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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ワイパーブレード用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/40 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B60S1/40 300B
B60S1/40 100B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023505806
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2021069537
(87)【国際公開番号】W WO2022023032
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】2007899
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ゴシェ
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、ムレール
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、ウサ
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102007016479(DE,A1)
【文献】特開2016-028947(JP,A)
【文献】特開2010-018273(JP,A)
【文献】登録実用新案第3131057(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0080901(US,A1)
【文献】中国実用新案第2900271(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(16)と回転カバー(18)とを少なくとも備える、ワイパー(6)用のコネクタ(14)であって、
前記本体(16)は、底壁(20)および2つの側壁(22)であって、前記回転カバー(18)により少なくとも部分的に閉鎖される内側容積部(24)の画定に寄与する底壁(20)と側壁(22)とを少なくとも備え、
前記回転カバー(18)は、カバー壁(36)と、補強壁(38)と、関節部(40)と、前記回転カバー(18)を前記本体(16)の前記底壁(20)に対して固着するための取付装置(42)と、を少なくとも備え、
前記カバー壁(36)は、2つの長手方向端部(46、48)の間において長手方向に延び、
前記関節部(40)は、前記カバー壁(36)の前記長手方向端部(46、48)のうちの一方に形成されるとともに、前記回転カバー(18)が軸(R)を中心として回転することを可能にし、
前記補強壁(38)は、前記カバー壁(36)から前記本体(16)の前記底壁(20)に向かって延びる、
コネクタ(14)において、
前記回転カバー(18)は、支承装置(44)を備え、
前記回転カバー(18)は、前記支承装置(44)を介して前記本体(16)の前記底壁(20)に支えられ
前記取付装置(42)は、支持壁(70)と固定突起(72)とを備え、
前記支持壁(70)は、前記カバー壁(36)から前記本体(16)の前記底壁(20)に向かって延びるとともに、自由端部(78)を有し、
前記固定突起(72)は、前記支持壁(70)の自由端部(78)に形成されて前記回転カバー(18)を前記本体(16)の前記底壁(20)に取り付ける
コネクタ(14)。
【請求項2】
前記取付装置(42)の前記支持壁(70)は、前記補強壁(38)が内接する平面と交差する別個の平面において延びる、
請求項に記載のコネクタ(14)。
【請求項3】
前記回転カバー(18)の前記支承装置(44)は、前記支持壁(70)から突出するブロック(82)を形成する、
請求項に記載のコネクタ(14)。
【請求項4】
前記支承装置(44)および前記固定突起(72)は、前記本体(16)の前記底壁(20)を少なくとも部分的に収容するように構成された溝(83)を画定する、
請求項およびのいずれか一項に記載のコネクタ(14)。
【請求項5】
前記支承装置(44)は、前記本体(16)の前記底壁(20)に向かって延びる前記補強壁(38)の凸部(84)を形成し、
前記支承装置(44)は、前記底壁(20)に接触するように構成された自由縁部(86)を備える、
請求項1~のいずれか一項に記載のコネクタ(14)。
【請求項6】
前記カバー壁(36)は、前記カバー壁(36)の前記長手方向端部(46、48)の各々の間で延びる2つの側方縁部(50)であって、前記本体(16)の前記側壁(22)に接触するように構成された側方縁部(50)を備え、
前記支承装置(44)は、前記補強壁(38)の主延在平面に対して平行な平面において延びる少なくとも1つのタブ(94、96)であって、前記カバー壁(36)の前記側方縁部(50)のうちの一方から前記本体(16)の前記底壁(20)に向かって突出するタブ(94、96)を備える、
請求項1~のいずれか一項に記載のコネクタ(14)。
【請求項7】
前記回転カバー(18)の前記カバー壁(36)は、前記本体(16)の前記内側容積部(24)に収容される、
請求項1~のいずれか一項に記載のコネクタ(14)。
【請求項8】
前記関節部(40)は、開口する少なくとも1つの回転支承部(62)であって、前記本体(16)の少なくとも1つのピン(34)が収容される回転支承部(62)を備え、
前記回転カバー(18)は、前記本体(16)の前記ピン(34)を中心として枢動し、
前記関節部(40)は、前記回転支承部(62)とは別個の少なくとも1つのノッチ(68)であって、前記本体(16)の前記ピン(34)の前記回転支承部(62)への挿入を容易にするノッチ(68)を備える、
請求項1~のいずれか一項に記載のコネクタ(14)。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコネクタ(14)を備えるワイパー(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のガラス面を払拭するためのワイパー装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車に設置されることが意図されたワイパーシステムは、自動車のフロントガラス等のガラス面に接触するように設計された少なくとも1つのワイパーと、ワイパーの回転を駆動するように設計された少なくとも1つのワイパーアームと、を備えている。ワイパーは、通常ゴム製のワイパーブレードであって、ドライバーの視界から水および/または土砂を取り除くために車両のガラス面に摩擦接触するように設計されたワイパーブレードを従来的に備えている。ワイパーは、モータにより角度的な往復運動をなすように駆動されるアームによって保持されている。
【0003】
このような装置において、ワイパーは、アダプタと、コネクタと、ワイパーブレードと、を少なくとも備えている。アダプタは、ワイパーのコネクタに接続する第1部分と、アームに接続する第2部分と、を有している。アダプタは、従来的に、アームとワイパーとの間に回転接続を提供するように、コネクタに対して枢動可能に装着されている。これにより、ワイパーは、車両のガラス面の曲率の変化に追従することができる。
【0004】
ワイパーは、ガラス面上でワイパーブレードを支持しつつ前後に移動する。これは、ワイパーブレードが、車両のガラス面に堆積した水や土砂を除去するということを意味する。しかしながら、時間とともに、ワイパーブレードは摩耗し、その払拭有効性が低下する。このため、安全運転条件が満たされなくなった場合、ユーザはワイパーを交換する必要がある。ユーザは、摩耗したワイパーのコネクタをアームから取り外し、そして新しいワイパーをアームに取り付ける。
【0005】
フック形状の設置要素を有するタイプのアームが知られている。この特定の実施形態において、ワイパーのコネクタは、通常、アダプタが配置されたシャフトを備えており、アームのフックがアダプタに設置されている。コネクタには開口が存在するため、アームのフックが挿入され得るとともにアダプタと係合可能になっている。アームのフックおよびワイパーのアダプタは、各々係止要素を備えており、ワイパーはアームにしっかりと取り付けられた状態が維持され得る。
【0006】
コネクタの開口は、アームのフックがアダプタと係合し得るように十分に大きくなくてはならない。したがって、一旦ワイパーがアームに装着されると、アームは開口の一部のみを占める。コネクタは、通常、アームのフックがアダプタと係合することにより露出したままとなるコネクタの開口を少なくとも部分的に閉鎖するカバーを備えている。このカバーの目的は、水や土砂がこの開口を介してコネクタ内に侵入することを防止することである。
【0007】
従って、このようなカバーは取り外し可能であるため、アームに対するワイパーの取り付けおよび取り外しが妨げられない。換言すれば、文書DE202009013452Uの図16に示されているように、カバーは、コネクタの開口を少なくとも部分的に閉鎖する位置を取ることができる。しかしながら、このようなカバーは、所定位置に保持されず、遭遇するフックのタイプに応じて、ある程度コネクタ内に押し込まれる傾向がある。カバーの確実な位置決めの欠如は、一方でアダプタにおけるフックの長手方向の固定の信頼性に影響を及ぼし、他方でワイパーシステム全体の美観を損ねる原因となる。
【0008】
この文脈において、本発明は、これら2つの欠点を改善することを提案する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の主要な主題は、本体と回転カバーとを少なくとも備える、ワイパー用のコネクタであって、前記本体は、底壁および2つの側壁であって、前記回転カバーにより少なくとも部分的に閉鎖される内側容積部の画定に寄与する底壁と側壁とを少なくとも備え、前記回転カバーは、カバー壁と、補強壁と、関節部と、前記回転カバーを前記本体の前記底壁に対して固着するための取付装置と、を少なくとも備え、前記カバー壁は、2つの長手方向端部の間において長手方向に延び、前記関節部は、前記カバー壁の前記長手方向端部のうちの一方に形成されるとともに、前記回転カバーが軸を中心として回転することを可能にし、前記補強壁は、前記カバー壁から前記本体の前記底壁に向かって延びる、コネクタにおいて、前記回転カバーは、支承装置を備え、前記回転カバーは、前記支承装置を介して前記本体の前記底壁に支えられる、コネクタである。
【0010】
ワイパーは、車両ワイパーシステムのアームに接続するように構成される。ワイパーコネクタは、ワイパーとワイパーシステムのアームとの接続を少なくとも部分的に提供する。したがって、ワイパーは、本体に固着されるワイパーブレードを通常備えている。回転カバーそれ自体は、本体の側壁と底壁とにより画定された内側容積部の一部を閉鎖する。車両ワイパーシステムのアームが少なくとも部分的に内側容積部に収容され得るとともにこの容積部から突出し得るように、この内側容積部の他の一部は外部に開放したままである。
【0011】
回転カバーは軸を中心として可動であり、第1位置と第2位置とを取る。第1位置において、位置取付装置が回転カバーを本体に固着して、回転カバーの内側容積部の一部を閉鎖する。第2位置において、回転カバーは、少なくとも部分的に本体の内側容積部の外部に位置する。
【0012】
本発明の1つの選択的な特徴によれば、支承装置は、本体の底壁に接触する。このようにして、支承装置により、回転カバーが内側容積部に押し込まれることが阻止されると同時に、回転カバーの本体に対する位置決めが効果的に維持される。これにより、このカバーは、アームのフックが動かないようにするというその機能を効果的に発揮する。
【0013】
本発明の別の選択的な特徴によれば、前記取付装置は、支持壁と固定突起とを備え、前記支持壁は、前記カバー壁から前記本体の前記底壁に向かって延びるとともに、自由端部を有し、前記固定突起は、前記支持壁の自由端部に形成されて前記回転カバーを前記本体の前記底壁に取り付ける。
【0014】
本発明の別の選択的な特徴によれば、前記取付装置の前記支持壁は、前記補強壁が内接する平面と交差する別個の平面において延びる。
【0015】
支持壁と補強壁とが互いに対して延びることにより、カバー壁から本体の底壁に向かって延びる十字を形成することを理解されたい。
【0016】
本発明の別の選択的な特徴によれば、回転カバーの固定突起は、本体の底壁と協働して回転カバーを本体に固着する。
【0017】
本発明の別の選択的な特徴によれば、前記回転カバーの前記支承装置は、前記支持壁から突出するブロックを形成する。
【0018】
換言すれば、支承装置は、支持壁から関節部に向かって出現する矩形の平行六面体を形成する。
【0019】
本発明の別の選択的な特徴によれば、前記支承装置および前記固定突起は、前記本体の前記底壁を少なくとも部分的に収容するように構成された溝を画定する。
【0020】
底壁が支承装置と固定突起とにより部分的に形成された溝に少なくとも部分的に収容されると、回転カバーは本体に係止される。
【0021】
本発明の別の選択的な特徴によれば、前記支承装置は、前記本体の前記底壁に向かって延びる前記補強壁の凸部を形成し、前記支承装置は、前記底壁に接触するように構成された自由縁部を備える。
【0022】
凸部は、補強壁それ自体の長手方向寸法よりも小さい長手方向寸法を有する補強壁の一部分である。この長手方向寸法は、本体の主延在方向に対して平行な軸に沿って測定される。
【0023】
本発明の別の選択的な特徴によれば、底壁は、支承装置の自由縁部を少なくとも部分的に収容するスロットを備える。スロットは、支承装置に対面する底壁に形成される。支承装置を形成する凸部の自由端部は、スロットに部分的に収容されるようになるため、回転カバーはスロットの底部に支えられる。
【0024】
本発明の別の選択的な特徴によれば、底壁は、回転カバーに向かって延びるリブを備え、支承装置の自由縁部は、底壁のリブに接触する。リブは、支承装置に対面する底壁に形成される。支承装置を形成する凸部の自由端部は、リブの一端縁部に接触するため、回転カバーはリブの端縁部に当接する。
【0025】
本発明の別の選択的な特徴によれば、前記カバー壁は、前記カバー壁の前記長手方向端部の各々の間で延びる2つの側方縁部であって、前記本体の前記側壁に接触するように構成された側方縁部を備え、前記支承装置は、前記補強壁の前記主延在平面に対して平行な平面において延びる少なくとも1つのタブであって、前記カバー壁前記側方縁部のうちの一方から前記本体の前記底壁に向かって突出するタブを備える。
【0026】
本発明の別の選択的な特徴によれば、前記回転カバーの前記カバー壁は、前記本体の前記内側容積部に収容される。
【0027】
側壁の各々は、底壁から一方の端縁部に向かって延びる。回転カバーが固定突起により本体に固着されると、カバー壁は、側壁の端縁部のうちの少なくとも一方と同一平面となる。
【0028】
本発明の別の選択的な特徴によれば、前記関節部は、開口する少なくとも1つの回転支承部であって、前記本体の少なくとも1つのピンが収容される回転支承部を備え、前記回転カバーは、前記本体の前記ピンを中心として枢動し、前記関節部は、前記回転支承部とは別個の少なくとも1つのノッチであって、前記本体の前記ピンの前記回転支承部への挿入を容易にするノッチを備える。
【0029】
また、本発明は、上記の特徴のいずれかによる少なくとも1つのコネクタを備えるワイパーに関する。
【0030】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、一方で以下の説明を読むことにから、他方で添付の概略図面を参照して非限定的に示すいくつかの例示的な実施形態から、より明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明によるワイパーを設けられたワイパーシステムを備える車両を示す図である。
図2図2は、第1実施形態によるコネクタの斜視図である。
図3図3は、図2によるコネクタの分解図である。
図4図4は、図2によるコネクタの長手方向断面図である。
図5図5は、第2実施形態によるコネクタの回転カバーの斜視図である。
図6図6は、図5によるコネクタの長手方向断面図である。
図7図7は、第3実施形態によるコネクタの回転カバーの斜視図である。
図8図8は、図7によるコネクタの長手方向断面図である。
図9図9は、第4実施形態によるコネクタの回転カバーの斜視図である。
図10図10は、図9によるコネクタの鉛直方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の特徴、変形例、および異なる実施形態は、相互に非互換または相互に排他的でない限り、様々な組み合わせにおいて相互に組み合わせることができる。特に、特徴のこの選択が技術的な利点を付与し、および/または本発明を先行技術から区別するのに十分であれば、以下に説明する特徴の選択のみを、説明する他の特徴から切り離して構成する本発明の変形を想定することが可能であろう。
【0033】
以下の説明において、「長手方向」、「横方向」および「鉛直方向」という用語は、本発明によるコネクタの配向を指している。長手方向とは、コネクタの本体の主延在方向であり、この長手方向は、図面に示す基準フレームL、V、Tの長手方向軸Lに対して平行であるとともに、ワイパーの全体延在方向に対して平行である。横方向は、コネクタの本体のシリンダが主として延びる横方向軸に対して平行な方向であり、この横方向は、基準フレームL、V、Tの横方向軸Tに対して平行であり、この横方向軸Tは、長手方向軸Lに対して垂直である。最後に、鉛直方向は、基準フレームL、V、Tの鉛直方向軸Vに対して平行な方向であり、この鉛直方向軸Vは、長手方向軸Lおよび横方向軸Tに対して垂直である。
【0034】
まず図1を参照すると、車両1は、少なくとも1つのアーム4と、ワイパー6と、電気モータ8と、を備える少なくとも1つのワイパーシステム2を設けられている。電気モータ8は、車両1に固定され、アーム4およびワイパー6を駆動して車両1のガラス面10上で移動させるように構成されている。ワイパーシステム2のアーム4は、一方でその長手方向端部のうちの一方において電気モータ8に接続するとともに、他方でその他方の長手方向端部においてワイパー6に接続している。
【0035】
電気モータ8は、ワイパーシステム2がその払拭機能を実施するように、アーム4およびワイパー6の両者を駆動して角度的に前後に移動させる。そのために、ワイパー6は、少なくとも1つのワイパーブレード12と、アーム4の長手方向端部のうちの一方が固定されたコネクタ14と、を備えている。ワイパーのワイパーブレード12は、車両1のガラス面10に対してぴったりと押圧される。電気モータ8がアーム4およびワイパー6を駆動してガラス面10上で角度的に前後に移動させると、ワイパーブレード12は、車両1のガラス面10を払拭する。
【0036】
コネクタ14は、通常、アーム4が取り付けられたアダプタを収容している。したがって、コネクタ14およびアダプタは、アーム4とワイパー6との接続部を形成するとともに、アーム4およびワイパー6が車両1の電気モータ8により駆動されて移動する際に、ワイパーブレード12がその位置を車両1のガラス面10において適合させ得るようにする。
【0037】
図2および図3に示すように、コネクタ14は、本体16と回転カバー18とを少なくとも備えている。本体16は、底壁20および2つの側壁22であって、回転カバー18により少なくとも部分的に閉鎖される内側容積部24の画定に寄与する底壁20と側壁22とを少なくとも備えている。コネクタ14は、長手方向Lにおいて主として延びており、本体16の各壁は、少なくともこの長手方向Lにおいて延びている。側壁22も、上端部26と下端部28との間で鉛直方向Vにおいて延びている。鉛直方向Vは、長手方向Lに対して垂直である。底壁20それ自体は、本体16の側壁22間で、有利にはその下端部28において、横方向Tに延びている。横方向Tは、長手方向Lおよび鉛直方向Vに対して垂直である。側壁22および底壁20は、回転カバー18、より具体的には図4に示すようにアーム4の端部のうちの一方が収容される内側容積部24の画定に寄与している。
【0038】
側壁22の上端部26の各々は、実質的に湾曲した形状を取りつつ長手方向に延びている。このようにして、側壁22のうちの一方の、その長手方向端の一方または他方における、すなわち、長手方向Lにおける側壁22の端部のうちの一方における高さは、同一の側壁22の高さであって、これらの長手方向端部間で測定した高さよりも小さい。この高さは、鉛直方向Vに対して平行な軸に沿って測定される。
【0039】
図2および図3に示す例において、本体16は、ワイパーのワイパーブレード用の支持体30も備えている。この支持体30は、U字形の全体形状をしている。U字の基部が、少なくとも部分的に底壁20により形成される。U字の枝部の各々が、底壁20から本体16の側壁22の反対方向に少なくとも鉛直方向Vにおいて延びる取付壁32により構成されている。
【0040】
本体16は、図3に示す例によれば、側壁22の各々から他方の側壁22に向かって突出する一対のピン34を備えている。一対のピン34は、本体16の長手方向端部のうちの一方において、横方向Tに延びている。これらのピン34は、回転カバー18と協働して回転カバー18の本体16に対する旋回軸を形成するように構成されている。代替的な実施形態において、本体16は、一対のピン34に代えてシャフトを備えている。シャフトは、本体16の長手方向端部のうちの一方において、本体16の側壁22間で延びる。
【0041】
回転カバー18は、本体16の内側容積部24に少なくとも部分的に、または完全に収容され得る。回転カバー18は、カバー壁36と、補強壁38と、関節部40と、回転カバー18を本体16の底壁20に対して固着するための取付装置42と、そして、本発明によれば、支承装置44と、を備えている。支承装置44を介して、回転カバー18は、本体16の底壁20に支えられる。
【0042】
カバー壁36は、第1長手方向端部46と第2長手方向端部48との間で、長手方向において延びている。カバー壁36の第1長手方向端部46は、本体16の長手方向端部のうちの一方に配置される。カバー壁36は、2つの側方縁部50も備えている。2つの側方縁部50は、カバー壁36の長手方向端部46、48の各々の間で延びるとともに、回転カバー18の側壁22に接触するように構成されている。より具体的には、側方縁部50は、回転カバー18が閉位置にあるとき、本体16の側壁22の上端部26に接触してこれらの側壁22と同一平面となるように構成されている。
【0043】
カバー壁36は、側壁22の上端部26の湾曲形状におおよそ追従する。回転カバー18が本体16の内側容積部24に収容されている場合、カバー壁36は、本体16の長手方向端部のうちの一方から他方に向かって、少なくとも部分的にこの内側容積部24を閉鎖する。ただし、カバー壁36は、この内側容積部24の全体を閉鎖するものではない。これは、この容積部の一部が、ワイパーシステムのアームにアクセス可能である必要があるためである。
【0044】
回転カバー18の補強壁38は、カバー壁36から本体16の底壁20に向かって、長手方向Lおよび鉛直方向Vにおいて延びている。有利には、補強壁38は、カバー壁36の側方縁部50から等距離に形成されている。すなわち、補強壁38は、横方向Tにおいて、カバー壁36の側方縁部50に対してカバー壁36の中央にある。補強壁38は、カバー壁36の第1長手方向端部46から一方の長手方向縁部54に向かって、長手方向に延びている。後者は、カバー壁36の第2長手方向端部48よりも第1長手方向端部46に近接している。補強壁38のこの長手方向縁部54は、ワイパーがアームに対して長手方向に移動することがないように、アームのフックに支えられるように構成されている。
【0045】
長手方向Lおよび鉛直方向Vに対して平行にコネクタを通る第1断面Pにおけるコネクタ14の断面図である図4に示すように、および図2に示すように、補強壁38の長手方向縁部54は、アーム4の端部のうちの一方、ここではフック56の形状を取る端部に接触している。この目的のために、コネクタ14は、通常周囲にアダプタ(図示せず)が設置されるシリンダ58を備えている。そして、ワイパーが車両のアーム4に装着された場合、その周囲にアーム4のフック56が配置される。補強壁38の長手方向縁部54はフック56に突き当たり、ワイパーのフック56に対する長手方向の移動を阻止する。
【0046】
すべて上記に詳述したように、回転カバー18の関節部40は、カバー壁36の第1長手方向端部46に配置されるとともに、一対のピン34のピン34のうちの少なくとも一方、または本体16のシャフトと協働するように構成されている。
【0047】
関節部40は、カバー壁36の側方縁部50の一方から本体16の底壁20に向かって、長手方向Lおよび鉛直方向Vにおいて延びる少なくとも1つの側方ウェブ60からなる。側方ウェブ60は、一対のピン34のピン34のうちの一方、または本体16のシャフトが収容されるようになる、外部に開口する少なくとも1つの回転支承部62を備えている。回転支承部62は、側方ウェブ60を貫通する貫通孔64の形態を取り、この貫通孔64は、貫通孔64を側方ウェブ60の外部に開口するスロット66を備えていることを理解されたい。より具体的には、スロット66は、鉛直方向において、貫通孔64から本体16の底壁20に向かって延びている。このスロット66により、一対のピン34のピン34のうちの一方、または本体16のシャフトが貫通孔64を貫通し得るため、回転カバー18は本体16に装着され得る。このようにして、回転カバー18は、一対のピン34のピン34のうちの一方、または本体16のシャフトを中心として回転し得る。したがって、一対のピン34のピン34のうちの一方、またはシャフトは、回転カバー18を通過するように延びるる回転カバー18の回転軸Rを有している。
【0048】
また、関節部40は、回転支承部62とは別個のノッチ68であって、一対のピン34のピン34のうちの一方、または本体16のシャフトの回転カバー18の回転支承部62への挿入を容易にするノッチ68を備えている。具体的には、一対のピン34のピン34のうちの一方、またはシャフトが回転支承部62に挿入されると、側方ウェブ60の少なくとも一部分(この部分は回転支承部62とノッチ68との間に形成されている)が弾性的に変形する傾向があり、これにより一対のピン34のピン34のうちの一方、またはシャフトの支承部の貫通孔64への挿入が可能とされる。一対のピン34のピン34のうちの一方、またはシャフトが回転支承部62に収容されると、回転支承部62とノッチ68との間に形成された側方ウェブ60の当該部分は、その初期形状に復帰する。
【0049】
有利には、関節部40は、カバー壁36の側方縁部50のうちの一方から本体16の底壁20に向かって各々延びる、上述のような側方ウェブ60を2つ備える。
【0050】
図3に示すように、回転カバー18の取付装置42は、支持壁70と、支持壁70に配置された固定突起72と、を備えている。支持壁70は、ここではカバー壁36から本体16の底壁20に向かって延びている。支持壁70は、カバー壁36の第1長手方向端部46よりも、カバー壁36の第2長手方向端部48に近接している。支持壁70は、補強壁38が内接する平面と交差し且つこの平面と一致しない平面内で延びている。より具体的には、図示例によれば、支持壁70は、横方向Tおよび鉛直方向Vに対して平行に、すなわち補強壁38と十字を形成するように主として延びている。
【0051】
支持壁70は、第1セクション74と第2セクション76とを備えている。第1セクション74は、第2セクション76よりも大きい幅を有している。幅は、横方向Tに対して平行な軸に沿って測定される。支持壁70の第1セクション74は、補強壁38から第2セクション76まで延びている。後者は、第1部分を本体16の底壁20に向かって鉛直方向に延長している。
【0052】
支持壁70は、自由端部78を有している。自由端部78に、回転カバー18を本体16の底壁20に固定するための固定突起72が形成されている。固定突起72は、支持壁70の自由端部78からカバー壁36の第1長手方向端部46に向かって延びる。
【0053】
回転カバー18の固定突起72により、回転カバー18は本体16の底壁20に対して可逆的に取り付けられ得る。回転カバー18の装着に際して、固定突起72および支持壁70はわずかに変形して、底壁20の外面に対して位置決めされる。この外面は、カバー壁に対して固定突起72の反対側にある。このようにして、固定突起72は、一対のピン34のピン34のうちの一方を中心とした回転運動、または本体16のシャフトを中心とした回転運動に関して回転カバー18を少なくとも部分的に動かないようにすると同時に、回転カバー18の本体16に対する良好な位置決めを保証する。固定突起72および支持壁70の変形を単純なものとするために、この突起は、本体16の内側容積部24に面して配向された底壁20の内面に面して配向された面取り面を有している。
【0054】
本発明によれば、回転カバー18は、支承装置44を備えている。支承装置44を介して、回転カバー18は本体16の底壁20に当接する。図3および図4に示す例によれば、回転カバー18の支承装置44は、支持壁70から回転カバー18の関節部40に向かって突出するブロック82を形成している。より具体的には、ブロック82は、支持壁70の第2セクション76からカバー壁36の第1長手方向端部46に向かって長手方向に延びる矩形の平行六面体である。ここでは、ブロック82は支持壁70の第2セクション76の全幅に亘って横方向に延びているが、支持壁70の第2セクション76の幅の一部のみに亘って延びるブロック82も本発明の範囲から逸脱しないであろう。
【0055】
支承装置44および固定突起72は、本体16の底壁20を少なくとも部分的に収容するように構成された溝83の画定に寄与している。具体的には、形成された溝83の高さは、底壁20の高さよりも少なくともわずかに高いことにより、後者は固定突起72とブロック82との間で少なくとも部分的に延びることができ、支承装置44が形成される。
【0056】
図4に示すように、ブロック82は、底壁20に面するとともに底壁20の内面に接触する接触面を有している。回転カバー18が固定突起72により本体16に固着されると、ブロック82は、底壁20に対して回転カバー18を接触させるための端部ストッパを形成する。したがって、ここでは少なくともブロック82により形成される支承装置44により、回転カバー18が本体16の内側容積部24にさらに押し込まれることが阻止される。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態を、図5および図6を参照して説明する。本実施形態において、第1実施形態の説明において使用した特定の参照符号が再び使用される。これらの参照符号は、類似または同一の本発明の目的に帰する。
【0058】
本第2実施形態によれば、図5を参照すると、回転カバー18は本体の底壁に支承装置44を介して当接し、この支承装置44は、本体の底壁に向かって延びる補強壁38の凸部84を形成している。この凸部84は、底壁に接触することが意図された自由縁部86を有している。より具体的には、補強壁38は底壁に面する内縁部85を有し、凸部84は、補強壁38のこの内縁部85から本体の底壁に向かって延びている。凸部84の高さは、補強壁38の内縁部85と底壁の内面との間で測定した高さに少なくとも対応する。また、凸部84は、補強壁38の長さの少なくとも一部に亘ってのみ延びている。この長さは、長手方向Lに対して平行な軸に沿って測定される。凸部84は、長手方向Lにおいて、支持体70とカバー壁36の第1長手方向端部46との間に配置されている。
【0059】
コネクタ14の第1断面Pにおける切断図である図6に示すように、補強壁38の凸部84は、本体16の底壁20と接触している。より具体的には、本第2実施形態によれば、底壁20は、支承装置44の自由縁部86を少なくとも部分的に収容するスロット88を備えている。スロット88は、凸部84の自由縁部86がスロット88内に少なくとも格納されるようになるのに十分な長さおよび幅を有している。
【0060】
代替的な実施形態によれば、底壁20は平面状であり、凸部84は底壁20の内面に直接的に接触する。「平面状」の意味することは、底壁20がその内面にスロットもリブも有さないということである。
【0061】
アームのフックがワイパーのコネクタ14に設置された後、回転カバー18が、回転カバー18の固定突起72により本体16の底壁20に固着される。設置後は、補強壁38の凸部84の自由縁部86がスロット88の底部に突き当たるため、回転カバー18が本体16の内側容積部24にさらに押し込まれることが阻止される。また、凸部84の自由縁部86および固定突起72は、底壁20を挟むように作製される。これらの要素の高さは、この挟み込み構成を可能とするように設計されている。
【0062】
次に、図7および図8を参照して第3実施形態を説明する。本実施形態において、第1実施形態の説明において使用した特定の参照符号が再び使用される。これらの参照符号は、類似する本発明の目的に帰する。
【0063】
本第3実施形態によれば、図7を参照すると、回転カバー18は本体の底壁に支承装置44を介して当接し、この支承装置44は、本体の底壁に向かって延びる補強壁38の凸部84を同様に備えている。この凸部84は、底壁に接触することが意図された自由縁部86を有している。ただし、上述の本発明の第2実施形態で説明した凸部84と異なり、凸部84の高さは、補強壁38の内縁部85と底壁の内面との間で測定した高さよりも小さい。
【0064】
コネクタ14の第1断面Pにおける切断図である図8に示すように、底壁20は、底壁20から回転カバー18に向かって、長手方向Lおよび鉛直方向Vにおいて突出するリブ90を備えている。リブ90は、回転カバー18が固定突起72により底壁20に固着されたときに、補強壁38の凸部84の自由縁部86に接触する自由端縁部92を備えている。より具体的には、回転カバー18が固定突起72により底壁20に固着されると、回転カバー18が、より具体的には補強壁38の凸部84が底壁20のリブ90に当接するため、回転カバー18が本体16の内側容積部24にさらに押し込まれることが阻止される。また、凸部84の自由縁部86、固定突起72およびリブ90は、底壁20を挟むように作製される。これら要素の各々の高さは、この挟み込み構成を可能とするように設計されている。
【0065】
次に、図9および図10を参照して第4実施形態を説明する。本実施形態において、第1実施形態の説明において使用した特定の参照符号が再び使用される。これらの参照符号は、類似する本発明の目的に帰する。
【0066】
本第4実施形態によれば、図9を参照すると、回転カバー18は本体の底壁に支承装置44を介して当接し、この支承装置44は、カバー壁36から本体の底壁に向かって、回転カバー18の補強壁38の主延在平面に対して平行に延びる少なくとも1つのタブ94、96を備えている。
【0067】
より具体的には、図示例によれば、支承装置44は、カバー壁36の側方縁部50のうちの一方から自由端部98に向かって各々延びる第1タブ94および第2タブ96を備えている。これら2つのタブ94、96は、有利には、横方向Tに対して平行な軸に沿って互いに整列するとともに、相互に別個かつ相互に平行な面において延びる。2つのタブ94、96は、同一高さを有し、この高さは、タブ94、96のうちの一方がカバー壁36の側方縁部50のうちの一方から出現するラインと自由端部98との間で測定した高さに対応する。
【0068】
コネクタ14の横方向Tおよび鉛直方向Vに対して平行な第2断面Qにおける切断図である図10に示すように、および図2に示すように、回転カバー18のタブ94、96の各々の自由端部98は、底壁20に接触し、回転カバー18の第1および第2タブ94、96は、本体16の側壁22に沿って延びている。より具体的には、回転カバー18が固定突起72により底壁20に固着されると、回転カバー18のタブ94、96は、それらの自由端部98を介して底壁20に当接するため、回転カバー18が本体16の内側容積部24にさらに押し込まれることが阻止される。自由端部98が底壁20に当接するようになる位置は、有利には、内側容積部24内で底壁20と側壁22との間に形成される隅部の直近である。
【0069】
しかしながら、本発明は、本明細書に記載され図示された手段や構成に限定されず、本明細書に記載され図示された同等の手段や構成、また、同等の手段や構成、さらにそのような手段の技術的に運用可能な組み合わせに及び得る。特に、回転カバーのタブの凸部等の位置は、実施形態例を外れて異なり得る。さらに、本明細書で説明した実施形態は厳密に限定されず、上述の単数または複数の他の実施形態と組み合わせられ得る。
図1
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図10