(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】減圧乾燥装置および減圧乾燥方法
(51)【国際特許分類】
F26B 5/04 20060101AFI20240813BHJP
F26B 25/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F26B5/04
F26B25/00 A
(21)【出願番号】P 2023178210
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2022009464の分割
【原出願日】2022-01-25
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】高村 幸宏
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-034265(JP,A)
【文献】特開2004-270653(JP,A)
【文献】特開平08-240180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 5/04
F26B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に形成された塗布層を減圧により乾燥させる減圧乾燥装置であって、
基板を収容可能なチャンバと、
前記チャンバから気体を排出する減圧機構と、
を備え、
前記減圧機構は、
前記チャンバに接続された
専用ポンプと、
前記チャンバに接続され、かつ、前記
専用ポンプより吸引力の強い高真空ポンプと、
前記
専用ポンプが前記チャンバに接続される状態と、前記
専用ポンプが前記高真空ポンプの下流側に接続される状態と、を切り替える切替部と、
前記チャンバと前記チャンバ以外の接続先とにそれぞれ接続された共有ポンプと、
を有
し、
前記切替部を制御する制御部
をさらに備え、
前記制御部は、
a)前記切替部を、前記専用ポンプが前記チャンバに接続される状態として、前記専用ポンプを動作させ、
b)前記工程a)の後に、切替部を、前記専用ポンプが前記高真空ポンプの下流側に接続される状態として、前記専用ポンプおよび前記高真空ポンプを動作させ、
前記工程a)では、前記共有ポンプを併用して、前記チャンバから気体を排出し、
前記工程b)では、前記共有ポンプを使用せずに、前記チャンバから気体を排出する、減圧乾燥装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の減圧乾燥装置であって、
前記高真空ポンプは、ターボ分子ポンプである、減圧乾燥装置。
【請求項3】
基板の上面に形成された塗布層を減圧により乾燥させる減圧乾燥方法であって、
a)
専用ポンプにより、前記基板が収納されたチャンバから気体を排出する工程と、
b)前記工程a)の後に、
前記専用ポンプと、前記
専用ポンプより吸引力の強い高真空ポンプ
とにより、前記チャンバから気体を排出する工程と、
を有し、
前記工程b)では、前記高真空ポンプの下流側において、前記
専用ポンプによる排気を行
い、
前記工程a)では、前記チャンバと前記チャンバ以外の接続先とにそれぞれ接続された共有ポンプを併用して、前記チャンバから気体を排出し、
前記工程b)では、前記共有ポンプを使用せずに、前記チャンバから気体を排出する、減圧乾燥方法。
【請求項4】
請求項
3に記載の減圧乾燥方法であって、
前記高真空ポンプは、ターボ分子ポンプである、減圧乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の上面に形成された塗布層を減圧により乾燥させる減圧乾燥装置および減圧乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機ELティスプレイの製造工程では、基板の上面に、正孔注入層、正孔輸送層、または発光層となる塗布層を形成する。塗布層は、インクジェット装置により、基板の上面に、部分的に塗布される。そして、塗布層が形成された基板は、減圧乾燥装置のチャンバ内に搬送されて、減圧乾燥処理を受ける。これにより、塗布層に含まれる溶剤が気化して、塗布層が乾燥する。
【0003】
減圧乾燥装置は、基板を収容するチャンバと、チャンバから気体を吸引する減圧機構とを備える。従来の減圧乾燥装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板の上面に形成される塗布層は、沸点圧力が異なる複数種類の溶剤を含む場合がある。その場合、減圧乾燥装置は、各溶剤に適した減圧速度で、各溶剤に適した圧力まで、チャンバ内を減圧する必要がある。また、近年では、基板の大型化に伴い、減圧乾燥処理を行うチャンバの容積も大きくなっている。これらの事情から、1つのチャンバに、気体を吸引する真空ポンプを、複数接続する場合がある。
【0006】
また、減圧乾燥装置は、複数のチャンバを備える場合がある。複数のチャンバに、それぞれ複数の真空ポンプを接続すると、多数の真空ポンプが必要となる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、基板の上面に形成された塗布層を減圧により乾燥させる減圧乾燥装置において、ポンプの数を低減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、基板の上面に形成された塗布層を減圧により乾燥させる減圧乾燥装置であって、基板を収容可能なチャンバと、前記チャンバから気体を排出する減圧機構と、を備え、前記減圧機構は、前記チャンバに接続された専用ポンプと、前記チャンバに接続され、かつ、前記専用ポンプより吸引力の強い高真空ポンプと、前記専用ポンプが前記チャンバに接続される状態と、前記専用ポンプが前記高真空ポンプの下流側に接続される状態と、を切り替える切替部と、前記チャンバと前記チャンバ以外の接続先とにそれぞれ接続された共有ポンプと、を有し、前記切替部を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、a)前記切替部を、前記専用ポンプが前記チャンバに接続される状態として、前記専用ポンプを動作させ、b)前記工程a)の後に、切替部を、前記専用ポンプが前記高真空ポンプの下流側に接続される状態として、前記専用ポンプおよび前記高真空ポンプを動作させ、前記工程a)では、前記共有ポンプを併用して、前記チャンバから気体を排出し、前記工程b)では、前記共有ポンプを使用せずに、前記チャンバから気体を排出する。
【0011】
本願の第2発明は、第1発明の減圧乾燥装置であって、前記高真空ポンプは、ターボ分子ポンプである。
【0012】
本願の第3発明は、基板の上面に形成された塗布層を減圧により乾燥させる減圧乾燥方法であって、a)専用ポンプにより、前記基板が収納されたチャンバから気体を排出する工程と、b)前記工程a)の後に、前記専用ポンプと、前記専用ポンプより吸引力の強い高真空ポンプとにより、前記チャンバから気体を排出する工程と、を有し、前記工程b)では、前記高真空ポンプの下流側において、前記専用ポンプによる排気を行い、前記工程a)では、前記チャンバと前記チャンバ以外の接続先とにそれぞれ接続された共有ポンプを併用して、前記チャンバから気体を排出し、前記工程b)では、前記共有ポンプを使用せずに、前記チャンバから気体を排出する。
【0014】
本願の第4発明は、第3発明の減圧乾燥方法であって、前記高真空ポンプは、ターボ分子ポンプである。
【発明の効果】
【0015】
本願の第1発明~第4発明によれば、チャンバから気体を排出する専用ポンプを、高真空ポンプの補助ポンプとしても利用できる。これにより、ポンプの数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】減圧乾燥処理の流れを示したフローチャートである。
【
図4】減圧乾燥処理時におけるチャンバ内の気圧の変化を示すグラフである。
【
図5】4つのチャンバにおいて第1減圧工程、第2減圧工程、第3減圧工程、および給気工程が実行されるタイミングを示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<1.減圧乾燥装置の構成について>
図1は、本発明の一実施形態に係る減圧乾燥装置1の構成を示した図である。この減圧乾燥装置1は、有機ELディスプレイの製造工程において、基板に対して減圧乾燥処理を行う装置である。
【0019】
基板は、例えば、矩形のガラス基板である。基板の上面には、予め、有機材料および溶剤を含む塗布層が形成されている。塗布層は、減圧乾燥工程よりも前の塗布工程において、インクジェット装置により、回路パターンに従って形成される。したがって、基板の上面は、塗布層に覆われた部分と、塗布層から露出した部分とを有する。塗布層は、減圧乾燥装置1で乾燥されることにより、有機ELディスプレイの正孔注入層、正孔輸送層、または発光層となる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の減圧乾燥装置1は、第1チャンバ11、第2チャンバ12、第3チャンバ13、および第4チャンバ14を備える。第1チャンバ11、第2チャンバ12、第3チャンバ13、および第4チャンバ14は、基板を収容可能な耐圧容器である。第1チャンバ11、第2チャンバ12、第3チャンバ13、および第4チャンバ14は、同等の構造を有する。各チャンバ11,12,13,14の内部には、ステージが設けられている。基板は、各チャンバ11,12,13,14の内部に1枚ずつ搬入され、ステージ上に水平姿勢で支持される。
【0021】
また、減圧乾燥装置1は、減圧機構20を備える。減圧機構20は、各チャンバ11,12,13,14の内部空間から気体を排出して、チャンバ11,12,13,14内の気圧を低下させる機構である。
【0022】
図1に示すように、減圧機構20は、第1個別配管21、第2個別配管22、第3個別配管23、第4個別配管24、第1専用配管31、第2専用配管32、第3専用配管33、第4専用配管34、共有配管35、第1中継配管41、第2中継配管42、第3中継配管43、第4中継配管44、第1専用ポンプ51、第2専用ポンプ52、第3専用ポンプ53、第4専用ポンプ54、複数の共有ポンプ55、第1高真空ポンプ61、第2高真空ポンプ62、第3高真空ポンプ63、および第4高真空ポンプ64を有する。
【0023】
第1チャンバ11の底部には、複数の排気口が設けられている。第1個別配管21の上流側の端部は、複数本に分岐して、第1チャンバ11の複数の排気口に接続されている。第1個別配管21の下流側の端部は、第1専用配管31の上流側の端部に接続されている。第1専用配管31の下流側の端部は、第1専用ポンプ51に接続されている。すなわち、第1専用ポンプ51は、第1専用配管31および第1個別配管21を介して、第1チャンバ11に接続されている。
【0024】
第1個別配管21の経路上には、第1個別バルブV11が設けられている。第1個別バルブV11を開放して、第1専用ポンプ51を駆動させると、第1チャンバ11内の気体が、第1個別配管21および第1専用配管31を通って、外部へ排出される。これにより、第1チャンバ11内の気圧を低下させることができる。
【0025】
第2チャンバ12の底部には、複数の排気口が設けられている。第2個別配管22の上流側の端部は、複数本に分岐して、第2チャンバ12の複数の排気口に接続されている。第2個別配管22の下流側の端部は、第2専用配管32の上流側の端部に接続されている。第2専用配管32の下流側の端部は、第2専用ポンプ52に接続されている。すなわち、第2専用ポンプ52は、第2専用配管32および第2個別配管22を介して、第2チャンバ12に接続されている。
【0026】
第2個別配管22の経路上には、第2個別バルブV12が設けられている。第2個別バルブV12を開放して、第2専用ポンプ52を駆動させると、第2チャンバ12内の気体が、第2個別配管22および第2専用配管32を通って、外部へ排出される。これにより、第2チャンバ12内の気圧を低下させることができる。
【0027】
第3チャンバ13の底部には、複数の排気口が設けられている。第3個別配管23の上流側の端部は、複数本に分岐して、第3チャンバ13の複数の排気口に接続されている。第3個別配管23の下流側の端部は、第3専用配管33の上流側の端部に接続されている。第3専用配管33の下流側の端部は、第3専用ポンプ53に接続されている。すなわち、第3専用ポンプ53は、第3専用配管33および第3個別配管23を介して、第3チャンバ13に接続されている。
【0028】
第3個別配管23の経路上には、第3個別バルブV13が設けられている。第3個別バルブV13を開放して、第3専用ポンプ53を駆動させると、第3チャンバ13内の気体が、第3個別配管23および第3専用配管33を通って、外部へ排出される。これにより、第3チャンバ13内の気圧を低下させることができる。
【0029】
第4チャンバ14の底部には、複数の排気口が設けられている。第4個別配管24の上流側の端部は、複数本に分岐して、第4チャンバ14の複数の排気口に接続されている。第4個別配管24の下流側の端部は、第4専用配管34の上流側の端部に接続されている。第4専用配管34の下流側の端部は、第4専用ポンプ54に接続されている。すなわち、第4専用ポンプ54は、第4専用配管34および第4個別配管24を介して、第4チャンバ14に接続されている。
【0030】
第4個別配管24の経路上には、第4個別バルブV14が設けられている。第4個別バルブV14を開放して、第4専用ポンプ54を駆動させると、第4チャンバ14内の気体が、第4個別配管24および第4専用配管34を通って、外部へ排出される。これにより、第4チャンバ14内の気圧を低下させることができる。
【0031】
共有配管35は、共有ポンプ55を駆動させる時に使用する配管である。共有配管35の上流側の端部は、第1分岐配管351、第2分岐配管352、第3分岐配管353、および第4分岐配管354の4本に分岐している。第1分岐配管351は、第1個別配管21の下流側の端部に、接続されている。第2分岐配管352は、第2個別配管22の下流側の端部に、接続されている。第3分岐配管353は、第3個別配管23の下流側の端部に、接続されている。第4分岐配管354は、第4個別配管24の下流側の端部に接続されている。共有配管35の下流側の端部は、複数本に分岐して、複数の共有ポンプ55に、それぞれ接続されている。
【0032】
第1個別配管21、第1分岐配管351、および共有配管35は、第1チャンバ11と複数の共有ポンプ55とを繋ぐ「第1排気経路」を構成する。第2個別配管22、第2分岐配管352、および共有配管35は、第2チャンバ12と複数の共有ポンプ55とを繋ぐ「第2排気経路」を構成する。第3個別配管23、第3分岐配管353、および共有配管35は、第3チャンバ13と複数の共有ポンプ55とを繋ぐ第3排気経路を構成する。第4個別配管24、第4分岐配管354、および共有配管35は、第4チャンバ14と複数の共有ポンプ55とを繋ぐ第4排気経路を構成する。
【0033】
第1分岐配管351には、第1分岐バルブV21が設けられている。第2分岐配管352には、第2分岐バルブV22が設けられている。第3分岐配管353には、第3分岐バルブV23が設けられている。第4分岐配管354には、第4分岐バルブV24が設けられている。
【0034】
第1個別バルブV11および第1分岐バルブV21を開放するとともに、他の分岐バルブV22,V23,V24を閉鎖し、第1専用ポンプ51および共有ポンプ55を動作させると、第1チャンバ11内の気体が、第1専用配管31および共有配管35の2つの経路で、外部へ排出される。これにより、第1専用ポンプ51のみを使用する場合よりも、第1チャンバ11内の気圧を、より低い圧力まで減圧できる。
【0035】
第2個別バルブV12および第2分岐バルブV22を開放するとともに、他の分岐バルブV21,V23,V24を閉鎖し、第2専用ポンプ52および共有ポンプ55を動作させると、第2チャンバ12内の気体が、第2専用配管32および共有配管35の2つの経路で、外部へ排出される。これにより、第2専用ポンプ52のみを使用する場合よりも、第2チャンバ12内の気圧を、より低い圧力まで減圧できる。
【0036】
第3個別バルブV13および第3分岐バルブV23を開放するとともに、他の分岐バルブV21,V22,V24を閉鎖し、第3専用ポンプ53および共有ポンプ55を動作させると、第3チャンバ13内の気体が、第3専用配管33および共有配管35の2つのルートで、外部へ排出される。これにより、第3専用ポンプ53のみを使用する場合よりも、第3チャンバ13内の気圧を、より低い圧力まで減圧できる。
【0037】
第4個別バルブV14および第4分岐バルブV24を開放するとともに、他の分岐バルブV21,V22,V23を閉鎖し、第4専用ポンプ54および共有ポンプ55を動作させると、第4チャンバ14内の気体が、第4専用配管34および共有配管35の2つのルートで、外部へ排出される。これにより、第4専用ポンプ54のみを使用する場合よりも、第4チャンバ14内の気圧を、より低い圧力まで減圧できる。
【0038】
また、第1分岐バルブV21、第2分岐バルブV22、第3分岐バルブV23、および第4分岐バルブV24を全て閉鎖すると、複数の共有ポンプ55は、いずれのチャンバ11~14にも接続されない。
【0039】
すなわち、第1分岐バルブV21、第2分岐バルブV22、第3分岐バルブV23、および第4分岐バルブV24は、上述した「第1排気経路」、「第2排気経路」、「第3排気経路」、および「第4排気経路」を全て閉鎖する「閉鎖状態」と、「第1排気経路」のみを開放して他の排気経路を閉鎖する「第1開放状態」と、「第2排気経路」のみを開放して他の排気経路を閉鎖する「第2開放状態」と、「第3排気経路」のみを開放して他の排気経路を閉鎖する「第3開放状態」と、「第4排気経路」のみを開放して他の排気経路を閉鎖する「第4開放状態」と、を切り替える「共有切替部」を構成する。
【0040】
「閉鎖状態」では、第1チャンバ11から、第1専用ポンプ51のみを用いて排気を行い、第2チャンバ12から、第2専用ポンプ52のみを用いて排気を行い、第3チャンバ13から、第3専用ポンプ53のみを用いて排気を行い、第4チャンバ14から、第4専用ポンプ54のみを用いて排気を行うことができる。
【0041】
「第1開放状態」では、第1チャンバ11から、第1専用ポンプ51および複数の共有ポンプ55を用いて、排気を行うことができる。「第2開放状態」では、第2チャンバ12から、第2専用ポンプ52および複数の共有ポンプ55を用いて、排気を行うことができる。「第3開放状態」では、第3チャンバ13から、第3専用ポンプ53および複数の共有ポンプ55を用いて、排気を行うことができる。「第4開放状態」では、第4チャンバ14から、第4専用ポンプ54および複数の共有ポンプ55を用いて、排気を行うことができる。
【0042】
このように、本実施形態の減圧乾燥装置1では、複数の共有ポンプ55を、第1チャンバ11からの排気と、第2チャンバ12からの排気と、第3チャンバ13からの排気と、第4チャンバ14からの排気とに、切り替えて使用できる。これにより、減圧機構20が有するポンプの数を低減できる。
【0043】
第1専用ポンプ51、第2専用ポンプ52、第3専用ポンプ53、第4専用ポンプ54、および複数の共有ポンプ55は、チャンバ11~14内の気圧を大気圧から減圧可能な真空ポンプである。第1専用ポンプ51、第2専用ポンプ52、第3専用ポンプ53、第4専用ポンプ54、および複数の共有ポンプ55には、例えば、真空室の密封のために油等の液体を使用しないドライポンプが使用される。
【0044】
第1専用ポンプ51、第2専用ポンプ52、第3専用ポンプ53、および第4専用ポンプ54には、同等の吸引力を有する真空ポンプが使用される。共有ポンプ55は、第1専用ポンプ51、第2専用ポンプ52、第3専用ポンプ53、および第4専用ポンプ54と同等の吸引力を有する真空ポンプであってもよく、異なる吸引力を有する真空ポンプであってもよい。例えば、共有ポンプ55は、第1専用ポンプ51、第2専用ポンプ52、第3専用ポンプ53、および第4専用ポンプ54よりも吸引力の高い真空ポンプであってもよい。
【0045】
第1高真空ポンプ61、第2高真空ポンプ62、第3高真空ポンプ63、および第4高真空ポンプ64は、第1専用ポンプ51、第2専用ポンプ52、第3専用ポンプ53、第4専用ポンプ54、および複数の共有ポンプ55よりも吸引力の強いポンプである。第1高真空ポンプ61、第2高真空ポンプ62、第3高真空ポンプ63、および第4高真空ポンプ64には、例えば、ターボ分子ポンプが使用される。
【0046】
第1高真空ポンプ61は、第1チャンバ11の底部に設けられた1つの排気口に、第1開閉バルブV31を介して、接続されている。また、第1高真空ポンプ61と第1専用配管31とは、第1中継配管41により接続されている。第1中継配管41の経路上には、第1中継バルブV41が設けられている。第1個別バルブV11を閉鎖し、第1開閉バルブV31および第1中継バルブV41を開放して、第1専用ポンプ51および第1高真空ポンプ61を動作させると、第1専用ポンプ51および共有ポンプ55により減圧された第1チャンバ11内の気圧を、さらに低い圧力まで減圧できる。
【0047】
ターボ分子ポンプ等の高真空ポンプは、排気経路の下流側において、補助ポンプによる排気を行う必要がある。本実施形態では、第1高真空ポンプ61の補助ポンプとして、第1専用ポンプ51を利用している。このようにすれば、第1専用ポンプ51とは別に、補助ポンプを設ける必要がない。したがって、減圧機構20が有するポンプの数を、より低減できる。第1個別バルブV11および第1中継バルブV41は、第1専用ポンプ51が第1チャンバ11に直接接続される状態と、第1専用ポンプ51が第1高真空ポンプ61の下流側に接続される状態と、を切り替える「第1切替部」を構成する。
【0048】
第2高真空ポンプ62は、第2チャンバ12の底部に設けられた1つの排気口に、第2開閉バルブV32を介して、接続されている。また、第2高真空ポンプ62と第2専用配管32とは、第2中継配管42により接続されている。第2中継配管42の経路上には、第2中継バルブV42が設けられている。第2個別バルブV12を閉鎖し、第2開閉バルブV32および第2中継バルブV42を開放して、第2専用ポンプ52および第2高真空ポンプ62を動作させると、第2専用ポンプ52および共有ポンプ55により減圧された第2チャンバ12内の気圧を、さらに低い圧力まで減圧できる。
【0049】
本実施形態では、第2高真空ポンプ62の補助ポンプとして、第2専用ポンプ52を利用している。このようにすれば、第2専用ポンプ52とは別に、補助ポンプを設ける必要がない。したがって、減圧機構20が有するポンプの数を、より低減できる。第2個別バルブV12および第2中継バルブV42は、第2専用ポンプ52が第2チャンバ12に直接接続される状態と、第2専用ポンプ52が第2高真空ポンプ62の下流側に接続される状態と、を切り替える「第2切替部」を構成する。
【0050】
第3高真空ポンプ63は、第3チャンバ13の底部に設けられた1つの排気口に、第3開閉バルブV33を介して、接続されている。また、第3高真空ポンプ63と第3専用配管33とは、第3中継配管43により接続されている。第3中継配管43の経路上には、第3中継バルブV43が設けられている。第3個別バルブV13を閉鎖し、第3開閉バルブV33および第3中継バルブV43を開放して、第3専用ポンプ53および第3高真空ポンプ63を動作させると、第3専用ポンプ53および共有ポンプ55により減圧された第3チャンバ13内の気圧を、さらに低い圧力まで減圧できる。
【0051】
本実施形態では、第3高真空ポンプ63の補助ポンプとして、第3専用ポンプ53を利用している。このようにすれば、第3専用ポンプ53とは別に、補助ポンプを設ける必要がない。したがって、減圧機構20が有するポンプの数を、より低減できる。第3個別バルブV13および第3中継バルブV43は、第3専用ポンプ53が第3チャンバ13に直接接続される状態と、第3専用ポンプ53が第3高真空ポンプ63の下流側に接続される状態と、を切り替える「第3切替部」を構成する。
【0052】
第4高真空ポンプ64は、第4チャンバ14の底部に設けられた1つの排気口に、第4開閉バルブV34を介して、接続されている。また、第4高真空ポンプ64と第4専用配管34とは、第4中継配管44により接続されている。第4中継配管44の経路上には、第4中継バルブV44が設けられている。第4個別バルブV14を閉鎖し、第4開閉バルブV34および第4中継バルブV44を開放して、第4専用ポンプ54および第4高真空ポンプ64を動作させると、第4専用ポンプ54および共有ポンプ55により減圧された第4チャンバ14内の気圧を、さらに低い圧力まで減圧できる。
【0053】
本実施形態では、第4高真空ポンプ64の補助ポンプとして、第4専用ポンプ54を利用している。このようにすれば、第4専用ポンプ54とは別に、補助ポンプを設ける必要がない。したがって、減圧機構20が有するポンプの数を、より低減できる。第4個別バルブV14および第4中継バルブV44は、第4専用ポンプ54が第4チャンバ14に直接接続される状態と、第4専用ポンプ54が第4高真空ポンプ64の下流側に接続される状態と、を切り替える「第4切替部」を構成する。
【0054】
また、減圧乾燥装置1は、給気機構70を備える。給気機構70は、減圧乾燥処理の最後に、各チャンバ11,12,13,14の内部空間へ気体を供給して、チャンバ11,12,13,14内の気圧を大気圧に戻すための機構である。
図1に示すように、給気機構70は、第1給気部71、第2給気部72、第3給気部73、および第4給気部74を有する。
【0055】
第1給気部71は、第1給気バルブV51を介して、第1チャンバ11に接続されている。第1給気バルブV51を開放すると、第1給気部71から第1チャンバ11内に、気体が供給される。これにより、第1チャンバ11内の気圧を上昇させることができる。第2給気部72は、第2給気バルブV52を介して、第2チャンバ12に接続されている。第2給気バルブV52を開放すると、第2給気部72から第2チャンバ12内に、気体が供給される。これにより、第2チャンバ12内の気圧を上昇させることができる。
【0056】
第3給気部73は、第3給気バルブV53を介して、第3チャンバ13に接続されている。第3給気バルブV53を開放すると、第3給気部73から第3チャンバ13内に、気体が供給される。これにより、第3チャンバ13内の気圧を上昇させることができる。第4給気部74は、第4給気バルブV54を介して、第4チャンバ14に接続されている。第4給気バルブV54を開放すると、第4給気部74から第4チャンバ14内に、気体が供給される。これにより、第4チャンバ14内の気圧を上昇させることができる。
【0057】
なお、第1給気部71、第2給気部72、第3給気部73、および第4給気部74から供給される気体は、窒素ガス等の不活性ガスであってもよく、あるいは、クリーンドライエアであってもよい。
【0058】
また、減圧乾燥装置1は、制御部80を備える。制御部80は、減圧乾燥装置1の各部を動作制御するためのユニットである。
図2は、減圧乾燥装置1の制御ブロック図である。
図2に示すように、制御部80は、CPU等のプロセッサ81、RAM等のメモリ82、およびハードディスクドライブ等の記憶部83を有するコンピュータにより構成される。記憶部83には、減圧乾燥処理を実行するためのコンピュータプログラムおよび各種データが記憶されている。
【0059】
また、
図2に示すように、制御部80は、第1専用ポンプ51、第2専用ポンプ52、第3専用ポンプ53、第4専用ポンプ54、複数の共有ポンプ55、第1高真空ポンプ61、第2高真空ポンプ62、第3高真空ポンプ63、第4高真空ポンプ64、および複数のバルブV11~V14,V21~V24,V31~V34,V41~V44,V51~V54と、それぞれ電気的に接続されている。制御部80は、記憶部83からメモリ82にコンピュータプログラムおよび各種データを読み出し、当該コンピュータプログラムおよびデータに従ってプロセッサ81が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。
【0060】
<2.1つのチャンバにおける減圧乾燥処理の流れ>
続いて、上記の減圧乾燥装置1を用いた基板の減圧乾燥処理について、説明する。以下では、まず、第1チャンバ11における減圧乾燥処理の流れを説明する。
図3は、第1チャンバ11における減圧乾燥処理の流れを示したフローチャートである。
図4は、減圧乾燥処理時における第1チャンバ11内の気圧の変化を示すグラフである。
図4の横軸は、時刻を示している。
図4の縦軸は、第1チャンバ11内の気圧を示している。
【0061】
減圧乾燥処理を行うときには、まず、第1チャンバ11内に基板を搬入する(
図1のS0)。基板は、図示を省略した搬入出口を介して、第1チャンバ11内に搬入される。そして、第1チャンバ11内のステージの上面に、基板が載置される。その後、第1チャンバ11の搬入出口が閉鎖される。これにより、第1チャンバ11内の閉空間に、基板が収容された状態となる。
【0062】
基板の上面には、未乾燥の塗布層が形成されている。なお、本実施形態では、塗布層に、第1溶剤と第2溶剤の2種類の溶剤が含まれているものとする。そして、第2溶剤の沸点圧力Pbは、第1溶剤の沸点圧力Paよりも、低いものとする。
【0063】
第1チャンバ11内に基板を搬入した時点では、複数のバルブV11~V14,V21~V24,V31~V34,V41~V44,V51~V54は、全て閉鎖されている。
【0064】
減圧乾燥装置1は、まず、第1チャンバ11内において、第1減圧工程S1を行う。第1減圧工程S1では、制御部80が、第1個別バルブV11を開放して、第1専用ポンプ51を動作させる。これにより、第1チャンバ11からの気体の排出が開始される。制御部80は、予め設定された時間、第1減圧工程を継続する。これにより、
図4の時刻t0~t1のように、第1チャンバ11内の気圧が、大気圧P0から第1圧力P1まで、緩やかに減圧する。
【0065】
所定時間の第1減圧工程S1が終了すると、次に、減圧乾燥装置1は、第1チャンバ11内において、第2減圧工程S2を行う。第2減圧工程S2では、制御部80が、第1個別バルブV11を開放状態に維持し、第1専用ポンプ51の駆動を継続しつつ、第1分岐バルブV21を開放して、複数の共有ポンプ55を動作させる。すなわち、第2減圧工程S2では、第1専用ポンプ51と、複数の共有ポンプ55とを併用する。これにより、第1減圧工程S1よりも強い吸引力で、第1チャンバ11から気体を排出する。その結果、
図4の時刻t1~t2のように、第1チャンバ11内の気圧が、第1圧力P1から第2圧力P2まで、急速に低下する。
【0066】
基板の上面に形成された塗布層に含まれる第1溶剤の沸点圧力Paは、第1圧力P1よりも低く、第2圧力P2よりも高い。このため、第2減圧工程S2において、第1チャンバ11内の気圧を第2圧力P2まで低下させることにより、第1溶剤の気化が完了する。
【0067】
所定時間の第2減圧工程S2が終了すると、次に、減圧乾燥装置1は、第1チャンバ11内において、第3減圧工程S3を行う。第3減圧工程S3では、制御部80が、共有ポンプ55を停止させて、第1個別バルブV11および第1分岐バルブV21を閉鎖する。また、制御部80は、第1開閉バルブV31および第1中継バルブV41を開放する。そして、制御部80は、第1専用ポンプ51の動作を継続しつつ、第1高真空ポンプ61を動作させる。これにより、第2減圧工程S2よりもさらに強い吸引力で、第1チャンバ11から気体を排出する。その結果、
図4の時刻t2~t3のように、第1チャンバ11内の気圧が、第2圧力P2から第3圧力P3まで、低下する。
【0068】
基板の上面に形成された塗布層に含まれる第2溶剤の沸点圧力Pbは、第2圧力P2よりも低く、第3圧力P3よりも高い。このため、第3減圧工程S3において、第1チャンバ11内の気圧を第3圧力P3まで低下させることにより、第2溶剤の気化が完了する。
【0069】
所定時間の第3減圧工程S3が終了すると、次に、減圧乾燥装置1は、第1チャンバ11内において、吸気工程S4を実行する。給気工程S4では、制御部80が、第1専用ポンプ51および第1高真空ポンプ61を停止させて、第1開閉バルブV31および第1中継バルブV41を閉鎖する。そして、制御部80は、第1給気バルブV51を開放する。これにより、第1給気部71から第1チャンバ11へ、気体が供給される。これにより、第1チャンバ11内の気圧が、第3圧力P3から再び大気圧P0まで上昇する。
【0070】
第1チャンバ11内の気圧が大気圧P0に到達すると、制御部80は、第1給気バルブV51を閉鎖する。その後、第1チャンバ11の搬入出口が開放され、第1チャンバ11から、搬入出口を介して、基板が搬出される(
図1のS5)。以上をもって、第1チャンバ11における、1枚の基板に対する減圧乾燥処理が終了する。
【0071】
<3.4つのチャンバにおける減圧乾燥処理の流れ>
上記のように、第1チャンバ11における減圧乾燥処理は、制御部80が、第1専用ポンプ51、複数の共有ポンプ55、第1高真空ポンプ61、第1個別バルブV11、第1分岐バルブV21、第1開閉バルブV31、第1中継バルブV41、および第1給気バルブV51を制御することにより、実行される。これにより、上述した第1減圧工程S1、第2減圧工程S2、第3減圧工程S3、および給気工程S4が進行する。
【0072】
これと同様に、第2チャンバ12における減圧乾燥処理も、制御部80が、第2専用ポンプ52、複数の共有ポンプ55、第2高真空ポンプ62、第2個別バルブV12、第2分岐バルブV22、第2開閉バルブV32、第2中継バルブV42、および第2給気バルブV52を制御することにより、実行される。これにより、上述した第1減圧工程S1、第2減圧工程S2、第3減圧工程S3、および給気工程S4と同等の工程が進行する。
【0073】
また、第3チャンバ13における減圧乾燥処理も、制御部80が、第3専用ポンプ53、複数の共有ポンプ55、第3高真空ポンプ63、第3個別バルブV13、第3分岐バルブV23、第3開閉バルブV33、第3中継バルブV43、および第3給気バルブV53を制御することにより、実行される。これにより、上述した第1減圧工程S1、第2減圧工程S2、第3減圧工程S3、および給気工程S4と同等の工程が進行する。
【0074】
また、第4チャンバ14における減圧乾燥処理も、制御部80が、第4専用ポンプ54、複数の共有ポンプ55、第4高真空ポンプ64、第4個別バルブV14、第4分岐バルブV24、第4開閉バルブV34、第4中継バルブV44、および第4給気バルブV54を制御することにより、実行される。これにより、上述した第1減圧工程S1、第2減圧工程S2、第3減圧工程S3、および給気工程S4と同等の工程が進行する。
【0075】
ただし、第1チャンバ11、第2チャンバ12、第3チャンバ13、および第4チャンバ14において各工程を実行するタイミングは、少しずつずらされる。
図5は、第1チャンバ11、第2チャンバ12、第3チャンバ13、および第4チャンバ14において、第1減圧工程S1、第2減圧工程S2、第3減圧工程S3、および給気工程S4が実行されるタイミングを示したタイミングチャートである。
【0076】
図5に示すように、制御部80は、第1チャンバ11における第1減圧工程S1の開始時刻から、所定の遅延時間Δtだけ遅れた時刻に、第2チャンバ12における第1減圧工程S1を開始する。また、制御部80は、第2チャンバ12における第1減圧工程S1の開始時刻から、所定の遅延時間Δtだけ遅れた時刻に、第3チャンバ13における第1減圧工程S1を開始する。また、制御部80は、第3チャンバ13における第1減圧工程S1の開始時刻から、所定の遅延時間Δtだけ遅れた時刻に、第4チャンバ14における第1減圧工程S1を開始する。
【0077】
遅延時間Δtは、第2減圧工程S2にかかる所要時間よりも長い時間とされる。このようにすれば、2つ以上のチャンバにおいて、第2減圧工程S2を同時に行うことがない。すなわち、第1チャンバ11の第2減圧工程S2が終了した後に、第2チャンバ12の第2減圧工程S2が実行され、第2チャンバ12の第2減圧工程S2が終了した後に、第3チャンバ13の第2減圧工程S2が実行され、第3チャンバ13の第2減圧工程S2が終了した後に、第4チャンバ14の第2減圧工程S2が実行される。したがって、共有ポンプ55を、第1チャンバ11からの排気と、第2チャンバ12からの排気と、第3チャンバ13からの排気と、第4チャンバ14からの排気とに、切り替えて順次に使用できる。これにより、同一の共有ポンプを、4つのチャンバ11,12,13,14において、有効に利用できる。
【0078】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0079】
上記の実施形態では、減圧機構20が、複数の共有ポンプ55を有していた。しかしながら、減圧機構20が有する共有ポンプ55の数は、1つであってもよい。ただし、上記の実施形態のように、共有ポンプ55を複数設ければ、第2減圧工程S2における吸引力を、より高めることができる。
【0080】
上記の実施形態では、高真空ポンプ61~64が、第3減圧工程S3においてのみ、使用される。ただし、高真空ポンプが、ある程度低い圧力下でないと駆動できない場合、第1減圧工程S1および第2減圧工程S2の間も、高真空ポンプの前後のバルブを閉じた状態で、高真空ポンプを駆動させておいてもよい。例えば、第1開閉バルブV31および第1中継バルブ41を閉じた状態で、第1高真空ポンプ61を駆動させておいてもよい。同様に、第2開閉バルブV32および第2中継バルブ42を閉じた状態で、第2高真空ポンプ62を駆動させておいてもよい。同様に、第3開閉バルブV33および第3中継バルブ43を閉じた状態で、第3高真空ポンプ63を駆動させておいてもよい。同様に、第4開閉バルブV34および第4中継バルブ44を閉じた状態で、第4高真空ポンプ64を駆動させておいてもよい。
【0081】
また、上記の実施形態の減圧乾燥装置1は、4つのチャンバ11~14を備えていた。しかしながら、減圧乾燥装置1が備えるチャンバの数は、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。
【0082】
上記の実施形態の減圧乾燥装置1は、基板上の塗布層を、減圧のみにより乾燥させるものであった。しかしながら、減圧乾燥装置1は、減圧および加熱により、基板上の塗布層を乾燥させるものであってもよい。
【0083】
また、上記の実施形態の減圧乾燥装置1は、有機ELディスプレイ用の基板を処理するものであった。しかしながら、本発明の減圧乾燥装置は、液晶ディスプレイや半導体ウェハなどの他の精密電子部品用の基板を処理するものであってもよい。
【0084】
また、上記の実施形態および変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 減圧乾燥装置
11 第1チャンバ
12 第2チャンバ
13 第3チャンバ
14 第4チャンバ
20 減圧機構
21 第1個別配管
22 第2個別配管
23 第3個別配管
24 第4個別配管
31 第1専用配管
32 第2専用配管
33 第3専用配管
34 第4専用配管
35 共有配管
41 第1中継配管
42 第2中継配管
43 第3中継配管
44 第4中継配管
51 第1専用ポンプ
52 第2専用ポンプ
53 第3専用ポンプ
54 第4専用ポンプ
55 共有ポンプ
61 第1高真空ポンプ
62 第2高真空ポンプ
63 第3高真空ポンプ
64 第4高真空ポンプ
70 給気機構
71 第1給気部
72 第2給気部
73 第3給気部
74 第4給気部
80 制御部
351 第1分岐配管
352 第2分岐配管
353 第3分岐配管
354 第4分岐配管
S1 第1減圧工程
S2 第2減圧工程
S3 第3減圧工程
S4 給気工程
V11 第1個別バルブ
V12 第2個別バルブ
V13 第3個別バルブ
V14 第4個別バルブ
V21 第1分岐バルブ
V22 第2分岐バルブ
V23 第3分岐バルブ
V24 第4分岐バルブ
V31 第1開閉バルブ
V32 第2開閉バルブ
V33 第3開閉バルブ
V34 第4開閉バルブ
V41 第1中継バルブ
V42 第2中継バルブ
V43 第3中継バルブ
V44 第4中継バルブ
V51 第1給気バルブ
V52 第2給気バルブ
V53 第3給気バルブ
V54 第4給気バルブ