(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】着弾方位の音響現示装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F41G 3/26 20060101AFI20240813BHJP
F41A 33/00 20060101ALI20240813BHJP
F41J 5/24 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F41G3/26 A
F41A33/00
F41G3/26 B
F41J5/24
(21)【出願番号】P 2023102640
(22)【出願日】2023-06-22
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000221155
【氏名又は名称】東芝電波プロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】武部 良
(72)【発明者】
【氏名】原 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】木所 晃利
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-010194(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114777563(CN,A)
【文献】特開2004-085033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0023995(US,A1)
【文献】特表平11-510245(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0092077(KR,A)
【文献】米国特許第06561809(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0131325(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G 3/26
F41A 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火器からの砲弾の方位を音響によって訓練者に現示する装置であって、
前記砲弾の発射位置および着弾位置を含む情報を受信する受信部と、
前記訓練者の位置を測定する位置センサと、
前記発射位置、前記着弾位置、および前記訓練者の位置に基づいて、前記砲弾の発射絶対方位および着弾絶対方位を計算する第1の計算部と、
前記訓練者の方位を測定する方位センサと、
前記訓練者の方位、前記発射絶対方位、および前記着弾絶対方位に基づいて、前記砲弾の前記訓練者の位置に対する発射相対方位および着弾相対方位を計算する第2の計算部と、
前記訓練者によって装着されるU字形状の装着部に、前記装着部のU字形状の外周に沿って離散的に配置されることによって、異なる方位にそれぞれ配置された複数の発音器と、
前記複数の発音器のうち、前記着弾相対方位に最も一致する方位に設けられた発音器から、前記着弾を示す音を出力させる出力制御部と
を備えた、音響現示装置。
【請求項2】
前記情報は、前記砲弾の発射時刻をさらに含み、
前記第1の計算部は、さらに前記発射時刻に基づいて、前記砲弾が前記着弾位置に着弾する着弾時刻を計算し、
前記出力制御部はさらに、前記着弾時刻において、前記着弾を示す音を出力させる、
請求項1に記載の音響現示装置。
【請求項3】
前記出力制御部はさらに、前記複数の発音器のうち、前記発射相対方位に最も一致する方位に設けられた発音器から、前記砲弾の発射を示す音を出力させる、
請求項2に記載の音響現示装置。
【請求項4】
前記出力制御部はさらに、前記発射時刻において、前記発射を示す音を出力させる、
請求項3に記載の音響現示装置。
【請求項5】
前記出力制御部はさらに、前記着弾を示す音を、前記発射を示す音よりも大きな音量で出力させる、
請求項4に記載の音響現示装置。
【請求項6】
火器からの砲弾の方位を音響によって訓練者に現示する方法であって、
前記砲弾の発射位置および着弾位置に関する情報を受信部が受信するステップと、
前記訓練者の位置を位置センサが測定するステップと、
前記発射位置、前記着弾位置、および前記訓練者の位置に基づいて、前記砲弾の発射絶対方位および着弾絶対方位をプロセッサが計算するステップと、
前記訓練者の方位を方位センサが測定するステップと、
前記訓練者の方位、前記発射絶対方位、および前記着弾絶対方位に基づいて、前記砲弾の前記訓練者の位置に対する発射相対方位および着弾相対方位を前記プロセッサが計算するステップと、
前記訓練者によって装着されるU字形状の装着部に、前記装着部のU字形状の外周に沿って離散的に配置されることによって、異なる方位にそれぞれ配置された複数の発音器のうち、前記着弾相対方位に最も一致する方位に設けられた発音器が、前記着弾を示す音を出力するステップと
を含む、音響現示方法。
【請求項7】
火器からの砲弾の方位を音響によって訓練者に現示するためのプログラムであって、
前記砲弾の発射位置および着弾位置に関する情報を受信部に受信させる機能、
前記訓練者の位置を位置センサに測定させる機能、
前記発射位置、前記着弾位置、および前記訓練者の位置に基づいて、前記砲弾の発射絶対方位および着弾絶対方位を計算する機能、
前記訓練者の方位を方位センサに測定させる機能、
前記訓練者の方位、前記発射絶対方位、および前記着弾絶対方位に基づいて、前記砲弾の前記訓練者の位置に対する発射相対方位および着弾相対方位を計算する機能、
前記訓練者によって装着されるU字形状の装着部に、前記装着部のU字形状の外周に沿って離散的に配置されることによって、異なる方位にそれぞれ配置された複数の発音器のうち、前記着弾相対方位に最も一致する方位に設けられた発音器から、前記着弾を示す音を出力させる機能
をプロセッサに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交戦訓練において、着弾方位を音響により現示する装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交戦訓練では、訓練者には、センサや、音を表示する表示器などが装備されており、重火器からの砲撃については、着弾位置およびその効果範囲が設定されている。
【0003】
交戦訓練では、実弾を用いて訓練者を砲撃することはしないが、その代わりに、訓練者は、設定された着弾位置や効果範囲内に入ると、砲撃によって撃たれたとみなされる。この場合、訓練者に装着されたセンサが振動したり、表示器が音等を出力することによって、訓練者に相応の損耗が与えられる。これによって、訓練者は、撃たれたとみなされたことを認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-158287号公報
【文献】特開2014-185820号公報
【文献】特開2012-163271号公報
【文献】特開2004-308924号公報
【文献】特開2007-010194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の交戦訓練では、訓練者は、撃たれたとみなされたことは認識できるが、例えば、どこから発射された砲弾が、どこに着弾したから撃たれたとみなされたのか、といった撃たれた時の具体的な状況は分からない。
【0006】
これでは、訓練者は、正しい回避行動をとることができないのみならず、今後の訓練や実戦において反映すべき新たな知見を得ることもできず、高い訓練効果を得ることはできない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、交戦訓練において、訓練者が、撃たれたとみなされたときの具体的な状況を把握できるように、砲弾の方位を音響で現示する装置、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の音響現示装置は、火器からの砲弾の方位を音響によって訓練者に現示する装置であって、砲弾の発射位置および着弾位置を含む情報を受信する受信部と、訓練者の位置を測定する位置センサと、発射位置、着弾位置、および訓練者の位置に基づいて、砲弾の発射絶対方位および着弾絶対方位を計算する第1の計算部と、訓練者の方位を測定する方位センサと、訓練者の方位、発射絶対方位、および着弾絶対方位に基づいて、砲弾の訓練者の位置に対する発射相対方位および着弾相対方位を計算する第2の計算部と、訓練者によって装着されるU字形状の装着部に、装着部のU字形状の外周に沿って離散的に配置されることによって、異なる方位にそれぞれ配置された複数の発音器と、複数の発音器のうち、着弾相対方位に最も一致する方位に設けられた発音器から、着弾を示す音を出力させる出力制御部とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る音響現示方法が適用された音響現示装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、ネックスピーカタイプの現示器を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、イヤホンタイプの現示器を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、音響現示装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、訓練者によって装着された、ネックスピーカタイプの現示器を備えた音響現示装置を示す図である。
【
図6】
図6は、訓練者によって装着された、イヤホンタイプの現示器を備えた音響現示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明や、重複した説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る音響現示方法が適用された音響現示装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0012】
音響現示装置10は、交戦訓練時に訓練者によって装着され、火器からの砲弾の方位を音響によって訓練者に現示する装置である。
【0013】
音響現示装置10は、受信部12、位置センサ14、位置計算器16、方位センサ18、角度計算器20、出力制御部22、および現示器24を備えている。
【0014】
受信部12は、専用の通信ネットワーク50を介して、サーバ側の通信装置40と通信することができる。この通信機能を使って、受信部12は、通信装置40から、砲弾の発射位置a、発射時刻b、および着弾位置cを含む情報を受信する。受信部12は、受信した砲弾の発射位置a、発射時刻b、および着弾位置cを含む情報を、位置計算器16へ出力する。
【0015】
位置センサ14は、訓練者の位置を測定し、測定結果である位置情報dを、位置計算器16へ出力する。この位置情報dは、訓練者の位置を示すのみならず、音響現示装置10自身の位置をも示しているので、この測定結果を、以降「自己位置」とも称する。
【0016】
位置計算器16は、発射位置a、着弾位置c、自己位置dに基づいて、砲弾の発射絶対方位e、着弾絶対方位fを計算し、角度計算器20へ出力する。位置計算器16は、さらに発射時刻bをも考慮して、砲弾が着弾位置に着弾する着弾時刻gを計算し、角度計算器20へ出力する。また、受信部12から出力された発射時刻bも角度計算器20へ出力する。
【0017】
方位センサ18は、訓練者の方位を測定し、測定結果である方位情報hを、角度計算器20へ出力する。この方位情報hは、訓練者の位置を示すのみならず、音響現示装置10自身の方位をも示しているので、この測定結果を、以降「自己方位」とも称する。
【0018】
角度計算器20は、自己方位h、発射絶対方位e、および着弾絶対方位fに基づいて、訓練者の位置に対する砲弾の発射相対方位i、および着弾相対方位jを計算し、出力制御部22へ出力する。また、位置計算器16から出力された発射時刻bも出力制御部22へ出力する。
【0019】
出力制御部22は、発射相対方位i、着弾相対方位j、発射時刻b、着弾時刻gに基づいて、現示器24を動作させるための指示情報である現示器動作情報kを生成して、現示器24へ出力する。
【0020】
現示器24は、単数または複数の発音器から構成される。
【0021】
現示器24が、複数の発音器によって実現される例としては、限定される訳ではないが、一例として、
図2に例示するようなネックスピーカタイプの現示器24aとすることができる。
【0022】
この現示器24aは、訓練者によって装着されるU字形状の装着部30に、装着部30のU字形状の外周に沿って、発音器である複数のスピーカ32を、離散的に配置して構成される。
【0023】
現示器24が、単数の発音器によって実現される例としては、限定される訳ではないが、一例として、
図3に例示するようなイヤホンタイプの現示器24bとすることができる。
【0024】
図2に例示するような現示器24aを有する音響現示装置10では、出力制御部22は、現示器24aに配置されている複数のスピーカ32のうち、着弾相対方位jに最も一致する方位に設けられたスピーカ32から、着弾時刻gにおいて、着弾を示す音を出力するように指示する現示器動作情報kを生成し、現示器24aへ出力することができる。
【0025】
出力制御部22はさらに、複数のスピーカ32のうち、発射相対方位iに最も一致する方位に設けられたスピーカ32から、発射時刻bにおいて、砲弾の発射を示す音を出力させる指示を含めて現示器動作情報kを生成し、現示器24aへ出力することもできる。
【0026】
一方、出力制御部22は、着弾時刻gにおいて、砲弾の着弾を示す音が着弾相対方位jから聞こえるような立体音響を、複数のスピーカ32の何れかを使って出力させるように指示する現示器動作情報kを生成し、現示器24aへ出力することもできる。
【0027】
このとき出力制御部22はさらに、発射時刻bにおいて、砲弾の発射を示す音が発射相対方位iから聞こえるような立体音響を、複数のスピーカ32の何れかを使って出力させる指示を含めて現示器動作情報kを生成し、現示器24aへ出力することもできる。
【0028】
現示器24aは、出力制御部22からの現示器動作情報kにしたがって、複数のスピーカ32のすべてまたは一部から、着弾や発射の方位が認識できるように、音や、立体音響を出力させる。
【0029】
一方、
図3に例示するような現示器24bを有する音響現示装置10では、出力制御部22は、左右のイヤホン34のうち、着弾相対方位jに近い方のイヤホン34から、着弾時刻gにおいて、着弾を示す音を出力するように指示する現示器動作情報kを生成し、現示器24aへ出力することができる。
【0030】
出力制御部22はさらに、左右のイヤホン34のうち、発射相対方位iに近い方のイヤホン34から、発射時刻bにおいて、発射を示す音を出力させる指示を含めて現示器動作情報kを生成し、現示器24aへ出力することもできる。
【0031】
一方、出力制御部22は、左右のイヤホン34から、着弾時刻gにおいて、着弾を示す音が着弾相対方位jから聞こえるような立体音響を出力するように指示する現示器動作情報kを生成し、現示器24bへ出力することができる。
【0032】
このとき出力制御部22はさらに、左右のイヤホン34から、発射時刻bにおいて、砲弾の発射を示す音が発射相対方位iから聞こえるような立体音響を出力させる指示を含めて現示器動作情報kを生成し、現示器24bへ出力することもできる。
【0033】
現示器24bは、出力制御部22からの現示器動作情報kにしたがって、左右のイヤホン34の音量を制御して、着弾や発射の方位が認識できるように、音や、立体音響を出力させる。
【0034】
なお、現示器24が、
図2に例示される現示器24aの場合、
図3に例示される現示器24bの場合に関わらず、出力制御部22が、砲弾の発射を示す音と、砲弾の着弾を示す音との両方を出力させる指示を、現示器動作情報kに含めるように生成する場合、出力制御部22はさらに、着弾を示す音を、発射を示す音よりも大きな音量で出力させる指示を、現示器動作情報kに含めるように生成することもできる。
【0035】
これによって、現示器24からは、着弾時刻gにおいて、着弾方位が認識できるように、音や、立体音響を出力することができる。同様に、発射時刻bにおいて、発射方位が認識できるように、音や、立体音響を出力することもできる。
【0036】
なお、現示器24から、発射時と着弾時との両方において、音や立体音響が出力される場合、発射時は小さな音量で、着弾時は大きな音量で出力されるので、訓練者Lは、砲弾の発射と着弾とを容易に区別することができる。
【0037】
次に、以上のように構成した本発明の実施形態に係る音響現示方法が適用された音響現示装置の動作例について説明する。
【0038】
図4は、音響現示装置10の動作例を示すフローチャートである。
【0039】
音響現示装置10は、交戦訓練時に、
図5および
図6に示すように訓練者Lによって装着される。
【0040】
音響現示装置10は、専用の通信ネットワーク50を介して、サーバ側の通信装置40と通信することができる。
【0041】
通信装置40からは、砲弾の発射位置a、発射時刻b、および着弾位置cを含む情報が、通信ネットワーク50を介して音響現示装置10へ送信される(S1)。
【0042】
通信装置40から送信された発射位置a、発射時刻b、および着弾位置cを含む情報は、音響現示装置10の受信部12によって受信され、位置計算器16へ出力される(S2)。
【0043】
一方、位置センサ14では、訓練者L(音響現示装置10)の位置が測定され、測定結果である位置情報(「自己位置」とも称する)dが、位置計算器16へと出力される(S3)。
【0044】
なお、
図4のフローチャートでは、ステップS2の後にステップS3が示されているが、ステップS2とステップS3とは、同時に行われても、逆の順序で行われても良い。
【0045】
次に、位置計算器16では、発射位置a、着弾位置c、自己位置dに基づいて、砲弾の発射絶対方位e、着弾絶対方位fが計算され、角度計算器20へ出力される。位置計算器16では、さらに発射時刻bをも考慮して、砲弾が着弾位置に着弾する着弾時刻gも計算され、角度計算器20へ出力される。また、受信部12から出力された発射時刻bも角度計算器20へ出力される(S4)。
【0046】
一方、方位センサ18では、訓練者L(音響現示装置10)の方位が測定され、測定結果である方位情報(「自己方位」とも称する)hが、角度計算器20へ出力される(S5)。
【0047】
なお、
図4のフローチャートでは、ステップS4の後にステップS5が示されているが、ステップS4とステップS5とは、同時に行われても、逆の順序で行われても良い。
【0048】
角度計算器20では、自己方位h、発射絶対方位e、および着弾絶対方位fに基づいて、訓練者Lの位置に対する砲弾の発射相対方位i、および着弾相対方位jが計算され、出力制御部22へ出力される。また、位置計算器16から出力された発射時刻bも出力制御部22へ出力される(S6)。
【0049】
出力制御部22では、発射相対方位i、着弾相対方位j、発射時刻b、着弾時刻gに基づいて、現示器24を動作させるための指示情報である現示器動作情報kが生成され、現示器24へ出力される(S7)。
【0050】
現示器24の例としては、
図2に例示するようなネックスピーカタイプの現示器24aや、
図3に例示するようなイヤホンタイプの現示器24bがある。
【0051】
ネックスピーカタイプの現示器24aは、
図5に例示されるように、訓練者Lの首の周りに装着される。また、イヤホンタイプの現示器24bは、
図6に例示されるように、訓練者Lの耳に装着される。
【0052】
ネックスピーカタイプの現示器24aには、訓練者Lによって装着されるU字形状の装着部30に、装着部30のU字形状の外周に沿って、発音器である複数のスピーカ32が、離散的に配置されている。
【0053】
ネックスピーカタイプの現示器24a、およびイヤホンタイプの現示器24bのいずれも、着弾や発射の方位が認識できるように、音や、立体音響を出力することができる。したがって、ステップS7以降は、音による方位現示の場合と、立体音響による方位現示の場合とに分けて説明する。
【0054】
先ず、音による方位現示について、ステップS7A,S8Aを用いて説明する。ここでは、例として、現示器24aによって実現される場合を説明するが、音による方位現示は、現示器24bによっても実現可能であると認識されたい。
【0055】
現示器24aを有する音響現示装置10では、現示器24aに配置されている複数のスピーカ32のうち、着弾相対方位jに最も一致する方位に設けられたスピーカ32から、着弾時刻gにおいて、着弾を示す音を出力するように指示する現示器動作情報kが、出力制御部22によって生成される(S7A)。
【0056】
これに応じて、着弾時刻gにおいて、着弾相対方位jに最も一致する方位に設けられたスピーカ32から、着弾を示す音が出力される(S8A)。これによって、訓練者Lは、砲弾が、いつどの方位に着弾したのかを把握することができる。
【0057】
なお、出力制御部22は、ステップ7Aにおいて、オプションとしてさらに、複数のスピーカ32のうち、発射相対方位iに最も一致する方位に設けられたスピーカ32から、発射時刻bにおいて、砲弾の発射を示す音を出力させる指示を、現示器動作情報kに含めるように生成することもできる。
【0058】
これによって、ステップS8Aでは、発射時刻bに、発射相対方位iに最も一致する方位に設けられたスピーカ32から、発射を示す音が出力される。これによって、訓練者Lは、砲弾が、いつどの方位にから発射されたのかを把握することができる。
【0059】
次に、立体音響による方位現示について、ステップS7B,S8Bを用いて説明する。ここでは、例として、現示器24bによって実現される場合を説明するが、立体音響による方位現示は、現示器24aによっても実現可能であると認識されたい。
【0060】
現示器24bを有する音響現示装置10では、左右のイヤホン34から、着弾時刻gにおいて、着弾を示す音が着弾相対方位jから聞こえるような立体音響を出力するように指示する現示器動作情報kが生成される(S7B)。
【0061】
これに応じて、着弾時刻gにおいて、左右のイヤホン34から、着弾を示す音が着弾相対方位jから聞こえるような立体音響が出力される(S8B)。これによって、訓練者Lは、砲弾が、いつどの方位に着弾したのかを把握することができる。
【0062】
なお、この場合も同様に、出力制御部22は、ステップS7Bにおいて、オプションとしてさらに、左右のイヤホン34から、発射時刻bにおいて、砲弾の発射を示す音が発射相対方位iから聞こえるような立体音響を出力させる指示を、現示器動作情報kに含めるように生成することもできる。
【0063】
これによって、ステップS8Bでは、発射時刻bに、左右のイヤホン34から、砲弾の発射を示す音が発射相対方位iから聞こえるような立体音響が出力される。これによって、訓練者Lは、いつどこから砲弾が発射されたのかを把握することができる。
【0064】
なお、現示器24が、
図2に例示される現示器24aの場合、
図3に例示される現示器24bの場合に関わらず、出力制御部22が、砲弾の発射を示す音と、砲弾の着弾を示す音との両方を出力させる指示を、現示器動作情報kに含めるように生成する場合、出力制御部22はさらに、着弾を示す音を、発射を示す音よりも大きな音量で出力させる指示を、現示器動作情報kに含めるように生成することもできる。
【0065】
これによって、現示器24から、砲弾の発射音は小さな音量で、着弾音は大きな音量で出力されるようになるので、訓練者Lは、砲弾の発射と着弾とを容易に区別することが可能となる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る音響現示方法が適用された音響現示装置によれば、交戦訓練において、訓練者は、撃たれたときの具体的な状況を把握することが可能となる。したがって、訓練者は、正しい回避行動をとることができるようになるのみならず、今後の訓練や実戦において反映すべき新たな知見を得ることができるなど、高い訓練効果を得ることが可能となる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
10 音響現示装置
12 受信部
14 位置センサ
16 位置計算器
18 方位センサ
20 角度計算器
22 出力制御部
24 現示器
30 装着部
32 スピーカ
34 イヤホン
40 通信装置
50 通信ネットワーク
a 発射位置
b 発射時刻
c 着弾位置
d 位置情報(自己位置)
e 発射絶対方位
f 着弾絶対方位
g 着弾時刻
h 方位情報(自己方位)
i 発射相対方位
j 着弾相対方位
k 現示器動作情報
L 訓練者
【要約】
【課題】交戦訓練において、訓練者が、撃たれたとみなされたときの具体的な状況を把握できるように、砲弾の方位を音響で現示すること。
【解決手段】実施形態によれば、音響現示装置は、砲弾の発射位置および着弾位置を含む情報を受信する受信部と、訓練者の位置を測定する位置センサと、発射位置、着弾位置、および訓練者の位置に基づいて、砲弾の発射絶対方位および着弾絶対方位を計算する第1の計算部と、訓練者の方位を測定する方位センサと、訓練者の方位、発射絶対方位、および着弾絶対方位に基づいて、砲弾の訓練者の位置に対する発射相対方位および着弾相対方位を計算する第2の計算部と、異なる方位にそれぞれ配置された複数の発音器と、複数の発音器のうち、着弾相対方位に最も一致する方位に設けられた発音器から、着弾を示す音を出力させる出力制御部とを備えている。
【選択図】
図1