IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニの特許一覧

特許7536773関節式自動オペレータデバイスを製造する方法
<>
  • 特許-関節式自動オペレータデバイスを製造する方法 図1
  • 特許-関節式自動オペレータデバイスを製造する方法 図2
  • 特許-関節式自動オペレータデバイスを製造する方法 図3a
  • 特許-関節式自動オペレータデバイスを製造する方法 図3b
  • 特許-関節式自動オペレータデバイスを製造する方法 図3c
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】関節式自動オペレータデバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240813BHJP
   C23C 24/04 20060101ALI20240813BHJP
   C23C 4/129 20160101ALI20240813BHJP
   C23C 4/06 20160101ALI20240813BHJP
【FI】
B25J19/00 H
C23C24/04
C23C4/129
C23C4/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021544234
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 IT2020050011
(87)【国際公開番号】W WO2020157780
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102019000001321
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】594073646
【氏名又は名称】イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ルスティーチ ヴェントゥリーニ、ガブリエレ
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-326491(JP,A)
【文献】米国特許第04913481(US,A)
【文献】特開2011-032540(JP,A)
【文献】国際公開第2014/087615(WO,A1)
【文献】特開2016-064449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/00
C23C 24/04
C23C 4/129
C23C 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節式自動オペレータデバイス(10)を製造する方法であって、表面が、耐食性材料で処理され、および/または、CIP/SIP処理に耐性のある表面特性を取得するために処理される関節式自動オペレータデバイス(10)を製造する方法であって、前記関節式自動オペレータデバイス(10)は、それぞれの結合インターフェース(12)に対応して互いに回動可能に接続された複数の関節式コンポーネント(11)を備え、前記関節式コンポーネント(11)は、その内部に駆動部材(17)および/または電気または電子部品(18)および/または流体用のパイプを備え、前記方法は、
-関節式自動オペレータデバイス(10)の前記関節式コンポーネント(11)を作るために共に組み立てるのに適した利用可能な複数のケーシングであって、複数の前記ケーシングは、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、それらの合金、ポリマーマトリックスを有する複合材料、炭素繊維、それらの組み合わせを含む群から選択された第1の材料により作られ、各ケーシングは中空であり、かつ前記駆動部材(17)および/または前記電気または電子部品(18)および/または前記流体用のパイプを受け入れるのに適したハウジングコンパートメント(14)を備え、前記ケーシングのそれぞれは、外部環境に対して隔離された状態で複数の前記関節式コンポーネント(11)のうちの1つを構成するために、別のケーシングの対応する結合エッジ(21、25、26)と結合されるように構成された少なくとも1つの結合エッジ(21、25、26)を備える、複数の前記ケーシングを作ることと、
-各ケーシングの少なくとも外面(22a、22b)上に第2の材料のコーティング(29)を堆積させるために、超音速ガスジェットで加速された前記第2の材料の固体粉末を使用して各ケーシングに溶射処理を施すことと、を備え、前記第2の材料は、ステンレス鋼、コバルトクロム金属合金、ニッケル合金、ポリマーマトリックスを有する材料、金属セラミック複合材料のうちの一つ以上を含む群から選択され、前記方法は、前記溶射処理後、
-前記関節式コンポーネント(11)を作るために、前記駆動部材(17)および/または前記電気または電子部品(18)および/または前記流体用のパイプを、各ケーシング(13)の前記ハウジングコンパートメント(14)に収容することと、
-前記関節式自動オペレータデバイス(10)を作るために、それぞれの関節式コンポーネント(11)を、それぞれの結合インターフェース(12)に対応して相互に組み立てることと、を備え、
前記溶射処理は、
-前記第2の材料の固体粉末が超音速ガスジェットで加速されるコールドスプレー処理と、
-酸素および燃料の燃焼から得られる超音速ガスジェットで、前記第2の材料の少なくとも部分的に溶融した粒子が加速される高速酸素燃料コーティングスプレー処理と、から選択されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
固体粉末を使用する前記溶射処理がまた、それぞれの結合エッジ(21、25、26)上に前記第2の材料のコーティング(29)を堆積することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関節式コンポーネント(11)の1つのケーシングは、前記ハウジングコンパートメント(14)へアクセスするためのアクセスアパーチャ(15)を備えたケーシングフレーム(13)であり、前記関節式コンポーネント(11)の別のケーシングは、前記アクセスアパーチャ(15)を閉鎖するのに適したカバー要素(16)であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コールドスプレー処理は、前記第2の材料の固体粒子を運ぶガスの混合物を300m/sと1400m/sとの間に含まれる速度で前記外面(22)および前記結合エッジ(21、25、26)に噴霧することと、その都度ガスと粒子との前記混合物によって及ぼされる力に抵抗するのに適した支持体により前記ケーシングを固定されて安定した姿勢に保持することとを提供する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記固体粒子を運ぶ前記ガスの少なくとも一部を約200~1100℃の温度に加熱することを提供することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記固体粒子を運ぶ前記ガスが5bar(0.5MPa)と100bar(10MPa)との間に含まれる圧力を有することを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記関節式コンポーネント(11)の前記ハウジングコンパートメント(14)の密閉された閉鎖を保証するために、前記ケーシング(13)の結合エッジ(25、26)同士の間および/または隣接する関節式コンポーネント(11)の前記結合インターフェース(12)の結合エッジ(21)同士の間にシーリング要素(28)を挿入することを提供することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記結合エッジ(21、25、26)の少なくとも1つに、前記シーリング要素(28)を収容するように構成されたハウジングシート(24、27)が提供され、前記方法は、前記結合エッジ(21、25、26)を、前記ハウジングシート(24、27)の外縁(37)まで、前記コーティング(29)でコーティングすることを提供する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも4つの作動軸線を有する擬人化アームおよび/または数値制御機械に取り付けられたスプレーノズル(31)を使用することと、各ケーシングの前記外面(22a、22b)および前記結合エッジ(21、25、26)の作成、ならびに、前記結合エッジ(21、25、26)とそれらに接続された前記外面(22a、22b)との間に規定される実質的にステップ状の角部(34、35、36)の作成に前記スプレーノズル(31)を追従させることと、を提供することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記外面(22a、22b)および前記結合エッジ(21、25、26)に直交する方向に対して±45°の間に含まれる入射角度(α)で前記第2の材料を噴霧するように前記スプレーノズル(31)を配置することを提供することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記外面(22a、22b)と前記結合エッジ(21、25、26)との間に規定される前記角部(34、35、36)に対応して、または前記外面(22a、22b)の場合によっては窪みまたは突起に対応して前記第2の材料の堆積物が形成される場合、前記方法は、前記第2の材料が堆積された直後に、前記スプレーノズル(31)の移動中に実質的に連続的に、適切なツールによって前記堆積物を除去することを提供することを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節式自動オペレータデバイス、すなわち、ロボット、又は、関節式に互いに結合された複数のコンポーネントを備えた関節式アームを製造する方法に関する。特に、本発明は、製薬部門、例えば医薬品を包装するための機械で使用でき、この部門で通常行われる除染および滅菌処理を受けることができる関節式自動オペレータデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関節式自動オペレータデバイス、または関節式ロボットが知られており、これらは、ヒューマンオペレータの代わりに異なるタイプの作業を実行するために最先端の異なる分野で使用されている。たとえば、製薬部門では、関節式自動オペレータを使用して医薬品を包装することが知られている。
【0003】
これらのロボットは通常、この分野では「アイソレータ」と呼ばれる、明確な清浄度と無菌性の要件とを満たす必要がある保護された作業環境を画定する複数のチャンバ内に配置される。したがって、複数のチャンバは、一般的に、それらに入っている機器とともに、必要な滅菌状態に保ち、汚染物質の可能性を排除するための集中的な処理を受ける。例えば、これらのチャンバを過酸化水素蒸気を使用する処理にかけることが知られているが、これは非常に効果的な殺菌、殺胞子、および殺真菌作用を有する一方、これらのチャンバ内の機器の部品の表面を損傷し得る高い酸化力を有する。
【0004】
これらの除染および滅菌処理に耐え、さまざまな関節式コンポーネントに関連する駆動部材および回路の保護を保証するために、この分野で使用される既知のロボットは、一般にステンレス鋼の固体で作られているため、非常に重い。
【0005】
しかし、生産性のニーズのために、当のロボットは、高速で移動し、その都度、関節式ロボットのターミナルエンドの正確な位置を保証する必要がある。
関節式コンポーネントの重い重量は、一方では、望ましい移動速度を保証するために、より強力な移動部材およびモータを必要とし、他方では、ロボットのターミナルエンドが望ましくない振動なくすぐに目的の位置に配置されることを保証するために軌道を制御する、非常に正確なシステムを必要とする。
【0006】
この問題を解決するために、基板をコーティングおよび保護するための材料でコーティングされた、基板として機能する軽い材料で作られたベースボディを有する関節式コンポーネントからなるロボットを作ることが知られている。
【0007】
例えば、関節式ロボットが知られており、該関節式ロボットのコンポーネントはアルミニウムでできており、例えば塗料の層でコーティングされており、またはアルミニウムを陽極酸化するための処理が施されており、または例えばクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、または他の適した金属に基づくガルバニックコーティングが施されている。コンポーネントがアルミニウムでできている関節式ロボットを製造するこのタイプの方法の一例が、特許文献1に記載されている。
【0008】
金属、プラスチック、または樹脂材料の浴にそれらを浸すことによって様々なコンポーネントをコーティングすることを提供する解決策も知られている。しかしながら、これらの解決策の1つの欠点は、このようにして、コーティングがコンポーネントの外面および内面の両方に適用されることであり、したがって、大量のコーティング材料が必要とされることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5272955号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、最先端技術の少なくともいくつかの欠点を克服する、製薬部門のアイソレータで使用することができる関節式自動オペレータデバイスを製造する方法を完成させることである。
【0011】
特に、1つの目的は、軽量であると同時に集中的な処理に耐えることに適した関節式オペレータを得ることができる関節式自動オペレータデバイスを製造する方法を完成させることである。
【0012】
別の目的は、除染および滅菌処理を受ける表面に損傷を与えることなく、関節式コンポーネント、場合によっては駆動部材または回路の保守および交換作業を実行できる関節式自動オペレータデバイスを製造する方法を完成させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
出願人は、最先端技術の欠点を克服し、これらおよび他の目的および利点を得るために、本発明を考案し、試験し、そして具体化した。
本発明は、独立請求項に記載され特徴付けられる。従属請求項は、本発明の他の特徴または主な発明のアイデアの変形を説明する。
【0014】
本明細書で説明する実施形態は、互いに回動可能に接続された複数の関節式コンポーネントを備えた関節式自動オペレータデバイスの製造方法に関し、各関節式コンポーネントは、その内部に、関節式自動オペレータを移動させるよう構成された、駆動部材および/または電気または電子部品および/または流体用のパイプを含み、制御された雰囲気環境、特に医薬品の製造および包装の分野での使用に適する。
【0015】
特に、関節式自動オペレータデバイスは、表面が、耐食性材料で処理され、および/または、医薬品の製造および包装の分野において、滅菌剤として、特に攻撃的で接触する表面を酸化する傾向がある蒸気相過酸化水素(VPHP)を使用することを提供する定置洗浄(CIP)および/または定置滅菌(SIP)処理に耐性のある表面特性を得るために処理される。
【0016】
本発明による方法は、関節式自動オペレータデバイスを作るために共に組み立てられるのに適した利用可能な複数のケーシングを作るために提供されるステップを含む。ここで提供される方法のいくつかの実施形態によれば、ケーシングは、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、それらの合金、ポリマーマトリックスを有する複合材料、炭素繊維、それらの組み合わせを含む群から選択される第1の材料から作られる。
【0017】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、各ケーシングは中空であり、上記駆動部材および/または電気または電子部品および/または流体用のパイプを受け入れるのに適したハウジングコンパートメントを備える。いくつかの実施形態では、各ケーシングは、外部環境に対して隔離された状態で複数の関節式コンポーネントのうちの1つを構成するために、別のケーシングの対応する結合エッジと結合されるように構成された少なくとも1つの結合エッジを備える。
【0018】
次に、本発明による方法は、各コンポーネントの少なくとも外面上に第2の材料のコーティングを堆積させるために、超音速ガスジェットで加速された第2の材料の粉末を使用して各ケーシングに溶射処理を施すことを備え、第2の材料は、ステンレス鋼、コバルトクロム金属合金、ニッケル合金、ポリマーマトリックスを有する材料、金属セラミック複合材料のうちの1つ以上を含む群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、溶射処理は、第2の材料の固体粉末が超音速ガスジェットで加速され、コーティングされる表面に激しく衝撃を与えるようにされるコールドスプレー処理である。
【0020】
他の実施形態によれば、溶射処理は、第2の材料の少なくとも部分的に溶融した粒子が、酸素および燃料の燃焼から得られる超音速ガスジェットで、特に高温および高速で加速されてコーティングされる表面に噴霧される、高速酸素燃料(HVOF)コーティングスプレー処理である。
【0021】
他の溶射処理と比較して、コールドスプレー処理および高速酸素燃料(HVOF)コーティングスプレー処理では、粒子に供給されるエネルギーの大部分が熱タイプではなく運動エネルギーであるため、作業中に酸化する粒子の減少を得ることが有利に可能であり、それにより、高耐性の最終コーティングを得ることが可能となる。
【0022】
本明細書に記載の実施形態によれば、この方法は、特に、各ケーシングを別々に溶射処理に供することと、コーティングを少なくともそれぞれの外面およびそれぞれの結合エッジに堆積させることとを提供する。
【0023】
続いて、本発明による方法は、複数の関節式コンポーネントを作るために、溶射を受けた各ケーシングのハウジングコンパートメント内に、駆動部材、および電気または電子部品、および/または流体用のパイプを収容することと、関節式自動オペレータデバイスを作るために、それぞれの結合インターフェースに対応して、複数の関節式コンポーネントを相互に組み立てることと、を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、関節式コンポーネントの1つのケーシングは、ハウジングコンパートメントへのアクセスアパーチャを備えたケーシングフレームであり、関節式コンポーネントの別のケーシングは、上記アクセスアパーチャを閉鎖するのに適したカバー要素である。
【0025】
したがって、本説明において、「隔離された状態で関節式コンポーネントを構成する」という表現は、2つのケーシング、例えば、1つのケーシングフレームおよび1つのカバー要素が1つの関節式コンポーネントを規定してハウジングコンパートメントが外部環境に対して隔離されるように相互結合することと、続く関節式コンポーネントの2つのケーシング、特に2つのケーシングフレームが結合することであって、それぞれのハウジングコンパートメントが互いに作動可能に接続されているが、いずれの場合も、外部に対して隔離されていることとを含む。
【0026】
有利なことに、結合インターフェースおよびアクセスアパーチャに関連するエッジも完全にコーティングするステップは、コーティングを損傷するリスクなしに保守作業を実行するために、関節式コンポーネント同士を分離すること、および/または、それぞれの内部のハウジングコンパートメントにアクセスすることを可能にする。
【0027】
したがって、本発明による方法は、アイソレータの保護されたチャンバ内に挿入されて使用され、損傷を受けることなくそれらの内部でCIPおよび/またはSIP処理を受けることができる関節式自動オペレータデバイスを製造することを可能にする。
【0028】
同時に、除染および滅菌処理の影響を受けない関節式コンポーネントの内面はコーティングされていないため、大幅な経済的節約が可能である。
いくつかの実施形態によれば、この方法は、ガスと第2の材料の固体粒子との混合物を300m/sと1400m/sとの間に含まれる速度で外面に噴霧することと、その都度ガスと粒子との混合物によって及ぼされる力に抵抗するのに適した支持体によりケーシングを固定されて安定した姿勢に保持することとを提供する。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、それぞれの関節式コンポーネントの密封された閉鎖を保証するために、ケーシングフレームとカバー要素との間、および/または、結合インターフェースの結合エッジ同士の間にシーリング要素を挿入することを提供し得る。
【0030】
これらの実施形態によれば、アクセスアパーチャおよび/または複数の結合インターフェースの少なくとも1つに対応する結合エッジの厚み部分に作られ、環状のシール要素を収容するのに適した環状のハウジングシートが提供され得、この方法は、アクセスアパーチャおよび/または結合インターフェースの結合エッジをハウジングシートの外縁までコーティングすることを提供し得る。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、コールドスプレー処理の場合、この方法は、少なくとも4つの作動軸線を有する関節アームまたは数値制御機械に取り付けられたスプレーノズルを使用することと、それを、処理される表面の作成に追従させることとを提供する。このようにして、ケーシングフレームの外面およびエッジの作成に正確に追従することが可能であり、その都度表面に対してスプレーノズルを適切に向けることができる。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、外面および/または結合エッジの垂線に対して±45°の間に含まれる入射角度で、処理される表面に材料を噴霧することを提供する。入射角度は、ガスと第2の材料の粒子との混合物をターゲットに向け、実質的に均一なコーティングを取得するように、処理される表面の曲率半径に応じ、または該表面上に存在する場合によっては不均一な部分またはエッジに応じて変化させることができる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、各噴霧作用で、約15μmと約100μmとの間に含まれる厚さを有する材料の層を堆積させることを提供する。
本明細書で説明する実施形態は、また、それぞれの結合インターフェースに応じて互いに回動可能に接続された複数の関節式コンポーネントを備えた関節式自動オペレータデバイスに関し、各関節式コンポーネントは、その内部に、関節式自動オペレータを移動させるよう構成された、駆動部材および/または電気または電子部品を含み、制御された雰囲気環境、特に医薬品の製造および包装の分野での使用に適する。
【0034】
本発明の一態様によれば、関節式自動オペレータデバイスは、関節式自動オペレータを作るために共に組み立てるのに適した複数のケーシングを備え、複数のケーシングは、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、それらの合金、ポリマーマトリックスを有する複合材料、炭素繊維、それらの組み合わせを含む群から選択された第1の材料により作られ、各ケーシングは中空であり、かつ駆動部材および/または電気または電子部品および/または流体用のパイプを受け入れるのに適したハウジングコンパートメントを備え、各ケーシングは、外部環境に対して隔離された状態で関節式コンポーネントを構成するために、別のケーシングの対応する結合エッジと結合されるように構成された少なくとも1つの結合エッジを備える。
【0035】
本発明の別の態様によれば、各ケーシングの少なくとも1つの外面は、ケーシングの少なくともそれぞれの外面および場合によってはそれぞれの結合エッジを覆う第2の材料で作られたコーティングを備える。本明細書に記載の実施形態によれば、第2の材料によるコーティングは、超音速ガスジェットで加速された固体粉末を使用する溶射によって得られ、第2の材料は、ステンレス鋼、コバルトクロム金属合金、ニッケル合金、ポリマーマトリックスを含む材料、金属セラミック複合材料、炭素繊維などのうちの1つ以上を含む群から選択される。特に、第2の材料によるコーティングは、前述のコールドスプレー処理または酸素燃料コーティングスプレー処理による溶射によって得られる。
【0036】
本発明のこれらおよび他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられた、いくつかの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本明細書に記載の実施形態による、関節式自動オペレータデバイスの三次元概略図。
図2図1のオペレータデバイスの構造コンポーネントの三次元概略分解図。
図3a】本明細書に記載の実施形態による、関節式自動オペレータを製造するための方法の連続するステップの概略断面図。
図3b】本明細書に記載の実施形態による、関節式自動オペレータを製造するための方法の連続するステップの概略断面図。
図3c】本明細書に記載の実施形態による、関節式自動オペレータを製造するための方法の連続するステップの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
理解を容易にするために、可能な場合は同じ参照番号を使用して、図面内の同一の共通要素を識別している。一実施形態の要素および特性は、さらに明確にすることなく、他の実施形態に都合よく組み込むことができることが理解される。
【0039】
本明細書で説明する実施形態は、図1および図2に例として示されるタイプの関節式自動オペレータデバイス10または関節式ロボットを製造するための方法に関する。
関節式ロボット10は、互いに旋回する複数の関節式コンポーネント11を含み、特に、医薬品の製造および包装の分野で使用するのに適している。すなわち、関節式ロボット10は、「アイソレータ」とも呼ばれる隔離されたチャンバ内で使用することができ、該チャンバは、外部環境から隔離され、医薬品自体の起こり得る汚染を防ぐために厳しい無菌要件を満たさなければならない。
【0040】
当の関節式ロボット10は、特に、コンポーネント自体を損傷し得る、その外面の酸化が発生することなく、適切な除染および滅菌処理、例えば、殺菌、殺胞子、および殺真菌作用を有する高い酸化力を有する蒸気相過酸化水素(VPHP)の使用を提供するCIPおよび/またはSIP処理に供することができる。
【0041】
例として、図1に示される関節式ロボット10は、それぞれ文字A、B、C、D、Eで示され、それぞれの結合インターフェース12に対応して順々に関節方式で結合される5つの関節式コンポーネント11を有する。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、結合インターフェース12に対応して、共通の回動軸線の周りにそれぞれ結合された2つの関節式コンポーネント11の相対回動を可能にするように構成された、図示されていない移動部材を提供することができる。
【0043】
しかしながら、関節式ロボット10は、必要に応じて、より少ないまたはより多い数の関節式コンポーネント11を有することができることを排除するものではない。
いくつかの実施形態によれば、各関節式コンポーネント11は、少なくとも部分的に中空であり、関節式コンポーネント11自体の動き、およびそれぞれの関節式コンポーネント11間の電力およびデータ信号の送信のために必要な、駆動部材17および電気および電子回路18および/または流体用のパイプを収容するように構成されたハウジングコンパートメント14(図2)を内部に備えている。
【0044】
各関節式コンポーネント11はまた、別の関節式コンポーネント11の対になる結合インターフェース12と結合するのに適した少なくとも1つの結合インターフェース12を備える。
【0045】
結合インターフェース12によって、関節式コンポーネント11の電気回路18同士を互いに接続することができる。
いくつかの実施形態によれば、関節式コンポーネント11がロボット10の運動学的チェーンの中間位置に位置するコンポーネントである場合、このコンポーネントは、2つの結合インターフェース12を備え、各結合インターフェース12は、一方の側では隣接する関節式コンポーネント11に結合されるのに適し、他方の側ではその関節式コンポーネント11自体に結合されるのに適している。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、例えば図2を参照して説明されるように、関節式コンポーネント11は、ハウジングコンパートメント14を備えた中空ケーシングを含む。
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの関節式コンポーネント11は、それぞれの結合エッジ25、26に対応して互いに結合された2つのケーシングを含む。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、関節式コンポーネント11の1つのケーシングは、ハウジングコンパートメント14へのアクセスアパーチャ15を備えたケーシングフレーム13であり、関節式コンポーネント11の別のケーシングは、アクセスアパーチャ15を選択的に閉鎖し、ハウジングコンパートメント14へのアクセスを防止するのに適したカバー要素16である。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、ケーシングフレーム13は、駆動部材17および電気および電子回路18および/または流体用のパイプを支持するのに適した構造的機能を果たす。
【0049】
ケーシングフレーム13は、第1の外面22aと、該第1の外面22aの反対側の第1の内面23aと、外面22aおよび内面23aを互いに接続する結合エッジ25とによって区切られる。
【0050】
カバー要素16は、第2の外面22b、第2の内面23b、および結合エッジ26を備え、結合エッジ26は、関節式コンポーネント11が閉じて組み立てられた状態において、ケーシングフレーム13の対となる結合エッジ25に面するとともに該結合エッジ25と協働する。
【0051】
アクセスアパーチャ15が閉鎖された状態において、ケーシングフレーム13およびカバー要素16の結合エッジ25、26は、互いに向き合っている。
好ましい実施形態では、表面22、23の形状は、上記のように閉じて組み立てられた状態で、結合エッジ25、26に対応して、「鋭い」エッジなしで、可能な限り斜め又は放射状のプロファイルを関節式コンポーネント11に与える。
【0052】
第1の外面22aおよび第2の外面22bは、全体として、関節式コンポーネント11の外面22を規定し、第1の内面23aおよび第2の内面23bは、全体として、関節式コンポーネント11の内面23を規定する。
【0053】
好ましい実施形態では、外面22は、凹部、くぼみ、隆起等の、その上に可能な限り不連続性がない凸面である。実際、以下の説明から明らかになるように、外面22のそのようなコンフォメーションは、噴霧工程のより良い結果を可能にする。
【0054】
カバー要素16は、取り外し可能な取付部材30によって、ケーシングフレーム13に接続および取り付けられ得る。一実施形態では、関節式コンポーネント11の外面22は、取付部材30をそれぞれ受け入れるように意図された複数の凹部38を含み得る。
【0055】
代替の実施形態では、カバー要素16は、干渉による、例えばインターロックによる機械的接続によって、ケーシングフレーム13に接続および取り付けられ得る。この場合、取付部材30は用いられず、関節式コンポーネント11の外面22は、凹部38なしであり得る。
【0056】
ベース構造コンポーネント11、例えば文字Aで示される構造コンポーネント11の場合、アクセスアパーチャ15が結合インターフェース12と一致し、図示しないコントロールタワーに直接接続されることが提供され得る。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、結合インターフェース12は、使用中に、別の構造コンポーネント11における対になる結合表面19と協働するのに適した結合表面19を備える。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、貫通孔20が結合表面19に形成され、該貫通孔20を通して電気回路18がそれぞれのハウジングコンパートメント14から供給され得る。
結合表面19は外エッジ21を備え、該外エッジ21は、関節式自動オペレータデバイス10が組み立てられた状態において、別の結合インターフェース12の外エッジ21に面して配置される。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、外エッジ21は、ケーシングフレーム13の外面22aと共に、実質的にステップ状の形状を有する角部34を規定する。
いくつかの実施形態によれば、2つの直接的に隣接する関節式コンポーネント11の結合インターフェース12同士の間に、それら2つの関節式コンポーネント11間の密封結合を保証するように構成された、図示しないシーリング要素、例えば環状のガスケットを提供することができる。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、相互に面する結合インターフェース12の少なくとも1つは、シーリング要素を収容するように構成された環状のハウジングシート24を備え得る。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、ハウジングシート24は、ケーシングフレーム13の壁部の厚み部分に作られる。
いくつかの実施形態によれば、ケーシングフレーム13の結合エッジ25は、外面22aのプロファイルに対して横断面上に延在し、それにより、実質的にステップ状の角部35を規定する。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、カバー要素16の結合エッジ26は、外面22bのプロファイルに対して横断面上に延在し、それにより、実質的にステップ状の角部36を規定する。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、結合エッジ25、26の少なくとも1つにおいて、環状形状を備え、かつシーリング要素28を収容するように構成されたハウジングシート27が作られる。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、ハウジングシート27は、例えば、ケーシングフレーム13の壁部の厚み部分に作られ得る。
いくつかの実施形態によれば、ハウジングシート27は、外面22から確定した距離においてケーシングフレーム13の壁部の厚み部分に作られ得る。
【0065】
例えば、ハウジングシート27は、結合エッジ25、26の中間位置、または、場合によってはアクセスアパーチャ15の縁に近い位置、または、該縁に近接して作られ得る。
いくつかの実施形態によれば、ケーシングフレーム13および/またはカバー要素16は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、それらの合金、ポリマーマトリックスを有する複合材料、炭素繊維、それらの組み合わせ、他の硬くて軽い材料のうちの1つ以上を備える群から選択された第1の材料から作られ得る。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、ケーシングの表面仕上げは、噴霧プロセスで噴霧される粒子が外面22に堆積し、付着したままであることを可能にする特定の最小表面粗さを有する。好ましくは、ケーシング、すなわち、ケーシングフレーム13および/またはカバー要素16の外面22の最小表面粗さRaは、約1.6と約12.5μmとの間に含まれる。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、ケーシングはまた、第2の材料のコーティング29を備える。第2の材料は、例えばステライトなどのコバルトクロム合金、ステンレス鋼、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーマトリックスを有する材料、ニッケル合金、金属セラミック複合材料、炭素繊維、損傷または酸化の可能性を被ることなく除染および滅菌処理を行うのに適した他の材料を備える群から選択される。
【0068】
コーティング29は、第1の材料を保護する機能を実行するため、それ自体が集中的な処理に対する耐性の特性を有する必要がないので、上記の軽い材料から選択することができ、使用される材料のタイプに応じ、ケーシング、すなわち、ケーシングフレーム13および場合によってはカバー要素16は、より薄い厚さで作られ得る。いくつかの実施形態によれば、コーティング29は、ケーシング、すなわち、ケーシングフレーム13およびカバー要素16のそれぞれの外面22a、22b、ならびにそれぞれの対向する結合エッジ25、26、また、ケーシングフレーム13の外エッジ21を覆う。
【0069】
言い換えれば、各関節式コンポーネント11は、その外面22全体、ならびに、結合インターフェース12およびアクセスアパーチャ15に関連する結合エッジ21、25、26上にコーティング29を有する。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、関節式コンポーネントの内面23は、コーティング29を有さない。
いくつかの実施形態によれば、ハウジングシート24、27が存在する場合、コーティング29は、ハウジングシート24、27自体の外縁37まで延びる。
【0071】
関節式ロボット10を製造する方法の実施形態を以下に説明する。
本発明による方法は以下を提供する。
-関節式自動オペレータデバイス10の関節式コンポーネント11を作るために共に組み立てられるのに適した利用可能な複数のケーシングを作ること。
【0072】
-少なくとも各ケーシングの外面22およびそれぞれの結合エッジ21、25、26にコーティング29を堆積させるために、超音速ガスジェットで加速された第2の材料の固体粉末を使用して各ケーシングに溶射処理を施すこと。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、溶射処理は、コールドスプレー処理と高速酸素燃料(High Velocity Oxygen Fuel)コーティングスプレー処理(HVOFコーティングスプレー処理)との間で選択することができる。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、関節式ケーシングフレーム13および場合によってはカバー要素16のそれぞれの外面22a、22b、および結合インターフェース12およびアクセスアパーチャ15にそれぞれ関連付けられた結合エッジ21、25、26を、コールドスプレー処理またはHVOF処理の対象とすることを提供する。
【0075】
コールドスプレー処理は、コーティング29を形成するために使用される材料の粉末または固体粒子を運ぶガスによって形成された混合物を、スプレーノズル31によって処理される表面に向かって噴霧することを提供する。
【0076】
考えられる解決策によれば、キャリアガスの少なくとも一部は、200℃と1200℃との間の温度に加熱される。
例示的な実施形態によれば、ガスの一部は、加熱され、第1の導管32を通ってスプレーノズル31に向かって運ばれる一方、キャリアガスの残りの部分は、室温に保たれ、第2の材料の粉末を含むタンク(図示略)を通過させられ、第2の導管33を通ってスプレーノズル31に向かって運ばれる。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、スプレーノズル31において、ガス流中の粉末は、加速され、処理される表面に向かって、一般に300m/sと1400m/sとの間の超音速で発射される。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、キャリアガスの圧力は、材料のタイプおよび運ばれる粒子のサイズに応じて5bar(0.5MPa)と100bar(10MPa)との間に含まれ得る。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、窒素またはアルゴンは、例えば、キャリアガスとして使用することができる。
有利には、スプレーノズル31は、粉末およびキャリアガスの加速に有利な収束発散形状を有することができる。
【0080】
加速された粒子が処理される表面に衝突すると、その衝撃によって処理された表面の変形が決まり、該表面と材料の粒子との間に安定した永続的な結合が生成される。
いくつかの実施形態によれば、処理される表面上のスプレーノズル31の各通路で、約15μmと約100μmとの間の厚さを有する材料の層を堆積させることができる。いくつかの実施形態によれば、この方法は、所望の厚さのコーティング29が得られるまで、複数の重なり合う層を堆積することを提供することができる。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、コーティング29は、コールドスプレー処理によって作られた複数の層を含むことができ、後続の層は、必要に応じて、同じ材料または異なる材料で作ることができる。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、高速酸素燃料(HVOF)コーティングスプレー処理は、燃焼チャンバ内での酸素および燃料の燃焼によって得られるガス流によって、第2の材料の粒子を加熱および加速することを提供する。
【0083】
燃焼によって得られるガス流は、2,000m/sを超える速度まで加速される。第2の材料の粉末は、ガス流に注入され、溶融され、約1,000m/sの速度まで加速され、最終的に、スプレーノズル31を通ってコーティングされる表面に向かって放出される。粒子が表面に衝突すると、粒子が有する高い運動エネルギーのおかげで、粒子は急速に固化し、高密度なコーティングを形成する層状構造を生ずる。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、HVOF処理の場合にも、所望の厚さを有するコーティング29が得られるまで、複数の重なり合う層を堆積するように提供することができ、後続の層の材料のタイプは必要に応じて変更され得る。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、ケーシングフレーム13は、分解された状態ですでに供給され得る。
他の実施形態によれば、関節式コンポーネント11は、関節式ロボット10の形態で組み立てられた状態で供給され得、その後、ケーシングフレーム13を互いに分離するために分解され得、場合によっては、存在する場合、駆動部材17および電気回路18および/または流体用のパイプが取り除かれ得る。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、コーティング29は上記のように第2の材料により形成される。第2の材料は、例えばステライトなどのコバルトクロム合金、ニッケル合金、ステンレス鋼、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーマトリックスを有する材料、金属セラミック複合材料、炭素繊維、損傷または酸化を被ることなく除染および滅菌処理を行うのに適した他の材料を備える群から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、ケーシングフレーム13およびカバー要素16を別々に扱うことを提供する。
可能な実施形態によれば、この方法は、ガスおよび第2の材料の粒子の混合物によって加えられる圧力によって引き起こされる、望ましくない動きを防ぐために、ケーシング、例えばケーシングフレーム13および/またはカバー要素16を安定して配置することを提供する。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、それぞれの内面23a、23bを保護および被覆するなど、それぞれ嵌合形状を有する支持体によって、ケーシングフレーム13および/またはカバー要素16を所定の位置に配置および保持することを提供できる。
【0089】
本発明による方法は、例えば、少なくとも4つの作動軸線を有する、擬人化アーム(図示略)またはコンピュータ数値制御(CNC)機械(図示略)に取り付けられたスプレーノズル31を使用することを提供する。特に、いくつかの実施形態によれば、この方法は、ケーシングフレーム13およびカバー要素16の外面22a、22b、ならびに、それぞれの外面22a、22bとともに実質的にステップ状の角部34、35、36を規定するそれぞれの結合エッジ21、25、26の作成を都度、スプレーノズル31により追従することを提供する。
【0090】
可能な解決策によれば、スプレーノズル31は、加工される要素の形状に基づいて予め定義および予め設定された経路に基づいて、処理される表面のプロファイルに従うことができる。
【0091】
変形例によれば、スプレーノズル31の経路および向きは、例えば、スプレーノズル31を支持および移動する同じ擬人化アームに設置された3Dカメラによって取得された画像を処理することによって、リアルタイムで定義することができる。
【0092】
可能な変形によれば、作動中の要素およびスプレーノズル31が互いに対して相対運動で移動することも提供され得る。例えば、作動中の要素が一方向に並進し、スプレーノズル31が3つの軸線上を移動し、その結果、それぞれの動きの組み合わせが、少なくとも4つの軸線を有するアームの自由度を提供することが提供され得る。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、外面22a、22bおよび結合エッジ21、25、26(図3a)に直交する方向に対して±45°の間に含まれる入射角度αで第2の材料を噴霧するようにスプレーノズル31を向けることを提供する。
【0094】
この入射角度αのおかげで、処理される表面の起こり得る不均一な部分に対応して、特に、外壁22a、22bとそれぞれの結合エッジ21、25、26との間の角部34、35、36にさえ対応して、均一な厚さのコーティング29が得られるように、ガスおよび第2の材料の粒子の混合物をターゲットに向けた様態とすることが可能である。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、角部34、35、36に対応し、または場合によっては外面22の窪みまたは突起に対応して第2の材料の堆積物が形成される場合、本発明による方法は、コーティング29自体の堆積直後に、実質的に連続的に、適切なツールによってこれらの堆積物を除去することを提供することができる。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、ツールは、スプレーノズル31自体の移動中にガスおよび粒子の混合物がちょうど当たった表面に作用するように、スプレーノズル31に隣接して設置することができる。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、ケーシングフレーム13およびカバー要素16の外面22a、22bおよび結合エッジ21、25、26にコーティング29を作った後、この方法は、関節式ロボット10を組み立てることを提供する。
【0098】
特に、この方法は、アクセスアパーチャ15を介して、関節式コンポーネント11の各ケーシングフレーム13のそれぞれのハウジングコンパートメント14に、それぞれの駆動部材17および電気および/または電子部品18を設置し、続いて、カバー要素16によりアクセスアパーチャ15を閉鎖することを提供する。最後に、この方法は、関節式自動オペレータデバイス10を製造するために、それぞれの結合インターフェース12に対応して、それぞれの関節式コンポーネント11を互いに回動可能に接続および組み立てることを提供する。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、それぞれの関節式コンポーネント11(図3b)の密封された閉鎖を保証するために、ケーシングフレーム13とそれぞれのカバー要素16との間、および/または、結合インターフェース12の結合エッジ21同士の間にシーリング要素28を挿入することを提供し得る。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、シーリング要素28のためのハウジングシート24、27が少なくとも1つのエッジ21、25、26に存在する場合、この方法は、外部角部34、35、36からハウジングシート24、27の少なくとも1つの外縁37までそれぞれのエッジ21、25、26をコーティングすることを提供する。
【0101】
本発明の分野および範囲から逸脱することなく、これまでに説明した製造方法および関節式自動オペレータデバイス10に部品の修正および/または追加を行うことができることは明らかである。
【0102】
本発明はいくつかの特定の例を参照して説明されてきたが、当業者は確かに、請求項に記載されている、したがってすべてがそれによって定義された保護の分野に含まれる特徴を有する他の多くの同等の形態の製造方法および関節式自動オペレータデバイス10を達成可能なことも明らかである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c