(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ステビオール配糖体組成物およびステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240813BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A23L27/00 101A
A23L2/60
A23L2/00 C
(21)【出願番号】P 2021543024
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2020032520
(87)【国際公開番号】W WO2021039944
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2019156111
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】内海 唯
(72)【発明者】
【氏名】高柳 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】西堀 友之
(72)【発明者】
【氏名】浦井 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】三井 亮輝
(72)【発明者】
【氏名】横尾 芳明
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/102447(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/053135(WO,A1)
【文献】特表2018-535656(JP,A)
【文献】特開平01-025790(JP,A)
【文献】特表2016-537317(JP,A)
【文献】特開昭54-076600(JP,A)
【文献】特開昭55-039731(JP,A)
【文献】特表2016-515814(JP,A)
【文献】Stevia Sweetener Purification,Food & Beverage-Application-ION EXCHANGE RESINS,MITSUBISHI CHEMICAL,2018年01月01日,p.1-13,https://www.diaion.com/en/application/food_beverage/, [検索日:2020年10月12日]
【文献】KOOTSTRA, A.M.J., and HUURMAN, S.,Extraction of steviol glycosides from fresh Stevia using acidified water; comparison to hot water ex,ACRRES,2017年01月,Pagv-722,p.1-26
【文献】DE OLIVEIRA, Silvia P. D., MAHL, Cynthia R. A., SIMOES, Marcia R.,Chitosan as Flocculant Agent for Clarification of Stevia Extract,Polimeros,2012年,Vol.22, No.4,p.401-406
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
A23L 2/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビオール配糖体組成物であって、
前記ステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対して、
ステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシドからなる9種のステビオール配糖体の合計含有量が60重量%以上かつ95重量%未満であり、かつ、
前記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分の合計含有量が5重量%~40重量%であり、
前記9種のステビオール配糖体の合計含有量に対するレバウディオサイドAおよびレバウディオサイドDの含有量の割合が重量ベースでそれぞれ、
レバウディオサイドAの割合が35重量%~75重量%、および
レバウディオサイドDの割合が5重量%~30重量%であり、
前記9種のステビオール配糖体の合計量に対して、0.5重量%~9.0重量%のレバウディオサイドMをさらに含み、
下記の特性:
メタノール含有量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して0.10重量%以下、
ポリフェノールの含有量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して2.0重量%以下、および
総窒素量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して0.40重量%以下
から選択される少なくとも1つの特性を有
し、
甘味料組成物である、組成物。
【請求項2】
ステビア抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記9種のステビオール配糖体の含有量に対するレバウディオサイドBの割合が0.005~3.0重量%、レバウディオサイドCの割合が3.0~9.0重量%、レバウディオサイドFの割合が0.5~4.0重量%、ズルコサイドAの割合が0.01~0.50重量%、ルブソシドの割合が0.01~0.50重量%、ステビオールビオシドの割合が0.001~0.50重量%、およびステビオシドの割合が1.0~35重量%である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
レバウディオサイドE、レバウディオサイドI、レバウディオサイドJ、レバウディオサイドK、レバウディオサイドM、レバウディオサイドN、レバウディオサイドO、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドR、ズルコサイドC、ステビオールおよびステビオールモノシドからなる群から選択される一種以上のステビオール配糖体をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載の組成物を含む飲食品。
【請求項6】
飲料である、請求項
5に記載の飲食品。
【請求項7】
ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法であって、
前記乾燥葉を溶媒を用いて抽出して抽出物を得ることと、
前記抽出物を固液分離処理することで清澄液を得ることと、
前記清澄液に凝集剤を添加して凝集させ、処理液を得ることと、
前記処理液を疎水性多孔質樹脂で処理することと、
前記多孔質樹脂から溶媒を用いてステビオール配糖体を溶出すること、
を含み、
前記ステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対して、前記ステビオール配糖体組成物におけるステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシドからなる9種のステビオール配糖体の合計含有量が60重量%以上かつ95重量%未満であり、かつ、
前記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分の合計含有量が5重量%~40重量%であ
り、
前記9種のステビオール配糖体の合計量に対して、0.5重量%~9.0重量%のレバウディオサイドMをさらに含み、
前記ステビオール配糖体組成物が下記の特性:
メタノール含有量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して0.10重量%以下、
ポリフェノールの含有量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して2.0重量%以下、および
総窒素量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して0.40重量%以下
から選択される少なくとも1つの特性を有し、
前記ステビオール配糖体組成物が甘味料組成物である、方法。
【請求項8】
前記多孔質樹脂の最頻度細孔半径が10~200Åである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記多孔質樹脂がスチレンとジビニルベンゼンとの共重合体である、請求項
7または
8に記載の方法。
【請求項10】
前記スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体にイオン交換基の導入処理がなされていない、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記多孔質樹脂が、アリール基、アルキル基、アルキルシリル基、エステル基およびエポキシ基から選択される1つ以上の疎水性基を含む、請求項
7~
10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記凝集剤が、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化鉄(III)またはその水和物、合成高分子凝集剤、アルギン酸、キチン、キトサンおよび水酸化カルシウムから選択される1つ以上を含む、請求項
7~
11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステビオール配糖体組成物およびステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法に関する。本発明はさらに、新規ステビオール配糖体を含む飲食品にも関する。
【背景技術】
【0002】
キク科ステビア(Stevia rebaudiana)の葉にはジテルペノイドの一種であるステビオール(Steviol)とよばれる二次代謝産物が含まれており、ステビオール配糖体は砂糖の約300倍もの甘味を呈することからカロリーレスの甘味料として食品産業に利用されている。肥満が深刻な社会問題として国際的に発展しており、健康増進および医療費削減の観点からもカロリーレスの甘味料の要望は日々大きくなっている。現在では人工的に合成されたアミノ酸誘導体のアスパルテーム(Aspartame)やアセスルファムカリウム(Acesulfame Potassium)が人工甘味料として利用されているが、ステビオール配糖体のように天然に存在するカロリーレス甘味料はより安全で消費者理解(Public Acceptance)が得られやすいと期待される。
【0003】
これまでステビオール配糖体を含む種々の組成物が報告されている。例えば、特許文献1には、レバウディオサイドMを一般的な相対濃度(common relative concentration)よりも高い濃度で含むステビア(Stevia rebaudiana)植物の葉から抽出してステビオール配糖体組成物を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような状況から、現在、ステビオール配糖体の新規な組成物や、ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する新規な方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次に示す、ステビオール配糖体組成物、ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法およびステビオール配糖体組成物を含む飲食品などを提供する。
[1]
ステビオール配糖体組成物であって、
前記ステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対して、
ステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシドからなる9種のステビオール配糖体の合計含有量が60重量%以上かつ95重量%未満であり、かつ、
前記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分の合計含有量が5重量%~40重量%であり、
前記9種のステビオール配糖体の合計含有量に対するレバウディオサイドAおよびレバウディオサイドDの含有量の割合が重量ベースでそれぞれ、
レバウディオサイドAの割合が35重量%~75重量%、および
レバウディオサイドDの割合が5重量%~30重量%であり、
下記の特性:
メタノール含有量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して0.10重量%以下、
ポリフェノールの含有量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して2.0重量%以下、および
総窒素量が前記組成物中の前記9種のステビオール配糖体量に対して0.40重量%以下
から選択される少なくとも1つの特性を有する、組成物。
[2]
ステビア抽出物である、[1]に記載の組成物。
[3]
前記9種のステビオール配糖体の含有量に対するレバウディオサイドBの割合が0.005~3.0重量%、レバウディオサイドCの割合が3.0~9.0重量%、レバウディオサイドFの割合が0.5~4.0重量%、ズルコサイドAの割合が0.01~0.50重量%、ルブソシドの割合が0.01~0.50重量%、ステビオールビオシドの割合が0.001~0.50重量%、およびステビオシドの割合が1.0~35重量%である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]
レバウディオサイドE、レバウディオサイドI、レバウディオサイドJ、レバウディオサイドK、レバウディオサイドM、レバウディオサイドN、レバウディオサイドO、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドR、ズルコサイドC、ステビオールおよびステビオールモノシドからなる群から選択される一種以上のステビオール配糖体をさらに含む、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
前記9種のステビオール配糖体の合計量に対して、0.5重量%~9.0重量%のレバウディオサイドMをさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の組成物を含む飲食品。
[7]
飲料である、[6]に記載の飲食品。
[8]
ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法であって、
前記乾燥葉を溶媒を用いて抽出して抽出物を得ることと、
前記抽出物を固液分離処理することで清澄液を得ることと、
前記清澄液に凝集剤を添加して凝集させ、処理液を得ることと、
前記処理液を疎水性多孔質樹脂で処理することと、
前記多孔質樹脂から溶媒を用いてステビオール配糖体を溶出すること、
を含み、
前記ステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対して、前記ステビオール配糖体組成物におけるステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシドからなる9種のステビオール配糖体の合計含有量が60重量%以上かつ95重量%未満であり、かつ、
前記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分の合計含有量が5重量%~40重量%である、方法。
[9]
前記多孔質樹脂の最頻度細孔半径が10~200Åである、[8]に記載の方法。
[10]
前記多孔質樹脂がスチレンとジビニルベンゼンとの共重合体である、[8]または[9]に記載の方法。
[11]
前記スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体にイオン交換基の導入処理がなされていない、[10]に記載の方法。
[12]
前記多孔質樹脂が、アリール基、アルキル基、アルキルシリル基、エステル基およびエポキシ基から選択される1つ以上の疎水性基を含む、[8]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]
前記凝集剤が、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化鉄(III)またはその水和物、合成高分子凝集剤、アルギン酸、キチン、キトサンおよび水酸化カルシウムから選択される1つ以上を含む、[8]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14]
[8]~[13]のいずれかに記載の方法で製造した、ステビオール配糖体組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ステビオール配糖体組成物、ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法およびステビオール配糖体組成物を含む飲食品を提供することができる。本発明の好ましい態様のステビオール配糖体組成物は優れた味質を有する。本発明の他の態様の製造方法は、不純物の量が低減されたステビオール配糖体組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、2019年8月28日に出願された本願優先権主張の基礎となる日本国特許出願(特願2019-156111号)の明細書及び図面に記載の内容を包含する。
【0010】
本明細書において、「レバウディオサイド」、「Reb」および「Reb.」は同じ意味を表すものであり、いずれも「rebaudioside」を意味するものである。同様に、本明細書において、「ズルコサイド」は「dulcoside」を意味するものである。
【0011】
1. ステビオール配糖体組成物
本発明のステビオール配糖体組成物は、ステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対して、ステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシドからなる9種のステビオール配糖体の合計含有量が60重量%以上かつ95重量%未満であり、かつ、前記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分の合計含有量が5重量%~40重量%であり、前記9種のステビオール配糖体の合計含有量に対するレバウディオサイドAおよびレバウディオサイドDの含有量の割合が重量ベースでそれぞれ、レバウディオサイドAの割合が35重量%~75重量%およびレバウディオサイドDの割合が5重量%~30重量%である。また、本発明のステビオール配糖体組成物は下記の特性から選択される少なくとも1つの特性を有する。
メタノール含有量が前記組成物中の9種のステビオール配糖体量に対して0.10重量%以下、
ポリフェノールの含有量が前記組成物中の9種のステビオール配糖体量に対して2.0重量%以下、および
総窒素量が前記組成物中の9種のステビオール配糖体量に対して0.40重量%以下
【0012】
本発明の一態様におけるステビオール配糖体組成物は、上記のメタノール含有量に関する特性、ポリフェノール含有量に関する特性および総窒素量に関する特性から選択される少なくとも2つの特性を有し、好ましくは3つ全ての特性を有する。本発明の一態様におけるステビオール配糖体組成物は、上記メタノール含有量に関する特性およびポリフェノール含有量に関する特性、上記メタノール含有量に関する特性および総窒素量に関する特性または上記ポリフェノール含有量に関する特性および総窒素量に関する特性を有する。
【0013】
本発明の一態様によるステビオール配糖体組成物は、甘味と好ましい味質を有するため、新規な甘味料として使用することができる。また、本発明の他の態様によるステビオール配糖体組成物は、メタノール、ポリフェノールおよび含窒素化合物から選択される1種以上の不純物の含有量が少ないため、レバウディオサイドAまたはレバウディオサイドDの高純度製剤(純度95%以上)を製造するための中間体としても好適に用いることができる。本発明の一態様によるステビオール配糖体組成物は、ステビア抽出物である。すなわち、ステビア抽出物に所定の精製処理を加えて含有されるステビオール配糖体の量や、不純物の量を調整したものである。
【0014】
本明細書において、「ステビオール配糖体組成物の固形分総重量」とは、水などの溶媒を除いた成分の総重量を意味し、乾燥法によって測定することができる。すなわち、赤外線水分計FD-800(ケツト科学研究所製)等を用いてステビオール配糖体組成物を加熱乾燥、質量測定することにより求めることができる。本発明のステビオール配糖体組成物はステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシドからなる9種のステビオール配糖体のうち1種以上のステビオール配糖体と、前記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分を含む。9種のステビオール配糖体は1種以上含まれていれば、いくつかのステビオール配糖体の含有量が0であってもよい。そして、その9種のステビオール配糖体の含有量が60重量%以上かつ95重量%未満であり、かつ、9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分の含有量が5重量%~40重量%(あるいは5重量%を超え、40重量%以下)である。本発明の一態様のステビオール配糖体組成物は、ステビオール配糖体とステビオール配糖体外以外のステビア由来成分以外に任意の他の成分を含んでいてもよい。上記9種のステビオール配糖体の含有量はLC/MS/MSまたはHPLCを用いた方法で測定することができるが、JECFA(2010)に準拠したHPLC法で測定することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様におけるステビオール配糖体組成物は、レバウディオサイドAおよびレバウディオサイドDを含む。本発明の一態様において、レバウディオサイドAの含有量は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して35重量%~75重量%である。他の態様において、レバウディオサイドAの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して37重量%~73重量%、39重量%~71重量%、40重量%~70重量%、42重量%~68重量%、44重量%~66重量%、46重量%~64重量%、48重量%~62重量%、50重量%~60重量%、35重量%~65重量%または37重量%~63重量%であってもよく、35重量%~70重量%が好ましい。
【0016】
本発明の一態様において、レバウディオサイドDの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して5重量%~30重量%である。他の態様において、レバウディオサイドDの含有量は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して7重量%~28重量%、9重量%~26重量%、10重量%~25重量%、12重量%~23重量%、14重量%~21重量%、15重量%~20重量%、6重量%~20重量%、7重量%~18重量%または8重量%~16重量%であってもよく、6重量%~20重量%が好ましい。
【0017】
本発明の一態様において、レバウディオサイドAおよびDの割合の合計は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して50重量%~90重量%であることが好ましい。他の態様において、レバウディオサイドAおよびDの割合の合計は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して55重量%~85重量%、60重量%~85重量%、65重量%~85重量%、70重量%~85重量%、75重量%~85重量%、65重量%~80重量%、70重量%~80重量%または75重量%~80重量%であってもよく、55重量%~80重量%が好ましい。
【0018】
本発明の一態様において、レバウディオサイドBの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して0.005重量%~3.0重量%、0.01重量%~3.0重量%、0.1重量%~2.0重量%、0.2重量%~1.8重量%、0.4重量%~1.6重量%、0.6重量%~1.4重量%、0.8重量%~1.2重量%、または0.2重量%~0.8重量%であってもよく、0.2重量%~0.8重量%が好ましい。
【0019】
本発明の一態様において、レバウディオサイドCの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して3.0重量%~9.0重量%、3.5重量%~9.0重量%、4.0重量%~8.0重量%、4.5重量%~7.0重量%または5.0重量%~6.5重量%であってもよく、3.0重量%~6.5重量%が好ましい。
【0020】
本発明の一態様において、レバウディオサイドFの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して0.5重量%~4.0重量%、1.0重量%~3.5重量%、1.5重量%~3.0重量%または0.5重量%~2.0重量%であってもよく、0.5重量%~2.0重量%が好ましい。
【0021】
本発明の一態様において、ズルコサイドAの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して0.01重量%~0.50重量%、0.02重量%~0.45重量%、0.03重量%~0.40重量%または0.04重量%~0.35重量%であってもよく、0.04重量%~0.35重量%が好ましい。
【0022】
本発明の一態様において、ルブソシドの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して0.01重量%~0.50重量%、0.02重量%~0.45重量%、0.03重量%~0.40重量%または0.04重量%~0.35重量%であってもよく、0.04重量%~0.35重量%が好ましい。
【0023】
本発明の一態様において、ステビオールビオシドの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して0.001重量%~0.50重量%、0.005重量%~0.50重量%、0.01重量%~0.50重量%、0.05重量%~0.45重量%、0.08重量%~0.40重量%または0.10重量%~0.35重量%であってもよく、0.08重量%~0.35重量%が好ましい。
【0024】
本発明の一態様において、ステビオシドの割合は、9種のステビオール配糖体の合計含有量に対して1.0重量%~35重量%、5.0重量%~30重量%、10重量%~30重量%、15重量%~30重量%、20重量%~30重量%、1重量%~20重量%、5重量%~20重量%または10重量%~25重量%であってもよく、10重量%~31重量%が好ましい。
【0025】
本発明のステビオール配糖体組成物は、上記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体をさらに含んでいてもよい。例えば、本発明のステビオール配糖体組成物は、上記の9種のステビオール配糖体に加え、レバウディオサイドE、レバウディオサイドI、レバウディオサイドJ、レバウディオサイドK、レバウディオサイドM、レバウディオサイドN、レバウディオサイドO、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドR、ズルコサイドC、ステビオールおよびステビオールモノシドからなる群から選択される一種以上のステビオール配糖体をさらに含んでいてもよい。
【0026】
本発明の一態様において、レバウディオサイドMの割合は、上記9種のステビオール配糖体の合計量に対して0.5重量%~10重量%である。他の態様において、レバウディオサイドMの含有量は、上記9種のステビオール配糖体の合計量に対して1.0重量%~9.0重量%、1.5重量%~8.5重量%、2.0重量%~8.0重量%、2.5重量%~7.5重量%、3.0重量%~7.0重量%、4.0重量%~6.5重量%、1.0重量%~6.0重量%、または1.5重量%~4.0重量%であってもよく、1.0重量%~5.0重量%が好ましい。
【0027】
本発明の一態様において、レバウディオサイドNの割合は、上記9種のステビオール配糖体の含有量に対して0.1重量%~6.0重量%、0.5重量%~5.5重量%、1.5重量%~5.0重量%または2.0重量%~5.0重量%であってもよく、1.5重量%~5.0重量%が好ましい。
【0028】
ステビアの葉は、ステビオール配糖体以外にも多種多様な成分を含んでおり、本明細書においてこれらの成分を「ステビオール配糖体以外のステビア由来の成分」と称する。ステビオール配糖体組成物をステビア抽出物から調製した場合は、そのステビオール配糖体組成物に含まれるステビオール配糖体以外の成分は実質的にステビア由来の成分である。そのようなステビオール配糖体以外のステビア由来の成分としては、水溶性成分と不溶性成分がある。水溶性成分としては、水溶性食物繊維などの多糖類、アルカロイドおよびフラボノイドおよびテルペノイドなどの二次代謝産物、メタノール、ポリフェノール、ミネラル、ビタミン、アミノ酸、有機酸、水溶性タンパク質、ならびに様々な他の配糖体が挙げられる。不溶性成分としては、不溶性食物繊維などを含む不溶性多糖類、不溶性タンパク質および脂質が挙げられる。
【0029】
本発明の一態様において、上記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来の成分はステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対して5重量%~40重量%である。他の態様において、上記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来の成分はステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対して5重量%~35重量%、5重量%~30重量%、5重量%~25重量%、5重量%~20重量%、5重量%~15重量%、5重量%~10重量%、10重量%~35重量%、10重量%~30重量%、10重量%~25重量%または10重量%~20重量%であってもよく、5重量%~20重量%が好ましい。
【0030】
本発明の一態様において、メタノール含有量が組成物中の上記9種のステビオール配糖体量に対して0.10重量%以下である。本明細書において、「組成物中の上記9種のステビオール配糖体量に対して」とは、組成物中の9種のステビオール配糖体(すなわち、ステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシド)以外の水や不純物等を除くことを意味する。すなわち、メタノール含有量は上記9種のステビオール配糖体量に対する相対量である。メタノール含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)で測定することができる。他の態様において、メタノール含有量は組成物中の上記9種のステビオール配糖体量に対して0.09重量%以下、0.08重量%以下、0.07重量%以下、0.06重量%以下、または0.05重量%以下であり、その下限値は、好ましくは0.01重量%である。メタノールの含有量が低いことで摂取時の安全性をより向上させることができる。
【0031】
本発明の一態様において、ポリフェノール含有量が組成物中の上記9種のステビオール配糖体量に対して2.0重量%以下である。ポリフェノール含有量は、フォーリン・チオカルト(Folin-Ciocalteu)法で測定することができる。他の態様において、ポリフェノール含有量は組成物中の上記9種のステビオール配糖体量に対して1.9重量%以下、1.8重量%以下、1.7重量%以下、1.6重量%以下、または1.5重量%以下、1.4重量%以下、1.3重量%以下、1.2重量%以下、1.1重量%以下、1.0重量%以下、0.9重量%以下、0.8重量%以下、0.7重量%以下、0.6重量%以下、または0.5重量%以下であり、その下限値は、好ましくは0.1重量%である。ポリフェノールの含有量が低いことで苦味や渋味、その他の雑味を低減することができる。
【0032】
本発明の一態様において、総窒素量が組成物中の上記9種のステビオール配糖体量に対して0.40重量%以下である。総窒素量は、燃焼法で測定することができる。他の態様において、総窒素量は組成物中の上記9種のステビオール配糖体量に対して0.35重量%以下、0.30重量%以下、0.25重量%以下、0.20重量%以下、0.15重量%以下、0.10重量%以下、または0.05重量%以下であり、その下限値は、好ましくは0.01重量%である。総窒素量が低いことで苦味やその他の雑味を低減することができる。
【0033】
本発明のステビオール配糖体を甘味料組成物として用いてもよい。また甘味料組成物として使用する場合には、本発明のステビオール配糖体組成物に加え、ステビオール配糖体以外の甘味料を含んでいてもよい。そのような甘味料としては、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料などが挙げられる。中でもすっきりさ、飲みやすさ、自然な味わい、適度なコク味の付与の観点から、天然甘味料を用いることが好ましく、特に、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、砂糖が好適に用いられる。これら甘味成分は一種類のみ用いてもよく、また複数種類を用いてもよい。
【0034】
本発明のステビオール配糖体は、ステビア植物の乾燥葉からの抽出・精製(「3.ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法」において詳述する)や、精製品の添加・混合によって製造することができる。本発明のステビオール配糖体組成物を、精製品の添加・混合によって製造する場合は、例えば、レバウディオサイドA、レバウディオサイドDおよびレバウディオサイドMの高純度品(純度95%以上)を添加・混合することで調製することができる。レバウディオサイドAの高純度品は例えば、レバウディオJ-100(守田化学工業社製)を使用することができる。レバウディオサイドDの高純度品は、例えば、特許第5759998号公報に記載の方法で調製することができ、レバウディオサイドMの高純度品は例えば、特表2015-502404号公報に記載の方法で調製することができる。
【0035】
2.ステビオール配糖体組成物を含む飲食品、香料および医薬品
本発明の一態様によれば、本発明のステビオール配糖体組成物を含む飲食品、香料および医薬品(本明細書中それぞれ「本発明の飲食品」、「本発明の香料」および「本発明の医薬品」ともいう)が提供される。本発明の飲食品、香料及び医薬品は、本発明のステビオール配糖体組成物を含んでいれば特に限定されない。ここで飲食品とは、飲料および食品を意味し、好ましい対応において飲食品は飲料である。したがって、ある実施態様では、本発明は新規な飲料又は食品を提供し、また、当該飲料又は食品の製造方法を提供する。
【0036】
本発明の飲食品、香料及び医薬品に含まれる本発明のステビオール配糖体組成物の量は、具体的な飲食品によって異なるが、飲料の場合、おおむね1質量ppm~800質量ppmであるのが好ましく、例えば、20質量ppm~750質量ppm、20質量ppm~700質量ppm、20質量ppm~650質量ppm、20質量ppm~600質量ppm、20質量ppm~550質量ppm、25質量ppm~550質量ppm、30質量ppm~550質量ppm、35質量ppm~550質量ppm、40質量ppm~550質量ppm、45質量ppm~550質量ppm、50質量ppm~550質量ppm、55質量ppm~550質量ppm、20質量ppm~540質量ppm、25質量ppm~540質量ppm、30質量ppm~540質量ppm、35質量ppm~540質量ppm、40質量ppm~540質量ppm、45質量ppm~540質量ppm、50質量ppm~540質量ppm、55質量ppm~540質量ppm、20質量ppm~530質量ppm、25質量ppm~530質量ppm、30質量ppm~530質量ppm、35質量ppm~530質量ppm、40質量ppm~530質量ppm、45質量ppm~530質量ppm、50質量ppm~530質量ppm、55質量ppm~530質量ppm、20質量ppm~520質量ppm、25質量ppm~520質量ppm、30質量ppm~520質量ppm、35質量ppm~520質量ppm、40質量ppm~520質量ppm、45質量ppm~520質量ppm、50質量ppm~520質量ppm、55質量ppm~520質量ppm、20質量ppm~510質量ppm、25質量ppm~510質量ppm、30質量ppm~510質量ppm、35質量ppm~510質量ppm、40質量ppm~510質量ppm、45質量ppm~510質量ppm、50質量ppm~510質量ppm、55質量ppm~510質量ppm、20質量ppm~505質量ppm、25質量ppm~505質量ppm、30質量ppm~505質量ppm、35質量ppm~505質量ppm、40質量ppm~505質量ppm、45質量ppm~505質量ppm、50質量ppm~505質量ppm、55質量ppm~505質量ppm、20質量ppm~500質量ppm、25質量ppm~500質量ppm、30質量ppm~500質量ppm、35質量ppm~500質量ppm、40質量ppm~500質量ppm、45質量ppm~500質量ppm、50質量ppm~500質量ppm、55質量ppm~500質量ppm、20質量ppm~495質量ppm、25質量ppm~495質量ppm、30質量ppm~495質量ppm、35質量ppm~495質量ppm、40質量ppm~495質量ppm、45質量ppm~495質量ppm、50質量ppm~495質量ppm、55質量ppm~495質量ppm、20質量ppm~490質量ppm、25質量ppm~490質量ppm、30質量ppm~490質量ppm、35質量ppm~490質量ppm、40質量ppm~490質量ppm、45質量ppm~490質量ppm、50質量ppm~490質量ppm、55質量ppm~490質量ppm、100質量ppm~400質量ppm、150質量ppm~400質量ppm、200質量ppm~400質量ppm、250質量ppm~400質量ppm、300質量ppm~400質量ppm、100質量ppm~150質量ppm、100質量ppm~200質量ppm、100質量ppm~250質量ppmまたは100質量ppm~300質量ppmであってもよい。含有量をこの範囲とすることで適度な甘みを付与することができるという利点がある。本明細書において「ppm」とは、特に明記しない限り、「質量ppm」を意味する。
【0037】
本発明の飲食品、香料および医薬品は、さらに他のステビオール配糖体を含んでいてもよい。例えば、本発明の飲食品、香料および医薬品は、本発明のステビオール配糖体組成物に加え、さらにレバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE,レバウディオサイドF、レバウディオサイドI、レバウディオサイドJ、レバウディオサイドK、レバウディオサイドN、レバウディオサイドM、レバウディオサイドO、レバウディオサイドQ、レバウディオサイドR、ズルコサイドA、ズルコサイドC、ルブソシド、ステビオール、ステビオールモノシド、ステビオールビオシドおよびステビオシドからなる群から選択される一種以上のステビオール配糖体をさらに含んでいてもよい。
【0038】
本発明の飲食品、香料および医薬品は、さらにステビオール配糖体以外の甘味料を含んでいてもよい。そのような甘味料としては、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料などが挙げられる。中でもすっきりさ、飲みやすさ、自然な味わい、適度なコク味の付与の観点から、天然甘味料を用いることが好ましく、特に、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、砂糖が好適に用いられる。これら甘味成分は一種類のみ用いてもよく、また複数種類を用いてもよい。
【0039】
ステビオール配糖体以外の甘味料の含有量は、高甘味度甘味料(例えば、モグロシドV、キシリトールおよび人工甘味料)の場合、本発明のステビオール配糖体組成物とステビオール配糖体以外の甘味料との組成比は、重量比で1:99~99:1、5:99~95:5、10:90~90:10、15:85~85:15、20:80~80:20、25:75~75:25、30:70~70:30、35:65~65:35、40:60~60:40、45:65~65:45または50:50であってよい。本発明のステビオール配糖体組成物と低甘味度甘味料(例えば、ショ糖や果糖ぶどう糖液糖など)が含まれる場合、本発明のステビオール配糖体組成物と低甘味度甘味料との組成比は、重量比で1:1000~1:100、1:800~1:100、1:700~1:100、1:600~1:100、1:500~1:100、1:400~1:100、1:300~1:100、または1:200~1:100であってよい。
【0040】
本発明の食品の例としては、特に限定されるものではないが、食品としては、製菓、製パン類、穀粉、麺類、飯類、農産・林産加工食品、畜産加工品、水産加工品、乳・乳製品、油脂・油脂加工品、調味料またはその他の食品素材等が挙げられる。
【0041】
本発明の飲料の例としては、特に限定されるものではないが、例えば炭酸飲料、非炭酸飲料、アルコール飲料、非アルコール飲料、ビールやノンアルコールビール等のビールテイスト飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ココア飲料、栄養飲料、機能性飲料などが挙げられる。
【0042】
本発明の飲料は、加熱殺菌をされ、容器に詰められた状態の容器詰飲料として調製してもよい。容器としては、特に限定されず、例えば、PETボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶などを挙げることができる。加熱殺菌を行う場合、その種類は特に限定されず、例えばUHT殺菌およびレトルト殺菌等の通常の手法を用いて行うことができる。加熱殺菌工程の温度は特に限定されないが、例えば65~130℃、好ましくは85~120℃で、10~40分である。ただし、上記の条件と同等の殺菌価が得られれば適当な温度で数秒、例えば5~30秒での殺菌でも問題はない。
【0043】
本発明の飲食品、香料および医薬品の製造方法は、上記の成分を有する飲食品、香料および医薬品が得られれば特に限定されない。本発明の一態様によれば、本発明の飲食品、香料および医薬品の製造方法であって、本発明のステビオール配糖体組成物を得る工程と、前記ステビオール配糖体組成物を飲食品、香料および医薬品またはその原料に添加する工程とを含む製造方法が提供される。本発明のステビオール配糖体組成物を得る工程は、「3. ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法」に記載のとおりである。本発明のステビオール配糖体組成物を飲食品、香料および医薬品またはその原料に添加する工程は飲食品、香料および医薬品の製造工程の任意の工程で行うことができ、例えば、飲食品、香料および医薬品の原料を混合する際や、飲食品、香料および医薬品の味質の最終調整の際に行ってもよい。
【0044】
3.ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法
本発明の一態様によれば、ステビア植物の乾燥葉からステビオール配糖体組成物を製造する方法が提供される(本明細書において、「本発明の製造方法」とも称する)。本発明の製造方法は、乾燥葉を溶媒を用いて抽出して抽出物を得ることと、抽出物を固液分離処理することで清澄液を得ることと、清澄液に凝集剤を添加して凝集させ、処理液を得ることと、処理液を疎水性多孔質樹脂で処理することと、多孔質樹脂から溶媒を用いてステビオール配糖体を溶出すること、を含む方法である。本発明の製造方法によれば、ステビオール配糖体組成物の総重量に対して、ステビオール配糖体組成物におけるステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシドからなる9種のステビオール配糖体の含有量が60重量%以上かつ95重量%未満であり、かつ、前記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分の含有量が5重量%~40重量%であるステビオール配糖体組成物が得られる。各工程について以下に説明する。
【0045】
(A)ステビア植物の乾燥葉からの抽出
本発明の一態様による製造方法には、ステビア植物の乾燥葉を水性溶媒を用いて抽出して抽出物(抽出液)を得ることが含まれる。本明細書において、ステビア植物の乾燥葉とは、ステビア植物の新鮮葉を乾燥させることにより含水量を減らしたものをいう。ステビア植物の乾燥葉の含水率は、好ましくは1~10重量%、より好ましくは、2~8重量%、特に好ましくは3~4重量%である。ステビア植物の乾燥葉はステビオール配糖体が含まれていれば特に限定されないが、好ましくはレバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMの含有量が天然のステビア植物の乾燥葉よりも多いものが好ましい。そのようなステビア植物の乾燥葉は、例えば、国際公開第2019/074089号公報等に記載の方法で得ることができる。
【0046】
本発明の製造方法に用いるのに好ましいステビア植物の乾燥葉は、含水率が3~4重量%の場合に乾燥葉100g中に5.0~25gのステビオール配糖体を含む。他の態様における乾燥葉は、含水率が3~4重量%の場合に乾燥葉100g中に6.0~24g、7.0~23g、8.0~22g、9.0~21g、10~20gまたは11~19gのステビオール配糖体を含んでいてもよい。
【0047】
本発明の製造方法に用いるのに好ましい乾燥葉は、含水率が3~4重量%の場合に乾燥葉100g中に0.5g以上のレバウディオサイドDを含む。また、他の態様に用いる好ましい乾燥葉は、含水率が3~4重量%の場合に乾燥葉100g中に0.19g以上のレバウディオサイドMを含む。また、他の態様に用いる好ましい乾燥葉は、含水率が3~4重量%の場合に乾燥葉100g中に3.0g以上のレバウディオサイドAを含む。他の好ましい態様において、乾燥葉は、含水率が3~4重量%の場合に乾燥葉100g中にレバウディオサイドDが1.0g以上、1.1g以上、1.2g以上、1.3g以上、1.4g以上、1.5g以上、1.6g以上、1.7g以上、1.8g以上、1.9g以上、2.0g以上、2.1g以上、2.2g以上、2.3g以上、2.4g以上、2.5g以上、2.6g以上、2.7g以上、2.8g以上、2.9g以上、3.0g以上、3.1g以上、3.2g以上、3.3g以上、3.4g以上、3.5g以上、3.6g以上、3.7g以上、3.8g以上、3.9g以上、4.0g以上、4.1g以上または4.2g以上の量で存在し、例えば、6.0g以下、5.5g以下または5.0g以下の量で存在していてもよい。他の好ましい態様において、乾燥葉は、含水率が3~4重量%の場合に乾燥葉100g当たりレバウディオサイドMが0.20g以上、0.25g以上、0.30g以上、0.35g以上、0.40g以上、0.45g以上、0.50g以上、0.55g以上、0.60g以上、0.65g以上、0.70g以上、0.75g以上、0.80g以上、0.85g以上、0.90g以上、0.95g以上、1.00g以上、1.05g以上、1.10g以上、1.15g以上、1.20g以上、1.25g以上、1.30g以上、1.35g以上、1.40g以上、1.45g以上の量で存在し、例えば、1.50g以下、1.30g以下または1.20g以下の量で存在していてもよい。他の好ましい態様において、乾燥葉は、含水率が3~4重量%の場合に乾燥葉100g中にレバウディオサイドAが3.0g以上、3.5g以上、4.0g以上、4.5g以上、5.0g以上、5.5g以上、6.0g以上、6.5g以上、7.0g以上、7.5g以上、8.0g以上、8.5g以上、9.0g以上、9.5g以上、10g以上、11g以上、12g以上、13g以上、または14g以上の量で存在し、例えば、17g以下、16g以下または15g以下の量で存在していてもよい。
【0048】
本発明の一態様における製造方法に用いる乾燥葉は、総ステビオール配糖体の含有量に対して35重量%~75重量%のレバウディオサイドAを含む。本明細書において、「総ステビオール配糖体」とは、未知のステビオール配糖体を含むものではなく、また検出限界未満で存在するステビオール配糖体も含まない。好ましくは、総ステビオール配糖体とは、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、レバウディオサイドF、レバウディオサイドG、レバウディオサイドI、レバウディオサイドM、レバウディオサイドN、ステビオシド、ズルコサイドA、ステビオールビオシドおよびルブソシドからなる。他の態様において、レバウディオサイドAの割合は、総ステビオール配糖体の含有量に対して37重量%~73重量%、39重量%~71重量%、40重量%~70重量%、42重量%~68重量%、44重量%~66重量%、46重量%~64重量%、48重量%~62重量%、50重量%~60重量%、35重量%~65重量%または37重量%~63重量%であってもよく、35重量%~65重量%が好ましい。
【0049】
本発明の一態様における製造方法に用いる乾燥葉は、総ステビオール配糖体の含有量に対して5重量%~30重量%のレバウディオサイドDを含む。他の態様において、レバウディオサイドDの含有量は、総ステビオール配糖体の含有量に対して7重量%~28重量%、9重量%~26重量%、10重量%~25重量%、12重量%~23重量%、14重量%~21重量%、15重量%~20重量%、6重量%~20重量%、7重量%~18重量%または8重量%~16重量%であってもよく、6重量%~20重量%が好ましい。
【0050】
本発明の一態様における製造方法に用いる乾燥葉は、総ステビオール配糖体の含有量に対して0.5重量%~15重量%のレバウディオサイドMを含む。他の態様において、レバウディオサイドDの含有量は、総ステビオール配糖体の含有量に対して1.0重量%~13重量%、1.5重量%~11重量%、2.0重量%~10重量%、2.5重量%~9.0重量%、3.0重量%~8.0重量%、4.0重量%~7.0重量%、1.0重量%~5.0重量%、または1.5重量%~4.0重量%であってもよく、1.0重量%~6.0重量%が好ましい。
【0051】
乾燥葉からのステビオール配糖体の抽出は、水やアルコール、あるいはそれらの混合溶液等の溶媒を用いて行うことができる。好ましい抽出溶媒としては、イオン交換水、純水(例えば、ミリQ水)およびエタノール水溶液などが挙げられる。抽出する際には、乾燥葉を破砕してもよく、破砕しなくてもよい。破砕する場合はボールミルなどを用いて破砕してもよい。あるいは、ニーダー抽出器(SKN-R100、三友機器株式会社製)等を用いて、抽出処理をしてもよい。
【0052】
抽出時には水性溶媒を加熱することで、より効率的にステビオール配糖体を抽出することができる。抽出する際の温度は、例えば、25~80℃、30~75℃、35~70℃、40~65℃、45~70℃であってもよく、好ましくは45~70℃である。
【0053】
抽出は1回だけでなく、複数回行ってもよい。複数回抽出を行うことで、葉に含まれているステビオール配糖体がより多く抽出される。効率の観点から、抽出は2回程度が好ましい。
【0054】
(B)固液分離処理
本発明の一態様による製造方法において、得られた抽出液を固液分離処理することで清澄液を得ることができる。固液分離処理としては、固体と液体が十分に分離されれば特に限定されないが、例えば、遠心分離器やフィルタープレスを用いた処理や、フィルターやメッシュを用いた重力ろ過が挙げられる。
【0055】
固液分離処理は、複数の手段を用いてもよく、例えば、第1の固液分離処理の後に第2の固液分離処理を行って清澄液を得てもよい。
【0056】
(C)凝集処理
本発明の一態様による製造方法において、固液分離処理によって得られた清澄液に凝集剤を添加させることで処理液を得ることができる。凝集剤としては、特に限定されず、公知の無機凝集剤や有機高分子凝集剤を用いることができる。本発明の他の態様において、凝集剤は、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化鉄(III)またはその水和物、合成高分子凝集剤(ポリアクリルアミド高重合体やポリアクリルアミドの部分加水分解物など)、アルギン酸、キチン、キトサン、水酸化カルシウムから選択される1つ以上が含まれる。本発明の一態様において、凝集剤としてこれらの凝集剤の1つ以上が含まれていればよく、他の凝集剤がさらに含まれていてもよい。凝集剤は2種以上のものを組み合わせて使用してもよく、例えば、水酸化カルシウムと塩化鉄の組合せ、または水酸化カルシウムと塩化鉄とキトサンとの組み合わせなどで使用してもよい。
【0057】
凝集剤の添加量は、各凝集剤について凝集が起こる量であれば特に限定されないが、例えば、清澄液に含まれる可溶性固形分に対して、3.0~50重量%の量で添加することができる。例えば、水酸化カルシウムについては清澄液中の固形分の10~30重量%に相当する量で添加することができ、好ましくは12~28重量%、より好ましくは14~25重量%の量で添加することができる。塩化鉄(III)六水和物の場合は、清澄液中の固形分の15~40重量%に相当する量で添加することができ、好ましくは18~38重量%、より好ましくは20~35重量%の量で添加することができる。0.5%(w/v)キトサン溶液の場合は、清澄液中の固形分の3.0~10重量%に相当する量で添加することができ、好ましくは4.0~8.0重量%、より好ましくは4.5~7.0重量%の量で添加することができる。
【0058】
凝集処理の際のpHは特に限定されず、凝集剤の種類によって凝集が最適化されるように適宜選択することができる。本発明の一態様において、凝集処理時の清澄液のpHは、2.0~13、3.0~13、4.0~13、5.0~13または6.0~13であってもよい。
【0059】
凝集処理の温度は特に限定されず、室温(約25℃)で加熱や冷却を行わずに実施してもよい。
【0060】
本発明の一態様において、凝集処理の後、後述の樹脂精製処理の前に処理液に含まれる凝集物を除去してもよい。凝集物の除去は、ろ過等の任意の方法で行うことができる。
【0061】
(D)樹脂精製処理
本発明の一態様による製造方法において、凝集処理によって得られた処理液を疎水性多孔質樹脂で処理する。ステビオール配糖体は分子構造中に親水基と疎水基を持つ両親媒性であり、分子量は1,000前後である。また、pH2.5~9.0において安定であり、酸性・塩基性でもイオン化はしないことが知られている。一方、凝集処理を経た処理液にはステビオール配糖体以外の成分も大量に含まれている。理論に拘束されるものではないが、そのような成分には、鉄イオンのように分子量がステビオール配糖体と異なる成分やアミノ酸のようにイオン化する成分があり、これらの成分を疎水性多孔質樹脂の処理によって除去することができると考えられる。
【0062】
疎水性のステビオール骨格を有するステビオール配糖体は合成樹脂に疎水結合し、捕捉される。他方、親水性の高い不純物は樹脂と結合せずスルー画分に移行し除去されるため、上記の樹脂を充填させたカラムに凝集処理を経た処理液を投入し、その後水で洗浄することでステビオール配糖体の純度は向上すると考えられる。また、低極性の溶媒によってステビオール配糖体と合成樹脂の官能基の結合は解離するから、最終的にステビオール配糖体を高収率で回収することができるという利点がある。
【0063】
本発明の一態様による製造方法に用いる疎水性多孔質樹脂としては、水への親和性が低い多孔質樹脂であれば特に限定されないが、例えば、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリアミドおよびポリカーボネートから選択される1種以上の疎水性樹脂の多孔質樹脂が好ましい。本発明の好ましい態様において、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体にイオン交換基の導入処理がなされていないこと(すなわちイオン交換基を持たないこと)が好ましい。一般的に、イオン交換樹脂を製造する際にはスチレンとジビニルベンゼンとを共重合させて立体的網目構造を形成した後、樹脂にイオン交換基を導入するが、「イオン交換基の導入処理がなされていない」とはこのような処理がなされていないことを意味する。
【0064】
本発明の一態様において、疎水性多孔質樹脂は疎水性基を有し、疎水性基には、アリール基、アルキル基、アルキルシリル基、エステル基およびエポキシ基から選択される1つ以上が含まれる。本発明の一態様において、これらから選択される1つ以上の疎水性基が含まれていれば、他の疎水性基がさらに含まれていてもよい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等が挙げられ、アルキル基としては、C1~20のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクタデシル基などが挙げられる。
【0065】
本発明の好ましい態様において、疎水性多孔質樹脂の最頻度細孔半径は、10~200Åである。好ましい態様において、最頻度細孔半径は、10~150Å、15~100Å、または20~80Åである。このような細孔特性を有することで、ステビオール配糖体が細孔に効率的に吸着されて、他の成分との効率的に分離されると考えられる。
【0066】
なお、疎水性多孔質樹脂で処理を行う前に、陰イオン交換樹脂を用いて処理液をさらに処理してもよい。陰イオン交換樹脂で事前に処理を行うことで、色素やカテキンなどの疎水性樹脂に結合する成分を効果的に除去することができる。そのような陰イオン交換樹脂としては、特に限定されないが、例えば、塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられ、そのような塩基性陰イオン交換樹脂としては、官能基として1~2級アミノ基を導入した弱塩基性陰イオン交換樹脂や四級アンモニウム基(例えば、トリメチルアンモニウム基やジメチルエタノールアンモニウム基など)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂などを用いることができる。
【0067】
(E)濃縮処理
樹脂精製処理を得た溶液は、更に濃縮処理を行って水性溶媒を除去してもよい。そのような処理は特に限定されないが、加熱によって水性溶媒を蒸発させることや、減圧乾燥によって水性溶媒を除去する方法などが挙げられる。
【0068】
本発明の製造方法によれば、ステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対して、前記ステビオール配糖体組成物における上記9種のステビオール配糖体の含有量が60重量%以上かつ95重量%未満であり、かつ、上記9種のステビオール配糖体以外のステビオール配糖体と、ステビオール配糖体以外のステビア由来成分の含有量が5重量%~40重量%であるステビオール配糖体を得ることができる。また、本発明の好ましい態様の製造方法によれば、下記の特性から選択される少なくとも1つの特性を有するステビオール配糖体組成物を得ることができる。
メタノール含有量が前記組成物中の9種のステビオール配糖体量に対して0.10重量%以下、
ポリフェノールの含有量が前記組成物中の9種のステビオール配糖体量に対して2.0重量%以下、および
総窒素量が前記組成物中の9種のステビオール配糖体量に対して0.40重量%以下
【0069】
(F)任意の追加の工程
本発明の製造方法の後に、更に晶析工程を加えることで、レバウディオサイドA、レバウディオサイドDまたはレバウディオサイドMの高純度製剤(純度95%以上)を製造することもできる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0071】
1.抽出・固液分離
ステビア乾燥葉(含水率:3~4重量%)の15倍量のイオン交換水を60℃±5℃に加熱し、その水にステビア乾燥葉を浸した。その後、ニーダー抽出器(SKN-R100、三友機器株式会社製)で8rpmの撹拌棒で撹拌しながら60分間抽出を行った。次に、18メッシュと140メッシュのメッシュを通して濾過し、冷水を用いて熱交換器で冷却し、ろ液をディスク型遠心分離機(9150rpm(11601G)、24L/min)で固液分離して一次抽出液を得た。その間に、濾過後の葉を再び同じ条件下で抽出し、固液分離して透明な二次抽出液を得、一次抽出液に加えた。
【0072】
2回の試験(例1および例2)に用いた乾燥葉中のステビオール配糖体の含有率は下表のとおりであった。乾燥葉中のステビオール配糖体の含有率は、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS/MS)によって測定した。下表において、TSGには、Reb.A、Reb.B、Reb.C、Reb.D、Reb.E、Reb.F、Reb.G、Reb.I、Reb.M、Reb.N、ステビオシド、ズルコサイドA、ステビオールビオシドおよびルブソシドが含まれる。例1と例2で用いた乾燥葉中のTSGの含有量は、それぞれ100g当たり7.05gと7.42gであった。
【表1】
【0073】
2.凝集
清澄液中の可溶性固形分の16.16%に相当する量のCa(OH)2(Brix(可溶性固形分濃度)から計算)を清澄液に添加し、得られた混合液を15分間撹拌した。その後、清澄液中の可溶性固形分の28.28%に相当する量のFeCl3・6H2Oを添加、混合液を30分間撹拌し、クエン酸でpHを7に調整した後、清澄液中の可溶性固形分(g)の5.63倍に相当する体積(mL)の0.5%(w/v)キトサン溶液を添加した。この混合液を3分間強く撹拌し、2分間弱く撹拌し、そして10分間放置した。その後、電気的に中性の凝固沈殿物を遠心分離によって除去した。その結果、清澄な処理液が得られた。
【0074】
3.樹脂精製
樹脂精製としては、(i)陰イオン交換樹脂を用いた精製と(ii)疎水性多孔質樹脂(イオン交換基の導入がなされていないもの)を用いた精製とを行った。
(i)陰イオン交換樹脂を用いた精製
カラムに高多孔質の塩基性陰イオン交換樹脂(三菱ケミカル社製)を充填し、そのカラムに凝集分離後の処理液を投入して精製を行った。凝集分離後の処理液をカラムに投入したのに次いでカラムの容積の2倍量のイオン交換水で押し出し、精製されたステビオール配糖体組成物を含む溶液を回収した。この精製により、処理液中の黒色不純物や着色成分が除去された。
【0075】
(ii)疎水性多孔質樹脂を用いた精製
カラムに疎水性多孔質樹脂(三菱ケミカル社製)を充填し、そのカラムに(i)陰イオン交換樹脂を用いた精製後の試料を投入して精製を行った。疎水性多孔質樹脂としては、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体であって、イオン交換基を持たないものであり、最頻度細孔半径が45Åのものを用いた。上記(i)の精製後の溶液をカラムに投入後、カラムの容積の3倍量の0.01Mクエン酸水溶液、カラムの容積の3倍量の0.01M水酸化ナトリウム水溶液を用いてカラムを洗浄した。その後、カラムの容積の4倍量の60%エタノール水溶液でステビオール配糖体組成物を溶出し、回収した。
【0076】
4.蒸発濃縮
遠心式薄膜真空蒸発装置エバポール(大川原製作所製)を用いて、溶液を蒸発濃縮しながらエタノールを除去した。蒸発濃縮処理後も水が残存しており、組成物は液状であった。
【0077】
最終的に得られたステビオール配糖体組成物の詳細を表2および3に示す。9種合計濃度(g/L)は、液体を含むステビオール配糖体組成物中のステビオシド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF、ズルコサイドA、ルブソシドおよびステビオールビオシドからなる9種のステビオール配糖体の合計濃度を示し、9種合計純度(%)は、ステビオール配糖体組成物の固形分総重量に対する上記9種のステビオール配糖体の重量ベースの含有割合を示す。各ステビオール配糖体の含有量は、LCMS-8050(島津製作所製)を用い液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS/MS)法によって求めた。メタノール含有量はガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)により測定し、ポリフェノール含有量はフォーリン・チオカルト(Folin-Ciocalteu)法により測定し、総窒素量(T-N)は燃焼法により測定した。表3における「イオン交換処理後」は(i)陰イオン交換樹脂を用いた精製の後のサンプルを測定したものであり、「蒸発濃縮後」は(ii)疎水性多孔質樹脂を用いた精製の後に蒸発濃縮処理を行ったサンプルを測定したものである。また、表3においてメタノール含有量(MeOH(ppm))が「ND」と記載されているものは、測定機器の設定上正確な数値が算出できないほど含有量が少なかったことを意味し、2.5ppm未満であることを意味する。なお、例1と例2の蒸発濃縮後の試料のステビオール配糖体濃度をJECFA(2010)に準拠したHPLC法で測定したところ、9種のステビオール配糖体の純度はそれぞれ81.0%と76.1%であった。
【表2】
【表3】
【0078】
ステビオール配糖体組成物(例1)の官能評価
ステビオール配糖体組成物の味質の評価を行うため、上記実施例で得られた例1のステビオール配糖体組成物を純水に添加して、飲料サンプルを調製した。飲料サンプルはReb.A、Reb.B、Reb.C、Reb.D、Reb.E、Reb.F、Reb.G、Reb.I、Reb.M、Reb.N、ステビオシド、ズルコサイドA、ステビオールビオシドおよびルブソシドの合計含有量が最終的に300ppmとなるように調整した。
【0079】
得られた飲料サンプルについて、甘味強度、甘味の後引き、苦味、苦味の後引きおよび雑味の指標で官能評価を行った。甘味料の官能に関して訓練を受けた者(5名)がパネラーとなって評価を行い、評価基準は次の通りとした。各評価項目において、レバウディオサイドDを主成分とするReb.D高含有サンプル(Reb.D純度:約83%、Reb.A含有量:約8%、残部:主にステビオール配糖体以外のステビア由来成分)を0点とし、-3点を下限、3点を上限としてステビオール配糖体組成物の点数を0.5点刻みで点数付けした。数値が高いほど、甘味強度が高く、甘味の後引きが少なく、苦味が弱く、苦みの後引きが少なく、雑味が少ない。結果を
図1に示す。図中に示す評点は5名のパネラーによる評点の平均値である。例1のステビオール配糖体組成物は、Reb.Aの比率が高いにもかかわらず、基準となるReb.D高含有サンプルに近い良好な味質を有していた。