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特許7537070再構成可能光アドドロップマルチプレクサ、光ネットワーク、及び光信号処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】再構成可能光アドドロップマルチプレクサ、光ネットワーク、及び光信号処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 14/02 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H04J14/02 101
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021539986
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2020076074
(87)【国際公開番号】W WO2020186958
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】201910214799.7
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514187420
【氏名又は名称】テンセント・テクノロジー・(シェンジェン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ミンガン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ファンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユィ
(72)【発明者】
【氏名】リ,シアン
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-114640(JP,A)
【文献】特開2008-252664(JP,A)
【文献】特開2006-087062(JP,A)
【文献】特表2013-531909(JP,A)
【文献】SHIMAZAKI, S. et al.,Cost Comparison of Different ROADM Architectures,2013 19th Asia-Pacific Conference on Communications (APCC),米国,IEEE,2013年,pages 501-504
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再構成可能光アドドロップマルチプレクサであって、
少なくとも2つの光信号処理デバイスと、i個(iは1よりも大きい整数である)の光クロスコネクトデバイスとを含み、
異なる光信号処理デバイスは、異なる光方路に対応し、
それぞれの前記光信号処理デバイスは、波長選択スイッチと、フィルタとを含み、それぞれの前記光信号処理デバイスにおいて、前記波長選択スイッチは、入力された高密度波長分割多重光信号に対して波長割り当てを行ったものを前記フィルタに入力し、前記フィルタは、前記波長選択スイッチから出力された光信号を、互いに異なる波長のシングルチャネル光信号に分離するとともに、前記i個の光クロスコネクトデバイスから出力された互いに異なる波長の複数のシングルチャネル光信号を多重化したものを前記波長選択スイッチに入力し、前記波長選択スイッチは、前記フィルタから出力された光信号を波長合波して出力し、
前記i個の光クロスコネクトデバイスは、N個の上部ポートと、N個の下部ポートとを含み、前記上部ポートを介して、各前記光信号処理デバイスの前記フィルタに接続され、前記下部ポートは、光変換ユニットに接続され、前記i個の光クロスコネクトデバイスは、前記フィルタから出力された前記シングルチャネル光信号をドロップするとともに、前記上部ポートを介して、前記光変換ユニットから出力されたシングルチャネル光信号を前記フィルタに入力し、
前記フィルタは、下り入力ポートと、前記下り入力ポートに対応する、1つより多い下り出力ポートと、上り出力ポートと、前記上り出力ポートに対応する、1つより多い上り入力ポートとを含み、
前記下り入力ポートは、前記波長選択スイッチに接続され、前記下り出力ポートは、前記i個の光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートに接続され、前記フィルタは、前記波長選択スイッチから出力された、波長に応じて割り当てられた前記高密度波長分割多重光信号を複数のシングルチャネル光信号に分離し、前記1つより多い下り出力ポートを介して、前記複数のシングルチャネル光信号を前記i個の光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートに出力し、
前記上り出力ポートは、前記波長選択スイッチに接続され、前記上り入力ポートは、前記i個の光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートに接続され、前記フィルタは、さらに、前記1つより多い上り入力ポートから入力されたシングルチャネル光信号を同一の光チャネルに多重化し、前記上り出力ポートを介して、多重化された光信号を前記波長選択スイッチに出力し、
それぞれの前記光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートは、前記フィルタの目標数の上り入力ポートに1対1で接続され、前記目標数の上り入力ポートは、前記フィルタの前記1つより多い上り入力ポートの総数の1/iを占め、それぞれの前記光信号処理デバイスの前記フィルタの前記上り入力ポートのうち1/iずつ、前記i個の光クロスコネクトデバイスのうちの異なる1つに接続され、
それぞれの前記光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートは、前記フィルタの目標数の下り出力ポートに1対1で接続され、前記目標数の下り出力ポートは、前記フィルタの前記1つより多い下り出力ポートの総数の1/iを占め、それぞれの前記光信号処理デバイスの前記フィルタの前記下り出力ポートのうち1/iずつ、前記i個の光クロスコネクトデバイスのうちの異なる1つに接続される、
再構成可能光アドドロップマルチプレクサ。
【請求項2】
前記波長選択スイッチは、第1波長選択スイッチと、第2波長選択スイッチとを含み、
前記第1波長選択スイッチは、第1入力ポートと、1つより多い第1出力ポートとを含み、前記第1入力ポートを介して、イングレス方向から入力された前記高密度波長分割多重光信号を受信し、波長に応じて、前記高密度波長分割多重光信号を異なる前記第1出力ポートに割り当て、
前記第2波長選択スイッチは、第2出力ポートと、1つより多い第2入力ポートとを含み、各前記第2入力ポートから入力された光信号を高密度波長分割多重光信号に合波し、前記第2出力ポートを介して、エグレス方向へ該高密度波長分割多重光信号を出力し、
前記イングレス方向及び前記エグレス方向は、同一の光方路に属し、且つ方向が逆である、
ことを特徴とする請求項1に記載の再構成可能光アドドロップマルチプレクサ。
【請求項3】
前記再構成可能光アドドロップマルチプレクサは、m個の光方路に対応し、それぞれの光方路における前記第1波長選択スイッチのm-1個の前記第1出力ポートは、それぞれ、他の光方路における前記第2波長選択スイッチの1つの前記第2入力ポートに1対1で接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載の再構成可能光アドドロップマルチプレクサ。
【請求項4】
前記フィルタの前記下り入力ポートは、前記第1波長選択スイッチの前記第1出力ポートに接続され、前記フィルタの前記上り出力ポートは、前記第2波長選択スイッチの前記第2入力ポートに接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載の再構成可能光アドドロップマルチプレクサ。
【請求項5】
前記再構成可能光アドドロップマルチプレクサがm個の光方路に対応し、且つそれぞれの光方路がn個の波長の光信号に対応する場合、前記N=m×n×2である、
ことを特徴とする請求項1に記載の再構成可能光アドドロップマルチプレクサ。
【請求項6】
それぞれの前記光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートの数及び前記下部ポートの数はどちらもm×n×2÷iである、
ことを特徴とする請求項5に記載の再構成可能光アドドロップマルチプレクサ。
【請求項7】
光ネットワークであって、少なくとも2つの光ネットワークノードを含み、
それぞれの前記光ネットワークノードには、請求項1~6のいずれか1項に記載の再構成可能光アドドロップマルチプレクサが設けられ、前記光ネットワークノード同士は、光ファイバーを介して接続される、
光ネットワーク。
【請求項8】
再構成可能光アドドロップマルチプレクサが実行する光信号処理方法であって、前記再構成可能光アドドロップマルチプレクサは、少なくとも2つの光信号処理デバイスと、i個(iは1よりも大きい整数である)の光クロスコネクトデバイスとを含み、異なる光信号処理デバイスは、異なる光方路に対応し、前記方法は、
前記光信号処理デバイスの波長選択スイッチが、入力された高密度波長分割多重光信号を受信するステップと、
前記波長選択スイッチが、前記高密度波長分割多重光信号に対して波長割り当てを行い、波長割り当て後の光信号を前記光信号処理デバイスのフィルタに入力するステップと、
前記フィルタが、前記波長割り当て後の光信号をシングルチャネル光信号に分離し、前記シングルチャネル光信号を前記i個の光クロスコネクトデバイスの上部ポートに入力するステップと、
前記i個の光クロスコネクトデバイスが、下部ポートを介して、前記シングルチャネル光信号をドロップするステップと、
を含み、
前記フィルタは、下り入力ポートと、前記下り入力ポートに対応する、1つより多い下り出力ポートとを含み、
前記フィルタが、前記波長割り当て後の光信号をシングルチャネル光信号に分離し、前記シングルチャネル光信号を前記i個の光クロスコネクトデバイスの上部ポートに入力する前記ステップは、
それぞれの前記光信号処理デバイスの前記フィルタが、前記下り入力ポートを介して、それぞれの前記光信号処理デバイスの前記波長選択スイッチから出力された前記波長割り当て後の光信号を受信するステップと、
それぞれの前記光信号処理デバイスの前記フィルタが、前記波長割り当て後の光信号を互いに異なる波長の1つより多いシングルチャネル光信号に分離し、前記1つより多い下り出力ポートを介して、互いに異なる波長の前記1つより多いシングルチャネル光信号を前記i個の光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートに出力するステップと、を含み、
それぞれの前記光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートは、前記フィルタの目標数の下り出力ポートに1対1で接続され、前記目標数の下り出力ポートは、前記フィルタの前記1つより多い下り出力ポートの総数の1/iを占め、それぞれの前記光信号処理デバイスの前記フィルタの前記下り出力ポートのうち1/iずつ、前記i個の光クロスコネクトデバイスのうちの異なる1つに接続される、
方法。
【請求項9】
前記波長選択スイッチは、第1波長選択スイッチを含み、前記第1波長選択スイッチは、第1入力ポートと、1つより多い第1出力ポートとを含み、前記第1出力ポートは、前記フィルタに接続され、
前記光信号処理デバイスの波長選択スイッチが、入力された高密度波長分割多重光信号を受信する前記ステップは、
前記第1波長選択スイッチが、前記第1入力ポートを介して、イングレス方向から入力された前記高密度波長分割多重光信号を受信するステップを含み、
前記波長選択スイッチが、前記高密度波長分割多重光信号に波長割り当てを行い、波長割り当て後の光信号を前記光信号処理デバイスのフィルタに入力する前記ステップは、
前記第1波長選択スイッチが、波長に応じて、前記高密度波長分割多重光信号を異なる前記第1出力ポートに割り当てるステップを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フィルタが、前記波長選択スイッチから出力された前記波長割り当て後の光信号を受信するステップは、
前記フィルタが、前記下り入力ポートを介して、前記第1出力ポートから出力された前記波長割り当て後の光信号を受信するステップ、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
再構成可能光アドドロップマルチプレクサが実行する光信号処理方法であって、前記再構成可能光アドドロップマルチプレクサは、少なくとも2つの光信号処理デバイスと、i個(iは1よりも大きい整数である)の光クロスコネクトデバイスとを含み、異なる光信号処理デバイスは、異なる光方路に対応し、前記方法は、
前記i個の光クロスコネクトデバイスが、下部ポートを介して、光変換ユニットから出力されたシングルチャネル光信号を受信するステップと、
前記i個の光クロスコネクトデバイスが、上部ポートを介して、前記光信号処理デバイスのフィルタに前記シングルチャネル光信号を入力するステップと、
前記フィルタが、入力された、1つより多い前記シングルチャネル光信号を多重化し、多重化された光信号を前記光信号処理デバイスの波長選択スイッチに入力するステップと、
前記波長選択スイッチが、前記多重化された光信号を波長合波して出力するステップと、
を含み、
前記フィルタは、上り出力ポートと、前記上り出力ポートに対応する、1つより多い上り入力ポートとを含み、
前記i個の光クロスコネクトデバイスが、上部ポートを介して、前記光信号処理デバイスのフィルタに前記シングルチャネル光信号を入力する前記ステップは、
前記i個の光クロスコネクトデバイスが、前記1つより多い上り入力ポートを介して前記フィルタに前記シングルチャネル光信号を入力するステップを含み
前記フィルタが、入力された、1つより多い前記シングルチャネル光信号を多重化し、多重化された光信号を前記光信号処理デバイスの波長選択スイッチに入力する前記ステップは、
それぞれの前記光信号処理デバイスの前記フィルタが、前記1つより多い上り入力ポートから入力された互いに異なる波長のシングルチャネル光信号を同一の光チャネルに多重化し、前記上り出力ポートを介して、前記多重化された光信号を前記波長選択スイッチに出力するステップを含み、
それぞれの前記光クロスコネクトデバイスの前記上部ポートは、前記フィルタの目標数の上り入力ポートに1対1で接続され、前記目標数の上り入力ポートは、前記フィルタの前記1つより多い上り入力ポートの総数の1/iを占め、それぞれの前記光信号処理デバイスの前記フィルタの前記上り入力ポートのうち1/iずつ、前記i個の光クロスコネクトデバイスのうちの異なる1つに接続される、
方法。
【請求項12】
前記波長選択スイッチは、第2波長選択スイッチを含み、前記第2波長選択スイッチは、第2出力ポートと、1つより多い第2入力ポートとを含み、
前記フィルタが、前記1つより多い上り入力ポートから入力されたシングルチャネル光信号を同一の光チャネルに多重化し、前記上り出力ポートを介して、前記多重化された光信号を前記第2波長選択スイッチに出力するステップは、前記多重化された光信号を前記第2波長選択スイッチの前記第2入力ポートに出力するステップを含み、
前記波長選択スイッチが、前記多重化された光信号を波長合波して出力する前記ステップは、
前記第2波長選択スイッチが、各前記第2入力ポートから入力された光信号を高密度波長分割多重光信号に合波し、前記第2出力ポートを介して、エグレス方向へ前記高密度波長分割多重光信号を出力するステップを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年3月20日に中国特許庁に提出された、出願番号が第201910214799.7号であり、発明の名称が「再構成可能光アドドロップマルチプレクサ、光ネットワーク、及び光信号処理方法」である、中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全ての内容が、参照することにより本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、光通信の技術分野に関し、特に再構成可能光アドドロップマルチプレクサ(ROADM:Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer)、光ネットワーク、及び光信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
CDC-ROADMは、オープン光ネットワークのネットワーキングにおける重要なノード構造として、ノード間での光波長ルーティング、及び波長無依存、方路無依存、無競合の光信号のドロップを可能とする。
【0004】
関連技術では、各ノードにおけるCDC-ROADMは、M:Nデバイスによって光信号のドロップ及びアドを実現する。ここで、M:Nデバイスは、異なるMポートが、異なる光信号方向に対応し、Nポートが光変換ユニット(OTU:Optical Transform Unit)に接続される。光信号のドロップ方向(M→N)において、Mポートから入った光信号は、Nポートのいずれか1つ又は複数から出力されるが、光信号のアド方向(N→M)において、任意のNポートから入った光信号は、いずれか1つのMポートで合波されて出力される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述構造のCDC-ROADMを採用する場合、Mポートの光信号が少なくとも1つのNポートから出力されることを実現するために、M:NデバイスのMポートに1×N光分岐器を設ける必要があり、且つ、光分岐器に起因する経路の挿入損失を補償するために、追加の光増幅器アレイを導入する必要があり、その結果、CDC-ROADMの構造が複雑になる。
【0006】
本願の実施例は、再構成可能光アドドロップマルチプレクサ、光ネットワーク、及び光信号処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
再構成可能光アドドロップマルチプレクサであって、
少なくとも2つの光信号処理デバイスと、少なくとも1つの光クロスコネクトデバイス(OXC:Optical cross-Connect)とを含み、
異なる光信号処理デバイスは、異なる光方路に対応し、
それぞれの前記光信号処理デバイスは、波長選択スイッチ(WSS:wavelength-selective switch)と、フィルタとを含み、前記波長選択スイッチは、入力された高密度波長分割多重光信号に対して波長割り当てを行ったものを前記フィルタに入力し、前記フィルタは、前記波長選択スイッチから出力された光信号をシングルチャネル光信号に分離するとともに、前記光クロスコネクトデバイスから出力された複数のシングルチャネル光信号を多重化したものを前記波長選択スイッチに入力し、前記波長選択スイッチは、前記フィルタから出力された光信号を波長合波して出力し、
前記光クロスコネクトデバイスは、N個の上部ポートと、N個の下部ポートとを含み、前記上部ポートを介して、各前記光信号処理デバイスの前記フィルタに接続され、前記下部ポートは、光変換ユニットに接続され、前記光クロスコネクトデバイスは、前記フィルタから出力された前記シングルチャネル光信号をドロップするとともに、前記上部ポートを介して、前記光変換ユニットから出力されたシングルチャネル光信号を前記フィルタに入力する。
【0008】
光ネットワークであって、少なくとも2つの光ネットワークノードを含み、
それぞれの前記光ネットワークノードには、上記の態様に記載の再構成可能光アドドロップマルチプレクサが設けられ、前記光ネットワークノード同士は、光ファイバーを介して接続される。
【0009】
再構成可能光アドドロップマルチプレクサが実行する光信号処理方法であって、前記再構成可能光アドドロップマルチプレクサは、少なくとも2つの光信号処理デバイスと、少なくとも1つの光クロスコネクトデバイスとを含み、異なる光信号処理デバイスは、異なる光方路に対応し、前記方法は、
前記光信号処理デバイスの波長選択スイッチが、入力された高密度波長分割多重光信号を受信するステップと、
前記波長選択スイッチが、前記高密度波長分割多重光信号に対して波長割り当てを行い、波長割り当て後の光信号を前記光信号処理デバイスのフィルタに入力するステップと、
前記フィルタが、前記波長割り当て後の光信号をシングルチャネル光信号に分離し、前記シングルチャネル光信号を前記光クロスコネクトデバイスの上部ポートに入力するステップと、
前記光クロスコネクトデバイスが、下部ポートを介して、前記シングルチャネル光信号をドロップするステップと、
を含む。
【0010】
再構成可能光アドドロップマルチプレクサが実行する光信号処理方法であって、前記再構成可能光アドドロップマルチプレクサは、少なくとも2つの光信号処理デバイスと、少なくとも1つの光クロスコネクトデバイスとを含み、異なる光信号処理デバイスは、異なる光方路に対応し、前記方法は、
前記光クロスコネクトデバイスが、下部ポートを介して、光変換ユニットから出力されたシングルチャネル光信号を受信するステップと、
前記光クロスコネクトデバイスが、上部ポートを介して、前記光信号処理デバイスのフィルタに前記シングルチャネル光信号を入力するステップと、
前記フィルタが、入力された、1つより多い前記シングルチャネル光信号を多重化し、多重化された光信号を前記光信号処理デバイスの波長選択スイッチに入力するステップと、
前記波長選択スイッチが、前記多重化された光信号を波長合波して出力するステップと、
を含む。
【0011】
本願の1つ又は複数の実施例の詳細は、以下の図面及び記述に言及されている。本願の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになる。
【0012】
本願の実施例をより良く記述して説明するために、1つ又は複数の図面を参照すればよい。図面を記述するための付加的な詳細又は例示は、開示される発明、現在記述されている実施例、及び現在理解されているこれらの発明の最適な形態のいずれの範囲を制限するものとしても見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的な光ネットワークのトポロジー構造図を示す。
図2】関連技術におけるCDC-ROADMの構造の模式図である。
図3】本願の一実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサの構造の模式図を示す。
図4】本願の他の実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサの構造の模式図を示す。
図5図4の各光方路に対応する波長選択スイッチ同士の接続の模式図である。
図6】本願の他の実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサの構造の模式図を示す。
図7】一実施例で提供される光信号処理方法のフローチャートを示す。
図8】他の実施例で提供される光信号処理方法のフローチャートを示す。
図9】本願の一実施例で提供される光ネットワークの構造の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここでは、例示的な実施例を詳しく説明する。その例は、図面に示される。以下の記述が図面に関する場合、特に断らない限り、異なる図面の同一数字は、同一又は類似の要素を表す。以下の例示的な実施例に記述される実施形態は、本願と一致する全ての実施形態を表すものではない。逆に、これらは、添付の特許請求の範囲に詳しく説明した本願のいくつかの態様と一致する装置及び方法の例に過ぎない。本願の実施例に言及される「複数」は、特に断らない限り、「1つより多い」を表すと理解できる。
【0015】
理解しやすくするために、以下、本願の実施例に係る用語を説明する。
【0016】
高密度波長分割多重(DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing):複数の異なる波長の光信号を1本の光ファイバーに多重化して伝送する技術である。これに応じて、DWDM光信号には、異なる波長の光信号が含まれる。
【0017】
再構成可能光アドドロップマルチプレクサ:DWDMシステムでは、動的な波長(光信号)ドロップ及び波長ルーティングを行う装置である。
【0018】
シングルチャネル光信号:チャネルが単一波長チャネルである場合、シングルチャネル光信号は単一波長光信号であり、チャネルが複数の波長からなるスーパーチャネル(superchannel)である場合、シングルチャネル光信号は多波長光信号である。
【0019】
例示的な光ネットワークのトポロジー構造図を示す図1を参照すると、該光ネットワークには、a、b、c、d、eの5つの光ネットワークノードが含まれている。
【0020】
図1において、各光ネットワークノード同士は、ポイントツーポイントシステムを介して相互接続されている。このような接続方式で、光ネットワークノード同士は、光信号ルーティングを実現できず、さらに任意の方向、任意の波長の光信号のドロップも実現できない。光ネットワークが波長ルーティング機能を有し、即ち、光信号が異なる光ネットワークノードの間でルーティングでき、且つ任意の方向、任意の波長の光信号のドロップ機能が実現できるようにするために、各光ネットワークノードにCDC-ROADMを設ける必要がある。
【0021】
関連技術において、光ネットワークノードに設けられるCDC-ROADMは、図2に示すとおりである。
【0022】
図2に示すCDC-ROADMでは、それぞれの光方路において、2つの波長選択スイッチによって、それぞれイングレス(ingress)方向及びエグレス(egress)方向の光信号に対して波長割り当てを行う。CDC-ROADMのM:Nデバイスは、異なる光方路の光信号のドロップ機能を実現するためのものである。
【0023】
ここで、M:Nデバイスの動作原理は、以下のとおりである。M→N方向において、M側ポートから入ったDWDM光信号は、N側ポートのいずれか1つ又は複数のポートを介して出力され、N→M方向において、任意のN側ポートから入ったDWDM光信号は、任意のM側ポートに合波されて出力されてもよい。
【0024】
上述した構造のCDC-ROADMを光ネットワークノードに適用すると、各光方路の波長選択スイッチによって、M:NデバイスのM側ポートに入る波長群(即ち、異なる波長の光信号の組み合わせ)を制御するとともに、M:Nデバイスによって、M側ポートで受信された波長群をN側ポートに割り当てることができる。これにより、N側ポートに接続された光変換ユニット(OTU:Optical Transform Unit)のコヒーレント受信機能によって単一波長光信号を受信し、波長無依存、方路無依存、無競合の光信号のドロップを実現する。
【0025】
M→N方向における光信号のドロップを実現するために、図2に示すように、M:Nデバイスの各M側ポートそれぞれに1×Nの光分岐器を追加する必要があり(単一のM側ポートから各N側ポートへ分岐することを実現する)。これに応じて、M:Nデバイスの各N側ポートそれぞれは、1つのM×1の光スイッチによって、M個の通路のうち1つを光信号の出力として選択する。
【0026】
N→M方向における光信号のアドを実現するために、図2に示すように、M:Nデバイスの各N側ポートそれぞれに1×Mの光スイッチ(光信号をどのM側ポートに出力するかを選択するためのものである)を配置する必要がある。また、M側ポートにN×1の結合デバイスを配置することにより、N×1の結合デバイスを用いて、異なるN側ポートの光信号の結合を実現する。
【0027】
M:Nデバイスに光分岐器が使用されると、M→N方向の経路の挿入損失は、光分岐器のポート数に比例する。即ち、光分岐器のポート数が多いほど、経路の挿入損失が大きくなる。通常、DWDMシステムでは、それぞれの光方路に80個の光信号が存在し、光信号のドロップを実現するために単一のM:Nデバイスを使用すると、M側ポートから入力された光信号を分岐するために、1つの1×80の光分岐器を配置する必要があり、その結果、極めて大きな経路の挿入損失が生じる。
【0028】
光分岐器に起因する経路損失を補うために、M:Nデバイスに光増幅器アレイを追加的に設けることにより、分岐された光信号を補償するか、又は、複数のM:Nデバイスを用いて、光信号のドロップを実現する(即ち、ポート数が少ない光分岐器を複数使用する)ようにしてもよい。
【0029】
しかし、光増幅器アレイを追加的に設けると、CDC-ROADMの構造の複雑さを増加させ、さらにシステム全体の故障発生率を増加させる。複数のM:Nデバイスを使用すると、光方路における波長選択スイッチのポート占有数を増加させる。波長選択スイッチの1つのポートが占有されるたびに、拡張可能な光方路が1つ減少する。これは、システムの後続の拡張に不利である。
【0030】
一方、本願の実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサでは、それぞれの光方路に対応する光信号処理デバイスを設けることにより、光信号処理デバイスの波長選択スイッチ及びフィルタによって、入力された高密度波長分割多重光信号をシングルチャネル光信号に分離し、光クロスコネクトデバイスを利用して、光信号処理デバイスから出力された単一波長光信号又は多波長光信号をドロップする。これにより、波長無依存、方路無依存、無競合の光信号のドロップ機能が実現される。本願の実施例における再構成可能光アドドロップマルチプレクサは、光分岐器が使用されないため、光分岐器に起因する経路の挿入損失を回避することができる。また、単一の光クロスコネクトデバイスを使用するだけで、各光方路における各波長の光信号のドロップを実現でき、光方路における波長選択スイッチのポート占有数を減少でき、システムの後続の拡張に有利である。以下、模式的な実施例によって、本願の実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサを詳しく説明する。
【0031】
本願の一実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサの構造の模式図を示す図3を参照すると、該再構成可能光アドドロップマルチプレクサは、少なくとも2つの光信号処理デバイス31と、少なくとも1つの光クロスコネクトデバイス32とを含む。
【0032】
一実施例において、光方路は、光ネットワークにおける光ネットワークノードの間の経路を示すためのものである。図1に示す光ネットワークを例にすると、光ネットワークノードaは、4つの光方路に対応する。ここで、第1光方路は、光ネットワークノードaから光ネットワークノードbまでの間の経路を指し、第2光方路は、光ネットワークノードaから光ネットワークノードcまでの間の経路を指し、第3光方路は、光ネットワークノードaから光ネットワークノードdまでの間の経路を指し、第4光方路は、光ネットワークノードaから光ネットワークノードeまでの間の経路を指す。
【0033】
本実施例において、異なる光信号処理デバイス31は、異なる光方路に対応し、即ち、異なる光信号処理デバイス31は、異なる光方路における光信号を処理する。模式的には、図3に示す再構成可能光アドドロップマルチプレクサを、図1に示す光ネットワークノードaに適用すると、1番目の光信号処理デバイス31は、光ネットワークノードaと光ネットワークノードbとの間の光信号を処理し、2番目の光信号処理デバイス31は、光ネットワークノードaと光ネットワークノードcとの間の光信号を処理し、3番目の光信号処理デバイス31は、光ネットワークノードaと光ネットワークノードdとの間の光信号を処理し、4番目の光信号処理デバイス31は、光ネットワークノードaと光ネットワークノードeとの間の光信号を処理する。本願の実施例では、光ネットワークノードが4つの光方路に対応する場合のみを例にして模式的に説明するが、これに対して限定しない。
【0034】
一実施例では、シングルファイバー単方向DWDMシステムにおいて、光ネットワークノードの各光方路それぞれは、イングレス(ingress)方向と、エグレス(egress)方向とを含んでもよい。ここで、ingress方向は、光ネットワークノードの光信号の入射方向(即ち、光信号の下り方向)であり、egress方向は、光ネットワークノードの光信号の出射方向(即ち、光信号の上り方向)である。模式的には、図1に示すように、光ネットワークノードaの第1光方路は、a→bのegress方向と、b→aのingress方向とを含む。
【0035】
図3に示すように、それぞれの光信号処理デバイス31は、波長選択スイッチ311と、フィルタ312とを含む。
【0036】
1つの可能な実施形態では、下り方向において、波長選択スイッチ311は、入力された高密度波長分割多重光信号に対して波長割り当てを行ったものをフィルタ312に入力し、フィルタ312は、波長選択スイッチ311から出力された光信号をシングルチャネル光信号に分離する。
【0037】
一方、上り方向において、フィルタ312は、光クロスコネクトデバイス32から出力された複数のシングルチャネル光信号を多重化したものを波長選択スイッチ311に入力し、波長選択スイッチ311は、フィルタ312から出力された光信号を波長合波して出力する。
【0038】
関連技術では、光信号のドロップを実現するために、M:Nデバイスが使用されるのと異なり、本願の実施例では、異なる光方路の光信号のドロップを実現するために、少なくとも1つの光クロスコネクトデバイスが使用される。ここで、光クロスコネクトデバイスは、N個の上部ポートと、N個の下部ポートとを含む。また、上部ポートと下部ポートは、設定により、任意のポート同士の1対1接続を実現することができる(上部ポート同士の1対1接続が不能であり、下部ポート同士の1対1接続が不能である)。光クロスコネクトデバイスは、N個の上部ポートを介して、各光方路におけるフィルタに接続され、下部ポートを介して、光変換ユニットに接続される。
【0039】
模式的には、図3に示すように、第1光方路、第2光方路、第3光方路、及び第4光方路におけるフィルタ312は、いずれも、光クロスコネクトデバイス32の上部ポートに接続されるが、光クロスコネクトデバイス32の下部ポートは、光変換ユニット33に接続される。
【0040】
一実施例において、光クロスコネクトデバイスによって光信号のドロップを行う際に、フィルタから出力されたシングルチャネル光信号が光クロスコネクトデバイスの上部ポートに入力され、光クロスコネクトデバイスは、任意の下部ポートを介して、接続される光変換ユニットに該シングルチャネル光信号を出力する。このように、光信号のドロップが実現される。
【0041】
上述した光クロスコネクトデバイスが用いられる場合、任意の下部ポートが、制御により、上部ポートのいずれか1つに接続されることが可能であり(例えば、光クロスコネクトデバイスに設定指示を送信し、光クロスコネクトデバイスが設定指示に従って下部ポートを指定の上部ポートと接続する)、且つ、上部ポートが、異なる光方路に対応するフィルタに接続されるため、下部ポートは、光変換ユニットから出力されたシングルチャネル光信号を受信すると、上部ポートのうちいずれか1つのポートにこのシングルチャネル光信号を伝送することができる。これにより、シングルチャネル光信号が任意の光方路に入り、方路無依存の光信号のドロップが実現される。また、シングルチャネル光信号が任意の方路の任意のフィルタチャネルに入ることができるため、波長無依存の光信号のドロップを実現することができる。
【0042】
また、光クロスコネクトデバイスの上部ポートと下部ポートの数が等しいため、下部ポートと上部ポートとの1:1の完全なマッピングが可能であり、即ち、異なる方路における異なるチャネル同士に衝突が生じることはなく、無競合の光信号のドロップが実現される。
【0043】
上記のように、本願の実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサでは、それぞれの光方路に対応する光信号処理デバイスを設けることにより、光信号処理デバイスの波長選択スイッチ及びフィルタによって、入力された高密度波長分割多重光信号をシングルチャネル光信号に分離し、光クロスコネクトデバイスを利用して、光信号処理デバイスから出力されたシングルチャネル光信号をドロップする。これにより、波長無依存、方路無依存、無競合の光信号のドロップ機能が実現される。本願の実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサでは、光分岐器を設ける必要がないため、光増幅器アレイを追加的に導入する必要もなく、経路の挿入損失を確保しつつ、再構成可能光アドドロップマルチプレクサの構造の複雑さを低減させる。
【0044】
また、各光方路にフィルタを導入することにより、各光方路においてDWDM光信号の波長分離が実現され、自チャネルに干渉を与える他の波長もフィルタリングによって除去され、該再構成可能光アドドロップマルチプレクサがインコヒーレント波長の光信号のドロップをサポートできる。
【0045】
シングルファイバー単方向DWDMシステムでは、それぞれの光方路がエグレス方向とイングレス方向とを含むため、1つの可能な実施形態において、それぞれの波長選択スイッチは、イングレス方向及びエグレス方向の光信号をそれぞれ処理する第1波長選択スイッチ及び第2波長選択スイッチを含む。本願の他の実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサの構造の模式図を示す図4を参照する。
【0046】
図4に示すように、各光方路は、いずれも、第1波長選択スイッチ411と、第2波長選択スイッチ412とを含む。ここで、第1波長選択スイッチ411は、第1入力ポート411aと、複数の第1出力ポート411bとを含む。第1波長選択スイッチ411は、第1入力ポート411aを介して、イングレス方向から入力されたDWDM光信号を受信し、波長に応じて、DWDM光信号を異なる第1出力ポート411bに割り当てる。
【0047】
第2波長選択スイッチ412は、第2出力ポート412aと、複数の第2入力ポート412bとを含む。第2波長選択スイッチ412は、各第2入力ポート412bから入力された光信号をDWDM光信号に合波し、第2出力ポート412aを介して、エグレス方向へDWDM光信号を出力する。これにより、光方路に対応する光ネットワークノードにDWDM光信号を伝送する。
【0048】
ここで、第1波長選択スイッチ411で受信された高密度波長分割多重光信号と、第2波長選択スイッチ412から出力された高密度波長分割多重光信号は、同じタイプの光信号であり、且つ光信号に含まれる内容が異なってもよい。
【0049】
一実施例において、第1波長選択スイッチによって第1出力ポートに割り当てられた光信号は、シングルチャネル光信号である。該シングルチャネル光信号は、単一波長光信号、又は、複数の波長からなる多波長光信号(superchannel)である。
【0050】
異なる光方路の間の波長ルーティングを実現するために、1つの可能な実施形態において、再構成可能光アドドロップマルチプレクサがm個の光方路に対応する場合、それぞれの光方路における第1波長選択スイッチのm-1個の第1出力ポートは、それぞれ、他の光方路における第2波長選択スイッチの1つの第2入力ポートに1対1で接続される。
【0051】
例えば、再構成可能光アドドロップマルチプレクサが4つの光方路に対応する場合、そのうちの第1光方路を例にすると、第1光方路における第1波長選択スイッチの1つの第1出力ポートは、第2光方路における第2波長選択スイッチの1つの第2入力ポートに接続され、第1光方路における第1波長選択スイッチの他の1つの第1出力ポートは、第3光方路における第2波長選択スイッチの1つの第2入力ポートに接続され、第1光方路における第1波長選択スイッチのさらに他の1つの第1出力ポートは、第4光方路における第2波長選択スイッチの1つの第2入力ポートに接続され、即ち、第1光方路における第1波長選択スイッチの3つの第1出力ポートは、他の光方路における第2波長選択スイッチの第2入力ポートに接続される。
【0052】
模式的には、図5に示すように、第1光方路における第1波長選択スイッチ411の3つの第1出力ポート411bは、それぞれ、第2光方路における第2波長選択スイッチ412の第2入力ポート412b、第3光方路における第2波長選択スイッチ412の第2入力ポート412b、及び第4光方路における第2波長選択スイッチ412の第2入力ポート412bに接続される。このような接続方式を採用すると、第1光方路から分離された光信号が第2光方路、第3光方路、及び第4光方路にルーティングされることが可能になり、異なる光方路の間の波長ルーティングが実現される。
【0053】
説明すべきものとして、より多くの光方路の波長ルーティングを実現する必要がある場合、波長選択スイッチのより多くのWSSポートを占有する必要がある。
【0054】
波長選択スイッチに対応して、図4に示すように、それぞれの光方路におけるフィルタ42は、下り入力ポート421aと、下り入力ポート421aに対応する複数の下り出力ポート421bと、上り出力ポート422aと、上り出力ポート422aに対応する複数の上り入力ポート422bとを含む。
【0055】
下り入力ポート421aは、第1波長選択スイッチ411の第1出力ポート411bに接続され、下り出力ポート421bは、光クロスコネクトデバイス43の上部ポートに接続される。光信号のイングレス方向(下り方向)において、フィルタ42は、(第1波長選択スイッチ411の)第1出力ポート411bから出力された光信号(波長に応じて割り当てられたDWDM光信号)を複数のシングルチャネル光信号に分離し、複数の下り出力ポート421bを介して、複数のシングルチャネル光信号を光クロスコネクトデバイス43の上部ポートに出力する。
【0056】
上り出力ポート422aは、第2波長選択スイッチ412の第2入力ポート412bに接続され、上り入力ポート422bは、光クロスコネクトデバイス43の上部ポートに接続される。光信号のエグレス方向(上り方向)において、フィルタ42は、複数の上り入力ポート422bから入力されたシングルチャネル光信号を同一の光チャネルに多重化し(即ち、同一の光ファイバーに合波し)、上り出力ポート422aを介して、多重化された光信号を第2入力ポート412bに出力する。
【0057】
一実施例において、第2波長選択スイッチの入力ポートが、それぞれ、フィルタ、及び、他の光方路に対応する第1波長選択スイッチに接続されるため、第2波長選択スイッチは、各光方路の光信号をDWDM光信号に合波して出力することができる。
【0058】
一実施例において、フィルタは、固定フィルタ又は調整可能なフィルタであってもよい。ここで、固定フィルタが使用される場合、フィルタの各ポートの波長が固定されており、調整可能なフィルタが使用される場合、フィルタの各ポートの波長が設定可能である。
【0059】
1つの可能な実施形態では、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに1つの光クロスコネクトデバイスが設けられる場合、各光方路において、フィルタの各下り出力ポートは、光クロスコネクトデバイスの上部ポートに1対1で接続され、分離されたシングルチャネル光信号を光クロスコネクトデバイスに伝送し、フィルタの各上り入力ポートは、光クロスコネクトデバイスの上部ポートに1対1で接続され、光変換ユニットが光クロスコネクトデバイスの下部ポートを介して入力したシングルチャネル光信号を受信する。
【0060】
一実施例において、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに使用される光クロスコネクトデバイスのポート数は、光方路の数、及び各光方路に対応する波長の数と相関する。1つの可能な実施形態では、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに1つの光クロスコネクトデバイスが含まれ、且つ、光方路がm個であり、それぞれの光方路がn個の波長の光信号に対応する場合、光クロスコネクトデバイスの上部ポート及び下部ポートは、両方ともm×n×2個である。
【0061】
一実施例において、第1波長選択スイッチは、少なくともm個の第1出力ポートを含み、第2波長選択スイッチは、少なくともm個の第2入力ポートを含み、フィルタは、少なくともn個の上り入力ポートと、少なくともn個の下り出力ポートとを含む。
【0062】
1つの模式的な例では、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに1つの2560:2560の光クロスコネクトデバイスを設けると、20個の光方路の光方路ごとの64波長の光信号のアクセスを実現することができる。
【0063】
本実施例では、N:Nの光クロスコネクトデバイスを使用することにより、ドロップポートの数を顕著に増加させ、単一のデバイスによって多波長のドロップを行うことを実現することができる。また、単一の光クロスコネクトデバイスを使用することにより、各光方路における波長選択スイッチのポート占有数を減少することができ、ポート数が限られる波長選択スイッチにとって、波長選択スイッチのより多くのポートを異なる光方路のルーティングに使用することができ、システムの拡張可能性の向上に有利である。
【0064】
図4に示す実施例では、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに1つのみの光クロスコネクトデバイスが設けられるため、各フィルタの全てのポートは、該光クロスコネクトデバイスに接続される。しかしながら、このような構造を採用する場合、光クロスコネクトデバイスに故障が生じると、全ての光方路における光信号のドロップが失敗してしまう。
【0065】
再構成可能光アドドロップマルチプレクサの信頼性を高めるために、1つの可能な実施形態では、再構成可能光アドドロップマルチプレクサにi個の光クロスコネクトデバイスが設けられる。
【0066】
一実施例において、i個の光クロスコネクトデバイスが設けられる場合、それぞれの光クロスコネクトデバイスの上部ポートは、フィルタの目標数の上り入力ポートに1対1で接続される。ここで、目標数の上り入力ポートは、フィルタの上り入力ポートの総数の1/iを占める。また、それぞれの光クロスコネクトデバイスの上部ポートは、フィルタの目標数の下り出力ポートに1対1で接続される。ここで、目標数の下り出力ポートは、フィルタの下り出力ポートの総数の1/iを占める。
【0067】
1つの模式的な例では、図6に示すように、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに第1光クロスコネクトデバイス61と第2光クロスコネクトデバイス62との2つの光クロスコネクトデバイスが設けられる場合、それぞれの光方路におけるフィルタ63の上り入力ポートは、半分が第1光クロスコネクトデバイス61の上部ポートに接続され、他の半分が第2光クロスコネクトデバイス62の上部ポートに接続され、それぞれの光方路におけるフィルタ63の下り出力ポートは、半分が第1光クロスコネクトデバイス61の上部ポートに接続され、他の半分が第2光クロスコネクトデバイス62の上部ポートに接続される。
【0068】
一実施例では、再構成可能光アドドロップマルチプレクサにi個の光クロスコネクトデバイスが設けられ、且つ、光方路がm個であり、それぞれの光方路がn個の波長の光信号に対応する場合、それぞれの光クロスコネクトデバイスの上部ポート及び下部ポートは、両方ともm×n×2/i個である。
【0069】
1つの模式的な例では、20個の光方路の光方路ごとの64波長の光信号のアクセスを実現するために、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに2つの1280:1280の光クロスコネクトデバイスを設けるか、又は、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに4つの640:640の光クロスコネクトデバイスを設けるようにしてもよい。
【0070】
本実施例では、再構成可能光アドドロップマルチプレクサに複数の光クロスコネクトデバイスを設けると、光クロスコネクトデバイスの一部に故障が生じても、システムは、故障が生じていない光クロスコネクトデバイスによって、波長アクセスを行うことができる。これにより、システムの可用性が確保され、単一の光クロスコネクトデバイスのみが設けられる場合に、光クロスコネクトデバイスの故障により、システム全体が利用できなくなるという問題が回避される。
【0071】
以下、模式的な実施例を用いて、下り光信号の処理過程を説明する。
【0072】
一実施例で提供される光信号処理方法のフローチャートを示す図7を参照すると、該方法は、上述した各実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサに用いられる。該方法は、以下のステップを含む。
【0073】
ステップS701で、光信号処理デバイスの波長選択スイッチは、入力された高密度波長分割多重光信号を受信する。
【0074】
光ネットワークにおいて、異なる光ネットワークノードの再構成可能光アドドロップマルチプレクサの間は、光ファイバーを介して接続される。現在の光ネットワークノードは、他の光ネットワークノードから伝送された光信号をドロップする際に(即ち、光信号の下り過程)、まず、自身の位置する光方路における波長選択スイッチによって、他の光ネットワークノードから伝送された光信号を受信する。該光信号は、DWDM光信号としうる。
【0075】
1つの可能な実施形態において、波長選択スイッチは、イングレス方向の光信号を処理する第1波長選択スイッチを含む。該第1波長選択スイッチは、第1入力ポートと、複数の第1出力ポートとを含む。第1波長選択スイッチは、第1入力ポートを介して、イングレス方向から入力されたDWDM光信号を受信する。
【0076】
ステップS702で、波長選択スイッチは、高密度波長分割多重光信号に対して波長割り当てを行い、波長割り当て後の光信号を光信号処理デバイスのフィルタに入力する。
【0077】
上記のステップに対応して、1つの可能な実施形態において、第1波長選択スイッチは、波長に応じて、受信されたDWDM光信号を異なる第1出力ポートに割り当て、第1出力ポートを介して、光信号をフィルタに入力する。
【0078】
一実施例において、第1波長選択スイッチは、第1出力ポートを介して、他の光方路に対応する第2波長選択スイッチに波長割り当て後の光信号を伝送して、光信号のルーティングを実現するようにしてもよい。
【0079】
ステップS703で、フィルタは、波長割り当て後の光信号をシングルチャネル光信号に分離し、シングルチャネル光信号を光クロスコネクトデバイスの上部ポートに入力する。
【0080】
1つの可能な実施形態では、下り方向において、フィルタは、下り入力ポートと、下り入力ポートに対応する複数の下り出力ポートとを含む。フィルタは、下り入力ポートを介して、波長選択スイッチから出力された波長割り当て後の光信号を受信し、波長割り当て後の光信号を複数のシングルチャネル光信号(単一波長光信号又は多波長光信号)に分離し、複数の下り出力ポートを介して、分離されたシングルチャネル光信号を光クロスコネクトデバイスの上部ポートに入力する。
【0081】
ステップS704で、光クロスコネクトデバイスは、下部ポートを介して、シングルチャネル光信号をドロップする。
【0082】
異なる光方路に対応するフィルタのいずれも光クロスコネクトデバイスの上部ポートに接続されるため、光クロスコネクトデバイスは、複数の光方路からのシングルチャネル光信号を受信し、上部ポートと下部ポートとの間の接続を制御することにより、異なる光方路の光信号のドロップを実現することができる。
【0083】
下り光信号の処理過程に対応して、上り光信号の処理過程は、図8に示すとおりである。
【0084】
他の実施例で提供される光信号処理方法のフローチャートを示す図8を参照すると、該方法は、上述した各実施例で提供される再構成可能光アドドロップマルチプレクサに用いられる。該方法は、以下のステップを含む。
【0085】
ステップS801で、光クロスコネクトデバイスは、下部ポートを介して、光変換ユニットから出力されたシングルチャネル光信号を受信する。
【0086】
光クロスコネクトデバイスの下部ポートは、光ネットワークノードの光変換ユニットに接続される。現在の光ネットワークノードは、他の光ネットワークノードに光信号を伝送する必要がある場合、光変換ユニットを介して、光クロスコネクトデバイスの下部ポートに光信号(シングルチャネル光信号)を入力する。
【0087】
ステップS802で、光クロスコネクトデバイスは、上部ポートを介して、光信号処理デバイスのフィルタにシングルチャネル光信号を入力する。
【0088】
一実施例において、光クロスコネクトデバイスは、下部ポートを介して、任意の上部ポートに接続されることが可能である。このため、光クロスコネクトデバイスは、シングルチャネル光信号を任意の光方路のフィルタに入力し、シングルチャネル光信号を任意の光方路に伝送することができる。
【0089】
ステップS803で、フィルタは、入力された複数のシングルチャネル光信号を多重化し、多重化された光信号を光信号処理デバイスの波長選択スイッチに入力する。
【0090】
1つの可能な実施形態において、波長選択スイッチは、エグレス方向の光信号を処理する第2波長選択スイッチを含み、フィルタは、複数の上り入力ポートと、複数の上り入力ポートに対応する上り出力ポートとを含み、上り入力ポートが光クロスコネクトデバイスの上部ポートに接続され、上り出力ポートが第2波長選択スイッチの第2入力ポートに接続される。フィルタは、複数の上り入力ポートから入力されたシングルチャネル光信号を同一の光チャネルに多重化し、上り出力ポートを介して、多重化された光信号を第2波長選択スイッチの第2入力ポートに出力する。
【0091】
ステップS804で、波長選択スイッチは、多重化された光信号を波長合波して出力する。
【0092】
1つの可能な実施形態において、波長ルーティングを実現するために、第2波長選択スイッチが他の光方路における第1波長選択スイッチに接続される場合、第2波長選択スイッチは、自身の位置する光方路及び他の光方路の光信号を波長合波し(複数の第2入力ポートを介して受信)、合波されたDWDM光信号を出力する。
【0093】
ここで、合波された光信号は、光ファイバーを介して、自身の位置する光方路における光ネットワークノードに伝送される。該光ネットワークノードは、再構成可能光アドドロップマルチプレクサによって、図7に示す光信号処理方法を用いて、光信号をドロップする。
【0094】
一実施例で提供される光ネットワークの構造の模式図を示す図9を参照すると、該光ネットワークは、少なくとも2つの光ネットワークノードを含む。図9では、光ネットワークが、第1光ネットワークノード91、第2光ネットワークノード92、第3光ネットワークノード93、第4光ネットワークノード94、第5光ネットワークノード95を含む場合を例にして説明する。
【0095】
図9に示すように、光ネットワークにおいて、それぞれの光ネットワークノードに再構成可能光アドドロップマルチプレクサが設けられる。該再構成可能光アドドロップマルチプレクサは、上述した実施例で提供されるいずれかの再構成可能光アドドロップマルチプレクサを採用してもよい。
【0096】
光ネットワークノードは、再構成可能光アドドロップマルチプレクサ、及び光ネットワークノード間の光ファイバーを介して接続される。ここで、上り方向において、光ネットワークノードの光変換ユニットから出力された光信号は、再構成可能光アドドロップマルチプレクサによって、光ネットワークにおけるいずれかの光ネットワークノードに伝送することができる。下り方向において、光ネットワークノードは、再構成可能光アドドロップマルチプレクサによって、各光方路からの光信号を光変換ユニットに入力し、最終的に異なる光方路の波長ルーティング、及び波長無依存、方路無依存、無競合の光信号のドロップを実現することができる。
【0097】
当業者は、明細書を考慮して、ここで開示された発明を実践したうえで、本願の他の実施形態を容易に想到し得る。本願は、本願の任意の変形、用途、又は適応的な変更が包括されることを趣旨とする。これらの変形、用途、又は適応的な変更は、本願の一般的な原理に従い、本願に開示されていない本技術分野における技術常識又は慣用の技術的手段を含む。明細書及び実施例は、例示的なものと見なされるに過ぎず、本願の実際な範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0098】
理解すべきものとして、本願は、上記で説明されて図面に示された精確な構成に限定されるものではなく、その範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更が可能である。本願の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9