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特許7536976パーティクルボード及びパーティクルボードの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】パーティクルボード及びパーティクルボードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/02 20060101AFI20240813BHJP
   B27N 3/06 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B27N3/02 B
B27N3/06 A
B27N3/02 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023147942
(22)【出願日】2023-09-12
【審査請求日】2023-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 剛
(72)【発明者】
【氏名】福井 杜史之
(72)【発明者】
【氏名】平田 一紘
(72)【発明者】
【氏名】三田野 竣太
(72)【発明者】
【氏名】久保 耕平
(72)【発明者】
【氏名】大島 克仁
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-076004(JP,A)
【文献】特開2014-151599(JP,A)
【文献】特開2015-157456(JP,A)
【文献】特開2010-234716(JP,A)
【文献】特開昭60-219007(JP,A)
【文献】特開2022-163565(JP,A)
【文献】特開2016-179625(JP,A)
【文献】特開2017-177559(JP,A)
【文献】特表2004-529012(JP,A)
【文献】特開2020-023195(JP,A)
【文献】特開平07-047514(JP,A)
【文献】特開平09-169012(JP,A)
【文献】特開2005-096143(JP,A)
【文献】特開平07-040314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27N 3/02
B27N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の木質片が集合状態で接着一体化された複層構造のパーティクルボードであって、
少なくとも1層は、厚さが0.05mm以上0.35mm以下の多数の薄片状の木質切削片のみを上記木質片として含む木質切削片層であり、
少なくとも1層は、最大粒径が0.5mm以上5mm以下の粒状の木質粉砕片を上記木質片として含む木質粉砕片層であり、
上記木質切削片層以外の層は、上記木質粉砕片層である
ことを特徴とするパーティクルボード。
【請求項2】
請求項1に記載のパーティクルボードであって、
2つの表層と、該2つの表層の間に設けられた少なくとも1つの中間層とを備え、
上記表層は、上記木質切削片層である
ことを特徴とするパーティクルボード。
【請求項3】
請求項1に記載のパーティクルボードであって、
2つの表層と、該2つの表層の間に設けられた少なくとも1つの中間層とを備え、
上記中間層の少なくとも1つは、上記木質切削片層である
ことを特徴とするパーティクルボード。
【請求項4】
請求項に記載のパーティクルボードであって、
上記中間層の少なくとも1つは、上記木質切削片層である
ことを特徴とするパーティクルボード。
【請求項5】
請求項3に記載のパーティクルボードであって、
上記木質切削片層である上記中間層を複数備えている
ことを特徴とするパーティクルボード。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1つに記載のパーティクルボードであって、
上記木質粉砕片層の少なくとも1つは、多数の上記木質粉砕片と多数の上記木質切削片上記木質片として含む混合層である
ことを特徴とするパーティクルボード。
【請求項7】
請求項2~5のいずれか1つに記載のパーティクルボードであって、
上記木質粉砕片層の少なくとも1つは、多数の上記木質粉砕片と多数の上記木質切削片上記木質片として含む混合層であり、
上記木質粉砕片層であって上記木質切削片を含まない非混合層と上記木質切削片層との間には、上記混合層が設けられている
ことを特徴とするパーティクルボード。
【請求項8】
請求項1に記載のパーティクルボードの製造方法であって、
第1木質素材を粒状に粉砕することにより、多数の木質粒状片を作製する第1粉砕工程と、
上記多数の木質粒状片から上記木質粉砕片層用の木質片として上記木質粉砕片層に含まれる上記木質粉砕片を選択する第1選択工程と、
第2木質素材を表面に繊維が直線状に表れるように切削して厚さが0.05mm以上0.35mm以下の多数の木質薄片を作製する切削工程と、
上記多数の木質薄片、該多数の木質薄片を繊維方向に沿って割れるように粉砕する第2粉砕工程によって作製される細長形状の多数の木質小薄片、又は該多数の木質小薄片を大小2種類の篩を用いて分級する分級工程によって得られる多数の第1~第3木質小薄片の少なくとも1種類を上記木質切削片層用の木質片として選択する第2選択工程と、
上記多数の木質粉砕片層用の木質片と上記多数の木質切削片層用の木質片とのそれぞれに接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
接着剤が塗布された上記多数の木質粉砕片層用の木質片と接着剤が塗布された上記多数の木質切削片層用の木質片とを所定の順序で堆積させることにより、複層構造のマットを形成するマットフォーミング工程と、
上記複層構造のマットに熱圧プレス処理を施して各層のマットの接着剤を硬化させることにより、上記パーティクルボードを形成する熱圧工程とを備えている
ことを特徴とするパーティクルボードの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載のパーティクルボードの製造方法において、
上記切削工程と上記第2粉砕工程と上記分級工程とは、上記多数の第1木質小薄片を集合状態で接着一体化してなる木質ボードの製造方法が備えるものである
ことを特徴とするパーティクルボードの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のパーティクルボードの製造方法において、
上記第2選択工程では、上記第2木質小薄片及び上記第3木質小薄片の少なくとも一方を上記薄片状の木質切削片として選択する
ことを特徴とするパーティクルボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティクルボード及びパーティクルボードの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ラワン合板等の南洋材合板が広く利用されている。しかし、近年、南洋材合板は、原料の枯渇や環境破壊防止の点で入手自体が難しくなりつつあり、他の木質ボードへの置き換えが図られている。
【0003】
特許文献1には、木材を粉砕した粉砕片に接着剤を付着させたものをマット状に堆積させ、熱盤で熱圧締することによって成形されたパーティクルボードを、合板の代替材料として用いることが開示されている。パーティクルボードには、廃材や再生材等を利用でき、また、芯層と表層とで用いる木質粉砕片のサイズを変えることで木材を無駄なく利用できることから、比較的安価に形成できる点で、合板の代替品として優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2005/115705号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パーティクルボードは、細かい粉砕片を用いるため、耐力壁等の耐力下地材に用いる構造用合板の代替品とする場合には、ビス引き抜き強度が不足するという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ビス引き抜き強度に優れたパーティクルボードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、パーティクルボードを複層構造とし、少なくとも一層を、極めて薄い木質切削片のみを木質片として含む木質切削片層に構成することとした。
【0008】
具体的には、第1の発明は、多数の木質片が集合状態で接着一体化された複層構造のパーティクルボードを前提とするものである。
【0009】
そして、第1の発明は、少なくとも1層は、厚さが0.05~0.35mmの木質切削片のみを上記木質片として含む木質切削片層であり、上記木質切削片層以外の層は、木質粉砕片を上記木質片として含む木質粉砕片層であることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、パーティクルボードを複層構造とし、少なくとも一層を、厚さが0.05~0.35mmと極めて薄い木質切削片のみを木質片として含む木質切削片層に構成することとした。薄片状の木質切削片は、木質素材を粉砕してなる粒状の木質粉砕片に比べて面積が大きい。そのため、少なくとも一層を木質切削片層で構成することにより、木質粉砕片のみで構成されたパーティクルボードに比べてビスが抜け難くなる。従って、第1の発明によれば、ビス引き抜き強度(木ネジ保持力)に優れたパーティクルボードを提供することができ、該パーティクルボードであれば、耐力下地材に用いられる構造用合板の代替品として用いることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、2つの表層と、該2つの表層の間に設けられた少なくとも1つの中間層とを備え、上記表層は、上記木質切削片層であることを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明では、2つの表層が木質切削片層で構成されている。このような構成により、パーティクルボードの厚さ方向の両側のいずれからビスを打ち込んでも引き抜き強度に優れたパーティクルボードを提供することができる。
【0013】
また、第2の発明によれば、パーティクルボードの表面において、多数の極めて薄い木質切削片が折り重ることにより、表面に凹凸が生じ難く、表面性(平滑度)に優れたものとなる。
【0014】
また、第2の発明では、2つの表層が、多数の極めて薄い木質切削片が折り重なった状態で接着一体化された木質切削片層で構成されることにより、粒状の木質粉砕片からなる木質粉砕片層のみで構成された従来のパーティクルボードに比べて、水が内部に浸入し難くなる。つまり、第2の発明によれば、ビス引き抜き強度に加え、耐水性に優れたパーティクルボードを提供することができる。
【0015】
ところで、本願発明者等は、複層構造のパーティクルボードの2つの表層を、厚さが0.05~0.35mmと極めて薄い木質切削片のみを木質片として含む木質切削片層で構成することによる効果を検証する試験を行った。その結果、表層が木質切削片層で構成されたパーティクルボードは、表層が木質粉砕片層で形成された従来のパーティクルボードに対し、常態時曲げ強度(MOR)、湿潤時曲げ強度(wetMOR)、吸水長さ変化率(LE)、木ネジ保持力(WS)及び剥離強度(IB)が向上することが判った。
【0016】
従来の複層構造のパーティクルボードでは、表面性を向上すべく、表層が細かい木質粉砕片で形成されるが、そのような構成では、単層のパーティクルボードに比べて曲げ強度が低くなる。そこで、複層構造のパーティクルボードにおいて、表層の密度を高くすることである程度の曲げ強度を確保することも考えられるが、表層の密度を高くすると、重量が重くなり、接着剤の使用量が増えるという問題が生じる。
【0017】
これに対し、第2の発明では、2つの表層の密度を高くするのではなく、2つの表層を構成する木質片を木質粉砕片から木質切削片に変更することにより、コスト及び重量を増大させることなく、曲げ強度を向上させることができる。
【0018】
以上により、第2の発明によれば、ビス引き抜き強度だけでなく、表面性、耐水性、曲げ強度及び剥離強度にも優れ、寸法変化の小さい複層構造のパーティクルボードを、コスト及び重量を増大させることなく提供することができる。
【0019】
第3の発明は、第1の発明において、2つの表層と、該2つの表層の間に設けられた少なくとも1つの中間層とを備え、上記中間層の少なくとも1つは、上記木質切削片層であることを特徴とするものである。
【0020】
第3の発明では、中間層の少なくとも1つが木質切削片層で構成されている。このような構成により、木質切削片層からなる中間層により、ビスが安定的に保持され、引き抜き難くなる。従って、第3の発明によれば、ビス引き抜き強度に優れたパーティクルボードを提供することができる。
【0021】
ところで、本願発明者等は、複層構造のパーティクルボードの少なくとも1つの中間層を、厚さが0.05~0.35mmと極めて薄い木質切削片のみを木質片として含む木質切削片層で構成することによる効果を検証する試験を行った。その結果、少なくとも1つの中間層が木質切削片層で構成されたパーティクルボードは、全ての中間層が木質粉砕片層で形成された従来のパーティクルボードに対し、常態時曲げ強度(MOR)、湿潤時曲げ強度(wetMOR)、吸水厚さ膨張率(TS)、吸水長さ変化率(LE)、木ネジ保持力(WS)及び剥離強度(IB)が向上することが判った。
【0022】
従来の複層構造のパーティクルボードでは、表面性を向上すべく、表層が細かい木質粉砕片で形成されるが、そのような構成では、単層のパーティクルボードに比べて曲げ強度が低くなる。そこで、複層構造のパーティクルボードにおいて、表層の密度を高くすることである程度の曲げ強度を確保することも考えられるが、表層の密度を高くすると、重量が重くなり、接着剤の使用量が増えるという問題が生じる。
【0023】
これに対し、第3の発明では、表層の密度を高くするのではなく、少なくとも1つの中間層を構成する木質片を木質粉砕片から木質切削片に変更することにより、コスト及び重量を増大させることなく、曲げ強度を向上させることができる。
【0024】
以上により、第3の発明によれば、ビス引き抜き強度だけでなく、曲げ強度及び剥離強度にも優れ、寸法変化の小さい複層構造のパーティクルボードを、コスト及び重量を増大させることなく提供することができる。
【0025】
第4の発明は、第2の発明において、上記中間層の少なくとも1つは、上記木質切削片層であることを特徴とするものである。
【0026】
第4の発明では、2つの表層だけでなく、中間層の少なくとも1つも木質切削片層で構成されている。このような構成により、よりビス引き抜き強度に優れたパーティクルボードを提供することができる。
【0027】
第5の発明は、第3の発明において、上記木質切削片層である上記中間層を複数備えていることを特徴とするものである。
【0028】
第5の発明によれば、木質切削片層である中間層を複数備えることにより、ビス引き抜き強度により優れたパーティクルボードを提供することができる。
【0029】
第6の発明は、第2~第5のいずれか1つの発明において、上記木質粉砕片層の少なくとも1つは、多数の上記木質切削片を含む混合層であることを特徴とするものである。
【0030】
第6の発明は、木質粉砕片層の少なくとも1つが、多数の木質切削片を含む混合層で構成されている。木質切削片を含む混合層は、粒状の木質粉砕片のみで構成される木質切削片を含まない非混合層よりも、剛性が高くなる上、少量の接着剤で木質片を接着一体化することができる。そのため、上記パーティクルボードによれば、曲げ強度を確保しつつ、接着剤の使用量を低減することができる。
【0031】
第7の発明は、第2~第5のいずれか1つの発明において、上記木質粉砕片層の少なくとも1つは、多数の上記木質切削片を含む混合層であり、上記木質粉砕片層であって上記木質切削片を含まない非混合層と上記木質切削片層との間には、上記混合層が設けられていることを特徴とするものである。
【0032】
第7の発明では、木質片として木質粉砕片のみを含む非混合層と、木質片として木質切削片のみを含む木質切削片層との間に、木質粉砕片と木質切削片とを含む混合層が設けられている。このように非混合層と木質切削片層との間に混合層を設けることにより、層間の木質片(木質粉砕片、木質切削片)のサイズの差が小さくなり、層間における剥離を抑制することができる。
【0033】
第8の発明は、第1の発明において、上記木質切削片は、木質素材を切削してなる厚さが0.05~0.35mmの多数の木質薄片を粉砕してなる多数の木質小薄片のうち、分級によって選別された多数の第1木質小薄片を集合状態で接着一体化してなる木質ボードの形成時に、上記木質素材から生成されるものであることを特徴とするものである。
【0034】
第9の発明は、第2の発明において、上記木質切削片は、木質素材を切削してなる厚さが0.05~0.35mmの多数の木質薄片を粉砕してなる多数の木質小薄片のうち、分級によって選別された多数の第1木質小薄片を集合状態で接着一体化してなる木質ボードの形成時に、上記木質素材から生成されるものであり、少なくとも上記表層に用いる上記木質切削片は、上記木質小薄片のうち、分級によって選別された上記第1木質小薄片以外のものであることを特徴とするものである。
【0035】
第8及び第9の発明では、他の木質ボードを形成するために木質素材を加工した際に生成されるものを、木質切削片として用いることとしている。そのため、ビス引き抜き強度を向上させるために、通常のパーティクルボードに用いる材料(木質粉砕片)と異なる材料(木質切削片)を用いることとしても、他の木質ボードの材料加工時に生成されるものを異なる材料として用いるため、容易に調達できる。従って、第8及び第9の発明によれば、ビス引き抜き強度に優れたパーティクルボードを容易に且つ比較的安価に提供することができる。
【0036】
特に、第8の発明では、少なくとも表層に含まれる木質切削片として、木質小薄片を分級して選別された第1木質小薄片以外のものを用いることとしている。このように、他の木質ボードの形成時に生じた他の木質ボードには用いない廃材を、パーティクルボードの表層用の木質切削片として利用することにより、パーティクルボードをより安価に形成することができる。また、他の木質ボードの木質素材を余すことなく用いることとなるため、木質資源の有効活用に繋がる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明した如く、本発明によると、パーティクルボードを複層構造とし、少なくとも一層を、極めて薄い木質切削片のみを木質片として含む木質切削片層に構成することとしたため、ビス引き抜き強度に優れたパーティクルボードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、実施形態1に係るパーティクルボードの一部を示す断面図である。
図2図2は、木質粉砕片の作製過程を示す図である。
図3図3は、木質切削片の作製過程を示す図である。
図4図4は、第1木質小薄片を概略的に示す拡大斜視図である。
図5図5は、パーティクルボードの製造工程を示す図である。
図6図6は、熱圧工程前のマットと熱圧工程後に形成されるパーティクルボードとを比較して示す一部拡大断面図である。
図7図7は、実施形態1の効果検証実験の結果を示すものである。
図8図8は、実施形態2に係るパーティクルボードの一部を示す断面図である。
図9図9は、実施形態3に係るパーティクルボードの一部を示す断面図である。
図10図10は、実施形態4に係るパーティクルボードの一部を示す断面図である。
図11図11は、実施形態5に係るパーティクルボードの一部を示す断面図である。
図12図12は、実施形態5の効果検証実験の結果を示すものである。
図13図13は、実施形態6に係るパーティクルボードの一部を示す断面図である。
図14図14は、実施形態7に係るパーティクルボードの一部を示す断面図である。
図15図15は、実施形態8に係るパーティクルボードの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0040】
《発明の実施形態1》
-パーティクルボードの構成-
図1は、本発明の実施形態1に係るパーティクルボード10を示す。パーティクルボード10は、例えば、床材等の建材の下地材や家具の構成材等として用いることができるものである。
【0041】
パーティクルボード10は、多数の木質片1,…,1が集合状態で接着一体化されたものである。パーティクルボード10には、多数の木質片1,…,1と接着剤とが含まれている。本発明の特徴は、パーティクルボード10の構成材料(木質片1)にあり、厚さや密度は特に限定されるものではないが、パーティクルボード10は、例えば、厚さ3mm以上25mm以下、密度500kg/m以上800kg/m以下となるように構成されている。
【0042】
<木質片>
本実施形態1では、パーティクルボード10を構成する多数の木質片1,…,1は、多数の木質粉砕片2,…,2と、多数の木質切削片3,…,3とで構成されている。パーティクルボード10は、中間層11と、該中間層11を挟み込むように設けられて表面を構成する2つの表層12,12とを備え、3層構造に構成されている。中間層11と表層12とは、含む木質片1,…,1の構成が異なる。
【0043】
表層12には、通常のパーティクルボードと同様に、多数の木質粉砕片2,…,2が、木質片1,…,1として含まれているが、中間層11には、多数の木質切削片3,…,3が、木質片1,…,1として含まれている。つまり、本実施形態1では、中間層11は、木質片1,…,1が木質切削片3,…,3のみで構成され、多数の木質切削片3,…,3が集合状態で接着一体化されてなる木質切削片層に構成されている。一方、表層12は、木質片1,…,1が木質粉砕片2,…,2のみで構成され、多数の木質粉砕片2,…,2が集合状態で接着一体化されてなる木質粉砕片層に構成されている。
【0044】
本実施形態1では、表層12に用いる木質粉砕片2,…,2は、従来のパーティクルボードにおいて木質片として用いるものであるが、中間層11に用いる木質切削片3,…,3は、後述する他の木質ボード50の構成材料として用いるものである。つまり、本実施形態1では、表層12には、従来のパーティクルボードで用いる木質粉砕片2,…,2を多数の木質片1,…,1として用い、中間層11には、他の木質ボード50の構成材料として用いる木質切削片3,…,3を多数の木質片1,…,1として用いている。
【0045】
以下、パーティクルボード10で用いる木質粉砕片2,…,2及び木質切削片3,…,3について詳細に説明する。
【0046】
[木質粉砕片]
図2に示すように、木質粉砕片2,…,2は、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の既知の粉砕装置(チッパー)により、木質素材Aを粒状に粉砕することによって得られる。本実施形態1のパーティクルボード10では、図2に示すように、木質素材Aを粉砕した木質粒状片2a,…,2aを、大小2種類の篩を用いて分級し、分級によって選別された第1木質粒状片2b,…,2bではなく、2種類の篩の両方を通過した第1木質粒状片2b,…,2bよりも細かい第2木質粒状片2c,…,2cを表層12用の木質粉砕片2,…,2として用いている。第1木質粒状片2b,…,2bとして、例えば、粒径(最大径)が0.5mm以上5mm以下の粒状片が選別される。
【0047】
なお、図2に示すように、上記分級により、2種類の篩の両方を通過しない第1木質粒状片2b,…,2bよりも粗い第3木質粒状片2d,…,2dは、木質粉砕片2,…,2として用いずに、チッパー装置に戻し、再度粉砕される。
【0048】
木質素材Aの樹種は特に限定されず、いかなる樹種でも木質素材Aとして用いることができる。例えば、スギ、ヒノキ、ベイマツ等のファー材、アカシア、アスペン、ポプラ、パイン系(ハードパイン、ソフトパイン、ラジアータパイン等)、バーチ、ゴム(ゴムの木)等を木質素材Aとして用いることができる。また、トドマツ、カラマツ、エゾマツ、サワラ、ヒバ、カヤ、栂、槙、種々の松、桐、楓、樺(白樺)、椎、ブナ、樫、樅、櫟、楢、楠、ケヤキ等の国産材や、米ヒノキ、米ヒバ、米杉、米樅、スプルース、米栂、レッドウッド等の北米材、アガチス、ターミナリア、ラワン、メランチ、ジュンコン、カメレレ、カランパヤン、アンベロイ、メリナ、チーク、アピトン、センゴンラウト等の南洋材や、バルサ、セドロ、マホガニー、リグナムバイタ、アカシアマンギューム、地中海松、コウリャン、カメレレのような他の外材等も、木質素材Aとして用いることができる。また、丸太や間伐材等の原木だけでなく、建築現場等で発生する端材や廃材、廃パレット材、再生材等を木質素材Aとして用いてもよい。
【0049】
[木質切削片]
中間層11に用いる木質切削片3,…,3は、本発明に係るパーティクルボード10とは異なる木質ボード50の形成時に、木質素材Bから生成されるものである。木質ボード50は、図3に示すように、木質素材Bを既知の切削装置(ストランダー)によって切削してなる厚さが0.05~0.35mmの多数の木質薄片3a,…,3aを、既知の粉砕装置でさらに粉砕して多数の木質小薄片3b,…,3bを形成し、さらに、これを大小2種類の篩を用いて分級し、分級によって選別された第1木質小薄片3c,…,3cを集合状態で接着一体化したものである。
【0050】
本実施形態1のパーティクルボード10では、上記木質ボード50を形成する際に、木質素材Bを切削してなる厚さが0.05~0.35mmの多数の木質薄片3a,…,3aをさらに粉砕してなる多数の木質小薄片3b,…,3bのうち、分級によって選別された多数の第1木質小薄片3c,…,3cを、中間層11に含ませる木質切削片3,…,3として用いている。具体的には、適宜選択した大小2種類の篩を用いて、多数の木質小薄片3b,…,3bを分級することにより、目の粗い篩は通過する一方、目の細かい篩は通過しない多数の第1木質小薄片3c,…,3cが選別される。分級により、多数の木質小薄片3b,…,3bが選別される他、2種類の篩の両方を通過した第1木質小薄片3c,…,3cよりも細かい第2木質小薄片3d,…,3d、及び2種類の篩の両方を通過しない第1木質小薄片3c,…,3cよりも粗い第3木質小薄片3e,…,3eも得られる。
【0051】
木質薄片3aの厚さtは0.05mm以上0.35mm以下であり、好ましくは0.10mm以上0.30mm以下、より好ましくは0.15mm以上0.25mm以下、さらに好ましくは0.15mm以上0.20mm以下である。上記木質薄片3aの厚さtは平均値である。木質小薄片3bは、木質薄片3aを粉砕したものであるため、木質小薄片3bも木質薄片3aの厚さtに等しいものとなる。
【0052】
第1木質小薄片3cについて詳述する。図4に拡大して示すように、第1木質小薄片3cは、導管や仮導管等による繊維aに沿った方向の繊維方向寸法d1が、繊維方向と直交する方向の繊維直交方向寸法d2よりも長い細長形状(短冊形状)である。繊維方向寸法d1を長さとし、繊維直交方向寸法d2を幅とすると、長さd1は40mm以下、好ましくは35mm以下、より好ましくは30mm以下、より一層好ましくは25mm以下、さらに好ましくは10mm以上20mm以下である。また、幅d2は35mm以下、好ましくは15mm以下、より好ましくは0.5mm以上5mm以下である。第1木質小薄片3cの長さd1及び幅d2はいずれも平均値とする。
【0053】
このような厚さ、形状、大きさの第1木質小薄片3c,…,3cは、上述したように、適宜選択した大小2種類の篩を用いて、多数の木質小薄片3b,…,3bを分級することにより選別される。
【0054】
なお、本実施形態1では、上述したように、多数の木質薄片3a,…,3aの粉砕後、分級によって選別された第1木質小薄片3c,…,3cを、木質切削片3,…,3としてパーティクルボード10の中間層11に用いることができる。しかしながら、パーティクルボード10の中間層11を構成する木質切削片3,…,3は、上記のものに限られない。第1木質小薄片3c,…,3c以外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を、中間層11を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。また、切削後粉砕前の木質薄片3a,…,3aや粉砕後分級前の多数の木質小薄片3b,…,3bを、中間層11を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。さらに、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの全て、いずれか2つ、3つ又は4つを組み合わせて中間層11を構成する木質切削片3,…,3として用いることとしてもよい。つまり、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの少なくとも1種類を、中間層11を構成する木質切削片3,…,3として用いることができる。
【0055】
木質素材Bの樹種は特に限定されず、いかなる樹種でも木質素材Bとして用いることができる。例えば、スギ、ヒノキ、ベイマツ等のファー材、アカシア、アスペン、ポプラ、パイン系(ハードパイン、ソフトパイン、ラジアータパイン等)、バーチ、ゴム(ゴムの木)等を木質素材Bとして用いることができる。また、トドマツ、カラマツ、エゾマツ、サワラ、ヒバ、カヤ、栂、槙、種々の松、桐、楓、樺(白樺)、椎、ブナ、樫、樅、櫟、楢、楠、ケヤキ等の国産材や、米ヒノキ、米ヒバ、米杉、米樅、スプルース、米栂、レッドウッド等の北米材、アガチス、ターミナリア、ラワン、メランチ、ジュンコン、カメレレ、カランパヤン、アンベロイ、メリナ、チーク、アピトン、センゴンラウト等の南洋材や、バルサ、セドロ、マホガニー、リグナムバイタ、アカシアマンギューム、地中海松、コウリャン、カメレレのような他の外材等も、木質素材Bとして用いることができる。また、丸太や間伐材等の原木だけでなく、建築現場等で発生する端材や廃材、廃パレット材、再生材等を木質素材Bとして用いてもよい。
【0056】
パーティクルボード10を構成する多数の木質片1,…,1は、以上のような木質粉砕片2,…,2と木質切削片3,…,3とによって構成されている。
【0057】
木質片1(木質粉砕片2、木質切削片3)の物性に関し、その密度は好ましくは250kg/m以上、より好ましくは300kg/m以上であり、また好ましくは800kg/m以下、より好ましくは500kg/m以下、さらに好ましくは400kg/m以下である。密度が250kg/m未満であると、同密度・同曲げ強度のパーティクルボード10を形成するために必要なマットの厚さが大きくなるとともに、プレス成形工程での熱圧プレス処理に係るプレス圧を高める必要がある。また、木質片1の密度は、800kg/mを超えてもよいが、そのような木質片1を容易に得ることは難しい。すなわち、800kg/mを超える木質片1を容易に得ることができるのであれば、密度の上限値は800kg/mに限定されず、さらに高い値であってもよい。
【0058】
また、木質片1(木質粉砕片2、木質切削片3)の含水率は、2%以上20%以下であることが好ましく、2%以上8%以下であることがより好ましい。含水率が2%未満の場合、プレス成形工程での熱圧プレス処理において軟化に時間がかかってプレス時間が長くなり、曲げ強度が下がる虞がある。一方、木質片1の含水率が20%を超えると、同熱圧プレス処理において加熱・圧縮に時間がかかり、さらには接着剤の硬化が阻害されて曲げ強度が下がる虞がある。
【0059】
<接着剤>
パーティクルボード10に用いる接着剤は、熱硬化型接着剤であれば特に限定されない。例えば、イソシアネート系の接着剤を用いることができる。また、その他、フェノール樹脂、ユリア樹脂やメラミン樹脂等のアミン系接着剤や、天然系接着剤等も用いることができる。接着剤は、堆積前の木質片1,…,1に塗布され、木質片1,…,1を堆積させたマットを熱圧プレスする際に硬化する。これにより、多数の木質片1,…,1が集合状態で接着一体化される。
【0060】
-パーティクルボードの製造方法-
次に、パーティクルボード10の製造方法について説明する。パーティクルボード10の製造方法は、木質片作製工程S1と、接着剤塗布工程S2と、マットフォーミング工程S3と、熱圧工程S4とを備えている。
【0061】
<木質片作製工程S1>
木質片作製工程S1は、木質粉砕片作製工程S11と、木質切削片作製工程S12とを備えている。
【0062】
[木質粉砕片作製工程S11]
木質粉砕片作製工程S11は、材料準備工程S111と、粉砕工程S112と、分級工程S113とを備えている。
【0063】
(材料準備工程S111)
まず、木質素材Aを準備する。丸太や間伐材等の原木を用いる場合、短くカットして樹皮を除去して木質素材Aとする。建築現場等で発生する端材や廃材、廃パレット材、再生材等を用いる場合、短くカットして木質素材Aとする。
【0064】
(粉砕工程S112)
次に、準備した木質素材Aを、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の既知の粉砕装置(チッパー)により、粒状に粉砕する。木質素材Aを粉砕することにより、木質粒状片2a,…,2aが得られる。
【0065】
(分級工程S113)
粉砕によって得られた木質粒状片2a,…,2aを、大小2種類の篩を用いて3種類のサイズに分級する。具体的には、木質粒状片2a,…,2aは、目の粗い篩は通過し、目の細かい篩は通過しない所望の粒径(例えば、0.5mm以上5mm以下)の第1木質粒状片2b,…,2bと、2種類の篩の両方を通過した第1木質粒状片2b,…,2bよりも細かい第2木質粒状片2c,…,2cと、2種類の篩の両方を通過しない第1木質粒状片2b,…,2bよりも粗い第3木質粒状片2d,…,2dとに分ける。このように分級して選別した第1木質粒状片2b,…,2bではなく、同時に得られた第2木質粒状片2c,…,2cを、表層12用の木質粉砕片2,…,2とする。
【0066】
[木質切削片作製工程S12]
木質切削片作製工程S12は、材料準備工程S121と、切削工程S122と、粉砕工程S123と、分級工程S124とを備えている。なお、上述したように、本実施形態1では、木質ボード50の形成時に生じる第1木質小薄片3c,…,3cを、中間層11用の木質切削片3,…,3として用いる。そのため、木質切削片作製工程S12は、木質ボード50の製造方法の一部の工程である。
【0067】
(材料準備工程S121)
まず、木質素材Bを準備する。丸太や間伐材等の原木を用いる場合、短くカットして樹皮を除去して木質素材Bとする。建築現場等で発生する端材や廃材、廃パレット材、再生材等を用いる場合、短くカットして木質素材Bとする。
【0068】
(切削工程S122)
次に、準備した木質素材Bを、外刃型や内刃型の既知の切削装置(ストランダー)により、切削して多数の所望の厚さtの木質薄片3a,…,3aを形成する。具体的には、切削装置に木質素材Bを送り込む方向及び速度を調節し、表面に繊維aが直線状に表れた所望の厚さtの多数の木質薄片3a,…,3aを形成する。
【0069】
なお、この切削工程S122において、厚さtの木質薄片3a,…,3aを作製することにより、次の粉砕工程で得られる木質小薄片3b,…,3bの厚さが所望の厚さtとなる。
【0070】
(粉砕工程S123)
次に、切削によって得られた木質薄片3a,…,3aをハンマーや刃物(ナイフフレーカー)、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の既知の粉砕装置を用いて粉砕することにより、切削直後の大きさよりも小さくする。このとき、切削後木質薄片を繊維方向(長さ方向)に沿って割れるように幅方向に粉砕すると、細長形状の木質小薄片3b,…,3bを作ることができる。つまり、木質薄片3a,…,3aに繊維方向に直交する繊維直交方向に沿って力(衝撃)を加えると、割れ難くなるが、繊維方向に平行に沿って力を加えると、簡単に割れるようになる。木質薄片3a,…,3aがカールしていても、その粉砕により平面状に分割される。尚、木質薄片3a,…,3aに加える力の方向は上記の繊維方向に平行な方向に限定されない。木質薄片3a,…,3aに対してランダムな方向に力を加えると、通常、木質薄片3a,…,3aは力の弱い部分から割れていく(力の弱い方向に割れ易い)。木質薄片3a,…,3aの各繊維がつながる力(繊維直交方向の力)は繊維方向の力よりも圧倒的に弱いため、上記粉砕装置で木質薄片3a,…,3aをランダムな方向に粉砕すれば(力を加えると)、木質薄片3a,…,3aが繊維方向に沿って割れて繊維直交方向に短くなり、細長形状の木質小薄片3b,…,3bが得られる。
【0071】
また、木質薄片3a,…,3aに木材の節があったとしても、その節は他の部分よりも脆いので、粉砕により節が粉状になり、後の分級工程で除去される。
【0072】
このように切削工程S122のみの1段階ではなく、その後に粉砕工程S123を加えて2段階の加工工程を経由させることで、必要な大きさで節部分のない高強度の木質小薄片3b,…,3bを容易に製造することができる。
【0073】
(分級工程S124)
粉砕によって得られた木質小薄片3b,…,3bを、大小2種類の篩を用いて3種類のサイズに分級する。具体的には、木質小薄片3b,…,3bは、目の粗い篩は通過し、目の細かい篩は通過しない所望の寸法の第1木質小薄片3c,…,3cと、2種類の篩の両方を通過した第1木質小薄片3c,…,3cよりも細かい第2木質小薄片3d,…,3dと、2種類の篩の両方を通過しない第1木質小薄片3c,…,3cよりも粗い第3木質小薄片3e,…,3eとに分ける。このように分級して選別された第1木質小薄片3c,…,3cを、中間層11用の木質切削片3,…,3とする。
【0074】
木質片作製工程S1では、以上の木質粉砕片作製工程S11と、木質切削片作製工程S12とにより、中間層11用の木質片1,…,1(第1木質小薄片3c,…,3c)と、表層12用の木質片1,…,1(第2木質粒状片2c,…,2c)が作製される。
【0075】
<接着剤塗布工程S2>
木質片作製工程S1において作製された中間層11用の木質片1,…,1と表層12用の木質片1,…,1を、それぞれ接着剤塗布装置に搬入して接着剤を塗布する。接着剤としては、例えば、イソシアネート系の接着剤を用いることができ、その他、フェノール樹脂、ユリア樹脂やメラミン樹脂等のアミン系接着剤、木質用天然物(タンニン)系接着剤等を用いてもよい。また、接着剤と共に、一般に使用される撥水剤を併用してもよい。
【0076】
<マットフォーミング工程S3>
マットフォーミング工程S3では、図6の左側に示すように、まず、接着剤が塗布された多数の表層12用の木質片1,…,1を、厚さ方向に集合させた状態で所定厚さ(高さ)になるまで堆積させ、木質片1,…,1の第1マット9aを形成する。次に、接着剤が塗布された多数の中間層11用の木質片1,…,1を、第1マット9aの上に、厚さ方向に集合させた状態で所定厚さ(高さ)になるまで堆積させ、木質片1,…,1の第2マット9bを形成する。さらに、接着剤が塗布された多数の表層12用の木質片1,…,1を、第2マット9bの上に、厚さ方向に集合させた状態で所定厚さ(高さ)になるまで堆積させ、木質片1,…,1の第3マット9cを形成する。以上のようにして3層構造のマット9を形成する。
【0077】
このとき、パーティクルボード10全体に占める中間層11及び各表層12の厚さの割合を所望の割合とするために、第1~第3マット9a~9cの厚さを調整する。例えば、表層12のパーティクルボード10全体に占める厚さの割合が15%(表層12:中間層11:表層12=15:70:15)の厚さ9mmのパーティクルボード10を形成する場合、表層12となる第1及び第3マット9a,9cの厚さ(高さ)が13.5mm程度、中間層11となる第2マット9bの厚さ(高さ)が63mm程度になるようにマット9を形成する。
【0078】
<熱圧工程S4>
マットフォーミング工程S3において形成されたマット9を、熱圧プレス装置に搬入して熱盤間にセットし、熱圧プレス装置により、マット9を所定の圧力及び温度で熱圧プレス処理して圧縮する。このとき、接着剤が硬化することにより、多数の木質片1,…,1が接着一体化される。その結果、図6の右側に示すパーティクルボード10が形成される。
【0079】
このとき、図6に示すように、上記例示した90mm程度の厚さのマット9は、例えば、9mmのパーティクルボード10に圧縮され、厚さが1/10まで圧縮される。熱圧プレス処理に係るプレス温度は、特に限定されないが、例えば160~220℃である。熱圧プレス処理に係るプレス圧は、例えば、2~4N/mmであり、プレス時間は、例えば、1.5~3分間である(例えば、厚さ1mm当たり10~20秒)。なお、プレス時間は、パーティクルボード10の厚さによって変動するものであり、1分未満で終了する場合もあれば、3分よりも長い時間を要する場合もある。また、熱圧プレス装置による熱圧プレス処理の前に、加熱装置による予備加熱処理を行ってもよい。
【0080】
-実施形態1の効果-
本実施形態1では、パーティクルボード10を複層構造(3層構造)とし、少なくとも一層を、厚さが0.05~0.35mmと極めて薄い木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層で構成することとした。薄片状の木質切削片3,…,3は、木質素材Aを粉砕してなる粒状の木質粉砕片2,…,2に比べて面積が大きい。そのため、少なくとも一層を木質切削片層で構成することにより、木質粉砕片2,…,2のみで構成されたパーティクルボード10に比べてビスが抜け難くなる。従って、本実施形態1によれば、ビス引き抜き強度(木ネジ保持力)に優れたパーティクルボード10を提供することができ、該パーティクルボード10であれば、耐力下地材に用いられる構造用合板の代替品として用いることができる。
【0081】
また、本実施形態1では、中間層11が木質切削片層で構成されている。このような構成により、木質切削片層からなる中間層11により、ビスが安定的に保持され、引き抜き難くなる。従って、本実施形態1によれば、ビス引き抜き強度に優れたパーティクルボード10を提供することができる。
【0082】
また、本実施形態1では、他の木質ボード50を形成するために木質素材Bを加工した際に生成されるものを、中間層11用の木質切削片3,…,3として用いることとしている。そのため、ビス引き抜き強度を向上させるために、通常のパーティクルボード10に用いる材料(木質粉砕片2,…,2)と異なる材料(木質切削片3,…,3)を用いることとしても、他の木質ボード50の材料加工時に生成されるものを異なる材料として用いるため、容易に調達できる。従って、本実施形態1によれば、ビス引き抜き強度に優れたパーティクルボード10を容易に且つ比較的安価に提供することができる。
【0083】
特に、実施形態1において、中間層11に含まれる木質切削片3,…,3を、木質小薄片3b,…,3bを分級して選別された第1木質小薄片3c,…,3c以外のものを用いる場合には、他の木質ボード50の形成時に生じた他の木質ボード50には用いない廃材を利用することとなるため、パーティクルボード10をより安価に形成することができる。また、他の木質ボード50の木質素材Bを余すことなく用いることとなるため、木質資源の有効活用に繋がる。
【0084】
また、後述するように、本願発明者等は、パーティクルボード10の中間層11を、厚さが0.05~0.35mmの木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層で構成することによる効果を検証する試験を行った。その結果、中間層11を木質切削片層で構成したパーティクルボード10は、中間層を木質切削片層で構成しない従来のパーティクルボードに対し、常態時曲げ強度(MOR)、湿潤時曲げ強度(wetMOR)、吸水厚さ膨張率(TS)、吸水長さ変化率(LE)、木ネジ保持力(WS)及び剥離強度(IB)が向上することが判った。
【0085】
従来の3層構造のパーティクルボードでは、表面性を向上すべく、表層が細かい木質粉砕片で形成されるが、そのような構成では、単層のパーティクルボードに比べて曲げ強度が低くなる。そこで、従来の3層構造のパーティクルボードにおいて、表層の密度を高くすることである程度の曲げ強度を確保することも考えられるが、表層の密度を高くすると、重量が重くなり、接着剤の使用量が増えるという問題が生じる。
【0086】
これに対し、実施形態1では、表層の密度を高くするのではなく、3層構造のパーティクルボード10の中間層11を構成する木質片1,…,1を、粒状の木質粉砕片2,…,2ではなく、木質粉砕片2,…,2に比べて面積が大きい多数の薄い木質切削片3,…,3で構成することとしている。このような構成により、実施形態1に係るパーティクルボード10は、従来のパーティクルボードに比べて中間層11の曲げ強度が増大する。そのため、表面性(平滑度)を向上させるために、表層12を粒度の小さい木質粉砕片2,…,2で構成することとしても、パーティクルボード10の曲げ強度を確保するために、表層12の密度を高めたり、多量の接着剤を用いたりする必要がなく、コスト及び重量を増大させることなく、曲げ強度を向上させることができる。また、中間層11が、木質粉砕片2,…,2で構成される場合に比べて、薄片状の木質切削片3,…,3は、少量の接着剤で接着一体化することができる。そのため、本実施形態1のパーティクルボード10によれば、曲げ強度を確保しつつ、接着剤の使用量を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態1のパーティクルボード10では、従来の3層構造のパーティクルボードと同様に、表層12が比較的細かい粒状の木質粉砕片2,…,2(第2木質粒状片2c,…,2c)で構成されているため、表面性(平滑度)に優れたものとなる。
【0088】
以上により、本実施形態1によれば、ビス引き抜き強度だけでなく、表面性及び曲げ強度及び剥離強度にも優れ、寸法変化の小さい積層構造のパーティクルボード10を、コスト及び重量を増大させることなく提供することができる。
【0089】
-効果の検証-
本願発明者等は、パーティクルボード10の中間層11を、厚さが0.05~0.35mmの木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層で構成することによる上記の効果を検証するため、従来のパーティクルボードと同様に、中間層11が多数の木質粉砕片2,…,2のみを木質片1,…,1として含む木質粉砕片層で構成された試験体X0と、中間層11が多数の木質切削片3,…,3が集合状態で接着一体化された木質切削片層で構成された試験体X1とを準備し、JIS A5908及びJIS A5905に準じて、曲げ強さ試験、湿潤時曲げ強さ試験、吸水厚さ膨張率試験、吸水長さ変化率試験、木ネジ保持力試験、剥離強さ試験を行い、常態時曲げ強度(MOR)、湿潤時曲げ強度(wetMOR)、吸水厚さ膨張率(TS)、吸水長さ変化率(LE)、木ネジ保持力(WS)、剥離強度(IB)を求めたところ、図7に示すような結果となった。なお、試験体X1は、実施形態1のパーティクルボード10と同様に構成されている。また、図7には、試験体X0の各試験の結果を100としたときの相対比率で、試験体X1の各試験の結果を示している。
【0090】
図7に示すように、中間層11が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X1)は、中間層11が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対して常態時曲げ強度(MOR)及び湿潤時曲げ強度(wetMOR)が共に向上する結果となり、湿潤時曲げ強度(wetMOR)は、改善率が67%と著しく改善する結果となった。
【0091】
また、寸法変化に関し、中間層11が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X1)は、中間層11が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対し、吸水厚さ膨張率(TS)も吸水長さ変化率(LE)も低下する(改善する)結果となり、吸水長さ変化率(LE)は、改善率が38%と著しく改善する結果となった。
【0092】
また、木ネジ保持力(WS)についても、中間層11が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X1)は、中間層11が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対し、改善率が40%と著しく向上する結果となった。
【0093】
さらに、剥離強度(IB)についても、中間層11が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X1)は、中間層11が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対し、改善率が99%と著しく向上する結果となった。
【0094】
以上のように、中間層11が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X1)は、中間層11が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対し、常態時曲げ強度(MOR)、湿潤時曲げ強度(wetMOR)、木ネジ保持力(WS)及び剥離強度(IB)が高まり(改善し)、吸水厚さ膨張率(TS)も吸水長さ変化率(LE)も低下する(改善する)こととなった。これらの結果より、パーティクルボード10の中間層11を、厚さが0.05~0.35mmの木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層で構成することにより、従来と同様に表面性に優れ、ビス引き抜き強度だけでなく、曲げ強度及び剥離強度に優れ、寸法変化の小さいパーティクルボード10をコスト及び重量を増大させることなく提供することができることが判る。
【0095】
《発明の実施形態2》
実施形態2に係るパーティクルボード10は、実施形態1のパーティクルボード10の一部の構成を変更したものである。具体的には、図8に示すように、実施形態2のパーティクルボード10では、木質粉砕片層に構成された表層12に、木質切削片3,…,3が含まれている。つまり、実施形態2では、表層12が、多数の木質粉砕片2,…,2だけでなく、多数の木質切削片3,…,3を、木質片1,…,1として含んでいる。つまり、実施形態2では、表層12が、多数の木質粉砕片2,…,2が集合状態で接着一体化されてなる木質粉砕片層であって多数の木質切削片3,…,3を含む混合層に構成されている。
【0096】
表層(混合層)12に用いる木質切削片3,…,3は、木質ボード50を形成するために木質素材Bを切削して粉砕することによって形成された木質小薄片3b,…,3bのうち、木質ボード50には用いない分級外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を用いている。
【0097】
なお、表層(混合層)12を構成する木質切削片3,…,3は、上記のものに限られない。木質ボード50に用いる第1木質小薄片3c,…,3cを、表層(混合層)12を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。また、切削後粉砕前の木質薄片3a,…,3aや粉砕後分級前の多数の木質小薄片3b,…,3bを、表層(混合層)12を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。さらに、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの全て、いずれか2つ、3つ又は4つを組み合わせて表層(混合層)12を構成する木質切削片3,…,3として用いることとしてもよい。つまり、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの少なくとも1種類を、表層(混合層)12を構成する木質切削片3,…,3として用いることができる。
【0098】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0099】
パーティクルボード10の製造方法は、木質片作製工程S1が、木質片混合工程S13を有する点が実施形態1と異なるのみで、その他の工程は実施形態1と同様である。
【0100】
[木質片混合工程S13]
木質片混合工程S13では、木質粉砕片作製工程で作製された表層(混合層)12用の多数の木質粉砕片2,…,2(第2木質粒状片2c,…,2c)と、木質切削片作製工程で作製された表層(混合層)12用の多数の木質切削片3,…,3(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)とを、所望の混合割合(木質片1,…,1の総重量に対する木質切削片3,…,3が、10~90重量%)となるように混合する。
【0101】
実施形態2の木質片作製工程S1では、実施形態1と同様の木質粉砕片作製工程S11及び木質切削片作製工程S12と、上記の木質片混合工程S13とにより、中間層11用の木質片1,…,1(第1木質小薄片3c,…,3c)と、表層(混合層)12用の木質片1,…,1(第2木質粒状片2c,…,2cと、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eとの混合物)が作製される。
【0102】
実施形態2によっても実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施形態2では、中間層11を木質切削片3,…,3で構成するだけでなく、木質粉砕片2,…,2を含む木質粉砕片層である表層12を、木質切削片3,…,3を含む混合層に構成している。木質切削片3,…,3を含む混合層は、粒状の木質粉砕片2,…,2のみで構成される木質切削片3,…,3を含まない非混合層よりも、剛性が高くなる上、少量の接着剤で木質片1,…,1を接着一体化することができる。そのため、実施形態2のパーティクルボード10によれば、曲げ強度を確保しつつ、接着剤の使用量を低減することができる。
【0103】
また、実施形態2に係るパーティクルボード10によれば、表層12にある比較的細かい木質粉砕片2,…,2(第2木質粒状片2c,…,2c)間の隙間に、厚さが0.05~0.35mmと極めて薄い木質切削片3,…,3が入り込むことにより、表面に凹凸が生じ難い。特に、パーティクルボード10の表面において、薄片状の木質切削片3,…,3が折り重なれば、表面がより平滑になり、表面性(平滑度)に優れたものとなる。
【0104】
以上により、実施形態2によれば、実施形態1よりも表面性及び曲げ強度に優れたパーティクルボード10をコスト及び重量を増大させることなく提供することができる。
【0105】
また、実施形態2に係るパーティクルボード10によれば、木質切削片3,…,3を表層12に含ませることにより、実施形態1に比べて、ビスがより抜け難くなる。従って、実施形態2によれば、表面性及び曲げ強度に優れるだけでなく、ビス引き抜き強度(木ネジ保持力)にもより優れた3層構造のパーティクルボード10を提供することができる。
【0106】
また、実施形態2のパーティクルボード10によれば、表層12を木質粉砕片2,…,2のみで形成すると、木質粉砕片2,…,2間に隙間が数多く形成されるところ、薄片状の木質切削片3,…,3が混ぜ込まれているため、数多くの隙間に薄片状の木質切削片3,…,3が入り込むことにより、隙間が小さくなり、少なくなる。よって、実施形態2のパーティクルボード10は、粒状の木質粉砕片のみで構成された従来のパーティクルボードに比べて、水分が内部に浸入し難くなる。つまり、実施形態2によれば、表面性、曲げ強度及びビス引き抜き強度に優れるだけでなく、耐水性にも優れたパーティクルボード10を、コスト及び重量を増大させることなく提供することができる。
【0107】
また、粒状の木質粉砕片のみで構成された従来のパーティクルボードでは、プレス成形時に木質粉砕片が押しつぶされることにより、水分が内部に浸入した際に水分を吸収し易くなり、寸法変化(長さ・厚さの変化)が大きくなる虞がある。これに対し、本実施形態2のパーティクルボード10によれば、上述のように、従来のパーティクルボードに比べて、水分が内部に侵入し難い構造であるため、水分を吸収して寸法(長さ・厚さ)が大きく変化することもない。つまり、本実施形態2によれば、表面性、曲げ強度、ビス引き抜き強度及び耐水性に優れ、寸法変化の小さいパーティクルボード10を、コスト及び重量を増大させることなく提供することができる。
【0108】
また、本実施形態2では、表層12に含ませる木質切削片3,…,3として、木質小薄片3b,…,3bを分級して選別された第1木質小薄片3c,…,3c以外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を用いることとしている。このように、他の木質ボード50の形成時に生じた他の木質ボード50には用いない廃材を、表層12用の木質切削片3,…,3として利用することにより、パーティクルボード10をより安価に形成することができる。また、他の木質ボード50の木質素材Bを余すことなく用いることとなるため、木質資源の有効活用に繋がる。
【0109】
《発明の実施形態3》
実施形態3に係るパーティクルボード10は、実施形態1のパーティクルボード10の一部の構成を変更したものである。
【0110】
具体的には、図9に示すように、実施形態3のパーティクルボード10は、3つの中間層11a~11cと、3つの中間層11a~11cを挟み込むように設けられて表面を構成する2つの表層12,12とを備えている。つまり、実施形態3では、パーティクルボード10が、中間層を3つ備え、5層構造に構成されている。
【0111】
3つの中間層11a~11cは、2つの表層12,12の間に順に積層された第1~第3中間層11a~11cで構成されている。第1及び第3中間層11a,11cは同様に構成され、第2中間層11bは、第1及び第3中間層11a,11cとは構成が異なる。
【0112】
具体的には、第2中間層11bは、実施形態1の中間層11と同様に、木質片1,…,1が木質切削片3,…,3のみで構成されている。一方、第1及び第3中間層11a,11cは、木質片1,…,1が、木質粉砕片2,…,2に木質切削片3,…,3を混合した混合物で構成されている。つまり、第2中間層11bは、多数の木質切削片3,…,3が集合状態で接着一体化されてなる木質切削片層に構成され、第1及び第3中間層11a,11cは、多数の木質粉砕片2,…,2が集合状態で接着一体化されてなる木質粉砕片層であって多数の木質切削片3,…,3を含む混合層に構成されている。
【0113】
実施形態3では、混合層である第1及び第3中間層11a,11cが、多数の木質切削片3,…,3を含まない木質粉砕片層(非混合層)である2つの表層12,12と、木質切削片層である第2中間層11bとの間に設けられている。言い換えると、木質粉砕片2,…,2のみからなる非混合層(表層12)と、木質切削片3,…,3のみからなる木質切削片層(第2中間層11b)との間に、木質粉砕片2,…,2と木質切削片3,…,3との混合物からなる混合層(第1及び第3中間層11a,11c)が設けられている。
【0114】
第1及び第3中間層(混合層)11a,11cには、表層12用の木質粉砕片2,…,2として用いる第2木質粒状片2c,…,2cよりも粗い第1木質粒状片2b,…,2bを木質粉砕片2,…,2として用いている。
【0115】
また、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cには、木質ボード50を形成するために木質素材Bを切削して粉砕することによって形成された木質小薄片3b,…,3bのうち、木質ボード50には用いない分級外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を、木質切削片3,…,3として用いている。
【0116】
なお、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3は、上記のものに限られない。木質ボード50に用いる第1木質小薄片3c,…,3cを、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。また、切削後粉砕前の木質薄片3a,…,3aや粉砕後分級前の多数の木質小薄片3b,…,3bを、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。さらに、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの全て、いずれか2つ、3つ又は4つを組み合わせて第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3として用いることとしてもよい。つまり、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの少なくとも1種類を、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3として用いることができる。
【0117】
上述したように、第2中間層11bは、実施形態1の中間層11と同様に構成され、表層12は、実施形態1の表層12と同様に構成されている。また、その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0118】
パーティクルボード10の製造方法は、木質片作製工程S1が、木質片混合工程S13を有する点が実施形態1と異なり、また、接着剤塗布工程S2とマットフォーミング工程S3とが実施形態1と異なるが、その他の工程は実施形態1と同様である。
【0119】
[木質片混合工程S13]
木質片混合工程S13では、木質粉砕片作製工程S11で作製された第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の多数の木質粉砕片2,…,2(第1木質粒状片2b,…,2b)と、木質切削片作製工程S12で作製された第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の多数の木質切削片3,…,3(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)とを、所望の混合割合(木質片1,…,1の総重量に対する木質切削片3,…,3が、10~90重量%)となるように混合する。
【0120】
実施形態3の木質片作製工程S1では、実施形態1と同様の木質粉砕片作製工程S11及び木質切削片作製工程S12と、上記の木質片混合工程S13とにより、第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の木質片1,…,1(第1木質粒状片2b,…,2bと、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eとの混合物)と、第2中間層11b用の木質片1,…,1(第1木質小薄片3c,…,3c)と、表層12用の木質片1,…,1(第2木質粒状片2c,…,2c)とが作製される。
【0121】
<接着剤塗布工程S2>
実施形態3では、木質片作製工程S1において作製された第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の木質片1,…,1と、第2中間層11b用の木質片1,…,1と、表層12用の木質片1,…,1を、それぞれ接着剤塗布装置に搬入して接着剤を塗布する。
【0122】
<マットフォーミング工程S3>
実施形態3では、5層構造のパーティクルボード10を形成するため、表層12(非混合層)用の木質片1,…,1、第1中間層(混合層)11a用の木質片1,…,1、第2中間層11b(木質切削片層)用の木質片1,…,1、第3中間層(混合層)11c用の木質片1,…,1、表層12(非混合層)用の木質片1,…,1を、この順に、それぞれ厚さ方向に集合させた状態で所定厚さ(高さ)になるまで堆積させる。以上のようにして5層構造のマット9を形成する。
【0123】
実施形態3によっても実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施形態3では、木質粉砕片層である第1及び第3中間層11a,11cが、多数の木質切削片3,…,3を含む混合層に構成されている。木質切削片3,…,3を含む混合層は、粒状の木質粉砕片2,…,2のみで構成される木質切削片3,…,3を含まない非混合層よりも、剛性が高くなる上、少量の接着剤で木質片1,…,1を接着一体化することができる。そのため、実施形態3のパーティクルボード10によれば、曲げ強度を確保しつつ、接着剤の使用量を低減することができる。
【0124】
また、実施形態3では、木質片1,…,1として木質粉砕片2,…,2のみを含む非混合層(2つの表層12,12)と木質片1,…,1として木質切削片3,…,3のみを含む木質切削片層(第2中間層11b)との間に、木質粉砕片2,…,2と木質切削片3,…,3とを含む混合層(第1及び第3中間層11a,11c)が設けられている。このように非混合層と木質切削片層との間に混合層を設けることにより、層間の木質片1,…,1(木質粉砕片2,…,2、木質切削片3,…,3)のサイズの差が小さくなり、層間における剥離を抑制することができる。
【0125】
また、本実施形態3では、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cに含ませる木質切削片3,…,3として、木質小薄片3b,…,3bを分級して選別された第1木質小薄片3c,…,3c以外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を用いることとしている。このように、他の木質ボード50の形成時に生じた他の木質ボード50には用いない廃材を、第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の木質切削片3,…,3として利用することにより、パーティクルボード10をより安価に形成することができる。また、他の木質ボード50の木質素材Bを余すことなく用いることとなるため、木質資源の有効活用に繋がる。
【0126】
《発明の実施形態4》
実施形態4に係るパーティクルボード10は、実施形態1のパーティクルボード10の一部の構成を変更したものである。
【0127】
具体的には、図10に示すように、実施形態4のパーティクルボード10は、5つの中間層11a~11eと、5つの中間層11a~11eを挟み込むように設けられて表面を構成する2つの表層12,12とを備えている。つまり、実施形態4では、パーティクルボード10が、中間層を5つ備え、7層構造に構成されている。
【0128】
5つの中間層11a~11eは、2つの表層12,12の間に順に積層された第1~第5中間層11a~11eで構成されている。第1,3,5中間層11a,11c,11eは、同様に構成されている。また、第2,4中間層11b,11dは、同様に構成されている。第1,3,5中間層11a,11c,11eと第2,4中間層11b,11dとは、構成が異なる。
【0129】
具体的には、第1,3,5中間層11a,11c,11eは、実施形態1の中間層11と同様に、木質片1,…,1が木質切削片3,…,3のみで構成されている。一方、第2,4中間層11b,11dは、木質片1,…,1が、木質粉砕片2,…,2のみで構成されている。つまり、第1,3,5中間層11a,11c,11eは、多数の木質切削片3,…,3が集合状態で接着一体化されてなる木質切削片層に構成され、第2,4中間層11b,11dは、多数の木質粉砕片2,…,2が集合状態で接着一体化されてなる木質粉砕片層に構成されている。
【0130】
第1,3,5中間層11a,11c,11eには、表層12用の木質粉砕片2,…,2として用いる第2木質粒状片2c,…,2cよりも粗い第1木質粒状片2b,…,2bを木質粉砕片2,…,2として用いている。
【0131】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0132】
パーティクルボード10の製造方法は、木質片作製工程S1において、3種類の木質片1,…,1が作製される点が実施形態1と異なり、また、接着剤塗布工程S2とマットフォーミング工程S3とが実施形態1と異なるが、その他の工程は実施形態1と同様である。
【0133】
<木質片作製工程S1>
実施形態4では、第1,3,5中間層11a,11c,11e用の木質片1,…,1(第1木質小薄片3c,…,3c)と、第2,4中間層11b,11d用の木質片1,…,1(第1木質粒状片2b,…,2b)と、表層12用の木質片1,…,1(第2木質粒状片2c,…,2c)とが作製される。
【0134】
<接着剤塗布工程S2>
実施形態4では、木質片作製工程S1において作製された第1,3,5中間層11a,11c,11e用の木質片1,…,1と、第2,4中間層11b,11d用の木質片1,…,1と、表層12用の木質片1,…,1とを、それぞれ接着剤塗布装置に搬入して接着剤を塗布する。
【0135】
<マットフォーミング工程S3>
実施形態4では、7層構造のパーティクルボード10を形成するため、表層12用の木質片1,…,1、第1中間層11a用の木質片1,…,1、第2中間層11b用の木質片1,…,1、第3中間層11c用の木質片1,…,1、第4中間層11d用の木質片1,…,1、第5中間層11e用の木質片1,…,1、表層12用の木質片1,…,1を、この順に、それぞれ厚さ方向に集合させた状態で所定厚さ(高さ)になるまで堆積させる。以上のようにして7層構造のマット9を形成する。
【0136】
実施形態4によっても実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施形態4によれば、木質切削片層である中間層(第1,3,5中間層11a,11c,11e)を複数備えることにより、ビス引き抜き強度により優れたパーティクルボード10を提供することができる。
【0137】
《発明の実施形態5》
実施形態5に係るパーティクルボード10は、実施形態1のパーティクルボード10の一部の構成を変更したものである。
【0138】
具体的には、図11に示すように、実施形態5のパーティクルボード10は、実施形態1と同様に3層構造に構成されているが、実施形態5では、中間層11が、多数の木質粉砕片2,…,2が集合状態で接着一体化されてなる木質粉砕片層に構成され、表層12,12が多数の木質切削片3,…,3が集合状態で接着一体化されてなる木質切削片層に構成されている。
【0139】
実施形態5では、中間層11には、実施形態1の表層12に用いた第2木質粒状片2c,…,2cよりも粗い第1木質粒状片2b,…,2bを木質粉砕片2,…,2として用いている。
【0140】
一方、表層12には、木質ボード50を形成するために木質素材Bを切削して粉砕することによって形成された木質小薄片3b,…,3bのうち、木質ボード50には用いない分級外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を、木質切削片3,…,3として用いている。
【0141】
なお、表層12を構成する木質切削片3,…,3は、上記のものに限られない。木質ボード50に用いる第1木質小薄片3c,…,3cを、表層12を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。また、切削後粉砕前の木質薄片3a,…,3aや粉砕後分級前の多数の木質小薄片3b,…,3bを、表層12を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。さらに、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの全て、いずれか2つ、3つ又は4つを組み合わせて表層12を構成する木質切削片3,…,3として用いることとしてもよい。つまり、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの少なくとも1種類を、表層12を構成する木質切削片3,…,3として用いることができる。
【0142】
その他の構成は、実施形態1と同様である。また、パーティクルボード10の製造方法も、各層を構成する木質片1,…,1が異なるのみで、各工程は実施形態1と同様である。
【0143】
実施形態5によっても実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施形態5によれば、2つの表層12,12を木質切削片層で構成することにより、厚さ方向の両側のいずれからビスを打ち込んでも引き抜き強度に優れたパーティクルボード10を提供することができる。
【0144】
また、表層12の木質片1,…,1が、木質切削片3,…,3のみで構成されることにより、パーティクルボード10の表面において、薄片状の木質切削片3,…,3が折り重なることとなり、実施形態1のパーティクルボード10より、表面に凹凸が生じ難く、表面性(平滑度)に優れたものとなる。
【0145】
また、実施形態5のパーティクルボード10では、2つの表層12,12が、多数の極めて薄い木質切削片3,…,3が折り重なった状態で接着一体化された木質切削片層で構成されることにより、2つの表層12,12が粒状の木質粉砕片2,…,2のみで構成された従来のパーティクルボードに比べて、水が内部に浸入し難くなる。つまり、実施形態5によれば、ビス引き抜き強度に加え、耐水性に優れたパーティクルボード10を提供することができる。
【0146】
また、後述するように、本願発明者等は、パーティクルボード10の2つの表層12,12を、厚さが0.05~0.35mmと極めて薄い木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層で構成することによる効果を検証する試験を行った。その結果、表層12が木質切削片層で構成されたパーティクルボード10は、表層12が木質粉砕片層で形成された従来のパーティクルボードに対し、常態時曲げ強度(MOR)、湿潤時曲げ強度(wetMOR)、吸水長さ変化率(LE)、木ネジ保持力(WS)及び剥離強度(IB)が向上することが判った。
【0147】
従来の3層構造のパーティクルボードでは、表面性を向上すべく、表層が細かい木質粉砕片で形成されるが、そのような構成では、単層のパーティクルボードに比べて曲げ強度が低くなる。そこで、従来の3層構造のパーティクルボードにおいて、表層の密度を高くすることである程度の曲げ強度を確保することも考えられるが、表層の密度を高くすると、重量が重くなり、接着剤の使用量が増えるという問題が生じる。
【0148】
これに対し、実施形態5では、2つの表層12,12の密度を高くするのではなく、3層構造のパーティクルボード10の2つの表層12,12を構成する木質片1,…,1を、粒状の木質粉砕片2,…,2ではなく、木質粉砕片2,…,2に比べて面積が大きい多数の薄い木質切削片3,…,3で構成することにより、コスト及び重量を増大させることなく、曲げ強度を向上させることができる。また、表層12が、木質粉砕片2,…,2で構成される場合に比べて、薄片状の木質切削片3,…,3は、少量の接着剤で接着一体化することができる。そのため、本実施形態5のパーティクルボード10によれば、曲げ強度を確保しつつ、接着剤の使用量を低減することができる。
【0149】
以上により、実施形態5によれば、ビス引き抜き強度だけでなく、表面性、耐水性、曲げ強度及び剥離強度にも優れ、寸法変化の小さい複層構造のパーティクルボード10を、コスト及び重量を増大させることなく提供することができる。
【0150】
-効果の検証-
本願発明者等は、パーティクルボード10の2つの表層12,12を、厚さが0.05~0.35mmと極めて薄い木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層で構成することによる上記の効果を検証するため、従来のパーティクルボードと同様に、2つの表層12,12が多数の木質粉砕片2,…,2のみを木質片1,…,1として含む木質粉砕片層で構成された試験体X0と、2つの表層12,12が多数の木質切削片3,…,3が集合状態で接着一体化された木質切削片層で構成された試験体X1とを準備し、JIS A5908及びJIS A5905に準じて、曲げ強さ試験、湿潤時曲げ強さ試験、吸水厚さ膨張率試験、吸水長さ変化率試験、木ネジ保持力試験、剥離強さ試験を行い、常態時曲げ強度(MOR)、湿潤時曲げ強度(wetMOR)、吸水長さ変化率(LE)、木ネジ保持力(WS)、剥離強度(IB)を求めたところ、図12に示すような結果となった。なお、試験体X2は、実施形態5のパーティクルボード10と同様に構成されている。また、図12には、試験体X0の各試験の結果を100としたときの相対比率で、試験体X2の各試験の結果を示している。
【0151】
図12に示すように、2つの表層12,12が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X2)は、2つの表層12,12が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対して常態時曲げ強度(MOR)及び湿潤時曲げ強度(wetMOR)が共に向上する結果となり、共に改善率が100%を超え、著しく改善する結果となった。
【0152】
また、寸法変化に関し、2つの表層12,12が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X2)は、2つの表層12,12が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対し、吸水長さ変化率(LE)が低下する(改善する)結果となり、改善率が46%と著しく改善する結果となった。
【0153】
また、木ネジ保持力(WS)についても、2つの表層12,12が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X2)は、2つの表層12,12が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対して向上する結果となり、改善率は20%であった。
【0154】
さらに、剥離強度(IB)についても、2つの表層12,12が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X2)は、2つの表層12,12が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対して向上する結果となり、改善率は19%であった。
【0155】
以上のように、2つの表層12,12が木質切削片3,…,3で構成されたパーティクルボード10(試験体X2)は、2つの表層12,12が木質粉砕片2,…,2で構成された従来のパーティクルボード(試験体X0)に対し、常態時曲げ強度(MOR)、湿潤時曲げ強度(wetMOR)、木ネジ保持力(WS)及び剥離強度(IB)が高まり(改善し)、吸水長さ変化率(LE)が低下する(改善する)こととなった。これらの結果より、パーティクルボード10の2つの表層12,12を、厚さが0.05~0.35mmの木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層で構成することにより、ビス引き抜き強度だけでなく、表面性、耐水性、曲げ強度及び剥離強度にも優れ、寸法変化の小さい複層構造のパーティクルボード10を、コスト及び重量を増大させることなく提供することができることが判る。
【0156】
《発明の実施形態6》
実施形態6に係るパーティクルボード10は、実施形態5のパーティクルボード10の一部の構成を変更したものである。具体的には、図13に示すように、実施形態6のパーティクルボード10では、木質粉砕片層に構成された中間層11に、木質切削片3,…,3が含まれている。つまり、実施形態6では、中間層11が、多数の木質粉砕片2,…,2だけでなく、多数の木質切削片3,…,3を、木質片1,…,1として含んでいる。つまり、実施形態6では、中間層11が、多数の木質粉砕片2,…,2が集合状態で接着一体化されてなる木質粉砕片層であって多数の木質切削片3,…,3を含む混合層に構成されている。
【0157】
中間層(混合層)11に用いる木質切削片3,…,3は、木質ボード50を形成するために木質素材Bを切削して粉砕することによって形成された木質小薄片3b,…,3bのうち、木質ボード50には用いない分級外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を用いている。
【0158】
なお、中間層(混合層)11を構成する木質切削片3,…,3は、上記のものに限られない。木質ボード50に用いる第1木質小薄片3c,…,3cを、中間層(混合層)11を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。また、切削後粉砕前の木質薄片3a,…,3aや粉砕後分級前の多数の木質小薄片3b,…,3bを、中間層(混合層)11を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。さらに、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの全て、いずれか2つ、3つ又は4つを組み合わせて中間層(混合層)11を構成する木質切削片3,…,3として用いることとしてもよい。つまり、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの少なくとも1種類を、中間層(混合層)11を構成する木質切削片3,…,3として用いることができる。
【0159】
その他の構成は、実施形態5と同様である。
【0160】
パーティクルボード10の製造方法は、木質片作製工程S1が、木質片混合工程S13を有する点が実施形態5と異なるのみで、その他の工程は実施形態5と同様である。
【0161】
[木質片混合工程S13]
木質片混合工程S13では、木質粉砕片作製工程で作製された中間層(混合層)11用の多数の木質粉砕片2,…,2(第1木質粒状片2b,…,2b)と、木質切削片作製工程で作製された表層(混合層)12用の多数の木質切削片3,…,3(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)とを、所望の混合割合(木質片1,…,1の総重量に対する木質切削片3,…,3が、10~90重量%)となるように混合する。
【0162】
実施形態6の木質片作製工程S1では、実施形態5と同様の木質粉砕片作製工程S11及び木質切削片作製工程S12と、上記の木質片混合工程S13とにより、中間層(混合層)11の木質片1,…,1(第1木質粒状片2b,…,2bと、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eとの混合物)と、表層12用の木質片1,…,1(第2木質粒状片2c,…,2c)が作製される。
【0163】
実施形態6によっても実施形態5と同様の効果を奏することができる。また、実施形態6では、表層12,12を木質切削片3,…,3で構成するだけでなく、木質粉砕片2,…,2を含む木質粉砕片層である中間層11を、木質切削片3,…,3を含む混合層に構成している。木質切削片3,…,3を含む混合層は、粒状の木質粉砕片2,…,2のみで構成される木質切削片3,…,3を含まない非混合層よりも、剛性が高くなる上、少量の接着剤で木質片1,…,1を接着一体化することができる。そのため、実施形態6のパーティクルボード10によれば、曲げ強度を確保しつつ、接着剤の使用量を低減することができる。
【0164】
また、実施形態6に係るパーティクルボード10によれば、木質切削片3,…,3を中間層11に含ませることにより、実施形態5に比べて、ビスがより抜け難くなる。従って、実施形態6によれば、表面性及び曲げ強度に優れるだけでなく、ビス引き抜き強度(木ネジ保持力)にもより優れた3層構造のパーティクルボード10を提供することができる。
【0165】
また、本実施形態6では、中間層11に含ませる木質切削片3,…,3として、木質小薄片3b,…,3bを分級して選別された第1木質小薄片3c.…,3c以外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を用いることとしている。このように、他の木質ボード50の形成時に生じた他の木質ボード50には用いない廃材を、中間層11用の木質切削片3,…,3として利用することにより、パーティクルボード10をより安価に形成することができる。また、他の木質ボード50の木質素材Bを余すことなく用いることとなるため、木質資源の有効活用に繋がる。
【0166】
《発明の実施形態7》
実施形態7に係るパーティクルボード10は、実施形態5のパーティクルボード10の一部の構成を変更したものである。
【0167】
具体的には、図14に示すように、実施形態7のパーティクルボード10は、3つの中間層11a~11cと、3つの中間層11a~11cを挟み込むように設けられて表面を構成する2つの表層12,12とを備えている。つまり、実施形態3では、パーティクルボード10が、中間層を3つ備え、5層構造に構成されている。
【0168】
3つの中間層11a~11cは、2つの表層12,12の間に順に積層された第1~第3中間層11a~11cで構成されている。第1及び第3中間層11a,11cは同様に構成され、第2中間層11bは、第1及び第3中間層11a,11cとは構成が異なる。
【0169】
具体的には、第2中間層11bは、実施形態5の中間層11と同様に、木質片1,…,1が木質粉砕片2,…,2のみで構成されている。一方、第1及び第3中間層11a,11cは、木質片1,…,1が、木質粉砕片2,…,2に木質切削片3,…,3を混合した混合物で構成されている。つまり、第2中間層11bは、多数の木質粉砕片2,…,2が集合状態で接着一体化されてなる木質粉砕片層であって多数の木質切削片3,…,3を含まない非混合層に構成され、第1及び第3中間層11a,11cは、多数の木質粉砕片2,…,2が集合状態で接着一体化されてなる木質粉砕片層であって多数の木質切削片3,…,3を含む混合層に構成されている。
【0170】
実施形態7では、木質粉砕片2,…,2のみからなる非混合層である第2中間層11bと、木質切削片3,…,3のみからなる木質切削片層である2つの表層12,12との間に設けられている。言い換えると、木質粉砕片2,…,2のみからなる非混合層(表層12)と、木質切削片3,…,3のみからなる木質切削片層(第2中間層11b)との間に、木質粉砕片2,…,2と木質切削片3,…,3との混合物からなる混合層である第1及び第3中間層11a,11cが設けられている。
【0171】
第1~第3中間層11a~11cには、実施形態5の中間層11と同様に、第1木質粒状片2b,…,2bを木質粉砕片2,…,2として用いている。
【0172】
また、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cには、木質ボード50を形成するために木質素材Bを切削して粉砕することによって形成された木質小薄片3b,…,3bのうち、木質ボード50には用いない分級外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を、木質切削片3,…,3として用いている。
【0173】
なお、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3は、上記のものに限られない。木質ボード50に用いる第1木質小薄片3c,…,3cを、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。また、切削後粉砕前の木質薄片3a,…,3aや粉砕後分級前の多数の木質小薄片3b,…,3bを、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。さらに、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの全て、いずれか2つ、3つ又は4つを組み合わせて第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3として用いることとしてもよい。つまり、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの少なくとも1種類を、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cを構成する木質切削片3,…,3として用いることができる。
【0174】
その他の構成は、実施形態5と同様である。
【0175】
パーティクルボード10の製造方法は、木質片作製工程S1が、木質片混合工程S13を有する点が実施形態5と異なり、また、接着剤塗布工程S2とマットフォーミング工程S3とが実施形態1と異なるが、その他の工程は実施形態5と同様である。
【0176】
[木質片混合工程S13]
木質片混合工程S13では、木質粉砕片作製工程S11で作製された第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の多数の木質粉砕片2,…,2(第1木質粒状片2b,…,2b)と、木質切削片作製工程S12で作製された第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の多数の木質切削片3,…,3(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)とを、所望の混合割合(木質片1,…,1の総重量に対する木質切削片3,…,3が、10~90重量%)となるように混合する。
【0177】
実施形態7の木質片作製工程S1では、実施形態5と同様の木質粉砕片作製工程S11及び木質切削片作製工程S12と、上記の木質片混合工程S13とにより、第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の木質片1,…,1(第1木質粒状片2b,…,2bと、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eとの混合物)と、第2中間層11b用の木質片1,…,1(第1木質粒状片2b,…,2b)と、表層12用の木質片1,…,1(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)とが作製される。
【0178】
<接着剤塗布工程S2>
実施形態7では、木質片作製工程S1において作製された第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の木質片1,…,1と、第2中間層11b用の木質片1,…,1と、表層12用の木質片1,…,1を、それぞれ接着剤塗布装置に搬入して接着剤を塗布する。
【0179】
<マットフォーミング工程S3>
実施形態7では、5層構造のパーティクルボード10を形成するため、表層12(木質切削片層)用の木質片1,…,1、第1中間層(混合層)11a用の木質片1,…,1、第2中間層(非混合層)11b用の木質片1,…,1、第3中間層(混合層)11c用の木質片1,…,1、表層12(木質切削片層)用の木質片1,…,1を、この順に、それぞれ厚さ方向に集合させた状態で所定厚さ(高さ)になるまで堆積させる。以上のようにして5層構造のマット9を形成する。
【0180】
実施形態7によっても実施形態5と同様の効果を奏することができる。また、実施形態7では、木質粉砕片層である第1及び第3中間層11a,11cが、多数の木質切削片3,…,3を含む混合層に構成されている。木質切削片3,…,3を含む混合層は、粒状の木質粉砕片2,…,2のみで構成される木質切削片3,…,3を含まない非混合層よりも、剛性が高くなる上、少量の接着剤で木質片1,…,1を接着一体化することができる。そのため、実施形態7のパーティクルボード10によれば、曲げ強度を確保しつつ、接着剤の使用量を低減することができる。
【0181】
また、実施形態7では、木質片1,…,1として木質粉砕片2,…,2のみを含む非混合層(第2中間層11b)と木質片1,…,1として木質切削片3,…,3のみを含む木質切削片層(2つの表層12,12)との間に、木質粉砕片2,…,2と木質切削片3,…,3とを含む混合層(第1及び第3中間層11a,11c)が設けられている。このように非混合層と木質切削片層との間に混合層を設けることにより、層間の木質片1,…,1(木質粉砕片2,…,2、木質切削片3,…,3)のサイズの差が小さくなり、層間における剥離を抑制することができる。
【0182】
また、本実施形態7では、第1及び第3中間層(混合層)11a,11cに含ませる木質切削片3,…,3として、木質小薄片3b,…,3bを分級して選別された第1木質小薄片3c,…,3c以外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を用いることとしている。このように、他の木質ボード50の形成時に生じた他の木質ボード50には用いない廃材を、第1及び第3中間層(混合層)11a,11c用の木質切削片3,…,3として利用することにより、パーティクルボード10をより安価に形成することができる。また、他の木質ボード50の木質素材Bを余すことなく用いることとなるため、木質資源の有効活用に繋がる。
【0183】
《発明の実施形態8》
実施形態8に係るパーティクルボード10は、実施形態5のパーティクルボード10の一部の構成を変更したものである。
【0184】
具体的には、図15に示すように、実施形態8のパーティクルボード10は、7つの中間層11a~11gと、7つの中間層11a~11gを挟み込むように設けられて表面を構成する2つの表層12,12とを備えている。つまり、実施形態8では、パーティクルボード10が、中間層を7つ備え、9層構造に構成されている。
【0185】
7つの中間層11a~11gは、2つの表層12,12の間に順に積層された第1~第7中間層11a~11gで構成されている。第1,3,5,7中間層11a,11c,11e,11gは、同様に構成されている。また、第2,6中間層11b,11fは、同様に構成されている。第1,3,5,7中間層11a,11c,11e,11gと、第2,6中間層11b,11fと、第4中間層11dとは、構成が異なる。
【0186】
具体的には、実施形態8では、第1,3,5,7中間層11a,11c,11e,11gは、多数の木質粉砕片2,…,2だけでなく多数の木質切削片3,…,3を木質片1,…,1として含む混合層に構成されている。第2,6中間層11b,11fは、木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む非混合層に構成されている。第4中間層11dは、木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層で構成されている。
【0187】
実施形態7では、木質粉砕片層である第1~3,5~7中間層11a~11c,11e~11gには、第1木質粒状片2b,…,2bを木質粉砕片2,…,2として用いている。また、木質切削片層である第4中間層11d、及び、混合層である第1,3,5,7中間層11a,11c,11e,11gには、木質ボード50を形成するために木質素材Bを切削して粉砕することによって形成された木質小薄片3b,…,3bのうち、木質ボード50には用いない分級外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を、木質切削片3,…,3として用いている。
【0188】
なお、第4中間層(木質切削片層)11d、及び、第1,3,5,7中間層(混合層)11a,11c,11e,11gを構成する木質切削片3,…,3は、上記のものに限られない。木質ボード50に用いる第1木質小薄片3c,…,3cを、木質切削片層及び混合層を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。また、切削後粉砕前の木質薄片3a,…,3aや粉砕後分級前の多数の木質小薄片3b,…,3bを、木質切削片層及び混合層を構成する木質切削片3,…,3として用いてもよい。さらに、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの全て、いずれか2つ、3つ又は4つを組み合わせて木質切削片層及び混合層を構成する木質切削片3,…,3として用いることとしてもよい。つまり、木質薄片3a,…,3a、木質小薄片3b,…,3b、第1木質小薄片3c,…,3c、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eの少なくとも1種類を、木質切削片層及び混合層を構成する木質切削片3,…,3として用いることができる。
【0189】
その他の構成は、実施形態5と同様である。
【0190】
パーティクルボード10の製造方法は、木質片作製工程S1が、木質片混合工程S13を有する点が実施形態5と異なり、また、接着剤塗布工程S2とマットフォーミング工程S3とが実施形態1と異なるが、その他の工程は実施形態5と同様である。
【0191】
[木質片混合工程S13]
木質片混合工程S13では、木質粉砕片作製工程S11で作製された第1,3,5,7中間層(混合層)11a,11c,11e,11g用の多数の木質粉砕片2,…,2(第1木質粒状片2b,…,2b)と、木質切削片作製工程S12で作製された第1,3,5,7中間層(混合層)11a,11c,11e,11g用の多数の木質切削片3,…,3(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)とを、所望の混合割合(木質片1,…,1の総重量に対する木質切削片3,…,3が、10~90重量%)となるように混合する。
【0192】
実施形態8の木質片作製工程S1では、実施形態5と同様の木質粉砕片作製工程S11及び木質切削片作製工程S12と、上記の木質片混合工程S13とにより、第1,3,5,7中間層(混合層)11a,11c,11e,11g用の木質片1,…,1(第1木質粒状片2b,…,2bと、第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3eとの混合物)と、第4中間層11d用の木質片1,…,1(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)と、表層12用の木質片1,…,1(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)とが作製される。
【0193】
<接着剤塗布工程S2>
実施形態8では、木質片作製工程S1において作製された第1,3,5,7中間層(混合層)11a,11c,11e,11g用の木質片1,…,1と、第4中間層11d用の木質片1,…,1と、表層12用の木質片1,…,1を、それぞれ接着剤塗布装置に搬入して接着剤を塗布する。
【0194】
<マットフォーミング工程S3>
実施形態8では、9層構造のパーティクルボード10を形成するため、表層12(木質切削片層)用の木質片1,…,1、第1中間層(混合層)11a用の木質片1,…,1、第2中間層(非混合層)11b用の木質片1,…,1、第3中間層(混合層)11c用の木質片1,…,1、第4中間層(木質切削片層)11d用の木質片1,…,1、第5中間層(混合層)11e用の木質片1,…,1、第6中間層(非混合層)11f用の木質片1,…,1、第7中間層(混合層)11g用の木質片1,…,1、表層12(木質切削片層)用の木質片1,…,1を、この順に、それぞれ厚さ方向に集合させた状態で所定厚さ(高さ)になるまで堆積させる。以上のようにして9層構造のマット9を形成する。
【0195】
実施形態8によっても実施形態5と同様の効果を奏することができる。また、実施形態8のパーティクルボード10は、2つの表層12,12だけでなく、第4中間層11dも木質切削片層で構成されている。また、木質粉砕片層である複数の中間層(第1,3,5,7中間層11a,11c,11e,11g)が、木質切削片3,…,3を含む混合層に構成されている。そのため、実施形態8のパーティクルボード10は、実施形態5のパーティクルボード10に比べて、ビスがより抜け難くなる。従って、実施形態8によれば、表面性及び曲げ強度に優れるだけでなく、ビス引き抜き強度(木ネジ保持力)にもより優れた複層構造のパーティクルボード10を提供することができる。
【0196】
また、本実施形態8では、木質切削片層(2つの表層12,12)及び混合層(第1,3,5,7中間層11a,11c,11e,11g)において、木質小薄片3b,…,3bを分級して選別された第1木質小薄片3c,…,3c以外のもの(第2木質小薄片3d,…,3d及び第3木質小薄片3e,…,3e)を、木質切削片3,…,3として用いることとしている。このように、他の木質ボード50の形成時に生じた他の木質ボード50には用いない廃材を、木質切削片3,…,3として利用することにより、パーティクルボード10をより安価に形成することができる。また、他の木質ボード50の木質素材Bを余すことなく用いることとなるため、木質資源の有効活用に繋がる。
【0197】
《その他の実施形態》
上記実施形態1~8では、2つの表層12,12が中間層11よりも厚さ(高さ)が薄くなるように構成されていたが、2つの表層12,12は、中間層11よりも分厚いものであってもよい。
【0198】
また、本実施形態1~8では、他の木質ボード50の材料加工時に生成される木質切削片を、木質切削片3,…,3として用いる例について説明したが、木質切削片3,…,3は、他の木質ボード50の材料加工時に生成されるものではなく、上述のパーティクルボード10を形成するために調達されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明は、複層構造のパーティクルボード及び複層構造のパーティクルボードの製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0200】
1 木質片
2 木質粉砕片
3 木質切削片
3a 木質薄片
3b 木質小薄片
3c 第1木質小薄片
3d 第2木質小薄片(第1木質小薄片以外のもの)
3e 第3木質小薄片(第1木質小薄片以外のもの)
10 パーティクルボード
11 中間層
12 表層
50 木質ボード
【要約】
【課題】ビス引き抜き強度に優れたパーティクルボードを提供する。
【解決手段】パーティクルボード10は、3層構造に構成され、中間層11は、厚さが0.05~0.35mmの木質切削片3,…,3のみを木質片1,…,1として含む木質切削片層に構成され、2つの表層12,12は、木質粉砕片2,…,2を木質片1,…,1として含む木質粉砕片層に構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15