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特許7536936決済管理システム、決済管理装置、決済管理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】決済管理システム、決済管理装置、決済管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20240813BHJP
   G06Q 20/10 20120101ALI20240813BHJP
【FI】
G06Q20/20
G06Q20/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023051261
(22)【出願日】2023-03-28
【審査請求日】2023-03-28
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼原 啓太
(72)【発明者】
【氏名】マッハナ ナターシャ
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ファチュラーマン イズラ
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】田中 寛人
【審判官】古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-36169(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017516(WO,A1)
【文献】特開2003-58955(JP,A)
【文献】商品購入と同時に現金引き出しができる?キャッシュアウトとはなにか,[online],Block, Inc.,2020年05月04日,P.1-4,[2023年6月9日検索],インターネット,<URL:https://squareup.com/jp/ja/townsquare/what-is-cash-out>
【文献】au PAY 残高チャージご利用時のポイント加算変更について,[online],2022年09月30日,[2023年10月11日検索],インターネット,<URL:https://www.kddi-fs.com/contents/important/0262/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の所有する利用者端末装置において動作する決済アプリと、
前記利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置と、
を備える決済管理システムであって、
前記決済アプリは、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうちの何れの決済方法で前記カード決済を行うのかを前記利用者に選択させ、選択された前記決済方法を決済管理装置に送信し、
前記決済管理装置は
前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行し、前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行する決済処理部と、
前記決済金額に応じて、電子決済サービスにおいて電子マネーとして利用可能なポイントを前記利用者に付与するポイント付与部と、を備え、
前記ポイント付与部は、前記決済金額に基づく前記ポイントを前記利用者に付与する一方、前記引き出し金額に基づく前記ポイントを前記利用者に付与しない、
決済管理システム。
【請求項2】
前記決済処理部は、
前記決済処理において、前記決済情報に含まれる前記決済金額を前記チャージ残高から差し引くとともに、前記決済金額を前記店舗の口座に入金し、
前記現金引き出し処理において、前記引き出し情報に含まれる前記引き出し金額を前記チャージ残高から差し引くとともに、前記引き出し金額を前記店舗の口座に入金する、
請求項1記載の決済管理システム。
【請求項3】
前記決済処理部は、前記現金引き出し処理において、前記引き出し金額を前記利用者に支払うよう前記店舗端末装置に指示する、
請求項2記載の決済管理システム。
【請求項4】
前記決済処理部は、前記決済処理と前記現金引き出し処理の両方を実行する場合には、前記決済金額に基づいて決済手数料を算出する一方、前記引き出し金額に基づいて前記決済手数料を算出しない、
請求項1記載の決済管理システム。
【請求項5】
前記決済処理部は、前記決済処理を実行せずに前記現金引き出し処理を実行する場合には、前記引き出し金額に基づいて引き出し手数料を算出する、
請求項1記載の決済管理システム。
【請求項6】
前記決済処理部は、
前記決済方法として前記第1方法が選択されている場合には、前記現金引き出し処理を実行し、
前記決済方法として前記第2方法が選択されている場合には、前記現金引き出し処理を実行しない、
請求項1記載の決済管理システム。
【請求項7】
前記決済処理部は、前記利用者の本人確認が完了していない場合には、前記現金引き出し処理を実行しない、
請求項1記載の決済管理システム。
【請求項8】
前記カードは、通信チップがカード基材によって保持された物理カードである、
請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載の決済管理システム。
【請求項9】
利用者の所有する利用者端末装置において動作する決済アプリと、
前記利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置と、
を備える決済管理システムであって、
前記決済アプリは、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうちの何れの決済方法で前記カード決済を行うのかを前記利用者に選択させ、選択された前記決済方法を決済管理装置に送信し、
前記決済管理装置は、前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行し、前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行する決済処理部を有し、
前記決済処理部は、
前記決済処理と前記現金引き出し処理の両方を実行する場合には、前記決済金額に基づいて決済手数料を算出する一方、前記引き出し金額に基づいて前記決済手数料を算出せず、
前記決済処理を実行せずに前記現金引き出し処理を実行する場合には、前記引き出し金額に基づいて引き出し手数料を算出する、
決済管理システム。
【請求項10】
利用者の所有する利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置であって、
前記利用者端末装置において動作する決済アプリから、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうち、前記利用者によって選択された決済方法を受信する受信部と、
前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行し、前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行する決済処理部と、
前記決済金額に応じて、電子決済サービスにおいて電子マネーとして利用可能なポイントを前記利用者に付与するポイント付与部と、を備え、
前記ポイント付与部は、前記決済金額に基づく前記ポイントを前記利用者に付与する一方、前記引き出し金額に基づく前記ポイントを前記利用者に付与しない、
決済管理装置。
【請求項11】
利用者の所有する利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置であって、
前記利用者端末装置において動作する決済アプリから、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうち、前記利用者によって選択された決済方法を受信する受信部と、
前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行し、前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行する決済処理部と、を備え、
前記決済処理部は、
前記決済処理と前記現金引き出し処理の両方を実行する場合には、前記決済金額に基づいて決済手数料を算出する一方、前記引き出し金額に基づいて前記決済手数料を算出せず、
前記決済処理を実行せずに前記現金引き出し処理を実行する場合には、前記引き出し金額に基づいて引き出し手数料を算出する、
決済管理装置。
【請求項12】
利用者の所有する利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置が、
前記利用者端末装置において動作する決済アプリから、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうち、前記利用者によって選択された決済方法を受信し、
前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行し、
前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行し、
前記決済金額に応じて、電子決済サービスにおいて電子マネーとして利用可能なポイントを前記利用者に付与し、
前記決済金額に基づく前記ポイントを前記利用者に付与する一方、前記引き出し金額に基づく前記ポイントを前記利用者に付与しない、
決済管理方法。

【請求項13】
利用者の所有する利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置が、
前記利用者端末装置において動作する決済アプリから、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうち、前記利用者によって選択された決済方法を受信し、
前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行し、
前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行し、
前記決済処理と前記現金引き出し処理の両方を実行する場合には、前記決済金額に基づいて決済手数料を算出する一方、前記引き出し金額に基づいて前記決済手数料を算出せず、
前記決済処理を実行せずに前記現金引き出し処理を実行する場合には、前記引き出し金額に基づいて引き出し手数料を算出する、
決済管理方法。
【請求項14】
利用者の所有する利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置に、
前記利用者端末装置において動作する決済アプリから、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうち、前記利用者によって選択された決済方法を受信させ、
前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行させ、
前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行させ
前記決済金額に応じて、電子決済サービスにおいて電子マネーとして利用可能なポイントを前記利用者に付与させ、
前記決済金額に基づく前記ポイントを前記利用者に付与させる一方、前記引き出し金額に基づく前記ポイントを前記利用者に付与させない、
プログラム。
【請求項15】
利用者の所有する利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置に、
前記利用者端末装置において動作する決済アプリから、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうち、前記利用者によって選択された決済方法を受信させ、
前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行させ、
前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行させ、
前記決済処理と前記現金引き出し処理の両方を実行させる場合には、前記決済金額に基づいて決済手数料を算出させる一方、前記引き出し金額に基づいて前記決済手数料を算出させず、
前記決済処理を実行せずに前記現金引き出し処理を実行させる場合には、前記引き出し金額に基づいて引き出し手数料を算出させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済管理システム、決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デビットカード、電子マネーカード、または一つでこれら両方のカードの機能を併せ持つ取引カードを扱う取引決済端末装置の発明が開示されている(特許文献1)。この装置は、決済すべき取引金額を入力する第1の入力装置と、決済方式を指定入力する第2の入力装置を備えており、店舗の店員が第2の入力装置に決済方法を指定入力することで、カード決済の決済方法が切替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-118022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗で商品を購入する際に、商品の代金とは別にカードで現金を引き出すことができず、利用者にとって不便な場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、店舗で商品を購入する際に、商品の代金とは別にカードで現金を引き出すことを可能とし、利用者の利便性を向上することができる決済管理システム、決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、利用者の所有する利用者端末装置において動作する決済アプリと、前記利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、前記利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置と、を備える決済管理システムであって、前記決済アプリは、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうちの何れの決済方法で前記カード決済を行うのかを前記利用者に選択させ、選択された前記決済方法を決済管理装置に送信し、前記決済管理装置は、前記利用者が前記カードを利用して購入しようとする前記商品の決済金額を含む決済情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記決済アプリから受信した前記決済方法で決済処理を実行し、前記利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を前記店舗端末装置から受信した場合、前記チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行する決済処理部を有する、決済管理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、店舗で商品を購入する際に、商品の代金とは別にカードで現金を引き出すことを可能とし、利用者の利便性を向上することができる決済管理システム、決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
図2】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その1)である。
図3】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その2)である。
図4】決済サーバ100の構成図である。
図5】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
図6】加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。
図7】端末決済とカード決済のそれぞれの処理を概念的に示す図である。
図8】カード決済設定情報210の内容の一例を示す図である。
図9】決済アプリ20のトップ画面IM1と、決済方法切替画面IM2の一例を示す図である。
図10】現金引き出し処理の概要を示す図である。
図11】決済方法設定処理の流れを示すシーケンス図である。
図12】決済処理および現金引き出し処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の決済管理システム、決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。アプリケーションプログラムと決済サーバおよび提携クレジットカード会社サーバは、協働して電子決済サービスを提供する。以下の説明ではアプリケーションプログラムを決済アプリと称する。また、決済アプリと決済管理装置とを合わせたものを決済管理システムと称する場合がある。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店(ブランド)に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の決済などの処理は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、決済などの処理が利用者と店舗との間で行われてもよい。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済管理装置300を中心として実現される。決済管理装置300は、決済サーバ100と、提携クレジットカード会社サーバ200とを含む。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の第1店舗端末装置50、一以上のクレジット処理端末55、一以上の第2店舗端末装置70、および提携クレジットカード会社サーバ200のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置10にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
第1店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。第1店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。第1店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンなどの端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0013】
クレジット処理端末55は、第1店舗端末装置50と同様に、店舗に設置される。クレジット処理端末55は、例えば、クレジット決済端末(クレジットカードリーダー)と、POS装置を含む。クレジット決済端末は、挿入され又は翳されたクレジットカード(提携カード57を含む)からPIN(Personal Identification Number)を読み取って利用者により入力されたPINと照合したり、クレジットカードから読み取ったBIN(Bank Identification Number)コード等を、POS装置を介して提携クレジットカード会社サーバ200に送信したりする。POS装置は、クレジット決済端末と協働して決済額等の情報を提携クレジットカード会社サーバ200に送信する。クレジット処理端末55と提携クレジットカード会社サーバ200の間に、立替払取次業者サーバ(acquirer)が介在してもよい。以下では説明を簡略化するために、立替払取次業者サーバについての記述を省略する。提携カード57は、例えば、一般的に普及しているクレジットカードと同様の態様のものであり、通信チップがカード基材に埋め込まれたものである。通信チップはPINを記憶した記憶媒体を内蔵し、コンタクタ(或いは無線アンテナ)を介して外部装置と通信する。これに代えて、提携カード57は磁気カードであってもよい。
【0014】
第2店舗端末装置70は、加盟店の運営者によって使用される。第2店舗端末装置70は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。第2店舗端末装置70では、加盟店向けインターフェース72が動作する。加盟店向けインターフェース72は、加盟店向けアプリであってもよいし、ブラウザであってもよい。加盟店向けインターフェース72は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。スマートフォンである第2店舗端末装置70は、加盟店向けアプリを実行することで、店舗コード画像に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有する。
【0015】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。第1店舗端末装置50は、POS装置と加盟店サーバを含む場合があり、その場合、POS装置から加盟店サーバを介して決済情報が決済サーバ100に送信される。以下の説明では、これを特に区別せず、第1店舗端末装置50から決済情報が送信されるものとする。
【0016】
提携クレジットカード会社サーバ200は、電子決済サービスの一部である提携クレジットカード決済を管理する。提携クレジットカード会社サーバ200は、例えば、決済サーバ100のグループ会社(提携クレジットカード会社)によって運営される。提携クレジットカード会社は、チャージ残高にチャージするファンドソース(資金源)としてのクレジットカードを提供する外部クレジットカード会社とは別事業者であってよい。
【0017】
図2および図3は、電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。
【0018】
図2に示すパターン1(以下、ユーザスキャンと称する)の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする(S1)。店舗コード画像60には、店舗URL(Uniform Resource Locator)の情報が含まれている。この店舗URLは、電子決済サービスのドメインに対して店舗を識別可能な情報が付加されたものであり、決済サーバ100において加盟店IDや店舗ID等との対応付けがなされている(後述)。決済アプリ20は、店舗URLとアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDから、店舗情報(後述)を検索して加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する(S5)。そして、利用者端末装置10は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。決済サーバ100は、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像60が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像60には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0019】
図3に示すパターン2(以下、ストアスキャンと称する)の場合、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコード(登録商標)やバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を第1店舗端末装置50に翳し(提示し)、第1店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、第1店舗端末装置50は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、電子決済を行う(S17)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0020】
なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、図2で説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
【0021】
[決済サーバ]
図4は、決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部130と、情報管理部140と、ポイント付与部150と、記憶部170とを備える。決済コンテンツ提供部120、決済処理部130、情報管理部140、およびポイント付与部150は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0022】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、加盟店/店舗情報176などの情報が格納される。
【0023】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0024】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0025】
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部130は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。
【0026】
図5は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワードの他、メールアドレス、利用者ID、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、後払い設定、端末決済方法、カード決済方法、提携カード番号、銀行口座、クレジットカード番号、ポイント、チャージ履歴情報、決済履歴情報などの情報が対応付けられたものである。利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものであり、利用者IDは、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)IDである。メールアドレス、および氏名・住所・生年月日も同様に、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)情報である。登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。
【0027】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。後払い設定は、後払いによる電子決済を可能とするための設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。後払い設定は、後述する「端末決済」と「カード決済」に共通するフラグ情報である。端末決済の後払いを利用可能な利用者は、提携カード57が渡されている利用者である。なお、これに代えて、後払い設定は「端末決済」と「カード決済」で別々に設定される設定情報であってもよい。端末決済方法は、「端末決済」において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。カード決済方法は、「カード決済」において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。カード決済方法については提携クレジットカード会社サーバ200との間でリアルタイム同期がなされる。提携カード番号は、提携カード57の番号(例えばPAN(Primary Account Number))である。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。このクレジットカード番号は、提携カード57とは別のクレジットカードの番号である。ポイントは、決済アプリ20を用いて電子決済が行われる度に獲得される値であり、電子決済サービスにおいて電子マネーとして使用可能である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額、決済方法など)を、決済ごとに示す情報である。
【0028】
図6は、加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。加盟店/店舗情報176は、例えば、店舗URLに対して加盟店IDと店舗IDが対応付けられた第1テーブル176Aと、加盟店IDに対して加盟店名と売上金(前述)が対応付けられた第2テーブル176Bと、店舗IDに対して店舗名が対応付けられた第3テーブル176Cとを含む。加盟店/店舗情報176には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。
【0029】
情報管理部140は、利用者端末装置10や第2店舗端末装置70から取得した情報に基づいて、利用者情報172および加盟店/店舗情報176を管理する。情報管理部140は、利用者情報172および加盟店/店舗情報176について新規レコードの追加、編集、削除などを行う。
【0030】
ポイント付与部150は、決済金額に応じて、電子決済サービスにおいて電子マネーとして利用可能なポイントを利用者に付与する。例えば、ポイント付与部150は、電子決済が完了した際、決済金額の1%分のポイントを利用者情報172におけるポイントの項目値に加算してもよい。
【0031】
ここで、端末決済とカード決済について説明する。図7は、端末決済とカード決済のそれぞれの処理を概念的に示す図である。以下に説明するように、電子決済サービスは、(1)端末決済/チャージ残高による支払い、(2)端末決済/後払いによる支払い、(3)カード決済/チャージ残高による支払い、(4)カード決済/後払いによる支払いの4パターンの電子決済を行うことができる。
【0032】
[端末決済]
(1)決済サーバ100(決済処理部130)が、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報を取得すると、端末決済が開始される。決済サーバ100は、利用者情報172を参照して当該利用者の「端末決済方法」を取得する。決済サーバ100は、「端末決済方法」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、自身の処理によって電子決済を行う。この場合、決済処理部130が、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。
【0033】
(2)端末決済において決済サーバ100は、「端末決済方法」が「後払い」に設定されている利用者に関して、利用者情報172を参照して得られる当該利用者の提携カード番号と共に、決済情報を提携クレジットカード会社サーバ200に転送する。提携クレジットカード会社サーバ200は、決済情報の示す決済額の累計が当月の上限を超えていないかどうかを確認し、上限を超えていない場合は取得した決済額を当該利用者の決済額の累計に加算するなどの処理を行う。決済額の累計金額は、例えば、一か月分まとめて翌月の支払日に銀行口座からの引き落とし等によって決済される。
【0034】
[カード決済]
(3)提携クレジットカード会社サーバ200がクレジット処理端末55から決済情報を取得すると、提携カード57を用いた電子決済(カード決済)が開始される。提携クレジットカード会社サーバ200は、記憶部(不図示)に記憶させているカード決済設定情報210を参照する。図8は、カード決済設定情報210の内容の一例を示す図である。カード決済設定情報210は、利用者に固有の情報(例えばPAN)と、カード決済方法と、当該利用者のアカウントIDとが互いに対応付けられた情報である。カード決済方法およびアカウントIDは、図5の利用者情報172に含まれるものと同じ情報であり、決済サーバ100との間で同期連携がなされている。提携クレジットカード会社サーバ200は、「カード決済方法」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、カード決済設定情報210を参照して得られる当該利用者のアカウントIDと共に、決済情報を決済サーバ100に転送する。決済サーバ100は、取得した決済情報に基づいて、端末決済において「端末決済方法」が「チャージ残高」に設定されている場合と同様の処理を行う。
【0035】
(4)カード決済において、提携クレジットカード会社サーバ200は、「カード決済方法」が「後払い」に設定されている利用者に関して、自身の処理によって電子決済を行う。この場合、提携クレジットカード会社サーバ200は、端末決済において「端末決済方法」が「後払い」に設定されている場合と同様の処理を行う。
【0036】
「端末決済」と「カード決済」のそれぞれにおける「チャージ残高」と「後払い」の切り替えは、決済アプリ20に対する利用者の操作に応じて行われる。決済アプリ20は、「端末決済」において「チャージ残高」と「後払い」のいずれかの決済方法(または他の決済方法)を選択するためのインターフェース画面と、「カード決済」において「チャージ残高」と「後払い」のいずれかの決済方法(または他の決済方法)を選択するためのインターフェース画面と、を別々に利用者に提供する。
【0037】
図9は、決済アプリ20のトップ画面IM1と、決済方法切替画面IM2の一例を示す図である。図9の左図に示すように、例えば、決済アプリ20のトップ画面IM1には、スマホ決済に使用されるバーコードやQRコード(登録商標)等のコード画像が含まれる領域A1、チャージ、スキャンなどのスマホ決済における主要な動作を指示するためのアイコンが設定される領域A2、電子決済サービスにおける様々なサービス設定を指示するための各種アイコンが設定される領域A3が含まれる。領域A3には、カード決済における決済方法の切替え指示を受け付けるためのアイコンIC1が設定されている。アイコンIC1を利用者が操作すると、図9の右図に示される決済方法切替画面IM2に遷移する。
【0038】
決済方法切替画面IM2には、例えば、「クレジット払い」なる表記と共に、オン、オフのいずれかに操作可能なソフトウェアスイッチSSが設けられている。利用者がソフトウェアスイッチSSをオン、オフのいずれかに操作することで、カード決済における決済方法を、チャージ残高によって電子決済を行う方法(第1方法)と、後払いによって電子決済を行う方法(第2方法)とのいずれかに設定することができる。ソフトウェアスイッチSSの状態が切り替えられると、決済アプリ20と連携する決済サーバ100は、切り替わった後の状態を提携クレジットカード会社サーバ200に伝える。例えば、情報管理部140が主体となってこの処理を行うが、他の機能部が行ってもよい。
【0039】
決済サーバ100は、ソフトウェアスイッチSSがオフの状態からオンの状態に切り替わった場合、カード決済方法設定を「後払い」に変更するように提携クレジットカード会社サーバ200に指示する。一方、決済サーバ100は、ソフトウェアスイッチSSがオンの状態からオフの状態に切り替わった場合、カード決済方法設定を「チャージ残高」に変更するように提携クレジットカード会社サーバ200に指示する。このとき、情報管理部140は、利用者情報172におけるカード決済方法設定も変更する。
【0040】
[現金引き出し処理]
図10は、現金引き出し処理の概要を示す図である。現金引き出し処理は、店舗での商品購入時に、チャージ残高から現金を引き出す処理である。図10を用いて、200円の商品の購入と1000円の現金の引き出しとを行う例について説明する。
【0041】
まず、利用者は200円の商品を購入しようとする際(S21)、店舗にて1000円の現金引き出し額を追加する(S22)。具体的に、利用者は、店舗における商品購入時に1000円を引き出したい旨を店舗のスタッフに伝える。店舗のスタッフは、第1店舗端末装置50に現金引き出し額として1000円を入力する。電子決済業者は、商品の購入金額(200円)と現金引き出し額(1000円)とを合計した1200円を、利用者のチャージ残高から差し引く(S23)。その後、利用者は、店舗のスタッフから商品とともに1000円の現金を受け取る(S24)。これによって、利用者は、店舗での商品購入時に、チャージ残高から現金を引き出すことができる。
【0042】
なお、利用者は電子決済サービスを利用した際に電子決済業者に決済手数料を支払う必要があるものの、現金引き出し処理についての手数料は発生しない。このため、決済サーバ100の決済処理部130は、決済処理と現金引き出し処理の両方を実行する場合には、決済金額に基づいて決済手数料を算出する一方、引き出し金額に基づいて決済手数料を算出しない。これによって、利用者に対して現金引き出し処理についての手数料が請求されることを防止することができる。
【0043】
例えば、銀行のATMで現金を引き出す場合、利用者は手数料(例えば200円)を支払わなければならない。一方、本実施形態の現金引き出し処理によれば、現金を引き出すための手数料は不要である。このため、銀行のATMで200円の手数料を支払うよりは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗で200円分の商品を買う方が利用者にとって利益がある。したがって、本実施形態によれば、店舗における利用者の商品購入意欲を増大させることができる。
【0044】
また、商品購入のための現金を銀行のATMで現金を引き出す場合、利用者は銀行のATMと商品を販売している店舗の両方で手続きを行う必要があり、利用者にとって不便であった。一方、本実施形態の現金引き出し処理によれば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗で商品購入と現金の引き出しの両方の手続きを行うことができる。このため、本実施形態によれば、利用者の利便性を向上することができる。
【0045】
なお、利用者が商品を購入せずに現金の引き出しのみを行おうとする場合、店舗にとっては、現金引き出しのための作業が増えるだけでメリットが無い。このため、決済サーバ100の決済処理部130は、決済処理を実行せずに現金引き出し処理を実行する場合には、引き出し金額に基づいて引き出し手数料を算出してもよい。これによって、利用者が商品を購入せずに現金の引き出しのみを行う場合であっても、店舗は引き出し手数料を受け取ることができる。
【0046】
また、利用者は電子決済サービスを利用した際にポイントが付与されるものの、現金引き出し処理についてはポイントが付与されない。このため、決済サーバ100のポイント付与部150は、決済金額に基づいて利用者に付与するポイントを算出する一方、引き出し金額に基づいて利用者に付与するポイントを算出しない。これによって、利用者に対して必要以上のポイントが付与されてしまうことを防止することができる。
【0047】
[シーケンス図]
図11は、決済方法設定処理の流れを示すシーケンス図である。まず、決済アプリ20は、図9に示される決済方法切替画面IM2を表示し、利用者にカード決済方法を選択させる(S101)。利用者がカード決済方法を選択すると、決済アプリ20は、選択されたカード決済方法を決済サーバ100に送信する(S102)。なお、選択されたカード決済方法は、第1方法(チャージ残高による決済方法)または第2方法(後払いによる決済方法)を示す情報である。
【0048】
決済サーバ100の情報管理部140は、決済アプリ20から受信したカード決済方法に基づき、利用者情報172を更新する(S103)。具体的に、情報管理部140は、利用者情報172におけるカード決済方法の項目に、決済アプリ20から受信したカード決済方法(「チャージ残高」または「後払い」)を書き込む。その後、情報管理部140は、通信部110を制御して提携クレジットカード会社サーバ200にカード決済方法を送信する(S104)。
【0049】
提携クレジットカード会社サーバ200は、決済サーバ100から受信したカード決済方法に基づき、カード決済設定情報210を更新する(S105)。具体的に、提携クレジットカード会社サーバ200は、カード決済設定情報210におけるカード決済方法の項目に、決済サーバ100から受信したカード決済方法(「チャージ残高」または「後払い」)を書き込む。以上の処理によって、決済サーバ100と提携クレジットカード会社サーバ200との間で、カード決済方法のリアルタイム同期がなされる。
【0050】
図12は、決済処理および現金引き出し処理の流れを示すシーケンス図である。本シーケンス図は、利用者が店舗にて商品を購入する際に、第1店舗端末装置50で商品の決済金額が入力された後に行われる処理の流れである。
【0051】
まず、店舗のスタッフによって第1店舗端末装置50に引き出し金額が入力される(S201)。例えば、店舗のスタッフは、商品購入時に利用者から口頭で伝えられた引き出し金額を、第1店舗端末装置50に入力する。
【0052】
次に、クレジット処理端末55は、クレジットカードリーダーを用いて利用者の所有する提携カード57を読み取る(S202)。これによって、クレジット処理端末55は、提携カード57のカード情報(PAN等)を取得する。その後、クレジット処理端末55は、提携カード57のカード情報を第1店舗端末装置50に送信する(S203)。
【0053】
次に、第1店舗端末装置50は、少なくとも商品の決済金額を含む決済情報を生成し、生成した決済情報を提携クレジットカード会社サーバ200に送信する(S204)。また、第1店舗端末装置50は、少なくとも現金の引き出し金額を含む引き出し情報を生成し、生成した引き出し情報を提携クレジットカード会社サーバ200に送信する(S205)。このとき、第1店舗端末装置50は、利用者の提携カード57を特定するための情報として、提携カード57のPANについても提携クレジットカード会社サーバ200に送信する。
【0054】
次に、提携クレジットカード会社サーバ200は、第1店舗端末装置50から受信した提携カード57のPANに基づき、カード決済設定情報210を読み出す(S206)。このとき、提携クレジットカード会社サーバ200は、第1店舗端末装置50から受信した提携カード57のPANに対応付けられたカード決済方法を、カード決済設定情報210から取得する。
【0055】
本実施形態の現金引き出し処理は、カード決済方法が「チャージ残高」の場合にしか行えないこととなっている。すなわち、決済サーバ100の決済処理部130は、決済方法として第1方法(チャージ残高)が選択されている場合には、現金引き出し処理を実行し、決済方法として第2方法(後払い)が選択されている場合には、現金引き出し処理を実行しない。このため、カード決済設定情報210から取得したカード決済方法が「後払い」の場合には、提携クレジットカード会社サーバ200は、現金引き出し処理を行えない旨の通知を第1店舗端末装置50に送信する。また、第1店舗端末装置50は、提携クレジットカード会社サーバ200からの通知に応じて、カード決済方法を「チャージ残高」に変更しないと現金引き出し処理を行えない旨のメッセージを表示する。
【0056】
一方、カード決済設定情報210から取得したカード決済方法が「チャージ残高」の場合には、提携クレジットカード会社サーバ200は、少なくとも商品の決済金額を含む決済情報を決済サーバ100に送信する(S207)。また、提携クレジットカード会社サーバ200は、少なくとも現金の引き出し金額を含む引き出し情報を決済サーバ100に送信する(S208)。このとき、提携クレジットカード会社サーバ200は、カード決済設定情報210から利用者のアカウントIDを取得し、取得した利用者のアカウントIDについても決済サーバ100に送信する。
【0057】
次に、決済サーバ100は、提携クレジットカード会社サーバ200から受信した決済情報に基づいて決済処理を行う(S209)。具体的に、決済サーバ100の決済処理部130は、決済処理において、決済情報に含まれる決済金額を、提携クレジットカード会社サーバ200から受信したアカウントIDに対応する利用者のチャージ残高から差し引くとともに、決済金額を店舗の口座に入金する。
【0058】
また、決済サーバ100は、提携クレジットカード会社サーバ200から受信した引き出し情報に基づいて現金引き出し処理を行う(S210)。具体的に、決済処理部130は、現金引き出し処理において、引き出し情報に含まれる引き出し金額を、提携クレジットカード会社サーバ200から受信したアカウントIDに対応する利用者のチャージ残高から差し引くとともに、引き出し金額を店舗の口座に入金する。また、決済処理部130は、現金引き出し処理において、引き出し金額を利用者に支払うよう第1店舗端末装置50に指示する。この指示に従って、店舗のスタッフは、引き出し金額分の現金を利用者に支払う。
【0059】
その後、決済サーバ100は、決済処理および引き出し処理が完了したことを知らせる完了通知を、提携クレジットカード会社サーバ200および第1店舗端末装置50に送信する(S211、S212)。
【0060】
なお、決済サーバ100の決済処理部130は、利用者の本人確認が完了していない場合には、現金引き出し処理を実行しないようにしてもよい。例えば、本人確認の手法としては、eKYC(electronic Know Your Customer)等のオンライン本人確認が用いられてよい。これによって、現金引き出し処理の安全性を向上することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の決済管理システムは、決済アプリ20と、決済管理装置300(決済サーバ100および提携クレジットカード会社サーバ200)とを備える。決済アプリ20は、利用者の所有する利用者端末装置10において動作する。決済管理装置300は、利用者端末装置10と、商品を販売する店舗に設置された第1店舗端末装置50と通信可能であり、利用者に付与される提携カード57を利用したカード決済を行う。決済アプリ20は、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうちの何れの決済方法でカード決済を行うのかを利用者に選択させ、選択された決済方法を決済管理装置300に送信する。決済管理装置300は、利用者が提携カード57を利用して購入しようとする商品の決済金額を含む決済情報を第1店舗端末装置50から受信した場合、決済アプリ20から受信した決済方法で決済処理を実行し、利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を第1店舗端末装置50から受信した場合、チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行する決済処理部130を有する。これによって、本実施形態の決済管理システムは、店舗で商品を購入する際に、商品の代金とは別にカードで現金を引き出すことを可能とし、利用者の利便性を向上することができる。
【0062】
また、本実施形態の決済管理装置300(決済サーバ100および提携クレジットカード会社サーバ200)は、利用者の所有する利用者端末装置10と、商品を販売する店舗に設置された第1店舗端末装置50と通信可能であり、利用者に付与される提携カード57を利用したカード決済を行う。決済管理装置300は、利用者端末装置10において動作する決済アプリ20から、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうち、利用者によって選択された決済方法を受信する通信部(受信部)110と、利用者が提携カード57を利用して購入しようとする商品の決済金額を含む決済情報を第1店舗端末装置50から受信した場合、決済アプリ20から受信した決済方法で決済処理を実行し、利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を第1店舗端末装置50から受信した場合、チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行する決済処理部130と、を備える。これによって、本実施形態の決済管理装置300は、店舗で商品を購入する際に、商品の代金とは別にカードで現金を引き出すことを可能とし、利用者の利便性を向上することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、決済管理装置300は、決済サーバ100および提携クレジットカード会社サーバ200を備えることとしたが、これに限らない。例えば、決済管理装置300は、決済サーバ100の機能と提携クレジットカード会社サーバ200の機能とを備える一つのサーバであってもよい。
【0064】
また、利用者は、商品購入時に引き出し金額を店舗のスタッフに口頭で伝えることとしたが、これに限らない。例えば、利用者は、引き出し金額を予め決済アプリ20に入力しておき、決済アプリ20は、入力された引き出し金額と利用者のアカウントIDとを提携クレジットカード会社サーバ200に送信し、提携クレジットカード会社サーバ200は、アカウントIDに対応付けて引き出し金額をカード決済設定情報210に記録してもよい。そして、提携クレジットカード会社サーバ200は、第1店舗端末装置50から決済情報を受信したことに応じて、決済情報と引き出し情報とを決済サーバ100に送信することにより、決済サーバ100に決済処理および現金引き出し処理を実行させてもよい。これによって、利用者が商品購入時に引き出し金額を店舗のスタッフに伝えることや、店舗のスタッフが引き出し金額を第1店舗端末装置50に入力する手間を省くことができる。
【0065】
また、提携カード57は、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード等と称されているものと同様の構成を有する物理カードであってよい。具体的に、提携カード57は、接触式通信を行うためのコンタクタ、または非接触通信を行うためのアンテナと、ICチップとがカード基材によって保持された物理カードであってよい。コンタクタまたはアンテナとICチップとを合わせたものが通信チップの一例である。ICチップは、通信制御装置、記憶装置、受信したコマンドに応じた処理を行いレスポンスを返す制御装置等を含んでいてよい。ICチップの記憶装置には、アカウントIDやカード番号の他、暗証番号、決済サーバ100との相互認証に用いられる鍵情報などが格納されていてよい。この場合、クレジット処理端末55は、利用者の物理カードから情報を読み取り、決済サーバ100は、利用者の物理カードから読み取られた情報に基づいて、決済処理と引き出し処理を行ってもよい。
【0066】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
50 第1店舗端末装置
55 クレジット処理端末
57 提携カード
100 決済サーバ
110 通信部
120 決済コンテンツ提供部
130 決済処理部
140 情報管理部
150 ポイント付与部
170 記憶部
172 利用者情報
174 決済コンテンツ情報
176 店舗情報
200 提携クレジットカード会社サーバ
210 カード決済設定情報
300 決済管理装置
【要約】
【課題】店舗で商品を購入する際に、商品の代金とは別にカードで現金を引き出すことを可能とし、利用者の利便性を向上すること。
【解決手段】利用者の所有する利用者端末装置と、商品を販売する店舗に設置された店舗端末装置と通信可能であり、利用者に付与されるカードを利用したカード決済を行う決済管理装置であって、利用者端末装置において動作する決済アプリから、チャージ残高による決済を行う第1方法および後払いによる決済を行う第2方法のうち、利用者によって選択された決済方法を受信し、利用者がカードを利用して購入しようとする商品の決済金額を含む決済情報を店舗端末装置から受信した場合、決済アプリから受信した決済方法で決済処理を実行し、利用者が引き出そうとする引き出し金額を含む引き出し情報を店舗端末装置から受信した場合、チャージ残高から現金を引き出すための現金引き出し処理を実行する決済管理装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12