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特許7536783斜めに対向する象限に配置された2つの切削部分及び2つの下部当接要素を有する割り出し可能な切削インサート及び切削工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】斜めに対向する象限に配置された2つの切削部分及び2つの下部当接要素を有する割り出し可能な切削インサート及び切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/04 20060101AFI20240813BHJP
   B23B 27/16 20060101ALI20240813BHJP
   B23B 29/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B23B27/04
B23B27/16 A
B23B29/00 C
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021557842
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 IL2020050465
(87)【国際公開番号】W WO2020230117
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】16/411,189
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト,ギル
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-185616(JP,A)
【文献】特開2006-167874(JP,A)
【文献】特開2005-040942(JP,A)
【文献】特表2009-534199(JP,A)
【文献】特表2000-512917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0061815(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0019112(US,A1)
【文献】米国特許第03629919(US,A)
【文献】独国実用新案第202005016610(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/000-29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
割り出し可能な切削インサート(20、120)であって、
中心装着部分(22)と、第1切削部分(24a)と、第2切削部分(24b)と、を備え、
前記中心装着部分(22)は、対向する上面(26、126)及び下面(28)と、周辺側面(30)と、上方向(DU)及び下方向(DD)を規定する、前記上面(26、126)及び前記下面(28)を貫通するインサート軸(AI)と、を有し、
前記上面(26、126)は前記上方向(DU)に面し、
前記下面(28)は、前記下方向(DD)に面し、かつ、前記下面(28)に関連する離間して配置された第1雄又は雌当接要素(36a)並びに第2雄又は雌当接要素(36b)を有し、
前記第1当接要素(36a)は、分岐左第1当接表面(38a)及び分岐右第1当接表面(38b)を有し、前記第1当接要素(36a)は、前記インサート軸(AI)に垂直で前記第1当接要素(36a)及び前記第2当接要素(36b)に交差する第1水平面(PH1)で取られた断面において、前記左第1当接表面(38a)及び前記右第1当接表面(38b)に接する、第1局所当接角(α1)を形成する左第1仮想当接直線(L1a)及び右第1仮想当接直線(L1b)と、前記インサート軸(AI)に平行で又は前記インサート軸(AI)を包含して、前記第1局所当接角(α1)を二等分する第1当接二等分平面(PB1)と、を有し、
前記第2当接要素(36b)は、分岐左第2当接表面(40a)及び分岐右第2当接表面(40b)を有し、前記第2当接要素(36b)は、前記第1水平面(PH1)で取られた断面において、前記左第2当接表面(40a)及び前記右第2当接表面(40b)に接する、第2局所当接角(α2)を形成する左第2仮想当接直線(L2a)及び右第2仮想当接直線(L2b)と、前記インサート軸(AI)に平行で又は前記インサート軸(AI)を包含して、前記第2局所当接角(α2)を二等分する第2当接二等分平面(PB2)と、を有し、
前記第1切削部分(24a)及び前記第2切削部分(24b)は、前記中心装着部分(22)から離れるように延在し、かつ、それぞれ、遠位第1主切れ刃(42a;142a)及び遠位第2主切れ刃(42b;142b)を有し、前記第1切削部分(24a)及び前記第2切削部分(24b)は、前記インサート軸(AI)を包含する相互に垂直な第1象限平面(PQ1)及び第2象限平面(PQ2)によって規定された4つの仮想象限(Q1、Q2、Q3、Q4)のうちの斜めに対向する仮想象限(Q1、Q3)内にその全体が配置され、
各切削部分(24a、24b)は、そのそれぞれの主切れ刃(42a、42b;142a、142b)に隣接して前記上方向(DU)に面するすくい面(44a、44b)を有し、
前記第1当接二等分平面(PB1)及び前記第2当接二等分平面(PB2)並びに前記第1象限平面(PQ1)は平行である又は一致し、
前記切削インサート(20、120)の平面視において、
前記第1切削部分(24a)及び前記第2切削部分(24b)は、それぞれ、反対の第1方向(D1)及び第2方向(D2)に前記中心装着部分(22)から離れるように延在し、
前記第1方向(D1)及び前記第2方向(D2)に平行な第1切削二等分線(BL1)及び第2切削二等分線(BL2)は、それぞれ、前記第1主切れ刃(42a;142a)及び前記第2主切れ刃(42b;142b)を二等分し、
前記第1切削二等分線(BL1)及び前記第2切削二等分線(BL2)は互いにオフセットされる、切削インサート(20、120)。
【請求項2】
前記第1方向(D1)及び前記第2方向(D2)は各々、前記第2象限平面(PQ2)に対してゼロ又は30°未満の鋭角を形成する、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項3】
前記切削インサート(20、120)は、ちょうど2つの切削部分(24a、24b)を有する、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項4】
前記第1当接要素(36a)及び前記第2当接要素(36b)は、前記インサート軸(AI)周りに回転対称性を示す、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項5】
前記上面(26、126)は、前記上面(26、126)に関連する力作用開口部又は力作用凹部(32)を有する、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項6】
前記力作用開口部又は力作用凹部(32)は、前記上面(26、126)及び前記下面(28)に交差するクランプ貫通孔(34)の形態である、請求項5に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項7】
前記第1当接二等分平面(PB1)及び前記第2当接二等分平面(PB2)は一致する、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項8】
前記第1局所当接角(α1)及び前記第2局所当接角(α2)は少なくとも30°未満の鋭角である、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項9】
前記第1当接要素(36a)及び前記第2当接要素(36b)は雌型要素である、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項10】
前記第1切削部分(24a)及び前記第2切削部分(24b)は、前記中心装着部分(22)に一体的に形成されて前記中心装着部分(22)と一体の単一構造を有する細長い部材である、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項11】
前記第1水平面(PH1)で取られた断面において、
前記左第1仮想当接直線(L1b)及び前記右第2仮想当接直線(L2a)が、180°未満の第1非局所当接角(δ1)を形成し、
前記左第2仮想当接直線(L2b)及び前記右第1仮想当接直線(L1a)が、180°未満の第2非局所当接角(δ2)を形成し、
前記第1主切れ刃(42a;142a)及び前記第2主切れ刃(42b;142b)に沿った少なくとも第1点(N1)及び第2点(N2)が、それぞれ、前記第1非局所当接角(δ1)及び前記第2非局所当接角(δ2)によって定められる第1領域(R1)及び第2領域(R2)内に配置される、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項12】
前記第1主切れ刃(42a;142a)及び前記第2主切れ刃(42b;142b)の全体が、それぞれ、前記第1領域(R1)及び前記第2領域(R2)内に配置される、請求項11に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項13】
前記第1主切れ刃(42a;142a)及び前記第2主切れ刃(42b;142b)は、それぞれ、前記第1切削二等分線(BL1)及び前記第2切削二等分線(BL2)に垂直に測定される第1切削幅(W1)及び第2切削幅(W2)を有し、
前記第1切削部分(24a)及び前記第2切削部分(24b)は、それぞれ、前記第1方向(D1)及び前記第2方向(D2)において第1切削長さ(LC1)及び第2切削長さ(LC2)を延在させ、
前記第1切削長さ(LC1)及び前記第2切削長さ(LC2)は、それぞれ、前記第1切削幅(W1)及び前記第2切削幅(W2)より大きい、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項14】
前記第1切削長さ(LC1)及び前記第2切削長さ(LC2)は、それぞれ、前記第1切削幅(W1)及び前記第2切削幅(W2)の2倍より大きい、請求項13に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項15】
前記切削インサート(20、120)の平面視において、
前記第1主切れ刃(42a;142a)及び前記第2主切れ刃(42b;142b)は、前記中心装着部分(22)を包含する第1仮想円(C1)の外側にその全体が配置され、前記第1仮想円(C1)は前記インサート軸(AI)に同軸である、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項16】
前記周辺側面(30)は、対向する側面(S1)の第1対及び側面(S2)の第2対を含む、請求項1に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項17】
前記第1象限平面(PQ1)は前記側面(S1)の第1対に交差し、
前記第2象限平面(PQ2)は前記側面(S2)の第2対に交差する、請求項16に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項18】
各主切れ刃(42a、42b;142a、142b)の全体が、前記側面(S2)の第2対よりも前記第1象限平面(PQ1)からさらに遠くに配置される、請求項16に記載の切削インサート(20、120)。
【請求項19】
インサートホルダ(48)と、前記インサートホルダ(48)内に取り外し可能に保持される割り出し可能な切削インサート(20、120)と、を備える切削工具(46)であって、
前記インサートホルダ(48)は、ホルダヘッド(50、150)と、ホルダ軸(AH)に沿って前記ホルダヘッド(50、150)から後方向(DR)に長手方向に延在するホルダシャンク(52)と、を有し、
前記ホルダヘッド(50、150)は、シート表面(54、154)と、前記シート表面(54、154)に関連する離間して配置された第1雄又は雌支持要素(56)並びに第2雄又は雌支持要素(58)と、を有し、
前記第1支持要素(56)は第1支持壁(60)及び第2支持壁(62)を有し、
前記第2支持要素(58)は第3支持壁(64)を有し、
前記シート表面(54、154)に平行で前記第1支持要素(56)及び前記第2支持要素(58)に交差する第2水平面(PH2)で取られた断面において、前記第1支持壁(60)及び前記第3支持壁(64)に接する第1仮想支持直線(LS1)及び第3仮想支持直線(LS3)が180°未満の支持角(π)を形成し、
前記切削インサート(20、120)は、中心装着部分(22)と、第1切削部分(24a)と、第2切削部分(24b)と、を有し、
前記中心装着部分(22)は、対向する上面(26、126)及び下面(28)と、周辺側面(30)と、上方向(DU)及び下方向(DD)を規定する、前記上面(26、126)及び前記下面(28)を貫通するインサート軸(AI)と、を有し、
前記上面(26、126)は、前記上方向(DU)に面し、かつ、前記上面(26、126)に関連する力作用開口部又は力作用凹部(32)を有し、
前記下面(28)は、前記下方向(DD)に面し、かつ、前記下面(28)に関連する離間して配置された第1雄又は雌当接要素(36a)並びに第2雄又は雌当接要素(36b)を有し、
前記第1当接要素(36a)は、分岐左第1当接表面(38a)及び分岐右第1当接表面(38b)を有し、前記第1当接要素(36a)は、前記インサート軸(AI)に垂直で前記第1当接要素(36a)及び前記第2当接要素(36b)に交差する第1水平面(PH1)で取られた断面において、前記左第1当接表面(38a)及び前記右第1当接表面(38b)に接する、第1局所当接角(α1)を形成する左第1仮想当接直線(L1a)及び右第1仮想当接直線(L1b)と、前記インサート軸(AI)に平行で又は前記インサート軸(AI)を包含して前記第1局所当接角(α1)を二等分する第1当接二等分平面(PB1)と、を有し、
前記第2当接要素(36b)は、分岐左第2当接表面(40a)及び分岐右第2当接表面(40b)を有し、前記第2当接要素(36b)は、前記第1水平面(PH1)で取られた断面において、前記左第2当接表面(40a)及び前記右第2当接表面(40b)に接する、第2局所当接角(α2)を形成する左第2仮想当接直線(L2a)及び右第2仮想当接直線(L2b)と、前記インサート軸(AI)に平行で又は前記インサート軸(AI)を包含して前記第2局所当接角(α2)を二等分する第2当接二等分平面(PB2)と、を有し、
前記第1切削部分(24a)及び前記第2切削部分(24b)は、前記中心装着部分(22)から離れるように延在し、かつ、それぞれ、遠位第1主切れ刃(42a;142a)及び遠位第2主切れ刃(42b;142b)を有し、前記第1切削部分(24a)及び前記第2切削部分(24b)は、前記インサート軸(AI)を包含する相互に垂直な第1象限平面(PQ1)及び第2象限平面(PQ2)によって規定された4つの仮想象限(Q1、Q2、Q3、Q4)のうちの斜めに対向する仮想象限(Q1、Q3)内にその全体が配置され、
各切削部分(24a、24b)は、そのそれぞれの主切れ刃(42a、42b;142a、142b)に隣接して前記上方向(DU)に面するすくい面(44a、44b)を有し、
前記第1当接二等分平面(PB1)及び前記第2当接二等分平面(PB2)並びに前記第1象限平面(PQ1)は平行である又は一致し、
前記切削インサート(20、120)の各割り出し位置において、
2つの前記切削部分(24a、24b)のうちの1つのみが作動し、
前記下面(28)が前記シート表面(54、154)に接触し、
クランプ部材(66)が、前記力作用開口部又は力作用凹部(32)に係合して前記力作用開口部又は力作用凹部(32)にクランプ力(FC)を作用させ、
前記左第1当接表面(38a)及び前記右第1当接表面(38b)又は前記左第2当接表面(40a)及び前記右第2当接表面(40b)が、それぞれ、前記第1支持壁(60)及び前記第2支持壁(62)に接触し、
前記左第1当接表面(38a)及び前記右第1当接表面(38b)のうちの1つ又は前記左第2当接表面(40a)及び前記右第2当接表面(40b)のうちの1つが前記第3支持壁(64)に接触し、
前記切削工具(46)の平面視において、
作動している前記主切れ刃(42a、42b;142a、142b)に沿った少なくとも一点が、前記支持角(π)によって定められる安定領域(RS)内に配置される、切削工具(46)。
【請求項20】
前記切削工具(46)の平面視において、
前記第1切削部分(24a)及び前記第2切削部分(24b)は、それぞれ、反対の第1方向(D1)及び第2方向(D2)において前記中心装着部分(22)から離れるように延在し、
前記第1方向(D1)及び前記第2方向(D2)は両方とも、前記ホルダ軸(AH)に平行である又は前記ホルダ軸(AH)に垂直である、請求項19に記載の切削工具(46)。
【請求項21】
前記力作用開口部又は力作用凹部(32)は、前記インサートの前記上面(26、126)及び前記下面(28)に交差するクランプ貫通孔(34)の形態である、請求項19に記載の切削工具(46)。
【請求項22】
前記クランプ部材(66)がクランプねじ(68)の形態であり、
前記クランプねじ(68)が、前記クランプ貫通孔(34)を貫通して、前記シート表面(54、154)のねじ孔(70)にねじ係合する、請求項21に記載の切削工具(46)。
【請求項23】
前記切削インサート(20、120)の各割り出し位置において、
前記第1支持要素(56)が、前記第2象限平面(PQ2)に対して、作動していない前記切削部分(24a、24b)と同じ側に配置され、
前記第2支持要素(58)が、前記第2象限平面(PQ2)に対して、作動している前記切削部分(24a、24b)と同じ側に配置され、請求項19に記載の切削工具(46)。
【請求項24】
前記切削インサート(20、120)の各割り出し位置において、
前記クランプ力(FC)は、前記第1象限平面(PQ1)を横断し、かつ、作動している前記切削部分(24a、24b)と前記第1象限平面(PQ1)の同じ側に配置された2つの前記仮想象限(Q1、Q4;Q2、Q3)から離れるように向けられる、請求項21に記載の切削工具(46)。
【請求項25】
前記切削インサート(20、120)の各割り出し位置において、
前記第1支持要素(56)及び前記第2支持要素(58)の前記第1支持壁(60)、前記第2支持壁(62)及び前記第3支持壁(64)を除いて、前記シート表面(54、154)に対して傾斜する又は垂直である前記ホルダヘッド(50、150)の表面は前記切削インサート(20、120)のいかなる表面にも接触しない、請求項21に記載の切削工具(46)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜めに対向する象限に配置された2つの切削部分と、2つの当接要素と、を有する割り出し可能な切削インサート、及び、概して金属切削プロセスで使用するための、かつ、特に限られた作業スペースでの溝入れ作業のためのそうした切削インサートを有する切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
限られた作業スペースでの溝入れ作業で使用される切削工具の分野では、斜めに対向する象限に配置された2つの切削部分を有する切削インサートの例がいくつかある。
【0003】
米国特許第6,582,163号は、ホルダと、ホルダ内に取り外し可能に装着された切削インサートと、を含む屑除去機械加工用の工具を開示している。インサートは、両端を有し、かつ、第1長手方向中心線を規定するシャフトを含む。切削ヘッドは、シャフトの少なくとも一端から一体的に突出している。切削ヘッドは、第1長手方向中心線に45度の角度を形成する切れ刃を含む。代替又は追加として、切削ヘッドは、第1長手方向中心線に45度の角度を形成する第2長手方向中心線を規定する。
【0004】
米国特許第8,449,225号は、インサートホルダと、インサートホルダ内に解放可能に固定された切削インサートと、を有する金属切削工具を開示している。インサートホルダは、上部ブロック及び下部ブロック並びに上部ジョー及び下部ジョーを有しており、各ジョーは、各それぞれのブロックの前端から突出している。切削工具は、下部クランプの前端から角度αで横方向に突出する切削部分支持体を有する。切削インサートは、シャフトと、シャフトから角度αで横方向に突出する第1切削部分と、を有する。切削インサートは、下部ジョー及び上部ジョー上並びに切削部分支持体上に配置された対応の非平面の支持表面に一致するように形成された非平面の当接表面を有する。
【0005】
本発明の目的は、改良された切削インサートを提供することである。
【0006】
本発明の目的はまた、高レベルの安定性でインサートホルダ内に取り外し可能に固定された切削インサートを有する、改良された切削工具を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、インサートホルダが効率的かつ費用効果的に製造される、改良された切削工具を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、回転するワークピースへのアクセスが制限されている切削作業に適した、改良された切削工具を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、割り出し可能な切削インサートが提供され、割り出し可能な切削インサートは、
中心装着部分と、第1切削部分と、第2切削部分と、を備え、
中心装着部分は、対向する上面及び下面と、相互接続する周辺側面と、上方向及び下方向を規定する、上面及び下面を貫通するインサート軸と、を有し、
上面は上方向に面し、
下面は、下方向に面し、かつ、下面に関連する離間して配置された第1雄及び/又は雌当接要素並びに第2雄及び/又は雌当接要素を有し、
第1当接要素は、下面を横断する分岐左第1当接表面及び分岐右第1当接表面を有し、第1当接要素は、インサート軸に垂直で第1当接要素及び第2当接要素に交差する第1水平面で取られた断面において、左第1当接表面及び右第1当接表面に接する、第1局所当接角を形成する左第1仮想当接直線及び右第1仮想当接直線と、インサート軸に平行で又はインサート軸を包含して、第1局所当接角を二等分する第1当接二等分平面と、を有し、
第2当接要素は、下面を横断する分岐左第2当接表面及び分岐右第2当接表面を有し、第2当接要素は、第1水平面で取られた断面において、左第1当接表面及び右第1当接表面に接する、第2局所当接角を形成する左第2仮想当接直線及び右第2仮想当接直線と、インサート軸に平行で又はインサート軸を包含して、第2局所当接角を二等分する第2当接二等分平面と、を有し、
第1切削部分及び第2切削部分は、中心装着部分から離れるように延在し、かつ、それぞれ、遠位第1主切れ刃及び遠位第2主切れ刃を有し、第1切削部分及び第2切削部分は、インサート軸を包含する相互に垂直な第1象限平面及び第2象限平面によって規定された4つの仮想象限のうちの斜めに対向する仮想象限内にその全体が配置され、
各切削部分は、そのそれぞれの主切れ刃に隣接して上方向に面するすくい面を有し、
第1当接二等分平面及び第2当接二等分平面並びに第1象限平面は平行である又は一致し、
切削インサートの平面視において、
第1切削部分及び第2切削部分は、それぞれ、反対の第1方向及び第2方向に中心装着部分から離れるように延在し、
第1方向及び第2方向に平行な第1切削二等分線及び第2切削二等分線は、それぞれ、第1主切れ刃及び第2主切れ刃を二等分し、
第1切削二等分線及び第2切削二等分線は互いにオフセットされる。
【0010】
また、本発明によれば、インサートホルダと、インサートホルダ内に取り外し可能に保持される割り出し可能な切削インサートと、が提供され、
インサートホルダは、ホルダヘッドと、ホルダ軸に沿ってホルダヘッドから後方向に長手方向に延在するホルダシャンクと、を有し、
ホルダヘッドは、シート表面と、シート表面に関連する離間して配置された第1雄及び/又は雌支持要素及び第2雄及び/又は雌支持要素と、を有し、
第1支持要素は、シート表面を横断する第1支持壁及び第2支持壁を有し、
第2支持要素は、シート表面を横断する第3支持壁を有し、
シート表面に平行で第1支持要素及び第2支持要素に交差する第2水平面で取られた断面において、第1支持壁及び第3支持壁に接する第1仮想支持直線及び第3仮想支持直線が180°未満の支持角を形成し、
切削インサートは、中心装着部分と、第1切削部分と、第2切削部分と、を有し、
中心装着部分は、対向する上面及び下面と、相互接続する周辺側面と、上方向及び下方向を規定する、上面及び下面を貫通するインサート軸と、を有し、
上面は、上方向に面し、かつ、上面に関連する力作用開口部又は凹部を有し、
下面は、下方向に面し、かつ、下面に関連する離間して配置された第1雄及び/又は雌当接要素並びに第2雄及び/又は雌当接要素を有し、
第1当接要素は、下面を横断する分岐左第1当接表面及び分岐右第1当接表面を有し、第1当接要素は、インサート軸に垂直で第1当接要素及び第2当接要素に交差する第1水平面で取られた断面において、左第1当接表面及び右第1当接表面に接する、第1局所当接角を形成する左第1仮想当接直線及び右第1仮想当接直線と、インサート軸に平行で又はインサート軸を包含して第1局所当接角を二等分する第1当接二等分平面と、を有し、
第2当接要素は、下面を横断する分岐左第2当接表面及び分岐右第2当接表面を有し、第2当接要素は、第1水平面で取られた断面において、左第2当接表面及び右第2当接表面に接する、第2局所当接角を形成する左第2仮想当接直線及び右第2仮想当接直線と、インサート軸に平行で又はインサート軸を包含して第2局所当接角を二等分する第2当接二等分平面と、を有し、
第1切削部分及び第2切削部分は、中心装着部分から離れるように延在し、かつ、それぞれ、遠位第1主切れ刃及び遠位第2主切れ刃を有し、第1切削部分及び第2切削部分は、インサート軸を包含する相互に垂直な第1象限平面及び第2象限平面によって規定された4つの仮想象限のうちの斜めに対向する仮想象限内にその全体が配置され、
各切削部分は、そのそれぞれの主切れ刃に隣接して上方向に面するすくい面を有し、
第1当接二等分平面及び第2当接二等分平面並びに第1象限平面は平行である又は一致し、
切削インサートの各割り出し位置において、
2つの切削部分のうちの1つのみが作動し、
下面がシート表面に接触し、
クランプ部材が、クランプ開口部又は凹部に係合してクランプ開口部又は凹部にクランプ力を作用させ、
左第1当接表面及び右第1当接表面又は左第2当接表面及び右第2当接表面が、それぞれ、第1支持壁及び第2支持壁に接触し、
左第1当接表面及び右第1当接表面のうちの1つ又は左第2当接表面及び右第2当接表面のうちの1つが第3支持壁に接触し、
切削工具の平面視において、
作動している主切れ刃に沿った少なくとも一点が、支持角によって定められる安定領域内に配置される。
【0011】
より良好な理解のため、部材の部分視のための切断境界を一点鎖線が表す添付図面を参照しつつ、ほんの一例として本発明をここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のある実施形態に係る切削インサートの第1斜視図である。
図2図1に示す切削インサートの第2斜視図である。
図3図1に示す切削インサートの平面図である。
図4図1に示す切削インサートの下面図である。
図5図1に示す切削インサートの第1側面図である。
図6図1に示す切削インサートの第2側面図である。
図7】線VII-VIIに沿って取られた、図5に示す切削インサートの断面図である。
図8A】線VIIIA-VIIIAに沿って取られた、図4に示す切削インサートの断面図である。
図8B】線VIIIB-VIIIBに沿って取られた、図4に示す切削インサートの断面図である。
図9】本発明のある実施形態に係る切削工具の斜視図である。
図10図9に示す切削工具の拡大斜視図である。
図11図9及び図10に示すインサートホルダの平面図である。
図12図9及び図10に示すインサートホルダの側面図である。
図13】線XIII-XIIIに沿って取られた、図12に示すインサートホルダの断面図である。
図14】詳細が隠された、図9に示す切削工具の平面図である。
図15】本発明の代替の実施形態に係る切削工具の拡大斜視図である。
図16】詳細が隠された、図15に示す切削工具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図6に示すように、本発明の一態様は、中心装着部分22並びに第1切削部分24a及び第2切削部分24bを有する割り出し可能な切削インサート20に関する。図3及び図4から分かるように、切削インサート20の平面視又は底面視において、切削部分24a、24bは、中心装着部分22の両端から横方向に、かつ、ほぼ反対方向に突出してもよい。
【0014】
本発明のある実施形態では、切削インサート20は、炭化タングステンなどの超硬合金を成形プレスして焼結することによって製造されることが好ましく、かつ、被覆されても被覆されなくてもよい。
【0015】
中心装着部分22は、対向する上面26及び下面28と、相互接続する周辺側面30と、上方向DU及び下方向DDを規定する上面26及び下面28を貫通するインサート軸AIと、を有する。
【0016】
本発明のある実施形態では、下面28は平面であってもよい。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、下面28に関して、用語「平面」の使用が、下面28が、複数の離間した同一平面のサブ表面を有する可能性をカバーすることを理解されたい。
【0018】
本発明のある実施形態では、インサート軸AIは下面28に垂直であってもよい。
【0019】
図5及び図6に示すように、上面26は上方向DUに面し、下面28は下方向DDに面し、かつ、上面26及び下面28はインサート厚さTIを規定する。
【0020】
本発明のある実施形態では、上面26は、上面26に関連する力作用開口部又は凹部32を有してもよい。
【0021】
また、本発明のある実施形態では、力作用開口部又は凹部32は、上面26及び下面28と交差するクランプ貫通孔34の形態であってもよい。
【0022】
さらに、本発明のある実施形態では、クランプ貫通孔34はインサート軸AIに対して同軸であってもよい。
【0023】
図2及び図4に示すように、下面28は、下面28に関連する離間して配置された第1下部当接要素36a及び第2下部当接要素36bを有する。下部当接要素36a、36bの各々は雄又は雌のいずれかであってもよい。
【0024】
第1雄及び/又は雌当接要素36a並びに第2雄及び/又は雌当接要素36b並びに下面28に関して、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、用語「に関連する」の使用は、第1当接要素36a及び第2当接要素36bが下面28に配置された(すなわち、下面28から突出する)雄要素である可能性と、複数の第1当接要素36a及び第2当接要素36bが下面28内に配置された(すなわち、下面28内に窪んだ)雌要素である可能性とをカバーすることを理解されたい。
【0025】
本発明のある実施形態では、図2に示すように、第1当接要素36a及び第2当接要素36bは雌型要素であってもよい。
【0026】
また、本発明のある実施形態では、第1当接要素36a及び第2当接要素36bはインサート軸AI周りで回転対称性を示してもよい。
【0027】
図4に示すように、第1当接要素36aは、下面28を横断する分岐左第1当接表面38a及び分岐右第1当接表面38bを有する。
【0028】
また、図4に示すように、第2当接要素36bは、下面28を横断する分岐左第2当接表面40a及び分岐右第2当接表面40bを有する。
【0029】
第1当接要素36a及び第2当接要素36bが雌型要素である本発明の実施形態では、左第1当接表面38a及び右第1当接表面38bはインサート軸AIから離れつつ広がってもよく、かつ、左第2当接表面40a及び右第2当接表面40bはインサート軸AIから離れつつ広がってもよい。
【0030】
図7に示すように、インサート軸AIに垂直であり、かつ、第1当接要素36a及び第2当接要素36bに交差する第1水平面PH1で取られた断面において、第1当接要素36aは、第1局所当接角α1を形成する、左第1当接面38a及び右第1当接面38bに接する左第1仮想当接直線L1a及び右第1仮想当接直線L1bを有する。
【0031】
本発明のある実施形態では、第1水平面PH1で取られた断面において、左第1当接表面38a及び右第1当接表面38bは、直線であってもよく、かつ、左第1仮想当接直線L1a及び右第1仮想当接直線L1bに一致してもよい。
【0032】
図7に示すように、第1水平面PH1で取られた断面において、第2当接要素36bは、第2局所当接角α2を形成する、左第2当接表面40a及び右第2当接表面40bに接する左第2仮想当接直線L2a及び右第2仮想当接直線L2bを有する。
【0033】
本発明のある実施形態では、第1水平面PH1で取られた断面において、左第2当接表面40a及び右第2当接表面40bは、直線であってもよく、かつ、左第2仮想当接直線L2a及び右第2仮想当接直線L2bに一致してもよい。
【0034】
図7に示すように、第1局所当接角α1及び第2局所当接角α2は、少なくとも30度の鋭角、すなわち、α1≧30°及びα2≧30°であってもよい。
【0035】
本発明のある実施形態では、第1局所当接角α1及び第2局所当接角α2は等しくてもよい。
【0036】
第1当接要素36a及び第2当接要素36bが雌型要素である本発明の実施形態では、第1局所当接角α1及び第2局所当接角α2は外角であってもよい。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、用語「外角」の使用は、これらの表面構成要素が形成される部材の外部で測定される際の2つの表面構成要素に関連する角度を示すことを理解されたい。
【0038】
図7に示すように、インサート軸AIを包含する第1当接二等分平面PB1は第1局所当接角α1を二等分し、かつ、インサート軸A1を包含する第2当接二等分平面PB2は第2局所当接角α2を二等分する。
【0039】
本発明のある実施形態では、第1当接二等分平面PB1及び第2当接二等分平面PB2は一致してもよい。
【0040】
本発明の他の実施形態(図示せず)では、第1当接二等分平面PB1及び第2当接二等分平面PB2は、相互にオフセットされてもよく、かつ、インサート軸AIに平行であってもよい。
【0041】
図8Aに示すように、第1当接二等分平面PB1に垂直であり、かつ、第1当接要素36aに交差する第1垂直面PV1で取られた断面において、左第1当接表面38a及び右第1当接表面38bの各々が、下面28に対して第1傾斜鈍角σ1を形成してもよい。
【0042】
本発明のある実施形態では、左第1当接表面38a及び右第1当接表面38bは各々平面であってもよい。
【0043】
図8Bに示すように、第2当接二等分平面PB2に垂直であり、かつ、第2当接要素36bに交差する第2垂直面PV2で取られた断面において、左第2当接表面40a及び右第2当接表面40bの各々が、下面28に対して第2傾斜鈍角σ2を形成してもよい。
【0044】
本発明のある実施形態では、左第2当接表面40a及び右第2当接表面40bは各々平面であってもよい。
【0045】
第1当接要素36a及び第2当接要素36bが雌型要素である本発明の実施形態では、第1傾斜角σ1及び第2傾斜角σ2は内角であってもよい。
【0046】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、用語「内角」の使用は、これらの表面構成要素が形成される部材の内部で測定される際の2つの表面構成要素に関連する角度を示すことを理解されたい。
【0047】
図4に示すように、切削インサート20の底面視において、第1当接要素36a及び第2当接要素36bの各々は多角形形状であってもよい。
【0048】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、底面視がインサート軸AIに沿って取られることを理解されたい。
【0049】
本発明のある実施形態では、切削インサート20の底面視において、第1当接要素36a及び第2当接要素36bの各々は三角形形状であってもよい。
【0050】
第1当接要素36a及び第2当接要素36bが雄型要素である本発明の他の実施形態(図示せず)では、切削インサート20の底面視において、第1当接要素36a及び第2当接要素36bの各々がひし形形状であってもよい。
【0051】
また、第1当接要素36a及び第2当接要素36bが雄型要素である本発明の他の実施形態(図示せず)では、左第1当接表面38a及び右第1当接表面38bがインサート軸AIから離れつつ近づいてもよく、かつ、左第2当接表面40a及び右第2当接表面40bがインサート軸AIから離れつつ近づいてもよい。
【0052】
図1図4に示すように、第1切削部分24a及び第2切削部分24bは、中心装着部分22から離れるように延在し、かつ、それぞれ、遠位の第1主切れ刃42a及び第2主切れ刃42bを有する。
【0053】
図5及び図6に示すように、各切削部分24a、24bは、上方向DUに面するそれぞれの主切れ刃42a、42bに隣接するすくい面44a、44bを有する。
【0054】
本発明のある実施形態では、第1切削部分24a及び第2切削部分24bは、中心装着部分22と一体的に形成された細長い部材であり、中心装着部分22と一体の単一構造を有してもよい。
【0055】
また、本発明のある実施形態では、第1切削部分24a及び第2切削部分24bは、インサート軸AI周りで回転対称性を示してもよい。
【0056】
図3に示すように、切削インサート20の平面視において、第1切削部分24a及び第2切削部分24bは、それぞれ、中心装着部分22から反対の第1方向D1及び第2方向D2に延在する。
【0057】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、平面視はインサート軸AIに沿って取られることを理解されたい。
【0058】
また、図3に示すように、切削インサート20の平面視において、第1方向D1及び第2方向D2に平行な第1切削二等分線BL1及び第2切削二等分線BL2が、それぞれ、第1主切れ刃42a及び第2主切れ刃42bを二等分する。
【0059】
本発明によれば、第1切削二等分線BL1及び第2切削二等分線BL2は相互にオフセットされる。
【0060】
本発明のある実施形態では、図3に示すように、切削インサート20の平面視において、第1主切れ刃42a及び第2主切れ刃42bは、中心装着部分22を包含する第1仮想円C1の外側にその全体が配置されてもよい。
【0061】
また、本発明のある実施形態では、第1仮想円C1はインサート軸AIに対して同軸であってもよい。
【0062】
図3に示すように、切削インサート20の平面視において、第1主切れ刃42a及び第2主切れ刃42bは、それぞれ、第1切削二等分線BL1及び第2切削二等分線BL2に垂直に測定された第1切削幅W1及び第2切削幅W2を有する。
【0063】
また、図4に示すように、切削インサート20の底面視において、第1切削部分24a及び第2切削部分24bは、それぞれ、第1方向D1及び第2方向D2に第1切削長さLC1及び第2切削長さLC2を延在させる。
【0064】
本発明のある実施形態では、第1切削長さLC1及び第2切削長さLC2は、それぞれ、第1切削幅W1及び第2切削幅W2より大きくてもよく、すなわち、LC1>W1及びLC2>W2であってもよい。
【0065】
また、本発明のある実施形態では、第1切削長さLC1及び第2切削長さLC2は、それぞれ、第1切削幅W1及び第2切削幅W2の2倍より大きくてもよく、すなわち、LC1>2×W1及びLC2>2×W2であってもよい。
【0066】
第1切削部分24a及び第2切削部分24bは、切削作業中、それらの長手方向範囲全体に沿って、すなわち、それぞれ、第1切削長さLC1及び第2切削長さLC2の全体に沿って、第1主切れ刃42a及び第2主切れ刃42bにクリアランスを提供するように構成されることを理解されたい。
【0067】
本発明に係る切削インサート20は、相互にオフセットされた第1切削二等分線BL1及び第2切削二等分線BL2、並びに、それぞれ、第1切削幅W1及び第2切削幅W2よりも大きい第1切削長さLC1及び第2切削長さLC2により、面溝加工及び内径溝入れ作業に特に適している。
【0068】
本発明に係る切削インサート20は、側面の溝入れ、旋削及びねじ切り操作にも適している。
【0069】
本発明のある実施形態では、インサート厚さTIは、第1切削長さLC1及び第2切削長さLC2の各々より大きくてもよく、すなわち、TI>LC1及びTI>LC2であってもよい。
【0070】
また、本発明のある実施形態では、第1切削部分24a及び第2切削部分24bは各々、インサート軸AIに平行に測定された最小切削高さHMINを有してもよい。
【0071】
さらに、本発明のある実施形態では、最小切削高さHMINは、インサート厚さTIの3分の2より大きくてもよく、すなわち、HMIN>2/3×TIであってもよい。
【0072】
インサート厚さTIが、第1切削長さLC1及び第2切削長さLC2の各々よりも大きく、かつ、最小切削高さHMINがインサート厚さTIの3分の2より大きい本発明の実施形態では、第1切削部分24a及び第2切削部分24bは、それぞれのすくい面44a、44bの反対側の各切削部分24a、24bの下側45a、45bが切削作業中に支持を必要としないように、十分に頑丈であってもよい。
【0073】
本発明によれば、第1切削部分24a及び第2切削部分24bは、インサート軸AIを包含する相互に垂直な第1象限平面PQ1及び第2象限平面PQ2によって規定される4つの仮想象限Q1、Q2、Q3、Q4の斜めに対向する仮想象限Q1、Q3にその全体が配置される。
【0074】
インサート軸AIを包含することに加えて、第1象限平面PQ1は、中心装着部分22の長寸法に沿って延在し、中心装着部分22を二等分し、及びしたがって、長手方向インサート平面PQ1とみなされてもよい。一方で、インサート軸AIを包含し、かつ、第1象限平面PQ1に垂直であることに加えて、第2象限平面PQ2は、中心装着部分22の短寸法に沿って延在し、中心装着部分22を二等分し、及びしたがって、横方向インサート平面PQ2とみなされてもよい。
【0075】
本発明のある実施形態では、第1象限平面PQ1は、第1当接二等分平面PB1及び第2当接二等分平面PB2に一致してもよい。
【0076】
本発明の他の実施形態(図示せず)では、第1象限平面PQ1は、第1当接二等分平面PB1及び第2当接二等分平面PB2に平行であってもよい(及びそれらからオフセットしてもよい)。
【0077】
図3及び図4に示すように、第1方向D1及び第2方向D2は各々、第2象限平面PQ2とゼロ角度を形成してもよい。
【0078】
本発明の他の実施形態(図示せず)では、第1方向D1及び第2方向D2は各々、第2象限平面PQ2と30度未満の鋭角を形成してもよい。
【0079】
本発明のある実施形態では、切削インサート20は、ちょうど2つの切削部分24a、24bを有してもよい。
【0080】
また、本発明のある実施形態では、切削インサート20は、インサート軸AI周りで回転対称性を示してもよく、及びしたがって、インサート軸AI周りで割り出し可能であってもよい。
【0081】
さらに、本発明のある実施形態では、切削インサート20の平面視又は底面視(図3又は図4)において、インサートは、第1象限平面PQ1及び第2象限平面PQ2の各々周りで鏡面非対称性を示してもよい。
【0082】
切削インサート20は、切削インサート20を割り出す時にオペレータを支援するための視覚マーキングを含んでもよいことを理解されたい。視覚マーキングは、インサート軸AI周りのインサートの回転対称性、又は、第1象限平面PQ1及び第2象限平面PQ2の各々周りのインサートの鏡面対称性を損なうものとはみなされない。
【0083】
図3に示すように、周辺側面30は、対向する側面S1の第1対及び側面S2の第2対を含んでもよい。
【0084】
本発明のある実施形態では、第1象限平面PQ1は側面S1の第1対に交差してもよく、かつ、第2象限平面PQ2は側面S2の第2対に交差してもよい。
【0085】
また、本発明のある実施形態では、各主切れ刃42a、42bはその全体が、側面S2の第2対よりも第1象限平面PQ1からさらに離れて配置されてもよい。
【0086】
さらに、本発明のある実施形態では、各主切れ刃42a、42bはその全体が、中心装着部分22のいかなる部分よりも第1象限平面PQ1からさらに離れて配置されてもよい。
【0087】
図3に示すように、切削インサート20の平面視において、側面S1の第1対は、平行であり、かつ、第1距離DS1だけオフセットして配置されてもよく、側面S2の第2対は、平行であり、かつ、第2距離D2だけオフセットして配置されてもよい。
【0088】
本発明のある実施形態では、第1距離DS1は第2距離DS2よりも大きくてもよい。
【0089】
また、本発明のある実施形態では、切削インサート20の平面視において、側面S1の第1対及び側面S2の第2対が仮想長方形RTを規定してもよい。
【0090】
側面S1の第1対は、仮想長方形RTの横方向に向けられた幅寸法に沿って延在してもよい一方で、側面S2の第2対は、仮想長方形RTの縦方向に向けられた長さ寸法に沿って延在してもよく、長さ寸法は幅寸法よりも長い。したがって、切削インサート20の平面視(図3)から分かるように、中心装着部分22は、仮想長方形RTによって形成された長方形フットプリント内にあり、かつ、長方形フットプリントをほぼ完全に占有する長方形形状を有する。
【0091】
図7に示すように、第1水平面PHIで取られた断面において、左第1仮想当接直線L1b及び右第2仮想当接直線L2aが、180度未満の第1非局所当接角δ1を形成してもよく、かつ、左第2仮想当接直線L2b及び右第1仮想当接直線L1aが、180度未満の第2非局所当接角δ2を形成してもよい。
【0092】
本発明のある実施形態では、第1非局所当接角δ1及び第2非局所当接角δ2は、鈍角であってもよく、かつ、等しくてもよい。
【0093】
第1当接要素36a及び第2当接要素36bが雌型要素である本発明の実施形態では、第1非局所当接角δ1及び第2非局所当接角δ2は内角であってもよい。
【0094】
図7に示すように、第1主切れ刃42a及び第2主切れ刃42bに沿った少なくとも第1点N1及び第2点N2は、それぞれ、第1非局所当接角δ1及び第2非局所当接角δ2によって定められる第1領域R1及び第2領域R2に配置されてもよい。
【0095】
本発明のある実施形態では、第1主切れ刃42a及び第2主切れ刃42b全体が、それぞれ、第1領域R1及び第2領域R2に配置されてもよい。
【0096】
また、本発明のある実施形態では、第1点N1及び第2点N2は、それぞれ、第2象限平面PQ2からの第1主切れ刃42a及び第2主切れ刃42bの最も遠い点であってもよい。
【0097】
さらに、本発明のある実施形態では、第1点N1及び第2点N2は、第2象限平面PQ2からの切削インサート20全体の最も遠い点であってもよい。
【0098】
第1点N1及び第2点N2が、第2象限平面PQ2からの切削インサート20全体の最も遠い点である本発明の実施形態では、切削インサート20は、肩部に隣接した切削作業での使用に適し得ることが理解されるべきである。
【0099】
図9図14に示すように、本発明の別の態様は、インサートホルダ48と、インサートホルダ48内に取り外し可能に保持される前述の切削インサート20と、を有する切削工具46に関する。
【0100】
インサートホルダ48は、ホルダヘッド50と、ホルダヘッド50からホルダ軸AHに沿って後方向DRに長手方向に延在するホルダシャンク52と、を有する。
【0101】
図10図12に示すように、ホルダヘッド50は、シート表面54を有し、かつ、シート表面54に関連する第1支持要素56及び第2支持要素56から離間されて配置されている。支持要素56、58の各々は雄又は雌のいずれかであってもよい。
【0102】
第1雄及び/又は雌支持要素56並びに第2雄及び/又は雌支持要素58に関して、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、用語「シート表面54に関連する」の使用は、第1支持要素56及び第2支持要素58が、シート表面54上に配置された(すなわち、シート表面54から突出した)雄要素である可能性、及び、第1支持要素56及び第2支持要素58がシート表面54内に配置された(すなわち、シート表面54内に凹んだ)雌要素である可能性をカバーすることを理解されたい。
【0103】
本発明のある実施形態では、図10及び図12に示すように、第1支持要素56及び第2支持要素58は雄型要素であってもよい。
【0104】
図10及び図12に示すように、第1支持要素56は、シート表面54を横断する第1支持壁60及び第2支持壁62を有しており、かつ、第2支持要素58は、シート表面54を横断する第3支持壁64を有する。
【0105】
本発明のある実施形態では、シート表面54は平面であってもよい。
【0106】
シート表面54に関して、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、用語「平面」の使用は、シート表面54が複数の離間して配置された同一平面のサブ表面を有する可能性をカバーすることを理解されたい。
【0107】
切削インサート20の各割り出し位置において:
2つの切削部分24a、24bのうちの1つだけが作動し、
下面28がシート表面54に接触し、
第1当接要素36a及び第2当接要素36bが、第1支持要素56及び第2支持要素58を占有し、又は、第1支持要素及び第2支持要素56、58によって占有され、かつ
クランプ部材66が、クランプ開口部又は凹部32に係合し、かつ、クランプ開口部又は凹部32にクランプ力FCを作用させる。
【0108】
切削インサート20がちょうど2つの切削部分24a、24bを有する本発明の実施形態では、切削インサート20は、切削工具46内に2つの割り出し位置を有する。
【0109】
図9及び図10に示すように、クランプ部材66は、クランプねじ68の形態であってもよく、クランプねじ68は、クランプ貫通孔34を貫通して、シート表面54のねじ孔70にねじ係合してもよい。
【0110】
図10及び図11に示すように、ねじ孔70は孔軸ABを有する。
【0111】
本発明のある実施形態では、切削インサート20の各割り出し位置において、インサート軸AIは、孔軸ABと非同軸であってもよく、かつ、ねじ孔70は、クランプ貫通孔34に関して偏心してもよい。
【0112】
また、本発明のある実施形態では、切削インサート20の各割り出し位置において、クランプ力FCは、クランプねじ68を介して、クランプ貫通孔34の別個の円周部分に作用されてもよい。
【0113】
切削インサート20が切削工具46内に2つの割り出し位置を有する本発明の実施形態では、クランプ貫通孔34は、クランプ力FCが作用される2つの別個の円周部分を有してもよい。
【0114】
図14に示すように、切削インサート20の各割り出し位置において、クランプ力FCは、第1象限平面PQ1を横断して、かつ、作動している切削部分24a、24bと第1象限平面PQ1の同じ側に配置された2つの仮想象限Q1、Q4:Q2、Q3から離れるように向けられてもよい。
【0115】
また、図14に示すように、切削インサート20の各割り出し位置において、第1支持要素56及び第2支持要素58は第2象限平面PQ2の反対側に配置されてもよい。
【0116】
本発明のある実施形態では、第1支持要素56は、作動していない切削部分24a、24bと第2象限平面PQ2の同じ側に配置されてもよく、かつ、第2支持要素58は、作動している切削部分24a、24bと第2象限平面PQ2の同じ側に配置されてもよい。
【0117】
また、本発明のある実施形態では、図10図14に示すように、第2支持要素58は、シート表面54の自由端(すなわち、ホルダシャンク52から離れた端)に近接していてもよい。
【0118】
さらに、本発明のある実施形態では、クランプ力FCは、作動している切削部分24a、24bを包含する仮想象限Q1、Q3から離れて、かつ、作動していない切削部分24a、24bを包含する仮想象限Q1、Q3に向けられてもよい。
【0119】
図13に示すように、シート表面54に平行であり、かつ、第1支持要素56及び第2支持要素58に交差する第2水平面PH2で取られた断面において、第1支持壁60及び第3支持壁64に接する第1仮想支持直線LS1及び第3仮想支持直線LS3が、180度未満の支持角πを形成する。
【0120】
本発明のある実施形態では、支持角πは、最大で150度、すなわち90°<π≦150°の鈍角であってもよい。
【0121】
第1支持要素56及び第2支持要素58が雄型要素である本発明の実施形態では、支持角πは外角であってもよい。
【0122】
支持角πは安定領域RSを定め、かつ、切削インサート20に作用する切削力が安定領域RS内の点又はゾーンで発生する時、切削インサート20は、高レベルの安定性でインサートホルダ48内に取り外し可能に保持される。
【0123】
本発明のある実施形態では、支持角πは、第1非局所当接角δ1及び第2非局所当接角δ2に実質的に等しくてもよい。
【0124】
また、本発明のある実施形態では、第1水平面PH1及び第2水平面PH2は一致してもよい。
【0125】
図14に示すように、切削インサート20の各割り出し位置において:
左第1当接表面38a及び右第1当接表面38b又は左第2当接表面40a及び右第2当接表面40bは、それぞれ、第1支持壁60及び第2支持壁62に接触し、かつ、
左第1当接表面38a及び右第1当接表面38bのうちの1つ又は左第2当接表面40a右第2当接表面40bのうちの1つが第3支持壁64に接触している。
【0126】
切削インサート20の各割り出し位置において、第3支持壁64を除いて、シート表面54を横断する第2支持要素58の表面が切削インサート20のいかなる表面にも接触していなくてもよいことを理解されたい。
【0127】
クランプ力FCが、作動していない切削部分24a、24bを包含する仮想象限Q1、Q3に向けられている本発明の実施形態では、インサートの4つの当接表面38a、38b:40a、40bのうちの3つと第1支持壁60、第2支持壁62及び第3支持壁64との間に上述した「3点」接触が確保されていることも理解されたい。
【0128】
第1当接要素36a及び第2当接要素36bが雌型要素であり、かつ、第1支持要素56及び第2支持要素58が雄型要素である本発明の実施形態では、切削インサート20の各割り出し位置において、右第1当接表面38b又は右第2当接表面40bが第3支持壁64に接触してもよい。
【0129】
本発明によれば、切削工具46の平面視において、図14に示すように、作動している主切れ刃42a、42bに沿った少なくとも一点が安定領域RS内に配置される。
【0130】
作動している主切れ刃42a、42bに沿って少なくとも一点を安定領域RS内に配置することは、図14に示すように、第1象限平面PQ1に垂直に向けられた第1切削力F1、第1象限平面PQ1に向かって第2象限平面PQ2から離れるある角度に向けられた第2切削力F2、及び、第2象限平面PQ2に垂直に向けられた第3切削力F3を含む、ある範囲の方向からの切削力に対して切削インサート20に最適な安定性を提供することを理解されたい。
【0131】
本発明のある実施形態では、作動している主切れ刃42a、42b全体が安定領域RS内に配置されてもよい。
【0132】
切削工具46の平面視がシート表面54に対して垂直に取られることは、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて理解されるべきである。
【0133】
また、切削工具46の平面視では、図14に示すように、第1方向D1及び第2方向D2はホルダ軸AHに垂直であってもよい。
【0134】
第1方向D1及び第2方向D2がホルダ軸AHに垂直である本発明の実施形態では、切削工具46は、面溝加工及び内径溝入れ作業に特に適し得る。
【0135】
本発明の他の実施形態(図示せず)では、第1方向D1及び第2方向D2はホルダ軸AHに平行であってもよい。
【0136】
本発明のある実施形態では、作動している切削部分24a、24bの表面がホルダヘッド50に接触していなくてもよい。
【0137】
また、本発明のある実施形態では、図14に示すように、切削工具46の平面視において、作動している切削部分24a、24bは、ホルダヘッド50の周辺エンベロープを超えて延在してもよい。
【0138】
作動している切削部分24a、24bの表面がホルダヘッド50に接触していない本発明の実施形態では、例えば、インサートの第1切削部分24a及び第2切削部分24bが十分に頑丈である場合、ホルダヘッド50は、作動している切削部分を支持するための外向きに突出する補助ベース部材を有していなくてもよく、及びしたがって、インサートホルダ48は、より効率的かつ費用効果的に製造され得る。
【0139】
切削インサート20の各割り出し位置において、第1支持要素56及び第2支持要素58の第1支持壁60、第2支持壁62及び第3支持壁64を除いて、シート表面54を横断するホルダヘッド50の表面が切削インサート20のいかなる表面にも接触しなくてもよい。
【0140】
また、切削インサート20の各割り出し位置において、インサートの周辺側面30の部分がホルダヘッド50に接触しなくてもよく、及びしたがって、ホルダヘッド50はいかなる周辺支持壁も有していなくてもよい。
【0141】
ホルダヘッド50がいかなる周辺支持壁も有していない本発明の実施形態では、ホルダヘッド50は、縮小されたコンパクトサイズを有してもよく、切削工具46を、例えば、面溝加工や内径溝入れ作業での回転するワークピースへのアクセスが制限される切削作業に特に適したものにしてもよい。
【0142】
本発明の代替の実施形態では、ホルダヘッド150は、シート表面154に隣接するヘッド突起172を有してもよく、このヘッド突起172は、切削インサート120のいかなる表面にも接触しないものの、作動している主切れ刃142a、142bに冷却媒体を向けるための手段を提供する。
【0143】
100より大きい参照番号を有する、本発明の代替の実施形態に特に関連する追加の特徴とは別に、本明細書及び特許請求の範囲は、本発明のある実施形態及び代替の実施形態に適用可能であることを理解されたい。
【0144】
図15及び図16に示すように、作動している主切れ刃142a、142bに冷却媒体を向けるための手段は、ヘッド突起172に装着された流体送達ヘッド174の形態であってもよい。
【0145】
本発明の他の実施形態(図示せず)では、作動している主切れ刃142a、142bに冷却媒体を向けるための手段は、ヘッド突起172内の冷却ダクト及び冷却開口部の形態であってもよい。
【0146】
本発明の代替の実施形態では、インサートの上面126は、第1冷却溝176a及び第2冷却溝176bを有してもよく、かつ、切削インサート120の平面視において、第1冷却溝176a及び第2冷却溝176bは、それぞれ、第1切削二等分線BL1及び第2切削二等分線BL2に沿って延在してもよい。
【0147】
また、本発明の代替の実施形態では、流体送達ヘッド174は、それぞれ第1冷却溝176a又は第2冷却溝176bを介して、作動している主切れ刃142a、142bに冷却媒体を向けるように構成されてもよい。
【0148】
本発明をある程度まで詳細に説明したが、以下に特許請求される本発明の精神又は範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正が行われることができることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16