(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】車両の充電装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/24 20060101AFI20240813BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240813BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240813BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240813BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240813BHJP
【FI】
B60Q1/24 Z
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
(21)【出願番号】P 2023131520
(22)【出願日】2023-08-10
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 一朗
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-196258(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102021110385(DE,A1)
【文献】特開2011-183860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0267117(US,A1)
【文献】特開2018-043744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/24
H02J 7/00
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部充電器からの給電により、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電モジュールと、
前記車両
側部のボディに形成され、前記充電モジュールの充電口を有する凹部と、
前記凹部の車両前後方向一側に連結され、前記凹部を開閉する蓋部と、
前記蓋部に設けられ、発光する発光部と、
を備え
、
前記発光部は、前記蓋部の開状態で車幅方向外側に位置する先端部に設けられ、前記蓋部の開状態時に車両前後方向及び車幅方向外側が露出するように設けられている、
ことを特徴とする車両の充電装置。
【請求項2】
前記蓋部の開閉を検知する開閉検知部を、さらに備え、
前記発光部は、前記開閉検知部により前記蓋部の開状態が検知されると発光する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の充電装置。
【請求項3】
前記充電口に設けられ、前記充電口と前記外部充電器との接続を検知する充電接続検知部を、さらに備え、
前記発光部は、前記充電接続検知部により前記外部充電器との接続が検知されると発光する、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の充電装置。
【請求項4】
前記発光部は、光を反射する反射材で構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の充電装置。
【請求項5】
前記凹部に、前記発光部に向かって光を照射する光照射部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項4記載の車両の充電装置。
【請求項6】
車両周囲の物体を検知する物体検知部と、
前記物体検知部による物体の
接近度合いに応じて前記発光部の発光状態を
変化させるよう制御する発光状態制御部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両の充電装置。
【請求項7】
前記発光状態の変化は、発光部の点滅周期の変化、発光色の変化、発光量の増減、又はこれらを組み合わせた変化である、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両の充電装置。
【請求項8】
車両周囲の明るさを検知する明るさ検知部と、
前記明るさ検知部が検知した車両周囲の明るさに応じて前記発光部の発光状態を制御する発光状態制御部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両の充電装置。
【請求項9】
バッテリの充電量を検知する充電量検知部と、
前記充電量検知部が検知したバッテリの充電量に応じて前記発光部の発光状態を制御する発光状態制御部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両が普及し、それに伴い電動車両用の外部充電器等のインフラの整備も進んでいる。外部充電器は、内燃機関用の給油装置よりも容易に設置することができ、様々な場所に設置することができる。一方で、外部充電器の設置場所によっては、公道に面した場所での充電となったり、夜間等に周囲が暗く、車両の充電部が確認し難くなったりする場合がある。
【0003】
これに対し、車両の充電部(充電フラップモジュール)において、操作者を照明するための第1の開口と、外部充電器との接続部分(インタフェース)を照明するための第2の開口を備える技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、外部充電器は公道上に設置されている場合は、車両の充電部が車道側に位置していると、他車両等が走行している直ぐ横で操作者は充電作業を行うこととなる。また車両の充電部の蓋(フラップ)、外部充電器のケーブル及びコネクタ等が車道側に突出することになる。したがって、充電を行う際、充電作業中であることを他者に注意喚起し、充電時の安全性を確保することが望まれる。
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、操作者の充電操作を支援することはできるとしても、車道上での充電時の安全性を確保できるものではない。
【0007】
そこで本開示の目的は、外部充電器を用いた充電時の安全性を向上させることができる車両の充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0009】
(1)本適用例に係る車両の充電装置は、外部充電器からの給電により、車両に搭載されるバッテリを充電するための充電モジュールと、前記車両のボディに形成され、前記充電モジュールの充電口を有する凹部と、前記凹部を開閉する蓋部と、前記蓋部に設けられ、発光する発光部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
つまり、本適用例によれば、外部充電器を用いた充電を行う際に開閉する蓋部に発光部を備える。このような蓋部の発光部を発光させることで、歩行者や他車両等の他者に注意喚起を行うことができる。これにより、他者は車両が充電中であることや、車両から突出している蓋部の位置を認識することができ、車両やフラップへの接触が防がれ、外部充電器を用いた充電時の安全性を向上させることができる。また、この発光部により操作者の充電操作を支援することもできる。
【0011】
(2)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(1)において、前記蓋部の開閉を検知する開閉検知部を、さらに備え、前記発光部は、前記開閉検知部により前記蓋部の開状態が検知されると発光してもよい。
【0012】
これにより、蓋部を開くだけで容易に発光部を発光させることができ、蓋部が開状態であるにも関わらず発光部が発光していない状態を防ぐことができる。
【0013】
(3)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(1)において、前記充電口に設けられ、前記充電口と前記外部充電器との接続を検知する充電接続検知部を、さらに備え、前記発光部は、前記充電接続検知部により前記外部充電器との接続が検知されると発光してもよい。
【0014】
これにより、外部充電器を充電口に接続するだけで容易に発光部を発光させることができ、充電中であるにも関わらず発光部が発光していない状態を防ぐことができる。
【0015】
(4)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(1)において、前記発光部は、光を反射する反射材で構成してもよい。このように、開閉する蓋部材側に自ら光を発する部材を設けなくても、容易に蓋部材から光を発することができる。
【0016】
(5)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記発光部は、前記蓋部の開状態で車幅方向外側に位置する先端部に設けられてもよい。このように、外部充電器が接続された状態でも、車両から突出しているフラップの位置が認識しやすく、より充電時の安全性を向上させることができる。
【0017】
(6)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(4)において、前記凹部に、前記発光部に向かって光を照射する光照射部をさらに備えてもよい。このように、発光部に向かって光を照射する光照射部を設けることで、反射材からなる発光部をより確実に発光させることができる。
【0018】
(7)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記発光部は、前記蓋部において車両前後方向及び車幅方向外側が露出していてもよい。このように、発光部が車両前後方向及び車幅方向外側に露出することにより、車両前後方向及び車幅方向外側のそれぞれの方向から他者が発光部35を認識することができ、より充電時の安全性を向上させることができる。
【0019】
(8)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(1)から(4)のいずれかにおいて、車両周囲の物体を検知する物体検知部と、前記物体検知部が検知した物体に応じて前記発光部の発光状態を制御する発光状態制御部と、をさらに備えてもよい。このように車両周囲の物体の接近に伴って発光状態が制御されることで、車両周囲の状況に適した発光状態とすることができ、より充電時の安全性を向上させることができる。
【0020】
(9)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記車両周囲の明るさを検知する明るさ検知部と、前記明るさ検知部が検知した車両周囲の明るさに応じて前記発光部の発光状態を制御する発光状態制御部と、をさらに備えてもよい。このように車両周囲の明るさに伴って発光状態が制御されることで、車両周囲の状況に適した発光状態とすることができ、より充電時の安全性を向上させることができる。
【0021】
(10)上記適用例に係る車両の充電装置は、上記(1)から(4)のいずれかにおいて、バッテリの充電量を検知する充電量検知部と、前記充電量検知部が検知したバッテリの充電量に応じて前記発光部の発光状態を制御する発光状態制御部と、をさらに備えてもよい。このように発光部の発光状態を変化させることで、バッテリの充電量やどの程度バッテリが充電されたか等のバッテリ充電状態を示すことができ、操作者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る充電装置を備えた車両の充電時の構成を示す概略構成図である。
【
図2】第一実施形態の充電部の外観を示す拡大斜視図である。
【
図3】第一実施形態の充電時の様子を車両後方から見た図である。
【
図4】第二実施形態の充電部の外観を示す拡大斜視図である。
【
図5】第一変形例(a)~第四変形例(d)における充電部の外観を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
【0024】
図1には、本開示の第一実施形態に係る充電装置を備えた車両の充電時の構成が示され、
図2には充電部30の拡大斜視図が示されている。なお、以下、「高さ方向」とは車両の上下方向であり、「車幅方向」とは車両の左右方向であり、「前後方向」とは車長方向である。また、以下、「発光」とは自らが光を発することの他、外部からの光を反射して光を発することも含むものである。
【0025】
図1では、車両1が、公道上に設置された外部充電器2を用いて充電を行っている状態を示している。外部充電器2は、車両1に電力を供給する(給電する)ための充電設備である。本実施形態の外部充電器2は、公道に設置されている。具体的には、車両が走行する車道R1と、歩行者が歩行する歩道R2との間に、充電用駐車エリアPが設定されている。充電用駐車エリアPには、白線による矩形枠が車両2台分縦列して示されており、本実施形態の車両1が1台駐車している。
【0026】
外部充電器2は、本体部10から2本のケーブル11が延びている。各ケーブル11の先端には後述する車両1の充電口と接続可能なコネクタ12が設けられている。
【0027】
車両1は、例えば電気自動車であり、動力源として駆動用モータ20(以下、単にモータという)が搭載されている。図示しないがモータ20の出力軸は減速装置及び差動装置から構成される動力伝達部及び駆動軸を介して左右の駆動輪に接続されている。モータ20が発生する駆動力が駆動輪に伝達されることで車両1は走行可能である。
【0028】
モータ20は、図示しないインバータ・コンバータ(以下、単にインバータという)を介して高電圧(例えば200V)の駆動用バッテリ21(以下、単にバッテリという)と電気的に接続されている。
【0029】
バッテリ21は、例えばリチウムイオンバッテリ等の二次電池である。バッテリ21は蓄えられた直流電力を、インバータを介することで交流電力に変換しモータ20に供給する。また、例えば車両1の減速時や降坂路の走行時(回生走行時)には、駆動輪側からの逆駆動力によりモータ20が発電機として作動(回生運転)する。車両1は、このモータ20が発電した電力によりバッテリ21を充電することも可能である。
【0030】
また、車両1は外部充電器2からの給電によりバッテリ21を充電するための充電部30(充電装置)を備えている。充電部30は、外部充電器2からの給電によりバッテリ21を充電するための充電モジュール31と、車両1のボディに形成され充電モジュール31の充電口32を有する凹部33と、凹部33を開閉するフラップ34(蓋部)と、フラップ34に設けられた発光部35と、を備えている。
【0031】
充電モジュール31は、図示しないフィルタや電力変換回路及びリレーを備え、外部充電器2から入力された電力を、バッテリ21の充電に適した直流電力に変換、またはリレーを閉じ、バッテリ21に供給する機能を有する。
【0032】
充電口32、凹部33、フラップ34、発光部35は
図2に具体的に示されており、以下
図1及び
図2を参照して説明する。
【0033】
充電口32は、外部充電器2のコネクタ12と嵌合接続可能なインレットである。図示は省略しているが、円筒状の充電口32内には受電端子が設けられており、受電端子は充電モジュール31と接続されている。なお、説明の簡略化のため、本実施形態の充電口32は1つのみ示しているが、例えば凹部33に普通充電用と急速充電用の2つの充電口が設けられていてもよい。
【0034】
凹部33は、車両1の右後部にて、ボディの表面から車両内側に窪んでおり、略矩形の開口を形成している。
【0035】
フラップ34は、凹部33の開口に合わせた略矩形状の板部材である。フラップ34の一側(開状態時に車幅方向内側)には、車体と連結された連結部34aが延びている。フラップ34は、凹部33の開閉可能に動作する。具体的には、フラップ34は、凹部33を閉じた状態(閉状態)では凹部33内の充電口32を覆い隠すことができ、フラップ34が開いた状態(開状態)では、充電口32へのアクセスが可能となる。本実施形態のフラップは、全開時にはボディ表面に対し約90°の角度まで開く。
【0036】
発光部35は、フラップ34の先端部に設けられている。フラップ34の先端部とは、連結部34aとは逆側の辺であり、フラップ34の開状態時に車幅方向外側に位置する部分である。発光部35は、例えばLED等の自ら光を発する照明材で構成され、光の色や光量を変化(いわゆる調光)可能である。また発光部35は、フラップ34の先端部の切欠部分に嵌め込まれていることで、フラップ34の開状態時において、車両1の前後方向及び車幅方向外側が露出するように設けられている。つまり、車両1の周辺にいる者は、発光部35が発光すると車両1に対して前後方向及び車幅方向外側から、当該発光を確認可能である。
【0037】
また、車両1には各種センサが設けられている。例えば、充電部30には、開閉センサ36(開閉検知部)が設けられている。開閉センサ36は、フラップ34の連結部34a付近に設けられておりフラップ34の開閉を検知する機能を有する。具体的には、開閉センサ36はON/OFFスイッチであり、フラップ34が開くとスイッチがONとなり開状態を示す信号を出力する。なお、開閉センサ36は閉状態を示す信号を出力してもよい。
【0038】
また、車両1は、充電口32に外部充電器2のコネクタ12が接続されたことを検知する充電接続検知部37を備えている。具体的には、接続確認のための信号線を有し、充電口32にコネクタ12が嵌合接続されると車両からの信号電圧が充電器側に地絡することを検知して、接続を確認できる仕組みになっている。充電接続検知部37は充電口32とコネクタ12との接続状態または非接続状態を検知して後述するVCU24に入力する。なお、充電接続検知部37はVCU24の一部として構成されても構わない。
【0039】
また、車両1には、物体検知センサ22a~22d(物体検知部)と照度センサ23(明るさ検知部)が設けられている。
【0040】
物体検知センサ22a~22dは、車両1の左右前後にそれぞれ設けられており、各設置位置から車両1に接近する物体を検知する機能を有する。具体的には、物体検知センサ22a~22dは、例えばミリ波レーダーであり、物体の有無や物体までの距離を検知可能である。本実施形態では、車両前部に車両前方の物体を検知する第1物体検知センサ22a、車両右部に車両右方の物体を検知する第2物体検知センサ22b、車両左部に車両左方の物体を検知する第3物体検知センサ22c、車両後部に車両後方の物体を検知する第4物体検知センサ22dが設けられている。検知する物体としては、例えば歩行者、自転車、バイク、他車両等がある。
【0041】
照度センサ23は、運転席前方のインストルメントパネル上面に設けられ、車外からの光を受光して周囲の明るさ(照度)を検知する機能を有している。具体的には照度センサは、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ等の受光素子を用いたセンサである。照度センサ23により検出した照度は、昼や夜の時間帯、雨天や晴天等の天候状態等の判定要素となる。
【0042】
また、車両1には、車両制御ユニット24(Vehicle Control Unit、以下VCU24という。)が搭載されている。
【0043】
VCU24は、中央処理装置(CPU)と、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される主記憶装置(ROM、RAMなど)、入出力装置、タイマカウンタなどを備えるコンピュータである。VCU24は、車両内通信ネットワークであるCAN(Control Area Network)を介して、車両1に搭載された各種機器や他の制御ユニットを通信可能に接続されている。本実施形態のVCU24は、充電モジュール31、発光部35、開閉センサ36、充電接続検知部37、物体検知センサ22a~22d、照度センサ23と通信可能に接続されている。そして、VCU24(発光状態制御部)は車両1における発光部35における発光状態(例えば発光のON/OFF、調光)を制御可能である。
【0044】
詳しくは、VCU24は、開閉センサ36により検知されるフラップ34の開閉状態に基づいて、発光部35の点灯及び消灯を行う機能を有する。具体的には、VCU24は、開閉センサ36によりフラップ34が開状態を示す信号を受信すると発光部35を点灯させる制御を行い、当該信号の受信が切れると発光部35を消灯させる制御を行う。なお、VCU24は、開閉センサ36によりフラップ34が閉状態を示す信号を受信すると発光部35を消灯させ、閉状態を示す信号が切れると発光部35を点灯してもよい。
【0045】
また、VCU24は、充電接続検知部37により検知される充電口32とコネクタ12との接続状態に基づいて、発光部35の点灯及び消灯を行う機能を有する。具体的には、VCU24は、充電接続検知部37が検知した充電口32とコネクタ12との接続状態を示す信号を受信すると発光部35を点灯させる制御を行い、当該信号の受信が切れると発光部35を消灯させる制御を行う。なお、VCU24は、充電接続検知部37により非接続状態を示す信号を受信すると発光部35を消灯させ、非接続状態を示す信号が切れると発光部35を点灯してもよい。
【0046】
このようにVCU24は、開閉センサ36や充電接続検知部37からの各信号に基づいて、車両1が充電中であるか否かを判定して、充電時(フラップ開状態及びコネクタ接続時)には発光部35の点灯を行い、非充電時(フラップ閉状態及びコネクタ非接続時)には消灯する。例えば、本実施形態のVCU24は、開閉センサ36によりフラップ34が開状態であること、及び充電接続検知部37によりコネクタ12が接続状態であることの両方が検出された場合に、車両1が充電中であると判定して発光部35の点灯を行う。その後、開閉センサ36によりフラップ34が閉状態であること、及び充電接続検知部37によりコネクタ12が非接続状態であることの両方が検出された場合に、車両1が非充電時であると判定して発光部35の消灯を行う。
【0047】
また、開閉センサ36や充電接続検知部37のいずれか一方でも充電状態であるか否かの判定は可能であることからVCU24は開閉センサ36及び充電接続検知部37のいずれか一方に基づいて発光部35の点灯制御を行うように切り替える点灯制御切替機能を有する。例えば、VCU24は、当該切替機能により開閉センサ36のみに基づいて発光部35の点灯制御を行うよう選択した場合、充電接続検知部37に基づく点灯制御は実行しないようにする。
【0048】
さらに、VCU24は、物体検知センサ22a~22dにより検知される物体の接近情報に基づいて、発光部35の発光状態を制御する機能を有する。具体的には、VCU24は車両1の充電中に発光部35を点灯し、物体検知センサ22a~22dの少なくともいずれ1つが物体の接近を検知した場合、発光部35の発光状態を変化させる。この場合の発光状態の変化とは、発光部35を点滅させたり、発光色を変化させたり、光量を増減させたり、又はこれらを組み合わせた変化をいう。例えばVCU24は、物体が接近するほど発光部35の点滅周期を短くする等、物体の接近度合いに応じて発光状態をより認識しやすい状態に変化させてもよい。
【0049】
また、VCU24は、照度センサ23による周囲の明るさ情報に基づいて、発光部35の発光状態を調整する機能を有する。具体的には、VCU24は車両1の充電中に発光部35を点灯し、照度センサ23により照度が所定値より低い(つまり周囲が暗い)場合には発光部35の発光状態を変化させる。この場合の発光状態の変化とは、発光部35を点滅させたり、発光色を変化させたり、光量を増減させたり、又はこれらを組み合わせた変化をいう。例えばVCU24は、照度が下がるほど発光部35の点滅周期を短くする等、照度に応じて発光状態をより認識しやすい状態に変化させてもよい。
【0050】
このようにVCU24は、物体検知センサ22a~22dや照度センサ23からの各信号に基づいて、車両充電時の注意喚起の必要度合いを判定して、注意喚起が必要である場合(物体接近時又は周囲が暗い場合)には発光部35の発光状態を変化させて注意喚起を促す。また、VCU24は物体検知センサ22a~22d及び照度センサ23のどちらか一方に基づいて発光部35の発光状態の変化制御を行うように切り替える発光制御切替機能を有する。例えば、VCU24は、当該切替機能により物体検知センサ22a~22dのみに基づいて発光状態の変化制御を行うよう選択した場合、照度センサ23に基づく発光状態の変化制御は実行しないようにしてもよい。
【0051】
次に、
図3には、第一実施形態に係る給充電時の様子を車両後方から見た図を示しており、以下、
図3に基づき、外部充電器を用いた充電時の様子について説明する。
【0052】
図3に示すように、車両1は充電口32が車道R1側の位置しているため、フラップ34を開くと車道R1側にフラップ34が突出する形となる。さらに、外部充電器2のコネクタ12を充電口32に嵌合接続すると、コネクタ12及びケーブル11が車道R1側に配置されることとなる。
【0053】
フラップ34が開状態であるとき、フラップ34の先端部にある発光部35は車両1において最も車幅方向外側に位置する。つまり、発光部35は車両1において最も車道R1側に位置する。また本実施形態の外部充電器2の場合、充電時においてコネクタ12及びケーブル11は、フラップ34の先端部にある発光部35よりも車幅方向内側に位置する。
【0054】
フラップ34が開状態であることを開閉センサ36が検出し、コネクタ12が充電口に接続されたことを充電接続検知部37が検出すると、VCU24は発光部35を発光させる。
【0055】
発光部35が発光すると、車両1の前後方向及び車幅方向外側に光が照射される。したがって、車道R1を車両1の後ろから走行してくる他車両、バイク、自転車、歩行者等の他者に発光部35の位置を認識させることが可能となる。また、発光部35は車両前側にも露出していることから、車両1の前側から接近してくる他車両、バイク、自転車、歩行者等の他者に対しても発光部35の位置を認識させることが可能である。
【0056】
ここでは、ケーブル11がフラップ34の先端部よりも車幅方向内側に位置する場合を説明したが、ケーブル11がフラップ34の先端部よりも車幅方向外側に位置する場合であっても、発光部35が発光することによって、他者に発光部35の位置を認識させることは可能である。
【0057】
また、車両1に物体(他車両、バイク、自転車、歩行者、等)が接近し、物体検知センサ22a~22dのいずれかが当該物体を検出すると、VCU24が発光部35の発光状態を変化させ、発光部35より認識しやすくして当該物体に対して注意喚起を行う。
【0058】
また、車両1の周囲が暗いことを照度センサ23により検出すると、VCU24が発光部35の発光状態を変化させ、発光部35より認識しやすくする。
【0059】
そして、車両1の充電が完了し、ユーザがコネクタ12を充電口32から抜いて、フラップ34を閉じると、VCU24は、発光部35を消灯する。
【0060】
以上のように、第一実施形態に係る車両1の充電装置は、外部充電器を用いた充電を行う際に開閉するフラップ34に発光部35を備える。このようなフラップ34の発光部35を発光させることで、歩行者や他車両等の他者に注意喚起を行うことができる。これにより、他者は車両1が充電中であることや、車両1から突出しているフラップの位置を認識することができ、車両1やフラップ34への接触が防がれ、外部充電器2を用いた充電時の安全性を向上させることができる。
【0061】
また、車両1の充電部30は、開閉センサ36がフラップ34の開閉を検知して、フラップ34の開状態が検出されると発光部35を発光させる。これにより、フラップ34を開くだけで容易に発光部35を発光させることができ、フラップ34が開状態であるにも関わらず発光部35が発光していない状態を防ぐことができる。
【0062】
また、車両1の充電部30は、充電接続検知部37により外部充電器2のコネクタ12が充電口32に接続されたことが検知されると発光部35を発光させる。これにより、コネクタ12を充電口32に接続するだけで容易に発光部35を発光させることができ、充電中であるにも関わらず発光部35が発光していない状態を防ぐことができる。
【0063】
また、車両1の充電部30は、発光部35がフラップ34の先端部に設けられていることで、フラップ34が開状態である際に、最も車両外側を発光させることができる。これにより、コネクタ12が接続された状態でも、車両1から突出しているフラップ34の位置が認識しやすく、より充電時の安全性を向上させることができる。
【0064】
さらに、フラップ34に設けられている発光部35が車両前後方向及び車幅方向外側に露出していることで、車両前後方向及び車幅方向外側のそれぞれの方向から他者が発光部35を認識することができ、より充電時の安全性を向上させることができる。
【0065】
また、車両1の充電部30は、物体検知センサ22a~22dによる物体の検知に応じてVCU24により発光部35の発光状態が制御される。このように車両周囲の物体の接近に伴って発光状態が制御されることで、車両周囲の状況に適した発光状態とすることができ、より充電時の安全性を向上させることができる。
【0066】
また、車両1の充電部30は、照度センサ23による車両周囲の明るさに応じてVCU24により発光部35の発光状態が制御される。このように車両周囲の物体の接近に伴って発光状態が制御されることで、車両周囲の状況に適した発光状態とすることができ、より充電時の安全性を向上させることができる。
【0067】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0068】
図4には、本発明の第二実施形態に係る充電部の拡大斜視図が示されており、以下同図に基づき説明する。第二実施形態に係る充電部40(充電装置)は、発光部45が光を反射する反射材からなり、凹部33に発光部45に向かって光を照射する光照射部46が設けられている点で第一実施形態と異なる。第二実施形態の構成において、第一実施形態の構成と同様の構成については同じ符号を付し説明を省略する。
【0069】
図4に示すように、第二実施形態の充電部40は、凹部33の底面にて、充電口32とフラップ44の連結部44aとの間に光照射部46が設けられている。光照射部46は、LED等の指向性を有する照明器具であり、
図4の矢印で示すように開状態のフラップ44の先端部、すなわち発光部45に向けて、光を照射するよう指向している。また光照射部46はVCU47と接続されており、当該VCU47により照明制御される。
【0070】
発光部45は、例えば鏡面仕上げの金属、鏡、反射材ステッカー、等の反射材からなる。発光部45が設けられている位置は、第一実施形態と同様にフラップ44の先端部である。
【0071】
第二実施形態のVCU47は、第一実施形態のVCU24が発光部35に対して点灯及び消灯の制御及び発光状態の制御を、光照射部46に対して行う。つまり、開閉センサ36及び充電接続検知部37の検出に基づき光照射部46の点灯及び消灯を行う。また、物体検知センサ22a~22d及び照度センサ23に基づき光照射部46の光照射状態の制御を行う。このように光照射部46を第一実施形態の発光部35と同様に制御することで、光照射部46からの光を反射して発光する発光部45は、第一実施形態の発光部35と同様に発光することとなる。
【0072】
以上のように、第二実施形態に係る車両1の充電部40は、第一実施形態に係る充電部0とほぼ同様の効果を奏することができる。また、第二実施形態では、発光部45が反射材からなることで、他車両のヘッドライトの光や街灯の光等の外部の光を反射することで発光部45を発光させることができる。つまり、開閉するフラップ44側に自ら光を発する部材を設けなくても、容易にフラップ44から光を発することができる。
【0073】
さらに、第二実施形態の充電部40は、凹部33に発光部45に向かって光を照射する光照射部46を備えることで、反射材からなる発光部45をより確実に発光させることができ、第一実施形態と同じように発光部45の発光をコントロールすることもできる。また、光照射部46は、凹部33において、充電口32とフラップ44の連結部44aとの間に設けられていることで、コネクタ12を充電口32に接続した際にも、発光部45まで光を遮られることなく、安定的に発光部45に光を照射することができる。
【0074】
以上で、本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、上記各実施形態では、発光部35、45がフラップ34、44の先端部に設けられているが、発光部の位置や形はこれに限られるものではない。ここで
図5を参照すると、第一変形例(a)~第四変形例(d)における充電部の外観を示す拡大斜視図が示されている。なお、上記第一実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0076】
図5(a)に示すように、第一変形例における充電部50は、発光部55がフラップ54の上辺に設けられている。発光部55は第一実施形態と同様にLED等の自ら光を発する照明材である。このようにフラップ54の上辺に発光部55が設けられ、フラップ54が開状態で発光部55が発光すると、フラップ54の上辺において車幅方向内側から外側までの長さを認識しやすくなる。また、フラップ54の上辺であれば、コネクタ12が接続された状態であっても発光した光が遮られにくい。
【0077】
図5(b)に示すように、第二変形例における充電部60は、発光部65がフラップ64の上辺、下辺、及び先端部に亘って設けられている。発光部65は第一実施形態と同様にLED等の自ら光を発する照明材である。このようにフラップ64の三辺に亘って発光部65が設けられ、フラップ64が開状態で発光部65が発光すると、フラップ64の上辺及び下辺から先端部に亘って広域に発光することからフラップ64の位置をより認識しやすくなる。
【0078】
図5(c)に示すように、第三変形例における充電部70は、第二変形例と同様に発光部75がフラップ74の上辺、下辺、及び先端部に亘って設けられている。この発光部75は第二変形例とは異なり、LED等の発光源75aと透明樹脂の導光材75bからなる。当該発光部75は、発光源75aから導光材75bの一端に向けて光が照射されると、導光材75b内で内面反射して他端まで光が導かれつつ、一部の光が外部に照射され導光材75bが発光する。これにより第二変形例よりも省電力で、フラップ74の上辺及び下辺から先端部に亘って広域に発光させることができる。
【0079】
図5(d)に示すように、第四変形例における充電部80は、発光部85がフラップ84の内面に設けられている。発光部85は例えば有機EL等の面状に自ら光を発する照明材である。当該発光部85は、例えばバッテリの充電量を示すアイコン等を表示可能である。なお、バッテリの充電量は、バッテリの充電量検知部により検知され、VCU24に充電量の情報が伝達される。このようにフラップ84の内面に発光部85が設けられ、フラップ84が開状態で発光部85が発光すると、面状に発光することから認識しやすい上、バッテリの充電量等の情報も提示することが可能となり、充電時の利便性も向上させることができる。
【0080】
なお、このようにバッテリの充電量を示すアイコン等を表示しなくても、発光部35の発光状態を変化させることによって、具体的には発光部を点滅させたり、発光色を変化させたり、光量を増減させたり、又はこれらを組み合わせた変化により、バッテリの充電量やどの程度バッテリが充電されたか等のバッテリ充電状態を示すこともできる。このように発光部の発光状態によりバッテリの充電量を示すことで、操作者は充電部から離れた安全な位置から充電状態を確認することができる。(※請求項10の効果)
【0081】
さらに、操作者による充電操作を検知して、充電操作中は周囲により注意を促すように発光部の発光状態を変化させてもよい。操作者による充電操作の検知は、物体検知センサによる操作者である物体の検知と既存のスマートキーの検知を組み合わせることにより可能である。例えば、上記実施形態の構成において車両右方の物体を検知する第2物体検知センサ22bにより車両右後方に人がいることを検知し、且つ、スマートキーから発せられる電波を検知する図示しないスマートキー検知部がスマートキーの電波を検知すると、VCU24が発光部35を発光させてもよい。つまり、フラップ34の開閉操作時にも発光部35を発光させることができる。これにより、充電操作中の操作者の存在を他者に知らせることが可能となり、周囲に注意喚起を促すことができる。
【0082】
一方、スマートキーを持たない第三者による充電口付近での操作が検出された際は、いたずらや悪意のある行為を予防する為に、発光部の発光状態を変化させることで警告を行ってもよい。例えば、スマートキー検知部がスマートキーの電波を検知していない状態で、物体検知部が充電口付近の人を検知した場合に、VCUが発光部の発光状態を変化させることで警告を行う。
【0083】
このような発光部の変形例の他にも、フラップの開閉構造は上記各実施形態のような片開き型に限られるものではない。例えば、凹部の車両前後方向両辺にそれぞれ連結部を有して開閉する一対のフラップからなる、いわゆる観音開き型であってもよい。又は、凹部6の上辺に連結部を有して開閉するいわゆる跳ね上げ型のフラップであってもよい。又は、凹部からボディに対して上下又は前後に平行に移動するスライド型のフラップであってもよい。
【0084】
また、上記各実施形態では車両1に、開閉センサ36、充電接続検知部37の両方が設けられているが、いずれか一方のみが設けられていてもよい。また、物体検知センサ22a~22d、照度センサ23もいずれか一方のみがもうけられていてもよい。また物体検知センサ22a~22dの数は4つに限られず、1又は複数設けられていればよい。また、車両周囲の物体を検知する物体検知部は、ミリ波レーダーに限られず、カメラ等の撮像装置であってもよい。
【0085】
また、上記各実施形態では、発光部の制御をVCU24、47が行っているが、他の制御ユニットが制御してもよいし、制御用の電気回路を介して発光部を制御してもよい。
【0086】
上記各実施形態の車両1は電気自動車であるが、例えば、ハイブリッド電気自動車等、外部充電器による充電が可能な電動車両であれば本発明を適用可能である。また、上記各実施形態では充電口が車両の右後方部に設けられているが、他の位置に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 車両
2 外部充電器
10 ケーブル
11 コネクタ
20 駆動用モータ
21 駆動用バッテリ
22a~22d 物体検知センサ(物体検知部)
23 照度センサ(明るさ検知部)
24、47 VCU(発光状態制御部)
30、40、50、60、70、80 充電部(充電装置)
31 充電モジュール
32 充電口
33 凹部
34、44、54、64、74、84 フラップ(蓋部)
35、45、55、65、75、85 発光部
36 開閉センサ(開閉検知部)
37 充電接続検知部
46 光照射部
【要約】
【課題】外部充電器を用いた充電時の安全性を向上させることができる車両の充電装置を提供すること。
【解決手段】車両1の充電部30は、外部充電器2からの給電により、車両1に搭載されるバッテリ21を充電するための充電モジュール31と、車両1のボディに形成され、充電モジュール31の充電口32を有する凹部33と、凹部33を開閉するフラップ34と、フラップ34に設けられ、発光する発光部35と、を備える。
【選択図】
図2