにも、同様に重要である。
【0004】
通例、このような制御は、自己の個人的経験と、炉に装入された装入材料またはスクラップの量に対する自己の印象とに従って、スクラップ装入システムの速度を手動で調整するオペレータ、すなわちライン管理者によって行われる。当然ながらこのオペレータは、プロセスおよび設備に非常に精通していなければならず、どのような場合であっても、オペレータの判断は、不確実で信頼性がさほど高くないデータ読み取りによってそれでも常に影響を受け得る。
【0005】
これらの問題を解決するための1つの解決策は、連続的な炉殻重量制御手段の搭載を提供することであった。
この目的を達成するために、2つのタイプの測定法が開発された。液体金属の液位に基づく間接的な炉殻重量制御方法、およびシステム重量を測定するセンサに基づくより直接的な制御方法である。
【0006】
間接的な制御方法は、幾何学的方法に基づいている。この方法は、液面の読み取りに始まり、このデータを体積データ(ひいては重量)に変換するが、この変換は、明らかに炉殻内の耐火性タンクの推定形状に依存する。
【0007】
しかしながら、炉殻形状は、液体金属が耐火物において引き起こす浸食現象と厳密に関連しており、この現象はしばしば激烈で予測不可能である。必然的に時間とともに、これにより、液位読み取りおよび体積計算を対比するのに用いる風袋引き曲線の精度の欠如が生じる。このような精度の欠如と鉄の高比重とを考慮すると、測定データは非常に大きな誤差を露呈することとなろう。よって、この手法は精密な制御には用いることができない。
【0008】
直接的な制御方法、すなわち炉殻構造の直接的計量に基づく方法の場合、重量読み取りシステムは、支持直立材や支持水平材などの特定の領域に位置しなければならないが、これらは炉殻の重量だけでなく、炉の支持構造、システム、およびサブシステムの全てをも支持している。したがって、含まれる装入材料またはスクラップ金属の量は、測定した重量のうち限られた割合のごく一部をなし、これには精度の欠如の様々な側面の全てが関わることになる。この精度の欠如は大きくなり過ぎるため、行われるいかなる測定も、質に関する限りにおいてのみ信頼できるとみなされ得る。
【0009】
車輪が取り付けられた(そして車輪上に計量システムがある)傾動式炉の場合、測定精度を犠牲にして総読み取り重量を大きくするのは、強い機械的応力に耐えられなければならない炉殻傾動式システムの重量である。
[発明の概要]
本発明の全般的な目的は、したがって、簡単で、経済的かつ特に機能的な手法で、上述した問題を解決することである。
【0010】
本発明の目的は、電気アーク炉内への装入材料またはスクラップ金属の供給を測定および制御するための装置であって、槽に供給されたエネルギーに応じて装入材料またはスクラップ金属の供給を制御する自動装置と、自動制御装置と相関して、加えられた装入材料の量を測定するための装置とを有し、炉殻、その内容物、およびそれが支持し得る他の構成部品を計量する装置を備える、装置である。
【0011】
本発明の別の目的は、電気アーク炉内への装入材料またはスクラップ金属の供給を測定および制御するための方法であり、この方法は、以下のステップ:
炉殻、その内容物、およびそれが支持し得る他の構成部品を計量する装置によって行われる、槽に加えられた装入材料またはスクラップ金属を計量することと、
計量装置によって提供される、槽に加えられた装入材料またはスクラップ金属の量の測定読取値をデータ取得することであって、上記読取値は例えば一定期間にわたって相違を示す、データ取得することと、
槽に供給されたエネルギーに応じて装入材料またはスクラップ金属の供給速度を調整することによって得られる、適切なアルゴリズムに従って装入フローを最適化することと、を含む。
【0012】
電気アーク炉内への装入材料またはスクラップ金属の供給は、連続的であることが好ましい。
特に、炉殻およびそれが支持し得る他の構成部品の重量を測定する装置は、支持ローラからなる、炉殻のための支持構造を提供する。
【0013】
このようなローラの機能は、熱サイクルによって引き起こされた形状のずれを回復することである。
さらに、計量装置は、測定ローラを構成する支持ローラのうち少なくとも2つに関しては、二重の冗長性を持って作動する。したがって、本発明による装置に取り付けられた少なくとも2つの支持ローラは、測定ローラとして機能することが好ましい。
【0014】
測定ローラには、直接的または間接的な重量読み取りのためのセンサが備えられている。
第3の支持ローラもまた、直接的または間接的な重量読み取りのためのセンサを備えた測定ローラとして機能し得る。
【0015】
殻の重量を測定する本発明による別の装置は、電気アーク炉(EAF)と傾動式プラットフォームとの間に位置するように構成され、EAFの下面に対して摺動するように構成された上面を有する上部プレートと、傾動式プラットフォームと係合するように構成された下面を有する下部プレートと、下部プレートに連結されたリング構造であって、上部および下部プレートに垂直な長手方向軸を有する周縁のリング壁と、リング壁の内側に連結されてリング構造全域に渡って延在するリングプレートと、リングプレートに連結されてリング構造の長手方向軸に沿って延在する接触部材であって、上方では上部プレートの下面に接触し、下方では下部プレートの上面に接触することなく接近する接触部材と、を有するリング構造と、を備え、また、リングプレートに連結されて、上部プレートの上面に荷重が加えられるとリングプレートの変形を測定する1つまたは複数のセンサをさらに備える。
【0016】
センサは、リングプレートに加えられたひずみを測定するひずみゲージであり得る。
本発明による装入材料またはスクラップ金属の供給を制御するための自動装置は、装入材料またはスクラップの供給または装入に用いる手段のための接続および制御システムをさらに備える。基本的に、管理および制御のための自動装置またはシステムは、炉殻、その内容物、およびそれが支持し得る全ての構成部品を計量することによって、槽に加えられた装入材料またはスクラップ金属の量を連続的に測定する計量装置によって提供される正確な測定値の、一定期間にわたって相違を示す、読取値を取得する。
【0017】
装入フローを最適化するためのアルゴリズムに従って、自動管理および制御システムはスクラップ金属の供給速度にこのように作用して、(電気的および/または化学的な)エネルギーレベルがどれほどであれ、形成される固体の集塊が槽内に送られることを抑制する。
【0018】
本発明による装置および方法の主な利点は、供給されたエネルギーと、装入された材料(スクラップ)の重量との比率を制御することによって、液体金属の温度を制御してそのサイクルでの理想値に近く維持することができるという事実であり、また、槽に提供される最大のエネルギーで常に作動できるため、製造効率向上に向けて貢献できる。
【0019】
さらに、このことは、作動状態の計算における精度の欠如によって生じる何らかの人為的ミスを抑制するのに役立つ。
さらなる利点は、ラインのオペレータ長からの技術情報の要請が減少することである。オペレータ長は、リアルタイムで状態を分析できるために自動的かつリアルタイムで適切な判断をする一助となる、システムの支援を得ることになるからである。
【0020】
計量装置について言えば、本発明に従って採用されたソリューションは特に有利である。なぜなら、このソリューションは、十分に検証された設計および構造スキームから導き出された一般的な炉構成の選択に基づいているが、全く革新的なデータ取得方法が付加されているからである。
【0021】
提案した炉の構造スキームは、様々な機能の分離に基づいている。製錬される材料を収容する機能は、炉殻およびそれが支持し得る他の構成部品のみからなる、可能な限り軽量な小型構造を必要とする。(出湯や、メンテナンスまたはリメークのために炉殻を完全に空にする間の)炉殻の支持および傾斜は、下からの支持構造を必要とする。この構成は、処理された材料、換言すれば、炉内に供給される装入材料またはスクラップ金属と、計量システムに加わる総重量との間の最良の比率を提供するものであるため、計量システムの適用に最も適していることが実証されている。
【0022】
実際に、本発明によるソリューションでは、炉殻は、ローラまたは他の異なる計量装置を用いて支持構造上で計量され、ローラまたは他の異なる計量装置のさらなる機能は、熱サイクルによって引き起こされた形状のずれを回復することである。このようなローラまたは他の異なる計量装置は、製錬に関与する構造を支持することは最小限であり、したがって、加えられるスクラップ金属の重量をモニタリングすることを目的とする効率的な計測器を提供するための最良のソリューションである。
【0023】
しかしながら、炉殻と支持構造との間の連結の配置を考慮すると、炉殻本体と、支持構造、またはスクラップ金属または装入材料の供給を制御するのに適した任意の炉殻計量システムと、の間の距離を計算する精密測定システムのような、他の実施形態も可能である。
【0024】
本発明による装置および方法はまた、作動サイクルの間ほぼ連続して液体または固体金属を加えることを伴う、全ての作動方法にも適用可能である。
鋼製造用の炉内への装入材料およびスクラップ金属の供給の測定および制御のための特定の装置および方法は、炉殻の特定の構造スキームと密接に関連するが、それは他の方法にも適用され得る。本発明の別の目的は、鋼精錬のための方法を提供することであり、この方法は、
装入材料を連続的に予熱することと、
製錬および精錬作業を行うために、鉄、直接還元鉄、または両者の混合物を含む上記材料を電気アーク炉内に供給すること - 鋼製造用の槽においてスラグを形成する要素を供給することと、
浸炭要素を鋼製造用の炉内に導入することと、
装入材料を電極を用いて電気的に加熱して、装入材料を溶融し、溶融金属の槽を、上記溶融金属槽上の溶融スラグの層によって、炉内に形成することと、
鋼製造プロセスの間、上記スラグを泡立った状態に維持すること - スラグを形成するものとしての金属要素と、浸炭要素とを上記炉内に供給することと、
装入、製錬、および精錬の総時間の間、上記炉において、全電力容量を維持することと、
炉殻内の液体金属のヒールを維持しつつ、炉から断続的に出湯することであって、上記液体金属のヒールは、出湯前の重量の10%と50%との間で変動する重量をおおよそ提示する、出湯することと、を備え、
この方法は、鉄、直接還元鉄、または両者の混合物を含む材料である、装入材料またはスクラップ金属を電気アーク炉に供給するステップが、以下のサブステップを含むことを特徴とする。
【0025】
炉殻、その内容物、およびそれが支持し得る構成部品の計量を介して計量装置によって提供される、槽に加えられた装入材料またはスクラップ金属を計量すること。
計量装置によって提供される、例えば時間差である、槽に加えられた装入材料またはスクラップ金属の量の測定読取値をデータ取得すること。
【0026】
槽に供給されたエネルギーに応じて、装入材料またはスクラップ金属の供給速度を調整することによって、適切なアルゴリズムに従って装入フローを最適化すること。
本発明の別の目的は、鋼を製錬するための装置を提供することであり、この装置は、
炉内の金属装入材料を製錬および精錬するための、鋼製造用の電気アーク炉と、
中間スラグのレベル、および槽に収容された製錬材料のレベルに及ぶまで、炉内に延出する電極と、
電極を除去することなく上記炉内に装入材料を導入するために上記炉に接続された供給手段と、
上記供給手段内の装入材料を予熱するために、上記供給手段と協働するように関連付けられている予備燃焼手段と、
装入材料またはスクラップ金属の自動制御手段と、自動制御装置と相関して、加えられた装入材料を測定する手段と、からなる、装入材料またはスクラップ金属の供給を測定および制御するための手段と、
装入材料またはスクラップ金属の供給手段への入口部に位置する、密閉された機械装置と、
槽における通常の溶融金属レベルの上および/または下で、上記炉と連通するガス注入手段と、
除滓および出湯作業のために上記炉を傾斜させる手段であって、出湯手段は、上記炉の上記傾斜が上記槽内の溶融液体材料のヒールを維持するような態様で配置され、上記ヒールは、出湯前の重量の約10%と50%との間で変動する重量を有する、上記炉を傾斜させる手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の構造的および機能的特徴、ならびに先行技術との関連におけるその利点は、添付の図面を参照して、以下の説明からより明確かつより明白になるであろう。
【
図1】最新技術による技術ソリューションの側面立面図である。
【
図2】最新技術による技術ソリューションの側面立面図である。
【
図6A】本発明によるシステムの断面図、正面図、および上面図である。
【
図6B】本発明によるシステムの断面図、正面図、および上面図である。
【
図6C】本発明によるシステムの断面図、正面図、および上面図である。
【
図8A】本発明によるシステムの断面図、正面図、および上面図である。
【
図8B】本発明によるシステムの断面図、正面図、および上面図である。
【
図8C】本発明によるシステムの断面図、正面図、および上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[発明の実施形態の詳細な説明]
本明細書および特許請求の範囲にて使用される「装入材料」または「スクラップ金属」という用語は、鉄スクラップ、鋳鉄、ピーンもしくはフラグメントの形態および/または両者の混合物の形態をした直接還元鉄からなる、連続製錬用の装入材料を指す。特に、「装入材料」という用語は、断りのない限り、スクラップ金属を含む。本明細書および特許請求の範囲において、「装入材料」という用語は、断りのない限り、スクラップ金属を含むことを意図している。
【0029】
図1は、車輪3が支持基部6に配置された、(除滓、出湯、または空炉の作業用の)傾動式プラットフォーム5によって支持された電気アーク炉(EAF)を示している。
EAFの殻1は、適切な支持体2を用いて傾動式プラットフォーム5上に設置されている。
【0030】
EAFの側面開口部4’は、例えばコンスチール(Consteel(登録商標))システムにおけるような連続供給工程にて、必要に応じて運搬装置4を用いてスクラップ金属を供給するために使用される。従来の構成には、EAF炉支持車輪3のシャフトに配置されたセンサによって重量を読み取るための機器が備えられている場合がある。
【0031】
一方、
図3および4は、本発明の実施形態を示している。傾動式プラットフォーム5は支持基部6上に取り付けられ、炉殻1は、プラットフォーム5上の適切な支持体2の上に設置されている。潜在的な高温への暴露による構造的沈下を可能にするために、炉殻支持システムは、少なくとも2つのローラ7を備える。重量リーダまたはセンサは、ローラ7内に取り付けられている。
【0032】
純粋に例としてであり限定するものではないが、これらのセンサは、ローラ7のシャフトにおいて二重の冗長性を持って取り付けられ得、剪断応力センサであり得る。計量される部分は、
図3に示すように炉殻1のみで構成されており、これは
図1に示すもの(炉殻1+傾動式プラットフォーム5)よりはるかに軽量である。したがって、ローラ7におけるセンサは、より少ないひずみの下で、はるかに高い精度能力を有するように設計され得る。
【0033】
適切な計算アルゴリズムを併用したデータ取得読み取り(
図5参照)は、運搬装置4を用いて開口部4’を通す、リアルタイムの炉殻1内へのスクラップ金属供給の工程監視を可能にする。データ取得システム(
図5)は、続いて、炉入口におけるエネルギーにも応じてその情報を処理し、それをラインオペレータに利用可能にするとともに、(例えば、コンスチール(Consteel(登録商標))システムにおけるような)
図5に記載される連続スクラップ金属供給制御システ
ムにおいても利用可能にする。
【0034】
あるいは、(現在の最先端技術によるバージョンである
図2に示すタイプのような)車輪のない傾動式炉の場合、容易に測定するにはほど遠い重量を有するが、本発明によるソリューションを適用することで、装入材料のリアルタイム測定(
図4)が可能になり、(例えば、コンスチール(Consteel(登録商標))システムにおけるような)考えられる連続供給装置を備えたEAFシステムの構築の単純化
にかなりの影響を与える。
【0035】
図6~10は、本発明による測定装置の別の実施形態を示している。
先行する実施形態におけるように、測定装置10はロードセルとして作動し、EAFの殻11と傾動式プラットフォーム12との間に配置される。その必須要素として、測定装置10は、殻11に面する上部プレート13と、傾動式プラットフォーム12に面する下部プレート14と、それらの間に配置されるとともに、周縁のリング壁16、リング壁16内に内在するリングプレート17、およびリングプレート17を貫いて延在する接触部材18を有するリング構造15と、上部プレート13によって接触部材18に荷重が加えられたときのリングプレート17の変形を測定する1つまたは複数のセンサ19と、を備える。
【0036】
上部プレート13は殻11に面し、殻11に対して摺動するように構成された上面20を有する。一実施形態において、上面20は、ハルドックス(Hardox(登録商標))耐摩耗鋼などの耐摩耗性材料でできている。あるいは、炉殻の底部のうち上面20に面して接触する領域に耐摩耗性材料を適用し得る。更なる選択肢として、炉殻の底部と上面20との間の界面の両側に耐摩耗性材料を適用し得る。
【0037】
一方、下部プレート14は、傾動式プラットフォーム12に固定的に係合するように構成されている。静止位置において、下部プレート14は、上部プレート13と実質的に平行であり、一実施形態では、ボルトを用いて傾動式プラットフォーム12に係合され得る。
【0038】
リング構造15は下部プレート14上に配置され、下部プレート14に固定的に取り付けられてもよいし、そうでなくてもよい。リング構造15は、様々な外周形状を有し得、例えば、円形の外周を有してリング構造15に円筒形状を与え得る。
【0039】
リング壁16は、上部および下部プレート13,14に垂直な長手方向軸を有し、その内側において、隔壁のような形態でリング構造15全域に渡って内在するリングプレート17を、好ましくは上部および下部プレート13,14に平行な方向に支持する。リングプレート17は、リング壁16の高さよりも小さい厚さを有し、必ずしもリング壁16の上端と下端との間の中央位置に内在するわけではない。図示した実施形態では、例えば、リングプレート17は、リング壁16の高さの約2/3のところで、リング壁16の上端寄りに内在する。
【0040】
接触部材18は、リング構造15の長手方向軸に沿って延在し、上部プレート13の下面に接触する上端21と、静止位置において、下にある下部プレート14から距離をおいた位置にある下端22とを有する。このような距離があることにより、接触部材18は、後に説明するように、リングプレート17が変形したときに下方に移動し得る。図示した実施形態では、接触部材18はリングプレート17と一体であり、その結果、リングプレート17は、リング壁16を接触部材18に接続する円形クラウンを規定している。
【0041】
接触部材18の上端21は、接触部材18と上部プレート13との間の接触面を最小限にして、接触部材18に対する上部プレート13の傾斜運動が可能となるように、凸状であることが好ましい。これについても後に説明する。一方、接触部材18の下端22は平坦な形状を有し、過荷重の場合に移動距離の限度として機能し、ロードセルの変形を制限することによってその破断を抑制する。
【0042】
図示した実施形態では、接触部材18を囲んでリングプレート17上に等間隔に位置する4つのセンサ19が存在する。当業者であれば、異なる数のセンサ19を使用し得ること、およびセンサ19は所望に応じた異なる距離で離間させ得ることを理解するであろう。
【0043】
センサ19は、接触部材18の上端21に加えられた荷重によって、接触部材18に対する下向きの圧力が生じたときに、リングプレート17の変形を測定する。一実施形態において、センサ19は、リングプレート17に加えられたひずみを測定する、ひずみゲージである。
【0044】
センサ19は、センサ19が提供する1つまたは複数の測定値の読取値を取得する、データ取得システムに接続されている。
複数のバー23は、上部プレート13を下部プレート14に接続し、上部および下部プレート13および14を挟んだ反対側に配置されている。
図6A、6B、および6Cは、本発明の実施形態を図示しており、この実施形態では、2つのバー23および24は、上部および下部プレート13,14を挟んだ反対側にそれぞれ設けられて、反対方向に斜めに延在し、その結果、バー23は、測定装置10の一方の側において、上部プレート13の上部「右」端を下部プレート14の下部「左」端に接続し、バー24は、測定装置10の反対側において、上部プレート13の上部「左」端を下部プレート14の下部「右」端に接続する。
【0045】
バー23および24の目的は、上部プレート13と下部プレート14との間の接続を提供することだけでなく、上部および下部プレート13,14に平行に及ぶ、測定装置10にかかる水平剪断応力を実質的に除去することでもある。さらに、バー23および24は、殻11と傾動式プラットフォーム12との間の小さな位置ずれを調整し得る。
【0046】
図7Aおよび7Bは、バー23および24が上部プレート13と下部プレート14との間で小さな相対回転をどのように可能にするかをさらに示している。
図8A~8Cは本発明の実施形態を示し、この実施形態では、測定装置10を挟んだ反対側に階段状に配置された、上部プレート13を下部プレート14に接続する3つのバーがある。測定装置10の「左」側をまず検討すると、第1のバー25は、上部プレート13と下部プレート14との間の距離の約半分だけ、上部プレート13の一方の端部から下方に延出し、第2のバー26は、同様に上部プレート13と下部プレート14との間の距離の約半分だけ、下部プレート14の反対側の端部から上方に延出し、第3のバー27は、上部および下部プレート13,14に平行な方向に、第1のバー25の下端を第2のバー26の上端に接続する。3つのバー28,29,30もまた、上部および下部プレート13,14の反対側を接続するがそれは鏡像パターンであり、その結果、下部プレート14が正方形である場合、第2のバー26および29は、下部プレート14の対角線上で対向する角において、下部プレート14から上方に延出する。
【0047】
図9は、殻11が傾動式プラットフォーム12に対して位置ずれを起こしたときの、最後に説明した実施形態における測定装置10の変形を示している。
図10A~10Bは、測定装置10の作動の態様を示している。見て取れるように、接触部材18に加えられた下向きの圧力が、接触部材18を下部プレート14の方へ下向きに移動させ、さらに、リング壁16と接触部材18との間でリングプレート17によって規定される円形クラウンを実質的に円錐状に変形させて、上記下向きの移動に対処する。
【0048】
第1実施形態と同様に、測定装置10を備えるシステムは、装入材料をEAF内に導入する、EAFに接続された運搬装置と、運搬装置内の装入材料を予熱する、運搬装置と協働する予備燃焼ステーションと、をさらに備え得る。自動制御装置により、装入材料は連続的にEAF内に供給され得る。
【0049】
さらに、傾動式プラットフォーム12は、除滓および出湯作業のためにEAFを傾斜させるように構成され得、また、EAFの傾斜が、出湯前の重量の10%と50%との間の重量を有する、EAF内の溶融液体材料のヒールを維持するように配置され得る。
【0050】
注目すべきは、場合により時間差で、上述の装置を用いて、槽に加えられた装入材料またはスクラップ金属の量の測定読取値をデータ取得することが、適切なアルゴリズムを使用した装入フロー最適化の計算を可能にするということである。これらのデータに基づいて、本発明による装置およびシステムは、装入材料またはスクラップ金属の供給速度の調整を可能にする。
【0051】
図6~10に示すように構成された測定装置は、
図3および4に示す測定装置にも勝る、幾つかの利点をもたらす。このような利点の一部は、以下のように要約できる。
より高い精度:
図3~4に図示する測定装置が2%ほどの精度レベルを提供するのに対し、
図6~10に図示する測定装置は、リングプレート17によって規定される円形クラウンの曲げ変形のより正確な読取値を提供することによって、0.3~0.5%の精度レベルを提供する。
【0052】
より容易なメンテナンス:
図3~4に図示する測定装置は、ローラおよびシャフトを含めて数百キログラムの重量を有し得、そのためオペレータによる取り扱いが困難になる。
図6~10に図示する測定装置は、体積がより小さく、重量は10~20kgの範囲であり、そのため1人のオペレータによる取り扱いが可能である。これにより、交換がより容易になるが、それは、測定装置を取り外して交換する目的で、EAFをメンテナンスのために完全に持ち上げる場合だけでなく、油圧リフトまたはジャッキを用いて局所的に作用して上部および下部プレートの対向面を限られた距離だけ広げることによって、EAFを持ち上げない場合でも同じである。
【0053】
より低いコスト:
図3~4に図示する測定装置は、機械部品がより少なく重量がより軽いことで製造コストが削減される、
図6~10に図示する測定装置よりも重いだけでなく、より多数の機械加工部品を必要とする。
【0054】
上に提示した実施形態に関連して本発明を説明してきたが、記載された特定の形態に本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、逆に、本発明の範囲内に含まれ得るような代替物、改良物、および同等物を網羅することを意図している。さらに、本発明の範囲は、当業者に明らかとなり得る他の実施形態を全面的に包含し、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。