(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】基地局アンテナ装置およびそのアダプタ
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20240813BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240813BHJP
H01Q 3/04 20060101ALI20240813BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20240813BHJP
【FI】
H01Q1/12 C
H01Q1/24 Z
H01Q3/04
H04B1/38
(21)【出願番号】P 2022541970
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(86)【国際出願番号】 KR2021000231
(87)【国際公開番号】W WO2021141430
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0003287
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002329
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ ミュン パク
(72)【発明者】
【氏名】イン ホ キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョウン ソク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ソン マン カン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537535(JP,A)
【文献】特開2011-078053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0352042(US,A1)
【文献】特表2023-508961(JP,A)
【文献】特許第7082708(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0179244(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
H01Q 1/24
H01Q 3/04
H04B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱ポールに対して前方に所定距離離隔した離隔空間を有するように上下に設けられかつ、所定角度ティルティング可能に設けられたアンテナモジュールと、
前記離隔空間に位置するように前記アンテナモジュールの背面に設けられかつ、前記離隔空間の側方から左右方向にスライディング着脱するように設けられるRRHと、
前記アンテナモジュールの背面に備えられた電気的な入出口となる固定連結体と、
前記RRHの下端部に備えられた電気的な入出力口となるプッシュブロックとを備え、
前記プッシュブロックは、前記RRHに固定されたガイドハウジングと、前記アンテナモジュールに近づくプッシュ移動方向および前記アンテナモジュールから遠ざかるプリング移動方向に移動し得るように前記ガイドハウジングにガイドされる移動ブロックと、前記移動ブロックの端部に連結され、前記固定連結体との間で電気的な信号接続および分離が可能なロッキングコネクタとを備える、基地局アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナモジュールの背面には、左右方向に長く配置された少なくとも1つのスライディング着脱レールが配置され、
前記アンテナモジュールの背面に対向する前記RRHの前面には、前記少なくとも1つのスライディング着脱レールに結合されてスライディングされる少なくとも1つのスライディングブロックが配置されている、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項3】
前記スライディングブロックは、外周面に凹んで形成されたスライディング溝が備えられたホイール形状に備えられ、前記スライディング溝に前記スライディング着脱レールの内部に左右方向に長く配置されたガイド棒が挿入されて結合される、請求項2に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナモジュールの側面には、前記少なくとも1つのスライディング着脱レールの左右両端側に突出した少なくとも1つの固定ブラケットが備えられ、
前記少なくとも1つの固定ブラケットのうち左側または右側の固定ブラケットは、前記アンテナモジュールの側面に着脱する、請求項2に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの固定ブラケットは、
前記アンテナモジュールに結合される固定ブロックと、
前記固定ブロックに対して回動可能に備えられ、前記RRHの左側または右側に着脱固定される回動ブロックと、を含む、請求項4に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナモジュールの上端部は、前記支柱ポールに連結され、水平方向に所定長さ延びるように備えられたティルティングユニットに下端部のティルティング固定点を基準として前後方向にティルティング可能に連結された、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項7】
前記離隔空間は、前記ティルティングユニットによってティルティングされる前記アンテナモジュールのティルティング動作によって変動する、請求項6に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項8】
前記固定連結体および前記プッシュブロックは、それぞれ、左右方向に所定距離離隔するように複数個が備えられている、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項9】
前記ロッキングコネクタは、
前記アンテナモジュールの背面に対する前記RRHのスライディング結合前には、前記固定連結体との干渉が解除されるようにプリング位置に位置し、
前記アンテナモジュールの背面に対する前記RRHのスライディング結合後には、前記固定連結体を取り囲むようにプッシュ位置に位置する、
請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項10】
アンテナモジュールの
背面に備えられた
電気的な入出口となる固定連結体との電気的な接続および
分離を可能にし、
前記アンテナモジュールに近づくプッシュ移動および
前記アンテナモジュールから遠ざかるプリング移動
が可能となるようにRRHの下端部に
移動可能に備えられたロッキングコネクタと、
前記ロッキングコネクタが端部に連結され、使用者の外力によってプッシュ移動およびプリング移動する移動ブロックと、
前記RRHに固定され、前記移動ブロックのプッシュ移動およびプリング移動をガイドするガイドハウジングと、を含む、基地局アンテナ装置のアダプタ。
【請求項11】
前記ロッキングコネクタは、前記アンテナモジュールの背面に対する前記RRHのスライディング結合前には、前記固定連結体との干渉が解除されるようにプリング位置に位置し、前記アンテナモジュールの背面に対する前記RRHのスライディング結合後には、前記固定連結体を取り囲むようにプッシュ位置に位置する、
請求項10に記載の基地局アンテナ装置のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局アンテナ装置およびそのアダプタ(ANTENNA APPARATUS FOR BASE STATION AND ADAPTOR OF THE SAME)に関し、より詳しくは、組立および設置が容易な基地局アンテナ装置およびそのアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおいて、「基地局(base station)」とは、セル内で携帯端末の電波を中継するシステムをいう。基地局は、主にビルの屋上などに設置され、携帯端末の電波を中継する。したがって、セル単位で基地局が存在し、このような基地局は、携帯端末と交換局との間におけるインターフェース機能以外にも、着発信信号の送出、通話チャネルの指定、通話チャネルの監視などをセル単位で制御する。基地局に採用されるアンテナ装置は、垂直または水平にビームティルティング可能な制御アンテナが多いというメリットから普及されてきた。
【0003】
移動通信サービスの大衆化に伴い、より安定してサービスを提供できる無線ネットワーク環境を提供するアンテナ装置の普及が拡大しており、移動通信サービスは有線通話のみを可能にしていた2G(2Generation)から3Gおよび4Gと、pre-5Gを経て、最近は5Gが定着化していく傾向にある。このような5G移動通信のためのアンテナ装置が既存の4Gおよびpre-5Gとともに実装され、その設置位置を共有することができる。
【0004】
しかし、従来の基地局アンテナ装置は、アンテナモジュールとRRH(Remote Radio Head)の仕様がそれぞれ異なっていて、アンテナモジュールに提供されるそれぞれの周波数帯域別のアンテナとRRHとの連結組立が極めて困難で、設置時間および費用が大きくかかる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、支柱ポールにアンテナモジュールとRRHを設置するために用いられる部品の最小化および共用化を図ることができ、基地局アンテナ装置の設置時間および設置費用を最小化することができ、維持/補修にも便利な基地局アンテナ装置およびそのアダプタを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、アンテナモジュールの背面に対するRRHの設置においてボルティング結合を最小化することはもちろん、スライディング締結方式の構造を採用してその結合時間を大きく短縮することができる基地局アンテナ装置およびそのアダプタを提供することを他の目的とする。
【0007】
また、本発明は、アンテナモジュールとRRHとの間の信号接続および分離がプッシュタイプで行われるように設計することにより、その操作が非常に容易な基地局アンテナ装置およびそのアダプタを提供することをさらに他の目的とする。
【0008】
本発明の技術的課題は以上に言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による基地局アンテナ装置の一実施例は、支柱ポールに対して前方に所定距離離隔した離隔空間を有するように上下に設けられかつ、所定角度ティルティング可能に設けられたアンテナモジュールと、前記離隔空間に位置するように前記アンテナモジュールの背面に設けられかつ、前記離隔空間の側方から左右方向にスライディング着脱するように設けられるRRHと、前記アンテナモジュールと前記RRHとの電気的な信号接続および分離を媒介するように前記RRHの下端部に備えられ、前後方向にプッシュ移動する動作で前記信号接続および分離が可能なプッシュブロックが備えられたアダプタとを含む。
【0010】
ここで、前記アンテナモジュールの背面には、左右方向に長く配置された少なくとも1つのスライディング着脱レールが配置され、前記アンテナモジュールの背面に対向する前記RRHの前面には、前記少なくとも1つのスライディング着脱レールに結合されてスライディングされる少なくとも1つのスライディングブロックが配置される。
【0011】
また、前記スライディングブロックは、外周面に凹んで形成されたスライディング溝が備えられたホイール形状に備えられ、前記スライディング溝に前記スライディング着脱レールの内部に左右方向に長く配置されたガイド棒が挿入されて結合される。
【0012】
また、前記アンテナモジュールの側面には、前記少なくとも1つのスライディング着脱レールの左右両端側に突出した少なくとも1つの固定ブラケットが備えられ、前記少なくとも1つの固定ブラケットのうち左側または右側の固定ブラケットは、前記アンテナモジュールの側面に着脱可能である。
【0013】
また、前記少なくとも1つの固定ブラケットは、前記アンテナモジュールに結合される固定ブロックと、前記固定ブロックに対して回動可能に備えられ、前記RRHの左側または右側に着脱固定される回動ブロックとを含むことができる。
【0014】
また、前記アンテナモジュールの上端部は、前記支柱ポールに連結され、水平方向に所定長さ延びるように備えられたティルティングユニットに下端部のティルティング固定点を基準として前後方向にティルティング可能に連結される。
【0015】
また、前記離隔空間は、前記ティルティングユニットによってティルティングされる前記アンテナモジュールのティルティング動作によって変動できる。
【0016】
また、前記アダプタは、前記RRHの下端部に左右方向に所定距離離隔するように複数個が備えられる。
【0017】
また、前記アンテナモジュールには、前記プッシュブロックに連結される固定連結体が備えられる。
【0018】
また、前記プッシュブロックは、前記アンテナモジュール側へのプッシュ移動動作で前記固定連結体と電気的な接続および物理的なロック連結が行われ、前記アンテナモジュール側の反対側へのプリング移動動作で前記固定連結体との電気的な接続および物理的なロックが解除されるロッキングコネクタを含むことができる。
【0019】
また、前記ロッキングコネクタは、前記アンテナモジュールの背面に対する前記RRHのスライディング結合前には、前記固定連結体との干渉が解除されるようにプリング位置に位置し、前記アンテナモジュールの背面に対する前記RRHのスライディング結合後には、前記固定連結体を取り囲むようにプッシュ位置に位置することができる。
【0020】
また、前記プッシュブロックは、前記プッシュ移動およびプリング移動方向に開口した空間を有するガイドハウジングと、前記ガイドハウジングのガイドを受けながら移動するように備えられた移動ブロックと、前記移動ブロックの端部に連結された前記ロッキングコネクタとを含むことができる。
【0021】
本発明による基地局アンテナ装置のアダプタの一実施例は、アンテナモジュールの下端部に備えられた固定連結体との電気的な接続および物理的なロックが可能にプッシュ移動およびプリング移動するようにRRHの下端部に備えられたロッキングコネクタと、前記ロッキングコネクタが端部に連結され、使用者の外力によってプッシュ移動およびプリング移動する移動ブロックと、前記移動ブロックのプッシュ移動およびプリング移動をガイドするガイドハウジングとを含む。
【0022】
ここで、前記ロッキングコネクタは、前記アンテナモジュールの背面に対する前記RRHのスライディング結合前には、前記固定連結体との干渉が解除されるようにプリング位置に位置し、前記アンテナモジュールの背面に対する前記RRHのスライディング結合後には、前記固定連結体を取り囲むようにプッシュ位置に位置することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による基地局アンテナ装置およびそのアダプタによれば、次の多様な効果を達成することができる。第一に、アンテナモジュールとRRHの設置時間および設置費用を最小化することができる効果を有する。第二に、縮小された設置空間内でアンテナモジュールとRRHとの間の電気的な接続および物理的なロックが単純なプッシュ移動およびプリング動作で行われることから、現場の作業性を向上させることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による基地局アンテナ装置の前面部を表す斜視図である。
【
図2】本発明による基地局アンテナ装置の後面部を表す斜視図である。
【
図3】
図2に示す基地局アンテナ装置を表す分解斜視図である。
【
図4】本発明による基地局アンテナ装置のティルティング前後の様子を表す側面図であり、(a)はティルティング前の様子、(b)はティルティング後の様子を表す。
【
図5】
図1および
図2の構成のうち、ティルティング部を示す側断面図である。
【
図6】ティルティング部の断面図を示す斜視図である。
【
図7】
図1および
図2の構成のうち、ガイドハウジングが除去された状態を示すティルティング部の内部を表す斜視図である。
【
図8】
図2の構成のうち、RRHのアンテナモジュールに対する着脱の様子を示す分解斜視図である。
【
図9】本発明による基地局アンテナ装置を示す断面図およびその部分拡大図である。
【
図10】
図9の断面図のうちアダプタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明による基地局アンテナ装置およびそのアダプタの実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0027】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0028】
図1は本発明による基地局アンテナ装置の前面部の斜視図であり、
図2は本発明による基地局アンテナ装置の後面部の斜視図であり、
図3は
図2の分解斜視図であり、
図4(a),(b)は本発明による基地局アンテナ装置のティルティング前後の様子を示す側面図である。
図5は
図1および
図2の構成のうちティルティング部を示す側断面図であり、
図6は
図1のA-A線に沿った切開斜視図であり、
図7は
図1および
図2の構成のうちガイドハウジングが除去された状態を示すティルティング部の内部斜視図である。
【0029】
まず、本発明による基地局アンテナ装置の理解のために、基地局アンテナ装置(Antenna unit)の構成について詳しく説明する。本発明の実施例による基地局アンテナ装置は、アンテナモジュールA1と、RRH(Remote Radio Head)A2とを含む。本実施例で説明されるアンテナモジュールA1は、少なくとも1つの周波数帯域を有するアンテナモジュールをすべて指し示す概念である。また、本実施例で説明されるRRH(A2)は、アンテナモジュールA1に提供されるそれぞれの周波数帯域別のアンテナに連結されて、アンテナおよび基地局送受信を行う装置を指す。RRH(A2)は、移動通信システムの基地局と移動通信端末との間で、弱くなった信号を受けて増幅または再送信したり、歪んだ波形を定形化し、タイミングを再調整するなどの機能をする中継装置をいう。
【0030】
本発明の一実施例による基地局アンテナ装置は、
図1~
図4に示すように、上下方向に垂直に備えられた支柱ポール1に対して前方に所定距離離隔した離隔空間Sを有するように上下に設けられかつ、所定角度ティルティング可能に設けられたアンテナモジュールA1と、離隔空間Sに位置するようにアンテナモジュールA1の背面に設けられかつ、離隔空間Sの側方から左右方向にスライディング着脱するように設けられるRRH(A2)と、アンテナモジュールA1とRRH(A2)との電気的な信号接続および分離を媒介するようにRRH(A2)の下端部に備えられ、前後方向に移動する動作で信号接続および分離が可能なプッシュブロック250が備えられたアダプタ200とを含む。
【0031】
支柱ポール1の上端部には、アンテナモジュールA1およびRRH(A2)を同時にティルティングさせるティルティングユニット100が備えられる。ここで、アンテナモジュールA1の上端は、ティルティングユニット100に対して相対的にヒンジ回動するように連結され、ティルティングユニット100より下部に相当する支柱ポール1の下端部には、アンテナモジュールA1の下端がヒンジ回動するように連結される。
【0032】
ティルティングユニット100は、支柱ポール1の上端部から外側水平方向に所定長さ延びるように備えられ、ティルティングユニット100の内部には、アンテナモジュールA1の上端が連結されたティルティング部101がガイドアームユニット105に沿って水平方向にムービングされるように構成されて、ティルティング部101のムービング距離に応じてアンテナモジュールA1の上端が移動することにより、アンテナモジュールA1のティルティング角度が調整可能である。このように、アンテナモジュールA1の上端を下端の固定回動点を基準として前後水平方向にティルティング回動させることができるので、アンテナビームの方向性調整が容易という利点を有する。
【0033】
より詳しくは、ティルティングユニット100は、ガイドアームユニット105と、ティルティング部101とを含む。ガイドアームユニット105は、ティルティング部101のムービングをガイドする役割を果たし、ティルティング部101は、ガイドアームユニット105のガイドを受けながらムービングされることにより、アンテナモジュールA1のティルティング角度を調整する役割を果たすことができる。
【0034】
ガイドアームユニット105は、
図5~
図7に示すように、上下垂直に配置された支柱ポール1に対して直交するように一側に水平に延長配置される。支柱ポール1は、略内部が中空の円筒形状に形成される。本発明の一実施例において、支柱ポール1は、
図1および
図2に示すように、上下垂直に配置されたものに限定して説明する。しかし、図示しないが、支柱ポール1は、家屋の壁面に水平に配置されてもよいことは当然である。そのため、本発明の一実施例で使う方向に対する用語は、支柱ポール1の実際の設置方向とは関係なく、上下垂直に配置された支柱ポール1を基準として説明することとする。
【0035】
ガイドアームユニット105は、
図5に示すように、ティルティング部101の移動距離を制限するとともに、ティルティング部101の移動をガイドする役割を果たす。より詳しくは、ガイドアームユニット105は、
図5に示すように、支柱ポール1に対する結合を媒介するハウジングコネクタ120と、ハウジングコネクタ120に連結され、支柱ポール1に対して直交する方向に水平延長されるガイドハウジング110とを含むことができる。
【0036】
ここで、ガイドハウジング110は、下方が開口した逆「コ」字状の垂直断面を有するように形成される。これは、アンテナモジュールA1の上端部との結合を媒介する上部回動リンク41およびティルティング部101の移動時に干渉されないようにするためである。ティルティング部101は、
図5~
図7に示すように、ガイドアームユニット105内に配置され、ヒンジの位置が固定されたアンテナモジュールA1の下端部を基準として、ガイドアームユニット105内においてアンテナモジュールA1の上端部を水平方向に移動させて支柱ポール1に対するティルティング角度を調整する役割を果たすことができる。
【0037】
より詳しくは、アンテナモジュールA1は、
図4に示すように、その上端部に備えられた上部回動リンク41を介してティルティング部101とヒンジ回動可能に連結され、その下端部に備えられた下部回動リンク42を介して支柱ポール1に対してヒンジ回動可能に連結される。ここで、支柱ポール1には、
図4に示すように、アンテナモジュールA1の上端部をティルティングさせるように備えられたガイドアームユニット105の結合を媒介する上部結合クランプ10および載置クランプ30が備えられるとともに、アンテナモジュールA1の下端部に連結された下部回動リンク42とのヒンジ結合を媒介するように備えられた回動ブラケット45の結合を媒介する下部結合クランプ20が備えられる。
【0038】
上部回動リンク41は、アンテナモジュールA1と結合される一端部およびティルティング部101と結合される他端部がすべて相対的にヒンジ回動可能にヒンジ結合され、下部回動リンク42は、アンテナモジュールA1と結合される一端部はヒンジ回動不可能に直接ねじ締結され、回動ブラケット45と結合される他端部は相対的にヒンジ回動可能にヒンジ結合される。したがって、上部回動リンク41で連結されたアンテナモジュールA1のヒンジの位置は、ティルティング部101のガイドアームユニット105内での位置によって変化するが、下部回動リンク42で連結されたアンテナモジュールA1のヒンジの位置は、相対的に固定されたものと定義することができる。
【0039】
一方、ティルティング部101は、
図5~
図7に示すように、ガイドアームユニット105の構成のうちガイドハウジング110内に長手方向に長く設けられ、外周面に雄ねじ山が形成されたスクリューボルト130と、スクリューボルト130に沿って移動し、アンテナモジュールA1の上端部と上部回動リンク41によりヒンジ連結されたティルティング駆動部140とを含むことができる。ここで、スクリューボルト130に形成された雄ねじ山は、詳しく図示しないが、所定サイズのボールが挿入されるボールスクリュー形状およびギヤの噛合が容易な台形形状のいずれか1つを含むことができる。
【0040】
スクリューボルト130は、支柱ポール1に対して直交するように水平方向に長く配置されたガイドハウジング110の内側一端および内側他端にそれぞれ固定ねじ(図示せず)を用いて固定される。
【0041】
ティルティング駆動部140は、
図5~
図7に示すように、内部に所定の空間が備えられた駆動部ハウジング141と、駆動部ハウジング141に結合されたモータハウジング142に備えられ、電気的に駆動される駆動モータ143と、モータハウジング142から駆動部ハウジング141側に延びた駆動モータ143の回転軸に連動して回転し、外周面にギヤ歯が備えられた駆動ギヤ145と、回転中心にスクリューボルト130が貫通して結合される雌ねじ山が形成され、外周面に駆動ギヤ145と噛合するギヤ歯が備えられたムービングギヤ144とを含むことができる。
【0042】
駆動部ハウジング141は、上述した所定の空間が形成されて、駆動ギヤ145とムービングギヤ144が設けられる設置空間としての役割を果たすことはもちろん、いずれか一部はガイドハウジング110に固定された後述する一対のガイドレール150に結合され、他の一部はアンテナモジュールA1の上端部に上部回動リンク41を介して結合されて、駆動モータ143の駆動によってガイドレール150のガイドを受けながらガイドハウジング110の下側で長手方向(すなわち、水平方向)にアンテナモジュールA1の上端部がムービングされることにより、ティルティング角度が調整されるようにする役割を果たす。
【0043】
モータハウジング142は、駆動部ハウジング141の一側に別の空間を形成するように備えられ、モータハウジング142の内部には、駆動モータ143がスクリューボルト130に対して平行に離隔した前記回転軸を有するように固定される。駆動モータ143の回転軸は、モータハウジング142の内部から貫通して駆動部ハウジング141の内側に露出し、駆動モータ143の回転軸を同軸として連動するように駆動ギヤ145が備えられる。
【0044】
ここで、ティルティング駆動部140は、
図5~
図7に示すように、駆動ギヤ145を駆動部ハウジング141に対して回転支持する駆動ベアリング支持部147と、ムービングギヤ144を駆動部ハウジング141に対して回転支持するムービングベアリング支持部146とをさらに含むことができる。
【0045】
駆動ベアリング支持部147とムービングベアリング支持部146は、それぞれ駆動部ハウジング141内で回転可能に備えられた駆動ギヤ145およびムービングギヤ144を駆動部ハウジング141に対して回転支持する役割を果たし、それぞれ固定状態の内輪と回転状態の外輪との間で摩擦を低減させる複数のベアリングボールが介在したタイプで備えられる。ここで、内輪は、それぞれ駆動部ハウジング141に対して固定され、外輪は、駆動ギヤ145およびムービングギヤ144とともに連動して回転するように備えられる。
【0046】
一方、ティルティング駆動部140は、
図5~
図7に示すように、ガイドアームユニット105の幅方向一側および幅方向他側にそれぞれ配置され、ガイドアームユニット105の長手方向に長く配置された一対のティルティングガイドレール150と、駆動部ハウジング141の外側に固定され、一対のティルティングガイドレール150それぞれに結合されて駆動部ハウジング141の結合を媒介する一対のムービングガイドブロック160とをさらに含むことができる。より詳しくは、一対のティルティングガイドレール150は、長手方向に長く水平配置されたガイドハウジング110の幅方向一側および幅方向他側にそれぞれ長手方向に長く水平固定される。そして、一対のムービングガイドブロック160は、それぞれ一対のティルティングガイドレール150の外側面の一部を取り囲みながら係止結合されるように逆「コ」字状の垂直断面形状を有しかつ、駆動部ハウジング141の一側外面と他側外面にそれぞれ固定される。
【0047】
図8は
図2の構成のうちRRHのアンテナモジュールに対する着脱の様子を示す分解斜視図であり、
図9は本発明による基地局アンテナ装置を示す断面図およびその部分拡大図であり、
図10は
図9の断面図のうちアダプタを示す断面図である。
【0048】
アンテナモジュールA1は、上下に長くスリムなボックス状に備えられかつ、
図3および
図4に示すように、支柱ポール1に対して前方に所定距離離隔空間Sを有するように支柱ポール1と平行に設けられる。
【0049】
図8を参照すれば、アンテナモジュールA1と支柱ポール1との間の離隔空間SにはRRH(A2)が設けられる。より詳しくは、アンテナモジュールA1の背面にはRRH(A2)がスライディング着脱結合可能である。
【0050】
このため、
図9に示すように、アンテナモジュールA1の背面には、左右方向に長く配置された少なくとも1つのスライディング着脱レール220が配置され、アンテナモジュールA1の背面に対向するRRH(A2)の前面には、少なくとも1つのスライディング着脱レール221に結合されてスライディングされる少なくとも1つのスライディングブロック225が配置される。
【0051】
ここで、スライディング着脱レール220は、
図9に示すように、アンテナモジュールA1の背面に左右方向に長く配置されたガイドフレーム221と、ガイドフレーム221の下端内側および上端内側に左右方向に長く配置されたガイド棒223とを含む。ガイド棒223は、少なくとも外周面の一部がガイドフレーム221の下端および上端からそれぞれ内側に突出して備えられる。
【0052】
一方、スライディングブロック225は、
図9に示すように、外周面に凹んで形成されたスライディング溝が備えられたホイール形状に備えられる。スライディングブロック225の溝には、スライディング着脱レール220のガイド棒223が挿入されて結合される動作によって、RRH(A2)のアンテナモジュールA1に対する左右方向スライディングがガイドできる。これとともに、アンテナモジュールA1の側面には、
図1に示すように、少なくとも1つのスライディング着脱レール220の左右両端側に突出した少なくとも1つの固定ブラケット230が備えられる。
【0053】
ここで、少なくとも1つの固定ブラケット230は、
図1に示すように、アンテナモジュールA1に結合される固定ブロック231と、固定ブロック231に対して回動可能に備えられ、RRH(A2)の左側または右側に着脱固定される回動ブロック233とを含むことができる。回動ブロック233は、固定ブロック231に対して外側方向に少なくとも90度以上回動するように備えられることにより、アンテナモジュールA1に対してRRH(A2)を側方からスライディング着脱レール220側に移動させて結合させる時、スライディング着脱レール220の一側をオープンさせることができる。すなわち、少なくとも1つの固定ブラケット230のうち回動ブロック233は、アンテナモジュールA1の背面に対するRRH(A2)のスライディング着脱結合前には、スライディング結合のためにアンテナモジュールA1に固定された固定ブロック231に対して外側に回動した状態を維持し、アンテナモジュールA1の背面に対するRRH(A2)のスライディング着脱結合後には、RRHの側部にボルティング結合またはスクリュー結合されて、RRH(A2)の左右方向離脱を防止することができる。
【0054】
一方、本発明の一実施例による基地局アンテナ装置のアダプタ200は、
図8~
図10に示すように、RRH(A2)の下端部にプッシュブロック250が左右方向に所定距離離隔するように複数個が備えられる。本発明の一実施例において、アダプタ200は、3つのプッシュブロック250がRRH(A2)の下端部に左右方向に所定距離離隔するように備えられたものであるが、このような個数に限定されるものではない。このような構成からなるアダプタ200は、アンテナモジュールA1の背面に備えられた固定連結体217と電気的な接続および物理的なロック連結が同時に行われるようにする役割を果たす。
【0055】
より詳しくは、
図9および
図10に示すように、アダプタ200の構成のうちプッシュブロック250は、アンテナモジュールA1側へのプッシュ(Push)移動動作で固定連結体217と電気的な接続および物理的なロック連結が行われ、アンテナモジュールA1側の反対側へのプリング(Pulling)移動動作で固定連結体217との電気的な接続および物理的なロックが解除されるようにロッキングコネクタ218を含むことができる。
【0056】
プッシュブロック250は、
図10に示すように、使用者が手でプッシュまたはプリングさせることができるように設けられたプッシュノブ211と、プッシュノブ211の外側に文字または符号形状が印刷されてプッシュノブ211の使用方法を表示するプッシュ表示部212とを含むことができる。
【0057】
ロッキングコネクタ218は、アンテナモジュールA1の背面に対するRRH(A2)のスライディング結合前には、固定連結体217との干渉が解除されるようにプリング位置に位置し、アンテナモジュールA1の背面に対するRRH(A2)のスライディング結合後には、固定連結体217を取り囲むようにプッシュ位置に位置することができる。これにより、プッシュブロック250は、プッシュ移動およびプリング移動方向に開口した空間を有するガイドハウジング213と、ガイドハウジング213のガイドを受けながら移動するように備えられた移動ブロック255と、移動ブロック255の端部に連結された上述したロッキングコネクタ218とをさらに含むことができる。
【0058】
ここで、固定連結体217の端部とロッキングコネクタ218は、プッシュブロック250のプッシュ動作によって雌雄結合される形状に備えられて、別の外部離脱力が提供されない限り、雌雄結合が継続して維持されることにより、アンテナモジュールA1とRRH(A2)との間の電気的な接続連結が任意に解除されない。
【0059】
一方、上述のように、アダプタ200を用いてアンテナモジュールA1とRRH(A2)との間の電気的な接続および物理的なロック連結がより容易となるように、ティルティングユニット100によってアンテナモジュールA1およびRRH(A2)と支柱ポール1との間の離隔空間Sがより広く変動するようにアンテナモジュールA1の上端部が前方に所定角度ティルティング動作が行われた後に行われる。
【0060】
しかし、本発明の一実施例による基地局アンテナ装置によれば、アンテナモジュールA1と支柱ポール1との間の限られた離隔空間SでもRRH(A2)を側方から左右方向にアンテナモジュールA1の背面にスライディング移動させて着脱結合可能に備えられたという点で、ティルティングユニット100によるティルティング動作を必ずしも先行して行わなければならないわけではない。
【0061】
以上、本発明による基地局アンテナ装置およびそのアダプタの実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは当然であろう。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、支柱ポールにアンテナモジュールとRRHを設置するために用いられる部品の最小化および共用化を図ることができ、基地局アンテナ装置の設置時間および設置費用を最小化することができ、維持/補修にも便利な基地局アンテナ装置およびそのアダプタを提供する。
【符号の説明】
【0063】
A1:アンテナモジュール、A2:RRH、1:支柱ポール、10:上部結合クランプ、11a、11b:上部一側クランプブロック、12a、12b:上部他側クランプブロック、13:上部固定ボルト、14:上部固定ナット、20:下部結合クランプ、21:下部一側クランプブロック、22:下部他側クランプブロック、23:2つ以上の固定ボルト、24:2つ以上の固定ナット、30:載置クランプ、41:上部回動リンク、42:下部回動リンク、45:回動ブラケット、100:ティルティングユニット、130:固定ブラケット、131:固定ブロック、133:回動ブロック、200:アダプタ、211:プッシュノブ、212:プッシュ表示部、213:ガイドハウジング、217:固定連結体、218:ロッキングコネクタ、S:離隔空間。