(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】車両ランプの光学素子、車両ランプモジュール、車両ヘッドランプ、及び車両
(51)【国際特許分類】
F21S 41/24 20180101AFI20240813BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240813BHJP
F21S 41/147 20180101ALI20240813BHJP
F21S 41/16 20180101ALI20240813BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20240813BHJP
F21S 41/26 20180101ALI20240813BHJP
F21S 41/365 20180101ALI20240813BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240813BHJP
F21S 41/275 20180101ALI20240813BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240813BHJP
F21W 102/145 20180101ALN20240813BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240813BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240813BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/143
F21S41/147
F21S41/16
F21S41/151
F21S41/26
F21S41/365
F21S41/663
F21S41/275
F21V8/00 310
F21V8/00 320
F21V8/00 330
F21W102:145
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2021567865
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2020091591
(87)【国際公開番号】W WO2020244391
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】201910488336.X
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910730411.9
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910780214.8
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 大攀
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0124472(US,A1)
【文献】特開2006-164923(JP,A)
【文献】特開2006-324013(JP,A)
【文献】特表2018-538656(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0087745(US,A1)
【文献】特開2019-075232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0192547(US,A1)
【文献】特開2018-055986(JP,A)
【文献】特表2008-532250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21V 8/00
F21W 102/145
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ランプの光学素子であって、
順次設けられた入光部(1)、伝送部(2)及び出光部(3)を含み、前記入光部(1)には複数の入光構造(11)が設けられ、前記入光構造(11)は左右方向に沿って順次接続され、前記入光構造(11)は、前記伝送部(2)と反対する一端が入光面(111)となり、前記入光面(111)が後へ突出する曲面であり、前記伝送部(2)は出光方向に沿う後端及び前端がそれぞれ伝送部入光端(21)及び伝送部出光端(22)となり、前記伝送部(2)の左側面及び右側面は、前記伝送部入光端(21)に近い一端から
互いに平行に前へ延び
る垂直平面を形成してから、
前記伝送部出光端(22)まで互いに向かって徐々に接近
する垂直平面を形成し、前記出光部(3)は前記伝送部出光端(22)と反対する一端が出光面(31)となり、前記出光面(31)が前へ突出する曲面であり、
前記伝送部(2)の少なくとも1組の対向する側面の間の距離が、前記伝送部入光端(21)に近い一端から前記伝送部出光端(22)に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大し、前記入光部(1)、前記伝送部(2)及び前記出光部(3)は一体成形され、前記入光部(1)は前記入光部(1)の一方の側に位置するレンズ点灯構造(12)をさらに含み、前記レンズ点灯構造(12)は、該レンズ点灯構造(12)に入射された光線を少なくとも1回反射した後、前記伝送部(2)に伝送し、前記伝送部(2)によって前記出光部(3)に伝送できることを特徴とする車両ランプの光学素子。
【請求項2】
前記レンズ点灯構造(12)は第1の反射面(122)と第2の反射面(123)を含み、前記第1の反射面(122)は、該第1の反射面(122)に入射された光線を前記第2の反射面(123)に反射でき、前記第2の反射面(123)は前記第1の反射面(122)の出射光線を前記伝送部(2)に反射できることを特徴とする請求項1に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項3】
前記レンズ点灯構造(12)は、前記第1の反射面(122)に対応して設けられたレンズ点灯入光面(121)、第1の光チャネル(124)、及び第2の光チャネル(125)をさらに含み、前記第1の反射面(122)は前記レンズ点灯入光面(121)の入射光線を反射した後、前記第1の光チャネル(124)を介して前記第2の反射面(123)に伝送し、前記第2の反射面(123)の出射光線は前記第2の光チャネル(125)を介して前記伝送部(2)に伝送されることを特徴とする請求項2に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項4】
前記第1の光チャネル(124)は、一端が前記第1の反射面(122)に接続され、他端が前記第2の反射面(123)に接続され、前記第1の光チャネル(124)の断面積が、前記第1の反射面(122)に近い一端から前記第2の反射面(123)に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大することを特徴とする請求項3に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項5】
前記第1の反射面(122)は前記第2の反射面(123)の上方に位置し、前記第1の光チャネル(124)の左側面と右側面の間の距離が、前記第1の反射面(122)に近い一端から前記第2の反射面(123)に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大することを特徴とする請求項3又は4に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項6】
前記第1の反射面(122)は前記レンズ点灯入光面(121)へ突出する円弧面である、かつ/又は、前記第2の反射面(123)は前記第1の反射面(122)から離れた方向へ突出する円弧面であることを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項7】
前記第1の反射面(122)に増反層、皮紋、及び、マット歯のうちの一つが設けられていることを特徴とする請求項2~6のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項8】
前記レンズ点灯入光面(121)は平面又は凸曲面である、又は、前記レンズ点灯入光面(121)に集光構造(4)が設けられていることを特徴とする請求項3~6のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項9】
前記伝送部(2)は、前記伝送部入光端(21)から前記伝送部出光端に向かうにしたがって横断面の面積が徐々に増大することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項10】
前記伝送部(2)の上側面と下側面の間の距離が、前記伝送部入光端(21)に近い一端から前記伝送部出光端(22)に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項11】
前記入光構造(11)はマトリックス状に配列され、少なくとも1列として設けられる、又は、
前記入光構造(11)は光線を集めるように構成されることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項12】
前記伝送部(2)の幅が前記出光部(3)の幅よりも小さく、且つ前記伝送部(2)の高さが前記出光部(3)の高さよりも小さいことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項13】
前記出光部(3)の横断面の面積は、前記伝送部(2)に近い一端から前記伝送部(2)から離れた一端に向かうにしたがって徐々に減少することを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項14】
前記伝送部(2)の少なくとも1つの側面にマット構造が設けられている、かつ/又は、前記出光面(31)の外面に格子状模様又は縞状模様が設けられていることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の車両ランプの光学素子。
【請求項15】
回路基板(5)と、請求項1~14のいずれか1項に記載の車両ランプの光学素子とを含み、前記回路基板(5)は前記車両ランプの光学素子の入光部(1)の後方に設けられ、前記回路基板(5)には前記入光構造(11)に対応するハイビーム光源(51)及び前記レンズ点灯構造(12)に対応するレンズ点灯光源(52)が設けられており、前記ハイビーム光源(51)と前記レンズ点灯光源(52)は独立して点灯と消灯を制御され得ることを特徴とする車両ランプモジュール。
【請求項16】
前記入光構造(11)の数は複数であり、前記ハイビーム光源(51)は前記入光構造(11)に1対1で対応し、各前記ハイビーム光源(51)は独立して点灯と消灯を制御され得ることを特徴とする請求項15に記載の車両ランプモジュール。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の車両ランプモジュールを含むことを特徴とする車両ヘッドランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
【0002】
本願は、2019年6月5日に提出された中国特許出願第201910488336.X号、2019年8月8日に提出された中国特許出願第201910730411.9号、及び2019年8月22日に提出された中国特許出願第201910780214.8号の権益を主張しており、この3つの出願の内容は引用により本願に組み込まれている。
【0003】
本発明は車両ランプに関し、具体的には、車両ランプの光学素子に関する。さらに、本発明は車両ランプモジュール、車両ヘッドランプ、及び車両に関する。
【背景技術】
【0004】
車両技術の発展に伴い、車両ランプの造型が多様化しており、車両ランプの造型設計の柔軟性を高めるために、車両ランプの照明を複数の車両ランプの照明モジュールとして分散して設けることにより、複数の照明領域を形成する。様々な車両による車両ランプの造型への要件に応じて、車両ランプの照明モジュールの出光部を所定の配列形態で配置し、例えばある直線の形態で配列したり、折り線の形態で配列したり、曲線の形態で 配列したりすることができる。具体的には、
図1に示すように、車両ランプは、6つの車両ランプ照明モジュールMを含み、これらのうち、一部はロービーム車両ランプモジュールであり、残りはハイビーム車両ランプモジュールであり、これらの車両ランプ照明モジュールMの出光レンズが所定の形態で配列されて、特別な造型を示す。ただし、ロービーム照明モードでロービーム車両ランプモジュールのレンズだけが点灯され、ハイビーム車両ランプモジュールのレンズが点灯されなければ、複数のレンズの造型による効果を表現できず、車全体の外観性を損なう。したがって、ロービーム照明モードではハイビーム車両ランプモジュールのレンズも点灯されるが、ハイビームを起動させないようにすることにより、全てのレンズが点灯されるような効果を達成させる必要がある。
【0005】
特許文献1においては、ロービーム照明モードでもハイビームランプモジュールからも補助光線が出射され、ロービーム照明モードでもハイビームランプモジュールのレンズが発光する車両ハイビームランプモジュールが開示されており、このように、車両ランプ全体の造型の外観性を向上させるものの、該ハイビームランプモジュールでは、各光学部材が独立して設けられ、それぞれ位置決めや取り付けが必要とされ、その結果、各光学部材の間の位置決めや取り付けの誤差が回避されにくく、光学システム全体の精度に悪影響を及ぼす。
【0006】
従来技術の上記欠陥に鑑み、新型車両ランプの光学素子の設計が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国実用新案登録第CN209893297号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする基本的な技術的課題は、体積が小さいだけでなく、光学精度が高く、パターンが正確であり、取り付けやすい車両ランプの光学素子を提供することである。
【0009】
また、本発明が解決しようとする技術的課題は、体積が小さく、光学精度が高く、構成要素が少なく、位置決めや取り付けの誤差が小さい車両ランプモジュールを提供することである。
【0010】
さらに、本発明が解決しようとする技術的課題は、体積が小さく、光学精度が高く、取り付けやすく、コストが低い車両ヘッドランプを提供することである。
【0011】
最後に、本発明が解決しようとする技術的課題は、体積が小さい車両ヘッドランプを含み、そして光学精度が高く、取り付けやすく、コストが低い車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一態様は、順次設けられた入光部、伝送部及び出光部を含み、前記入光部には少なくとも1つの入光構造が設けられ、前記伝送部は出光方向に沿う後端及び前端がそれぞれ伝送部入光端及び伝送部出光端となり、前記出光部は前記伝送部出光端と反対する一端が出光面となり、前記出光面が前へ突出する曲面であり、前記伝送部の少なくとも1組の対向する側面の間の距離が、前記伝送部入光端に近い一端から前記伝送部出光端に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大する車両ランプの光学素子を提供する。
【0013】
本発明の1つの好ましい実施形態として、前記入光部は前記入光部の一方の側に位置するレンズ点灯構造をさらに含み、前記レンズ点灯構造は、該レンズ点灯構造に入射された光線を少なくとも1回反射した後、前記伝送部に伝送し、前記伝送部によって前記出光部に伝送できる。
【0014】
本発明の1つの具体的な構造形態として、前記レンズ点灯構造は第1の反射面と第2の反射面を含み、前記第1の反射面は、該第1の反射面に入射された光線を前記第2の反射面に反射でき、前記第2の反射面は前記第1の反射面の出射光線を前記伝送部に反射できる。
【0015】
好ましくは、前記レンズ点灯構造は、前記第1の反射面に対応して設けられたレンズ点灯入光面、第1の光チャネル、及び第2の光チャネルをさらに含み、前記第1の反射面は前記レンズ点灯入光面の入射光線を反射した後、前記第1の光チャネルを介して前記第2の反射面に伝送し、前記第2の反射面の出射光線は前記第2の光チャネルを介して前記伝送部に伝送される。
【0016】
より好ましくは、前記第1の光チャネルは、一端が前記第1の反射面に接続され、他端が前記第2の反射面に接続され、前記第1の光チャネルの断面積が、前記第1の反射面に近い一端から前記第2の反射面に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大する。
【0017】
さらに好ましくは、前記第1の反射面は前記第2の反射面の上方に位置し、前記第1の光チャネルの左側面と右側面の間の距離が、前記第1の反射面に近い一端から前記第2の反射面に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大する。
【0018】
具体的には、前記第1の反射面は前記レンズ点灯入光面へ突出する円弧面である。
【0019】
より具体的には、前記第2の反射面は前記第1の反射面から離れた方向へ突出する円弧面である。
【0020】
さらに具体的には、前記第1の反射面に増反層が設けられている。
【0021】
さらにより具体的には、前記第1の反射面に皮紋又はマット歯が設けられている。
【0022】
典型的には、前記レンズ点灯入光面は平面又は凸曲面である。
【0023】
より典型的には、前記レンズ点灯入光面に集光構造が設けられている。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態として、前記伝送部は、前記伝送部入光端から前記伝送部出光端に向かうにしたがって横断面の面積が徐々に増大する。
【0025】
好ましくは、前記伝送部の上側面と下側面の間の距離が、前記伝送部入光端に近い一端から前記伝送部出光端に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大する。
【0026】
より好ましくは、前記伝送部の左側面と右側面の間の距離が、前記伝送部入光端に近い一端から前記伝送部出光端に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大する。
【0027】
本発明の別の具体的な構造形態として、前記入光構造はマトリックス状に配列され、少なくとも1列として設けられる。
【0028】
好ましくは、前記入光構造は、前記伝送部と反対する一端が入光面となり、前記入光面は後へ突出する曲面又はテーパ面である。
【0029】
より好ましくは、前記入光構造は光線を集めるように構成される。
【0030】
本発明のさらなる好ましい実施形態として、前記入光構造の数が複数であり、前記入光構造は左右方向に沿って順次接続され、前記入光構造は前記伝送部と反対する一端が入光面となり、前記入光面が後へ突出する曲面である。
【0031】
好ましくは、前記伝送部の左側面及び右側面は、前記伝送部入光端に近い一端から前へ延びてから、該伝送部の中心軸に近い方向に徐々に接近する。
【0032】
より好ましくは、前記伝送部の幅が前記出光部の幅よりも小さく、且つ前記伝送部の高さが前記出光部の高さよりも小さい。
【0033】
具体的には、前記出光部の横断面の面積は、前記伝送部に近い一端から前記伝送部から離れた一端に向かうにしたがって徐々に減少する。
【0034】
さらに好ましくは、前記伝送部の少なくとも1つの側面にマット構造が設けられている。
【0035】
具体的には、前記入光部、前記伝送部及び前記出光部は一体成形される。
【0036】
典型的には、前記出光面の外面に格子状模様又は縞状模様が設けられている。
【0037】
本発明の第2の態様は、回路基板と、上記技術案のいずれか1項に記載の車両ランプの光学素子とを含み、前記回路基板は前記車両ランプの光学素子の入光部の後方に設けられ、前記回路基板には前記入光構造に対応するハイビーム光源が設けられている車両ランプモジュールを提供する。
【0038】
好ましくは、前記車両ランプの光学素子は上記技術案のいずれか1項に記載の前記レンズ点灯構造を含む車両ランプの光学素子であり、前記回路基板には、前記レンズ点灯構造に対応するレンズ点灯光源が設けられ、前記ハイビーム光源と前記レンズ点灯光源は、独立して点灯と消灯を制御され得る。
【0039】
より好ましくは、前記入光構造の数は複数であり、前記ハイビーム光源は前記入光構造に1対1で対応し、各前記ハイビーム光源は独立して点灯と消灯を制御され得る。
【0040】
本発明の第3の態様は、上記技術案のいずれか1項に記載の車両ランプモジュールを含む車両ヘッドランプを提供する。
【0041】
本発明の第4の態様は、上記技術案に記載の車両ヘッドランプを含む車両を提供する。
【発明の効果】
【0042】
本発明の上記基本的な技術案によれば、本発明による車両ランプの光学素子は、入光部、伝送部及び出光部を一体にしたものであり、集積レベルが高く、個別の一次光学素子とレンズを設けなくてもよく、また他の余分な支持装置の取り付けも不要になり、組み立ての関係がシンプルであるだけでなく、車両ランプの光学素子のパーツの製造精度や光学システムの精度を向上させ、また、該車両ランプの光学素子の体積が、配光により要求される条件を満たした上で適応的に減少することができ、集積化の研究に有利である。
【0043】
本発明の好ましい形態では、該車両ランプの光学素子が車両ランプに適用される場合、レンズ点灯構造によれば、ロービーム照明モードで出光部の出光面も点灯され、そして、ロービーム照明モードでレンズ点灯光源から出射される光線が拡散され、このように、出光面の点灯による良好な視覚的効果を果たし、また、出光面の点灯輝度や範囲が車両ランプのロービーム照明に影響を与えない。
【0044】
本発明の他の利点や好ましい実施形態の技術的効果に関しては、以下の発明を実施するための形態においてさらに説明する。
【0045】
以下の図面は、本発明をさらに理解するために提供され、明細書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態とともに本発明を解釈することに用いられるが、本発明の特許範囲は下記の図面及び具体的な実施形態に制限されない。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】従来技術における車両ランプ照明モジュールの配列形態の一実施形態の構造模式図である。
【
図2】本発明の第1の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の構造模式図である。
【
図3】
図2に示す車両ランプの光学素子と回路基板の組み立て方位の1つの具体的な実施形態の構造模式図である。
【
図4】
図3に示すレンズ点灯構造が車両ランプの光学素子の縦の面において形成した光路図である。
【
図5】
図3に示すレンズ点灯構造が車両ランプの光学素子の横の面において形成した光路図である。
【
図6】本発明の第2の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の一例の構造模式図である。
【
図7】本発明の第2の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の別の構造模式図である。
【
図8】
図7に示す車両ランプの光学素子のレンズ点灯入光面の第1の具体的な実施形態の構造模式図である。
【
図9】
図7に示す車両ランプの光学素子のレンズ点灯入光面の第2の具体的な実施形態の構造模式図である。
【
図10】
図7に示す車両ランプの光学素子が車両ランプモジュールに組み立てられた1つの具体的な実施形態の構造模式図である。
【
図11】
図10に示す車両ランプモジュールにおけるレンズ点灯構造と回路基板の構造模式図である。
【
図12】
図10に示す車両ランプモジュールにおける車両ランプの光学素子、ハイビーム光源、レンズ点灯光源の一例の構造模式図である。
【
図13】
図10に示す車両ランプモジュールにおける車両ランプの光学素子、ハイビーム光源、レンズ点灯光源の別の構造模式図である。
【
図14】
図13に示す車両ランプモジュールにおける車両ランプの光学素子、ハイビーム光源、レンズ点灯光源の上面図である。
【
図16】
図7に示す車両ランプの光学素子の光路図である。
【
図18】本発明の第3の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の一例の構造模式図である。
【
図19】本発明の第3の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の別の構造模式図である。
【
図20】
図2に示す車両ランプの光学素子によるレンズ点灯光源の投射パターン模式図である。
【
図21】
図18に示す車両ランプの光学素子によるレンズ点灯光源の投射パターン模式図である。
【
図22】本発明の第4の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の一例の構造模式図である。
【
図23】本発明の第4の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の別の構造模式図である。
【
図24】本発明の第4の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の光路図である。
【
図25】本発明の第5の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の一例の構造模式図である。
【
図26】本発明の第5の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の別の構造模式図である。
【
図27】本発明の第5の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の光路図である。
【
図28】本発明の第6の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の一例の構造模式図である。
【
図29】本発明の第6の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の別の構造模式図である。
【
図30】本発明の第6の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の横の面の光路図である。
【
図31】本発明の第6の具体的な実施形態の車両ランプの光学素子の縦の面の光路図である。
【
図32】本発明の車両ヘッドランプの1つの具体的な実施形態のパターン図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで説明する具体的な実施形態は本発明を説明して解釈するために過ぎず、本発明を制限するものではないことを理解すべきである。
【0048】
なお、以下の説明において本発明の技術案を明確に説明するために使用される方位詞、例えば「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」などは全て光伝送方向が指す方位に基づく意味であり、例えば、車両ランプの光学素子を例にして、車両ランプの光学素子においてハイビーム光源51に近い一端は後、ハイビーム光源51から離れた一端は前であり、また、車両ランプの光学素子の入光部1が位置する一端は後、出光部3が位置する一端は前であるように理解してもよく、一方、車両ランプの光学素子の前後方向に対して、車両ランプの光学素子の左右両側で示される方向は左右方向であり、車両ランプの光学素子の上下両側で示される方向は上下方向である。
【0049】
なお、本発明の説明において、別に明確な規定や限定がない限り、用語「取り付け」、「接続」は広義で理解すべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、一体に接続されてもよい。直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子の内部が連通するか又は2つの素子が相互作用関係にあるようにしてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意義を理解することができる。また、用語「第1の」、「第2の」は説明の目的のみに使用されるが、相対重要性を指示又は示唆するか、又は係る技術的特徴の数を暗黙的に示すものとして理解できず、したがって、「第1の」、「第2の」により限定された特徴は、1つ以上の前記特徴を明示的又は暗黙的に含んでもよい。
【0050】
なお、対向する側面の間の距離とは、2つの面の間の直線距離を指し、中心軸とは、車両ランプの光学素子の前後方向に沿って延び、出光部3の焦点を通る仮想直線を指し、光軸ともいい、光伝送方向は、中心軸に沿っており、且つ入光部1から出光部3を指向する方向として定義される。車両ランプの光学素子の横断面は、車両ランプの光学素子が中心軸に垂直な平面で切断された断面として定義され、車両ランプの光学素子の縦の面は、車両ランプの光学素子が中心軸を通る鉛直平面で切断された断面截面として定義され、車両ランプの光学素子の横の面は、車両ランプの光学素子が中心軸を通る水平面で切断された断面として定義され、第1の光チャネル124の断面積は、第1の反射面122から第2の反射面123へ延びている方向に垂直な平面で第1の光チャネル124を切断した断面の面積として定義される。
【0051】
本発明による車両ランプの光学素子は、
図2、
図6~
図9、
図18と
図19、
図22と
図23、
図25と
図26、
図28と
図29に示すように、順次設けられた入光部1、伝送部2、及び出光部3を含み、入光部1には少なくとも1つの入光構造11が設けられ、伝送部2は、出光方向に沿う後端及び前端がそれぞれ伝送部入光端21及び伝送部出光端22となり、出光部3は伝送部出光端22と反対する一端が出光面31となり、出光面31が前へ突出する曲面であり、ここで、伝送部2の少なくとも1組の対向する側面の間の距離が、伝送部入光端21に近い一端から伝送部出光端22に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大する。
【0052】
上記基本的な技術案による車両ランプの光学素子は、入光部1、伝送部2及び出光部3を一体にしたものであり、集積レベルが高く、個別の一次光学素子と二次光学素子を設けなくてもよく、また他の余分な支持装置の取り付けも不要になり、組み立ての関係がシンプルであり、しかも、位置決めや取り付けの誤差を大幅に低下させ、車両ランプの光学素子のパーツの製造精度や光学システムの精度を向上させる。伝送部2の少なくとも1組の対向する側面は、後方から前方に向かうにしたがって徐々に拡大するような台形状をしており、このように光線を収集しやすくなり、出光面31は前へ突出する曲面として設けられ、出光部3は該出光面31を通じて光線を屈折してハイビームを形成する。
【0053】
上記車両ランプの光学素子においては、ハイビーム照明モードでは、入光構造11は、それに対応して設けられた光源である下記のハイビーム光源51の光線を入光部1に入射し、伝送部2によって出光部3に伝送し、出光部3は出光面31により光線を屈折した後出射し、ハイビームを形成する。ここで、出光部3は従来技術におけるハイビーム車両ランプモジュールのレンズ部分であり、それに対応して、ロービーム照明モードでは、入光構造11に対応するハイビーム光源51がオフになり、このとき、該車両ランプの光学素子は消灯状態になり、車両ランプの造型の効果や外観性に悪影響を与える。したがって、上記基本的な技術案である第1の好ましい構造形態として、
図2~
図19に示すように、入光部1は、入光部1の一方の側に位置するレンズ点灯構造12をさらに含み、レンズ点灯構造12は、該レンズ点灯構造12に入射された光線を少なくとも1回反射した後、伝送部2に伝送して、伝送部2によって出光部3に伝送し得る。レンズ点灯構造12と入光部1は伝送部2及び出光部3を共用し、
図3~
図5、
図16及び
図17に示すように、ロービーム照明モードでは、レンズ点灯構造12に対応する光源である下記のレンズ点灯光源52はオン状態にあり、レンズ点灯構造12は該レンズ点灯構造12に入射された光線を反射した後、伝送部2によって出光部3に伝送し、ロービーム車両ランプモジュールのレンズがロービーム光源により点灯されるとともに、ハイビーム車両ランプモジュールのレンズである出光部3も点灯され、さらに、レンズ点灯構造12により、ハイビーム車両ランプモジュールのレンズの点灯輝度及び範囲がロービームパターンに影響を与えることはなく、ハイビーム車両ランプモジュールのレンズが点灯されたような視覚的効果だけが達成され、車両ランプの造型の外観性が向上する。ハイビーム照明モードでは、レンズ点灯構造12に対応するレンズ点灯光源52はオン状態であっても、オフ状態であってもよい。
【0054】
上記レンズ点灯構造12の基本的な構造形態として、
図2に示すように、レンズ点灯構造12は第1の反射面122と第2の反射面123を含み、第1の反射面122は該第1の反射面122に入射された光線を第2の反射面123に反射し、第2の反射面123は第1の反射面122の出射光線を伝送部2に反射することができる。第1の反射面122と第2の反射面123は一体形成されてもよく、個別に設けられてもよく、第2の反射面123は入光部1に一体形成されることが好ましく、このように、第1の反射面122の出射光線をより効率的に伝送部2に伝送しつつ、車両ランプの光学素子の構造をより安定化させる。このとき、レンズ点灯構造12に対応する光源は点灯されて出光部3によって投射され、
図20に示すパターンを形成し得る。
【0055】
上記レンズ点灯構造12の1つの具体的な構造形態として、
図6及び
図7に示すように、レンズ点灯構造12は第1の反射面122に対応して設けられたレンズ点灯入光面121、第1の光チャネル124、及び第2の光チャネル125をさらに含み、第1の反射面122は、レンズ点灯入光面121の入射光線を反射した後、第1の光チャネル124を介して第2の反射面123に伝送し、第2の反射面123の出射光線は第2の光チャネル125を介して伝送部2に伝送される。第1の光チャネル124及び第2の光チャネル125が設けられることにより、レンズ点灯構造12は光線の収集により有利になり、レンズ点灯入光面121から導入される光線は伝送部2によりよく導かれる。
【0056】
好ましくは、第1の光チャネル124は、一端が第1の反射面122に接続され、他端が第2の反射面123に接続され、第1の光チャネル124の断面積は、第1の反射面122に近い一端から第2の反射面123に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大する。第2の反射面123の面積が第1の反射面122の面積よりも大きいため、このときの第1の光チャネル124は第1の反射面122から第2の反射面123にスムーズに移行することができ、このように、レンズ点灯入光面121から導入される光線に対する第1の光チャネル124の収集効率がさらに高まる。
【0057】
具体的には、
図6及び
図7、
図18及び
図19に示すように、第1の反射面122は第2の反射面123の上方に位置し、第1の光チャネル124の左側面と右側面の間の距離が、第1の反射面122に近い一端から第2の反射面123に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大する。このとき、レンズ点灯光源52の光線はレンズ点灯入光面121によって第1の反射面122に入射され、第1の反射面122によって反射された後、第1の光チャネル124に入って第2の反射面123に伝送され、さらに第2の反射面123によって反射された後、第2の光チャネル125に入って伝送部2に伝送され、最後に、伝送部2によって出光部3に伝送され、出光面31から出射され、それにより、ハイビーム車両ランプモジュールのレンズである出光部3を発光させる。
【0058】
レンズ点灯入光面121は平面として設けられることが好ましく、構造がシンプルで、製造可能性が良好であり、また、
図8に示すように、レンズ点灯入光面121は凸曲面であってもよい。選択的に、
図9に示すように、レンズ点灯入光面121には集光構造4が設けられ、該集光構造4は、
図8に示す凸曲面である入光面121にキャビティが設けられたものであり、このように、入射光線が該集光構造4を通過すると、第1の反射面122により多く入射され、レンズ点灯構造12の光線利用率を向上させる。
【0059】
第1の反射面122は平面又は円弧面、又は平面と円弧面の組み合わせとして設けられてもよく、第1の反射面122と第2の反射面123がよりよく連携できるように、上記レンズ点灯構造12の具体的な構造の好ましい形態として、第1の反射面122はレンズ点灯入光面121へ突出する円弧面であり、このように、第1の反射面122の反射光線を左右両側へ拡散でき、第2の反射面123によって反射された後、出光部3によって投射された出射パターンがより均一になる。このとき、第1の反射面122の円弧面構造を利用して、第1の反射面122の反射光線を左右両側へよりよく拡散できるように、第1の反射面122とレンズ点灯入光面121との夾角が90°よりも小さいことが好ましい。さらに好ましくは、第1の反射面122に皮紋又はマット歯がさらに設けられ、それにより、第1の反射面122の表面がざらざらになり、又は凹凸があり、第1の反射面122の反射光線をさらに発散させ、反射光線が出光部3によって投射されたパターンをより均一にする。ここで、マット歯は第1の反射面122に設けられた、凹部と凸部が交互になっている歯形構造である。
【0060】
光線に対するレンズ点灯構造12の反射効率を高めるために、より好ましくは、第1の反射面122に増反層が設けられ、レンズ点灯構造12の光学効率をさらに向上させ、増反層はメッキアルミ、増反膜や増反コーティングなどとしてもよい。さらに好ましくは、第2の反射面123は第1の反射面122から離れた方向へ突出する円弧面であり、このようにして、反射した光線が第2の光チャネル125を介して伝送部2に入った後、できるだけ多く出光部3に入り、第2の反射面123が光線を出光部3以外の領域へ反射することを回避し、出光部3の点灯の効果を高め、また、第2の反射面123の幅が合理的に設定されることによって、第2の反射面123によって反射された光線が出光部3内に都合よく反射され、出光部3の縁部領域の光束が確保され、しかも、出光効果及び出射パターンの均一性にも有利である。このとき、レンズ点灯構造12に対応する光源は点灯され、出光部3によって投射されて
図21に示すようなパターンを形成し、
図20に示すレンズ点灯構造12の基本的な構造形態に比べて、パターンの均一性が明らかに向上する。なお、第2の反射面123は平面、凸面又は他の形態の凹面構造に設けられてもよい。
【0061】
上記車両ランプの光学素子の基本的な技術案である第2の好ましい構造形態として、伝送部2の横断面の面積が、伝送部入光端21から伝送部出光端22に向かうにしたがって徐々に増大する。このとき、車両ランプの光学素子は、後端が小さく前端が大きく、その後端が入光部1とされ、前へ突出する前端の曲面が出光面31とされ、このようにして、入光部1を介して導入される光が、伝送部2によってよりよく収集され出光面31に投射され、また、出光面31による出光の要件を満たした上で、車両ランプの光学素子の体積を適応的に小さくすることができる。
【0062】
より好ましくは、
図22及び
図25に示すように、伝送部2の上側面と下側面の間の距離は、伝送部入光端21に近い一端から伝送部出光端22に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大し、即ち、伝送部2の横断面の上下方向での長さが徐々に増大し、さらに伝送部2の左側面と右側面の間の距離は、伝送部入光端21に近い一端から伝送部出光端22に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大し、即ち、伝送部2の横断面の左右方向での長さが徐々に増大する。伝送部2の横断面の長さは、上下方向に徐々に増大してもよいし、左右方向に徐々に増大してもよいし、上下方向と左右方向に共に徐々に増大してもよく、このような形状の伝送部2はいずれも、光線に対する伝送部2の収集・伝送作用に有利である。
【0063】
上記車両ランプの光学素子の基本的な技術案である第3の好ましい構造形態として、
図6及び
図7、
図18及び
図19、
図28及び
図29に示すように、伝送部2の左側面と右側面は、伝送部入光端21に近い一端から前へ延びてから、該伝送部2の中心軸に近い方向へ徐々に接近し、低反射率の構造を形成する。光線が伝送部2内を伝送されるときに、通常、一部の光線は伝送部2の側面から直接出射されるか、又は伝送部2の側面によって反射された後、出光部3の出光面31によって屈折され、多くの迷光を形成し、車両ランプパターンの光学性能に影響を与える。伝送部2を上記低反射率構造とすることによって、該伝送部2の左側面と右側面に入射される光線の入射角が極めて小さく、このように、該伝送部2の左側面と右側面の反射率が極めて低くなり、伝送部2の左側面と右側面に照射された光線が出光部3の出光面31に反射されて形成した迷光を効果的に減少させる。
【0064】
図30に示すように、上記車両ランプの光学素子の第3の好ましい構造形態の伝送部2の横の面を有し、対応するハイビーム光源51の光線のほとんどは出光部3の出光面31から直接出射され、光線の一部は伝送部2の側面に照射され、該伝送部2の左側面及び右側面に入射される光線の入射角が極めて小さいので、前記側面の反射率が極めて低く、伝送部2の左右側面に照射される光線が出光部3に反射できず、残りの光線は出光部3の側面に照射され、出光部3の左(右)側面が傾斜して設けられることによって、この左(右)側面で出光面31に全反射される光線は出光部3の右(左)側面に全反射され、次に、該右(左)側面で伝送部2の左(右)側面に全反射され、伝送部2の左右側面の反射率が極めて低いので、この左右側面で出光面31に照射されて迷光となる光線がほとんどない。
【0065】
さらに、上記車両ランプの光学素子の第3の好ましい構造形態では、
図2及び
図28に示すように、伝送部2は、上側面と下側面の間の距離が、伝送部入光端21に近い一端から伝送部出光端22に近い一端に向かうにしたがって徐々に増大するように構成されてもよく、さらに光線に対する収集作用が高まり、光伝送効率が向上する。
図31に示すように、上下方向の長さが徐々に増大する伝送部2は、入光部1から入射された光線のほとんどを出光部3の出光面31から直接出射し、ごく一部の光線を出光部3の側面に照射する。
【0066】
さらに好ましくは、
図4及び
図5、
図25及び
図26、
図30及び
図31に示すように、出光部3の横断面の面積は、伝送部2に近い一端から伝送部2から離れた一端に向かうにしたがって徐々に減少し、それにより、出光部3で全反射された光線が出光部3の出光面31によって対向する出光部3の側面に全反射され、最終的に伝送部2の側面に全反射され、このように、車両ランプの光学素子では、出光部3の側面から出射され又は側面によって反射された後、出光部3の出光面31から屈折される光線がなく、迷光がほぼなくなる。
【0067】
しかし、上記車両ランプの光学素子の3種類の好ましい構造形態は、伝送部12の側面によって外部へ屈折される迷光を効果的に解消できず、したがって、伝送部2の少なくとも1つの側面にマット構造が設けられてもよい。マット構造はマットコーティング又はマット模様であってもよく、これらのうち、マット模様は伝送部2の側壁の表面をざらざらにしたり凹凸を持たせたりすることで、伝送部2の側壁から直接出射される光、又は伝送部2の側壁によって反射された後、出光部3から投射されてなる迷光を減少させ、伝送部2の集光能力を高め、例示的には、マット模様は伝送部2の側面に設けられた皮紋や凹凸が交互になっている歯形構造であってもよく、マットコーティングは、光線が外部へ照射されることを抑制し、伝送部2の側面からの光線の反射及び透過を減少させることができ、具体的には、マットコーティングはマット黒色塗料が塗布されるものであってもよく、表面に皮紋が設けられるとともに一般的な黒色塗料が塗布されるものであってもよい。
【0068】
上記車両ランプの光学素子の3種類の好ましい構造形態の具体的な構造形態として、伝送部2の幅は出光部3の幅よりも小さく、且つ伝送部2の高さは出光部3の高さよりも小さい。該構造は、伝送部2を経て出光部3に入った光線がより多く出光部3の出光面31に照射され、出光面31によって投射されるようにし、伝送部2から出光部3の側面へ照射された光線の量を減少させ、全反射の臨界角よりも大きくなり全反射を実現するほど出光部3の側面に照射し得る光線の入射角を大きくし、それによって、対応するハイビーム光源51から発光する光線が、出光部3の側面から出射され又は出光部3の側面によって反射された後、出光部3の出光面31によって屈折されて迷光となることを回避し、具体的には、
図27及び
図30の光路図を参照して、最左側に位置するハイビーム光源51を例にして、この光源51から出射された光線のうち、第1の部分は出光部3の出光面31に直接照射されて、出光部3の出光面31によって投射されて車両ランプパターンを形成し、伝送部2の側面に照射された第2の部分の光線はマット構造が設けられた側面によってカットオフされ、伝送部2の側面から出射又は反射されず、出光部3の右側面に照射された第3の部分の光線は出光部3の出光面31に全反射され、出光部3の出光面31によって出光部3の左側面に全反射され、次に、出光部3の左側面によって伝送部2の右側面に全反射されてカットオフされ得る。
図31の光路図を参照して、伝送部2の上下方向での高さは出光部3の上下方向での高さよりも小さく、それにより、対応するハイビーム光源51から発光する光線が全て出光部3に直接伝送されて屈折されることを満たし、又は、光線が出光部3の側面に照射されていても、出光部3の出光面31に全反射され、出光部3の出光面31で出光部3の対向する側面に全反射され得て、次に、出光部3の対向する側面で伝送部2の側面に全反射されてカットオフされる。
【0069】
図2、
図7、
図23、
図26及び
図29に示すように、本願の車両ランプの光学素子では、入光構造11はマトリックス状に配列され、少なくとも1列として設けられる。選択的に、入光構造11は、入光部1に1列、2列又は複数列設けられ、入光部1において順次接続されるか、又は間隔を空けて設けられ、入光構造11が入光部1に1列設けられる場合、入光構造11は入光部1に左右で配列されてもよく、上下で配列されてもよい。さらに好ましくは、入光構造11は光線を集めるように構成される。
【0070】
具体的には、入光構造11は、伝送部2と反対する一端が入光面111となり、入光面111は後へ突出する曲面又はテーパ面であり、光線を集めることが容易である。
図23に示すように、入光部1においては、1列に合計5個の入光構造11が設けられ、該入光構造11では、入光面111は後へ突出する四角錐であり、該四角錐の頂部がハイビーム光源51の方向へ突出し、四角錐の側面が平面又は曲面であってもよく、隣接する2つの四角錐の底部の縁部が接し、又は、隣接する2つの四角錐が間隔を空けて設けられる。本実施形態では、各四角錐の頂部がハイビーム光源51の取り付け位置に対応し、ハイビーム光源51の発光中心が四角錐の頂部に対応し、ハイビーム光源51は好ましくは入光構造11の焦点部位に配置される。
【0071】
なお、入光構造11は、どのような構造形態を採用しても、その作用が以下の2つのニーズを満たす。一方では、入射光線をよくコリメートして集める作用を果たし、他方では、前へ突出する出光面31と連携して、両凸レンズ又は両凸レンズと類似した構造形態を形成し、入射光線をよりよく収集し、コリメートした後前へ投射し、理想的な設計パターンを形成することができる。
【0072】
好ましくは、入光部1、伝送部2及び出光部3は一体成形され、材料は透明材質のプラスチック、シリカゲルやガラスなどであってもよく、プラスチックはPMMA又はPCを使用できる。本発明では、車両ランプの光学素子の入光部1、伝送部2及び出光部3は、全て構造がシンプルであり、一体成形プロセスの要件を満たすことができる。車両ランプの光学素子を一体成形することによって、入光部1と出光部3との相対位置の精度を確保し、取り付け構造や取り付けプロセスを簡素化させるだけでなく、製造コストを削減させる。
【0073】
さらに好ましくは、出光面31の外面には格子状模様又は縞状模様が設けられ、それにより、出射光線をより拡散させて、より均一にするだけでなく、調光も容易である。出光面31の格子状構造は複数の突出曲面を接続したものであってもよく、格子のサイズを調整することにより光の拡散方向を制御し、通常、単一の格子の面積が大きいほど、光の拡散が明らかであり、実際のニーズに応じて適切な格子面積を選択して処理を行うことができ、出射パターンの均一性を向上させて波長分散を弱める。
【0074】
上記車両ランプの光学素子の第2の好ましい構造形態及び第3の好ましい構造形態はいずれも、第1の好ましい構造形態におけるレンズ点灯構造12を増設することによって、車両ランプのロービーム照明モードで該車両ランプの光学素子がレンズを点灯して発光させるという技術的効果を果たす。
【0075】
本発明では、上記車両ランプの光学素子は、体積が配光により要求される条件を満たすときに適応的に減少することができ、車両ハイビームランプモジュールに適用でき、特に狭いレンズの出光面のハイビームランプモジュールに適しており、それにより、車両ランプの造型の設計をより多様化する。また、なお、該車両ランプの光学素子を用いて完全なハイビーム車両ランプの配光図形を形成することができ、二次凸レンズなどの光学素子を必要とせず、勿論、車両ランプの造型などのニーズを満たすために、該車両ランプの光学素子と車両ランプの外配光レンズとの間に内配光レンズが設けられてもよく、該内配光レンズは一般的な等肉厚プラスチック部材であってもよく、所望の造型を達成できれば、裏面に配光機能を有する配光プラスチック部材であってもよい。
【0076】
本発明の第2の態様は車両ランプモジュールをさらに提供し、
図3~
図5、
図10~
図17、
図24、
図27~
図31に示すように、該車両ランプモジュールは、回路基板5と、上記技術案のいずれか1項に記載の車両ランプの光学素子とを含み、回路基板5は車両ランプの光学素子の入光部1の後方に設けられ、回路基板5には入光構造11に対応するハイビーム光源51が設けられる。
【0077】
上記車両ランプモジュールでは、ハイビーム光源51から発光する光線は、入光構造11から車両ランプの光学素子の入光部1に入り、次に、伝送部2によって出光部3に伝送され、最後に、出光面31によって屈折された後、出射されてハイビームを形成する。車両ランプモジュールには、回路基板5と車両ランプの光学素子に対して支持、放熱機能を与える放熱器、放熱ブラケットなどの構造も設けられている。
【0078】
本発明の車両ランプの光学素子によれば、各車両ランプモジュールに光源、車両ランプの光学素子、及び必要な支持装置だけが設けられれば良く、このため、車両ランプモジュールは、構造がシンプルでコンパクトであり、コストが低く、組み立ての関係がシンプルであり、車両ランプモジュールの外形や寸法も適応的に減少することができる。また、車両ランプの光学素子のパーツの製造精度が要件を満たすことを確保する場合、該車両ランプモジュールの光学システムの精度が車両ランプの光学素子と光源との間の組み立て精度だけに関連し、したがって、調光の難度が低く、車両ランプモジュールの光学システムの精度の誤差が小さい。
【0079】
車両ランプモジュールの1つの好ましい構造形態として、
図11~
図15に示すように、車両ランプモジュールでは、車両ランプの光学素子は、上記技術案のいずれか1項に記載の、レンズ点灯構造12が設けられた車両ランプの光学素子を用い、また、回路基板5にはレンズ点灯構造12に対応するレンズ点灯光源52が設けられ、ハイビーム光源51とレンズ点灯光源52は、独立して点灯と消灯を制御され得る。本発明では、ハイビーム光源51とレンズ点灯光源52は、具体的には、LED光源又はレーザ光源を採用できる。
【0080】
より好ましくは、入光構造11の数は複数であり、ハイビーム光源51は入光構造11に1対1で対応し、各ハイビーム光源51は独立して点灯と消灯を制御され得る。
【0081】
車両ランプモジュールの好ましい構造形態では、
図12~
図15に示すように、レンズ点灯光源52はハイビーム光源51の上方に設けられ、各ハイビーム光源51及び各レンズ点灯光源52は、それぞれ独立して点灯と消灯を制御され得、レンズ点灯光源52から出射される光線は車両ランプの光学素子によって投射されてレンズ点灯の効果を達成させ、レンズ点灯光源52の光線の車両ランプの光学素子における光路は
図16及び
図17に示される。さらに、レンズ点灯光源52は輝度を調整可能な光源として設けられてもよく、ロービーム照明モードでは、レンズ点灯光源52は常時点灯光源であり、複数のハイビーム光源51はマトリックス状に配列され、ハイビーム照明モードで点灯されるようにしてもよい。
【0082】
なお、ハイビーム光源51とレンズ点灯光源52の関係は上下相対位置関係に厳しく制限されるわけではなく、左右相対位置、又はレンズ点灯光源52がハイビーム光源51に対して一定の傾斜角度で設けられたような相対位置関係であってもよい。
【0083】
本発明の第3の態様は上記技術案のいずれか1項に記載の車両ランプモジュールを含む車両ヘッドランプをさらに提供する。前記車両ランプモジュールは複数設けられ、複数の車両ランプモジュールは一体に設けられるか、又は車両ヘッドランプ内に分散して設けられる。選択的に、車両ランプモジュールは、車両ヘッドランプ内に縦方向、横方向又は傾斜して配列されている。
【0084】
車両ヘッドランプ内に設けられた複数の車両ランプモジュールは共同でMatrixマトリックスヘッドランプを構成し、その照明効果が
図32に示され、複数の照明ユニットによって構成され、車両の運転経路に他の車両や歩行者などの障害物が現れるときに、車両ヘッドランプのハイビームパターンを調整することによって、障害物が所在する照明ユニットに対応するハイビーム光源51をオフにし、該照明ユニットが所在する領域を暗くすることで、他の道路利用者への眩目を防止し、運転の安全性を向上させる。
【0085】
本発明の第4の態様は、上記技術案に記載の前記車両ヘッドランプを含む車両をさらに提供する。このため、少なくとも上記車両ランプの光学素子、車両ランプモジュール、及び車両ヘッドランプの実施例の技術案による全ての有益な効果を有する。本発明の実施例に係る車両の構成及び操作は、当業者にとって理解でき、かつ実現されやすく、このため、詳しく説明しない。
【0086】
以上の説明から明らかなように、本発明の車両ランプの光学素子は、順次設けられた入光部1、伝送部2及び出光部3を含み、入光部1には少なくとも1つの入光構造11が設けられ、伝送部2の少なくとも1組の対向する側面は、後部から前部に向かうにしたがって徐々に拡大する台形状であり、このように光線を収集することを容易にし、出光面31は前へ突出する曲面に設けられ、出光部3は該出光面31によって光線を屈折してハイビームを形成する。該車両ランプの光学素子は、集積レベルが高く、個別の一次光学素子とレンズを設けなくてもよく、また他の余分な支持装置の取り付けも不要になり、組み立ての関係がシンプルであるだけでなく、車両ランプの光学素子のパーツの製造精度や光学システムの精度を向上させ、また、該車両ランプの光学素子の体積が、配光により要求される条件を満たした上で適応的に減少することができ、集積化の研究に有利である。
【0087】
本発明の好ましい形態では、該車両ランプの光学素子が車両ランプに適用される場合、レンズ点灯構造12によれば、ロービーム照明モードで出光部3の出光面31も点灯され、そして、ロービーム照明モードでレンズ点灯光源52から出射される光線が拡散され、このように、出光面31の点灯による良好な視覚的効果を果たし、また、出光面31の点灯輝度や範囲が車両ランプのロービーム照明に影響を与えない。
【0088】
以上、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明は上記実施形態の細部に制限されず、本発明の技術的構想を逸脱することなく、本発明の技術案に対して様々な簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形は全て本発明の特許範囲に属する。
【0089】
また、なお、上記具体的な実施形態で説明したそれぞれの具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、任意の適切な方式で組み合わせることができ、不要な重複を避けるために、本発明では、各種の可能な組み合わせ方式を説明しない。
【0090】
さらに、本発明の様々な実施形態は互いに任意に組み合わせることができ、本発明の構想に違反しない限り、本発明で開示された内容とみなすべきである。
【符号の説明】
【0091】
1 入光部
2 伝送部
3 出光部
4 集光構造
5 回路基板
11 入光構造
12 レンズ点灯構造
21 伝送部入光端
22 伝送部出光端
31 出光面
51 ハイビーム光源
52 レンズ点灯光源
111 入光面
121 レンズ点灯入光面
122 第1の反射面
123 第2の反射面
124 第1の光チャネル
125 第2の光チャネル
M 車両ランプ照明モジュール