(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】内視鏡支援経皮的医療処置のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20240813BHJP
【FI】
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2021517238
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019053600
(87)【国際公開番号】W WO2020069404
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ルパルメンティエ・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ダビッドソン・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ロモ・エンリケ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/075574(WO,A1)
【文献】特表2018-524031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00―90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ可読媒体であって、
少なくとも1つのプロセッサに、
細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入させ、
前記第1の位置センサを用いて、前記治療領域内の前記第1の医療用器具の第1の位置を決定させ、
決定された前記第1の位置に基づいて前記治療領域内の標的位置を画定させ、
第2の医療用器具上の第2の位置センサからの出力に基づいて前記第2の医療用器具の向きを決定させ、
外側境界、前記標的位置を表す標的インジケータ、および前記第2の医療用器具を表す器具インジケータを含む位置合わせインターフェースを表示させることであって、前記器具インジケータの前記標的インジケータに対する距離は、前記第2の医療用器具の向きの前記標的位置に対するアライメント量を示し、前記器具インジケータは、前記アライメント量の変化に応じて前記外側境界内を移動するように構成されている、表示させる、ように構成された命令を含
み、
前記命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の医療用器具の前記第1の位置センサを用いて前記患者の動きを判定させ、
判定された前記患者の前記動きに部分的に基づいて前記第2の医療用器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録させ、前記第1の位置センサを用いて前記治療領域内の前記第1の医療用器具の前記第1の位置を決定することが、前記術前モデルを参照して前記第1の位置を決定することを含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記術前モデルが、解剖学的構造の三次元再構成を含む、請求項2に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することを含む、請求項2に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することが、
前記術前モデルをユーザに表示することと、
前記術前モデルを参照して、前記標的位置の選択を受信することと、を含む、請求項4に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して、決定された前記第1の位置と前記標的位置との間の差を決定することを含む、請求項5に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、
前記治療領域の1つ以上の術中医用画像をキャプチャすることと、
前記1つ以上の術中医用画像を参照して前記標的位置を画定することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記1つ以上の術中医用画像が、1つ以上の蛍光透視画像を含む、請求項7に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の位置センサの出力を前記1つ以上の術中医用画像に登録させる、請求項7に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記第1の医療用器具の前記細長いシャフトの遠位端部から延びる第1の軸に沿って前記標的位置を決定することを含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記第2の医療用器具の軸を前記標的位置と位置合わせさせ、
前記第2の医療用器具を前記標的位置に向けて前進させる、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記第2の医療用器具がロボットアームに取り付けられ、
前記ロボットアームが、前記第2の医療用器具の動作を前記軸に沿った動作に限定する、
請求項11に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記第1の医療用器具が内視鏡を含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記第1の医療用器具がロボット制御される、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記第2の医療用器具がロボット制御される、請求項14に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記患者の前記動きが呼吸に起因する、請求項
1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
医療システムであって、
患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入されるように構成された第1の医療用器具であって、前記第1の医療用器具が、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える、第1の医療用器具と、
前記治療領域に前記患者の経皮的開口部を通して挿入されるように構成された第2の医療用器具であって、第2の位置センサを備える、第2の医療用器具と、
実行可能命令を記憶している少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信している1つ以上のプロセッサであって、前記命令を実行して、前記システムに、少なくとも、
前記第1の位置センサの出力に基づいて、前記治療領域内の前記第1の医療用器具の第1の位置を決定させ、
決定された前記第1の位置に基づいて前記治療領域内の標的位置を画定させ、
前記第2の位置センサからの出力に基づいて前記第2の医療用器具の向きを決定させ、
外側境界、前記標的位置を表す標的インジケータ、および前記第2の医療用器具を表す器具インジケータを含む位置合わせインターフェースを表示させることであって、前記器具インジケータの前記標的インジケータに対する距離は、前記第2の医療用器具の向きの前記標的位置に対するアライメント量を示し、前記器具インジケータは、前記アライメント量の変化に応じて前記外側境界内を移動するように構成されている、表示させる、ように構成された、1つ以上のプロセッサと、
を備え
、
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリは、請求項1から17のいずれか1つに記載のコンピュータ可読媒体である、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月28日出願の米国仮特許出願第62/738,706号に対する優先権を主張するものであり、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に開示されるシステム及び方法は、医療システム及び医療処置に関し、より具体的には、内視鏡支援経皮的医療処置及び腹腔鏡支援内視鏡処置などの内視鏡及び経皮的医療処置の併用のためのロボットシステム並びに方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡検査及び腹腔鏡検査などの医療処置では、診断及び/又は治療目的で患者の解剖学的構造の内部にアクセスし可視化を行う場合がある。例えば、尿管鏡検査は、腎臓結石の治療に一般的に使用される医療処置である。処置中、尿管鏡として知られる薄い可撓性の管状ツール又は器具が、尿道に、膀胱及び尿管を介して、更に腎臓内に挿入され得る。いくつかの場合、腎臓への経皮的アクセスも所望される場合がある。
【0004】
いくつかの医療処置では、外科用ロボットシステムを、外科用ツールの挿入及び/又は操作を制御するために使用することができる。外科用ロボットシステムは、処置中の外科用ツールの位置決めを制御するために使用されるマニピュレータアセンブリを有する少なくとも1つのロボットアーム又はその他の器具位置決めデバイスを含むことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のシステム、方法及び装置はそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つとして本明細書に開示される望ましい属性を単独で司るものではない。
【0006】
第1の態様では、医療処置を実行する方法は、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に患者の自然開口部を通して挿入することと、第1の位置センサを用いて、治療領域内の第1の医療用器具の第1の位置を決定することと、決定された第1の位置から離れた治療領域内の標的位置を画定することと、第2の医療用器具を患者を通して標的位置に向けて経皮的に案内することと、を含む。
【0007】
本方法はまた、任意の組み合わせで以下の特徴の1つ以上を含んでもよい:(a)第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することを含み、第1の位置センサを用いて治療領域内の器具の第1の位置を決定することが、術前モデルを参照して第1の位置を決定することを含む、(b)術前モデルが解剖学的構造の三次元再構成を含む、(c)治療領域内の標的位置を画定することが、術前モデルを参照して、標的位置を決定することを含む、(d)術前モデルを参照して標的位置を決定することが、術前モデルをユーザに表示することと、術前モデルを参照して標的位置の選択を受信することと、を含む、(e)標的位置を画定することが、術前モデルを参照して、決定された第1の位置と標的位置との間の差を決定することを含む、(f)標的位置の表現をユーザに表示する、(g)治療領域内の標的位置を画定することが、治療領域の1つ以上の術中医用画像をキャプチャすることと、1つ以上の術中医用画像を参照して標的位置を画定することと、を含む、(h)1つ以上の術中医用画像が1つ以上の蛍光透視画像を含む、(i)第1の位置センサの出力を1つ以上の術中医用画像に登録する、(j)決定された第1の位置から離れた治療領域内の標的位置を画定することが、第1の医療用器具の細長いシャフトの遠位端部から延びる第1の軸に沿って標的位置を決定することを含む、(k)第2の医療用器具を患者を通して標的位置に向けて経皮的に案内することが、第2の医療用器具の第2の軸を標的位置と位置合わせすることと、第2の医療用器具を標的位置に向けて前進させることと、を含む、(l)第2の医療用器具がロボットアームに取り付けられ、ロボットアームが、第2の医療用器具の動作を第2の軸に沿った動作に限定する、(m)第1の医療用器具が内視鏡を含む、(n)第1の医療用器具がロボット制御される、(o)第2の医療用器具がロボット制御される、(p)治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、(q)第1の医療用器具の第1の位置センサを用いて患者の動きを判定することを含み、第2の医療用器具を患者を通して標的位置に向けて経皮的に案内することが、判定された患者の動きに部分的に基づく、及び/又は(r)患者の動きが呼吸に起因する。
【0008】
別の態様では、医療処置を実行する方法は、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に患者の自然開口部を通して挿入することと、第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することと、術前モデルをユーザに表示することと、術前モデルを参照して境界を作成するための1つ以上の仮想基準の位置を画定することであって、1つ以上の仮想基準の位置が、第1の位置センサの登録された出力に基づいて決定される、画定することと、第1の位置センサが境界から離れるように、第1の医療用器具を位置決めすることと、1つ以上の仮想基準に基づいて、経皮的開口部を通して第2の器具を治療領域に、又は治療領域内に案内することと、を含む。
【0009】
本方法はまた、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい:(a)1つ以上の仮想基準の位置を決定することが、位置の各々について、第1の医療用器具を、仮想基準が配置される治療領域内の場所にナビゲートすることと、場所を、第1の位置センサの登録された出力に基づいて、仮想基準の位置として画定することと、を含む、(b)1つ以上の仮想基準の位置を決定することが、位置の各々について、1つ以上の仮想基準のうちの1つを配置する場所のユーザ選択を受信することと、第1の位置センサに基づいて決定された少なくとも第1の位置を参照して場所に対応する仮想基準位置を決定することと、を含み、仮想基準位置が、第1の位置から離れている、(c)境界が切除体積を画定する、(d)第1の医療用器具が内視鏡を含む、(e)第1の医療用器具がロボット制御される、(f)治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、及び/又は(g)術前モデルがCTスキャンに基づいて決定される。
【0010】
別の態様では、コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサに、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に患者の自然開口部を通して挿入することと、第1の位置センサを用いて、治療領域内の第1の医療用器具の第1の位置を決定することと、決定された第1の位置から離れた治療領域内の標的位置を画定することと、第2の医療用器具を患者を通して標的位置に向けて経皮的に案内することと、を行わせるように構成された命令を含む。
【0011】
コンピュータ可読媒体はまた、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい:(a)命令が更に、少なくとも1つのプロセッサに、第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録させ、第1の位置センサを用いて治療領域内の器具の第1の位置を決定することが、術前モデルを参照して第1の位置を決定することを含む、(b)術前モデルが、解剖学的構造の三次元再構成を含む、(c)治療領域内の標的位置を画定することが、術前モデルを参照して標的位置を決定することを含む、(d)術前モデルを参照して標的位置を決定することが、術前モデルをユーザに表示することと、術前モデルを参照して、標的位置の選択を受信することと、を含む、(e)標的位置を画定することが、術前モデルを参照して、決定された第1の位置と標的位置との間の差を決定することを含む、(f)命令が更に、少なくとも1つのプロセッサに、目標位置の表現をユーザに表示させる、(g)治療領域内の標的位置を画定することが、治療領域の1つ以上の術中医用画像をキャプチャすることと、1つ以上の術中医用画像を参照して標的位置を画定することと、を含む、(h)1つ以上の術中医用画像が、1つ以上の蛍光透視画像を含む、(i)命令が更に、少なくとも1つのプロセッサに、第1の位置センサの出力を1つ以上の術中医用画像に登録させ、(j)決定された第1の位置から離れた治療領域内の標的位置を画定することが、第1の医療用器具の細長いシャフトの遠位端部から延びる第1の軸に沿って標的位置を決定することを含む、(k)第2の医療用器具を患者を通して標的位置に向けて経皮的に案内することが、第2の医療用器具の第2の軸を標的位置と位置合わせすること、第2の医療用器具を標的位置に向けて前進させることと、を含む、(l)第2の医療用器具がロボットアームに取り付けられ、ロボットアームが、第2の医療用器具の動作を第2の軸に沿った動作に限定する、(m)第1の医療用器具が内視鏡を含む、(n)第1の医療用器具がロボット制御される、(o)第2の医療用器具がロボット制御される、(p)治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、(q)命令が更に、少なくとも1つのプロセッサに、第1の医療用器具の第1の位置センサを用いて患者の動きを判定させ、第2の器具を患者を通して標的位置に向けて経皮的に案内することが、判定された患者の動きに部分的に基づく、及び/又は(r)患者の動きが呼吸に起因する。
【0012】
別の態様では、医療システムは、患者の治療領域に患者の自然開口部を通して挿入されるように構成された第1の医療用器具であって、第1の医療用器具が、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える、第1の医療用器具と、治療領域に患者の経皮的開口部を通して挿入されるように構成された第2の医療用器具と、実行可能命令を記憶している少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信している1つ以上のプロセッサであって、命令を実行して、システムに、少なくとも、第1の位置センサの出力に基づいて、治療領域内の第1の医療用器具の第1の位置を決定させ、決定された第1の位置から離れた治療領域内の標的位置を画定させ、標的位置を決定された第1の位置に登録させ、第2の医療用器具を、経皮的開口部を通して標的位置に向けて案内させる、ように構成された、1つ以上のプロセッサと、を備える。
【0013】
システムは、任意の組み合わせで以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい:(a)命令が更に、システムに、第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録させ、第1の位置センサを用いて治療領域内の器具の第1の位置を決定することが、術前モデルを参照して第1の位置を決定することを含む、(b)治療領域内の標的位置を画定することが、術前モデルを参照して標的位置を決定することを含む、(c)術前モデルを参照して標的位置を決定することが、術前モデルをユーザに表示することと、術前モデルを参照して、標的位置の選択を受信することと、を含む、(d)標的位置を画定することが、術前モデルを参照して、決定された第1の位置と標的位置との間の差を決定することを含む、(e)目標位置の表現をユーザに表示するように構成されたディスプレイ、(f)治療領域内の標的位置を画定することが、治療領域の1つ以上の術中医用画像をキャプチャすることと、1つ以上の術中医用画像を参照して標的位置を画定することと、を含む、(g)1つ以上の術中医用画像が、1つ以上の蛍光透視画像を含み、(h)命令が更に、システムに、第1の位置センサの出力を1つ以上の術中医用画像に登録させる、(i)決定された第1の位置から離れた治療領域内の標的位置を画定することが、第1の医療用器具の細長いシャフトの遠位端部から延びる第1の軸に沿って標的位置を決定することを含む、(j)第2の医療用器具を患者を通って標的位置に向けて案内することが、第2の医療用器具の第2の軸を標的位置と位置合わせすることと、第2の医療用器具を標的位置に向けて前進させることと、を含む、(k)ロボットアームであって、第2の医療用器具がロボットアームに取り付けられ、ロボットアームが、第2の医療用器具の動作を第2の軸に沿った動作に限定するロボットアーム、(l)第1の医療用器具が内視鏡を含む、(m)第1の医療用器具がロボット制御される、及び/又は(n)第2の医療用器具がロボット制御される。
【0014】
別の態様では、コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサに、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に患者の自然開口部を通して挿入することと、第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することと、術前モデルをユーザに表示することと、術前モデルを参照して境界を作成するための1つ以上の仮想基準の位置を画定することであって、1つ以上の仮想基準の位置が、第1の位置センサの登録された出力に基づいて決定される、画定することと、第1の位置センサが境界から離れるように、第1の医療用器具を位置決めさせることと、1つ以上の仮想基準に基づいて、第2の器具を、経皮的開口部を通して治療領域に、又は治療領域内に案内することと、を行わせるように構成された命令を含む。
【0015】
コンピュータ可読媒体はまた、任意の組み合わせで以下の特徴の1つ以上を含んでもよい:(a)1つ以上の仮想基準の位置を決定することが、位置の各々について、第1の医療用器具を、仮想基準が配置される治療領域内の場所にナビゲートすることと、場所を、第1の位置センサの登録された出力に基づいて、仮想基準の位置として画定することと、を含む、(b)1つ以上の仮想基準の位置を決定することが、位置の各々について、1つ以上の仮想基準のうちの1つを配置する場所のユーザ選択を受信することと、第1の位置センサに基づいて決定された少なくとも第1の位置を参照して場所に対応する仮想基準位置を決定することと、を含み、仮想基準位置が、第1の位置から離れている、(c)境界が切除体積を画定する、(d)第1の医療用器具が内視鏡を含む、(e)第1の医療用器具がロボット制御される、(f)治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、及び/又は(g)術前モデルがCTスキャンに基づいて決定される。
【0016】
別の態様では、医療システムは、患者の治療領域に患者の自然開口部を通して挿入されるように構成された第1の医療用器具であって、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える、第1の医療用器具と、治療領域に患者の経皮的開口部を通して挿入されるように構成された第2の医療用器具と、実行可能命令を記憶している少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信している1つ以上のプロセッサであって、命令を実行して、システムに、少なくとも、第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することと、術前モデルをユーザに表示することと、術前モデルを参照して境界を作成するための1つ以上の仮想基準の位置を画定することであって、1つ以上の仮想基準の位置が、第1の位置センサの登録された出力に基づいて決定される、画定することと、1つ以上の仮想基準に基づいて、第2の医療用器具を、経皮的開口部を通して治療領域に、又は治療領域内に案内することと、を行わせるように構成された、1つ以上のプロセッサと、を備える。
【0017】
システムはまた、任意の組み合わせで以下の特徴の1つ以上を含んでもよい:(a)1つ以上の仮想基準の位置を決定することが、位置の各々について、第1の医療用器具を、仮想基準が配置される治療領域内の場所にナビゲートすることと、場所を、第1の位置センサの登録された出力に基づいて、仮想基準の位置として画定することと、を含む、(b)1つ以上の仮想基準の位置を決定することが、位置の各々について、1つ以上の仮想基準のうちの1つを配置する場所のユーザ選択を受信することと、第1の位置センサに基づいて決定された少なくとも第1の位置を参照して場所に対応する仮想基準位置を決定することと、を含み、仮想基準位置が、第1の位置から離れている、(c)境界が切除体積を画定する、(d)第1の医療用器具が内視鏡を含む、(e)第1の医療用器具がロボット制御される、(f)治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、及び/又は(g)術前モデルがCTスキャンに基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、限定するものではなく、同様の称号は同様の要素を示す。
【
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
【
図2】
図1のロボットシステムの更なる態様を描写する図である。
【
図3】尿管鏡検査のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す図である。
【
図4】血管処置のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す図である。
【
図5】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
【
図6】
図5のロボットシステムの代替的な図である。
【
図7】ロボットアームを収容するように構成された例示的なシステムを示す図である。
【
図8】尿管鏡検査のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
【
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
【
図10】ピッチ又は傾斜調整を有する
図5~
図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す図である。
【
図11】
図5~
図10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図である。
【
図12】テーブルベースのロボットシステムの代替的実施形態を示す図である。
【
図13】
図12のテーブルベースのロボットシステムの端面図である。
【
図14】ロボットアームが取り付けられた、テーブルベースのロボットシステムの端面図である。
【
図16】ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す図である。
【
図17】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す図である。
【
図18】器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す図である。
【
図20】例示的な実施形態に係る、
図16~
図18の器具の場所など、
図1~
図10のロボットシステムの1つ以上の要素の場所を推定する位置特定システムを示すブロック図である。
【
図21A】腎臓内における内視鏡支援経皮的医療処置の実施形態における様々なステップを示す図である。腎臓内に案内される第1の医療用器具の例を示す図である。
【
図21B】腎臓内における内視鏡支援経皮的医療処置の実施形態における様々なステップを示す図である。第1の医療用器具から離れた標的位置の決定の例を示す図である。
【
図21C】腎臓内における内視鏡支援経皮的医療処置の実施形態における様々なステップを示す図である。第2の医療用器具の標的位置との位置合わせの例を示す図である。
【
図21D】腎臓内における内視鏡支援経皮的医療処置の実施形態における様々なステップを示す図である。標的位置に到達するための第2の医療用器具の経皮的挿入の例を示す図である。
【
図22A】いくつかの内視鏡医療処置及び経皮的医療処置の併用のための標的位置に医療用器具を位置合わせするための位置合わせ方法の、実施形態における様々なステップを示す図である。医療用器具の遠位端部が標的位置に接近させられる、おおまかな位置合わせステップの例を示す図である。
【
図22B】いくつかの内視鏡医療処置及び経皮的医療処置の併用のための標的位置に医療用器具を位置合わせするための位置合わせ方法の、実施形態における様々なステップを示す図である。医療用器具の長手方向軸が標的位置と位置合わせされる、精密な位置合わせステップの例を示す図である。
【
図23A】一実施形態に係る、
図22Bの精密な位置合わせステップを支援するための例示的な位置合わせインターフェースを示す図である。医療用器具が標的位置と位置合わせされていないときの位置合わせインターフェースの例を示す図である。
【
図23B】一実施形態に係る、
図22Bの精密な位置合わせステップを支援するための例示的な位置合わせインターフェースを示す図である。医療用器具が標的位置と位置合わせされているときの位置合わせインターフェースの例を示す図である。
【
図24】
図23A及び
図23Bの位置合わせインターフェースを含む例示的なユーザインターフェースを示す図である。
【
図25A】肺内の内視鏡支援経皮的医療処置の別の実施形態における様々なステップを示す図である。処置中に仮想基準を配置又は作成する例を示す図である。
【
図25B】肺内の内視鏡支援経皮的医療処置の別の実施形態における様々なステップを示す図である。仮想基準に基づいて1つ以上の経皮的器具の境界を作成する例を示す図である。
【
図26】胃腸管内の内視鏡医療処置及び経皮的医療処置の併用のための例示的な実施形態を示す図である。
【
図27A】医療用器具を標的位置とランデブーさせることを含む医療処置を実施するための方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図27B】仮想基準を配置して境界を画定することを含む医療処置を実行するための方法の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.概論。
本開示の態様は、腹腔鏡などの低侵襲性、及び内視鏡などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボットで使用可能な医療用システムに統合され得る。内視鏡処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことができる。
【0020】
幅広い処置を実行することに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。更に、システムは、厄介な腕の動作及び姿勢を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0021】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示された概念の多くの他の実施態様が可能であり、開示された実施態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0022】
A.ロボットシステム-カート
ロボットで使用可能な医療用システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。
図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置された、ロボットで使用可能なカートベースのシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査の間、システム10は、気管支鏡検査のための処置専用気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療用器具を、診断及び/又は治療用具を送達するための自然開口部アクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置決めされている患者の口)に送達するための1つ以上のロボットアーム12を有するカート11を備えることができる。示されるように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置決めすることができる。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置決めするために作動させることができる。
図1の配置はまた、胃腸管(gastro-intestinal、GI)処置を、GI処置のための特殊な内視鏡である胃鏡を用いて実行するときに利用することができる。
図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に示す。
【0023】
図1を引き続き参照し、カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。示されるように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダ部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を備えてもよく、各部分は、器具ドライバのセット28から別個の器具ドライバに連結され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端部に連結されている。リーダ部分をシース部分と同軸上に位置合わせするのを容易にする、器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再位置決めされ得る「仮想レール」29を作成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムの物理的構造を示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進若しくは後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動させられてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0024】
内視鏡13は、対象の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下方に向けられてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操縦して、内側リーダ部分を外側シース部分から入れ子状に延ばし、高められた関節運動及びより大きな曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダ部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能となる。
【0025】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように方向付けられてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下方に展開されて、病理医によって分析される組織サンプルを得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下方に展開されてもよい。小結節を悪性と識別した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するために器具を内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別々の手順で提供することができる。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の場所を「マーク」するために基準を送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0026】
システム10はまた、カート11に支持ケーブルを介して接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のためのサポートを提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフがより容易に調整及び/又は再位置決めすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して配置されてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように離れた場所に格納されてもよい。
【0027】
上述のロボットシステムのサポートにおいて、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11で行われるのかにかかわらず、そのシステム又はサブシステム全体を制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるときに、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置決めしてもよい。
【0028】
タワー30は、内視鏡13を通して配備することができるシステムに、制御された灌注及び吸引機能を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスも含むことができる。これらの構成要素はまた、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブルを通して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0029】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート11はより小さく、より移動可能になる。
【0030】
タワー30は、ロボットシステム10全体に配備されたセンサのための支持機器も含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10全体の光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30はまた、展開された電磁(EM)センサから信号を受信し、受信した信号を処理するための電子サブシステムも含んでもよい。タワー30はまた、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、位置決めするためにも使用されてもよい。
【0031】
タワー30はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部上に装着されたコンソールに追加して、コンソール31を含んでもよい。コンソール31は、オペレータである医師のためのユーザインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール31は、看護師などの第2のオペレータによって使用されて、患者の健康又はバイタル、及びシステム10の動作を監視し、並びにナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。その他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別個の本体内に収容される。
【0032】
タワー30は、1つ以上のケーブル又は接続部(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からのサポート機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個の配線及び接続部で連結されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカート11に電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのためのサポートは、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0033】
図2は、
図1に示されるロボットで使用可能なカートベースのシステムからのカート11の実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と呼ばれることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ以上のロボットアーム12(
図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするために垂直軸に沿って回転してロボットアーム12の基部を調整する、個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0034】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に位置決めされているスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジ17を位置決めし、保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0035】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進する際にカラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置決めされているばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ17が上下方向に垂直方向に並進するのにつれてコイル状から伸縮するように展開されるまで、スプール内でコイル巻きされている。スプールのバネ荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進するときにカバーをスプールに引き込む力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れて並進するときにはぴったりとした封止も維持する。カバーは、キャリッジ17が並進する際にカバーが適切に伸縮するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0036】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に位置合わせされた主ねじを使用するように設計された、ギヤ及びモータなどの機構を内部に備えてもよい。
【0037】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連のリンク23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を備えてもよく、各関節は独立したアクチュエータを備え、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを備える。それぞれ独立して制御可能な関節は、ロボットアーム12が利用可能な独立した自由度を表す。ロボットアーム12の各々は、7つの関節を有してもよく、したがって、7つの自由度を提供することが可能である。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度を有することにより、ロボットアーム12は、異なるリンク位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることが可能となる。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療用器具を位置決めし、方向付けることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながらよりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0038】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17、及びロボットアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカート11の移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカート11が部屋中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、処置中にカート11を所定の場所に保持するためのホイールロックを使用して静止させられてもよい。
【0039】
カラム14の垂直方向の端部に配置されたコンソール16は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザに提供する。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、及び/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、並びに呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側のカラム14側からコンソール16にアクセスすることを可能にするように配置され、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、及び患者を見ることができる。図示のように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0040】
図3は、尿管鏡検査のために配置された、ロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように位置決めされてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接位置合わせされして、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。示されるように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直線状に直接アクセスするために位置決めすることを可能にするように、テーブルの脚部に位置合わせされてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0041】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために、膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32を尿管や腎臓に向けて、尿管鏡32の作動チャネルの下方に配備されたレーザ又は超音波結石破砕デバイスを用いて、腎臓結石の蓄積を破砕することができる。砕石術が完了した後、得られた結石片は、尿管鏡32の下方に展開されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0042】
図4は、血管処置のために同様に配置された、ロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への、遠回りが比較的少ない曲がりくねった経路の両方を示し、これはナビゲーションを簡素化する。尿管鏡処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向かって位置決めされて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療用器具34が方向付けられ、挿入されてもよい。代替的には、カートは、例えば、肩及び手首付近の頸動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置決めされてもよい。
【0043】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボットで使用可能な医療用システムの実施形態は、患者テーブルも組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートをなくすことによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。
図5は、気管支鏡検査処置のために配置された、そのようなロボットで使用可能なシステムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは器具ドライバ42を備え、器具ドライバ42の線形の位置合わせから形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、
図5の気管支鏡40などの細長い医療用器具を操作するように設計されている。実際には、蛍光透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置決めされてもよい。
【0044】
図6は、説明を目的として、患者及び医療用器具なしのシステム36の代替的な図を提供する。示されるように、カラム37は、1つ以上のロボットアーム39の基部となり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置決めされ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に位置決めされている機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の多数の側部へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置決めされてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要もないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システム36は、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに位置合わせすることができる。その他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延びるバー又はレールの形態の調整可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ以上のロボットアーム39を、(例えば、肘関節を有する肩部を介して)垂直方向に調整することができる調整可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直方向の調節を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容されることが可能であり、その後、処置中に引き上げられることが可能である。
【0045】
ロボットアーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延び得る一連の関節を含むアームマウント45のセットを介してキャリッジ43に装着されてもよい。加えて、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されると、アームマウント45がテーブル38の同じ側(
図6に示すように)、テーブル38の両側(
図9に示すように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置決めされ得るように、キャリッジ43上に位置決めされ得る。
【0046】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジ43の垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジ43の並進を機械化するためのモータを備えていてもよい。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0047】
テーブル基部46は、
図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスタを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスタは、基部46の両側で反対方向に延ばし、システム36を移動させる必要があるときに引き込んでもよい。
【0048】
引き続き
図6を参照すると、システム36はまた、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々なサポート機能をテーブルに提供してもよい。タワーは、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置決めされるように移動可能でもあってもよい。加えて、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアーム39の潜在的な収容のために、テーブル基部46内により多くの保管空間を可能にする。タワーは、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェースと、リアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)との両方を提供するマスターコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、送気のために使用されるガスタンク用のホルダを含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。
図7は、テーブルベースのシステムの実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内へと垂直方向に並進させられてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びロボットアーム50をカラム53の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0050】
図8は、尿管鏡処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置決めするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように位置決めするために、枢動点(例えば、患者の頭部の下方に配置)を中心に回転又は枢動してもよい。例えば、スイベル部分55の旋回により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置決めされることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、患者の鼠径部領域に尿管鏡56を直接挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にあぶみ58が固定されてもよい。
【0051】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを実施するように方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを備えることができる。
図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。
図9に示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようアームマウント45を使用して位置決めされ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置決めしてもよい。
【0052】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボットで使用可能なテーブルシステムはまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜もさせてもよい。
図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボットで使用可能な医療用システムの実施形態を示す。
図10に示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方の部分を他方の部分より床から離れた距離に位置決めすることができる。加えて、アームマウント45は、ロボットアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。急角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触したりテーブル基部46と衝突したりするのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延びるのを可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0053】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図示を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を多数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置決めによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動させられる。一方のネジ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のネジ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手が用いられてもよい。
【0054】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置決めしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部を患者の上腹部よりも床からより高い位置に位置決めしようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、重力によって患者の内臓を患者の上腹部に向かってスライドさせ、低侵襲性ツールが入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科又は医療処置を実施するために、腹腔を空にする。
【0055】
図12及び
図13は、テーブルベースの外科用ロボットシステム100の別の実施形態の等角図及び端面図を示す。外科用ロボットシステム100は、テーブル101に対して1つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る1つ以上の調節可能なアーム支持体105(例えば、
図14参照)を含む。図示される実施形態では、単一の調整可能なアーム支持体105が示されているが、テーブル101の反対側に追加のアーム支持体を設けることができる。調整可能アームサポート105は、テーブル101に対して移動して、調整可能アーム支持体105及び/又はテーブル101に対してそれに取り付けられた任意のロボットアームの位置を調節及び/又は変更できるように構成され得る。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101に対して1つ以上の自由度で調節することができる。調整可能なアーム支持体105は、1つ以上の調整可能なアーム支持体105及びそれに取り付けられた任意のロボットアームをテーブル101の下に容易に収容する能力を含む、システム100への高い汎用性を提供する。調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の下の位置まで上昇させることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の上方の位置まで上昇させることができる。
【0056】
調節可能なアーム支持体105は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、いくつかの自由度を提供することができる。
図12及び
図13の図示の実施形態では、アーム支持体105は、4自由度で構成され、
図12に矢印で示されている。第1の自由度は、z方向における調整可能なアーム支持体105の調節(「Zリフト」)を可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101を支持するカラム102に沿って、又はそれに対して上下に動くことができるように構成されたキャリッジ109を含むことができる。第2の自由度は、調整可能なアーム支持体105が傾くことを可能にできる。例えば、調整可能なアーム支持体105は、回転接合部を含むことができ、それは、例えば、調整可能なアーム支持体105を、トレンデレンブルグ位置のベッドと位置合わせすることを可能にする。第3の自由度は、調整可能なアーム支持体105は「上方枢動する」ことを可能にでき、それを使用して、テーブル101の側部と調整可能なアーム支持体105との間の距離を調節することができる。第4の自由度は、テーブルの長手方向の長さに沿って調整可能なアーム支持体105の並進を可能にできる。
【0057】
図12及び
図13の外科用ロボットシステム100は、ベース103に取り付けられたカラム102によって支持されるテーブルを備えることができる。したがって、基部103及びカラム102は、支持面に対してテーブル101を支持する。床軸131及び支持軸133は、
図13に示される。
【0058】
調整可能なアーム支持体105は、カラム102に取り付けることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101又は基部103に取り付けることができる。調整可能なアーム支持体105は、キャリッジ109、バー又はレールコネクタ111、及びバー又はレール107を含むことができる。いくつかの実施形態では、レール107に取り付けられた1つ以上のロボットアームは、互いに対して並進及び移動することができる。
【0059】
キャリッジ109は、第1の接合部113によってカラム102に取り付けられてもよく、それにより、キャリッジ109がカラム102に対して移動することが可能になる(例えば、第1又は垂直軸123の上下など)。第1の接合部113は、調整可能なアーム支持体105に第1の自由度(「Zリフト」)を提供することができる。調整可能なアーム支持体105は、調整可能なアーム支持体105の第2の自由度(傾斜)を提供する第2の接合部115を含むことができる。調整可能なアーム支持体105は、第3の自由度(「上方枢動」)を調整可能なアーム支持体105に提供することができる第3の接合部117を含むことができる。レールコネクタ111が第3の軸127を中心にして回転させられるときにレール107の方向を維持するように第3の接合部117を機械的に拘束する、追加の接合部119(
図13に示す)を設けることができる。調整可能なアーム支持体105は、第4の軸129に沿って調整可能なアーム支持体105に対して第4の自由度(並進)を提供することができる第4の接合部121を含むことができる。
【0060】
図14は、テーブル101の両側に取り付けられた2つの調節可能なアーム支持体105A、105Bを有する、外科用ロボットシステム140Aの端面図を示す。第1のロボットアーム142Aは、第1の調整可能なアーム支持体105Bのバー又はレール107Aに取り付けられる。第1のロボットアーム142Aは、レール107Aに取り付けられた基部144Aを含む。第1のロボットアーム142Aの遠位端部は、1つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けることができる器具駆動機構146Aを含む。同様に、第2のロボットアーム142Bは、レール107Bに取り付けられた基部144Bを含む。第2のロボットアーム142Bの遠位端部は、器具駆動機構146Bを含む。器具駆動機構146Bは、1つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けるように構成され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、7つ以上の自由度を有するアームを備える。いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、挿入軸(挿入を含む1自由度)、リスト(リストピッチ、ヨー及びロールを含む3自由度)、エルボ(エルボピッチを含む1自由度)、ショルダ(ショルダピッチ及びヨーを含む2自由度)、及び基部144A、144B(並進を含む1自由度)、を含む8自由度を含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム142A、142Bによって提供することができるが、他の実施形態では、器具自体は、器具ベースの挿入アーキテクチャを介して挿入を提供する。
【0062】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と呼ばれる)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療用器具と、を含み得る。この二分法は、医療処置に使用される医療用器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び繊細な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことを根拠とする場合がある。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外され、除去され、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布をすることができる。
【0063】
図15は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端部に配置される器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療用器具に制御されたトルクを提供するために平行軸を伴って配置された1つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギヤヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を備える。各駆動ユニット63は独立して制御及びモータ駆動され、器具ドライバ62は、複数(
図15に示すように4つ)の独立した駆動出力を医療用器具に提供してもよい。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0064】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する、滅菌ドレープに接続された滅菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。滅菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力部に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力部との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な滅菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力部及び出力部と、器具に対する駆動入力部とを含み得る。滅菌アダプタに接続される滅菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置決めされている間に、資本設備を患者に近接して配置することが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療用器具は、滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者とインターフェースしてもよい。
【0065】
D.医療用器具
図16は、ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を備える。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、概して、ロボットアーム76の遠位端部において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延びる駆動出力部74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部73、例えば、レセプタクル、プーリー、又はスプールを備えてもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は連結されるときに、器具基部72の嵌合された駆動入力部73は、器具ドライバ75における駆動出力部74と回転軸を共有して、駆動出力部74から駆動入力部73へのトルクの伝達を可能とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力部74は、駆動入力部73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを備えてもよい。
【0066】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計される。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであってもよく、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含んでもよい。腹腔鏡のために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端部は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合されたリストから延びるエンドエフェクタ、及び駆動入力部が器具ドライバ75の駆動出力部74から受け取ったトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみである、外科用ツール又は医療用器具に接続することができる。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端部は、器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0067】
器具ドライバ75からのトルクは、細長いシャフト71に沿った腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力部73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ以上のプルルーメン(pull lumen)に向けられ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分のリストに固定される。腹腔鏡、内視鏡、又はハイブリッド処置などの外科処置中、これらの腱は、リスト、把持具、又ははさみなどの遠位に取り付けられたエンドエフェクタに連結されてもよい。このような構成の下で、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的には、腱は、細長いシャフト71の遠位端部で把持具の1つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具は閉鎖される。
【0068】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端部に)位置決めされている屈曲部又は関節運動部に連結されてもよい。屈曲部の遠位端部に固定的に取り付けられる場合、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部(関節運動可能部又は関節運動可能領域と呼ばれることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)向く個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。螺旋の角度及び/又はそれらの間の間隔は、特定の目的のために変更又は設計することができ、よりきつい螺旋は負荷力の下でより少ないシャフト圧縮を示し、一方、より少ない量の螺旋は負荷力の下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲を制限する。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に方向付けられて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0069】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフト71は、シャフト71の遠位端部における手術領域に対して外科用ツール(又は医療用器具)を展開する、灌注する、及び/又は吸引するための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71は、遠位先端部の光学アセンブリに信号を伝送するためのワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよく、これは光学カメラを含んでもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフト71の遠位端部に光を搬送するための光ファイバを収容してもよい。
【0070】
器具70の遠位端部では、遠位先端部は、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口部を備えてもよい。遠位先端部はまた、内部解剖学的空間の画像をキャプチャするために、ファイバスコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端部はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源用のポートを含んでもよい。
【0071】
図16の例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は、細長いシャフト71の軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力部73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることにより、腱が駆動入力部73から延び、細長いシャフト71内のプルルーメンに入る際に、腱の望ましくない絡まりをもたらす。そのような腱の結果としての絡まりは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフト71の動きを予測することを意図した制御アルゴリズムを混乱させる可能性がある。
【0072】
図17は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。示されるように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に位置合わせされた駆動出力部81を備える4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバ80の非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持され得る電気接点を介して、器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81を回転させることを可能にする。
【0073】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力部81を受け入れるように構成された複数の駆動入力部89(レセプタクル、プーリー、及びスプールなど)を備えた器具基部87(説明目的のために透明な外部スキンで示される)と、を備えてもよい。先の開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延び、軸は駆動入力部89の軸に実質的に平行であり、
図16の設計にあるように直交してはいない。
【0074】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に連結されると、器具基部87及び器具シャフト88を備える医療用器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置決めされているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力部89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部81、駆動入力部89、及び器具シャフト88の軸の平行性は、制御腱を絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0075】
図18は、いくつかの実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。器具150は、上述の器具ドライバのいずれかに連結することができる。器具150は、細長いシャフト152と、シャフト152に接続されたエンドエフェクタ162と、シャフト152に連結されたハンドル170とを備える。細長いシャフト152は、近位部分154及び遠位部分156を有する管状部材を備える。細長いシャフト152は、その外側表面に沿った1つ以上のチャネル又は溝158を備える。溝158は、1つ以上のワイヤ又はケーブル180をそれを通して受け入れるように構成されている。したがって、1つ以上のケーブル180は、細長いシャフト152の外側表面に沿って延びる。他の実施形態では、ケーブル180は、細長いシャフト152を通って延びることもできる。いくつかの実施形態では、これらのケーブル180のうちの1つ以上の操作(例えば、器具ドライバを介して)により、エンドエフェクタ162の作動がもたらされる。
【0076】
器具基部とも称され得る器具ハンドル170は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ以上のトルクカプラと往復嵌合するように設計された1つ以上の機械的入力部174、例えばレセプタクル、プーリー又はスプールを有する取り付けインターフェース172を備えることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、器具150は、細長いシャフト152がハンドル170に対して並進することを可能にする一連のプーリー又はケーブルを備える。換言すれば、器具150自体は器具の挿入を収容する器具ベースの挿入アーキテクチャを備え、それによって器具150の挿入を提供するためにロボットアームへの依存を最小化する。他の実施形態では、ロボットアームは、器具の挿入に大きく関与することができる。
【0078】
E.コントローラ
本明細書に記載の任意のロボットシステムは、ロボットアームに取り付けられた器具を操作するための入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、器具と連結(例えば、通信的に、電子的に、電気的に、無線的に、及び/又は機械的に)することができ、それによりコントローラの操作は、例えば、マスタースレーブ制御を介して、器具の対応する操作を引き起こす。
【0079】
図19は、コントローラ182の実施形態の斜視図である。本実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を有することができるハイブリッドコントローラを備える。他の実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス又は受動的制御だけを利用することができる。他の実施形態では、コントローラ182は、アドミタンス制御だけを利用することができる。ハイブリッドコントローラであることにより、コントローラ182は、有利には、使用中、より低い知覚慣性を有することができる。
【0080】
図示される実施形態では、コントローラ182は、2つの医療用器具の操作を可能にするように構成され、2つのハンドル184を含む。ハンドル184の各々は、ジンバル186に接続されている。各ジンバル186は位置決めプラットフォーム188に接続されている。
【0081】
図19に示されるように、各位置決めプラットフォーム188は、プリズム接合部196によってカラム194に連結されたSCARAアーム(selective compliance assembly robot arm)198を含む。プリズム接合部196は、(例えば、レール197に沿って)カラム194に沿って並進するように構成され、ハンドル184のそれぞれがz方向に並進され、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム198は、x-y平面におけるハンドル184の動作を可能にし、2つの更なる自由度を提供するように構成されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、1つ以上のロードセルがコントローラ内に位置決めされる。例えば、いくつかの実施形態では、ロードセル(図示せず)は、ジンバル186の各々の本体内に位置決めされる。ロードセルを設けることによって、コントローラ182の一部分は、アドミタンス制御下で動作することができ、それによって、使用中にコントローラの知覚慣性を有利に低減する。いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188はアドミタンス制御用に構成され、一方、ジンバル186はインピーダンス制御用に構成されている。他の実施形態では、ジンバル186はアドミタンス制御用に構成され、位置決めプラットフォーム188はインピーダンス制御用に構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188の並進又は位置自由度は、アドミタンス制御に依存することができ、一方、ジンバル186の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。
【0083】
F.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、オペレータである医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の暴露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、用語「位置特定」は、基準座標系内のオブジェクトの位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用されるその他の場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0084】
図20は、例示的な実施形態にかかる、器具の場所など、ロボットシステムの1つ以上の要素の場所を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ以上の命令を実行するように構成されている1つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上で考察された1つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、
図1に示されるタワー30内にあっても、
図1~
図4に示されるカート11内にあっても、
図5~
図14に示されるベッド内にあってもよい。
【0085】
図20に示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療用器具の遠位先端部の場所データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。場所データ96は、基準系に対する器具の遠位端部の場所及び/又は向きを表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の考察を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0086】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの群を利用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の断面図の「スライス」として可視化される三次元画像へと再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の三次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルもまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0087】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ(又は画像データ)92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データ92を処理して、1つ以上の視覚ベースの(又は画像ベースの)位置追跡モジュール又は機能を有効にしてもよい。例えば、術前モデルデータ91は、医療用器具(例えば、内視鏡又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいて、モデルから、予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の場所にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端部でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照することができる。
【0088】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、追跡機能を使用して、カメラ、したがって内視鏡の動作を決定する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を決定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技術を更に向上させることがある。
【0089】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技術は、カメラの動きを推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動作検出、オブジェクトセグメンテーション計算、輝度、動作補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたり多数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を判定することができる。
【0090】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に登録され得るグローバル座標系内に、内視鏡のリアルタイムの場所を生成することができる。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内の1つ以上の位置及び向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に配置された1つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の場所を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」され得る。いったん登録されると、医療用器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端部)に埋め込まれたEMトラッカは、患者の解剖学的構造を通る医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0091】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定され得る。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定し得る。あるいは、これらの計算は、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定するために、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析することができる。
【0092】
図20が示すように、多くの他の入力データは、位置特定モジュール95によって使用することができる。例えば、
図20には示していないが、形状感知ファイバを利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の場所及び形状を判定するために使用し得る形状データを提供することができる。
【0093】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された場所に信頼重みを割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼でき得ない場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された場所の信頼性を低下させることになり、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0094】
上で考察されるように、本明細書で考察されるロボットシステムは、上記の技術のうちの1つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートをベースとするロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0095】
2.内視鏡医療処置及び経皮的医療処置の併用のためのロボットシステム並びに方法。
本開示の実施形態は、内視鏡支援経皮的(又は腹腔鏡)医療処置及び腹腔鏡支援内視鏡処置などの、内視鏡医療処置及び経皮的医療処置の併用のためのロボットシステム並びに方法に関する。本システム及び方法は、
図1~
図20を参照して上述したもの、及び以下で更に詳細に説明するものなど、ロボットで使用可能な医療システムに具現化するか、それを用いて使用することができる。
【0096】
多くの医療処置は、患者の治療領域内の標的位置に医療用器具を案内することを伴う。いくつかの場合、これらの医療処置は、開口部(経皮アクセスポートなど)を通して標的領域に医療用器具を経皮的に案内することを含むことができる。標的部位は内部にあることが多いため、医療用器具を標的部位に正確に案内することが困難な場合がある。一般的に、医師、特に高度な訓練を受けた放射線科医は、医療用器具を標的位置に案内するために、ライブの蛍光透視画像に頼っている。それでも、そのような処置は困難である。放射線科医は、二次元の蛍光透視画像から目的の場所までの三次元の経路を導出しなければならず、医療用器具の案内又は配置が不正確になることが多い。更に、蛍光透視画像を使用すると、患者及び医療スタッフが長時間にわたって放射線に暴露されることになり、望ましくない。
【0097】
経皮的腎砕石術(percutaneous nephrolithotomy、PCNL)は、例えば、腎臓に経皮的にアクセスして腎臓結石を除去する医療処置である。一般的に、PCNLは、2つのステップで実行される。第1に、放射線科医は、腎臓にアクセスシースを経皮的に案内して治療部位にアクセスする。放射線科医は、二次元蛍光透視画像を頼りにアクセスシースを案内し配置する。第2に、アクセスシースが適所にある状態で、次いで泌尿器科医は、アクセスシースを介して治療領域にアクセスして腎臓結石を除去する。一般的に放射線科医が処置の第1の部分を実行する必要があるため、理想的には泌尿器科医及びそれらのスタッフのみが実行する必要がある処置に、費用、複雑化要因、及び運用スケジューリング時間遅延を追加する。更に、放射線科医は泌尿器科の訓練を受けていないため、アクセスシースを最適ではない位置に配置してしまうことが多い。しかし、泌尿器科医は放射線学の訓練を受けておらず、自分でアクセスシースを案内することができないため、泌尿器科医はアクセスシースの配置を放射線科医に頼らなければならない。放射線技師は蛍光透視画像技術に頼るため、PCNLの別の欠点は、上述の放射線被曝である。
【0098】
本出願に記載された内視鏡医療処置及び経皮的医療処置の併用のための方法及びシステムは、経皮的医療用器具及び/又は内視鏡的医療用器具の案内並びに配置の改善を提供することができる。以下に例示される実施例を参照してより詳細に説明するように、本方法及びシステムは、治療領域内の医療用器具のランデブーポイントを画定するために、及び/又は処置中に使用するための治療領域内の境界を画定するために、有利に使用することができる。
【0099】
図21A~
図21Dは、腎臓202における内視鏡支援経皮的医療処置の実施形態の様々なステップを示す図である。図示の例では、医療処置は、腎臓結石212を除去するための内視鏡支援経皮的腎砕石術(PCNL)処置であるが、例示された原理は、他のタイプの医療処置にも適用可能であり、それらはすべて本開示の範囲内であることが意図される。以下で詳細に説明するように、図示の例では、第1の医療用器具204が、患者の自然開口部を通して腎臓202に挿入される(
図21A)。第1の医療用器具204は位置センサ206を備える。第2の医療用器具214の経皮的挿入を案内するための標的位置208は、位置センサ206(
図21B)を参照して決定される。標的位置208は、図示のように、位置センサ206から離れていることができる。いくつかの実施形態では、標的位置208は、場所(空間内の点など)又は軌道(空間内の線など)であってもよい。いくつかの実施形態では、標的位置208は、グラフィカルユーザインターフェース上の点又は線のいずれかとして表示されてもよい。第2の医療用器具214は、標的位置208(
図21C)と位置合わせされる。最後に、第2の医療用器具214は、標的位置208に向けて経皮的に挿入される(
図21D)。この位置では、PCNLは、第2の医療用器具214によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、PCNLは、第1の医療用器具204によって支援されてもよい。
【0100】
以下で更に詳細に説明されるように、
図21A~21Dに示す内視鏡支援PCNL処置は、いくつかの利点を提供することができる。例えば、この処置では、第2の医療用器具214の挿入を目標位置208に向けて案内することができるため、第2の医療用器具214の経皮的配置の精度を高めることができる。また、いくつかの実施形態では、この処置により、蛍光透視可視化を必要とせずに、第2の医療用器具214の案内が可能になる。これにより、処置中の患者及び医療従事者への放射線被曝を有利に低減又は排除することができる。これは、放射線科医と泌尿器科医の両方ではなく、泌尿器科医のみで処置を行うことを可能にし得るので、処置を簡素化することもできる。更に、いくつかの実施形態では、目標位置208は、位置センサ206を参照して決定することができるが、位置センサ206から離れた位置で決定することができるので、目標位置208は、第1の医療用器具204によって直接アクセスできない位置で決定することができる。例として、いくつかの実施形態では、この処置により、1回の試みでアクセスポートの配置が可能になることがある。対照的に、他の技術(例えば、蛍光透視案内技術)は、正しい位置が最終的に達成されるまで、医師がツールを複数回後退させ交換することを必要とする場合がある。これらの利点及び他の利点は、図面をより具体的に参照して、以下でより詳細に説明する。
【0101】
上述のように、
図21A~
図21Dは、腎臓結石212を除去するための内視鏡支援経皮的腎砕石術(PCNL)処置における様々なステップを示す。
図21Aに示すように、図示の例では、腎臓結石212は、杯の入口にある。いくつかの場合、泌尿器科医は、杯内の腎臓結石212の後方へとアクセスシースを腎臓202内に挿入することを望むことがある。次いで、PCNLは、アクセスシース通して実行されて、腎臓結石212を破壊し、除去することができる。アクセスシースの正確な配置は、処置の有効性を最大化し、患者に対するストレス及び衝撃を最小化するために重要であり得る。
【0102】
図示の例では、アクセスシースを正確に配置するために、まず、第1の医療用器具204を腎臓202内に案内することができる。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具204は、自然開口部を通して患者の中に挿入される。例えば、第1の医療用器具204は、尿道、膀胱、及び尿管を通して腎臓202内に挿入することができる。いくつかの実施形態又は他の処置では、患者の他の自然開口部を使用することができる。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具204は経皮的に挿入することができる。
【0103】
第1の医療用器具204は内視鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具204はロボット制御されてもよい。例えば、第1の医療用器具は、
図1~
図20を参照して上述した任意のロボット制御可能な医療用器具によって可能である。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具204は手動で制御されてもよい。
図21Aに示すように、第1の医療用器具204は、細長いシャフト205を含むことができる。細長いシャフト205は、第1の医療用器具204が患者の解剖学的構造を通って腎臓202内へとナビゲートされ得るように、関節運動可能かつ制御可能であることができる。そのような医療用器具のいくつかの実施形態は、
図16~
図18を参照して上述されている。医療用器具204は、いくつかの実施形態において、オペレータが第1の医療用器具204の視点から治療領域を視覚化することを可能にすることができる光学系(カメラなど)、及び細長いシャフト205を通して治療領域への追加の医療用ツール又は器具の送達を可能にすることができる作業チャネルなどの様々な他の機構も、含むことができる。いくつかの実施形態では、作業チャネルは、流体を送出するため、又は流体若しくはデブリを吸引するために使用することができる。
【0104】
また、
図21Aに示すように、第1の医療用器具204は、位置センサ206を含むことができる。図示の実施形態では、位置センサ206は、第1の医療用器具204の細長いシャフト205の遠位端部又はその近くに位置決めされる。他の実施形態では、位置センサ206は、細長いシャフト205上の他の場所に位置決めることができる。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具204は、複数の位置センサ206を含む。位置センサ206は、位置センサ206(及び第1の医療用器具204)の場所又は位置が判定され得る出力を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、位置センサ206は電磁(EM)センサを備え、EMセンサは、EM場内のEMセンサの位置が判定され得るEM場内で検出可能な信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、位置センサ206は、細長いシャフト205の姿勢又は形状が判定され、医療用器具204の位置を判定するために使用され得る形状感知ファイバを備える。いくつかの実施態様では、他のタイプの位置センサが使用されてもよい。
【0105】
処置中に、
図21Aに示すように、第1の医療用器具204は腎臓202内に案内される。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具204の案内は、上述の位置特定システム90などのナビゲーション又は位置特定システムによって円滑になる。オペレータは、第1の医療用器具204上の光学系を使用して腎臓結石212を可視化することができる。
【0106】
図21Bに示すように、第1の医療用器具204が腎臓202内に位置決めされた状態で、オペレータ(又はシステム)は標的位置208を決定することができる。標的位置208は、第2の医療用器具214(
図21C及び
図21D参照)を配置することが望まれる場所を表すことができる。
図21C及び
図21Dを参照して以下に説明するように、標的位置208は、第2の医療用器具214の挿入を案内するために使用されるビーコンを提供することができる。例えば、第2の医療用器具214は、標的位置208とランデブーするように案内することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、標的位置208は、位置センサ206を参照して決定することができるが、位置センサ206から離れている位置で決定することができる。すなわち、標的位置208は、位置センサ206(又は、第1の医療用器具204上の他の点)と一致している必要はない。
【0108】
例えば、いくつかの実施形態では、位置センサ206の出力を、腎臓202の術前モデルに登録することができる。登録は、例えば、位置センサ206を使用して、解剖学的構造を通る第1の医療用器具204の経路をマッピングし、マッピングされた経路を術前モデルに照合することを含むことができる。別の例として、登録は、医療用器具204を1つ以上の解剖学的ランドマークにナビゲートし、1つ以上の解剖学的ランドマークで位置センサ206の出力を使用して、術前モデルを位置センサ206の出力に登録することを含むことができる。登録に関する追加の詳細は、位置特定システム90及び
図20を参照して上述されている。術前モデルが登録されると、オペレータ(又はシステム)は、いくつかの実施形態では、術前モデル内でそれを選択することによって標的位置208を決定することができる。例えば、術前モデルはオペレータに表示することができ、オペレータは、術前モデル内から標的位置208となる場所を選択することができる。上述したように、標的位置208は、位置センサ206から離れていてもよい。いくつかの実施形態では、術前モデル及び位置センサ206からのデータを使用して、位置センサ206の位置と選択された標的位置208との間の距離及び方向をシステムによって決定することができる。例えば、位置センサ206の場所は、x、y、z座標で表すことができ、目標位置208は、x’、y’、z’座標で表すことができ、x、y、z座標とx’、y’、z’座標との間の距離及び方向を決定することができる。
【0109】
別の例では、標的位置208は、1つ以上の蛍光透視画像などの手術中の医用画像を参照して決定することができる。例えば、オペレータは、標的位置208として蛍光透視画像上の場所を選択することができる。再び、標的位置208は、位置センサ206から離れていてもよい。いくつかの実施形態では、位置センサの出力は蛍光透視画像に登録することができ、それにより標的位置208と位置センサ206との間の関係を決定することができる。例として、位置センサ206は、電磁(EM)センサであってもよい。EMベースフレームは、EMセンサを含む器具を既知の気管支分岐内で前後に動かすことによって、術前CT画像に登録することができる。これは、両方の座標フレーム(すなわち、EMベースフレーム及び蛍光透視フレーム)において、対応する点対を生成することができる。対応する点対と共に、アルゴリズムを使用して座標フレーム間の変換を決定することができる。このプロセスは、多くの場合、又は一般に登録と呼ばれる。変換が決定されると、位置センサ206を蛍光透視画像フレームに示すことができ、画像フレーム内に画定された標的位置208とセンサとの関係を決定することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、目標位置208は、(例えば、
図21Bに示すように)第1の医療用器具204の細長いシャフト205の遠位先端部から外向きに延びる軸216に沿って選択される。例えば、標的位置208は、軸216に沿った位置センサ206の場所の投影であることができる。他の実施形態では、標的位置208は、軸216上にある必要はない。すなわち、標的位置208は、位置センサ206の任意の方向への投影であってもよい。
【0111】
位置センサ206から離れた標的位置208を選択することにより、有利には、第1の医療用器具204によって直接アクセスできない標的位置208の使用を有利に可能にすることができる。例えば、図示された例では、腎臓結石212は、杯の入口にある。この位置では、腎臓結石212は、医療用器具204の杯へのナビゲートを妨げ得る。有利には、第1の医療用器具204が物理的に杯内にナビゲートできない場合でも、標的位置208を杯内に投影することができる。同様に、標的位置208は、第1の医療用器具204で視覚化することさえできない位置で決定することができる。図示された例では、腎臓結石212が、杯への視覚的アクセスを遮ることさえあり得る。それにもかかわらず、標的位置208は、有利にも杯に投影することができる。
【0112】
図21Cに示すように、標的位置208は、第2の医療用器具214を位置合わせするためのビーコンとして使用することができる。例示される実施形態では、第2の医療用器具214は、経皮的アクセスシースであってもよい。他の実施形態では、第2の医療用器具は、例えば内視鏡ツール又は腹腔鏡ツールなどの他のタイプの医療用器具であってもよい。図示した実施形態では、第2の医療用器具214の軸218が標的位置208と位置合わせされるまで、第2の医療用器具214を操作することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、第2の医療用器具214は、ロボットアームなどの器具位置決めデバイス上に位置決めすることができる。器具位置決めデバイスは、第2の医療用器具214を標的位置に自動的に位置合わせするようにロボット制御することができる。例えば、第2の医療用器具214は、器具位置決めデバイスの位置又は第2の医療用器具214上の位置センサの出力に基づいて、標的位置208とロボット的に位置合わせすることができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、第2の医療用器具214を標的位置208に手動で位置合わせすることができる。そのような実施形態では、第2の医療用器具214は、第2の医療用器具214の位置及び向きを決定するための1つ以上の位置センサを含むことができる。第2の医療用器具214を位置合わせするための例示的なプロセスは、
図22A及び
図22Bを参照して以下により詳細に説明される。
【0115】
図21Dに示すように、第2の医療用器具214が標的位置208と位置合わせされた状態で、第2の医療用器具214は、標的位置208とランデブーするように案内又は挿入することができる。図示された実施形態では、第2の医療用器具214は、例えば、経皮開口部220を通して、腎臓202に経皮的に挿入される。いくつかの実施形態では、経皮開口部220は、第2の医療用器具214によって形成される。いくつかの実施形態では、経皮開口部220は、第2の医療用器具214の挿入に先立って、例えば、別個の医療用ツールによって、別個に形成される。
【0116】
第2の医療用器具214の挿入は、様々な方法で行うことができる。例えば、挿入は、手動又はロボットで行うことができる。いくつかの手動の実施形態では、医師が第2の医療用器具214を手動で挿入する。医師は、第2の医療用器具214を標的位置208に向けて案内することができる。いくつかの実施形態では、挿入中に医師が医療用器具214と標的位置208との位置合わせを維持するのを支援する位置合わせインターフェースを提供することができる。例示的な位置合わせインターフェースは、後述の
図23A及び
図23Bに示されている。
【0117】
いくつかの実施形態では、第2の医療用器具214の挿入はロボットで行うことができる。第2の医療用器具214は、ロボットアームなどの器具位置決めデバイス上に位置決めることができる。いくつかの実施形態では、医師が第2の医療用器具214(又は器具位置決めデバイス)を物理的に扱う(例えば、押す)ことによって第2の医療用器具214を挿入する間、器具位置決めデバイスは挿入中に位置合わせを維持する。これらの実施形態では、位置合わせはロボットで維持することができるが、第2の医療用器具214の実際の挿入は手動で行われる。例えば、医師は、第2の医療用器具214又は器具位置決めデバイス上にハンドルを保持して、第2の医療用器具214を患者の中に押し込むことができる。器具位置決めデバイスは、第2の医療用器具214の動作を、挿入軸に沿った動作に制限又は限定することができる。例えば、器具位置決めデバイスは、第2の医療用器具214を標的位置208との位置合わせから外れるように動かす動作を制限又は防止することができる。いくつかの実施形態では、動作は、挿入軸に沿ったものだけに制限される。いくつかの実施形態では、動作は、挿入軸の周りの範囲に制限される。例えば、動作は、挿入軸の周りの円錐形又は円筒形の境界内に制限することができる。いくつかの実施形態では、動作は触覚的境界によって制限される。触覚的境界は、許容範囲外の動作を物理的に制限するか、又は動作が軌道から外れていることを医師に触覚的にフィードバックすることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、医師がコントローラを使用して挿入を命令し、位置合わせと挿入の両方がロボットによって実行される。前述の例と同様に、ロボットシステムは、第2の医療用器具214が標的位置208と位置合わせされたままであるように、動作を制限又は防止することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、第2の医療用器具214の位置合わせ(
図21C)及び挿入(
図21D)の間、第1の医療用器具204は治療領域(例えば、腎臓202内)に留まる。位置センサ206の出力信号は、処置中に患者の動作を追跡するために使用することができる。患者の動作は、呼吸を含んでもよい。例えば、患者が呼吸すると、腎臓202がわずかに動くことがある。この動作は、位置センサ206を使用して追跡することができる。次いで、この患者の動作を、第2の医療用器具214の位置合わせ及び挿入中に補償することができ、それにより、第2の医療用器具214の標的位置208とのランデブーの精度が向上する。いくつかの実施形態では、患者の動作を正確に追跡し補償するために、第1の医療用器具204は、位置合わせ及び挿入中に位置決めされたままであるべきであり、それにより、位置センサ206は標的位置208に近接したままである。
【0120】
いくつかの実施形態では、第2の医療用器具214の挿入は、
図21Dに示すように、第2の医療用器具214が標的位置208に到達したときに停止する。
図21Dに示した位置にある第2の医療用器具214を用いて、医師はPCNLを行って腎臓結石212を除去することができる。
【0121】
上述のように、
図22A及び
図22Bは、第2の医療用器具214を標的位置208に位置合わせするために使用することができる位置合わせプロセスの実施形態における様々なステップを示す。
図22Aは、おおまかな位置合わせステップ中に第2の医療用器具214の遠位端部が標的位置208に接近させられる例を示し、
図22Bは、精密な位置合わせステップ中に第2の医療用器具214の軸218が標的位置208に位置合わせされる例を示す。いくつかの実施形態では、
図22A及び
図22Bに関して説明した位置合わせプロセスは、第2の医療用器具214の手動による位置合わせ及び挿入に使用される。いくつかの実施形態では、ロボットによる位置合わせ及び挿入は、同様のプロセスを使用することができる。
【0122】
図22Aに示すように、位置合わせプロセスは、まず、標的位置208に対して第2の医療用器具214をおおまかに配置することを含むことができる。図示のように、これは、第2の医療用器具214の遠位先端部が、標的位置208に近接したゾーン226(2本の破線の間のエリアによって視覚的に表される)内に位置決めされるまで、第2の医療用器具214を患者の皮膚203の表面に沿って又はその近くに動かすことを含むことができる。ゾーン226の位置は、標的位置208に近接する解剖学的領域、又は経皮的挿入を行うことが望ましい解剖学的領域であると判定することができる。第2の医療用器具214の遠位先端部の位置は、位置センサ222を用いて追跡することができ、この位置センサは、先に説明した位置センサのいずれかと同様であることができる。図示のように、医師は、位置センサ222がゾーン226内に入るまで、第2の医療用器具214を、例えば、矢印224の方向に前後に動かすことができる。システムは、位置センサ222がゾーン226内にあるとき、医師に警告を出してもよい。警告は、例えば、可聴的又は視覚的であってもよい。
図22Aに示すように、このステップ中、第2の医療用器具214の軸218は、必ずしも標的位置208と位置合わせされる必要はない。むしろ、このステップは、単に第2の医療用器具214を標的位置208に接近させてゾーン226に入れることに焦点を当てることができる。
【0123】
第2の医療用器具214がゾーン226内に位置決めされる(おおまかな位置合わせを提供するために)と、医師は次いで、第2の医療用器具214の軸218を標的位置208と位置合わせすることに焦点を当てることができる。このステップの例は、
図22Bに示されている。このステップ中、医師は、第2の医療用器具214の遠位先端部を所定の位置に維持し、軸218が標的位置208と位置合わせされるまで、第2の医療用器具214をその点を中心にして回転又は枢動させることができる。例えば、医師は、軸218が標的位置208と位置合わせされるまで、第2の医療用器具214を矢印228の方向に回転又は枢動させることができる。これにより、第2の医療用器具214と標的位置208との精密な位置合わせを提供することができる。
【0124】
位置合わせインターフェースを使用して、軸218の標的位置208との位置合わせを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、位置合わせインターフェースは、位置合わせの視覚的表現を提供するグラフィカルユーザインターフェースである。そのような位置合わせインターフェースの例は、後述の
図23A及び
図23Bに示される。他の実施形態では、位置合わせインターフェースは、例えば、可聴キューなど、位置合わせを示すための他の方法を使用してもよい。
【0125】
図23A及び
図23Bは、一実施形態に係る、
図22Bの精密な位置合わせステップを支援するための例示的な位置合わせインターフェース230を示す。
図23A及び
図23Bでは、図の上の部分は位置合わせインターフェース230の例を示し、図の下の部分は、第2の医療用器具214と標的位置208とが位置合わせされる方法の対応する例を示す。
【0126】
図23Aに示すように、位置合わせインターフェース230は、位置合わせのグラフィカル又は視覚的表現を構成することができる。図示の実施形態では、位置合わせインターフェース230は、外円側232、標的インジケータ234、及び器具インジケータ236を備える。標的インジケータ234は、標的位置208の位置を表すことができる。いくつかの実施形態では、標的インジケータ234は、円232の中心に残る。器具インジケータ236は、標的位置208に対する第2の医療用器具214の現在の配置を表すことができる。第2の医療用器具214が動くと、第2の医療用器具214と標的位置208との間の相対的な位置合わせが変化するので、器具インジケータ236は、円232の周りを動く。
【0127】
いくつかの実施形態では、位置合わせインターフェース230は、第2の医療用器具214のシャフトを見下ろした位置合わせのビューを表している。例えば、
図23Aに示すように、器具インジケータ236は、標的インジケータ234の上方及び左に位置決めされる。これは、第2の医療用器具214が、標的位置208の上及び左に位置ずれしていることを示すことができる。医師は、位置合わせインターフェース230を解釈して、第2の医療用器具214が、標的位置208と位置合わせされるように、下及び右に枢動されるべきであることを知ることができる。
【0128】
図23Bは、第2の医療用器具214が標的位置208と位置合わせされたときの位置合わせインターフェース230を示す。図示のように、位置合わせされると、器具インジケータ236は、標的インジケータ234と重なることができる。医師は、最初に位置合わせインターフェース230を使用して、第2の医療用器具214を標的位置208と適切に位置合わせすることができる。次いで、医師は、挿入中に位置合わせインターフェース230を引き続き使用して、挿入している間、位置合わせを維持することができる。医師が第2の医療用器具214を挿入する際に、医師は、器具インジケータ236を標的インジケータ234と重ねておくことにより、位置合わせを維持することに集中することができる。次いで、ユーザは、所望の深さに到達するまで第2の医療用器具214を挿入し続けることができる。
【0129】
位置合わせインターフェース230は、例えば、ロボットシステムのグラフィカルユーザインターフェースの一部として、ユーザに表示することができる。
図24は、位置合わせインターフェース230を含む、そのようなグラフィカルユーザインターフェース235の例を示す。グラフィカルユーザインターフェース235は、ユーザに情報を表示するための様々な画面部分を含むことができる。例えば、図示の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース235は、位置合わせインジケータ230、内視鏡ビュー238、及びモデル又は蛍光透視ビュー240を含む。内視鏡ビュー238は、第1の医療用器具204上の光学系からのライブビューを表示することができる。モデル又は蛍光透視ビュー240は、治療領域のライブ蛍光透視ビューの術前のビューを表示することができる。いくつかの実施形態では、標的位置208は、モデル又は蛍光透視ビュー240に表示することができる。いくつかの実施形態では、医師は、モデル又は蛍光透視ビュー240を使用して、標的位置208を選択することができる。
図24に示すグラフィカルユーザインターフェース235は、例示のみで提供されている。他のグラフィカルユーザインターフェース235を使用して、
図24に示されているよりも多い、少ない、又は他のタイプの、情報を表示することができる。
【0130】
図25A及び
図25Bは、肺302における内視鏡支援経皮的医療処置の別の実施形態における様々なステップを示している。図示の例では、医療処置は、肺302の一部を除去するための内視鏡支援切除処置であるが、例示された原理は、他のタイプの医療処置にも適用可能であり、それらのすべてが本開示の範囲内であることが意図される。以下で詳細に説明されるように、図示の例では、第1の医療用器具304は、患者の自然開口部を通して肺302に挿入される(
図25A)。第1の医療用器具304は、位置センサ306を含む。切除境界を画定するための1つ以上の仮想基準308の位置は、位置センサ306を参照して決定することができる(
図25A)。境界309は、仮想基準308に基づいて決定することができる(
図25B)。1つ以上の第2の医療用器具314は、仮想基準308及び境界309に基づいて、肺302の部分の経皮的切除を行うことができる(
図25B)。
【0131】
以下で更に詳細に説明されるように、
図25A及び
図25Bに示す内視鏡的支援切除処置は、いくつかの利点を提供することができる。例えば、この処置により、境界309を画定する際の精度を高めることができる。更に、いくつかの実施形態では、第2の医療用器具314の動作は、第2の医療用器具314が境界を越えて動くことができないように限定することができる。これにより、切除される肺302の全部分を最小化し、健康な組織が危害される可能性を低減することができる。また、いくつかの実施形態では、処置は、蛍光透視の視覚化を必要とせずに第2の医療用器具314の案内を可能にする。以前は、そのような切除処置は、肺内に物理的な放射線不透過性マーカ(金属マーカなど)を配置し、次いで、処置中にマーカーを蛍光透視で見て境界を可視化することを伴っていた。代替的には、切除を案内するために、気管支鏡を用いて可視化できる染料で肺を物理的にマークすることもできる。本出願で説明した仮想基準308及び境界309は、いくつかの実施形態では、解剖学的構造に登録された術前モデルを参照して見ることができ、したがって、蛍光透視なしで見ることができる。これらの利点及び他の利点は、図面をより具体的に参照して、以下でより詳細に説明する。
【0132】
図25Aは、処置中に仮想基準308を配置又は作成する例を示す。図示の例では、医師は、肺302の部分を切除することを望む場合がある。切除を案内するために、医師は、切除される肺302の部分の周囲の境界を画定するために使用することができる仮想基準308を配置することができる。次いで、境界に基づいて経皮的に切除を行うことができる。図示の例では、仮想基準308を正確に配置するために、まず、第1の医療用器具304を肺302内に案内する。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具304は、自然開口部を通して患者の中に挿入される。例えば、第1の医療用器具304は、患者の口及び気管を通して肺302に挿入することができる。いくつかの実施形態又は他の処置では、患者の他の自然な開口部を使用することができる。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具304は、経皮的に挿入することができる。
【0133】
第1の医療用器具304は、気管支鏡などの内視鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具304は、ロボット制御することができる。例えば、第1の医療用器具304は、
図1~
図20を参照して上述したロボット制御可能な医療用器具の任意のものによることができる。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具304は、手動で制御することができる。
図25Aに示すように、第1の医療用器具304は、細長いシャフトを含むことができる。細長いシャフトは、第1の医療用器具304を肺302内の患者の気道を通してナビゲートすることができるように、前述のように関節運動可能かつ制御可能であることができる。第1の医療用器具304はまた、前の例で説明したように、位置センサ306も含むことができる。位置センサ306は、位置センサ306の位置を決定できる出力信号を提供するように構成される。第1の医療用器具304の案内は、上述の位置特定システム90などのナビゲーションシステム又は位置特定システムによって円滑にすることができる。
【0134】
図25Aに示すように、第1の医療用器具304が肺302内に位置決めされた状態で、医師(又はシステム)は、1つ以上の仮想基準308の場所を決定することができる。仮想基準308は、物理的な基準又は染料が以前に使用されていた方法と同様に、切除体積の境界をマークするために使用することができる。しかしながら、仮想基準308は、例えば、解剖学的に登録された術前モデルを参照して、仮想的に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、位置センサ306の出力を、肺302の術前モデルに登録することができる。登録は、例えば、位置センサ306を使用して、解剖学的構造を通る第1の医療用器具304の経路をマッピングし、マッピングされた経路を術前モデルに一致させるか、又は医療用器具304を1つ以上の解剖学的ランドマークにナビゲートし、1つ以上の解剖学的ランドマークで位置センサ306の出力を使用して、術前モデルを位置センサ306の出力に登録することによって、上述のように達成することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、仮想基準308は、仮想基準308を配置することが望まれる肺302内の位置に第1の医療用器具304をナビゲートし、位置センサ306を使用してその位置を決定し、その決定された位置で術前モデル内に仮想基準を仮想配置することによって配置される。次いで、医師は、第1の医療用器具304を、仮想基準308を配置することが望まれる次の位置にナビゲートし、すべての所望の仮想基準308が配置されるまでプロセスを繰り返すことができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、患者の解剖学的構造及び位置センサ306の出力に登録された術前モデルを用いて、術前モデルを参照して、仮想基準308の配置のための位置を選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、仮想基準308の位置は、位置センサ306を参照して決定することができるが、位置センサ306から離れた位置で決定することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、仮想基準308の位置は、位置センサ306(又は医療用器具314の任意の他の部分)と一致する必要はない。例えば、術前モデルを医師に表示することができ、医師は、表示された術前モデル上で仮想基準308の配置場所を選択することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、仮想基準308の位置は、術前モデルを参照して術前に決定することができる。次いで、第1の医療用器具304を肺302内にナビゲートして、術前モデルを解剖学的構造に登録することができる。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具304は、例えば、仮想基準308の位置に対応する場所にナビゲートすることによって、術前に選択された仮想基準308の位置の配置を検証するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、次いで、医師は、所望に応じて、術中に仮想基準308の配置位置を調整することができる。
【0138】
別の例では、仮想基準308の位置は、蛍光透視画像などの術中医用画像を参照して決定することができる。例えば、オペレータは、蛍光透視画像上で仮想基準308の位置を選択することができる。
【0139】
仮想基準308の位置は、例えば、
図24に示すように、グラフィカルユーザインターフェース上でユーザに表示されてもよい。
【0140】
図25Bに示すように、仮想基準308の位置は、境界309を画定するために使用することができる。境界309は、切除体積を画定することができる。いくつかの実施形態では、システムは、境界309を画定するために、仮想基準308を通る線又は面を適合させるように構成される。いくつかの実施形態では、境界309は、例えば、
図24に示すようなグラフィカルユーザインターフェース上で、ユーザに表示されてもよい。いくつかの実施形態では、境界309は省略され、仮想基準308が境界として使用される。
【0141】
境界309(又は仮想基準308自体)は、切除中に1つ以上の第2の医療用器具314を案内するために使用することができる。切除は経皮的に行うことができるが、これはすべての実施形態においてそうである必要はない。例示された実施形態では、2つの第2の医療用器具314が図示されている。第2の医療用器具は、例えば、
図1~
図20を参照して上述したような腹腔鏡医療用器具とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の医療用器具314は、ロボットアームなどの器具位置決めデバイス上に位置決めることができる。器具位置決めデバイスは、ロボット制御することができる。いくつかの実施形態では、ロボット制御は、第2の医療用器具314が境界309を破壊又は横断することを制限又は防止することができる。これにより、意図しない組織の切除を制限又は防止することができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、第2の医療用器具314を手動で制御することができる。システムは、医師が警告されるように、第2の医療用器具314が境界309に接近しているときの表示を提供することができる。表示は、視覚的、聴覚的、又は触覚的な信号であってもよい。
【0143】
いくつかの実施形態では、第2の医療用器具314を用いた切除中、第1の医療用器具304は治療領域(例えば、肺302内)に留まる。上述のように、位置センサ306の出力信号は、処置中に、呼吸などの患者の動作を追跡するために使用することができる。この動作は、位置センサ306を用いて追跡することができる。次いで、この患者の動作は、切除中に補償することができる。
【0144】
図26は、胃腸管における内視鏡支援経皮的医療処置の例示的な実施形態を示している。図示の例では、医師は、経皮的に膵臓を生検することを望む。しかし、経皮的に挿入される医療用器具が膵臓と交差することを確実にすることは一般に困難である。この例では、経皮的に挿入された医療用器具を、内視鏡的に挿入された医療用器具の位置センサに部分的に基づいて決定された目標位置に位置合わせすることができる。
【0145】
図示の例では、第1の医療用器具504は、患者の口、食道532、胃534、及び十二指腸536を通って乳頭538に案内される。乳頭538は、例えば、第1の医療用器具504に設けられた光学系を使用して、視覚的に識別することができる。第1の医療用器具504は、上記のような位置センサ506を含む。位置センサ506によって決定された位置に対して、膵臓内の目標位置508を決定することができる。これは、膵臓が乳頭538の反対側に位置していることを医師が知っているからできることである。したがって、目標位置508は、位置センサ506から離れた位置で決定することができる。次いで、目標位置508は、上述のように第2の医療用器具514の経皮的挿入を位置合わせし案内するためのビーコンとして使用することができる。例えば、第2の医療用器具の軸518を目標位置508と位置合わせし、次いで、第2の医療用器具を、目標位置508と交差するように開口部520から経皮的に挿入し、生検を行うことができる。従来のように、第2の医療用器具514の位置合わせは、ロボット的に維持することができる。
【0146】
図27Aは、医療用器具を目標位置とランデブーすることを含む医療処置を実行するための方法600の実施形態を示すフローチャートである。方法600は、ブロック602で始まり、このブロック602では、第1の医療用器具が治療領域に挿入される。治療領域は、例えば、腎臓、膀胱、肺、胃、胃腸管などを含むことができる。第1の医療用器具は、内視鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具は、患者の自然な開口部を通して治療領域に挿入される。第1の医療用器具は、腹腔鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具は、経皮的に又は経皮的開口部を通して治療領域に挿入される。第1の医療用器具は、例えば、
図1~
図20を参照して上述したロボットで使用可能な医療システムを使用して、ロボット制御することができる。第1の医療用器具は、手動で制御することができる。
【0147】
次に、方法600は、ブロック604に進み、第1の医療用器具上の第1の位置センサを使用して、第1の医療用器具の第1の位置が決定される。第1の医療用器具は、第1の位置センサを含むことができる。第1の位置センサは、EMセンサ、形状感知ファイバ、又は位置を決定するための他のタイプのセンサであることができる。いくつかの実施形態では、第1の位置センサの出力を術前モデルに登録することができ、それにより、術前モデルを参照して第1の位置センサの位置が決定される。術前モデルは、例えば、上述のようにCTスキャン又は他の方法に基づいて開発することができる。
【0148】
次いで、方法600は、ブロック606に進み、治療領域内で、第1の位置から離れた標的位置が決定される。目標位置は、第2の医療用器具のランデブー点を表すことができる。目標位置は、ユーザに表示することができる。いくつかの実施形態では、治療領域内の標的位置を画定することは、術前モデルを参照して標的位置を決定することを含む。例えば、術前モデルを参照して標的位置を決定することは、術前モデルをユーザに表示し、術前モデルを参照して標的位置の選択を受信することによって達成することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、第1の位置センサによって判定された第1の位置と目標位置との間の距離及び方向を決定することができる。距離及び方向は、例えば、登録された術前モデルから計算することができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、治療領域内で標的位置を画定することは、治療領域の1つ以上の術中医用画像をキャプチャすることと、1つ以上の術中医用画像を参照して標的位置を画定することとを含むことができる。術中医用画像は、1つ以上の蛍光透視画像であることができる。1つ以上の医療画像は、位置センサの出力に登録することができる。
【0151】
最後に、本方法は、ブロック608に進み、第2の医療用器具が目標位置に向けて案内される。第2の医療用器具は、腹腔鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の医療用器具は、経皮的に又は経皮的開口部を通して治療領域に挿入される。第2の医療用器具は、内視鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の医療用器具は、患者の自然な開口部を通して治療領域に挿入される。第2の医療用器具は、例えば、
図1~
図20を参照して上述したロボットで使用可能な医療システムを用いて、ロボット制御することができる。第2の医療用器具は、手動で制御することができる。いくつかの実施形態では、初期アクセスは、内蔵された位置センサを含むことができる第1の医療用器具を経皮的に挿入することによって得られる。第1の医療用器具は、患者の中に小さなアクセスチャネルを作るために残される薄肉スリーブを含む針であることができる。次いで、ガイドワイヤなどの第2の医療用器具をスリーブを通して患者に挿入することができ、その点を通して、ワイヤが所定の位置に留まっていることを確認しながら、スリーブを取り外すことができる。その後、ワイヤは、拡張ツール及び最終的にはより大きなポートを送達するレールとして使用することができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、第2の医療用器具を目標位置に向けて案内することは、第2の医療用器具の第2の軸を目標位置と位置合わせすること、及び第2の医療用器具を目標位置に向けて前進させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の医療用器具は、ロボットアーム又は他の器具の位置決めデバイスに取り付けられる。ロボットアームは、第2の医療用器具の動作を第2の軸に沿った又はその周りでの動作に限定して、標的位置との位置合わせを維持することができる。ロボットアームは、第2の医療用器具の位置合わせを維持する触覚的境界を提供することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、方法600は、第1の医療用器具の第1の位置センサを用いて患者の動きを判定することを更に含む。例えば、処置中、第1の医療用器具は治療領域内に留まることができ、第1の位置センサは患者の動きを監視することができる。いくつかの実施形態では、第2の器具の案内は、測定された患者の動きを補償することができる。補償され得る患者の動きは、例えば、呼吸による動きを含むことができる。
【0154】
図27Bは、仮想基準を配置して境界を画定することを含む医療処置を実行するための方法610の実施形態を示すフローチャートである。境界は、例えば切除境界であってもよい。方法610は、ブロック612で開始し、第1の医療用器具が治療領域に挿入される。治療領域は、例えば、腎臓、膀胱、肺、胃、胃腸管などを含むことができる。第1の医療用器具は、内視鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具は、患者の自然な開口部を通して治療領域に挿入される。第1の医療用器具は、腹腔鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の医療用器具は、経皮的に又は経皮的開口部を通して治療領域に挿入される。第1の医療用器具は、例えば、
図1~
図20を参照して上述したロボットで使用可能な医療システムを使用して、ロボット制御することができる。第1の医療用器具は、手動で制御することができる。
【0155】
次に、方法610は、ブロック614に進み、第1の位置センサが術前モデルに登録される。第1の医療用器具は、第1の位置センサを含むことができる。第1の位置センサは、EMセンサ、形状感知ファイバ、又は位置を決定するための他のタイプのセンサであることができる。いくつかの実施形態では、第1の位置センサの出力を術前モデルに登録することができ、それにより、術前モデルを参照して第1の位置センサの位置が決定される。術前モデルは、例えば、上述のようにCTスキャン又は他の方法に基づいて開発することができる。
【0156】
次いで、方法610は、ブロック616に進み、1つ以上の仮想基準の位置が画定され、術前モデルを参照して境界を作成する。いくつかの実施形態では、1つ以上の仮想基準の位置を決定することは、仮想基準が配置される治療領域内の場所に第1の医療用器具をナビゲートすることと、場所を、第1の位置センサの登録された出力に基づいて仮想基準の位置として画定することと、を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の仮想基準の位置を決定することは、1つ以上の仮想基準のうちの1つを配置する場所のユーザー選択を受信することと、第1の位置センサーに基づいて決定された少なくとも第1の位置を参照して、その場所に対応する仮想基準の位置を決定することを含み、仮想基準の位置は第1の位置から離れている。いくつかの実施形態では、仮想的な曲線又は表面を仮想基準に適合させて、境界を画定する。境界及び/又は仮想基準を医師に表示することができる。
【0157】
次いで、方法610は、ブロック618に進み、第1の医療用器具が境界から離して位置決めされる。いくつかの実施形態では、この位置では、上述したように、処置中の患者の動きは、第1の医療用器具の第1の位置センサを用いて監視することができる。いくつかの実施形態では、ブロック618を省略することができ、第1の医療用器具は、処置中に境界に留まることができる。第1の器具が境界に残っているかどうかは、例えば、境界の使用及びタイミングに依存し得る。例えば、
図25では、境界は、除去される領域を表す。この場合、第1の器具は、外科医が肺の遠位部を切除しているときに、より良い視覚化を提供するために、境界の内側に配置することができる。しかし、外科医が、第1の器具が境界内に配置される領域を切除する必要があるときには、第1の器具を引き離して、手術のためのスペースを確保する必要がある。
【0158】
最後に、方法600は、ブロック620に進み、1つ以上の仮想基準に基づいて、第2の医療用器具が治療領域内に案内される。第2の医療用器具は、腹腔鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の医療用器具は、経皮的に又は経皮的開口部を通して治療領域に挿入される。第2の医療用器具は、内視鏡であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の医療用器具は、患者の自然な開口部を通して治療領域に挿入される。第2の医療用器具は、例えば、
図1~
図20を参照して上述したロボットで使用可能な医療システムを用いて、ロボット制御することができる。第2の医療用器具は、手動で制御することができる。いくつかの実施形態では、第2の医療用器具の動作は、第2の医療用器具が境界を越えて動くことができないように制限又は限定される。いくつかの実施形態では、第2の医療用器具がロボットアーム又は他の器具位置決めデバイスに取り付けられたときに触覚境界を使用して、第2の医療用器具の動作の制限又は限定が生成される。
【0159】
いくつかの実施形態では、方法600、610は、例えば、
図1~
図20を参照して上述したロボットで使用可能な医療システムを用いて実行することができる。
【0160】
上述した内視鏡及び経皮的(例えば、腹腔鏡)併用システム並びに方法は、内視鏡又は腹腔鏡ツールの配置精度の改善を提供し、十分に画定された又は他の方法で改善された切除境界を提供することを含む、多数の利点を提供することができる。
【0161】
上述の内視鏡及び経皮的(例えば、腹腔鏡)併用システム並びに方法は、内視鏡及び腹腔鏡併用手術(combined endoscopic and laparoscopic surgery、CELS)中にも使用することができ、上述のシステムを使用してロボットで実行することができる。CELSを使用して有利に実施することができる処置の例は、結腸性ポリープ切除であるが、他の例も存在する。ポリープは、それらのサイズ、種類、及び場所に基づいて内視鏡的に除去することができるかどうかについて評価することができる。ポリープを内視鏡的に除去することができない場合、それらは、セグメント的結腸切除を介して除去されることができ、これは、比較的高い合併症率及び長い回復時間を伴う。ポリープ切除中、CELSは(腹腔鏡器具を用いて)大腸の管外動員を可能にして、(内視鏡器具を用いて)ポリープを管内で切除しやすくする。
【0162】
手動で行う場合、CELSは、通常、少なくとも2人の医師(腹腔鏡及び内視鏡をそれぞれ操作する)及び2人のアシスタント(腹腔鏡及び大腸鏡をそれぞれ保持する)を必要とする。1人の医師が器具を移動させている間、残りの提供者が器具を動かないように保持していることがあり、これは長期間にわたって身体的にきつい場合がある。器具交換の補助、縫合糸又はガーゼの受け渡し、摘出後の検体の取り扱い、腹腔鏡器具の管理などのために、更なるスタッフメンバが部屋にいてもよい。更に、2人の手術中の医師間のコミュニケーションが遅く、困難な場合がある。例えば、1人の医師が、自分が制御している器具の位置を他方の医師に伝えること、又はその逆が困難な場合がある。上述のシステム及び方法は、1人の医師が両方の器具を制御することを可能にすることによって、及び/又は2つの器具間に改善されたランデブーを提供することによって、CELSが手動で実行されるときに生じ得るこれらの困難を低減又は排除することができる。
【0163】
癌性腫瘍の内視鏡診断及び外科的切除の上記の例に加えて、他の例示的な医療処置は、同時胸腔鏡下切除を伴う肺癌の気管支鏡的位置特定、腹腔鏡下切除を伴う消化器癌の内視鏡的位置特定、腹腔鏡補助を伴う胃腸癌の内視鏡的位置特定及び切除、胃切除術、ルーワイ胃バイパス術などの胃腸再建術のための内視鏡撮像又は視覚化、尿管結石/腫瘍位置特定及び経皮的除去/切除などを含む、本明細書に記載のシステム及び方法から利益を得ることができる。いくつかの実施形態では、そのような処置は、単一の処置エピソードで実行することができる。いくつかの実施形態では、そのような処置は、最小限の数の臨床医、及び場合によっては単一の医師のみで行うことができる。更に、いくつかの実施形態では、同時処置は、同時処置を制御するために、単一のタイプのコンソールを使用して実行することができる。
【0164】
いくつかの例では、1つの器具(例えば、内視鏡的に挿入された器具)は、治療部位(例えば、病変)のより良好な可視化を提供することが可能であり得るが、別の器具(例えば、腹腔鏡的に挿入された器具)は、治療部位を治療(例えば、生検又は切除)するのにより好適であり得る。この逆もまた当てはまり得る。いくつかの場合、腹腔鏡的に挿入された器具は、より良好な可視化を提供することができ、内視鏡的に挿入された器具は、より良好な治療を提供することができる。上述の方法及びシステムは、有利なことに、各器具をより適した方法で使用することを可能にするとともに、他の器具の案内に使用し得る情報を中継することができる。これは、有利には、より高い精度を可能にし、処置の総時間を短縮し、改善された患者の転帰を提供することができる。
【0165】
3.実施システム及び用語。
本明細書に開示される実装形態は、内視鏡支援経皮的医療処置のためのシステム、方法、及び装置を提供する。
【0166】
本明細書で使用するとき、用語「連結する」、「連結している」、「連結された」、又は連結という単語の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「連結される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続される、又は第2の構成要素に直接的に接続される、のいずれかであってもよい。
【0167】
本明細書に記載される特定のコンピュータ実装プロセス及び機能を参照する語句は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として記憶されてもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、用語「コード」は、コンピューティング装置又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0168】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序のステップ又は行為が必要とされない限り、特許請求の範囲から逸脱することなく、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0169】
本明細書で使用するとき、用語「複数」は、2つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ以上の構成要素を示す。用語「判定する」は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、算出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受け取る(例えば、情報を受信すること)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0170】
語句「基づく」は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0171】
開示される実装形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装形態に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装形様に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、装着、連結、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を使用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0172】
〔実施の態様〕
(1) 医療処置を実行する方法であって、
細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入することと、
前記第1の位置センサを用いて、前記治療領域内の前記第1の医療用器具の第1の位置を決定することと、
決定された前記第1の位置から離れた前記治療領域内の標的位置を画定することと、
第2の医療用器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内することと、を含む、方法。
(2) 前記第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することを更に含み、前記第1の位置センサを用いて前記治療領域内の前記器具の前記第1の位置を決定することが、前記術前モデルを参照して前記第1の位置を決定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記術前モデルが、解剖学的構造の三次元再構成を含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することを含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することが、
前記術前モデルをユーザに表示することと、
前記術前モデルを参照して、前記標的位置の選択を受信することと、を含む、実施態様4に記載の方法。
【0173】
(6) 前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して、前記決定された第1の位置と前記標的位置との間の差を決定することを含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記標的位置の表現を前記ユーザに表示することを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、
前記治療領域の1つ以上の術中医用画像をキャプチャすることと、
前記1つ以上の術中医用画像を参照して前記標的位置を画定することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記1つ以上の術中医用画像が、1つ以上の蛍光透視画像を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記第1の位置センサの出力を前記1つ以上の術中医用画像に登録することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0174】
(11) 前記決定された第1の位置から離れた前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記第1の医療用器具の前記細長いシャフトの遠位端部から延びる第1の軸に沿って前記標的位置を決定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記第2の医療用器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内することが、
前記第2の医療用器具の第2の軸を前記標的位置と位置合わせすることと、
前記第2の医療用器具を前記標的位置に向けて前進させることと、を含む、
実施態様1に記載の方法。
(13) 前記第2の医療用器具がロボットアームに取り付けられ、
前記ロボットアームが、前記第2の医療用器具の動作を前記第2の軸に沿った動作に限定する、
実施態様12に記載の方法。
(14) 前記第1の医療用器具が内視鏡を含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 前記第1の医療用器具がロボット制御される、実施態様1に記載の方法。
【0175】
(16) 前記第2の医療用器具がロボット制御される、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、実施態様1に記載の方法。
(18) 前記第1の医療用器具の前記第1の位置センサを用いて患者の動きを判定することを更に含み、
前記第2の器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内することが、判定された前記患者の動きに部分的に基づく、
実施態様1に記載の方法。
(19) 前記患者の動きが呼吸に起因する、実施態様18に記載の方法。
(20) 医療処置を実行する方法であって、
細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入することと、
前記第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することと、
前記術前モデルをユーザに表示することと、
前記術前モデルを参照して境界を作成するための1つ以上の仮想基準の位置を画定することであって、前記1つ以上の仮想基準の前記位置が、前記第1の位置センサの登録された前記出力に基づいて決定される、画定することと、
前記1つ以上の仮想基準に基づいて、経皮的開口部を通して第2の器具を前記治療領域に、又は前記治療領域内に案内することと、を含む、方法。
【0176】
(21) 前記第1の位置センサが前記境界から離れるように、前記第1の医療用器具を位置決めすることを更に含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記1つ以上の仮想基準の前記位置を決定することが、前記位置の各々について、
前記第1の医療用器具を、仮想基準が配置される前記治療領域内の場所にナビゲートすることと、
前記場所を、前記第1の位置センサの前記登録された出力に基づいて、仮想基準の前記位置として画定することと、
を含む、実施態様20に記載の方法。
(23) 前記1つ以上の仮想基準の前記位置を決定することが、前記位置の各々について、
前記1つ以上の仮想基準のうちの1つを配置する場所のユーザ選択を受信することと、
前記第1の位置センサに基づいて決定された少なくとも第1の位置を参照して前記場所に対応する仮想基準位置を決定することと、を含み、前記仮想基準位置が、前記第1の位置から離れている、
実施態様20に記載の方法。
(24) 前記境界が切除体積を画定する、実施態様20に記載の方法。
(25) 前記第1の医療用器具が内視鏡を含む、実施態様20に記載の方法。
【0177】
(26) 前記第1の医療用器具がロボット制御される、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、実施態様20に記載の方法。
(28) 前記術前モデルがCTスキャンに基づいて決定される、実施態様20に記載の方法。
(29) コンピュータ可読媒体であって、
少なくとも1つのプロセッサに、
細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入させ、
前記第1の位置センサを用いて、前記治療領域内の前記第1の医療用器具の第1の位置を決定させ、
決定された前記第1の位置から離れた前記治療領域内の標的位置を画定させ、
第2の医療用器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内させる、ように構成された命令を含む、コンピュータ可読媒体。
(30) 前記命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録させ、前記第1の位置センサを用いて前記治療領域内の前記器具の前記第1の位置を決定することが、前記術前モデルを参照して前記第1の位置を決定することを含む、実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
【0178】
(31) 前記術前モデルが、解剖学的構造の三次元再構成を含む、実施態様30に記載のコンピュータ可読媒体。
(32) 前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することを含む、実施態様30に記載のコンピュータ可読媒体。
(33) 前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することが、
前記術前モデルをユーザに表示することと、
前記術前モデルを参照して、前記標的位置の選択を受信することと、を含む、実施態様32に記載のコンピュータ可読媒体。
(34) 前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して、前記決定された第1の位置と前記標的位置との間の差を決定することを含む、実施態様33に記載のコンピュータ可読媒体。
(35) 前記命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記標的位置の表現を前記ユーザに表示させる、実施態様34に記載のコンピュータ可読媒体。
【0179】
(36) 前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、
前記治療領域の1つ以上の術中医用画像をキャプチャすることと、
前記1つ以上の術中医用画像を参照して前記標的位置を画定することと、を含む、実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
(37) 前記1つ以上の術中医用画像が、1つ以上の蛍光透視画像を含む、実施態様36に記載のコンピュータ可読媒体。
(38) 前記命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の位置センサの出力を前記1つ以上の術中医用画像に登録させる、実施態様36に記載のコンピュータ可読媒体。
(39) 前記決定された第1の位置から離れた前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記第1の医療用器具の前記細長いシャフトの遠位端部から延びる第1の軸に沿って前記標的位置を決定することを含む、実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
(40) 前記第2の医療用器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内することが、
前記第2の医療用器具の第2の軸を前記標的位置と位置合わせすることと、
前記第2の医療用器具を前記標的位置に向けて前進させることと、を含む、実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
【0180】
(41) 前記第2の医療用器具がロボットアームに取り付けられ、
前記ロボットアームが、前記第2の医療用器具の動作を前記第2の軸に沿った動作に限定する、
実施態様40に記載のコンピュータ可読媒体。
(42) 前記第1の医療用器具が内視鏡を含む、実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
(43) 前記第1の医療用器具がロボット制御される、実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
(44) 前記第2の医療用器具がロボット制御される、実施態様43に記載のコンピュータ可読媒体。
(45) 前記治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
【0181】
(46) 前記命令が更に、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の医療用器具の前記第1の位置センサを用いて患者の動きを判定させ、
前記第2の器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内することが、判定された前記患者の動きに部分的に基づく、
実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
(47) 前記患者の動きが呼吸に起因する、実施態様29に記載のコンピュータ可読媒体。
(48) 医療システムであって、
患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入されるように構成された第1の医療用器具であって、前記第1の医療用器具が、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える、第1の医療用器具と、
前記治療領域に前記患者の経皮的開口部を通して挿入されるように構成された第2の医療用器具と、
実行可能命令を記憶している少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信している1つ以上のプロセッサであって、前記命令を実行して、前記システムに、少なくとも、
第1の位置センサの出力に基づいて、前記治療領域内の前記第1の医療用器具の第1の位置を決定させ、
決定された前記第1の位置から離れた前記治療領域内の標的位置を画定させ、
前記標的位置を前記決定された第1の位置に登録させ、
前記第2の医療用器具を、経皮的開口部を通して前記標的位置に向けて案内させる、ように構成された、1つ以上のプロセッサと、
を備える、システム。
(49) 前記命令が更に、前記システムに、前記第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録させ、前記第1の位置センサを用いて前記治療領域内の前記器具の前記第1の位置を決定することが、前記術前モデルを参照して前記第1の位置を決定することを含む、実施態様48に記載のシステム。
(50) 前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することを含む、実施態様49に記載のシステム。
【0182】
(51) 前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することが、
前記術前モデルをユーザに表示することと、
前記術前モデルを参照して、前記標的位置の選択を受信することと、
を含む、実施態様50に記載のシステム。
(52) 前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して、前記決定された第1の位置と前記標的位置との間の差を決定することを含む、実施態様51に記載のシステム。
(53) 前記標的位置の表現を前記ユーザに表示するように構成されたディスプレイを更に備える、実施態様52に記載のシステム。
(54) 前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、
前記治療領域の1つ以上の術中医用画像をキャプチャすることと、
前記1つ以上の術中医用画像を参照して前記標的位置を画定することと、
を含む、実施態様48に記載のシステム。
(55) 前記1つ以上の術中医用画像が、1つ以上の蛍光透視画像を含む、実施態様54に記載のシステム。
【0183】
(56) 前記命令が更に、前記システムに、前記第1の位置センサの出力を前記1つ以上の術中医用画像に登録させる、実施態様54に記載のシステム。
(57) 前記決定された第1の位置から離れた前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記第1の医療用器具の前記細長いシャフトの遠位端部から延びる第1の軸に沿って前記標的位置を決定することを含む、実施態様48に記載のシステム。
(58)
前記第2の医療用器具を前記患者を通って前記標的位置に向けて案内することが、
前記第2の医療用器具の第2の軸を前記標的位置と位置合わせすることと、
前記第2の医療用器具を前記標的位置に向けて前進させることと、
を含む、実施態様48に記載のシステム。
(59) ロボットアームを更に備え、前記第2の医療用器具が前記ロボットアームに取り付けられ、前記ロボットアームが、前記第2の医療用器具の動作を前記第2の軸に沿った動作に限定する、実施態様58に記載のシステム。
(60) 前記第1の医療用器具が内視鏡を含む、実施態様48に記載のシステム。
【0184】
(61) 前記第1の医療用器具がロボット制御される、実施態様48に記載のシステム。
(62) 前記第2の医療用器具がロボット制御される、実施態様61に記載のシステム。
(63) コンピュータ可読媒体であって、
少なくとも1つのプロセッサに、
細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入することと、
前記第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することと、
前記術前モデルをユーザに表示することと、
前記術前モデルを参照して境界を作成するための1つ以上の仮想基準の位置を画定することであって、前記1つ以上の仮想基準の前記位置が、前記第1の位置センサの登録された前記出力に基づいて決定される、画定することと、
前記1つ以上の仮想基準に基づいて、第2の器具を、経皮的開口部を通して前記治療領域に、又は前記治療領域内に案内することと、
を行わせるように構成された命令を含む、コンピュータ可読媒体。
(64) 前記命令が、前記プロセッサに、前記第1の位置センサが前記境界から離れるように前記第1の医療用器具を位置決めさせるように更に構成された、実施態様63に記載のコンピュータ可読媒体。
(65) 前記1つ以上の仮想基準の前記位置を決定することが、前記位置の各々について、
前記第1の医療用器具を、仮想基準が配置される前記治療領域内の場所にナビゲートすることと、
前記場所を、前記第1の位置センサの前記登録された出力に基づいて、仮想基準の前記位置として画定することと、
を含む、実施態様63に記載のコンピュータ可読媒体。
【0185】
(66) 前記1つ以上の仮想基準の前記位置を決定することが、前記位置の各々について、
前記1つ以上の仮想基準のうちの1つを配置する場所のユーザ選択を受信することと、
前記第1の位置センサに基づいて決定された少なくとも第1の位置を参照して前記場所に対応する仮想基準位置を決定することと、を含み、前記仮想基準位置が、前記第1の位置から離れている、
実施態様63に記載のコンピュータ可読媒体。
(67) 前記境界が切除体積を画定する、実施態様63に記載のコンピュータ可読媒体。
(68) 前記第1の医療用器具が内視鏡を含む、実施態様63に記載のコンピュータ可読媒体。
(69) 前記第1の医療用器具がロボット制御される、実施態様68に記載のコンピュータ可読媒体。
(70) 前記治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、実施態様63に記載のコンピュータ可読媒体。
【0186】
(71) 前記術前モデルがCTスキャンに基づいて決定される、実施態様63に記載のコンピュータ可読媒体。
(72) 医療システムであって、
患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入されるように構成された第1の医療用器具であって、細長いシャフト及び第1の位置センサを備える、第1の医療用器具と、
前記治療領域に前記患者の経皮的開口部を通して挿入されるように構成された第2の医療用器具と、
実行可能命令を記憶している少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、
前記少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信している1つ以上のプロセッサであって、前記命令を実行して、前記システムに、少なくとも、
前記第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することと、
前記術前モデルをユーザに表示することと、
前記術前モデルを参照して境界を作成するための1つ以上の仮想基準の位置を画定することであって、前記1つ以上の仮想基準の前記位置が、前記第1の位置センサの登録された前記出力に基づいて決定される、画定することと、
前記1つ以上の仮想基準に基づいて、前記第2の医療用器具を、経皮的開口部を通して前記治療領域に、又は前記治療領域内に案内することと、を行わせるように構成された、1つ以上のプロセッサと、
を備える、システム。
(73) 前記1つ以上の仮想基準の前記位置を決定することが、前記位置の各々について、
前記第1の医療用器具を、仮想基準が配置される前記治療領域内の場所にナビゲートすることと、
前記場所を、前記第1の位置センサの前記登録された出力に基づいて、仮想基準の前記位置として画定することと、
を含む、実施態様72に記載のシステム。
(74) 前記1つ以上の仮想基準の前記位置を決定することが、前記位置の各々について、
前記1つ以上の仮想基準のうちの1つを配置する場所のユーザ選択を受信することと、
前記第1の位置センサに基づいて決定された少なくとも第1の位置を参照して前記場所に対応する仮想基準位置を決定することと、を含み、前記仮想基準位置が、前記第1の位置から離れている、
実施態様72に記載のシステム。
(75) 前記境界が切除体積を画定する、実施態様72に記載のシステム。
【0187】
(76) 前記第1の医療用器具が内視鏡を含む、実施態様72に記載のシステム。
(77) 前記第1の医療用器具がロボット制御される、実施態様76に記載のシステム。
(78) 前記治療領域が、腎臓、膀胱、肺、又は胃腸管を含む、実施態様72に記載のシステム。
(79) 前記術前モデルがCTスキャンに基づいて決定される、実施態様72に記載のシステム。
(80) 医療処置を実行する方法であって、
細長いシャフト及び第1の位置センサを備える第1の医療用器具を、患者の治療領域に前記患者の自然開口部を通して挿入することと、
前記第1の位置センサを用いて、前記治療領域内の前記第1の医療用器具の第1の位置を決定することと、
決定された前記第1の位置から離れた前記治療領域内の標的位置を画定することと、
第2の医療用器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内することと、
を含む、方法。
【0188】
(81) 前記第1の位置センサの出力を術前モデルの座標フレームに登録することを更に含み、前記第1の位置センサを用いて前記治療領域内の前記器具の前記第1の位置を決定することが、前記術前モデルを参照して前記第1の位置を決定することを含む、実施態様80に記載の方法。
(82) 前記術前モデルを参照して前記標的位置を決定することが、
前記術前モデルをユーザに表示することと、
前記術前モデルを参照して、前記標的位置の選択を受信することと、を含む、実施態様80に記載の方法。
(83) 前記標的位置を画定することが、前記術前モデルを参照して、前記決定された第1の位置と前記標的位置との間の差を決定することを含む、実施態様80に記載の方法。
(84) 前記決定された第1の位置から離れた前記治療領域内の前記標的位置を画定することが、前記第1の医療用器具の前記細長いシャフトの遠位端部から延びる第1の軸に沿って前記標的位置を決定することを含む、実施態様80に記載の方法。
(85) 前記第2の医療用器具を前記患者を通して前記標的位置に向けて経皮的に案内することが、
前記第2の医療用器具の第2の軸を前記標的位置と位置合わせすることと、
前記第2の医療用器具を前記標的位置に向けて前進させることと、を含む、
実施態様80に記載の方法。
【0189】
(86) 前記第2の医療用器具がロボットアームに取り付けられ、
前記ロボットアームが、前記第2の医療用器具の動作を前記第2の軸に沿った動作に限定する、
実施態様80に記載の方法。