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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20240813BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61M5/145 500
A61M5/142 500
A61M5/142 520
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022091486
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2019541299の分割
【原出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2022119981
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】17153997.6
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516147408
【氏名又は名称】ソシエテ・アンデュストリエール・ドゥ・ソンスボズ・エスアー
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE INDUSTRIELLE DE SONCEBOZ SA
【住所又は居所原語表記】5, rue Rosselet Challandes, CH-2605 Sonceboz, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ストウブ・ダビッド
(72)【発明者】
【氏名】マルタン・ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】バイロ・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ティロワ・デニス
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03464359(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0213851(US,A1)
【文献】特表2015-536742(JP,A)
【文献】実開昭59-093442(JP,U)
【文献】特表2014-510571(JP,A)
【文献】国際公開第2016/134221(WO,A1)
【文献】特表2002-518107(JP,A)
【文献】特表2016-524513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置のためのポンプシステム(8)において、
ポンプ駆動装置(16)と、入口ポート(32)および出口ポート(34)を含み、ポンプピストン(26)および弁ピストン(28)を収容するポンプチャンバ(24)を形成するポンプハウジング(22)を有するポンプ(14)と、を含み、
前記ポンプ(14)は、前記弁ピストン(28)の位置に応じて、前記ポンプハウジングの前記入口ポートおよび前記出口ポートのうちの少なくとも1つを前記ポンプチャンバ(24)に選択的に接続および切断するように構成された弁チャネル(44)を含み、
前記ポンプピストンおよび前記弁ピストンは、前記ポンプチャンバ内で共通軸(A)に沿って直線的にスライド可能であり、
前記弁ピストンおよび前記ポンプピストンは、それぞれ別の動作機構によって独立して作動され
前記弁ピストン(28)は、前記ポンプハウジング(22)の内側表面(23)と共に前記弁チャネル(44)を形成するように前記内側表面に係合するように構成された弁チャネル部分(49a、49b)を含むオーバーモールド部分(49)を含む、ポンプシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプシステムにおいて、
前記ポンプ駆動装置は、前記弁ピストンに連結された弁モータと、前記ポンプピストンに連結されたピストンモータと、を含み、
前記弁モータおよび前記ピストンモータは、独立して制御可能である、ポンプシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のポンプシステムにおいて、
前記ポンプ駆動装置は、前記弁モータを前記弁ピストンに連結する第1のトランスミッション(52)と、前記ピストンモータを前記ポンプピストンに連結する第2のトランスミッション(54)と、を含む、ポンプシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のポンプシステムにおいて、
前記第1および第2のトランスミッションはそれぞれ、それぞれの前記ピストンに固定された歯付きラックと、それぞれの前記モータと前記歯付きラックとの間の減速歯車組立体と、を含む、ポンプシステム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポンプシステムにおいて、
前記ポンプ駆動装置は、いかなる角運動もなしに前記弁ピストンを直線的に作動させるように構成されている、ポンプシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のポンプシステムにおいて、
前記弁ピストンは、前記ポンプハウジングの内側にシールするように嵌められた単一部品であり、
前記弁チャネルは、前記ポンプハウジングの内側表面(23)から、前記弁ピストンを通って、前記ポンプの前記ポンプチャンバ内に延びるように構成されている、ポンプシステム。
【請求項7】
請求項に記載のポンプシステムにおいて、
前記オーバーモールド部分は、前記入口ポート(32)および前記出口ポート(34)を前記ポンプチャンバ(24)から選択的にシールするように構成されている、ポンプシステム。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載のポンプシステムを含む薬剤再構成装置において、
記ポンプハウジング(22)は、追加のポート(36)を含み、前記追加のポートおよび前記入口ポート(32)は、第1および第2の薬剤再構成ポート(32、36)に対応し、
前記薬剤再構成装置は、第1の成分を収容する第1の成分容器と、第2の成分を収容する第2の成分容器とを連結するように構成され、
前記ポンプハウジングの前記出口ポートは、前記第1および第2の成分を含む再構成された薬剤を送達するように構成されている、薬剤再構成装置。
【請求項9】
請求項に記載の薬剤再構成装置において、
前記第1および第2の成分容器をそれぞれ前記ポンプハウジング(22)の前記第1および第2の薬剤再構成ポート(32、36)と流体的に相互接続するように構成された第1および第2の容器ドッキングインターフェースを含むドッキングインターフェースをさらに含む、薬剤再構成装置。
【請求項10】
請求項またはに記載の薬剤再構成装置において
記オーバーモールド部分(49)は、前記第1および第2の薬剤再構成ポート(32、36)ならびに前記出口ポート(34)を前記ポンプチャンバ(24)から選択的にシールするように構成されている、薬剤再構成装置。
【請求項11】
パッチポンプにおいて、
請求項1~のいずれか一項に記載のポンプシステムを含む、パッチポンプ。
【請求項12】
パッチポンプにおいて、
請求項10のいずれか一項に記載の薬剤再構成装置を含む、パッチポンプ。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、薬物を経皮的に送達するための薬剤送達装置に関する。薬剤送達装置は、特に、ポンプシステムおよび経皮送達システムを組み込んだ薬剤送達のためのパッチポンプの形態であり得る。
【0002】
〔関連技術の説明〕
ある用量の薬物の規則的な経皮投与は、糖尿病、成長ホルモン欠乏症、疼痛治療、および化学療法後の治療などの多くの状態の制御または治療において必要である。例えば、糖尿病患者は、1日に数回のインスリンの注射を必要とし得る。糖尿病患者に必要とされるインスリン投薬計画は、例えば、糖尿病のタイプ、投与されるインスリンのタイプ、状態の実際の重症度、患者の生活様式、患者のルーチンおよび食事を含むいくつかの要因に応じて変化する。したがって、糖尿病患者は、しばしば、1日に数回、病院または医療センター以外の場所で、ある用量のインスリンを自分で投与する必要がある。
【0003】
薬物の自己投与を容易にするために、いくつかの薬剤送達装置が開発されてきた。これらの装置は、一般に、投与される薬剤を収容するカートリッジと、カートリッジから所定体積の薬剤をポンピングするためのマイクロポンプと、患者に薬剤を送達するためのカニューレを経皮挿入するための針作動機構を含む経皮送達システムと、を組み込むパッチポンプの形態である。
【0004】
カニューレを経皮挿入するための針作動機構の例は、国際公開第2008/024810号および米国特許第7846132号に示されている。これらの機構は、針挿入運動および針引き抜き運動を行うための別個の付勢要素を有し、これは、このような機構の信頼性に悪影響を及ぼし得る。さらに、薬剤送達装置のリザーバをカニューレと流体連通させるために穿孔されるように構成された国際公開第2008/024810号による隔壁を使用することは、汚染の危険性および滅菌状態を確実にする困難性を増大させる。
【0005】
パッチポンプに容易に組み込まれるように開発されたマイクロポンプの一例は、EP2992916に記載されている。このポンプは、糖尿病の治療のためのインスリンなどの液体薬品を連続的に送達するように構成され、モータのピニオンギアに係合するラックを備えたピストンを含み、ポンプハウジングの内表面との摩擦係合によって固定されたままであるフローティングピストンの内側で前後に移動するように取り付けられる。フローティングピストンは、モータによって生成されたトルクがフローティングピストンの摩擦係合に打ち勝つと、ピストンチャンバをポンプハウジングの入口および出口と流体連通させるように構成されたチャネルを含む。このシステムの欠点には、ポンピングされる体積とポンプサイズとの比率が最適でないことが含まれる。また、ポンピングされる体積は不変であり、固定ピストンストロークによって規定され、それによって、特定の用途では、ポンピングされる体積を変化させ得ることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、第1の態様によれば、患者にとって信頼性があり、安全で、快適である、経皮送達システムを備えた薬剤送達装置を提供することである。
【0007】
細い針およびカニューレゲージと連動するように構成された経皮送達システムを提供することが有利であろう。
【0008】
リザーバとカニューレとの間の安全な流体接続を提供する経皮送達システムを提供することが有利であろう。
【0009】
製造するのに費用効率が高い経皮送達システムを提供することが有利であろう。
【0010】
操作および使用が容易な経皮送達システムを提供することが有利であろう。
【0011】
標準および高粘度薬剤の両方の注入に適合する経皮送達システムを提供することが有利であろう。
【0012】
本発明の目的は、別の態様によれば、信頼性があり、汎用性があり、小型である、医療用途のためのポンプシステムを提供することである。
【0013】
製造するのに費用効果の高いポンプシステムを提供することが有利であろう。
【0014】
特に小さな体積をポンピングするために、正確なポンプシステムを提供することが有利であろう。
【0015】
エネルギー消費の少ないポンプシステムを提供することが有利であろう。
【0016】
種々の医療用途に使用することができるポンプシステムを提供することが有利であろう。
【0017】
種々の特性を有する、特に種々の粘度を有する、さまざまな体積の液体を、ポンピングし得ることが有利であろう。
【0018】
本発明の目的は、第3の態様によれば、信頼性があり、特に小型の構成で薬剤の良好な再構成を可能にする、薬剤再構成装置を提供することである。
【0019】
多用途であり、特に、種々の医療用途に使用することができるか、または、種々の特性を有する、特に種々の粘度を有する、さまざまな体積の液体を再構成することができる、薬剤再構成装置を提供することが有利であろう。
【0020】
製造するのに費用効果が高い薬剤再構成装置を提供することが有利であろう。
【0021】
操作および使用が容易な薬剤再構成装置を提供することが有利であろう。
【0022】
電力効率のよい薬剤再構成装置を提供することが有利であろう。
【0023】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、請求項1に記載の薬剤送達装置の経皮送達システムによって達成される。
【0024】
本発明の第1の態様によれば、カニューレの経皮挿入のために構成された針作動機構と、針およびカニューレの軸方向変位を案内するための針案内要素と、を有する、経皮送達システムを含む薬剤送達装置が本明細書に開示される。針作動機構はカム部材を含み、カム部材は、カムハウジングと、針案内要素に関してカム部材に回転運動を与えるためにカムハウジングの内側に収容されたばねと、を有する。案内要素は、針ホルダーに固定された針と、カニューレホルダーに固定されたカニューレと、を案内する。針ホルダーおよびカニューレホルダーはそれぞれ、係合部分を含み、針ホルダーの係合部分は、第1および第2のカム表面と係合するように構成され、カニューレホルダーの係合部分は、ロック表面と係合するように構成されている。第1および第2のカム表面は、針挿入運動のために構成された第1の勾配を有する第1の部分に続き、針後退運動のために構成された第2の勾配を有する第2の部分に沿って、カムハウジングの外側表面の外周部の周りに配置され、針およびカニューレは、第1の所定の角度にわたってカム部材が回転すると、後退位置から延出位置に移動され、針は、第2の所定の角度にわたって前記カム部材がさらに回転すると、後退位置に戻され、それによって、前記第2の所定の角度にわたって回転する間、カニューレホルダーの係合部分は、ロック表面に当接して、カニューレを延出位置に維持する。
【0025】
ある実施形態では、第1および第2のカム表面は、有利には、針挿入運動のために構成された第1の勾配部分に続き、針後退運動のために構成された第2の勾配部分に沿ってカム部材の外周部の周りに配置された針ホルダーガイドの各側に対応することができる。
【0026】
針ホルダーガイドは、例えば、突出部または溝であってもよい。
【0027】
ある実施形態では、カム部材は、有利には、自己駆動カム部材を提供するようにカム部材に角運動を与えるように構成されたばね要素を収容するカムハウジングを含むことができる。
【0028】
ある実施形態では、使用前の位置において、カム部材は、カム部材の回転を防止するために、カム係合要素と係合し得る。
【0029】
送達システムは、有利には、ばね要素によって引き起こされるカム部材の回転を可能にするために、カム係合要素を係合解除するように構成された針挿入解除機構をさらに含み得る。
【0030】
ある実施形態では、針案内要素は針ハウジングを含み、これは、針ハウジングの内側での針ホルダーおよびカニューレホルダーのスライド運動のためのものである。ハウジングの横断面の形状は、針ホルダーおよびカニューレホルダーの横断面の形状に対応することができる。
【0031】
ある実施形態では、針ホルダーは、有利には、カニューレホルダーの上部に取り付けられ得、カム部材の回転時に針およびカニューレの軸方向変位を確実にするように針案内要素と協働し、カニューレホルダーは、針を受容するための貫通孔を含む。
【0032】
ある実施形態では、カニューレホルダーは、入口チューブを受容するための入口開口と、入口開口から貫通孔まで延びる入口チャネルと、を含み得る。針は、有利には、送達システムの使用前の漏れを回避するために、入口チャネルとカニューレとの間をシールする機能を実行するように適合され得る。
【0033】
ある実施形態では、カニューレホルダーの入口開口は、有利には、経皮送達システムの針作動機構の作動後に、針が後退位置に戻されると、カニューレと流体連通するように構成され得る。
【0034】
また、本発明の第2の態様によれば、針の経皮挿入のために構成された針作動機構と、針の軸方向変位のための針案内要素と、を含む経皮送達システムを含む薬剤送達装置が本明細書に開示される。針作動機構は、針軸から離れた軸を中心として針案内要素に対して回転可能なカム部材を含む。カム部材は、カム部材に角運動を与えるように構成された付勢要素を収容するカムハウジングを含む。案内要素は、針ホルダーに接続された針を収容する。針ホルダーは、負の勾配を有する第1の部分に続き、正の勾配を有する第2の部分に沿ってカムハウジングの外周部の周りに配置された針ホルダーガイドの第1および第2のカム表面と係合するように構成された係合部分を含み、針は、所定の回転角度にわたってカム部材が回転すると、後退位置と延出位置との間で移動し、針は、カム部材がさらに回転すると、後退位置に戻る。
【0035】
有利な実施形態では、カムハウジングの回転は、針が延出位置に到達したときにロック要素によって停止される。薬剤注入が完了すると、針挿入解除機構が、ロック要素をカムハウジングから係合解除して、カムハウジングのさらなる回転を可能にし、針を後退位置に安全に移動させ、それによって針損傷を回避する。
【0036】
本発明の目的は、請求項10に記載の薬剤送達装置のポンプシステムによって達成される。
【0037】
本発明の第3の態様によれば、ポンプ駆動装置およびポンプを含む、薬剤送達装置のためのポンプシステムが本明細書に開示される。ポンプは、入口ポートおよび出口ポートを有し、ポンプピストンおよび弁ピストンを収容するポンプチャンバを形成する、ポンプハウジングを含む。ポンプは、弁ピストンの位置に応じて、ポンプハウジングの入口ポートおよび出口ポートのうちの少なくとも1つをポンプチャンバに選択的に接続および切断するように構成された弁チャネルを含む。ポンプピストンおよび弁ピストンは、ポンプチャンバ内で共通軸(A)に沿って直線的にスライド可能であり、弁ピストンおよびポンプピストンは、独立して作動される。
【0038】
有利な実施形態では、ポンプ駆動装置は、弁ピストンに連結された弁モータと、ポンプピストンに連結されたピストンモータと、を含み、弁モータおよびピストンモータは、独立して制御可能である。
【0039】
ある実施形態では、ポンプ駆動装置は、弁モータを弁ピストンに連結する第1のトランスミッションと、ポンプモータをポンプピストンに連結する第2のトランスミッションと、を含む。
【0040】
有利な実施形態では、第1および第2のトランスミッションはそれぞれ、それぞれのピストンに固定された歯付きラックと、それぞれのモータと歯付きラックとの間の減速歯車組立体と、を含む。
【0041】
ポンプ駆動装置は、いかなる角運動もなしに弁ピストンを直線的に作動させるように構成され得る。
【0042】
ある実施形態では、弁ピストンは、ポンプハウジングの内側にシールするように嵌められた単一部品であってよい。弁チャネルは、ポンプハウジングの内側表面から、弁ピストンを通って、ポンプのポンプチャンバ内に延びるように構成され得る。
【0043】
有利な実施形態では、ポンプシステムでは、弁ピストンは、ポンプハウジングの内側表面と共に弁チャネルを形成するように前記内側表面に係合するように構成された弁チャネル部分を含むオーバーモールド部分を含む。
【0044】
有利な実施形態では、オーバーモールド部分は、入口ポートおよび出口ポートをポンプチャンバから選択的にシールするように構成されている。
【0045】
また、本発明の第4の態様によれば、第3の態様に従って前述したようなポンプシステムを含む薬剤再構成装置が本明細書に開示され、ポンプハウジングは追加のポートを含み、追加のポートおよび入口ポートは第1および第2の薬剤再構成ポートに対応している。薬剤再構成装置は、第1の成分を収容する第1の成分容器と、第2の成分を収容する第2の成分容器とを連結するように構成され、ポンプハウジングの出口ポートは、第1および第2の成分を含む再構成された薬剤を送達するように構成されている。
【0046】
有利な実施形態では、薬剤再構成装置は、第1および第2の成分容器をそれぞれポンプハウジングの第1および第2の薬剤再構成ポートと流体的に相互接続するように構成された第1および第2の容器ドッキングインターフェースを含むドッキングインターフェースをさらに含む。
【0047】
有利な実施形態では、弁ピストンのオーバーモールド部品は、第1および第2の薬剤再構成ポートならびに出口ポートをポンプチャンバから選択的にシールするように構成されている。
【0048】
有利な実施形態では、薬剤再構成装置のポンプの弁ピストンは、弁ピストンがポンプハウジングの内側にシールするように嵌められるように、オーバーモールドされたシール部分を有する単一部品として形成され得る。
【0049】
有利な実施形態では、薬剤再構成装置のポンプの弁ピストンの弁チャネルは、ポンプハウジングの内側表面から弁ピストンを通ってポンプチャンバ内に延びるように構成され得る。
【0050】
また、本発明の第5の態様によれば、ポンプ駆動装置と、第1および第2の薬剤再構成ポートならびに出口ポートを含むポンプハウジングを有するポンプと、を含むポンプシステムを使用して、薬剤を再構成するための方法が、本明細書に開示される。ポンプハウジングは、ポンプピストンおよび弁ピストンを収容するポンプチャンバを形成し、ポンプは、弁ピストンの位置に応じて、第1および第2の再構成ポートのうちの少なくとも1つをポンプチャンバに選択的に接続および切断するように構成された弁チャネルを含み、ポンプピストンおよび弁ピストンは、ポンプチャンバ内でポンプ軸(A)に沿って直線的にスライド可能であり、弁ピストンおよびポンプピストンは、独立して作動される。
【0051】
この方法は、以下の:i)弁ピストンを、ポンプハウジングの薬剤再構成ポートが流体連通している第1の軸方向位置に設定するステップと、ii)薬剤再構成段階中に、第1の容器に収容された第1の成分を、ポンプの弁チャネルを通じて、第2の成分を収容する第2の容器内に押し込んで、第2の容器の内側で薬剤を再構成するステップと、iii)チャンバ充填段階中に、ポンプピストンをポンプ軸に沿って弁ピストンから離れるように駆動して、再構成された薬剤を第2の容器からポンプチャンバに引き込むステップと、iv)チャンバ充填段階の完了時に、弁ピストンを第2の軸方向位置に駆動するステップであって、前記第2の軸方向位置では、弁チャネルは出口ポートと整列され、薬剤再構成ポートは弁ピストンによって閉鎖される、ステップと、v)薬剤投与段階中に、ポンプピストンをポンプ軸に沿ってピストン弁に向かって駆動し、再構成された薬剤を、ポンプチャンバから、弁チャネルおよび出口ポートを通じて排出するステップと、を含み得る。
【0052】
ある実施形態では、第1の容器に収容された希釈剤または溶媒が、薬剤再構成段階中に、第1の薬剤再構成ポート、弁チャネル、ポンプチャンバ、および第2の薬剤再構成ポートを連続的に通って、第2の容器に押し込まれる。
【0053】
ある実施形態では、第1の容器に収容された希釈剤または溶媒は、薬剤再構成段階中に、第2の薬剤再構成ポート、ポンプチャンバ、弁チャネル、および第1の薬剤再構成ポートを連続的に通って、第2の容器に連続的に押し込まれる。
【0054】
有利な実施形態では、弁ピストンは、ポンプハウジングの薬剤再構成ポートおよび出口ポートが弁ピストンによって閉鎖される、ステップi.)の前に、安全位置に設定され得る。
【0055】
ある実施形態では、第1の容器は、加圧され、それによって、ポンプシステムを駆動する必要なしに、薬剤再構成段階中に第1の容器から第2の容器に溶媒を押し込むことができる。
【0056】
ある実施形態では、第1の容器は、注射器の形態である。溶媒は、薬剤再構成段階中に注射器のプランジャが押されて注射器を空にすると、注射器から第2の容器に押し出され得る。
【0057】
また、本発明の第6の態様によれば、本発明の第1の態様による薬剤送達装置、本発明の第3の態様によるポンプシステム、または本発明の第4の態様による薬剤再構成装置と、カートリッジと、電源と、制御システムと、を含むパッチポンプが本明細書に開示される。
【0058】
本明細書におけるさまざまな特徴は、具体的に例示され説明されたもの以外の組み合せを提供するために、前述した態様のうちの1つ以上と組み合わせることができる。本発明のさらなる目的および有利な特徴は、特許請求の範囲、詳細な説明、および添付の図面から明らかになるであろう。
【0059】
本発明のより良い理解のために、また、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを示すために、例として、添付図面を参照する。
【0060】
〔例示的な実施形態の詳細な説明〕
図面、特に図1図3を参照すると、本発明のある実施形態によるパッチポンプ2の形態の薬剤送達装置は、カバー部分3および皮膚接着表面5bを画定するベース5を備えるパッチポンプハウジングと、投与される薬剤を収容するカートリッジ4と、例えばバッテリー6の形態の電源と、ポンプ14、およびトランスミッション52、54を介してポンプに連結されたポンプ駆動装置16を備えるポンプシステムと、経皮送達システム10と、特にポンプシステムのポンプ駆動装置16を動作させ、後で説明するようにカニューレの経皮挿入のための経皮送達システムを解放するように構成された制御システム12(図3)と、を含む。カバー部分3は、起動ボタン3cと、状態表示部3dと、を含む。ベース5の皮膚接着表面5bには、パッチポンプを患者の皮膚に接着させるための、それ自体が当技術分野で知られている接着層を設けることができる。
【0061】
図4a~図5eで最もよく分かるように、ポンプ14は、入口ポート32および出口ポート34を備えたポンプハウジング22と、ポンプチャンバ24と、往復ポンプピストン26と、弁軸を中心とした角運動なしに軸方向Aに沿って駆動されるように構成された弁ピストン28と、を含む。弁ピストン28は、ポンプハウジング22の内側にシールするようにかつスライド可能に取り付けられており、弁チャネル44を含み、弁チャネル44は、ポンプピストン26のチャンバ充填ストローク中に入口ポート32から弁チャネル44を通じてポンプチャンバ24内に流体を引き込むように入口ポート32をポンプチャンバ24と接続し、ポンプピストン26のチャンバ排出ストローク中に出口ポート34を通じてポンプチャンバ24から流体を排出するように出口ポート34をポンプチャンバ24と接続するように構成されている。特に図5aおよび図5bに示すように、弁ピストン28の弁チャネル44は、ポンプハウジング22の内側表面23に隣接する弁ピストンの側方案内表面25から延びる第1の部分44aと、ポンプチャンバ24に面する弁ピストンのチャンバ側表面27まで延びる第2の部分44bと、を含む。さまざまな弁チャネルの形状、寸法、および弁ピストン28の側方案内表面25とチャンバ側表面27との間の位置を構成することができる。
【0062】
示された実施形態では、以下でより詳細に論じるように、入口ポート32は、例えばチューブ33の形態の第1の液体導管を通じてカートリッジ4に流体接続され、出口ポート34は、例えばチューブ35の形態の第2の液体導管を通じて経皮送達システム10に接続される(図4aおよび図4b)。しかしながら、ポンプ14は、入口ポート32および出口ポート34が、示されるように、カートリッジおよび経皮送達システムと必ずしも流体連通していない、他の医療用途において使用され得ることが理解され得る。さまざまな構成の流体源を入口ポートに接続することができ、さまざまな構成の流体送達システムを出口ポートに接続することができると共に、本発明の実施形態によるポンプシステムの利点から利益を得ることができる。
【0063】
弁ピストン28は、ポンプハウジング22の内側表面23と係合するシール46を含む。弁ピストン28およびポンプピストン26は、さまざまな成形および他の製造技術によって製造することができる。例えば、シールは、ピストンとは別個に形成され(例えば、Oリング)、ピストンに組み立てられてもよく、または、例えば2成分射出成形によって製造される、ピストンの一体部分を形成してもよい。
【0064】
ポンプピストン26および弁ピストン28は、それぞれ第1のトランスミッション52および第2のトランスミッション54を介してポンプ駆動装置16に連結されている。示された例示的な実施形態では、トランスミッションは、ポンプ駆動装置16に連結された減速歯車チェーンのピニオン歯車50、42に係合する、ポンプピストン26および弁ピストン28にそれぞれ固定された、第1の歯付きラック40および第2の歯付きラック48を含む。
【0065】
有利には、図2で最もよく分かるように、ポンプ駆動装置16は、第1のトランスミッション52を介して弁ピストンに連結された弁モータ31と、第2のトランスミッション54を介してポンプピストン26に連結されたピストンモータ30と、を含む。ピストンモータ30および弁モータ31は、ポンプピストンおよび弁ピストンを互いに独立して駆動するように構成されている。各モータは、2つの相を有し、第1のコイル30a、31aおよび第2のコイル30b、31bを含む。この駆動構成によれば、ポンピングされる体積は、有利には、可変用量設定に従って正確な体積の薬剤を送達するために調節され得る。これは、例えば、薬剤のボーラス投与を正確に完了するために特に有利であり得る。
【0066】
ポンプ駆動装置16は、ポンプピストンのストローク長を変化させ、それによって必要に応じてポンプチャンバの容積を調節するために、ポンプピストン26に対する弁ピストン28の軸方向変位を与えるために、制御システム12によって動作され得る。
【0067】
モータとピストンとの間のトランスミッションについて減速歯車およびラックが記載されているが、本発明の他の実施形態によれば、駆動モータをピストンに連結するために、他の形態のトランスミッションを使用することができ、これには、それら自体が既知の駆動およびトランスミッションシステムである、ウォーム歯車、ベルト駆動トランスミッションおよびリニアアクチュエータが含まれることが認識されるであろう。
【0068】
特に図5a~図5eを参照すると、本発明のある実施形態によるポンピングサイクルが示されている。ポンプチャンバ充填ステップの開始時には、図5aで最も良く分かるように、弁ピストン28はポンプピストン26に隣接し、ポンプチャンバ24は本質的にゼロ容積である。弁チャネル44は、ポンプハウジング22の入口ポート32と整列され、一方、出口ポート34は、弁ピストン28の外周部の周りに位置するシール46b、46cによってシールされる。変形体では、シールは、弁ピストンを取り囲むことなく、出口34を囲むように成形することもできることに留意されたい。
【0069】
ポンプチャンバ充填ステップでは、図5bで最もよく分かるように、ポンプピストン26は、ポンプハウジング22の内側に固定されたままの弁ピストン28から離れるように駆動される。したがって、流体は、入口ポート32から弁チャネル44を通ってポンプチャンバ24内に引き込まれる。
【0070】
ピストンチャンバ充填ストロークが完了すると、図5cに示すように、ポンプピストン26および弁ピストン28の両方が同じ軸方向に同じ距離にわたって駆動されて、出口ポート34を開き、入口ポート32を閉じる。これは、出口ポートがポンプチャンバと流体連通するように弁ピストン28を出口ポート34から離れるように移動させ、弁チャネル44を移動させて入口ポート32との整列から外すことによって行われる。弁ピストンとポンプチャンバハウジングの内側表面23との間のシール46cは、ポンプチャンバ内の液体が入口チャネルと連通するのを防止する。
【0071】
次いで、ポンプピストン26は、薬剤投与段階の間、図5dおよび図5eに示すように、ポンプチャンバ24から出口ポート34を通って流体を排出するために、弁ピストン28に向かって移動される。
【0072】
新たなまたは後続のポンプサイクルが必要とされるとき、ポンプチャンバ排出段階の終了後、弁ピストン28およびポンプピストンは、図5aに示すような充填開始位置に戻るように駆動される。
【0073】
ポンプピストンおよび弁ピストンは、ポンプチャンバから液体を排出する前に同じ方向に移動し、排出ステップの終わりから新しい充填ステップの開始まで移動するときにも反対側の同じ方向に移動するので、それぞれのピストンとモータとの間のトランスミッションにおける任意の遊び(公差)は、ポンプチャンバが充填される前およびポンプチャンバが空になる前に吸収され、したがって、ポンプピストンおよび弁ピストンを駆動するときに生じる可能性のあるバックラッシュに起因するポンピングされる体積の変化を低減する。また、ポンプピストン26のストロークを変化させることによって、ポンピングされる液体の体積を変化させることができる。したがって、ポンプは、コンパクトで簡単な構成で、正確な調節できる体積の薬剤を送達するという利点を有する。さらに、本発明によるポンプ構成は、低エネルギー消費を必要とする適用によく適している。また、弁ピストン28は、弁ピストン28の軸方向変位中にポンプチャンバ24とポンプハウジング22の任意のポート32、34との間のいかなる流体連通も防止するために、いくつかの軸方向安全位置(特に図6e、図6l、および図7d参照)に調節することができる。弁ピストン28は、弁ピストンの軸方向位置に応じて、ポンプチャンバ24とポンプのただ1つのポートとの間の流体連通を可能にするようにさらに構成される。
【0074】
このポンプの駆動構成はまた、図6a~図6nに示されるような本発明の別の実施形態による薬剤再構成装置にもよく適している。ポンプ14の構造は、今説明したポンプと同様である。しかしながら、ポンプハウジング22の入口ポートは、2つの薬剤再構成ポートに置き換えられている。より具体的には、薬剤再構成装置は、2つの薬剤再構成ポート32、36および出口ポート34を備えたポンプハウジング22を含む、特に図6aに示されるようなポンプと、それぞれ溶媒または希釈剤および好ましくは凍結乾燥物質の形態であり得る活性物質を収容する第1および第2の成分容器を連結するように構成されたドッキングインターフェース(不図示)と、を含み得る。ドッキングインターフェースは、ポンプチャンバ24内にポンピングされ、患者に投与するために出口ポート34を通って排出されるのに適した形態で第2の成分容器の内側で薬剤を再構成するように、凍結乾燥された物質を溶解するために、第1および第2の成分容器を、第1および第2のチャネルをそれぞれ通って、ポンプ14の第1の薬剤再構成ポート32および第2の薬剤再構成ポート36とそれぞれ流体的に相互接続するように構成された、第1および第2の容器ドッキングインターフェースを含み得る。
【0075】
有利な実施形態では、薬剤再構成装置は、パッチポンプ2内のカートリッジ4を、例えば再構成された薬剤を患者に投与するためのチューブの形態の液体導管を通じて経皮送達システム10に接続されたポンプの出口ポート34と置き換えることができる。しかしながら、薬剤再構成装置は、必ずしもパッチポンプに組み入れられる必要はなく、例えば、本発明の実施形態による任意のタイプの流体送達装置に組み込まれてもよい。再構成された薬剤はまた、ポンプの出口ポート34に接続された注入チューブを通して患者に投与さると共に、本発明の実施形態によるポンプシステムの利点から利益を得ることができる。
【0076】
ここで、特に図6b~図6nを参照すると、本発明のある実施形態による薬剤再構成装置のポンプのポンピングサイクルが示されている。ポンプチャンバ充填ステップの開始時には、図6bに示すように、弁ピストン28はポンプピストン26に隣接し、ポンプチャンバ24は本質的にゼロ容積である。弁チャネル44は、ポンプの第1の薬剤再構成ポート32と整列され、一方、第2の薬剤再構成ポート36および出口ポート34は、弁ピストン28に位置するカスタマイズされたシールによってシールされる。
【0077】
ポンプチャンバ充填ステップでは、図6cで最もよく分かるように、ポンプピストン26は、ポンプハウジング22の内側に固定されたままの弁ピストン28から離れるように駆動される。したがって、溶媒または希釈剤は、第1の容器から、ドッキングインターフェースの第1のチャネル、第1の薬剤再構成ポート32、弁チャネル44を連続的に通って、ポンプチャンバ24に引き込まれる。
【0078】
ピストンチャンバ充填ストロークが完了すると(図6d)、図6eに示すように、ポンプピストン26および弁ピストン28の両方が同じ軸方向に同じ距離にわたって駆動されて、弁チャネル44を第2の薬剤再構成ポート36と整列させて(図f)、第2の容器をポンプチャンバ24と流体連通させ、弁ピストン28上に位置するシールによって第1の薬剤再構成ポート32および出口ポート34をシールする。
【0079】
次いで、ポンプピストン26は、薬剤再構成段階中に、図6gに示すように、弁ピストン28に向かって移動され、弁チャネル44、第2の薬剤再構成ポート36、ドッキングインターフェースの第2のチャネルを通ってポンプチャンバ24から流体を排出して第2の容器に入れ、第2の容器の内側で凍結乾燥された薬剤を溶解する。
【0080】
ピストン薬剤再構成ストロークが完了すると(図h)、ポンプピストン26は、図6iに示すように、ポンプハウジング22の内側に固定されたままである弁ピストン28から離れるように駆動される。したがって、再構成された薬剤は、チャンバ充填ステップ中に、第2の容器から、ドッキングインターフェースの第2のチャネル、第2の薬剤再構成ポート36、弁チャネル44を通ってポンプチャンバ24内に引き込まれる。
【0081】
ピストンチャンバ充填ストロークが完了すると(図6j)、ポンプピストン26および弁ピストン28の両方が、図6kに示されるように、同じ軸方向に同じ距離にわたって駆動されて、出口ポート34を開き、第2の薬剤再構成ポート36を閉じ、一方、第1の再構成ポート32は閉じたままである(図6l)。
【0082】
次いで、ポンプピストン26は、薬剤投与段階中、図6mおよび図6nに示すように、弁ピストン28に向かって移動され、ポンプチャンバ24から出口ポート34を通って再構成された薬剤を排出する。
【0083】
有利な実施形態では、ポンプは、図7a~図7gに示すように、ポンピングシーケンスの連続するステップに従って自動的に薬剤を再構成するために構成される。ポンプハウジング22の第1の薬剤再構成ポート32および第2の薬剤再構成ポート36は、例えば、加圧溶媒または希釈剤および凍結乾燥薬剤の形態であり得る活性物質をそれぞれ収容する、第1および第2の容器(不図示)にそれぞれ接続され得る。薬剤再構成段階中、図7aに示すように、弁ピストン28はポンプピストン26に隣接している。弁ピストン28の弁チャネル44は、ポンプの第1の薬剤再構成ポート32と整列され、第2の薬剤再構成ポート36は第2の容器と流体連通し、加圧溶媒または希釈剤は、第1の容器から、第1の再構成ポート32、弁チャネル44、ポンプチャンバ24、および第2の薬剤再構成ポート36を連続的に通って、第2の容器内に押し出され、そこで、希釈剤が、活性物質を溶解して、第2の容器の内側にある薬剤を、患者に投与される適切な形態に再構成する。
【0084】
ポンプチャンバ充填ステップでは、図7bに示すように、ポンプピストン26は、ポンプハウジング22の内側に固定されたままである弁ピストン28から離れるように駆動される。再構成された薬剤は、第2の容器から第2の薬剤再構成ポート36を通ってポンプチャンバ24に引き込まれる。ポンプチャンバ充填ステップは、好ましくは、第1の容器の全内容物を出して空になった後に開始され、このステップの最中に、溶媒がそれ以上ポンプチャンバに引き込まれないようにする。しかしながら、安全上の理由から、逆流防止弁を第1の薬剤再構成ポート32に取り付けることができる。
【0085】
ピストンチャンバ充填ストロークが完了すると(図7c)、ポンプピストン26および弁ピストン28の両方が、図7dに示すように、同じ軸方向に同じ距離にわたって駆動され、弁チャネル44を出口ポート34と整列させ(図7e)、弁ピストン28上に位置するシールによって第1の薬剤再構成ポート32および第2の薬剤再構成ポート36を閉じる。
【0086】
次いで、ポンプピストン26は、薬剤投与段階中、図7fおよび図7gに示すように、弁ピストン28に向かって移動され、ポンプチャンバ24から、弁チャネル44および出口ポート34を通って、再構成された薬剤を排出する。
【0087】
ポンプシステム構成は、有利には、薬剤再構成プロセスの前述のシーケンスに従って、ポンプピストンの2つのストロークのみを必要とし、それによって、低電力消費での迅速な薬剤再構成を可能にする。
【0088】
変形体では、溶媒/希釈剤は、入口ポート内に配置された隔壁を穿孔し、注射器のプランジャを押して溶媒/希釈剤を第2の容器内に押し込むことによって注射器によって注入することができ、その結果、弁システムは、前述したように動作する。
【0089】
図8に示すような有利な実施形態では、弁ピストン28は、弁ピストンコア28aの外側表面の一部の上にオーバーモールド部分49を含む。オーバーモールド部分49は、ポンプハウジング22の内側表面23と係合するように構成されたシールビード(図9a)を含み、薬剤再構成装置に適しているかまたは複数の薬剤容器からの薬剤の送達に適したポンプのポンプチャンバ24にポート32、34を選択的に接続および切断するように構成された弁チャネル44を形成する。弁チャネル44は、弁ピストンの軸方向位置に応じて、ポンプチャンバ24からポート32、34まで延びる。
【0090】
より具体的には、オーバーモールド部分49は、弁チャネル44を形成するためにポンプハウジング22の内側表面23と係合するシールビードによって取り囲まれた弁チャネル部分49a、49bを含む。弁チャネル部分49a、49bは、弁凹部49aと、弁凹部49aおよびポンプチャンバ24と流体連通する弁溝49bと、を含む。弁凹部49aは、弁ピストン28の軸方向位置に応じて、ポンプのポート32またはポート34と流体連通するように、ある角距離にわたって周方向に延びる。オーバーモールド部分49は、オーバーモールド部分49の並進が作動されるときに、ポンプハウジング22の内側表面23とオーバーモールド部分49との間の摩擦を最小限に抑えて、有利にはポンプのポンピングシーケンスに従って少なくとも2つのポートを選択的にシールする弁チャネル部分49a、49の周りに配置されたシールビードによって取り囲まれた追加の凹部49c、49d、49e、49fを含む。
【0091】
弁ピストン28のオーバーモールド部分49は、ポート32、ポート34、ポート36と、ポンプチャンバ24と流体連通する弁チャネルとの間をシールする機能を達成するために、熱可塑性エラストマー(TPE)またはシリコンゴムのような軟質構成要素から作ることができる。この実施形態による弁ピストン28は、弁チャネルおよびシールが同じ材料で作られているので、有利には、ポンピングされた流体と接触する構成要素の数を減少させ、それによって、ポンプ内で粒子を発生させる危険性を減少させる。これはまた、試験される材料の数を減少させることによって、薬剤適合性との整合性を達成するのを容易にする。さらに、弁ピストンコア28aの寸法公差は、ポンプのシール特性に悪影響を及ぼすことなく増大され得、それによって製造プロセスを容易にする。
【0092】
図9aに示すように、ポンプチャンバ24は、オーバーモールド部分49によってポート32およびポート34の両方からシールされ、ポート36と流体連通している。したがって、流体は、ポンピングシーケンスおよびポンプ構成に応じて、ポート36からポンプチャンバ24内に直接ポンピングされるか、またはポート36を通ってポンプチャンバ24から排出され得る。
【0093】
弁ピストン28がポンプピストン(不図示)に向かって軸方向に変位すると、ポンプは、図9bに示すように、オーバーモールド部分49(図8)の凹部49d、49f、および49cを取り囲む(形成する)それぞれのシールリングによって、すべてのポート32、34、36がポンプチャンバ24からシールされる、安全構成になる。
【0094】
弁ピストン28がポンプピストン(不図示)に向かってさらに軸方向に変位すると、ポート32が、弁チャネル部分49a、49bを通じてポンプチャンバ24と流体連通し、それによって、その他のポート34、36は、図9cに示すように、オーバーモールド部分49の凹部49fおよび49cを取り囲み形成するシールリングによってポンプチャンバ24からシールされる。したがって、流体は、ポンピングシーケンスおよびポンプ構成に応じて、ポート32から弁チャネル(不図示)を通ってポンプチャンバ24内にポンピングされるか、または弁チャネルおよびポート32を通ってポンプチャンバ24から排出され得る。
【0095】
弁ピストン28がポンプピストン(不図示)に向かってさらに軸方向に変位すると、ポンプは、まず、オーバーモールド部分49の凹部49e、49fおよび49dを取り囲むそれぞれのシールリングによってすべてのポート32、34、36がポンプチャンバ24からシールされる安全構成(図9d)になり、次に、ポート34が、弁チャネル部分49a、49bを通じてポンプチャンバ24と流体連通し、それによって、ポート32、36が、オーバーモールド部分49の凹部49eおよび49dの周りのそれぞれのシールリングによってポンプチャンバ24からシールされる構成(図9e)になる。
【0096】
ポンプのポート32、34、36のいずれも、ポンプの構成に従って入口ポートまたは出口ポートとして機能し得る。また、より多くの複数のポート、例えば、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のポートが設けられてもよい。ポートは、再構成される薬剤の成分、例えば粉末薬剤および溶媒、または2つ以上の液体薬剤、または再構成のための薬剤成分と液体薬剤との組み合わせに、接続され得る。したがって、多剤治療は、第1の薬剤レシピエントに接続された第1のポートからポンプチャンバ内の液体薬剤を引き込み、弁ピストンを移動させて弁チャネル44、49a、49bを出口ポート34と整列させ、第1の薬剤を排出し、次いで、薬剤の連続送達のために、第2の入口ポートに接続された第2の容器内の第2の薬剤を用いて動作を繰り返すことによって、投与され得る。さらなる薬剤は、第3のポートまたはそれ以上のポートに接続され得、同じようにして送達され得る。また、2つ以上の薬剤を連続的に引き込むことによって、ポンプチャンバ内でその2つ以上の薬剤を混合することも可能であり、弁ピストンは、排出段階のためにその後弁ピストンを出口ポートに移動させる前に、ポンプピストンの取り入れストロークの間に、第1の薬剤に接続された1つのポートから別の薬剤に接続された別のポートへと移動される。
【0097】
2つ以上の薬剤容器をそれぞれの2つ以上の入口ポートに接続することは、医療装置内の薬物の体積を増大させるのに役立つこともできる。例えば、より体重が重い患者は、送達装置においてより高い体積の薬剤を必要とし得、これは、2つ以上の薬剤容器を薬剤送達装置に接続することによって提供され得る。
【0098】
ある実施形態では、オーバーモールド部分49は、図5a~図5eに示すタイプのポンプの入口/出口ポートと弁チャネルとの間をシールする機能を実行するように変更することができる。
【0099】
ここで図10a~図10dを参照すると、本発明の別の実施形態による経皮送達システム10は、針およびカニューレの軸方向変位のために、針作動機構と、針案内要素20と、を含む。針作動機構は、針案内要素20に対して回転可能なカム部材56を含む。カム部材56はカムハウジング58を有し、カムハウジング58は、例えば、ほぼ円筒形であってよく、カム部材56をベアリングシャフト67の周りで回転させるためのベアリングシャフト受容部分66と、好ましくはカム部材56に回転運動を与えるように構成された予荷重ねじりばねの形態の付勢要素60を収容する環状区画68と、を含む。ベアリングシャフトは、パッチポンプハウジングのベースおよび/またはカバーに固定されてもよい。しかしながら、他の回転ガイド構成が実施されてもよい。例えば、カムハウジングは、パッチポンプのベースおよび/またはカバーに形成されるかまたは固定されたベアリングキャビティに係合する、カムハウジングの軸方向端部に一体のシャフトを含み得る。
【0100】
カム部材56は、特に図10aに示すように、カムロック部分65を含み、これは、パッチポンプ2の使用前にカム部材の回転を防止するためにカム係合要素と係合するためにカムハウジング58の下部に設けられたランド部分の形態とすることができる。カム係合要素は、図13aに示すように、ロッド47の形態であってもよく、その一端部はカムハウジングのランド部分に当接し、ロッドの他端部は弁ピストンに接続される。針挿入解除機構が、パッチポンプ2のカバー部分3に設けられたボタン3cの作動時に制御システム12によって動作され、これにより弁モータ31が駆動され、弁ピストン28をカムハウジングから離れるように移動させ、それによって、図13bに示されるように、ランド部分65からロッド47を係合解除する。しかしながら、他のカム係合構成も考えられる。ロッド47の端部は、例えば、カムハウジングに形成された開口内に収容され得る。
【0101】
変形体では、針挿入解除機構は、手動で動作され得る。例えば、カム係合要素は、パッチポンプハウジングに形成されたオリフィスから突き出ることができ、カム係合要素がカム部材の回転を阻止する第1の軸方向位置と、カム部材からカム係合要素が係合解除される第2の軸方向位置との間で並進運動するように、ばねに取り付けることができる。
【0102】
図12aは、使用前の経皮送達システム10を示す。針72およびカニューレ76は、後退位置にある。案内要素20は、円筒形カニューレホルダー78の上に取り付けられた円筒形針ホルダー74にそれぞれ接続された針72およびカニューレ76を収容する円筒形ハウジング70の形態であることが好ましい。針ホルダー74は、好ましくは針/カニューレ軸に垂直に延びる突出部の形態の、係合部分82a、82bを含み、カム部材56のカムハウジング58の外周部の周りに配された突起部の形態の針ホルダーガイド63の各側に設けられた第1のカム表面62aおよび第2のカム表面62bと係合する。カニューレホルダー78は、カム部材56の下部に設けられ、かつカムハウジング58の外周部の一部の周囲に配された、相補的なロック部分、例えばロック肩部64、と係合するように構成された、例えば針/カニューレ軸に対して横方向に延びる突出物の形態のロック部分84を含む。
【0103】
針ガイド63およびロック表面64は、カム部材56の円筒形ハウジング58の外周部の周りに配置され、針72およびカニューレ76は、カム部材56が所定の角度にわたり回転すると、後退位置と延出位置との間で一緒に移動し、針72は、カニューレホルダー78のロック部分84がロック表面64に当接してカニューレを延出位置に維持する間、カム部材56がさらに回転すると、後退位置に戻る。したがって、カニューレ76の軸方向挿入は、針72の挿入中にカニューレホルダー78を下方に押す、針ガイドによって駆動される針ホルダー74の移動によって与えられ、その結果、カニューレホルダー78のロック部分84は、ロック表面64に当接して、カニューレ76を延出位置に確実に維持する。
【0104】
針ホルダーガイド63は、好ましくは、下向きの挿入勾配を有する第1の部分に続き、上向きの後退勾配を有する第2の部分に沿ってカムハウジング58の外周部の周りに配置され、前述の動きを針72に与えるために、楕円に似た傾斜した突起部を形成する。しかしながら、針ホルダーガイド63は、同じ機能を達成するために、わずかに異なる軌道に従い得ることが認識されるであろう。例えば、傾斜した突起部の第1および第2の部分の勾配は、使用の快適さおよび経皮カニューレ配置の信頼性のために、必要に応じて、針の挿入速度および/または後退速度を最適に制御するために、より高くても低くてもよい。
【0105】
針作動機構は、360°未満であるか、または変形体(不図示)では360°超であってよい、カムハウジング58の回転によって、針72に軸方向の挿入および後退運動を与えるという利点を有する。
【0106】
変形体(不図示)では、針ホルダーガイド63の突起部は、同じ機能を達成するために針ホルダーの突出部を受容するように構成された対応する溝に置き換えることができる。
【0107】
本発明の代替的な実施形態(不図示)によれば、経皮送達システムは、カニューレを使用せずに針を挿入するように構成される。この代替的な実施形態では、カムハウジングの回転は、針が延出位置に到達したときにロック要素によって停止される。薬剤注入が完了すると、針挿入解除機構を使用して、カムハウジングからロック要素を係合解除し、カムハウジングのさらなる回転を可能にして、針を後退位置に安全に移動させ、それによって針の損傷を回避する。
【0108】
図11aおよび図12bで最もよく分かるように、カニューレホルダー78は、針72を受容するための貫通孔88を含み、前述したポンプの出口ポートに接続された第2の導管に対応する入口チューブ35を受容するための入口開口86を含む。針案内要素20の針ハウジング70は、カニューレホルダー78がその軸に沿って動かされるときに入口チューブ35の一部を収容するための垂直溝80(図10b)を含む。有利には、針72は、パッチポンプの使用前の漏れを回避するように、シールする機能を果たす。この目的のために、カニューレホルダー78は、入口開口86から貫通孔88まで延びる入口チャネル87を含む。したがって、カニューレホルダー78の入口開口86は、経皮送達システムの作動後に針72が後退位置(図10e)に戻されると、カニューレ76と流体連通するように構成される。
【0109】
図12a~図12eを参照して、本発明のある実施形態による経皮送達システムの動作原理を説明する。
【0110】
図12aは、使用前の経皮送達システム10を示す。針72およびカニューレ76は、後退位置にある。針挿入解除機構を作動させると、カム部材56のカムハウジング58は、ばね付勢方向(図12bの例証では反時計回り)に回転し、それによって、針72およびカニューレ76を延出位置に移動させるために、針ホルダー74およびカニューレホルダー78に下向きの運動を与える。
【0111】
図12cは、カムハウジング58が約180°回転した後に針72とカニューレ76の両方が経皮的に挿入されたときの経皮送達システム10を示す。針ホルダーガイド63は、180°未満の回転で、または逆に180°を超える回転で完全な針挿入が達成されるように、異なる輪郭で構成されてもよいことに注目することができる。変形体では、針ホルダーガイドは、その移動セクションの端部において、開始位置の上方で螺旋状になって、カムハウジングが360°を超えて回転することを可能にすることができる。
【0112】
図12dは、カムハウジング58のさらなる回転後の経皮送達システム10を示し、ここで、カニューレホルダー78のロック部分84は、ロック表面64に当接し、それによって、カニューレ76を延出位置に固定する。カムハウジング58がさらに回転すると、針ホルダーガイド63と係合する針ホルダー74は上方に移動して針72を後退位置に持ってきて、その結果、図11bおよび図12eに示すように、入口チューブ35はもはやシールされず、薬剤の注入を可能にする。
【0113】
前述した経皮送達システムは、標準粘度薬剤(10cSTまで)の注入のために、0.2mmの針直径および0.4mmのカニューレ直径で機能するように構成され、それによって患者の不快感を低減する。
【0114】
高粘性薬剤を必要とする適用では、経皮送達システムは、ポンプと針の端部との間の圧力損失が低い状態で注入を可能にするために、より高い流路直径に適合させることができる。
【0115】
本発明をいくつかの実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの変更を本発明にもたらし得ることを認識されたい。例えば、本発明のいくつかの実施形態に従って示すように、ポンプの入口ポート、出口ポート、および、適用可能であれば薬剤再構成ポートの配置は、交換され得、かつ/または、流れの方向は、適用に従って逆転されてもよい。
【0116】
〔参照符号リスト〕
薬剤送達装置
パッチポンプ2
パッチポンプハウジング
カバー3
起動ボタン3c
状態表示部3d
ベース5
皮膚接着表面5b
薬剤カートリッジ4
電源(バッテリー)6
ポンプシステム
ポンプ14
ポンプハウジング22
ハウジング内側表面23
ポート32、34、36
入口/第1の薬剤再構成ポート32
出口ポート34
第2の薬剤再構成ポート36
内側表面23
ポンプチャンバ24
ポンプピストン26
シール38
Oリング
弁ピストン28
弁ピストンコア28a
側方案内表面25
チャンバ側表面27
弁チャネル44
第1の部分44a
第2の部分44b
シール46、46a、46b、46c
オーバーモールド部分49
弁チャネル部分49a、49b
弁凹部49a
弁溝49b
凹部49c、49d、49e、49f
第1の導管33
第2の導管35
ポンプ駆動装置16
ピストンモータ30
2つのコイル30a、30b
弁モータ31
2つのコイル31a、31b
トランスミッション52、54
歯付きラック40、48
減速歯車列53
ピニオン42、50
カム係合要素47
ロッド
経皮送達システム10
針/カニューレ作動機構
カム部材56
カムハウジング58
円筒形ハウジング
シャフト受容部分66
ベアリングシャフト67
環状区画68
付勢要素60
予荷重ねじりばね
針カム表面62a、62b
針ホルダーガイド63
カニューレロック表面64
針挿入解除機構65
カムロック部分
針/カニューレ案内要素20
針ハウジング70
垂直溝80
針72
針ホルダー74
カム係合部分
突出部82a、82b
カニューレ76
カニューレホルダー78
カム係合部分84
入口開口86
入口チャネル87
針受容手段88
貫通孔
入口チューブ35
制御システム12
電子回路基板90
【0117】
〔実施の態様〕
(1) 薬剤送達装置(2)において、
針作動機構(18)と、針ホルダー(74)に接続された針(72)、カニューレホルダー(78)に接続されたカニューレ(76)、ならびに前記針および前記カニューレの軸方向変位を案内するように構成された案内要素(20)を含む針組立体と、を有する、経皮送達システム(10)を含み、
前記針作動機構は、カム部材(56)を含み、前記カム部材は、カムハウジング(58)と、前記針案内要素(20)に関して前記カム部材に回転運動を与えるために前記カムハウジングの内側に収容されたばね(60)と、を有し、
前記針ホルダーおよび前記カニューレホルダーはそれぞれ、係合部分を含み、
前記針ホルダーの前記係合部分(82a、82b)は、第1および第2のカム表面(62a、62b)と係合するように構成され、前記カニューレホルダーの前記係合部分(84)は、ロック表面(64)と係合するように構成され、
前記第1および第2のカム表面(62a、62b)は、針挿入運動のために構成された第1の勾配を有する第1の部分に続き、針後退運動のために構成された第2の勾配を有する第2の部分に沿って、前記カムハウジングの外側表面の外周部の周りに配置され、前記針および前記カニューレは、第1の所定の角度にわたって前記カム部材(56)が回転すると、後退位置から延出位置に移動され、前記針は、第2の所定の角度にわたって前記カム部材がさらに回転すると、前記後退位置に戻され、それによって、前記第2の所定の角度にわたって回転する間、前記カニューレホルダーの前記係合部分(84)は、前記ロック表面(64)に当接して、前記カニューレを経皮送達のために構成された前記延出位置に維持する、薬剤送達装置。
(2) 実施態様1に記載の薬剤送達装置において、
前記第1および第2のカム表面は、前記針挿入運動のために構成された第1の勾配部分に続き、前記針後退運動のために構成された第2の勾配部分を有する第1の部分に沿って前記カム部材の前記外周部の周りに配置された針ホルダーガイド(63)の各側に対応する、薬剤送達装置。
(3) 実施態様2に記載の薬剤送達装置において、
前記針ホルダーガイドは、突出部または溝である、薬剤送達装置。
(4) 実施態様1~3のいずれかに記載の薬剤送達装置において、
前記カム部材(56)は、前記カム部材に角運動(angular movement)を与えるように構成されたばね要素(60)を収容するカムハウジング(58)を含む、薬剤送達装置。
(5) 実施態様1~4のいずれかに記載の薬剤送達装置において、
使用前の位置において、前記カム部材は、前記カム部材の回転を防止するためにカム係合要素(47)と係合され、
前記送達システムは、前記ばね要素によって引き起こされる前記カム部材の回転を可能にするために、前記カム係合要素を係合解除するように構成された針挿入解除機構をさらに含む、薬剤送達装置。
【0118】
(6) 実施態様1~5のいずれかに記載の薬剤送達装置において、
前記針案内要素は針ハウジング(70)を含み、前記針ハウジングは、前記針ハウジングの内側での前記針ホルダーおよび前記カニューレホルダーのスライド運動のためのものであり、
前記ハウジングの横断面の形状は、前記針ホルダーおよび前記カニューレホルダーの横断面の形状に対応する、薬剤送達装置。
(7) 実施態様1~6のいずれかに記載の薬剤送達装置において、
前記針ホルダーは、前記カニューレホルダーの上部に取り付けられ、前記カム部材の回転時に前記針および前記カニューレの軸方向変位を確実にするように前記針案内要素と協働し、
前記カニューレホルダーは、前記針を受容するための貫通孔(88)を含む、薬剤送達装置。
(8) 実施態様7に記載の薬剤送達装置において、
前記カニューレホルダーは、入口チューブ(35)を受容するための入口開口(86)と、前記入口開口から前記貫通孔まで延びる入口チャネル(87)と、を含み、
前記針(72)は、前記送達システムの使用前の漏れを回避するために、前記入口チャネルと前記カニューレとの間をシールする機能を実行するように適合されている、薬剤送達装置。
(9) 実施態様8に記載の薬剤送達装置において、
前記カニューレホルダーの前記入口開口は、前記経皮送達システムの前記針作動機構の作動後に、前記針が前記後退位置に戻されると、前記カニューレと流体連通するように構成されている、薬剤送達装置。
(10) 薬剤送達装置のためのポンプシステム(8)において、
ポンプ駆動装置(16)と、入口ポート(32)および出口ポート(34)を含み、ポンプピストン(26)および弁ピストン(28)を収容するポンプチャンバ(24)を形成するポンプハウジング(22)を有するポンプ(14)と、を含み、
前記ポンプ(14)は、前記弁ピストン(28)の位置に応じて、前記ポンプハウジングの前記入口ポートおよび前記出口ポートのうちの少なくとも1つを前記ポンプチャンバ(24)に選択的に接続および切断するように構成された弁チャネル(44)を含み、
前記ポンプピストンおよび前記弁ピストンは、前記ポンプチャンバ内で共通軸(A)に沿って直線的にスライド可能であり、
前記弁ピストンおよび前記ポンプピストンは、独立して作動される、ポンプシステム。
【0119】
(11) 実施態様10に記載のポンプシステムにおいて、
前記ポンプ駆動装置は、前記弁ピストンに連結された弁モータと、前記ポンプピストンに連結されたピストンモータと、を含み、
前記弁モータおよび前記ピストンモータは、独立して制御可能である、ポンプシステム。
(12) 実施態様11に記載のポンプシステムにおいて、
前記ポンプ駆動装置は、前記弁モータを前記弁ピストンに連結する第1のトランスミッション(52)と、前記ポンプモータを前記ポンプピストンに連結する第2のトランスミッション(54)と、を含む、ポンプシステム。
(13) 実施態様12に記載のポンプシステムにおいて、
前記第1および第2のトランスミッションはそれぞれ、それぞれの前記ピストンに固定された歯付きラックと、それぞれの前記モータと前記歯付きラックとの間の減速歯車組立体と、を含む、ポンプシステム。
(14) 実施態様10~13のいずれかに記載のポンプシステムにおいて、
前記ポンプ駆動装置は、いかなる角運動もなしに前記弁ピストンを直線的に作動させるように構成されている、ポンプシステム。
(15) 実施態様10~14のいずれかに記載のポンプシステムにおいて、
前記弁ピストンは、前記ポンプハウジングの内側にシールするように嵌められた単一部品であり、
前記弁チャネルは、前記ポンプハウジングの内側表面(23)から、前記弁ピストンを通って、前記ポンプの前記ポンプチャンバ内に延びるように構成されている、ポンプシステム。
【0120】
(16) 実施態様10~15のいずれかに記載のポンプシステムにおいて、
前記弁ピストン(28)は、前記ポンプハウジング(22)の内側表面(23)と共に前記弁チャネル(44)を形成するように前記内側表面に係合するように構成された弁チャネル部分(49a、49b)を含むオーバーモールド部分(49)を含む、ポンプシステム。
(17) 実施態様16に記載のポンプシステムにおいて、
前記オーバーモールド部分は、前記入口ポート(32)および前記出口ポート(34)を前記ポンプチャンバ(24)から選択的にシールするように構成されている、ポンプシステム。
(18) 実施態様10~17のいずれかに記載のポンプシステムを含む薬剤再構成装置において、
前記ポンプハウジング(22)は、追加のポート(36)を含み、前記追加のポートおよび前記入口ポート(32)は、第1および第2の薬剤再構成ポート(32、36)に対応し、
前記薬剤再構成装置は、第1の成分を収容する第1の成分容器と、第2の成分を収容する第2の成分容器とを連結するように構成され、
前記ポンプハウジングの前記出口ポートは、前記第1および第2の成分を含む再構成された薬剤を送達するように構成されている、薬剤再構成装置。
(19) 実施態様18に記載の薬剤再構成装置において、
前記第1および第2の成分容器をそれぞれ前記ポンプハウジング(22)の前記第1および第2の薬剤再構成ポート(32、36)と流体的に相互接続するように構成された第1および第2の容器ドッキングインターフェースを含むドッキングインターフェースをさらに含む、薬剤再構成装置。
(20) 実施態様17に従属する場合の実施態様18または19に記載の薬剤再構成装置において、
前記オーバーモールド部分(49)は、前記第1および第2の薬剤再構成ポート(32、36)ならびに前記出口ポート(34)を前記ポンプチャンバ(24)から選択的にシールするように構成されている、薬剤再構成装置。
【0121】
(21) ポンプ駆動装置と、第1および第2のポート(32、36)ならびに出口ポート(34)を含むポンプハウジングを有するポンプと、を含むポンプシステムを使用して、薬剤を再構成するための方法であって、前記ポンプハウジングは、ポンプピストン(26)および弁ピストン(28)を収容するポンプチャンバ(24)を形成し、前記ポンプは、前記弁ピストンの位置に応じて、前記第1および第2のポート(32、36)のうちの少なくとも1つを前記ポンプチャンバ(24)に選択的に接続および切断するように構成された弁チャネル(44)を含み、前記弁ピストン(28)および前記ポンプピストン(26)は、独立して作動される、方法において、
i.)前記弁ピストン(28)を、前記ポンプハウジングの前記第1および第2のポート(32、36)が流体連通している第1の軸方向位置に設定するステップと、
ii.)薬剤再構成段階中に、第1の容器に収容された第1の成分を、前記弁チャネル(44)を通じて、第2の成分を収容する第2の容器内に押し込んで、前記第2の容器の内側で前記薬剤を再構成するステップと、
iii)チャンバ充填段階中に、前記ポンプピストン(26)をポンプ軸に沿って前記弁ピストン(28)から離れるように駆動して、再構成された前記薬剤を前記第2の容器から前記ポンプチャンバ(24)に引き込むステップと、
iv)前記チャンバ充填段階の完了時に、前記弁ピストン(28)を第2の軸方向位置に駆動するステップであって、前記第2の軸方向位置では、前記弁チャネル(44)は前記出口ポート(34)と整列され、前記第1および第2のポート(32、36)は前記弁ピストン(28)によって閉鎖される、ステップと、
v)薬剤投与段階中に、前記ポンプピストン(26)を前記ポンプ軸に沿って前記ピストン弁(28)に向かって駆動し、前記再構成された薬剤を、前記ポンプチャンバ(24)から、前記弁チャネル(44)および前記出口ポート(34)を通じて排出するステップと、
を含む、方法。
(22) 実施態様21に記載の方法において、
前記弁ピストンは、前記ポンプハウジングの前記薬剤再構成ポートおよび前記出口ポートが前記弁ピストンによって閉鎖される、ステップi)の前に、安全位置に設定される、方法。
(23) 実施態様21または22に記載の方法において、
前記第1の容器は、加圧され、それによって、前記ポンプシステムを駆動する必要なしに、前記薬剤再構成段階中に前記第1の容器から前記第2の容器に溶媒を押し込む、方法。
(24) パッチポンプにおいて、
実施態様1~9のいずれかに記載の薬剤送達装置と、実施態様10~17のいずれかに記載のポンプシステムと、を含む、パッチポンプ。
(25) パッチポンプにおいて、
実施態様1~9のいずれかに記載の薬剤送達装置と、実施態様18~20のいずれかに記載の薬剤再構成装置と、を含む、パッチポンプ。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】本発明の例示的な実施形態による、パッチポンプの形態の薬剤送達装置の斜視図である。
図2図1のパッチポンプの一部の斜視図であり、カバーなしで、とりわけ、パッチポンプのポンプシステム、カートリッジ、および電源を示している。
図3】カバーのない図1のパッチポンプの一部の別の斜視図である。
図4a図2のパッチポンプの一部の斜視図であり、ポンプシステムは、経皮送達システムと、本発明のある実施形態に従って断面で示されたポンプと、を含む。
図4b】ポンプシステムの図4aのポンプの拡大図である。
図5a】本発明のある実施形態によるポンプシステムの一部の斜視断面図であり、本発明のある実施形態によるポンピングシーケンスのあるステップを示す。
図5b】本発明のある実施形態によるポンプシステムの一部の斜視断面図であり、本発明のある実施形態によるポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図5c】本発明のある実施形態によるポンプシステムの一部の斜視断面図であり、本発明のある実施形態によるポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図5d】本発明のある実施形態によるポンプシステムの一部の斜視断面図であり、本発明のある実施形態によるポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図5e】本発明のある実施形態によるポンプシステムの一部の斜視断面図であり、本発明のある実施形態によるポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6a】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の斜視断面図である。
図6b】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスのあるステップを示す。
図6c】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6d】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6e】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6f】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6g】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6h】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6i】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6j】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6k】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6l】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6m】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図6n】薬剤の再構成のための本発明の別の実施形態によるポンプシステムの一部の平面断面図であり、本発明のある実施形態による薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す。
図7a】本発明の別の実施形態による、薬剤再構成のためのポンピングシーケンスのあるステップを示す、ポンプシステムの一部の断面図である。
図7b】本発明の別の実施形態による、薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す、ポンプシステムの一部の断面図である。
図7c】本発明の別の実施形態による、薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す、ポンプシステムの一部の断面図である。
図7d】本発明の別の実施形態による、薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す、ポンプシステムの一部の断面図である。
図7e】本発明の別の実施形態による、薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す、ポンプシステムの一部の断面図である。
図7f】本発明の別の実施形態による、薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す、ポンプシステムの一部の断面図である。
図7g】本発明の別の実施形態による、薬剤再構成のためのポンピングシーケンスの別のステップを示す、ポンプシステムの一部の断面図である。
図8】本発明の別の実施形態による弁ピストンの斜視図である。
図9a図8の弁ピストンを含むポンプシステムの部分断面斜視図であり、ある軸方向位置にある弁ピストンを示す。
図9b図8の弁ピストンを含むポンプシステムの部分断面斜視図であり、別の軸方向位置にある弁ピストンを示す。
図9c図8の弁ピストンを含むポンプシステムの部分断面斜視図であり、別の軸方向位置にある弁ピストンを示す。
図9d図8の弁ピストンを含むポンプシステムの部分断面斜視図であり、別の軸方向位置にある弁ピストンを示す。
図9e図8の弁ピストンを含むポンプシステムの部分断面斜視図であり、別の軸方向位置にある弁ピストンを示す。
図10a】本発明のある実施形態による、薬剤送達装置の経皮送達システムの斜視図および部分断面図である。
図10b】本発明のある実施形態による、薬剤送達装置の経皮送達システムの斜視図および部分断面図である。
図10c】本発明のある実施形態による、薬剤送達装置の経皮送達システムの斜視図および部分断面図である。
図10d図10cの経皮送達システムの断面図である。
図11a】本発明のある実施形態による、使用前位置にある針案内要素の断面図である。
図11b】本発明のある実施形態による、使用中の位置にある針案内要素の断面図である。
図12a】本発明のある実施形態によるカニューレの経皮挿入のためのあるシーケンスを示す、図10a~図10cの経皮送達システムの断面図である。
図12b】本発明のある実施形態によるカニューレの経皮挿入のための別のシーケンスを示す、図10a~図10cの経皮送達システムの断面図である。
図12c】本発明のある実施形態によるカニューレの経皮挿入のための別のシーケンスを示す、図10a~図10cの経皮送達システムの断面図である。
図12d】本発明のある実施形態によるカニューレの経皮挿入のための別のシーケンスを示す、図10a~図10cの経皮送達システムの断面図である。
図12e】本発明のある実施形態によるカニューレの経皮挿入のための別のシーケンスを示す、図10a~図10cの経皮送達システムの断面図である。
図13a】針挿入解除機構の作動前のポンプおよび経皮送達システムそれぞれの斜視図である。
図13b】針挿入解除機構の作動後のポンプおよび経皮送達システムそれぞれの斜視図である。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
図6i
図6j
図6k
図6l
図6m
図6n
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図12a
図12b
図12c
図12d
図12e
図13a
図13b