IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリナップ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/02 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A47B96/02 B
A47B96/02 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023021345
(22)【出願日】2023-02-15
(62)【分割の表示】P 2019151445の分割
【原出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2023065463
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】乘松 香
(72)【発明者】
【氏名】間辺 慎一郎
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-232972(JP,A)
【文献】特開2004-202138(JP,A)
【文献】特開2019-063445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板と、壁面に突設されて該棚板を支持する棚板支持部とを備える棚であって、
物品を載置可能な載置面を備え、物品を前記載置面に載置可能な載置状態と前記載置状態から起立する起立状態とを切替可能に構成される棚板と、
前記起立状態において物品の底面を支持する底面支持部と、を備え、
前記底面支持部が前記載置状態の棚板の載置面より下方に配置され、前記底面支持部は、前記棚板とは別体である棚。
【請求項2】
前記棚板支持部は、前記載置状態の前記棚板を載せる載置部を備えるとともに、前記載置部よりも下方にて前記底面支持部を支持するように構成される、請求項1に記載の棚。
【請求項3】
前記棚板支持部は、前記載置状態の前記棚板を載せる載置部を備え、
前記底面支持部は、前記載置部よりも下方で前記壁面から突出するように構成される、請求項1に記載の棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収納又は陳列するための棚板を壁面に突出して設けた棚が広く用いられている。このような棚としては、壁面に対する棚板の傾斜角度を調整可能に構成することで、物品を支持する形態を変えることができるものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、角度の異なる複数のレールを有するブラケットと、前記レールに嵌合可能な溝が形成された棚板とを備える棚が開示されており、該棚においては、異なるレールに棚板を嵌合させることで、棚板の傾斜角度を複数段階に切り替えて、物品を支持する形態を変えることができると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-201711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の棚は、棚板の傾斜角度を切り替える際、壁面に対して手前側(換言すると、壁面から離れる方向)に、前記レールに沿って前記棚板を引き出す必要がある。しかしながら、棚の設置場所が狭い場合や、棚板の手前に他の部材が配置される等の設置態様によっては、壁面に対して手前側に棚板を引き出すための空間を確保できないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、物品を支持する形態を変えることが可能な棚を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る棚は、棚板と、壁面に突設されて該棚板を支持する棚板支持部とを備える棚であって、物品を載置可能な載置面を備え、物品を前記載置面に載置可能な載置状態と前記載置状態から起立する起立状態とを切替可能に構成される棚板と、前記起立状態において物品の底面を支持する底面支持部と、を備え、前記底面支持部が前記載置状態の棚板の載置面より下方に配置され、前記底面支持部は、前記棚板とは別体である。
【0008】
本発明に係る棚は、前記棚板支持部は、前記載置状態の前記棚板を載せる載置部と、前記底面支持部を支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記載置部よりも下方に配置されることもできる。
【0009】
本発明に係る棚は、前記棚板支持部は、前記載置状態の前記棚板を載せる載置部を備え、前記壁面から突出する突出部材を備え、前記突出部材は前記底面支持部を備えることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品を支持する形態を変えることが可能な棚を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る棚1を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る棚1が備える棚板支持部3を示す正面図である。
図3図3は、本実施形態に係る棚1が備える棚板2を示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。
図4(a)】図4(a)は、棚板支持部3に支持された棚板2の載置状態Aを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。
図4(b)】図4(b)は、棚板支持部3に支持された棚板2が回動する様子を示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。
図4(c)】図4(c)は、棚板支持部3に支持された棚板2の起立状態Bを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。
図5(a)】図5(a)は、他の実施形態に係る棚1の載置状態Aを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。
図5(b)】図5(b)は、他の実施形態に係る棚1の起立状態Bを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。
図6(a)】図6(a)は、他の実施形態に係る棚1の載置状態Aを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。
図6(b)】図6(b)は、他の実施形態に係る棚1の起立状態Bを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る棚について、図1~4を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る棚1を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る棚1は、同一の構造を有する2つの棚板2,2と、壁面4から手前側に突設されて前記棚板2,2を支持する、同一の構造を有する3つの棚板支持部3,3,3と、該棚板支持部3,3,3に支持されるパイプ5と、該棚板支持部3,3,3に支持される動作補助用の手摺部材6とを備えている。棚板2は、物品を載置面20に載置可能な載置状態A(紙面奥側)と、軸線Lを中心に載置状態Aから回動して起立する起立状態B(紙面手前側)とを切替可能に構成されている。なお、軸線Lとは、壁面4及び載置面20に略平行な線をいう。本明細書において略平行とは、公差を考慮した平行を意味する。
【0014】
パイプ5は、中心軸線方向に長い円柱状に形成され、パイプ本体部51と、該パイプ本体部の両端部に位置するパイプ接合部52と、を備えている。このようなパイプ5は、中心軸線が軸線Lと平行になるように配置され、支持本体部31のパイプ支持部315(後述)にパイプ接合部52を嵌合させることにより支持されている。
【0015】
手摺部材6は、中心軸線方向に長い円柱状に形成され、該中心軸線方向の両端部及び中央部に手摺接合部61を備えている。このような手摺部材6は、延出部32の設置面32a(後述)に手摺接合部61を接合させることにより支持されている。すなわち、延出部32に支持された手摺部材6は、棚板2の手前側(壁面4側とは反対側)に離間して、棚板支持部3を介して間接的に壁面4に取り付けられている。棚1が手摺部材6を備えることにより、例えば、浴室等で前記棚を使用する場合に、使用者の転倒事故を防止することができる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る棚1が備える棚板支持部3を示す正面図である。図2に示すように、棚板支持部3は、幅方向の一端部に設けられ、壁面4に取り付けるための取付部30と、取付部30に対して幅方向の他方側に連続し、棚板2を支持する支持本体部31と、支持本体部31から幅方向の他方側に延設され、手摺部材6を支持する延出部32と、を備えている。
【0017】
取付部30は、幅方向の一端部に平坦な取付面30aを備えている。取付部30は、取付面30aを壁面4に当接させて、固定手段(ボルト、接着剤等)を用いて取り付けることができる。
【0018】
支持本体部31は、高さ方向の天部に棚板2を載せる載置部310を備え、該載置部310よりも高さ方向の底側にパイプ5を支持するパイプ支持部315を備えている。載置部310は、幅方向の一方側に位置して棚板2を支持する載置支持部311と、該載置支持部311とは離間して、載置部310の幅方向の他方側において他方側斜め上方に突出して棚板2の棚軸部22(後述)を回動可能に支持する支持軸部312と、を備えている。パイプ支持部315は、支持本体部31を厚み方向に貫通して形成される。
【0019】
載置支持部311は、高さ方向の天側に突出した載置突出部311aと、該載置突出部311aの先端に平坦な載置当接面311bと、を備えている。載置支持部311は、載置当接面311bが棚板2と当接することで、載置状態Aにおいて該棚板2(特に、棚板2の幅方向の一端部)を支持することができる。載置支持部311は、本体支持部31の厚み方向に離間して、支持本体部31の厚み方向の両端部にそれぞれ形成されている。
【0020】
支持軸部312は、幅方向の他方側斜め上方に向かって延びる支持突出部313と、該支持突出部313に高さ方向の底側から支持される平板状の支持側回動部314と、を備えている。支持突出部313は、載置支持部311の載置当接面311bが形成される高さよりもさらに高さ方向の天側に向かって延びていて、これにより、支持突出部313に支持される支持側回動部314が棚軸部22の棚板側回動部220(後述)に当接可能に構成されている。支持軸部312の厚み方向の長さは、支持本体部31の厚み方向の長さに等しい。
【0021】
支持突出部313は、支持側回動部314と接続する先端部における幅方向の一方側に位置し、棚板2の載置状態Aを固定すべく幅方向の他方向きに凹設される載置固定凹部313aと、基端部における幅方向の他方側に位置し、棚板2の起立状態Bを固定すべく高さ方向の天向きに凹設される起立固定凹部313bと、を備えている。
【0022】
支持側回動部314は、幅方向の一端部に位置して、棚板2が回動する際の起点となる回動起点部314aと、幅方向の他端部に位置して、棚板2が回動する際に棚板回動部220に当接する回動当接部314bと、を備える。回動起点部314a及び回動当接部314bは、それぞれ円弧状の端部を備えている。回動起点部314aを構成する円弧の半径(以下、角Rともいう)は、回動当接部314bの角Rよりも大きく形成されている。このように形成されることにより、回動起点部314aを軸にして回動当接部314bが当接しながら回動するため、回動起点部314a側では回動の中心軸がぶれにくく、回動当接部314b側では棚板回動部220に接する面積が小さいことから、支持側回動部314を滑らかに回動させることができる。また、回動起点部314aを軸にして回動当接部314bが描く円弧の軌跡に合わせて、棚軸部22における棚板回動部220(後述)の内周面が配置されることにより、支持側回動部314を滑らかに回動させることができる。
【0023】
延出部32は、支持本体部31の幅方向の他方側の側面から他方側に延設され、その先端部が高さ方向の天側に湾曲しており、先端面が設置面32aとなっている。延出部32は、設置面32aに手摺部材6を当接させて、固定手段(ボルト、接着剤等)を用いて取り付けることにより、手摺部材6を支持している。
【0024】
このような棚板支持部3は、高さ方向が上下方向で、幅方向の一方側が奥行き方向の奥側(壁面4側)で、幅方向の他方側が奥行き方向の手前側となる向きで、取付面30aを壁面4に当接させて取り付けられる。これにより、棚板支持部3は、壁面4から離れる手前側に向けて突設される。そして、載置部310が棚板2を載置可能となるように上向きに配置され、延出部32が支持本体部31よりも手前側に延設される。パイプ支持部315は、棚板2の載置面20より下方に配置される。
【0025】
図3は、本実施形態に係る棚1が備える棚板2を示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。図3に示すように、棚板2は、厚み方向の一端部に位置する載置面20と、該載置面20とは厚み方向の反対側の端部(厚み方向の他端部)に位置する載置裏面21と、棚板2の回動中心となる軸線Lを形成する棚軸部22と、を備えている。棚軸部22は、幅方向の一方側よりの領域、具体的には、載置裏面21の幅方向の一方側部分に配置されている。なお、棚板2は、内部の中央部に空洞部23が形成されており、これにより軽量化されている。また、棚板2に空洞部23が形成されていると、棚板2を発泡成型する際、外径寸法を精度良く形成することができる。
【0026】
載置面20は、平坦に形成されて、載置状態Aにおいて物品を載置可能に構成される物品載置部201と、該物品載置部201に対して幅方向の一方側に連続して、かつ、厚み方向の一方側に向かって突出する縁部202と、を備える。載置面20が縁部202を備えることにより、物品載置部201に載置された物品が幅方向の一方側に転落することを防止する。
【0027】
載置裏面21は、幅方向の他端部に、棚板支持部3における載置支持部311の載置当接面311bと当接する棚裏当接面21aを備えている。載置裏面21は、棚裏当接面21aが棚板支持部3における載置支持部311の載置当接面311bと当接することで、載置状態Aにおいて棚板2が棚板支持部3に支持される。
【0028】
棚軸部22は、厚み方向の他方側に開放するようC形状に凹んで形成され、内周面に棚板回動部220を備える。棚板回動部220は、例えば、樹脂(ABS樹脂、PP樹脂、アクリル樹脂等)、金属、木材等の材料で構成される。棚板回動部220は、軸線Lの方向が棚板2の長さ方向に沿った円筒形状であり、厚み方向の他方側が開放するよう一部が切り欠かれている。この棚板回動部220の内周面には、幅方向の他方側の端部から一方側へ向けて、載置固定凸部221と、回動起点凹部222と、起立固定凹部223と、起立規制凸部224と、回動周面225と、載置規制凸部226と、載置固定凹部227と、起立固定凸部228とが順に内周面に沿って設けられている。
【0029】
このような棚板2は、棚板支持部3に支持されている。具体的には、棚板2は、厚み方向が上下方向で、幅方向の一方側を奥行き方向の手前側で、幅方向の他方側を奥行き方向の奥側(壁面4側)となる向きで、棚板支持部3に支持されている。この状態が載置状態Aである。
【0030】
棚板2の載置状態Aから起立状態Bへの切り替えは、以下のとおりである。載置状態Aの棚板2を奥側の端部が手前側かつ上方に移動するように軸線Lを中心に回動させる。回動が完了すると、棚板2は幅方向の一方側が下向きで、他方側が上向きとなり、かつ、厚み方向が奥行き方向(具体的には、載置面20が手前側向き、載置裏面21が奥側向き)の姿勢で起立状態Bとなる。
【0031】
図4(a)は、棚板支持部3に支持された棚板2の載置状態Aを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。図4(a)に示すように、載置状態Aは、棚板回動部220の載置固定凸部221が支持軸部312の載置固定凹部313aに係合し、支持軸部312の回動当接部314bが棚板回動部220の載置固定凹部227に係合することにより固定されている。そして、棚板回動部220の載置規制凸部226によって、支持軸部312の回動当接部314bと棚板回動部220の載置固定凹部227との係合が解除されることを規制している。つまり、棚板2の回動を規制することで、載置状態Aが維持されている。載置状態Aにおいて、棚板2は、棚裏当接面21aが載置支持部311の載置当接面311bと当接することにより、棚板支持部3によって支持されている。また、棚板2の載置面20は、物品を載置可能となるように上向きに配置されている。
【0032】
載置状態Aでは、棚板2における載置面20の物品載置部201に物品を載置することができる。
【0033】
図4(b)は、棚板支持部3に支持された棚板2が回動する様子を示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。載置状態Aの棚板2は、棚裏当接面21aが載置支持部311の載置当接面311bから離れる方向に力を加えることにより、支持軸部312の回動当接部314bが棚板回動部220の載置規制凸部226を乗り越える。そして、図4(b)に示すように、棚板2は、支持軸部312の回動起点部314aと、棚板回動部220の回動起点凹部222との係合を維持したまま、回動周面225に回動当接部314bを当接させながら、載置状態Aの棚板2を奥側の端部が手前側かつ上方に移動するように、軸線Lを中心に回動を始める。つまり、棚板2は、載置状態Aから上方に回動する。また、棚板2は、載置状態Aにおける奥行き方向の奥側(壁面4側)端部が、手前側端部を起点として、壁面4から離れる方向に回動する。さらに棚板2を回動させることにより、回動当接部314bが棚板回動部220の起立規制凸部224を乗り越えて、起立状態Bとなる。
【0034】
図4(c)は、棚板支持部3に支持された棚板2の起立状態Bを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。図4(c)に示すように、起立状態Bは、支持軸部312の回動当接部314bが棚板回動部220の起立固定凹部223に係合し、棚板回動部220の起立固定凸部228が支持軸部312の起立固定凹部313bに係合することにより固定されている。そして、棚板回動部220の起立規制凸部224によって、支持軸部312の回動当接部314bと棚板回動部220の起立固定凹部223との係合が解除されることを規制している。つまり、棚板2の回動を規制することで、起立状態Bが維持されている。起立状態Bにおいて、棚板2は、載置面20が手前側向きで、載置裏面21が奥側向きで、かつ、手前側斜め上方に傾斜して配置されている。また、パイプ5は、棚板2の載置裏面21の下端部よりも奥側で、かつ、下方に配置されている。
【0035】
本実施形態に係る棚1は、起立状態Bにおいて、物品を支持するための立掛部7を備える。立掛部7は、物品の側面を支持する側面支持部71と、該物品の底面を支持する底面支持部72とを含む。図4(c)に示すように、棚板2の載置裏面21は側面支持部71を備え、パイプ5のパイプ本体部51は底面支持部72を備える。すなわち、本実施形態に係る棚1は、起立状態において、棚板2の載置裏面21(側面支持部71)とパイプ5のパイプ本体部51(底面支持部72)とで物品を支持することができる。
【0036】
本実施形態に係る棚1において、棚板2は、軸線Lを中心に載置状態Aから回動して起立する起立状態Bに切り替え可能に構成されている。そのため、省スペースで、しかも簡単な操作で棚板の傾斜角度を切り替えて、物品を支持する形態を変えることができる。
【0037】
本実施形態に係る棚1は、起立状態Bにおいて棚板2を起立させることができるため、例えば、浴室や台所等の水回りで棚1を使用する場合に、棚板2の載置面20を傾斜させて、容易に棚板2の水切りを行うことができる。
【0038】
本実施形態に係る棚1は、起立状態Bにおいて物品の側面を支持する側面支持部71と、該物品の底面を支持する底面支持部72とから構成される立掛部7を備えるため、例えば、浴室や台所等の水回りで棚1を使用する場合に、物品を立てて底面から支持するのではなく、物品を傾斜させて側面と底面とで支持して、容易に物品の水切りを行うことができる。
【0039】
本実施形態に係る棚1は、棚板2が、載置状態Aから上方に回動して起立する起立状態Bとなるように構成され、底面支持部72(パイプ5のパイプ本体部51)が載置状態Aの棚板2の載置面20より下方に配置され、棚板2の載置裏面21が側面支持部71を備えている。棚板2の載置裏面21が側面支持部71を備えることで簡潔な構造とすることができ、しかも、載置状態Aの棚板2の載置面20に対して底面支持部72(パイプ5のパイプ本体部51)を近づけて配置することができるので、載置状態Aにおける棚構造をコンパクトな構造としつつ、起立状態Bでは、底面支持部72(パイプ5のパイプ本体部51)と側面支持部71(棚板2の載置裏面21)とを離して物品の底面と側面とを確実に支持することができる。
【0040】
本実施形態に係る棚1は、棚板2の載置裏面21が側面支持部71を備え、棚板2とは別体で、かつ、棚板支持部3に支持される底面支持部72(パイプ5のパイプ本体部51)を備えている。側面支持部71を棚板2に備え、底面支持部72を棚板2とは別体で棚板支持部3に設けることで、棚構造を簡潔な構造としつつ、起立状態Bでは、側面支持部71(棚板2の載置裏面21)と底面支持部72(パイプ5のパイプ本体部51)とで安定して物品を支持することができる。
【0041】
本実施形態に係る棚1は、棚板支持部3が、棚軸部20を回動可能に支持する支持軸部30を備え、棚軸部20は、棚板2の起立状態Bから載置状態Aへの回動を規制すべく、解除可能に係合する起立固定凹部223及び起立固定凸部228を備え、支持軸部30はそれぞれに係合する回動当接部314b及び起立固定凹部313bを備える。そのため、起立状態Bを保持しやすく、物品を安定して保持することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0043】
例えば、前記実施形態に係る棚1は、棚板2の載置裏面21が側面支持部71を備え、棚板2とは別体で、かつ、棚板支持部3に支持される底面支持部72(パイプ5のパイプ本体部51)を備えている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、図5及び図6に示される構成であってもよい。
【0044】
図5は、他の実施形態に係る棚1の(a)載置状態A及び(b)起立状態Bを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。図5(a)に示すように、棚板2は、上向きに配置され、物品を載置可能な載置面20と、該載置面20とは反対側の載置裏面21と、載置面20の下方に配置され、中心軸線方向に長いパイプ5と、該パイプ5を支持する棚板側パイプ支持部24と、を備えている。パイプ5は、パイプ本体部51と、中心軸線方向の両端部に位置して棚板側パイプ支持部24から外方に突出するパイプ突出部53と、を備えている。棚1は、パイプ突出部53が棚板支持部3のパイプ支持部315に支持されることにより、パイプ5の中心軸線方向に軸線Lを形成して、軸線Lを中心に棚板2を回動させることができる。図5(b)に示すように、起立状態Bでは、棚板2の載置裏面21が側面支持部71を備え、棚板2のパイプ本体部51が底面支持部72を備えている。すなわち、棚板2の載置裏面21(側面支持部71)と棚板2のパイプ本体部51(底面支持部72)とで物品を支持することができる。
【0045】
図6は、他の実施形態に係る棚1の(a)載置状態A及び(b)起立状態Bを示す、軸線Lに垂直な方向における断面図である。図6(a)に示すように、棚板2は、長さ方向に延びて断面がL字状に形成され、奥行き方向に幅を有する横板部25と、該横板部25の手前側から下方に向かう方向に幅を有する縦板部26と、横板部25の手前側で、かつ、縦板部26が接続される位置に軸線Lを形成する棚軸部22と、を備えている。横板部25は、上向きに配置され、物品を載置可能な載置面20と、該載置面20とは反対側の載置裏面21と、を備えている。また、縦板部26は、手前側に位置する縦板表面26aと、該縦板表面26aとは反対側に位置する縦板裏面26bと、を備えている。すなわち、棚板2は、載置面側に載置面20と、該載置面20に接続する縦板表面26aと、を備え、載置面側とは反対側の載置裏面側に載置裏面21と、該載置裏面21に接続する縦板裏面26bと、を備えている。図6(b)に示すように、起立状態Bでは、横板部25の載置裏面21が側面支持部71を備え、縦板部26の縦板裏面26bが底面支持部72を備えている。すなわち、棚板2の載置裏面側に位置する横板部25の載置裏面21(側面支持部71)と棚板2における縦板部26の縦板裏面26b(底面支持部72)とで物品を支持することができる。
【0046】
他の実施形態に係る棚1は、棚板2における横板部25の載置裏面21及び縦板部26の縦板裏面26bに、それぞれ側面支持部71及び底面支持部72を備えるため、載置状態Aでは棚板2の載置面20側で物品の底面を支持し、起立状態Bでは棚板2の載置裏面21側で物品の側面及び底面を支持することができ、棚構造を簡潔な構造とすることができる。
【0047】
さらに、上記各実施形態に限らず、側面支持部71及び底面支持部72は、棚板2や棚板支持部3とは別の部材として形成することもできる。例えば、棚1が、壁面4に沿って配置される縦板を備え、該縦板が側面支持部3を備える場合や、棚1が、棚板2の下方で一対の棚板支持部3の間に配置される突出板を備え、該突出板が底面支持部3を備える場合であってもよい。いずれにしても、側面支持部71及び底面支持部72は、棚板2が起立した起立状態において、物品の側面及び底面を支持することができれば、様々な形態を採用可能である。
【0048】
前記実施形態に係る棚1では、棚板2が板状に形成されている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、棚板2が、複数の棒状部材が径方向に間隔を空けて並列して連結された簀の子状に形成されていてもよい。
【0049】
前記実施形態に係る棚1では、棚軸部22が、幅方向から見て載置裏面21の手前側に形成されている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、棚軸部22が、棚板2の載置面20側に形成されていてもよい。また、棚軸部2が、幅方向から見て載置裏面21の奥側に形成されていてもよいし、幅方向の中央部に形成されていてもよい。
【0050】
前記実施形態に係る棚1は、棚板2が、軸線Lを中心に載置状態Aから上方に回動する。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、棚板2が下方に回動して起立してもよい。或いは、棚板2が回動に加えてスライドする構成、例えば、載置状態Aからスライドして回動位置に移動し、その位置で回動する構成とすることもできる。
【0051】
前記実施形態に係る棚1は、棚板2が、軸線Lを中心に載置状態Aから手前側(壁面4から離れる側)に回動した。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、棚板2が載置状態Aから奥側(壁面4に接近する側)に回動して起立してもよい。
【0052】
前記実施形態に係る棚1は、同一の構造を有する2つの棚板2,2と、同一の構造を有する3つの棚板支持部3,3,3とを備えている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、棚板2及び棚板支持部3は、それぞれ異なる構造を有していてもよい。また、本発明に係る棚1は、棚板2及び棚板支持部3をそれぞれ一又は複数有していてもよい。
【0053】
前記実施形態に係る棚1において、棚板支持部3が備えるパイプ支持部315は、支持本体部31を厚み方向に貫通して形成されている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、パイプ支持部315は、支持本体部31の厚み方向の一方側から底部を有する孔を形成していてもよい。すなわち、パイプ支持部315は、支持本体部31を厚み方向に貫通せず、支持本体部31の厚み方向の他方側におけるパイプ支持部315は塞がれていてもよい。このようなパイプ支持部315を備える棚板支持部3は、棚1の軸線L方向の両端部に、パイプ支持部315が塞がれた側面がそれぞれ外側を向くように配置することができる。棚板支持部3をこのように配置することで、例えば、浴室や台所等の水回りで棚1を使用する場合に、パイプ支持部315への水の進入を抑制することができる。
【0054】
前記実施形態に係る棚1では、載置状態Aにおいて、棚板回動部220の載置固定凸部221が支持軸部312の載置固定凹部313aに係合し、支持軸部312の回動当接部314bが棚板回動部220の載置固定凹部227に係合している。また、起立状態Bにおいて、支持軸部312の回動当接部314bが棚板回動部220の起立固定凹部223に係合し、棚板回動部220の起立固定凸部228が支持軸部312の起立固定凹部313bに係合している。しかしながら、本発明に係る棚1における棚軸部20及び支持軸部30の係合部及び被係合部の形状は、上記構成に限定されるものではない。
【0055】
前記実施形態に係る棚1は、パイプ5のパイプ本体部51が物品の底面を支持する底面支持部72を備えている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、棚板2とは別体で、かつ、棚板支持部3に支持される板状部材が底面支持部72を備えていてもよい。すなわち、該板状部材が物品の底面を支持するように構成されていてもよい。
【0056】
前記実施形態に係る棚1は、手摺部材6が、棚板2の壁面4側とは反対側に離間して、棚板支持部3を介して間接的に壁面4に取り付けられている。しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではなく、手摺部材6が、棚板支持部3を介さずに壁面4に直接取り付けられていてもよい。また、本発明に係る棚1は、手摺部材6を備えていなくてもよい。
【0057】
以上、本発明に係る棚は、棚板と、壁面に突設されて該棚板を支持する棚板支持部とを備える棚であって、物品を載置可能な載置面と、前記壁面及び前記載置面に略平行な軸線を形成する棚軸部とを備え、物品を前記載置面に載置可能な載置状態と、前記軸線を中心に前記載置状態から回動して起立する起立状態とを切替可能に構成される棚板と、前記起立状態において物品の側面を支持する側面支持部と、該物品の底面を支持する底面支持部とを含む立掛部と、を備える。
【0058】
前記棚において、前記棚板は、前記軸線を中心に前記載置状態から回動して前記起立状態に切り替え可能に構成されているため、省スペースで、しかも簡単な操作で棚板の傾斜角度を切り替えて、物品を支持する形態を変えることができる。
【0059】
本発明に係る棚は、前記棚板が、前記載置状態から上方に回動して起立する起立状態となるように構成され、前記底面支持部が前記載置状態の棚板の載置面より下方に配置され、前記棚板が前記側面支持部を備えていてもよい。
【0060】
前記棚は、前記棚板が前記側面支持部を備えることで簡潔な構造とすることができ、しかも、前記載置状態の棚板の載置面に対して前記底面支持部を近づけて配置することができるので、前記載置状態における棚構造をコンパクトな構造としつつ、前記起立状態では、前記底面支持部と前記側面支持部とを離して物品の底面と側面とを確実に支持することができる。
【0061】
本発明に係る棚は、前記棚板が前記側面支持部を備え、前記棚板とは別体で、かつ、前記棚板支持部に支持される前記底面支持部を備えていてもよい。
【0062】
前記側面支持部を前記棚板に備え、前記底面支持部を前記棚板とは別体で前記棚板支持部に設けることで、棚構造を簡潔な構造としつつ、前記起立状態では、前記側面支持部(前記棚板)と前記底面支持部とで安定して物品を支持することができる。
【0063】
本発明に係る棚は、前記棚板が、前記載置状態の棚板の載置面側とは反対側の載置裏面側に前記側面支持部と前記底面支持部とを備えていてもよい。
【0064】
前記棚は、前記側面支持部と前記底面支持部とを前記棚板に備えることで、前記載置状態では前記棚板の載置面側で物品の底面を支持し、前記起立状態では前記棚板の載置裏面側で物品の側面及び底面を支持することができ、棚構造を簡潔な構造とすることができる。
【0065】
本発明に係る棚は、前記棚板支持部が、前記棚軸部を回動可能に支持する支持軸部を備え、前記棚軸部は、前記棚板の前記起立状態から前記載置状態への回動を規制すべく、解除可能に係合する係合部及び被係合部のうち一方を備え、前記支持軸部は、前記係合部及び前記被係合部のうち他方を備えていてもよい。
【0066】
前記棚は、前記棚軸部及び前記支持軸部が、前記棚板の前記起立状態から前記載置状態への回動を規制すべく、解除可能に係合しているため、前記起立状態を保持しやすく、物品を安定して保持することができる。
【0067】
本発明に係る棚は、前記棚板の壁面側とは反対側に離間して、前記壁面に取り付けられる動作補助用の手摺部材を備えていてもよい。
【0068】
前記棚は、動作補助用の手摺部材を備えることにより、例えば、浴室等で前記棚を使用する場合に、使用者の転倒事故を防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 棚
2 棚板
20 載置面
3 棚板支持部
4 壁面
7 立掛部
22棚軸部
71 側面支持部
72 底面支持部
A 載置状態
B 起立状態
L 軸線
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】