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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】演出出力玩具および演出出力玩具セット
(51)【国際特許分類】
   A63H 15/00 20060101AFI20240813BHJP
   A63H 5/00 20060101ALI20240813BHJP
   A63H 33/26 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A63H15/00 A
A63H5/00 A
A63H33/26 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023008994
(22)【出願日】2023-01-24
(62)【分割の表示】P 2019212793の分割
【原出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2023033632
(43)【公開日】2023-03-10
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】山田 千明
(72)【発明者】
【氏名】井口 充弘
(72)【発明者】
【氏名】隅田 将之
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-158240(JP,A)
【文献】特開2018-019994(JP,A)
【文献】特開2010-183991(JP,A)
【文献】特開2009-279144(JP,A)
【文献】実開平03-036693(JP,U)
【文献】アイドルタイムハープ,タカラトミーアーツ[online],2017年10月05日,https://www.takaratomy-arts.co.jp/specials/pripara-game/ipp_goods/harp.html,[2022年08月03日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出出力玩具であって、
キャラクターの顔部を模した物品を装着可能な装着部と、
前記装着部に装着された前記物品を認識可能な認識部と、
押圧変位可能であり、前記キャラクターの手部を模した操作部と、
前記操作部への押圧を認識可能な第2の認識部と、
前記物品が前記認識部で認識されたときに前記物品に応じた演出を出力可能な出力部とを備え、
前記認識部による前記物品の認識は、前記物品の種類を識別可能な認識であり、
前記物品の種類が前記認識部で認識され、かつ、前記操作部の押圧が前記第2の認識部で認識されたとき、前記認識された前記物品の種類に応じた演出が前記出力部から出力され、
前記装着部への前記物品の装着は、前記認識部が前記物品を認識できない第1状態と、前記認識部が前記物品を認識できる第2状態とを含み、
前記装着部に装着された前記物品は、前記第1状態から前記第2状態への変位と、前記第2状態から前記第1状態への変位とが可能であり、
前記装着部に装着された前記物品の前記第1状態から前記第2状態への変位は、前記物品に対する加圧に基づく変位であり、
前記装着部に装着された前記物品の前記第2状態から前記第1状態への変位は、前記加圧の解除に基づく変位である、
演出出力玩具。
【請求項2】
前記認識部は、前記第2状態が所定時間以上維持されたときに前記物品を認識するように構成されている、
請求項1記載の演出出力玩具。
【請求項3】
前記出力部は、音出力部を少なくとも含み、
前記演出は、少なくとも音出力による演出である、
請求項1~2のいずれか1項に記載の演出出力玩具。
【請求項4】
前記第2の認識部は、認識可状態が所定時間以上維持されたときに前記物品を認識するように構成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の演出出力玩具。
【請求項5】
前記物品が前記認識部で認識されず、かつ、前記操作部の押圧が認識されたときに前記出力部から出力される前記演出は、前記演出と異なる演出である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の演出出力玩具。
【請求項6】
前記装着部に装着された前記物品は、前記第1状態から前記第2状態への変位と、前記第2状態から前記第1状態への変位とを可能としており、
前記操作部は、当該操作部の押圧変位に基づき、前記装着部に装着された前記物品を前記第1状態から前記第2状態に変位可能に構成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の演出出力玩具。
【請求項7】
前記操作部は、当該操作部の押圧変位に基づき、前記第1状態にある前記物品を加圧して前記第2状態に変位可能な接触部位を含む、
請求項6に記載の演出出力玩具。
【請求項8】
前記操作部は、被押圧箇所に前記物品よりも柔らかい軟質部を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の演出出力玩具。
【請求項9】
前記演出出力玩具の揺動を検知可能な検知部を、さらに備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の演出出力玩具。
【請求項10】
前記演出出力玩具は、本体部と、把持部と、棒状部とを連続して含み、
前記装着部は、前記本体部に設けられている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の演出出力玩具。
【請求項11】
前記操作部は、前記装着部に隣接した位置に設けられている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の演出出力玩具。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の前記演出出力玩具と、請求項1~11のいずれか1項に記載の前記物品とを含む
演出出力玩具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音等による演出を出力可能な演出出力玩具と、当該演出出力玩具を含む演出出力玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
後記特許文献1には、赤外線発光ダイオードを備えた一方の装飾具と、赤外線検知センサと音声発生回路とを備えた他方の装飾具と、から構成された組合せ玩具が開示されている。この組合せ玩具は、一方の装飾具を腕部に取り付け、他方の装飾具を頭部に取り付けて使用されるものであって、腕部を動かして一方の装飾具の赤外線発光ダイオードからの赤外線が他方の装飾具の赤外線検知センサで検知されたときに、音声発生回路から音声を発生させるものである。
【0003】
しかしながら、他方の装飾具の赤外線検知センサは検知可能な赤外線入射方向が限られているため、腕部を動かして所期の音声を発生させることは極めて難しく、とりわけ、前掲の組合せ玩具の対象年齢が低い場合には音声を発生させる動作が困難故に飽きられてしまう懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平06-039096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な動作で所期の演出を出力できる演出出力玩具と、当該演出出力玩具を含む演出出力玩具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る演出出力玩具は、物品を装着可能な装着部と、装着部に装着された物品を認識可能な認識部と、物品が認識部で認識されたときに物品に応じた演出を出力可能な出力部とを備え、装着部への物品の装着は、認識部が物品を認識できない第1状態と、認識部が物品を認識できる第2状態とを含む。また、本発明に係る演出出力玩具は、キャラクターの顔部を模した物品を装着可能な装着部と、前記装着部に装着された前記物品を認識可能な認識部と、押圧変位可能であり、前記キャラクターの手部を模した操作部と、前記操作部への押圧を認識可能な第2の認識部と、前記物品が前記認識部で認識されたときに前記物品に応じた演出を出力可能な出力部とを備え、前記認識部による前記物品の認識は、前記物品の種類を識別可能な認識であり、前記物品の種類が前記認識部で認識され、かつ、前記操作部の押圧が前記第2の認識部で認識されたとき、前記認識された前記物品の種類に応じた演出が前記出力部から出力される。また、発明に係る演出出力玩具は、演出出力玩具であって、キャラクターの顔部を模した物品を装着可能な装着部と、前記装着部に装着された前記物品を認識可能な認識部と、押圧変位可能であり、前記キャラクターの手部を模した操作部と、前記操作部への押圧を認識可能な第2の認識部と、前記物品が前記認識部で認識されたときに前記物品に応じた演出を出力可能な出力部とを備え、前記認識部による前記物品の認識は、前記物品の種類を識別可能な認識であり、前記物品の種類が前記認識部で認識され、かつ、前記操作部の押圧が前記第2の認識部で認識されたとき、前記認識された前記物品の種類に応じた演出が前記出力部から出力され、前記装着部への前記物品の装着は、前記認識部が前記物品を認識できない第1状態と、前記認識部が前記物品を認識できる第2状態とを含み、前記装着部に装着された前記物品は、前記第1状態から前記第2状態への変位と、前記第2状態から前記第1状態への変位とが可能であり、前記装着部に装着された前記物品の前記第1状態から前記第2状態への変位は、前記物品に対する加圧に基づく変位であり、前記装着部に装着された前記物品の前記第2状態から前記第1状態への変位は、前記加圧の解除に基づく変位であることを特徴とする。また、本発明に係る演出出力玩具セットは、前掲の演出出力玩具と、前掲の物品とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る演出出力玩具および演出出力玩具セットによれば、簡単な動作で所期の演出を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(A)は本発明の一実施形態に係る演出出力玩具の前面図、図1(B)は図1(A)の側面図である。
図2図2(A)は図1(A)のS1-S1線断面図、図2(B)は図1(A)のS2-S2線断面図である。
図3図3図1に示した演出出力玩具の制御系の説明図である。
図4図4(A)は図1に示した演出出力玩具用の物品(一例)の前面図、図4(B)は同物品の後面図、図4(C)は同物品の側面図である。
図5図5(A)および図5(B)と図5(C)および図5(D)は図4に示した物品と種類が異なる物品(他の例)の前面図および後面図である。
図6図6(A)~図6(D)は図1に示した演出出力玩具への図4に示した物品の装着方法および認識方法の説明図である。
図7図7(A)は図1に示した演出出力玩具による演出出力(音)の流れを示す図、図7(B)は図1に示した演出出力玩具による演出出力(光)の流れを示す図である。
図8図8(A)および図8(B)は本発明の他の実施形態に係る演出出力玩具の部分前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、便宜上、図1(A)の手前側を前、奥側を後、左側を右、右側を左、上側を上、下側を下と表記し、他の図においてもこれと同様に向きを表記する。
【0010】
《一実施形態》
〈演出出力玩具の構成〉
まず、図1図3を用いて、本発明の一実施形態に係る演出出力玩具10の構成(制御系20を含む)を説明する。
【0011】
演出出力玩具10は、図1(A)および図1(B)に示したように、本体部11と、本体部11の下側に連続して設けられた把持部12と、本体部11の上側に連続して設けられた棒状部13とを有し、把持部12を手で握って持つことが可能なスティック状を成している。なお、全体がスティック状を成していれば、本体部11と把持部12と棒状部13の外形に特段の制限はない。
【0012】
本体部11の左右両側には本体部11と隣接した張出部11aが設けられ、本体部11の前側には装着部14が設けられ、各張出部11aの前側には操作部15が設けられ、棒状部13の上端部前面に透光部16が設けられている。なお、後述の物品AR1~AR3(図4および図5を参照)の装着が可能であれば、装着部14の外形に特段の制限はないが、その前面は好ましくは平らな面である。また、操作部15の押圧変位が可能であれば、操作部15と張出部11aの外形に特段の制限はなく、透光部16の外形にも特段の制限はない。
【0013】
また、棒状部13の上端部内には、単色発光ダイオードや多色発光ダイオード等から成る光出力部25b(図3を参照)が設けられている。さらに、棒状部13の上部内(光出力部25bよりも下側)には、非接触型や接触型等の周知の振動センサから成る検知部24が設けられている。検知部24は、把持部12を手で握って演出出力玩具10を振ったときの揺動を検知可能なものである。
【0014】
図示を省略したが、把持部12内には、蓄電池や充電池等の電源部が出し入れ可能に収容されている。また、本体部11の後面または把持部12の後面には、電源スイッチが設けられている。
【0015】
装着部14は、後述の物品AR1~AR3(図4および図5を参照)を装着可能な部位であり、図2(A)にも示したように、その前面には、非貫通の円柱穴から成る2個の支持部14aが左右に間隔をおいて設けられ、その下側には、貫通の円柱穴から成る3個の被差込部14bが前面視で三角形の各頂点に位置するように設けられている。
【0016】
また、装着部14の各被差込部14bの最深部には、タクタイルスイッチやプッシュスイッチ等の周知のスイッチから成る認識素子22a(計3個、図3を参照)が設けられている。なお、装着部14への物品AR1~AR3(図4および図5を参照)の装着方法および認識方法については後に詳述する。
【0017】
各操作部15は、後方への押圧変位が可能な部分であり、図2(B)にも示したように、その被押圧箇所に当たる前面には、触感が柔らかい合成ゴム等の軟質材から成る軟質部15aが設けられ、その後面には、円柱状の柱状部15bが設けられている。なお、後述の物品AR1~AR3(図4および図5を参照)がペンギン等の動物をモチーフとしたキャラクターの顔部を模したものであるため、軟質部15aは当該キャラクターの手部に模した共通の態様のものとなっている。
【0018】
また、各操作部15の柱状部15bは、図2(B)にも示したように、各張出部11aの非貫通の円柱穴11a1にコイルバネ等の弾性部材11a2を介して挿入されている。また、各張出部11aの円柱穴11a1の最深部には、タクタイルスイッチやプッシュスイッチ等の周知のスイッチから成る第2の認識素子23a(計2個、図3を参照)が設けられている。すなわち、各操作部15は、弾性部材11a2に抗した押圧変位(後方変位)を可能としており、各第2の認識素子23aによって各操作部15の押圧を認識できるようになっている。
【0019】
透光部16は、透明または半透明(乳白色や薄い彩色で色付けされたものを含む)であり、その後側に設けられた光出力部25b(図3を参照)からの光が透過して外部に放出される。
【0020】
演出出力玩具10の制御系20は、図3に示したように、マイクロコンピュータと各種ドライバ等を含む主制御部21と、前述の3個の認識素子22aを有する物品認識用の認識部22と、前述の2個の第2の認識素子23aを有する各操作部15の押圧認識用の第2の認識部23と、前述の検知部24と、スピーカ等の音出力部25aと前述の光出力部25bとを有する出力部25と、記憶部26とを有している。
【0021】
主制御部21のマイクロコンピュータを構成するROMには、図7に示した演出出力(音)と演出出力(光)を行うためのプログラムが格納されている。また、記憶部26には、音声や音楽や効果音等の音の出力による演出を行うための演出データと、連続発光や点滅発光等(多色発光の光出力部25bの場合は発光色も含む)の光の出力による演出を行うための演出データが記憶されている。
【0022】
〈物品の構成〉
次に、図4および図5を用いて、前述の演出出力玩具10の装着部14に装着可能な物品AR1~AR3の構成を説明する。ちなみに、図4は物品の一例を示し、図5図4に示した物品と種類が異なる他の例としての2つの物品を示す。
【0023】
図4(A)~図4(C)に示した物品AR1は、ペンギンをモチーフとしたキャラクターの顔部を模したものであって、前面には顔模様が設けられている(図4(A)を参照)。また、物品AR1の後面上側には、装着部14の2個の支持部14aに嵌め込み可能な2個の円柱状の被支持部AR1aが設けられ、その下側には、装着部14の3個の被差込部14bの1つに差し込み可能な1個の円柱状の差込部AR1bが設けられている。各被支持部AR1aの後端には、合成ゴム等の弾性材から成る環状の弾力部AR1a1が設けられられており、弾力部AR1a1の外形は、各支持部14aの内形よりも僅かに大きい。
【0024】
図5(A)および図5(B)に示した物品AR2は、ウサギをモチーフとしたキャラクターの顔部を模したものであって、前面に顔模様が設けられ、上端に1対の耳部が設けられている。また、物品AR2の後面上側には、物品AR1と同様の2個の被支持部AR2a(AR2a1は弾力部)が設けられ、その下側には、装着部14の3個の被差込部14bの2つに差し込み可能な2個の円柱状の差込部AR2bが設けられている。
【0025】
図5(C)および図5(D)に示した物品AR3は、トラをモチーフとしたキャラクターの顔部を模したものであって、前面に顔模様が設けられ、上端に1対の耳部が設けられている。また、物品AR3の後面上側には、物品AR1と同様の2個の被支持部AR3a(AR3a1は弾力部)が設けられ、その下側には、装着部14の3個の被差込部14bの3つに差し込み可能な3個の円柱状の差込部AR3bが設けられている。
【0026】
物品AR1、AR2およびAR3の差込部AR1b、AR2bおよびAR3bの数および位置は、各物品AR1、AR2およびAR3の種類を識別するために異なっている。すなわち、差込部が1個の場合はその位置を異ならせることによって3種類の物品の識別が可能であり、差込部が2個の場合はその位置を異ならせることによって3種類の物品の識別が可能であり、差込部が3個の場合は1種類の物品の識別が可能であるため、差込部の数および位置を変えることによって、最大で7種類の物品の種類を識別することが可能である。
【0027】
〈演出出力玩具の装着部への物品の装着方法および認識方法〉
次に、図6を用いて、前述の物品AR1~AR3の前述の演出出力玩具10の装着部14への装着方法および認識方法を、前述の物品AR1を例として説明する。
【0028】
物品AR1を装着部14に装着するときには、図6(A)に示したように物品AR1の後面を装着部14の前面に向き合わせ、そして、図6(B)に示したように物品AR1の2個の被支持部AR1aを装着部14の2個の支持部14aに嵌め込む。
【0029】
図6(B)に示した状態(図6(C)は図6(B)を前から見た図)では、物品AR1の1個の差込部AR1bが装着部14の3個の被差込部14bの1つに若干入り込むが(向き合っていれば必ずしも入り込む必要はない)、被差込部14bの最深部にある認識素子22a(認識部22が有する3個の認識素子22aの1つ)には触れていない。ちなみに、図6(B)に示した状態では、物品AR1の被支持部AR1aの弾力部AR1a1が装着部14の各支持部14aの内面に接触しているため、弾力部AR1a1を利用して物品AR1を時計回り方向に回転変位させることが可能である。
【0030】
図6(B)に示した状態で図6(D)に示したように物品AR1の前面、好ましくは前面下部を指先等で加圧すると、弾力部AR1a1を利用して物品AR1が図6(D)において時計回り方向に回転変位し、差込部AR1bによって被差込部14bの最深部にある認識素子22a(認識部22が有する3個の認識素子22aの1つ)に接触して認識素子22aが押圧を検知し、この検知に基づいて物品AR1が認識されるとともにその種類が識別される。
【0031】
図6(D)に示した状態(第2状態状態)で物品AR1への加圧を解除すると、弾力部AR1a1の弾性によって物品AR1が図6(B)に示した状態(第1状態)に自動的に復帰する。
【0032】
なお、物品AR1の2個の被支持部AR1aを装着部14の2個の支持部14aに嵌め込むとき(図6(A)および図6(B)を参照)の物品AR1の向き如何では、物品AR1の差込部AR1bが被差込部14bの最深部にある認識素子22aに触れてしまうこともあり得るため、物品AR1の認識は、前掲の第2状態が所定時間以上維持されたこと、例えば3~5秒維持されたことを条件として行うことが好ましい。
【0033】
すなわち、図6(B)に示した状態は、装着部14に物品AR1が装着されてはいるものの、認識部22が物品AR1を認識できない第1状態である。一方、図6(D)に示した状態は、装着部14に装着された物品AR1を認識できる第2状態である。つまり、装着部14への物品AR1の装着は、認識部22が物品AR1を認識できない第1状態と、認識部22が物品AR1を認識できる第2状態とが含まれる。
【0034】
前掲の装着方法および認識方法は、物品AR1に限らず、図5(A)および図5(B)に示した物品AR2と図5(C)および図5(D)に示した物品AR3でも同様に行われる他、これらと差込部の数および位置が異なる図示省略の他の物品でも同様に行われる。
【0035】
〈演出出力(音)の流れ〉
次に、図7(A)を用いて、前述の演出出力玩具10による演出出力(音)の流れを説明する。この説明では、便宜上、前述の物品AR1、AR2およびAR3等を包括して「物品AR」と表記する。
【0036】
演出出力玩具10の音による演出は、図3に示した認識部22の3個の認識素子22aによる物品ARの認識(物品ARの種類を含む)と、第2の認識部23の2個の第2の認識素子23aによる各操作部15の押圧の認識とに基づくものであるため、大別すると(X1)物品ARの認識のみのケース、(X2)物品ARの認識と各操作部15の押圧の認識の両方のケース、(X3)各操作部15の押圧の認識のみのケース、の3種類となる。
【0037】
すなわち、演出出力玩具10による演出出力(音)は、前掲のケースX1~X3のそれぞれで異なるため、まず、図7(A)のステップST101~ST103でこれが判別される。
【0038】
ケースX1と判別されたときは、認識された物品ARの種類に応じた演出データが記憶部26に記憶されている全演出データから選択され、選択された演出データに基づく音(音声や音楽や効果音等)による演出が出力部25の音出力部25aから出力される(図7(A)のステップST104およびST105を参照)。ちなみに、ケースX1においてステップST105で出力される演出は予め定められた時間を持つものであるため、時間が経過すると演出出力は停止する。
【0039】
ケースX2と判別されたときは、認識された物品ARの種類と、押圧が認識された操作部15の数(操作部15は2個あるため1個の場合と2個の場合とがある)との組み合わせに応じた演出データが記憶部26に記憶されている全演出データから選択され、選択された演出データに基づく音(音声や音楽や効果音等)による演出が出力部25の音出力部25aから出力される(図7(A)のステップST104およびST105を参照)。ちなみに、ケースX2においてステップST105で出力される演出(第2の演出)は、ケースX1においてステップST105で出力される演出と異なる。また、ケースX2においてステップST105で出力される演出は予め定められた時間を持つものであるため、時間が経過すると演出出力は停止する。
【0040】
ケースX3と判別されたときは、押圧が認識された操作部15の数(操作部15は2個あるため1個の場合と2個の場合とがある)に応じた演出データが記憶部26に記憶されている全演出データから選択され、選択された演出データに基づく音(音声や音楽や効果音等)による演出が出力部25の音出力部25aから出力される(図7(A)のステップST104およびST105を参照)。ちなみに、ケースX3においてステップST105で出力される演出(第3の演出)は、ケースX1およびX2においてステップST105で出力される演出と異なる。また、ケースX3においてステップST105で出力される演出は予め定められた時間を持つものであるため、時間が経過すると演出出力は停止する。
【0041】
なお、ケースX3は、演出出力玩具10の装着部14に物品ARが装着されていない場合の演出出力であるため、音による演出を物品ARに関連付ける場合には、演出出力の代わりに「物品を装着してください」等の音声を出力するようにしてもよい。
【0042】
〈演出出力(光)の流れ〉
次に、図7(B)を用いて、前述の演出出力玩具10による演出出力(光)の流れを説明する。この説明では、便宜上、前述の物品AR1、AR2およびAR3等を包括して「物品AR」と表記する。
【0043】
演出出力玩具10の光による演出は、図1および図3に示した検知部24による演出出力玩具10の揺動の検知(把持部12を手で握って演出出力玩具10を振ったときの揺動の検知)と、図3に示した認識部22の3個の認識素子22aによる物品ARの認識(物品ARの種類を含む)とに基づくものであるため、大別すると(Y1)演出出力玩具10の揺動の検知と物品ARの認識の両方のケース、(Y2)揺動の検知のみのケース、の2種類となる。
【0044】
すなわち、演出出力玩具10による演出出力(光)は、前掲のケースY1およびY2のそれぞれで異なるため、まず、図7(B)のステップST201およびST202でこれが判別される。
【0045】
ケースY1と判別されたときには、演出出力玩具10の揺動の検知と、認識された物品ARの種類との組み合わせに応じた演出データが記憶部26に記憶されている全演出データから選択され、選択された演出データに基づく光(連続発光や点滅発光等、多色発光の光出力部25bの場合は発光色も含む)による演出が光出力部25bから出力され、透光部16を通じて外部に放出される(図8(A)のステップST203およびST204を参照)。ちなみに、ケースY1においてステップST204で出力される演出は予め定められた時間を持つものであるため、時間が経過すると演出出力は停止する。
【0046】
ケースY2と判別されたときは、演出出力玩具10の揺動の検知に応じた演出データが記憶部26に記憶されている全演出データから選択され、選択された演出データに基づく光(連続発光や点滅発光等、多色発光の光出力部25bの場合は発光色も含む)による演出が光出力部25bから出力され、透光部16を通じて外部に放出される(図8(A)のステップST203およびST204を参照)。ちなみに、ケースY2においてステップST204で出力される演出は予め定められた時間を持つものであるため、時間が経過すると演出出力は停止する。
【0047】
なお、ケースY2は、演出出力玩具10の装着部14に物品ARが装着されていない場合の演出出力であるため、光による演出を物品ARに関連付ける場合には、演出出力の代わりに「物品を装着してください」等の音声を出力するようにしてもよい。
【0048】
〈主たる作用効果〉
次に、前述の演出出力玩具10によって得られる主たる作用効果を説明する。この説明では、便宜上、前述の物品AR1、AR2およびAR3等を包括して「物品AR」と表記する。
【0049】
演出出力玩具10に装着された物品ARの種類等によって多様な演出出力(音)が可能であり、演出出力(音)のための動作も簡単であるため、とりわけ、演出出力玩具10の対象年齢が低い場合でも飽きられてしまうことがないし、多様な演出出力(音)による興趣を使用者に供与することができる。
【0050】
また、演出出力玩具10に装着された物品ARの種類等によって多様な演出出力(光)が可能であり、演出出力(光)のための動作も簡単であるため、とりわけ、演出出力玩具10の対象年齢が低い場合でも飽きられてしまうことがないし、多様な演出出力(光)による興趣を使用者に供与することができる。
【0051】
特に、物品ARをキャラクターの一部を模した形態とし、物品ARを装着しただけでは物品ARの認識はされず、装着された物品ARへの加圧操作によりはじめて物品ARが認識される(つまり「装着」と「加圧」という二種類の異なる操作を行うことで、物品ARが認識される)構造としたことにより、使用者が所望とするときに物品AR(キャラクター)の認識をさせることができ、また、恰もキャラクターとの二段階の触れ合い(装着による触れ合い、及び加圧による触れ合い)によりキャラクターに応じた演出出力がなされるという興趣を使用者に供与することができる。
【0052】
《他の実施形態》
次に、図8を用いて、本発明の他の実施形態に係る演出出力玩具10-1および10-2の構成を、物品AR1を例として説明する。
【0053】
図8に示した演出出力玩具10-1および10-2は、装着部14に装着された第1状態の物品AR1の前面下部を、2個の操作部15-1および15-2を後方に押圧変位させたときに各々の接触部位15cおよび15dによって加圧できるようにして、第2状態に変位できるようにした点で、前述の演出出力玩具10と相違する。この相違は、物品AR1が物品AR2およびAR3の場合や図示省略の他の物品の場合でも同様である。
【0054】
図8(B)に示した各操作部15-1は、各操作部15-1を押圧変位させたときに物品Aの前面下部に接触してその下部を加圧可能は突起状の接触部位15cをその前端部に有している。各接触部位15cの突出量は、装着部14への物品AR1の装着の支障とならないように極力小さくことが好ましい。
【0055】
図8(B)に示した各操作部15-2は、各操作部15-2を押圧変位させたときに物品AR1の前面下部に接触してその下部を加圧可能な環状の接触部位15dをその前端部に有している。各接触部位15dの外形は、装着部14への物品AR1の装着の支障とならないように極力小さくことが好ましい。
【0056】
すなわち、図8に示した構成を採用すれば、2個の操作部15-1および15-2を後方に押圧変位させることによって、装着部14に装着された第1状態の物品AR1を第2状態に変位できるため、物品AR1の加圧を各操作部15-1および15-2の押圧によって行うことができる。すなわち、認識部22による物品ARの認識(物品ARの種類を含む)と、第2の認識部23による各操作部15-1および15-2の押圧の認識を同時に行うことができる。
【0057】
ただし、図8に示した構成の場合、装着部14に物品AR1が装着されているときに各操作部1515-1および15-2を単独で押圧変位させることができないため、演出出力玩具10-1および10-2の音による演出は前述のケースX1およびX2のみとなる。無論、装着部14に物品AR1が装着されていないときには前述のケースX3の音による演出は可能である。
【0058】
《変形例》
次に、前述の演出出力玩具10、10-1および10-2の変形例を説明する。この説明では、便宜上、前述の物品AR1、AR2およびAR3等を包括して「物品AR」と表記する。
【0059】
〈変形例1〉前述の演出出力玩具10、10-1および10-2では、装着部14に装着された物品ARを第1状態から第2状態に変位させるために物品ARの回転変位(図6(D)における時計回り方向の回転変位)を利用したものを例示したが、装着部14の被差込部14bを深くしその最深部にコイルバネ等の弾性部材を設けて、この弾性部材に抗して物品ARの直線変位(図6(B)における左方向の直線変位)させるようにしても、物品ARを第2状態から第1状態に変位させることによる物品ARの認識を行うことができる。
【0060】
〈変形例2〉前述の演出出力玩具10、10-1および10-2では、光による演出を行うために透光部16と検知部24と光出力部25bとを有するものを例示したが、光による演出が不要な場合にはこれらを排除してもよい。
【0061】
〈変形例3〉前述の演出出力玩具10、10-1および10-2では、各操作部15、15-1および15-2に第2の認識部23を構成する第2の認識素子23aを設けたものを例示したが、音による演出を前述のケースX1のみとする場合には第2の認識部23を排除してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10,10-1,10-2…演出出力玩具、11…本体部、11a…張出部、12…把持部、13…棒状部、14…装着部、14a…支持部、14b…被差込部、15,15-1,15-2…操作部、15a…軟質部、15c,15d…接触部位、16…透光部、20…制御系、21…主制御部、22…認識部、22a…認識素子、23…第2の認識部、23a…第2の認識素子、24…検知部、25…出力部、25a…音出力部、25b…光出力部、AR1,AR2,AR3…物品、AR1a,AR2a,AR3a…被支持部、AR1b,AR2b,AR3b…差込部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8