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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ソフトフォーカス用化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240813BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240813BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/02
A61K8/73
A61K8/25
A61K8/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021568902
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2020063136
(87)【国際公開番号】W WO2020234038
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/087738
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】19183831.7
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,シウジュアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リン
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-526272(JP,A)
【文献】特表2019-504058(JP,A)
【文献】特表2013-515052(JP,A)
【文献】国際公開第2018/122150(WO,A1)
【文献】特開2013-231020(JP,A)
【文献】特表2018-538305(JP,A)
【文献】特表2018-530580(JP,A)
【文献】米国特許第03530217(US,A)
【文献】米国特許第06432535(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0294976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品組成物であって、
(i)ソフトフォーカスの利点を提供するためのミクロスフェアであって、ここでミクロスフェアは、ミクロスフェアの少なくとも50重量%のセルロースを含み;及び
(ii)0.5~10重量%の非シリカ親水性無機増粘剤;
を含み、
ここで、前記ミクロスフェアの屈折率が1.42~1.50であ
ここで、前記組成物は、0.5~10重量%の前記ミクロスフェアを含み、
そして、前記無機増粘剤は、マグネシウム-アルミニウムケイ酸塩、層状ケイ酸塩、スメクタイト、ヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト又はフィロケイ酸塩のうちの少なくとも一つである
化粧品組成物。
【請求項2】
前記ミクロスフェアが少なくとも90%のセルロースを含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記ミクロスフェアの平均粒径が1~100μmである、請求項1又は2に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記組成物が水を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記組成物が乳濁液の形態である、請求項に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記組成物が水中油型乳濁液である、請求項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の化粧品組成物を皮膚上に適用する段階を含む、皮膚の外見上の欠陥をぼかす方法であって、
ここで、該方法は、非治療的である、方法
【請求項8】
前記外見上欠陥が、小皺及び皺を含む、請求項に記載の方法であって、
ここで、該方法は、非治療的である、方法
【請求項9】
皮膚の外見上の欠陥をぼかすための、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧品組成
【請求項10】
前記外見上欠陥が小皺及び皺を含む、請求項に記載の化粧品組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品組成物に関する。詳細には、本発明は、皮膚に光学的効果を生じさせることにより、小皺や皺のような皮膚の外見上又は表面の欠陥をぼかす又は隠すための化粧品組成物に関する。このような効果は、一般的にソフトフォーカスと称される。
【背景技術】
【0002】
我々の皮膚は、皮膚障害、強い日光のような環境要因のため、そして太陽への露出によって加速される時間老化(光老化)による劣化を受けやすい。近年、皮膚の外観を改善するための化粧品組成物及び化粧法に対する需要が極めて高くなっている。消費者は、皺、小皺、たるみ、色素沈着過剰及び染みのような皮膚の時間的老化及び光老化の肉眼で見える徴候を処置、遅延又は隠すための化粧品組成物をますます求めている。
【0003】
皮膚の欠陥は、光の透過を操作することによって二つの方法で隠すことができる。第1の方法では、化粧品組成物の1以上の成分が、単に光を反射することができる。通常、化粧品組成物を製剤する科学者は、タルク、シリカ、カオリン、及び屈折率の高い他の無機粒子状材料に依存する。別のアプローチは、ぼかし効果とも呼ばれるソフトフォーカス効果と称される。この場合、入射光は散乱(レンズ効果)によって歪み、特定の成分を使用してそのような効果を生み出すことができると考えられる。このような成分は、光を複数の方向に曲げたり捻ったりするレンズとして機能する。上記のものの1例は、粒子状シリコーンエラストマーである。
【0004】
ソフトフォーカス又はぼかしは、皮膚の表面又は表面の欠陥を隠し又は見えないようにするのに使用できる技術である。粒子状物質がレンズとして機能して、光を多くの方向に曲げたり捻ったりすると、入射光は散乱(レンズ効果)によって歪む。そのような組成物では、化粧品の1以上の成分がレンズとして機能して、光を多くの方向に曲げたり捻ったりする。皺や小皺は、光が入射してそこにとどまる形のため、主として暗く反射しない領域として認識される。対照的に、光が反射して拡散すると、皺が見えにくくなる。皺に光を投射し、ひだを目立たせる暗い領域を直ちに無くす方法が開発された。「ソフトフォーカス効果」は、Emmert博士によって″Quantification of the Soft-Focus Effect″,Cosmetics and Toiletries,Vol.111,57-61(1996)で説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】US20190125649A1
【文献】WO2017220310A1
【文献】US2007179241A
【文献】US6432535B
【文献】US2007179241A
【文献】US2009324654A
【文献】WO2017/071886A1
【非特許文献】
【0006】
【文献】″Quantification of the Soft-Focus Effect″,Cosmetics and Toiletries,Vol.111,57-61(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ある種の粒子状材料が外見上の欠陥を隠し又は見えなくすることができることが知られている。しかしながら、そのような粒子が化粧品組成物により多く含まれる場合、粒子は光沢や輝きに悪影響を及ぼし始める。したがって、技術的な問題は、組成物の望ましい特性を含む他の属性に影響を与えることなく、表面の欠陥を隠し又は見えなくすることである。
【0008】
US20190125649A1(Unilever)は、多孔質シリカとシリコーンエラストマーの組み合わせが、組成物のぼかし効力(ソフトフォーカス)を増強又は強化することを開示している。
【0009】
WO2017220310A1(Unilever)は、レチノール、多孔質シリカ、シリコーンエラストマーを含むソフトフォーカス組成物を開示している。L&W指数を用いて、組成物の効力を比較する。この指数は、性能の指標である。
【0010】
US2007179241A(L′Oreal)は、少なくとも一つのシリコーンエラストマーと少なくとも一つのカプセル化顔料を含む化粧品組成物であって、ここで、その顔料の屈折率がカプセル化材料の屈折率より大きい組成物を開示している。シリコーンエラストマー、板状粉末、シリカ、PMMA、硫酸バリウムのような球状粉末、及び/又は二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄のような高屈折率の粉末のような成分には、例えば、非常に不透明な材料の使用による皮膚の不自然な外観及び平面材料の使用による皮膚の欠陥の強調のような欠点があることが開示されている。
【0011】
US6432535BA(Merck)は、板状顔料の薄いフレークが、平均粒径が0.5~10μmの薄片状基材の表面上に、平均粒径が20~400nmの球状シリカの粒子を含み、次に球状シリカをさらに二酸化チタンの超微粒子でコーティングしている複合材料を開示している。複合粒子は、ソフトフォーカス効果、拡散、UV保護及び白色度に効果的である。
【0012】
US2007179241A(L′Oreal)は、少なくとも一つのシリコーンエラストマーと、屈折率がカプセル化材料(例えば、シリカ)の屈折率より大きい少なくとも一つのカプセル化顔料を含むソフトフォーカス化粧品組成物を開示している。
【0013】
US2009324654A(Unilever)は、日焼け止め剤と縮重合ポリアミド結合剤の複合粒子、約90~約500mL/100gの範囲の吸油量(ヒマシ油)値を有する多孔質粒子の水不溶性粉末ポリマーを含む化粧品組成物を開示している。その組成物は、皮膚の欠陥を隠し、日焼け保護を提供するソフトフォーカスを示す。
【0014】
WO2017/071886A1(Unilever)は、乱層構造窒化ホウ素粒子及び多孔質シリカを含む化粧品組成物を開示している。この組成物は、美白に影響を与えることなくソフトフォーカスに役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0015】
特定の種類のミクロスフェアによって提供されるソフトフォーカスの利点は、化粧品組成物に特定の種類の増粘剤を含めることによって大幅に増加させることができることが明らかになった。したがって、本発明者らは、成分間に相乗的相互作用があると考えている。本発明に開示される成分の組み合わせは、製剤科学者がこの所見を利用して、そのようなミクロスフェアの量を低下又は低減しながら有効な化粧品組成物を製剤できるため、技術的に優れた化粧品組成物だけでなく、非常に経済的な化粧品組成物を提供する。ミクロスフェアが他の従来の増粘剤と組み合わされた場合そのような効果は認められず、それは、相乗的相互作用が予想外であるという本発明者らの考えを強化するものである。通常、増粘剤は化粧品組成物の文脈で限られた役割を果たすが、驚くべきことに、特定の増粘剤は、特に特定の種類のミクロスフェアと共製剤された場合、それよりもはるかに多くのことができることを本発明者らは見出した。
【0016】
第1の態様によれば、化粧品組成物であって、
(i)ソフトフォーカスの利点を提供するためのミクロスフェアであって、ここで、ミクロスフェアがミクロスフェアの少なくとも50重量%のセルロースを含み;及び
(ii)0.5~10重量%の非シリカ親水性無機増粘剤;
を含み、
ここで、前記ミクロスフェアの屈折率が1.42~1.50である、
化粧品組成物が開示される。
【0017】
第2の態様によれば、皮膚に第1の態様の化粧品組成物を適用する段階を含む、皮膚の外見上の欠陥をぼかす方法が開示される。
【0018】
第3の態様によれば、皮膚の表面的な欠陥をぼかすための第1の態様の化粧品組成物の使用が開示される。
【0019】
本発明の他のすべての態様は、下記の詳細な説明及び実施例を検討することにより、より容易に明らかになるであろう。
【0020】
定義
屈折率
屈折率は、波長589nmで25℃で測定される。
【0021】
粒径
粒径が言及されている場合(「一次粒径」以外)、それは、例えば走査型電子顕微鏡検査(SEM)を用いて決定された数平均直径を意味する。同様に、「厚さ」は、例えば走査型電子顕微鏡検査(SEM)を用いて決定された数平均厚さを意味する。好ましい方法では、低温SEMを用いて、粒径及び厚さを決定する。低温SEMでは、組成物を液体窒素で急速凍結した後、低温削りを行って、画像化する平坦な表面を作る。典型的には、直径及び厚さは、それぞれ少なくとも200個の粒子を平均する。直径を決定するために、無傷の粒子がSEM画像から選択され、シェルの厚さのため、切断された粒子を選択する。
【0022】
粒子が球形ではない場合、たとえば長円形又は回転楕円体の場合、「直径」は粒子全体で測定可能な最大距離を意味する。
【0023】
一次粒径が言及されている場合、それは、S.Guら、Journal of Colloid and Interface Science,289(2005) pp.419-426に記載しているような方法を用いて透過型電子顕微鏡検査(TEM)で測定可能な大きさ(直径)を意味する。
【0024】
本明細書で使用される「直径」は、別断の断りがない限り、非凝集状態での粒子直径を指す。直径が1μm以下の多分散サンプルの場合、別断の断りがない限り、直径とは、たとえばZetasizer Nano(登録商標)(Malvern Instruments Ltd, UK)などの機器で動的光散乱(国際標準ISO 13321を参照)を用いて測定されたz平均直径を意味する。直径が1μm以上である粒子を含む多分散サンプルの場合、別断の断りがない限り、たとえば、ISO13320に規定されている要件を満たすシステム(Malvern Instruments Ltdから入手可能なMastersizer(登録商標)2000など)を使用するレーザー回折によって測定可能な粒子の見かけの体積中位直径(D50、.times.50又は時々d(0.5)とも称される)を意味する。
【0025】
本明細書で使用される「皮膚」は、顔、首、頭皮、脇の下、胸、背中、腕、手、脚、頭皮、足、臀部及び腹部、好ましくは手、首、顔及び脇の下の皮膚を含むことを意味する。
【0026】
皮膚の外見上の欠陥は、汚点(染み、斑点)、へこみ、小皺及び皺、及びくぼみ(本明細書では、「小皺」、「皺」及びくぼみという言葉は互換的に使用される)を意味し、それらを含む。本明細書で使用される「染み」は、色素沈着過剰(例えば、日光黒子など)、汚点及び/又はそばかすを意味する。
【0027】
本明細書で使用される治療する又は治療という用語は、それの範囲内で、上記の皮膚状態を軽減、遅延、及び/又は予防し、一般に皮膚の質を高め、それの外観及び質感を改善することを含む。
【0028】
「鏡面反射(specular reflectance)」とは、単一の入射光源からの光が単一の出射方向に反射される、表面からの光の鏡のような反射を意味する。その光は、顔の皮膚の表面から鏡面反射を受けることができる任意の波長のものであることができ、好ましくは、それは可視光である。
【0029】
本明細書で使用される「化粧品組成物」とは、ヒトの皮膚への局所適用のための組成物を含むことを意味する。このような組成物は、一般に、リーブオン又はリンスオフと分類され得るが、好ましくは、リーブオンタイプのものである。その組成物は、具体的に外観を改善するために人体に適用される製品に製剤される。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ジェル、又はトナーの形態であり得るか、器具を用いて、又はフェイスマスク若しくはパッドを介して適用され得る。そのような組成物の非限定的な例には、リーブオンスキンローション、クリーム、ファンデーション、サンレスタンニング剤及び日焼け止めローションを含む。
【0030】
実施例を除いて、又は別断で明示的に示される場合を除き、材料の量又は反応の条件、材料の物理特性及び/又は使用を示す本記載のすべての数字は、「約」という単語によって修飾されると理解しても良い。別断の指定がない限り、すべての量は最終組成物の重量基準である。本明細書で使用される「固体」という用語は、材料が25℃で流体ではないことを意味する。留意すべき点として、任意の範囲の値を指定する際に、所与の上限値は任意の下限値に関連付けることができる。誤解を避けるため、「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成される(composed of)」を意味するとは限らない。言い換えれば、列記された段階又はオプションは網羅的である必要はない。本明細書で見られる本発明の開示は、特許請求の範囲が複数の従属性又は重複性なしに見出され得るという事実とは無関係に、請求項に見出されるすべての実施形態を互いに多重的に従属するするものとして請求項で認められる全ての実施形態を網羅すると考えられるべきである。
【0031】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関してある特徴が開示される場合、そのような開示はまた、必要な変更を加えて、本発明の任意の他の態様(例えば、本発明の方法)に適用されると見なされる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の組成物
第1の態様によれば、化粧品組成物であって、
(i)ソフトフォーカスの利点を提供するためのミクロスフェアであって、ここで、ミクロスフェアがミクロスフェアの少なくとも50重量%のセルロースを含み;及び
(ii)0.5~10重量%の非シリカ親水性無機増粘剤;
を含み、
ここで、前記ミクロスフェアの屈折率が1.42~1.50である、
化粧品組成物が開示される。
【0033】
欠陥のある皮膚は、一般に、光の透過を操作することによって二つの方法で隠すことができる。第一に、化粧品の成分は単に光源に向かって光を反射することができる。別のアプローチは、ソフトフォーカス効果の達成と称される。ここで、入射光は、散乱(レンズ効果)によって歪められる。このメカニズムにおけるカラー化粧品の成分は、レンズとして機能して、光をさまざまな方向に曲げたりねじったりする。多くの消費者は、特には顔における汚点、小皺、皺のない、より若く見える肌を望んでいる。そのような欲求は、消費者が、実際には不透明になる傾向があり、美的及び/又は文化的なマイナスイメージを有し得る従来のファンデーションベースの製品によって典型的に提供される人工的なマット調の外観がない、輝いて自然に見えることを望んでいるという事実と結びついている。
【0034】
皮膚を「完全化する」試みがなされてきた。多くの場合、吸収性充填剤(例えば、タルク、シリカ、カオリン)を含む局所組成物が作られ、そのような無機充填剤は、塗料とは異なり、光を一部吸収し、単に光を反射することによって皮膚の欠陥を隠す。別のアプローチは、ソフトフォーカス効果の達成と呼ばれている。これは、入射光が散乱(分散)によって歪むときに発生し、光はさまざまな方向にねじれる。ソフトフォーカスは、ヘイズに似た手段と考えられることが多いが、薄い製品フィルムに当てはまるものである。従来のアプローチは、残念ながら、輝きがない状態で欠陥を隠すか、輝き及び健康的な輝きをもたらすが、たとえば、皮膚のトポグラフィーの視認性を高めることにより美的に不快な肌の外観をもたらす。
【0035】
優れたソフトフォーカスをもたらす複合粒子及び複合粒子を含む組成物を開発することへの関心が高まっている。
【0036】
ミクロスフェアは離散した球形粒子である。ミクロスフェアは、その大きさと組成に応じて、ソフトフォーカスを含むさまざまな効果を備えた完成品を提供する。ミクロスフェアは、光を散乱させて、小皺や皺を含む皮膚の外見上の欠陥を消し去ることができる。この効果は「ソフトフォーカス」又は「光学的ぼかし」と呼ばれている。このようなミクロスフェアは、表面処理又は表面コーティングが施されていてもいなくても良い。
【0037】
本発明による化粧品組成物は、ソフトフォーカスの利益を提供するためのミクロスフェアを含み、ここで、ミクロスフェアは、ミクロスフェアの重量の少なくとも50%のセルロースを含む。ミクロスフェアは、ミクロスフェアの重量の少なくとも90%のセルロースを含むことが好ましい。ミクロスフェアは、好ましくは、非セルロース材料のコーティングを含み得る。最適には、ミクロスフェアは完全にセルロースで構成されている。好ましくは、前記ミクロスフェアの平均粒径は、1~100μmである。ミクロスフェアの屈折率が、1.42~1.50であることがさらに好ましい。本発明による組成物は、0.5~10重量%の前記ミクロスフェア、より好ましくは1~5重量%、最も好ましくは1~3.5重量%の組成物を含む。
【0038】
本発明による化粧品組成物は、ソフトフォーカスの利点を提供するためのミクロスフェアを含み、ここで、前記ミクロスフェアは、少なくとも50%のセルロースを含むことが好ましく、市販のミクロスフェアのいくつかの例は、CELLULOBEADS(登録商標)であり、D-5、D-10+、D-30、D-50及びUSF+の変化型がある。組成物がソフトフォーカスの利益を提供するための任意の種類のミクロスフェア、特に少なくとも50%のセルロースを含むものを含む場合、組成物中のミクロスフェアを安定化するための少なくとも1種類の増粘剤が必要であることが一般に観察される。増粘剤は、任意の種類、すなわち無機又は有機であることが可能であると考えられるが、有機増粘剤、少なくともそれらの一部が、組成物によって提供されるソフトフォーカスの利点に悪影響を与える傾向があることを本発明者らは認めている。
【0039】
厳密に必要というわけではないが、本発明による組成物は、1以上の他のタイプのミクロスフェア、すなわち非セルロース系ミクロスフェアをさらに含むことができる。好ましくは、そのような他のミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェア、ミネラルミクロスフェア又は天然ポリマーミクロスフェアから選択される。存在する場合、その総量は0.5~10重量%であることが好ましい。鉱物ミクロスフェアは、Kobo Products IncからのMSS-500/3H、MSS-500/Hのようなシリカ微粒子、又はMomentiveからのSoftouch(登録商標)窒化ホウ素粉末CC6097のような乱層構造窒化ホウ素であることが好ましい。ポリマーミクロスフェアは、DIASPHERE(登録商標)KS-500のようなポリメチルシルセスキオキサン、MSP-930のようなメタクリル酸メチルクロスポリマー、又はTR-1若しくはSP-10のようなナイロンミクロスフェアであることが好ましい。天然ポリマーミクロスフェアは、MAKIBEADS ECO(登録商標)のようなポリ乳酸をベースとすることが好ましい。
【0040】
本発明の化粧品組成物は、極性液体を挿入することによって膨潤する非シリカ親水性無機増粘剤を含む。好ましくは、組成物は、0.5~10重量%の前記親水性無機増粘剤を含む。この量は、ミクロスフェアの重量%及び化粧品組成物、すなわちクリーム又はローション又はゲルの性質のようないくつかの他要因によって決まるものと考えられる。非シリカという用語は、無機増粘剤が増粘シリカ又は他のシリカ系増粘剤ではないことを意味する。より好ましくは、本発明の組成物は、0.5~5重量%、最も好ましくは0.5~3重量%の非シリカ親水性無機物を含む。無機増粘剤は、マグネシウム-アルミニウムケイ酸塩、層状ケイ酸塩、スメクタイト、ヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト又はフィロケイ酸塩のうちの少なくとも一つであることが好ましい。より好ましくは、無機増粘剤は、スメクタイト又はマグネシウム-アルミニウムケイ酸塩である。
【0041】
いくつかのグレードのケイ酸マグネシウム-アルミニウムが市販されており、たとえば、Normal Fast Ultra、VEEGUM(登録商標) K、VEEGUM(登録商標) HV、VEEGUM(登録商標) PURE、VEEGUM(登録商標) CH、VEEGUM(登録商標) HS、VEEGUM(登録商標) D、VEEGUM(登録商標) UltraのようなVEEGUM(登録商標)シリーズの増粘剤、及び、VANATURAL(登録商標)MCのようなVANATURAL(登録商標)シリーズの増粘剤がある。VANATURAL(登録商標)シリーズはベントナイト粘土タイプである。
【0042】
必須ではないが、ケイ酸マグネシウム-アルミニウム又はスメクタイトは、増粘剤と天然有機ガム若しくは天然有機増粘剤との組み合わせ又はブレンドの形で使用することができる。それの例は、VANATURAL(登録商標) XGB(ベントナイト及びキサンタンガム)である。他の例としては、VAN GEL SX(スメクタイト粘土とキサンタンガム)やVEEGUM CER(スメクタイト粘土とセルロースガム)を含む。他のそのようなブレンドには、ポリアクリレート、カルボマー、セルロース、ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルグアー、アラビアガム(アカシア)又はトラガカントガムを含む。
【0043】
スメクタイトの他の好ましい形態には、ケイ酸マグネシウムナトリウム、有機修飾スメクタイト類、例えばテトラアルキル及び/又はトリアルキルアンモニウムスメクタイト(有機修飾モンモリロナイト粘土)、例えばquaternium-18ベントナイト、quaternium-18ヘクトライト、ステアラコニウムベントナイト及びステアラルコニウムヘクトライト;及びそれらの混合物を含む。
【0044】
モンモリロナイトは、二重八面体スメクタイトに属する粘土鉱物を代表するものであり、水中で膨潤するが塑性にはならない材料である。モンモリロナイトの3層構造の層パケットは、水の可逆的な取り込みの結果として膨潤することができる(2~7倍の量で)。
【0045】
モンモリロナイトはイオン交換能力が高いため、アルミニウムは、Mg、Fe(II)、Fe(III)、Zn、Pb、Cr、Cu他に置き換えることができる。結果として生じる八面体層の負電荷は、層間位置にあるNa(モンモリロナイトナトリウム)やCa2+(モンモリロナイトカルシウム)のような陽イオンによってバランスがとられる。
【0046】
スメクタイトは、2:1の層構造を特徴とし、頂端の酸素を共有することにより、八面体シートの両側に二つの四面体シートが形成される。四面体シートからの頂端酸素が二重三角形又は六角形環を形成することから、八面体シートからの1個の酸素が各環の中心に位置し、プロトン化されて、構造ヒドロキシルを生成する。2:1フィロケイ酸塩では、異なる価数を持つ陽イオンの同形置換により、シート内の電荷の不均衡が生じる可能性がある。これらは、隣接するシートの反対のタイプの電荷の不均衡によって部分的に均衡が取られる可能性がある(たとえば、正に帯電した八面体シートは、四面体シートに関連する負の電荷の一部を相殺する場合がある)。
【0047】
その種類のスメクタイトに属する化合物/粘土材料は非常に広く、特にCs交換クラスのスメクタイトには、バーミキュライトに加えてヘクトライト、サポナイト及びモンモリロナイト、及びいくつかの交換不可能なフィロケイ酸塩を含む。
【0048】
本発明による他の好ましい増粘剤は、天然アルミノケイ酸塩鉱物のスメクタイト群の一部であり、最も一般的な構成員であるナトリウム及びカルシウムモンモリロナイトである。モンモリロナイトは、ベントナイトと呼ばれる粘土の一種における主要な相である。カルシウム及びナトリウムベントナイトの中で、ナトリウムベントナイトがより好ましい。
【0049】
モンモリロナイトは、限られた数の八面体Al3+がMg2+で置換されていることを特徴とし、それがその負電荷を説明するものである。これは、シリカ層の六角形の開口部に部分的に沈んだ粘土小板間のNaによって自然にバランスを取られている。ナトリウムイオンは構造的ではないため、それは、他の正に帯電した元素や分子によって簡単に置き換えることができ、交換性陽イオンと称される。電荷平衡陽イオンに加えて、厚さ約0.29ナノメートルの配向水の強固に保持された層が、個々のフレーク間のスペースを占めている。この水を除去するには、100℃を十分に超える温度が必要である。単独のVEEGUM(登録商標)マグネシウムアルミニウムシリケート又はVANATURAL(登録商標)ベントナイト粘土粒子は、交換性陽イオンを有するこれらのサンドイッチ小板及びそれぞれの間の水の層数千個で構成されている。
【0050】
モンモリロナイトの三重八面体類似体が、サポナイトとヘクトライトである。
【0051】
小板間水と対イオンの結合効果により、スメクタイト粘土の機械的層間剥離は非常に困難になるが、極性の液体や溶液を挿入することによる膨潤が非常に容易である。同様に、粘土の全表面積を露出させる、及び/又はそれのレオロジー特性を利用する必要がある場合、水圧層間剥離は比較的容易である。このような無機増粘剤と水が混和されると、水が小板間に浸透して、小板を強制的にさらに引き離す。陽イオンが、小板面から拡散し始める。次に、拡散(血小板間から出て水中に入る陽イオンの運動)及び浸透(小板間の空間への水の運動)が、小板が完全に分離されるまで層間剥離を促進する。
【0052】
本発明の化粧品組成物は、水を含むことが好ましい。より好ましくは、組成物は、10~90重量%の水、さらにより好ましくは30~70重量%の水、そして最適には25~60重量%の水を含む。水の量は、組成物の性質によって決まる。
【0053】
組成物は乳濁液の形態であることが好ましい。より好ましくは、組成物は水中油型乳濁液である。あるいは、それは油中水型乳濁液である。
【0054】
そのような乳濁液の油相で使用するための好ましい疎水性材料には、脂肪、油、脂肪アルコール、脂肪酸、石鹸、シリコーン油、合成エステル及び/又は炭化水素のような軟化剤を含む。
【0055】
追加成分
組成物は、下記の成分のうちの1以上をさらに含むことが好ましい。
【0056】
本明細書で使用される「シリコーンエラストマー」は、粘弾性特性を有する変形可能な有機ポリシロキサンを指す。好ましくは、化粧品組成物は、シリコーンエラストマーを含む。
【0057】
シリコーンエラストマーは架橋されていることが好ましい。シリコーンエラストマーは、硬化性有機ポリシロキサンから得ることができる。この点での例は、次のもの:SiH含有ジ有機ポリシロキサンとケイ素結合ビニル基を有する有機ポリシロキサンとの間の付加反応により白金金属触媒下で硬化する付加反応硬化性有機ポリシロキサン組成物;有機スズ化合物の存在下での、ヒドロキシル末端ジ有機ポリシロキサンとSiH含有ジ有機ポリシロキサンとの間の脱水素反応によって硬化する縮合硬化性有機ポリシロキサン組成物;有機スズ化合物若しくはチタン酸エステルの存在下での、ヒドロキシル末端ジ有機ポリシロキサンと加水分解性有機シランとの間の縮合反応によって硬化する縮合硬化性有機ポリシロキサン組成物(この縮合反応の例には、脱水、アルコール遊離、オキシム遊離、アミン遊離、アミド遊離、カルボキシル遊離、及びケトン遊離反応がある);有機過酸化物触媒の存在下で熱硬化する過酸化物硬化性有機ポリシロキサン組成物;及びガンマ線、紫外線、又は電子ビームのような高エネルギー放射線によって硬化される有機ポリシロキサン組成物である。シリコーンエラストマーは、好ましくは、白金金属触媒下でSiH含有ジ有機ポリシロキサンとケイ素結合ビニル基を有する有機ポリシロキサンとの間の付加反応によって硬化する付加反応硬化性有機ポリシロキサン組成物によって得られる。
【0058】
シリコーンエラストマーは、乳化性又は非乳化性の架橋シリコーンエラストマー又はそれらの組み合わせのいずれかであり得るが、好ましくは、シリコーンエラストマーは非乳化性である。本明細書で使用される「非乳化性」という用語は、ポリオキシアルキレン単位が存在しない架橋シリコーンエラストマーを定義する。本明細書で使用される「乳化性」という用語は、少なくとも一つのポリオキシアルキレン(例えば、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン)単位を有する架橋有機ポリシロキサンエラストマーを意味する。
【0059】
好ましいシリコーンエラストマーは、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコンクロスポリマー及びポリシリコーン-11のINCI名で入手可能な有機ポリシロキサンである。より好ましくは、シリコーンエラストマーは、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーである。
【0060】
好ましくは、本発明の化粧品組成物は、0.1~10重量%のシリコーンエラストマー、より好ましくは0.5~8重量%、さらにより好ましくは1~5重量%を含む。
【0061】
さらに好ましくは、担体は、エラストマーではないシリコーンを含む。
【0062】
シリコーンは、揮発性型と不揮発性型に分けることができる。揮発性シリコーンオイル(使用する場合)は、好ましくは、3~9、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状(シクロメチコン)又は直鎖ポリジメチルシロキサンから選択される。
【0063】
本発明の組成物は、好ましくは、非シリコーン系軟化剤も含み得る。非シリコーン系軟化剤の具体例には、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコール、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサンのようなシリコーン油、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、カカオバター、コーンオイル、綿実油、オリーブ油、パーム核油、菜種油、紅花種子油、月見草油、大豆油、ヒマワリ種子油、アボカド油、ゴマ種子油、ココナッツ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、ワセリン、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル及びそれらの混合物を含む。
【0064】
Finsolv(登録商標)ブランドで販売されているC12-15アルキル安息香酸エステルも特に有用である。
【0065】
本発明の組成物は、組成物の重量基準で1~25重量%の脂肪酸又は0.1~80重量%の石鹸を含み得る。脂肪酸と石鹸の混合物も好適であり、例えば、皮膚につや消し感を与えるバニシングクリームベースを形成する。C12-20脂肪酸が特に好ましく、より好ましいのはC14-18脂肪酸である。最も好ましい脂肪酸は、ステアリン酸、ミリスチン酸、又はそれらの混合物である。存在する場合、組成物は5~20重量%の脂肪酸又は石鹸を含む。疎水性材料の石鹸は、ナトリウム塩又はカリウム塩のような脂肪酸のアルカリ金属塩を含むことができ、最も好ましいのはステアリン酸カリウムである。一般に、化粧品組成物中のバニシングクリームベースは、所望の量の総脂肪物質を取り、所望の量の水酸化カリウムと混和することによって調製される。石鹸は通常、混和時にイン・サイツで形成される。
【0066】
好ましくは、組成物は、ホワイトニング顔料を含む。ホワイトニング顔料は、典型的には、高屈折率材料の粒子である。例えば、ホワイトニング顔料は、1.3より大きく、より好ましくは1.8より大きく、最も好ましくは2.0~2.7の屈折率を有し得る。そのようなホワイトニング顔料の例は、ビスマスオキシクロリドバリウムサルフェート、マイカ、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、又はそれらの組み合わせを含むものである。より好ましいホワイトニング顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、マイカ、酸化鉄、又はそれらの組み合わせを含む粒子である。さらにより好ましいホワイトニング顔料は、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせを含む粒子であり、これらの材料は特に高い屈折率を有するからである。さらにより好ましくは、ホワイトニング顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛又はそれらの混合物から選択され、最も好ましいホワイトニング顔料は二酸化チタンである。
【0067】
ホワイトニング顔料の平均直径は、典型的には15nm~2μm、より好ましくは35nm~800nm、さらにより好ましくは50nm~500nm、さらにより好ましくは100~300nmである。ホワイトニング顔料の直径は、非凝集状態の粒子の直径を指す。明確に定義された球が生成されない場合、直径は粒子上で測定可能な最大距離を意味する。平均直径は、たとえば走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)によって、少なくとも100個の粒子の値を平均することによって測定できる。
【0068】
好ましくは、組成物は、0.001~10重量%のホワイトニング顔料、より好ましくは0.01~6重量%、さらにより好ましくは0.1~3重量%、最も好ましくは0.2~2重量%のホワイトニング顔料を含む。
【0069】
好ましくは、本発明の組成物は、1以上の有機日焼け止めを含む。多種多様な有機日焼け止めが、本発明の必須成分と組み合わせて使用するのに適している。好適なUV-A/UV-B日焼け止めには、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルp-アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、エチル-4-(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシルサリチレート、p-アミノ安息香酸グリセリル、サリチル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、アントラニル酸メチル、p-ジメチル-アミノ安息香酸又はアミノ安息香酸エステル、2-エチルヘキシル-p-ジメチル-アミノ-ベンゾエート、2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸、2-(p-ジメチルアミノフェニル)-5-スルホニックベンゾオキサゾ酸、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル-p-アミノ安息香酸及びそれらの混合物を含む。最も適切な有機日焼け止めは、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はそれらの混合物である。安全で有効な量の有機日焼け止めを、本発明で有用な組成物で使用することができる。
【0070】
組成物は、好ましくは、0.1%~10%、より好ましくは0.1%~5%の有機日焼け止めを含む。
【0071】
本発明の組成物は、好ましくは美白剤を含む。ビタミンB3化合物(ビタミンB3の誘導体を含む)、例えばナイアシン、ニコチン酸又はナイアシンアミドが、本発明による好ましい美白剤であり、最も好ましいのはナイアシンアミドである。ビタミンB3化合物は、使用される場合、好ましくは、組成物の0.1~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%の範囲の量で存在する。他の公知の美白剤もまた、0.1~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%のレベルで含まれ得る。好適な例には、アダパレン、アロエ抽出物、乳酸アンモニウム、アネトール誘導体、リンゴ抽出物、アルブチン、アゼライン酸、コウジ酸、竹抽出物、ベアベリー抽出物、シラン塊茎、ミシマサイコ抽出物、ワレモコウ抽出物、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、クエン酸エステル、センキュウ、ダングイ、デオキシアルブチン、1,3-ジフェニルプロパン誘導体、2,5-ジヒドロキシ安息香酸及びそれの誘導体、2-(4-アセトキシフェニル)-1,3-ジチアン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジチアン、エラグ酸、エシノール、エストラゴール誘導体、フェードアウト(ペンタファーム)、ファンフェン(Fangfeng)、フェンネル抽出物、マンネンタケ抽出物、ガオベン(gaoben)、ガツリンホワイトニング(Gatuline Whitening)(Gattlefosse)、ゲンチジン酸及びそれの誘導体、グラブリジン及びそれの誘導体、グルコピラノシル-1-アスコルベート、グルコン酸、グリコール酸、緑茶抽出物、4-ヒドロキシ-5-メチル-3[2H]-フラノン、ヒドロキノン、4-ヒドロキシアニソール及びそれの誘導体、4-ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリル酸、アスコルビン酸イノシトール、レモンエキス、リノール酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、Melawhite(Pentapharm)、トウグワ抽出物、桑根抽出物、5-オクタノイルサリチル酸、パセリ抽出物、メシマコブ抽出物、ピロガロール誘導体、2,4-レゾルシノール誘導体、3,5-レゾルシノール誘導体、エイジツ抽出物、サリチル酸、Song-Yi抽出物、3,4,5-トリヒドロキシベンジル誘導体、トラネキサム酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンAのようなビタミン類、ジカルボン酸、レゾルシノール誘導体、植物からの抽出物、すなわちルビア属及びハイノキ属、乳酸のようなヒドロキシカルボン酸とそれらの塩、例えば乳酸ナトリウム、及びそれらの混合物を含む。
【0072】
エチルアルコール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びそれらの混合物のような溶媒もまた、好適なレベルで含まれ得る。
【0073】
保湿剤には、多価アルコール型のものを含む。典型的な多価アルコールには、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、グリセロール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール及びそれらの混合物を含む。保湿剤の量は、例えば、組成物の0.5~50重量%、より好ましくは1~15重量%の範囲であり得る。最も好ましいのはグリセロール(グリセリンとしても知られる)である。グリセリンの量は、例えば、組成物の0.5重量%~50重量%、より好ましくは1~35重量%、最適には2~15重量%の範囲であり得る。
【0074】
本発明による組成物のL&W(小皺及び皺)指数は、少なくとも-80%、より好ましくは-70%~300%、さらにより好ましくは-45%~200%であることが好ましい。L&W指数の測定方法は、実施例に記載されている。
【0075】
本発明の化粧品組成物は、スキンケア組成物であることが好ましい。より好ましくは、組成物は、好ましくは、制汗組成物又はフェース(まぶた及び唇を除く)ケア組成物又はボディケア組成物である。スキンケア組成物は、リーブオン及びウォッシュオフ製品を含む、ヒトの皮膚への局所適用に適した組成物を指す。好ましくは、その用語は、流動性液体、特にメイクアップ製品ではなく保湿剤を包含する。最も好ましいのは、リーブオン組成物である。本明細書において組成物に関して使用される「リーブオン」という用語は、皮膚に塗布又は擦りつけられ、皮膚上に残される組成物を意味する。本明細書において組成物に関して使用される「ウォッシュオフ」という用語は、皮膚に塗布又は擦りつけられ、実質的に適用直後に洗い流される皮膚クレンザーを意味する。
【0076】
組成物は、任意の既知の形式で製剤化することができる。より好ましくは、それはクリーム又はローションである。脇の下に適用する場合、本発明の組成物は、体臭防止剤若しくは制汗剤として、好ましくはロールオン又はクリーム又はスティックとして製剤化される。本発明の化粧品組成物は、さらに、物理特性及び性能を高めるために当技術分野で一般的である他の成分をさらに含むことができる。好適な成分には、結合剤、着色剤及び顔料、pH調節剤、防腐剤、光学系、香水、粘度調整剤、生物学的添加剤、緩衝剤、コンディショナー、天然抽出物、エッセンシャルオイル、及び皮膚有益剤、例えば抗炎症剤、冷却剤、制汗剤、老化防止剤、抗にきび剤、抗菌剤及び酸化防止剤を含み、これらに限定されるものではない。
【0077】
組成物は、適切なサイズの包装又はディスペンサーに好適に包装され得る。包装は、広口瓶又はチューブ、ならびに化粧品、クリーム、洗浄剤、ローションタイプの製品で典型的に見られる他の形式であることができる。組成物は局所適用することができ、好ましくは、皮膚1cmあたり1~4ミリグラムの組成物を適用する。
【0078】
方法及び使用
別の態様では、本発明は、第1の態様の化粧品組成物を皮膚上に適用する段階を含む、皮膚の外見上の欠陥をぼかす方法を提供する。好ましくは、外見上の欠陥には、小皺及び皺を含む。さらに好ましくは、この方法は非治療的である。言い換えれば、本発明の方法は、治療的症状の緩和のために実施される治療方法とは対照的に、全般的に健康な個人に対して実施される美容的方法である。
【0079】
さらに別の態様では、本発明は、第1の態様の化粧品組成物を皮膚上に適用する段階を含む、皮膚の外見上の欠陥をぼかすための本発明の組成物の使用を提供する。好ましくは、外見上の欠陥には、小皺及び皺を含む。さらに好ましくは、使用は非治療的である。言い換えれば、本発明の使用は、治療的症状の緩和のために実施される治療方法とは対照的に、全般的に健康な個人に対して実施される美容的方法である。
【0080】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。これらの実施例は、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例
【0081】
実施例1:
各種組成物(水中油型乳濁液)を製剤し、それらについては、いくつかの試験を行った。組成物で使用される重要な成分についての関する若干の情報を表1に含む。
【0082】
表1
【表1】
【0083】
製剤の詳細を表2に示している。
【0084】
表2
【表2】
【0085】
表2中の各化粧品組成物のL&W指数を、以下に記載されるイン・ビトロモデルに従って測定した。
【0086】
L&W指数の計算
入射光を、Bio-skinプレートによって反射及び散乱させた。鏡面反射光は入射光と同じ偏光を維持したが、ボリューム(volume)からの散乱光(拡散光)は偏光されなかった。SAMBA(登録商標)カメラが、二つの偏光状態(平行及び交差)に対応する二つの画像を連続取得した。平行画像強度(P)には反射光と散乱光が寄与し、交差画像強度(C)は散乱光のみが寄与する。平行画像と交差画像の合計は、従来のカメラによって提供される又は人間の目で知覚される全体画像に等しい。
【0087】
各ピクセルの光沢度を、式(P-C)/(P+C)を用いて計算した。光沢度の標準偏差(STD)は、皮膚の外観の均一性の尺度であり、その二つ(tow)は反比例する。L&W(小皺及び皺)指数は、当該化粧品組成物によって提供されるソフトフォーカスの程度を示すものであり、下記式を用いることで計算した。
【0088】
【数1】
観察結果を表3にまとめてある。
【表3】
【0089】
組成物C及びEのみが本発明の範囲内であり、残りはすべてその範囲外である。
【0090】
AとBの、C、D、Eとの比較により、ソフトフォーカスの利点を提供する成分を含まない組成物はそのような効果を示さないことが明確に示されている。
【0091】
C、D、及びEのL&W指数は、Cellulobeadsを含めることで大きな違いが生じるが、CellulobeadsをSimulgel(登録商標)EGと組み合わせると、L&W指数がかなりの程度低下することを明確に示している。これは、Cellulobeadsと有機増粘剤の組み合わせがL&指数に適した組み合わせではないことを示している。しかしながら、同じCellulobeadsをVeegum又はLaponiteと組み合わせると、L&W指数は非常に高くなる。
【0092】
ほかの例は、ソフトフォーカスの利点を提供する他のミクロスフェアが同じLaponite又はVeegumと組み合わされた場合、L&W指数が低いままであることを明確に示している。
【0093】
シリカマイクロビーズは、Simulgel EG及びLaponiteとよく組み合わせられるが、本発明者らは、フィルムの外観が斑状又は不明瞭であり、それが皮膚の外観に影響を与える可能性があることを観察した。外観の利点。組成物C、D、及びEは、斑点状の外観又は不明瞭な外観を示さなかった。