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特許7536878スライスアクセス障害を減少させるためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】スライスアクセス障害を減少させるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/20 20090101AFI20240813BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20240813BHJP
   H04W 28/084 20230101ALI20240813BHJP
【FI】
H04W48/20
H04W48/16 130
H04W28/084
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022546415
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 US2021015029
(87)【国際公開番号】W WO2021154689
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】62/969,006
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/825,321
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521478407
【氏名又は名称】ディッシュ ワイヤレス エル.エル.シー.
【氏名又は名称原語表記】DISH WIRELESS L.L.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】ゴエル ネハ
(72)【発明者】
【氏名】ケヌモル シッダールタ
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0205065(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0116816(US,A1)
【文献】Huawei, HiSilicon,Slice Availability for Cell Reselection[online],3GPP TSG RAN WG2 #101 R2-1802261,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_101/Docs/R2-1802261.zip>,2018年02月16日
【文献】3GPP TS 38.300 V16.0.0,2020年01月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおけるユーザ機器(UE)による、セルにおけるスライスのための登録プロセスであって、
前記UEによって、登録要求を前記ネットワークに送信することであって、前記登録要求が、アクセスのために前記UEによって選択されたネットワークスライスのセットに対応する近隣セルのリストを含む、送信することと、
前記UEと前記ネットワークとの間の前記アクセスを認証するための認証手順を開始することと、
前記認証手順の完了後、前記アクセスと、Access and Mobility Management Function(AMF)によって生成された、許可されたスライス識別(ID)のリストを前記UEが利用できるようにすることとを許可することであって、前記許可されたスライスIDの前記リストは、サブスクリプション情報に基づく前記アクセスを有する前記許可されたスライスIDを含む、許可することと、
前記AMFによって、スライス特定認証を要求する制限されたスライスを除く、前記UEによって選択された前記ネットワークスライスのセットのすべてのスライスへのアクセスを許可する登録受理メッセージを前記UEに送信することと、
前記AMFによって、前記スライス特定認証に応答してアクセス可能な前記制限されたスライスに対する前記UEの前記スライス特定認証を開始することと、
前記制限されたスライスの各々に対する前記AMFによる前記スライス特定認証が完了した時点で、前記近隣セルのいずれかから前記UEによって選択された前記ネットワークスライスのセットのいずれかのスライスを前記UEが選択してアクセスすることを許可することと、
を含む、登録プロセス。
【請求項2】
コンピュータ可読記憶デバイス内に有形に具体化され、プロセッサによって実行されたとき、ユーザ機器(UE)による少なくとも1つのセルからネットワークの複数の使用可能なスライスへの、選択的アクセスの方法を実行する、命令のセットを含む、コンピュータプログラム製品であって、前記方法は、
登録要求を前記ネットワークに送信することであって、前記登録要求が、アクセスのために前記UEによって選択されたネットワークスライスのセットに対応する近隣セルのリストを含む、送信することと、
前記UEと前記ネットワークとの間の前記アクセスを認証するための認証手順を開始することと、
前記認証手順の完了後、Access and Mobility Management Function(AMF)によって生成された、許可されたスライス識別(ID)のリストを前記UEが利用できるようにすることであって、許可されたスライスIDの前記リストは、サブスクリプション情報に基づく前記アクセスを有する前記許可されたスライスIDを含む、利用できるようにすることと、
スライス特定認証を要求する制限されたスライスの各々に対する前記AMFによる前記スライス特定認証が完了した時点で、前記近隣セルのいずれかから前記UEによって選択された前記ネットワークスライスのセットのいずれかのスライスを前記UEが選択してアクセスすることを許可することと、
前記UEによって、前記AMFから、前記制限されたスライスを除く、前記UEによって選択された前記ネットワークスライスのセットのすべてのスライスへのアクセスを許可する登録受理メッセージを受信することと、
前記UEによって、前記制限されたスライスへのアクセスのために前記UEの前記スライス特定認証を前記AMFが実行することに応答して、前記AMFから成功メッセージを受信することと、
を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項3】
プロセッサ、メモリ、及び入力/出力インターフェースを有するユーザ機器(UE)によって実行される方法であって、前記プロセッサは、ネットワークにおける前記UEによる、セルにおけるスライスのための登録プロセスを開始するために、前記メモリ内に記憶された命令を実行するように構成され、
登録要求を前記ネットワークに送信することであって、前記登録要求が、アクセスのために前記UEによって選択されたネットワークスライスのセットに対応する近隣セルのリストを含む、送信することと、
前記UEと前記ネットワークとの間の前記アクセスを認証するための認証手順を開始することと、
前記認証手順の完了後、前記アクセスと、Access and Mobility Management Function(AMF)によって生成された、許可されたスライス識別(ID)のリストを前記UEが利用できるようにすることとを許可することであって、許可されたスライスIDの前記リストは、サブスクリプション情報に基づく前記アクセスを有する前記許可されたスライスIDを含む、許可することと、
前記UEがスライス特定認証を要求すること及び前記認証手順を開始することの両方に応答して、前記AMFによって、スライスアクセスのために前記スライス特定認証を必要とする少なくとも1つの制限されたスライスのための前記スライス特定認証を開始することと、
前記UEによって、前記AMFから、前記制限されたスライスを除く、前記UEによって選択された前記ネットワークスライスのセットのすべてのスライスへのアクセスを許可する登録受理メッセージを受信することと、
前記UEによって、前記制限されたスライスへのアクセスのために前記UEの前記スライス特定認証を前記AMFが実行することに応答して、前記AMFから成功メッセージを受信することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本願は、2020年1月31日出願の仮出願第62/969,006号の利益を主張する、2020年3月20日出願の関連する米国特許出願第16,825,321号の優先権を主張し、上記出願のすべてはそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
下記考察は、一般に、ワイヤレス通信システムにおけるスライスアクセス障害を減少させることに関する。より具体的に言えば、下記考察は、ネットワークの適切なスライスを識別及び接続するようにユーザ機器が処理可能な、スライス識別及びオフセット情報をブロードキャストすることによって、5Gデータネットワークなどにおけるスライスアクセス障害を減少させる、システム、デバイス、及び自動化プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話、コンピュータ、モノのインターネット(IoT)デバイスなどに、大幅に改良された帯域幅及びサービス品質を提供するために、より新しい5Gデータ及び電話網が開発されている。しかしながら、これらのより新しい広帯域ネットワークが発達するにつれて、更なる課題が認識されている。次世代(5G)ワイヤレスシステムの無線アクセスネットワーク(RAN)の仮想化は、アプリケーション及びサービスをデバイス及びネットワークインフラストラクチャから物理的に切り離すことができる。これにより、同じ物理インフラストラクチャを介した異なるネットワークオペレータによる異種サービスの動的展開を可能にする。仮想化を利用するRANのスライスにより、オペレータは、共通インフラストラクチャの規模の経済性を失うことなく、顧客特有の機能を専用論理ネットワークに提供することができる。これらの仮想ネットワークを実装するとき、モバイルデバイス及び他のユーザ機器は、各ネットワークが異なるサービス品質(QoS)に対して帯域幅の異なる「スライス」を提供する環境において、適切に接続及び動作する際に課題を経験する可能性がある。特に、多くのユーザ機器デバイスは、異なるアクセスセルからネットワークのどの「スライス」が使用可能であるかに気付いておらず、それによって、適切な接続を確立する際の困難につながり、特定のデバイスがネットワークの特定のセルから使用不可であり得るネットワークスライスを検索するときには、望ましくないアクセス障害につながることさえある。
【0004】
したがって、スライスアクセス障害を減少させることが可能であり、モバイルデバイスが望ましいネットワークスライスを動作させることができる、システム、デバイス、及び自動化プロセスを作り出すことが望ましい。また、5G又は類似のネットワーク内で動作するユーザ機器デバイスの接続性を改善することが望ましい。
【0005】
更に、本発明の他の望ましい機能及び特徴は、添付の図面並びに前述の技術分野及び背景に関連して行われる、以降の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
例示の実施形態は下記の図面に関連して以下で説明し、下記の図面では同様の番号は同様の要素を示す。
【0007】
図1】一実施形態に従った、ワイヤレスデータネットワーキング環境を示す図である。
図2】一実施形態に従った、スライスアクセス障害を減少させるための例示の自動化選択プロセスを示すフローチャートである。
図3】一実施形態に従った、スライスアクセス障害を減少させるための障害事例選択プロセスの一例を示すフローチャートである。
図4】一実施形態に従った、スライスアクセス認証のためのネットワークへのユーザ機器(UE)の例示の自動化登録プロセスを示す図である。
図5】一実施形態に従った、スライスアクセス障害を減少させるための例示の自動化プロセスのための、例示のUE及びネットワークアーキテクチャを示す図である。
【発明の概要】
【0008】
システム、デバイス、及び自動化プロセスは、スライスアクセス障害を減少させるため、及び、モバイルデバイスが望ましいネットワークスライスを動作できるようにするために提供される。
【0009】
一実施形態において、スライス障害時のネットワークへのアクセスの減少を可能にするために、ユーザ機器(UE)による少なくとも1つのセルからネットワークの複数の使用可能なスライスへの、選択的アクセスの方法が提供される。方法は、第1のセルにおいて、UEによってネットワークのスライスAにアクセスすることであって、スライスAは、スライスBよりも高い帯域幅及びより低いレイテンシアクセスを提供する、アクセスすること、及び、第2のセルにおいて、UEによってネットワークのスライスA及びスライスBの両方にアクセスすることであって、スライスBはスライスAよりも高いアクセス可能性を有する、アクセスすることを含み、UEが第1又は第2のセルへのアクセスを試行する場合、UEのセル再選択を介して、ユーザが、スライスAのより高い帯域幅及びより低いレイテンシアクセスのためのプレミアムサービスの使用について認可されている場合、第2のセルを選択することを決定すること、さもなければ、スライスBのネットワークアクセスのためにUEによって第1のセルを選択すること、を含む。
【0010】
様々な例示的実施形態において、方法は、アイドルモードにおいて、第1のセルにおけるネットワークアクセスについてブロードキャストされたシステム情報を読み出すため、並びに、サポートされているスライスID及び使用可能な近隣(n)セルについてのスライスオフセット値を受け取るために、第1のセルにおいてUEによってキャンピングすることを、更に含む。方法は、近隣セル上でUEによる測定を実行すること、及び、スライスIDに対応するネットワークにおいてサポートされているブロードキャストされたスライスオフセットを使用して、セル再選択基準を計算することを、更に含む。方法は、UEによるトップランクの近隣セルの再選択をトリガすることを更に含み、UEが新しいスライスBを再選択する。請求項4の方法は、UEによって、スライスAとのプロトコルデータユニット(PDU)セッションを開始することを更に含み、セルBはスライスAをサポートしているため、PDUセッションはネットワークによって受け入れられ、UEがアイドルモード及びスライス障害時にキャンピングされる場合、UEはスライスAとのPDUセッションを開始する。方法は、gnB又はセルがスライスAをサポートしないため、UEによってスライスアクセスの拒否を受信すること、及び、UEによる近隣セルの測定の再選択をトリガすることを、更に含む。方法は、UEによって、再選択されたセルがスライスAをサポートしているかどうかを判定することによって、再選択についてのセルランク付けを実行することを更に含み、スライスAをサポートしているものと判定された場合、UEによってスライスAとのPDUセッションを開始すること、スライスAをサポートしていないものと判定された場合、UEによって、UEの再選択を介してセル再選択基準に基づいて別のセルを再選択することを、更に含む。
【0011】
別の例示的実施形態において、コンピュータ可読記憶デバイス内に有形に具体化され、プロセッサによって実行されたとき、スライス障害時のネットワークへのアクセスの減少を可能にするために、ユーザ機器(UE)による少なくとも1つのセルからネットワークの複数の使用可能なスライスへの、選択的アクセスの方法を実行する、命令のセットを含む、コンピュータプログラム製品が提供される。方法は、第1のセルにおいて、UE内に含まれる命令のセットによるプログラムプロセッサによって、ネットワークのスライスAにアクセスすることであって、スライスAは、スライスBよりも高い帯域幅及び低いレイテンシアクセスを提供する、アクセスすること、及び、第2のセルにおいて、プログラムプロセッサによってネットワークのスライスA及びスライスBの両方にアクセスすることであって、スライスBはスライスAよりも高いアクセス可能性を有する、アクセスすることを含み、プログラムプロセッサが第1又は第2のセルへのアクセスを試行する場合、プログラムプロセッサのセル選択命令を介して、ユーザが、スライスAのより高い帯域幅及びより低いレイテンシアクセスのためのプレミアムサービスの使用について認可されている場合、第2のセルを選択することを決定すること、さもなければ、スライスBのネットワークアクセスのためにプログラムプロセッサによって第1のセルを選択すること、を含む。
【0012】
様々な例示的実施形態において、方法は、アイドルモードにおいて、第1のセルにおいてUEのプログラムプロセッサによって命令された場合、第1のセルにおいてネットワークアクセスについてブロードキャストされたシステム情報を読み出すため、並びに、サポートされているスライスID及び使用可能な近隣(n)セルについてのスライスオフセット値を受け取るために、キャンピングすることを、更に含む。方法は、UEのプログラムプロセッサによって命令された場合、近隣セル上で測定を実行すること、及び、スライスIDに対応するサポートされているブロードキャストされたスライスオフセットを使用して、セル再選択を計算することを、更に含む。方法は、UEのプログラムプロセッサによるトップランクの近隣セルの再選択をトリガすることを更に含み、UEのプログラムプロセッサは新しいスライスBを再選択する。方法は、UEのプログラムプロセッサによって命令された場合、スライスAとのプロトコルデータユニット(PDU)セッションを開始することを更に含み、セルBはスライスAをサポートしているため、PDUセッションはネットワークによって受け入れられる。方法は、UEがアイドルモード及びスライス障害時にキャンピングされる場合、UEのプログラムプロセッサによって命令された場合、スライスAとのPDUセッションを開始することを更に含む。方法は、gnB又はセルがスライスAをサポートしないため、UEのプログラムプロセッサによってスライスアクセスの拒否を受信すること、及び、UEのプログラムプロセッサによって命令された場合、近隣(n)セルの測定の再選択をトリガすることを、更に含む。方法は、UEのプログラムプロセッサによって命令された場合、再選択されたセルがスライスAをサポートしているかどうかを判定することによって、再選択についての近隣(n)セルのセルランク付けを実行することを更に含み、スライスAをサポートしているものと判定された場合、UEのプログラムプロセッサによってスライスAとのPDUセッションを開始すること、及び、スライスAをサポートしていないものと判定された場合、UEのプログラムプロセッサによって、UEのプログラムプロセッサのプログラム選択命令を介して、セル再選択基準に基づいて別のセルを再選択することを、更に含む。
【0013】
更に別の例示的実施形態において、プロセッサ、メモリ、及び入力/出力インターフェースを有するユーザ機器(UE)によって実行される方法が提供され、プロセッサは、ネットワークノードから受信したスライス識別及びスライスオフセット情報を考慮することによって、スライスアクセス障害を減少させるために、メモリ内に記憶された命令を実行するように構成される。方法は、命令を実行するUE内に含まれる構成されたプロセッサによって、第1のセルにおいてネットワークのスライスAにアクセスすることであって、スライスAは、スライスBよりも高い帯域幅及び低いレイテンシアクセスを提供する、アクセスすることと、構成されたプロセッサによって、第2のセルにおいてネットワークのスライスA及びスライスBの両方にアクセスすることであって、スライスBはスライスAよりも高いアクセス可能性を有する、アクセスすることと、によって、ユーザ機器(UE)によって少なくとも1つのセルからネットワークの複数の使用可能なスライスにアクセスすること、構成されたプロセッサがセル選択命令を介して第1又は第2のセルへのアクセスを試行する場合、スライスAのより高い帯域幅及びより低いレイテンシアクセスのためのプレミアムサービスの使用についてUEが認可されている場合、第2のセルを再選択することを決定すること、さもなければ、スライスBのネットワークアクセスのためにプログラムプロセッサによって第1のセルを選択すること、を含む。方法は、アイドルモードにおいて、第1のセルにおけるネットワークアクセスについてブロードキャストされたシステム情報を読み出すため、並びに、サポートされているスライスID及び使用可能な近隣(n)セルについてのスライスオフセット値を受け取るために、第1のセルにおいて、UEの構成されたプロセッサによって命令された場合、キャンピングすることを、更に含む。
【0014】
様々な例示的実施形態において、方法は、近隣セル上でUEの構成されたプロセッサによって命令された場合、測定を実行すること、及び、スライスIDに対応するサポートされているブロードキャストされたスライスオフセットを使用して、セル再選択を計算することを、更に含む。方法は、UEの構成されたプロセッサによって、トップランクの近隣セルの再選択をトリガすることであって、UEの構成されたプロセッサは新しいスライスBを再選択する、トリガすること、及び、UEの構成されたプロセッサによって命令された場合、スライスAとのプロトコルデータユニット(PDU)セッションを開始することであって、セルBはスライスAをサポートしているため、PDUセッションはネットワークによって受け入れられる、開始することを、更に含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記の詳細な説明は、本明細書に記載されるより広範な概念を示すいくつかの例を提供することが意図されるが、本発明又は本発明の適用範囲及び使用を限定することは意図されない。更に、前記の背景又は下記の詳細な説明に提示される任意の理論によって制約されることは意図されていない。
【0016】
様々な実施形態は、各セルから、そのセルから使用可能な帯域幅の様々なスライスに関する識別情報をブロードキャストすることによって、5Gネットワーク内の接続性などを向上させることが可能である。ユーザ機器デバイスが、使用可能なスライスを知っている場合、より効果的及び効率的な接続が可能である。
【0017】
UEにサービスしているAccess and Mobility Management Function(AMF)インスタンスは、UEをサービスしているすべてのネットワークスライスインスタンスに共通である(又は、論理的に属する)。Session Management Function(SMF)又はUser Plan Function(UPF)などの他のネットワーク機能は、各ネットワークスライスに特有であり得る。UEについてのネットワークスライスインスタンス選択は、通常、UEから登録要求を受け取る第1のAMFによって登録手順の一部としてトリガされる。AMFは、ユーザサブスクリプションによって許可されるスライスを取り出し、適切なネットワークスライスインスタンスを(例えば、許可されたS-NSSAI、PLMN IDなどに基づいて)選択するために、Network Slice Selection Function(NSSF)と対話する。
【0018】
プロトコルデータユニット(PDU)セッションは、1つのS-NSSAI及び1つのDNN(データネットワーク名)に関連付けられる。選択されたインスタンスNSSAI内のPDUセッションの確立は、AMFがUEからセッション管理メッセージを受け取ったときにトリガされる。AMFは、UE要求内に提供されるS-NSSAIを含む複数のパラメータを使用して、候補のSession Management Function(SMF)を発見し、適切なSMFを選択する。User Plane Function(UPF)の選択は、SMFによって実行され、S-NSSAIを使用する。Network Repository Function(NRF)は、選択されたネットワークスライスインスタンスを使用する要求されたNetwork Functionの発見に使用され、詳細な手順は、3GPP(登録商標) TS 23.502に記載されている。データネットワークへのPDUセッションがネットワークスライス内に確立された後、データ伝送が実施可能である。
【0019】
物理又はネットワークノードは、アクセスノード(例えば、無線分散ユニット)又は非アクセスノード(例えば、サーバ及びルータ)のいずれかを表し、物理リンクは、2つの物理ノード間の光ファイバリンクを表す。あらゆる物理ノードは、使用可能リソースのセット、すなわち、計算(CPU)、メモリ(RAM)、及びストレージによって特徴付けられる。各物理リンクは、帯域幅容量と、そのリンクを通過するためにフローが必要とする時間であるレイテンシ値とによって、特徴付けられる。最終的に、物理ノード及びリンクの両方は、各タイプの使用可能リソースについて関連付けられた利用コストを有する。
【0020】
加えて、発明者等は、特定の通信サービスを実装するための顧客要求に対応するネットワークスライス要求のセットを考えてみる。ネットワークスライスとは、仮想リンクのセットによって相互接続された仮想ノードのセットからなる仮想ネットワークである。
【0021】
ネットワークスライス
【0022】
ネットワークスライス、すなわち「5Gスライス」は、このサービスについてCプレーン及びUプレーンを扱う特定の手法を用いて、接続タイプの通信サービスをサポートする。このため、5Gスライスは、特定の使用事例又はビジネスモデルについて組み合わされた、5Gネットワーク機能及び特定のRAT設定の集まりからなる。したがって、5Gスライスは、クラウドノード上で実行するソフトウェアモジュール、機能の柔軟なロケーションをサポートする転送ネットワークの特定の構成、専用無線構成、或いは特定のRAT、並びに、5Gデバイスの構成など、ネットワークのすべてのドメインにわたることが可能である。第三者エンティティは、調整されたサービスを提供するために、適切なAPIを介してスライスの特定の態様を制御することが許可され得る。
【0023】
例示のシナリオにおいて、スライス(「スライスA」)は、分散型集中ユニット(CU)、マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)、及び、低レイテンシ及びコンテンツキャッシングのためのユーザプレーン機能(UPF)を用いてインスタンス化される。この例では、スライスAは、企業ユーザ、商用ユーザ、及び/又はその他のプレミアムサービスに支払ったユーザ専用である。すなわち、スライスAのユーザは、非優先ユーザよりも良好な帯域幅、低いレイテンシ、エッジコンピューティングリソースへの良好なアクセス、及び/又は、他の利益を期待することができる。より一般的なスライス(この例では「スライスB」)は、典型的にはプレミアムスライスAよりも良好な地理的カバレージを提供するが、スライスAの性能利益はない。一般に、スライスBは、非優先ユーザを含むシステムのすべてのユーザが使用可能である。理想的には、スライスBは、スライスAが使用不可であるときにも、プレミアムユーザによる使用が可能である。すなわちプレミアムユーザは、スライスAが使用不可であるときに、しばしばスライスBにアクセスすることができる(ただし、スライスAによって提供される性能利益はない)。これにより、プレミアムユーザには、スライスAが使用可能なプレミアムサービスを保持しながら、非プレミアムユーザと同じ地理的カバレージへのアクセスが提供される。ネットワークの観点からすると、ネットワークは一般に、混合展開を有し、i)スライスAをサポートするいくつかのセルは、スライスBマクロ/パブリックセルとは異なる周波数にあり、ii)いくつかのセルは、スライスA及びBの両方をサポートすることになる。プレミアムサービスに支払ったユーザによって動作されるユーザデバイスは、理想的には、より優先度の高いスライスをサポートするセルを優先するが、より優先度の高いスライスが使用不可である場合、他のセルに切り替える。
【0024】
現在、ユーザ機器(UE)は典型的には選択せず、ネットワークによってサポートされるスライスに基づいてセルにアクセスする。すなわち、プレミアムユーザが通常の近隣(n)又はマクロセル及び低レイテンシセルの両方にアクセスできる場合であっても、それらのUEは一般にはこれらのセルを区別せず、他のセルランク付け基準(例えば、受信した信号強度(RSSI)、又は、セルから受信した信号の強度に関する他のパラメータ)に基づいて再選択する。プレミアムユーザがスライスAをオファーしないマクロセル上でキャンピングされる場合、たとえスライスが別のセルで使用可能であっても、例えば、そのユーザのUEは、UEのスライスAへのアクセス試行を頻繁に拒否することになる。一般的に言えば、ネットワークプロバイダは、別のセルを再選択するため、及び、スライスBへのアクセスの試行を開始するための、UEの実装に依拠する。後続の再選択は、典型的にはスライスを考慮せず、結果としてUEは、たとえプレミアムスライスをオファーする他のセルが使用可能であっても(ただし、他の基準に従って潜在的に最適でないセルにおいて)、スライスAをオファーしないセルを再選択し得る。
【0025】
この問題を克服するために、各ネットワークノード(例えば、gNB)は、定期的又はその他の方法で、再選択のためのセルランク付け基準を実行しながら、そのノードによってサポートされているスライスIDを、UEが考慮できる各スライスIDについてのスライスオフセット値と共に、ブロードキャストするべきである。加えて、セル上でキャンピングされるUEが、ネットワークによってサポートされないスライスへのアクセス拒否を受信した場合、そのUEは、スライスID及びスライスオフセット値を使用して、再選択をトリガすることができる。
【0026】
様々な例示的実施形態において、本開示は、企業及びパブリックユーザが、ネットワーク(すなわち、5Gネットワーク)によってサポートされるスライスに基づいてセルにアクセスできるようにする、方法及びシステムを説明する。プレミアムユーザが通常の近隣(n)セル及び低レイテンシセルにアクセスできる場合、UEは、これらのセルを区別せず、セルランク付け基準に基づいて再選択する。
【0027】
様々な例示的実施形態において、本開示は、プレミアムユーザがスライスAをオファーしないマクロセル上でキャンピングされるとき、UEのスライスAへのアクセス試行を拒否することを提供するために、方法及びシステムを説明する。次いでこれは、別のセルを再選択するため、及びスライスBへのアクセス試行を開始するための、UE実装に基づく。後続の再選択もスライスを考慮せず、UEはスライスAをオファーしないセルを再選択し得る。
【0028】
図1は、任意数のUEデバイス110にネットワーク105へのアクセスを提供する複数のセル121、122、123を含む、5G又は他のデータネットワーク100のグラフィック表示を示す。図1は簡略化のために1つのUEデバイス110のみを示しているが、実際には、本明細書で説明する概念は、任意の数のデバイス110及び/又はセル121~123、並びに、異なるスライスに帯域幅を割り当てるため、及び、必要に応じて他のタスクを実行するための、任意の種類のネットワークアーキテクチャを含む、環境100をサポートするために拡縮され得る。
【0029】
図1の例において、携帯電話又は他のユーザ機器(UE)デバイス110は、適切なアクセスセル121、122、123を介してネットワーク105に接続するように、好適に試行する。図示された例において、各セル121、122、123は、そのセルから使用可能な帯域幅の様々なスライス(スライスA、スライスB)を識別する、識別情報131、132、133(それぞれ)を維持する。様々な実施形態において、情報131~133は、追加として、適切なセル131~133の選択及びそれらへの接続に使用可能なオフセット値又は他の情報を、必要に応じて含む。
【0030】
図1に示されるように、セル121はスライスBへのアクセスを提供し、セル122はスライスA及びBへのアクセスを提供し、セル123はスライスBへのアクセスを提供する。ユーザデバイス110が接続するためにセル121~123の選択を試行する場合、下記でより詳細に説明するように、デバイスによって実行されるセル選択論理115は、異なるセルから使用可能な異なるスライスを考慮することができる。例示的実施形態において、セル選択論理115は、デバイス110のプロセッサによる実行のために、デバイス110のメモリ、ハードドライブ、又は他の非一時的ストレージに記憶された、コンピュータ実行可能命令を用いて実装される。
【0031】
デバイス110のユーザが上記の例のように好ましいスライスAを使用することが認可されている場合、理想的には使用可能なセル121~123のうちのセル122がプレミアムサービスを提供する唯一のセルであるため、デバイス110は、このセルを選択すべきである。前述のように、より従来型の現行の実装は、使用可能なセルの間で選択する際に、受信した信号強度などを単純に考慮する。スライス可能性データ131~133をブロードキャストすることによって、ユーザデバイス110のセル選択論理115は、使用可能であるときにより良好なサービスを提供する可能性が高い、より情報に通じた選択を行うことができる。
【0032】
図2は、一実施形態に従った、UEによって実行されるスライスアクセスのためのセル再選択の例示的フローチャート200である。図2において、UEは210において、セルA上にアイドルモードでキャンピングされる。次に、220において、UEは、セルA(すなわち、UEが位置する現在のセル)からのブロードキャストされたシステム情報を読み出し、セルAによってサポートされるスライスID及び近隣(n)セルについてのスライスオフセット値を受け取る。230において、UEは、近隣セル上で測定を実行し、サポートされるスライスのスライスオフセットを使用してセル再選択方程式を計算する。すなわち、UEは、UEに提供されるスライスA、B、などの測定レポートを作成する。240において、トップランクのnセル上で再選択がトリガされる。250において、UEは、nセルのランクに基づいて新しいセルBを再選択する。UEは、260において、スライスAとのPDUセッションを開始する。270において、コールBがスライスAをサポートしている場合、セッションは受け入れられる。280において、PDUセッションはアクティブである。
【0033】
図3は、一実施形態に従った、UEによって実行されるスライスアクセスについての障害事例の例示的フローチャート300である。図3で、UEは310においてアイドルモードでキャンピングされる。320において、UEはスライスAとのPDUセッションを開始する。330において、gnB/セルがスライスAをサポートしていないため、UEは拒否(スライスアクセス)を受け取る。340において、UEは近隣セルの測定再選択をトリガする。350において、UEは近隣セルの測定に基づいてセルランク付けを実行する。360において、UEは、スライスAをサポートするセルを再選択し、確認されれば次に370において、UEはスライスAとのPDUセッションを開始する。確認されない場合、次に380においてUEは、セル再選択基準に基づいて別のセルを再選択する。これは、スライスAをサポートするセルが見つかるまで、又はセルリスト内のすべてのセルが使い尽くされるまで続く。
【0034】
図4は、一実施形態に従った、UEによる、セルにおけるスライスのための登録プロセスである。ステップ1において、UE410はネットワークに登録要求を送信する。UE410は、認証アクセスのためのネットワークスライスに対応する近隣セルのリストを含む。ステップ2において、UE410及びネットワーク420は、特定の認証手順を使用してUE410の認証を完了する。認証を受け取った後、Access and Mobility Management Function(AMF)430は、使用可能なサブスクリプション情報に基づいて、AMF形式のUE410についての許可されたスライスIDのリストを有することになる。ステップ3において、認証手順の終わりに、AMF430は登録受理メッセージをUE410に送信する。受け取ったサブスクリプション情報に基づいて、メッセージは、スライス特定認証440を要求するものを除いて、すべての許可されたスライスアクセスを含むことになる。ステップ4において、UE410は、認証の正常な完了を示す登録受理メッセージを送信する。UE410がサブスクリプション情報に基づいて、登録要求内のネットワークスライス特定認証及び認可手順440についてのそのサポートを示した場合、AMF430は、スライス特定認証440を要求するすべてのスライスについて、スライス特定認証を開始する。ステップ6において、スライス認可のための複数交換であって、AMF430は、提示されるスライスに対する認証要求の成功を記録し、成功をUE410に転送する。AMF440は、UEがこれらのスライスにアクセスするためにスライス特定認証が必要であるというサブスクリプション指示が存在する、すべてのネットワークスライスについて、スライス特定認証を完了する。加えて、スライス特定認証の結果に依存して、使用可能なスライスについて、スライス特定認証が完了すると、AMF430は、許可されたスライスの新しいリストを送達するためにUE構成更新手順をトリガし得るような、様々な実装を更に含むことができる。
【0035】
図5は、一実施形態に従った、UE及びネットワーク構成500の例示的な図である。UE510は、ブロードキャストシステム情報を登録及び受信するための様々な論理ソリューション機能を実行するため、セルの選択及び再選択を実行するPDUセッションを開始するため、近隣セルをランク付けするため、UEの動作の異なるモードを構成するためなどの、プロセッサ515を含む。UE510は、セル再選択モジュール525、入力/出力インターフェース505、測定レポート、近隣セルのランク付けデータを記憶するためのメモリ530、及び、様々なソリューションによって、近隣セルについての距離及び他の基準を計算するための、(セル再選択モジュール525内の)測定モジュール535などを含み得る。ネットワーク540は、基地局575、スライスアクセスのためにUEを登録するためのプロセッサ545、セルIDモジュール555、スライスID、近隣セルのためのスライスオフセット値、及び他のシステム情報をブロードキャストするためのブロードキャストモジュール560、UEを認証するための認証モジュール550、ネットワークスライス570などを含み得る。UE510はネットワークと通信し、UEがアイドルモードでキャンピングされるセルにおいて、ブロードキャストされたシステム情報を読み出す。例えば、UEがセルAにおいてキャンピングされる場合、UEは、トランシーバ520を介してセルAの近隣セルについてのスライスID及びスライスオフセット値を受け取り、測定を実行するため、及び、セル再選択プロセスが近隣セルのランクに基づいている次のセルを選択するためにセル再選択モジュール525のセル再選択方程式を使用して(例えば、セル再選択論理又はプロセスを使用して)計算するために、プロセッサ515を介して情報を処理する。
【0036】
前述のように、データネットワーキングシステムは、いくつかのデータ処理構成要素を含み、その各々が特許可能である、及び/又は、特許可能な態様を有する、及び/又は、特許可能な自動化プロセスを実行することが可能な処理ハードウェアを有する。本願は、いかなる方法によっても、いずれの特許請求の範囲又は本発明の範囲も限定することは意図しておらず、本明細書で説明するシステムの様々な構成要素及び態様は、他の態様とは別に実装され得る。
図1
図2
図3
図4
図5