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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ドアトリムモジュール
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240813BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240813BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20240813BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240813BHJP
   B60N 3/00 20060101ALN20240813BHJP
【FI】
B60R16/02 621J
B60R11/02 W
B60R11/02 C
B60R7/04 T
B60J5/04 F
B60N3/00 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023525227
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2021020934
(87)【国際公開番号】W WO2022254595
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 俊平
(72)【発明者】
【氏名】野口 尚克
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 裕介
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋介
(72)【発明者】
【氏名】伊熊 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】川村 仁之
(72)【発明者】
【氏名】藏本 公貴
(72)【発明者】
【氏名】二ツ谷 尚
(72)【発明者】
【氏名】▲たか▼橋 宣明
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2016-007849(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0229354(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0022247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 11/02
B60R 7/04
B60J 5/04
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアトリムとUSBジャックとを有しており、
前記ドアトリムは、車室側に膨出しており上面と下面と収納部を有する膨出部を有しており、
前記収納部は、前記上面から下方に凹みスマートフォンの少なくとも一部を内部スペースに収納可能であり、
前記USBジャックは、前記膨出部の下方に設けられており、
前記膨出部には、前記内部スペースと前記膨出部の下方スペースとをつなぎUSBケーブルが挿通可能なトンネルが上下方向に延びて設けられている、ドアトリムモジュール。
【請求項2】
前記ドアトリムは、さらに、前記膨出部の下面から下方に突出する突出部を有しており、
前記USBジャックは、前記突出部に設けられており、
前記USBジャックは、車両後方、または車両後方かつ下方に開放している、請求項1記載のドアトリムモジュール。
【請求項3】
前記膨出部の、前記内部スペースの車室側にある部分は、乗員が把持可能なプルハンドルとなっている、請求項1記載のドアトリムモジュール。
【請求項4】
前記収納部の底壁には、下方に凹む凹部が形成されており、
前記トンネルの、前記内部スペース側の開口である上側開口は、前記凹部の底面に設けられている、請求項1記載のドアトリムモジュール。
【請求項5】
前記収納部の底壁とは別体に形成されて該底壁に載せられる弾性樹脂製のプレートが設けられており、
前記プレートには、前記トンネルの前記上側開口よりも小径の孔と、該孔から該孔の径方向外側に延びる少なくとも1つの切込みと、が形成されている、請求項4記載のドアトリムモジュール。
【請求項6】
前記収納部の側壁には、前記USBケーブルの長手方向の一部を嵌め込み可能な第1の溝が形成されている、請求項1記載のドアトリムモジュール。
【請求項7】
前記第1の溝を形成する壁面には、前記第1の溝内に突出する第1の突起が少なくとも1つ設けられている、請求項6記載のドアトリムモジュール。
【請求項8】
前記第1の溝を形成する壁面は、前記第1の溝の長手方向と直交する方向に互いに対向する一対の壁面を有しており、
前記第1の突起は、前記第1の溝の、前記一対の壁面の一方の壁面と他方の壁面とに、前記第1の溝の長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられている、請求項7記載のドアトリムモジュール。
【請求項9】
前記ドアトリムは、さらに、前記USBジャックの下方に、前記USBケーブルの長手方向の中間部を挿入可能なケーブル収納部を有する、請求項1記載のドアトリムモジュール。
【請求項10】
前記ドアトリムには、前記USBジャックより下方で前記ケーブル収納部より上方の位置に、前記USBケーブルの長手方向の一部を嵌め込み可能な第2の溝が形成されている、請求項9記載のドアトリムモジュール。
【請求項11】
前記第2の溝を形成する壁面には、前記第2の溝内に突出する第2の突起が少なくとも1つ設けられている、請求項10記載のドアトリムモジュール。
【請求項12】
前記第2の溝を形成する壁面は、前記第2の溝の長手方向と直交する方向に互いに対向する一対の壁面を有しており、
前記第2の突起は、前記第2の溝の、前記一対の壁面の一方の壁面と他方の壁面とに、前記第2の溝の長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられている、請求項11記載のドアトリムモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサイドドアのドアトリムモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両のサイドドアのドアトリムに車室側に膨出する膨出部が設けられており、該膨出部に物品を収納可能な収納部が設けられる技術を開示している。収納部の内部スペースは、上方だけでなく車室側にも開放している。
【0003】
特許文献2,3は、車両のサイドドアのドアトリムに車室側に膨出する膨出部が設けられており、膨出部にスマートフォンを収納可能な収納部が設けられる技術を開示している。
【0004】
しかし、従来のドアトリムには、つぎの問題点がある。
USB(Universal Serial Bus)ケーブルを接続可能なUSBジャックが、ドアトリムに設けられていない。そのため、ドアトリムに設けられる収納部にスマートフォンが収納されているときに、スマートフォンとUSBジャックとをUSBケーブルを用いて接続することが困難である。
【0005】
特許文献4,5は、USBジャックが車両の内装部材に設けられる技術を開示している。しかし、特許文献4,5は、USBジャックがドアトリムに設けられる技術を開示していない。
【0006】
なお、ドアトリムにUSBジャックを設けることは、つぎの理由により考え難い。
(i)ドアが開いている時に、USBジャックに雨水が浸入するおそれがある。
(ii)開いているドアを閉める時に、USBケーブルがドアと車体との間に挟まれるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平09-086251号公報
【文献】特開2019-031252号公報
【文献】特開2017-114309号公報
【文献】特開2019-001348号公報
【文献】特開2016-120886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ドアトリムにUSBジャックが設けられるドアトリムモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) ドアトリムとUSBジャックとを有しており、
前記ドアトリムは、車室側に膨出しており上面と下面と収納部を有する膨出部を有しており、
前記収納部は、前記上面から下方に凹みスマートフォンの少なくとも一部を内部スペースに収納可能であり、
前記USBジャックは、前記膨出部の下方に設けられており、
前記膨出部には、前記内部スペースと前記膨出部の下方スペースとをつなぎUSBケーブルが挿通可能なトンネルが上下方向に延びて設けられている、ドアトリムモジュール。
(2) 前記ドアトリムは、さらに、前記膨出部の下面から下方に突出する突出部を有しており、
前記USBジャックは、前記突出部に設けられており、
前記USBジャックは、車両後方、または車両後方かつ下方に開放している、(1)記載のドアトリムモジュール。
(3) 前記膨出部の、前記内部スペースの車室側にある部分は、乗員が把持可能なプルハンドルとなっている、(1)記載のドアトリムモジュール。
(4) 前記収納部の底壁には、下方に凹む凹部が形成されており、
前記トンネルの、前記内部スペース側の開口である上側開口は、前記凹部の底面に設けられている、(1)記載のドアトリムモジュール。
(5) 前記収納部の底壁とは別体に形成されて該底壁に載せられる弾性樹脂製のプレートが設けられており、
前記プレートには、前記トンネルの前記上側開口よりも小径の孔と、該孔から該孔の径方向外側に延びる少なくとも1つの切込みと、が形成されている、(4)記載のドアトリムモジュール。
(6) 前記収納部の側壁には、前記USBケーブルの長手方向の一部を嵌め込み可能な第1の溝が形成されている、(1)記載のドアトリムモジュール。
(7) 前記第1の溝を形成する壁面には、前記第1の溝内に突出する第1の突起が少なくとも1つ設けられている、(6)記載のドアトリムモジュール。
(8) 前記第1の溝を形成する壁面は、前記第1の溝の長手方向と直交する方向に互いに対向する一対の壁面を有しており、
前記第1の突起は、前記第1の溝の、前記一対の壁面の一方の壁面と他方の壁面とに、前記第1の溝の長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられている、(7)記載のドアトリムモジュール。
(9) 前記ドアトリムは、さらに、前記USBジャックの下方に、前記USBケーブルの長手方向の中間部を挿入可能なケーブル収納部を有する、(1)記載のドアトリムモジュール。
(10) 前記ドアトリムには、前記USBジャックより下方で前記ケーブル収納部より上方の位置に、前記USBケーブルの長手方向の一部を嵌め込み可能な第2の溝が形成されている、(9)記載のドアトリムモジュール。
(11) 前記第2の溝を形成する壁面には、前記第2の溝内に突出する第2の突起が少なくとも1つ設けられている、(10)記載のドアトリムモジュール。
(12) 前記第2の溝を形成する壁面は、前記第2の溝の長手方向と直交する方向に互いに対向する一対の壁面を有しており、
前記第2の突起は、前記第2の溝の、前記一対の壁面の一方の壁面と他方の壁面とに、前記第2の溝の長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられている、(11)記載のドアトリムモジュール。
【発明の効果】
【0010】
上記(1)のドアトリムモジュールでは、USBジャックがドアトリムの膨出部の下方に設けられているため、膨出部により雨水がUSBジャックに浸入することを抑制できる。よって、USBジャックをドアトリムに設けることができる。また、膨出部にはトンネルが設けられているため、USBケーブルを、収納部の内部スペースからトンネルを通って膨出部の下方スペースに延びて配置することができる。よって、USBジャックが膨出部の下方に設けられている場合であっても、USBジャックと収納部に収納されるスマートフォンとをUSBケーブルでつなぐことができる。
【0011】
上記(2)のドアトリムモジュールでは、USBジャックが、車両後方、または車両後方かつ下方に開放しているため、USBジャックが水平方向より上方に開放している場合に比べて、USBジャックに雨水が浸入することを抑制できる。また、USBジャックが鉛直下方に開放する場合に比べて、USBケーブルをUSBジャックに容易に接続できる。
【0012】
上記(3)のドアトリムモジュールでは、膨出部の、内部スペースの車室側にある部分が、プルハンドルとなっているため、膨出部の利用性を高めることができる。
【0013】
上記(4)のドアトリムモジュールでは、収納部の底壁に凹部が形成されており、トンネルの内部スペース側の開口である上側開口が凹部の底面に設けられているため、USBケーブルのフォン側コネクタがスマートフォンに接続されているときに、該フォン側コネクタを凹部内に配置することができる。
【0014】
上記(5)のドアトリムモジュールでは、弾性樹脂製のプレートに、トンネルの上側開口よりも小径の孔と、孔から該孔の径方向外側に延びる少なくとも1つの切込みと、が形成されているため、プレートの孔の径がUSBケーブルのフォン側コネクタより小径であっても、孔の周縁部を変形させて孔の径を拡げることで、フォン側コネクタが孔を挿通可能となる。また、フォン側コネクタが孔を挿通した後は、孔の周縁部が復元するため、フォン側コネクタが孔の周縁部に引っ掛かり、フォン側コネクタが孔を通って収納部から脱落することを抑制できる。
【0015】
上記(6)のドアトリムモジュールでは、収納部の側壁に、USBケーブルの長手方向の一部を嵌め込み可能な第1の溝が形成されているため、USBケーブルの不使用時に、内部スペースに位置するUSBケーブルの一部を第1の溝に嵌め込むことで、第1の溝を形成する壁面でUSBケーブルを保持することができる。よって、USBケーブルの不使用時であって膨出部を使用する時にUSBケーブルが邪魔になることを抑制できる。
【0016】
上記(7)のドアトリムモジュールでは、第1の溝を形成する壁面には、第1の溝内に突出する第1の突起が少なくとも1つ設けられているため、第1の突起が設けられていない場合に比べて、USBケーブルの保持力を高めることができる。
【0017】
上記(8)のドアトリムモジュールでは、第1の突起が、第1の溝の、一対の壁面の一方の壁面と他方の壁面とに、第1の溝の長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられているため、USBケーブルの保持力を効果的に高めることができる。
【0018】
上記(9)のドアトリムモジュールでは、ドアトリムが、USBジャックの下方に、USBケーブルの長手方向の中間部を挿入可能なケーブル収納部を有するため、USBケーブルの長手方向の中間部をケーブル収納部に挿入できる。そのため、USBケーブルが比較的長い場合であっても、開いているドアを閉めるときにUSBケーブルがドアと車体との間に挟まれることを抑制できる。
【0019】
上記(10)のドアトリムモジュールでは、ドアトリムには、USBジャックより下方でケーブル収納部より上方の位置(エリア)に、USBケーブルの長手方向の一部を嵌め込み可能な第2の溝が形成されているため、膨出部より下方に位置するUSBケーブルの一部を、第2の溝に嵌め込むことで、第2の溝を形成する壁面でUSBケーブルを保持することができる。よって、ケーブル収納部を使用する時にUSBケーブルが邪魔になることを抑制できる。
【0020】
上記(11)のドアトリムモジュールでは、第2の溝を形成する壁面には、第2の溝内に突出する第2の突起が少なくとも1つ設けられているため、第2の突起が設けられていない場合に比べて、USBケーブルの保持力を高めることができる。
【0021】
上記(12)のドアトリムモジュールでは、第2の突起が、第2の溝の、一対の壁面の一方の壁面と他方の壁面とに、第2の溝の長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられているため、USBケーブルの保持力を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明実施例のドアトリムモジュールの斜視図である。
図2】本発明実施例のドアトリムモジュールの正面図である。
図3】本発明実施例のドアトリムモジュールの、収納部とその近傍の拡大平面図である。ただし、USBケーブルは省略されている。
図4図1のA-A線拡大断面図である。
図5図3のB-B線断面図である。
図6】本発明実施例のドアトリムモジュールの、膨出部とプレートの分解斜視図である。
図7A】本発明実施例のドアトリムモジュールの、USBケーブルをプレートの孔に挿入する前の状態における、プレートの模式斜視図である。
図7B】本発明実施例のドアトリムモジュールの、USBケーブルをプレートの孔に挿入した後の状態における、プレートの模式斜視図である。
図7C】本発明実施例のドアトリムモジュールの、USBケーブルをプレートの孔に挿入した後にUSBケーブルがプレートに対して下方に移動した状態における、プレートの模式斜視図である。
図8】本発明実施例のドアトリムモジュールの、収納部とその近傍を示す部分拡大斜視図である。
図9図8のC-C線拡大断面図である。
図10図8のD-D線拡大断面図である。
図11図2のE-E線拡大断面図である。
図12図2のF-F線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明実施例のドアトリムモジュール10を説明する。なお、図中UPは車両上方、FRは車両前方、INは車室側を示す。
【0024】
ドアトリムモジュール10は、車両のサイドドア(図示略)の車室側に装着される。ドアトリムモジュール10は、図2に示すように、ドアトリム20と、USBジャック80(USBポートといってもよい)と、を有する。
【0025】
ドアトリム20は、膨出部30と、突出部40と、ケーブル収納部50と、を有する。
【0026】
膨出部30は、車室側に膨出しており上面31、下面32および収納部34を有する。膨出部30は、ドアトリム20の上下方向中間部で車両前後方向に延びて設けられている。膨出部30は、中実であってもよく中空であってもよい。膨出部30の少なくとも一部は、アームレストとして使用可能である。膨出部30の上面31には、パワーウィンドウスイッチ等のスイッチ33が複数設けられている。
【0027】
突出部40は、膨出部30の下面32の車両前側端部またはその近傍に設けられている。突出部40は、下面32から下方に突出して設けられている。突出部40は、膨出部30と一体に形成されていてもよく、膨出部30と別体に形成されていてもよい。突出部40は、上方から見たときに膨出部30によって見えない。
【0028】
USBジャック80は、突出部40に設けられている。USBジャック80が突出部40に設けられているため、USBジャック80は、膨出部30の下方に設けられている。USBジャック80は、車両後方、または車両後方かつ下方に開放している。USBジャック80には、乗員(図示略)によって用意されるUSBケーブル100が接続可能である。
【0029】
USBケーブル100は、ケーブル部101と、ケーブル部101の長手方向一端部に設けられておりUSBジャック80に接続可能なジャック側コネクタ102と、ケーブル部101の長手方向他端部に設けられておりスマートフォンPに接続可能なフォン側コネクタ103と、を有する。
【0030】
図4に示すように、収納部34は、膨出部30に設けられており、上面31から下方に凹みスマートフォンPの少なくとも一部を内部スペースSに収納可能である。収納部34は、複数のスイッチ33より車両後方に設けられている。収納部34は、USBジャック80より車両後方に設けられている。収納部34が膨出部30に設けられているため、膨出部30の、内部スペースSの車室側にある部分は、乗員が把持可能なプルハンドル38となっている。収納部34は、底壁35と側壁36を有している。収納部34の内部スペースSは、上方に開放している。
【0031】
図4図5に示すように、膨出部30には、収納部34の内部スペースSと膨出部30の下方スペースS1とをつなぐトンネル(連通路)37が上下方向に延びて設けられている。トンネル37は、USBケーブル100が挿通可能とされている。トンネル37は、収納部34の底壁35と一体に形成されており底壁35から下方に延びる下方延出部37aの内側スペース37bと、膨出部30の下壁を貫通する貫通孔37cと、からなる。
【0032】
収納部34の底壁35には、下方に凹む凹部35aが形成されている。凹部35aは、図3に示すように、底壁35の車両幅方向の全域またはほぼ全域にわたって、車両幅方向に延びて設けられている。図5に示すように、凹部35aは、USBケーブル100のフォン側コネクタ103を受け入れ可能とされている。このため、USBケーブル100のフォン側コネクタ103がスマートフォンPに接続されているときに、フォン側コネクタ103を凹部35a内に配置することができる。
【0033】
凹部35aの幅Wは、スマートフォンPの幅(長手方向及び厚み方向と直交する幅方向長さ)W1よりも小とされている。このため、スマートフォンPが凹部35a内に進入してしまうこと(落ちること)が抑制されている。
【0034】
トンネル37の、内部スペースS側の開口である上側開口37dは、凹部35aの底面35bに設けられている。
【0035】
図6に示すように、収納部34の底壁35には、プレート90が載せられていてもよい。プレート90は、収納部34の底壁35と略同形状となっている。プレート90は、弾性樹脂製であり、弾性樹脂はたとえばゴムである。プレート90は、収納部34の底壁35とは別体に形成されている。プレート90には、トンネル37の上側開口37dよりも小径の孔91と、孔91から該孔91の径方向外側に延びる少なくとも1つの切込み92と、が形成されている。
【0036】
図8に示すように、収納部34の側壁36には、USBケーブル100の長手方向の一部100aを嵌め込み可能な第1の溝36aが形成されている。第1の溝36aを形成する壁面36bには第1の溝36a内に突出して第1の溝36a内で終わる第1の突起36cが、少なくとも1つ設けられている。
【0037】
図9図10に示すように、第1の溝36aを形成する壁面36bは、第1の溝36aの長手方向と直交する方向に互いに対向する一対の壁面36b1,36b2を有している。第1の突起36cは、第1の溝36aの、一対の壁面36b1,36b2の一方の壁面36b1と他方の壁面36b2とに、第1の溝36aの長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられている。第1の突起36cは、第1の溝36aの、一対の壁面36b1,36b2の一方の壁面36b1と他方の壁面36b2とに、第1の溝36aの長手方向に交互に設けられている。
【0038】
図2に示すように、ケーブル収納部50は、USBジャック80の下方に設けられている。ケーブル収納部50は、内部スペースS2にUSBケーブル100の長手方向の中間部100bを挿入可能である。
【0039】
ドアトリム20には、USBジャック80より下方でケーブル収納部50より上方の位置(エリア)に、USBケーブル100の長手方向の一部100cを嵌め込み可能な第2の溝60が形成されている。USBケーブル100の一部100cは、USBケーブル100の長手方向で、USBケーブル100の一部100aとは異なる部分である。図11図12に示すように、第2の溝60を形成する壁面61には第2の溝60内に突出して第2の溝60内で終わる第2の突起62が、少なくとも1つ設けられている。
【0040】
第2の溝60を形成する壁面61は、第2の溝60の長手方向と直交する方向に互いに対向する一対の壁面61a、61bを有している。第2の突起62は、第2の溝60の、一対の壁面61a、61bの一方の壁面61aと他方の壁面61bとに、第2の溝60の長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられている。第2の突起60は、第2の溝60の、一対の壁面61a、61bの一方の壁面61aと他方の壁面61bとに、第2の溝60の長手方向に交互に設けられている。
【0041】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
【0042】
(A)USBジャック80がドアトリム20の膨出部30の下方に設けられているため、膨出部30により雨水がUSBジャック80に浸入することを抑制できる。よって、USBジャック80をドアトリム20に設けることができる。また、膨出部30にはトンネル37が設けられているため、USBケーブル100を、収納部34の内部スペースSからトンネル37を通って膨出部30の下方スペースS1に延びて配置することができる。よって、USBジャック80が膨出部30の下方に設けられている場合であっても、USBジャック80と収納部34に収納されるスマートフォンPとをUSBケーブル100でつなぐことができる。
【0043】
(B)USBジャック80が、車両後方、または車両後方かつ下方に開放しているため、USBジャック80が水平方向より上方に開放している場合に比べて、USBジャック80に雨水が浸入することを抑制できる。また、USBジャック80が鉛直下方に開放する場合に比べて、USBケーブル100をUSBジャック80に容易に接続できる。
【0044】
(C)膨出部30の、内部スペースSの車室側にある部分が、プルハンドル38となっているため、膨出部30の利用性を高めることができる。
【0045】
(D)収納部34の底壁35に凹部35aが形成されており、トンネル37の内部スペースS側の開口である上側開口37dが凹部35aの底面35bに設けられているため、USBケーブル100のフォン側コネクタ103がスマートフォンPに接続されているときに、該フォン側コネクタ103を凹部35a内に配置することができる。
【0046】
(E)図7A図7Cに示すように、弾性樹脂製のプレート90に、トンネル37の上側開口37dよりも小径の孔91と、孔91から該孔91の径方向外側に延びる少なくとも1つの切込み92と、が形成されているため、プレート90の孔91の径がUSBケーブル100のフォン側コネクタ103より小径であっても、孔91の周縁部を変形させて孔91の径を拡げることで、フォン側コネクタ103が孔91を挿通可能となる。また、フォン側コネクタ103が孔91を挿通した後は、孔91の周縁部が復元するため、フォン側コネクタ103が孔91の周縁部に引っ掛かり、フォン側コネクタ103が孔91を通って収納部34から脱落することを抑制できる。
【0047】
(F)収納部34の側壁36に、USBケーブル100の長手方向の一部100aを嵌め込み可能な第1の溝36aが形成されているため、USBケーブル100の不使用時に、内部スペースSに位置するUSBケーブル100の一部100aを第1の溝36aに嵌め込むことで、第1の溝36aを形成する壁面36bでUSBケーブル100を保持することができる。よって、USBケーブル100の不使用時であって膨出部30を使用する時にUSBケーブル100が邪魔になることを抑制できる。
【0048】
(G)第1の溝36aを形成する壁面36bには、第1の溝36a内に突出する第1の突起36cが少なくとも1つ設けられているため、第1の突起36cが設けられていない場合に比べて、USBケーブル100の保持力を高めることができる。
【0049】
(H)第1の突起36cが、第1の溝36aの、一対の壁面36b1,36b2の一方の壁面36b1と他方の壁面36b2とに、第1の溝36aの長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられているため、USBケーブル100の保持力を効果的に高めることができる。
【0050】
(I)ドアトリム20が、USBジャック80の下方に、USBケーブル100の長手方向の中間部100bを挿入可能なケーブル収納部50を有するため、USBケーブル100の長手方向の中間部100bをケーブル収納部50の内部スペースS2に入れることができる。そのため、USBケーブル100が比較的長い場合であっても、開いているドアを閉めるときにUSBケーブル100がドアと車体との間に挟まれることを抑制できる。
【0051】
(J)ドアトリム20には、USBジャック80より下方でケーブル収納部50より上方の位置(エリア)に、USBケーブル100の長手方向の一部100cを嵌め込み可能な第2の溝60が形成されているため、膨出部30より下方に位置するUSBケーブル100の一部100cを、第2の溝60に嵌め込むことで、第2の溝60を形成する壁面61でUSBケーブル100を保持することができる。よって、ケーブル収納部50を使用する時にUSBケーブル100が邪魔になることを抑制できる。
【0052】
(K)第2の溝60を形成する壁面61には、第2の溝60内に突出する第2の突起62が少なくとも1つ設けられているため、第2の突起62が設けられていない場合に比べて、USBケーブル100の保持力を高めることができる。
【0053】
(L)第2の突起62が、第2の溝60の、一対の壁面61a、61bの一方の壁面61aと他方の壁面61bとに、第2の溝60の長手方向に互いに位置をずらして、それぞれ設けられているため、USBケーブル100の保持力を効果的に高めることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 ドアトリムモジュール
20 ドアトリム
30 膨出部
31 膨出部の上面
32 膨出部の下面
34 収納部
35 収納部の底壁
35a 凹部
35b 凹部の底面
36 収納部の側壁
36a 第1の溝
36b 壁面
36b1 一方の壁面
36b2 他方の壁面
36c 第1の突起
37 トンネル
37a 下方延出部
37b 下方延出部の内側スペース
37c 貫通孔
37d 上側開口
38 プルハンドル
40 突出部
50 ケーブル収納部
60 第2の溝
61 壁面
61a 一方の壁面
61b 他方の壁面
62 第2の突起
80 USBジャック
100 USBケーブル
100a、100c USBケーブルの長手方向の一部
100b USBケーブルの長手方向の中間部
101 ケーブル部
102 ジャック側コネクタ
103 フォン側コネクタ
P スマートフォン
S 収納部の内部スペース
S1 膨出部の下方スペース
S2 ケーブル収納部の内部スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12