IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社平和の特許一覧

<>
  • 特許-遊技機 図1
  • 特許-遊技機 図2
  • 特許-遊技機 図3
  • 特許-遊技機 図4
  • 特許-遊技機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240813BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
H04R3/00 101Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022016330
(22)【出願日】2022-02-04
(65)【公開番号】P2023114149
(43)【公開日】2023-08-17
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】増田 明洋
【審査官】河村 未奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-088831(JP,A)
【文献】特開2021-058364(JP,A)
【文献】特開2021-107023(JP,A)
【文献】特開2021-016416(JP,A)
【文献】特開2009-253926(JP,A)
【文献】特許第6722973(JP,B1)
【文献】特開2021-129727(JP,A)
【文献】特開2014-064603(JP,A)
【文献】特開2008-205598(JP,A)
【文献】特開2012-156865(JP,A)
【文献】特開2007-110369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スピーカと、
仕様上の最大入力が前記第1スピーカよりも大きい第2スピーカと、
前記第1スピーカが接続される第1アンプと、
前記第2スピーカが接続される第2アンプと、を備え、
前記第1アンプと前記第2アンプとは、出力電力の上限値が、上限値の設定に係る値を記憶する記憶部の記憶値に応じた値に設定されるアンプであり、
前記第1アンプと前記第2アンプとは、出力電力の上限値が、接続されるスピーカの仕様上の最大入力に応じた値に設定され、出力電力が接続されるスピーカの仕様上の最大入力を超えない範囲で出力信号をクリップさせることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機では、スピーカから音を出力して遊技を盛り上げたりする。この種の遊技機として、複数のスピーカが設けられ、アンプを介してスピーカから音を出力する遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-162900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の遊技機では、アンプの出力が予期せぬ大きさとなってしまう場合に、スピーカの最大入力を上回ってしまう状況が生じ得るという問題があった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、アンプの出力を制限しつつ、音質の低下を防止することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、
第1スピーカと、
仕様上の最大入力が前記第1スピーカよりも大きい第2スピーカと、
前記第1スピーカが接続される第1アンプと、
前記第2スピーカが接続される第2アンプと、を備え、
前記第1アンプと前記第2アンプとは、出力電力の上限値を設定可能なアンプであり、
前記第1アンプと前記第2アンプとは、前記出力電力の上限値が、接続されるスピーカの仕様上の最大入力に応じた値に設定されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、各アンプの出力電力の上限値が、各アンプに接続されるスピーカの最大入力に応じたものとなる。したがって、各アンプについて、接続されるスピーカの最大入力に対して余力があるうちに出力が制限され、音響的な損失が発生してしまうことを防止できる。また、各スピーカに過大入力がされてしまうことを防止できるとともに、スピーカの最大入力を超える出力がされてしまうことにより、音の歪みが生じてしまうことを防止できる。
【0008】
また、本発明の前記構成において、
前記第1アンプと前記第2アンプとは、前記出力電力の上限値が、接続されるスピーカの仕様上の最大入力に設定されてもよい。
【0009】
本構成によれば、スピーカの最大入力と略同一の範囲までアンプの出力を大きくすることができ、歪みを生じることなく出力可能な音の範囲を広くすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遊技機によれば、アンプの出力を制限しつつ、音質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る遊技機の一例を示す正面図である。
図2】同、遊技盤を正面側から見た図である。
図3】同、遊技機の概略的な構成を示すブロック図である。
図4】同、演出音制御部の概略的な構成を示すブロック図である。
図5】同、アンプの出力電力の制限について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるパチンコ遊技機に適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、パチンコ遊技機に限ることなく、スロットマシン等のその他の遊技機に適用されてもよい。また、以下の説明において、基本的に、「前後」とは、遊技機の前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、遊技機側が「後」を意味し、「上下」とは遊技機の上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とは遊技機で遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るパチンコ遊技機Yの外観構成を示す斜視図である。本実施形態の遊技機は、遊技場から貸し出された遊技球(遊技媒体)を用いて遊技を行うものであり、遊技機の外側面を形成する外枠502と、遊技機の内部に設けられ、遊技球が移動する遊技領域504を形成する遊技盤506と、遊技盤506を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット508と、ガラスユニット508が取り付けられている前枠(前扉)510を備えている。
【0014】
前枠510のうちガラスユニット508を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の照明装置512が設けられている。
【0015】
前枠510の上部には、左右方向に長尺な略方形箱状の意匠部材511が設けられている。また、意匠部材511は、左右方向の長さが前枠510の左右方向の長さの半分以上となっている。また、意匠部材511は、その前面が、遊技領域504およびガラスユニット508よりも前方に位置するよう、前方に突出して配置されている。
【0016】
意匠部材511は、その内部に設けられた照明用のLED基板(図示せず)と、これを覆う外装部材とを備えており、外装部材の内側に、LED基板を収納するスペースが確保されている。また、外装部材の意匠部材511前面を構成する部分には機種名等を表わすロゴが付されており、内部に設けられたLED基板によってロゴが光るようになっている。すなわち、意匠部材511は、照明装置となっている。
【0017】
また、前枠510には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカ100が複数設けられている。
【0018】
前枠510の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿516が設けられており、上皿516の内側側面の左部には、遊技機から遊技者に遊技球を払い出すための払出口が設けられている。前枠510の下部右側には、グリップユニット520が設けられており、遊技者がグリップユニット520を遊技機に向かって右回りに回転させる操作を行うと、遊技機の内部に設けられた発射装置(図示せず)が作動して、遊技領域504内に遊技球が発射されるようになっている。なお、本実施の形態の発射装置は、1分間に99個(1秒間に1.65個)の遊技球を発射することができる。
【0019】
上皿516の内側側面の右部には、上皿516から遊技球を発射装置に供給するための供給口が設けられている。また、上皿516の下方には、上皿516に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿524が設けられている。
【0020】
上皿516の縁部の手前側には、演出操作部62が設けられており、遊技者が演出操作部62を操作すると、遊技機で行われる演出が変化する。詳細には演出操作部62は、押しボタンスイッチおよび回転レバーを有しており、演出操作部62を押下する操作と、演出操作部62を回転させる操作とを検出することができるようになっている。
【0021】
図2は、図1で示した遊技盤506の外観構成を示す正面図である。図2に示すように遊技盤506には、円形状に外レール528が設けられており、外レール528に囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域504となっている。また、遊技領域504の左端部には、外レール528に沿うように円弧状に内レール530が設けられており、外レール528と内レール530は、遊技盤506の下方に設けられた発射装置から発射された遊技球を遊技領域504に誘導する。
【0022】
遊技盤506の中央部には、遊技を盛り上げるための演出画像等を表示する液晶ディスプレイ34と、液晶ディスプレイ34を取り囲むように形成されたディスプレイ枠534を備える演出ユニット536が設けられている。このディスプレイ枠534には意匠部材538が設けられている。
【0023】
本実施の形態では、液晶ディスプレイ34の手前側を遊技球が通過できないようになっており、発射装置から発射された遊技球は、液晶ディスプレイ34の左側の遊技領域504か右側の遊技領域504を落下するようになっている。そして遊技領域504には、遊技盤506の表面に交差するように図示しない多数の遊技釘が打ち付けられており、遊技領域504を移動する遊技球の移動方向がランダムに変化するようになっている。
【0024】
ディスプレイ枠534の左部には、液晶ディスプレイ34の左側の遊技領域504を落下する遊技球が通過できる開口540が形成されており、この開口540を通過した遊技球はディスプレイ枠534に設けられている通路542を通過して、液晶ディスプレイ34の下方に設けられたステージ544に落下するようになっている。このステージ544の上面は滑らかな曲面となっているとともに、ステージ544とガラスユニット508との間に遊技球がステージ544から下方に落下できる隙間が形成されており、通路542からステージ544上に落下した遊技球がステージ544上を左右に往復移動した後にステージ544の中央部付近から下方に落下するようになっている。
【0025】
ステージ544の中央部の下方には、第1始動口546が設けられている。
また、液晶ディスプレイ34の右側の遊技領域504には、通過ゲート548が設けられている。また、通過ゲート548の下方に、第2始動口550が設けられている。この第2始動口550には、第2始動口550に遊技球が進入しにくい縮小状態(進入を補助しない状態・非補助状態)と遊技球が進入しやすい拡大状態(進入を補助する状態・補助状態)との間で動作可能な補助部材を備える普通役物552が設けられている。
【0026】
液晶ディスプレイ34の右側の遊技領域504には、第2始動口550の下方に、大入賞口554が設けられている。この大入賞口554には、大入賞口554を塞ぐ可動部材を備える特別役物556が設けられている。特別役物556は、大入賞口554に遊技球が進入不可能な閉状態と、大入賞口554に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(図2は閉状態を示している)。特別役物556は、大当たりが当選すると開始される特別遊技状態において、所定条件下で開状態となるように制御される。
【0027】
大入賞口554の下方には、大入賞通路558が下方に向かって設けられている。大入賞通路558の下端には、通常進入口562が設けられている。また、大入賞通路558の下方には、大入賞通路558の途中から下方に向かって分岐するように特定通路565が設けられている。この特定通路565には、特定通路565を塞ぐ可動部材を備える特定役物566が設けられている。特定役物566は、特定通路565に遊技球が進入不可能な閉状態と、特定通路565に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(図2は閉状態を示している)。特定役物566は、特別遊技状態において所定条件下で開状態となるように制御される。特定通路565の下端には、特定進入口568が設けられている。また、遊技領域504の最下部には、いずれの入賞口にも進入せずに遊技領域504を落下した遊技球を遊技機の内部に回収するアウト口569が設けられている。
【0028】
遊技球の発射装置は、図1で示したグリップユニット520の回転量を調整することにより遊技球の射出力が変化するように構成されており、グリップユニット520の回転量が少ない場合には液晶ディスプレイ34の左側の遊技領域504を遊技球が落下するように遊技球が発射され、グリップユニット520の回転量が多い場合には液晶ディスプレイ34の右側の遊技領域504を遊技球が落下するように遊技球が発射される。
【0029】
遊技者は、遊技状況に応じてグリップユニット520の回転量を調整し、遊技球が左側の遊技領域504を落下して、あるいは開口540と通路542とステージ544を通過して第1始動口546に進入するように遊技球を発射させたり(左打ち)、遊技球が右側の遊技領域504を落下して、通過ゲート548を遊技球が通過するように、あるいは第2始動口550に遊技球が進入するように、あるいは大入賞口554に遊技球が進入するように遊技球を発射させたりする(右打ち)。
【0030】
遊技盤506の右下部であって、遊技領域504の外側には、遊技機の各種状態をランプ等の点灯および消灯により示す状態表示部570が設けられている。
【0031】
図3は、本実施形態の遊技機に係るブロック図である。本実施形態の遊技機は、主制御基板70および副制御基板72を含む制御基板によって制御される。また、主制御基板70や副制御基板72等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0032】
主制御基板70は、第1始動口546に進入した遊技球を検出する第1始動口スイッチ600、通過ゲート548を通過する遊技球を検出するゲートスイッチ602、第2始動口550に進入した遊技球を検出する第2始動口スイッチ604、大入賞口554に進入した遊技球を検出するカウントスイッチ606、一般入賞口に進入した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ608、特定通路565に進入した遊技球を検出する特定通路スイッチ610またはアウト口569から回収された遊技球を検出するアウトスイッチ612等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、出力手段(状態表示部570、普通役物552、特別役物556、特定役物566、払出装置等)の動作制御を行う。主制御基板70は、遊技の進行を制御する。
【0033】
副制御基板72は、主制御基板70から送られてくる信号(コマンド)や、演出操作部62等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、演出装置(液晶ディスプレイ34、照明装置512、スピーカ100等)の制御を行なう。換言すると、副制御基板72は、演出に係る各種の演算を行い、演出を進行させたり、演出に係る設定を変更したりする。すなわち、副制御基板72は、演出を制御する。
【0034】
主制御基板70と副制御基板72とは電気的に接続されており、主制御基板70から副制御基板72へは遊技状態を示す情報など各種情報(コマンド)の送信が可能となっているが、副制御基板72から主制御基板70へは情報を送信できないようになっている。
また、主制御基板70や副制御基板72等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0035】
副制御基板72は、演出制御部(演出制御手段)74と、演出音制御部(音制御手段)76と、記憶部(記憶手段)78と、アンプ群112と、を備えている。本実施形態では演出制御部74および演出音制御部76は、1つの回路で構成(例えば1パッケージ化または1チップ化)され、この回路の機能ブロックとして構成されてもいる。
【0036】
本実施形態の遊技機は、図1に示すように、前枠510の上部に設けられた2つのスピーカ(上部スピーカ100a,100b)と、前枠510の下部に設けられた2つのスピーカ(下部スピーカ100c,100d)とを有している。すなわち、前枠510には、上部スピーカ100a,100bと、上部スピーカ100a,100bよりも下方に配置された下部スピーカ100c,100dとが設けられている。また、2つの上部スピーカ100a,100bは、左右に離間して配置されているとともに、上下方向において互いに略同一の位置(高さ)に配置されている。また、2つの下部スピーカ100c,100dは、左右に離間して配置されているとともに、上下方向において互いに略同一の位置(高さ)に配置されている。なお、本明細書において略同一(略一致)とは、同一(一致)の場合を含むものとする。すなわち、本実施形態の遊技機は、4つのスピーカ間における相対的な位置が左上となるスピーカ100aと、右上となるスピーカ100bと、左下となるスピーカ100cと、右下となるスピーカ100dとの4つのスピーカを有している。換言すると、遊技をするときの遊技者から見て、左上に位置するスピーカ100aと、右上に位置するスピーカ100bと、左下に位置するスピーカ100cと、右下に位置する100dとの4つのスピーカを有している。また、図1に示すように、前枠510の下方外側(いわゆる幕板部分)には、スピーカ100eが設けられている。
なお、図1においては、上部スピーカ100a,100bは、意匠部材511の前面の裏側に隠れた状態となっている。なお、上部スピーカ100a,100bは意匠部材511の内部に設けられていてもよい
【0037】
2つの上部スピーカ100a,100bおよび2つの下部スピーカ100c,100dは、全て同一仕様のスピーカ(型番が同一のスピーカ:同一種類のスピーカ)となっている。また、スピーカ100eは、スピーカ100a,100b,100c,100dと仕様が異なっている。
各スピーカの仕様は以下の通りである。
【0038】
スピーカ100a,100b,100c,100dは、仕様上の再生可能な周波数帯域(再生周波数帯域:定格周波数範囲:周波数特性)が同一となっている。換言すると、スピーカ100a,100b,100c,100dは、出力音圧レベルの周波数特性が同一となっている。また、スピーカ100a,100b,100c,100dは、フルレンジスピーカとなっている。スピーカ100a,100b,100c,100dの再生周波数帯域は、200Hz(最低共振周波数)~20kHzに設定されている。また、スピーカ100eは、ウーファーとなっている。スピーカ100eの再生周波数帯域は、100Hz~4kHzに設定されている。
【0039】
また、スピーカ100a,100b,100c,100dは、仕様上の最大入力が同一となっている。スピーカ100a,100b,100c,100dの最大入力は、15Wに設定されている。また、スピーカ100eの最大入力は、20Wに設定されている。
【0040】
また、スピーカ100a,100b,100c,100d、100eは、定格入力(定格正弦波入力)が同一となっている。スピーカ100a,100b,100c,100d,100eの定格入力は、10Wに設定されている。
【0041】
すなわち、スピーカ100a,100b,100c,100dは、スピーカ100eよりも最大入力が低く設定されている。また、スピーカ100a,100b,100c,100dとスピーカ100eとでは、最大入力の差(本実施形態では5W)に比べ、定格入力の差(本実施形態では0W)が小さくなっている。
【0042】
また、スピーカ100a,100b,100c,100d、100eの定格インピーダンスは8Ωに設定されている。
【0043】
演出音制御部76は、アンプ群112を構成するアンプ113,114,115を介してスピーカ100a,100b,100c,100d,100eを制御可能となっている。また、アンプ113,114,115は、演出音制御部76から出力された信号をデジタル信号からアナログ信号に変換するとともに、このアナログ信号を増幅してスピーカ100a,100b,100c,100d,100eを駆動することが可能となっている。換言すると、アンプ113,114,115は、DAC(デジタル-アナログ変換部)として機能するとともに、増幅器(例えばD級アンプ)として機能するようになっている。また、アンプ113,114,115はそれぞれ、1つの回路で構成(例えば1パッケージ化または1チップ化)されている。このため、複数のアンプ113,114,115および演出音制御部76は、互いに異なる部品(広義には集積回路などの電子部品、狭義には集積回路に設けられたチップ部品)で構成されている。具体的には、本実施形態の遊技機では、演出制御部74および演出音制御部76は、副制御基板72のメインIC(演出制御用IC)によって構成されている一方、アンプ113,114,115は、それぞれ演出制御用ICとは別体のアンプICによって構成されており、複数のアンプ113,114,115および演出音制御部76は、互いに異なるICとなっている。また、アンプ113,114,115は、全て同一仕様のIC(型番が同一のIC:同一種類のアンプ)となっている。
【0044】
演出音制御部76は、図4に示すように、デコーダ部150と、第1音量制御部151と、第2音量制御部153と、イコライザ部(周波数特性制御部)155と、第3音量制御部157と、オーディオ出力部159と、を有している。また、演出音制御部76は、複数(例えば、トラック1~トラック40の合計40個)のトラックと、複数(例えば、チャンネルCH1~チャンネルCH8の合計8個(CH7,CH8は図示せず))のチャンネルとを有している。ここで、トラックは、記憶部78の演出音記憶部(ROM)160に記憶された各演出音(フレーズデータ)の再生の実行単位であり、チャンネルは、演出音制御部76の演出音データの出力単位となっている。演出音制御部76は、各トラックで再生される演出音(各トラックの出力)を各チャンネルにおいて合成して出力するようになっている。
なお、演出音記憶部160には、例えば、一連の背景音楽(BGM)や、予告音、効果音、キャラクタのセリフ音等の演出音が記憶されている。
【0045】
なお、以下では、音量の設定値を「0」~「255」の256段階とし、音量「0」が無音、音量「255」が最大音量として説明するが、各設定値や段階数について特に限定するものではない。
【0046】
デコーダ部150は、トラック毎に独立してデコード処理をすることが可能となっている。これにより、演出音制御部76は、最大で40個の演出音(演出音記憶部160から読み出した演出音)を同時に再生することが可能となっている。デコーダ部150でデコード処理された各トラックの演出音は、第1音量制御部151に入力される。
【0047】
第1音量制御部151は、トラック毎に音量(ボリューム)を調整することが可能となっている。また、第1音量制御部151は、各トラックについて、出力先のチャンネル毎に音量を調整することが可能となっている。すなわち、例えば、トラック1においてBGMが再生され、トラック2においてキャラクタのセリフ音が再生される場合に、トラック1で再生されるBGMの音量を「100」とし、トラック2で再生されるキャラクタのセリフ音の音量を「150」とするなど、トラック毎に音量設定を異ならせることが可能となっている。また、例えば、トラック1で再生されるBGMをチャンネルCH1に対しては音量「100」として出力し、チャンネルCH2に対しては音量「50」として出力するなど、出力先のチャンネル毎に音量設定を異ならせることが可能となっている。
【0048】
各トラックでの再生音は、第1音量制御部151の設定に応じた音量で各チャンネルに出力され、各チャンネルにおいて合成される(重ね合わされる)。すなわち、各チャンネルでは、各トラックの演出音を合成した演出音(合成演出音)が扱われる。そして、第1音量制御部151の出力を合成した各チャンネルの演出音(合成演出音)は、第2音量制御部153に入力される。
【0049】
第2音量制御部153は、チャンネル毎に音量を調整することが可能となっている。そして、第2音量制御部153で音量調整された各チャンネルの合成演出音は、イコライザ部155に入力される。
【0050】
イコライザ部155は、チャンネル毎に所望の周波数特性を実現可能となっている。具体的には、イコライザ部155は、設定に応じて、合成演出音の所定の周波数帯域を強めたり弱めたりすることが可能となっている。換言すると、イコライザ部155は、合成演出音について、周波数帯毎に音量(音圧レベル)を大きくしたり、小さくしたりすることが可能となっている。さらに換言すると、イコライザ部155は、合成演出音の各周波数帯について入出力のゲインをいくらにするか設定可能となっている。また、イコライザ部155は、フィルタ回路(デジタルフィルタ)として機能するともいえる。すなわち、第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157は、各トラックあるいは各チャンネルの演出音について、全周波数帯域(少なくとも可聴帯域あるいは対応するスピーカ100の再生周波数帯域全体)の音量(ゲイン)を一律に大きくあるいは小さくするのに対し、イコライザ部155は、可聴帯域(スピーカ100の再生周波数帯域)に含まれる所定帯域の音量(ゲイン)を大きくあるいは小さくすることが可能となっている。
【0051】
イコライザ部155を通過した各チャンネルの合成演出音は、第3音量制御部157に入力される。第3音量制御部157は、全チャンネルについて一律に音量調整することが可能となっている。すなわち、第3音量制御部157の設定に応じて、全チャンネルの音量が一律に大きくされたり小さくされたりするようになっている。
【0052】
オーディオ出力部159は、例えばI2S(Inter-IC Sound)の規格に
準拠するビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよびシリアルデータ信号SDATAを出力可能に構成されている。オーディオ出力部159は、第3音量制御部157から出力される各チャンネルの合成演出音を、I2Sの規格に準拠した方式で出力するようになっている。本実施形態の遊技機では、第1シリアルデータ信号SDATA1、第2シリアルデータ信号SDATA2および第3シリアルデータ信号SDATA3を含む複数のシリアルデータ信号SDATAを出力可能となっている。そして、第1シリアルデータ信号SDATA1には、チャンネルCH1およびチャンネルCH2の合成演出音のデータが含まれ、第2シリアルデータ信号SDATA2には、チャンネルCH3およびチャンネルCH4の合成演出音のデータが含まれ、第3シリアルデータ信号SDATA3には、チャンネルCH5およびチャンネルCH6の合成演出音のデータが含まれるようになっている。
【0053】
オーディオ出力部159から出力されるビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよびシリアルデータ信号SDATAは、図3に示すように、アンプ群112に入力される。具体的には、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第1シリアルデータ信号SDATA1が、アンプ113に入力され、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第2シリアルデータ信号SDATA2が、アンプ114に入力され、ビットクロック信号BCLK、ワードクロック信号LRCLKおよび第3シリアルデータ信号SDATA3が、アンプ115に入力される。
【0054】
アンプ113は、演出音制御部76から送られる第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100aおよびスピーカ100bを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第1シリアルデータ信号SDATA1とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH1の合成演出音のデータを含む第1シリアルデータ信号SDATA1が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH2の合成演出音のデータを含む第1シリアルデータ信号SDATA1が送信される。アンプ113は、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに入力される第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100aに演出音を出力させる。また、アンプ113は、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに入力される第1シリアルデータ信号SDATA1に基づいて、スピーカ100bに演出音を出力させる。したがって、スピーカ100aからはチャンネルCH1の合成演出音が出力され、スピーカ100bからはチャンネルCH2の合成演出音が出力されるようになっている。すなわち、アンプ113は、チャンネルCH1の合成演出音を出力可能な第1出力部(第1出力端子:Lch)OUT1と、チャンネルCH2の合成演出音を出力可能な第2出力部(第2出力端子:Rch)OUT2とを有しており、第1出力部OUT1がスピーカ100aに接続され、第2出力部OUT2がスピーカ100bに接続されている。
【0055】
アンプ114は、演出音制御部76から送られる第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100cおよびスピーカ100dを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第2シリアルデータ信号SDATA2とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH3の合成演出音のデータを含む第2シリアルデータ信号SDATA2が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH4の合成演出音のデータを含む第2シリアルデータ信号SDATA2が送信される。アンプ114は、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに入力される第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100cに演出音を出力させる。また、アンプ114は、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに入力される第2シリアルデータ信号SDATA2に基づいて、スピーカ100dに演出音を出力させる。したがって、スピーカ100cからはチャンネルCH3の合成演出音が出力され、スピーカ100dからはチャンネルCH4の合成演出音が出力されるようになっている。すなわち、アンプ114は、チャンネルCH3の合成演出音を出力可能な第1出力部(第1出力端子:Lch)OUT1と、チャンネルCH4の合成演出音を出力可能な第2出力部(第2出力端子:Rch)OUT2とを有しており、第1出力部OUT1がスピーカ100cに接続され、第2出力部OUT2がスピーカ100dに接続されている。
【0056】
アンプ115は、演出音制御部76から送られる第3シリアルデータ信号SDATA3に基づいて、スピーカ100eを駆動し、音を出力させる。ワードクロック信号LRCLKと、第3シリアルデータ信号SDATA3とは同期しており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに、チャンネルCH5の合成演出音のデータを含む第3シリアルデータ信号SDATA3が送信され、ワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに、チャンネルCH6の合成演出音のデータを含む第3シリアルデータ信号SDATA3が送信される。本実施形態の遊技機では、チャンネルCH5とチャンネルCH6とでは、同一の合成演出音が生成されるようになっており、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときとワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときとで、第3シリアルデータ信号SDATA3は同一の合成演出音のデータを含むようになっている。また、アンプ115は、チャンネルCH5の合成演出音を出力可能な第1出力部(第1出力端子:Lch)OUT1と、チャンネルCH6の合成演出音を出力可能な第2出力部(第2出力端子:Rch)OUT2とを有しており、第1出力部OUT1と第2出力部OUT2とが結合され、スピーカ100eに接続されている。すなわち、本実施形態の遊技機では、ワードクロック信号LRCLKがLowレベルのときに送られる第3シリアルデータ信号SDATA3とワードクロック信号LRCLKがHighレベルのときに送られる第3シリアルデータ信号SDATA3とに基づいてスピーカ100eが駆動されるようになっている。換言すると、チャンネルCH5の合成演出音とチャンネルCH6の合成演出音とがスピーカ100eから出力されるようになっている。
なお、第1出力部OUT1または第2出力部OUT2のいずれか一方のみをスピーカ100eに接続してもよい。
【0057】
本実施形態の遊技機では、周波数特性制御部としてのイコライザ部155によって、演出音制御部76の周波数応答(伝達関数)が制御されている。すなわち、デコーダ部150の入力からオーディオ出力部159の出力(あるいはアンプ113,114,115のDAC入力)に至るまでのシステム(演出音制御部76)における周波数応答はイコライザ部155の設定によって決まり、イコライザ部155の設定を変更することで、各トラックに入力されオーディオ出力部159から出力される演出音についての周波数応答を変化させることが可能となっている。
なお、厳密には、第1音量制御部151、第2音量制御部153または第3音量制御部157の音量設定に応じて演出音制御部76の周波数応答におけるゲイン(音圧レベル:音量)が変わる他、演出音制御部76においては各トラックあるいは各チャンネルの演出音の位相を変化させることを可能としてもよいため、演出音制御部76の周波数応答は、イコライザ部155の設定のみによって決まるわけではない。しかし、本明細書においては、演出音制御部76の周波数応答(周波数特性)といった場合には、基本的に、イコライザ部155によって設定される周波数応答(周波数特性)を意味することとする。換言すると、演出音制御部76の周波数応答(周波数特性)とは、第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157の設定値(音量設定)を所定値に固定した状態、すなわち周波数応答(周波数特性)のゲインの基準値を所定値に設定した場合における、デコーダ部150に入力されオーディオ出力部159から出力される演出音についての周波数応答(周波数特性)、より具体的には周波数とゲインとの関係を意味する。そして、本実施形態の遊技機では、演出音制御部76の周波数応答(周波数特性)に応じて、演出音の周波数特性が変化するようになっている。
【0058】
なお、イコライザ部155の設定(周波数応答の設定)ならびに第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157の設定(音量の設定)は、演出音制御部76が演出音制御部76の有するレジスタ(演出制御用ICの内部レジスタあるいはアンプICの内部レジスタ)の設定を書き換えることにより変更することが可能となっている。また、演出音制御部76は、演出制御部74が主制御基板70からのコマンドに基づいて決定する演出に応じて各スピーカ100から出力する演出音と、イコライザ部155の設定(周波数応答の設定)ならびに第1音量制御部151、第2音量制御部153および第3音量制御部157の設定とを決定し、演出音の出力を制御するようになっている。なお、第3音量制御部157の設定を、副制御基板72に設けられた音量変更スイッチ(図示せず)の状態に応じて決定することとしてもよい。また、第1音量制御部151、第2音量制御部153または第3音量制御部157の設定を、演出操作部62に対する操作に基づいて変更可能としてもよい。
【0059】
なお、演出音制御部76の一部あるいは全部がアンプ113,114,115に設けられていてもよく、アンプ113,114,115の一部あるいは全部が演出音制御部76に設けられていてもよい。換言すると、演出音制御部76の一部あるいは全部がアンプICによって構成されていてもよく、アンプ113,114,115の一部あるいは全部が演出制御用ICによって構成されていてもよい。例えば、アンプ113,114,115が、演出音についての周波数特性を制御する機能(イコライザ部155等)を有していてもよく、演出音についての音量を制御する機能(第1音量制御部151、第2音量制御部153、第3音量制御部157等)を有していてもよい。
【0060】
本実施形態の遊技機では、所定の演出の実行時には、演出音制御部76は、チャンネルCH1,CH2と、チャンネルCH3,CH4とで周波数応答の設定(イコライザの設定)を異ならせており、上部スピーカ100a,100bから出力される演出音(チャンネルCH1,CH2の演出音)と、下部スピーカ100c,100dから出力される演出音(チャンネルCH3,CH4の演出音)とで、周波数特性の変化の仕方が異なるように、各チャンネルについての周波数応答を設定している。また、本実施形態の遊技機では、他の演出の実行時には、演出音制御部76は、チャンネルCH1,CH2と、チャンネルCH3,CH4とで周波数応答の設定(イコライザの設定)を同一としており、上部スピーカ100a,100bから出力される演出音(チャンネルCH1,CH2の演出音)と、下部スピーカ100c,100dから出力される演出音(チャンネルCH3,CH4の演出音)とで、周波数特性の変化の仕方が同一となるように、各チャンネルについての周波数応答を設定している。すなわち、演出音制御部76は、出力先のスピーカ100a,100b,100c,100d(アンプ113,114)に応じて周波数応答を異ならせた周波数応答不同状態と、出力先のスピーカ100a,100b,100c,100d(アンプ113,114)に関らず周波数応答を同一とした周波数応答同一状態とが設定可能となっている。
【0061】
具体的には、本実施形態の遊技機では、主制御基板70は遊技状態制御部(図示せず)を有し、通常状態(低確率状態)と、通常状態よりも大当たりの当選確率が高く設定された確変状態(高確率状態)と、大当たりが当選すると開始される特別遊技状態と、特別図柄や普通図柄の変動時間を短縮させること等により所定の抽選の実行契機を頻繁に到来させる時短状態(特殊状態)等の複数種類の遊技状態が設定可能となっており、遊技状態制御部は、複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行処理を行う。また、演出制御部74は、演出図柄(特別図柄や普通図柄の変動に伴い液晶ディスプレイ36上で変動表示される図柄)を変動表示させる演出や、いわゆるリーチ演出、先読み演出等の各種演出の実行を制御する。そして、演出音制御部76は、遊技状態または実行される演出等に応じて、チャンネルCH1,CH2と、チャンネルCH3,CH4とで周波数応答の設定を異ならせた状態でスピーカ100a,100b,100c,100dを用いた演出音の出力を行ったり、チャンネルCH1,CH2と、チャンネルCH3,CH4とで周波数応答の設定を同一とした状態でスピーカ100a,100b,100c,100dを用いた演出音の出力を行ったりするようになっている。換言すると、演出音制御部76は、遊技の進行中(遊技者が遊技を行っている間)において、周波数応答の設定を変化させることがある。
なお、演出音制御部76は、チャンネルCH5,CH6についても、遊技の進行中(遊技者が遊技を行っている間)において、周波数応答の設定を変化させてもよく、変化させなくてもよい。
【0062】
また、演出音制御部76は、特定の演出を実行する際に、記憶部78の音量設定テーブル記憶部162に記憶された音量設定テーブルに基づいて各スピーカ100a,100b,100c,100d,100eについて演出音の音量を設定し、当該設定に応じた音量で各スピーカ100a,100b,100c,100d,100eから演出音を出力させる。音量設定テーブルでは、フレーム毎の各スピーカ100a,100b,100c,100d,100eに関する音量(特定の演出中における音量の経時的な変化)が設定されている。本実施形態の遊技機では、演出音制御部76は、特定の演出の実行中において、第1音量制御部151の音量設定を音量設定テーブルに基づいて変化させるようになっている。すなわち、演出音制御部76は、特定の演出を実行する際に音量の設定を変化させるようになっている。換言すると、演出音制御部76は、遊技の進行中(遊技者が遊技を行っている間)において、音量の設定を変化させることがある。
【0063】
アンプ113,114,115は、出力電力の上限値を制御する出力制限部(出力制限手段)200を備えている。出力制限部200は、出力電力が設定された上限値以下となるように制御する。
【0064】
出力制限部200は、演出音制御部76から所定契機で送られてくる情報(コマンド)に基づいて、出力電力の上限値を設定する。具体的には、アンプ113,114,115は、出力電力の上限値(上限値に係る設定)を記憶する設定記憶部(レジスタ)202を有しており、出力制限部200は、演出音制御部76からの情報に基づいて、上限値を設定記憶部202に記憶させる。そして、出力制限部200は、設定記憶部202に記憶された上限値に出力電力が制限されるよう制御する。なお、演出音制御部76から送られる当該情報は、例えば、I2C通信により演出制御用ICからアンプICに送られてもよい。
なお、本実施形態では、電源が投入された際に演出音制御部76からアンプ113,114,115に送られる情報に基づいて、出力電力の上限値が設定されるようになっている。また、一度出力電力の上限値が設定されると、遊技の進行中(遊技者が遊技を行っている間)は、出力電力の上限値が変更されることはないようになっている。換言すると、出力電力の上限値は、予め定められた一定の値となっている。さらに換言すると、遊技の進行中(所定の演出の実行時等)において、演出音制御部76が周波数応答の設定や音量の設定を変化させる場合であってもアンプ113,114,115の出力電力の上限値の設定は変化しないようになっている。また、出力電力の上限値の設定は、副制御基板72に設けられた音量変更スイッチや演出操作部62等の音量変更手段に対する操作に基づいて音量の設定(第1音量制御部151、第2音量制御部153または第3音量制御部157の設定)が変更される場合であっても変更されないようになっている。ただし、遊技の進行中において、出力電力の上限値の設定が変更されるようになっていてもよい。また、音量変更手段に対する操作に基づいて音量の設定が変更されることに基づいて出力電力の上限値の設定が変更されるようになっていてもよい。
【0065】
本実施形態では、アンプ113,114の出力電力の上限値は、15Wに設定される。換言すると、アンプ113,114の出力電力が15W以下となるように設定される。また、アンプ115の出力電力の上限値は、20Wに設定される。換言すると、アンプ115の出力電力が20W以下となるように設定される。すなわち、アンプ113,114,115の出力電力の上限値は、各アンプに接続されるスピーカ100の最大入力に設定される。また、アンプ115の出力電力の上限値は、アンプ113,114の出力電力の上限値よりも大きい値に設定される。
【0066】
なお、本実施形態のアンプ113,114,115では、出力電力の上限値は、設定記憶部202としての11ビットのレジスタの記憶値によって指定され、2048段階の設定が可能となっている。具体的には、0.001W~51.43Wの間で、2048段階の設定が可能となっている。このように出力電力の上限値等が設定可能となっている場合、設定可能な値は通常離散的な値となる。したがって、「アンプ113,114,115の出力電力の上限値は、各アンプに接続されるスピーカ100の最大入力に設定する」といっても、出力電力の上限値の設定をスピーカ100の最大入力と完全に一致させることができるとは限らない。すなわち、本明細書において、「アンプ113,114,115の出力電力の上限値が、各アンプに接続されるスピーカ100の最大入力に設定される」といった場合、出力電力の上限値が、設定可能な値のうち、接続されるスピーカ100の最大入力に最も近い値に設定されること、あるいは、出力電力の上限値が、接続されるスピーカ100の最大入力と同視できる程度に近い値に設定されること、を意味する。本実施形態においては、アンプ113,114の出力電力の上限値は、具体的には14.990Wに設定され、アンプ115の出力電力の上限値は、具体的には19.996Wに設定される。なお、出力電力の上限値は、接続されるスピーカ100の最大入力を超えない範囲で設定されることが好ましい。
【0067】
また、本実施形態の設定記憶部202には、アンプ113,114,115の出力部毎の設定が記憶可能となっている。すなわち、各アンプ113,114,115では、第1出力部OUT1と第2出力部OUT2とで、設定を異ならせることが可能となっている。ただし、本実施形態では、アンプ113,114,115毎に、第1出力部OUT1と第2出力部OUT2とで設定を同一としている。すなわち、例えば、前述のようにアンプ113の出力電力の上限値は15Wに設定されるが、これは、アンプ113の第1出力部OUT1の出力電力の上限値を15Wに設定するとともに、第2出力部OUT2の出力電力の上限値を15Wに設定することを意味する。
【0068】
また、本実施形態では、出力制限部200は、図5に示すように、アンプ113,114,115の出力電圧(出力振幅)が設定された値を超えることとなる場合に、当該設定値を超えないように抑えることで、出力電力が上限値以下となるように制御している。具体的には、出力制限部200は、出力電圧が設定値を超えることとなる場合には、出力電圧を当該設定値に抑え、出力波形を当該設定値でクリップさせる。これにより、アンプ113,114,115の出力電力の上限値が、当該設定値に応じた値に制限される。すなわち、本実施形態のアンプ113,114,115では、設定記憶部202としての11ビットのレジスタの記憶値によって指定されるのは、具体的には出力電圧の最大値となっており、アンプ113,114,115に設定された出力電力の上限値(0.001W~51.43W)とは、負荷抵抗(スピーカの定格インピーダンス)を8Ωとした場合における、指定された出力電圧の最大値に基づいて算出される出力電力ということができる。ただし、出力制限部200による出力電力の上限値の制御は、このような構成により行うものに限られず、出力電力(接続されるスピーカ100への入力電力)を、設定された範囲内に収めることが可能なものであればよい。
【0069】
なお、アンプ113,114,115の出力電力の上限値は、各アンプに接続されるスピーカ100の最大入力に応じた設定であれば、各アンプに接続されるスピーカ100の最大入力となるように設定されるものでなくてもよい。ここで、「スピーカ100の最大入力に応じた設定」とは、例えば、接続されるスピーカ100の最大入力が大きいほど出力電力の上限値が大きいものであってもよく、接続されるスピーカ100の最大入力と出力電力の上限値との差がスピーカ同士で略同一となるものであってもよく、接続されるスピーカ100の最大入力に対する出力電力の比率(割合)がスピーカ同士で略同一となるものであってもよい。
【0070】
また、本実施形態では、スピーカ100の定格入力は、スピーカ100a,100b,100c,100dとスピーカ100eとで同一となっているが、アンプ113,114,115の出力電力の上限値をスピーカの種類毎に異ならせている。換言すると、アンプ113,114と、アンプ115との出力電力の上限値の差の絶対値をX(5W)とし、スピーカ100a,100b,100c,100dと、スピーカ100eとの最大入力の差の絶対値をY(5W)とし、スピーカ100a,100b,100c,100dと、スピーカ100eとの定格入力の差の絶対値をZ(0W)とすると、X≒Y>Z(またはX=Y>Z)であり、|X-Y|<|X-Z|となっている。また、アンプ113,114,115の出力電力の上限値と、接続されるスピーカ100の最大入力との差の絶対値をP、アンプ113,114,115の出力電力の上限値と、接続されるスピーカ100の定格入力との差の絶対値をQとすると、全てのスピーカについて、P<Qとなっている。換言すると、アンプ113,114,115の出力電力の上限値は、定格入力ではなく最大入力に近い側(最大入力と一致する場合を含む)に設定されている。
【0071】
本実施形態の遊技機は、
第1スピーカ100aと、
仕様上の最大入力が前記第1スピーカよりも大きい第2スピーカ100eと、
前記第1スピーカ100aが接続される第1アンプ113と、
前記第2スピーカ100eが接続される第2アンプ115と、を備え、
前記第1アンプ113と前記第2アンプ115とは、出力電力の上限値を設定可能なアンプであり、
前記第1アンプ113と前記第2アンプ115とは、前記出力電力の上限値が、接続されるスピーカの仕様上の最大入力に応じた値に設定される。
本構成によれば、各アンプの出力電力の上限値が、各アンプに接続されるスピーカの最大入力に応じたものとなる。したがって、各アンプについて、接続されるスピーカの最大入力に対して余力があるうちに出力が制限され、音響的な損失が発生してしまうことを防止できる。また、各スピーカに過大入力がされてしまうことを防止できるとともに、スピーカの最大入力を超える出力がされてしまうことにより、音の歪みが生じてしまうことを防止できる。
【0072】
また、前記第1アンプ113と前記第2アンプ115とは、前記出力電力の上限値が、接続されるスピーカの仕様上の最大入力に設定されている。
本構成によれば、スピーカの最大入力と略同一の範囲までアンプの出力を大きくすることができ、歪みを生じることなく出力可能な音の範囲を広くすることができる。
【0073】
(スロットマシンへの適用)
上記実施形態では、遊技価値として遊技球を用いるパチンコ遊技機に本発明を適用する例について説明したが、遊技価値としてメダルあるいは電子的情報を用いて賭数を設定し、スタートレバーに対する遊技開始操作によりリールを回転させ、回転するリールをストップボタンに対する停止操作により停止させ、リールが停止したときの図柄の種類や図柄の組み合わせにより入賞が発生可能なスロットマシンに適用してもよい。
【0074】
例えば、スロットマシンに上記実施形態に係る構成を適用する場合は、スロットマシンが、スピーカ100a,100b,100c,100d,100e等の複数のスピーカと、アンプ113,114,115とを備え、副制御基板72(演出音制御部76)が上述の音に係る制御や、アンプ出力の制御等を行うこととしてもよい。
【0075】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、前述した制御動作は、メダルレス遊技機等にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
【0076】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0077】
72 副制御基板
74 演出制御部
76 演出音制御部
100a,100b スピーカ(第1スピーカ)
100c,100d スピーカ
100e スピーカ(第2スピーカ)
図1
図2
図3
図4
図5