(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】動きに影響される治療線量を機械学習を使用して再構成するための部分変形マップ
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A61N5/10 P
(21)【出願番号】P 2022530748
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(86)【国際出願番号】 US2020061112
(87)【国際公開番号】W WO2021108189
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-13
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】1240 Deming Way, Madison, WI 53717 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】マウラー ジュニア カルヴィン アール
(72)【発明者】
【氏名】シュナー エリック
(72)【発明者】
【氏名】ホロウェイ リッチ
(72)【発明者】
【氏名】シーア ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック チャールズ ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ゴルチョフスキー ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ブロードハースト ロバート エリヤ
(72)【発明者】
【氏名】フォスキー マーク
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-107397(JP,A)
【文献】特開2019-107395(JP,A)
【文献】国際公開第2018/048507(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/209820(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0333623(US,A1)
【文献】特開2019-107393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0110238(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110415785(CN,A)
【文献】特表2019-534763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療システムの作動方法であって、
機械学習システムを含む放射線治療システムの処理デバイスが、
標的対象の治療計画画像を受信するステップと、
前記機械学習システムが
前記治療計画画像の第1標的対象特有モデルを決定するステップであって、前記機械学習システムが前記受信した治療計画画像から前記第1標的対象特有モデルを決定するように訓練するステップと、
前記処理デバイス
が、
前記第1標的対象特有モデルを前記治療計画画像に適用して、前記標的対象の複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成するステップと、
前記処理デバイスが、
前記変換された治療計画画像を基準画像と比較するステップと、
前記処理デバイスが、
前記比較するステップに基づいて、前記第1標的対象特有モデルの1又は2以上の
変換モデルパラメータを修正して、前記複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成するステップ
であって、
ここで、前記第1標的対象特有モデルおよび前記第2標的対象特有モデルは、それぞれ、前記受信した治療計画画像の削減された次元を識別し、前記削減された次元に基づいて、前記変換された治療計画画像を決定するためのニューラルネットワークトポロジを構成しており、
前記削減された次元に基づいて前記変換された治療計画画像を生成するステップと、
前記処理デバイスが、
前記第2標的対象特有モデル基づいて当該放射線治療システムの放射線源を制御するステップと、
を含む
作動方法。
【請求項2】
前記治療計画画像は、3-D又は4-Dの解剖学的画像の内の一方であり、前記変換された治療計画画像及び前記基準画像は、2-D画像であ
り、
前記第1標的対象特有モデルを適用して生成された変換された治療計画画像は、第1の2-D画像であり、前記基準画像は、第2の2-D画像である、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項3】
前記機械学習システムは、前記標的対象の3-D、4-D、又は他の導出された画像から前記第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項4】
前記機械学習システムは、前記標的対象と別の対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項5】
前記機械学習システムは、第1時刻の前記標的対象と第2時刻の前記標的対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項6】
前記機械学習システムは、前記標的対象と合成アトラス対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項7】
前記機械学習システムは、訓練用対象の集団と、複数の訓練用対象の各々と関係する複数の画像とを、訓練データとして使用する、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項8】
前記機械学習システムは、計算された対象特有モデルを訓練データとして使用する、請
求項1に記載の
作動方法。
【請求項9】
前記対象特有モデルは、前記標的対象の中心アトラスと、前記標的対象を見出すことのできる1又は2以上の構造の推定値を生成するために線形結合される基底変換及び外観変化のセットとを備える、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項10】
前記対象特有モデルは、基底関数の線形結合又はニューラルネットワークの内の少なくとも1つを含むモデル合成関数を備える、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項11】
前記対象特有モデルは、実データ又は合成データの内の少なくとも1つのセットに対する次元削減から展開される、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項12】
前記機械学習システムは、その出力として対象特有モデルを生成する敵対的生成ネットワークを使用する、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項13】
前記機械学習システムは、それからのデコーダ成分を前記第1対象特有モデルとして使用することができるオートエンコーダネットワークを使用する、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項14】
前記機械学習システムは、一人の対象から対象特有モデルを生成するシステムに由来する転移学習を使用して、別の対象に対する対象特有モデルを生成する、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項15】
補助解剖学的又は擬似解剖学的信号を受信するステップを更に備える、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項16】
放射線治療システムであって、
標的対象の治療計画画像を保存するメモリと、
前記メモリに動作可能に接続され
た処理デバイス
と、を備え、
前記処理デバイスが、
前記標的対象の前記治療計画画像を受信するステップと、
前記処理デバイスが、
前記治療計画画像の第1標的対象特有モデルを決定する
ステップと、
前記第1標的対象特有モデルを前記治療計画画像に適用して、前記標的対象の複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成する
ステップと、
前記処理デバイスが、
前記変換された治療計画画像を基準画像と比較する
ステップと、
前記処理デバイスが、
前記比較するステップに基づいて、前記第1標的対象特有モデルの1又は2以上の
変換モデルパラメータを修正して、前記複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成する
ステップであって、
ここで、前記第1標的対象特有モデルおよび前記第2標的対象特有モデルは、それぞれ、前記受信した治療計画画像の削減された次元を識別し、前記削減された次元に基づいて、前記変換された治療計画画像を決定するためのニューラルネットワークトポロジを構成しており、
前記削減された次元に基づいて前記変換された治療計画画像を生成するステップと、
前記処理デバイスが、
前記第2標的対象特有モデル基づいて当該放射線治療システムの放射線源を制御するステップと、
を実行する放射線治療システム。
【請求項17】
前記治療計画画像は、3-D又は4-Dの解剖学的画像の内の一方であり、前記変換された治療計画画像及び前記基準画像は、2-D画像であ
り、
前記第1標的対象特有モデルを適用して生成された変換された治療計画画像は、第1の2D画像であり、前記基準画像は、第2の2D画像である、請求項16に記載の
放射線治療システム。
【請求項18】
前記対象特有モデルは、基底関数の線形結合又はニューラルネットワークの内の少なくとも1つを含むモデル合成関数を備える、請求項16に記載の
放射線治療システム。
【請求項19】
放射線源に連結されたガントリを更に備え、前記ガントリは、前記放射線源を前記標的対象の周りに回転させるように構成される、請求項16に記載の
放射線治療システム。
【請求項20】
前記ガントリは、Cアームガントリを備える、請求項19に記載の
放射線治療システム。
【請求項21】
前記ガントリは、リングガントリを備える、請求項19に記載の
放射線治療システム。
【請求項22】
放射線源に連結されたロボットアームを更に備え、前記ロボットアームは、放射線源を複数の位置に位置決めするように構成される、請求項16に記載の
放射線治療システム。
【請求項23】
前記ロボットアームは、前記放射線源を前記標的対象周りの前記複数の位置に位置決めする、請求項22に記載の
放射線治療システム。
【請求項24】
前記放射線源の放射線ビームは、キロボルト(kV)治療ビームを含む、請求項19又
は22に記載の
放射線治療システム。
【請求項25】
前記放射線源によって生成された放射線ビームを成形するために、前記放射線源に接続されたバイナリーマルチリーフコリメータをさらに備える、請求項16に記載の
放射線治療システム。
【請求項26】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、機械学習システムを
含む放射線治療システム備えた処理デバイスによって実行されると、前記処理デバイスに対して、
標的対象の治療計画画像を
受信するステップと、
前記治療計画画像の第1標的対象特有モデルを決定する
ステップと、
前記第1標的対象特有モデルを前記治療計画画像に適用して、前記標的対象の複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成する
ステップと、
前記変換された治療計画画像を基準画像と比較する
ステップと、
前記比較
するステップに基づいて、前記第1標的対象特有モデルの1又は2以上の
変換モデルパラメータを修正して、前記複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成する
ステップであって、
ここで、前記第1標的対象特有モデルおよび前記第2標的対象特有モデルは、それぞれ、前記受信した治療計画画像の削減された次元を識別し、前記削減された次元に基づいて、前記変換された治療計画画像を決定するためのニューラルネットワークトポロジを構成しており、
前記削減された次元に基づいて前記変換された治療計画画像を生成するステップと、
前記第2標的対象特有モデル基づいて当該放射線治療システムの放射線源を制御するステップ、
とを実行するように仕向ける命令を備えた非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
前記治療計画画像は、3-D又は4-Dの解剖学的画像の内の一方であり、前記変換された治療計画画像及び前記基準画像は、2-D画像であ
り、
前記第1標的対象特有モデルを適用して生成された変換された治療計画画像は、第1の2D画像であり、前記基準画像は、第2の2D画像である、請求項26に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
前記対象特有モデルは、基底関数の線形結合又はニューラルネットワークの内の少なくとも1つを含むモデル合成関数を備える、請求項26に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年11月25日出願の米国特許仮出願第62/940037号の利益を主張する、2020年11月13日出願の米国特許出願第17/098215号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、これらの開示内容は、その内容全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップに関し、特に、機械学習を使用して動きに影響される治療を再構成するための部分変形マップを生成し利用するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
放射線治療では、腫瘍性細胞を破壊するために、患者の体外の線源から放射線治療ビームによって放出される放射線線量が、体内の標的領域に送達される。意図する治療領域に治療線量によって送達される放射線の量を最大限にしつつ、非治療領域に送達される放射線の量を最小限にするように注意しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許仮出願第62/940037号明細書
【文献】米国特許出願第17/098215号明細書
【0005】
本開示は、以下に与える詳細な説明から、並びに本開示の様々な実施態様に関する添付図面から、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本明細書に記載する実施形態による、ヘリカル放射線送達システムを示す図である。
【
図1B】本明細書に記載する実施形態に従って使用することができるロボット放射線治療システムを示す図である。
【
図1C】本明細書に記載する実施形態による、Cアームガントリベースの放射線治療システムを示す図である。
【
図2A】本開示の実施形態による、オートエンコーダ及び2-D/3-Dレジストレーションの方法の流れ図である。
【
図2B】本開示の実施形態による、計画画像の低次元変成を学習するオートエンコーダネットワークの方法の流れ図である。
【
図3A】本開示の実施形態による、一般的な機械学習方法の流れ図である。
【
図3B】本開示の実施形態による、直接法を用いてモデルを学習する流れ図である。
【
図3C】本開示の実施形態による、ブートストラップ法を用いてモデルを学習する流れ図である。
【
図4A】本開示の実施形態による、分離型直接法を用いてモデルを学習する流れ図である。
【
図4B】本開示の実施形態による、対象特有の敵対的生成法を用いてモデルを学習する流れ図である。
【
図4C】本開示の実施形態による、同時モデル精緻化を備えたGAN的な方法を用いてモデルを学習する流れ図
【
図4D】本開示の実施形態による、変成モデル学習追加導入の方法の流れ図である。
【
図5】本開示の実施形態による、機械学習を用いて動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップを生成する方法の流れ図である。
【
図6】本明細書に記載する実施形態による、動きに影響される治療線量を再構成する部分変形マップを生成するために使用できる種々のシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態は、画像誘導治療の分野に関し、特に、機械学習技術を用いて動きに影響される治療を再構成するための部分変形マップ用のシステムに関するものである。様々な実施形態において、本明細書で提供するシステム及び方法は、放射線療法用途の単一画像からの患者内変換モデルの生成及び使用と、生成的画像変成によるレジストレーションに関する外観変化の影響の低減とを記述する。
【0008】
一実施形態では、放射線治療療法の一構成要素は、治療時における計画画像の空間と患者の空間との間の変換を推定するステップとすることができる。理想的には、この変換は、2-D投影画像又は光学マーカ位置などの一部の限定された低遅延監視情報から治療時に取得可能であるため、変換は時間的に正確であるとすることができる。このような変換は、多くの形態で、具体的には標的追跡、線量蓄積、及び予測計画についてオンライン適応に役立つ可能性がある。実際、患者特有の良好な変換モデルがあれば、適応放射線療法の画像解析部分を解決することができる。
【0009】
一実施形態では、治療時の2-D投影図から決定することができる確かな変換は、少数のパラメータで記述可能であるとすることができ(例えば、さもなければ、同じ投影図を意味する多くの可能な変換が存在する可能性がある)、それらのパラメータによって張られる空間は、その確かな変換から構成されるとすることができる(例えば、見込みのない変換が探索空間から排除されるように)。例えば、変換モデルが呼吸を記述する場合、全ての合理的なパラメータ選択は、確かな呼吸を生成するはずである。呼吸に影響される部位では、呼吸相関コンピュータ断層撮影(RCCT)の位相間で主成分分析(PCA)を用いて、そのようなモデルを構築することができる。同様に、構造上少数の自由度を有する剛体変換、さもなければ線形変換のレジストレーションも、実証することができる。
【0010】
一実施形態では、呼吸運動モデルの場合、モデル構築に使用される情報を計画時にRCCTから決定することができる。骨盤など、変換が分画間時間尺度で観察される他の部位の場合には、そうでない可能性がある。更に、呼吸モデルもこれらの分画間変換の影響を受ける場合があり、そのような呼吸運動モデル及びRCCTの精度は一般に劣る可能性がある。理想的には、そのようなモデルは、類似画像で観察された変換に基づいて単一の計画画像から構築可能であり、患者が受ける可能性の高い変換に汎化できよう。
【0011】
一実施形態では、単純な運動モデルは以下のように構築することができる:全ての画像を共にレジストレーションして、何とか中心に位置する「平均」画像と、平均画像から位相画像の各々への変換セットとを形成し、グループワイズレジストレーションで生じた変位ベクトル場に対して直接PCAを実行する。この結果、平均変位ベクトルμと、最初の数個の固有ベクトルの線形結合が訓練セット内の全ての変換をよく近似するようなN個の固有ベクトルvとが得られる。
【0012】
パラメータを、最初の1~3個の固有ベクトルの線形結合(変位ベクトル場をもたらす和)に関する乗数として考慮することで、1~3個のパラメータを備えた妥当且つ確かな患者特有の呼吸モデルを生成することができる。これらの固有ベクトルは、変動モードとして知られているかもしれない。一実施形態では、変換が妥当な数の患者画像から学習できるよりも複雑であるため、同様のプロセスを男性の骨盤に対して使用しない場合がある。男性の骨盤に対して患者特有の変換モデルを構築することは可能であるが、上記の手順は、状況によっては成功しない可能性がある。この問題を解決し、この手法の工学的複雑さを軽減するために、複数の患者からの変換情報を単一の部位特有変換モデルに結合させ、次いでこれを新規の患者に適用できるようにすることが求められている。
【0013】
一実施形態では、多患者変換モデルを構築するために、複数の患者からのPCAモデルを共通アトラス空間に登録し、そこで結合させ、次いで新規の患者に再レジストレーションすることができる。一実施形態では、変動モードが患者変換の空間を越えて共通空間へ変換される場合、それらは未知の変化を受ける。
【0014】
患者特有の変換モデルを線形次元削減で記述することができる、又はその可能性はあるが、先の手法の失敗は、輸送問題の解が非線形であることを示唆している。
【0015】
本開示は、このレジストレーション問題に対する解決策を提案するものであり、単一の患者計画画像が与えられた場合に、変換モデルを生成することができ、この変換モデルは、治療の経過に亘って観察される可能性の高い、その計画画像の確かな非剛体変換を生成して、変換モデルのパラメータ(ひいてはその変換)が少数の2-D投影図から決定できるようにする。
【0016】
本明細書に記載する手法は、例示的なデータを提供し、次元削減に適していると共に十分に生成力のあるオートエンコーダとして知られるニューラルネットワークトポロジを使用することによって、上記問題の解決を回避しようとするものである。すなわち、オートエンコーダは、データの低次元表現を見出すこと(削減)と、低次元表現からそのデータを再構築すること(生成)の両方に適している可能性がある。この生成は、非線形次元再構築法では必ずしも利用できないので、オートエンコーダはこの問題に好適なものとなる。
【0017】
一実施形態では、「標的」、「標的領域」、「標的対象」などの用語は、治療領域(例えば、腫瘍)の近く(所定の近傍内)にある1又は2以上の基準を指す場合がある。別の実施形態では、標的は骨構造とすることができる。更に別の実施形態では、標的は患者の軟組織を指す場合がある。標的は、本明細書に記載するように、同定及び追跡のできるいずれか所定の構造又は領域(患者自身の全体を含めて)とすることができる。
【0018】
図1Aは、本開示の実施形態によるヘリカル放射線送達システム800を示す。ヘリカル放射線送達システム800は、リングガントリ820に取り付けられた線形加速器(LINAC)850を含むことができる。LINAC850を用いて、電子ビームをX線放出ターゲットに向けることによって放射線ビーム(つまり治療ビーム)を生成することができる。治療ビームは、標的領域(すなわち、腫瘍)に放射線を送達することができる。この治療システムは、LINAC850の遠位端と連結されたマルチリーフコリメータ(MLC)860を更に含む。MLC860は、本明細書に記載するように、eMLCとすることができる。 MLCは、MLCの開口を調整して治療ビームの成形を可能にするために可動である複数のリーフを収容するハウジングを含む。リングガントリ820は、患者830がそのリング/トロイドの穴を貫いて延在するトロイダル形状を有し、LINAC850はリングの周囲に取り付けられ、その中心を通る軸の周りに回転して、患者周りの1又は2以上の角度から送達されるビームで標的領域を照射する。治療中、同時に患者830を治療寝台840上でガントリの穴を通って移動させることができる。
【0019】
ヘリカル放射線送達システム800は、撮像線源としてのLINAC850とX線検出器870とを備えた撮像システムを含む。セットアップのために患者830を撮像して治療前画像を生成するために、LINAC850と対向するX線検出器870に入射する一連のX線ビームを関心領域(ROI)に向けることにより、LINAC850を用いて、患者830のROIのメガボルトX線画像(MVCT)を生成することができる。一実施形態では、ヘリカル放射線送達システム800はまた、リングガントリ820上にLINAC810に対して直交して(例えば90度だけ離れて)取り付けられたkV撮像線源810から成る2次撮像システムを含むことができ、標的領域に撮像X線ビームを投射するように、並びに患者130を透過した後で検出器の撮像面を照らすように位置合わせすることができる。
【0020】
図1Bは、本明細書に記載する実施形態に従って使用することができる放射線治療システム1200を示す。図示のように、
図1Bは放射線治療システム1200の構成を示す。図示の実施形態では、放射線治療システム1200は、放射線治療線源として機能する線形加速器(LINAC)1201と、治療ビームを成形するためにLINACの遠位端と連結されたMLC1205(例えば、eMLC)とを含む。一実施形態では、LINAC1201を位置決めして、多くの角度から、多くの平面に、患者周りの手術体積にビームを送達して病的解剖学的構造(例えば標的)に照射するために、LINAC1201は、複数(例えば5以上)の自由度を有するロボットアーム1202の端部に取り付けられる。治療は、単一のアイソセンタ、複数のアイソセンタを備えた、又は非アイソセントリックな進入路を備えたビーム経路を伴うとすることができる。
【0021】
LINAC1201は、ロボットアーム1202を動かすことによって治療中に複数の異なるノード(LINAC1201が停止して放射線を送達することができる所定の位置)に位置決めすることができる。ノードにおいて、LINAC1201は1又は2以上の放射線治療ビームを標的に送達することができ、その場合、放射線ビームの形状は、MLC1205内のリーフポジションによって決定される。ノードは、患者の周りに略球状の分布に配置することができる。ノードの特定の数及び各ノードで適用される治療ビームの数は、治療する病理解剖学的構造の位置及び種類の関数として変わる可能性がある。
【0022】
別の実施形態では、ロボットアーム1202とその端部にあるLINAC1201は、放射線が送達されている間、ノード間で連続動作することができる。放射線ビーム形状及び2-D強度マップは、LINAC1201の連続動作中、MLC1205内のリーフの迅速な動作によって決定される。
【0023】
放射線治療システム1200は、X線源1203A及び1203B(つまり、撮像線源)と固定式X線検出器1204A及び1204Bとに接続された処理デバイス1230を有する撮像システム1210を含む。代わりに、X線源1203A、1203B及び/又はX線検出器1204A、1204Bは可動式とすることができ、その場合、それらを再位置決めして、標的との位置合わせを維持する、又は代わりに異なる向きから標的を撮像する、又は多くのX線画像を取得して3次元(3-D)コーンビームCTを再構成することができる。一実施形態では、当業者には理解されるように、X線源は点線源ではなく、むしろX線源アレイである。一実施形態では、LINAC1201は撮像線源として機能し、その場合、LINACの出力レベルは撮像に許容可能なレベルまで低下する。
【0024】
撮像システム1210は、コーンビームCT又はヘリカルメガボルト・コンピュータ断層撮影(MVCT)などのコンピュータ断層撮影(CT)を実行することができ、撮像システム1210によって生成された画像は2次元(2-D)又は3次元(3-D)とすることができる。2つのX線源1203A及び1203Bは、手術室の天井の固定位置に取り付けることができ、2つの異なる角度位置(例えば90度離れた)からX線撮像ビームを投射してマシンアイソセンタ(本明細書では治療センタと呼び、治療中に患者を治療寝台1206上に位置決めするための基準点を提供する)で交差するように、並びに患者を透過した後にそれぞれの検出器1204A及び1204Bの撮像面を照らすように、位置合わせすることができる。一実施形態では、撮像システム1210は標的及び周囲の関心体積(VOI)の立体撮像を提供する。
【0025】
別の実施形態では、撮像システム1210は、2つを超える又は2つ未満のX線源と、2つを超える又は2つ未満の検出器とを含むことができ、検出器のいずれも、固定式ではなく可動式とすることができる。更に別の実施形態では、X線源及び検出器の位置は入れ替えることができる。当業者にはよく知られているように、検出器1204A及び1204Bは、X線を可視光に変換する発光物質(例えば、アモルファスシリコン)と、その光をデジタル画像に変換するCMOS(相補型金属酸化膜シリコン)又はCCD(電荷結合素子)の撮像セルのアレイとから製作することができ、そのデジタル画像は、デジタル画像の座標系を基準画像の座標系に変換する画像レジストレーションプロセス中に基準画像と比較することができる。基準画像は、例えば、デジタル再構成放射線写真(DRR)とすることができ、DRRは、CT画像を通した光線の投影によってX線画像形成プロセスをシミュレートすることに基づいて3次元CT画像から生成される仮想的なX線画像である。
【0026】
一実施形態では、IGRT送達システム1200はまた、2次撮像システム1239を含む。撮像システム1239は、コーンビーム・コンピュータ断層撮影(CBCT)撮像システム、例えば、medPhoton社製のImagingRing・Systemである。代わりに、他のタイプの体積撮像システムを使用することができる。2次撮像システム1239は、アームに取り付けられた回転式ガントリ1240(例えば、リング)と、1又は2以上の軸に沿って(例えば、治療寝台1206の頭部から足部に延びる軸に沿って)回転式ガントリ1240を動かすレールシステム(図示せず)とを含む。撮像線源1245と検出器1250が、回転式ガントリ1240に取り付けられる。
【0027】
回転式ガントリ1240は、治療寝台の頭部から足部まで延びる軸の周りに360度回転することができる。従って、撮像線源1245と検出器1250は、数多くの異なる角度に位置決めすることができる。一実施形態では、撮像源1245はX線源であり、検出器1250はX線検出器である。一実施形態では、2次撮像システム1239は、別々に回転可能な2つのリングを含む。撮像源1245を第1のリングに取り付けることができ、検出器1250を第2のリングに取り付けることができる。一実施形態では、回転式ガントリ1240は、ロボットアーム1202との衝突を回避するために放射線治療送達中は治療寝台の足部に静止する。
【0028】
図1Bに示すように、画像誘導放射線治療システム1200は更に、治療送達ワークステーション150と関係付けることができる。治療送達ワークステーションは、放射線治療システム1200から離れて、放射線治療システム1200及び患者が位置する治療室とは異なる部屋に位置することができる。治療送達ワークステーション150は、本明細書に記載するように、1又は2以上の画像レジストレーションに基づく標的運動の検出に基づいて患者1225への治療送達を修正する処理デバイス(処理デバイス1230又は他の処理デバイスの場合がある)及びメモリを含むことができる。
【0029】
図1Cは、Cアーム放射線送達システム1400を示す。一実施形態では、Cアームシステム1400では、LINACのビームエネルギは、治療中に調整することができ、LINACをX線撮影及び放射線治療の両方に使用することができる。別の実施形態では、システム1400は、X線画像を生成するためのオンボードkV撮像システムと、より高エネルギの治療用放射線ビームを生成するための別個のLINACとを含むことができる。システム1400は、ガントリ1410と、LINAC1420と、ビームを成形するためにLINAC1420の遠位端と連結されたMLC1470と、ポータル撮像検出器1450とを含む。ガントリ1410は、選択された投射に対応する角度に回転させて、治療寝台1440上の患者1430についてVOIのX線画像を取得するために使用することができる。
【0030】
ポータル撮像システムを含む実施形態では、LINAC1420は、患者1430の標的を透過してポータル撮像検出器1450に入射するX線ビームを生成し、標的のX線画像を作り出すことができる。標的のX線画像が生成された後、LINAC1420のビームエネルギを増大させることができるので、LINAC1420は、患者1430の標的領域を治療するための放射線ビームを生成できる。別の実施形態では、kV撮像システムは、患者1430の標的を透過するX線ビームを生成し、標的のX線画像を作り出すことができる。一部の実施形態では、ポータル撮像システムは、治療の送達中にポータル画像を取得することができる。ポータル撮像検出器1450は、ビームが患者1430を透過した後の出射放射線フルエンスを測定することができる。これにより、内部基準又は外部基準或いは解剖学的構造の断片(例えば、腫瘍又は骨)をポータル画像内で位置付けることができる。
【0031】
代わりに、本明細書に記載するkV撮像線源又はポータル撮像装置及び運転方法は、更に他タイプのガントリベースのシステムと共に使用することができる。一部のガントリベースのシステムでは、ガントリは、アイソセンタを通る軸の周りにkV撮像線源及びLINACを回転させる。ガントリベースのシステムは、略トロイダル形状を有するリングガントリを含み、その場合、患者の体がリング/トロイドの穴を通って延在し、kV撮像線源及びLINACがリングの周囲に取り付けられ、アイソセンタを通る軸の周りに回転する。
【0032】
ガントリベースのシステムはCアームガントリを更に含むことができ、その場合、kV撮像線源及びLINACが、アイソセンタを通る軸の上方に片持ち式に取り付けられ、その軸の周りを回転する。別の実施形態では、kV撮像線源及びLINACをロボットアームベースのシステムで使用することができ、このシステムは、上述のようにkV撮像線源及びLINACが取り付けられるロボットアームを含む。本開示の態様は更に、ガントリベースのLINACシステム、放射線療法及び放射線手術と関係する静止画撮像システム、統合画像誘導を用いた陽子線治療システム、介入的画像診断及び術中X線撮像システムなど、他のこのようなシステムで使用することができる。
【0033】
上記及び本明細書に記載するシステムに関して、一実施形態では、放射線治療送達システム(例えば、いずれか適切なタイプの)は、標的対象の治療計画画像を保存するメモリと、メモリに動作可能に連結された処理デバイスとを含むことができる。本明細書に記載する様々な実施形態において、処理デバイスは、様々な動作を実行することができる。例えば、処理デバイスは、標的対象の治療計画画像を機械学習システムに入力し;機械学習システムによって、治療計画画像の第1標的対象特有モデルを決定し;第1標的対象特有モデルを治療計画画像に適用して、標的対象の複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成し;変換された治療計画画像を基準画像と比較し;その比較に基づいて、第1標的対象特有モデルの1又は2以上のパラメータを修正して、複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成し;並びに、第2標的対象特有モデルに基づいて治療デバイスを制御し、標的対象に治療を送達することができる。
【0034】
一実施形態では、治療計画画像は、3-D又は4-Dの解剖学的画像の内の一方であり、変換された治療計画画像及び基準画像は、2-D画像である。一実施形態では、機械学習システムは、標的対象の3-D、4-D、又は他の導出された画像から第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される。一実施形態では、機械学習システムは、標的対象と別の対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーション(deformable registration)から第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される。一実施形態では、機械学習システムは、第1時刻の標的対象と第2時刻の標的対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される。一実施形態では、機械学習システムは、標的対象と合成アトラス対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される。一実施形態では、機械学習システムは、訓練用対象の集団と、複数の訓練用対象の各々と関係する複数の画像とを、訓練データとして使用する。一実施形態では、機械学習システムは、計算された対象特有モデルを訓練データとして使用する。
【0035】
一実施形態では、対象特有モデルは、標的対象の中心アトラスと、標的対象を見出すことのできる1又は2以上の構造の推定値を生成するために線形結合される基底変換及び外観変化のセットとを備える。一実施形態では、対象特有モデルは、基底関数の線形結合又はニューラルネットワークの内の少なくとも1つを含むモデル合成関数を備える。一実施形態では、対象特有モデルは、実データ又は合成データの内の少なくとも1つのセットに対する次元削減から展開される。一実施形態では、機械学習システムは、その出力として対象特有モデルを生成する敵対的生成ネットワークを使用する。一実施形態では、機械学習システムは、オートエンコーダネットワークを使用し、それからデコーダ成分を第1対象特有モデルとして使用することができる。一実施形態では、機械学習システムは、一人の対象から対象特有モデルを生成するシステムに由来する転移学習を使用して、別の対象に対する対象特有モデルを生成する。一実施形態では、処理デバイスは更に、補助解剖学的信号又は擬似解剖学的信号を受信することになっており、その場合、補助信号は、三角測量された発光ダイオード(LED)マーカのセットに基づいて光学的に取得される。
【0036】
本明細書に記載するように、放射線治療システムは、放射線源に連結されたガントリを必要に応じて備えることができ、その場合、ガントリは、放射線源を標的対象の周りに回転させるように構成される。一実施形態では、ガントリはCアームガンストリを含む。一実施形態では、ガントリはリングガントリを含む。放射線治療システムは、放射線源に連結されたロボットアームを必要に応じて任意に含むことができる。一実施形態では、ロボットアームは、放射線源を円形又は楕円形の軌道に沿う複数の位置に位置決めするように構成される。一実施形態では、ロボットアームは、放射線源を標的対象周りの複数の位置に位置決めする。放射線ビーム(例えば、放射線源からの)は、キロボルト(kV)治療ビームを含むことができる。MLCは、バイナリMLCを含むことができる。機器及び機能についていずれか他の適切な組み合わせが、本明細書では更に想定される。
【0037】
図2Aは、本開示の実施形態による、オートエンコーダ及び2-D/3-Dレジストレーションの方法200Aの流れ図を示す。一般に、本明細書に記載する本方法の各々は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコード、デバイスのハードウェアなど)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で走らされる又は実行される命令)、又はそれらの組み合わせを含むことのできる処理ロジックによって実行することができる。一部の実施形態では、本方法は、
図1Aの放射線治療システム800の処理ロジックによって実行することができる。
【0038】
一実施形態では、オートエンコーダは、入力を受け取り、出力として少数のパラメータを生成するニューラルネットワークである。このネットワークを訓練するために、エンコーダは、それら少数のパラメータを受け取って入力データを再現しようとするデコーダとペアになることができる。本開示の一実施形態では、学習後、エンコーダを破棄し、デコーダだけを用いてレジストレーションを実行することができる。次いで、変換された計画画像のDRRを測定された2-D投影図と比較するで、3-D/2-D最適化を実行することができる。これを
図2Aに示す。
【0039】
本明細書で説明するように、エンコーダ/デコーダのペアは、データの低次元表現を見出すことができる。原理的には、これは過剰適合を低減するはずであり、なぜなら、学習データを完全に表現するいずれかの低次元表現は、本質的に意味のあるパラメータで構成されなければならないからである。これに加えて、適切な量の訓練データとネットワークの慎重な構築により、モデルの汎化を確実にすることができる。
【0040】
一実施形態では、プランニングからアトラスへの変換は、訓練データのばらつきを減らし、ネットワークを共通空間でのモデル学習に追加導入しようとする補助的なデータとすることができる。すなわち、ネットワークは、日常変換に対するプランニングで何かを行い、それを共通空間に変換し、他の何かを行い、低次元エンコーディングを生成する必要がある。デコーディングは、このプロセスの逆である。入力データとしてのこの変換の利点の1つは、それを単一の計画画像から取得できることである。
【0041】
一実施形態において、
図2Aは、3-D/2-Dレジストレーションに対するデコーダの適用例を示す。訓練入力として、それは、或る数の患者から日常画像に対するプランニングのセットを受け取り、それらの変換を再現するために学習しようとする。これは、良好な第1ステップ(又は、おそらく初期化)であり、良好な変換を生成することができる。他の実施形態において、この概念を更に汎化することができる。例えば、1つの非限定的な実施形態では、ネットワークを用いて与えられた変換のセットを学習する代わりに、ネットワークがレジストレーション自体を実行することができる。すなわち、計画画像及び計画画像からアトラス空間への変換として入力が与えられると、外部のレジストレーション方法を呼び出すことなく、ネットワークの出力がその変換となるように、ネットワークのパラメータを調整することができる。これは、初期レジストレーションによって課されるあらゆる偏りを制限することができ、学習プロセスをレジストレーションそのものにする。
【0042】
一実施形態では、変換に加えて、ネットワークは変成画像も生成することができる。すなわち、低次元エンコーディングは、変換に加えて、直腸内のガスの存在など、画像に対する外観変化を表現することができる。この変成手法は、付加的なデータを必要とする場合がある。一実施形態では、上述したものと同様のオートエンコーダ手法は、オートエンコーダ訓練プロセスが実際にはレジストレーションであるため、これらの外観変化に起因する3-D/3-Dレジストレーションの問題を解決することができる、完全に教師なし、訓練データなしの方法で、変成画像及び変換を生成することができる。両手法の方法200Bの説明図を
図2Bに示す。
【0043】
図3Aは、本開示の実施形態による、一般的な機械学習方法300Aの流れ図を示す。一実施形態では、この方法300Aの1つの目標は、或る時間における対象と別の時間における対象との間の変換を見出すために、或る治療時画像-この非限定的な例では平面X線画像-に対象をレジストレーションするステップを伴う。一般的なレジストレーション問題は劣決定であるため、正しい解を見出すためには、考えられる解の空間を縮小する必要がある。
図3Aに示す例では、対象の或る画像が、考えられるそのような変更の低次元表現に従って変成される(すなわち、画像の強度値が変更される)。次いで、その画像は、低次元の幾何学的変換モデルに従って幾何学的に変換される。次にその画像を用いて、X線撮像のプロセスをシミュレートすることにより、DRRを生成する。そのDRRは、測定された実際のX線写真と比較することができる。その場合、モデルのパラメータを最適化して、変換され変成された画像のDRRが実際のX線写真とできるだけ(例えば、所定の閾値内で)一致するようにすることができる。これに関して多くの変形形態が考えられる。これらのモデルを得るためのいくつかの可能な方法及びその方法の変形形態を以下で説明する。
【0044】
図3Bは、本開示の実施形態による、直接法300Bを用いてモデルを学習する流れ図を示す。一実施形態では、直接法300Bのパラメータは、部位特有モデルの係数及びメタパラメータ、並びに各患者画像ペアに対する入力パラメータαとすることができる。入力データは、対象内画像ペアとすることができる。本方法は、パラメータに亘って画像一致項を最小化する。その場合、αでパラメータ表示された部位特有モデルは、対象の集団全体に亘って観察される可能性が高い対象内変換のセットを記述する。
【0045】
一実施形態では、方法300Bは、ヒトの変形を集約することに成功する可能性がある。実際、それは、十分な訓練データで明白に成功する。この方法は成功する可能性があるが、全ての(ヒト)対象に関する全ての単一部位変形のセットにはあまりに多くの固有変動が存在するので、妥当な量の訓練データでそのようなモデルを構築することはできない。
【0046】
更に、このような変形の固有次元数は、3-D~2-D用途には大きすぎる可能性がある。すなわち、一実施形態では、典型的な対象内呼吸だけのモデルは2~3個のパラメータを有するべきであるが、呼吸及び全胸部モデルは数千個を有する可能性がある。しかしながら、これは、一般的なレジストレーション問題に典型的に使用される数百万のパラメータよりも依然として優れている。
図3Aに示す適用例は、もっともらしい変形だけが利用できるようにするために、モデルが単一の対象に対してもっともらしい変形だけをパラメータ表示することを示唆する。この制限がなされない場合、見出されるいずれかの変換が正しいものである可能性は極めて低い。
【0047】
一実施形態では、この方法の単純な実装は、各々が複数の画像を有する何百もの対象を予期して、合計で何万もの画像ペアという結果をもたらす可能性がある。変換→一致→最適化という典型的な画像レジストレーションループは、各対象に対して数百回実行される可能性がある。そのため、ブートストラップ法を以下に提案し、その場合、より限定されたデータセットから初期部位特有モデルが構築され、次いで精緻化される。
【0048】
図3Cは、本開示の実施形態による、ブートストラップ法300Cを用いてモデルを学習する流れ図を示す。一実施形態では、本開示の目的の1つは、もっともらしい変換セットの低次元表現を提供することである。最終的に、このタスクのモデル構築部分は、画像を変形させて何らかの画像類似度指標を評価するために使用できる対象に対してもっともらしい変換を生成することができるシステムの、何らかの高次元パラメータ表示によって、その画像類似度指標を最小化するステップを伴うことができる。ML(機械学習)の枠組みの外で、画像ペア間か画像グループ間のいずれかで変換を見出すための、多くの異なる効果的な方法が存在する可能性がある。その場合、これらの独立して計算された変換を用いて、MLタスクの変形部分のパラメータに対する初期推定値を決定することができる。一実施形態では、これは、ネットワークの入力及び出力が実行可能な変換であるオートエンコーダを用いて、実行可能な変換を学習することで行うことができる。その場合、オートエンコーダのデコーダ部分の重みを用いて、いずれか別のネットワークの重みを初期化することができ、これはその後で精緻化される。一実施形態では、これは、収束時間を減少させ、モデル構築の失敗を減らすことができる。
【0049】
一実施形態では、300Bに関して説明した直接法と同様に、こうして訓練されたネットワークは、有効な変形モデルとなる可能性があるが、それが生成する変換は、訓練用変形によって張られる空間に限定される場合があり、データセットに亘って仮定上の画像類似度指標を最小化する最良の変形でない可能性もある。これは、ブートストラップ最適化に画像類似度誤差情報が含まれていないために生じる可能性がある。例えば、集約プロセスにおいて誤差情報の破棄を回避することによって、変形モデルを精緻化することで、より良いモデルが与えられる可能性がある。少なくとも、このブートストラップ型変形モデルは、いずれか別の学習中に劣化することはない(それが目標であるか否かを問わず、別の学習が訓練用変換の構築に使用されたものと同じ画像類似度指標を最適化することを条件として)。
【0050】
図4Aは、本開示の実施形態による、分離型直接法を用いてモデルを学習する流れ図を示す。先に説明した直接法300Bは、患者内変化及び患者間変化の両方を包含する変形モデルを構築する。学習中、対象間モデルのパラメータβは、各患者内で一定のままである。これらのβは、個々の対象の座標から全対象の共通座標に変換するために動画像に適用される変換を記述する。その場合、パラメータαは、共通座標における第2の変換を記述し、それもまた動画像に適用される。これに続いて、対象間変換の逆変換を適用することができる。その場合、三重に変換された画像は固定画像の空間内にあり、画像の一致を計算し最適化することができる。同様に、順方向対象内変換を固定画像に適用し、共通空間で画像一致を計算することができる。「2つの変換」の要件は、この方法の最大の弱点に繋がるが、これについては、以下で更に説明する。
【0051】
一実施形態では、特定の対象の治療について、パラメータβは、対象間モデルと計画CTとのレジストレーションによって決定することができ、その後、治療中に治療時画像データを用いてパラメータαが最適化される間、一定のままとすることができる。
【0052】
対象間モデルのレジストレーションを明確にするために、各対象は、その対象の構造から共通空間への変換を記述するパラメータβと、その対象の構造間の変換を記述するパラメータαとのセットを有することができる。従来のレジストレーションループを用いて対象画像を対象間モデルに登録するために、「アトラス」画像を利用することができ、それは、訓練セットに亘る平均画像とすることができる。数ある可能な方法の中でも、このようなアトラスは、以下のように構築することができる:訓練セット内にある全画像のボクセル単位の平均として合成平均画像を構築する;1エポックの訓練を行い、パラメータβi及びαijμに亘って(ここでμは、患者i内の画像jの平均画像とのレジストレーションに属するパラメータを示す)、データセット内の各画像を合成平均画像とレジストレーションする;現在ではより位置の揃った全ての画像を用いて平均画像を再計算する;そして収束するまで継続する。
【0053】
一実施形態では、次に平均画像をアトラスとして使用することができ、対象からの画像は、パラメータα及びβに亘ってレジストレーションすることによってアトラス画像に一致するように変形させることができる。一実施形態では、本明細書に記載する方法300Dは、ペアワイズ/グループワイズ法と呼ぶことができ、そこでは、対象内変形モデルはペアワイズデータ(同じ対象の異なる画像のペア)に亘って構築され、対象間モデルは対象全てに亘って全体として構築される。同様に、第1の直接法300Bは、ペアワイズ/ペアワイズ法と記述することができる。
【0054】
類推によって、対象ごとに単一の平均画像が存在する場合、グループワイズ/グループワイズ法を構築することができる。この場合、平均画像を学習中に利用することができ、このような画像は、ペアワイズ/ペアワイズ法では暗に示されている。この直接法は効果的であるが、2つの弱点に難儀する可能性がある。第1に、分離型直接法は、治療時に採用されたモデルで対象間の変動を説明する必要がないという点で、直接法より改善されているが、そのモデルも依然として、全対象から対象内変動を説明する必要がある-それは対象特有ではない、ということである。第2に、対象内モデルは共通空間に存在し、対象間変換と合成された対象内変換のセットはいずれも、特定の対象の変形に関する最適な表現となりそうにない-各対象が固有の対象内モデルを持つだけでなく、そのモデルが各対象に特有の座標で構築されている方がより良い可能性がある、ということである。ここで説明した方法の多くの別の変形形態が、いずれかの適切な画像レジストレーションの実施に応じて想定される。
【0055】
図4Bは、本開示の実施形態による、対象特有の敵対的生成(GAN)法400Bを用いてモデルを学習する流れ図を示す。一実施形態では、目標が対象特有の変形モデルを生成することであるGAN及びGAN的方法について、多岐に亘る変形形態が存在する可能性がある。例示的な要約は以下の通りである。
【0056】
実施形態は、訓練に使用される対象特有の変形モデルのセットで始まる。このようなモデルは、ランダムなパラメータを取り入れて、いくつかの対象画像を与えられた対象の有効な変換を生成する必要がある。このようなモデルはデコーダである、又は基底ベクトルの線形結合と同程度に簡単なものとすることができ、その場合、呼吸相関型CTの位相に関するグループワイズレジストレーションに基づくPCAモデルを用いて、僅か3つの主成分で呼吸運動が十分に記述可能であると示すことができる。この方法400Bを支持するポイントの1つは、対象特有モデルの各々が非常に簡単であり、複雑さの大半が識別器にあるとすることができるという点である。
【0057】
まず、事前訓練中に、訓練用対象の各々に対して対象特有の変形モデル-訓練モデルを構築することができる。その場合、全ての訓練画像と訓練モデルをペアにし、訓練されたモデルにランダムなパラメータベクトルを与え、識別器が様々な訓練モデルによって生成された画像と実画像とを識別できなくなるまで識別器に関して最適化することで、識別器を訓練することができる。変形形態は、事前訓練中に訓練モデルのパラメータを最適化するステップを含むことができる。これは、直接法で使用されるのと同じ学習タイプの変形形態を用いた、訓練モデルのパラメータと部位特有識別器のパラメータとの同時最適化を含むことができる。これを方法3Bに示す。方法3Bでは、図示する両方のデコーダは同じものである。
図4Cの方法400Cでは、デモンストレーションのためにそれらを異なる位置に示す。
【0058】
他の変形形態は、未変形の画像と変形された画像の両方、並びに場合によっては関与する様々な変換のいずれか(例えば、計画画像から集団アトラスへの変換又は対象特有モデルの出力)又はそれらの何らかの表現を利用できる識別器を含むことができる。
【0059】
次に、対象特有訓練中に、計画画像だけを備えた新規の対象が導入される。対象の対象特有変形モデルのパラメータは、それが生成する画像をもはや他と識別することができなくなる(及び/又は或る所定の閾値を超える)まで最適化することができ、その時点でこの方法は完了する。これはまた、一種の転移学習と見なすことができ、その分野での革新は、ここでの応用を見出すことができる。
【0060】
別の実施形態では、変形モデル(例えば、線形変形基底のセット)を構築する方法を知っているシステムを構築することができる。一実施形態では、モデルは画像を取り込み、その画像に関する動きを記述する何らかの予め指定された数の基底を生成することができる。この場合、訓練中に使用される出力データは、対応する入力画像に対して対象の訓練画像から構築されたPCAモデルとすることができる。これにより、モデルパラメータを意味的に関連するモード-例えば、呼吸位相-に教師なしで分離することが可能となる場合がある。他の実施形態では、モデルに対して半教師付き方式でこれを学習するように仕向けることもできる。
【0061】
本明細書の方法の一部では、治療前に利用可能な対象画像(例えば、標的対象の)が変換され、次いで、治療時に撮影された画像と比較される。一般に、この画像は、対象のX線減衰の測定値とすることができる。計画時における標的対象の減衰分布は、治療時における対象の減衰と二通りに、つまり微分同相的に及び非微分同相的に異なる可能性がある。前者では、滑らかな変形で2つの減衰分布間を対応付けることができる。これにより、例えば体重の喪失、浮腫、膀胱容積の変化など、対象の構造変化と共に、姿勢の変化などを明らかにすることができる。
【0062】
一実施形態では、これらのタイプの変化は、先に記述した方法で説明することができる。後者では、滑らかな変形で両者の間を対応付けることができない場合がある。これらのタイプの変化には、腸及び体腔内容物の変化(ガスなど、異なる位置で異なる密度の内容物を含む場合がある)、手術痕、移植(クリップ又はカテーテルなど)、及び非微分同相的な腫瘍の形状変化が含まれる。一実施形態では、これらのタイプの非微分同相的な変化は、典型的なレジストレーション枠組みでは説明できない可能性があり、なぜなら、1)推定される変換のタイプが微分同相的であり、2)そのような変化を伴う2つの画像の位置合わせの品質を決定できる良好な画像一致項が一般には存在しないからである。特に、これらはレジストレーションの精度を著しく低下させ、とりわけ特定の領域-腸の内容物が治療ごとに大きく変化し、関心構造物に隣接する(且つその内部にある)骨盤など-で、特に問題となる可能性がある。更に、この作業を適用するには、線量を連続的且つ高い時間分解能で計算することが必要とされる。
【0063】
一実施形態では、線量を正確に計算するための目標は、減衰のような量に関する高忠実表現である。本明細書に記載した先の方法は、幾何学的変換を推定することができる。変換は、関心集団で観察される分散の大部分を占める。画像一致項だけを用いてこれらの変換を推定すると、説明すべき集団に存在する架空の非現実的な変動の増大をもたらす先の段落で記述した問題に難儀する可能性がある。例えば、直腸内容物の変換が全く重要でない場合に、変換が直腸内の2つの気泡を一致させようとして、大きな変形をもたらす可能性がある。一実施形態では、特定の変化だけを観察することができる。例えば、気泡は直腸で見つかる場合があるが、皮下脂肪層には(通常は)見つからないとすることができる。
【0064】
図4Dは、本開示の実施形態による、変成モデル学習追加導入の方法400Dの流れ図を示す。一実施形態では、方法400Dは、先に記述した方法に追加導入することができるオートエンコーダ枠組みを用いて、上記で言及した変化を記述する。一実施形態では、動画像/計画時画像が利用可能な場合にはいつでも、モデルを用いて画像を変成させることができる。一実施形態では、変成モデルを共通アトラス空間に構築することができる。すなわち、対象からアトラスへ変換は、全ての訓練画像間に対応関係が存在する共通空間に対象画像を置くことができる。変換モデルは、変成モデルの導入前にも、モデルが精緻化された場合にも最適化することができ、目的関数は、変換モデルにできるだけ多くの分散を説明させる項を含むことができる。有利なことに、これにより、変換モデルで説明されるべき変化が、変成モデルで不適切に説明されないことを保証することができる。例えば、2つの左大腿骨における位置合わせ不足は、1つの大腿骨の消失及び全く異なる大腿骨の再出現か、その大腿骨の剛体変換のいずれかで説明することができる。
【0065】
図4Dは、画像を取り込み、異なる画像を出力するオートエンコーダを示す。その画像は、次に対象画像及びアトラス画像と組み合わされ、次いで標的空間へ変換される。このスキームに関して多くの変形形態が可能であり、重要なことは、モデルが
図3Aに示す方法300Aに適用できるはずであるということである。考えられる実施形態は、対象画像を無視し、アトラス画像の修正版として変成画像を生成することができる。別の実施形態では、変成モデルは、適切に変換された後で対象画像に付加される画像を生成することができる。
【0066】
モダリティ内で起こる上述の変化に加えて、変成法を用いてモダリティ間の変化を説明することができる。例えば、120kVpのX線ビームで測定される減衰は、150kVpの投影X線で測定される減衰と異なる場合があり、6MeVの治療ビームと異なる場合がある。この方法は、レジストレーション中のこのような変化を補正するため、並びにkV撮像からMeV治療/撮像ビームへの変化を補正するために使用することができ、その場合、治療エネルギでのより良い減衰マップが利用できるならば、線量計算がより正確なものとなる可能性がある。更に、例えばCTからMR、MRからX線など、本物のモダリティ間の事例にも、これを拡張することができる。これは、全対象に対して対応関係が利用できるアトラス座標系で変成モデルが構築されているために可能である。
【0067】
一実施形態では、本明細書に記載するモデルは、主に3-D/2-Dレジストレーション中に使用されることを意図しているが、学習は3-D/3-Dの文脈で行われる。3-D/2-D問題において、撮像システムは、撮像ジオメトリに依存して、他のものよりも特定の変化に対してより敏感である場合がある。例えば、対象の前方から後方に撮影されたX線画像の場合、上-下方向及び左-右方向において変換に関するより多くの情報が測定される。主要な撮像ジオメトリでは、このX線撮像システムが対象の上-下軸の周りに回転し、その場合、各画像は、上-下軸に常に直交する不感軸を有する。
【0068】
3-D/2-D問題は劣決定であるため、ここに記載する解決は、特定の変換がもっともらしいという事実と、暗黙の内に、一緒に見出される特定の変換のモードが存在するという事実とに依拠する。例えば、横隔膜の下降運動は、吸気と関係する他の変化と相関している可能性が高い。そのため、横隔膜が下方に動くのが観察された場合、他の変換を推論することができる。一実施形態では、これらのモードは、それらがどのように測定されることになっているのかに関する知識を用いて構築される場合があるので、それらを最適に測定できるようにこれらのモードを構築することができる。
【0069】
これは、モデルを訓練する際に、他の項を最適化することに加えて、撮像ジオメトリの下でモードを可視化させる項も含む関数を最適化することによって達成することができる。このような項は、以下のように構築することができる:3-D/3-D画像一致を計算する場合、DRR又はDRRのセットも、所望の撮像ジオメトリを用いて計算すべきである。治療時には、例えば、DRRと測定されたX線との差の二乗和など、提案する2-D画像一致項がある。変換の所与の変化に関して2-D画像一致項のより大きな変化を生成するパラメータは、提案する撮像ジオメトリの下でより可視的なモードを生み出す。これは、画像一致項の勾配によって記述され、この値の大きさは、勾配の大きさである。測定された画像は、必要があれば推測することができる。これに関する別の変形形態は、患者特有変形モデルのヘッセ行列に関する何らかの計量を用いて、同様の計算を行う。
【0070】
図5は、本開示の実施形態による、機械学習を用いて動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップを生成する方法500の流れ図を示す。一般に、本明細書に記載する本方法の各々は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコード、デバイスのハードウェアなど)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で走らされる又は実行される命令)、又はそれらの組み合わせを含むことのできる処理ロジックによって実行することができる。一部の実施形態では、本方法は、
図1Aの放射線治療システム800の処理ロジックで実行することができる。
【0071】
方法500は、処理ロジックがブロック501で、標的対象の治療計画画像を機械学習システム(例えば、本明細書に記載又は企図する機械学習モデルのいずれかを使用する)に入力するステップから始まる。一実施形態では、治療計画画像は、3-D又は4-D解剖学的画像の内の一方である。別の実施形態では、変換された治療計画画像及び基準画像は、2-D画像である。
【0072】
ブロック503で、処理ロジックは、機械学習システムによって、治療計画画像の第1標的対象特有モデルを決定する。一実施形態では、機械学習システムは、標的対象の3-D、4-D、又は他の導出された画像から第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される。別の実施形態では、機械学習システムは、標的対象と別の対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される。更に別の実施形態では、機械学習システムは、第1時刻の標的対象と第2時刻の標的対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される。更なる実施形態では、機械学習システムは、標的対象と合成アトラス対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築するように訓練される。
【0073】
一実施形態では、機械学習システムは、訓練用対象の集団と、複数の訓練用対象の各々と関係する複数の画像とを、訓練データとして使用する。別の実施形態では、機械学習システムは、計算された対象特有モデルを訓練データとして使用する。一実施形態では、対象特有モデルは、標的対象の中心アトラスと、標的対象を見出すことのできる1又は2以上の構造の推定値を生成するために線形結合される基底変換及び外観変化のセットとを備える。
【0074】
別の実施形態では、対象特有モデルは、基底関数の線形結合又はニューラルネットワークの内の少なくとも1つを含むモデル合成関数を備える。更に別の実施形態では、対象特有モデルは、実データ又は合成データの内の少なくとも1つのセットに対する次元削減から展開することができる。
【0075】
ブロック505で、処理ロジックは、第1標的対象特有モデルを治療計画画像に適用して、標的対象の複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成する。ブロック507で、処理ロジックは、変換された治療計画画像を基準画像と比較する。
【0076】
ブロック509で、その比較に基づいて、第1標的対象特有モデルの1又は2以上のパラメータを修正して、複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成する。ブロック511で、処理ロジックは、第2標的対象特有モデルに基づいて治療デバイスを制御し、標的対象に治療を送達することができる。必要に応じて、ブロック513で、処理ロジックは、補助解剖学的又は擬似解剖学的信号を受信することができる。一実施形態では、補助信号は、三角測量された発光ダイオード(LED)マーカのセットに基づいて光学的に取得される。
【0077】
一実施形態では、機械学習システムは、その出力として対象特有モデルを生成する敵対的生成ネットワークを使用する。別の実施形態では、機械学習システムは、オートエンコーダネットワークを使用し、それからデコーダ成分を第1対象特有モデルとして使用することができる。別の実施形態では、機械学習システムは、一人の対象から対象特有モデルを生成するシステムに由来する転移学習を使用して、別の対象に対する対象特有モデルを生成する。
【0078】
図6は、本明細書で論じる方法論の内のいずれか1つ又は2つ以上をシステムに実行させるための命令セットを内部で実行することができる種々のシステム600の例を示す。 別の実施態様では、このマシンをLAN、イントラネット、エクストラネット、及び/又はインタネットで他のマシンに接続(例えば、ネットワーク接続)することができる。 各システムは、クライアントサーバ・ネットワーク環境のサーバ又はクライアントマシンの立場で、ピアツーピア(又は分散型)ネットワーク環境のピアマシンとして、或いはクラウドコンピューティング基盤又は環境のサーバ又はクライアントマシンとして、動作することができる。
【0079】
本システムは、マシンが行う動作を指定する(逐次的な又は別な方法の)命令セットを実行することができるマシンである。更に、単一のマシンを示しているが、用語「マシン」はまた、本明細書で論じる方法論の内のいずれか1つ又は2つ以上を実行するために1つ(又は複数)の命令セットを個々に又は共同で実行するいずれかのマシン集合を含むものと見なすべきである。
【0080】
以下に記載し
図6に示すように、システム600は、画像診断システム605、治療計画システム610、及び治療送達システム615を含むことができる。画像診断システム605は、その後の医学的診断、治療計画、治療シミュレーション及び/又は治療送達のために使用できる患者の医学的診断画像を生成することが可能ないずれかのシステムとすることができる。例えば、画像診断システム605は、コンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴画像(MRI)システム、陽電子放出断層撮影(PET)システム、このようなシステムの組み合わせなどとすることができる。議論しやすいように、画像診断システム605は、以下で時にはX線撮像モダリティに関連して論じる場合がある。他の実施形態では、前述のような別の撮像モダリティも使用することができる。
【0081】
一実施形態では、画像診断システム605は、撮像ビーム(例えば、X線)を生成するための撮像線源620と、撮像線源620で生成されたビーム、或いは撮像線源からのビームによって誘発された二次ビーム又は二次放出(例えば、MRIスキャン又はPETスキャンにおいて)を検出し受け取る撮像検出器630とを含む。
【0082】
一実施態様では、撮像線源620と撮像検出器630とをデジタル処理システム625に繋いで、撮像動作を制御し、画像データを処理することができる。一実施形態では、画像診断システム605は、治療送達システム615及び/又は治療計画システム610から撮像コマンドを受信することができる。
【0083】
画像診断システム605は、デジタル処理システム625、撮像線源620及び撮像検出器630の間でデータ及びコマンドを転送するためのバス又は他の手段680を含む。デジタル処理システム625は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)などの他タイプの処理デバイスを含むことができる。デジタル処理システム625はまた、メモリ、記憶デバイス、ネットワークアダプタなどの他の構成要素(図示せず)を含むことができる。デジタル処理システム625は、例えば、Digital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)形式などの標準形式でデジタル診断画像を生成するように構成することができる。
【0084】
別の実施形態では、デジタル処理システム625は、他の標準又は非標準のデジタル画像形式を生成することができる。デジタル処理システム625は、データリンク683を介して治療送達システム615に診断画像ファイル(例えば、前述のDICOM形式のファイル)を送信することができ、そのデータリンクは例えば、ダイレクトリンク、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)リンク、又はインタネットなどのワイドエリア・ネットワーク(WAN)リンクとすることができる。更に、システム間で転送される情報は、遠隔診断又は治療計画構成などにおいて、システムを接続する通信媒体を介してプル又はプッシュされるとすることができる。遠隔診断又は治療計画では、システムユーザと患者の間に物理的分離があるにも拘わらず、ユーザは本開示の実施態様を利用して、患者を診断又は治療することができる。
【0085】
一実施形態では、治療送達システム615は、治療計画に準拠して標的体積に所定の放射線量を処方するために、治療用及び/又は外科用の放射線源660を含む。治療送達システム615はまた、コーンビームCTなどのコンピュータ断層撮影(CT)を実行するための撮像システム665を含むことができ、撮像システム665によって生成された画像は2次元(2-D)又は3次元(3-D)とすることができる。
【0086】
治療送達システム615はまた、放射線源660を制御し、画像診断システム605及び/又は治療計画システム610からデータを受信して処理し、治療寝台675などの患者支持デバイスを制御するために、デジタル処理システム670を含むこともできる。デジタル処理システム670は、カメラフィードバック・システムに接続される、又はその一部とすることができる。デジタル処理システム670は、本明細書に記載する動作のいずれかを実行するように構成することができる。デジタル処理システム670は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)などの他タイプのデバイスを含むことができる。デジタル処理システム670の処理デバイスは、本明細書に記載する動作を行うための命令を実行するように構成することができる。
【0087】
一実施形態では、デジタル処理システム670は、情報と処理デバイスが実行する命令とを保存するために、処理デバイスに繋がれた、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことのできるシステムメモリ又は他の動的記憶デバイスを含む。システムメモリはまた、処理デバイスによる命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を保存するために使用することができる。システムメモリはまた、静的情報と処理デバイスに対する命令とを保存するために、読出し専用メモリ(ROM)又は他の静的記憶デバイスを含むことができる。
【0088】
デジタル処理システム670はまた、情報及び命令を保存するための1又は2以上の記憶デバイス(例えば、磁気ディスクドライブ又は光ディスクドライブ)を意味する記憶デバイスを含むことができる。記憶デバイスは、本明細書で論じる治療送達ステップを実行する命令を保存するために使用することができる。デジタル処理システム670は、バス692又は他タイプの制御及び通信インタフェースによって放射線源660及び治療寝台675に繋ぐことができる。
【0089】
一実施態様では、治療送達システム615は、バス692を介してデジタル処理システム670と接続された入力デバイス678及びディスプレイ677を含む。ディスプレイ677は、標的の移動速度(例えば、治療中の標的体積の移動速度)を特定するトレンドデータを示すことができる。ディスプレイはまた、患者の現在の放射線曝露量と、患者に投射される放射線曝露量とを示すことができる。入力デバイス678により、臨床医は治療中に治療送達計画のパラメータを調整することができる。
【0090】
治療計画システム610は、治療計画及び/又はシミュレーション計画を生成し修正するための処理デバイス640を含む。処理デバイス640は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)などの他タイプのデバイスを表すとすることができる。処理デバイス640は、本明細書で論じるシミュレーション生成動作及び/又は治療計画動作を行うための命令を実行するように構成することができる。
【0091】
治療計画システム610はまた、情報と処理デバイス670が実行する命令とを保存するために、バス686によって処理デバイス640に繋がれた、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことのできるシステムメモリ635又は他の動的記憶デバイスを含むことができる。システムメモリ635はまた、処理デバイス640による命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を保存するために使用することができる。システムメモリ635はまた、静的情報と処理デバイス640に対する命令とを保存するために、バス686に繋がれた読出し専用メモリ(ROM)及び/又は他の静的記憶デバイスを含むことができる。
【0092】
治療計画システム610はまた、情報及び命令を保存するためにバス686に繋がれた1又は2以上の記憶デバイス(例えば、磁気ディスクドライブ又は光ディスクドライブ)を意味する記憶デバイス645を含むことができる。記憶デバイス645は、本明細書で論じる治療計画ステップを実行する命令を保存するために使用することができる。
【0093】
処理デバイス640はまた、情報(例えば、VOIの2次元又は3次元表現)をユーザに表示するために、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)などの表示デバイス650に繋ぐことができる。キーボードなどの入力デバイス655は、情報及び/又はコマンド選択を処理デバイス640に伝達するために処理デバイス640に繋ぐことができる。1又は2以上の他のユーザ入力デバイス(例えば、マウス、トラックボール又はカーソル方向キー)もまた、方向情報を伝達し、処理デバイス640に対するコマンドを選択し、ディスプレイ650上のカーソル移動を制御するために使用することができる。
【0094】
治療計画システム610は、そのデータベース(例えば、記憶装置645に保存されたデータ)を治療送達システム615などの治療送達システムと共有することができるので、治療送達に先立って治療計画システムからエクスポートする必要はない。治療計画システム610は、データリンク690を介して治療送達システム615にリンクさせることができ、一実施形態では、そのデータリンクは直接リンク、LANリンク、又はWANリンクとすることができる。
【0095】
データリンク683、686、及び690がLAN又はWAN接続として実装される場合、画像診断システム605、治療計画システム610及び/又は治療送達システム615のいずれをも分散配置にすることができるので、システムは互いに物理的に離れていてもよいことに留意されたい。代わりに、画像診断システム605、治療計画システム610及び/又は治療送達システム615のいずれかを1又は2以上のシステムに互いに統合することができる。
【0096】
前述の説明から、本開示の態様は、少なくとも部分的にソフトウェアで具体化できることが明らかであろう。すなわち、本技法は、処理デバイス625、640、又は670(
図6参照)に応答して、例えば、メモリに収容された命令シーケンスを実行することにより、コンピュータシステム又は他のデータ処理システムで実行することができる。様々な実施態様では、ハードウェア回路をソフトウェア命令と組み合わせて使用し、本開示を実装することができる。従って、本技法は、ハードウェア回路とソフトウェアのいずれか特定の組み合わせに、又はデータ処理システムで実行される命令用のいずれか特定ソースに限定されない。更に、本明細書全体を通して、説明を簡単にするために、様々な機能及び動作をソフトウェアコードによって実行される又は生じるものとして記述することができる。しかしながら、そのような表現によって示されるのは、それらの機能が処理デバイス625、640、又は670によるコードの実行から生じるということであると当業者は認識しよう。
【0097】
汎用又は専用のデータ処理システムによって実行された時にそのシステムに本開示の様々な方法を実行させるソフトウェア及びデータを保存するために、コンピュータ可読媒体を使用することができる。この実行可能なソフトウェア及びデータは、例えば、システムメモリ及び記憶装置、或いはソフトウェアプログラム又はデータの内の少なくとも1つを保存することができるいずれか他のデバイスを含めて、様々な場所に保存することができる。従って、機械可読媒体は、マシン(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、携帯情報端末、製造用ツール、1又は2以上のプロセッサのセットを備えたいずれかのデバイスなど)によってアクセス可能な形式で情報を提供する(すなわち、保存する)いずれかの機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなどの記録可能/記録不可能な媒体を含む。機械可読媒体は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であるとすることができる。
【0098】
前述の説明から明らかなように、特に明記しない限り、「受け取る」、「位置決めする」、「実行する」、「放出する」、「引き起こす」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(例えば、電子的な)量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のこのような情報記憶装置又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別データに変換する、コンピュータシステム又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及び処理を指すことができると理解されよう。本明細書に記載する方法の実施態様は、コンピュータソフトウェアを用いて実装することができる。公認規格に準拠するプログラミング言語で書かれている場合、本方法を実装するように設計された命令シーケンスは、様々なハードウェアプラットフォーム上で実行するため、並びに様々なオペレーティングシステムにインタフェース接続するためにコンパイルすることができる。更に、本開示の実施態様は、いずれか特定のプログラミング言語に関連して説明されない。様々なプログラミング言語を用いて本開示の実施態様を実装することができると理解されよう。
【0099】
本明細書に記載する方法及び装置は、医療診断撮像及び治療での使用だけに限定されないことに留意されたい。別の実施態様では、本明細書の方法及び装置は、工業用撮像及び材料の非破壊検査など、医療技術分野以外の用途で使用することができる。そのような用途では、例えば、「治療」は一般に、ビーム(例えば、放射線、音響など)の適用など、治療計画システムによって制御される動作の遂行を指すとすることができ、「標的」は非解剖学的な物体又は領域を指すとすることができる。
【0100】
上述の明細書では、その特定の例示的な実施態様に関連して本開示を説明した。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本開示のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更をそれらに加えることができることは明らかであろう。従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮すべきである。