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特許7536870自動車のセンサ又はトランスミッタを洗浄するためのシステム、及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】自動車のセンサ又はトランスミッタを洗浄するためのシステム、及び自動車
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B60S1/62 120C
B60S1/62 110B
B60S1/62 120B
B60S1/62 110C
B60S1/62 110D
B60S1/62 110A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022535238
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2020083986
(87)【国際公開番号】W WO2021115830
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】1914098
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-172085(JP,A)
【文献】特開2019-077383(JP,A)
【文献】特開2000-351356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259788(US,A1)
【文献】米国特許第04088358(US,A)
【文献】特開2014-000949(JP,A)
【文献】特開2018-076075(JP,A)
【文献】特開2016-011091(JP,A)
【文献】特開2014-008868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のセンサ又はトランスミッタ(200)を洗浄するための洗浄システム(100)であって、
一方では、前記センサ又はトランスミッタ(200)に第1流体を噴霧するための噴霧オリフィス(130)と、他方では、前記センサ又はトランスミッタ(200)に第2流体を噴射するための噴射開口(12)と、を含み、
前記第2流体は、前記第1流体とは相違するものであり、
前記洗浄システム(100)は、前記第1流体および前記第2流体を前記第1流体噴霧オリフィスおよび前記第2流体噴射開口に向けてそれぞれ案内するガイドボディ(1)をさらに含み、
前記ガイドボディ(1)は、
前記第2流体の供給源(500)に対して接続されるように構成された供給第1部分(10)と、
一方では、前記第2流体噴射開口(12)で開口する第2流体搬送ダクト(15)と、他方では、前記第2流体搬送ダクト(15)に対して垂直に配置された第1流体分配ダクト(13、14、140)と、を含む分配第2部分(11)と、
を含む、洗浄システム(100)。
【請求項2】
前記第1流体分配ダクト(13、14、140)の壁(142)は、第2流体噴射領域(110)では前記第2流体搬送ダクト(15)の前記噴射開口(12)を横断して配置されている、請求項1に記載の洗浄システム(100)。
【請求項3】
前記ガイドボディの前記分配第2部分(11)において前記第1流体分配ダクト(13、14、140)の主要な延在方向に沿って測定した際に、前記供給第1部分(10)に対して接続されたエッジの寸法は、前記第2流体噴射開口(12)を含むエッジの寸法より小さい、請求項1または2に記載の洗浄システム(100)。
【請求項4】
前記第2流体噴射開口(12)は、前記第1流体分配ダクト(13、14、140)の主要な延在方向に対して平行に、前記分配第2部分(11)の延在方向に沿って一様に分布している、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)。
【請求項5】
前記自動車の構造(400)に対して固定されるように構成されたベース部材(2)と、前記ベース部材(2)を覆うように構成されたケーシング(3)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)。
【請求項6】
前記ケーシング(3)は、前記第2流体の前記供給源(500)に対して接続されるように構成された第1部分(30)と、前記ベース部材(2)と一緒に、前記ガイドボディ(1)の前記分配第2部分(11)を形成するように構成された第2部分(31)と、を含み、前記第1部分(30)と前記第2部分(31)とは、それらの間に、ゼロではない角度(160)を形成している、請求項5に記載の洗浄システム(100)。
【請求項7】
前記第2流体搬送ダクト(15)は、前記ベース部材(2)の外面(20)から突出するリブ(22)と、前記ケーシング(3)の、前記リブの自由端と接触することを意図された内面(3100)と、によって形成される、請求項5または6に記載の洗浄システム(100)。
【請求項8】
前記リブ(22)は、前記ガイドボディ(1)の前記分配第2部分(11)内に、前記第1流体分配ダクト(13、14、140)の主要な延在方向に対しても前記洗浄システム(100)の縦方向(V)に対しても傾斜した搬送ダクト(15)を形成する、請求項7に記載の洗浄システム(100)。
【請求項9】
各第2流体噴射開口(12)は、前記主要な延在方向において、対応する前記搬送ダクト(15)を形成することに寄与している2つのリブ(22)の自由端によって形成される、請求項8に記載の洗浄システム(100)。
【請求項10】
前記第2流体搬送ダクト(15)は、前記第2流体が前記第2流体搬送ダクト(15)から噴射される端部において狭められている、請求項1~9のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)。
【請求項11】
前記ケーシング(3)は、複数の第1流体噴霧オリフィス(130)が配置された第1流体分配パイプ(13)を受けるための溝(14)を含む、請求項5~のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)。
【請求項12】
前記ケーシング(3)は、閉塞した断面の第1流体分配ダクト(135)を含み、この第1流体分配ダクトに、複数の第1流体噴霧オリフィス(130)が配置されている、請求項5~のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)。
【請求項13】
少なくとも1つのセンサ又はトランスミッタ(200)が設けられた自動車であって、
前記センサ又はトランスミッタ(200)を洗浄するために、少なくとも1つの、センサ又はトランスミッタ用の請求項1~12のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)を備える、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援デバイスの分野に関し、より詳細には、この目的のために使用される検出アセンブリの分野に関する。本発明は、より詳細には、そのような検出アセンブリのセンサ/トランスミッタを洗浄するための洗浄デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなセンサ/トランスミッタは、特定の運転状況において自動車のドライバを支援するために、例えばドライバに対して駐車支援を提供したりまたは車線逸脱警告を提供したりするために、ますます多くの自動車に搭載されるようになってきている。この支援を可能な限り効果的とするためには、センサ/トランスミッタによって供給および/または送信されるデータが、可能な限り最良の品質である必要があり、したがって、対応するデータの取得および送信を行うためには、送受信面が清浄であることが不可欠である。この要件は、そのようなセンサ/トランスミッタによって収集された情報に基づいて車両が制御される自律車両の場合には、より一層重要である。
【0003】
これを行うためには、センサ/トランスミッタの送受信面(例えば、光学センサの場合には、撮像カメラのレンズ、または、そのようなレンズを保護するウィンドウ)を洗浄するためのデバイスは、洗浄流体を、送受信面上へと噴射するように命令されてもよい。これを補完するために、空気または別の乾燥流体の流れが、洗浄流体の後に、送受信面上へと噴霧されてもよく、これにより、この送受信面から、洗浄流体を、およびこの流体中の汚れを、除去するようにしてもよい。したがって、このような洗浄デバイスは、洗浄流体および乾燥流体を搬送して分配するための手段を含む。しかしながら、それら洗浄デバイスは、センサ/トランスミッタの動作を損なってはならず、さらに、車両スペースの制約に適合するよう、可能な限りコンパクトでなければならない。この目的のために、特に、洗浄流体および乾燥流体を収容して吐出するヘッドの中へ、当該洗浄流体および乾燥流体の一方または他方を交互に収容するように命令し得るディスペンサを、使用することができる。そのようなアセンブリは、また、格納された休止位置から展開された洗浄/乾燥位置へと移動するように構成された伸縮デバイスを採用することもできる。しかしながら、このような構成は、特にそれらが関与する運動学的手段のコストのために、大きな動作コストを発生させてしまう。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、製造コストおよび動作コストが低減され、スペースに関する制約が複雑な車両上の任意の場所に容易に設置でき、同時に、当該センサ/トランスミッタに対する洗浄効果および乾燥効果を維持するような、自動車のセンサ/トランスミッタを洗浄するためのデバイスを提案することである。
【0005】
この目的のために、本発明の1つの目的は、自動車のセンサ/トランスミッタを洗浄するための洗浄システムであって、一方では、センサ/トランスミッタに第1流体を噴霧するための噴霧オリフィスと、他方では、センサ/トランスミッタに第2流体を噴霧するための噴霧開口と、を含み、第2流体は、第1流体とは相違するものであり、洗浄システムは、第1流体および第2流体を第1流体噴霧オリフィスおよび第2流体噴霧開口に向けてそれぞれ案内するガイドボディをさらに含み、ガイドボディは、第2流体の供給源に対して接続されるように構成された供給第1部分と、一方では、第2流体噴霧開口で開口する第2流体搬送ダクトと、他方では、第2流体搬送ダクトに対して実質的に垂直に配置された第1流体分配ダクトと、を含む分配第2部分と、を含むことを特徴とする、洗浄システムである。
【0006】
センサ/トランスミッタへの流体の噴霧が、特に、センサ/トランスミッタに対向して配置された透明な面へと、例えば、撮像カメラの光学面へと、あるいはそのような光学面を保護する透明材料製の面へと、この流体を噴霧することからなることが、理解されなければならない。
【0007】
本発明の文脈では、第1流体は、有利には、透明な面を洗浄するための流体であり、例えば、水またはウォッシャー液などの液体製品である。洗浄流体は、また、気体状であってもよく、あるいは、気体と液体との混合物の形態であってもよい。有利には、第2流体は、乾燥流体であり、この乾燥流体の目的は、洗浄前にこの面に存在した塵埃および汚れを捕捉している洗浄流体を、面から除去することである。本発明の文脈では、乾燥流体は、有利には気体であり、例えば空気であり、送風機によって循環される。
【0008】
「噴霧オリフィス」という用語は、ここでは広義に理解されるべきであり、様々な例によれば、洗浄流体噴霧手段は、いくつかの異なる噴霧オリフィスを含んでもよく、例えば円形オリフィスを含んでもよく、あるいは、1つまたは複数の細長い噴霧オリフィスを含んでもよい。すべての例では、本発明は、第1流体用のすなわち洗浄流体用の噴霧オリフィスの寸法を、小さいものであるように計画しており、これにより、この流体が噴霧される圧力を増大させることができ、よって、洗浄流体の組成によって達成される化学的洗浄に対して機械的要素を追加するジェット効果を得ることができる。本発明による洗浄システムでは、洗浄流体噴霧オリフィスは、洗浄流体分配ダクトに沿って、以下では本発明による洗浄システムの長手方向として参照される方向に、配置されている。
【0009】
洗浄流体噴霧オリフィスと同様に、「噴霧開口」という用語は、広義に理解されなければならず、とりわけ、乾燥流体噴霧領域は、いくつかの異なる噴霧開口を含んでもよく、例えば円形の開口を含んでもよく、あるいは、1つまたは複数の細長い噴霧開口を含んでもよい。
【0010】
有利には、搬送ダクトの噴霧開口を形成する端部は、洗浄流体噴霧オリフィスの近傍に位置しており、この領域は、以下では、本発明による洗浄システムの噴霧領域として参照されることとなる。
【0011】
本発明による洗浄システムでは、洗浄流体および乾燥流体は、ガイドボディによって、噴霧領域まで案内され、ガイドボディは、特に、第2流体の供給源に対して、すなわちこの例では乾燥空気の流れを生成する送風機に対して、接続されるように構成された第1部分を含む。
【0012】
本発明によれば、ガイドボディは、また、ガイドボディの供給第1部分に対して取り付けられた分配第2部分を含む。本発明によれば、この分配第2部分は、一方では、乾燥流体噴霧開口まで乾燥流体を搬送するダクトと、他方では、洗浄流体噴霧オリフィスが形成されている洗浄流体分配ダクトと、を含み、前記分配ダクトは、乾燥流体搬送ダクトに対して実質的に垂直に配置されている。
【0013】
より具体的には、噴霧領域は、ガイドボディの分配第2部分の、この第2部分がガイドボディの供給第1部分に対して取り付けられている端部とは、分配第2部分内で乾燥流体が循環する方向において反対側に位置した端部をなす、一端部に延在している。言い換えれば、ガイドボディの分配第2部分は、噴霧領域と、ガイドボディの供給第1部分の、ガイドボディの供給第1部分が乾燥流体の供給源に対して接続されている端部とは、乾燥流体が循環する方向において反対側に位置した端部をなす、端部と、の間にわたって延在している。
【0014】
本発明による洗浄システムの長手方向を参照すると、この長手方向に対して実質的に垂直な、ガイドボディの分配第2部分内における乾燥流体の主要な循環方向は、以下では、本発明による洗浄システムの縦方向として参照されることとなる。この方向は、また、本発明による洗浄システムのガイドボディの分配第2部分における乾燥流体搬送ダクトの主要な延在方向である。
【0015】
本発明の補完的な特徴によれば、第1流体すなわち洗浄流体の分配ダクトの壁は、噴霧領域内において、第2流体すなわち乾燥流体の搬送ダクトを形成する(区切る)ことに寄与している。言い換えれば、本発明による洗浄システムでは、洗浄流体噴霧オリフィスおよび乾燥流体噴霧開口は、噴霧領域内において、共通の壁を特徴とする。本発明によれば、この共通壁は、洗浄流体噴霧オリフィスと乾燥流体噴霧開口との間に配置され、すなわち、洗浄流体分配ダクトの近傍に、および、乾燥流体搬送ダクトの端部の近傍に、位置している。
【0016】
より具体的には、乾燥流体噴霧開口は、本発明による洗浄システムの、洗浄流体噴霧オリフィスが向けられている側に位置している。言い換えれば、本発明による洗浄システムが車両に設置された際には、センサ/トランスミッタの近傍において、乾燥流体噴霧開口は、洗浄流体噴霧オリフィスと洗浄対象面との間に配置されており、洗浄流体噴霧オリフィスは、論理的にこの面に向けられている。したがって、乾燥流体は、洗浄対象面と洗浄流体の噴霧との間に噴霧され、これにより、アセンブリの有効性を維持しつつ、同時に、洗浄システムのコンパクトさを向上させることができ、よって、乾燥流体は、洗浄対象面に対して可能な限り近くに噴霧され、塵埃および汚れを含有した洗浄流体を完全に除去することができる。
【0017】
本発明は、また、個別的にまたは組み合わせて、以下の特徴の1つまたは複数を示してもよい。
-搬送ダクトは噴霧開口に開口し、ガイドボディの分配第2部分は、洗浄システムの長手方向に沿って測定した際に、供給第1部分に対して接続されたエッジと、第2流体すなわち乾燥流体の噴霧開口を含むエッジと、の間で異なる寸法を有している。言い換えれば、分配第2部分は、一方では、低減されたスペースへと容易に設置し得るよう、口径を急激に増大させることなく、サイズの小さい供給第1部分へと延びることができ、他方では、第1流体噴霧オリフィスと第2流体噴霧開口とが配置されている長手方向寸法が大きなものとされた噴霧領域を形成することができ、これにより、広範囲の面を洗浄/乾燥することができる、あるいは、互いに近接して配置された異なるセンサ/トランスミッタに関する複数の面を洗浄/乾燥することができる。
-第2流体噴霧開口は、洗浄システムの長手方向に対して実質的に平行に、分配用第2部分の延在方向に沿って一様に分布している。これにより、本発明による洗浄システムの噴霧領域における第2流体の分布の一様性が向上する。
-本発明による洗浄システムは、自動車の構造に対して固定されるように構成されたベース部材と、ベース部材を覆うように構成されたケーシングと、を含む。この場合、ベース部材と、ガイドボディの供給第1部分を構成するケーシングと、ガイドボディの分配第2部分を構成するケーシングと、を明確に区別することが適切である。本発明によれば、ベース部材とケーシングとは、一緒にガイドボディの全体を形成する。一例によれば、ガイドボディの供給第1部分は、ケーシングの第1部分によって構成され、ガイドボディの分配第2部分は、覆われたベース部材と、ケーシングの第2部分と、によって構成される。代替的には、ベース部材とケーシングとは、一緒に、本発明による洗浄システムのガイドボディの、供給第1部分と分配第2部分とを形成してもよい。一例によれば、ベース部材は、自動車の構造に対して、例えばバンパーなどの車体または車体保護部材に対して、取り付けるための手段を含む。このような例によれば、ベース部材は、有利には、全体として、ベース部材を固定することを意図した車両構造部材の形状を補完する薄いシートの形態とされる。これにより、特筆すべきことに、車両全体の外観を変更することなく、ベース部材を設置することができる。別の例によれば、ベース部材は、上記のような車両構造の要素と一体に形成される。いずれの場合にも、ケーシングは、有利には、ベース部材とケーシングとが組み立てられて本発明による洗浄システムのガイドボディが形成される際に、ベース部材が閉塞壁を構成する空洞を一緒に形成する(区分けする)複数の壁を含む。
-ケーシングは、第2流体の供給源に対して接続されるように構成された第1部分と、ベース部材と一緒に、ガイドボディの分配第2部分を形成するように構成された第2部分と、を含み、第1部分と第2部分とは、それらの間に、ゼロではない角度を形成している。上記の結果として、ケーシングの第1部分は、本発明による洗浄システムの長手方向と縦方向とによって構成される平面に対して、ゼロではない角度を形成する。一例によれば、ケーシングの第1部分は、ケーシングの第2部分に対しておよびガイドボディの分配第2部分に対して、実質的に垂直な全体方向に延びており、以下では、この方向は、本発明による洗浄システムの横方向として参照されることとなる。このような構成により、特筆すべきことに、ケーシングの第1部分が接続されている乾燥流体供給源を、本発明による洗浄システムが設けられたセンサ/トランスミッタの近傍領域に設置することができ、しかも、そのようなセンサ/トランスミッタを見るユーザからは見えないものとすることができる。したがって、このような構成により、本発明による洗浄システムを、例えば車両側面などの環境に、容易に設置することができる。
-第2流体搬送ダクトは、ベース部材の外面から突出するリブと、ケーシングの、リブの自由端と接触することを意図した内面と、によって形成(区分け)される。本発明による洗浄システムの横方向を参照すると、内部とは、横方向において、洗浄対象面と同じ側に位置した領域を指し、外部とは、横方向において、洗浄対象面とは反対側に位置した領域を指す。ここで言及した本発明の特徴によれば、ベース部材の外面から洗浄システムの横方向に突出するように配置されたリブは、ケーシングの壁によって構成された空洞内へと延びる複数の横方向の区画壁を形成している。本発明によれば、これら区画壁の横方向における寸法は、ガイドボディの分配第2部分を形成するためにケーシングがベース部材を覆うように配置された際に、ケーシングの壁によって構成される空洞内面が、各区画壁の厚さに対して接触するようになり、これにより、乾燥流体が循環する搬送ダクトが形成されるように、決められる。有利には、1つの搬送ダクトから別の搬送ダクトへと乾燥流体が漏洩することを回避するために、ケーシングの壁によって構成される空洞内面は、円滑とされる。より具体的には、各乾燥流体搬送ダクトの良好な密封性のために、この面を研磨してもよい。
-リブは、ガイドボディの分配第2部分内に、洗浄システムの長手方向に対しても縦方向に対しても傾斜した搬送ダクトを形成する(区切る)。より具体的には、リブは、2つの隣接する乾燥流体搬送ダクトを形成する(区切る)ことに寄与し、このことは、このリブが、それら2つの搬送ダクトに対して共通であることを意味する。加えて、すべての搬送ダクトは、ガイドボディの、乾燥流体の供給源に対して接続された供給第1部分内にまとめられている。これらのリブの複雑で傾斜した形状は、洗浄システムのガイドボディの分配第2部分に関する構成の結果であり、より具体的には、この分配第2部分の長手方向の寸法が、第1部分から噴霧開口まで増大することの結果である。
-各第2流体噴霧開口は、本発明による洗浄システムの長手方向において、対応する搬送ダクトを形成する(区切る)ことに寄与している2つのリブの自由端によって形成される(区切られる)。言い換えれば、各乾燥流体噴霧開口は、対応する搬送ダクトの、この搬送ダクトがガイドボディの供給第1部分に由来する端部とは反対側の端部に形成されている。
-第2流体搬送ダクトは、第2流体が第2流体搬送ダクトから噴霧される端部において狭められている。これが意味することは、各乾燥流体噴霧開口の寸法が、寸法を当該搬送ダクトの主要な延在方向に対して垂直な平面による断面において測定した際に、この噴霧開口が一端を形成している搬送ダクトの平均寸法よりも小さいということである。これにより、乾燥流体の噴霧圧力を増大させることができ、ジェット効果を得ることができて、達成される乾燥効果を向上させることができる。
-ケーシングは、複数の第1流体噴霧オリフィスが配置された第1流体分配パイプを受け入れるための溝を含む。この溝は、分配パイプと一緒に、第1流体分配ダクトを形成する。一例によれば、分配パイプが溝内へと力を込めて挿入され、溝内での回転が防止されることで、洗浄対象面に対する洗浄流体噴霧オリフィスの向きが、一定に維持される。一例によれば、溝内に配置されたラグ(取手、lug)を、分配パイプの面内に形成された凹所内に係合させることにより、分配パイプの回転を防止してもよい。
-ケーシングは、閉塞した断面の第1流体分配ダクトを含み、この第1流体分配ダクトに、複数の第1流体噴霧オリフィスが配置されている。これにより、分配パイプをなくすことで、本発明による洗浄システムの部品点数を制限することができ、したがって、そのコストも制限することができる。さらに、本発明による洗浄システムの組立および設置を単純化するのと同時に、洗浄対象面に対向した洗浄流体噴霧オリフィスに関して、向きの再現性と、向きの維持性と、を向上させる。
【0018】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、図面を参照しつつ、例示として以下に与えられる説明を読むことにより、より明確に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明による洗浄システムの例示的な一実施形態が設けられた自動車ヘッドランプに関しての、概略的なかつ全体的な斜視図である。
図2図2は、図1に示すものと同様の洗浄システムを示す概略的な斜視図である。
図3図3は、図2に示すものと同様の洗浄システムにおける、ベース部材の例示的な一実施形態を示す概略的な斜視図である。
図4図4は、図2に示すものと同様の洗浄システムを形成するよう、図3に示すものと同様のベース部材を覆うように構成されたケーシングの例示的な一実施形態を示す概略的な斜視図である。
図5図5は、図2に示すものと同様の洗浄システムにおける、噴霧領域の細部を示す概略的な斜視図である。
図6図6は、図5に示す細部を、上方から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
最初に、図面には本発明を実施するための詳細が記載されているけれども、これらの図面が、当然のことながら、必要に応じて本発明をより良好に規定するために使用されてもよいことに、留意されたい。また、これらの図面が、本発明の可能な例示的な一実施形態のみを記載していることにも、留意されたい。
【0021】
図1は、自動車ヘッドランプ300に対して装着することを意図したセンサ/トランスミッタ200の面250を洗浄するという用途における、本発明による洗浄システム100の例示的な一実施形態を概略的に示している。
【0022】
以下では、センサ/トランスミッタ200について、光またはレーザビームを放射するように構成された、さらに、センサ/トランスミッタ200の近傍に位置した障害物によって反射された光またはレーザビームを分析するように構成された、頭文字LIDAR(Laser/Light Detection and Ranging)によって公知のものなどの光検出デバイスとして、より詳細に説明する。このようなセンサ/トランスミッタ200は、達成される検出品質に影響する清浄度の状態を有した光学面250を含む。様々な例によれば、面250は、センサ/トランスミッタ200の透過面/検出面であってもよい、あるいは、そのような透過面/検出面を保護する透明なウィンドウであってもよい。以下のことが、選択されたセンサ/トランスミッタのタイプに関係なく、および関連する検出システムのタイプに関係なく、適用可能であることに、留意されたい。
【0023】
図1に示すように、本発明による洗浄システム100は、ヘッドランプ300およびセンサ/トランスミッタ200の近傍で、車両構造の構成要素400に対して取り付けられている。より具体的には、図1に示すように、洗浄システム100は、多かれ少なかれ、この洗浄システムが取り付けられている領域における構造要素400の形状に適合しており、このため、ヘッドランプ300の外観を、および、この洗浄システムが取り付けられている領域における構造要素400の外観を、著しく変更することはない。一例によれば、ヘッドランプ300を見ているユーザから洗浄システム100をカモフラージュするために、図1には図示していないケーシングが、構造要素400に取り付けられてもよく、および洗浄システム100に取り付けられてもよい。また、洗浄システム100の特定の形状が、詳細に後述するように、洗浄システムの一部を形成する送風機500を、ヘッドランプ300のヘッドランプ300を見ているユーザからあまり見えない領域であり、かつ噴霧領域110に対して近い領域に設置し得ることに、留意されたい。
【0024】
洗浄システム100は、洗浄対象面250へと、一方では、洗浄対象面250からその面に堆積している可能性のある塵埃および汚れを除去することを意図した第1流体すなわち洗浄流体を噴霧するように、他方では、洗浄対象面250から、塵埃および汚れを含有した洗浄流体を、面に痕跡を残すことなく迅速に除去し得るように選択された第2流体すなわち乾燥流体を噴霧するように、構成されている。洗浄流体は、例えば、水またはウォッシャー液などの液体である。図1においてより具体的に示す例によれば、乾燥流体は、図1に概略的に示す送風機500によって循環される空気である。
【0025】
洗浄流体および乾燥流体は、洗浄システム100の噴霧領域110から洗浄対象面250へと噴霧されるものであり、その噴霧領域については、後続の図面を参照しつつ詳細に後述する。
【0026】
図2は、図1に示すものと同様の、本発明による洗浄システム100を示す概略的な斜視図である。洗浄対象面250は、この図では、点線によって概略的に示されている。
【0027】
洗浄システム100は、送風機500に対して接続されるように構成された供給第1部分10と、供給第1部分10とは反対側の端部のところに噴霧領域110を含む分配第2部分11と、を含む。第1部分10と第2部分11とは、一緒に洗浄システム100のガイドボディ1を形成するように、連続して延びている。図2に示すように、ガイドボディ1の供給第1部分10は、その主要な延在方向に沿った一端部のところで、送風機500に接続され、その主要な延在方向の反対側端部のところで、ガイドボディ1の分配第2部分11に接続されている。分配第2部分11の延在方向、すなわち、供給用第1部分10との接合部と、噴霧領域110と、の間にわたってこの分配用第2部分が主に延びている方向は、以下では、任意に、洗浄システム100の縦方向Vとして参照されることとなる。これを補完するために、「下」という用語は、以下では、分配第2部分11の、縦方向Vにおいてこの第2部分が供給第1部分10に取り付けられている端部を指す。また、「上」という用語は、以下では、分配第2部分11の、縦方向Vにおいて噴霧領域110が位置している端部を指すこととなる。
【0028】
噴霧領域110において、ガイドボディ1の第2部分11は、一方では、乾燥流体噴霧開口12と、他方では、洗浄流体分配パイプ13と、を含む。洗浄流体分配パイプ13には、有利には、図2には図示していない複数の洗浄流体噴霧オリフィス130が開けられている。一例によれば、洗浄流体噴霧オリフィス130は、分配パイプ13に沿って一様に分布している。
【0029】
図2においてより具体的に示す例によれば、洗浄流体分配パイプ13は、ガイドボディ1の分配第2部分11の縦方向上端に配置された実質的に円筒形の溝14内に、挿入されている。より具体的には、この例によれば、溝14は、軸線方向に延びるスロット141、すなわち、実質的に円筒形状の延在軸線に対して平行に延びるスロット、を含む実質的な円筒形状140の内部に配置されており、このスロットは、洗浄流体分配パイプ13の一部を覆っていない。分配パイプ13と、溝14と、実質的な円筒形状140とは、同軸であって、一緒に洗浄流体分配ダクトを形成している。有利には、洗浄流体分配パイプ13は、この分配パイプの、図2には図示していない洗浄流体噴霧オリフィス130が配置されている部分が、スロット141を向いているようにして、溝14内に挿入されており、これにより、洗浄対象面250へと、洗浄流体を噴霧し得るものとされている。
【0030】
慣例により、溝14と、実質的な円筒形状140と、洗浄流体分配パイプ13と、に関しての主要な延在方向は、以下では、本発明による洗浄システム100の長手方向Lとして参照されることとなる。この方向が、本発明による洗浄システム100が設けられた車両の長手方向に対して任意の向きを有してもよいこと、また、縦方向Vに対して実質的に垂直であること、に留意されたい。
【0031】
上記の結果、ガイドボディ1の分配第2部分11は、したがって、主に長手方向Lおよび縦方向Vに延びている。ここで、平面または方向という概念が、上記においても以下においても、広義に理解されるべきであることに、留意されたい。具体的には、上述したように、洗浄システム100を構成する要素の形状は、洗浄システム100が設置される領域における車両形状に対して、可能な限り緊密に適合するように決められ、これにより、この領域における車両の外観を損なわない態様でシステムを設置することができる。したがって、ここでは、洗浄システム100の要素の全部または一部が延びている「平面」という概念は、したがって、上記においても以下においても、当該要素の面に対して最も接近した平面であるとして、理解されるべきである。同様に、ここでは、洗浄システム100の要素の全部または一部が延びている「方向」という概念は、したがって、上記においても以下においても、当該要素が延びている方向に最も接近した直線的方向であるとして、理解されるべきである。
【0032】
ガイドボディ1の供給第1部分10は、分配第2部分11に対して、ゼロではない角度160を形成している。図2においてより具体的に示す例によれば、ガイドボディの供給第1部分10は、ガイドボディの分配第2部分11に対して、90度に近い角度160を形成している。慣例により、ガイドボディ1の供給第1部分10の主要な延在方向は、長手方向Lおよび縦方向Vに対して実質的に垂直なものであって、以下では、洗浄システム100の横方向Tとして参照されることとなる。このような構成により、乾燥流体の供給源を形成する送風機500を、この乾燥流体が噴霧される噴霧領域110から離間してオフセットさせ得ることに、留意されたい。これにより、洗浄システム100を車両へより容易に搭載することができる。
【0033】
上記の方向および向きを参照すると、「内」という用語は、以下では、洗浄システム100の、横方向Tにおいて供給第1部分10が送風機500に接続されている端部に対して最も近い側を参照することとなる。「外」という用語は、以下では、洗浄システムの、横方向Tにおいて供給第1部分10が送風機500に対して接続されている端部とは反対側に位置した側を参照することとなる。ひいては、「内」という用語は、洗浄システム100の、横方向Tにおいて、洗浄対象面250と同じ側に位置した要素を参照することとなり、「外」という用語は、洗浄システム100の横方向Tにおいて、洗浄対象面250とは反対側に位置した洗浄システム100の要素を参照することとなる。
【0034】
ガイドボディ1の供給第1部分10は、多かれ少なかれ、送風機500によって循環される乾燥流体をガイドボディ1の分配第2部分11まで搬送するように構成された中空ダクトを形成し、ガイドボディの2つの部分は、乾燥流体を第1部分から第2部分へと通過させ得るよう、連通している。
【0035】
本発明によれば、乾燥流体は、ガイドボディ1の分配用第2部分11の内部において、図2では見えない複数の搬送ダクト15を通って搬送され、各搬送ダクトは、噴霧領域110に位置した端部のところに、噴霧開口12の1つを形成している。
【0036】
洗浄システム100の長手方向Lにおいて測定された、ガイドボディ1の分配第2部分11の長手方向寸法は、分配第2部分11が供給第1部分10に接続されている縦方向下端から、噴霧領域110までにわたって、増大している。より具体的には、この長手方向寸法は、長手方向Lにおいて測定された、乾燥流体噴霧開口12が延びている噴霧領域110における分配第2部分の寸法が、長手方向Lにおいて測定された、ガイドボディの第1部分と第2部分との間の接続領域の寸法と比較して、はるかに大きくなるようにして、増大している。
【0037】
各搬送ダクト15は、したがって、その一端部のところに位置した噴霧開口12と、分配第2部分11が供給第1部分10に取り付けられている端部と、の間において、ガイドボディ1の分配第2部分11の上端から下端までにわたって延びている複雑な経路に追従しており、その複雑な経路は、一方では、洗浄流体分配パイプ13と、このパイプが溝14と実質的な円筒形状140と一緒に形成している分配ダクトと、に対して実質的に垂直であり、他方では、これら搬送ダクト15を形成することに寄与する第2部分のベース部材を示す図3においてより明確に見えるように、洗浄システム100の縦方向Vに対して傾斜している。
【0038】
有利には、乾燥流体搬送ダクト15の複雑な経路は、この流体のための、噴霧領域110内において搬送ダクト15の端部を形成している噴霧開口12が、噴霧領域110の、洗浄システム100の長手方向Lにおける寸法に沿って実質的に一様に分布するようにして、決められている。
【0039】
本発明によれば、ガイドボディ1は、ベース部材2と、洗浄システム100の横方向Tにおいてベース部材2を覆うように配置され、ベース部材2と一緒に、ガイドボディ1の分配第2部分11を形成するケーシング3と、を含む。図2においてより具体的に示す例によれば、上述の通り定義した方向および向きを参照すると、ベース部材2は、ガイドボディ1の分配用第2部分11の内側面を形成している。この例によれば、ケーシング3は、一方では、ガイドボディの供給第1部分10を形成しており、他方では、ベース部材2と一緒にガイドボディの分配第2部分11を形成するために、ベース部材2を覆っている。より具体的には、ベース部材2およびケーシング3は、ガイドボディの分配第2部分11においては、図3および図4を参照して次に詳細に説明するように、乾燥流体搬送ダクト15が内部に配置される空洞を形成する。
【0040】
図3は、図2に図示した洗浄システム100におけるベース部材2の一実施形態を示している。
【0041】
ベース部材2は、複雑な形状のプレート20を含み、全体としてL字形状を有し、ここでは縦方向とされた基部が、ガイドボディ1の分配第2部分11の下部を形成することに寄与し、ここでは長手方向とされた延在部が、ガイドボディ1の分配第2部分11の上端部を、および噴霧領域110を、形成することに寄与している。
【0042】
図3に示す例によれば、ベース部材2は、上記において言及した図3には図示していない構造要素400などの車両構造の要素に対して固定するための固定手段21を含む。図3に示す例によれば、固定手段21は、2つのタブ210を含み、各タブ210は、洗浄システム100の長手方向Lに沿って、プレート20の長手方向端部を、上部領域において延長している。図3に示す例によれば、各タブ210は、ベース部材2を構造要素400に対して固定するために、図3には図示していない例えばネジまたはリベットのための挿入オリフィス211を含む。
【0043】
図3に示す例によれば、ベース部材2は、その外面205からプレート20に対して実質的に垂直に延びる、複雑な形状の複数のリブ22を含む。より具体的には、上述の通り定義した方向および向きを参照すると、リブ22は、プレート20の外面205から突起として延びている、すなわち、洗浄システム100の横方向Tにおいて、プレート20の、プレート20が車両に対して固定されている面とは反対側に位置した面から突出している。図3に示すように、各リブ22は、ガイドボディの分配第2部分に関する長手方向寸法の増大に追従するように、洗浄システム100の長手方向Lおよび縦方向Vにおいて、洗浄システム100の長手方向Lと縦方向Vとの両方に対して傾斜した複雑な形状を有している。本発明は、また、すべてのリブ22が洗浄システム100の横方向Tにおいて同じ寸法を有していることを、規定する。
【0044】
本発明によれば、リブ22は、ガイドボディ1の分配第2部分11において、乾燥流体を搬送する搬送ダクト15を形成することに寄与している。より具体的には、ベース部材2では、洗浄システム100の長手方向Lにおいて連続して配置された2つのリブ22a、22bは、一緒に、ベース部材2内において乾燥流体を循環させるための循環経路150を形成している。本発明によれば、ケーシング3は、ベース部材2を覆った時には、循環経路150を閉塞し、これにより、搬送ダクト15を形成するように、構成されている。
【0045】
これは、ガイドボディ1のケーシング3を、このケーシングがベース部材2を覆う側から見た斜視図を示す図4により、すなわち言い換えれば、上述の通り定義した方向および向きを参照すると、ケーシング3の内側から見た斜視図を示している図4により、特に確認される。
【0046】
図4を参照すると、ケーシング3は、ガイドボディ1の図4には図示していない供給第1部分10を形成するように構成された第1部分30と、図3に示すベース部材2を覆うように構成された第2部分31と、を含む。
【0047】
上述の通り定義した方向および向きを参照すると、第1部分30は、洗浄システム100の縦方向Vにおけるケーシング3の下端を形成しており、第2部分31は、ケーシング3の上端を形成している。より具体的には、図4に示す例によれば、ケーシング3の第1部分30は、その主要な延在方向が洗浄システム100の横方向Tに対して平行である中空ダクトを形成しており、その横方向Tにおける一端は、図4には図示していない送風機500を受け入れるように構成されている。横方向Tにおけるその反対側の端部のところでは、ケーシング3の第1部分30は、ケーシング3の、ベース部材2を覆うことを意図した第2部分31の下端に対して取り付けられており、第1部分30と第2部分31とは、乾燥流体を通過させ得るよう、互いに連なって通じるように設計されている。より具体的には、第1部分30は、それ自体が乾燥流体の流れを第2部分に向けて案内し得るよう閉塞した断面を有しており、第2部分31は、ベース部材2と一緒に乾燥流体案内ダクトを形成するために、ベース部材2に対して緊密に押圧され得るよう開放した断面を有している。
【0048】
その第2部分31では、ケーシング3は、端部壁310と、その長手方向端縁から端部壁310に対して実質的に垂直に延びる側壁311と、を含む。端部壁310と側壁311とは、一緒に、開放した空洞315を構成している。
【0049】
図4においてより具体的に示す例によれば、ケーシング3の第2部分31が、ベース部材2の固定タブ21と組み合わせて、洗浄システム100を車両に対して固定するための手段を形成するように構成された固定タブ32を含むことに、留意されたい。図4に示す例によれば、固定タブ32は、洗浄システム100の長手方向Lにおいて、側壁311の両側で延びており、各固定タブは、洗浄システム100を車両構造の構成要素400に対して固定し得るよう、ベース部材2のオリフィス211を通過することも意図したネジまたはリベットなどの固定要素を受け入れるように構成されたオリフィス320を含む。
【0050】
洗浄システム100の縦方向Vにおけるその上端のところでは、ケーシング3の端部壁310は、図においてより具体的に示す例によれば、洗浄流体分配パイプ13が内部へと挿入される上記の実質的な円筒形状140に、取り付けられている。より具体的には、その主要な延在方向が洗浄システム100の長手方向Lに対して実質的に平行である実質的な円筒形状140は、その壁の一部142が、端部壁310および側壁311に対して開放した空洞315を形成するようにして、配置されている。なおもより具体的には、図4に示すように、実質的な円筒形状140の一部142は、洗浄システム100の長手方向Lにおいて、端部壁310に取り付けられており、洗浄システム100の縦方向Vにおけるその上端のところでは、スロット141によって形成されている。実質的な円筒形状140のこの一部142は、よって、ケーシング3の長手方向における上壁と、空洞315の長手方向における上壁と、を形成している。
【0051】
本発明によれば、横壁311の形状および寸法は、ならびに、湾曲した上壁142の形状および寸法は、ベース部材2の形状および寸法を補完するように決められており、このため、ケーシング3がベース部材2を覆うように配置された時には、ベース部材2は、空洞315を閉塞することができる。より具体的には、本発明は、洗浄システム100の横方向Tにおいて、側壁311の寸法が、横方向Tにおいてベース部材2のリブ22の寸法と実質的に等しいことを、規定する。
【0052】
その場合、ケーシング3がベース部材2を覆うようにして配置された時には、横方向Tにおけるリブ22の自由端は、空洞315の端部壁310に対して接触することとなる。言い換えれば、ケーシング3がベース部材2を覆うようにして配置されて、洗浄システム100が形成された時には、上記において言及したように、端部壁310と側壁311とは、循環経路150を閉塞し、これにより、乾燥流体の搬送ダクト15を形成する。
【0053】
有利には、端部壁310の、ケーシング3がベース部材2を覆うようにして配置された時にリブ22の端部に接触する内面3100は、搬送ダクト15の流体密封性を確保して、搬送ダクト15どうしの間にわたって乾燥流体が漏洩することを回避するように、円滑なものとされている。一例では、内面3100は、研磨されている。
【0054】
これを補完するために、本発明は、ケーシング3がベース部材2を覆うようにして配置されて洗浄システム100のガイドボディ1の分配第2部分11を形成した際に、湾曲した上壁142が、洗浄システム100の縦方向Vにおいて、各リブ22の上部自由端220に対向して配置されることを、規定する。その場合、この湾曲した上壁142の傾斜は、各噴霧開口12のところで乾燥流体が通過し得る口径を減少させることに、寄与する。より具体的には、縦方向Vにおいて、リブ22の上部自由端220は、ベース部材2の上端縁と面一となるようにして、かつ、湾曲した上壁142とケーシングの端部壁310とが出会う場所に位置するようにして、延びている。このようにして、ケーシングのベース部材が互いに固定された際には、各噴霧開口12は、ベース部材およびリブによって、ケーシングの端部壁によって、必要に応じてケーシングの側壁によって、構成され、湾曲した上壁142は、各噴霧開口に対面して延びており、これにより、乾燥流体が通過し得る口径を制限する。
【0055】
上記を参照すると、噴霧開口12を介して導出される乾燥流体を案内するために、一方では溝14を形成することに寄与し、他方では噴霧開口12を妨害することに寄与する湾曲した上壁142は、2つの流体を噴霧する手段に共通した壁を形成している。これは、洗浄システム100の、センサ/トランスミッタ200の面250を洗浄するためにセンサ/トランスミッタ200の近傍に配置された噴霧領域110に関する細部を拡大して示す図5により、特に確認される。
【0056】
図5は、再び、ベース部材2およびケーシング3を、ならびに、ここで例示した実施形態によれば、溝14内へと挿入された洗浄流体分配パイプ13を、示している。この図は、また、洗浄システム100の縦方向Vにおいて、ベース部材2のリブ22の、ケーシング3と一緒に乾燥流体噴霧開口12および搬送ダクト15を形成する上端を、再び示している。図5は、また、分配パイプ13に配置された多数の洗浄流体噴霧オリフィス130を、概略的に示している。
【0057】
図5に示すように、湾曲した上壁142は、その形状および寸法のために、噴霧開口12のところで乾燥流体が通過し得る口径を上壁142が減少させるという意味で、噴霧開口12から離れる乾燥流体を妨害する。搬送ダクト15の平均口径と比較した噴霧開口12の口径の減少により、乾燥流体が洗浄システムから導出される際の乾燥流体の速度を増大させることができ、これにより、ジェット効果を得ることができて、乾燥の効率を向上させ得ることに、留意されたい。
【0058】
この図5において注目すべきことは、湾曲した上壁142が、搬送ダクト15の主要な延在方向に対して実質的に垂直に延びていることであり、そのため、同じ湾曲した上壁が、すべての噴霧開口12の口径を減少させ得ることである。
【0059】
図5は、また、一方では、噴霧オリフィス130を通って噴霧された洗浄流体からなる噴霧ジェット135を、他方では、噴霧開口12を介して噴霧された乾燥流体からなる噴霧ジェット155を、概略的に示している。洗浄流体噴霧オリフィス130および乾燥流体噴霧開口12が特定の配置とされていることの結果として、洗浄システム100が、洗浄対象面250の近くに設置された際には、乾燥流体は、本発明による洗浄システムのおかげで、洗浄対象面250と洗浄流体噴霧オリフィス130との間に噴霧される。乾燥流体は、この実例では、空気は、したがって、洗浄対象面250に対して可能な限り近くに噴霧され、これにより、噴霧開口12と洗浄対象面250との間の空気損失が減少することで、迅速かつ効果的な乾燥が可能となる。この最後の要因により、特筆すべきことに、乾燥流体が送風機500によって生成された空気の流れである図示された例の文脈では、送風機500を、乾燥空気の流れのための要件だけをより厳密に満たすだけでよい寸法とすることができる。
【0060】
図6は、図5に示す細部を上方から示す図である。図6は、再び、センサ/トランスミッタ200と、洗浄対象面250と、洗浄システム100と、洗浄システム100のベース部材2およびケーシング3と、を示している。この図では、また、送風機500も概略的に示されている。図6は、また、ベース部材2のリブ22とケーシング3の湾曲した上壁142とによって形成された、洗浄流体噴霧オリフィス130および乾燥流体噴霧開口12を示している。
【0061】
図6は、また、すべての乾燥流体搬送ダクト15から来る乾燥流体の経路156を示している。
【0062】
図6に示すように、搬送ダクト15が特定の配置とされていることの結果として、特に、洗浄システム100の長手方向Lにおいてリブ22が傾斜形状とされていることの結果として、乾燥流体の流れ、この例における空気は、実際に洗浄対象面250の全体へと到達するものとされ、乾燥流体の供給源、この例では送風機500が、長手方向Lにおいて、乾燥流体を噴霧する噴霧開口12からオフセットされていたとしても、実際に洗浄対象面250の全体へと到達するものとされている。
【0063】
したがって、今説明したように、本発明は、自動車のセンサ/トランスミッタの面を洗浄して乾燥させるための単純なシステムを提供することにより、記載した目的を実際に達成する。また、本発明は、センサ/トランスミッタおよび洗浄システムの近傍における自動車全体的外観を尊重しつつ、そのような洗浄システムを、わずかなスペースに容易に設置することも可能とする。
【0064】
しかしながら、今説明したような本発明は、排他的に説明されて図示された手段および構成に限定されるものではなく、すべての同等の手段または構成に対しても、ならびに、そのような手段または構成の任意の組合せに対しても、適用される。特に、ここでは洗浄流体が分配パイプ13内を搬送される例に従って本発明について説明したけれども、本発明は、洗浄流体噴霧オリフィス130が実質的な円筒形状140内に配置され、後者がその場合にスロット141を有していないという代替可能な実例に対しても適用される。この場合、洗浄流体分配ダクトは、噴霧オリフィス130が開けられているとともに洗浄システム100の縦方向Vにおいてケーシング3の上端に配置された実質的に円筒形の分配ダクト135である。
【0065】
同様に、本発明は、また、図面には図示していないけれども、洗浄システム100のベース部材2が、洗浄システム100が固定される車両構造の構成要素400と一体部材として形成されている例に対しても、適用される。この場合、乾燥流体搬送ダクト15を形成することに寄与するリブ22は、構造要素400から突出するように配置され、ケーシング3は、例えば上述した固定手段32、320によって、構造要素に対して取り付けられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6