IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディアメトロス メディカル エス.アール.エル.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】棘突起間椎骨伸延器
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022560352
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 IB2020053350
(87)【国際公開番号】W WO2021205209
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】522388372
【氏名又は名称】ディアメトロス メディカル エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルラッティ、ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】フォルトゥナ、ロレンゾ
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/069877(WO,A1)
【文献】特開2021-065735(JP,A)
【文献】特表2008-532731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0108990(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの棘突起の間に置かれるように設計されており、縦軸、矢状面、および、前額面を規定している棘突起間椎骨伸延器であって、前記棘突起間椎骨伸延器が、
前記2つの棘突起の間に置かれるように設計されており、前記縦軸に関して第1の端部および第2の端部を画定しているベースボディと、
前記第1の端部にて前記ベースボディに堅固に取り付けられおり、前記前額面に垂直に拡張するように設計されている固定ユニットと、
前記固定ユニットが前記棘突起間椎骨伸延器を前記2つの棘突起の間で規制する拡張位置と、前記固定ユニットが前記棘突起間椎骨伸延器を前記2つの棘突起の間で規制しない収縮位置との間での前記固定ユニットの移転を制御するように設計されたアクチュエータと
を備え、
それぞれが前記2つの棘突起のうちの1つを収容するように設計されている2つの窪みが前記前額面の反対側に置かれる状態で外形を画定するように、前記ベースボディが、2つの相対する凸部を含む矢状断を有し、
前記ベースボディが、前記第1の端部にて最小断面を含むテーパ状の前額断を有し、
前記ベースボディの前記前額断が、第1のセクタ、第2のセクタ、および、中央セクタを含み、
前記第1のセクタが、前記第1の端部にあり、最小の高さを有し、前記第2のセクタが、前記第2の端部にあり、最大の高さを有し、前記中央セクタが、前記矢状面に対して反対側に置かれ、前記第1のセクタと前記第2のセクタとをつないでいる2つのスロープを画定している、
棘突起間椎骨伸延器。
【請求項2】
前記窪みが、基本的には少なくとも1つのスロープ上に形成されている、請求項1に記載の棘突起間椎骨伸延器。
【請求項3】
前記スロープの始まり部分は、前記第1の端部からの軸方向距離が、前記窪みの底部よりも短い、請求項2に記載の棘突起間椎骨伸延器。
【請求項4】
前記窪みの底部に作られる前記ベースボディの径方向断面が、基本的には互いに等しい前額高さおよび矢状高さを有している、請求項2または3に記載の棘突起間椎骨伸延器。
【請求項5】
前記窪みの底部での前記ベースボディの矢状高さが、前記窪みの頂点での前記ベースボディの前記矢状高さの85%よりも基本的には低いことが好ましい、請求項1から4のいずれか1項に記載の棘突起間椎骨伸延器。
【請求項6】
縦軸を規定している棘突起間椎骨伸延器と、
前記棘突起間椎骨伸延器のための制御器と
を備える棘突起間伸延デバイスであって、
前記棘突起間椎骨伸延器が、
2つの棘突起の間に置かれるように設計されており、前記縦軸に関して第1の端部および第2の端部を画定しているベースボディと、
前記第1の端部にて前記ベースボディに取り付けられており、拡張することで前記2つの棘突起にて前記棘突起間椎骨伸延器を規制するように設計されている係止ユニットと、
前記係止ユニットが前記棘突起間椎骨伸延器を前記2つの棘突起の間で規制する拡張位置と、前記係止ユニットが前記棘突起間椎骨伸延器を前記2つの棘突起の間で規制しない収縮位置との間での前記係止ユニットの移転を制御するためのアクチュエータと
を有しており、
前記ベースボディが、前記アクチュエータに接近するための開口部を前記第2の端部に有していること、
前記制御器が、
第1のツールであって、前記開口部と連通するようにチャネルを配置することにより、自体を前記第2の端部にて回転可能に前記ベースボディに取り付けて、前記棘突起に関する前記棘突起間椎骨伸延器の回転を制御するように設計された第1のツールと、
前記アクチュエータを通じて、前記係止ユニットの位置の変化を制御するように設計された第2のツールと
を有すること、
前記第1のツールが、中空チャネルを含み、
前記第2のツールが、前記チャネルに挿入され、前記第1のツールに関して回転されることで、前記係止ユニットを制御するように設計されており、
前記棘突起間椎骨伸延器が、矢状面および前額面を規定しており、前記ベースボディの前額断が、第1のセクタ、第2のセクタ、および、中央セクタを含み、前記第1のセクタが、前記第1の端部にあり、最小の高さを有しており、前記第2のセクタが、前記第2の端部にあり、最大の高さを有しており、前記中央セクタが、前記第1のセクタと前記第2のセクタとをつないでいる少なくとも1つのスロープを画定しており、前記ベースボディが、基本的には前記少なくとも1つのスロープに形成されている少なくとも1つの窪みを画定している少なくとも1つの凸部を含む矢状断を有している、
棘突起間伸延デバイス。
【請求項7】
前記第1のツールが、前記ベースボディのみに自体を回転可能に取り付けるように設計されており、前記第2のツールが、前記アクチュエータのみに自体を回転可能に取り付けるように設計されている、請求項6に記載の棘突起間伸延デバイス。
【請求項8】
前記制御器が、前記棘突起間椎骨伸延器に前記第1のツールおよび前記第2のツールを軸方向に取り付けるように設計された第3のツールを有しており、前記第2のツールが、前記第3のツールを収容するように設計された更なる中空チャネルを含んでおり、前記第3のツールが、前記アクチュエータに取り付けられるように設計されている、請求項6または7に記載の棘突起間伸延デバイス。
【請求項9】
前記第1のツールが、少なくとも1つの先端を含んでおり、前記ベースボディが、前記先端の挿入のための少なくとも1つのシートを含んでいる、請求項6から8のいずれか1項に記載の棘突起間伸延デバイス。
【請求項10】
前記第2のツールが、前記第2のツールが前記チャネルの中にある際に、前記第1のツールの外に置かれるように設計された、前記第2のツールの制御ヘッドを含んでいる、請求項6から9のいずれか1項に記載の棘突起間伸延デバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ目の請求項のプリアンブルで特定されるタイプの棘突起間椎骨伸延器/棘突起間椎骨伸延デバイス/棘突起間椎骨伸延手順に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、2つの隣接する椎骨を離隔させるために、好ましくは経皮的に棘突起間の空間に埋め込まれるように設計された埋込具に関する。
【背景技術】
【0003】
周知のように、棘突起間伸延は、棘突起間椎骨伸延器を2つの棘突起の間に導入することにより外科的に実現可能であり、棘突起間椎骨伸延器は、その伸延器を挿入および制御するための操作者制御によるデバイスにより制御される。
【0004】
伸延器は、椎間板変性症の場合に椎骨間で伝達される負荷を制限し、これにより、関連する痛みを制限するのに適した椎間の伸延を維持するために、2つの隣接する椎骨の棘突起間の空間に埋め込まれるように設計されたプロステーシスである。
【0005】
それらは主に、棘突起間に配置することが可能なベースボディと、伸延器の拡張固定手段とからなる。固定手段の拡張は、制御デバイスにより制御される。
【0006】
棘突起間椎骨伸延手順は、2つの隣接する椎骨の棘突起間の空間に伸延器を位置決めすることからなる。詳細には、患者を伏臥位にした状態で、対象の椎間腔を特定し、拡張カニューレを通して棘突起に近づき、挿入される伸延器の寸法がプローブを用いて決定され、最後に、選択された伸延器が挿入される。
【0007】
手順および伸延デバイス、特には伸延器の1つ目の例が、WO2006102269で説明されている。このケースでは、伸延器は、椎間腔を貫通するための第1のオジーブ端を有し、第1のオジーブ端は、開放される第1のウイング対で形成されており、反対の端には、第2の固定ウイング対が備えられており、第2の固定ウイング対は、2つのウイング対の間の柱状部を囲んでいる。
【0008】
他の例が、US8998955の文献で説明されており、2つの移動ウイング対が存在する。各ウイングは、ベースボディに蝶着された一端を有し、他端は自由端である。係止を実行するために、この特許は、自由端を椎骨に向けるように、120°を越える角度だけウイングを回転させることを規定している。
【0009】
更なる例がWO2012069877で説明されており、係止ならびに相対的に容易な導入および取出しが、フック状のウイングを用いて実現される。
【0010】
説明された先行技術は、いくつかの重大な欠点を含んでいる。
【0011】
具体的には、上記で概説された解決法にも関わらず、棘突起間椎骨伸延手順/デバイス、特には伸延器は、相対的に複雑であり、したがって、非常に高価になることである。これは主に、手順中に、操作者が、棘突起間椎骨伸延器を挿入し、その安定した位置決めを規定する際に特定の困難に直面することに起因する。
【0012】
他の欠点は、埋め込まれると、棘突起間椎骨伸延器の安定性が低くなることである。
【0013】
同様に重要な欠点は、移動ウイングの制御キネマティクスが非常に複雑なことである。
【0014】
したがって、他の欠点は、周知の棘突起間椎骨伸延器を実装するコストおよび難しさである。
【0015】
本文脈では、本発明の根底をなす技術的課題は、先に述べられた欠点のうちの少なくともいくつかを実質的に解消することが可能な棘突起間椎骨伸延器/棘突起間椎骨伸延デバイス/棘突起間椎骨伸延手順を作り出すことである。
【0016】
上記の技術的課題は、埋め込まれる際の挿入および安定化の容易な棘突起間椎骨伸延器を本発明が有するという重要な目的を含む。
【0017】
他の目的は、実装するのが容易であり、したがって、コストが低くなった棘突起間椎骨伸延器を提供することである。
【0018】
これらの技術的課題および特定された目的は、請求項1で請求されるような棘突起間椎骨伸延器/棘突起間椎骨伸延デバイス/棘突起間椎骨伸延手順により実現される。好ましい実施形態の例が従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特性および利点が、添付の図面を参照して、その好ましい実施形態の以下での詳細な説明によって明らかにされる。
【0020】
図1】本発明による棘突起間椎骨伸延器を縮尺通りに示す。
図2a】本発明による棘突起間椎骨伸延手順中の一工程での伸延器を縮尺通りに示す。
図2b】本発明による棘突起間椎骨伸延手順中の一工程での伸延器を縮尺通りに示す。
図2c】本発明による棘突起間椎骨伸延手順中の一工程での伸延器を縮尺通りに示す。
図2d】本発明による棘突起間椎骨伸延手順中の一工程での伸延器を縮尺通りに示す。
図2e】本発明による棘突起間椎骨伸延手順中の一工程での伸延器を縮尺通りに示す。
図3図1の伸延器の断面を縮尺通りに示す。
図4】本発明による棘突起間椎骨伸延デバイスの一アセンブリを縮尺通りに示す。
図5図4の一アセンブリを縮尺通りに示す。
図6a】本発明による棘突起間椎骨伸延デバイスについての一準備工程を縮尺通りに表す。
図6b】本発明による棘突起間椎骨伸延デバイスについての一準備工程を縮尺通りに表す。
図6c】本発明による棘突起間椎骨伸延デバイスについての一準備工程を縮尺通りに表す。
図6d】本発明による棘突起間椎骨伸延デバイスについての一準備工程を縮尺通りに表す。
図6e】本発明による棘突起間椎骨伸延デバイスについての一準備工程を縮尺通りに表す。
図6f】本発明による棘突起間椎骨伸延デバイスについての一準備工程を縮尺通りに表す。
図7】本発明による棘突起間椎骨伸延手順を図式化する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本文献では、測度、値、形状、および、幾何的言及(垂直性および平行性など)は、「約(about)」といった語または「およそ(approximately)」もしくは「実質的に(substantially)」などの他の類似する語とともに使用される場合には、生産誤差および/または製造誤差に起因する測定上の誤差または不正確さを除くものであり、中でも、それが関連する値、測度、形状、または、幾何的言及からの軽微な開きを除くものであると理解されたい。例えば、こうした語は、値に関連する場合、値自体の10%以下の開きを示すことが好ましい。
【0022】
さらに、「第1(first)」、「第2(second)」、「より高い(higher)」、「より低い(lower)」、「主な(main)」、および、「二次的(secondary)」などの語が使用される際には、順序、関係上の優先事項、または、相対位置は必ずしも特定しないが、それらは単純に、異なるコンポーネントをより明確に互いから区別するために使用することが可能である。
【0023】
本文で提供される測定値およびデータは、特に明記されていない限り、ICAO国際標準大気(ISO 2533)で実行されたものと見なされる。
【0024】
図面を参照すると、参照番号1は、本発明による棘突起間椎骨伸延器全体を示す。
【0025】
伸延器1は、棘突起間伸延のために埋め込むことが可能な経皮デバイスである。それは、2つの隣接し合う椎骨の間で介在され、これにより、2つの棘突起を離隔するように、棘突起同士の間の空間に埋め込まれるように設計される。
【0026】
伸延器1は、適宜重心になる縦軸1aを規定する。
【0027】
それは、適宜重心になる矢状面1b、および/または、適宜重心になる前額面1cを規定する(図1)。
【0028】
矢状面1bは、前額面1cに垂直である。
【0029】
矢状面1bと前額面1cとの交わりが、軸1aを規定する。
【0030】
伸延器1は、2つの棘突起を離隔させることによりそれらの間に置かれるように設計されるベースボディ2を備えることが好ましい。
【0031】
ベースボディ2は、縦軸1aに関して第1の端部および第2の端部を画定する。
【0032】
ベースボディ2は、棘突起を収容する窪み2aを画定する少なくとも1つの凸部を有する矢状断(すなわち、矢状面1bとベースボディ2との交わりにより画定されている)を有するのが好ましい。
【0033】
詳細には、図3に示されるように、上記矢状断は、2つの凸部を有し、これにより、前額面1cとは反対に置かれた2つの窪み2aを有し、各窪み2aは、棘突起を収容するように設計されている。これらの窪み2aは、前額面1cに対して鏡面反射状になり、これにより、矢状断が、前額面1cに関して対称になることが好ましい。
【0034】
ベースボディ2は、少なくとも1つの窪み2aの底部で最小の矢状高さを有するのが好ましく、少なくとも1つの窪み2aの頂点で最大の矢状高さを有するのが好ましい。
【0035】
本文献では、「矢状高さ」という表現は、前額面1cに垂直な計算される長さを特定する。
【0036】
ベースボディ2の最小の矢状高さは、基本的には、同ベースボディ2の最大の矢状高さの100%よりも低いこと、詳細には、85%よりも低いこと、より詳細には、65%よりも低いことが好ましい。
【0037】
窪み2aの外形は、1より低い、詳細には、0.95よりも低い、より詳細には、基本的には0.95から0.75、好ましくは0.9から0.8の範囲の適当な偏心率を有する楕円であるのが好ましい。
【0038】
ベースボディ2は、最小断面が第1の端部の近くになったテーパ状の前額断(すなわち、前額面1cとベースボディ2との交わりにより画定されている)を有するのが好ましい。詳細には、前額断は、第1の端部にあり、前額高さが適宜一定で最小である第1の近位セクタと、第2の端部にあり、前額高さが適宜一定で最大である第2の近位セクタと、第1のセクタと第2のセクタとをつなぎ、これにより、第1のセクタと第2のセクタとの間に少なくとも1つのスロープ2bを画定する中央セクタとを含むことが好ましい。
【0039】
本文献では、「前額高さ」という表現は、矢状面1bに垂直な計算される長さを特定する。
【0040】
中央セクタは、単調増加する前額高さを有することが好ましい。
【0041】
少なくとも1つのスロープ2bは、窪み2aにて形成される。
【0042】
窪み2aの底部に作られるベースボディ2の径方向断面は、基本的には互いに等しい前額高さおよび矢状高さを有する。上記径方向断面は、円形であることが好ましい。
【0043】
スロープ2bの始まり、すなわち、中央セクタの始まりは、第1の端部からの軸方向距離が、窪み2aの底部よりも短い。
【0044】
本文献では、「径方向」および「軸方向」といった語は、縦軸1aにそれぞれ垂直および平行な方向/平面を特定する。
【0045】
最大の前額高さおよび最大の矢状高さは、ほぼ等しいことが好ましい。
【0046】
最小の前額高さは、最小の矢状高さよりも低いことが好ましい。
【0047】
中央セクタは、矢状面1bに対して反対側にあり、矢状面1bに関して、適宜互いに対してほぼ鏡面反射状になった2つのスロープ2bを有する。この結果、中央セクタ、したがって、ベースボディ2は、矢状面1bに対して鏡面反射状になることが好ましい。
【0048】
ベースボディ2は、中空であることが好ましい。
【0049】
伸延器1は、棘突起にて、正確に言うと棘突起間で、伸延器1を係止するためのユニット3を備えることが好ましい。
【0050】
ユニット3は、第1の端部にてベースボディ2に取り付けられ、ボディ2に関して移動して、径方向(具体的には、前額面1cに対して垂直に)に拡張し、これにより、棘突起間で伸延器1を係止することが可能である。
【0051】
ユニット3は、それが最大の径方向拡張を有する少なくとも1つの拡張位置と、それが最小の径方向拡張を有する少なくとも1つの収縮位置とを規定するように設計される。
【0052】
ユニット3は、棘突起同士の間に入る伸延器1のヘッドを画定する。
【0053】
ユニット3は、適宜前額面1cとほぼ平行になる回転軸を規定する第1の端部にてベースボディ2に蝶着された少なくとも1つのウイングを備えることが好ましい。詳細には、それは、ベースボディ2に蝶着された第1のウイング3aと、前額面1cに関して第1のウイング3aに対して反対側でベースボディ2に蝶着された第2のウイング3bとを備える。
【0054】
ウイング3aおよび3bは、互いに基本的には平行な回転軸を有するのが好ましい。
【0055】
ウイング3aおよび3bは、ユニット3の位置の変更中に反対方向へ同時に回転することが好ましい。
【0056】
それらは、最小断面がベースボディ2よりも遠位になったテーパ状の軸方向外形を有し、これにより、収縮位置では、係止ユニット3が軸方向にテーパ状になること、具体的には、オジーブ状になることが好ましい。
【0057】
ウイング3aおよび3bは、開口部が縦軸1aを向いたU字型の径方向断面を有することが好ましい。
【0058】
伸延器1は、棘突起にて、正確に言うと棘突起間で、伸延器1を係止するための更なるユニット4を備えることが好ましい。
【0059】
更なるユニット4は、第2の端部にてベースボディ2に取り付けられ、ボディ2に関して移動して、径方向(具体的には、前額面1cに対して垂直に)に拡張し、これにより、棘突起間で伸延器1を係止することが可能である。
【0060】
更なるユニット4は、それが最大の径方向拡張を有する更なる拡張位置と、それが最小の径方向拡張を有する更なる収縮位置とを規定するように設計される。
【0061】
更なるユニット4は、適宜前額面1cとほぼ平行な回転軸を有する第2の端部にてベースボディ2に蝶着された少なくとも1つの更なるウイングを備えることが好ましい。詳細には、それは、ベースボディ2に蝶着された第1の更なるウイング4aと、前額面1cに関して第1の更なるウイング4aに対して反対側でベースボディ2に蝶着された第2の更なるウイング4bとを備える。
【0062】
更なるウイング4aおよび4bは、互いに基本的には平行な、詳細には、ウイング3aおよび3bに平行な回転軸を有する。
【0063】
更なるウイング4aおよび4bは、更なるユニット4の位置の変更中に反対方向へ同時に回転することが好ましい。
【0064】
伸延器1は、固定構成と非固定構成の間での伸延器1の移転を制御するように設計されたアクチュエータ5を備えるのが好ましい。
【0065】
固定構成では、ユニット3は、拡張位置にあり、これにより、伸延器1を正位置で係止し、また、適宜、更なるユニット4は、更なる拡張位置にあり、これにより、窪み2aに関してユニット3の反対側で伸延器1を係止する。
【0066】
非固定構成では、ユニット3は収縮位置にあり、伸延器1を正位置で係止せず、また、適宜、更なるユニット4は、更なる収縮位置にある。
【0067】
アクチュエータ5は、伸延器1の構成の変化を制御することにより、ベースボディ2に対して特に排他的に、縦軸1aの周りに回転するように設計される。
【0068】
図3に示されるアクチュエータ5は、ユニット3の制御ネジ部5aを備え、また、更なるユニット4の更なる制御ネジ部5bを適宜備えることが好ましい。
【0069】
更なるネジ部5bは、ネジ部5aとは反対になることが好ましい。
【0070】
このために、ユニット3は、アクチュエータ5により押された際にウイング3aおよび/または3bの回転を制御する少なくとも1つのネジ部5a係合歯3cを、各ウイング3aおよび/または3bについて備えることが好ましい。
【0071】
更なるユニット4は、少なくとも1つの更なるネジ部5b係合歯4cであって、アクチュエータ5により押された際に更なるウイング4aおよび/または4bの回転を制御することにより更なる歯4cの回転を制御する少なくとも1つの更なるネジ部5b係合歯4cを、各更なるウイング5aおよび/または5bについて備えることが好ましい。
【0072】
アクチュエータ5は、外部から制御され、ベースボディ2は、アクチュエータ5に接近することを可能にするための開口部2cを第2の端部に備える。
【0073】
伸延器1の構成に関係なく、開口部2cは、常に、視界に入った状態であり、すなわち、外から接近することが可能である。したがって、収縮位置での更なるユニット4は、ベースボディ2を覆って折りたたまれて、開口部2cを視界に入った状態のままにする。
【0074】
アクチュエータ5は、少なくとも部分的にはベースボディ2内に収容される。
【0075】
伸延器1は、棘突起間椎骨伸延デバイス10の一部分になることも可能である。
【0076】
伸延デバイス10は、先で説明された伸延器1と、伸延器1のための制御器20とを備える。
【0077】
図4および図5に提示されるように、制御器20は、好ましくは重心になる主延在軸20aを規定する。
【0078】
それは、開口部2cにて伸延器1と係合して、適宜軸1aおよび20aを基本的には互いに平行に配置するように、より具体的には、それらが基本的には重なるように設計される。
【0079】
制御器20は、伸延器1の回転を制御するための第1のツール21を備えるのが好ましい。
【0080】
第1のツール21は、適宜ベースボディ2のみとの第1の回転規制、すなわち、軸1aおよび/または20a周りでの、それらの相互回転を阻止する規制を画定するように設計される。
【0081】
それは、適宜開口部2cにてボディ2と係合して、上記第1の回転規制を画定するように設計された第1の手段21aを備える。
【0082】
第1の手段21aは、少なくとも1つの先端を備えるのが好ましく、ベースボディ2は、上記先端を挿入するための少なくとも1つのシート2dを備えるのが好ましい。具体的には、それらは、軸1aのそれぞれ反対側に位置する2つの先端を備え、ベースボディ2は、各先端についてシート2dを備える。
【0083】
第1のツール21は、中空チャネル21bを備え、こうすることで、第1のツール21がベースボディ2に取り付けられる際に開口部2cと連通して置かれるように設計されるチャネルを画定する。
【0084】
チャネル21aは、主延在軸20aと平行である。
【0085】
第1の手段21bは、チャネル21bから主延在軸20aに沿って突き出る。
【0086】
第1のツール21は、手段21aに対して反対側でチャネル21bに接続されるグリップ21cを備えるのが好ましい。
【0087】
制御器20は、伸延器1の構成の変更を制御するための第2のツール22を備えるのが好ましい。
【0088】
第2のツール22は、適宜アクチュエータ5のみとの第2の回転規制、すなわち、軸1aおよび/または20a周りでの、それらの相互回転を阻止する規制を画定するように設計される。
【0089】
それは、適宜開口部2cにてアクチュエータ5と係合して、上記第2の回転規制を画定するように設計された第2の手段22aを備える。第2の規制は、基本的には噛合い機構である。例えば、アクチュエータ5は、開口部2cから視界に入る多角形(例えば、六角形)端部を備えるのが好ましく、第2の手段22aは、上記端部にて反対の形状の係合シートを画定するのが好ましい。
【0090】
第2のツール22は、ベースボディ2および第1のツール21に関して延在軸20aの周りを回転するのが好ましい。
【0091】
それは、チャネル21aに挿入することが可能である。
【0092】
第2のツール22は、更なる中空チャネル22bを備え、こうすることで、第2のツール22がアクチュエータ5に取り付けられる際に開口部2cと連通して置かれるように設計される更なるチャネルを画定するのが好ましい。
【0093】
更なるチャネル22aは、主延在軸20aと平行である。
【0094】
第2のツール22は、第2のツール22を制御するためのヘッド22cを備えるのが好ましい。
【0095】
ヘッド22cは、第2のツール22がチャネル21bの中にある際に、第1のツール21の外に置かれるように設計される。
【0096】
制御器20は、ツール21および22のうちの少なくとも1つを伸延器1に対して軸方向に規制する第3のツール23を備えるのが好ましい。
【0097】
第3のツール23は、上記軸方向の規制を画定し、こうすることで、伸延器1に関する第1のツール21および/または第2のツール22の軸方向の動きを阻止することによりアクチュエータ5と係合するように設計される。
【0098】
それは、上記軸方向の規制を画定する第3の手段23aを備えるのが好ましい。
【0099】
第3のツール23は、第3のツール23を制御するための把持エレメント23bを備えるのが好ましい。
【0100】
把持エレメント23bは、第3のツール23が更なるチャネル22bの中にある際に、第1のツール21および第2のツール22の外に置かれるように設計される。
【0101】
第3の手段23aは、アクチュエータ5とのネジ山を付けられた連結器を画定するのが好ましい。
【0102】
第3のツール23は、少なくとも部分的には更なるチャネル内に配置され得る。
【0103】
構造的な面を先で説明された伸延器1および伸延デバイス10の動作は、図7で図式化されている革新的な棘突起間椎骨伸延手順100を規定する。
【0104】
手順100は、伸延器1、具体的には伸延デバイス10を備える。
【0105】
手順100は、制御器20が伸延器1に取り付けられる準備ステップ110を備えるのが好ましい。
【0106】
準備ステップ110は、第1のツール21がベースボディ2に係合され、これにより、上記第1の回転規制が画定される第1の規制サブステップ111(図6aから図6b)を有するのが好ましい。詳細には、第1の規制は、第1の手段21aが少なくとも1つの先端を少なくとも1つのシート2bに挿入されることにより実装される。
【0107】
準備ステップ110は、第2のツール22がアクチュエータ5に係合され、これにより、上記第2の回転規制が画定される第2の規制サブステップ112(図6cから図6d)を有するのが好ましい。詳細には、第1の規制は、第2の手段22aをアクチュエータ5に干渉により連結することで実装される。
【0108】
サブステップ112では、第2のツール22がチャネル21bに挿入される。
【0109】
準備ステップ110は、第3のツール23がアクチュエータ5に係合され、これにより、上記軸方向の規制が画定されるように設計される第3の規制サブステップ113(図6dから図6e)を有するのが好ましい。
【0110】
準備ステップ110の終わりでは、伸延器1は非固定構成である。
【0111】
手順100は、伸延器1が、制御器20により、具体的には、第1のツール21により適宜制御され、棘突起に近づけられる位置決めステップ120(図2aから図2b)を備えるのが好ましい。
【0112】
このステップ120では、伸延器1は、矢状面1bが患者の前額面と基本的には垂直になる状態で置かれ、次いで、縦軸1aに沿って移動され、これにより、係止ユニット3が、基本的には2つの棘突起へと運ばれる。次いで、伸延器1は、軸方向前方に移動し、これにより、収縮位置のユニット3が、棘突起間を貫通し、それがテーパ状の外形であることにより、棘突起間に配置される。
【0113】
少なくとも1つのスロープ2bが棘突起に近接すると、ステップ120は終了する。
【0114】
手順100は、挿入ステップ130(図2bから図2c)を備えるのが好ましく、ベースボディ2、詳細には、伸延器1の全体が、縦軸1aの周りを回転し、これにより、矢状面1bが、患者の前額面に対して基本的には平行に配置され、したがって、窪み2a内に2つの棘突起が配置される。
【0115】
このステップ130では、第1のツール21が、伸延器1を回転させるが、正確に言うと、第1のツール21が、伸延器1を軸方向に移動させ、好ましくはそれと同時に、伸延器1を縦軸1aの周りで回転させる。
【0116】
軸方向の転移により、スロープ2bに沿って棘突起がスライドし、これにより、それらは、矢状断の外形に、したがって、少なくとも1つの窪み2aに徐々に適合する。
【0117】
回転により、適宜棘突起がスロープ2bの少なくとも一部分を進んだ後に、窪み2aが出現して、これにより、棘突起を内側に収容することが可能になる。
【0118】
挿入ステップ130の間、伸延器1は、基本的には60°から120°の範囲の角度、詳細には75°から105°の範囲の角度、好ましくは約90°の角度だけ回転される。
【0119】
手順100は、拡張ステップ140(図2cから図2d)を備えるのが好ましく、伸延器1が、固定構成から非固定構成に切り替わる。
【0120】
拡張ステップ140では、アクチュエータ5が第2のツール22により制御され、ユニット3を拡張位置に移らせて、棘突起間で伸延器1を規制する。
【0121】
同時に、アクチュエータ5は、更なるユニット4の更なる拡張位置への移転を適宜制御して、窪み2aに関してユニット3に対して反対側で、伸延器1を棘突起間で規制する。
【0122】
伸延器1の構成の変化は、適宜実質的に静止したままの第1のツール21に関して第2のツール22を回転させることにより制御されることを留意されたい。
【0123】
手順100は、制御器20を伸延器1から離すための除去ステップ150(図2e)を備えるのが好ましい。
【0124】
このステップ150では、第3のツール23がアクチュエータ5から分離され、次いで、第2のツール22が、それから、第1のツール21が伸延器1から離される。
【0125】
本発明による伸延器1、椎骨伸延デバイス10、したがって、棘突起間椎骨伸延手順100は、重要な利点を達成する。
【0126】
実際に、伸延器1の特定形態および/または制御器20により規定される伸延器制御の実用性により、それらは、使用するのに特にシンプルかつ手っ取り早いものとなり、具体的には、棘突起間での伸延器1の正確、堅固、かつ迅速な位置決めを可能にする。
【0127】
したがって、重要な利点の1つは、埋め込まれた際の伸延器1の高い安定性である。実際に、窪み2aがあることで、例えば、伸延器1は、各棘突起のための正確な収容部分を有する。
【0128】
これらの利点は、スロープ2bの存在により強化されるが、スロープ2bは、棘突起同士を徐々に離隔させることにより、伸延器1の迅速で正確な位置決めと、より低い侵襲性の患者のための手順との両方を実行することを可能にする。
【0129】
他の重要な利点は、伸延器1の正確で実用的な制御、具体的には、ウイング3aおよび3bの正確で実用的な制御を可能にすること、適宜、更なるウイング4aおよび4bの正確で実用的な制御を可能にする特定の制御器20である。
【0130】
重大な利点の1つは、伸延器1(したがって、椎骨伸延デバイス10および手順100)は、コストが低いことである。
【0131】
特許請求の範囲で規定される発明概念の範囲内の変更を発明に加えることが好ましい。全ての詳細は、同等の要素に置き換えられるのが好ましく、本発明の範囲は、他の材料、形状、および、寸法の全てを含む。
[他の可能な項目]
[項目1]
2つの棘突起の間に置かれるように設計されており、縦軸(1a)、矢状面(1b)、および、前額面(1c)を規定している棘突起間椎骨伸延器(1)であって、前記伸延器(1)が、
前記2つの棘突起の間に置かれるように設計されており、前記縦軸(1a)に関して第1の端部および第2の端部を画定しているベースボディ(2)と、
前記第1の端部にて前記ベースボディ(2)に堅固に取り付けられおり、前記前額面(1c)に垂直に拡張するように設計されている固定ユニット(3)と、
前記ユニット(3)が前記伸延器(1)を前記2つの棘突起の間で規制する拡張位置と、前記ユニット(3)が前記伸延器(1)を前記2つの棘突起の間で規制しない収縮位置との間での前記ユニット(3)の移転を制御するように設計されたアクチュエータ(5)と
を備え、
それぞれが前記2つの棘突起のうちの1つを収容するように設計されている2つの窪み(2a)が前記前額面(1c)の反対側に置かれる状態で外形を画定するように、前記ベースボディ(2)が、2つの相対する凸部を含む矢状断を有し、
ことを特徴とする棘突起間椎骨伸延器(1)。
[項目2]
前記ベースボディ(2)が、前記第1の端部にて最小断面を含むテーパ状の前額断を有している、項目1に記載の伸延器(1)。
[項目3]
前記ベースボディ(2)の前記前額断が、第1のセクタ、第2のセクタ、および、中央セクタを含み、前記第1のセクタが、前記第1の端部にあり、最小の高さを有し、前記第2のセクタが、前記第2の端部にあり、最大の高さを有し、前記中央セクタが、前記矢状面(1b)に対して反対側に置かれ、前記第1のセクタと前記第2のセクタとをつないでいる2つのスロープ(2b)を画定している、前述の項目に記載の伸延器(1)。
[項目4]
前記窪み(2b)が、基本的には少なくとも1つのスロープ(2b)上に形成されている、前述の項目に記載の伸延器(1)。
[項目5]
前記スロープ(2b)の始まり部分は、前記第1の端部からの軸方向距離が、前記窪み(2a)の底部よりも短い、前述の項目に記載の伸延器(1)。
[項目6]
前記窪み(2a)の前記底部に作られる前記ベースボディ(2)の径方向断面が、基本的には互いに等しい前額高さおよび矢状高さを有している、項目3から4の少なくとも1項目に記載の伸延器(1)。
[項目7]
前記径方向断面が、円形である、項目5に記載の伸延器(1)。
[項目8]
前記窪み(2a)の底部での前記ベースボディ(2)の矢状高さが、前記窪み(2a)の頂点での前記ベースボディ(2)の前記矢状高さの85%よりも基本的には低くてもよい、少なくとも1つの前述の項目に記載の伸延器(1)。
[項目9]
前記窪み(2a)のそれぞれの外形が楕円である、少なくとも1つの前述の項目に記載の伸延器(1)。
[項目10]
前記窪み(2a)のそれぞれ外形が、偏心率が基本的には0.9から0.8の範囲の楕円である、前述の項目に記載の伸延器(1)。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7