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特許7536861プログラム、情報処理方法、情報処理装置及びモデル生成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法、情報処理装置及びモデル生成方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20240813BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240813BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20240813BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20240813BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240813BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 526
A61B1/00 530
A61B1/045 614
A61B6/12
G06T7/00 350B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022509534
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2021009298
(87)【国際公開番号】W WO2021193019
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2020058994
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 1年10月31日に、テルモ株式会社のウェブサイト(https://www.terumo.co.jp/pressrelease/detail/20191031/1007/)にて公開 令和 1年11月19日に、日経産業新聞 令和元年11月19日第9面にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】関 悠介
(72)【発明者】
【氏名】坂口 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】井口 陽
【審査官】井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-503909(JP,A)
【文献】特開2011-036417(JP,A)
【文献】特開2017-086413(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/12
A61B 1/00
A61B 1/045
A61B 6/00
A61B 6/12
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内治療を実施する患者の血管をイメージングした医用画像を取得し、
前記医用画像を入力した場合に、前記血管内の病変部を検出するよう学習済みの第1モデルに、取得した前記医用画像を入力して前記病変部を検出し、
検出した前記病変部に対応する画像領域を識別可能に加工した第2医用画像を生成し、
前記第2医用画像を入力した場合に、前記血管内に留置すべきステントに関するステント情報を出力するよう学習済みの第2モデルに、生成した前記第2医用画像を入力して前記ステント情報を生成する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
留置すべき前記ステントの種類又は形状を示す前記ステント情報を生成する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記ステントを配置又は拡張すべき目標位置又は目標拡張径を示す前記ステント情報を生成する
請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第2医用画像を入力した場合に、前記ステントを配置及び拡張すべき目標領域を検出するよう学習済みの第3モデルに、生成した前記第2医用画像を入力して前記目標領域を検出し、
検出した前記目標領域を示すバウンディングボックスを重畳した前記第2医用画像を出力する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
現時点の前記医用画像から、前記血管に挿入されたステントを検出し、
検出されたステントと、前記目標領域とを示す第2医用画像を出力する
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
検出された前記ステントの現在位置又は現在の拡張径と、前記目標領域が示す前記目標位置又は目標拡張径との差分値を算出し、
算出した差分値を出力する
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記現在位置と前記目標位置との差分値に基づき、前記ステントが前記目標位置に到達したか否かを判定し、
前記目標位置に到達したと判定した場合、前記現在の拡張径を前記目標拡張径で除算した拡張率を算出して出力する
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記ステントの留置前又は留置後に実施すべき手技に関する前記ステント情報を生成する
請求項1~7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記血管の長手方向に沿って生成された複数の前記医用画像を取得し、
前記複数の医用画像を前記第1モデルに入力して、各前記医用画像から前記病変部を検出し、
検出した前記病変部に対応する画像領域を識別可能に加工した前記第2医用画像を前記第2モデルに入力して前記ステント情報を生成する
請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記血管内に挿入されたカテーテルで検出した信号に基づき生成された断層像と、前記血管の透視画像とを取得し、
前記断層像及び透視画像を前記第1モデルに入力して前記病変部を検出し、
検出した前記病変部に対応する画像領域を識別可能に加工した前記第2医用画像を前記第2モデルに入力して前記ステント情報を生成する
請求項1~9のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記医用画像と、前記患者に関する患者情報とを取得し、
前記第2医用画像及び患者情報を前記第2モデルに入力して、前記ステント情報を生成する
請求項1~10のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項12】
血管内治療を実施する患者の血管をイメージングした医用画像を取得し、
前記医用画像を入力した場合に、前記血管内の病変部を検出するよう学習済みの第1モデルに、取得した前記医用画像を入力して前記病変部を検出し、
検出した前記病変部に対応する画像領域を識別可能に加工した第2医用画像を生成し、
前記第2医用画像を入力した場合に、前記血管内に留置すべきステントに関するステント情報を出力するよう学習済みの第2モデルに、生成した前記第2医用画像を入力して前記ステント情報を生成する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項13】
血管内治療を実施する患者の血管をイメージングした医用画像を取得する取得部と、
前記医用画像を入力した場合に、前記血管内の病変部を検出するよう学習済みの第1モデルに、取得した前記医用画像を入力して前記病変部を検出する検出部と、
検出した前記病変部に対応する画像領域を識別可能に加工した第2医用画像を生成する生成部と、
前記第2医用画像を入力した場合に、前記血管内に留置すべきステントに関するステント情報を出力するよう学習済みの第2モデルに、生成した前記第2医用画像を入力して前記ステント情報を生成する生成部と
を備える情報処理装置。
【請求項14】
血管内治療前の患者の管腔器官をイメージングした医用画像に対し、該医用画像における病変部に対応する画像領域を示すラベルデータと、前記患者の血管内に留置したステントに関するステント情報が付与された訓練データを取得し、
前記医用画像及びラベルデータに基づき、前記医用画像を入力した場合に前記病変部を検出する第1モデルを生成し、
前記ラベルデータに基づき前記病変部に対応する画像領域を識別可能に加工した第2医用画像と、前記ステント情報とに基づき、前記第2医用画像を入力した場合に前記ステント情報を出力する第2モデルを生成する
処理をコンピュータが実行するモデル生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法、情報処理装置及びモデル生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像、光干渉(OCT:Optical Coherence Tomography)画像、X線画像など、人体内部を可視化した医用画像に基づく治療を支援する種々の手法が提案されている。例えば特許文献1では、血管内画像における疾患部位の範囲の指定を操作者から受け付け、指定された範囲の疾患部位に適した治療用デバイスの形状を設定し、設定した形状を有する治療用デバイスの情報をデータベースから検索して表示する治療用デバイス選択支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-75141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、医用画像から疾患部位等の情報を読み取って治療に反映させることは簡単ではなく、豊富な知識及び臨床経験を要する。特許文献1に係る発明は、操作者によって指定された範囲の疾患部位に適した治療用デバイスをデータベースから検索するのみで、医用画像に基づく治療を好適に支援するに至っていない。
【0005】
一つの側面では、医用画像に基づく治療を好適に支援することができるプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係るプログラムは、血管内治療を実施する患者の血管をイメージングした医用画像を取得し、前記医用画像を入力した場合に、前記血管内の病変部を検出するよう学習済みの第1モデルに、取得した前記医用画像を入力して前記病変部を検出し、検出した前記病変部に対応する画像領域を識別可能に加工した第2医用画像を生成し、前記第2医用画像を入力した場合に、前記血管内に留置すべきステントに関するステント情報を出力するよう学習済みの第2モデルに、生成した前記第2医用画像を入力して前記ステント情報を生成する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、医用画像に基づく治療を好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】治療支援システムの構成例を示す説明図である。
図2】サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】診療DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図4】学習モデルの概要を示す説明図である。
図5】学習モデルの詳細を示す説明図である。
図6】表示装置の表示画面例を示す説明図である。
図7】学習モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
図8】治療情報の出力処理の手順を示すフローチャートである。
図9】変形例1に係る治療情報の出力処理の手順を示すフローチャートである。
図10】変形例2に係る学習モデルに関する説明図である。
図11】実施の形態2に係る学習モデルの説明図である。
図12A】実施の形態2に係る第2医用画像の表示例を示す説明図である。
図12B】実施の形態2に係る第2医用画像の表示例を示す説明図である。
図13A】実施の形態2に係る第2医用画像の表示例を示す説明図である。
図13B】実施の形態2に係る第2医用画像の表示例を示す説明図である。
図14】実施の形態2に係る学習モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
図15】実施の形態2に係る治療情報の出力処理の手順を示すフローチャートである。
図16】変形例3に係る治療情報の出力処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、治療支援システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、血管内治療を実施する患者に関する患者情報と、当該患者の血管をイメージングした医用画像とに基づき、患者の治療を支援するための治療情報をユーザ(医療従事者)に提示する治療支援システムについて説明する。治療支援システムは、情報処理装置1、画像診断システム2を有する。情報処理装置1及び画像診断システム2は、LAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワークNに通信接続されている。
【0010】
なお、本実施の形態では血管内治療を一例に説明するが、対象とする管腔器官は血管に限定されず、例えば胆管、膵管、気管支、腸などのその他の管腔器官であってもよい。
【0011】
画像診断システム2は、血管内画像診断装置21、透視画像撮影装置22、表示装置23を有する。血管内画像診断装置21は、患者の血管内断層像をイメージングするための装置であり、例えばカテーテル211を用いた超音波検査を行うIVUS(Intravascular Ultrasound)装置である。カテーテル211は患者の血管内に挿入される医用器具であり、超音波を送信すると共に血管内からの反射波を受信する圧電素子を備える。血管内画像診断装置21は、カテーテル211で受信した反射波の信号に基づいて超音波断層像を生成し、表示装置23に表示させる。
【0012】
なお、本実施の形態では血管内画像診断装置21が超音波断層像を生成するものとするが、例えば光干渉断層像(OCT画像)を生成してもよい。
【0013】
透視画像撮影装置22は、患者体内を透視した透視画像を撮影するための装置ユニットであり、例えば血管造影検査を行うアンギオグラフィ装置である。透視画像撮影装置22は、X線源221、X線センサ222を備え、X線源221から照射されたX線をX線センサ222が受信することにより、患者のX線透視画像をイメージングする。例えばカテーテル211の先端にはX線不透過マーカが装着されており、透視画像においてカテーテル211の位置が可視化される。透視画像撮影装置22は、カテーテル211の位置を可視化した透視画像を表示装置23に表示させ、血管内断層像と共に提示する。
【0014】
なお、上記では医用画像の一例として超音波断層像、光干渉断層像、アンギオグラフィ画像を挙げたが、医用画像はコンピュータ断層撮影(CT;Computed Tomography)画像、磁気共鳴(MRI;Magnetic Resonance Imaging)画像などであってもよい。
【0015】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。なお、サーバ1は画像診断システム2と同じ施設(病院等)に設置されたローカルサーバであってもよく、インターネット等を介して通信接続されたクラウドサーバであってもよい。サーバ1は、治療を実施する患者に関する患者情報と、当該患者の医用画像(断層像及び透視画像)とに基づき、当該患者の血管内治療を支援するための治療情報を出力する治療支援装置として機能する。具体的には後述のように、サーバ1は、所定の訓練データを学習する機械学習を行い、患者情報及び医用画像を入力として、治療情報を出力する学習モデル50(図4参照)を予め用意してある。サーバ1は、治療対象の患者の患者情報及び医用画像を学習モデル50に入力し、治療情報を学習モデル50から取得する。サーバ1は、治療情報を画像診断システム2に出力し、表示装置23に表示させる。
【0016】
治療情報は、患者の治療を支援するための情報であり、患者を治療するユーザ(医療従事者)を補助するための情報である。本実施の形態では血管内治療を一例にして、カテーテル211を用いたPCI(Percutaneous Coronary Intervention;経皮的冠動脈形成術)を支援するための情報を治療情報として出力する。例えば治療情報は、プラーク等の病変部の位置や性状、使用すべきステントやバルーン等の治療用デバイス、透視画像撮影時に推奨される造影剤の投与量や撮影時間、治療後の経過情報(例えば合併症のリスク)などを含む。サーバ1は、学習モデル50を用いてこれらの情報を推定し、表示装置23に表示させる。また、サーバ1は、病変部や治療用デバイス等のオブジェクトを医用画像内から検出し、検出したオブジェクトを識別可能に加工した第2医用画像を生成して表示装置23に表示させる。
【0017】
なお、本実施の形態ではサーバ1において学習モデル50を用いた治療情報の生成処理を行うものとするが、サーバ1が構築した学習モデル50を画像診断システム2にインストールし、ローカルで治療情報の生成処理を実行してもよい。
【0018】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、AIチップ(AI用半導体)等の演算処理装置を有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムPを読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0019】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、学習モデル50、診療DB141を記憶している。学習モデル50は、上述の如く訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、患者情報及び医用画像を入力として、患者の治療を支援するための治療情報を出力するモデルである。学習モデル50は、人工知能ソフトウェアを構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。診療DB141は、患者の診療データを格納するデータベースである。
【0020】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0021】
また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。また、サーバ1は、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、外付けハードディスク等の可搬型記憶媒体1aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体1aからプログラムPを読み取って実行するようにしても良い。あるいはサーバ1は、半導体メモリ1bからプログラムPを読み込んでも良い。
【0022】
図3は、診療DB141のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。診療DB141は、診療ID列、患者情報列、治療情報列、画像情報列を含む。診療ID列は、各診療データを識別するための診療IDを記憶している。患者情報列、治療情報列、及び画像情報列はそれぞれ、診療IDと対応付けて、診療対象の患者に関する患者情報、当該患者に実施した治療に関する治療情報、及び当該患者を検査して得た医用画像を記憶している。
【0023】
患者情報は、治療を実施した患者に関する情報であり、患者の診療記録である。治療情報は、例えば患者の年齢、性別、診断名、危険因子(生活習慣病の有無等)、既往歴などのほかに、治療歴、併用薬、血液検査結果、血管の罹患枝数、左室駆出率、心血管に関連する急変事態(心筋梗塞等)の発生歴などを含む。
【0024】
治療情報は、患者に実施した血管内治療に関する情報であり、例えばPCIの記録である。治療情報は、例えばPCIの実施日、治療した病変部の位置(以下、「病変部位」と呼ぶ)、病変部の性状、カテーテル211の穿刺部位、使用した造影剤の総量のほかに、透視画像の撮影時間、ステント留置前の追加手技の有無及び内容、ステント留置後の追加手技の有無及び内容、留置したステントの種類(例えば製品名)、直径、長さ、総数、バルーンの種類、長さ、最大拡張径、最大拡張圧、拡張時間、減衰時間、分岐部病変の治療法、治療後の経過情報(例えば合併症発症の有無)を含む。なお、本実施の形態ではステント及びバルーンの径を直径で表現するが、半径であってもよいことは勿論である。
【0025】
医用画像は、患者の血管をイメージングした画像であり、上述の如く、血管内部の断層像(超音波断層像、光干渉断層像など)、X線によって患者体内を可視化した透視画像(アンギオグラフィ画像、コンピュータ断層撮影画像など)、磁気共鳴画像などである。また、画像情報には、FFR(Fractional Flow Reserve:冠血流予備量比)などの生理機能的評価結果も含まれる。本実施の形態では一例として、超音波断層像及びアンギオグラフィ画像を医用画像として学習モデル50の入力に用いる。
【0026】
図4は、学習モデル50の概要を示す説明図である。学習モデル50は、患者情報及び医用画像を入力として、患者の治療を支援するための治療情報を出力する機械学習モデルである。サーバ1は、所定の訓練データを学習する機械学習を行って学習モデル50を事前に生成しておく。そしてサーバ1は、画像診断システム2から取得した患者の医用画像と、当該患者に関する患者情報とを学習モデル50に入力し、治療情報を生成する。
【0027】
具体的には図4に示すように、学習モデル50は、診療DB141に格納される患者情報、血管内画像診断装置21でイメージングされた断層像、及び透視画像撮影装置22でイメージングされた透視画像を入力とする。そして学習モデル50は、図4右上に示す各項目について推定した推定結果を治療情報として出力する。
【0028】
例えば治療情報は、血管内の病変部に関する情報を含む。具体的には、病変部に関する情報は、病変部位(例えば病変部が存在する血管の種類)、病変部の性状を含む。なお、病変部に関する情報は位置及び性状だけでなく、血管長手方向における病変部の長さ、血管断面における病変部の大きさ(面積)などを含んでもよい。
【0029】
また、治療情報は、血管に挿入する治療用デバイスに関する情報を含む。治療用デバイスは、例えば血管を拡張するためのステント、バルーン等である。なお、治療用デバイスはステント等に限定されず、例えば病変部切除のためのロータブレータ等を含んでもよい。学習モデル50は、使用すべきステントの種類(例えば製品名)、形状(直径及び長さ)、総ステント本数、ステント留置前の追加手技の有無及び内容、ステント留置後の追加手技の有無及び内容など、ステントに関連するステント情報を出力する。また、学習モデル50は、使用すべきバルーンの種類(例えば製品名)、形状(長さ)、拡張条件(最大拡張圧、最大拡張径、拡張時間、拡張後のバルーン収縮に要する減衰時間)など、バルーンに関連するバルーン情報を出力する。
【0030】
なお、治療用デバイスに関する情報として、各治療用デバイスの使用順序を含めてもよい。これにより、ユーザが各治療用デバイスを選択して治療を実施する際に、治療用デバイスの選択を好適に補助することができる。
【0031】
また、治療情報は、透視画像の撮影条件に関する情報を含む。撮影条件に関する情報は、例えば造影剤の投与量、透視画像の撮影時間(図4では「透視時間」)などを含む。サーバ1は、患者に治療を実施した際の造影剤の投与量、撮影時間等を学習モデル50に学習させ、推奨される造影剤の投与量、撮影時間等を出力可能とする。
【0032】
また、治療情報は、治療後の患者の経過を推定した経過情報を含む。経過情報は、例えば合併症のリスクを推定した推定結果である。サーバ1は、治療を実施済みの患者について、実施後に発症した合併症を学習モデル50に学習させ、治療後に発症する確率が高い合併症を経過情報として出力可能とする。なお、後述のように、治療後に発症し得る複数の合併症毎に、各合併症の発症度合いを評価した確率値を出力すると好適である(図6参照)。
【0033】
図4では一例として、患者の血管内にプラークが生じている場合の断層像と、当該断層像を生成時のカテーテル211の位置を示す透視画像とが、患者情報と共に学習モデル50に入力される場合を図示している。この場合、学習モデル50はプラークに相当する病変部の位置や性状、使用すべきステントやその拡張径、拡張圧、治療後の経過情報などを出力する。
【0034】
学習モデル50は、上記の各種情報を治療情報として出力するほか、入力された医用画像に対し、画像内の所定のオブジェクトを識別可能に加工した第2医用画像を生成し、治療情報の一つとして出力する。第2医用画像は、上述のように病変部などのオブジェクトに対応する画像領域を加工した画像であり、当該オブジェクトの画像領域を、その他の画像領域と異なる表示態様で表示する画像である。例えば学習モデル50は、白黒で表現される断層像において、オブジェクトに対応する画像領域を白黒以外の色で表現した第2医用画像を生成する。サーバ1は、病変部位等の情報と共に第2医用画像を表示装置23に出力し、表示させる。
【0035】
なお、学習モデル50において対象とするオブジェクトは病変部に限定されず、例えば患者の血管に挿入される治療用デバイス(例えば患者の血管内に既に留置されているステント)などであってもよい。学習モデル50は、血管に存在する特定のオブジェクトを識別可能とした第2医用画像を生成可能であればよい。
【0036】
なお、以下の説明では簡潔のため、医用画像内のオブジェクトに対応する画像領域を「オブジェクト領域」と呼ぶ。
【0037】
図5は、学習モデル50の詳細を示す説明図である。図5では学習モデル50として、第1モデル51及び第2モデル52から成るモデルを一例として図示してある。図5に基づき、学習モデル50の詳細を説明する。
【0038】
第1モデル51は、医用画像(断層像及び透視画像)を入力として、画像内のオブジェクトを検出した検出結果を出力する機械学習モデルである。例えば第1モデル51は、深層学習によって生成されるニューラルネットワークモデルであり、多数の畳み込み層で入力画像の特徴量を抽出するCNN(Convolutional Neural Network)である。第1モデル51は、入力画像の画素情報を畳み込む畳み込み層と、畳み込んだ画素情報をマッピングするプーリング層とが交互に連結された中間層(隠れ層)を備え、入力画像の特徴量(特徴量マップ)を抽出する。
【0039】
なお、本実施の形態では第1モデル51がCNNであるものとして説明するが、例えばGAN(Generative Adversarial Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、SVM(Support Vector Machine)、決定木等、その他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0040】
本実施の形態でサーバ1は、入力される医用画像内の各画素がオブジェクト領域に対応する画素であるか否か、画素単位で識別する第1モデル51を生成する。例えばサーバ1は、第1モデル51として、セマンティックセグメンテーションモデル(U-net等)、あるいはMASK R-CNN(Region CNN)などを生成する。
【0041】
セマンティックセグメンテーションモデルはCNNの一種であり、入力データから出力データを生成するEncoderDecoderモデルの一種である。セマンティックセグメンテーションモデルは、入力画像のデータを圧縮する畳み込み層以外に、圧縮して得た特徴量を元の画像サイズにマッピング(拡大)する逆畳み込み層(Deconvolution Layer)を備える。逆畳み込み層では、畳み込み層で抽出した特徴量に基づいて画像内にどの物体がどの位置に存在するかを画素単位で識別し、各画素がどの物体に対応するかを二値化したラベル画像を生成する。
【0042】
MASK R-CNNは、主に物体検出に用いられるFaster R-CNNの変形であり、Faster R-CNNに逆畳み込み層を連結したモデルである。MASK R-CNNでは、CNNで抽出した画像の特徴量と、RPN(Region Proposal Network)で抽出した対象物体の座標範囲とを逆畳み込み層に入力し、最終的に入力画像内の物体の画像領域をマスクするマスク画像を生成する。
【0043】
サーバ1は、これらのモデルを第1モデル51として生成し、オブジェクトの検出に用いる。なお、上記のモデルはいずれも例示であって、第1モデル51は、医用画像内のオブジェクトの位置や形状を識別可能であればよい。本実施の形態では一例として、第1モデル51がセマンティックセグメンテーションモデルであるものとして説明する。
【0044】
図4右側に、血管内断層像及び透視画像におけるオブジェクト領域をハッチングで概念的に図示している。第1モデル51で検出するオブジェクトは、例えばプラーク等の病変部、あるいは留置済みのステント等の治療用デバイスなどである。サーバ1は、第1モデル51に医用画像を入力し、各種オブジェクトを検出する。
【0045】
なお、プラークは病変部の一例であり、例えば血管の狭窄部、石灰化した組織、血管壁の解離(フラップ)、新生内膜(Neointima)、その他の部分を検出してもよい。また、ステントは治療用デバイスの一例であり、その他のデバイスを検出してもよい。また、病変部位、治療用デバイスはオブジェクトの一例であり、その他のオブジェクトを検出してもよい。
【0046】
図5に戻って説明を続ける。サーバ1は、訓練用の医用画像に対し、図4で例示したオブジェクト領域を示すデータがラベリングされた訓練データを用いて学習を行う。具体的には、訓練データでは、訓練用の医用画像に対し、オブジェクト領域に対応する座標範囲と、オブジェクトの種類とを表すラベル(メタデータ)が付与されている。
【0047】
サーバ1は、訓練用の医用画像を第1モデル51に入力して、オブジェクトを検出した検出結果を出力として取得する。具体的には、オブジェクト領域の各画素に対し、オブジェクトの種類を示す値がラベリングされたラベル画像を出力として取得する。
【0048】
サーバ1は、第1モデル51から出力された検出結果を、訓練データが示す正解のオブジェクト領域の座標範囲、及びオブジェクトの種類と比較し、両者が近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。これにより、サーバ1は第1モデル51を生成する。
【0049】
なお、本実施の形態では断層像及び透視画像の2種類の画像を処理するが、例えばサーバ1は、各画像に対応する2つの第1モデル51を用意してもよく、又は第1モデル51を、断層像及び透視画像をそれぞれ処理するための2つのネットワークを有するマルチモーダルモデルとして構成してもよい。これにより、各画像からオブジェクトを検出することができる。
【0050】
本実施の形態では、第1モデル51は、時系列で連続する複数フレームの医用画像(動画)を入力として受け付け、各フレームの医用画像からオブジェクトを検出する。具体的には、第1モデル51は、カテーテル211の走査に従い、血管の長手方向に沿って連続する複数フレームの医用画像(例えば断層像)を入力として受け付ける。第1モデル51は、時間軸に沿って連続する各フレームの医用画像からオブジェクトを検出する。
【0051】
なお、以下の説明では便宜上、連続する各フレームの医用画像を単に「フレーム画像」と呼ぶ。
【0052】
サーバ1は、複数のフレーム画像を第1モデル51に一枚ずつ入力し、各フレーム画像から個別にオブジェクトを検出してもよいが、連続する複数のフレーム画像を同時に入力して、複数のフレーム画像からオブジェクト領域を同時に検出できるようにすると好適である。例えばサーバ1は、第1モデル51を、3次元の入力データを取り扱う3D-CNN(例えば3D U-net)とする。そしてサーバ1は、2次元のフレーム画像の座標を2軸とし、各フレーム画像を取得した時刻(フレーム画像の生成時点)を1軸とする3次元データとして取り扱う。サーバ1は、所定の単位時間分の複数フレーム画像(例えば16フレーム)を一セットとして第1モデル51に入力し、複数のフレーム画像それぞれに対してオブジェクト領域をラベリングしたラベル画像を同時に出力する。これにより、時系列で連続する前後のフレーム画像も考慮してオブジェクトを検出することができ、検出精度を向上させることができる。
【0053】
なお、上記では時間軸も含めた3次元データとすることで時系列のフレーム画像を処理可能としたが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばサーバ1は、第1モデル51を、CNNとRNNとを組み合わせたモデルとすることで、連続する複数のフレーム画像からオブジェクトを検出可能としてもよい。この場合、例えばCNNに係る中間層の後ろにLSTM(Long-Short Term Memory)層を挿入し、前後のフレーム画像から抽出した特徴量を参照してオブジェクトの検出を行う。この場合でも上記と同様に、前後のフレーム画像を考慮して処理を行うことができ、検出精度を向上させることができる。
【0054】
次に、第2モデル52について説明する。第2モデル52は、患者情報及び医用画像を入力として、患者の血管内治療を支援するための治療情報を出力する機械学習モデルである。例えば第2モデル52はCNNであり、畳み込み層及びプーリング層が交互に連結された中間層を備え、入力データの特徴量を抽出する。
【0055】
なお、本実施の形態では第2モデル52がCNNであるものとして説明するが、GAN、RNN、SVM、決定木等、その他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0056】
サーバ1は、訓練用の患者情報及び医用画像に対し、正解の治療情報が付与された訓練データを用いて学習を行う。訓練用の患者情報及び医用画像は、治療を実施済みの患者の患者情報及び医用画像であり、当該患者の診療記録、及び治療時に得た断層像、透視画像などの医用画像である。正解の治療情報は、当該患者に対して行った治療(PCI)の記録である。サーバ1は、診療DB141に記憶されている患者情報及び医用画像と、治療情報とを訓練データとして第2モデル52に与え、学習を行う。
【0057】
具体的には、サーバ1は、患者情報に含まれる患者の年齢、性別、診断名等のデータを、医用画像の属性を示すカテゴリ変数として第2モデル52に入力する。サーバ1は、患者情報をカテゴリ変数として断層像及び透視画像と共に第2モデル52に入力し、図4右上に例示した各項目の治療情報を出力として取得する。
【0058】
なお、図4右上に示したように、第2モデル52の出力項目は「病変部位」、「病変性状」のように分類結果で示される項目もあれば、「総造影時間」、「透視時間」のように連続値で表現される項目もある。このように第2モデル52は、いわゆる分類問題と回帰問題とを同時に扱うが、例えば全ての項目を回帰問題と見なして連続値を出力し、分類結果として示すべき項目を連続値から二値に変換すればよい。あるいは、各項目に対応する出力層を別々に設け、中間層で抽出された特徴量を各出力層に入力して、各項目の推定を別々に行うようにしてもよい。あるいは、第2モデル52自体を項目別に用意し、別々に推定を行ってもよい。
【0059】
サーバ1は、患者の血管をイメージングした医用画像をそのまま第2モデル52の入力に用いてもよいが、本実施の形態では、第1モデル51で検出されたオブジェクト領域を識別可能に加工した第2医用画像を生成し、第2モデル52に入力する。第2医用画像は、オブジェクト領域を、オブジェクトの種類に応じて異なる表示態様で表示する画像であり、例えば第1モデル51から出力されたラベル画像を元の医用画像に重畳した画像である。
【0060】
例えばサーバ1は、第1モデル51から出力されたラベル画像を半透明マスクに加工し、元の医用画像に重畳する。この場合にサーバ1は、マスクの表示色をオブジェクトの種類に応じて変更するなど、各オブジェクト領域の表示態様をオブジェクトの種類に応じて異ならせる。これによりサーバ1は、オブジェクト領域をその他の領域と異なる表示態様で表示する医用画像を生成し、第2モデル52に入力する。
【0061】
サーバ1は、訓練用の患者情報と、オブジェクト領域を加工した医用画像とを第2モデル52に入力し、治療情報を出力として取得する。サーバ1は、出力された治療情報を正解の治療情報と比較し、両者が近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。これによりサーバ1は、第2モデル52を生成する。
【0062】
なお、本実施の形態では、オブジェクト検出用の第1モデル51と、治療情報生成用の第2モデル52との2種類のモデルを組み合わせるものとするが、オブジェクトの検出はルールベースで行ってもよい。すなわち、学習モデル50が第1モデル51を備える構成は必須ではなく、学習モデル50への入力の前処理としてルールベースでオブジェクトを検出し、検出結果を学習モデル50に入力するようにしてもよい。
【0063】
新たに治療を実施する患者について治療情報を生成する場合、サーバ1は、当該患者の医用画像を画像診断システム2から取得して学習モデル50に入力し、第2医用画像を含む治療情報を生成する。なお、当該処理は画像取得時のリアルタイムで行ってもよく、あるいは録画された医用画像(動画)をまとめて取得し、事後的に処理してもよい。
【0064】
サーバ1は、生成した治療情報を表示装置23に出力し、表示させる。なお、本実施の形態では治療情報の出力先が画像診断システム2であるものとして説明するが、画像診断システム2以外の装置(例えばパーソナルコンピュータ)に出力し、治療情報を表示させてもよいことは勿論である。
【0065】
図6は、表示装置23の表示画面例を示す説明図である。表示装置23は、サーバ1から出力された各治療情報を表示し、ユーザに提示する。例えば表示装置23は、一覧表71、経過情報欄72、断層像73、透視画像74を表示する。
【0066】
一覧表71は、第2モデル52から出力された各項目の推定結果を一覧で示す表である。一覧表71は、例えば病変部に関する情報、治療用デバイスに関する情報、透視画像の撮影条件に関する情報、その他の情報を含む。表示装置23は一覧表71でこれらの治療情報をユーザに提示し、血管内治療を支援する。
【0067】
経過情報欄72は、治療後のユーザの経過を推定した推定結果を示す表示欄であり、上述の如く、合併症発症に関する推定結果である。サーバ1は学習モデル50を用いて、複数の合併症毎に発症する確率値を算出し、合併症名と関連付けて確率値を経過情報欄72に一覧表示させる。
【0068】
また、表示装置23は、血管内画像診断装置21で生成された断層像73と、透視画像撮影装置22で撮影した透視画像74とを表示する。この場合に表示装置23は、元の医用画像のオブジェクト領域を加工した第2医用画像を断層像73及び透視画像74として表示する。
【0069】
図7は、学習モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。図7に基づき、訓練データを学習して学習モデル50を生成する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、訓練用の患者情報及び医用画像に対し、正解の治療情報が付与された訓練データを取得する(ステップS11)。訓練用の患者情報及び医用画像は、治療を実施済みの患者の患者情報及び医用画像である。治療情報は、当該患者に実施した治療に関する情報であり、診療DB141に記憶された治療記録のほか、オブジェクト領域を示すラベルデータを含む。
【0070】
制御部11は訓練データに基づき、医用画像を入力した場合にオブジェクトを検出する第1モデル51を生成する(ステップS12)。例えば制御部11は、上述の如く、セマンティックセグメンテーションに係るCNNを第1モデル51として生成する。制御部11は、訓練用の医用画像を第1モデルに入力し、オブジェクト領域を検出した検出結果を出力として取得する。制御部11は、検出したオブジェクト領域を正解のラベルデータと比較し、両者が近似するようにニューロン間の重み等のパラメータを最適化して第1モデル51を生成する。
【0071】
また、制御部11は訓練データに基づき、患者情報及び医用画像を入力した場合に、患者の治療を支援するための治療情報を出力する第2モデル52を生成する(ステップS13)。具体的には、制御部11は、患者情報と、第1モデル51での検出結果に基づきオブジェクト領域を加工した第2医用画像とを入力として治療情報を出力する第2モデル52を生成する。制御部11は、訓練用の患者情報と、正解のラベルデータに基づいてオブジェクト領域を加工した第2医用画像とを第2モデルに入力し、治療情報を出力として取得する。制御部11は、出力された治療情報を正解の治療情報と比較し、両者が近似するようにニューロン間の重み等のパラメータを最適化して第2モデル52を生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0072】
図8は、治療情報の出力処理の手順を示すフローチャートである。図8に基づき、学習モデル50を用いて治療対象の患者の治療情報を出力する際の処理内容を説明する。
制御部11は、治療を実施する患者に関する患者情報と、当該患者の血管をイメージングした医用画像とを取得する(ステップS31)。制御部11は、取得した医用画像を第1モデル51に入力して、オブジェクトを検出する(ステップS32)。具体的には、制御部11は、血管内画像診断装置21及び透視画像撮影装置22でイメージングした断層像及び透視画像を第1モデル51に入力して、断層像及び透視画像内のオブジェクトを検出する。
【0073】
制御部11は、ステップS32での検出結果に基づいてオブジェクト領域を加工した第2医用画像と、患者情報とを第2モデル52に入力して、治療情報を生成する(ステップS33)。制御部11は、生成した治療情報を表示装置23に出力し、表示させる(ステップS34)。具体的には、制御部11は、血管内の病変部、使用すべき治療用デバイス、透視画像の撮影条件等の情報のほか、オブジェクト領域を加工した第2医用画像を治療情報として出力し、表示装置23に表示させる。制御部11は一連の処理を終了する。
【0074】
以上より、本実施の形態1によれば、訓練データを学習済みの学習モデル50を用いることで、医用画像に基づく治療を好適に支援することができる。
【0075】
また、本実施の形態1によれば、血管(管腔器官)内の病変部の位置、性状等を推定し、ユーザに提示することができる。
【0076】
また、本実施の形態1によれば、使用すべき治療用デバイスの種類、形状、使用数、使用順序などを推定し、ユーザに提示することができる。
【0077】
また、本実施の形態1によれば、透視画像の好適な撮影条件を推定して提示することができる。
【0078】
また、本実施の形態1によれば、合併症の発症など、治療後の経過情報を推定してユーザに提示することができる。
【0079】
また、本実施の形態1によれば、医用画像からオブジェクトの検出を行う第1モデル51と、第1モデル51による検出結果に基づいて治療情報を生成する第2モデル52とを組み合わせることで、オブジェクトの正しい位置、形状等を第2モデル52に与えることができ、治療情報の推定精度を向上させることができる。
【0080】
また、本実施の形態1によれば、オブジェクト領域を加工した第2医用画像を生成することで、病変部等の確認を好適に補助することができる。
【0081】
また、本実施の形態1によれば、時系列で生成された複数のフレーム画像を学習モデル50に入力することで、治療情報の推定精度を向上させることができる。
【0082】
また、本実施の形態1によれば、医用画像として血管(管腔器官)内の断層像だけでなく透視画像を用いることで、局所的な画像だけでなく血管全体の画像を学習モデル50に与え、推定精度を向上させることができる。
【0083】
(変形例1)
実施の形態1では、学習モデル50を用いて治療情報を出力する形態について説明した。本変形例では、出力した治療情報を修正する修正入力をユーザから受け付け、修正後の治療情報に基づく再学習を行う形態について説明する。
【0084】
図9は、変形例1に係る治療情報の出力処理の手順を示すフローチャートである。治療情報を出力した後(ステップS34)、サーバ1は以下の処理を実行する。
サーバ1の制御部11は、表示装置23に出力した治療情報の修正入力をユーザから受け付ける(ステップS35)。例えば制御部11は、図6で例示した表示画面において、一覧表71で表示した各項目の情報を修正する修正入力を受け付ける。また、サーバ1は、断層像73として表示した第2医用画像について、オブジェクト領域の座標範囲、オブジェクトの種類などが実際と異なる場合は、正しい座標範囲、種類などの入力を受け付ける。
【0085】
治療情報の修正入力を受け付けた場合、制御部11は、学習モデル50に入力した患者情報及び医用画像と、修正後の治療情報とを訓練データとする再学習を行い、学習モデル50を更新する(ステップS36)。すなわち制御部11は、学習モデル50から出力される治療情報が修正後の治療情報に近似するようニューロン間の重み等のパラメータを最適化し、学習モデル50を再生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0086】
以上より、本変形例1によれば、本システムの運用を通じて学習モデル50を最適化することができる。
【0087】
(変形例2)
実施の形態1では、第1モデル51によりオブジェクトを検出し、オブジェクト領域を加工した第2医用画像を第2モデル52に入力する形態について説明した。本変形例では、オブジェクトの検出結果からその種類、寸法等を特定し、特定されたオブジェクトの種類、寸法等を示すオブジェクト情報を第2モデル52の入力として用いる形態について説明する。
【0088】
図10は、変形例2に係る学習モデル50に関する説明図である。本変形例に係る学習モデル50も実施の形態1と同様に、第1モデル51及び第2モデル52を備える。本変形例においてサーバ1は、第1モデル51により検出されたオブジェクト領域の画像解析を行い、オブジェクトの種類、寸法等を特定する。
【0089】
例えばサーバ1は、患者の血管内に既に留置されているステントの種類、寸法等を特定する。なお、本変形例では特定対象とするオブジェクトがステントであるものとするが、病変部などのその他のオブジェクトであってもよい。サーバ1は、ステントとして検出されたオブジェクト領域の画像解析を行い、留置されているステントの名称を特定すると共に、ステントの直径、長さ等を特定する。サーバ1は、特定したステントの種類、寸法等のデータをオブジェクト情報として第2モデル52に入力し、治療情報を生成する。
【0090】
なお、この場合にサーバ1は、オブジェクト情報(テキストデータ)だけでなく、第1モデル51に入力した元の医用画像も第2モデル52に入力してもよい。あるいはサーバ1は、実施の形態1と同様に、オブジェクト領域を加工した第2医用画像も第2モデル52に入力してもよい。
【0091】
上述の如く、本変形例では第2モデル52の前処理として画像解析を行い、オブジェクト情報を特定して第2モデル52に入力する。これにより、オブジェクトの種類や寸法などのデータを第2モデル52に与え、推定精度を高めることができる。
【0092】
第2モデル52の前処理として画像解析を行う点以外は実施の形態1と同様であるため、本変形例ではフローチャートその他の詳細な説明は省略する。
【0093】
(実施の形態2)
本実施の形態では血管内治療に関し、特にステントの配置及び拡張を支援するための形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
図11は、実施の形態2に係る学習モデル50の説明図である。本実施の形態に係る学習モデル50も実施の形態1と同様に、第1モデル51及び第2モデル52を備え、オブジェクト領域を加工した第2医用画像と、その他の治療情報とを生成する。図11右上に示すように、治療情報は、患者の血管内に留置するステントに関するステント情報を含み、使用すべきステントの種類、形状(直径、長さ)等が出力される。
【0095】
本実施の形態において学習モデル50はさらに、第3モデル53を備える。第3モデル53は、治療前の医用画像を入力した場合に、ステントを配置すべき血管内の目標位置、及び目標拡張径を推定する機械学習モデルである。具体的には、第3モデル53は、医用画像を入力として、当該画像においてステントを配置及び拡張すべき画像領域を検出する。サーバ1は、第2モデル52により生成したステント情報のほか、ステントを配置及び拡張すべき画像領域を第3モデル53により検出し、検出した領域を示す第2医用画像を生成して、ステント情報の一つとして表示装置23に表示させる。
【0096】
なお、以下の説明では便宜上、ステントを配置及び拡張すべき領域を「目標領域」と呼ぶ。
【0097】
例えばサーバ1は、第3モデル53としてMask R-CNNを用いる。上述の如く、Mask R-CNNは、入力画像内から目標とする画像領域を検出するCNNであり、目標とする画像領域を画素単位で識別可能なモデルである。例えばサーバ1は、治療を実施済みの患者の透視画像に対し、当該患者の血管内に留置したステントの座標範囲を示すラベルが付与されたデータを訓練データとして第3モデル53を生成する。
【0098】
なお、第3モデル53はMask R-CNNに限定されず、U-net等の他のCNN、あるいはGANなどの他の機械学習モデルであってもよい。
【0099】
例えば第3モデル53は、図11に示すように、目標領域を矩形状のバウンディングボックスとして検出する。なお、対象とする医用画像は透視画像だけではなく断層像であってもよい。また、目標領域は、ステントを配置し、バルーンにより拡張すべき領域を正しく示すものであればよく、目標領域の形状は矩形状に限定されない。
【0100】
サーバ1は、透視画像撮影装置22から取得した透視画像をそのまま第3モデル53への入力としてもよいが、図11に示すように、第1モデル51によって病変部等のオブジェクト領域を加工した第2医用画像を入力とすると好適である。これにより、第3モデル53は、治療対象となる病変部の位置、形状等を考慮して目標領域を定めることができる。
【0101】
なお、変形例2と同様に、第2医用画像から病変部等のオブジェクトの種類や寸法を特定し、特定したオブジェクト情報を第3モデル53に与えてもよい。
【0102】
例えばサーバ1は、病変部に対応するオブジェクト領域を加工した第2医用画像に、さらに第3モデル53で検出した目標領域を示すバウンディングボックスを重畳することで、病変部と、ステントにより拡張すべき範囲とを同時に示す第2医用画像を生成する。なお、サーバ1は、目標領域のみ囲んだ画像を第2医用画像として生成してもよい。サーバ1は、生成した第2医用画像を透視画像74として表示装置23に出力する。
【0103】
なお、本実施の形態では、病変部等のオブジェクトを検出する第1モデル51と、ステントを配置及び拡張すべき目標領域を検出する第3モデル53とを別々に用意するものとするが、両者を同一のモデルとし、オブジェクトの検出と目標領域の検出とを同時に行ってもよい。
【0104】
図12図13は、実施の形態2に係る第2医用画像の表示例を示す説明図である。本実施の形態において表示装置23は、ステントを配置及び拡張すべき目標領域を示す第2医用画像を表示すると共に、現在血管内に挿入されているステントを第2医用画像において識別可能に表示し、ステントの配置及び拡張を支援する。図12A図13Bでは、ステントが血管内に挿入され、目標位置に到達して拡張される様子を時系列で図示している。
【0105】
図12A、Bでは、ステントが目標領域まで挿入される様子を図示している。表示装置23は、透視画像74において、カラー表示等の方法でオブジェクト領域741及び目標領域742を識別可能に表示する。上述の如く、オブジェクト領域741は病変部に対応し、目標領域742はステント743を配置すべき血管内の領域に対応する。
【0106】
さらに表示装置23は、血管内に挿入されたステント743と、ステント743の現在位置を表す矩形状のステント領域744とを表示する。サーバ1は、透視画像撮影装置22から取得した透視画像から、少なくともステントの現在位置及び現在の拡張径(以下、「現在径」と呼ぶ)を検出し、カラー表示等の方法で識別可能に表示させる。
【0107】
なお、ステント743の検出は第1モデル51を用いて行ってもよく、あるいはパターンマッチングによる画像認識によって行ってもよい。
【0108】
さらにサーバ1は、検出したステント743の現在位置と、目標領域742が示すステント743の目標位置との差分値を算出し、透視画像74の左上に表示させる。なお、ステント743の現在位置とは、例えば細長のステント743の中点を現在位置としてもよく、又はステント743の先端を現在位置としてもよく、ステント743の任意の点が現在位置として検出され得る。また、ステント743の目標位置とは、例えば長方形状の目標領域742の重心を目標位置としてもよく、又はステント743とは反対側に位置する目標領域742の短辺中点を目標位置としてもよく、目標領域742内の任意の点が目標位置として設定され得る。サーバ1は、透視画像からステント743を逐次検出して現在位置と目標位置との差分値を算出して表示装置23に表示させる。
【0109】
サーバ1は、現在位置と目標位置との差分値に基づき、ステント743が目標位置に到達したか否かを判定する。目標位置に到達したと判定した場合、サーバ1は、ステント743の現在径と、目標領域742が示すステント743の目標拡張径とに基づき、現在径を目標拡張径で除算した拡張率を算出し、透視画像74の左上に表示させる。なお、目標拡張径は、血管長手方向と直交する方向における目標領域742の幅であり、長方形状の目標領域742の短辺の長さである。
【0110】
図13A、Bに、ステント743が目標位置に到達してから拡張が完了するまでの様子を図示している。ステント743が目標位置に到達した場合、表示装置23は透視画像74の左上の表示を拡張率に切り換える。サーバ1は、ステント743の現在径を逐次検出して拡張率を算出し、表示装置23に表示させる。
【0111】
図14は、実施の形態2に係る学習モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。
サーバ1の制御部11は、学習モデル50を生成するための訓練データを取得する(ステップS201)。本実施の形態に係る訓練データは、治療を実施済みの患者の医用画像と、病変部等のオブジェクト領域を示すラベルデータと、血管内に留置されたステントの画像領域(目標領域)を示すラベルデータとを含む。制御部11は処理をステップS12に移行する。
【0112】
ステップS13の処理を実行後、制御部11は、医用画像を入力した場合に、ステントを配置及び拡張すべき目標領域を検出する第3モデル53を生成する(ステップS202)。具体的には上述の如く、制御部11は、Mask R-CNNを第3モデル53として生成する。例えば制御部11は、ラベルデータに従って訓練用の医用画像のオブジェクト領域を加工した第2医用画像を第3モデル53に入力して、目標領域を検出した検出結果を出力として取得する。制御部11は、取得した目標領域を正解のラベルデータと比較し、両者が近似するようにニューロン間の重み等のパラメータを最適化して第3モデル53を生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0113】
図15は、実施の形態2に係る治療情報の出力処理の手順を示すフローチャートである。第2モデル52を用いて治療情報を生成した後(ステップS33)、サーバ1は以下の処理を実行する。
制御部11は、患者の治療前の医用画像を第3モデル53に入力して、ステントを留置すべき目標領域を検出する(ステップS221)。具体的には上述の如く、制御部11は、第1モデル51を用いて生成した第2医用画像(透視画像)を第3モデル53に入力して、目標領域を検出する。
【0114】
制御部11は、医用画像から患者の血管内に挿入されたステントを検出する。(ステップS222)。制御部11は、検出したステントと、目標領域とを示す第2医用画像を生成し、ステップS33で生成した治療情報と共に表示装置23に出力する(ステップS223)。
【0115】
制御部11は、ステントの現在位置と、目標領域が示すステントの目標位置との差分値を算出し、表示装置23に出力する(ステップS224)。制御部11は、現在位置と目標位置との差分値に基づき、ステントが目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS225)。目標位置に到達していないと判定した場合(S225:NO)、制御部11は処理をステップS224に戻す。目標位置に到達したと判定した場合(S225:YES)、制御部11は、ステントの現在径と目標拡張径とから拡張率を算出し、表示装置23に出力する(ステップS226)。
【0116】
制御部11は、目標拡張径まで拡張が完了したか否かを判定する(ステップS227)。拡張が完了していないと判定した場合(S227:NO)、制御部11は処理をステップS226に戻す。拡張が完了したと判定した場合(S227:YES)、制御部11は一連の処理を終了する。
【0117】
なお、上記では学習モデル50において使用すべきステントの種類や形状などを自動的に予測し、そのステントの目標位置や拡張条件などを予測するものとしたが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばサーバ1は、血管内治療に使用するステントの種類や形状を指定する指定入力をユーザから受け付け、指定されたステントの情報(第1ステント情報)を学習モデル50に入力して、当該ステントの目標位置や拡張条件などの情報(第2ステント情報)を予測してもよい。例えばサーバ1は、ユーザが指定した第1ステント情報を医用画像と共に第3モデル53に入力して、ユーザが指定したステントを利用した場合の目標領域を検出する。これにより、ユーザの要望に応じたステント配置及び拡張を支援することができる。
【0118】
以上より、本実施の形態2によれば、血管内治療の際のステントの配置及び拡張を好適に支援することができる。
【0119】
(変形例3)
変形例1では、治療情報を出力後に修正入力を受け付けて再学習を行う形態について説明した。実施の形態2も同様に、ステント情報の出力後に修正入力を受け付けて再学習を行ってもよい。
【0120】
図16は、変形例3に係る治療情報の出力処理の手順を示すフローチャートである。ステント情報を含む治療情報を出力後(ステップS223)、サーバ1は以下の処理を実行する。
サーバ1の制御部11は、出力したステント情報の修正入力を受け付ける(ステップS241)。例えば制御部11は、ステント情報として表示されたステントの種類、形状等を修正する入力を受け付ける。また、制御部11は、第2医用画像に対し、目標領域の座標範囲を修正する入力を受け付ける。制御部11は処理をステップS224に移行する。
【0121】
ステントの拡張が完了したと判定した場合(S227:YES)、制御部11は、学習モデル50に入力した元の医用画像と、修正後のステント情報とを訓練データとする再学習を行い、学習モデル50を更新する(ステップS242)。すなわち制御部11は、学習モデル50から出力されるステント情報が修正後のステント情報に近似するようニューロン間の重み等のパラメータを最適化し、学習モデル50を再生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0122】
以上より、本変形例3によれば、本システムの運用を通じて学習モデル50を最適化することができる。
【0123】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P プログラム
141 診療DB
50 学習モデル
51 第1モデル
52 第2モデル
53 第3モデル
2 画像診断システム
21 血管内画像診断装置
22 透視画像撮影装置
23 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16