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特許7537023ウェアラブル端末装置、プログラムおよび表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ウェアラブル端末装置、プログラムおよび表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240813BHJP
   G06F 3/04842 20220101ALI20240813BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/04842
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023531137
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2021024314
(87)【国際公開番号】W WO2023275919
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】伊東 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】足立 智和
(72)【発明者】
【氏名】清水 解
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/162852(WO,A1)
【文献】特開2018-018315(JP,A)
【文献】特開2021-020074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/04842
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが装着して使用するウェアラブル端末装置であって、
少なくとも一つのプロセッサと、
前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、
遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、
を備え、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、
前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信し、
前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させ、
表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付けて、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新
前記指示画像の変更は、前記指示画像に対する情報の付加を含み、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
前記情報の付加を行う場合には、前記情報を含む仮想画像を前記表示部に表示させ、
前記空間における自装置の位置の変化に応じて、前記仮想画像のうち前記情報を含む部分が自装置を向くように前記仮想画像の方向を変更する、ウェアラブル端末装置。
【請求項2】
ユーザが装着して使用するウェアラブル端末装置であって、
少なくとも一つのプロセッサと、
前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、
遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、
を備え、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、
前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信し、
前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させ、
表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付けて、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新し、
前記指示画像の変更を行うための前記ユーザ操作がなされた場合に、前記指示画像の変更の許可を要求する要求信号を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、
前記要求信号の送信後に、前記指示画像の変更を許可する許可信号を前記通信部が受信した場合に前記指示画像を変更する、ウェアラブル端末装置。
【請求項3】
前記表示部は、光透過性を有する表示部材を備え、
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記表示部材を通して視認される前記空間に前記指示画像が視認されるように、前記指示画像を前記表示部材の表示面に表示させる、請求項1または2に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記カメラにより撮影された前記空間の画像、および当該空間の画像に重ねられた前記指示画像を前記表示部に表示させる、請求項1または2に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項5】
前記指示画像の変更は、前記指示画像に対する注釈の付加を含み、
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記注釈を含む前記指示画像を前記表示部に表示させる、請求項1~のいずれか一項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記指示画像に対して前記注釈を付加する場合に、前記通信部を介して、前記注釈の内容を含む注釈情報を前記外部機器に送信する、請求項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項7】
前記指示画像の変更は、前記指示画像の表示位置の変更を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記表示位置の変更に応じて変更後の表示位置へ移動している前記指示画像、および前記表示位置の変更が完了した前記指示画像の少なくとも一方を、前記表示位置の変更前における前記指示画像の表示態様とは異なる表示態様で表示させる、請求項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項9】
前記情報は、前記ユーザ操作を行った前記ユーザを表す識別情報である、請求項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項10】
前記指示画像の変更は、前記指示画像の色の変更を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つのプロセッサは、
前記指示画像の変更を行うための前記ユーザ操作がなされた場合に、前記指示画像の変更の許可を要求する要求信号を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、
前記要求信号の送信後に、前記指示画像の変更を許可する許可信号を前記通信部が受信した場合に前記指示画像を変更する、請求項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記指示画像を変更する場合に、当該指示画像を変更する旨の通知を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する、請求項1~11のいずれか一項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項13】
前記通信部は、前記外部機器との間のリアルタイムの音声データ通信、および前記外部機器に対するリアルタイムの前記撮影画像の送信の少なくとも一方を含むライブ通信を行い、
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記ライブ通信が行われているライブ通信期間においては、前記指示画像の変更を行わず、前記ライブ通信期間を除いた期間においては、前記指示画像の変更を行う、請求項1~12のいずれか一項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記表示部に前記指示画像を表示させたときの当該指示画像および前記撮影画像を含むキャプチャ画像を記憶部に記憶させ、当該キャプチャ画像を前記表示部に表示させる、請求項1~13のいずれか一項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外部機器おいて表示される前記撮影画像に、前記生成指示に応じて前記指示画像が重畳表示されたときのキャプチャ画像を、前記通信部を介して受信し、当該キャプチャ画像を前記表示部に表示させる、請求項1~13のいずれか一項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項16】
前記少なくとも一つのプロセッサは、
前記指示画像の表示位置が前記ユーザの視認領域に含まれるか否かを判別し、
前記指示画像の表示位置が前記ユーザの視認領域に含まれると判別した場合には、前記表示部に前記キャプチャ画像を表示させる、請求項14または15に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項17】
前記少なくとも一つのプロセッサは、自装置の電源がオフ状態となった後に電源がオン状態となった場合に、電源が前記オフ状態となる前に前記表示部に表示させた前記指示画像に係る前記指示情報または当該指示情報に基づいて生成された指示画像情報を取得し、前記指示情報または前記指示画像情報に基づいて前記指示画像を再表示させる、請求項1~16のいずれか一項に記載のウェアラブル端末装置。
【請求項18】
ユーザが装着して使用し、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備えたウェアラブル端末装置に設けられたコンピュータに、
前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する処理、
前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信する処理、
前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させる処理、
表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付け、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新する処理、
を実行させるプログラムであって、
前記指示画像の変更は、前記指示画像に対する情報の付加を含み、
前記コンピュータに、
前記情報の付加を行う場合に、前記情報を含む仮想画像を前記表示部に表示させる処理、
前記空間における自装置の位置の変化に応じて、前記仮想画像のうち前記情報を含む部分が自装置を向くように前記仮想画像の方向を変更する処理、
を実行させるプログラム
【請求項19】
ユーザが装着して使用し、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備えたウェアラブル端末装置に設けられたコンピュータに、
前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する処理、
前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信する処理、
前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させる処理、
表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付け、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新する処理、
前記指示画像の変更を行うための前記ユーザ操作がなされた場合に、前記指示画像の変更の許可を要求する要求信号を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する処理、
前記要求信号の送信後に、前記指示画像の変更を許可する許可信号を前記通信部が受信した場合に前記指示画像を変更する処理、
を実行させるプログラム。
【請求項20】
ユーザが装着して使用し、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備えたウェアラブル端末装置に設けられたコンピュータが実行する表示方法であって、
前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、
前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信し、
前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させ、
表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付け、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新
前記指示画像の変更は、前記指示画像に対する情報の付加を含み、
前記情報の付加を行う場合に、前記情報を含む仮想画像を前記表示部に表示させ、
前記空間における自装置の位置の変化に応じて、前記仮想画像のうち前記情報を含む部分が自装置を向くように前記仮想画像の方向を変更する、
表示方法。
【請求項21】
ユーザが装着して使用し、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備えたウェアラブル端末装置に設けられたコンピュータが実行する表示方法であって、
前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、
前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信し、
前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させ、
表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付け、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新し、
前記指示画像の変更を行うための前記ユーザ操作がなされた場合に、前記指示画像の変更の許可を要求する要求信号を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、
前記要求信号の送信後に、前記指示画像の変更を許可する許可信号を前記通信部が受信した場合に前記指示画像を変更する、
表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェアラブル端末装置、プログラムおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが頭部に装着するウェアラブル端末装置を用いて、仮想画像および/または仮想空間をユーザに体感させる技術として、VR(仮想現実)、MR(複合現実)およびAR(拡張現実)が知られている。ウェアラブル端末装置は、ユーザが装着したときにユーザの視界を覆う表示部を有する。この表示部に、ユーザの位置および向きに応じて仮想画像および/または仮想空間を表示することで、あたかもこれらが存在しているかのような視覚効果を実現する(例えば、米国特許出願公開第2019/0087021号明細書、および米国特許出願公開第2019/0340822号明細書)。
【0003】
MRは、ユーザに現実空間を視認させつつ、現実空間の所定位置に仮想画像が存在しているように見せる表示を行うことで、現実空間と仮想画像とが融合した複合現実を体感させる技術である。また、VRは、MRにおける現実空間に代えて仮想空間をユーザに視認させることで、あたかもユーザが仮想空間にいるように体感させる技術である。
【0004】
VRおよびMRにおいて表示される仮想画像は、ユーザが位置する空間における表示位置が定められており、その表示位置がユーザの視認領域の内部にある場合に表示部に表示されてユーザに視認される。
【発明の概要】
【0005】
本開示のウェアラブル端末装置は、ユーザが装着して使用するウェアラブル端末装置であって、少なくとも一つのプロセッサと、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備える。前記少なくとも一つのプロセッサは、前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する。前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信する。前記少なくとも一つのプロセッサは、前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させる。前記少なくとも一つのプロセッサは、表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付けて、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新する。前記指示画像の変更は、前記指示画像に対する情報の付加を含み、前記少なくとも一つのプロセッサは、前記情報の付加を行う場合には、前記情報を含む仮想画像を前記表示部に表示させ、前記空間における自装置の位置の変化に応じて、前記仮想画像のうち前記情報を含む部分が自装置を向くように前記仮想画像の方向を変更する。
本開示の他のウェアラブル端末装置は、ユーザが装着して使用するウェアラブル端末装置であって、少なくとも一つのプロセッサと、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備える。前記少なくとも一つのプロセッサは、前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する。前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信する。前記少なくとも一つのプロセッサは、前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させる。前記少なくとも一つのプロセッサは、表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付けて、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新する。前記少なくとも一つのプロセッサは、前記指示画像の変更を行うための前記ユーザ操作がなされた場合に、前記指示画像の変更の許可を要求する要求信号を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、前記要求信号の送信後に、前記指示画像の変更を許可する許可信号を前記通信部が受信した場合に前記指示画像を変更する。
【0006】
また、本開示のプログラムは、ユーザが装着して使用し、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備えたウェアラブル端末装置に設けられたコンピュータに、前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する処理を実行させる。前記プログラムは、前記コンピュータに、前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信する処理を実行させる。前記プログラムは、前記コンピュータに、前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させる処理を実行させる。前記プログラムは、前記コンピュータに、表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付け、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新する処理を実行させる。前記指示画像の変更は、前記指示画像に対する情報の付加を含み、前記プログラムは、前記コンピュータに、前記情報の付加を行う場合に、前記情報を含む仮想画像を前記表示部に表示させる処理、前記空間における自装置の位置の変化に応じて、前記仮想画像のうち前記情報を含む部分が自装置を向くように前記仮想画像の方向を変更する処理、を実行させる。
本開示の他のプログラムは、ユーザが装着して使用し、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備えたウェアラブル端末装置に設けられたコンピュータに、前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する処理を実行させる。前記プログラムは、前記コンピュータに、前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信する処理を実行させる。前記プログラムは、前記コンピュータに、前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させる処理を実行させる。前記プログラムは、前記コンピュータに、表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付け、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新する処理を実行させる。前記プログラムは、前記コンピュータに、前記指示画像の変更を行うための前記ユーザ操作がなされた場合に、前記指示画像の変更の許可を要求する要求信号を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する処理、前記要求信号の送信後に、前記指示画像の変更を許可する許可信号を前記通信部が受信した場合に前記指示画像を変更する処理、を実行させる。
【0007】
また、本開示の表示方法は、ユーザが装着して使用し、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備えたウェアラブル端末装置に設けられたコンピュータが実行する表示方法である。当該表示方法では、前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する。前記表示方法では、前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信する。前記表示方法では、前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させる。前記表示方法では、表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付け、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新する。前記指示画像の変更は、前記指示画像に対する情報の付加を含み、前記表示方法では、前記情報の付加を行う場合に、前記情報を含む仮想画像を前記表示部に表示させ、前記空間における自装置の位置の変化に応じて、前記仮想画像のうち前記情報を含む部分が自装置を向くように前記仮想画像の方向を変更する。
本開示の他の表示方法は、ユーザが装着して使用し、前記ユーザの視認領域として空間を撮影するカメラと、遠隔指示者が使用する外部機器との間でデータ通信を行う通信部と、を備えたウェアラブル端末装置に設けられたコンピュータが実行する表示方法である。当該表示方法では、前記カメラによる撮影画像を、前記通信部を介して前記外部機器に送信する。前記表示方法では、前記外部機器において前記撮影画像に基づいて行われた指示画像の生成指示に係る指示情報を、前記通信部を介して受信する。前記表示方法では、前記空間のうち、受信した前記指示情報に基づく位置に視認されるように前記指示画像を表示部に表示させる。前記表示方法では、表示させた前記指示画像の変更を行うためのユーザ操作を受け付け、当該ユーザ操作に応じて前記指示画像の表示を更新する。前記表示方法では、前記指示画像の変更を行うための前記ユーザ操作がなされた場合に、前記指示画像の変更の許可を要求する要求信号を、前記通信部を介して前記外部機器に送信し、前記要求信号の送信後に、前記指示画像の変更を許可する許可信号を前記通信部が受信した場合に前記指示画像を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る表示システムの構成を示す模式図である。
図2】ウェアラブル端末装置の構成を示す模式斜視図である。
図3】ウェアラブル端末装置を装着しているユーザが視認する視認領域および仮想画像の例を示す図である。
図4】空間における視認領域を説明する図である。
図5】ウェアラブル端末装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図6】外部機器の主要な機能構成を示すブロック図である。
図7】ウェアラブル端末装置のユーザの視認領域を示す図である。
図8】外部機器の指示者用画面において指示画像を表示させた状態を示す図である。
図9】ウェアラブル端末装置のユーザの視認領域において指示画像の表示が反映された状態を示す図である。
図10】別の角度から指示画像を見たときの視認領域を示す図である。
図11】指示画像の表示位置の変更方法の例を示す図である。
図12】表示位置が変更された指示画像を含む視認領域を示す図である。
図13】注釈が付加された指示画像を含む視認領域を示す図である。
図14】注釈が付加された指示画像の他の例を示す図である。
図15】コメントを表示させたときの指示画像を示す図である。
図16】キャプチャ画像が表示された視認領域を示す図である。
図17】遠隔指示処理の制御手順を示すフローチャートである。
図18】遠隔指示処理の制御手順を示すフローチャートである。
図19】第2の実施形態に係る表示システムの構成を示す模式図である。
図20】情報処理装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本開示のウェアラブル端末装置10、外部機器20および情報処理装置80は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
【0010】
〔第1の実施形態〕
図1に示すように、表示システム1は、ウェアラブル端末装置10と、複数の外部機器20とを備える。表示システム1と外部機器20とは、ネットワークNを介して通信接続されている。ネットワークNは、例えばインターネットとすることができるが、これに限られない。なお、表示システム1は、複数のウェアラブル端末装置10を備えていてもよい。また、表示システム1が備える外部機器20は1つであってもよい。
【0011】
ウェアラブル端末装置10は、ユーザ(装着者)に対してMRを体感させることのできる装置である。本実施形態では、所定の作業を行うユーザがウェアラブル端末装置10を装着する。また、ウェアラブル端末装置10を装着しているユーザに対し、ウェアラブル端末装置10を介して遠隔地から指示を行う遠隔指示者が外部機器20を操作する。ウェアラブル端末装置10および外部機器20では、所定の認証操作(例えば、ユーザアカウントごとに固有のID、およびパスワードを入力する操作)を行うことにより、認証に用いたユーザアカウントでログインすることができる。このログイン処理により、ウェアラブル端末装置10および外部機器20を操作しているユーザが特定される。以下では、ウェアラブル端末装置10をユーザAが操作し、1つの外部機器20を遠隔指示者Bが操作する場合を例に挙げて説明する。
【0012】
図2に示すように、ウェアラブル端末装置10は、本体部10a、および当該本体部10aに取り付けられたバイザー141(表示部材)などを備える。
【0013】
本体部10aは、その周長を調整可能な環状の部材である。本体部10aの内部には、深度センサー153およびカメラ154などの種々の機器が内蔵されている。本体部10aを頭部に装着すると、ユーザの視界がバイザー141によって覆われるようになっている。
【0014】
バイザー141は、光透過性を有する。ユーザは、バイザー141を通して現実空間を視認することができる。バイザー141のうちユーザの目に対向する表示面には、本体部10aに内蔵されたレーザースキャナー142(図5参照)から仮想画像等の画像が投影されて表示される。ユーザは、表示面からの反射光により仮想画像を視認する。このとき、ユーザは、併せてバイザー141越しに現実空間も視認しているため、あたかも現実空間に仮想画像が存在しているかのような視覚効果が得られる。
【0015】
図3に示すように、仮想画像30が表示された状態では、ユーザは、空間40における所定位置に、所定方向を向いた仮想画像30を視認する。本実施形態では、空間40は、ユーザがバイザー141越しに視認する現実空間である。仮想画像30は、光透過性を有するバイザー141に投影されているため、現実空間に重なる半透明の画像として視認される。図3では、仮想画像30として平面状のウィンドウ画面が例示されている。また、仮想画像30は、ウェアラブル端末装置10のユーザに対して指示または説明などを行うための指示画像31を含む。すなわち、指示画像31は、仮想画像30の一態様である。図3では、矢印の指示画像31と、ペン入力の軌跡の指示画像31とが例示されている。指示画像31は、これらに限られず、作業内容の手順などを示すドキュメント画像などであってもよい。また、仮想画像30は、ウィンドウ画面や上記の指示画像31に限られず、例えば各種の立体画像(立体の仮想オブジェクト)などであってもよい。仮想画像30がウィンドウ画面である場合には、仮想画像30は表面(第1面)および裏面(第2面)を有し、このうち表面に必要な情報が表示され、通常、裏面には情報が表示されない。
【0016】
ウェアラブル端末装置10は、空間40におけるユーザの位置および向き(言い換えると、ウェアラブル端末装置10の位置および向き)に基づいて、ユーザの視認領域41を検出する。図4に示すように、視認領域41は、空間40のうち、ウェアラブル端末装置10を装着しているユーザAの前方に位置する領域である。例えば、視認領域41は、ユーザAの正面から左右方向および上下方向にそれぞれ所定角度範囲内の領域である。この場合、視認領域41の形状に相当する立体を、ユーザAの正面方向に垂直な平面で切り取ったときの切り口の形状は矩形である。なお、視認領域41の形状は、当該切り口の形状が矩形以外(例えば、円形または楕円形等)となるように定められていてもよい。視認領域41の形状(例えば、正面から左右方向および上下方向の角度範囲)は、例えば以下の方法で特定することができる。
【0017】
ウェアラブル端末装置10では、初回起動時等の所定のタイミングにおいて、所定の手順で視野の調整(以下、キャリブレーションと記す)が行われる。このキャリブレーションにより、ユーザが視認できる範囲が特定され、以降、当該範囲内に仮想画像30が表示される。このキャリブレーションにより特定された視認可能な範囲の形状を、視認領域41の形状とすることができる。
【0018】
また、キャリブレーションは、上記の所定の手順で行われるものに限られず、ウェアラブル端末装置10の通常の操作を行っている中で自動的にキャリブレーションが行われてもよい。例えば、ユーザからのリアクションがなされるべき表示に対してリアクションがなされない場合に、当該表示を行っている範囲をユーザの視野の範囲外であるとみなして視野(および視認領域41の形状)を調整してもよい。また、視野の範囲外として定められている位置に試験的に表示を行い、当該表示に対するユーザのリアクションがあった場合に、当該表示を行っている範囲をユーザの視野の範囲内であるとみなして視野(および視認領域41の形状)を調整してもよい。
【0019】
なお、視認領域41の形状は、出荷時等において、視野の調整結果に基づかずに予め定められて固定されていてもよい。例えば、視認領域41の形状は、表示部14の光学設計上、最大限表示可能な範囲に定められていてもよい。
【0020】
仮想画像30は、ユーザの所定の操作に応じて、空間40における表示位置および向きが定められた状態で生成される。また、仮想画像30のうち指示画像31は、例えば外部機器20からウェアラブル端末装置10に送信される指示情報133(図5参照)に基づいて生成される。また、指示画像31は、ウェアラブル端末装置10のユーザが備忘などの目的で自ら生成することもできる。ウェアラブル端末装置10は、生成された仮想画像30のうち、視認領域41の内部に表示位置が定められている仮想画像30をバイザー141に投影させて表示する。図3においては、視認領域41が鎖線で示されている。
【0021】
バイザー141における仮想画像30の表示位置および向きは、ユーザの視認領域41の変化に応じてリアルタイムに更新される。すなわち、「設定された位置および向きで空間40内に仮想画像30が位置している」とユーザが認識するように、視認領域41の変化に応じて仮想画像30の表示位置および向きが変化する。例えば、ユーザが仮想画像30の表側から裏側に向かって移動すると、この移動に応じて表示される仮想画像30の形状(角度)が徐々に変化する。また、ユーザが仮想画像30の裏側に回り込んだ後で当該仮想画像30の方向を向くと、仮想画像30の裏面が視認されるように裏面が表示される。また、視認領域41の変化に応じて、表示位置が視認領域41から外れた仮想画像30は表示されなくなり、表示位置が視認領域41に入った仮想画像30があれば当該仮想画像30が新たに表示される。
【0022】
図3に示すように、ユーザが手(または指)を前方にかざすと、手を伸ばした方向がウェアラブル端末装置10により検出され、当該方向に延びる仮想線411と、ポインタ412とがバイザー141の表示面に表示されてユーザに視認される。ポインタ412は、仮想線411と仮想画像30との交点に表示される。仮想線411が仮想画像30と交差しない場合には、仮想線411と空間40の壁面等との交点にポインタ412が表示されてもよい。ユーザの手と仮想画像30との距離が所定の基準距離以内である場合に、仮想線411の表示を省略して、ユーザの指先の位置に応じた位置にポインタ412を直接表示させてもよい。
【0023】
ユーザが手を伸ばす方向を変えることで、仮想線411の方向およびポインタ412の位置を調整することができる。仮想画像30に含まれる所定の操作対象(例えば、機能バー301、ウィンドウ形状変更ボタン302、およびクローズボタン303等)にポインタ412が位置するように調整した状態で所定のジェスチャーを行うことで、当該ジェスチャーがウェアラブル端末装置10により検出され、操作対象に対する所定の操作を行うことができる。例えば、ポインタ412をクローズボタン303に合わせた状態で、操作対象を選択するジェスチャー(例えば、指先をつまむジェスチャー)を行うことで、仮想画像30を閉じる(削除する)ことができる。また、ポインタ412を機能バー301に合わせた状態で選択するジェスチャーを行い、選択状態のまま手を前後左右に移動させるジェスチャーを行うことで、仮想画像30を奥行方向および左右方向に移動させることができる。仮想画像30に対する操作はこれらに限られない。
【0024】
このように、本実施形態のウェアラブル端末装置10は、あたかも現実空間に仮想画像30が存在するかのような視覚効果を実現し、仮想画像30に対するユーザの操作を受け付けて仮想画像30の表示に反映させることができる。すなわち、本実施形態のウェアラブル端末装置10はMRを提供する。
【0025】
次に、図5を参照してウェアラブル端末装置10の機能構成について説明する。
ウェアラブル端末装置10は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、表示部14と、センサー部15と、通信部16と、マイク17と、スピーカー18などを備え、これらの各部はバス19により接続されている。図5に示す構成要素のうち表示部14のバイザー141を除いた各部は、本体部10aに内蔵されており、同じく本体部10aに内蔵されているバッテリーから供給される電力により動作する。
【0026】
CPU11は、各種演算処理を行い、ウェアラブル端末装置10の各部の動作を統括制御するプロセッサである。CPU11は、記憶部13に記憶されたプログラム131を読み出して実行することで、各種制御動作を行う。CPU11は、プログラム131を実行することで、例えば視認領域検出処理および表示制御処理などを実行する。このうち視認領域検出処理は、空間40内におけるユーザの視認領域41を検出する処理である。また、表示制御処理は、空間40における位置が定められた仮想画像30のうち、視認領域41の内部に位置が定められている仮想画像30を表示部14に表示させる処理である。
【0027】
なお、図5では単一のCPU11が図示されているが、これに限られない。CPU等のプロセッサが2以上設けられていてもよく、本実施形態のCPU11が実行する処理を、これらの2以上のプロセッサが分担して実行してもよい。
【0028】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0029】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体である。記憶部13は、CPU11により実行されるプログラム131、および各種設定データなどを記憶する。プログラム131は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。記憶部13としては、例えばフラッシュメモリを備えたSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置が用いられる。
【0030】
記憶部13に記憶されるデータとしては、仮想画像30に係る仮想画像データ132、および外部機器20から取得した指示情報133などがある。
【0031】
仮想画像データ132は、仮想画像30の表示内容に係るデータ(例えば画像データ)、表示位置のデータ、および向きのデータなどを含む。また、仮想画像データ132は、指示画像31を表示させるための指示画像データ1321(指示画像情報)を含む。例えば、矢印の指示画像31に係る指示画像データ1321は、矢印の大きさ、色、表示位置、および向きのデータなどを含む。また、ペン入力の軌跡の指示画像31に係る指示画像データ1321は、軌跡の太さ、色、表示位置(軌跡の各点の座標を含む)、および向きのデータなどを含む。また、ドキュメント画像の指示画像31に係る仮想画像データ132は、ドキュメント画像の内容、ウィンドウの大きさ、色、表示位置、および向きのデータなどを含む。
【0032】
指示情報133は、ウェアラブル端末装置10において指示画像31を表示させるために外部機器20からウェアラブル端末装置10に送信されたデータである。指示情報133の内容は、特には限られず、外部機器20において表示が指示された指示画像31をウェアラブル端末装置10において表示させることが可能な情報が少なくとも含まれていればよい。例えば、指示情報133は、矢印またはペン入力の軌跡といった指示画像31の種別を指定する情報を含んでいてもよい。また、指示情報133は、指示画像31の大きさ、色、および向きなどを指定する情報を含んでいてもよい。また、指示情報133は、空間40における指示画像31の表示位置を特定可能な情報を含んでいてもよい。ここで、空間40における指示画像31の表示位置を決定可能な情報は、空間40における位置を直接特定するものに限られず、他のオブジェクトとの位置関係や、空間40を撮像した2次元の画像における位置を表すものであってもよい。CPU11は、指示情報133を受信すると、当該133に基づいて上記の指示画像データ1321を生成する。
【0033】
表示部14は、バイザー141と、レーザースキャナー142と、当該レーザースキャナー142から出力された光をバイザー141の表示面に導く光学系とを有する。レーザースキャナー142は、CPU11からの制御信号に従って、画素ごとにオン/オフが制御されたパルス状のレーザー光を所定方向にスキャンしつつ光学系に照射する。光学系に入射したレーザー光は、バイザー141の表示面において2次元の画素マトリクスからなる表示画面を形成する。レーザースキャナー142の方式は、特には限られないが、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によりミラーを動作させてレーザー光をスキャンする方式を用いることができる。レーザースキャナー142は、例えばRGBの色のレーザー光を射出する3つの発光部を有する。表示部14は、これらの発光部からの光をバイザー141に投影することでカラー表示を行うことができる。
【0034】
センサー部15は、加速度センサー151、角速度センサー152、深度センサー153、カメラ154およびアイトラッカー155などを備える。なお、センサー部15は、図5に示されていないセンサーをさらに有していてもよい。
【0035】
加速度センサー151は、加速度を検出して検出結果をCPU11に出力する。加速度センサー151による検出結果から、ウェアラブル端末装置10の直交3軸方向の並進運動を検出することができる。
【0036】
角速度センサー152(ジャイロセンサー)は、角速度を検出して検出結果をCPU11に出力する。角速度センサー152による検出結果から、ウェアラブル端末装置10の回転運動を検出することができる。
【0037】
深度センサー153は、ToF(Time of Flight)方式で被写体までの距離を検出する赤外線カメラであり、距離の検出結果をCPU11に出力する。深度センサー153は、視認領域41を撮影できるように本体部10aの前面に設けられている。空間40においてユーザの位置および向きが変化するごとに深度センサー153による計測を繰り返し行って結果を合成することで、空間40の全体の3次元マッピングを行う(すなわち、3次元構造を取得する)ことができる。
【0038】
カメラ154は、RGBの撮像素子群により空間40を撮影し、撮影結果としてカラー画像データを取得してCPU11に出力する。カメラ154は、視認領域41を撮影できるように本体部10aの前面に設けられている。カメラ154からの出力画像は、ウェアラブル端末装置10の位置および向きなどの検出に用いられるほか、通信部16から外部機器20に送信されて、ウェアラブル端末装置10のユーザの視認領域41を外部機器20において表示するためにも用いられる。
【0039】
アイトラッカー155は、ユーザの視線を検出して検出結果をCPU11に出力する。視線の検出方法は、特には限られないが、例えば、ユーザの目における近赤外光の反射点をアイトラッキングカメラで撮影し、その撮影結果と、カメラ154による撮影画像とを解析してユーザが視認している対象を特定する方法を用いることができる。アイトラッカー155の構成の一部は、バイザー141の周縁部などに設けられていてもよい。
【0040】
通信部16は、アンテナ、変復調回路、信号処理回路などを有する通信モジュールである。通信部16は、所定の通信プロトコルに従って外部機器20との間で無線通信によるデータの送受信を行う。また、通信部16は、外部機器20との間で音声データ通信を行うことができる。すなわち、通信部16は、マイク17により収集された音声データを外部機器20に送信し、スピーカー18から音声を出力させるために外部機器20から送信された音声データを受信する。
【0041】
マイク17は、ユーザの声などの音を電気信号に変換してCPU11に出力する。
【0042】
スピーカー18は、入力された音声データを機械的な振動に変換して音として出力する。
【0043】
このような構成のウェアラブル端末装置10において、CPU11は、以下のような制御動作を行う。
【0044】
CPU11は、深度センサー153から入力された被写体までの距離データに基づいて空間40の3次元マッピングを行う。CPU11は、ユーザの位置および向きが変化するたびにこの3次元マッピングを繰り返し行い、都度結果を更新する。また、CPU11は、一繋がりの空間40を単位として3次元マッピングを行う。よって、壁などにより仕切られた複数の部屋の間をユーザが移動する場合には、CPU11は、それぞれの部屋を1つの空間40と認識し、部屋ごとに別個に3次元マッピングを行う。
【0045】
CPU11は、空間40内におけるユーザの視認領域41を検出する。詳しくは、CPU11は、加速度センサー151、角速度センサー152、深度センサー153、カメラ154およびアイトラッカー155による検出結果と、蓄積されている3次元マッピングの結果と、に基づいて、空間40におけるユーザ(ウェアラブル端末装置10)の位置および向きを特定する。そして、特定した位置および向きと、予め定められている視認領域41の形状と、に基づいて視認領域41を検出(特定)する。また、CPU11は、ユーザの位置および向きの検出をリアルタイムで継続して行い、ユーザの位置および向きの変化に連動して視認領域41を更新する。なお、視認領域41の検出は、加速度センサー151、角速度センサー152、深度センサー153、カメラ154およびアイトラッカー155のうちの一部による検出結果を用いて行われてもよい。
【0046】
CPU11は、ユーザの操作に応じて仮想画像30に係る仮想画像データ132を生成する。すなわち、CPU11は、仮想画像30の生成を指示する所定の操作(ジェスチャー)を検出すると、仮想画像の表示内容(例えば画像データ)、表示位置、および向きを特定し、これらの特定結果を表すデータを含む仮想画像データ132を生成する。
【0047】
CPU11は、仮想画像データ132に基づいて、視認領域41の内部に表示位置が定められている仮想画像30を表示部14に表示させる。また、仮想画像データ132に指示画像データ1321が含まれている場合には、視認領域41の内部に表示位置が定められている指示画像31を表示部14に表示させる。詳しくは、CPU11は、仮想画像データ132に基づいて仮想画像30の表示位置を特定し、また、指示画像データ1321に基づいて指示画像31の表示位置を特定する。CPU11は、その時点における視認領域41と、特定した表示位置との位置関係に基づいて、表示位置に仮想画像30および/または指示画像31が視認されるように、表示部14に表示させる表示画面の画像データを生成する。CPU11は、この画像データに基づいてレーザースキャナー142にスキャン動作を行わせ、バイザー141の表示面に、仮想画像30および/または指示画像31を含む表示画面を形成させる。すなわち、CPU11は、バイザー141を通して視認される空間40に仮想画像30および/または指示画像31が視認されるように、バイザー141の表示面に仮想画像30および/または指示画像31を表示させる。CPU11は、この表示制御処理を連続して行うことで、ユーザの動き(視認領域41の変化)に合わせて表示部14による表示内容をリアルタイムで更新する。ウェアラブル端末装置10が電源オフ状態となっても仮想画像データ132および指示画像データ1321が保持される設定となっている場合には、次にウェアラブル端末装置10が起動したときには、既存の仮想画像データ132および指示画像データ1321が読み込まれ、視認領域41の内部に位置する仮想画像30および/または指示画像31があれば表示部14に表示される。
【0048】
CPU11は、深度センサー153およびカメラ154による撮像画像に基づいてユーザの手(および/または指)の位置および向きを検出し、検出した方向に延びる仮想線411と、ポインタ412とを表示部14に表示させる。また、CPU11は、深度センサー153およびカメラ154による撮像画像に基づいてユーザの手(および/または指)のジェスチャーを検出し、検出したジェスチャーの内容と、その時点におけるポインタ412の位置とに応じた処理を実行する。
【0049】
次に、図6を参照して外部機器20の機能構成について説明する。
外部機器20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、操作表示部24と、通信部25と、マイク26と、スピーカー27などを備え、これらの各部はバス28により接続されている。
【0050】
CPU21は、各種演算処理を行い、外部機器20の各部の動作を統括制御するプロセッサである。CPU21は、記憶部23に記憶されたプログラム231を読み出して実行することで、各種制御動作を行う。
【0051】
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0052】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体である。記憶部23としては、例えばフラッシュメモリを備えたSSD、またはHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置が用いられる。記憶部23には、CPU21により実行されるプログラム231、および各種設定データなどが記憶されている。プログラム231は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部23に格納されている。
【0053】
操作表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示装置と、マウスおよびキーボードといった入力装置とを備える。操作表示部24は、表示装置において表示システム1の動作ステータスや処理結果等の各種表示を行う。当該表示には、例えば、ウェアラブル端末装置10のカメラ154により撮影された視認領域41の画像を含む指示者用画面241が含まれる。指示者用画面241の内容については、後に詳述する。また、操作表示部24は、入力装置に対するユーザの入力操作を操作信号に変換してCPU21に出力する。
【0054】
通信部25は、所定の通信プロトコルに従ってウェアラブル端末装置10との間でデータの送受信を行う。また、通信部25は、ウェアラブル端末装置10との間で音声データ通信を行うことができる。すなわち、通信部25は、マイク26により収集された音声データをウェアラブル端末装置10に送信し、スピーカー27から音声を出力させるためにウェアラブル端末装置10から送信された音声データを受信する。通信部25は、ウェアラブル端末装置10以外の他の装置との通信が可能であってもよい。
【0055】
マイク26は、遠隔指示者の声などの音を電気信号に変換してCPU21に出力する。
【0056】
スピーカー27は、入力される音声データを機械的な振動に変換して音として出力する。
【0057】
次に、表示システム1の動作について説明する。
本実施形態の表示システム1では、ウェアラブル端末装置10と、一または二以上の外部機器20との間で双方向のデータ通信を行うことで、種々のデータを共有して共同作業を行うことができる。例えば、ウェアラブル端末装置10のカメラ154により撮影されている画像(撮影画像)のデータを外部機器20に送信して、操作表示部24において指示者用画面241として表示させることで、ウェアラブル端末装置10のユーザAが見ているものを、遠隔指示者Bがリアルタイムで認識することができる。また、ウェアラブル端末装置10のマイク17、および外部機器20のマイク26によりそれぞれ収集された音声を双方向のリアルタイムの音声データ通信で送信することで、音声通話を行うことができる。よって、ウェアラブル端末装置10および外部機器20により音声データ通信が実行されている期間は、ウェアラブル端末装置10のユーザAと遠隔指示者Bとが音声通話中である期間を含む。以下では、ウェアラブル端末装置10と外部機器20との間のリアルタイムの音声データ通信、およびウェアラブル端末装置10から外部機器20へのリアルタイムの撮影画像の送信の少なくとも一方を含む通信を「ライブ通信」と記す。遠隔指示者Bは、ライブ通信中に、リアルタイムのカメラ画像を見ながら音声通話によってウェアラブル端末装置10のユーザAに対する指示および支援を行う、といったことが可能である。なお、ウェアラブル端末装置10のユーザAと、二以上の外部機器20を操作する二以上の遠隔指示者とを含む三者以上でライブ通信を行ってもよい。
【0058】
さらに、外部機器20を操作する遠隔指示者Bは、ウェアラブル端末装置10のカメラ154の撮影画像が表示されている指示者用画面241を見ながら所定の操作を行うことで、指示者用画面241の所望の位置に指示画像31を表示させることができる。また、外部機器20のCPU21は、遠隔指示者Bによる上記操作に応じて、ウェアラブル端末装置10において指示画像31を表示させるための指示情報133を生成してウェアラブル端末装置10に送信する。ウェアラブル端末装置10がこの指示情報133を受信すると、指示情報133の内容に応じて、空間40のうち、指示者用画面241における指示画像31の表示位置と対応する位置に指示画像31が表示される。よって、ウェアラブル端末装置10のユーザAは、外部機器20の遠隔指示者Bが生成した指示画像31を視認領域41において視認することができる。このような指示画像31の表示を行うために、ウェアラブル端末装置10のCPU11は以下のような制御を行う。すなわち、CPU11は、カメラ154による撮影画像を、通信部16を介して外部機器20に送信し、外部機器20において撮影画像に基づいて行われた指示画像31の生成指示に係る指示情報133を、通信部16を介して受信し、空間40のうち、受信した指示情報133に基づく位置に視認されるように指示画像31を表示部14に表示させる。これにより、遠隔指示者Bは、例えばライブ通信中に、ウェアラブル端末装置10を装着しているユーザAの視認領域41の所望の位置に矢印の指示画像31を表示させて、ユーザAに対して作業対象の位置を指示する、といったことが可能となる。
【0059】
ところで、従来、外部機器20からの指示に応じてウェアラブル端末装置10において指示画像31が表示された場合に、ウェアラブル端末装置10側の操作によって、指示画像31の変更を行うことはできなかった。ここで、指示画像31の変更は、例えば、指示画像31の表示位置、色、形状、向き、または大きさ等の変更、および注釈または各種標識の付加などを含む。また、指示画像31の色の変更は、指示画像31のうち一部の色の変更を含む。
【0060】
しかしながら、ウェアラブル端末装置10において表示された指示画像31の位置や向きが、ウェアラブル端末装置10を装着しているユーザAにとっては適切でないと感じられる場合がある。また、ユーザAが、自身の備忘のため、あるいは他のユーザへの申し送りなどのために、指示画像31に対して注釈を付加したい場合がある。これらのような場合に、ウェアラブル端末装置10側の操作で指示画像31の変更が一切できないのは、ウェアラブル端末装置10のユーザAにとって不便であり、作業効率が低減したり、遠隔指示者との円滑な意思疎通が妨げられたりする要因となっていた。
【0061】
これに対し、本開示のウェアラブル端末装置10では、外部機器20からの指示に応じて表示された指示画像31の変更を行うことが可能となっている。すなわち、ウェアラブル端末装置10のCPU11は、表示部14に表示させた指示画像31の変更を行うためのユーザ操作を受け付けて、当該ユーザ操作に応じて指示画像31の表示を更新する。以下では、図7図16を参照して、このような指示画像31の表示および変更に係る動作について説明する。
【0062】
図7は、ある時点におけるウェアラブル端末装置10のユーザAの視認領域41を示す。ここでは、視認領域41にモニター51および飲料のボトル52が含まれている例を挙げて説明する。モニター51は、テーブルの上に設置されており、ボトル52は、テーブルの上においてモニター51の手前(ウェアラブル端末装置10に近い側)に置かれている。図7では、ウェアラブル端末装置10にユーザAがログインしていることを示す表示がなされているが、これは説明の便宜上のものであり、実際の視認領域41では表示が省略されてもよい。
【0063】
図8は、ウェアラブル端末装置10とライブ通信中である外部機器20において、図7と同じタイミングで操作表示部24に表示されている指示者用画面241を示す。指示者用画面241には、ウェアラブル端末装置10からリアルタイムで送信されているカメラ154による撮影画像が表示されている。よって、指示者用画面241には、テーブル上のモニター51およびボトル52が表示されている。 図8では、外部機器20にユーザBがログインしていることを示す表示がなされているが、これは説明の便宜上のものであり、実際の指示者用画面241では表示が省略されてもよい。指示者用画面241の上部には、ライブ通信の各種設定を行うための設定パネル61と、指示画像31の表示指示を行うための矢印アイコン62、ペン入力アイコン63および画像アイコン64が表示されている。矢印アイコン62は、矢印の指示画像31を表示させる場合に選択される。ペン入力アイコン63は、ペン入力の軌跡の指示画像31を表示させる場合に選択される。画像アイコン64は、ドキュメント画像の指示画像31を表示させる場合に選択される。
【0064】
例えば、図8に示すように矢印アイコン62を選択した状態で、指示者用画面241上の位置を指示する指示操作が行われると、外部機器20のCPU21は、指示者用画面241のうち指示された位置に矢印の指示画像31を表示させる。図8の例では、遠隔指示者Bは、モニター51の右端部を指す意図で矢印の指示画像31の表示を指示しているものとする。また、CPU21は、上記の指示操作が行われると、ウェアラブル端末装置10において指示画像31を表示させるための指示情報133を生成してウェアラブル端末装置10に送信する。指示情報133は、例えば、指示画像31の種別(ここでは、矢印)を指定する情報、指示画像31の大きさ、色、および向きなどを指定する情報、および空間における指示画像31の表示位置を特定可能な情報を含む。指示画像31の表示位置を特定可能な情報は、ここでは、指示者用画面241に表示されているカメラ154の2次元の撮影画像における指示画像31の位置(矢印の先端の位置)を示す情報であるものとする。指示情報133には、ウェアラブル端末装置10から受信したカメラ154の撮影画像のデータが含まれていてもよく、当該撮影画像上の座標により指示画像31の位置が示されていてもよい。
【0065】
ウェアラブル端末装置10のCPU11は、指示情報133を受信すると、図9に示すように、空間のうち指示情報133に基づく位置に指示画像31が視認されるように、表示部14に指示画像31を表示させる。詳しくは、CPU11は、受信した指示情報133に基づいて空間における指示画像31の表示位置を特定し、当該表示位置の情報を含む指示画像データ1321を生成する。そして、CPU11は、指示画像データ1321に基づいて表示部14に指示画像31を表示させる。指示情報133に基づいて空間における指示画像31の表示位置を特定する方法は、特には限られないが、例えば以下の第1の方法または第2の方法を用いることができる。
【0066】
<第1の方法>
第1の方法では、CPU11は、指示情報133から、2次元の撮影画像における指示画像31の位置情報(矢印の先端の位置情報)を取得する。CPU11は、この位置情報から、空間のうち撮影画像に相当するXY面における表示位置(以下、「XY面表示位置」と記す)を特定する。また、CPU11は、XY面に垂直なZ方向(奥行方向)についての指示画像31の位置を、XY面表示位置からZ方向に延ばした線分が最初に当接する物体の位置に設定する。空間における物体の三次元配置は、深度センサー153の計測結果に基づいて生成された3次元マップから特定することができる。図8および図9の例では、指示画像31のXY面表示位置は、図8の2次元画像における指示画像31の矢印の先端位置、すなわちモニター51の右端部の位置である。また、図9に示す空間において、XY面表示位置から奥行方向に延ばしたときに最初に当接する物体は、モニター51であるため、指示画像31のZ方向についての位置は、モニター51の位置と特定される。
【0067】
<第2の方法>
第2の方法では、CPU11は、第1の方法と同様に、指示情報133から、2次元の撮影画像における指示画像31の位置情報(矢印の先端の位置情報)を取得する。また、CPU11は、指示情報133に含まれる2次元画像から、当該画像に含まれる各物体の特徴を検出し、指定された指示画像31の位置に最も近い位置に存在する物体を指示対象として特定する。例えば、図8に示す例では、指示画像31の矢印の先端がモニター51に重なっているため、モニター51が指示対象として特定される。CPU11は、現実の空間において、指示対象の物体の位置を特定し、Z方向(奥行方向)についての指示画像31の位置を、当該指示対象の物体(図8および図9の例では、モニター51)の位置に合うように設定する。なお、外部機器20のCPU21が、指示者用画面241上で指示対象の物体を特定し、当該指示対象の物体を示す情報を指示情報133に記録してもよい。この場合における指示対象の物体の特定は、CPU21が画像データから判別してもよいし、物体を指定する遠隔指示者Bの操作に基づいて行われてもよい。
【0068】
なお、第1の方法および第2の方法のいずれにおいても、ウェアラブル端末装置10のCPU11が実行していた処理を外部機器20のCPU21が実行してもよい。すなわち、空間における指示画像31の表示位置を、外部機器20のCPU21が特定してもよい。この場合には、外部機器20のCPU21は、当該位置の特定に必要な情報(例えば、3次元マップ)をウェアラブル端末装置10から取得してもよい。
【0069】
ところで、上記の第1の方法では、空間の最新の構造が3次元マップに反映されていなかったり、3次元マップの精度が低かったりする場合などにおいて、指示画像31の奥行方向の位置が、遠隔指示者Bの所望する位置からずれる場合がある。また、第2の方法においても、指示対象の物体の特定が適切に行われなかった場合などにおいて、指示画像31の位置が、遠隔指示者Bの所望する位置からずれる場合がある。
【0070】
このため、例えば図8および図9のように、遠隔指示者Bが指示画像31をモニター51の位置に表示させる意図で操作を行っても、図10に示すように、図9とは異なる角度からユーザAが指示画像31を見たときに、指示画像31がモニター51から離間してしまう場合がある。図10の状態では、指示画像31がモニター51およびボトル52のいずれを指しているのか不明確である。このような場合に、ウェアラブル端末装置10のユーザAは、所定の操作を行うことで指示画像31の位置を変更することができる。
【0071】
図11は、指示画像31の位置の変更方法の例を示す図である。図11に示すように、ユーザAは、所定のジェスチャ操作を行うことで、指示画像31を移動させて、空間における指示画像31の表示位置を変更することができる。このように、指示画像31の変更は、指示画像31の表示位置の変更を含む。上記のジェスチャ操作は、例えば、指示画像31の一部を指でつまんだ状態で(または、ポインタ412により選択した状態で)手を動かす操作であってもよい。当該ジェスチャ操作に応じて、CPU11は、指示画像データ1321における指示画像31の表示位置の情報を変更し、変更後の指示画像データ1321に基づいて指示画像31の表示を更新する(再表示させる)。この表示の更新動作を、ユーザAの手の移動中に繰り返し行うことで、ユーザAの手の動きに追従するように指示画像31が移動しているような視覚効果を実現できる。
【0072】
また、CPU11は、表示位置の変更に応じて変更後の表示位置へ移動している指示画像31、および表示位置の変更が完了した指示画像31の少なくとも一方を、表示位置の変更前における指示画像31の表示態様とは異なる表示態様で表示させてもよい。例えば、図11に示すように、表示位置の変更が完了した指示画像31の色を、変更前の指示画像31の色と異ならせてもよい。すなわち、指示画像31の変更は、指示画像31の色の変更を含んでいてもよい。これにより、ユーザAの操作によって指示画像31の表示位置が変更されていることを視覚的に分かりやすく示すことができる。なお、変更する表示態様は、色に限られず、指示画像31の外形線を強調したり、指示画像31を明滅させたりしてもよい。
【0073】
また、指示画像31の表示位置の変更をはじめとする各種変更は、外部機器20を操作する遠隔指示者Bの許可を待って実行することとしてもよい。このために、CPU11は、指示画像31の変更を行うためのユーザ操作がなされた場合に、指示画像31の変更の許可を要求する要求信号を、通信部16を介して外部機器20に送信し、要求信号の送信後に、指示画像31の変更を許可する許可信号を通信部16が受信した場合に、指示画像31を変更してもよい。これにより、指示画像31の作成者である遠隔指示者Bの意図に反して指示画像31が変更されないようにすることができる。
【0074】
また、CPU11は、指示画像31を変更する場合に、当該指示画像31を変更する旨の通知を、通信部16を介して外部機器20に送信してもよい。これにより、指示画像31の作成者である遠隔指示者Bに対し、指示画像31が変更されることを通知することができる。この場合において、図11に示すように、外部機器20の遠隔指示者Bに対して通知が行われることを、ウェアラブル端末装置10のユーザAに対して通知するための通知仮想画像32が表示部14に表示されてもよい。なお、通知仮想画像32は、仮想画像の形式でない通常の画像であってもよい。ここで、通常の画像は、空間における表示位置が特定されずに、表示部14の表示面上の所定の位置に表示される画像である。
【0075】
また、図12に示すように、指示画像31の表示位置を変更したユーザ(ここでは、ユーザA)を表す識別情報311aを指示画像31に付加してもよい。また、識別情報311aの付加を行う場合には、識別情報311aを含む識別標識としての付加仮想画像311を表示部14に表示させてもよい。付加仮想画像311は、指示画像31の一部を構成する。付加仮想画像311には、表示位置が変更されてからの経過時間などの情報がさらに表示されていてもよい。このような付加仮想画像311(識別情報311a)の付加も、指示画像31の変更の一態様である。すなわち、指示画像31の変更は、指示画像31に対する、ユーザ操作を行ったユーザを表す識別情報311aの付加を含んでいてもよく、CPU11は、識別情報311aを含む指示画像31を表示部14に表示させてもよい。これによれば、ウェアラブル端末装置10のユーザこれにより、指示画像31の変更を行ったユーザを容易に判別することができる。なお、識別情報311aおよび付加仮想画像311は、表示位置の変更以外の指示画像31の任意の変更が行われた場合に指示画像31に付加されてもよい。また、付加仮想画像311を追加表示せずに、指示画像31の本体(例えば、矢印の内部)に識別情報311aを表示してもよい。
【0076】
また、CPU11は、空間におけるウェアラブル端末装置10の位置の変化に応じて、付加仮想画像311のうち識別情報311aを含む部分がウェアラブル端末装置10を向くように付加仮想画像311の方向を変更してもよい。これにより、ウェアラブル端末装置10のユーザAが空間内を移動した場合においても、付加仮想画像311を容易に視認できるようにすることができる。また、CPU11は、空間におけるウェアラブル端末装置10の位置の変化に応じて付加仮想画像311あるいは識別情報311aの表示の大きさを変更してもよい。特に、CPU11は、空間におけるウェアラブル端末装置10の位置が付加仮想画像311からより離れた位置に移動した場合に、付加仮想画像311あるいは識別情報311aの表示がより大きくなるように変更してもよい。これにより、ウェアラブル端末装置10のユーザAが空間内で付加仮想画像311からより離れた位置に移動した場合においても、付加仮想画像311を容易に視認できるようにすることができる。
【0077】
上記では、指示画像31の変更の一例として、指示画像31の表示位置を変更する場合について説明したが、指示画像31の変更はこれに限られない。例えば、図13に示すように、指示画像31の変更は、指示画像31に対する注釈としての注釈仮想画像312の付加を含んでいてもよい。この場合には、CPU11は、注釈仮想画像312を含む指示画像31を表示部14に表示させる。注釈仮想画像312は、指示画像31の一部を構成する。これにより、指示画像31に注釈を付加することができる。よって、ユーザAが備忘のため、あるいは他のユーザへの申し送りなどのために、コメントを記録することができる。
【0078】
図13に示す注釈仮想画像312には、「矢印は何を指している?」とのユーザAのコメントと、注釈仮想画像312を付加した時刻が表示されている。また、注釈仮想画像312には、注釈仮想画像312を付加したユーザ(ここでは、ユーザA)を表す識別情報312aが表示されている。注釈仮想画像312を付加するための操作は、特には限られないが、例えば、指示画像31を手またはポインタ412により選択した状態で、図示略のメニュー画面から注釈の付加を選択し、図示略のソフトウェアキーボード仮想画像を用いてコメントを入力する方法であってもよい。注釈仮想画像312を付加するためのユーザ操作が行われた場合には、CPU11は、指示画像データ1321において注釈仮想画像312の情報を追加し、当該情報の追加後の指示画像データ1321に基づいて指示画像31の表示を更新する(再表示させる)。注釈仮想画像312は、図12に示した付加仮想画像311と同様に、空間におけるウェアラブル端末装置10の位置の変化に応じて、注釈仮想画像312のうち情報が表示されている部分がウェアラブル端末装置10を向くように方向が変更されてもよい。
【0079】
また、CPU11は、指示画像31に対して注釈としての注釈仮想画像312を付加する場合に、通信部16を介して、注釈の内容を含む注釈情報を外部機器20に送信してもよい。これにより、指示画像31の作成者である遠隔指示者Bに対し、指示画像31に付加される注釈の内容を通知することができる。この場合において、図13に示すように、外部機器20の遠隔指示者Bに対して通知が行われることを、ウェアラブル端末装置10のユーザAに対して通知するための通知仮想画像33が表示部14に表示されてもよい。なお、通知仮想画像33は、仮想画像の形式でない通常の画像であってもよい。また、指示画像31に対する注釈の付加は、外部機器20を操作する遠隔指示者Bの許可を待って行うこととしてもよい。
【0080】
指示画像31に対して注釈を付加する態様は、図13に示したものに限られない。例えば、図14に示すように、指示画像31の矢印本体の内部に注釈が付加されてもよい。図14の指示画像31には、ライクボタン71、ディスライクボタン72、およびコメント表示ボタン73が表示されている。ライクボタン71、ディスライクボタン72、コメント表示ボタン73、及びこれらの各ボタンの上部に表示される数値は、注釈の一態様である。
【0081】
ライクボタン71は、ウェアラブル端末装置10のユーザがその指示画像31に対して肯定的な評価を行う場合に選択される。ディスライクボタン72は、ウェアラブル端末装置10のユーザがその指示画像31に対して否定的な評価を行う場合に選択される。ライクボタン71およびディスライクボタン72は、指示画像31を視認した異なる複数のユーザにより、異なるタイミングで複数回操作され得る。ライクボタン71を選択する操作が行われると、ライクボタン71の上部の数値がインクリメントされる。当該数値により、指示画像31に対して肯定的な評価を行ったユーザの数を判別することができる。ディスライクボタン72を選択する操作が行われると、ディスライクボタン72の上部の数値がインクリメントされる。当該数値により、指示画像31に対して否定的な評価を行ったユーザの数を判別することができる。
【0082】
コメント表示ボタン73の上部には、その指示画像31に対して記録されたコメントの数が示されている。コメント表示ボタン73を選択する操作が行われると、図15に示すように、記録されているコメントの内容を含む注釈仮想画像313が表示されるとともに、指示画像31には、コメントを記録したユーザの名前(ここでは、ユーザA)が表示される。注釈仮想画像313は、注釈の一態様である。ここでは、注釈仮想画像313において、「矢印の位置がおかしい。位置の修正を記録したので、反映をお願いします。」とのコメントが表示されている。このように、コメントの内容が、指示画像31の変更の許可を求めるものであり、かつ、当該注釈仮想画像313を視認しているユーザが、変更の許可の権限を有している場合には、指示画像31の変更を反映させるための変更反映ボタン314が併せて指示画像31に表示される。変更反映ボタン314を選択する操作が行われると、指示画像31の変更が反映される(図15の例では、指示画像31の表示位置の変更が実行される)。
【0083】
ウェアラブル端末装置10のユーザAが指示画像31を視認しているときに、その指示画像31がどのような状況で表示されたのかを参照したい場合がある。そこで、本開示のウェアラブル端末装置10では、CPU11は、表示部14に指示画像31を表示させたときの当該指示画像31と、カメラ154による撮影画像とを含むキャプチャ画像を記憶部13に記憶させる。また、CPU11は、ユーザの指示に応じて、またはキャプチャ画像の所定の表示条件が満たされている場合に、図16に示すように、当該キャプチャ画像34として表示部14に表示させる。キャプチャ画像34は、指示画像31が表示されたときのユーザAの視認領域41をそのまま画像として記録したものに相当する。よって、表示された当該キャプチャ画像34を参照することで、ユーザAは、指示画像31が、どのような状況で、またどのような目的で表示されたものかを容易に判別することができる。例えば、図16に示すように、矢印の指示画像31が指している対象が不明確であるような場合に、キャプチャ画像34を参照することで、矢印が指す対象を特定しやすくすることができる。なお、キャプチャ画像34は、空間における表示位置が定められた仮想画像であってもよく、仮想画像の形式でない通常の画像であってもよい。
【0084】
上記の所定の表示条件は、特には限られないが、例えば指示画像31の表示位置がユーザAの視認領域41に含まれていること、とすることができる。この場合、CPU11は、指示画像31の表示位置がユーザAの視認領域41に含まれるか否かを判別し、指示画像31の表示位置がユーザAの視認領域41に含まれると判別した場合には、表示部14にキャプチャ画像34を表示させる。これにより、ユーザAが特段の操作を行わなくても、適切なタイミングでキャプチャ画像34を表示することができる。
【0085】
また、キャプチャ画像は、外部機器20において記録されてウェアラブル端末装置10に送信されてもよい。すなわち、CPU11は、外部機器20おいて指示者用画面241として表示される撮影画像に、生成指示に応じて指示画像31が重畳表示されたときのキャプチャ画像34を、通信部16を介して受信し、当該キャプチャ画像34を表示部14に表示させてもよい。これにより、外部機器20の遠隔指示者Bによる指示画像31の生成意図を把握しやすいキャプチャ画像を参照することができる。
【0086】
次に、上述のように指示画像31の表示および変更を行うための遠隔指示処理について、図17および図18のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートでは、ウェアラブル端末装置10において実行される遠隔指示処理のCPU11による制御手順と、外部機器20において実行される遠隔指示処理のCPU21による制御手順とが並列に記載されている。
【0087】
図17に示すように、ウェアラブル端末装置10のCPU11は、ウェアラブル端末装置10の電源がオン状態に切り替えられた場合に(ステップS101)、前回の電源オフ時に指示画像31の表示が行われていたか否かを判別する(ステップS102)。ここでは、CPU11は、記憶部13の仮想画像データ132に指示画像データ1321が含まれている場合に、指示画像31の表示が行われていたと判別する。前回の電源オフ時に指示画像31の表示が行われていたと判別された場合には(ステップS102で“YES”)、CPU11は、指示画像データ1321に基づいて指示画像31を再表示させる(ステップS103)。このように、CPU11は、ウェアラブル端末装置10の電源がオフ状態となった後に電源がオン状態となった場合に、電源がオフ状態となる前に表示部14に表示させた指示画像31に係る指示画像データ1321を取得し、当該指示画像データ1321に基づいて指示画像31を再表示させる。これにより、電源をオフ状態とした後にも、必要な指示画像31を参照することができる。
【0088】
ステップS103が終了した場合、または、ステップS102において、前回の電源オフ時に指示画像31の表示が行われていなかったと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、CPU11は、ユーザAの指示に応じて、外部機器20との間で音声データ通信を開始し、これにより音声通話を開始する(ステップS104)。また、CPU11は、カメラ154による撮影画像の外部機器20への送信を開始する(ステップS104)。また、外部機器20のCPU21は、遠隔指示者Bの指示に応じて、ウェアラブル端末装置10との間で音声データ通信を開始し、これにより音声通話を開始する(ステップS105)。また、CPU21は、ウェアラブル端末装置10のカメラ154による撮影画像の受信を開始する(ステップS105)。これにより、ライブ通信が開始される。以降、CPU21は、受信中の撮影画像に基づいて指示者用画面241を表示させ、指示者用画面241において撮影画像をリアルタイムで動画表示させる。
【0089】
外部機器20のCPU21は、指示画像31を生成して表示させるための遠隔指示者Bの指示操作を受け付ける(ステップS106)。指示操作の受け付け中は、指示者用画面241におけるカメラ画像を一時停止させて静止画としてもよい。
【0090】
CPU21は、指示操作の内容に応じて指示情報133を生成し、指示画像31を指示者用画面241に表示させる(ステップS107)。また、CPU21は、生成した指示情報133をウェアラブル端末装置10に送信する(ステップS108)。
【0091】
ウェアラブル端末装置10のCPU11は、指示情報133を受信すると、指示情報133に基づいて空間における指示画像31の表示位置を特定し、指示画像データ1321を生成する(ステップS109)。また、CPU11は、指示画像データ1321に基づいて指示画像31を表示部14に表示させる(ステップS110)。また、CPU11は、指示画像31を表示させたときのキャプチャ画像を記録する(すなわち、記憶部13に記憶させる)(ステップS110)。
【0092】
CPU11は、指示画像31を変更するためのユーザ操作を受け付ける(ステップS111)。CPU11は、指示画像31に注釈を付加するユーザ操作が行われたか否かを判別する(ステップS112)。当該ユーザ操作が行われたと判別された場合には(ステップS112で“YES”)、注釈の内容を含む注釈情報を外部機器20に送信し(ステップS113)、指示画像31に対する注釈の付加を反映させる(ステップS114)。すなわち、CPU11は、指示画像データ1321に注釈の情報を追加し、当該情報の追加後の指示画像データ1321に基づいて指示画像31の表示を更新する。
【0093】
ステップS114の処理が終了した場合、またはステップS112において指示画像31に注釈を付加するユーザ操作が行われていないと判別された場合には(ステップS112で“NO”)、CPU11は、指示画像31の表示位置を変更するユーザ操作が行われたか否かを判別する(ステップS115)。当該ユーザ操作が行われたと判別された場合には(ステップS115で“YES”)、CPU11は、指示画像31の表示位置の変更に許可が必要な設定となっているか否かを判別する(ステップS116)。当該許可が必要な設定となっていると判別された場合には(ステップS116で“YES”)、CPU11は、外部機器20に対し、指示画像31の表示位置を変更する旨の通知、および表示位置の変更の許可を求める許可要求信号を送信する(ステップS117)。
【0094】
外部機器20のCPU11は、許可要求信号を受信すると、遠隔指示者Bによる許可操作に応じて、許可信号をウェアラブル端末装置10に送信する(ステップS118)。
【0095】
ウェアラブル端末装置10のCPU11は、許可信号を受信した場合、またはステップS116において表示位置の変更に許可が必要な設定となっていないと判別された場合には(ステップS116で“NO”)、指示画像31の表示位置および表示態様(例えば、色)を変更し、変更したユーザAを表す識別情報311aを含む付加仮想画像311を指示画像31に付加する(ステップS119)。すなわち、CPU11は、指示画像データ1321において指示画像31の表示位置および表示態様を変更し、付加仮想画像311の情報を追加した上で、変更後の指示画像データ1321に基づいて指示画像31を表示させる。なお、ステップS116で“NO”と分岐した場合に、外部機器20に対して、指示画像31の表示位置を変更する旨の通知を送信してもよい。
【0096】
ステップS119が終了した場合、またはステップS115において指示画像31の表示位置を変更するユーザ操作が行われていないと判別された場合には(ステップS115で“NO”)、CPU11は、指示画像31に係る他の変更を行うためのユーザ操作が行われたか否かを判別する(ステップS120)。ステップS120で受け付けられるユーザ操作は、特には限られないが、例えば指示画像31の表示態様(色など)、向き、大きさ、および種別などを変更するためのユーザ操作であってもよい。当該ユーザ操作が行われたと判別された場合には(ステップS120で“YES”)、CPU11は、当該ユーザ操作に応じて指示画像31の表示を変更する(ステップS121)。
【0097】
ステップS121が終了した場合、またはステップS120において指示画像31に係る他の変更を行うためのユーザ操作が行われていないと判別された場合には(ステップS120で“NO”)、CPU11は、キャプチャ画像の表示条件を満たすか否かを判別する(ステップS123)。ここでは、CPU11は、ユーザAの視認領域41に指示画像31の表示位置が含まれている場合に、キャプチャ画像の表示条件を満たすと判別する。キャプチャ画像の表示条件を満たすと判別された場合には(ステップS122で“YES”)、CPU11は、キャプチャ画像34を表示部14に表示させる(ステップS123)。なお、キャプチャ画像34を表示させるためのユーザ操作に応じてステップS123を実行してもよい。
【0098】
ステップS123が終了した場合、またはステップS122においてキャプチャ画像の表示条件を満たさないと判別された場合には(ステップS122で“NO”)、CPU11は、ユーザAによりライブ通信を終了させる指示がなされたか否かを判別する(ステップS124)。当該指示がなされていないと判別された場合には(ステップS124で“NO”)、CPU11は、処理をステップS109に戻す。当該指示がなされたと判別された場合には(ステップS124で“YES”)、CPU11は、音声通話およびカメラ154による撮影画像の送信を終了させ(ステップS125)、遠隔指示処理を終了させる。
【0099】
外部機器20のCPU21は、ステップS118が終了すると、遠隔指示者Bによりライブ通信を終了させる指示がなされたか否かを判別する(ステップS126)。当該指示がなされていないと判別された場合には(ステップS126で“NO”)、CPU21は、処理をステップS106に戻す。当該指示がなされたと判別された場合には(ステップS126で“YES”)、CPU21は、音声通話およびカメラ154による撮影画像の受信を終了させ(ステップS127)、遠隔指示処理を終了させる。
【0100】
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態に係る表示システム1の構成について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態においてウェアラブル端末装置10のCPU11が実行していた処理の一部を外部の情報処理装置80が実行する点で第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態との相違点について説明し、共通する点については説明を省略する。
【0101】
図19に示すように、表示システム1は、ウェアラブル端末装置10と、複数の外部機器20と、ウェアラブル端末装置10およびネットワークNに通信接続された情報処理装置80(サーバ)とを備える。ウェアラブル端末装置10と情報処理装置80との間の通信経路の少なくとも一部は、無線通信によるものであってもよい。ウェアラブル端末装置10のハードウェア構成は、第1の実施形態と同様とすることができるが、情報処理装置80が実行する処理と同一の処理を行うためのプロセッサは省略してもよい。
【0102】
図20に示すように、情報処理装置80は、CPU81と、RAM82と、記憶部83と、操作表示部84と、通信部85などを備え、これらの各部はバス86により接続されている。
【0103】
CPU81は、各種演算処理を行い、情報処理装置80の各部の動作を統括制御するプロセッサである。CPU81は、記憶部83に記憶されたプログラム831を読み出して実行することで、各種制御動作を行う。
【0104】
RAM82は、CPU81に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0105】
記憶部83は、コンピュータとしてのCPU81により読み取り可能な非一時的な記録媒体である。記憶部83は、CPU81により実行されるプログラム831、および各種設定データなどを記憶する。プログラム831は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部83に格納されている。記憶部83としては、例えばフラッシュメモリを備えたSSD、またはHDDなどの不揮発性の記憶装置が用いられる。
【0106】
操作表示部84は、液晶ディスプレイ等の表示装置と、マウスおよびキーボードといった入力装置とを備える。操作表示部84は、表示装置において表示システム1の動作ステータスや処理結果等の各種表示を行う。ここで、表示システム1の動作ステータスには、ウェアラブル端末装置10のカメラ154によるリアルタイムの撮影画像が含まれてもよい。また、操作表示部84は、入力装置に対するユーザの入力操作を操作信号に変換してCPU81に出力する。
【0107】
通信部85は、ウェアラブル端末装置10と通信を行ってデータを送受信する。例えば、通信部85は、ウェアラブル端末装置10のセンサー部15による検出結果の一部または全部を含むデータ、およびウェアラブル端末装置10が検出したユーザの操作(ジェスチャー)に係る情報などを受信する。また、通信部85は、ウェアラブル端末装置10以外の他の装置、例えば外部機器20との通信が可能であってもよい。
【0108】
このような構成の表示システム1において、情報処理装置80のCPU81は、第1の実施形態においてウェアラブル端末装置10のCPU11が実行していた処理の少なくとも一部を実行する。例えば、CPU81は、深度センサー153による検出結果に基づいて空間40の3次元マッピングを行ってもよい。また、CPU81は、センサー部15の各部による検出結果に基づいて空間40内におけるユーザの視認領域41を検出してもよい。また、CPU81は、ウェアラブル端末装置10のユーザの操作に応じて、または外部機器20から受信した指示情報に基づいて、仮想画像30に係る仮想画像データ132、および指示画像31に係る指示画像データ1321を生成してもよい。また、CPU81は、深度センサー153およびカメラ154による撮像画像に基づいてユーザの手(および/または指)の位置および向きを検出してもよい。
【0109】
CPU21による上記の処理結果は、通信部25を介してウェアラブル端末装置10に送信される。ウェアラブル端末装置10のCPU11は、受信した処理結果に基づいてウェアラブル端末装置10の各部(例えば表示部14)を動作させる。また、CPU81は、ウェアラブル端末装置10に制御信号を送信して、ウェアラブル端末装置10の表示部14の表示制御、および/またはスピーカー18の出力制御を行ってもよい。
【0110】
このように、情報処理装置80において処理の少なくとも一部を実行することで、ウェアラブル端末装置10の装置構成を簡素化することができ、また製造コストを低減することができる。また、より高性能な情報処理装置80を用いることで、MRに係る各種の処理を高速化および高精度化することができる。よって、空間40の3Dマッピングの精度を高めたり、表示部14による表示品質を高めたり、ユーザの動作に対する表示部14の反応速度を高めたりすることができる。
【0111】
〔その他〕
なお、上記実施形態は例示であり、様々な変更が可能である。
【0112】
例えば、上記実施形態では、ユーザに現実空間を視認させるために、光透過性を有するバイザー141を用いたが、これに限られない。例えば、遮光性を有するバイザー141を用い、カメラ154により撮影された空間40の画像をユーザに視認させてもよい。すなわち、CPU11は、カメラ154により撮影された空間40の画像、および当該空間40の画像に重ねられた仮想画像30を表示部14に表示させてもよい。このような構成によっても、現実空間に仮想画像30を融合させるMRを実現できる。
【0113】
また、カメラ154による現実空間の撮影画像に代えて、予め生成された仮想空間の画像を用いることで、仮想空間にいるように体感させるVRを実現できる。このVRにおいても、ユーザの視認領域41が特定されて、仮想空間のうち視認領域41の内部にある部分、および視認領域41の内部に表示位置が定められている仮想画像30が表示される。よって、上記各実施形態と同様に、指示者ごとに異なる表示態様で指示画像31を表示させる表示動作を適用できる。
【0114】
また、上記実施形態では、ウェアラブル端末装置10および外部機器20がライブ通信を行っている期間に、ウェアラブル端末装置10のユーザAによるユーザ操作に応じて指示画像31の表示を変更する例を挙げて説明したが、これに限られない。例えば、ウェアラブル端末装置10のユーザAと、外部機器20の遠隔指示者Bとの意思疎通を行いやすいライブ通信期間中には、ユーザAによる指示画像31の変更を受け付けず、ライブ通信が行われていない期間に、ユーザAによる指示画像31の変更を受け付けるようにしてもよい。すなわち、CPU11は、ライブ通信が行われているライブ通信期間においては、指示画像31の変更を行わず、ライブ通信期間を除いた期間においては、指示画像31の変更を行うこととしてもよい。これにより、ウェアラブル端末装置10のユーザAは、ライブ通信を介して遠隔指示者Bとの意思疎通を行うことができない期間において、注釈の付加によりメモを記録したり、指示画像31の表示位置を適切な位置に変更したりすることができる。なお、ライブ通信期間を除いた期間においてウェアラブル端末装置10における指示画像31の変更を可能とし、ライブ通信期間においては、外部機器20を操作する遠隔指示者Bの指示に応じて、ウェアラブル端末装置10における指示画像31の変更を可能とするか否かを切り替えてもよい。
【0115】
また、仮想画像データ132および指示画像データ1321は、ウェアラブル端末装置10の外部に設けられた外部記憶装置(例えば、第2の実施形態における情報処理装置80)に記憶されていてもよい。この場合には、ウェアラブル端末装置10のCPU11は、外部記憶装置から仮想画像データ132を取得して仮想画像30を表示し、また、外部記憶装置から指示画像データ1321を取得して指示画像31を表示する。
【0116】
また、上記実施形態では、ウェアラブル端末装置10において指示画像31を変更するためのユーザ操作がなされた場合に、当該ユーザ操作に応じて指示画像データ1321を変更し、変更後の指示画像データ1321に基づいて指示画像31の表示を更新したが、これに限られない。例えば、上記ユーザ操作に応じて、外部機器20から受信した指示情報133を変更してもよい。その上で、変更後の指示情報133に基づいて、再度指示画像データ1321を生成し、当該指示画像データ1321に基づいて指示画像31を表示させてもよい。
【0117】
また、外部機器20から受信した指示情報133に、上記実施形態の指示画像データ1321に相当する情報が含まれている場合には、指示画像データ1321の生成を省略し、指示情報133に基づいて指示画像31を表示させてもよい。この場合には、ウェアラブル端末装置10において指示画像31を変更するためのユーザ操作が行われると、当該ユーザ操作の内容に応じて指示情報133の内容が変更され、変更後の指示情報133に基づいて指示画像31の表示が更新される。
【0118】
また、指示画像31の変更が、一または二以上のユーザによって複数回行われた場合に、指示画像31の変更が行われるごとに、別個の指示画像データ1321を生成して記憶部13に記憶させてもよい。これによれば、各変更が行われた直後のバージョンを含む複数のバージョンの指示画像31を、変更の履歴として残すことができる。よって、所望のバージョンに対応する指示画像データ1321に基づいて指示画像31を表示させることで、所望のバージョンの指示画像31を表示させることができる。また、最初の変更が行われる前の指示画像31に対応する指示画像データ1321を残しておくことで、変更前の状態の指示画像31を表示させることもできる。
【0119】
ウェアラブル端末装置10は、図1に例示した環状の本体部10aを有するものに限られず、装着時にユーザが視認可能な表示部を有していれば、どのような構造であってもよい。例えば、ヘルメットのように頭部全体を覆う構成であってもよい。また、メガネのように、耳に掛けるフレームを有し、フレーム内に各種機器が内蔵されていてもよい。
【0120】
仮想画像30は必ずしも空間40において静止していなくてもよく、所定の軌跡で空間40の内部を移動していてもよい。
【0121】
また、ユーザのジェスチャーを検出して入力操作として受け付ける例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、ユーザが手に持ったり、体に装着したりして使用するコントローラにより入力操作が受け付けられてもよい。
【0122】
音声データ通信による音声通話の実行中に、外部機器20からウェアラブル端末装置10に対して指示画像31の表示指示が行われる例を用いて説明したが、これに限定されず、音声データ通信を伴わずに指示画像31の表示指示が行われてもよい。
【0123】
ウェアラブル端末装置10および外部機器20の間で音声通話を行う例を用いて説明したが、これに限られず、ビデオ通話が可能であってもよい。この場合には、遠隔操作者を撮影するウェブカメラを外部機器20に設け、当該ウェブカメラで撮影している画像データをウェアラブル端末装置10に送信して表示部14にて表示させればよい。
【0124】
指示画像31は、ウェアラブル端末装置10のユーザに対する作業指示のために表示されるものに限られない。指示画像31は、ウェアラブル端末装置10のユーザに視認させることを目的として、指示者(ユーザ自身を含む)の指示に基づいてウェアラブル端末装置10において表示される任意の仮想画像30を含む。
【0125】
その他、上記実施の形態で示した構成および制御の具体的な細部は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態で示した構成および制御を適宜組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本開示は、ウェアラブル端末装置、プログラムおよび表示方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 表示システム
10 ウェアラブル端末装置
10a 本体部
11 CPU(プロセッサ)
12 RAM
13 記憶部
131 プログラム
132 仮想画像データ
1321 指示画像データ(指示画像情報)
133 指示情報
14 表示部
141 バイザー(表示部材)
142 レーザースキャナー
15 センサー部
151 加速度センサー
152 角速度センサー
153 深度センサー
154 カメラ
155 アイトラッカー
16 通信部
17 マイク
18 スピーカー
19 バス
20 外部機器
21 CPU
23 記憶部
231 プログラム
24 操作表示部
241 指示者用画面
30 仮想画像
31 指示画像
311 付加仮想画像
311a、312a 識別情報
312 注釈仮想画像
313 注釈仮想画像
314 変更反映ボタン
32、33 通知仮想画像
34 キャプチャ画像
40 空間
41 視認領域
411 仮想線
412 ポインタ
51 モニター
52 ボトル
61 設定パネル
62 矢印アイコン
63 ペン入力アイコン
64 画像アイコン
71 ライクボタン
72 ディスライクボタン
73 コメント表示ボタン
80 情報処理装置
81 CPU
83 記憶部
831 プログラム
A ユーザ
B 遠隔指示者
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図20