(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ガス検出システム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20240813BHJP
G01N 1/02 20060101ALI20240813BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20240813BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240813BHJP
G01N 27/12 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G01N1/00 101T
G01N1/02 W
G01N33/497 D
E03D9/00 Z
G01N27/12 A
(21)【出願番号】P 2023013903
(22)【出願日】2023-02-01
(62)【分割の表示】P 2021516108の分割
【原出願日】2020-04-20
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2019083066
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真一
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-139421(JP,A)
【文献】特開2009-229442(JP,A)
【文献】特開2017-067538(JP,A)
【文献】特開平08-122330(JP,A)
【文献】特表2007-518076(JP,A)
【文献】国際公開第2019/022081(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
G01N 27/12
G01N 33/497
E03D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定ガスの濃度に応じた電圧を出力する第1センサ部と、
前記第1センサ部に供給されるサンプルガス及びパージガスの流量を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記サンプルガスを前記第1センサ部に供給する際、前記第1センサ部への前記サンプルガスの供給を開始してから第1時間経過後、前記サンプルガスの流量が前記サンプルガスの供給開始時の流量よりも小さくなるように制御する、ガス検出システム。
【請求項2】
請求項
1に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記サンプルガスをチャンバに貯留し、前記チャンバに貯留した前記サンプルガスを前記第1センサ部に供給する、ガス検出システム。
【請求項3】
請求項
2に記載のガス検出システムであって、
被検者が便座に座ったことを検出可能な第2センサ部をさらに有し、
前記制御部は、前記第2センサ部が、前記被検者が前記便座に座ったことを検出してから所定時間が経過した後に、前記サンプルガスを前記チャンバに貯留する、ガス検出システム。
【請求項4】
請求項1から
3までの何れか一項に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記パージガスを前記第1センサ部に供給する際、前記第1センサ部への前記パージガスの供給を開始してから第2時間経過後、前記パージガスの流量が、前記パージガスの供給開始時の流量以下になるように制御する、ガス検出システム。
【請求項5】
請求項1から
3までの何れか一項に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記パージガスを前記第1センサ部に供給する際、前記第1センサ部への前記パージガスの供給を開始してから第2時間経過後、前記パージガスの前記第1センサ部への供給を停止させる、ガス検出システム。
【請求項6】
請求項
4又は
5に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記サンプルガスと前記パージガスとを、交互に前記第1センサ部に供給する、ガス検出システム。
【請求項7】
請求項1から
6までの何れか一項に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記第1センサ部に供給するパージガスの流量が、前記第1センサ部に供給するサンプルガスの流量よりも、大きくなるように制御する、ガス検出システム。
【請求項8】
請求項1から
7までの何れか一項に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記第1時間よりも長い第3時間経過後前記第1センサ部へのパージガスの供給を開始する、ガス検出システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年4月24日に日本国に特許出願された特願2019-083066の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガス検出システムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、被検者が排出した便から発生する臭気性ガスを検出するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の一実施形態に係るガス検出システムは、
特定ガスの濃度に応じた電圧を出力する第1センサ部と、
前記第1センサ部に供給されるサンプルガス及びパージガスの流量を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記サンプルガスを前記第1センサ部に供給する際、前記第1センサ部への前記サンプルガスの供給を開始してから第1時間経過後、前記サンプルガスの流量が前記サンプルガスの供給開始時の流量よりも小さくなるように制御する。
【0006】
本開示の一実施形態に係るガス検出システムは、
特定ガスの濃度に応じた電圧を出力する第1センサ部と、
前記第1センサ部に供給されるサンプルガス及びパージガスの流量を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記サンプルガスを前記第1センサ部に供給する際、前記第1センサ部への前記サンプルガスの供給を開始してから第1時間経過後、前記サンプルガスの前記第1センサ部への供給を停止させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係るガス検出システムの外観図である。
【
図2】
図1に示すガス検出システムが備える筐体内の概略図である。
【
図3】
図1に示すガス検出システムの機能ブロック図である。
【
図4】
図2に示す一部構成におけるガスの流れを示す説明図である(その1)。
【
図5】
図2に示す一部構成におけるガスの流れを示す説明図である(その2)。
【
図6】
図2に示す一部構成におけるガスの流れを示す説明図である(その3)。
【
図7】
図2に示す一部構成におけるガスの流れを示す説明図である(その4)。
【
図8】
図2に示す一部構成におけるガスの流れを示す説明図である(その5)。
【
図9】
図1に示すガス検出システムの動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図1に示すガス検出システムのパージガス供給時の動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図1に示すガス検出システムのサンプルガス供給時の動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図2に示す第2チャンバの他の例を示す図である。
【
図13】
図2に示す一部構成の他の例1を示す図である。
【
図14】
図2に示す一部構成の他の例2を示す図である。
【
図15】
図2に示す一部構成の他の例3を示す図である。
【
図16】
図2に示す一部構成の他の例4を示す図である。
【
図17】
図2に示す一部構成の他の例5を示す図である。
【
図18】本開示の他の実施形態に係るガス検出システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来のシステムには、改善の余地がある。
【0009】
本開示は、改善された、ガス検出システムを提供することに関する。
【0010】
本開示の一実施形態によれば、改善された、ガス検出システムが提供され得る。
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について、模式的に示した図面を参照して説明する。
【0012】
[ガス検出システムの構成例]
図1に示すように、ガス検出システム1は、便器2に設置されている。便器2は、限定ではないが、水洗便器であってよい。ガス検出システム1は、便器2の任意の箇所に設置されていてよい。便器2は、便器ボウル2Aと、便座2Bとを備える。一例として、ガス検出システム1は、
図1に示すように、便器ボウル2Aと便座2Bとの間から便器2の外部にわたって配置されていてよい。ガス検出システム1の一部は、便座2Bの内部に埋め込まれていてよい。便器2の便器ボウル2Aには、被検者の便が排出され得る。ガス検出システム1は、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスを、サンプルガスとして取得し得る。ガス検出システム1は、サンプルガスに含まれるガスの種類及びガスの濃度等を検出し得る。ガス検出システム1は、検出結果等を電子機器3に送信し得る。
図1に示すようなガス検出システム1は、「ガス検出装置」ともいう。
【0013】
ガス検出システム1の用途は、上述の用途に限定されない。例えば、ガス検出システム1は、冷蔵庫に設置されていてよい。この場合、ガス検出システム1は、食品から発生するガスをサンプルガスとして取得し得る。その他の用途としては、例えば、ガス検出システム1は、工場又は実験室に設置されていてよい。この場合、ガス検出システム1は、薬品等から発生するガスをサンプルガスとして取得し得る。
【0014】
便器2は、住宅又は病院等のトイレ室に設置され得る。便器2は、被検者によって使用され得る。便器2は、上述のように、便器ボウル2Aと、便座2Bとを備える。便器ボウル2Aには、被検者の便が排出され得る。
【0015】
電子機器3は、例えば、被検者が利用するスマートフォンである。ただし、電子機器3は、スマートフォンに限定されず、任意の電子機器であってよい。電子機器3は、被検者によってトイレ室に持ち込まれる場合、
図1に示すようにトイレ室の内部に存在し得る。ただし、電子機器3は、例えば被検者がトイレ室に電子機器3を持ち込まない場合、トイレ室の外部に存在してよい。電子機器3は、ガス検出システム1から検出結果を、無線通信又は有線通信によって、受信し得る。電子機器3は、受信した検出結果を、表示部3Aに表示し得る。表示部3Aは、文字等を表示可能なディスプレイと、ユーザ(被検者)の指等の接触を検出可能なタッチスクリーンとを含んで構成されていてよい。当該ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro‐Luminescence Display)又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro‐Luminescence Display)等の表示デバイスを含んで構成されていてよい。当該タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、超音波方式、赤外線方式、電磁誘導方式又は荷重検出方式等の任意の方式でよい。
【0016】
図2に示すように、ガス検出システム1は、筐体10と、吸引孔20と、吸引孔21と、排出路22と、流路23A,23B,23C,24A,24B,24C,25A,25B,25C,25D,25E,25Fとを備える。ガス検出システム1は、第1チャンバ30と、第2チャンバ32と、第3チャンバ33と、第4チャンバ35と、第5チャンバ37と、弁40,41,42,43,44,45と、供給部50,51,52とを備える。ガス検出システム1は、第3チャンバ33内に、複数のセンサ部34を有する。
図3に示すように、ガス検出システム1は、回路基板60を備える。ガス検出システム1は、回路基板60内に、記憶部61と、通信部62と、制御部64とを備える。ガス検出システム1は、センサ部63を備える。さらに、ガス検出システム1は、バッテリ及びスピーカ等を備えてよい。
【0017】
筐体10には、ガス検出システム1の各種部品が収容されている。筐体10は、任意の材料で構成されていてよい。例えば、筐体10は、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
【0018】
吸引孔20は、
図1に示すように、便器ボウル2Aの内側へ露出し得る。吸引孔20の一部は、便座2Bに埋め込まれていてよい。吸引孔20は、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスを、サンプルガスとして吸引する。吸引孔20が吸引したサンプルガスは、第1チャンバ30に供給されて貯留される。
図1に示すように、吸引孔20の一端は、便器ボウル2Aの内部に向けられてよい。
図2に示すように、吸引孔20の他端は、第1チャンバ30に接続されていてよい。吸引孔20は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0019】
吸引孔20は、
図2に示すように、その外側に、送風機20Aを有してよい。送風機20Aは、ファン及びモータを含んで構成されていてよい。送風機20Aは、制御部64の制御に基づいて、モータを駆動させることにより、ファンを回転させ得る。送風機20Aは、ファンを回転させることにより、便から発生するガスを、吸引孔20の近傍へ引き込む。送風機20Aが便から発生するガスを吸引孔20の近傍へ引き込み、さらに供給部50が駆動することにより、吸引孔20は、便器ボウル2A内の便から発生するガスを吸引し得る。
【0020】
吸引孔21は、
図1に示すように、便器ボウル2Aの外側へ露出し得る。吸引孔21の一部は、便座2Bに埋め込まれていてよい。吸引孔21は、例えば、便器ボウル2Aの外側にあるトイレ室の空気(環境ガス)を、パージガスとして吸引する。吸引孔21が吸引したパージガスは、流路24A,24Cを介して、第4チャンバ35に供給されて貯留される。また、吸引孔21が吸引したパージガスは、流路23A,23Bを介して、第1チャンバ30に供給される。
図1に示すように、吸引孔21の一端は、便器2の外側に向けられてよい。
図2に示すように、吸引孔21の他端は、流路23Aの一端及び流路24Aの一端に接続されていてよい。吸引孔21は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0021】
吸引孔21は、
図2に示すように、その外側に、送風機21Aを有してよい。送風機21Aは、ファン及びモータを含んで構成されていてよい。送風機21Aは、制御部64の制御に基づいて、モータを駆動させることにより、ファンを回転させ得る。送風機21Aは、ファンを回転させることにより、トイレ室内の空気を吸引孔21の近傍へ引き込む。送風機21Aがトイレ室内の空気を吸引孔21の近傍へ引き込み、さらに供給部51及び供給部52の何れかが駆動することにより、吸引孔21は、トイレ室内の空気をパージガスとして吸引し得る。
【0022】
図2に示すような排出路22は、第1チャンバ30からの排気を、流路25Aを介して外部に排出する。排出路22は、第2チャンバ32からの排気を、流路25B,25Fを介して、外部に排出する。排出路22は、第3チャンバ33からの排気を、流路25E,25Fを介して、外部に排出する。排出路22は、第4チャンバ35からの排気を、流路25D,25E,25Fを介して、外部に排出する。排出路22の一端は、
図1に示すように、便座2Bから露出する。排出路22の他端は、
図2に示すように流路25Aの一端及び流路25Fの一端に接続されている。排出路22は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0023】
図2に示すように、流路23Aの一端は、吸引孔21及び流路24Aの一端に接続されている。流路23Aの他端は、流路23Bの一端及び流路23Cの一端に接続されている。流路23Bの一端は、流路23Aの一端及び流路23Cの一端に接続されている。流路23Bの他端は、弁40の接続口に接続されている。流路23Cの一端は、流路23Aの一端及び流路23Bの一端に接続されている。流路23Cの他端は、弁41の接続口に接続されている。流路23A~23Cは、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0024】
図2に示すように、流路24Aの一端は、吸引孔21及び流路23Aの一端に接続されている。流路24Aの他端は、流路24Bの一端及び流路24Cの一端に接続されている。流路24Bの一端は、流路24Aの一端及び流路24Cの一端に接続されている。流路24Bの他端は、弁45の接続口に接続されている。流路24Cの一端は、流路24Aの一端及び流路24Bの一端に接続されている。流路24Cの他端は、弁44の接続口に接続されている。流路24A~24Cは、樹脂製チューブ或いは金属又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0025】
図2に示すように、流路25Aの一端は、弁41の接続口に接続されている。流路25Aの他端は、排出路22及び流路25Fの一端に接続されている。流路25Bの一端は、弁42の接続口に接続されている。流路25Bの他端は、流路25Eの一端及び流路25Fの一端に接続されている。流路25Cの一端は、弁43の接続口に接続されている。流路25Cの他端は、流路25Dの一端及び流路25Eの一端に接続されている。流路25Dの一端は、弁45の接続口に接続されている。流路25Dの他端は、流路25Cの一端及び流路25Eの一端に接続されている。流路25Eの一端は、流路25Cの一端及び流路25Dの一端に接続されている。流路25Eの他端は、流路25Bの一端及び流路25Fの一端に接続されている。流路25Fの一端は、流路25Bの一端及び流路25Eの一端に接続されている。流路25Fの他端は、流路25Aの一端及び排出路22に接続されている。流路25A~25Fは、樹脂製チューブ或いは金属又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0026】
図2に示すような第1チャンバ30は、筒状であってよい。第1チャンバ30は、直線状であってよい。第1チャンバ30は、その両端に、入口30a及び出口30bを含む。第1チャンバ30は、ガラス、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
【0027】
図2に示すような第1チャンバ30には、吸引孔20から、サンプルガスが供給される(
図4参照)。第1チャンバ30は、供給されたサンプルガスを貯留可能である。第1チャンバ30に供給されたサンプルガスは、第2チャンバ32に供給され得る(
図5参照)。
【0028】
第1チャンバ30の内部には、吸着剤31が配されていてよい。吸着剤31は、用途に応じた任意の材料を各々含んでよい。吸着剤31は、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト及びモレキュラーシーブの少なくとも何れかが含まれてよい。吸着剤31は、複数種類のものであってよいし、多孔質材料を含んでよい。
【0029】
吸着剤31は、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスを吸着するものであってよい。サンプルガスが便から発生するガスである場合には、検出対象外の特定ガスの一例として、アンモニア及び水等が挙げられる。検出対象外のガスを吸着する吸着剤31の例としては、シリカゲル及びゼオライト等が挙げられる。また、第1チャンバ30において、サンプルガスの濃縮が行われてよい。この場合、吸着剤31は、サンプルガスに含まれる検出対象のガスを吸着するであってよい。サンプルガスが便から発生するガスである場合には、検出対象の特定ガスの一例として、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミン等が挙げられる。検出対象のガスを吸着する吸着剤31の例としては、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更されてよい。
【0030】
図2に示すように、第2チャンバ32は、第1チャンバ30と、第3チャンバ33との間に、位置する。換言すると、第2チャンバ32は、第1チャンバ30と、センサ部34との間に、位置する。第2チャンバ32は、筒状であってよい。第2チャンバ32は、直線状であってよい。第2チャンバ32は、その両端に、入口32a及び出口32bを含む。第1チャンバ30のガス流れ方向に直交する断面において、第2チャンバ32の面積は、第1チャンバ30の面積よりも小さい。本開示において「第1チャンバ30のガス流れ方向」とは、第1チャンバ30から第2チャンバ32にガスが流れる方向を意味する。例えば、第1チャンバ30のガス流れ方向は、
図5に示すように、サンプルガスが、第1チャンバ30から第2チャンバ32に向けて流れる方向であってよい。また、本開示において、「チャンバの面積」とは、当該チャンバ自体の面積ではなく、当該チャンバのガスを収容する部分の面積を意味する。第1チャンバ30及び第2チャンバ32の双方が筒状である場合、第2チャンバ32の断面積は、第1チャンバ30の断面積よりも、小さくてよい。第2チャンバ32は、ガラス、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
【0031】
第2チャンバ32には、第1チャンバ30からサンプルガスが供給された後、流路23Cからパージガスが供給される。流路23Cから第2チャンバ32に供給されたパージガスは、第2チャンバ32内のサンプルガスを第3チャンバ33へ押し出す(
図7参照)。このような構成によって、第2チャンバ32内のサンプルガスが、第3チャンバ33に供給されてセンサ部34に供給される。
【0032】
第2チャンバ32の容積は、第1チャンバ30の容積以下であり、且つ、センサ部34が配置されている第3チャンバ33の容積よりも大きくてよい。第2チャンバ32の容積が第1チャンバ30の容積以下となることで、第1チャンバ30内においてサンプルガスがパージガスにより希釈される程度が低減され得る。また、第2チャンバ32の容積が第3チャンバ33の容積よりも大きいことで、第2チャンバ32内のサンプルガスを第3チャンバ33に少なくとも1回又は複数回供給することができる。
【0033】
図2に示すように、第3チャンバ33は、第2チャンバ32と流路25Cとの間に位置する。第3チャンバ33は、筒状である。第3チャンバ33は、直線状であってよい。第3チャンバ33は、その両端に、入口33a及び出口33bを含む。第3チャンバ33には、センサ部34が配置される。第3チャンバ33は、ガラス、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
【0034】
第3チャンバ33には、第5チャンバ37からパージガスが供給される(
図6参照)。第3チャンバ33には、第2チャンバ32からサンプルガスが供給される(
図7参照)。第3チャンバ33に供給されたパージガス及びサンプルガスは、センサ部34に供給された後、流路25Cから排出路22を介して外部に排出される。
【0035】
図2に示すようなセンサ部34は、第3チャンバ33内に配置されている。センサ部34は、特定ガスの濃度に応じた電圧を制御部64に出力する。特定ガスには、検出対象の特定ガスと、検出対象外の特定ガスとが含まれる。サンプルガスが便から発生するガスである場合には、検出対象の特定ガスの一例として、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミン等が挙げられる。また、サンプルガスが便から発生するガスである場合には、検出対象外の特定ガスの一例として、アンモニア及び水等が挙げられる。複数のセンサ部34の各々は、これらのガスの少なくとも何れかの濃度に応じた電圧を、制御部64に出力し得る。センサ部34は、半導体式センサ、接触燃焼式センサ又は電気化学式センサ等の何れかを含んで構成されていてよい。
【0036】
図2に示すような第4チャンバ35は、筒状である。第4チャンバ35は、直線状であってよい。第4チャンバ35は、その両端に、入口35a及び出口35bを含む。第4チャンバ35は、ガラス、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
【0037】
第4チャンバ35には、流路24Cを介して、パージガスが供給される。第4チャンバ35は、供給されたパージガスを貯留可能である。第4チャンバ35に供給されたパージガスは、第5チャンバ37に供給され得る。
【0038】
第4チャンバ35の内部には、吸着剤36が配されてよい。吸着剤36は、用途に応じた任意の材料を含んでよい。吸着剤36は、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト及びモレキュラーシーブの少なくとも何れかを含んでよい。吸着剤36は、複数種類のものであってよいし、多孔質材料を含んでよい。
【0039】
吸着剤36は、パージガスに混入した検出対象外のガスを吸着するものを含んでよい。検出対象外のガスを吸着する吸着剤36の例としては、シリカゲル及びゼオライト等が挙げられる。また、吸着剤36は、パージガスに混入した検出対象のガスを吸着するものを含んでよい。検出対象のガスを吸着する吸着剤36の例としては、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更させてよい。ここで、トイレ室内の空気が汚染されていることにより、パージガスに、検出対象外のガス及び検出対象のガスが混入する場合がある。この場合、第4チャンバ35に吸着剤36を配することにより、トイレ室内の汚染された空気を吸着剤36により精製することができる。吸着剤36によりトイレ室内の空気を精製することにより、十分な量のパージガスを第4チャンバ35に確保することができる。
【0040】
図2に示すように、第5チャンバ37は、第3チャンバ33と、第4チャンバ35との間に、位置する。第5チャンバ37は、筒状である。第5チャンバ37は、直線状であってよい。第5チャンバ37は、その両端に入口37a及び出口32bを含む。第5チャンバ37は、ガラス、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
【0041】
図2に示すように、弁40は、吸引孔20と、流路23Bと、第1チャンバ30の入口30aとの間に、位置する。弁40は、吸引孔20に接続される接続口と、流路23Bに接続される接続口と、入口30aに接続される接続口とを含む。弁40は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0042】
弁40は、制御部64の制御に基づいて、吸引孔20と、流路23Bと、入口30aとの間の接続状態を切替える。例えば、弁40は、これらの間の接続状態を、吸引孔20と入口30aとを接続させた状態、流路23Bと入口30aとを接続させた状態、又は、吸引孔20と流路23Bと入口30aとを接続させない状態に切替える。
【0043】
図2に示すように、弁41は、流路23Cと、流路25Aと、第1チャンバ30の出口30bと、第2チャンバ32の入口32aとの間に、位置する。弁41は、流路23Cに接続される接続口と、流路25Aに接続される接続口と、出口30bに接続される接続口と、入口32aに接続される接続口とを含む。弁41は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0044】
弁41は、制御部64の制御に基づいて、流路23Cと、流路25Aと、出口30bと、入口32aとの間の接続状態を切替える。例えば、弁41は、これらの間の接続状態を、流路23Cと出口30bとを接続させた状態、出口30bと入口32aとを接続させた状態、又は、流路23Cと入口32aとを接続させた状態に切替える。又は、弁41は、これらの間の接続状態を、流路23Cと流路25Aと出口30bと入口32aとを接続させない状態に切替える。
【0045】
図2に示すように、弁42は、流路25Bと、第2チャンバ32の出口32bと、第3チャンバ33の入口33aと、第5チャンバ37の出口37bとの間に、位置する。弁42は、流路25Bに接続される接続口と、出口32bに接続される接続口と、入口33aに接続される接続口と、出口37bに接続される接続口とを含む。弁42は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0046】
弁42は、制御部64の制御に基づいて、流路25Bと、出口32bと、入口33aと、出口37bとの間の接続状態を切替える。例えば、弁42は、これらの間の接続状態を、流路25Bと出口32bとを接続させた状態、入口33aと出口37bとを接続させた状態、又は、出口32bと入口33aとを接続させた状態に切替える。又は、弁42は、これらの間の接続状態を、流路25Bと出口32bと入口33aと出口37bとを接続させない状態に切替える。
【0047】
図2に示すように、弁43は、流路25Cと第3チャンバ33の出口33bとの間に、位置する。弁43は、流路25Cに接続される接続口と、出口33bに接続される接続口とを含む。弁43は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0048】
弁43は、制御部64の制御に基づいて、流路25Cと出口33bとの間の接続状態を切替える。例えば、弁43は、流路25Cと出口33bとの間の接続状態を、流路25Cと出口33bとを接続させた状態、又は、流路25Cと出口33bとを接続させない状態に切替える。
【0049】
図2に示すように、弁44は、流路24Cと、第4チャンバ35の入口35aとの間に、位置する。弁44は、流路24Cに接続される接続口と、入口35aに接続される接続口とを含む。弁44は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0050】
弁44は、制御部64の制御に基づいて、流路24Cと入口35aとの間の接続状態を切替える。例えば、弁44は、流路24Cと入口35aとの間の接続状態を、流路24Cと入口35aとを接続させた状態、又は、流路24Cと入口35aとを接続させない状態に切替える。
【0051】
図2に示すように、弁45は、流路24Bと、流路25Dと、第4チャンバ35の出口35bと、第5チャンバ37の入口37aとの間に、位置する。弁45は、流路24Bに接続される接続口と、流路25Dに接続される接続口と、出口35bに接続される接続口と、入口37aに接続される接続口とを含む。弁45は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0052】
弁45は、制御部64の制御に基づいて、流路24Bと流路25Dと出口35bと入口37aとの間の接続状態を切替える。例えば、弁45は、これらの間の接続状態を、出口35bと入口37aとを接続させた状態、流路25Dと出口35bとを接続させた状態、流路24Bと入口37aとを接続させた状態、又は、流路24Bと流路25Dとを接続させた状態に切替える。又は、弁45は、これらの間の接続状態を、流路24Bと流路25Dと出口35bと入口37aとを接続させない状態に切替える。
【0053】
図2に示すような供給部50は、吸引孔20に取り付けられている。供給部50は、制御部64の制御に基づいて、吸引孔20からのサンプルガスを第1チャンバ30に供給可能である。供給部50に示される矢印は、供給部50がサンプルガスを送る方向を示す。供給部50は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。
【0054】
図2に示すような供給部51は、流路24Aに取り付けられている。供給部51は、制御部64の制御に基づいて、吸引孔21からのパージガスを、流路24B及び流路24Cの少なくとも何れかに供給可能である。供給部51に示される矢印は、供給部51がパージガスを送る方向を示す。供給部51は、ピエゾポンプ等で構成されていてよい。
【0055】
図2に示すような供給部52は、流路23Aに取り付けられている。供給部52は、制御部64の制御に基づいて、吸引孔21からのパージガスを、流路23B及び流路23Cの少なくとも何れかに供給する。供給部52に示される矢印は、供給部52がパージガスを送る方向を示す。供給部52は、ピエゾポンプ等で構成されていてよい。
【0056】
図3に示すような回路基板60は、電気信号が伝搬する配線、記憶部61、通信部62及び制御部64等を実装する。
【0057】
図3に示すような記憶部61は、例えば、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成される。記憶部61は、各種情報、及び、ガス検出システム1を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部61は、ワークメモリとして機能してよい。
【0058】
図3に示すような通信部62は、
図1に示すような電子機器3と通信可能である。通信部62は、外部サーバと通信可能であってよい。通信部62と電子機器3及び外部サーバとの通信において用いられる通信方式は、近距離無線通信規格又は携帯電話網へ接続する無線通信規格であってよいし、有線通信規格であってよい。近距離無線通信規格は、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線及びNFC(Near Field Communication)等を含んでよい。携帯電話網へ接続する無線通信規格は、例えば、LTE(Long Term Evolution)又は第4世代以上の移動通信システム等を含んでよい。また、通信部62と電子機器3及び外部サーバとの通信において用いられる通信方式は、例えばLPWA(Low Power Wide Area)又はLPWAN(Low Power Wide Area Network)等の通信規格でもよい。
【0059】
図3に示すようなセンサ部63は、画像カメラ、個人識別スイッチ、赤外線センサ及び圧力センサ等の少なくとも何れかを含んで構成されていてよい。センサ部63は、検出結果を、制御部64に出力する。
【0060】
例えば、センサ部63は、赤外線センサを含んで構成される場合、赤外線センサが照射した赤外線の対象物からの反射光を検出することにより、被検者がトイレ室に入室したことを検出し得る。センサ部63は、検出結果として、被検者がトイレ室に入室したことを示す信号を、制御部64に出力する。
【0061】
例えば、センサ部63は、圧力センサを含んで構成される場合、
図1に示すような便座2Bにかかる圧力を検出することにより、被検者が便座2Bに座ったことを検出し得る。センサ部63は、検出結果として、被検者が便座2Bに座ったことを示す信号を、制御部64に出力する。
【0062】
例えば、センサ部63は、圧力センサを含んで構成される場合、
図1に示すような便座2Bにかかる圧力の低減を検出することにより、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出し得る。センサ部63は、検出結果として、被検者が便座2Bから立ち上がったことを示す信号を、制御部64に出力する。
【0063】
例えば、センサ部63は、画像カメラ及び個人識別スイッチ等を含んで構成される場合には、顔画像、座高及び体重等のデータを収集する。センサ部63は、収集したデータから個人を特定識別して検出する。センサ部63は、検出結果として、特定識別した個人を示す信号を、制御部64に出力する。
【0064】
例えば、センサ部63は、個人識別スイッチ等を含んで構成される場合には、個人識別スイッチの操作に基づいて、個人を特定(検出)する。この場合、記憶部61には、予め個人情報が登録(記憶)されてよい。センサ部63は、検出結果として、特定した個人を示す信号を、制御部64に出力する。
【0065】
図3に示すような制御部64は、1以上のプロセッサを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び、特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくとも何れかを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部64は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及び、SiP(System-in-a-Package)の少なくとも何れかを含んでよい。
【0066】
制御部64は、
図2に示すような吸引孔21に、トイレ室内の空気をパージガスとして吸引させるように制御する。制御部64は、
図2に示すような吸引孔21に吸引させたパージガスが、第4チャンバ35に貯留されるように制御する。例えば、制御部64は、
図2に示すような送風機21Aのファンを回転させることにより、吸引孔21の近傍にパージガスを引き込む。さらに、制御部64は、弁44によって流路24Cと第4チャンバ35の入口35aとを接続させた状態にし、弁45によって第4チャンバ35の出口35bと流路25Dとを接続させた状態にする。加えて、制御部64は、供給部51を制御することにより、送風機21Aによって吸引孔21の近傍に引き込んだパージガスを、吸引孔21に吸引させる。吸引孔21が引き込んだパージガスは、流路24A,24Cを介して、第4チャンバ35に供給されて貯留させる。制御部64は、センサ部63の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出してから所定時間が経過した後、吸引孔21にパージガスを吸引させてよい。
【0067】
制御部64は、吸引孔21にパージガスを吸引させる際、パージガスの清浄度が高いとき、パージガスを第4チャンバ35に貯留させてよい。例えば、制御部64は、パージガスを第3チャンバ33のセンサ部34に供給し、センサ部34の検出結果に基づいて、パージガスの清浄度が高いか否か判定してよい。制御部64は、パージガスの洗浄度が高いと判定したとき、パージガスを第4チャンバ35に貯留させてよい。この場合、ガス検出システム1は、吸引孔21と第3チャンバ33とを直接接続する流路、及び、第3チャンバ33に供給したガスを外部に直接排出する排出路をさらに備えてよい。また、ガス検出システム1は、センサ部34とは別に、パージガスの清浄度を検出する専用のセンサ部をさらに備えてよい。当該専用のセンサ部は、
図2に示すような吸引孔21の先端に、又は、吸引孔21と第4チャンバ35との間に、設けられてよい。この場合、ガス検出システム1は、当該専用のセンサ部に供給したガスを外部に直接排出する排出路をさらに備えてよい。
【0068】
制御部64は、
図2に示すような吸引孔20がサンプルガスを吸引するように制御する。例えば、制御部64は、
図2に示すような送風機20Aのファンを回転させることにより、吸引孔20の近傍にサンプルガスを引き込む。制御部64は、供給部50を制御することにより、吸引孔20に引き込んだサンプルガスを、吸引孔20に吸引させる。制御部64は、センサ部63の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bに座ったことを検出してから所定時間が経過した後、吸引孔20にサンプルガスを吸引させてよい。
【0069】
制御部64は、吸引孔20に吸引させたサンプルガスが、第1チャンバ30内に貯留されるように制御する。例えば、制御部64は、
図4に示すような弁40によって、吸引孔20と第1チャンバ30の入口30aとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、
図4に示すような弁41によって、第1チャンバ30の出口30bと流路25Aとを接続させた状態にする。制御部64は、
図2に示すような供給部50を制御して、
図2に示すような吸引孔20からのサンプルガスを、
図4に示すように、第1チャンバ30に供給する。吸引孔20から入口30aを介して第1チャンバ30に供給されたサンプルガスは、第1チャンバ30内の残留ガスを、出口30bの方へ押し出す。出口30bの方へ押し出された残留ガスは、流路25Aから
図2に示すような排出路22を介して外部に排出される。このような構成によって、
図4に示すように、第1チャンバ30内にサンプルガスが溜まる。
【0070】
制御部64は、第1チャンバ30に貯留したサンプルガスが、第2チャンバ32に供給されるように制御する。例えば、制御部64は、
図5に示すような弁40によって、流路23Bと第1チャンバ30の入口30aを接続させた状態にし、
図5に示すような弁41によって、第1チャンバ30の出口30bと第2チャンバ32の入口32aとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、
図5に示すような弁42によって、第2チャンバ32の出口32bと流路25Bとを接続させた状態にする。加えて、制御部64は、
図2に示すような供給部52を制御して、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを、
図5に示すように、流路23Bを介して第1チャンバ30に供給する。流路23Bから入口30aを介して第1チャンバ30に供給されたパージガスは、第1チャンバ30内のサンプルガスを、出口30bの方へ押し出す。出口30bの方へ押し出されたサンプルガスは、入口32aを介して第2チャンバ32に供給される。第2チャンバ32に供給されたサンプルガスは、第2チャンバ32内の残留ガスを、出口32bの方へ押し出す。出口32bの方へ押し出された残留ガスは、流路25Bから
図2に示すような排出路22を介して外部に排出される。このような構成によって、第1チャンバ30に貯められたサンプルガスは、
図5に示すように、第2チャンバ32に供給される。
【0071】
制御部64は、第4チャンバ35に貯留したパージガスが、第3チャンバ33のセンサ部34に供給されるように制御する。例えば、制御部64は、
図6に示すような弁44によって、流路24Dと第4チャンバ35の入口35aとを接続させた状態にし、
図6に示すような弁45によって、第4チャンバ35の出口35bと第5チャンバ37の入口37aとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、
図6に示すような弁42によって、第3チャンバ33の入口33aと第5チャンバ37の出口37bとを接続させた状態にし、
図6に示すような弁43によって、第3チャンバ33の出口33bと流路25Cとを接続させた状態にする。加えて、制御部64は、
図2に示すような供給部51を制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを、
図6に示すように、第4チャンバ35に供給する。第4チャンバ35に吸引孔21から供給されたパージガスは、第4チャンバ35内に貯留されていたパージガスを、第5チャンバ37に押し出す。第5チャンバ37に押し出されたパージガスは、第3チャンバ33に供給される。第5チャンバ37から入口33aを介して第3チャンバ33に供給されたパージガスは、第3チャンバ33内のセンサ部34に供給される。センサ部34にパージガスが供給されると、センサ部34は、パージガスに含まれる特定ガスに応じた電圧を、制御部64に出力する。検出処理後のパージガスは、出口33b及び流路25Cから
図2に示すような排出路22を介して外部に排出される。
【0072】
制御部64は、サンプルガスが、第3チャンバ33のセンサ部34に供給されるように制御する。例えば、制御部64は、
図7に示すような弁41によって、流路23Cと第2チャンバ32の入口32aとを接続させた状態にし、
図7に示すような弁42によって、第2チャンバ32の出口32bと第3チャンバ33の入口33aとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、
図7に示すような弁43によって、第3チャンバ33の出口33bと流路25Cとを接続させた状態にする。加えて、制御部64は、
図2に示すような供給部52を制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを、
図7に示すように、流路23Cから第2チャンバ32に供給する。流路23Cから入口32aを介して第2チャンバ32に供給されたパージガスは、第2チャンバ32内のサンプルガスを、出口32bの方へ押し出す。出口32bの方へ押し出されたサンプルガスは、出口32bを介して入口33aから第3チャンバ33に供給される。第3チャンバ33に供給されたサンプルガスは、センサ部34に供給される。センサ部34にサンプルガスが供給されると、センサ部34は、サンプルガスに含まれる特定ガスに応じた電圧を、制御部64に出力する。検出処理後のサンプルガスは、出口33b及び流路25Cから
図2に示すような排出路22を介して外部に排出される。
【0073】
制御部64は、例えば所定回数、パージガスとサンプルガスを、交互に第3チャンバ33のセンサ部34に供給する。例えば、制御部64は、例えば所定回数、
図6を参照して説明した制御と
図7を参照して説明した制御とを交互に繰り返す。制御部64は、パージガスとサンプルガスを交互に第3チャンバ33に供給することにより、センサ部34から電圧波形を取得する。制御部64は、例えばセンサ部34から取得した電圧波形対する機械学習により、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する。制御部64は、検出したガスの種類及び濃度を、検出結果として、通信部62を介して電子機器3に送信してよい。
【0074】
制御部64は、例えば検出処理後、第1チャンバ30内に残留しているサンプルガスが、第1チャンバ30から排出されるように制御する。例えば、制御部64は、
図8に示すような弁40によって、流路23Bと第1チャンバ30の入口30aとを接続させた状態にし、
図8に示すような弁41によって、第1チャンバ30の出口30bと流路25Aとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、
図2に示すような供給部52を制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを、
図8に示すように、流路23Bから第1チャンバ30に供給する。流路23Bから入口30aを介して第1チャンバ30に供給されたパージガスは、第1チャンバ30内に残留しているサンプルガスを、出口30bの方へ押し出す。出口30bの方へ押し出されたサンプルガスは、流路25Aから
図2に示すような排出路22を介して外部に排出される。
【0075】
ここで、制御部64は、第3チャンバ33に供給するサンプルガスの流量を制御可能である。換言すると、制御部64は、センサ部34に供給するサンプルガスの流量を制御可能である。例えば、制御部64は、
図7に示すような流路23Cから第2チャンバ32に供給するパージガスの流量を、
図2に示すような供給部52のピエゾポンプ又はモータポンプにより制御する。制御部64は、
図7に示すような第2チャンバ32に供給するパージガスの流量を制御することにより、当該パージガスによって第2チャンバ32から第3チャンバ33に押し出すサンプルガスの流量を制御する。制御部64は、サンプルガスを第3チャンバ33に供給してセンサ部34に供給する際、サンプルガスの流量を適宜制御してよい。
【0076】
制御部64は、サンプルガスのセンサ部34への供給開始時の流量が、第1流量よりも、大きくなるように制御してよい。センサ部34への供給開始時の流量は、センサ部34に供給するガスをパージガスからサンプルガスに切替える際に、センサ部34の出力電圧が受ける影響を考慮して、適宜決定されてよい。ここで、センサ部34に供給するガスをパージガスからサンプルガスへ又はサンプルガスからパージガスへ切替えると、センサ部34の出力電圧は、立ち下がるか又は立ち上がった後、一定値となり得る。このセンサ部34の出力電圧の立ち下がり又は立ち上がりは、センサ部34への供給開始時の流量が大きいほど、センサ部34自体の反応によるものに近づき得る。センサ部34の出力電圧がセンサ部34自体の反応によるものに近づくほど、ガス検出システム1は、ガスの種類及び濃度をより精度良く検出することができる。つまり、サンプルガスのセンサ部34への供給開始時の流量を第1流量よりも大きくすることにより、センサ部34の出力電圧は、センサ部34自体の反応によるものに近づき得る。このような構成によって、ガス検出システム1は、ガスの種類及び濃度をより精度良く検出することができる。
【0077】
制御部64は、センサ部34へのサンプルガスの供給を開始してから第1時間経過後、サンプルガスの流量が、サンプルガスの供給開始時の流量よりも小さくなるように制御してよい。又は、制御部64は、センサ部34へのサンプルガスの供給を開始してから第1時間経過後、サンプルガスのセンサ部34への供給を停止させてよい。例えば、制御部64は、第1時間経過後、
図2に示すような供給部52を制御することにより、
図7に示すような流路23Cから第2チャンバ32に供給するパージガスの流量が、パージガスの供給開始時の流量よりも小さくように制御してよい。
図7に示すような流路23Cから第2チャンバ32に供給されるパージガスの流量を小さくすることにより、当該パージガスにより第2チャンバ32から
図7に示すような第3チャンバ33へ押し出されるサンプルガスの流量が小さくなり得る。又は、制御部64は、第1時間経過後、
図2に示すような供給部52を制御することにより、
図7に示すような流路23Cから第2チャンバ32へのパージガスの供給を停止させてよい。
図7に示すような流路23Cから第2チャンバ32へのパージガスの供給を停止させることにより、
図7に示すような第2チャンバ32から第3チャンバ33へのサンプルガスの供給が停止し得る。ここで、サンプルガスは、便から発生するガスである。そのため、取得可能なサンプルガスの量が、限られる場合がある。特に、サンプルガス濃縮時には、サンプルガスの量が少なくなる。この場合でも、制御部64が第1時間経過後のサンプルガスの流量をサンプルガスの供給開始時の流量よりも小さくする等により、サンプルガスを、流量を小さくしないとき等よりも長い時間、センサ部34に供給し続けることができる。このような構成によって、センサ部34は、サンプルガスに含まれる特定ガスに応じた電圧を、安定して出力することができる。また、第1時間は、第1チャンバ30に貯留可能なサンプルガスの量を考慮して適宜設定されてよい。
【0078】
制御部64は、上述の第1時間経過後において、サンプルガスの流量の低減と、サンプルガスのセンサ部34への供給停止とが交互に繰り返されるように制御してよい。この場合、制御部64は、第1チャンバ30に貯留されたサンプルガスの量に応じて、サンプルガスの流量の低減と、サンプルガスのセンサ部34への供給停止とが交互に繰り返えされるように制御してよい。
【0079】
ここで、制御部64は、第3チャンバ33に供給するパージガスの流量を制御可能である。換言すると、制御部64は、センサ部34に供給するパージガスの流量を制御可能である。例えば、制御部64は、
図6に示すような第5チャンバ37から第3チャンバ33に供給するパージガスの流量を、
図2に示すような供給部51のピエゾポンプにより制御することにより、第3チャンバ33に供給するパージガスの流量を制御する。制御部64は、パージガスを第3チャンバ33のセンサ部34に供給する際、パージガスの流量を適宜制御してよい。
【0080】
制御部64は、パージガスのセンサ部34への供給開始時の流量が、第2流量よりも、大きくなるように制御してよい。センサ部34への供給開始時の流量は、上述の第1流量と同様に、センサ部34に供給するガスを切替えることによりセンサ部34の出力電圧が受ける影響を考慮して、適宜決定されてよい。上述のように、センサ部34に供給するガスを切替える際、センサ部34の出力電圧は、立ち下がるか又は立ち上がる。この出力電圧の立ち下がり又は立ち上がりは、センサ部34への供給開始時の流量が大きいほど、センサ部34自体の反応によるものに近づき得る。上述のように、センサ部34の出力電圧がセンサ部34自体の反応によるものに近づくほど、ガス検出システム1は、ガスの種類及び濃度をより精度良く検出することができる。つまり、上述の第1流量と同様に、パージガスのセンサ部34への供給開始時の流量を第2流量よりも大きくすることにより、センサ部34の出力電圧は、センサ部34自体の反応によるものに近づき得る。このような構成によって、ガス検出システム1は、ガスの種類及び濃度をより精度良く検出することができる。
【0081】
制御部64は、センサ部34へのパージガスの供給を開始してから第2時間経過後のパージガスの流量が、パージガスの供給開始時の流量以下になるように制御してよい。又は、制御部64は、第2時間経過後、パージガスのセンサ部34への供給を停止させてよい。例えば、制御部64は、上述の第2時間経過後、
図2に示すような供給部51を制御することにより、
図6に示すような第5チャンバ37から第3チャンバ33に供給するパージガスの流量が、パージガスの供給開始時の流量以下になるように制御してよい。又は、制御部64は、第2時間経過後、
図2に示すような供給部51を制御することにより、
図7に示すような第5チャンバ37から第3チャンバ33へのパージガスの供給を停止させてよい。ここで、ガス検出システム1がトイレ室に設置される場合、トイレ室内の空気は汚染されている場合がある。この場合、取得可能なパージガスの量が、限られる場合がある。この場合でも、制御部64によって第2時間経過後のパージガスの流量をパージガスの供給開始時の流量以下にする等により、パージガスを、流量を小さくしないとき等よりも長い時間、センサ部34に供給し続けることができる。このような構成によって、センサ部34は、パージガスに含まれる特定ガスに応じた電圧を、安定して出力することができる。また、第2時間は、第4チャンバ35に貯留可能なパージガスの量を考慮して適宜設定されてよい。
【0082】
制御部64は、センサ部34に供給するパージガスの流量が、センサ部34に供給するサンプルガスの流量よりも、大きくなるように制御してよい。例えば、制御部64は、
図6に示すような第4チャンバ35から第5チャンバ37を介して第3チャンバ33に供給するパージガスの流量が、
図7に示すような第2チャンバ32から第3チャンバ33に供給するサンプルガスの流量よりも、大きくなるように制御してよい。便から発生するサンプルガスの方が、トイレ室内の空気であるパージガスよりも、取得可能な量が限られる場合がある。特に、サンプルガス濃縮時には、サンプルガスの量が少なくなる。また、パージガスの流量を大きくすることにより、パージガスによってセンサ部34に付着した検出対象ガスが、センサ部34からより速く離脱し得る。このような構成により、ガス検出システム1は、サンプルガスを節約しつつ、センサ部34に付着した検出対象ガスをセンサ部34から速く離脱させることができる。
【0083】
制御部64は、
図5に示すような流路23Bを介して第1チャンバ30に供給するパージガスの流量が、
図7に示すような流路23Bから第2チャンバ32に供給するパージガスの流量よりも、大きくなるように制御してよい。
図5に示すような流路23Bから第1チャンバ30に供給するパージガスの流量を大きくすることにより、第1チャンバ30内でサンプルガスとパージガスとが相互に拡散することが低減され得る。また、
図5に示すような流路23Bから第1チャンバ30に供給するパージガスの流量を大きくすることにより、より短い時間で、サンプルガスを第2チャンバ32に供給することができる。
【0084】
[ガス検出システムの動作例]
図9は、
図1に示すガス検出システム1の動作を示すフローチャートである。制御部64は、センサ部63の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出してから所定時間が経過した後、
図9に示すような処理を開始してよい。
【0085】
制御部64は、吸引孔21がパージガスを吸引するように制御する(ステップS10)。制御部64は、吸引孔21からのパージガスが第4チャンバ35に貯留されるように制御する(ステップS11)。
【0086】
制御部64は、センサ部63の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bに座ったことを検出してから所定時間が経過した後、吸引孔20がサンプルガスを吸引するように制御する(ステップS12)。制御部64は、吸引孔20からのサンプルガスが、第1チャンバ30に貯留されるように制御する(ステップS13)(
図4参照)。制御部64は、第1チャンバ30内に貯留したサンプルガスが、第2チャンバ32に供給されるように制御する(ステップS14)(
図5参照)。
【0087】
制御部64は、パージガスが、第5チャンバ37を介して第3チャンバ33に供給されるように制御する(ステップS15)(
図6参照)。つまり、ステップS15の処理では、制御部64は、パージガスがセンサ部34に供給されるように制御する。ステップS15の処理の詳細は、
図10を参照して後述する。
【0088】
制御部64は、サンプルガスが、第3チャンバ33に供給されるように制御する(ステップS16)(
図7参照)。つまり、ステップS16の処理では、制御部64は、サンプルガスが、センサ部34に供給されるように制御する。ステップS16の処理の詳細は、
図11を参照して後述する。
【0089】
制御部64は、ステップS15の処理とステップS16の処理を、例えば所定回数、交互に実行する。制御部18は、センサ部34から電圧波形を取得する(ステップS17)。
【0090】
制御部64は、例えばセンサ部34から取得した電圧波形対する機械学習により、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する(ステップS18)。ステップS18の処理では、制御部64は、検出したガスの種類及び濃度を、検出結果として、通信部62を介して電子機器3に送信してよい。
【0091】
制御部64は、
図8を参照して上述したように、第1チャンバ30内に残留しているサンプルガスが、第1チャンバ30から排出されるように制御する(ステップS19)。
【0092】
ステップS14の処理を終了した後、制御部64は、ステップS15の処理と並行して、ステップS18の処理を実行してよい。
【0093】
図10は、
図1に示すガス検出システム1のパージガス供給時の動作を示すフローチャートである。
図10に示すような処理は、
図9に示すようなステップS15の処理の詳細に相当する。制御部64は、
図9に示すようなステップS14の処理を実行した後、
図10に示すような処理を開始してよい。
【0094】
制御部64は、第2流量よりも大きい流量で、パージガスが、第3チャンバ33に供給されるように制御する(ステップS30)。換言すると、制御部64は、パージガスのセンサ部34への供給開始時の流量が、第2流量よりも、大きくなるように制御する。
【0095】
制御部64は、センサ部34へのパージガスの供給を開始してから第2時間が経過したか否か判定する(ステップS31)。制御部64は、センサ部34へのパージガスの供給を開始してから第2時間が経過したと判定するとき(ステップS31:Yes)、ステップS32の処理に進む。一方、制御部64は、センサ部34へのパージガスの供給を開始してから第2時間が経過したと判定しないとき(ステップS31:No)、ステップS31の処理を繰り返し実行する。
【0096】
ステップS32の処理では、制御部64は、パージガスの流量がパージガスの供給開始時の流量以下になるように制御するか、又は、パージガスのセンサ部34への供給を停止させる。
【0097】
図11は、
図1に示すガス検出システム1のサンプルガス供給時の動作を示すフローチャートである。
図11に示すような処理は、
図9に示すようなステップS16の処理の詳細に相当する。制御部64は、
図9に示すようなステップS15の処理を実行した後、
図11に示すような処理を開始してよい。
【0098】
制御部64は、第1流量よりも大きい流量で、サンプルガスが、第3チャンバ33に供給されるように制御する(ステップS40)。換言すると、制御部64は、サンプルガスのセンサ部34への供給開始時の流量が、第1流量よりも、大きくなるように制御する。
【0099】
制御部64は、センサ部34へのサンプルガスの供給を開始してから第1時間が経過したか否か判定する(ステップS41)。制御部64は、センサ部34へのサンプルガスの供給を開始してから第1時間が経過したと判定するとき(ステップS41:Yes)、ステップS42の処理に進む。一方、制御部64は、センサ部34へのサンプルガスの供給を開始してから第1時間が経過したと判定しないとき(ステップS41:No)、ステップS41の処理を繰り返し実行する。
【0100】
ステップS42の処理では、制御部64は、サンプルガスの流量がサンプルガスの供給開始時の流量よりも小さくなるように制御するか、又は、サンプルガスのセンサ部34への供給を停止させる。
【0101】
以上のように、本実施形態に係るガス検出システム1では、第1チャンバ30のガス流れ方向に直交する断面において、第2チャンバ32の面積は、第1チャンバ30の面積よりも小さい。ここで、第2チャンバ32内では、例えば
図5に示すような構成と
図7に示すような構成とが実行されることにより、パージガスとサンプルガスとが接し得る。本実施形態では、第1チャンバ30のガス流れ方向に直交する断面において、第2チャンバ32の面積を、第1チャンバ30の面積よりも小さくすことにより、パージガスとサンプルガスとが接する境界の面積が、小さくなり得る。パージガスとサンプルガスとが接する境界の面積が小さくなることで、第2チャンバ32内において、パージガスとサンプルガスとが混ざりにくくすることができる。上述のように、本実施形態では、第2チャンバ32の断面積を第1チャンバ30の断面積よりも小さくすることにより、第2チャンバ32内において、パージガスとサンプルガスとが混ざりにくくなり得る。本実施形態では、パージガスとサンプルガスとが混ざりにくくなるため、ガスの種類及び濃度をより精度良く検出することができる。
【0102】
また、本実施形態に係るガス検出システム1では、制御部64は、センサ部34へのサンプルガスの供給を開始してから第1時間経過後のサンプルガスの流量が、サンプルガスの供給開始時の流量よりも小さくなるように制御する。又は、制御部64は、上述の第1時間経過後、サンプルガスのセンサ部34への供給が停止させる。上述のように、サンプルガスは、便から発生するガスである。そのため、取得可能なサンプルガスの量が、限られる場合がある。特に、サンプルガス濃縮時には、サンプルガスの量が少なくなる。この場合でも、制御部64によって第1時間経過後のサンプルガスの流量をサンプルガスの供給開始時の流量よりも小さくする等により、サンプルガスを、流量を小さくしないとき等よりも長い時間、センサ部34に供給し続けることができる。このような構成によって、センサ部34は、サンプルガスに含まれる特定ガスに応じた電圧を、安定して出力することができる。センサ部34が電圧を安定して出力することができるため、ガス検出システム1は、ガスの種類及び濃度をより精度良く検出することができる。また、このような構成によって、ガス検出システム1は、少ないサンプルガスでもガスの種類及び濃度を検出することができる。そのため、ガス検出システム1では、装置規模を小さくすることができる。つまり、ガス検出システム1は、検出精度を維持しつつ、小型化され得る。
【0103】
従って、本実施形態によれば、改善された、ガス検出システム1が提供され得る。
【0104】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0105】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは、分割したりすることが可能である。
【0106】
例えば、上述の実施形態では、
図2に示すように、第2チャンバ32は、直線に沿って延在するものとして説明した。ただし、本開示の第2チャンバは、直線に沿って延在するに限定されない。例えば、本開示の第2チャンバは、
図12に示すような形状を有してよい。
図12に示すような第2チャンバ132は、曲がっている部分を有する。曲がっている部分の形状は、例えば、曲がりくねった形状である。第2チャンバ132は、その両端に、入口132a及び出口132bを含む。入口132aは、
図2に示すような第1チャンバ30の出口30bに接続可能である。出口132bは、
図2に示すような第3チャンバ33の入口33aに接続可能である。
図12に示すような第2チャンバ132の断面積は、
図2に示すような第1チャンバ30の断面積よりも、小さい。
図12に示すような第2チャンバ132は、曲がっている部分を有することにより、例えば曲がりくねった形状を有することにより、その容積と第2チャンバ132の占有体積を維持しつつ、第1チャンバ30の断面積よりも小さい断面積を有することができる。
【0107】
例えば、上述の実施形態では、
図2に示すような第1チャンバ30は、
図4に示すように、サンプルガスを貯留するものとして説明した。ただし、第1チャンバ30の用途は、これに限定されない。第1チャンバ30は、サンプルガスを濃縮するために、用いられてよい。この場合、吸着剤31は、サンプルガスに含まれる検出対象のガスを吸着するであってよい。検出対象のガスを吸着する吸着剤31の例としては、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更されてよい。また、第1チャンバ30の外側には、ヒータが設けられてよい。
【0108】
例えば、上述の実施形態では、ガス検出システム1の構成として、
図2に示すような構成を説明した。ただし、ガス検出システム1の構成は、
図2に示すような構成に限定されない。例えば、ガス検出システム1には、
図13から17に示すような構成が採用されてよい。
【0109】
図13に示すようなガス検出システム1Aは、
図2に示すような第4チャンバ35及び第5チャンバ37の代わりに、流路26を備える。ガス検出システム1Aは、供給部として、供給部50と、供給部53A,53B,53Cとを備える。流路26は、
図2に示すような吸引孔21と弁42の接続口とを直接接続する。流路26は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。供給部53Aは、流路23Bに取り付けられている。供給部53Bは、流路23Cに取り付けられている。供給部53Cは、流路26に取り付けられている。供給部53A~53Cの各々に示される矢印は、供給部53A~53Cの各々がガスを送る方向を示す。供給部53A~53Cの各々は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。
【0110】
図13に示すような構成では、制御部64は、弁40によって流路23Bと第1チャンバ30の入口30aとを接続させた状態にし、さらに供給部53Aを制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを第1チャンバ30に供給する。また、制御部64は、弁41によって流路23Cと第2チャンバ32の入口32aとを接続させた状態にし、さらに供給部53Bを制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを第2チャンバ32に供給する。また、制御部64は、弁42によって流路26と第3チャンバ33の入口33aとを接続させた状態にし、さらに供給部53Cを制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを第3チャンバ33に供給する。
【0111】
図14に示すようなガス検出システム1Bは、
図2に示すような流路23C、第4チャンバ35及び第5チャンバ37の代わりに、流路23D,23E,23Fを備える。ガス検出システム1Bは、供給部として、供給部50と、供給部54とを備える。流路23Dの一端は、流路23Aの一端及び流路23Bの一端に接続されている。流路23Dの他端は、流路23Eの一端及び流路23Fの一端に接続されている。流路23Eの一端は、流路23Dの一端及び流路23Fの一端に接続されている。流路23Eの他端は、弁42の接続口に接続されている。流路23Fの一端は、流路23Dの一端及び流路23Eの一端に接続されている。流路23Fの他端は、弁41の接続口に接続されている。流路23D,23E,23Fは、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。供給部54は、流路23Aに取り付けられている。供給部54に示される矢印は、供給部54がガスを送る方向を示す。供給部54は、ピエゾポンプ等で構成されていてよい。
【0112】
図14に示すような構成では、制御部64は、弁40によって流路23Bと第1チャンバ30の入口30aとを接続させた状態にし、さらに供給部54を制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを第1チャンバ30に供給する。また、制御部64は、弁41によって流路23Fと第2チャンバ32の入口32aとを接続させた状態にし、さらに供給部54を制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを第2チャンバ32に供給する。また、制御部64は、弁42によって流路23Eと第3チャンバ33の入口33aとを接続させた状態にし、さらに供給部54を制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを第3チャンバ33に供給する。
【0113】
図15に示すようなガス検出システム1Cは、
図14に示すような構成と同様に、流路23D,23E,23Fを備える。ガス検出システム1は、流路27を備える。ガス検出システム1Cは、供給部として供給部55を備える。流路27の一端は、弁40の接続口に接続されている。流路27の他端は、第1チャンバ30の入口30aに接続されている。流路27は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。供給部55は、流路27に取り付けられている。供給部55に示される矢印は、供給部55がガスを送る方向を示す。供給部55は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。
【0114】
図16に示すようなガス検出システム1Dは、
図13に示すような構成と同様に、流路26を備える。ガス検出システム1Dは、供給部として、供給部56A,56B,56Cを備える。供給部56Aは、流路25Aに取り付けられている。供給部56Bは、流路25Bに取り付けられている。供給部56Cは、流路25Cに取り付けられている。供給部56A~56Cの各々に示される矢印は、供給部56A~56Cの各々がガスを送る方向を示す。供給部56A~56Cの各々は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。
【0115】
図16に示すような構成では、制御部64は、弁40によって吸引孔20と第1チャンバ30の入口30aとを接続させた状態にし、弁41によって第1チャンバ30の出口30bと流路25Aとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、供給部56Aを制御することにより、吸引孔20からのサンプルガスを第1チャンバ30に供給する。
【0116】
図16に示すような構成では、制御部64は、弁40によって吸引孔20と第1チャンバ30の入口30aとを接続させた状態にし、弁41によって第1チャンバ30の出口30bと第2チャンバ32の入口32aとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、弁42によって第2チャンバ32の出口32bと流路25Bとを接続させた状態にする。加えて、制御部64は、供給部56Bを制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを、流路23Bを介して第1チャンバ30に供給する。第1チャンバ30に供給されたパージガスは、第1チャンバ30内のサンプルガスを、第2チャンバ32に押し出す。このような構成により、第1チャンバ30内のサンプルガスは、第2チャンバ32に供給される。
【0117】
図16に示すような構成では、制御部64は、弁41によって流路23Cと第2チャンバ32の入口32aとを接続させた状態にし、弁42によって第2チャンバ32の出口32bと第3チャンバ33の入口33aとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、弁43によって第3チャンバ33の出口33bと流路25Cを接続させた状態にする。加えて、制御部64は、供給部56Cを制御させることにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを、流路23Cを介して第2チャンバ32に供給させる。流路23Cから第2チャンバ32に供給されたパージガスは、第2チャンバ32内のサンプルガスを第3チャンバ33へ押し出す。このような構成によって、第2チャンバ32内のサンプルガスが、第3チャンバ33に供給されてセンサ部34に供給される。
【0118】
図16に示すような構成では、制御部64は、弁42によって流路26と第3チャンバ33の入口33aとを接続させた状態にし、弁43によって第3チャンバ33の出口33bと流路25Cとを接続させた状態にする。さらに、制御部64は、供給部56Cを制御することにより、
図2に示すような吸引孔21からのパージガスを、流路26を介して第3チャンバ33に供給する。
【0119】
図17に示すようなガス検出システム1Eは、
図13に示すような構成と同様に、流路26を備える。ガス検出システム1Eは、
図2に示すような流路25A,25B,25C,25E,25Fの代わりに、流路28,29A,29B,29Cを備える。ガス検出システム1Eは、供給部として、供給部57を備える。流路28の一端は、弁43の接続口に接続されている。流路28の他端は、排出路22に接続されている。流路29Aの一端は、弁41の接続口に接続されている。流路29Aの他端は、流路29Bの一端及び流路29Cの一端に接続されている。流路29Bの一端は、弁42の接続口に接続されている。流路29Bの他端は、流路29Aの一端及び流路29Cの一端に接続されている。流路29Cの一端は、流路28の一端及び排出路22に接続されている。流路29Cの他端は、流路29Aの一端及び流路29Bの一端に接続されている。流路28,29A~29Cは、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。供給部57は、排出路22に取り付けられている。供給部57に示される矢印は、供給部57がガスを送る方向を示す。供給部57は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。
【0120】
例えば、上述の実施形態では、
図4に示すように、ガス検出システム1は、1つの装置であるものとして説明した。ただし、本開示のガス検出システムは、1つの装置に限定されない。本開示のガス検出システムは、独立した複数の装置を含んでよい。本開示のガス検出システムは、例えば、
図18に示すような構成であってよい。
【0121】
図18に示すようなガス検出システム1Fは、ガス検出装置4と、サーバ装置5とを備える。ガス検出装置4とサーバ装置5は、ネットワーク6を介して通信可能である。ネットワーク6の一部は、有線であってよいし、無線であってよい。ガス検出装置4の構成は、
図2に示すようなガス検出システム1の構成と同様である。サーバ装置5は、記憶部5Aと、通信部5Bと、制御部5Cとを備える。制御部5Cは、上述した
図4に示すような制御部64の処理を実行可能である。例えば、制御部5Cは、上述した
図2に示すようなセンサ部34に供給されるサンプルガス及びパージガスの流量を制御可能である。制御部5Cは、サンプルガスをセンサ部34に供給する際、センサ部34へのサンプルガスの供給を開始してから第1時間経過後、サンプルガスの流量がサンプルガスの供給開始時の流量よりも小さくなるように制御する。又は、制御部5Cは、上述の第1時間経過後、サンプルガスのセンサ部34への供給を停止させる。また、例えば、制御部5Cは、パージガスをセンサ部34に供給する際、センサ部34へのパージガスの供給を開始してから第2時間経過後、パージガスの流量が、パージガスの供給開始時の流量以下になるように制御する。又は、制御部5Cは、上述の第2時間経過後、パージガスのセンサ部34への供給を停止させる。
【0122】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1端子は、第2端子と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0123】
1,1A~1F ガス検出システム
2 便器
2A 便器ボウル
2B 便座
3 電子機器
3A 表示部
4 ガス検出装置
5 サーバ装置
5A 記憶部
5B 通信部
5C 制御部
6 ネットワーク
10 筐体
20,21 吸引孔
20A,21A 送風機
22 排出路
23A~23F,24A~24D,25A~25F,26~28,29A,29B 流路
30 第1チャンバ
31 吸着剤
32,132 第2チャンバ
33 第3チャンバ
34 センサ部
35 第4チャンバ
36 吸着剤
37 第5チャンバ
30a,32a,33a,35a,37a,132a 入口
30b,32b,33b,35b,37b,132b 出口
40~45 弁
50~52,53A~53C,54,55,56A~56C,57 供給部
60 回路基板
61 記憶部
62 通信部
63 センサ部
64 制御部