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特許7536810作業支援装置、作業支援装置の動作方法、及び動作プログラム
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  • 特許-作業支援装置、作業支援装置の動作方法、及び動作プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】作業支援装置、作業支援装置の動作方法、及び動作プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240813BHJP
【FI】
G06Q10/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022008404
(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公開番号】P2023107293
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000232140
【氏名又は名称】NECフィールディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩正
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-043135(JP,A)
【文献】特開2017-021414(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0124832(US,A1)
【文献】特開2020-149139(JP,A)
【文献】特開2020-149556(JP,A)
【文献】特開2020-135608(JP,A)
【文献】特開2021-060899(JP,A)
【文献】特開2021-131803(JP,A)
【文献】特開2017-146735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業を実行する際に注意が必要な場面に関する環境の情報である要注意環境情報と、注意を喚起するための情報である注意喚起情報と、を関連づけた要注意情報を保持する要注意情報保持部と、
前記作業者の作業環境に関する情報である作業環境情報を取得する作業環境情報取得部と、
前記作業者側の状態である作業者状態情報を取得する作業者状態情報取得部と、
前記要注意情報と前記作業環境情報と前記作業者状態情報とに基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する注意喚起判断部と、
前記注意喚起判断部の判断結果に応じて、前記注意喚起情報を出力する注意喚起情報出力部と、
前記作業者を特定する作業者IDを受付ける作業者ID受付部と、
前記作業者が作業を実行している作業の種目である作業種目を受付ける作業種目受付部と、を有し、
前記作業者状態情報取得部は、前記作業者の作業の熟達度である作業者熟達度を作業者ID毎に取得し、
前記注意喚起判断部は、さらに前記作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断し、
前記作業者状態情報取得部は、さらに作業種目毎の前記作業者の熟達度を取得し、
前記注意喚起判断部は、さらに作業種目毎の作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する、作業支援装置。
【請求項2】
ヒヤリハット事例を保持するヒヤリハット事例保持部をさらに有し、
前記要注意情報保持部は、前記注意喚起情報とヒヤリハット事例と、が関連付けられており、
前記注意喚起情報出力部は、前記注意喚起情報と共に関連付けられているヒヤリハット事例を出力する、請求項1の作業支援装置。
【請求項3】
前記作業種目受付部に代えて、
前記作業者が作業を実行している作業種目を前記作業環境情報より推定する、作業種目推定部を有する、請求項1又は2の作業支援装置。
【請求項4】
前記作業者状態情報取得部は、さらに前記作業者の生体情報を取得し、
前記要注意情報保持部は、さらに特定の状態にかかる生体情報と前記注意喚起情報とを関連付けて保持し、
前記注意喚起判断部は、さらに前記生体情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する、請求項1からのいずれか一の作業支援装置。
【請求項5】
前記要注意情報保持部は、さらに前記要注意環境情報と、リスクに関する情報であって前記リスクの重大さを含むリスク情報とを関連付けて保持し、
前記注意喚起判断部は、さらに前記リスク情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する、請求項1からのいずれか一の作業支援装置。
【請求項6】
前記作業環境情報取得部は、前記作業者の作業環境に関する情報を複数取得し、
前記注意喚起情報出力部は前記リスク情報に応じて、複数の前記注意喚起情報を出力する、請求項の作業支援装置。
【請求項7】
作業者が作業を実行する際に注意が必要な場面に関する環境の情報である要注意環境情報と、注意を喚起するための情報である注意喚起情報と、を関連づけた要注意情報を保持する要注意情報保持部を有する作業支援装置の動作方法であって、
前記作業者の作業環境に関する情報である作業環境情報を取得するステップと、
前記作業者側の状態である作業者状態情報を取得するステップと、
前記要注意情報と前記作業環境情報と前記作業者状態情報とに基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断するステップと、
前記判断の結果に応じて、前記注意喚起情報を出力するステップと、
前記作業者を特定する作業者IDを受付けるステップと、
前記作業者が作業を実行している作業の種目である作業種目を受付けるステップと、を有し、
前記作業者状態情報を取得するステップでは、前記作業者の作業の熟達度である作業者熟達度を作業者ID毎に取得し、
前記注意喚起が必要な場面か否かを判断するステップでは、さらに前記作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断し、
前記作業者状態情報を取得するステップでは、さらに作業種目毎の前記作業者の熟達度を取得し、
前記注意喚起が必要な場面か否かを判断するステップでは、さらに作業種目毎の作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する、
作業支援装置の動作方法。
【請求項8】
作業者が作業を実行する際に注意が必要な場面に関する環境の情報である要注意環境情報と、注意を喚起するための情報である注意喚起情報と、を関連づけた要注意情報を記憶域に保持するコンピュータの動作プログラムであって、
前記作業者の作業環境に関する情報である作業環境情報を取得する処理と、
前記作業者側の状態である作業者状態情報を取得する処理と、
前記要注意情報と前記作業環境情報と前記作業者状態情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する処理と、
前記判断の結果に応じて、前記注意喚起情報を出力する処理と、
前記作業者を特定する作業者IDを受付ける処理と、
前記作業者が作業を実行している作業の種目である作業種目を受付ける処理と、を有し、
前記作業者状態情報を取得する処理では、前記作業者の作業の熟達度である作業者熟達度を作業者ID毎に取得し、
前記注意喚起が必要な場面か否かを判断する処理では、さらに前記作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断し、
前記作業者状態情報を取得する処理では、さらに作業種目毎の前記作業者の熟達度を取得し、
前記注意喚起が必要な場面か否かを判断する処理では、さらに作業種目毎の作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する処理を、
コンピュータに実行させるための動作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援装置、作業支援装置の動作方法、及び動作プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業種を問わず様々な作業を行う際には、その作業内容によって発生しうる作業ミスを回避する為に、予め想定される注意事項を周知徹底したり、定期的に作業手順を見直し、改善すべき点を反映させた手順書に沿って作業を実施するといった対応を取ったりしている。
【0003】
具体的には、例えば保守作業においては、保守作業員が作業手順書を確認しながら作業を進めている。しかし、保守作業員の作業慣れによる気の緩みや、思い込み、見落としによって作業ミスが発生する場合がある。また事前に確認した情報から予測できない作業トラブルが発生する場合もある。
【0004】
特許文献1には以下のような作業支援システム等が開示されている。該システムは頭部装着型表示装置において、使用者が行う作業を支援すると共に、当該作業に付随する危険等の注意点を使用者に知らせる。具体的には作業者が装着するヘッドマウントディスプレイ等に、作業手順を対象物と共に表示し、作業手順の中に注意点が存在する場合には、注意を促すための注意情報を対象物と共に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-119786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
【0007】
しかしながら、上記開示された発明は、専ら作業手順と作業手順に関連する注意点を生成し提示するものであって、作業者側の状態である作業者の熟達度合や、作業者の生体情報等を考慮に入れて注意喚起を行うものではない。
【0008】
本発明は、作業者側の状態をも考慮に入れた注意喚起を可能とすることに貢献する作業支援装置、作業支援装置の動作方法、及び動作プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明乃至開示の第一の視点によれば、作業者が作業を実行する際に注意が必要な場面に関する環境の情報である要注意環境情報と、注意を喚起するための情報である注意喚起情報と、を関連づけた要注意情報を保持する要注意情報保持部と、前記作業者の作業環境に関する情報である作業環境情報を取得する作業環境情報取得部と、前記作業者側の状態である作業者状態情報を取得する作業者状態情報取得部と、前記要注意情報と前記作業環境情報と前記作業者状態情報とに基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する注意喚起判断部と、前記注意喚起判断部の判断結果に応じて、前記注意喚起情報を出力する注意喚起情報出力部と、を有する作業支援装置が提供される。
【0010】
本発明乃至開示の第二の視点によれば、作業者が作業を実行する際に注意が必要な場面に関する環境の情報である要注意環境情報と、注意を喚起するための情報である注意喚起情報と、を関連づけた要注意情報を保持する要注意情報保持部を有する作業支援装置の動作方法であって、前記作業者の作業環境に関する情報である作業環境情報を取得するステップと、前記作業者側の状態である作業者状態情報を取得するステップと、前記要注意情報と前記作業環境情報と前記作業者状態情報とに基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断するステップと、前記判断の結果に応じて、前記注意喚起情報を出力するステップと、を有する作業支援装置の動作方法が提供される。
【0011】
本発明乃至開示の第三の視点によれば、作業者が作業を実行する際に注意が必要な場面に関する環境の情報である要注意環境情報と、注意を喚起するための情報である注意喚起情報と、を関連づけた要注意情報を記憶域に保持するコンピュータの動作プログラムであって、前記作業者の作業環境に関する情報である作業環境情報を取得する処理と、前記作業者側の状態である作業者状態情報を取得する処理と、前記要注意情報と前記作業環境情報と前記作業者状態情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する処理と、前記判断の結果に応じて、前記注意喚起情報を出力する処理と、をコンピュータに実行させるための動作プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明乃至開示の各視点によれば、作業者側の状態をも考慮に入れた注意喚起を可能とすることに貢献する作業支援装置、作業支援装置の動作方法、及び動作プログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る作業支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】要注意情報保持部11に保持されている要注意情報の一例を示すための図
図3】第1の実施形態における作業支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る作業支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態に係る作業支援装置のハードウエア構成を示す概略図である。
図6】第2の実施形態に係る作業支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】第3の実施形態に係る作業支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
初めに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インタフェースも同様である。
【0015】
図1は一実施形態に係る作業支援装置の構成の一例を示すブロック図である。この図にあるように、一実施形態に係る作業支援装置10は、要注意情報保持部11と、作業環境情報取得部12と、作業者状態情報取得部13と、注意喚起判断部14と、注意喚起情報出力部15と、を有する。
【0016】
要注意情報保持部11は、作業者が作業を実行する際に注意が必要な場面に関する環境の情報である要注意環境情報と、注意を喚起するための情報である注意喚起情報と、を関連づけて保持する。「場面」とは、作業工程および作業手順から特定される状況を指す。「環境の情報」とは、少なくとも作業者の視覚及び聴覚、触覚の内の一以上の感覚により認識される情報であって、作業支援装置10に対してそれぞれ映像、音声、圧力として入力される情報である。本願においては「環境の情報」は、これら入力された一次情報に加え、一次情報を用いて認識処理を行った結果である二次的な情報についても含まれることとする。例えば、作業に用いる「チェーンソー」は、これを含む映像として入力され、物体認識で「チェーンソー」として認識できた結果についても環境の情報に含まれる。また、例えば重機が移動する際に提示される警告音はこれを含む作業場面の音声として入力され得るが、これを認識して「移動する重機」が「環境の情報」の一つとして取り扱われる。
【0017】
また「環境の情報」は、例えば映像だけを認識したものではなく、映像と音声等との組み合わせを認識したものであってもよい。例えば、緊急走行する救急車は緊急走行時の赤色の灯火とサイレンの音等の組み合わせから救急車と認識され得る。
【0018】
「要注意環境情報」とは、上記の通り「環境の情報」であって後述する注意喚起情報が関連付けられる情報のことを指す。例えばある作業に使用する工具であって安全上取り扱いに特に留意が必要な物や、特有の機能を有しており、一般的知識に基づいて使用すると作業ミスを起こす可能性があり使用法について指導が必要な道具等の情報である。要注意環境情報は後述する作業環境情報と照合され、作業者により取得される作業環境情報から後述の注意喚起情報を参照するために用いられる。
【0019】
「注意喚起情報」とは、要注意環境情報に関連付けられる情報であって、少なくとも注意が必要な旨と、どのような注意を払う必要があるかの注意内容の情報を記述したものである。
【0020】
図2は要注意情報保持部11に保持されている要注意情報の一例を示すための図である。この図にあるように、要注意環境情報と注意喚起情報とが関連付けられて保持されている。要注意環境情報として照合すべき入力映像や入力音声が文字として記載されているが、照合すべき実際の入力映像と対照認識の結果が関連付けられていてもよい。また、左端の列に記載の要注意環境情報は作業工程と関連付けられていてもよい。注意喚起情報としては負傷事故等の注意喚起と、注意すべき内容が注意内容として記載されている。
【0021】
要注意情報は、ヒヤリハット事例保持部(図示せず)と関連付けられていてもよい。図2の右端の列にはヒヤリハット事例の事例IDとその内容についてリンクが付されている。ヒヤリハット事例保持部の事例については非同期で情報が蓄積されるものであってよく、要注意情報との関連付けは、エージェントプログラム等が定期的に事例を探索し、要注意情報に関連する事例を抽出し、自動的に関連付けを生成するといった構成をとってもよい。
【0022】
作業環境情報取得部12は、前記作業者の作業環境に関する情報である作業環境情報を取得する。作業環境情報は上記「環境の情報」と等価の情報であって、作業者が実際に作業を実行している環境を指す。作業環境情報は要注意環境情報と照合され、該当する要注意環境情報が存在する場合には、その要注意環境情報と関連付けられた注意喚起情報を後述する注意喚起情報出力部15より出力する。「取得」とは、カメラからの映像情報や、マイクからの音声情報、GPS(Global Positioning System)からの位置情報等を入力として受け取ることを含み、これらの情報を単独でまたは統合して認識することで要注意環境情報と照合可能とすることを含む。
【0023】
作業者状態情報取得部13は前記作業者側の状態である作業者状態情報を取得する。一般に作業ミスは、作業者の環境である作業対象物のインタフェース等の要因と、作業者に内在する人的要因の両面に起因する場合が多いため、作業者の状態を取得して考慮に入れることでより効果的に作業支援を実行することが可能である。「作業者側の状態」とは、例えば作業者の熟達度といった経時的(長期的)な状態と、作業時の体調などの即時的な状態の両面が含まれる。すなわち、作業者の熟達度は例えば作業者熟達度データベースなどに保持されている熟達度データを読み込むことで取得可能であり、作業時の体調は例えば生体情報として心拍数や発汗量をセンサで取得可能である。
【0024】
注意喚起判断部14は、前記要注意情報と前記作業環境情報と前記作業者状態情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する。具体的には、取得された作業環境情報に該当する要注意環境情報が存在するか否かを照会し、該当する要注意環境情報が存在する場合には後述する注意喚起情報出力部15により、その要注意環境情報に関連付けられた注意喚起情報を出力するように制御する。このとき作業者状態情報が考慮に入れられ、制御が実行される。例えば、同一の注意喚起情報であっても、熟達度が所定のレベルに達している作業者であれば、注意喚起情報を出力しないといった制御が可能である。また、要注意情報毎に熟達度の基準点が定めてあり、所定の基準点に達していれば注意喚起情報は出力されず、反対に熟達度が所定の基準点に足りなければ注意喚起情報が出力されるように制御する処理が可能である。
【0025】
注意喚起情報出力部15は前記注意喚起判断部の判断結果に応じて、前記注意喚起情報を出力する。出力の態様については、例えば作業者が装着しているヘッドマウントディスプレイ等により提示されてもよい。提示される情報の態様については文字情報に限定されず、映像や音声、振動等により注意喚起情報が提示されてもよい。
【0026】
なお、注意喚起情報出力部15は複数の注意喚起情報を同時に出力してもよいし、優先度が高い注意喚起情報から先に出力する態様でもよい。この場合、注意喚起情報に提示優先度の値が関連付けられている構成でもよい。
【0027】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0028】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。図3は第1の実施形態における作業支援装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
この図にあるように、第1の実施形態に係る作業支援装置10は、要注意情報保持部11と、作業環境情報取得部12と、作業者状態情報取得部13と、注意喚起判断部14と、注意喚起情報出力部15と、作業者ID受付部16と、作業種目受付部17と、を有する。本実施形態の作業支援装置10の上記一実施形態との構成上の差異は、新たに作業者ID受付部16と、作業種目受付部17を有する点である。
【0030】
作業者ID受付部16は、前記作業者を特定する作業者IDを受付ける。キーボード等の入出力インタフェース53にて作業者IDを入力してもよいし、顔認証などの生体の特徴量により認証を行ってもよい。受付けられた作業者IDは、作業者状態情報取得部13へ送られる。
【0031】
作業者状態情報取得部13は、前記作業者の作業の熟達度である作業者熟達度を作業者IDごとに取得する。作業者ID受付部16より作業者IDを受取り、作業者熟達度データベース等に保持されている当該作業者の熟達度データを選択して取得する。取得した作業者の熟達度データは、注意喚起判断部14に送られる。
【0032】
これにより、作業者毎の作業の熟達度に合わせて注意喚起を行うことが可能となり、熟達度が高い作業者にとっては無駄な情報が提示される場合が減るため作業の円滑化・効率化が可能となる。一方で熟達度が低い作業者にとっては逐一注意喚起を行うことで熟達度が低いことを起因とするエラーやミスにより作業が遅延したりすることを防止することが可能である。
【0033】
一般に、上記熟達度は作業者毎に相違する場合が多いが、同じ作業者でも作業の種目(種類)によって熟達度が相違する場合も多いと考えられる。すなわち、作業者毎の熟達度に加え作業種目毎の熟達度に応じて注意喚起を行うか否かを判断することが可能な作業種目受付部17を有する構成も考えられる。
【0034】
作業種目受付部17は、前記作業者が作業を実行している作業の種目である作業種目を受付ける。作業の「種目」とは、一連の作業を種類によって分類し、付与した項目のことを指し、一の作業を他の作業と区別するために用いる。「種目」はその粒度に応じて大・中・小などの複数の階層を有していてもよいが、各種目において作業熟達度が測定できるような粒度の項目であることが望ましい。「受付」は装置に接続されたキーボード等の入出力インタフェース53から実行されていてもよいし、ネットワークを介して他の端末より入力されてもよい。
【0035】
作業種目は上記の通り手動で受付けてもよいし、実行中の作業を認識し推定することで受付けてもよい。この場合本実施形態の作業支援装置10は、作業種目受付部17に代えて作業種目推定部(図示せず)を有する構成となる。作業項目推定部は、前記作業者が作業を実行している作業種目を前記作業環境情報より推定する。推定は、作業環境情報取得部12で取得された作業環境情報を作業種目推定部が有する作業種目データベース等と照合することにより認識処理を行うことにより実行される。推定された作業種目は作業者状態情報取得部13に送られる。
【0036】
作業者状態情報取得部13は、さらに作業種目毎の前記作業者の熟達度を取得する。具体的には例えば作業者熟達度データベースに保持されている作業者の熟達度を、取得された作業種目について選択するクエリを送る等の処理により、作業中の作業種目について作業者の熟達度を取得する。
【0037】
注意喚起判断部14は、さらに作業種目毎の作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する。例えばA、B、Cの3つの作業があり、それぞれに作業種目が異なるとする。Xという作業員の作業種目毎の作業者習熟度は5段階評価でA、B、Cそれぞれで5、2、3であるとする。注意喚起判断部14では注意喚起を行うか否かを、習熟度3を基準として設定しているとする。そうすると、作業A、Cは基準に達しているため、要注意環境情報に該当したとしても注意喚起が行われないが、作業Bについては習熟度の基準に達していないため、注意喚起が行われるといった判断処理が実行される。
【0038】
[動作の説明]
本実施形態の作業支援装置10の動作の一例について図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る作業支援装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0039】
同装置が動作を開始すると、作業者IDを受付ける(ステップS41)。取得された作業者IDを用いて作業者ID毎に作業者熟達度を取得する(ステップS42)。次に作業種目を受付ける(ステップS43)。次に作業者熟達度を作業種目毎に取得する(ステップS44)。次に作業環境情報を取得する(ステップS45)。次に、取得された作業環境情報と、作業種目毎の作業者熟達度と、保持されている要注意情報に基づいて、注意喚起が必要か否かの判断を実行する(ステップS46)。注意喚起が必要との判断結果の場合(ステップS46、Y)には要注意情報に関連付けられている注意喚起情報の出力を実行する。また注意喚起が不要との判断結果の場合(ステップS46、N)には注意喚起情報を出力せずに、作業が終了か否かの判断を実行する(ステップS48)。作業が終了でない場合(ステップS48、N)には、引き続き作業環境情報を取得する処理を実行する(ステップS45)。
【0040】
[ハードウエア構成]
本実施形態の作業支援装置10は、情報処理装置(コンピュータ)により構成可能であり、図5に例示する構成を備える。例えば、作業支援装置10は、内部バス55により相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)51、メモリ52、入出力インタフェース53及び通信手段であるNIC(Network Interface Card)54等を備える。
【0041】
但し、図5に示す構成は、作業支援装置10のハードウエア構成を限定する趣旨ではない。作業支援装置10は、図示しないハードウエアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インタフェース53を備えていなくともよい。また、作業支援装置10に含まれるCPU等の数も図5の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のCPUが作業支援装置10に含まれていてもよい。
【0042】
メモリ52は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
【0043】
入出力インタフェース53は、図示しない表示装置や入力装置のインタフェースとなる手段である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受付ける装置、カメラや3Dセンサ、重量センサ等のモニタリングあるいはセンシングを行う装置である。
【0044】
作業支援装置10の機能は、メモリ52に格納された作業環境情報取得プログラム、作業者ID受付プログラム、作業種目受付プログラム、作業者状態情報取得プログラム、注意喚起判断プログラム、注意喚起出力プログラム等といったプログラム群(処理モジュール)と、要注意情報データ等のデータ群により実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ52に格納された各プログラムをCPU51が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能を何らかのハードウエア、及び/または、ソフトウエアで実行する手段があればよい。
【0045】
[ハードウエアの動作]
作業支援装置10は、動作を開始すると、作業者ID受付プログラムがメモリ52から呼び出され、CPU51で実行状態となる。同プログラムは入出力インタフェース53であるキーボード等により作業者IDを受付ける。次に作業者状態情報取得プログラムがメモリ52から呼び出されCPU51で実行状態となる。同プログラムは作業者IDを読み込み、作業者熟達度データベース等としてメモリ52に保持されている作業者熟達度を選択し取得する。
【0046】
次に作業種目受付プログラムがメモリ52から呼び出され、CPU51で実行状態となる。同プログラムは入出力インタフェース53であるキーボード等により作業種目を受付ける。次に作業者状態情報取得プログラムが、メモリ52に保持されている作業者熟達度を読み込み、受付けられた作業種目により作業者熟達度を絞り込むことで種目別の作業者熟達度を生成する。
【0047】
次に作業環境情報取得プログラムがメモリ52から呼び出されCPU51で実行状態となる。同プログラムは入出力インタフェースであるカメラやマイク等から作業環境情報を取得する。取得された映像データや音声データ等は、同プログラムにより認識処理を受け、作業環境情報を構成する対象(物)として認識されメモリ52に作業環境情報データとして一時的に保持される。
【0048】
次に、注意喚起判断プログラムがメモリ52から呼び出され、CPU51にて実行状態となる。同プログラムはメモリ52上に保持されている要注意データを読み込む。要注意データは要注意環境情報データと注意喚起データとが関連付けられている。同プログラムはメモリ52に一時的に保持されている作業環境情報データを読み込み、要注意データの要注意環境情報データと照合処理を行う。照合処理の結果、該当する要注意環境情報データが存在する場合には、その要注意環境情報データに関連付けられた注意喚起データを取得する。
【0049】
注意喚起判断プログラムは種目別の作業者熟達度を読み込み、所定の熟達度基準との比較演算を実行する。その結果、所定の熟達度基準に達していない場合には注意喚起を実行するための信号を注意喚起出力プログラムに対して送る。同プログラムは注意喚起データを読み込み、ディスプレイ等の入出力インタフェース53等から出力する。所定の熟達度に達している場合には注意喚起を行わず、再び作業環境情報取得プログラムにより作業環境情報を取得する処理に戻る。
【0050】
[効果の説明]
上記第1の実施形態に係る作業支援装置10により、作業上の注意点を作業環境の情報から抽出可能であり、その注意点に関する注意喚起情報出力が可能である。本実施形態の作業支援装置10はさらに作業者の状態である熟達度に応じて注意喚起を行うか否かを判断することが可能である。これにより、作業者により最適化された注意喚起情報の提示を行うことができる。
【0051】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、作業者状態情報として作業者の生体情報を取得し、その生体情報に基づいて注意喚起が必要か否か判断可能な作業支援装置10について説明する。
【0052】
本実施形態の作業支援装置10は下記の構成を有する。すなわち、第2の実施形態に係る作業支援装置10は、図1と同様、作業支援装置10は、要注意情報保持部11と、作業環境情報取得部12と、作業者状態情報取得部13と、注意喚起判断部14と、注意喚起情報出力部15と、を有する。
【0053】
本実施形態の作業支援装置10の前記作業者状態情報取得部は、さらに前記作業者の生体情報を取得する。「生体情報」とは、バイタルセンサ等により検出可能な身体の変化を示す情報である。例えば体温や脈拍数、発汗量等が挙げられる。
【0054】
要注意情報保持部11はさらに特定の状態にかかる生体情報と前記注意喚起情報とを関連付けて保持する。「特定の状態」とは、注意喚起の判断根拠となる生体情報の状態を指す。例えば脈拍数が所定の回数に達したり、発汗量が所定の割合で増加したりした場合の状態を指す。このような場合において、作業者は認知・判断能力が通常時よりも低下していると判断され、通常時であれば提示しない注意喚起情報を出力する等の処理を実行する。
【0055】
注意喚起判断部14は、さらに前記生体情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する。具体的には上記のように作業者の生体情報が特定の状態となった際に、注意喚起情報の提示を制御する。制御には主に、通常時であれば提示しない注意喚起情報を特定の状態時には提示するといった制御と、通常時であれば提示する注意喚起情報を特定の状態時には提示しないといった制御の二通りが考えられる。両者ともに認知・判断能力の低下に起因するものであるが、前者の制御は、通常時よりも慎重に作業を進めるといった抑制効果があり、後者の制御は、通常時よりも余計な情報を省いて集中して作業を進めるといった促進効果がある。
【0056】
[動作の説明]
本実施形態の作業支援装置10の動作の一例について図6を用いて説明する。図6は第2の実施形態に係る作業支援装置10の動作の一例を示すフローチャートである。この図にあるように本実施形態の作業支援装置10は、処理を開始すると、まず作業環境情報を取得する(ステップS61)。次に生体情報の取得を行う(ステップS62)。次に作業環境情報が要注意環境情報に該当するか否かを判断する(ステップS63)。該当する要注意環境情報が無い場合(ステップS63、N)には作業環境情報を取得する処理(ステップS61)に戻る。該当する要注意環境情報がある場合(ステップS63、Y)には続いて生体情報が特定の状態に該当するか否かの判断する(ステップS64)。生体情報が特定の状態に該当しない場合(ステップS64、N)には作業環境情報を取得する処理(ステップS61)に戻る。生体情報が特定の状態に該当する場合(ステップS64、Y)には注意喚起情報を出力する(ステップS65)。最後に作業終了か否かを判断して引き続き作業を行う(ステップS66、N)か作業を終了(ステップS66、Y)する。
【0057】
[ハードウエア構成]
本実施形態の作業支援装置10は、情報処理装置(コンピュータ)により構成可能であり、第1の実施形態と同様に図5に例示する構成を備えるが、生体情報を取得するバイタルセンサ等が本実施形態の作業支援装置10に接続されている。
【0058】
本実施形態の作業支援装置10の機能は、メモリ52に格納された作業環境取得プログラム、生体情報取得プログラム、注意喚起判断プログラム等といったプログラム群(処理モジュール)と、要注意データ、そして作業者の生体情報が特定状態であるか否かを判断するための生体情報基準値データが含まれるデータ群により実現される。
【0059】
[ハードウエアの動作]
作業支援装置10は、動作を開始すると、作業環境情報取得プログラムがメモリ52から呼び出され、CPU51で実行状態となる。同プログラムは上記実施形態と同様に、入出力インタフェースであるカメラやマイク等から作業環境情報を取得する。取得された映像データや音声データ等は、同プログラムにより認識処理を受け、作業環境情報を構成する対象(物)として認識されメモリ52に作業環境情報データとして一時的に保持される。
【0060】
次に生体情報取得プログラムがメモリ52から呼び出され、CPU51で実行状態となる。同プログラムはバイタルセンサ等のセンサ機器を制御し脈拍や体温、発汗量等をセンシングにより取得する。取得された生体情報データは後述する注意喚起判断プログラムに送られる。
【0061】
次に注意喚起判断プログラムがメモリ52から呼び出され、CPU51で実行状態となる。同プログラムは上記実施形態と同様にメモリ52上に保持されている要注意データを読み込む。要注意データは要注意環境情報データと注意喚起データとが関連付けられている。同プログラムはメモリ52に一時的に保持されている作業環境情報データを読み込み、要注意データの要注意環境情報データと照合処理を行う。
【0062】
照合処理の結果、該当する要注意環境情報データが存在する場合には、注意喚起判断プログラムは、生体情報取得プログラムから取得された生体情報データを受取り、生体情報データが特定の状態に該当するか否かを判断する。この判断はメモリ52に保持されている特定状態基準値データを読み込み、比較演算等で作業者の生体情報が特定状態の基準値を満たすか否かを判断する。
【0063】
上記判断の結果、特定状態の基準値を満たす場合には注意喚起情報を出力するための信号を注意喚起出力プログラムに送る。注意喚起出力プログラムはメモリ52から呼び出され、CPU51で実行状態となる。同プログラムは注意喚起情報を出力するとの信号を注意喚起判断プログラムから受け取ると、注意喚起判断プログラムから照合処理の結果、該当した要注意環境情報データに関連付けられた注意喚起情報を取得し、これを入出力インタフェース53であるディスプレイ等に出力する。
【0064】
[効果の説明]
本実施形態の作業支援装置10によって、作業者状態情報として生体情報を取得し、生体情報に基づいて注意喚起情報を出力するか否かを判断することが可能である。これにより作業者の状態に最適化した注意喚起を行うことが可能である。
【0065】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、作業者が行っている作業の注意点について、エラーやミスが生じた際のリスクの大きさに基づいて注意喚起を行うことが可能な作業支援装置10を提供する。さらに、複数の注意喚起情報を出力する場合において、リスクの重大さに応じて優先して注意喚起情報を出力することが可能な作業支援装置10を提供する。
【0066】
第3の実施形態に係る作業支援装置10の構成は、第1の実施形態に係る作業支援装置10の構成と同様であるが、下記の点が付加される。
【0067】
要注意情報保持部11は上記実施形態に加えてさらに前記要注意環境情報と、リスクに関する情報であって前記リスクの重大さを含むリスク情報とを関連付けて保持する。「リスク情報」とは、リスクの重大さを示す指標を含む情報であり、エラーやミスが生じた場合に影響の大きさを反映しているものである。例えばリスクの重大さを1から5まで5段階として各要注意環境情報に関連付けて保持するといった構成でもよい。また、リスクには、時間的リスク、人的リスク、資金的リスク、環境リスク等多面性が存在し、各側面において評価されるものであるので、複数の次元でリスクを評価した結果を特徴量として保持していてもよい。
【0068】
注意喚起判断部14は、さらに前記リスク情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する。具体的には作業環境情報に該当している要注意環境情報に関連付けて保持されているリスクの値を、基準値との比較や所定の評価アルゴリズムで評価することによって注意喚起を出力するか否かを判断する処理を行う。
【0069】
注意喚起情報出力部15は前記リスク情報に応じて、複数の前記注意喚起情報を出力する。注意喚起判断部14で注意喚起を出力するとの判断がされた注意喚起情報が複数存在する場合に、例えばリスクの重大な注意喚起情報を優先して出力したり、リスクの重大さに応じて、画面等に出力して提示する態様を変化(例えば、重大さが低い情報はバルーンで表示し、重大さが高い情報はポップアップ画面で大きく表示したりする等)させたりすることが可能である。
【0070】
[動作の説明]
本実施形態の作業支援装置10の動作の一例について図7を用いて説明する。図7は第3の実施形態に係る作業支援装置10の動作の一例を示すフローチャートである。この図にあるように、まず上記実施形態で述べたような作業者の熟達度や生体情報が含まれる作業者状態情報の取得を行う(ステップS71)。次に作業環境情報を取得する(ステップS72)。次に作業環境情報が要注意環境情報に該当するか否かの判断を行う(ステップS73)。作業環境情報が要注意環境情報に該当しない場合(ステップS73、N)には、再び作業者状態情報の取得処理(ステップS71)に戻る。作業環境情報が要注意環境情報に該当する場合(ステップS73、Y)にはリスクの重大さが基準を満たすか否かを判断する(ステップS74)。基準を満たさない場合(ステップS74、N)には引き続き作業者状態情報を取得する処理(ステップS71)を続ける。基準を満たす場合(ステップS74、Y)には、リスク情報に応じて注意喚起情報を出力する(ステップS75)。最後に作業が終了したか否かを判断し(ステップS76)、引き続き処理を続ける(ステップS76、N)か、処理を終了する(ステップS76、Y)。
【0071】
[ハードウエア構成]
本実施形態の作業支援装置10は、情報処理装置(コンピュータ)により構成可能であり、第1及び第2の実施形態と同様に図5に例示する構成を備える。
【0072】
本実施形態の作業支援装置10の機能は、メモリ52に格納された作業状態取得プログラム、作業環境取得プログラム、注意喚起判断プログラム、注意喚起出力プログラム群(処理モジュール)と、蓄積された要注意データ、リスク基準値データ等が含まれるデータ群により実現される。
【0073】
[ハードウエアの動作]
作業支援装置10は、動作を開始すると、作業状態取得プログラムがメモリ52から呼び出され、CPU51で実行状態となる。同プログラムは入出力インタフェース53の入力装置であるキーボード等や、ネットワーク、NIC54を介して作業者状態データの形式で受付け、メモリ52に一時的に格納する。次に、作業環境取得プログラムがメモリ52から呼び出されCPU51で動作して、作業環境情報を取得する。
【0074】
次に注意喚起判断プログラムがメモリ52から呼び出され、CPU51で実行状態となる。同プログラムは上記実施形態と同様にメモリ52上に保持されている要注意データを読み込む。要注意データは要注意環境情報データと注意喚起データとが関連付けられている。同プログラムはメモリ52に一時的に保持されている作業環境情報データを読み込み、要注意データの要注意環境情報データと照合処理を行う。
【0075】
照合処理の結果、該当する要注意環境情報データが存在する場合には、注意喚起判断プログラムは、メモリ52に保持されている作業者状態情報と、該当する要注意環境情報データに関連付けられているリスク値を読み込み、注意喚起情報を出力するか否かを判断する。例えば、作業者状態として取得した作業者の熟達度の値が基準値に達しているか否かの判断を行う。基準値に達していない場合には、注意喚起情報を出力するための信号を注意喚起出力プログラムに送る。
【0076】
次に注意喚起出力プログラムがメモリ52から呼び出されCPU51で実行状態となり、注意喚起判断プログラムから注意喚起情報を出力するための信号を受信した場合には、該当する要注意環境情報データに関連付けられている注意喚起情報を出力する。
【0077】
注意喚起判断プログラムにおいて取得された作業環境情報が複数の要注意環境情報に該当した場合には、リスク値を参照しリスクが重大な要注意環境情報データに関連付けられた注意喚起情報を優先的に入出力インタフェース53であるディスプレイ等に出力する。
【0078】
[効果の説明]
本実施形態の作業支援装置10では、さらに作業における注意点が有するリスクの重大さに応じて注意喚起情報を提示するか否かを判断し、優先度の高い注意喚起情報から提示するなどの出力時の表示態様を変化させることができ、作業者はより効率的に注意喚起を受けることが可能である。
【0079】
前述の実施形態の一部または全部は、以下の各付記のようにも記載することができる。しかしながら、以下の各付記は、あくまでも、本発明の単なる例示に過ぎず、本発明は、かかる場合のみに限るものではない。
[付記1]
上述の第一の視点に係る作業支援装置のとおりである。
[付記2]
ヒヤリハット事例を保持するヒヤリハット事例保持部をさらに有し、前記要注意情報保持部は、前記注意喚起情報とヒヤリハット事例と関連付けられており、前記注意喚起情報出力部は、前記注意喚起情報と共に関連付けられているヒヤリハット事例を出力する、好ましくは付記1の作業支援装置。
[付記3]
前記作業者を特定する作業者IDを受付ける作業者ID受付部を、さらに有し、前記作業者状態情報取得部は、前記作業者の作業の熟達度である作業者熟達度を作業者ID毎に取得し、前記注意喚起判断部は、さらに前記作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する、好ましくは付記1または2の作業支援装置。
[付記4]
前記作業者が作業を実行している作業の種目である作業種目を受付ける作業種目受付部をさらに有し、前記作業者状態情報取得部は、さらに作業種目毎の前記作業者の熟達度を取得し、前記注意喚起判断部は、さらに作業種目毎の作業者熟達度に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する、好ましくは付記3の作業支援装置
[付記5]
前記作業種目受付部に代えて、前記作業者が作業を実行している作業種目を前記作業環境情報より推定する、作業種目推定部を有する、好ましくは付記4の作業支援装置。
[付記6]
前記作業者状態情報取得部は、さらに前記作業者の生体情報を取得し、前記要注意情報保持部はさらに特定の状態にかかる生体情報と前記注意喚起情報とを関連付けて保持し、
前記注意喚起判断部は、さらに前記生体情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する、好ましくは付記1から5のいずれか一の作業支援装置。
[付記7]
前記要注意情報保持部はさらに前記要注意環境情報と、リスクに関する情報であって前記リスクの重大さを含むリスク情報とを関連付けて保持し、前記注意喚起判断部は、さらに前記リスク情報に基づいて、注意喚起が必要な場面か否かを判断する、好ましくは付記1から6のいずれか一の作業支援装置。
[付記8]
前記作業環境情報取得部は、前記作業者の作業環境に関する情報を複数取得し、前記注意喚起情報出力部は前記リスク情報に応じて、複数の前記注意喚起情報を出力する、好ましくは付記7の作業支援装置。
[付記9]
上述の第二の視点に係る作業支援装置の動作方法のとおりである。
[付記10]
上述の第三の視点に係る動作プログラムのとおりである。
なお、付記9及び付記10は、付記1と同様に、付記2~付記8に展開することが可能である。
【0080】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0081】
10 作業支援装置
11 要注意情報保持部
12 作業環境情報取得部
13 作業者状態情報取得部
14 注意喚起判断部
15 注意喚起情報出力部
16 作業者ID受付部
17 作業種目受付部
51 CPU
52 メモリ
53 入出力インタフェース
54 NIC
55 内部バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7