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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】OLED表示モジュール及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240813BHJP
   H10K 50/856 20230101ALI20240813BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20240813BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20240813BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20240813BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349E
G09F9/30 365
H10K50/856
H10K50/86
H10K59/35
H10K59/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023516560
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 CN2021118218
(87)【国際公開番号】W WO2022053061
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】202010961402.3
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シェン,イーヤーン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ムオンティーン
(72)【発明者】
【氏名】リヤーン,シュウハイ
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ,ジージン
(72)【発明者】
【氏名】シオーン,ユエン
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-283246(JP,A)
【文献】特開2010-243769(JP,A)
【文献】特開2010-170988(JP,A)
【文献】特開2003-186413(JP,A)
【文献】特開2005-063841(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125743(US,A1)
【文献】特開2019-123866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/20-5/30
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタックされている表示レイヤ、光吸収レイヤ、光強化レイヤ、及び円偏光部を有するOLED表示モジュールであって、
前記光強化レイヤ及び前記光吸収レイヤは、前記表示レイヤと前記円偏光部との間にスタックされ、前記光吸収レイヤは、前記光強化レイヤよりも前記表示レイヤに近く、
前記表示レイヤは、ピクセルエリア及び非ピクセルエリアを有し、前記ピクセルエリア及び前記非ピクセルエリアの配置方向は、前記表示レイヤ及び前記円偏光部のスタック方向に垂直であり、
前記光吸収レイヤは、前記表示レイヤの前記ピクセルエリアから発せられた光線を伝え、前記表示レイヤの前記非ピクセルエリアに入る光線を吸収するよう構成され、
前記光吸収レイヤを通過する光線は、第1偏光状態の光線及び第2偏光状態の光線を含み、前記光強化レイヤは、前記第1偏光状態の光線を伝えるよう構成され、かつ、前記第2偏光状態の光線の少なくとも一部を当該OLED表示モジュール内の金属ワイヤに反射して、該金属ワイヤによる反射を通じて前記第1偏光状態の光線を形成するよう構成され、
前記円偏光部は、前記光強化レイヤを通る前記第1偏光状態の光線を伝えるよう構成され
前記光強化レイヤは、青色光帯域に作用し、
前記ピクセルエリアは、少なくとも青色ピクセルエリア、赤色ピクセルエリア、及び緑色ピクセルエリアを含み、
前記光吸収レイヤは、前記青色ピクセルエリアに対応する光透過エリアと、青色光線を吸収するよう構成され、他のピクセルエリアに対応する黄色エリアとを含むか、あるいは、前記光吸収レイヤは、前記青色ピクセルエリアに対応する光透過エリアと、前記非ピクセルエリアに対応する黒色エリアと、他のピクセルエリアに対応する黄色エリアとを含む
OLED表示モジュール。
【請求項2】
前記光強化レイヤによって強められる光帯域は、青色光帯域、緑色光帯域、赤色光帯域、又は可視光の他の帯域を含み、
前記光吸収レイヤによって吸収される光帯域は、前記光強化レイヤによって強められる光帯域と同じである、
請求項1に記載のOLED表示モジュール。
【請求項3】
前記光強化レイヤは、微細構造を有する材料層又はコレステリック液晶層であり、前記微細構造は、円偏光選択を実施することができるナノ構造である、
請求項1又は2に記載のOLED表示モジュール。
【請求項4】
前記光強化レイヤが微細構造を有する前記材料層である場合に、前記微細構造は平行四辺形アレイ又は円形アレイである、
請求項に記載のOLED表示モジュール。
【請求項5】
基板及び該基板に配置された表示モジュールを有し、
前記表示モジュールは、請求項1乃至のうちいずれか一項に記載のOLED表示モジュールである、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示技術の分野に、特に、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode,OLED)表示モジュール及び表示装置に関係がある。
【背景技術】
【0002】
OLEDデバイスは、有機半導体材料及び発光性材料がキャリア注入及び再結合を通じて光を発するよう電界によって駆動されるデバイスである。OLEDデバイスには、高いコントラスト、速い応答速度、軽さ、薄さ、及び折り畳み可能性などの複数の利点がある。しかし、OLEDディスプレイの内部金属電極構造により、屋内又は外部の強い光による光反射は読み取りに干渉し、また、OLEDディスプレイは暗状態で暗くならない。通常、周囲光反射に抗うことができる円偏光部がOLEDディスプレイの外に加えられている。円偏光部は、直線偏光素子及び位相補償フィルムを含む。円偏光部は、OLEDカソードからの反射光を、直線偏光素子を通過することができない偏光状態に調整する。しかし、OLEDからの出射光は非偏光であり、垂直偏光状態の50%は円偏光部を通過することができない。これは、OLEDディスプレイの出力光への損失ももたらす。
【発明の概要】
【0003】
本願は、表示モジュールの表示輝度を向上させかつ外部光反射を低減するよう、OLED表示モジュール及び表示装置を提供する。
【0004】
第1の態様に従って、OLED表示モジュールが提供される。表示モジュールは、マルチレイヤ積層構造である。表示モジュールは特に、スタックされている表示レイヤ及び円偏光部と、スタックされている光強化レイヤ及び光吸収レイヤとを含む。光強化レイヤ及び光吸収レイヤは、表示レイヤと円偏光部との間にスタックされる。表示レイヤはピクセルエリア及び非ピクセルエリアを有する。ピクセルエリアは、画像を表示するよう構成され、非ピクセルエリアは、表示モジュール内の金属ワイヤを遮るよう構成される。ピクセルエリア及び非ピクセルエリアの配置方向は、表示レイヤ及び円偏光部のスタック方向に垂直である。光吸収レイヤは、表示レイヤのピクセルエリアから発せられた光線を伝え、表示エリアの非ピクセルエリアから発せられた光線を吸収するよう構成される。光吸収レイヤを通過する光線は、第1偏光状態の光線及び第2偏光状態の光線を含む。光強化レイヤは、第1偏光状態の光線を伝えるよう構成され、かつ、第2偏光状態の光線の少なくとも一部をOLED表示モジュール内の金属ワイヤに反射して、金属ワイヤによる反射を通じて第1偏光状態の光線を形成するよう構成される。円偏光部は、光強化レイヤを通過する第1偏光状態の光線を伝えるよう構成される。上記の技術的解決法では、表示レイヤから発せられた光線の偏光状態は、光強化レイヤと表示モジュール内の金属ワイヤとの間の協調により変化し、それにより、より多くの光線が円偏光部を通過することができ、表示モジュールの明るさは向上する。更に、光吸収レイヤが配置されていることで、回路レイヤでの外部光線の反射光が吸収されて、外部光線の反射は抑制され、かつ、表示モジュールの表示効果は向上する。
【0005】
具体的な実施可能な解決法で、光強化レイヤによって強められる光帯域は、青色光帯域、緑色光帯域、赤色光帯域、又は可視光の他の帯域を含む。光吸収レイヤによって吸収される光帯域は、光強化レイヤによって強められる光帯域と同じである。異なる帯域の光線が強められ、それにより、表示モジュールでの特定のタイプの光線の強化効果は、目標とされた方法で改善され得る。
【0006】
具体的な実施可能な解決法で、光強化レイヤは、光吸収レイヤに接合される。これは、光強化レイヤと光吸収レイヤとの間の固定接続を容易にする。
【0007】
具体的な実施可能な解決法で、光強化レイヤは、円偏光部に接合される。これは、光強化レイヤの固定を容易にする。
【0008】
具体的な実施可能な解決法で、光吸収レイヤは、非ピクセルエリアに対応する黒色エリアと、ピクセルエリアに対応する光透過エリアとを含む。外部光線の反射光は、黒色エリアを使用することによって吸収され、表示モジュールの表示に影響を及ぼすことは、光透過エリアを使用することによって回避される。
【0009】
具体的な実施可能な解決法で、前記光強化レイヤは青色光帯域に作用する。ピクセルエリアは、少なくとも青色ピクセルエリア、赤色ピクセルエリア、及び緑色ピクセルエリアを含む。光吸収レイヤは、青色ピクセルエリアに対応する光透過エリアと、青色光線を吸収するよう構成され、他のピクセルエリアに対応する黄色エリアとを含む。代替的に、光吸収レイヤは、青色ピクセルエリアに対応する光透過エリアと、非ピクセルエリアに対応する黒色エリアと、他のピクセルエリアに対応する黄色エリアとを含む。これは、表示モジュールの青色光の強さを向上させる。
【0010】
具体的な実施可能な解決法で、光強化レイヤは、微細構造を有する材料層又はコレステリック液晶層であり、微細構造は、円偏光選択を実施することができるナノ構造である。光透過は、異なる構造を使用することによって強化される。
【0011】
具体的な実施可能な解決法で、光強化レイヤが微細構造を有する材料層である場合に、微細構造は平行四辺形アレイ又は円形アレイである。光線の偏光状態は、異なる微細構造と金属ワイヤとの間の協調により変化する。
【0012】
具体的な実施可能な解決法で、材料層は、有機材料層である。
【0013】
第2の態様に従って、OLED表示モジュールが提供される。表示モジュールは、スタックされている表示レイヤ及び円偏光部を含む、表示レイヤと円偏光部との間に配置された光強化レイヤを更に含む。表示レイヤは、ピクセルエリア及び非ピクセルエリアを有する。ピクセルエリア及び非ピクセルエリアの配置方向は、表示レイヤ及び円偏光部のスタック方向に垂直である。表示レイヤから発せられる光線は、第1偏光状態の光線及び第2偏光状態の光線を含む。光強化レイヤは、ピクセルエリアに対応する光強化エリアを含む。光強化エリアは、第1偏光状態の光線を伝えるよう構成され、かつ、第2偏光状態の光線の少なくとも一部をOLED表示モジュール内の金属ワイヤに反射して、金属ワイヤによる反射を通じて第1偏光状態の光線を形成するよう構成される。円偏光部は、光強化レイヤを通過する第1偏光状態の光線を伝えるよう構成される。上記の技術的解決法では、表示レイヤから発せられた光線の偏光状態は、光強化レイヤと表示モジュール内の金属ワイヤとの間の協調により変化し、それにより、より多くの光線が円偏光部を通過することができ、表示モジュールの明るさは向上する。更に、光吸収レイヤが配置されていることで、回路レイヤでの外部光線の反射光が吸収されて、外部光線の反射は抑制され、かつ、表示モジュールの表示効果は向上する。
【0014】
具体的な実施可能な解決法で、光強化レイヤは、微細構造を有する材料層又はコレステリック液晶層であり、微細構造は、円偏光選択を実施することができるナノ構造である。光透過は、異なる構造を使用することによって強化される。
【0015】
具体的な実施可能な解決法で、光強化レイヤが微細構造を有する材料層である場合に、微細構造は平行四辺形アレイ又は円形アレイである。光線の偏光状態は、異なる微細構造及び回路レイヤを使用することによって変化する。
【0016】
具体的な実施可能な解決法で、材料層は、有機材料層である。
【0017】
具体的な実施可能な解決法で、光強化レイヤは保護層を更に含み、保護層は、光強化エリア間のギャップに充てんされ、光強化エリアを覆う。これは、レイヤ構造の配置を容易にし、光強化エリア内の構造を保護する。
【0018】
具体的な実施可能な解決法で、光吸収レイヤが更に含まれる。光吸収レイヤは、非ピクセルエリアに対応する黒色エリアと、ピクセルエリアに対応する光透過エリアとを含む。光強化エリアは、光透過エリアに位置する。外部光線の反射は、光吸収レイヤを使用することによって低減される。
【0019】
第3の態様に従って、表示装置が提供される。表示装置は、基板と、基板に配置されている表示モジュールとを含む。表示モジュールは、上記の実施のいずれか1つに係るOLED表示モジュールである。上記の技術的解決法では、表示レイヤから発せられた光線の偏光状態は、光強化レイヤと表示モジュール内の金属ワイヤとの間の協調により変化し、それにより、より多くの光線が円偏光部を通過することができ、表示モジュールの明るさは向上する。更に、光吸収レイヤが配置されていることで、回路レイヤでの外部光線の反射光が吸収されて、外部光線の反射は抑制され、かつ、表示モジュールの表示効果は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願の実施形態に係る表示モジュールの上面図である。
図2】本願の実施形態に係る表示モジュールの断面図である。
図3】本願の実施形態に係る光強化レイヤの原理図である。
図4】本願の実施形態に係る表示モジュールの製造のフローチャートである。
図5】本願の実施形態に係る表示モジュールの製造のフローチャートである。
図6】本願の実施形態に係る表示モジュールの製造のフローチャートである。
図7】本願の実施形態に係る表示モジュールの製造のフローチャートである。
図8】本願の実施形態に係る表示モジュールの製造のフローチャートである。
図9】本願の実施形態に係る表示モジュールの製造のフローチャートである。
図10】本願の実施形態に係る他の表示モジュールの断面図である。
図11】本願の実施形態に係る他の表示モジュールの断面図である。
図12】本願の実施形態に係る他の表示モジュールの断面図である。
図13】本願の実施形態に係る他の表示モジュールの断面図である。
図14】本願の実施形態に係る他の表示モジュールの断面図である。
図15】本願の実施形態に係る他の表示モジュールの断面図である。
図16】本願の実施形態に係る他の表示モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、添付の図面を参照して、本願の実施形態について更に記載する。
【0022】
理解を容易にするために、かつ、記載を容易にするために、本願の実施形態で提供されるOLED表示モジュールは、以下では、表示モジュールと簡潔に呼ばれる。本願の実施形態で提供される表示モジュールの適用シナリオが最初に記載される。本願の実施形態で提供される表示モジュールは表示装置に適用されてよく、具体的には、携帯電話、タブレットコンピュータ、電子時計、又は表示を提供することができる他の一般的な端末製品に適用されてよい。
【0023】
本願に関係がある用語が最初に記載される。
【0024】
コレステリック液晶の分子は平らであり、層内に配置される。1つの層にある分子は互いに平行であり、分子の主軸は当該層の平面に平行である。異なる層にある分子の主軸の方向はわずかに変化し、分子はそれらの層の法線方向においてらせん構造に配置される。コレステリック液晶のピッチは約300nmであり、可視光波長と同程度の大きさにある。コレステリック液晶の幅及び反射中心波長は、液晶のn/nによって決定される。中心波長=nave×ピッチであり、幅=(n-n)×ピッチであり、nave =(n +2n )/3である。ピッチは、ドープされたキラル分子の濃度に基づき調整される。濃度が高いほど、ピッチはより小さくなり、濃度が低いほど、ピッチはより大きくなる。nは、e光(異常光)に対するコレステリック液晶の屈折率である。nは、o光(通常光)に対するコレステリック液晶の屈折率である。naveは平均屈折率である。ピッチ(pitch)は、コレステリック液晶の分子のガイド軸nがZ軸に沿って2π回転するときのz方向での距離である。異常光及び通常光は、光がコレステリック液晶に浸透して複屈折を起こすときに生じる、互いに上下に振動する2種類の偏光である。
【0025】
図1は、本願の実施形態に係る表示モジュール100の上面図である。表示モジュール100の発光面は、表示エリア102と非表示エリア101とに分けられる。表示エリア102は、表示モジュール100の表示機能を実施するよう構成される。非表示エリア101は、表示エリア102の周りに配置され、表示モジュール100の内部構造の金属ワイヤを遮るよう構成される。本願のこの実施形態は、表示エリア102にのみ関係があり、非表示エリア101における表示モジュール100構造は、特に制限されない。
【0026】
表示エリア102は、ピクセルエリア1021と非ピクセルエリア1022とに更に分けられる。ピクセルエリア1021は、画像を表示するよう構成され、非ピクセルエリア1022は、表示モジュール100内の配線を遮るよう構成される。図1に示されるように、非ピクセルエリア1022及びピクセルエリア1021は、メッシュ構造に配置され、ピクセルエリア1021は、非ピクセルエリア1022によって形成されたメッシュに配置される。ピクセルエリア1021及び非ピクセルエリア1022は、表示モジュールの内部構造を表現するよう、破線を使用することによってマークされている。ピクセルエリア1021及び非ピクセルエリア1022は、表示モジュール内の表示レイヤにある構造である。ピクセルは、相応して、表示レイヤにあるピクセルエリア1021に配置されており、ピクセルは、表示モジュール100の表示機能を実施するよう、ピクセルエリア1021から対応する色の光線を発するために使用される。各ピクセルは1つのピクセルエリア1021に対応する。ピクセルは異なるタイプのピクセルであってよい。例えば、ピクセルは、赤色ピクセル、緑色ピクセル、青色ピクセル、白色ピクセル、などであってよい。
【0027】
図2は、表示モジュール100の断面図である。表示モジュール100はマルチレイヤ構造であり、レイヤが第1の方向にスタックされている。第1の方向は、表示モジュール100の発光面に垂直な方向である。表示モジュール100の主たる構造は、スタックされている表示レイヤ120及び円偏光部150と、スタックされている光強化レイヤ140及び光吸収レイヤ130とを含み得る。スタックされている光強化レイヤ140及び光吸収レイヤ130は、表示レイヤ120と円偏光部150との間に配置されている。光強化レイヤ140は、表示モジュール100の光度を増大させるよう構成され、光吸収レイヤ130は、表示モジュール100での外部光線の反射光を低減するよう構成される。以下は、図2を参照して、表示モジュール100の構造について詳細に記載する。
【0028】
基板110は、表示モジュール100の他のレイヤを支えるベースレイヤ構造として機能し、表示モジュール100の他の構造は、基板110に直接配置されてもよい。任意の解決法で、基板110は、一般的な材料、例えば、樹脂、有機材料、又はガラスから作られ得る。これは、ここで特に制限されない。基板110は回路レイヤ111を支える。図2に示される回路レイヤ111は、基板110の上に配置され、表示レイヤ120へ電力を供給するよう構成される。上述された非ピクセルエリア1022によって遮られる配線は、回路レイヤ111にある配線の一部である。
【0029】
表示レイヤ120は、基板110の上に配置され、表示モジュール100で表示機能を実装するためのレイヤ構造として機能する。表示レイヤ120は、発光レイヤ121及び封止レイヤ122を含む。発光レイヤ121は、基板110から離れた回路レイヤ111の側に配置され、回路レイヤ111の制御に基づき様々な色の光線を発する。発光レイヤ121は、赤色ピクセル、青色ピクセル、及び緑色ピクセルなどの様々なタイプのピクセルを含む。様々なタイプのピクセルは、表示モジュール100のピクセルと呼ばれることがある。確かに、表示モジュール100が他のタイプのピクセルを含む場合に、対応するピクセルは相応して発光レイヤ121に配置されることが理解されるべきである。ピクセルは、第1の方向に垂直な平面上に間隔をあけて配置される。ピクセルが配置されているエリアはピクセルエリア1021であり、いずれか2つの隣接したピクセル間のエリアは非ピクセルエリア1022であり、ピクセルエリア1021及び非ピクセルエリア1022は、図1に示されるアレイに配置される。図1及び図2を参照して、ピクセルエリア1021及び非ピクセルエリア1022の配置方向は、表示レイヤ120及び円偏光部150のスタック方向に垂直であることが分かる。
【0030】
封止レイヤ122は、発光レイヤ121を覆い、発光レイヤ121の保護層として機能する。封止レイヤ122は、回路レイヤ111から離れた発光レイヤ121の表面に位置し、発光レイヤ121に直接に形成されてもよい。一例では、封止レイヤ122は、樹脂又は他の光透過材料から作られてよい。
【0031】
光吸収レイヤ130は、回路レイヤ111から離れた封止レイヤ122の表面に配置され、表示レイヤ120を覆う。表示レイヤ120から発せられた全ての光線は光吸収レイヤ130を通り、光吸収レイヤ130は、表示レイヤ120から発せられた光線を選択的に吸収する。光強化レイヤによる光線の吸収は、光線が、光吸収レイヤ130に照射されると、他の形のエネルギに変換されることを意味する。例えば、光吸収レイヤ130は、表示レイヤ120のピクセルエリア1021から発せられた光線を伝え、表示レイヤ120の非ピクセルエリア1022から発せられた光線を吸収するよう構成される。任意の解決法で、光吸収レイヤ130は2つのエリア、つまり、黒色エリア及び光透過エリアを含む。黒色エリア及び光透過エリアの配置は、メッシュ構造を形成するよう、ピクセルエリア1021及び非ピクセルエリア1022の配置に類似している。黒色エリアは非ピクセルエリア1022に対応し、非ピクセルエリア1022から表示レイヤ120によって発せられた光線は、光吸収レイヤ130の黒色エリアによって吸収され得るので、光吸収レイヤ130を通過することができない。非ピクセルエリア1022から表示レイヤ120によって発せられた光線は、散乱又は反射された後に非ピクセルエリア1022に入る光線であることが理解されるべきである。光透過エリアはピクセルエリア1021に対応し、光透過エリアは光線に影響を及ぼさず、ピクセルエリア1021から表示レイヤ120によって発せられた光線は、光透過エリアを直接通過し得る。
【0032】
任意の解決法で、光吸収レイヤ130は、異なる帯域の光線を吸収するよう構成されてよい。例えば、光吸収レイヤ130は、青色光帯域、緑色光帯域、赤色光帯域、又は可視光の他の帯域を吸収してよい。図に示される光吸収レイヤ130が黒色エリアを含む場合に、光吸収レイヤ130の黒色エリアは、非ピクセルエリア1022から発せられた可視光の全体域を吸収してもよく、例えば、赤色光帯域、緑色光帯域、青色光帯域、又は可視光の他の帯域を吸収してよい。
【0033】
光強化レイヤ140は、回路レイヤ111から離れた光吸収レイヤ130の表面に配置される。光強化レイヤ140は、第1偏光状態の光線を伝えるよう構成され、かつ、第2偏光状態の光線を表示モジュール100の金属ワイヤ(回路レイヤ111と、表示レイヤ120にあるカソード及びアノードとを含むが限られない)に反射するよう構成され、それにより、第2偏光状態の光線は、円偏光部150を通過することができる第1偏光状態の光線を形成するよう金属ワイヤによって再び反射される。第1偏光状態の光線及び第2偏光状態の光線は、発光レイヤ121によって発せられる光線であり、発光レイヤ121から発せられる2つの偏光状態の光線は、光吸収レイヤ130を通過して、光強化レイヤ140に照射される。第1偏光状態の光線及び第2偏光状態の光線は、円偏光部150に対応する2種類の偏光である。例えば、第1偏光状態の光線は左偏光であってよく、第2偏光状態の光線は右偏光であってよく、あるいは、第1偏光状態の光線は右偏光であり、第2偏光状態の光線は左偏光である。
【0034】
光強化レイヤ140が円偏光部150に近く、光吸収レイヤ130が光強化レイヤ140よりも表示レイヤ120に近い上記の構造が使用される場合に、光吸収レイヤ130によって吸収された光線は、光強化レイヤ140を通ることを阻止される。
【0035】
任意の解決法で、光強化レイヤ140は、光強化レイヤ140と光吸収レイヤ130との間の固定接続を容易にするよう、光吸収レイヤ130に接合される。
【0036】
任意の解決法で、光強化レイヤ140は、コレステリック液晶層であってよい。特定の波長の光線について、コレステリック液晶層は、第1偏光状態の光線を伝え、第2偏光状態の光線を反射し得る。コレステリック液晶層が作用する光線の波長範囲は、液晶分子の屈折率の差Δnと液晶分子のピッチとの積によって決定される。例えば、光強化レイヤ140によって強められる光帯域は、青色光帯域、緑色光帯域、赤色光帯域、又は可視光の他の帯域を含む。
【0037】
引き続き図2を参照されたい。円偏光部150は、光吸収レイヤ130から離れた光強化レイヤ140の表面に配置される。円偏光部150は、発光レイヤ121から発せられる第1偏光状態の光線を伝えるよう構成され、かつ、発光レイヤ121から発せられる第2偏光状態の光線を吸収するよう構成される。光強化レイヤ140が金属ワイヤと協働するとき、第2偏光状態の光線は、2回の反射により、第1偏光状態の光線に変換され得、それにより、もともとは円偏光部150によって遮られる第2偏光状態の光線は、円偏光部150を通過することができる第1偏光状態の光線に変換され得る。これは、表示モジュール100によって出力される光の量を増やし、それによって、表示モジュール100の表示輝度を増大させる。
【0038】
任意の解決法で、光強化レイヤ140は、光強化レイヤ140の固定を容易にするよう、円偏光部150に接合される。
【0039】
表示モジュール100の内部レイヤ構造を保護するために、表示モジュール100はカバー170を更に含む。カバー170は、光強化レイヤ140から離れた円偏光部150の側を覆い、表示モジュール100の全体の保護構造として機能する。例えば、カバー170は、一般的な材料、例えば、ガラス又は光透過樹脂から作られてよい。詳細はここで再び記載されない。具体的な接続中に、カバー170は、ボンディングレイヤ160を使用することによって円偏光部150に接合される。
【0040】
本願のこの実施形態で提供される光強化レイヤの光強化効果を理解しやすくするために、以下は、光強化レイヤ140及び光吸収レイヤ130の原理について詳細に記載する。
【0041】
図3は、光強化レイヤ140の原理図の一例を示す。表示モジュールから発せられた自然光のうち、50%の光線は、円偏光部150を通過することができない第2偏光状態の光線であり、50%の光線は、円偏光部150を通過することができる第1偏光状態の光線である。自然光が光強化レイヤ140に照射されるとき、第1偏光状態の光線は、光強化レイヤ140及び円偏光部150を順に通過した後に放射される。光強化レイヤ140によって反射された後、第2偏光状態の光線は、表示モジュール内の金属ワイヤに照射され、金属ワイヤによって反射された後に第1偏光状態の光線に変換される。光強化レイヤ140に再び照射されると、第1偏光状態の光線は光強化レイヤ140及び円偏光部150を通過し得る。上記の記載から、表示モジュールにおいて配置されている光強化レイヤ140及び金属ワイヤによる2回の反射を通じて、もともとは円偏光部150を通過することができない第2偏光状態の光線が、円偏光部150を通過することができる第1偏光状態の光線に変換され得る。これは、表示モジュールによって出力される光の量を増やし、それによって、表示モジュールの表示効果を向上させる。
【0042】
しかし、光強化レイヤ140が加えられた後、外部光が表示モジュールに照射された後の表示モジュールの反射効果は、必然的に高められる。反射効果を高める原理は、表示モジュールによって出力される光の量を光強化レイヤ140によって増やす原理に類似している。外部自然光が表示モジュールに照射される場合に、第1偏光状態の光線は円偏光部150を通過し、次いで表示モジュールに浸透し、表示モジュール内の金属層によって反射された後に第2偏光状態の光線になる。光強化レイヤ140がないならば、変換により得られた第2偏光状態の光線は円偏光部150によって吸収され、表示モジュールによる外部自然光の反射は表示モジュールにほとんど影響を及ぼさない。しかし、光強化レイヤ140が加えられた後では、金属ワイヤによって反射された後に形成される第2偏光状態の光線が、光強化レイヤ140を使用することによって再び金属ワイヤに反射される場合があり、金属ワイヤによって再び反射された後に第1偏光状態の光線に変換されるので、円偏光部150を通過した後に放射される可能性がある。その結果、外部光が表示モジュールに照射された後、表示モジュールの反射効果は高められ、表示モジュールの通常表示が影響を及ぼされる。そのため、光吸収レイヤが本願では加えられている。黒色エリア及び光透過エリアの構造が光吸収レイヤで使用される場合に、非ピクセルエリアに照射される第1偏光状態の光線は黒色エリアを使用することによって吸収され得、それにより、もともと円偏光部150を通過しようとしている第1偏光状態の光線は吸収され得、反射効果は低減される。更に、ピクセルエリアでは、光透過エリアが光吸収レイヤで使用される。これは、表示モジュールの通常の表示に影響を及ぼさない。
【0043】
任意の解決法で、光吸収レイヤ130によって吸収される光帯域は、光強化レイヤ140によって強められる光帯域と同じである。光強化レイヤ140によって強められる光線が非ピクセルエリア1022から発せられる場合に、強められた光線は光吸収レイヤ130によって吸収され得る。
【0044】
上記の記載から、表示レイヤから発せられた光線の偏光状態は、光強化レイヤ140と表示レイヤ内の金属ワイヤとの間の協調により変化し、それにより、より多くの光線が円偏光部150を通過することができ、表示モジュールの明るさが向上すことが分かる。更に、光吸収レイヤが配置されることで、表示モジュールでの外部光線の反射光は吸収されて、外部光の反射が抑制され、表示モジュールの表示効果が向上する。本願のこの実施形態で提供される表示モジュールの効果を理解しやすくするために、本願のこの実施形態で提供される表示モジュールは試験される。表示モジュールの効果が表1及び表2に示されている。
【表1】
【表2】
【0045】
表1からは、本願のこの実施形態で提供される異なった光強化レイヤを有する2つの表示モジュールが従来技術の表示モジュール(円偏光部のみを含む)と比較されていることが分かる。光出力効果は大幅に向上しており、白色光の測定された輝度Lvは45.5%増えている。表2からは、従来技術のそれと比較して、反射率が10.62%から5.23%まで低減され得ることが分かる(既存の円偏光部による解決法の反射率は5.12%である)。
【0046】
まとめると、本願のこの実施形態で提供される表示モジュールでは、光出力効果が光強化レイヤを使用することによって有効に改善され得る。更に、反射率は、配置されている光吸収レイヤを使用することによって有効に低減され得る。更に、表示モジュールの明るさ及び反射を改善するための他の構造と比較して、本願のこの実施形態で提供される表示モジュールによってはたった2つのフィルタレイヤしか必要とされず、表示モジュールにほとんど影響を及ぼさず、表示モジュールの厚さに影響を与えずに表示モジュールの光出力効果及び反射効果を改善する。
【0047】
本願のこの実施形態で提供される表示モジュールの構造を理解しやすくするために、以下は、表示モジュールの具体的な製造方法により各レイヤ構造をどのように組み立てるかについて記載する。
【0048】
ステップ001:光強化レイヤを形成する。
【0049】
図4を参照されたい。光強化レイヤ140は、コレステリック液晶及び基板200を含み得る。製造中、アライメントレイヤが最初に基板200の上にコーティングされ、次いで、コレステリック液晶層がコーティングされる。コーティング厚は1μmから5μmの範囲に及び得る。例えば、コーティング厚は異なり、例えば、1μm、2μm、3μm、4μm、又は5μmである。コレステリック液晶に提供されるアライメントプロセスは、摩擦アライメント、光アライメント、又は液晶自己集合であってよい。光強化レイヤ140によって反射される光帯域は、赤色光、青色光、及び緑色光などの別個の光の帯域、又はそれらの任意の組み合わせを含んでよく、あるいは、可視光帯域全体を含んでもよい。
【0050】
任意の解決法で、基板200は、円偏光子、セルローストリアセテート、シクロオレフィンポリマー、ガラス(0.02mmから0.5mmの厚さ範囲)、複合ポリマー、などであってよい。
【0051】
アライメントプロセス
【0052】
1.摩擦アライメント:基板200は支持台の上に置かれ、アライメントフィルムでコーティングされた表面が上を向く。支持台は駆動メカニズムと組み合わされ、駆動メカニズムは、矢印によって示された方向に向かって直線搬送を行うよう支持台を駆動する。基板200の搬送経路上には、表面に布が貼られたローラーが配置される。基板200がローラーを通過するとき、ローラーは、ローラーの底面での接線速度方向が基板200の移動方向と反対である時計回りの回転方式で、基板200の表面上のアライメントフィルムに対して転がり摩擦を行う。摩擦アライメント後のアライメントフィルムの表面上の分子はもはや散乱せず、均一な配置の界面状態となり、液晶を所定の方向に配置させることができる。
【0053】
2.光アライメント:光アライメントは非接触アライメントに属する。高精度のリアルタイムトラッキング補償モードでの紫外線光が、感光性ポリマーモノマー材料化学反応させて異方性を発生させるために使用される。液晶分子は、アライメントフィルムの表面の分子と相互作用する。最小限のエネルギで安定した状態を達成するために、液晶分子は、最大応力で、光アライメントによって定義される方向に配置される。
【0054】
ステップ002:円偏光部を光強化レイヤに付ける。
【0055】
図5を参照されたい。光強化レイヤ140が円偏光部150の上に直接コーティングされない場合に、光強化レイヤ140は、光学透明接着剤又は感圧接着剤を使用することによって円偏光部150の位相補償フィルム表面に貼り付けられる。
【0056】
ステップ003:表示レイヤ120を作る。
【0057】
図6を参照されたい。発光レイヤ121及び封止レイヤ122が基板110の上に順に置かれる。発光レイヤ121は、基板110の回路レイヤ111に配置され、回路レイヤ111の制御に基づき様々な色の光線を発する。発光レイヤ121は、赤色ピクセル、青色ピクセル、及び緑色ピクセルなどの表示モジュールのピクセルを含む。確かに、表示モジュールが他のタイプのピクセルを含む場合に、対応するピクセルが相応して発光レイヤ121に配置される。封止レイヤ122は、回路レイヤ111から離れた発光レイヤ121の表面に位置し、発光レイヤ121に直接に形成されてよい。一例では、封止レイヤ122は樹脂又は他の光透過材料から作られてもよい。
【0058】
ステップ004:光吸収レイヤを作る。
【0059】
図7を参照されたい。表示レイヤ120が作られた後、光強化レイヤが可視光帯域全体に作用するならば、黒色感光性接着剤層が光吸収レイヤ130としてディスプレイの上面に作られる。黒のフォトレジストがコーティングされ、次いで、ピクセルエリアに対応する部分がエッチング除去され、それにより、黒色エリアは相応して非ピクセルエリアの部分を遮る。
【0060】
ステップ005:ディスプレイを円偏光部に付ける。
【0061】
図8を参照されたい。光吸収レイヤ130が作られている表示モジュールは、感光性接着剤又は感圧接着剤を使用することによって円偏光部150(光強化レイヤ140でコーティングされているか、又は光強化レイヤ140に付けられている)に貼り付けられる。光強化レイヤ140は、光吸収レイヤ130と円偏光部150との間に位置する。
【0062】
ステップ006:カバーを付ける。
【0063】
図9を参照されたい。カバー170が、感光性接着剤を使用することによって円偏光部150に貼り付けられる。
【0064】
表示モジュールにおける各レイヤ構造は、上記の製造方法を使用することによって作られ得る。作られた光強化レイヤ及び光吸収レイヤの間の協調を通じて、表示モジュールは、表示モジュールの光出力効果を向上させる場合に外部光線の反射を低減することができる。
【0065】
図10を参照されたい。図2に示される表示モジュールに基づき、光強化レイヤ140の他の実施可能な構造が提供される。上記のコレステリック液晶に加えて、光強化レイヤ140は、代替的に、微細構造141を有する材料層であってもよい。微細構造141は、円偏光選択を実施することができるナノ構造である。例えば、微細構造141は、特定の周波数帯域の光線において第1偏光状態の光線を伝え、第2偏光状態の光線を反射し得る。
【0066】
具体的な配置中に、微細構造141は、平行四辺形又は円形アレイであってよく、第2偏光状態の光線は、平行四辺形アレイ又は円形アレイが使用されるかどうかにかかわらず反射され得る。
【0067】
具体的な実施可能な解決法で、材料層は有機材料層である。有機材料層は、金属酸化物又は窒化物、例えば、TiO、Ta、HfO、又はSiから作られ得る。
【0068】
図11は、本願の実施形態に係る他の表示モジュールを示す。図11中のいくつかの参照番号については、図2中の同じ参照番号を参照されたい。
【0069】
図2に示される例に基づき、光強化レイヤ140及び光吸収レイヤ130を配置する他の方法が提供される。以下は、図11に示される光強化レイヤ140及び光吸収レイヤ130についてのみ記載する。表示モジュールの他のレイヤ構造については、図2の関連する記載を参照されたい。
【0070】
図11において、光強化レイヤ140は赤色光帯域に作用する。コレステリック液晶が光強化レイヤ140のために選択される場合に、コレステリック液晶が作用する光線の波長範囲は、液晶分子間の反射率の差Δnと液晶分子のピッチ(pitch)との積によって決定される。コレステリック液晶分子間の反射率の差Δn及び液晶分子のピッチ(pitch)を使用することによって、光強化レイヤ140が青色光帯域に作用することが決定される。使用中、第2偏光状態の光線は、青色光が光強化レイヤ140に照射されるときにのみ反射される。他の周波数帯域の光線が光強化レイヤ140に照射される場合に、光強化レイヤ140はその光線を相応して反射しない。
【0071】
図11において、例えば、表示レイヤは青色ピクセル、赤色ピクセル、及び緑色ピクセルを含む。表示モジュールのピクセルエリアは少なくとも青色ピクセルエリア、赤色ピクセルエリア、及び緑色ピクセルエリアを含む。光強化レイヤ140が配置される場合に、光強化レイヤ140はピクセルエリアを覆う。しかし、たとえ光強化レイヤ140は赤色ピクセルエリア及び緑色ピクセルエリアを覆うとしても、光強化レイヤ140は赤色光及び緑色光を相応して反射しない。
【0072】
任意の解決法で、光吸収レイヤ130は2つの部分、つまり、光透過エリア131及び黄色エリア132に分けられる。光透過エリア131は青色ピクセルエリアに対応し、黄色エリア132は他のピクセルエリアに対応し、青色光線を吸収するよう構成される。光透過エリア131は、表示モジュールの表示が影響を及ぼされるのを防ぐために、青色ピクセルから発せられた光線が光吸収レイヤ130によって吸収されないよう、青色ピクセルの上に配置される。青色光線を吸収する黄色エリア132は、外部光線に対する表示モジュールの反射効果を低減するために、青色光線が他のエリアを使用することによって吸収され得ることを確かにするよう、当該他のエリアに配置される。
【0073】
上記の実施形態では、黄色光が一例として使用される。光強化レイヤ140が他の色の光線に作用する場合に、光強化レイヤ140及び光吸収レイヤは夫々、次のことを満足する:光強化レイヤ140は、第2偏光状態にある当該色の光線を反射し、第1偏光状態にある当該色の光線を伝えることができ、光吸収レイヤ130は、当該色に対応するピクセルエリアに対応する光透過エリアと、当該色の光線を吸収することができ、表示モジュールの他のエリアを覆う光吸収エリアとを含む。
【0074】
図12は、他の表示モジュールにおいて光強化レイヤ140及び光吸収レイヤ130を配置する方法を示す。図12図11との間の違いは、光吸収レイヤ130を配置する方法にのみある。
【0075】
任意の解決法で、光吸収レイヤ130は、青色ピクセルエリアに対応する光透過エリア131と、非ピクセルエリア1022に対応する黒色エリア133と、他のピクセルエリアに対応する黄色エリア132とを含む。図11図12と比較することによって、図12の光吸収レイヤ130は、黒色エリア133を使用することによって非ピクセルエリア1022での光線を吸収し、黄色光線を吸収する効果も達成することができることが分かる。
【0076】
図2図11、及び図12に示される構造を参照して、本願のこの実施形態で提供される表示モジュールは、光強化レイヤ140及び光吸収レイヤ130を使用することによって、表示モジュールの光出力効果を向上させ、かつ、表示モジュールの反射効果を低減することができることが分かる。改善中、全ての周波数帯域の光線が改善され得、あるいは、特定のタイプの光線が目標とする方法で改善され得る。例えば、表示モジュールの青色光出力効果が悪いならば、青色光が改善され得る。詳細については、図11及び図12を参照されたい。光吸収レイヤ130と光強化レイヤ140との間の協調により、表示モジュールの全体的な光出力効果が柔軟に改善され得る。
【0077】
図13は、本願の実施形態に係る他の表示モジュール100の構造の模式図である。図2に示される表示モジュール100に基づき、図13に示される表示モジュール100は、光強化レイヤ140を配置する他の方法を提供する。
【0078】
図13における表示モジュール100の表示レイヤ120及び円偏光部150については、図2の関連する記載を参照されたい。詳細はここで再び記載されない。
【0079】
光強化レイヤ140は、表示モジュール100のピクセルエリアと同じように配置される。光強化レイヤ140は、ピクセルエリアに対応する光強化エリア141を含む。光強化エリア141は、第1偏光状態の光線を伝えるよう構成され、かつ、第2偏光状態の光線を表示モジュール100内の金属ワイヤに反射するよう構成され、それにより、第2偏光状態の光線は、円偏光部150を通過することができる第1偏光状態の光線を形成するよう再び反射される。
【0080】
任意の解決法で、光強化レイヤ140は保護層142を更に含み、保護層142は、光強化エリア141の間のギャップに充てんされ、光強化エリア141を覆う。一例では、保護層142は、一般的な材料、例えば、ポリイミド又はアクリルから作られてよい。
【0081】
任意の解決法で、光強化レイヤ140の光強化エリア141は、コレステリック液晶で充てんされる。コレステリック液晶は、特定の波長の光線に対応し、コレステリック液晶層は、第1偏光状態の光線を伝え、第2偏光状態の光線を反射し得る。コレステリック液晶層が作用する光線の波長範囲は、液晶分子間の反射率の差Δnと液晶分子のピッチ(pitch)との積によって決定される。例えば、光強化レイヤ140によって強められる光帯域は、青色光帯域、緑色光帯域、赤色光帯域、又は可視光帯域を含む。光強化エリア141がピクセルと一対一の対応にある場合に、各ピクセルに対応する光強化エリア141によって強められ得る光線は、ピクセルから発せられた光線に対応する。図7に示される赤色ピクセル、緑色ピクセル、及び赤色ピクセルが一例として使用される。相応して光強化エリア141によって強められる光線は、夫々、赤色光、緑色光、及び青色光である。記載を容易にするために、赤色ピクセル、緑色ピクセル、及び青色ピクセルに対応する光線は夫々、第1光強化エリア、第2光強化エリア、及び第3光強化エリアと命名される。赤色ピクセルは第1光強化エリアに対応し、青色ピクセルは第2光強化エリアに対応し、緑色ピクセルは第3光強化エリアに対応する。
【0082】
赤色ピクセル及び対応する第1光強化エリアが、赤色ピクセルと対応する第1光強化エリアとの間の対応について記載するために例として使用される。第1の方向において、第1光強化エリアは赤色ピクセルとともにスタックされ、赤色ピクセルから発せられた光線が第1光強化エリアを通過することを確かにするよう、赤色ピクセルを覆う。第1光強化エリアは、第1偏光状態にある赤色光線の光線を伝え、第2偏光状態にある光線を反射し得る。表示モジュール100内の金属ワイヤによって再び反射された後、第2偏光状態にある反射された光線は、第1偏光状態の光線に変換され得、第1光強化エリアを通過し得る。同様に、第2光強化エリア及び第3光強化エリアは夫々、青色光線及び緑色光線に対する上記の透過及び反射効果を実施し得る。第1光強化エリア、第2光強化エリア、及び第3光強化エリアが具体的に実施される場合に、異なるコレステリック液晶が第1光強化エリア、第2光強化エリア、及び第3光強化エリアに充てんされてよい。
【0083】
外部光線が光強化エリア141を通過して、表示モジュール100内の金属ワイヤに照射される場合に、金属ワイヤによって反射された光線は非ピクセルエリアに照射される。しかし、非ピクセルエリアは保護層142しか含まず、第2偏光状態の光線は保護層142によって反射されないので、第2偏光状態の光線は第1偏光状態の光線に変換され得ず、非ピクセルエリアに照射された第2偏光状態の光線は円偏光部150によって吸収される。このようにして、表示モジュール100の反射効果は低減される。
【0084】
上記の記載から、光強化レイヤ140にあり、光線を反射するよう構成されるエリアがピクセルに対応する場合に、図2に示される実施形態でのそれと比較して、光吸収レイヤがないときに、表示モジュール100の光出力効果も高められ得、外部光線に対する反射効果も低減され得ることが分かる。
【0085】
本願のこの実施形態で提供される表示モジュールを理解しやすくするために、本願の実施形態は、表示モジュールの製造方法を更に提供する。詳細は以下の通りである。
【0086】
ステップ001:光強化レイヤをコーティングし、整列させる。
【0087】
光強化レイヤは、配向状態に達するよう光アライメント及び液晶自己集合を通じて規則的に配置され、光強化レイヤの厚さは2μmから5μmである。ここで使用される光強化レイヤが作用する帯域は、赤色光、緑色光、及び青色光のうちの1つである。
【0088】
ステップ002:光強化レイヤをパターニングする。液晶分子が配向された後、分子は配向性に基づき配置される。この場合に、液晶フィルムの上にマスクが置かれ、マスクの上には、配向した分子を重合させる光源が置かれる。この場合に、マスクによって遮られていない部分のみが照射及び重合され得、マスクによって遮られている薄膜は重合されない。重合されないモノマー分子は、溶媒を使用することによって洗浄除去されてよい。このようにして、パターニングされた光強化レイヤが形成される。本発明では、マスクによって遮られていない、つまり、取っておいた光強化レイヤは、対応するサブピクセルの上に位置する。
【0089】
マスクは、業界ではフォトマスク又はマスクとも呼ばれ、英語ではmask又はphotomaskとも呼ばれる。
【0090】
ステップ003:ステップ001及びステップ002を繰り返し、必要に応じて、R帯域、G帯域、及びB帯域の光強化レイヤを別々にコーティング及びパターニングする。製造プロセスは、ステップ001及び002でのそれらと同じである。最終的に、3つの光強化レイヤの任意の組み合わせが得られる。
【0091】
ステップ004:保護層をコーティングする。
【0092】
パターニングされた光強化レイヤが作られているディスプレイの上に、感光性接着剤が保護又は平坦化層としてコーティングされる。
【0093】
ステップ005:円偏光部をガラスカバーに付ける。
【0094】
製造される表示モジュールの部分と、円偏光部とが、順にガラスカバーに付けられる。
【0095】
上記の方法を使用することによって作られる表示モジュールでは、R、G、及びBが別々に又は一様に必要に応じて強められてよい。R、G、及びBが全て強められる場合に、光出力効果は50%以上改善され得る。その上、表示モジュールの反射率が更に、4.9%に低減され得る。
【0096】
図14は、他の表示モジュールの構造の例を示す。光強化レイヤは、図13に示される表示モジュールに基づき光吸収レイヤと組み合わされる。表示モジュールは光吸収レイヤを更に含む。光吸収レイヤは、非ピクセルエリアに対応する黒色エリア133と、ピクセルエリアに対応する光透過エリアとを含む。光強化レイヤの光強化エリア141は、光透過エリアに充てんされる。上記の構造が使用される場合に、光吸収レイヤ及び光強化レイヤは1つのレイヤ構造に一体化される。ピクセルエリアに位置している構造は、光強化レイヤに対応する光強化エリア141であり、非ピクセルエリアに位置している構造は、光吸収レイヤの黒色エリア133である。黒色光吸収エリアは、第1偏光状態の光線及び第2偏光状態の光線は両方とも吸収され得るように非ピクセルエリアに配置されて、外部光線の反射を低減する効果を更に向上させる。
【0097】
図15は、他の表示モジュール100の構造の例を示す。光強化レイヤは、図13に示される表示モジュール100に基づき改善される。図15中のいくつかの参照番号については、図13中の同じ参照番号を参照されたい。
【0098】
表示モジュール100の光強化エリア143は、全ての帯域の可視光線に対応してよい。具体的な製造中に、光強化エリア143におけるコレステリック液晶は、全ての帯域の可視光を透過し得る。
【0099】
具体的な製造中に、ピクセルエリア1021の上にある光強化レイヤ140内のコレステリック液晶は、可視光帯域全体に作用するよう配向される。非ピクセルエリア1022におけるコレステリック液晶は、コレステリックの光学特性を変化させるために、第2偏光状態の光線を反射しない無秩序な液晶144を形成するよう、加熱されて無秩序化されてよい。
【0100】
図16は、他の表示モジュールの構造の例を示す。光強化レイヤ140は、図15に示される表示モジュールに基づき改善される。非ピクセルエリア1022におけるコレステリック液晶は、溶媒を使用することによって洗い流されてよい。同様に、表示モジュールの光出力効果は改善され得、外部光に対する反射効果は低減され得る。
【0101】
任意の解決法で、図13から図16に示される光強化レイヤは、代替的に、微細構造を有する材料層から作られてもよい。微細構造は、円偏光選択を実施することができるナノ構造である。例えば、微細構造は、特定の周波数帯域の光線において第1偏光状態の光線を伝え、第2偏光状態の光線を反射し得る。
【0102】
具体的な配置中、微細構造は、他のエリアには配置されずに、光強化エリアにのみ配置される。具体例では、微細構造は、平行四辺形又は円形アレイであってよく、第2偏光状態の光線は、平行四辺形アレイ又は円形アレイが使用されるかどうかにかかわらず、反射され得る。
【0103】
具体的な実施可能な解決法で、材料層は有機材料層である。有機材料層は、金属酸化物又は窒化物、例えば、TiO、Ta、HfO、又はSiから作られ得る。
【0104】
本願の実施形態は、表示装置を更に提供する。表示装置は、基板と、基板に配置されている表示モジュールとを含む。表示モジュールは、上記の実施のいずれか1つに係るOLED表示モジュールである。上記の技術的解決法では、表示レイヤから発せられた光線の偏光状態は、光強化レイヤと表示モジュール内の金属ワイヤとの間の協調により変化し、それにより、より多くの光線が円偏光部を通過することができ、表示モジュールの明るさは向上する。更に、光吸収レイヤが配置されていることで、回路レイヤでの外部光線の反射光が吸収されて、外部光線の反射は抑制され、かつ、表示モジュールの表示効果は向上する。
【0105】
当業者は、本願の範囲から逸脱せずに、本願に対して様々な変更及び変形を行うことができる、ことは明らかである。本願は、本願のそれらの変更及び変形を、それらが続く特許請求の範囲及びそれらの同等の技術によって定義されている保護の範囲内にあるという条件で、カバーするよう意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16