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特許7537007高い体積抵抗率を有するメルトブローン不織布及びその物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】高い体積抵抗率を有するメルトブローン不織布及びその物品
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20240813BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20240813BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20240813BHJP
   D01F 6/04 20060101ALI20240813BHJP
   D04H 3/007 20120101ALI20240813BHJP
   D04H 3/016 20120101ALI20240813BHJP
【FI】
D04H3/16
B01D39/16 A
C08L23/08
D01F6/04 E
D04H3/007
D04H3/016
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023511858
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2020110449
(87)【国際公開番号】W WO2022036672
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】ファン、シン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】レン、シージエ
(72)【発明者】
【氏名】リン、イージャン
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジンヤ
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-115419(JP,A)
【文献】特開2015-161041(JP,A)
【文献】特開2014-233687(JP,A)
【文献】特表2020-512451(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0002849(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 3/16
C08L 23/08
D01F 6/04
D04H 3/007
B01D 39/16
D04H 3/016
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルトブローン不織布であって、
0.911~0.939g/ccの密度、177℃(350°F)で測定される50,000cP以下のブルックフィールド粘度、及び1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、
二酸化チタン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート、タルク、ハロイサイト、有機親和性フィロシリケート、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤と、を含む、組成物から形成され、
前記組成物が、室温で7.0E+16ohm.cm超の体積抵抗率を有する、メルトブローン不織布。
【請求項2】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、90~99.95重量%の前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、0.05~10.00重量%の前記添加剤と、を含む、請求項1に記載のメルトブローン不織布。
【請求項3】
前記添加剤が、前記メルトブローン不織布の形成中に溶融して液体になるか、又は1ミクロン未満の中央粒径(D50)を有する固体である、請求項1又は2に記載のメルトブローン不織布。
【請求項4】
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、5.25未満、又は代替的に4.0未満若しくは3.5未満のMz,cc/Mn,ccを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
【請求項5】
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、従来のゲル浸透クロマトグラフィで決定される場合に、インターポリマーの総重量に基づいて、2.5%未満、又は代替的に1.0%未満の10g/モル超の分子量の重量分率(w)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
【請求項6】
前記添加剤が、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
【請求項7】
前記添加剤が、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケートである、請求項1~6のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
【請求項8】
前記メルトブローン不織布が、10ミクロン未満の直径を有する繊維を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
【請求項9】
前記組成物が、60℃で5.0E+14ohm.cm超の体積抵抗率を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布を含む、エアフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、メルトブローン不織布に関し、より具体的には、高い体積抵抗率を有する組成物から形成されたメルトブローン不織布に関する。
序論
【0002】
体積抵抗率及び電荷保持などの電気的特性は、電気化学的劣化耐性の改善及び電荷減衰の低減を助けることができるため、濾過にとって重要である。濾過目的で使用される物品としては、メルトブローン不織布が挙げられる。ポリエチレンとは対照的にポリプロピレンから形成されるメルトブローン不織布は、とりわけ、ポリプロピレンがポリエチレンよりも良好な濾過に対する電気的特性を呈することから、濾過用途において広く使用されている。例えば、ポリプロピレン組成物から形成された典型的なメルトブローン不織布を帯電させて、集塵のための静電荷を得ることができる。ポリプロピレンは、濾過用途に使用するための最も一般的なポリオレフィンマトリックスであるが、ポリエチレンと比較していくつかの欠点を有する。例えば、ポリプロピレンは剛性であり、放射線を介して殺菌することができず、劣化して悪臭を放つ可能性がある。したがって、例えば、濾過用途で使用するために、柔軟で臭気が少なく、かつ高い体積抵抗率などの良好な電気的特性を呈し得るポリエチレンから形成されたメルトブローン不織布が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー及び特定の添加剤又は添加剤の組み合わせを含む、メルトブローン不織布を提供することによって、前述の必要性を満たす。
【0004】
本明細書には、メルトブローン不織布が開示される。メルトブローン不織布は、組成物から形成される。組成物は、0.911~0.939g/ccの密度、50,000cP以下のブルックフィールド粘度、及び1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、二酸化チタン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート、タルク、ハロイサイト、有機親和性フィロシリケート、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤と、を含み、組成物は、室温で7.0E+16ohm.cm超の積抵抗率を有する。
【0005】
エアフィルタもまた、本明細書に開示されている。エアフィルタは、本明細書に開示される実施形態によるメルトブローン不織布を含む。実施形態では、エアフィルタは、組成物から形成されたメルトブローン不織布を含み、組成物は、0.911~0.939g/ccの密度、50,000cP以下のブルックフィールド粘度、及び1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、二酸化チタン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート、タルク、ハロイサイト、有機親和性フィロシリケート、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤と、を含み、組成物は、室温で7.0E+16ohm.cm超の体積抵抗率を有する。
【0006】
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示されるメルトブローン不織布の態様は、以下でより詳細に説明される。メルトブローン不織布は、多種多様な用途を有することができ、例えば、エアフィルタ、断熱材、フェイスマスク、外科用ガウン、包帯、及び創傷被覆材を含む多種多様な物品を生産するために使用することができる。しかしながら、これは、本明細書に開示された実施形態の単なる例示的な実装であることに留意されたい。実施形態は、上述のものと類似した問題を起こしやすい他の技術にも応用可能である。
【0008】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。「インターポリマー」という総称には、「コポリマー」(通常は、2つの異なるモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)という用語、及び「ターポリマー」(通常は、3つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)という用語が含まれる。また、4つ以上の種類のモノマーを重合させることによって作製されるポリマーも包含する。
【0009】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、あらゆる追加の成分、工程、又は手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求されるすべての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、あらゆる追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる以降の記述の範囲からあらゆる他の成分、工程、又は手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写又は列記されていないあらゆる成分、工程、又は手順を除外する。
【0010】
メルトブローン不織布は、組成物から形成される。組成物は、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー及び添加剤を含む。
【0011】
組成物のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー
実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、90~99.95重量パーセント(重量%)のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む。90~99.95重量%のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、組成物は、組成物の総重量に基づいて、90~99.95重量%、92~99.95重量%、94~99.95重量%、96~99.95重量%、98~99.95重量%、又は99~99.95重量%のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み得る。
【0012】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーとは、一般に、エチレン及び3個以上の炭素原子を有するアルファ-オレフィンを含むポリマーを指す。本明細書の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量%超のエチレンから誘導される単位と、30重量%未満の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位と、を含む。50重量%超のエチレンから誘導される単位及び30重量%未満の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、(a)55重量%以上、例えば、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上、50重量%超~99重量%、50重量%超~97重量%、50重量%超~94重量%、50重量%超~90重量%、70重量%~99.5重量%、70重量%~99重量%、70重量%~97重量%、70重量%~94重量%、80重量%~99.5重量%、80重量%~99重量%、80重量%~97重量%、80重量%~94重量%、80重量%~90重量%、85重量%~99.5重量%、85重量%~99重量%、85重量%~97重量%、88重量%~99.9重量%、88重量%~99.7重量%、88重量%~99.5重量%、88重量%~99重量%、88重量%~98重量%、88重量%~97重量%、88重量%~95重量%、88重量%~94重量%、90重量%~99.9重量%、90重量%~99.5重量%、90重量%~99重量%、90重量%~97重量%、90重量%~95重量%、93重量%~99.9重量%、93重量%~99.5重量%、93重量%~99重量%、又は93重量%~97重量%のエチレンから誘導される単位と、(b)30パーセント未満、例えば、25パーセント未満、又は20パーセント未満、18重量%未満、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~12重量%、0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.5~12重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、0.5~2.5重量%、1~10重量%、1~8重量%、1~5重量%、1~3重量%、2~10重量%、2~8重量%、2~5重量%、3.5~12重量%、3.5~10重量%、3.5~8重量%、3.5重量%~7重量%、又は4~12重量%、4~10重量%、4~8重量%、又は4~7重量%の1つ以上のa-オレフィンコモノマーから誘導される単位と、を含む。コモノマー含量は、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)分光法に基づく技術などの任意の好適な技術を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載の13C NMR分析によって測定され得る。
【0013】
好適なアルファ-オレフィンコモノマーは、典型的には20個以下の炭素原子を有する。1つ以上のアルファ-オレフィンは、C3~C20アセチレン性不飽和モノマー及びC4~C18ジオレフィンからなる群から選択され得る。例えば、アルファ-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子又は3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なアルファ-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択され得るか、又は代替的には、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から、又は代替的には、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0重量%超かつ30重量%未満の1-オクテン、1-ヘキセン、又は1-ブテンコモノマーのうちの1つ以上から誘導される単位を含む。
【0014】
本明細書に記載の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.911~0.939グラム/立方センチメートル(g/cc)の密度を有する。0.911~0.939g/ccのすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.911~0.935g/ccの密度を有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.913~0.939g/ccの密度を有する。更なる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.913~0.935g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定され得る。
【0015】
密度に加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50,000センチポアズ(cP)以下のブルックフィールド粘度を有する。50,000cP以下のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、45,000cP以下、40,000cP以下、又は35,000cP以下のブルックフィールド粘度を有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、5,000cP~50,000cP、5,000cP~45,000cP、又は5,000cP~40,000cPのブルックフィールド粘度を有する。
【0016】
密度及びブルックフィールド粘度に加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。分子量分布は、数平均分子量(Mn,cc)に対する重量平均分子量(Mw,cc)の比(すなわち、Mw,cc/Mn,cc)として説明することができ、ゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)技術によって測定することができる。1.8~3.5のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1.9~3.5又は2.0~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1.8~3.0、1.9~3.0、又は2.0~3.0の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。更なる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1.8~2.8、1.9~2.8、又は2.0~2.8の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。
【0017】
密度、ブルックフィールド粘度、及び分子量分布に加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、5.25未満のMz,cc/Mn,ccを有し得る。Mz,ccは、z平均分子量として説明することができる。5.25未満のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、5.0、4.5、4.0、3.8、又は3.5未満のMz,cc/Mn,ccを有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、2.5~5.25、2.5~5.0、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.8、又は2.5~3.5のMz,cc/Mn,ccを有する。
【0018】
密度、ブルックフィールド粘度、分子量分布、及びMz,cc/Mn,ccに加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、従来のゲル浸透クロマトグラフィで決定される場合に、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、2.5%未満の10g/モル超の分子量の重量分率(w)を有し得る。2.5%未満のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、従来のゲル浸透クロマトグラフィで決定される場合に、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの総重量に基づいて、1.0%未満の10g/モル超の分子量の重量分率(w)を有する。
【0019】
密度、ブルックフィールド粘度、分子量分布、Mz,cc/Mn,cc、及び10g/モル超の分子量の重量分率(w)に加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50%以上のコモノマー分布幅指数(comonomer distribution breadth index、CDBI)を有し得る。50%以上のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、又は75%以上のCDBIを有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50%~98%、50%~97%、55%~98%、55%~97%、60%~98%、60%~97%、70%~98%、70%~97%、75%~98%、又は75%~97%の範囲のCDBIを有する。更なる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50%~85%、55%~85%、60%~85%、60%~80%、65%~80%、又は70%~80%の範囲のCDBIを有する。
【0020】
密度、ブルックフィールド粘度、分子量分布、Mz,cc/Mn,cc、10g/モル超の分子量の重量分率(w)、及びCDBIに加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、80℃~110℃の最高DSC温度結晶化ピーク、Tcを有し得る。80℃~110℃のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、80℃~105℃、85℃~105℃、又は90℃~105℃のTcを有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、95℃~105℃のTcを有する。最高DSC温度結晶化ピークは、以下に概説される示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)法を使用して決定される。
【0021】
密度、ブルックフィールド粘度、分子量分布、Mz,cc/Mn,cc、10g/モル超の分子量の重量分率(w)、CDBI、及びTcに加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、16℃未満の、最高DSC温度溶融ピーク(Tm)と最高DSC温度結晶化ピーク(Tc)との間の温度差、ΔTm-Tcを有し得る。16℃未満のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、15℃未満のΔTm-Tcを有し得る。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、12℃未満のΔTm-Tcを有し得る。最高DSC温度溶融ピーク(Tm)は、以下に概説される示差走査熱量測定(DSC)法を使用して決定される。
【0022】
本明細書の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1つ以上の従来の反応器、例えば、ループ反応器、等温反応器、プラグフロー反応器、及び/又は撹拌槽反応器を、並列、直列、及び/又はそれらの任意の組み合わせで、連続モード又はバッチモードで使用する溶液重合プロセスで調製されて、オレフィン系ポリマー、例えば、エチレンポリマー又はプロピレンポリマーを生成し得る。溶液相重合プロセスは、1つ以上のループ反応器又は1つ以上の等温反応器などの1つ以上の十分に撹拌された反応器において、100~300℃、例えば、120~190℃の範囲の温度で、及び300~1,000psig、例えば、400~750psigの範囲の圧力で、生じ得る。溶液相重合プロセスにおける滞留時間は、典型的には、2~30分、例えば、5~20分の範囲内である。エチレン(モノマー)、溶媒、水素、1つ以上の触媒系、及び1つ以上のコモノマーが、反応器に連続的に供給される。例示的な溶媒としては、イソパラフィン及びナフテン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、そのような溶媒は、ExxonMobil Chemical Co.、Houston,TexasからISOPAR Eの名称で、又はShell Chemicals EuropeからSBP100/140の名称で市販されている。重合反応器からの(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及び溶融ポリマーを含有する)流出物は、反応器を出て、失活剤、及び任意選択的に酸捕捉剤(ステアリン酸カルシウム、及び水和に付随する水など)と接触する区域に入って、その反応を停止し、塩化水素を捕捉する。加えて、酸化防止剤などの様々な添加剤を、この時点で添加することができる。次いで、流れは、Kenics螺旋状静的混合要素などの、別の一連の静的混合要素を通過して、触媒失活剤(catalyst kill)及び添加剤を均一に分散させる。(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及び溶融ポリマーを含有する)流出物は、他のより低い沸点の反応成分からのポリマーの分離に備えて、熱交換器を通過して、流れ温度を上げる。次いで、流れは、反応器の圧力を指定の目標値に維持する役割を果たす圧力降下制御弁を通過する。次いで、流れは、多段分離脱揮システムに入り、そこで溶媒、水素、並びに未反応モノマー及びコモノマーからポリマーが除去される。不純物は、反応器に再び入る前に、再循環されたより低い沸点の反応成分から除去される。分離及び脱揮されたポリマー溶融体は、熱交換器を通ってポンプ圧送されて、流れ温度を200℃未満、例えば、170℃未満の範囲、又は50~110℃の範囲の温度に下げ、それによって、冷却されたポリマー溶融体を生成する。続いて、冷却されたポリマー溶融体は、水中ペレット化用に特別に設計されたダイを通ってポンプ圧送され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。初期ポリマー特性の検証後、固体ポリマーペレットを貯蔵装置に移す。脱揮工程において除去された部分は、再循環されてもよく、又は破棄されてもよい。例えば、溶媒の大部分は、精製床を通過した後に反応器に戻して再循環される。この再循環された溶媒は、その中に未反応のコモノマーを依然として有している可能性があり、反応器に再度入る前に新鮮なコモノマーで強化される。この再循環溶媒はまた、若干の水素を有している可能性があり、次いで新鮮な水素で強化される。
【0023】
いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、触媒組成物を使用して、ループ反応器での溶液相重合プロセスを介して、以下の手順に従って調製してもよい。すべての原料(エチレン、及びヘキセン又はオクテンなどの1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー)及びプロセス溶媒(イソパラフィン溶媒、例えば、ISOPAR E)を、反応環境への導入前に分子篩で精製する。水素は、高純度グレードとして供給され、更に精製されない。反応器モノマー供給(エチレン)流を、機械的圧縮機を介して反応圧力より高い圧力、例えば、750psigに加圧する。溶媒及びコモノマー(ヘキセン又はオクテンなどの1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー)供給物を、機械的容積式ポンプを介して、反応圧力より高い圧力、例えば、750psigに加圧する。個々の触媒成分は、精製された溶媒(ISOPAR E)を用いて指定の成分濃度まで手動でバッチ希釈することができ、反応圧力よりも高い圧力、例えば、750psigに加圧することができる。すべての反応供給流は、質量流量計で測定することができ、コンピュータ自動弁制御システムで独立して制御することができる。
【0024】
連続溶液重合反応器は、液体充満、非断熱、等温、循環、ループからなり得る。すべての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、及び触媒成分供給物の独立した制御が可能である。溶媒、モノマー、コモノマー、及び水素の組み合わせ供給物は、供給流を熱交換器に通過させることによって、5℃~50℃の間のいずれか、典型的には40℃に温度制御される。重合反応器への新鮮なコモノマー供給物を再循環溶媒にコモノマーを添加するように整列させる。重合反応器へのすべての新鮮な供給物は、例えば、各注入位置間でほぼ等しい反応器体積で、2つの位置において反応器に注入される。新鮮な供給物は、典型的には、例えば、すべての新鮮な供給物の質量流量の半分を受容する各注入器を用いて制御される。触媒成分は、例えば、特別に設計された注入入口装置を通って重合反応器に注入され、反応器に注入される前に、1つの混合プロ触媒/助触媒供給流に混合される。プロ触媒成分供給物は、コンピュータ制御され、反応モノマー濃度を指定の目標値に維持する。助触媒成分は、計算された指定のモル比に基づいて、プロ触媒成分に供給される。各新鮮な注入位置(供給物又は触媒のいずれか)の直後に、供給流を循環重合反応器の内容物と、Kenics螺旋状静的混合要素などの静的混合要素を用いて混合する。反応器の内容物を、反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器を通して、指定の温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で、連続的に循環させる。反応器ループの周りの循環は、スクリューポンプによって提供することができる。重合反応器からの(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及び溶融ポリマーを含有する)流出物は、反応器を出て、失活剤、及び任意選択的に酸捕捉剤(ステアリン酸カルシウム、及び水和に付随する水など)と接触する区域に入って、その反応を停止し、塩化水素を捕捉する。加えて、酸化防止剤などの様々な添加剤を、この時点で添加することができる。次いで、流れは、Kenics螺旋状静的混合要素などの、別の一連の静的混合要素を通過して、触媒失活剤及び添加剤を均一に分散させる。(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及び溶融ポリマーを含有する)流出物は、他のより低い沸点の反応成分からのポリマーの分離に備えて、熱交換器を通過して、流れ温度を上げる。次いで、流れは、反応器の圧力を指定の目標値に維持する役割を果たす圧力降下制御弁を通過する。次いで、流れは、二段分離脱揮システムに入り、そこで溶媒、水素、並びに未反応モノマー及びコモノマーからポリマーが除去される。不純物は、反応器に再び入る前に、再循環された低沸点反応成分から除去される。分離及び脱揮されたポリマー溶融体は、熱交換器を通ってポンプ圧送されて、流れ温度を200℃未満、例えば、170℃未満の範囲、又は50~110℃の範囲の温度に下げ、それによって、冷却されたポリマー溶融体を生成する。続いて、冷却されたポリマー溶融体は、水中ペレット化用に特別に設計されたダイを通ってポンプ圧送され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。初期ポリマー特性の検証後、固体ポリマーペレットを貯蔵装置に移す。脱揮工程において除去された部分は、再循環されてもよく、又は破棄されてもよい。例えば、溶媒の大部分は、精製床を通過した後に反応器に戻して再循環される。この再循環された溶媒は、その中に未反応のコモノマーを依然として有している可能性があり、反応器に再度入る前に新鮮なコモノマーで強化される。この再循環溶媒は、依然として若干の水素を有する可能性があり、次いで新鮮な水素で強化される。
【0025】
他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、エチレン及び1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーの重合に好適な1つ以上の触媒系を使用して、直列に連結された2つの断熱撹拌槽反応器での液相重合プロセスを介して、以下の手順に従って調製してもよい。エチレンモノマー及び1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー、並びに水素は、溶媒、例えば、ISOPAR Eなどのイソパラフィン溶媒と組み合わされる。水、二酸化炭素、硫黄化合物などの不純物は、供給流から除去され、供給流は、反応器に入る前に、5℃~60℃の範囲、例えば、約13℃の温度に冷却される。反応の大部分、約85~90パーセントは、第1の断熱撹拌槽反応器で生じ得る。混合は、ポリマー/プロ触媒/助触媒/溶媒/エチレン/1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー/水素溶液を、混合ブレードを備えた1つ以上の撹拌機で循環させることによって達成され得る。供給物(エチレン/1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー/溶媒/水素)は、例えば、底部から反応器に入ってもよく、プロ触媒/助触媒もまた、例えば、供給物とは別々に、底部から反応器に入ってもよい。第1の反応器温度は、120℃~190℃の範囲、例えば、約175℃であり、反応器圧力は、400psig~1,000psigの範囲、例えば、約500psigである。第1の反応器と直列の第2の反応器の温度は、175℃~210℃の範囲の温度、例えば、約202℃まで上昇し、約10~15パーセントの残りの反応が生じ、追加の触媒又はモノマーは、添加されない。平均的な反応器滞留時間は、2~30分の範囲であり、例えば、その目的のために特別に設計された流体による、後反応器の終了前の断熱撹拌槽反応器に対して約8分である。
【0026】
重合反応器からの(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及び溶融ポリマーを含有する)流出物は、反応器を出て、失活剤及び任意選択的に酸捕捉剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、及び水和に付随する水)と接触する区域に入って、その反応を停止し、塩化水素を捕捉する。加えて、酸化防止剤などの様々な添加剤を、この時点で添加することができる。次いで、流れは、Kenics螺旋状静的混合要素などの、別の一連の静的混合要素を通過して、触媒失活剤及び添加剤を均一に分散させる。(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及び溶融ポリマーを含有する)流出物は、他のより低い沸点の反応成分からのポリマーの分離に備えて、熱交換器を通過して、流れ温度を上げる。次いで、流れは、反応器の圧力を指定の目標値に維持する役割を果たす圧力降下制御弁を通過する。次いで、流れは、二段分離脱揮システムに入り、そこで溶媒、水素、並びに未反応モノマー及びコモノマーからポリマーが除去される。不純物は、反応器に再び入る前に、再循環されたより低い沸点の反応成分から除去される。分離及び脱揮されたポリマー溶融体は、熱交換器を通ってポンプ圧送されて、流れ温度を200℃未満、例えば、170℃未満の範囲、又は50~110℃の範囲の温度に下げ、それによって、冷却されたポリマー溶融体を生成する。続いて、冷却されたポリマー溶融体は、水中ペレット化用に特別に設計されたダイを通ってポンプ圧送され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。初期ポリマー特性の検証後、固体ポリマーペレットを貯蔵装置に移す。脱揮工程において除去された部分は、再循環されてもよく、又は破棄されてもよい。例えば、溶媒の大部分は、精製床を通過した後に反応器に戻して再循環される。この再循環された溶媒は、その中に未反応のコモノマーを依然として有している可能性があり、反応器に再度入る前に新鮮なコモノマーで強化される。この再循環溶媒は、依然として若干の水素を有する可能性があり、次いで新鮮な水素で強化される。
【0027】
組成物の添加剤
組成物はまた、1つ又は複数の添加剤を含む。添加剤は、二酸化チタン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート、タルク、ハロイサイト、有機親和性フィロシリケート、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。実施形態では、添加剤は、より限定された群から選択される。例えば、実施形態では、添加剤は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。更なる実施形態では、添加剤は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケートである。
【0028】
実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.05~10.00重量%の添加剤を含む。0.05~10.00重量%のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、組成物は、0.05重量%、0.07重量%、0.09重量%、0.10重量%、0.50重量%、1.00重量%、1.50重量%、2.00重量%、3.00重量%、4.00重量%、5.00重量%の下限から、10.00重量%、9.00重量%、8.00重量%、7.00重量%、6.00重量%、5.00重量%、4.00重量%、3.00重量%、2.00重量%、1.00重量%、0.50重量%の上限までの添加剤を含み得、重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0029】
実施形態では、添加剤は、メルトブローン不織布の形成中に溶融するか、又は1ミクロン未満の中央粒径(D50)を有する固体である。例えば、一実施形態では、添加剤は、二酸化チタンが1ミクロン未満の中央粒径(D50)を有する二酸化チタンと、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケートが約100℃の溶融液体点を有し、かつメルトブローン不織布の形成中に溶融する(100℃超の温度を必要とする)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケートと、の組み合わせになるように選択される。添加剤がメルトブローン不織布の形成後に固体である実施形態では、添加剤は、1ミクロン未満、0.5ミクロン未満、又は0.25ミクロン未満の中央粒径(D50)を有し得る。理論に束縛されるものではないが、より小さい粒径(例えば、1ミクロン未満)は、メルトブローン不織布の形成中に繊維が破断する可能性を減少させ、ダイの紡糸口金を塞ぐ可能性を減少させ得る。
【0030】
組成物は、例えば、乾式ブレンド又は溶融ブレンドを含む、当技術分野で既知の任意の好適な手段によって形成することができる。添加剤は、未処理であってもよく、又は組成物への添加前に表面処理(例えば、シラン、ステアレート、又は界面活性剤表面処理)で処理されるか、若しくは組成物の製造中にその場で処理されてもよい。特定の添加剤をエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーに添加して、組成物の体積抵抗率を改善することができ、組成物は、改善された体積抵抗率を有することができ、これにより、組成物が濾過用途に好適になる。理論に束縛されるものではないが、組成物及びメルトブローン不織布の形成中のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーへの特定の添加剤の添加によって、組成物又はメルトブローン不織布の形態が変化するため、組成物又はメルトブローン不織布の体積抵抗率が増加し、それらが濾過用途に好適になる。
【0031】
実施形態では、組成物は、本明細書に開示される方法又は同様の方法に従って、以下の特性を有し得、体積抵抗率は、室温でのものである。特定の実施形態では、組成物は、室温で7.0E+16ohm.cm超の体積抵抗率を有する。7.0E+16ohm.cm超のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えば、組成物は、7.0E+16ohm.cm超、8.0E+16ohm.cm超、9.0E+16ohm.cm超、1.0E+17ohm.cm超、2.0E+17ohm.cm超、3.0E+17ohm.cm超、4.0E+17ohm.cm超、又は5.0E+17ohm.cm超の体積抵抗率を有し得、室温での体積抵抗率は、以下に記載の試験方法に従って測定することができる。
【0032】
特定の実施形態では、組成物は、7.0E+16ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、7.0E+16ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、7.0E+16ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、1.0E+17ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、1.0E+17ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、又は1.0E+17ohm.cm超~1.0E+18ohm.cmの体積抵抗率を有し、室温での体積抵抗率は、以下に記載の試験方法に従って測定することができる。
【0033】
体積抵抗率はまた、以下に記載の試験方法に従って60℃で測定することができる。実施形態では、組成物は、60℃で5.0E+14ohm.cm超の体積抵抗率を有する。5.0E+14ohm.cm超のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えば、組成物は、5.0E+14ohm.cm超、6.0E+14ohm.cm超、7.0E+14ohm.cm超、8.0E+14ohm.cm超、9.0E+14ohm.cm超、又は1.0E+15ohm.cm超の体積抵抗率を有し得、60℃での体積抵抗率は、以下に記載の試験方法に従って測定することができる。
【0034】
メルトブローン不織布
組成物を使用して、プラーク、繊維、及び/又はメルトブローン不織布などの不織布を形成してもよい。本明細書で使用される場合、「メルトブローン」とは、溶融熱可塑性ポリマー組成物を、溶融糸又はフィラメントとして、複数の微細な通常円形のダイ毛細管を通して、糸又はフィラメントを細くして、縮径させるために機能する、収束する高速ガス流(例えば、空気)に押し出すことによって形成される繊維を指す。その後、フィラメント又は糸は、高速ガス流によって運ばれ、収集表面上に堆積して、概して10ミクロンより小さい平均直径を有するランダムに分散されたメルトブローン繊維の不織ウェブを形成する。「不織布(nonwoven)」、「不織ウェブ」、及び「不織布(nonwoven fabric)」という用語は、本明細書で互換的に使用される。「不織布」とは、編まれた布地の場合のように識別可能な方式ではなく、ランダムに挟まれた個々の繊維又は糸の構造を有するウェブ又は布地を指す。
【0035】
実施形態では、組成物から形成されたメルトブローン不織布は、本明細書に開示される方法又は同様の方法に従って、以下の特性を有し得、体積抵抗率は、室温のものである。特定の実施形態では、組成物から形成されたメルトブローン不織布は、7.0E+16ohm.cm超の体積抵抗率を有する。7.0E+16ohm.cm超のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えば、組成物から形成されたメルトブローン不織布は、7.0E+16ohm.cm超、8.0E+16ohm.cm超、9.0E+16ohm.cm超、1.0E+17ohm.cm超、2.0E+17ohm.cm超、3.0E+17ohm.cm超、4.0E+17ohm.cm超、又は5.0E+17ohm.cm超の体積抵抗率を有し得、室温での体積抵抗率は、以下に記載の試験方法に従って測定することができる。
【0036】
特定の実施形態では、組成物から形成されたメルトブローン不織布は、7.0E+16ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、7.0E+16ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、7.0E+16ohm.cm超~1.0E+18ohm.cm、1.0E+17ohm.cm超~1.0E+19ohm.cm、1.0E+17ohm.cm超~5.0E+18ohm.cm、又は1.0E+17ohm.cm超~1.0E+18ohm.cmの体積抵抗率を有し、室温での体積抵抗率は、以下に記載の試験方法に従って測定することができる。
【0037】
実施形態では、組成物から形成されたメルトブローン不織布は、10ミクロン未満の直径を有する繊維を含む。10ミクロン未満のすべての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、実施形態では、本明細書に記載されるメルトブローン不織布は、10ミクロン未満、8ミクロン未満、6ミクロン未満、4ミクロン未満、2ミクロン未満、若しくは1ミクロン未満の直径を有する繊維を含み得るか、又は0.1ミクロン~10ミクロン、0.1~8ミクロン、0.1~6ミクロン、0.1~4ミクロン、0.1~2ミクロン、若しくは0.1~1ミクロンの範囲の直径を有する繊維を含み得る。
【0038】
メルトブローン不織布は、複合構造で使用されてもよい。複合構造は、1つ以上のスパンボンド不織布を更に含んでもよい。本明細書で使用される場合、「スパンボンド」とは、フィラメントとして溶融熱可塑性ポリマー組成物を、紡糸口金の複数の微細な通常円形のダイ毛細管を通して押し出し、次いで、押し出されたフィラメントの直径が迅速に低減され、その後、フィラメントを収集表面上に堆積させて、概して約7~約30ミクロンの平均直径を有するランダムに分散されたスパンボンド繊維のウェブ又布地を形成することによって形成される繊維を指す。スパンボンド繊維は、二成分繊維であっても単一成分繊維であってもよい。単一成分繊維は、ポリエチレンを含み得る。二成分繊維は、鞘がポリエチレンを含み、芯がポリプロピレンを含む、鞘/芯構造を有してもよい。当然ながら、並列配置、パイ配置、又は「海に浮かぶ島」配置など、二成分繊維の他の構成を使用してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、複合体は、S構成を有し、式中、Sは、スパンボンド不織布であり、Mは、本明細書に記載される組成物から形成されたメルトブローン不織布であり、a、b、及びcは、層の数であり、1~5の範囲の独立した整数である。例えば、複合体は、「a」、「b」、及び「c」は、互いに独立して、SMS(式中、a=1、b=1、及びc=1)、SMMS(a=1、b=2、及びc=1)、SSMSS(a=2、b=1、及びc=2)、SMMMS(a=1、b=3、及びc=1)、SMMSS(a=1、b=2、及びc=2)、又は他の構成を有してもよい。
【0040】
物品
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載のメルトブローン不織布から形成された物品も提供する。そのような物品の例としては、エアフィルタ、断熱材、フェイスマスク、外科用ガウン、包帯、及び創傷被覆材が挙げられ得る。本発明の物品は、本明細書の教示を考慮して当業者に既知の技法を使用して、本明細書に開示されるメルトブローン不織布から形成することができる。
【0041】
試験方法
密度
密度は、ASTM D-792に従って測定し、グラム/立方センチメートル(g/cc)で表す。
【0042】
ブルックフィールド粘度
ブルックフィールド粘度は、DV-II Pro Extra Viscometerを用いて測定する。この機器は、粘度計の優れた制御及び精度を提供するRheocalc V3.3ソフトウェアを使用する。SC4-31スピンドルサイズを使用する場合、8グラムの試料を使用する。試験温度は、350°Fである。トルクが40%~70%のレベルになるように、十分なスピンドル速度を適用する。粘度データは、安定した粘度読み取り値が得られた20分後に記録する。
【0043】
従来のGPC
従来のGPCは、高温ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)設備(PolymerChar、Spain)によって得られる。IR5検出器(「測定チャネル」)は、濃度検出器として使用する。GPCOneソフトウェア(PolymerChar、Spain)を使用して、ポリマーのz平均(Mz)、重量平均(Mw)、及び数平均(Mn)分子量を計算し、MWD(=Mw/Mn)を決定する。この方法では、システム温度150℃で動作する、3つの10ミクロンPLゲル混合Bカラム(Agilent Technologies、カラム寸法100×7.6mm)、又は4つの20ミクロンPLゲル混合Aカラム(Agilent Technologies、カラム寸法100×7.6mm)が使用される。試料は、200百万分率の酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有する1,2,4-トリクロロベンゼン溶媒中で、160℃で3時間、オートサンプラ(PolymerChar、Spain)により穏やかに振盪しながら、2mg/mLの濃度で調製される。流量は、1.0mL/分であり、注入サイズは、200マイクロリットルである。GPCOneソフトウェアを使用して、プレート数を計算する。クロマトグラフィシステムには、最低22,000枚のプレートが必要である。
【0044】
GPCカラムセットは、少なくとも20つの狭分子量分布ポリスチレン標準物質を流すことによって較正される。較正では、3つの10ミクロンPLゲル混合Bカラムを備えたシステムへの三次フィット、又は4つの20ミクロンPLゲル混合Aカラムを備えたシステムへの五次フィットが使用される。標準物質の分子量(molecular weight、MW)は、580g/モル~8,400,000g/モルの範囲であり、標準物質は、6つの「カクテル」混合物に含まれている。各標準物質混合物には、個々の分子量間に概ね10個の分離が存在する。標準物質混合物は、Agilent Technologiesから購入される。ポリスチレン標準物質は、1,000,000g/モル以上の分子量については「50mLの溶媒中0.025g」で調製され、1,000,000g/モル未満の分子量については「50mLの溶媒中0.05g」で調製される。ポリスチレン標準物質を、80℃で穏やかに撹拌しながら、30分間溶解させる。狭い標準物質混合物を、最初に、かつ最高分子量成分を減少させる順序で実行して、分解を最小限に抑える。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、以下の式1を使用してポリエチレン分子量に変換し(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Letters,6,621(1968)に記載の通り)、
【0045】
【数1】

式中、MWは、示されるようにポリエチレン(polyethylene、PE)又はポリスチレン(polystyrene、PS)の分子量であり、Bは、1.0に等しい。A値が標準基準材料(Standard Reference Materials、SRM)1475aについて52,000MWPEを生じるように、Aは約0.38~約0.44の範囲であり得ることが、当業者には既知である。分子量分布(MWD又はMw/Mn)、及び関連する統計値などの分子量値を得るためのこのポリエチレン較正方法の使用は、本明細書においてWilliams及びWardの修正された方法として定義される。数平均分子量、重量平均分子量、及びz平均分子量は、以下の式から計算される。
【0046】
【数2】

式中、Mn,cc、Mw,cc、及びMz,cc(g/モル)は、それぞれ従来の較正から得られる数平均分子量、重量平均分子量、及びz平均分子量である。wは、保持容量Vで溶出されるポリエチレン分子の重量分率である。Mcc,iは、従来の較正(式(1)参照)を使用して得られる保持容量Vで溶出されるポリエチレン分子の分子量(g/モル)である。
【0047】
クロマトグラフのピークは、クロマトグラムが20%のピーク高さで表示される場合に、ベースラインからの有意な目に見える逸脱を示す面積を含むように設定する必要がある。ベースラインは、100未満のポリエチレン換算分子量に統合されるべきではなく、調製された試料及びクロマトグラフ移動相からの酸化防止剤の不一致の説明には注意が必要である。図1を参照すると、明確な別個の酸化防止剤のピークを呈する試料の適切なベースライン及び積分限界セットが示されている。
【0048】
デカン流量マーカーの使用が、IR5クロマトグラムに示され得る。ベースラインの開始と終了の間のベースライン(応答)Y値の差は、クロマトグラムの積分ピーク高さの3%を超えてはならない。そのような場合、クロマトグラフ試料は、試料と移動相の酸化防止剤とを適切に一致させて処理する必要がある。試料の適切なベースライン及び積分限界セットは、100のポリエチレン換算分子量への連続性を示す。積分限界の終了は、100のポリエチレン換算分子量未満に設定されてはならない。
【0049】
w(10g/モル超の重量分率)は、以下の式(5)に従ってGPCOneソフトウェアから得られるMWD曲線(wi対log Mcc,i)に従って計算される。
【0050】
【数3】
【0051】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCを使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融及び結晶化挙動を測定した。例えば、RCS(refrigerated cooling system、冷蔵冷却システム)及びオートサンプラを備えたTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を実施した。試験中、50ml/分の窒素パージガス流量を使用した。各試料を約175℃で溶融圧縮して薄いフィルムにし、次いで、溶融した試料を室温(約25℃)まで空冷した。フィルム試料は、「0.1~0.2グラム」の試料を175℃、1,500psiで30秒間押圧して、「0.1~0.2ミル厚」のフィルムを形成することによって形成された。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却されたポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)に配置し、圧着して閉じた。次いで、その熱特性を決定するために分析を実施した。
【0052】
試料の熱挙動は、試料の温度を上下させて、熱流量対温度プロファイルを作成することによって決定した。最初に、試料を180℃まで急速に加熱し、その熱履歴を除去するために5分間等温保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間等温保持した。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱した(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線及び第2の加熱曲線を記録した。冷却曲線は、結晶化の開始から-20℃までのベースライン終点を設定することによって分析した。熱曲線は、-20℃から溶融終点までのベースライン終点を設定することによって分析した。決定された値は、最高ピーク溶融温度(T)、最高ピーク結晶化温度(T)、融解熱(H)(ジュール/グラム)、及び結晶化度%=((H)/(292J/g))×100を使用するポリエチレン試料についての算出された結晶化度%であった。融解熱(H)及び最高ピーク溶融温度は、第2の熱曲線から報告された。最高のピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定する。
【0053】
結晶化溶出分別(Crystallization Elution Fractionation、CEF)方法
コモノマー分布分析は、通常、短鎖分岐分布(short chain branching distribution、SCBD)とも呼ばれ、IR-4検出器(PolymerChar、Spain)及び2角光散乱検出器モデル2040(Precision Detectors、現Agilent Technologies)を備えた結晶化溶出分別(CEF)(PolymerChar、Spain)(Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71-79(2007)、参照によって組み込まれる)を用いて測定する。IR-4又はIR-5検出器を使用する。IR-4検出器又はIR-5検出器を検出器オーブン内に入れる直前に、50×4.6mmの10又は20ミクロンガードカラム(PolymerLab、現Agilent Technologies)を取り付けた。Sigma-Aldrichから、オルト-ジクロロベンゼン(Ortho-dichlorobenzene、ODCB、99%無水グレード)及び2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(「BHT」、カタログ番号B1378-500G、バッチ番号098K0686)を得る。ODCBを、使用前に蒸留する。EMD Chemicalsから、シリカゲル40(粒径0.2~0.5mm、カタログ番号10181-3)も得る。使用前にシリカゲルを、160℃の真空オーブンで約2時間乾燥させる。800ミリグラムのBHT及び5グラムのシリカゲルを、2リットルのODCBに添加する。ODCBは、シリカゲルを充填した1つ又は複数のカラムを通過させることによっても、乾燥させることができる。N2パージ能力を有するオートサンプラを備えたCEF機器の場合、シリカゲル40を、2つの300×7.5mmのGPCサイズのステンレス鋼カラムに充填し、シリカゲル40カラムをCEF機器のポンプの入口に取り付けて、ODCBを乾燥させ、BHTは移動相に全く添加しない。ここで、この「BHT及びシリカゲルを含有するODCB」、又はシリカゲル40で乾燥させたODCBを、「ODCB」と称することにする。このODCBは、使用前に乾燥窒素(N2)を1時間スパージされる。乾燥窒素は、窒素をCaCO及び5Åモレキュラーシーブに90psig未満で通過させることによって得られるものである。得られる窒素は、約-73℃の露点を有するはずである。試料調製を、160℃で2時間振盪させながら、(別段の指定がない限り)4mg/mlでオートサンプラを用いて行う。注入量は300μlである。CEFの温度プロファイルは、3℃/分で110℃~30℃での結晶化、30℃で5分間の熱平衡(2分間に設定されている可溶性画分溶出時間を含む)、3℃/分で30℃~140℃での溶出である。結晶化中の流量は0.052mL/分である。冷却工程中の流量は0.052mL/分である。溶出中の流量は0.50mL/分である。データは、1データポイント/秒で収集する。CEFカラムは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,372,931号に従って、1/8インチのステンレス管を用いて、125μm±6%のガラスビーズ(MO-SCI Specialty Products)で充填される。カラム外径(outside diameter、OD)は、1/8インチである。この方法を再現するのに必要な重要なパラメータには、カラム内径(internal diameter、ID)及びカラム長(length、L)が含まれる。ID及びLの選択は、直径125μmのガラスビーズで充填する場合、液体内部体積が2.1~2.3mLになるようにする必要がある。Lが152cmである場合、IDは、0.206cmでなければならず、壁の厚さは、0.056cmでなければならない。ガラスビーズの直径が125μmであり、かつ液体内部体積が2.1~2.3mLである限り、L及びIDについて異なる値を使用することができる。カラム温度較正は、ODCB中のNIST標準基準材料線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とエイコサン(2mg/ml)との混合物を使用することによって実施する。CEF温度較正は、次の4つの工程からなる。(1)測定されたエイコサンのピーク溶出温度から30.00℃を差し引いた間の温度オフセットとして定義される遅延体積を計算する工程、(2)CEF生温度データから、溶出温度の温度オフセットを減算する工程。この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意されたい、(3)NIST線状ポリエチレン1475aが、101.0℃でピーク温度を有し、かつエイコサンが、30.0℃のピーク温度を有するように、30.00℃~140.00℃の範囲にわたって溶出温度を変換する線形較正線を作成する工程、(4)30℃で等温的に測定された可溶性画分について、溶出温度が、3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって線形的に外挿される工程。報告された溶出ピーク温度は、観察されたコモノマー含量較正曲線が、以前に米国特許第8,372,931号(参照により本明細書に組み込まれる)で報告されたものと合致するように得られる。CEFデータは、GPCOneソフトウェア(PolymerChar、Spain)によって処理される。
【0054】
体積抵抗率
体積抵抗率は、ASTM D257に基づく以下の方法によって決定する。体積抵抗率は、Keithley 8009試験付属品と組み合わせたKeithley 6517 B電位計を使用して決定する。Keithleyモデル8009試験チャンバは、高温(最大温度80℃)で動作することができる強制空気オーブン内に位置している。漏電流は、ソフトウェアを介して機器から記録され、以下の式(式6)を使用して、体積抵抗率(volume resistivity、VR)を計算し、
【0055】
【数4】

式中、ρはohm.cmの体積抵抗率であり、Vはボルトの印加電圧であり、Aはcmの電極接触面積であり、Iは印加電圧の10分間後に記録されたアンペアの漏電流であり、tは試料の厚さである。圧縮成形プラークの厚さは、試験前に測定する。プラークの5点を測定して、計算に使用される平均厚さを得る。試験は、室温で1000ボルトで行われ、室温は20℃~25℃であり、60℃で1000ボルトで行われ、Keithleyモデル8009試験チャンバは、VR測定の前に最初に60℃で1時間安定化させる。室温及び60℃の両方で、2つの圧縮成形プラークを試験し、記録されたVRは2つの試験の平均である。結果は、オームセンチメートル(ohm.cm)で報告される。
【実施例
【0056】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するものであるが、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0057】
材料
以下の材料が、実施例に含まれる。
【0058】
実験用繊維樹脂(以下、「Poly.1」)は、実施例の組成物のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーとして使用する。Poly.1は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2018/169738号の「Inv.4」に対応する。Poly.1は、表1に提供されるものを含む、国際公開第2018/169738号に提供される特性を有する。
【0059】
【表1】
【0060】
Ti-Pure(商標)R-104、二酸化チタンは、0.24ミクロンの中央粒径(D50)を有し、The Chemours Company(Wilmington,DE)から市販されている。
【0061】
Bis-TEMPO、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケートは、摂氏約100度の溶融液体温度を有し、Suqian Unitech Co.,Ltd.(Jiangsu,P.R.China)から市販されている。メルトブローン不織布の形成のための温度は、摂氏180度を超えるため、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケートは、メルトブローン不織布の形成中に液体に変わる。
【0062】
SD-900、タルクは、2.6ミクロンの中央粒径(D50)を有し、Liaoning Xinda Talc Group(P.R.China)から市販されている。
【0063】
DRAGONITE(商標)HP、ハロイサイトは、約50ナノメートルの中央粒径(D50)を有し、Applied Minerals Inc.(New York,NY)から市販されている。
【0064】
Cloisite 20A、有機親和性フィロシリケートは、約10ミクロンの中央粒径(D50)を有し、BYK(Germany)から市販されている
【0065】
チタン酸バリウムは、約100ナノメートル未満の中央粒径(D50)を有し、Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.(Shanghai,P.R.China)から市販されている。
【0066】
ステアリン酸マグネシウムは、摂氏約150度の溶融液体温度を有し、Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.(Shanghai,P.R.China)から市販されている。メルトブローン不織布の形成のための温度は、摂氏180度を超えるため、ステアリン酸マグネシウムは、メルトブローン不織布の形成中に液体に変わる。
【0067】
ステアリン酸カルシウムは、摂氏約150度の溶融液体温度を有し、Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.(Shanghai,P.R.China)から市販されている。メルトブローン不織布の形成のための温度は摂氏180度を超えるため、ステアリン酸カルシウムは、メルトブローン不織布の形成中に液体に変わる。
【0068】
試料調製
Poly.1を、設定温度摂氏120度、ローター速度30rpmのBrabenderミキサーに供給する。樹脂を加熱して溶融させ、次いで任意の添加剤(以下の表中の濃度による)をミキサーに添加する。混合を50rpmで7分間継続して、任意の添加剤を分散させる。組成物を収集し、160×160×1.0mmの型で薄いプラークに押圧する。薄いプラークを摂氏150度で5分間予熱し、次いで脱気し、続いて摂氏150度で更に3分間押圧処理する。次いで、プラークの体積抵抗率(VR)を、上述の試験方法に従って試験する。
【0069】
メルトブローン不織布は、プラークの形成に使用するのと同じ組成物を使用して形成する。添加剤マスターバッチペレットをエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーペレットと乾式ブレンドし、メルトブローンライン押出機に供給する。25gsmのメルトブローン不織布を、繊維を10ミクロン未満の繊維直径に細くするエアジェット紡糸を介して、従来のメルトブローンライン上で加工する。従来のメルトブローンラインの例としては、RF4/RF5単列メルトブローンライン(Reicofil製)及び二軸メルトブローンライン(Biax-Fiberfilm Corporation製)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
以下の表2は、ポリ1及び任意の添加剤の濃度を示し、上記のように形成されたプラークに基づく本発明の実施例及び比較例について、室温(「@RT」)及び60℃(「@60℃」)でのVR測定と共に示す。
【0071】
本発明の実施例(IE1~IE8)に見られるように、本開示の組成物は、驚くべきことに、かつ予想外に、有意な量(例えば、場合によっては、1桁程度多い)のVRの増加を示す。対照的に、比較例(CE1~CE4)に見られるように、添加剤を添加しないか、又は特定の他の添加剤を添加しても、VRは増加しない。いかなる理論にも束縛されることなく、結果は、驚くべきことに、VRを改善するための本発明の実施例中の成分の相乗効果を実証している。
【0072】
【表2】

ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート
**NM=未測定
【0073】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか又は関連する特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許出願又は特許を含む、本明細書に引用されるすべての文献は、明示的に除外されるか、又は別段限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。あらゆる文献の引用は、それが本明細書に開示若しくは特許請求されたあらゆる発明に関する先行技術であること、又はそれ単独で、若しくはあらゆる他の参考文献とのあらゆる組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文献におけるあらゆる用語の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同じ用語のあらゆる意味又は定義と矛盾する場合は、本文献においてその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0074】
本発明の特定の実施形態を例示し、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱するこ
となく様々な他の変更及び修正を行い得ることは当業者には明らかであろう。そのため、
添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更及び修正をすべて
網羅することが意図されている。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
メルトブローン不織布であって、
0.911~0.939g/ccの密度、50,000cP以下のブルックフィールド粘度、及び1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、
二酸化チタン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート、タルク、ハロイサイト、有機親和性フィロシリケート、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤と、を含む、組成物から形成され、
前記組成物が、室温で7.0E+16ohm.cm超の体積抵抗率を有する、メルトブローン不織布。
項2.
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、90~99.95重量%の前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、0.05~10.00重量%の前記添加剤と、を含む、項1に記載のメルトブローン不織布。
項3.
前記添加剤が、前記メルトブローン不織布の形成中に溶融して液体になるか、又は1ミクロン未満の中央粒径(D50)を有する固体である、項1又は2に記載のメルトブローン不織布。
項4.
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、5.25未満、又は代替的に4.0未満若しくは3.5未満のMz,cc/Mn,ccを有する、項1~3のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
項5.
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、従来のゲル浸透クロマトグラフィで決定される場合に、インターポリマーの総重量に基づいて、2.5%未満、又は代替的に1.0%未満の10g/モル超の分子量の重量分率(w)を有する、項1~4のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
項6.
前記添加剤が、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケート、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、項1~5のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
項7.
前記添加剤が、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ-4-イル)セバケートである、項1~6のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
項8.
前記メルトブローン不織布が、10ミクロン未満の直径を有する繊維を含む、項1~7のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
項9.
前記組成物が、60℃で5.0E+14ohm.cm超の体積抵抗率を有する、項1~8のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布。
項10.
項1~9のいずれか一項に記載のメルトブローン不織布を含む、エアフィルタ。