(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-09
(45)【発行日】2024-08-20
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
B61D 17/08 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B61D17/08
(21)【出願番号】P 2024098208
(22)【出願日】2024-06-18
【審査請求日】2024-06-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 征広
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 賢太
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-168673(JP,A)
【文献】特開2010-012863(JP,A)
【文献】特開2011-201369(JP,A)
【文献】特開2024-015702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台枠と、前記台枠の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体を有する鉄道車両において、
前記側構体は、
前記鉄道車両の外側の表面を形成する側外板と、
前記側外板の車内側にて、軌道方向に沿って設けられる横骨と、
前記側外板の車内側にて、上下方向に沿って設けられる縦骨と、
前記側外板に設けられ、乗客乗降口となる入口開口部と、
を備え、
前記横骨は、断面がハット形状に形成され、
前記縦骨は、
前記横骨の上面部と接合する入口側第1フランジ部と、
前記入口側第1フランジ部よりも車外側の位置で、前記側外板と接合する入口側第2フランジ部と、
を備え、
前記入口側第2フランジ部には、前記入口開口部に沿うように延伸して前記入口開口部の隅部を補強する入口延伸部が設けられており、
かつ、
前記入口開口部の周囲に入口フレームが取り付けられており、
前記入口フレームは、その上部に、前記入口開口部への取り付け時に前記側外板に差し込むことができる差込み部を備えていること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1の鉄道車両において、
前記入口側第1フランジ部は、上下方向に沿ってのみ形成されており、
前記入口延伸部は、前記入口側第1フランジ部から分岐するようにして前記入口側第1フランジ部と直交する方向に向かって延伸していること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1または2の鉄道車両において、
前記側構体は、前記側外板に設けられ、窓部となる窓開口部を備え、
前記縦骨は、
前記横骨の上面部と接合する窓側第1フランジ部と、
前記窓側第1フランジ部よりも車外側の位置で、前記側外板に接合するシアプレートと接合する窓側第2フランジ部と、
を備え、
前記窓側第2フランジ部には、前記窓開口部に沿うように延伸して前記窓開口部の隅部を補強する窓延伸部が設けられていること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項3の鉄道車両において、
前記窓側第1フランジ部は、上下方向に沿ってのみ形成されており、
前記窓延伸部は、前記窓側第1フランジ部から分岐するようにして前記窓側第1フランジ部と直交する方向に向かって延伸していること、
を特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、台枠と、台枠の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体と、を有する鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、側構体の開口部の隅部(端部)にて、その隅部まで延伸した補強部材(側構体補強部材)を配置し、縦骨の延伸部(延長部)と補強部材とを接合して、開口部の隅部を補強しようとする鉄道車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される鉄道車両においては、開口部の隅部を補強する補強部材が別途必要になるため、部品点数が多くなってしまう。また、縦骨の延長部は、補強部材の頭部と接合しており、側構体の側外板からオフセットした位置(すなわち、側外板から離れた位置)に配置されている。そのため、開口部の隅部を十分に補強できないおそれがある。また、特許文献1には、乗客乗降口となる入口開口部の周囲に取り付けられる入口フレームの側外板への取り付けの容易化に関しては開示されていない。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、開口部の隅部の補強と、入口フレームの側外板への取り付けの容易化との両立ができる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の鉄道車両は、以下の構成を備えている。
(1)台枠と、前記台枠の枕木方向の両端部に接合される一対の側構体を有する鉄道車両において、前記側構体は、前記鉄道車両の外側の表面を形成する側外板と、前記側外板の車内側にて、軌道方向に沿って設けられる横骨と、前記側外板の車内側にて、上下方向に沿って設けられる縦骨と、前記側外板に設けられ、乗客乗降口となる入口開口部と、を備え、前記横骨は、断面がハット形状に形成され、前記縦骨は、前記横骨の上面部と接合する入口側第1フランジ部と、前記入口側第1フランジ部よりも車外側の位置で、前記側外板と接合する入口側第2フランジ部と、を備え、前記入口側第2フランジ部には、前記入口開口部に沿うように延伸して前記入口開口部の隅部を補強する入口延伸部が設けられており、かつ、前記入口開口部の周囲に入口フレームが取り付けられており、前記入口フレームは、その上部に、前記入口開口部への取り付け時に前記側外板に差し込むことができる差込み部を備えていること、を特徴とする。
【0007】
本開示においては、縦骨の入口延伸部により、乗客乗降口となる側外板の入口開口部の隅部を補強できる。そして、この入口延伸部は、横骨に直接接合しておらず、直接的に側外板に接合している。そのため、入口延伸部を側外板に近い位置に配置できるので、入口延伸部により効率的に入口開口部の隅部を補強できる。そして、このようにして、縦骨の入口延伸部により入口開口部の隅部を補強できるので、入口開口部の隅部を補強する補強部材を別途設ける必要がない。したがって、部品点数を抑えながら、側構体における側外板の入口開口部の隅部を補強できる。
【0008】
また、入口フレームを側外板の入口開口部へ取り付けるときに、まず、入口フレームの上部の差込み部の内側に側外板に差し込むことができる。そして、これにより、入口フレームの上部と側外板とを嵌め合わせることができ、その後、入口フレームの下部を側外板へ取り付けることにより、確実に入口フレームを入口開口部に取り付けることができる。そのため、入口フレームの側外板への取り付けが容易になる。
【0009】
(2)(1)の鉄道車両において、前記入口側第1フランジ部は、上下方向に沿ってのみ形成されており、前記入口延伸部は、前記入口側第1フランジ部から分岐するようにして前記入口側第1フランジ部と直交する方向に向かって延伸していること、が好ましい。
【0010】
本開示においては、より効果的に、入口側第1フランジ部により上下方向に沿って側外板を補強しながら、入口延伸部により側外板の入口開口部の隅部を補強できる。
【0011】
(3)(1)または(2)の鉄道車両において、前記側構体は、前記側外板に設けられ、窓部となる窓開口部を備え、前記縦骨は、前記横骨の上面部と接合する窓側第1フランジ部と、前記窓側第1フランジ部よりも車外側の位置で、前記側外板に接合するシアプレートと接合する窓側第2フランジ部と、を備え、前記窓側第2フランジ部には、前記窓開口部に沿うように延伸して前記窓開口部の隅部を補強する窓延伸部が設けられていること、が好ましい。
【0012】
本開示においては、縦骨の窓延伸部により、窓となる側外板の窓開口部の隅部を補強できる。そして、この窓延伸部は、横骨の上面部に直接接合しておらず、直接的にシアプレートに接合している。そのため、窓延伸部を側外板に近い位置に配置できるので、窓延伸部により効率的に窓開口部の隅部を補強できる。そして、このようにして、縦骨の窓延伸部により窓開口部の隅部を補強できるので、窓開口部の隅部を補強する補強部材を別途設ける必要がない。したがって、部品点数を抑えながら、側構体における側外板の窓開口部の隅部を補強できる。
【0013】
(4)(3)の鉄道車両において、前記窓側第1フランジ部は、上下方向に沿ってのみ形成されており、前記窓延伸部は、前記窓側第1フランジ部から分岐するようにして前記窓側第1フランジ部と直交する方向に向かって延伸していること、が好ましい。
【0014】
本開示においては、より効果的に、窓側第1フランジ部により上下方向に沿って側外板を補強しながら、窓延伸部により側外板の窓開口部の隅部を補強できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の鉄道車両によれば、開口部の隅部の補強と、入口フレームの側外板への取り付けの容易化との両立ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1の鉄道車両の車両構体を軌道方向から見た断面(A-A断面)を模式的に示す図である。
【
図4】
図3のB-B断面図(側外板と横骨とシアプレートの断面図)である。
【
図5】
図3のX部(入口部縦骨とその周辺部)の拡大図である。
【
図6】
図5において入口フレームを取り付ける前の状態を示す図である。
【
図7】
図6のC-C断面図(側外板と横骨と入口部縦骨の断面図)である。
【
図8】
図3のY部(窓部縦骨とその周辺部)の拡大図である。
【
図9】
図8のD-D断面図(側外板とシアプレートと窓部縦骨の断面図)である。
【
図10】入口フレームの上部とその周辺部の斜視図である。
【
図11】入口フレームの入口開口部への取り付け時を示す図である。
【
図12】
図11における入口フレームの上部とその周辺の斜視図(一部断面図)である。
【
図13】入口フレームを入口開口部に取り付けた後を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の鉄道車両の実施形態について説明する。
【0018】
[鉄道車両の構成について]
図1に示すように、鉄道車両1は、軌道201上を走行する車両であり、車両構体11と台車12を有する。
【0019】
図1と
図2に示すように、車両構体11は、台枠21と、一対の切妻構体22と、一対の側構体23と、屋根構体24と、により6面体をなすように構成されている。
【0020】
台枠21は、鉄道車両1の床部を形成している。一対の切妻構体22は、台枠21の軌道方向の両端部に立設されることで、鉄道車両1の連結部を形成している。一対の側構体23は、台枠21の枕木方向の両端部に接合されて立設されることで、車両構体11の側面11aを形成している。屋根構体24は、切妻構体22および側構体23の上端部に接合されることで、車両構体11の屋根面11bを形成している。
【0021】
また、車両構体11には、
図1に示すように、内部の客室に通じる乗客乗降口31および窓32が設けられている。
【0022】
台車12は、空気ばね13を介して車両構体11を支持している。
【0023】
なお、本実施形態の鉄道車両1は、
図1に示す例では軌道方向の両端部に連結部が形成される中間車両であるが、これに限定されるものではなく、先頭車両であっても良い。鉄道車両1が先頭車両である場合には、台枠21の軌道方向の両端部のうちの一方の端部に、鉄道車両1の先頭部を形成する先頭妻構体(図示なし)が立設され、他方の端部に、鉄道車両1の連結部を形成する切妻構体22が立設される。
【0024】
[側構体について]
次に、側構体23について説明する。
【0025】
図3に示すように、側構体23は、側外板41と、横骨42と、縦骨43と、シアプレート44と、入口フレーム45などを備えている。
【0026】
側外板41は、鉄道車両1の車両構体11の外側の表面である側面11aを形成している。この側外板41は、横骨42を介して、縦骨43により、車内側(すなわち、鉄道車両1の内側)から支持されている。また、側外板41には、乗客乗降口31となる入口開口部51と、窓32となる窓開口部52と、が設けられている。なお、側外板41は、炭素鋼、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属の板材(板厚が例えば2.0mm)により形成されている。また、入口開口部51と窓開口部52は、それぞれ、本開示の「開口部」の一例である。
【0027】
横骨42は、側外板41の車内側にて、複数設けられており、鉄道車両1の軌道方向に沿って設けられている。なお、横骨42は、炭素鋼、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属の板材(板厚が例えば2.0mm)により形成されている。
【0028】
図4に示すように、横骨42は、その長手方向(すなわち、鉄道車両1の軌道方向)から見た断面が、ハット形状に形成されている。具体的には、横骨42は、その長手方向から見た断面がコの字状のチャンネル部61と、長手方向に直交する方向(すなわち、鉄道車両1の上下方向)の両側に張り出したフランジ部62と、を備えている。
【0029】
チャンネル部61は、上面部61aと側面部61bとから構成されている。そして、上面部61aは、フランジ部62よりも車内側に設けられており、後述するように、入口部縦骨71の第1フランジ部81や、窓部縦骨72の第1フランジ部101が接合されている。なお、第1フランジ部81は、本開示の「入口側第1フランジ部」の一例である。また、第1フランジ部101は、本開示の「窓側第1フランジ部」の一例である。
【0030】
図3に示すように、縦骨43は、側外板41の車内側にて、鉄道車両1の上下方向に沿って設けられている。なお、縦骨43は、炭素鋼、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属の板材(板厚が例えば2.0mm)により形成されている。
【0031】
本実施形態では、縦骨43として、入口部縦骨71と窓部縦骨72が設けられている。
【0032】
入口部縦骨71は、入口開口部51における軌道方向の両側に設けられている。この入口部縦骨71は、
図7に示すように、その長手方向(すなわち、鉄道車両1の上下方向)から見た断面が、Z形状に形成されている。具体的には、入口部縦骨71は、第1フランジ部81と、第2フランジ部82と、立設部83と、を備えている。
【0033】
第1フランジ部81は、
図5や
図6に示すように、第2フランジ部82に対して入口開口部51とは反対側に設けられている。そして、この第1フランジ部81は、
図7に示すように、第2フランジ部82よりも車内側に設けられており、横骨42の上面部61aと接合している。
【0034】
第2フランジ部82は、
図5や
図6に示すように、第1フランジ部81に対して入口開口部51側に設けられている。そして、この第2フランジ部82は、
図7に示すように、第1フランジ部81よりも車外側(すなわち、鉄道車両1の外側)に設けられており、側外板41と接合している。なお、第2フランジ部82は、本開示の「入口側第2フランジ部」の一例である。
【0035】
このようにして、
図7に示すように、入口部縦骨71において、第1フランジ部81と第2フランジ部82とで高さ(すなわち、鉄道車両1の内外方向の位置)が異なっている。なお、立設部83は、第1フランジ部81と第2フランジ部82とに接続する部分である。
【0036】
窓部縦骨72は、
図9に示すように、その長手方向(すなわち、鉄道車両1の上下方向)から見た断面が、ハット形状に形成されている。具体的には、窓部縦骨72は、その長手方向から見た断面がコの字状のチャンネル部100と、長手方向に直交する方向(すなわち、鉄道車両1の軌道方向)の両側に張り出した第1フランジ部101および第2フランジ部102と、を備えている。
【0037】
第1フランジ部101は、
図8に示すように、第2フランジ部102に対して窓開口部52とは反対側に設けられている。そして、この第1フランジ部101は、
図9に示すように、第2フランジ部102よりも車内側に設けられており、横骨42の上面部61aと接合している。
【0038】
第2フランジ部102は、
図8に示すように、第1フランジ部101に対して窓開口部52側に設けられている。そして、この第2フランジ部102は、
図9に示すように、第1フランジ部101よりも車外側に設けられており、シアプレート44と接合している。なお、第2フランジ部102は、本開示の「窓側第2フランジ部」の一例である。
【0039】
このようにして、
図9に示すように、窓部縦骨72において、第1フランジ部101と第2フランジ部102とで高さが異なっている。
【0040】
シアプレート44は、
図4や
図9に示すように、側外板41の車内側に接合している。このシアプレート44は、炭素鋼、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属の板材(板厚が例えば2.0mm)により形成されている。
【0041】
入口フレーム45は、
図3に示すように、入口開口部51の周囲にて、側外板41に取り付けられている。
【0042】
[開口部の隅部の補強について]
車両構体11の側面11aを形成する側外板41における開口部(すなわち、入口開口部51や窓開口部52)の隅部(すなわち、略四角形の角部に相当する部分)は、高い応力が発生しやすいので、補強する必要がある。そこで、補強部材を別途設けることにより補強することが考えられるが、部品点数が多くなってしまう。また、例えば側外板41と横骨42と補強部材の3つの部材を同時にレーザ溶接することが難しいことから、側外板41からオフセットした位置に補強部材を配置した場合には、補強部材により側外板41の開口部を十分に補強できないおそれがある。
【0043】
そこで、本実施形態では、縦骨43のフランジ部を側外板41における入口開口部51や窓開口部52に沿うように延長させて、側外板41やシアプレート44と一体化させることで、部品点数を抑えながら、入口開口部51や窓開口部52の隅部を補強する。
【0044】
具体的には、
図6に示すように、入口部縦骨71の第2フランジ部82には、入口開口部51に沿うように延伸して入口開口部51の隅部を補強する延伸部91が設けられている。この延伸部91は、入口開口部51の隅部にて、
図7に示すように側外板41と接合しており一体化している。なお、延伸部91は、本開示の「入口延伸部」の一例である。
【0045】
また、
図8に示すように、窓部縦骨72の第2フランジ部102には、窓開口部52に沿うように延伸して窓開口部52の隅部を補強する延伸部111が設けられている。この延伸部111は、窓開口部52の隅部にて、
図9に示すようにシアプレート44と接合しており一体化している。なお、延伸部111は、本開示の「窓延伸部」の一例である。
【0046】
[入口フレームについて]
本実施形態では、入口開口部51の周囲には入口フレーム45が配置され、
図10に示すように、入口フレーム45は、枠部材121と補強部材122とを備えている。枠部材121は、周状に形成されており、入口フレーム45の枠を形成する部材である。補強部材122は、枠部材121の上部の(軌道方向の両側の)2箇所に設けられ、枠部材121を補強するための部材である。
【0047】
ここで、補強部材122は、枠部材121から車内側に突出するようにして形成されている。そして、このように補強部材122は枠部材121から車内側に突出しているので、枠部材121と補強部材122との間には隙間(断面L形の枠部材121の側外板41と平行な面と補強部材122とで形成される隙間)が設けられている。そこで、本実施形態では、この隙間を入口フレーム45の入口開口部51への取り付け時に側外板41と入口部縦骨71の第2フランジ部82(延伸部91含む)に差し込むことができる差込み部123として利用する。
【0048】
これにより、入口フレーム45を側外板41の入口開口部51へ取り付けるときに、まず、
図11と
図12に示すように、入口フレーム45の上部の2つの差込み部123の内側を側外板41と入口部縦骨71(詳しくは、第2フランジ部82の延伸部91)に差し込むことができる。そして、これにより、入口フレーム45の上部と側外板41および入口部縦骨71の第2フランジ部82とを嵌め合わせることができ、その後、入口フレーム45の下部を側外板41へ取り付けることにより、確実に入口フレーム45を入口開口部51に取り付けることができる。そのため、入口フレーム45の入口開口部51への取り付けが容易になる。
【0049】
[本実施形態の作用効果について]
以上、詳細に説明した本実施形態に係る鉄道車両1によれば、入口部縦骨71は、側外板41と接合する第2フランジ部82を備えている。そして、この第2フランジ部82には、入口開口部51に沿うように延伸して入口開口部51の隅部を補強する延伸部91が設けられている。
【0050】
このようにして、入口部縦骨71の延伸部91により、入口開口部51の隅部を補強できる。そして、この延伸部91は、横骨42の上面部61aと直接接合しておらず、直接的に側外板41と接合している。そのため、延伸部91を側外板41に近い位置に配置できるので、延伸部91により効率的に入口開口部51の隅部を補強できる。そして、このようにして、入口部縦骨71の延伸部91により入口開口部51の隅部を補強できるので、入口開口部51の隅部を補強する補強部材を別途設ける必要がない。したがって、部品点数を抑えながら、入口開口部51の隅部を補強できる。
【0051】
また、入口フレーム45は、その上部に、側外板41の入口開口部51への取り付け時に側外板41および入口部縦骨71の第2フランジ部82に差し込むことができる差込み部123を備えている。
【0052】
これにより、入口フレーム45を側外板41の入口開口部51へ取り付けるときに、まず、入口フレーム45の上部の差込み部123の内側を側外板41および入口部縦骨71の第2フランジ部82に差し込むことができる。そして、これにより、入口フレーム45の上部と側外板41および入口部縦骨71の第2フランジ部82とを嵌め合わせることができ、その後、入口フレーム45の下部を側外板41へ取り付けることにより、確実に入口フレーム45を入口開口部51に取り付けることができる。そのため、入口フレーム45の入口開口部51への取り付けが容易になる。
【0053】
また、第1フランジ部81は、上下方向に沿ってのみ形成されており、第2フランジ部82の延伸部91は、第1フランジ部81から分岐する(すなわち、離れる)ようにして第1フランジ部81が延在する車両上下方向と直交する方向に向かって延伸している。
【0054】
これにより、より効果的に、第1フランジ部81により上下方向に沿って側外板41を補強しながら、第2フランジ部82の延伸部91により側外板41の入口開口部51の隅部を補強できる。
【0055】
また、窓部縦骨72は、シアプレート44に接合する第2フランジ部102を備えている。そして、この第2フランジ部102には、窓開口部52に沿うように延伸して窓開口部52の隅部を補強する延伸部111が設けられ、延伸部111は、側外板41に接合するシアプレート44と接合している。
【0056】
このようにして、窓部縦骨72の延伸部111により、窓開口部52の隅部を補強できる。そして、この延伸部111は、横骨42の上面部61aと直接接合しておらず、直接的にシアプレート44と接合している。そのため、延伸部111を側外板41に近い位置に配置できるので、延伸部111により効率的に窓開口部52の隅部を補強できる。そして、このようにして、窓部縦骨72の延伸部111により窓開口部52の隅部を補強できるので、窓開口部52の隅部を補強する補強部材を別途設ける必要がない。したがって、部品点数を抑えながら、窓開口部52の隅部を補強できる。
【0057】
また、第1フランジ部101は、上下方向に沿ってのみ形成されており、第2フランジ部102の延伸部111は、第1フランジ部101から分岐する(すなわち、離れる)ようにして第1フランジ部101が延在する車両上下方向と直交する方向に向かって延伸している。
【0058】
これにより、より効果的に、第1フランジ部101により上下方向に沿って側外板41を補強しながら、第2フランジ部102の延伸部111により側外板41の窓開口部52の隅部を補強できる。
【0059】
また、入口部縦骨71の断面はZ形状に形成されている一方で、窓部縦骨72の断面はハット形状に形成されている。
【0060】
このようにして、入口開口部51や窓開口部52の仕様に合わせて、縦骨43の断面形状を形成することにより、より効果的に、入口開口部51または窓開口部52の隅部を補強できる。
【0061】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0062】
例えば、上記の説明では、
図3などに示すように、延伸部91は、入口開口部51の上側の隅部を補強するものであったが、入口開口部51の下側の隅部、または、上側および下側の両方の隅部を補強するものとしてもよい。また、
図3などに示すように、延伸部111は、窓開口部52の上側および下側の両方の隅部を補強するものであったが、窓開口部52の上側または下側の一方の隅部を補強するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 鉄道車両
11 車両構体
11a 側面
12 台車
21 台枠
23 側構体
31 乗客乗降口
32 窓
41 側外板
42 横骨
43 縦骨
44 シアプレート
45 入口フレーム
51 入口開口部
52 窓開口部
61 チャンネル部
61a 上面部
71 入口部縦骨
72 窓部縦骨
81 第1フランジ部
82 第2フランジ部
91 延伸部
100 チャンネル部
101 第1フランジ部
102 第2フランジ部
111 延伸部
123 差込み部
【要約】
【課題】開口部の隅部の補強と、入口フレームの側外板への取り付けの容易化との両立ができる鉄道車両を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様は、鉄道車両1において、横骨42は、断面がハット形状に形成され、縦骨43は、横骨42の上面部61aと接合する第1フランジ部81,101と、第1フランジ部81,101よりも車外側の位置で、側外板41またはシアプレート44と接合する第2フランジ部82,102と、を備え、第2フランジ部82,102には、入口開口部51または窓開口部52に沿うように延伸して入口開口部51または窓開口部52の隅部を補強する延伸部91,111が設けられている。また、入口フレーム45は、その上部に、入口開口部51への取り付け時に側外板41に差し込むことができる差込み部123を備えている。
【選択図】
図3